詩朗讀 思ひ出・斷章
- AI summary (β)
- この文章は、過去の思い出や感情を詩的に表現したものです。内容は、昼過ぎの曖昧な記憶や、穀物の花や鳩の毛、ハーモニカの音色など、さまざまな感覚的なイメージが交錯しています。特に、過ぎ去った人や出来事に対する哀愁や寂しさが強調されており、孤独感や懐かしさが漂っています。全体を通じて、過去の美しい瞬間や失われたものへの郷愁が描かれています。
- pid
- 2914982
- note
- 商品番号 : 203021_33449-B, デジタル変換後ノイズ除去 : なし
- genre
- 不明
- creators
- 北原 白秋
- duration
- 177
- persName
- 北原 白秋
- publisher
- コロムビア
思い出 女子
思い出は首筋の赤い蛍の
昼過ぎの覚束ない手触りのように
ふわりと青みを帯びた
光るとも見えぬ光
あるいはほのかな穀物の花か
お地坊ひろいの小歌か
暖かい坂浦の南で
引きむしる鳩の毛の白い褒め着
音色ならば笛の類
引きがえるのなく
石の薬の懐かしい盤
薄ら明かりに吹いてるハーモニカ
匂いならばビロード
はるたのクイーンの目
どうげたピエロの顔の
何かしら寂しい感じ
放乱の火のようにつらからず
熱病の明るい痛みもないようで
それでいて五春のように柔らかい思い出か
正しいはが秋のレジェンド
断章
今日も悲しと思いしか一人夕べを
銀の帯の根も細く一人かすかに
すり泣き吹き澄まし
たる我が心薄き光に
ああ悲しい哀れ悲しい君は過ぎます
不意にじきメロディアの匂いの中に
薄れゆくクラリネットの根のごとく
君は過ぎます
暮れてゆく雨の日の何となき
ものをせば明日に落とし
たる爽やか君のリンゴ
ああそのリンゴ
身もとらず冷ややかに行き過ぎし
人の後ろに灰色の道ながき
ぬかる身に哀れぬれつ
ただひとつまろびたる
燃え残る夢のごとくに
我が友はいずこにありや
おそわきの入り日の若さ
淋しらにひとり眺めて
飼い探るピアノの剣のうつつなき
高嶺の走り
かくてはやひとりのひとりの
今日も過ぎゆく
いや振り手なめ石はいよいよ真白に
いや振り手悲しみはいよいよ新しい
いや振り手いや記憶いよいよ悲しく
仲間ほしさに我ひとり日焼き
針戸に手も当てつ
窓のかなたは赤々と沈む
入り日の望みを
仲間ほしさに我ひとり