歌舞伎劇;修善寺物語(上)

Lyricist / composer / arranger / performer
岡本 綺堂∥原作, 市川 左團次, 市川 壽美蔵, 市川 松蔦
Label
コロムビア(戦前)
Genre
歌舞伎
Publication date
1931-06
Category (AI-assigned)
歴史
Keywords (AI-assigned)
証拠, 上様, 八将王殿, 御奉公, 職人
Notes
商品番号 : 35156, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 歌舞伎劇
偽りならぬ証拠。これ、ご覧下さります。 おお、見事じゃ。お、いい思った。上様、お顔に生きるちじゃ。 これほどの物が失態していながら、床を渋っていられたわ。 八将王殿も気の知れぬ男じゃ。 何分にも我が心に敵わぬ細工、人には見せじと存じましたが、 格愛になってはいた仕方もございません。 方々にはその表を何とご覧なされます。 さすがは八将王、あっぱれの者じゃ。いいえ、満足に思うぞ。 あっぱれとの御賞美は、羽ばかりながらお目がね違い、 それは八将王が一生の不敵。 よ、ご老人ます。表は死んでおります。 そちは左様に申しても、死人の相当は見えぬがのう、 にもかくにもこの表はより家の威に可能だ。誓えるぞ。 立って御所望とござりますれば。 御所望じゃ。いや、重ねて悪事に所望がある。 この娘およが手元に召使いと御存じるが、復興させる心はないか。 ありがたい御意ではござりますが、それは本人の心をまかせ、 親の口からお返事は申し上げられません。 父様、どうぞ私を御奉公に。 うむ、いい奴じゃ。御奉公を望むと申すか。 はい。 さらば、これよりその御手を捧げて申して参れ。 かしこまりました。 あもし、姉さま、お前は御奉公を。 お前は先ほど夢のような望みとはろうたが、夢のような望みがいま可能た。 やれやれ、これで御相もまず安堵いたした。 社王殿、明日また会いましょうぞ。 あもし。 もういつの間にか苦労なったの? 父様、御見送りを。 そちへの御褒美は改めてさたするぞ。 ああ、これ何となされ、お前は物に狂われたか。 将軍家の意向に恐れて、つたなき細工を献上した我が分。 あの御手が上様御手に渡り、あれぞ伊豆の住人社王が咲くと宝物書にも記されて、 百千年の後までも笑いを残すは一生の秩序、松田院の名もれ、所詮家社王が名はしたった。 職人も今日限り、再び父は持つまいぞ。 去りとは短期でござりましょ。 いかなる名人上手でも、細工の出来不出来は時の運。 さほど無念にお墓姫様、これからいよいよ生出して、 世も人をも驚かす立派な御手を作り出し、恥を注いで下さりませ。 もし、都度様、都度様。