落語:道潅(下)
- 作詞・作曲・編曲・実演家
- 三遊亭 金馬(3代)
- 製作者(レーベル)
- コロムビア(戦前)
- 歴史的音源ジャンル
- 落語
- 出版年月日
- 1936-02
- カテゴリ(AI 付与)
- アート
- キーワード(AI 付与)
- 絵, 太田道館, 歴史, 山吹の花, ユーモラス
- 注記
- 商品番号 : 28744, デジタル変換後ノイズ除去 : 無, 落語
ごきげん、こっちの絵は何です?
どれだ?
ちょろちょろ流れがあるとこにさ、
しいたけが青梁くらったような帽子かぶって、
虎の川の帽敷履いて釣ったってやん。
あらいがみの女はお盆の上にライスカレー乗っけてお陣知ってやんね。
どこの女級だい?
なんて絵の見方をするんだ。
しいたけが青梁くらった帽子ってのはな、
汽車がさ、
お盆の上に乗せてる黄色いのはライスカレーじゃない。
山吹きの花だ。
あ、そうか。
あっちは黄色いからでっきりね、
ライスカレーだと思って。
ライスカレーってのはおかしいな。
太田道館という人だ。
地にいて乱を忘れず、
足ならしのためにな。
田畑の里へカリクラにお出ましにな。
へえ、カリクラってのはなんつ?
鷹のだ。
鷹のってと?
鳥だ。
鳥ってと?
わからない人だな。
野掛けだよ。
ああ、薄明るくなった。
そりゃ夜明けだよ。
今の言葉で言うと獣猟、
鳥田の獣を捕りに行って、
するとにわかのむらさめだよ。
へえ。
にわかのむらさめだよ。
どうもすみません。
あやまってるやつがあるか。
むらさめってとなんです?
雨が降ってきた。
なんだ雨か。
むらさめだってやんて、
英語で言うからわからねえ。
英語じゃないよ。
片絵を見ると一軒のあばらや、
あまんご釈養いたしたい人を訪れるとな、
中から二八あまりの雫が出た。
へえ、うちは古いからすすってやっただね、
その雫は。
いいえ、雫の目。
はあはあ、足のぐらいできんの。
あれは用の目だよ。
いやしい女だ。
はあはあ、つまりつまみ食いするんだ。
そのいやしいんじゃない。
貧乏な女だよ。
顔をあからめて、
盆の上に山吹きの枝をたおって、
お恥ずかしいございますとさしだした枝。
なるほど。
雨を貸してくれって山吹き出しやがって、
雨払ってけてんだろ。
芋の赤はずの赤ぶしてやらいいじゃないか。
何を言うんだ。
太田道館という人は文武両道に長けていたお方だが、
少女の出した謎が解けない。
呆然としているとごけらいのな。
中村一馬という人が、
お殿様より先この謎が解けた。
恐れながら申し上げます。
金あきら信濃という人のお歌に、
七重八重花は酒ども山吹きの。
身の一つだに泣きぞ悲しきというお歌がございます。
おかし申します。
身のがございません。
山吹きというものは身のないもんだ。
身と身のをかけてのお断りでございましょうと言うと、
どうかんこう腰座を打たれ、
ああよはまだ過度に暗いというんで、
ごきじょうになった。
えらいもんだね。
田舎うすに殿様へこまされちゃったんだ。
いくらえれい天将だって、
なだいの古い歌知らねえからだらしがねえや。
ええ、そこ行く程度身分はいやし、
ひょるのめでもねえ。
たいしたひょるのめだ。
ただのひょるのめじゃねえや。
ひょるのめのストライキだ。
何を言うんだよ。
あしなんじゃずいぶん古い歌知ってます。
えらいな。
どんな歌だ。
さばくにしがおちてつきあら。
どっか行こうか。
何を言うんだよ。
いちばんおしまいに行った、
ごきじょうになったってのは何です。
わからないな。
おしろいかいった。
かくべじしみてだねえ。
うしろいけった。
うしろじゃない。
じぶんのしろだよ。
その人しろなんかあんつか。
千代田の名城丸の内のお城は、
太田道館という人が築いた城だよ。
へえ、あしは親父に聞いたけど、
あれは徳川さんの城だっていいじゃねえか。
だからさ、
太田道館という人のが、
徳川様のになったんだ。
はあはあ、
しんさいご。