源平(一)

Lyricist / composer / arranger / performer
林家 正蔵(七代目)
Label
ビクター
Genre
落語
Publication date
1935-06
Category (AI-assigned)
人間関係
Keywords (AI-assigned)
相手選び, 結婚相手, 相性, 賠償金, サービス
Notes
商品番号 : 53460, デジタル変換後ノイズ除去 : ノイズ除去なし, 落語
熊坂長藩という大泥棒が現家の御相子牛若丸の刃にかかって命を落としたようでございます。 加害者がよかったからしたがって被害者の方も名が上がったわけでございまして、人間すべからく相手を選ぶことが肝心でございます。 奥様をもらうんでも、迷信だ、なんだ、あかんだとおっしゃっても、小読みや何か出していろいろ相性を見ます。 虎と蛇ではどうも具合が悪いとか、犬と猿では家庭の不安が絶えないとか、牛と馬では滑劣になる、なかなか癒しませんが、いろいろ相手を見ます。 仮には自動車に敷かれるとしても、なことは願うわけじゃないんですが、不幸にしてパチャンとぶつかっても円卓やトラックじゃ詰まりません。 私の仲間にも一人ございました。貨物自動車に跳ね飛ばされて3週間以上の重傷です。 けれども運転手君がお金がなくて金5円の領事代で泣き寝入りになったようで、5円ぐらいもらったってしょうがありませんですが、これチャチなトラックだからいけなかったんです。 彼にうんと財産家の五齢女かなんか乗ってるトラックに、五齢女トラックになんの乗らせませんが、 34年型の高級車かなんかにぐーっと敷き倒される腕を一本ぐらい折っぺしょったって相手は財産家です。 ちっとも驚かない。あら、ちょいとどうしたの?話しか知りたの?悪いもん知りたわねえわ。どうして話しか腕を折ったの? あらま、かわいそうに。領事代として3千万円やろ。あんなにくれませんから。何しても相手が肝心です。 この牛若のお母さん、時賀御前という方が実にあっぱれなるとてしゃんでございまして、 夫、様の神吉友が出世をしている留守に遊んでいてはもったいないというので、 京都の市場通り河原町のほとり、文化閣へ時賀会館というのを開いて、自らマダムでございます。 大勢女中さんを使って、あらまた女中さんがいい商売でございます。教育なんていらないんですから、ちょいと顔が良きゃもう月に二、三百円ぐらいの収入はいい頼ものなんだそうで。 またその代わりサービスの方も美に入り才を穿っているようで、ちょいとたーさーなんてなこと言ってか、 鼻を揺らしながらテーブルの下でぎゅーっとお客様の足を踏んづける。踏まれた方がいい心持ちになって、 うー痛い、あんなにぎっつく踏むんだから定めしっぽくに恋を感じているんだろう。 チップをどっさりやろう、バカな奴があるもんだ。本来中で足踏まれりゃ喧嘩なんですけれど、 あそこで足踏まれとお金を出そうと言うんですから、ずいぶん違いのあるもんだございます。 そうかと思うとまた片っぽ目つぶって、ちーっとこう首曲げる。あれウインクって言うんだそうです。 シューハンの最高極致、まず流し目のファインプレートが言いつくべきもので、片っぽ目つぶって、 うーっとこうシューハンなんなら山本かんすけらのたんげたべんなぞ、のべつシューハンを送っているようでございます。