落語:からし医者(四)

AI summary (β)
この文章は、医者が患者に対して診察を行っている様子を描写しています。医者は患者にじっとしているように指示し、お腹を診察しながら、患者の反応や行動に対してコメントしています。患者が面白い人だと感じているようで、診察の過程でいろいろな指示を出しながら、薬を処方しようとしています。全体的に、医者と患者のやり取りがコミカルに描かれています。
pid
3576019
date
1930-12
note
商品番号 : 26067, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 落語
year
1930
genre
落語
creators
桂 春團治
duration
210
persName
桂 春團治
publisher
コロムビア(戦前)
じっと寝ていらっしゃれ、じっと。そう、そう、そう、そう。それ以後に。さあ、これからお腹を見たげるでな。そのお腹、ぴょこぴょこ、いのがさえに。だいぶ、じ、じ、じっと、そう、そう。え? このあたりが進化と言うて、このあたりが最下と言う。ああ、最下?これ、相手にならない。だいぶおもろい人やね。じっとしてね。え?そう、そう、そう。お腹をこうやって押さえる。お腹がゴロゴロとなるがな。 あ、しんじ、かえっとんない。あれ、へいこいた。これ、医者にかまちゃったら出るか。でもおもしろい人やね。さあ、ちんとちんと座って。ちんと座って、下を出してごらん。え? ちんと座って、下を出してごらん。へい、下を。へい、へい。ああ、もっと出んかな。もう、もう、もう、これ、けっちゃいけや。けっちゃうとは。 その人はぐるっとまわらんかい。え?この人はぐるっと。ああ、こわ。しんじ、これはまわらん。後ろはまわる。後ろはまわりまえで。うだ、うだって言うな。いや、そんで、膝へ手を置いて、じっとしてなさい。薬をちょうごいしてあげるでな。ああ、ええ。 膝へ手を置いて、じっと、まってみますか。どうぞ、薬ひとつ。ああ、じっと、いま、しょせんにさしておいて。これ、これ、これ、その、畳のいい見知らんように。へい、へい、へい、へいやないがな。 なお、見知ったらどうなる。ああ、あさやか。さやかって。膝へ手を。これ、その、ふとんのとじいとをとらんように。ああ、これもいかん。どれかっていかん。きのう、おまえ、ひかれたとこや、その、ふとんは。ああ、それでや。 それで、見知りにくい。見知りにくいって言うな。むちゃで。膝へ手を置いてな。わるさするもんじゃ、あら。これ、これ、これ、その、どいんの口から水のんだら、ここらへい。 こっちに、いいえ、こぼかしてあげるで。もう、ざんないな、おまえのすることは。膝へじっと手を置いていられるにある。これ、その、猫のひげ見知らんように。ああ、こしゃこしゃいいなあ。こしゃこしゃいいなあって、おまえがすぐにゃこするさかよ。 ところで、猫のひげ見知ってみ。ねずみとらんようになるもん。たいぶん変わってるな、おまえは。ああ、かえらしい猫や。なんぼかえらしい猫。これ、もう、その、ちょこちょこ、もう、これ、そこらへんの引き出しあげなあんな。 何してんの、そりゃ、風船やれへん。ルーテンサックや、これ。もう、その、おっけいふくらして、いいえ、これ。あ、そう、あった、そう。ろくなことしてんの、おまえは。ルーテンサックやってみたから。 ひとつぐらい、ひとつぐらいかって、ふたつぐらいかって、なんてんの。もう、おまえ、早いんではんの、なんておってんの。これ、きゅうすけや。くすりがちょうどよかったら、こっち持っていなされ。ああ、だいぶん、この人、おもしろいした。この人、いてた。ろくなことしてんの。くすり、こっちこっちこっちね。 おじさん、くすりがありげた。おまえ、なんちゅう名前、え、名前、なんちゅう名前。え、名前、げんすけ。げんすけとはおかしい。え、げんさん。え、げんさん。さんだけつけていいで。だいぶん、かわってんの、おまえ。おじさん、くすりを持っていんなあ。え、おけやろうと。 せんじ、せんじぐすりにしとくなったよな。ああ、せんじぐすりのは、のんびりと思って。いま、みずぐすりは、なんじゃちゅうけで、わたしのほうは、ちょっと、きゅうへいめいているようなけど、そのくすりが、はよきくてな。えへへ、なんなかなって、ぜんじをうけてると思って。いげつないものやしな。なにをいんの。それ持っていんなあ、とりあえず。あれ、おけ。とにかくな、せんじまん。どうせんじまんね、せんじ。そうじゃ、いちごのみずを、にごにせんじあげておらえたい。 え、いちごのみず、え、せんじ、どうしちゃった。いちごのみずを、にごにせんじあげるのじゃ。いちご、いちごのみずを、にごに。せんじ、ほんと、みずがふえる、なんでいれませんか。わさびかからしを、どっさりいれる。くすりのなかに、わさびかからし。ああ、ああ、わろたらきかん。