落語;結婚飛行(下)

作詞・作曲・編曲・実演家
柳家 小三治
製作者(レーベル)
ニッポノホン
歴史的音源ジャンル
落語
出版年月日
1928-08
カテゴリ(AI 付与)
恋愛
キーワード(AI 付与)
結婚, 反対, 母親, 飛行家, 愛人
注記
商品番号 : 16967, デジタル変換後ノイズ除去 : 無, 落語
長生きなことおいでないよ、ほんとに。 だいたい自分勝手に決めたおもこさんってどんな商売の人さ。 どんな商売の人って、あの、くごいたかおという民間の飛行家よ。 飛行家って言えば飛ぶ人でしょ。いけません、そんな人。 お前さんが飛びたがっているところにそんな飛ぶ人が来て、 二人で飛んだり跳ねたりしたらどうします。 飛んだこっちです。 まあ母さんのおっしゃる通り、ほんとに二人で飛ぶのよ。 新婚旅行なんてちんぷでいけないでしょ。 二人で飛行機に乗って新婚飛行をするの。 あたし今から嬉しくてしょうがないわ。 発動機の音がブー、つばきがはねかりますよ。 いけません、そんな人。 家婦に合わないからだめですよ。 母さんが反対します。 母さんが反対するったって母さんの夫じゃないじゃありませんか。 あたしの夫でしょ。 それはそうさ。 じゃあ母さんが何もいけるのいけないのって千越でしょ。 千越も万越もありません。 そんな人ご先祖の遺廃に対してもいけませんよ。 だめです。 そんなことおっしゃらずにさ、母さん。 たった一人の娘がお願いするんですからいいでしょう。 いけません。 これほどお願いしてもだめなんですか。 だめです。 どうしてもいけませんよ。 いけなきゃいけないでよかったですよ、母さん。 もうこれっきりお目にかかりませんからね。 さようなら、ごめんください。 飛べんなら今のうちよ、母さん。 さようなら。 あら、羽子。 おい、お待ち。 羽子。 泣きながら飛んでいっちまったよ。 ほんとにしょうがないね、おてんばな子で。 蜘蛛医さん。 あたし悔しくって悔しくって仕方がないですわ。 どうしたらいいんでしょうね、ほんとに。 いや、羽子さんじゃありませんか。 非常に興奮しているようですが、 何がそんなに悔しいですか。 何か悔しいことがあったんでありますか。 母さんがね、二人の結婚に反対なんです。 あなたとあたしの結婚を許してくださらないんですわ。 じゃ、母さんが二人の結婚に反対をなさるんですか。 絶対的反対なんです。 そんな空飛ぶ人なんていけない。 あんな時代錯誤の頭を持った人は初めてですことね、ほんとに。 あたしはあなたと結婚ができなければ、 この白い地球上に何の楽しみもなくてよ。 どうしたらいいんでしょうね、ほんとに。 そして、あなたは僕との結婚をどうなさるつもりですか。 あたしもどんな生涯に遭遇しようとも、 あたしの意思は変わらなくてよ。 ですからどうか、あなたもそのつもりでいてくださいね。 ほんとにお願いでございます。 思わず彼女は愛人の胸に抱かれてゆよとばかりに泣き崩れる。 何だわ坊だとしてないやがらの幕府のごとく、 彼女のリンゴのような頬を伝わる、 可憐なる羽子状の運命やいかに。 新婚志向全完の終わりであります。