詩朗読:旅、建設、客人

AI summary (β)
この文章は、旅の情景と人々の行動を描写しています。まず、旅の玄関でカバンが投げ出され、ポーターが旅の話をする場面が描かれています。次に、建設現場で猫と子供が遊ぶ様子が描かれ、子供が積み木を積み上げるが崩れる場面が続きます。最後に、客人を待つ人々の宴会の様子が描かれていますが、肝心の客人は現れず、人々は自分たちだけで宴会を楽しみます。客人の名は「ポエジー」であり、彼は再認するキリストではなく、時折忘れられるが重要な存在である老人でした。
pid
3571572
date
1940-03
note
商品番号 : 33652, デジタル変換後ノイズ除去 : 無, 詩朗読
year
1940
genre
文学作品の朗読、解説
creators
川路 柳虹[作詞], 川路 柳虹
duration
183
persName
川路 柳虹
publisher
コロムビア(戦前)
旅 玄関にガタンと投げ出されるカバン 擦り切れた革の上に、また新しいホテルのラベル 古い上にベタベタと重なる、娼婦の嘘のよう ポーターの肩では、たくさんの旅が話し合う 列車は、地中海の海岸線で、午前十時の日光に酔っている 香りの強い石が、ニースの空とヤシの木、カジノの入場券 ああ、昨日の夢 発車、ポーターは窓からカバンを投げ込む チップと一緒に、俺は過去を捨てる、毎日 ポーターは他人の旅を手放して、元気よく消える 建設 縁側の陽だまりに猫は寝ている オリオリはまぶしげに目を見開くが 光を耳でハウチまた長々と、日光を我が物のようにして寝る 子供は一人脇で、積み木を遊ぶ ひとつびとつを積み上げて、大きな家を建てようとしていたが ひょっとした拍子に、みんな崩れる ネクラでもするように、木を拾い上げ 子供は懲りずに、またも積み上げる だが、目に見えぬ者が木を崩すのだ 求め得られる者は、力の中心 感触紛れに積み木は放り出し 子供は片わらの猫を引っ叩く 陽だまりに失われる影は二つ 風に揺れる裸着を、日が波打つ 客人 殿頭は輝かしく部屋中を照らした 食卓には限りない御馳走がもらえた 花は誇らしげに会食者の間に、その境体を示していた 多くの人は集まった、談笑している だが肝心の客人が見えない 主品の椅子のみは、ただひとつ空虚である 時はすでに帝国を二十分過ぎた やがて三十分、一時間、二時間 人々はもう我慢ができなくなった 人々は互いに皿をたたき、御馳走を食べ、酒を飲み出した 世話人は八方に電話をかけて客人を探した 多くの人は客人のいないのにもかかわらず すでに自らを満足させだけ食べた そうしてコーヒーを飲み、浜木をくゆらして さて散会しようとして思い出したように 客人はと見返った そんな客人の来ないままに 彼らが会食を終わったことを多少おかしくも感じ 無礼にも感じた しかし彼らの胃袋が満たされていることで 彼らは満足していた がまだその客人は来なかった おそらく深夜になっても明朝になっても その翌日も翌々日も客人は来ないであろう 彼らが待つ客人は再認するキリストではなかったのだ そうしてもっと手近な ただ彼らのいつも取り巻き焼き立つ人間のようには 大切な男ではなかったのだ しかも時折忘れ 時折はぜひとも必要な一人の老人であったのだ その客人の名は確かポエジーといったと思う