落語:稽古屋(上)
- AI要約 (β)
- この文章は、ある男性が女性にモテるために何か特技を身につけようとする話です。友人から「一芸、二男、三金」が必要だとアドバイスを受け、まずは芸を磨くことにします。彼は踊りを習うことに決め、花やぎお住という踊りの先生のもとを訪れます。そこで稽古を受けるものの、うまく踊れずに苦労します。最終的には腰を折ってしまい、先生に直してもらうというドタバタ劇が展開されます。
- pid
- 8275903
- date
- 1933-02
- note
- 商品番号 : 65793, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 落語
- year
- 1933
- genre
- 落語
- creators
- 柳亭 芝楽
- duration
- 208
- persName
- 柳亭 芝楽
- publisher
- リーガル
今時はどうしたい?
どうも、あしはね、女ができなくて困ってんさ。
何かこう、できることをひとつ考えて下さいな。
くだらねえこと言ってきやがったな、どうも。
女のできるようなことって、えっと、どんなこと?
どんなんて言うんだい?
私の友達はね、カフェの状況に思い寄せられたとかね、
え、え、芸者に惚れられたとかね、
あしは何にもできねえんだからね、悔しいやねえ。
けれども、そりゃお前いかんねえ。
女をこしらうには、一芸、二男、三金と、
これだけ揃ってなきゃいけないんだ。
お前は男っぷりは悪いし、税にはなしだ。
まず芸だな。
え、芸。
芸ならねえ、あしはあるな。
そうかい。
え、どうしよう。
あしはこうやって座ってるねえ。
せいだけこの蕎麦のせいろを摘むんだよ。
え、え、上からつーっとみんな食うんだが、
見事なもんだぜ。
ふざけんなよ。
蕎麦は食うのに芸のうちにするなよ。
まずまあ、清本ができる。
ときわず信頼がやれる。
はいしはまたこの踊りができる程度、
女の子がとーんとくるな。
踊り?やりたいね。
え、やりたい。
お前?踊りって柄じゃないよ。
せいはちんちくりんだし、十三門高高な足で、
どたんばたんとやっても始まらないが、
しかしやる気があったらおやり。
あ、この横丁にね、花やぎお住さんってね。
うん。
どしゃあ若いが、なかなかなんて、
高者なお人さんがいるから、
そこ行って一つ踊りを二つ三つ稽古してもらったら、
えへへ、どうもありがとう。
月収はどのくらいでしょう?
まず五円だね。
膝つきに三円を持ってったらいいだろう。
あ、そうっすか。
たった三円かい。
えへへ。
えー、わけで立て替えろ。
うん、なんだい。
お前に口を引くと損もするな。
じゃ、まあ三円持って行っといて。
ないっすか。
いや、ありがた。さよなら。
右の男横丁に曲がる。
英知和吾氏に五人と、
花やぎお住という小冊が出ている。
お嬢さんが大勢のお弟子さんに稽古をしております。
さあ、今度は誰だっけね。
え、乙美ちゃんか。
さあ、お前がなさい。
あ、あのね、前掛け、帯を挟んで、
え、そう、よかったんすか。
あ、それからあの、道場寺でしたね。
ちょいと、すいませんがね、おしいちゃん。
道場寺、お願い申しますよ。
さあ、よかったんすか。
鼻を噛んで、ちゃんと立って。
よかったんすか。
それ。
いや、ぐるりと待って。
は?
うまくなりましたね。
おさらいには、
衣装着て踊るんでしょ。
しっかりおやなさいよ。
もっとね、あのね、
この手をね、ずっと出さなきゃダメよ。
いや、あんたは本当に手の癖が悪いの。
いいえさ、その手の癖が悪いのさ、
その手癖がさ、
手癖が悪いね、手癖が。
な、なんだ?
手癖が悪い?
いや、どうかいい顔をしてれば、
手癖が悪いってのは悪いだけだな。
俺の顔を見ていただったら、
こいつだな、ちょいと。
静かにしてちょうだい、見てる人は。
ほら、ごなんさん、おとみちゃん。
ね、お前さん変な踊りをするから、
見てる人はいろんなこと言うから。
ね、大丈夫?
しっかりおやなさいよ。
はっ!
いや、ぐるりと回って。
おい!
そう。
そう、もっと腰を折るのよ。
ずっと腰を折るの。
腰を折るのよ。
いや、もっとずっと腰を折るの。
腰を折る。
腰を折るんだったよ、腰はよ。
腰を。
めりめり!
あら、ちょいと待てちょうだい。
だれ?
ちょいと腰を折っちゃって。
えっと、いやね、
足なんで腰を折れって腰を折っちゃった。
大工だらね、
あたしは直しますから。
お前さん何?
あたしは人間だよ。
何しに来たの?
お前の道類にしとくなよ。
変な人は来たわね。