地震の話 (三)

作詞・作曲・編曲・実演家
今村 明恒 (理学博士)
製作者(レーベル)
ビクター
歴史的音源ジャンル
教育・児童
出版年月日
1930-06
カテゴリ(AI 付与)
災害対策
キーワード(AI 付与)
地震, 震災, 防災, 建物, 火災
注記
商品番号 : 51318, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 学芸
地震の損害、すなわち震災と、地震とは全く別物であります。 地震は人の力で抑えつけることはできませんが、震災は人の力で防ぎ止めることができます。 家や橋はどんな強い地震にも崩れないように作ることができます。 昭和2年、3月7日大地震に襲われて全滅した丹後の国峰山町は全くその通りに復旧いたしました。 もしまた我々の留宅が最初からその通り丈夫にできていなかったなら、後から少しばかり付け加えて崩れないようにすることもできます。 また、たとえ家がつぶれても大きな横木に抑えつけられない限り、我々の命に別情はありません。 ことに、机や腰掛けのような丈夫な道具の陰にいたなら、一層安全であります。 地震の本揺れは、どんな場合でも1分間とは続かないものでありまして、しかもこの最初の1分間における震災は割合に軽傷なものであります。 しかし、1分間後に始まる震災、すなわち火事による損害は、人死の数においても財産の損失においても、最初の1分間に起こる震災に比べて10倍にも100倍にもなります。 実際、大正12年の関東大地震においては、最初の1分間の死人3000人、財産の損失1億円程度のものが、1分後の損害は、大火災のために10万人55億円という全顧未曾有のものになったのであります。 ここのところです。私が皆さんに申し上げたいと思っております最も大切なことは、すなわち大地震に出会って最初の1分間を無事にしのいだならば、もはや安心してよろしい。 余震は恐ろしいものではない。地割れに吸い込まれることは日本では絶対にない。老幼難如、力の荒ん限り震災をできるだけ軽くすることに、勇敢に働かなければならない。 まず、火事を防ぎ止めること。これがすなわち、死人の数や財産の損失を最も少なくする第一の仕方であります。