講演:虚子俳話(ニ):花鳥風詠
- AI要約 (β)
- 俳句は400年の歴史を持ち、その存続には「期待」が重要な役割を果たしています。期待がなければ俳句は滅びてしまいますが、死は新しい形で存続します。俳句を「課長風営の文学」と表現し、期待を「課長風月」として示しています。俳句は17文字で構成され、期待によって制限された文学であり、初めは不自由に感じられるかもしれませんが、慣れてくると自由に感じられるようになります。これは狭い部屋で長い槍を使うようなもので、練習を重ねることで自在に使えるようになるのと同じです。
- pid
- 3571317
- note
- 商品番号 : 33293, デジタル変換後ノイズ除去 : 無, 講演
- genre
- 講義、講演、演説
- creators
- 高濱 虚子
- duration
- 190
- persName
- 高濱 虚子
- publisher
- コロムビア(戦前)
前に申しましたとおり、俳句は期待という重大なものを背負っております。
これは400年の昔、俳句が生まれ出てから、
今日まで続いてきておるところのものであります。
その期待というものがあることによって、
今日の俳句があるのであります。
期待を取り除けたならば、俳句は即時に滅ぶのであります。
間違えてはいけません。
期待を取り除けたならば、俳句は滅びるのでありますが、
死は滅びるのではありません。
それは新しい死として存立するのでありますが、
俳句は滅びてしまうのであります。
私はその期待ということをもっと芸術的な言葉で表し、
他の人の区別を完全とさすために、
俳句は課長風営の文学、すなわち課長風営史であると唱えております。
期待というものを課長風月の四字で代表させ、
さらに課長の二字に続めて、
俳句は課長風営の文学であると申すのであります。
これは、俳句は期待風営の文学であるというのと同じ意味であります。
文字の数は近々十七字でありまして、
その上、期待によって制限された文学となりますと、
いかにも境界の狭い、圧縮せ、手稼ごうをはめられた、
不自由な文学と考えられるのであります。
また、実際決して自由な文学であるということはできないのであります。
しかしながら、だんだん慣れてきますと、
さほど不自由な漢字はなくなって、
案外自由なものであるということがわかってまいります。
ちょうど狭い部屋の中で長い槍を使うようなもので、
はじめは窮屈でとても使えそうに思えなかったのが、
だんだん上達してきます。
銃を自在に使えるというものと一般であります。