詩朗読:こころ、足羽川、蝉頃、春の庭
- AI要約 (β)
- この文章は、心の内面と自然の風景を描写した詩的な表現が特徴です。作者は、自分の心の動きや感情を自然の景色や庭の様子に重ね合わせています。庭や自然の変化を通じて、作者の内面の孤独や哀愁、そして一瞬の喜びや感動が表現されています。庭との対話やその美しさに対する深い愛情が感じられ、自然と心が一体となる様子が描かれています。
- pid
- 3571575
- date
- 1940-03
- note
- 商品番号 : 33653, デジタル変換後ノイズ除去 : 無, 詩朗読
- year
- 1940
- genre
- 文学作品の朗読、解説
- creators
- 室生 犀星[作詞], 室生 犀星
- duration
- 192
- persName
- 室生 犀星
- publisher
- コロムビア(戦前)
心 我は我が心の兆しを売り わびしき立ち日のしろとなす
行くたび我を欺きしかを知らず 行くたび同じき書物に瞳をさらすが如き
淋しき思いをなしけん
かかる心常に冷たく沈みて われを書くはとらえんとする
あす葉があいあわず夜とせとなり あす葉がみどりこよなく越えし
幼かりし桜も伸びあがり 嬉しや我が手に添いきたる
我がその紙に文明を見し この土手の柴と薄緑
今冬がれ果てて色を悲しかり われらが来旅より返し
今あす葉がのほとりに立つことの 何ぞや愚かにも涙が埋まるわ
蝉ころ
何処としなくしと蝉の鳴きかえり 蝉ころとなりしか蝉の子をとらえむとして
暑き夏の砂中踏みし子は 今日何処にありや
夏のあわれに命短く 都の町の遠くより
空と屋根とのあなたより 蝉と蝉の鳴きかえり
春の庭
庭は薄物をつけていた 庭は夢から覚めていた
庭の心臓はゆっくり動いていた 庭は桃をたる春をかごしかけていた
青いものはまだ燃えていなかった しかしもう追いかけていた
木造にはちらちらする雪があった 雪は溶けずに暖かに眠っていた
芽はしべの中まで真っ白であった
庭は神を言うている人のようであった 庭は着物を着かかっている人のようであった
庭は湯に入ろうとする人の恥じらを見せていた
私は庭と今日も話をしていた 私は庭の片先にもたれてうっとりしていた
私は庭の頬でももたれていることを感じた 私は鳥よりも深く庭を愛していた
私は庭に唇のあることを知っていた