天地或問珍 巻之1

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oai-pmh-kyushu
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2026-08-17T18:54:31.164Z
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1737
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book
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2026-08-17T18:54:31.164Z
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序末: 寳永七庚寅歳正月上浣 養正齊三浦義泰謹記, 叙末: 寳永七春庚寅正月上澣三州田原後學 兒嶋不求投笔 於武江寓舎, 表紙, 題簽は原装
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パブリックドメイン
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鷹見, 爽鳩, タカミ, ソウキュウ
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類書訓蒙類, 随筆
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jpn
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向井八三郎
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oai:catalog.lib.kyushu-u.ac.jp:2324/6632007
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completed
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ヘイショク ワクモンチン
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九州大学
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序末: 寳永七庚寅歳正月上浣 養正齊三浦義泰謹記, 叙末: 寳永七春庚寅正月上澣三州田原後學 兒嶋不求投笔 於武江寓舎, 表紙, 題簽は原装
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或問珍
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2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
戎洲弥一 御築伝蔵堂 九州帝國大學理學部 物理學教室 第12~20 一珍序 切気ノ之軽浮ナル者上テ為レ天ト其ノ重 以テ以二気化一命スル於中間一者ハ者ハ為レ人ト 必有レ人有レル人ト則ハ禽獣草木砂 有レ之也夫臣ニ人生ノ之得ルレ正也ト禽 獣之得ルレ偏也草木之有ル二區別一也砂石灰塵 之碩細ナル也各其性ナリ矣曁二テ其変動ナル者一ニ一浩々 乎不レ能二尽クテ竊二シ其ノ理一ヲ所以ニ世ノ之迂回隠昧之 第二1 第120 一珍序 切気ノ之軽浮ナル者上テ為レ天ト其ノ重 「以二気化一命スル二於中間一者ハ者ハ為レ人ト 必有レ人有レル人ナリ則ハ禽獣草木砂 有レ之也夫臣ニ人生ノ之得レ正也爾 獣之得レ偏也草木之有之有二區別一也砂石灰塵 之碩細ナル也各其性ナリ矣曁二其変動ナル者一ニ一浩々 乎不レ能二尽リテ竊二シ其ノ理一ヲ所以ニ世ノ之迂回隠昧之 合 九州帝國大學工科大學 同十一日 學物理學教室 1ノ2年/0月27日 数集物理學務宏 數學物理學教室 大正ノ2年/0. 郡築博蔵共 九州帝國大學理學部 物理學教室 南団7 第19.+20 158939 乗燭或問珍序 夫レ混沌已ニ分テ而気ノ之軽浮ナル者上テ為レ天ト其ノ重一 濁ル者ハ下テ為レ地ト以二テ気化一命二スル於中間一一者ハ為レ人ト 既ニ有二。天地一則ハ必有レ人有レル人則ハ禽獣草木砂 石一伏塵無レレ不レ有レ之也夫臣ニ人生ノ之得レルレ正也爾 獣之得レレ偏也草木之有一ル區別一也砂石灰塵 之碩細ト也各其性ナリ矣曁二テ其変動ナル者一ニ一浩々 乎不レ能二尽リテ竊二リ其ノ理一ヲ所以ニ世ノ之迂回隠昧之 和遡及 ・蔵書 学蔵 御築博状共 九州帝國大學理學部 物理學教室 説因テ起ル也賢智明ノ哲之士得テ不レ嗟嘆乎頃乎 之益友児嶋不求患テ下童蒙之易クレ感二于斯一ニ 而不一ヲ識二其ノ歸スレハ於至當ニ考二考二テ之経伝二捜二于子史ニ 将ク猟二于百家ノ之書ニ一輯テ為レ篇ト為レ篇ト曰二秉燭 或問珍ト以テ示レ予ニ電二寛之ヲ則ハ上自二從日月星宿 之晦明一下至一ルニ於人二身之疾苦潮汐ノ呼吸及ヒ日比上 轟草木五色之微一ニハ挙テ其ノ所レ当レ当レ疑者一開示明 弁之決ニ二其猶予一一使二レ之無二窒礙一豈於レ発蒙ヲ小 補ト乎哉蓋所謂ル格物致知之一端者也嗚呼求。 之用レ心ヲ也亦不レ天乎愚ノ之至昧也殆有感二発於斯ニ 故ニ敢テ不レ愧二謗劣一ヲ謾述二テ其ノ枝緊一ヲ一一而冠二于其首一云尓 宝永七庚寅歳正月上浣 養正斉三浦義泰謹記 乗燭或問珍叙 著レニ書ヲ有リト為スル已者一也有一也有二為スル名ノ者一也為レ己者ハ左苟 童劉程一朱之類ヒ是一リ而已至テ已至テ為レ若ノ者ニ専ヲ追二致シ其ノ 章ヲ一肆ニ志リ寄レモ言ヲ慮レ心ヲ似スセ二墳素ニ一託二幽妙ニ幽妙ニ一軽剰浮 革以テ無レ足レレ語レ遁ヲ也蓋シ為レ已ヲ者ハ君子之儒ニ而為ニ而為ス レ名之者ハ小人之儒也リ。苟モ欲スルハ鋪二キ鴻藻ヲ於満シテ花一信二景 概リ於前人ニ而以二文章ヲ一ヲ為ンコトト大道之器上者豈ニ夫レ不二 薙乎有レテ客曰ク子輯二ハ此ノ書一ヲ一ヲ背ニ二藻彫龍一リ為一小 人之価カ一与吁ノ道ハ者不レ可レ可レ窮ル於二日用事物之間ニ 旁行敢出通達著シ矣予レ取二テ及アリ道者ヲ一欲レ使テ彼 歯乾傲晩之徒一止テシテ輕剰浮華之説一暁二暁二児女之惑一ヲ故ニ 書以テ国字ヲ綴テ綴ニ以二方言一ヲ文彫一龍ヲ與意流薄利聞ヲ與 我ニ無二二握珠之才一亦無二流レ水摘レ月一ヲ一ヲ一ヲ之筆一記有ニ一追 琢之語一乎幸ニ得免二此責一リ一也夫児女之惑久矣哉 敬二禱レリ神供レテ仏ニ避レル禍求レル禍テ或ハ聞一一統媚一一統媚一味鶴ヲ一 恐懼歴勝シ却テ招二ク二其ノ妖一古人祭スルモ一為一為レ淫スルヲ得レハ僻二於 異教一ニ一攻二ヲ一ヲ乎テ于猾之トヲ擁二塞ス彼ノ汚蟻之言一ヲ是予カ 微意也獣リ来レ来ル燭肴ノ豈ニ為レ若ク乎亦待二ヲ二万声ノ之 清氷一ヲ白雲之期中ヲト乎見ニ者ノ察レ之ヲ 宝永七春庚寅正月上澣三州田原後学 児嶋不求投二テ二筆ヲ於武江寓舎ニ 《書: 同五百文 正言化 イン高速を高くを見込む 不果 } フニ 乗燭或問珍巻之一 雷之説 程子雷并電の説 雷の撥と云物の説 深く雷を嫌ふ者の事 一積惣人は雷にうたかゝ事 雷火の事 雷の形を人の如シ豕のことしと云説 風之説 風の諸説 風四季によりて替ある事 一東南風には雨降西北風には旱する事と 水の精と云事 能のの 月之説 月の桂の説 八月十五夜を名月と云事 虹之説 一蝦境のなす処と云事 一虹の酒漿を吸と云事 乗燭或問珍巻一 雷之説 或問テ曰凡天地の間草木蘿急の事ども 知難〳〵弁難しといへとも分て疑しきは 一雷也其声がことく或は走がことく又立 激するがことし電光株々としてすさまし く動もすれは隕る事ありて人を 一損し家を破る其隕たる形を見留 たる人も色にや猫の如しと云ヒ又豕の ことしと云へもあり殊に怪敷は其頂 たる辺に太鼓の撥とていろ〳〵の物を 一隕す事あり時によりては斧楔なと 隕てあり種々の説多くして弥惑 を重怒惣て雷とはいかなるものにや 一対テ曰雷の事さま〳〵に云伝れとも 一皆本説にあらすと知るへし程子ノ曰 一雷は陰陽相軋電は陰陽相撃と云へり 一抑雷電は共に陽也然れとも陰気 の凝聚たるが陽を包む故陰と陽と 一軌あひて声あり其包たる陰の中を 陽の震て出る所の勢光と成[リ]なり 譬は燧石をもつて火を取に石と 一金と軌故の音は雷也其打出す火は 電也所謂雷迅鳴則電モ亦烈と云は 此心なり畢竟は陰と陽と相仍か 故に声あり石はかりにては音なく 金はかりにても音なし石と金と相 仍撃によつて音あるかことし又雷の 一訳を沙汰する事王充論衡に始 れり雷を図するに一人の力士累々 たる連載を撃とあり是によつて 今雷を昼者力士の太鼓を打袴を 一書と見へたり又雷の形を豕のことし と云説は宋ノ王逵蠡海集に此事 あり理なきにあらす夫風雷の二物 故に風伯の形を犬になし雷公の形 を承になすと云へり風伯とは風神也風俗通ニ云 を承になすと云へり は天にあつて形なし易に於て 一象を乾にとる乾は戌亥の方位なり 風伯トハ風神也風俗通ニ云フ 戌神為風伯云云風雷ヲ易 ニテ戌亥ニトレハ風神ヲ伐二十シ 又国史補には 雷神ヲ亥ニスルナリ亥ト承ト同 国之名 雷列に也 一雷列に世春夏は雷多し形豕の ことし人此を取て喰とあり五薙組に 雷公ト云物 獣ニモ 其外大明一統志又は広輿 アル由書リ 記の雷州の部に春夏は雷となり 秋冬は伏して豕のことしとあり 其外書々にかくのごとき異説逆 なり然れとも皆理に似たれども 一悉鑿説にして用るにたらず 凡雷は天にあつては気のみ也地に隕ては 形をなす事もあり又は形をなさゝる 事もあり陰陽は眼をもつて見ゆ へからす扨又雷の撥と云物は是雷 槌といふ物也此形一色に定まるへからす ある時は玉のことくある時は墨のことく 本草綱目ノ図二 ツヽ七ラカ 其形の 又或時は楔のことし鉢 詳ニ記セリ いろ〳〵に替りたるは譬は泥を空中へ 投るに円なりて落る事もあり又角 に成て落る事もあり長短曽て定ら さるかことし連散を撃と云ふ事ある により軈て大皷の撥と名付たる物 成へし是は気の落て質をなし たる也又電の烈き光地に落て形を なす事もあり星落て石と成かことし 星天にあつては気のみ也地に落て 質をなす也雷も又是に同し天にあつては 気のみなれとも地に落てはむとも成鶏とも 一猫とも人の形とも斧とも換とも成へし其 雷公墨ノ 形は定るへからす是皆造化の一理也 コトハ山領表 一録雷換人は沈括筆談雷斧 夫雷といつは万物の ノコトハ博物志シニアリ 一留。滞を通じ旱に雨を降し陽気を行ひ 陰を助くる物にして稼穡を救へる神物也 若雷なくんは自稼穡実らす蒼民穀に憂ん 又問左程に貴とき雷を何とて人々忌 恐るゝおみや 一対テ曰雷は気血流行の薬なり然れ とも隕る時は害をなす薬も疾に 一応ぜさる時は害をなすかごとし甚 恐るゝは人の生れつきにもより多くは 年壮き人殊更恐かくなり年若き 人の恐るは陽気内に余りて 外の陽気を嫌ふなり又天性の験も 有物なり平生眼用する薬にもさのみ 一嫌ざる人もあり殊外に嫌ふ人も有 惣て雷を恐ること恐れざるとは人の剛臆 には依へからす魏の曹操程の勇者 も深く恐れて喰時雷鳴れは匙の至 所を忘れしと也是天性の嫌なり雷 を恐れ怒をよしと云ふてあらす既に 聖人も雷は天の怒也とて座を正 敷して慎給ふ 又問不仁不義の悪人父を殺し君を 殺す時忽雷にうたれて死する事有り しかれは雷も心ありとせんやかに 対曰是感応と云物なり 一触ルヽガ如シ応トハ触ルヽニ随テ動クヲ云フ 動クモ亦感動カスルモ亦応也此ニ者常無窮ナリ いふは其類に從て感あり其類に 感應ト云ハ 陳子アタリ 感と 随て応あり同気相求の道理なり 霹靂は天地の怒る気なり雷は正敷 事にても怒れは悪気あり天の怒と 人の悪気と相感じて雷を引て打るゝ 事あり譬は鐘をうては響其侭応 ずるがことし悪をなすものは鐘を打 がことし雷是を打は其陽音の応ずる 道理なり自然に然る理なり 一菅丞相程の賢公をも感応の理をしら さる輩は雷と成りて崇をなし給ふ と云ふ浅間鋪かな彼時平ごときの 佞臣談口を構て忠貞の菅公を流罪 に沈め奉りし其悪逆によつて天雷 の怒気相感し打れたる物なり 又雷によつて火の有事程伊川の語 録の説に錐を以て木をもむ時は 一必火を取る木中すら火有り是木動 時は陽生すかるかゆへに火あり雷の火 も動するによつて陽火出自然の理也 ○風之説 或問曰風は大虚にあつて象なく目に 見へずして音に聞吹時は国を動かし 吹ざる時は何国にありと云ふ事をしら ずしりも東西南北のかわりありて 東風北風には雨ふり西南の風には 旱りす是いかなる物にや 対曰風は天地の噫気なり人の嘘 一嘴のことし凡て風といふ物は燥たる 気より生す天気潤はす地気又湿 なき時は天地の間燥鬱す此かわき たる気上へのほゝひとすれども上に 隠気なき時は此気瓢揚施転して 然トモ風ニ関風アルハ其風ノ触ヽ所ニ 風と成なり ヨレリ海辺近キ所ニテハ潮ヲ誘 テ吹ク是 ニテ知ヘシ 夫レ風は二ゝ気の号令にして若風 といふ物なくは物を養ふ事なく生長 一彼蔵の道断ぬへし風巾をあけて 四季の風を改に時折節の替り有り 一先春の風は下より上へ吹ゆへに地下に ある所の生理発出せしむる也故に春は 一先曠野より青し夏は風中を吹 て万物を長養するなり既に苗たる物 を長く大にす秋は万物皆質を成 せり草木の果実時は殺蕭の 一西風上より下へ吹て嚴令をしめ すなり冬は北風地を這て吹塵 芥を去つて来ねの生気を侍須 一環して窮なし是天の観令と なる故也夫雨は陰陽の二気相比 一和して降なり朱子の所謂雨は甑 の蓋の淋滴のことしといへるは是也 水を釜に入れて火を焼〳〵に湯沸 あかりて蓋について淋滴と成るかこと し雨も下より水気のほりて降也 東北の風には雨ふり西南の風には 旱する事は必然の理あり東北は 陽也西南は陰也東北の陽風唱へは 西南の陰これに和して雨ふるなり 男唱ヘハ女此 諾スルカ如シ 陰は陽に従ふ物なれは 陰陽比和して雨降と知へし又西 南の陰唱へば東北の陽これに和する 事なし陽は縦にも陰に従さる物 なれは雨ふる事なし易に曰蜜雲 不雨自我西郊と云は此こゝろなり レウヽタル 西ヨリ風吹ハ陰先ツ唱 又五雑俎ニ習リタル ナリ故に雨フラス 谷風以て陰以雨谷風は東風也東風は 万物の発生する事をつかさとるゆへ 陰陽和して雨沢ふり西風剛燥と して能旱を致すといへり凡風は物を 養ふて不レ息天地の施転と似たり 此所には今風吹すといへとも他所には 必風吹所あらん或は上には風ふきて 下には吹さる時あり下にはふけとも上に 吹さる時も有り是朱晦庵の説なり 月之説 或問ヶ日世人皆月は陰分にして水気の 積れる形也といふ然れとも月蝕といふ 事あり或は月の桂とて月中に暗黒 の所あり又は月はいつも同し月なるに 分て八月十五日の月を名月とて和漢両朝 ともに玩び詩を賦し歌を詠じ殊の一 外に賞玩する事はいかなる事にや 一対曰月は大陰水の精気なり凡地下 の火気上て日と成り水気上つて月と 成ルなり月蝕といふ事は推歩の術 あつて算数にて考れは分厘を誤 事なし惣て月は鏡の空虚なり かことし日の光を禀て光明をなす也 然るに日のめくりと月のめぐりとに よりて日は地下の正中にあり月は 天上の正中にある時大地に遮 られて日の光り月を照す事なし 此時月蝕なり是全く変にあらす 一詩経にも彼月而食則雑其常と あり算術ヲ以考ルコトハ秦漢ヨリ又曰 後ノコトナリト焦氏筆乗三アリ 又月の 一桂といふ物は月は大地に倍して大なれは 月中に見ゆる黒きものは大地の山 川林野の影なり月の虚明よく 地の文をうつすなり日の中に黒みの なきは其気火なるによつて烈ことして 物の影をうつす事なく世の諺には 月中に桂の木ありとも云ひ又は月宮 殿とて大成宮殿ありとも云ひ或は 酒陽雑 桂男とて人あり抔と云説あり 一刻二同月 ノ柱高キコト五百丈下二人アリテ常ニ此来ヲ伐姓ハ呉名 ハ剛西河ノ人也仙法ヲ学トテ過アリテ請セラレ此木ヲ 代ルト アリ 皆是異説家の詞にして言に たらず用るにたらず 八月十五夜を名月とて賞する事和漢に久 劉漢ノ比 一続古今天暦帝の御製に ヨリ始ル 月毎に見る月なれと今月の 今宵の月に似る月になし 古より仲秋三五の月を他時の 月より賞し給ふ事見るべし 一欧陽麿が月を琉ぶ詩の序に月を琉 するに冬は霜海て冷しく夏は魔雲の ために捲れ春は朧月の名を得たり惟 秋のみ高天澄のほりて暑におくれ寒に さきだち天道の寒暑等く月は十分 一円にして明なり況一点の雲もなく 大空悠々然たり高に登りて見れは 一膚も冷々として神気も清涼也といへり 此詞隠雅にして直情を賦たり案るに 秋は金なり月は水なり金水相生して 有は金を得て盛に成物也人これを以 情を起し感慨あつて月を琉ふ さま余月に起たる事宜なる乎夫潮 は月に従ふ事世の人皆知れる所なり 八月十五夜は一年のうちの大潮なり 是を以知へし 五雑俎ニ曰ク海潮八月独 大ナルニ何リ也潮応ス月ニ者也 又九月十三夜を賞する事も其時の過日を 一愛して玩ふならん本朝にては寛平延喜 の御世より始り中華にては皇明の代より 賞すると見へたり古代の詩文に見る事なし 虹之説 或問曰虹といふ物はいかなる物にや蝦蝶の吐く 気也ともいひ或は蛇の息抔どもいへり個人家に社 至て酒抔を吸事も有よし云伝へり如何 対テ曰虹は陽気の動く也。虹は攻なりと 註して純陽陰を攻るの義とす形あつて 質なし此気のみ也大陽日の精地下の 水を吸ふによつて紅緑の色をなす 一朝には西に起暮には東に起日中には 虹起事なし朝は日東に出て直に 西方へ照す此時西に黒雲あれは黒雲 日の光を包んて直に其光を地に垂る也 其光の垂れし所に水熱の気あれは 則吸のほつて虹と成なり東に起も此 理に同し其紅緑に見ゆるは水火の色なり 一大陽の火の色赤と水のいろの春と交利 て紅縁をなすなり譬は朝日に向て水を 吹けば其色紅縁をなすがことし又虹は瑕 一嘆の息也と世俗の云事跡形もなき 雑説なり然れとも電雪録といふ あやしき事を書載たる書に昔越中と 云所にて陸闇賓といふ道士舟に乗て 江を渡る時白虹水石の間に跨れりある しく思ひ立よりて見れは箸笠のことく 大き成蝦蟇の口中より気を吐出せり なり余りあやしさに猶近く倚て 見んとしけれは蝦蟇驚て跳で水中に 飛入ぬ其時忽チ虹も消しと記せり何ㇾぞ さる事あらんや蝦蟇の居たる辺より 一虹の起たるを見ておもひあやまりけるか虹の 消する折節蝦蟇水中に飛入たるなるべし 又淮南子異苑等に載たるがごとき酒 一燕の所に虹たれて酒を吸しといへる類は 皆迂妄の説にしていふにたらす日の光の たま〳〵酒ある所へ黒雲にきび敷つゝまれ て至らば其水気を吸あけて瓶を 一乾す事もあらん是は希にある事なり 又俗説に虹の垂るゝ家には必凶事ありと いふ虹のいたる所に吉凶はあるべからす昔一人の 民あり常に行跡あしく所の人にも憎 れけるが或時官吏より公用の事ありて 呼に来る事あり彼者心に思やうは 一吾日ころの悪事官所に知れて罪を 乱さん為に召さるゝ物成へしと大きに 一恐れけれ共辞する事叶ずして奉行所に往 しりれ共詞もたど〳〵敷其ノ体何とやらんあや 敷見へけるゆへ奉行も先公用をさしをひて 其詞の胡乱なるを正されければ一々 悪事あらわれて終に罪に堕けるとぞ 此官吏は外の公用にて呼れしか共其身 の積悪心に覚あるゆへに自罪を顕しぬ 然れは虹気のいたる所悪人の家ならば 一凶事あるべし善人の住家ならば吉事 有べし凡万の事に此類の感多し 或問珎一