タイピストの死(一)
- 作詞・作曲・編曲・実演家
- 栗島 狭衣[作詞], 栗島 狭衣[作曲], 栗島 狭衣
- 製作者(レーベル)
- ビクター
- 歴史的音源ジャンル
- 劇音楽
- 出版年月日
- 1932-09
- カテゴリ(AI 付与)
- 犯罪
- キーワード(AI 付与)
- 自殺, 事件, 金銭, 口論, 目撃
- 注記
- 商品番号 : 52411, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 演劇
どっかの大時計が今、二時を打った。
丸の内の時は通り、そのペーブメントを歩いている濱崎巡査は、
夜更けに明かりのついている三人ビルの七階の窓を見上げたとき、その窓から…
あっ!
人間だ!
女だ!
自殺かな?
他殺かな?
女だ!
女だ!
女だ!
女だ!
女だ!
女だ!
女だ!
女だ!
女だ!
自殺かな?
他殺かな?
こう考えた瞬間に、窓の明かりがピタッと消えてしまった。
三人ビルの七階、九十九号室へ濱崎巡査補が、係官が出張してみると、
そこには日本アサイト会社の社長、沙原潤造が自殺をしていて、
タイピストの川崎視察補が窓から落ちたのである。
しかし社長もタイピストも自殺なのか、
それとも裏口から侵入した悪者があるのか。
九十九号室の夜更けに、離間過ぎの居残りをしていた社長の沙原潤造、
タイピストの川崎視察補、
二人は肩を並べてソファーへ腰をかけている。
くたびれたな。
ええ。
明日はどうせ休みだ。どっか行こう。
嫌かな?
嫌じゃないわ。
けれども、あたしあなたにお願いがあるのよ。
聞いてちょうだいね。
金太郎、待てよ待てよ。
下で晩をさしといた、たまえのやつ。
ちょっと上がってくるといけないから、
俺は下まで見に行ってくるよ。
沙原は部屋を出て、階段自体に下へ行った。
うん。
エレベーターボーイの、たまえのやつは寝込んでやがんな。
いい案外だ。もっとよく寝かし込んでやれ。
沙原はそう思って、かねて隠し持っていた、
断管のコロロホルム。
これを判決に示して、たまえの顔へのせた。
エレベーターでまた七階まで戻ってくる。
久子、お待ちどう。大丈夫だよ。
おまえといくらふざけてたって、
邪魔の入りっ子ないよ。
許してちょうだいよ。何をすんねん。
それよりも、あたしの願いを聞いてちょうだいな。ねえ。
金がいくらだ。
千円よ。
千円?大きなこと言うなよ。
あら、千円が大きいの。
あなたこんな秘密な商売をして、
儲けていながら千円が。
ケチケチするんじゃないわよ。
そのくらいの金くだせても、いいわけがあるでしょ。
もらうわけもあるけど、おまえその金誰かにやるんだろ。
やったっていいじゃないの。
いけない。断じていけない。
あ、そうですか。
じゃあ、あたし考えがありますから、
お先失礼しますよ。
どこ行くの、どこ行くの。
どこ行ったっていいじゃないの。
人をおもちゃにしておいて。
もっ、もっ、もっ、もっ。
あなたそんなピストンなんか出して、
どうしようというのはどうもこもない。
貴様は俺をだましている。
あら、あら、あら、許してちょうだいよ。
あなたに殺されるくらいなら、
あたし自分で死んでしまうからいいや。
何をすんの。
待てよ、待てよ。
話じゃないよ、話じゃないよ。
話か。
あ。
しまった。
もういいか。
サララは電灯のスイッチを切った。
そして、
彼は自殺をしたのであると、
探偵局の名探偵はこう考えをつけた。
ところが大違い。
犯人は意外なところから現れた。