評議会 昭和十三年 其一 コマ30
- コマ
- 30
- 巻
- 評議会 昭和十三年 其一
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育成するは決して得難きなり」
の聖旨を仰ぎ奉り、今日を省りみて恐懼措く所を知らざるものあり、
職に大學にあるものと文教の府にあるものとを問はず深くその困つて
來る所に思を致し戒心奮勵遂に之が改善を決行し以て聖旨に答へ奉る
所なかるべからず。
飜つて過去大學の情況を追憶するに眞に沈思反省すべき幾多事件の發
生を見たるは蔽ふべくもあらず而も今尚この迷雲を排して大學學内清
明なりと誇稱し得ざるものあり、乃ち大學に對する世上の信頼稍遠き
ものあるは乍遺憾否定するを得ず。
今靜かに其因つて來る所を尋ぬるに或は學究の極その詮索討究餘りに
法則律令の跡を趁ひ深く建學の本旨を考察せざるに因る所多きにあら
ざるなきかを思はしむ。現下皇國の使命重大にして國民精神總動員高
調せられ夫々自粛自正を要する時帶國大學が率先その大本を正し範を
全學に垂るるの要切なるを痛感せしむ。
明治天皇 曩に欽定憲章を垂れて政治の大本を示され給ひ又夙に敎
育に關する勅語を賜ひて教育の本義を諭させ給ふ。大學は又大學令第
一條の示す所により國家有用の材を養成するの大任を負ふ。現下內外
の情勢に稽へ彼是思索に耽ける時我等の任務の盆々重大なるを感ず。
然るに過去現下に亘り大學の實情を見るに特に其の一部に於てこの大
任負荷に未だ以て十分ならざるものあるを覺へしむ。而してその及ぶ
所終に孜々努力奉公に餘念なき學内一般の貢献も之に觸されて顯はる
る事を得ず。今にしてその根本を正し以て學風の振作を期するにあら
ずんば永く大學の振興を見る能はざるべし。而して現下その根本を求
むれば大學總長以下各職員の任免補職の大綱を常道に正すより急なる