評議会 昭和十三年 其一 コマ42

コマ
42
評議会 昭和十三年 其一
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2518
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即ち氏は昭和七年四月五、六、七の三日に亘り、時事新報紙上に發表した「聯盟脱退論」中に 「聯盟は結局において世界の輿論の鏡に外ならぬ。鏡に映つた言論が氣に喰はぬからと言つて現實の世界の典 論が消えるであらうか。……聯盟脱退論は法律的にも政治的にも全く根據がなく、結局において、單純な感情 論にすぎぬから、日本に取つて不利盆こそあれ、何等の利盆もない許りでなく、世界に對しては、無名の脱退 として、永久に非難を殘すことになるであらう。……故に聯盟の空氣を尊重すべきで不健全な暴国一致も排さ ねばならぬ」 こまで無知無學無茶苦茶の賣國的妄論をなした。かくして横田氏は更にこの同じ賣國意志を昭和八年六月一日號「外 交時報」所載「スチムソン主義の新發展」に相續發展せしめた。即ち横田氏は昭和七年一月七日、當時の米國國務卿 スチムソンが日支兩國に呈した通牒の「バリ規約の約束と義務とに反する方法によつて惹起された如き一切の事態、 條約協定をアメリカ政府は承認しない」といふ、滿洲、上海事變を根源的に否認抹殺せんとする「スチムソン主義」 規定として採用受諾された經過を叙して、スチムソン主義は「今やはじめて永續的の存在を有するに至つた」、「もは や任意な政策ではなくなつて、法律上の義務となつた」、「かくて、もしそれに違反するときは、法律上の義務違反を 即ち條約に基く國際法上の義務の違反を惹起することなる」と反覆また反覆スチムソン主義の發展を祝賀讃美しつゝ 「かくて、スチムソン主義は、恐らく多くの日本人の豫期に反して、ヨリ正確には、その希望に反して、線香 花火のように消え失せることなく、却て次第に強固にして、ついに正式に條約規定として採用され、法律上の 義務として拘束力を有するに至つた。既に世界の一角に確固たる根を下した以上、やがて枝を全世界に張るま でに生長しないと誰が保證し得るであらうか」 「かくて、スチムソン主義は世界大戰後の世界の大勢に合するものであり、實にそれから生み出されたもので ある。それ故にそれは永續的の生命を有しいよ〳〵よく根を下し、ますます廣く枝を張つて行くであらう」と いつた。「恐らく多くの日本人の豫期に反して、ヨリ正確には、その希望に反して云々」といふ、この語句語法に表 示された横田氏の「スチムソン主義の新發展」祝賀禮讃の心理的動機の祖國呪咀意志-日本人としての排日侮日抗 日意志は滿洲事變勃發當時以來連續的のもので、その表現は米支聯盟への内敵賣國行爲であり、實際かゝるものとし て當時支那聯盟に利用されたのであつた。 横田氏のかくの如き拜外海日の內敵賣國言論は、 それが一時の時事評論に留まらずして、 氏の信奉する國際法學說 以上に国家の主權、統治權そのものを否認する無國家思想に基く國際主義としての『國際法上位説』である。 氏は宮澤俊義氏等と共同責任を以つて昨年末、即ち昭和十二年十一月十五日に岩波書店から發行した「法律學小辭 典一中に 「國際法上位說 國際法が國内法の妥當範圍を規定し、 その範圍內で國内法の妥當するのを法律上で確保す ることからして、國際法が上位を、國内法が下位を占めるものと見られる。これらの點から見て、少數説では あるけれども、 それは理論的に徹底した深い認識だと考へられる」(三五九頁) 「法段階說……もし視野を國内法のみに限ることなく國際法にまで及ぼすならば、各國憲法の上に國際法あり その上に根本規範があるとされる。 それが法段階說の最重要な功績である。」(同書一〇一二頁) といひ、本年三月發行の岩波文庫本「國際法」中にも、右と同じ「純粹法學的な見方と國際法關係を中心とした見方」 とが自說の「基調」をなす旨を宣言してをり、また東大法學部に於ける講義用の敎科書として發行する旨を序文に斷 昭和十一年七月十日巖松堂發行の「國際法」上卷には 「主權…國家は、實際にかやうな權力を固有しない。第一に最高、絕對の權力を有しない。」(四六頁 「要するに國家の權力は國際法に基くものであつて、國家の固有するものではない」(四七頁)