朗読:建設戦記
- AI要約 (β)
- 30分の休憩後、兵隊たちは再び作業を開始します。彼らは疲れ果てているように見えましたが、一斉に立ち上がりました。作業はまだほとんど進んでおらず、兵隊たちはこの仕事にどれだけ時間がかかるのか不安を感じています。ある兵隊は、他の兵隊や国民に対して申し訳ない気持ちを抱きながらも、仕事に集中しようとしています。私も同じような疑念を抱きつつ、兵隊たちに「やれるだけやろう」と励まします。戦闘後の満足感とは異なり、作業後には満足しきれない感覚が残ります。水間部隊長の訓示を思い出し、どんな困難な状況でも列車を動かす任務を忘れてはならないと再認識します。
- pid
- 3571581
- date
- 1940-02
- note
- 商品番号 : 33658, デジタル変換後ノイズ除去 : 無, 朗読
- year
- 1940
- genre
- 文学作品の朗読、解説
- creators
- 上田 廣[作詞], 上田 廣
- duration
- 196
- persName
- 上田 廣
- publisher
- コロムビア(戦前)
30分ほどの休憩で再び作業は開始される。
二度と起き上がれそうに見えなかった兵隊たちが一斉に立ち上がる。
改めて見るばかりでなく、汗と埃に汚れた顔はちょっと見たくらいでは判別できない。
若干の作業班が交代になったようだが、私たちは同じである。
作業を着手前の埃の立たない路盤に立つと、
残っている反転軌道がほとんど朝と同じように視線の届く限りある。
作業はまだほんのわずかしか完成していないのだ。
私は午前中の作業量から押して、どのくらいかかるか胸残余していた。
後の兵隊たちも私と同じことを考えているようである。
膝は一頭平がつぶやく。
俺たちはこんな仕事に何日もかけていいのかね?
どうして?それは早くやるに越したことはないよ。
笑いながらそう言う私に、
俺はこうして毎日仕事をするのはちょっともかまわないが、
これでいいのかどうかってことが聞きたい。
これでいいかどうか。
例の調子が出たのだと思いながらも、
私はその質問の動機が極めて詩人なものであるのを知った。
これで俺たちの任務が務まってるかどうか、
それが気になって仕方がない。
立派に務まっている。
そうかな?どうしてそれが疑われるんだ。
俺は時期こうして仕事していながら、
前にいてもっと苦労している兵隊や国民にすまないって気になるんだよ。
そうしちゃ仕事に身を入れる。
そうするとまた余計そんなことばかり考えるようになるんだ。
それは向き直ってみんなに説明するような口ぶりである。
私にもその気持ちがわかるので、
何度も立派に務まっていると断言した。
やはり私の心の底には、
それを断言しきれないものが感じられるのであった。
私もまた私たちのやりつつある仕事が、
どのような性質を帯び、
どのような意義を持っているかよく知っているつもりである。
その仕事の遂行中に抱かねばならぬ疑念は、
しかし不思議に私たちの思念を揺すり立てる。
とにかく我々はやれるだけやろうじゃないか。
そうすればいいんだよ、と日沢一頭兵にも、
他の兵隊にも言って作業にかかりながら、
私はふとこのような感じは、
銃を持って戦った後には感じられないものであるのに気づいた。
銃を取った後は疲労と言い知れぬ敵への
行き通りの後の何かサバサバしたものが感じられる。
世界の集結が利不利であるにかかわらず、
それは他のものでは味わえない満足のサバサバしさである。
それが作業の後味となるとだいぶ違う、
満足しきれないようなものがあるのである。
戦場作業の困難さは実はそこにあるのではあるまいか。
何かというと銃を持って飛び出したがる兵隊を今占めるために、
機械あるごとに言われた水間部隊長の訓示が、
またもや私に思い出される。
自分たちはどんな困難な状況のもとにあっても、
列車を動かすという任務を忘れてはならない。
軌道を離れて戦わねばならない。
しかし、それはあくまで一つの任務のうちにある任務であって、
そのために本来の任務を忘れ去ってはならないのである。
今にして私にはこの水間部隊長の訓示が
深い意味を持つものと考えられるのである。