演説:普通選挙について(五)

作詞・作曲・編曲・実演家
尾崎 行雄
製作者(レーベル)
ニッポノホン
歴史的音源ジャンル
講義、講演、演説
出版年月日
1928-03
カテゴリ(AI 付与)
政治
キーワード(AI 付与)
財閥, 一般人民, 対立, 増税, 減税
注記
商品番号 : 16815, デジタル変換後ノイズ除去 : 無, 演説
要するに我が国の現状は、財閥と一般人民との対立であって、財閥の利益は多くは一般人民の不利益となり、一般人民の利益はまた代替財閥の不利益となる。 従って全国は増税派、すなわち財閥派と減税派、すなわち一般人民派との二つに分かるべき性質のものである。 しかるに悲しいことには、一般人民はまだ己の利害の計算がわからんがために、多くの場合においては財閥の、より運動費を受けてその手先となっておるところの候補者に多くの投票を入れて、己が苦しめるべき結果を招いて平均としておる。 これが今日日本の経済状態、その他あらゆる不幸不利の積み木だったる最大原因となっておるのである。 ここにおいて全国人民は、よく己の利害、従って国家の利害と共通であるという道理をわきまえ、かつそれを打算して思考して、国家及び自分の不利益なる仲間には投票をなるだけ入れないように、国家及び自分たちの利益になる方に入れるように働かなければならぬはずであるが、 このことがわからんがために実際行われる。また中には、よしそのことがわかっても両大政党を対立しておる場合において、他の少数の仲間などに入れてもそれは無効になるということを唱えるものもあるが、それは間違っている。 元来議会というものは、多数と少数との喧嘩をする場所ではなくして、国家のために相談をする場所である。相談とあれば多数が必ず勝ち、少数が必ず敗れるとは決まっていない。 良いものに相談を求めて国に尽くすというのが議会政治の頑目であるから、欧米においては少数者の意見がしばしば行われることもある。我が国ではだいたいないように見えるけれども、それでも必ずしもその通りになっておらん証拠は最近においても2つくらいある。 第一には、軍備制限ということは両大政党の絶対反対したところであって、極めて少数なものが唱えたのであるが、それも実際に行われて、今日で我が国民は毎年4億円以上ずつ立つかと。 また、普通選挙ということも、初め少数者が唱えたときには両大政党は絶対反対をいたしたけれども、これもだんだん屈服、降参をいたして、今日は普通選挙が厳に実行せられて、この度、その例によって総選挙が行われるというまでに運んだ。 すなわち我が国においても、大政党のみ有力なりという事実はないのであって、少数者が各のごとく国家の大問題を実行せしめておることは、最近においてもある。将来においてはますますあるわけである。