落語:市営そばや

作詞・作曲・編曲・実演家
柳家 小三治
製作者(レーベル)
コロムビア(戦前)
歴史的音源ジャンル
落語
出版年月日
1928
カテゴリ(AI 付与)
飲食
キーワード(AI 付与)
蕎麦屋, 立食, カムランバン, 酒, 規則
注記
商品番号 : 25445, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 落語
兄弟、どこ行こってんだ。こんな出来た市営蕎麦屋に行こう。 うん、あら、ここだ。おや、椅子が一つも出てねえな。 えー、蕎麦食べたいんですが、椅子を一つ。 ああ、いや、東方では椅子は使わん。 従来、座って食べる。 あれ、日本の習慣だけれど、評価上良くない。 そうかって、椅子にコショかけて食べる。 あれも非常にいい、面白くない。 彼が家に、えー、立食じゃん。 ああ、じゃあ何ですか。 立って食べるのが一番いいって言うんですか。立ち食いが。 いや、立ち食いと言うと人に気が悪いけれど、立食じゃん。 どっちにしたって同じだね。 えーと、何を、お、おめ何食べんだい。 これ何でもいいんだ兄弟。もう腹が減ったってしょうがないんだからね。早いもん。 そうか、じゃあカムランバンでいいじゃねえか。 いや、すみません。あの、カムランバン二つに酒を一本。 そこに願い書があるから、それ数量にしんめい。 職業、住所、生年月日を記して、辞印を押しなさい。 当たられたな、だろう。辞印なんて持ってこねえんだから、私が。 いや、辞印でやらしい。ああ、なるほど。 えー、カムランバン二つ、酒が一本。 一本と言うと、これは何リットルになってるか。 うん? えー、一本って言うと、今まで大抵、商売は決まってるんですからね。 日の売りとか、日の売りとか。 いや、東方ではすべて、メートル法を使用して、何リットル。 そのリットルとかマントルとかってのは分からないんだけど、 えー、一リットルって言うとどのくらいなんだ。 五五五百程度。 ああ、なるほど。五五五百か。 じゃあ、それね、一つ。 えー、アシアスコーヒーか飲まないんだけど、 こんにちは、いただきますか。何本でもいい。 いやー、東方の規則として、一人に半リットルと定めてある。 それ以上、超過するようなことがあると、ちょっと警察へ。 やったな、だめだ。 じゃあ、二人で一リットルでございます。 いっぺんにお缶つけると冷めますから、一本一本こうつけて。 いやー、そういう手数のかかったことは、東方ではできん。 兄貴、ケロンじゃないか。面白くなくなってきた。 まあ、黙ってる。出ません。親父ちゃんの仕事だからさ。 じゃあ、何でもございます。成田家は早く。 ああ、えー、よろしい。 酒が一リットル、蕎麦が二つきりか。 ええ、二つきりです。 人を透けないように思うが、どうじゃろうか。 あ? 当局でも今、財政困難の折からだから、 君たちも、市民としての同情によって、 もう二つ三つ言ったらどうか。 あ? お昼にするんですか? 私はね、ちょっと腹の具合が悪くて、 腎筋もあるんですね。あんまり食うと、 なんですか、いけないって先生が。 いや、そりゃ、かまわんよ。 もしまた、腹をそこめるようなことがあれば、 当局にも意思は許し。 もしまた、困境するようなことがあったら、 すぐに、市へ、火星城のほうへ戻すから。 あ、届いた、届いた。火星城、届いたな、こいつ。 兄貴、ケロン、わかってるから、とにかくお役人だからいいやな。 じゃあ、成田家一つで、お早くどうか、お願い申し出す。 あ、届いた。 おじいちゃん、お待たせやな。 腹減っちゃった。