武功吟味集

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本多忠勝
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ブコウギンミシュウ
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東北大学
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狩猟 全 武功吟味集 一 〆 武功吟味集 一覧社券店ノ 以テ購入セル 「狛野亭吉氏筆 一天下の武功吟味は元弘年中小楠河内守橋正成春の 動て穿鑿し一巻の書を書立立置れしを文明の頃公 方常徳院源の義尚公是を秘蔵し給ひ細川右京大 夫源政元に被仰付武弁才有輩を集め異国本朝の 正敷理を書添末代追て法を守り道に障りなき様に と思召書置給ひしを年経て後如何して落散けん三 河の国の住人夏目五郎兵衛菅原忠武と言人是を訴 持すまひ御祖父清康公武道の吟味を専し給ふ故に 一是を被召上御秘蔵有之御所様迄御相伝有候を大 一須賀五郎左衛門尉平康くり酒井左衛門尉源忠治に被仰付候 御軍法の中へ被入しを秀忠公未黄門にて御座の時 被遣しを忠勝御前に罷在て拝見仕端々覚し 一教役法を本工立私法所存を加へ書之 一凡軍の習は家数万味方も軍兵を催し天下くりめの合戦 を成すと云へとも先口鎗場に依て敵味方共に百 人にふれ物也咲や夏先に熟て鑓を合せ勝負を快 する公多して七八人に不過是皆古ゟの燈棺度々を 事也故に言歎味方何万人もはれ備へ通へ出る兵は百人 敵と鑓を合せ公は五人数を突崩す鑓は一人に極ると言伝 後也其外は何万人にてわれ後陣に扣へて元口の勝負をせり 居るもの也去程に数万の大軍も二人三人の鑓先に突崩 ざれ或は縡の四五人の勝負を以て敵味方数万人の勝 負となる事は軍々の度毎に有事也若是の道理を救 度の合戦に逢すは其夜日知るへからす去れは数万人の中ゟ 柚て鑓を合せ勝負を始る志の至て剛きをね美し て一身の弄に鑓を合すゝを第一とする也惣て働きの強き を挙て鑓と呼事は古ゟ鑓程強き掃なき故に末の諺 にて此共也凡鑓と言品八ヶ条有一番鑓二番鑓に返 鎗大返鑓附入鉄城実の鑓籠城の鑓鈴山の鑓請山の鑓是也 是に差潰たる働又四ヶ条有一番乗乗込鈴様の太刀 鑓様の弓是也其外高名に六ケ条有鑓下の高名部場 の高名退にの高名組打の高名崩際の高名場中の方 名也右十八ヶ条の場数の義尚公ゟの定如此も去此内にも志を 吟味する事第一也譬ハ数味方互に数下の大軍を催し でんどへ押出し侍を立合戦有て勝負の始る前方一丁二丁 に売寄弓鉄炮のせり合始りつゝ次第かた近付敵味方まに 一杉形に成り既に甲三十間四十一日の内外に引訴矢軍に成て は敵味方共に手負死人持基倒しの如く重り見る内に 残り少なに討る故両方共に弱き者は二の足を踏強き 者は甲を傾け漸路暮る物也其時一備二千三千の内ゟ 三人四人の言拙御備屋へ勇み出ふりの見事に路塚へ 後るゝ者を設め大法左右を下知して始終堅固にくた ゆるは其功一度にても数度に向虚なれは是を誉て武 弁とは申也如斯に働言は後れも答る者也必鑓をするもの也 道は其品に寄り敵しかへ行して崩るゝか又ハ其災失心の手を 負かして後陣へ引返し跡合せすとも其者は鑓を合せた 後同前也其子細は人の勇み難くこたへ難き端を人見へ 出抽て指は敵味方の打合は鑓を合すへき事少定なる故 也貴程に城へ取寄にも野合にても懸る時にも五百五人 に抽出候侍を和漢共に英雄を号して武士の棟梁と 言也一度の讒を誉るも千万人の近々得ぬ所を抽て 進む志を社誉れといふ也惣して鑓と言は懸り候運 口にふ敷敵味方の諸軍を五間も七間も放れても 出両軍の見物の前にて紛もなく合するを鑓とは言也 名也右十八ヶ条の場数の義尚公ゟの定如此も去此内にも志を 吟味する事第一也譬ハ敵味方互に数万の大軍を催し でんどへ押出し侍を立金戦有て勝負の始る前方一丁二丁 に売寄弓鉄炮のせり合始りつゝ次第かた近付敵味方まに 杉形に成り既に甲三十間四十一日の内外に引詰矢軍に成て は敵味方共に手負死人持基倒しの如く重り見る内に 残り少なに討る故両方共に弱き者は二の足を踏強き 者は甲を傾け漸路暮る物也其時一備二千三千の内ゟ 三人四人の言拙御備屋へ勇み出ふりの見事に踏塚へ 後るゝ者を設め大陰左右を下知して始終堅固にくた ゆるは千功一度にても数度に向虚なれは是を誉て武 弁とハ申也如斯に働言ハ後迚も答る者也必請をすもの也 差出其品に寄り敵しかへ行して崩るゝか又ハ其公矢玉の手を 負かして後陣へ引返し鑓合せすとも其者は鑓を合せた 後同前也其子細は人の勇み難くこたへ難き端を人共 出抽て指は敵味方の打合は鑓を合すへき事少定なる故 也去程に城へ取寄にも野合にても懸る時にも五百千人 に抽出候侍を和漢共に英雄を号して武士の棟梁と 言也一度の讒を誉かも千万人の進み得ぬ所を抽て 進む志を社誉れといふ也惣して鑓と言は懸り候還 口にふき敵味方の諸軍を五間も七里も敗れてもと 出両軍の見物の前にて紛もなく合するを鑓とは言也 壁は鑓合せ寄りと言へ共敵味方の先勢既に詞を交つ時 に及ひ一足二足踏出したゝき合か又匠口抔の鑓も既に敵に 鑓たけの追付れ一足二足得返し合するは鈴とは言す敵 の建追付をは其間隔りけり時味に入同勢の中ゟ抽出 六間も七間も跡へ取て返し汐こたへ敵の追来るを待 踏て紛れもなく合するを鑓とは言也惣して敵味方 押合する時に及て分も不見ハ鑓とハ不言もの也 一番鎗の事 一弓鉄炮のせり合終て敵味方既に十七八間の内外にを 付鉄炮を打事し不成程に引請ては奉る人拵ひおのゝ き眼す直り無意無慙に成他事を忘れ候専に念仏を 唱二の足を潜見合掛り兼る者也其時敵味方の心居来候 前の絹に於て別の万一人味方千二千の中ゟ抽てつゝこめ に走り出て大殿の待請堂鑓前に面もふじて通りはゝ鑓 を打込合戦を初る迄一本の鈴と称美して一両鑓と言 敵ゟも合手一人出向て両方の真中にて請成鑓合は猶 いいさき能語也又敵つかへすして鑓合せすとも是を壱 番鑓と候云但候様の場にては一人に限ら十七八人迄も 其備を出放れ真先に進み出鑓を合は少しの遅速 少しの一二を不論五人なしは五人七人ならは七人ともに 鑓を合候と言惣して一番鑓と言は敵味方の押合 すゝ降して唯一人真先に進て路を打込合戦を初る を言故一番に限ると云へ共二人共に進て鑓を合するをは 一番鑓ては不言唯鑓と計り言物也如斯敵味方の押合 皮降にて今か鑓は一人は言に及す五六人にても七八人に ても是を鑓と等して木の鈴と言也五六人七八人まか 鑓は少しの遅速を分難き故一番二番と不言乍去一 間二間其遅速有をは一番二番とは分日也是は鑓合 遅速をは不論唯備を走出る所の遅速を以て一番二 官を分る也勿論一番にもむか一人ならは其一人を一両 として鈴と言五六人有とも押合て二番といふ若一番に 進る二人共有は其上にを待て言続く共は鑓々は言す下 去一番に進去が敵に突返とれて敗軍するに従て去か 入替り然も二人三人にても敵をさへ正始終こたへ跡を 仕惣軍を引付勝負を決せは是を鑓といふへし一番に 進めて突返しも引返て候是は一人にても二人にても有れ 又は鑓をも合るを談ては不言乍者一番に懸りた後 兵共大敵殿突立られつゝ一旦下堪敗軍する廿是并て 遠く逃臥す返し合ふり此払辺にして二番に続く候 と申合にて返し又鑓を合は鑓と言但一番二番押込 て唯得を合すると言其功押合て行前也子細は二番の 続く公は一番にくとむ兵を目付夫を便にする志次な れは一番の共に入代りて鑓をするとも其道地はお とれり又一番に逢ひ是は諸人に勝れ拙つと云へとも 突返されて二番の兵の力を得て返し合は一番に進び 志は尤なれとも其功少数に一番二両押込て其功同然也 但其場の品に寄一番ハ一両二番ハ二番て分る事も有る へし惣して両軍の誰先本の鑓場にて合するとも七八人より 人多くは鑓とは不言惣懸りと言子細は互に懸り兼て たはろふ所を押て諸人に紛れて近え出る志こそ鑓な れ大勢進むは何を誉之せんや二人三人にても其通り を混乱して見分難きは銘々は不言五六人連て進み 五間も六間も押て紛れもなく鑓を合するをも本の 鎗といふ也 二番鎗の事 一既に一番鎗の一人進むに押続又一人の共懸りつゝ一番合ふ 所へ続て鑓を打込を二番鑓と言五六人七八人にても壱 番に漬て己か備を乞り出て門勢を放れて乞通り鑓を打 込は二番鑓と言少しの不門を不諭五人にても七人にても 押合て二番といふ七八人ゟ多くハ鑓をは言す惣掛り といふ其理一番鑓の内に有り 大返之鎗の事 一味方敗軍に及て敵に手ひとく討らるゝ時味方の公唯 一人もて返し面も不振賄こたへ追来る大敵を支え寛 軍をもり返して合戦を得さすを大返しの鑓とも寺 返しの語とも言也是を又一本の鈴と誉て其功はは 番鑓に勝れり如斯の場にては一人にふ限五六人七八人迄も 皆押合て鑓と言五六人七八人有とも其一番に応し合する 兵を第一に誉て也乍去退口は懸り口と違ひ味方の我 先へと引退敵は身に乗て退重候故一旦追返しても又 もり返して懇かつたしたる勢懸日は骨を折事懸り 軍ゟ十倍せり故に一番に返し合するをも後に見 し合けるもおし合て五人なしは五人共に鑓といふ 乍去一番に帰るを差て誉れとする也 小返之鎗之事 一味方故軍して敵に付られ既に間近く追詰来御昨 一人にて返し踏こたへ鑓を合追て来る敵を支へ其 間に味方を安く引たらするに返しの鑓と言敵さらん て鑓不合とも是を詰ても但しケ様の場にてハ一人に 不限五六人七八人にても返し合て鑓を合は五人なしは五人 共に鑓と言洗跡に引下り節は返し合て敵を突返し ては退又敵追来れは取て返し数度鑓を合は猶以古今 希なる強き鑓也其度数を誉て幾度の鈴と言壁は 幾度返し合とも其一番に返す公幾度銀金か共 一度も下風により進の功後々迄勤るを第一とする也一番に 返すと共の続く共に渡して引退く交は漸一度手た 合猶も振たそ引遅くをハ鑓ば合とも一番に返し可 ともたのみ誉すに返しと言は味方惣大数は子色唯 五六人七八人の公計り返して鑓を合せ其侭に味方を 引取するを言大返と言は右に言通りに五六人の首直し 合て惣軍を守返して證を合せ合戦を初め大敵を 追返すを言也大名に忍に不恨人少にて返す程を手 柄といふ也況一人にて返し合て味方の危きを助剰数 度の鑓を合せ或は能所にて路こたへ大返しの鈴を 合大敵をなひけの鑓の根本とする也 イニ止 部正の鎗の事 一味方待軍にて様るも敵軍備を崩し真黒に突て逃る 明は何程剛の者にてもしらんて張出る者はなき事也其 時味方の侍を二人三人にても七八人にても近々出己か 備ゟ二間三間四五間も張出る敵の懸るを待請て鑓にて 合するを請正の證と言七八人迄も鑓と免す夫より多く は鎗といふ言其理前に有又先手追立られ敗軍す に二の備の兵共人六人にても天か備を二間も三間も 張出て敵の勢懸りて我備を追立二の備へれを 待請て鑓を合せ戦を始るを又呼て請正の鑓といふ 七八人にても己か備ゟ二間も三間も張出て一面に立并嶋 成鑓合は鑓と許十左土行請すして我先備を追立 られ敵中へ二の備を鑓を入は横鑓と是を名付て鑓 を合るとは不言又敵の大勢引取を味方の強者二 人三人にて惣軍に先れて退行深入して敵に大抵 しに返される時彼公共二人三人にても追行たか仕場を少し も不去路こたへて鑓を合するを又名付て大返請正の 鈴と言若敵の返されて。こゝへて味方述帰とて逃なから 叡き合たゝは鑓とは下言是は親退めにて後れ味方は 渡て勢ひつゝ通行場成候故四五人ゟ多も志詮なし 右以上三段の請は皆請山の請也 城責之鎗之事 一味方大軍にて敵城を取巻に敵かつを閉て突て出る 明門前へ取詰たる味に千二千の中ゟ二人三人の公共 真先へ張歌敵の出るを侍請法を合するを又猶と 春其意味野全の証義に同し又味方の勢都の出て しゝみて見崩れにしたかふ其中ゟ二人三人少も不罷在 場を堅く踏こたへて出る敵を待請て鑓合は一入強き鑓 也又敵の出るを見て寄手の共三人郷人抽て相通り にて待合は其遅速を分一番二番鈴を定る事所 舎の鈴に同し敵か門を開て待請に味方の共二人 三人にても諸人に抽て門内へ懸入鑓合も同然に一二 を分鑓と言事野合門然也 籠城之鎗之事 一味方籠城の時城中ゟ突て出しも一人真先に押て出るを 一番徒とし強く共抽てハ進を二番と云其次第野 合等同然也若は突て出かに度毎に其公共真先に出 其度数を以て幾度の一番鑓と云大手搦手共に突 ておかに両口にて鑓有は大手にて誰一番誰二番 鎗といふ寄手にても分面事是に同然也大手にて 何某かしめ手にて誰鑓を仕ると言也 附入之鎗之事 一味方の軍勢敵の城をも巻時敵備を出し或はせり合は 或ハ夜打夜込に而城中へ引も所を味方の別の者二人 三人にても諸人に先達て付入て追込に敵の中ゟ四五人 にても七八人にても取て返し是を追出んと忽時味方 二三人の共共追込たる所を不公賄こたへ合かを附入の 鑓と言教味方共に強き鑓也野合にて大返しの鑓絵出 の徒と同然の鑓也五六人ゟ多く打入に追込て譬路を 合すとも銘々は不云是は追行場なる故如此城方は 迎なれは五六人と云共返し今也大敵の身入を突出 強き鎗也 鎗心持之事 一式い高之畳み又は溝堀を隔て押合つゝ互に快不働に 寄せひて投実に仕りたりとも其場鈴場ならは鑓と言 惣而右に記す所の八ヶ条の詮場なしは道の先はふ合共 又は其間五間七間隔りしとも乞出て鑓を据廻しても 鑓と言也其外は譬魚の川を流す程突合たりとも 鈴とは下言六せり合と云又譬持所の道具は長刀 にても其場の場数鑓場なしは鑓をしたりと言物又武功 の吟味も志を賞翫するを第一として第二には又功をなす 所を専と心得へし譬は一番に刀を以て進むは其志の言 道具を以て懸るゟは請になれ共力は大敵を取ひし事 鑓長刀の業に中に不及故に古ゟ一番太刀といふ事なし 又鑓長刀は三人四人をも相手とし設き立近時は大 敵を突崩事利にて功をなす所速なるを以鑓をした 後と是を言勿論刀にて一番に懸る又にて返し丹す を誉と不誉には然す其志を感し先懸又は退めの 太刀打と言品に寄鑓にも可成又弓鉄炮も十人廿人 射殺すをも不誉非肝要の所を一筋の矢一放の の鉄炮を以て支へ宛五間三間の大敵を屋候所を以誉と は言也万事如斯の事を能く吟味する事行要也 鎗場度数の事 一惣而軍の法にて敵味方押合せ追つ有しつ戦て勝負を 付とつと追崩したるを一仕場居と云也又城実の時も 突出て押合往々寄手は陣へ城の共は城へ互に引にたる を一仕場居之言一仕場居のにて五間六間追々近き 追つ返しつ戦はせり合た言鑓とは不言其押合て掛る時 の鑓初を言也押合て後爰かしにて込つ込れつれにて 一敬き合は鑓せり合迚鑓の度好にせす数度の鑓を仕たと 言は其押合て懸る時の鑓初を一人にて毎度するを言 小返しの鑓幾度も合をたゝと云也一君しの中にて相越の 事五間六間退つ返しつすは度数にはせす一返し返し返し て相戦と終りて敵を追返し其身も十里廿二日も引 退きつゝ又敵の養ひ来る時取て返し踏こたへ跡を合を 一度の数として其数を都合して幾度の法と云也 野合城責鎗心得の事 一敵味方生ずんとへ備を立押合ての大戦は其備々に て一二の鑓有で誰か手にては誰か一番鑓誰か二両鑓 と言城貧の鈴も大手はと拵手はちと一二の鑓を分 る也大手にては誰か何き棚手にては誰か何両鑓 と言一人にても毎度の鑓をせ候て何某幾度の一番 鎗幾度の二番鑓と言初度には一番鑓にて後に二番鑓 なた誰は幼度の合戦には何番鑓後の度には何両侍ど 言扨又一番鑓は手前にて合せ二番鑓は深入して敵の備 の時筋へ鈴を入て一番鑓と功を争ふとも一番鑓は一番 二番は今と定の如くらへし子細は一番鈴の進ひを見て社二 番鈴はくとめ硯言敵の真中へ入込鈴を仕共其志は一番に 劣れて又一番鑓は手前にて鑓合す所は鑓とも強道也 其故は諸人の進ぬ所を抽て手柄をする志は中々無 比類事なる故也又一番錠を合る云か其場功して投実に するか又は鎗切折れ抔し力を移て二番鑓を合する時に 鑓絵を詰たらは一番鑓を合せ其上二番鑓の理詰の 太刀一場にて両度の株と云也鑓下の高名せは一番鑓を 合割鑓下の高名を遠かと言物也若此所を領吟味を て功を分誤りなく諸卒の恨み不請様に心得へし 一番徒論之事 一表口場に尽て味方の共二人一番鑓を合二人なはゝ一番道 と争ふに其場一所にて立并鑓合たらは其内に侍を 走りおる所の早きを一両鑓と言若備を出る所も鎗 一合も門然の時にて懸も同場ならは大前に立を一番鈴と 言場所違ひたじは敵の訴入懸るを二番鑓とす又走 筋を行を一番鑓とし道様か又ははつれを行て今日を 二番鑓と云或は又左右を分て左の手先にては誰かへ 番右の手先にては誰か一番鈴と言一備にても二人の兵 別〳〵の組下ならは何某は非の組一番鑓某はそんじやう 何某か組の一番鑓て分候也左者是は一番鑓の二人 論する時の心得のみ本徒は一番鑓は其備一陣の内に 一人ならてなき法也故に若此二人共上一番に鑓を合るを 一番二番を分す二人は二人たから又は五人あじは五人も に鑓を含ると言也譬は此度は何国にての合戦に何の 某何のは以上五人鑓を合るといふ心持也 鎗場古例之事 一惣而軍の習は一番鑓一人進行鑓合二番目は多分惣 愈に可成物也古ゟ二番鑓有事は常也敵に三両鑓 と言事なし惣而刃を交すして崩るゝ事多し能々互に 強敵にて明けれは其にこたへ鑓の合事は無物也乍去味 方の通り兼はしゆいする場にて然も敵強くこたへつ 一番二番の鑓合て勝負付す味方は猶惣掛り遅る時 三番と言に二三人にて走る出一番二番の鑓全て押つ 追れつ相戦の所へ鑓を打込は三番と言也是も一番哉 番の共談て飼勢を放れ紛れもなく鑓を合三番 徒と言物也前後一ツに成から無は鑓とハ不言乍去ケ様の 事はなき物也一番鑓とへふ合して其侭見崩にする事 軍の度毎に有事なれはまして三番鑓迄こたゆる事な きもの也惣而古今共に鑓の有事は百度に一度か二度か なしては無功也尓に能く強欲にて真丸に立堅めて押 向姫こたゆる場にてなけれは徒はなし或は見崩又は群か 懸りする故也去程に古候一番鑓を巻るは限り也但三両 目の働は鑓と言程の強みなきか乍去強敵にて崩れ 兼る場ならは三番目の働も鑓と許すへし 大鎗之事 一凡鎗に似て鑓にてなき品十五ヶ条有是をい得せり合共 犬鑓とも言一に敵間近く三十四丁有に味方の共一人二 人にても遠懸り敵の備へ懸り鑓にて敬き合是を 腹懸りと云也品に寄法度に可行第二に既に押合のて 合戦始て追つ火しつ爰かしとに打散て五人十人数合ふ 事第三に鑓場と言廿七八人ゟ大勢進之書跡を入数合 事第四上敵味方押合戦ふ時分備面に有公々皆歎 き合もの也是を入込の請合と言鑓といふ言也第五城 責の時堀下へ付或はさま越し又は門の地端の下或は堀の 上ゟ突令第六に敵の引退を追行に敵振戻り鑓にて 払世にするを合たる事但敵の別の者二三人にて大 返しに踏こたへ合かは鈴也是を大めし請正と言也是は 大返しに返にても無弱者の敵か追詰り存候を難義し踏 戻り鑓にて払返にする事第七一番鑓を合こと言へとも 敵に突忍はれ二番の共に渡し其身ハ引返事但大勢 故一旦は被突立とも是并には不逃返合今振札払返 に後り宛二番鈴の兵を致付又にて返し跡を合かは鑓 と言也第八棚を隔幕を隔置合事第九鑓場にて働 と言へとも馬上にて突合畢惣而馬上の鈴と言事なし 第十夜少夜込の時敵と鼻合にお合て是斐に不及故き 合事乍は夜討にても敵を味方間沸て見付言葉を 替し名乗掛てしかは也押合時は其先かもして鑓を入 去一人二人に不限七は人にても勝て進むは一番二米を 分終と定候事田中野合の他法に引前也第十一手強 追詰られ己か背中を突て故無是暫身の火払に狐 戻りなき合事但なき合を取能請合を見切強上 取て返し踏こたへ追来る敵を待語合は鑓候也是社鑓の 根本と言物也爰に言は左に非すみけにて逃る迚背中を 突て故に無首斐振戻り鑓にて払逃るさる事也第十 二敵味方万陣して其方未を先駆する足軽大将とも 敵の懸るを見て迷悟をは打捨自身下り立て懸り宛実 合事勿論敵の不懸に味方有軽大将を立己一身働を 志し敵へ懸り我備ゟ一丁二丁も先にて歎き合事第十 三敵間遠き時一騎にて物見に出直に敵へ懸か又先 に居留り敵の懸り来るを待て味方の先侍ゟ二丁も三 丁も先にて敬き合事第十四に味方の物見移掛の音 共敵の物見に抜懸てお合先にて敬き令事第十五 に令戦又はせり今の勝負初候前方に敵味方の乞懸 ハ両陣の間へ出合或ハ矢牢し或ハ敬き合事右十五ヶ条 はせり合の犬鎗と号して鎗ては不言右に乱て故 に其理至極して古今不易の伴也 城夷之事 一城乗は其後落て堀浅き所を早く乗を手柄とす左 様の所には敵大勢防居候故也一番二番の次第は其 手今にて可有誰か手にては誰か一番乗銀二番乗と 言組一人真はに乗を一番乗と言真先に言へとも 二人乗は一番之不言唯先乗と言先乗は五人六人七八人 迄を先乗と言少の連連て不論一番乗の一人に読又二 人移出て乗を二番乗と言組七八人迄二番乗と許ス又 一番乗して鑓を合たりと言は堀口門口に不限其一番乗 の是か先懸して責入敵は二三人有共門口が道筋か何れ要 の晩の所を堅防守り備を設為所へ彼一番乗の公か又先 に売入て鑓を合かを言也鈴を入て言共違れの場ならは 鑓とは不言一番乗にて一番鑓ならは其もの一番乗則 一番鑓と言乗所は一番にて鑓令所は二人共に有れは 一番乗并鑓を合ると言乗込所は先乗にて消合候所ハ 一番なしは何某は其日の先乗并一番鑓と言也敵大勢有 とも言かしとに居るか又道筋にても備を不設取へ懸るは 鑓とは不言塀言へ飛下り則そこにて数合の鑓とは不言右 に言通り本丸への道筋か又は肝要の詰を歓は一人二人有 共備を設防守居る所へ鑓を入を鑓て言也勿論能軍に 先立て紛なき鑓と言一番鎗二番鑓の法由金の吟味に 同前也但一備諸手に勝れて早く乗は其手の一番乗を 惣手の一番乗とすへし若先乗の二人共有は倹兵は二番 乗と不言惣而鑓も城乗も其一二を分る程にては抽て一足 の迷をも吟味せねは不叶夫は物の吟味せはしく成故古ゟ一 人先に進むを一番とし二人共進ひをは或は鑓と言城乗 をは唯先乗と言舟軍の法は門然也 乗込之事 一敵中へ唯一騎真先に馬を入乗崩を一陣と言験言は二崎三 崎迄も二致と言夫ゟ多くは乗込と言若先に乗込 と言とも二人共有は先陣之名付一頭といふ言一陣には二致 有先陣には二陣なし去程る是も敵間流に十七八間に引 請て鑓も可有程に近付時に乗込を一陣二陣先津と は名付賞翫する也敵間遠き時に乗込は程懸と云 扨又川を渡すも一陣二陣の作位先陣一陣の分ち右 門前也但シ馬上に鑓を以て突合たりとも鑓とは下言 一陣は一陣先陣は先陣は先陣は先陣は先陣は一陣 鎗根の太刀の事 一慮り候請留退候に不限鑓を合る兵に賃五人六人にても 刀を抜て鑓根を詰刀を添るを鑓根の太刀と言洗鑓 迄飛込敵を切払は大成誉也但鑓鑓様詰候兵は多して三人 四人に不有者也子細は大形先銭を持故に力にて進むれ 希也若別のこと抔か人に先をとしれ二番鑓をは嫌ひ鑓 を打捨刀にて飛入か或は売なる事故に持鑓不続刀て 懸り両条何れふ浅道鈴根の太刀は少き物也若鎗 合所へ漬太刀を持は鑓様の太刀と言鑓を持は二番鑓 と可心得若真先に二人もひに其に鑓を板は言に不及 二人なから鑓と言其内一人刀を持い鑓膳の太刀と言ふては 夏先に三人進むに其内鑓持たるを鑓合かと言刀持は鑓 様の太刀とし弓持は鑓程の弓と言但鑓持たる若刀持弓 持の二人と懸候一門歟又遥は唯鑓と云一番鑓とは不言也 鎗様の弓の事 一鎗合か共に絞弓を持懸る宛鑓根に立敵の勢ひ懸杉 先を矢継早に射荒し鑓合言に力を添るを得様の弓と 言但仍に奇鉄炮にて鎗狸を詰る事も有鑓沼の弓 鉄砲は幾人に不限也左言ても多くいへなき物也古ゟ 五人六人より多くは不同 鎗下之高名之事 一鎗橋を詰る兵にても又跡ゟ走り付たる共にても刀を移 て鈴合最中飛込切伏組伏て鑓合下にて首を取を 鑓下の高名と言但身方の鑓合る兵の鑓付たり是を鑓 脇の兵の打に共同前に請下の高名と言敵味方少も不 退勝負決に市中にて難に首役賞翫する也鑓下の 高名も三人四人有事も有又一人も無之事も可有但敵も味 方も惣手の先を懸見口へ欠出て鑓をする程の制の者共 か唯そを限と白刃を交へ死生を一挙に極て貴戦場な れは刀斗にて踏込鑓下へ潜か入下に一も助か事なきも のこ故に鎗下の言名は其者を誉るのみならす其天 運をつきを感すへし 組打高名之事 一組打し此品六ヶ条き第一に敵味方の別の者共跡を合と 言は勝負不決をせひてたきりたる旨鑓を捨潜り込但 乞又鑓打行飛込て引組鑓合る家中にいてを手を難場の 組にて言随仕割法場の組打を致と言也第二に敵中へ 乗込馬上ゟ組今荷壱名一陣次郎ハ一陣先陣ならは先坪 に乗込組打を仕候と言其分に乗れて組打を仕ると言 第三に太刀打して互に飛込て引組ての高名弟四に鑓 様の太刀の武とにても跡ゟ走り続たる兵にても鑓合か 一開中に鑓下へ飛込て組て伏ての高名是を名付て跡 下の組少と言第五に互に物見に出寄合ひに出合て の組打第六に我か運ぐに及てにて返し後止か追来る 敵と引組て首をも是を退との組打と言右六ヶ条の 右合組けの内の組打をは禁也 對 場中の高名勝負之事 一敵味方相対して舎戦既に可始前方其間二十三丁隔りたる 時両方ゟ掛兵五人十人真中へ張出弓鉄砲鑓長刀等の 得道具を持て出追つ返しつせり合を場中の勝負と言 そこにて弓鉄砲にて射例し又は宝伏首をもを場けの 高名と言扨其首共染こたへ白恨合内に敵味方備を 立寄次第々に追付互にしかそと押合をこりて鉄炮 落字有り も納り鑓初候物也左衛門と無ものなれは必定軍の度 毎にめ行首尾有と言事にてはなし場中の勝負なら て鑓と云事も有へし場中の橋貝有て針なき事も 有へし若此の品を考へ其心得有へし 崩泥之高名の事 〇一敵味方既に鈴場を望み味方の真先に進跡を合せんと 懸ると云共敵こたへすとつと崩る時其兵共直に走り付実 伏首を取を崩堀の高名と云敵こたへは何程強き鑓 も可有と云へ共敵こたへぬ故道鑓不合とも其志は同然也 故此高名は追少同前也と云共真先に進みたる道比を 称美すへし其志の規模を顕し崩堀の高名と言 鎗場高名之事 一或は懸り口或は請留又は附入の大返ふ返の場に寝八 一ヶ条の鑓場に於て鑓合候共其相手を突伏鑓合日 最中に其首を取たるを鎗場の亡名と云其婦の手 一誰事是に可比高名なしと云共千度に一度もなき事 也懸る時の鑓場ならば懸り口の鑓場の高名請正ならは 請正の諸場に返し大返しならは其所々の鑓場一番鑓な らは一番鑓場々言証文には壁そこにて鑓を合鑓場の高 名を巻ると云也凡其品三九第一に鑓を合と云共或は 鑓打折又は短気なる共にてせひて鑓を権刀を抜て 飛込敵を切崩を鑓場の刀打と云其場にて則切伏 臥首を取を鑓場太刀打の高名又は鈴場組打の 高名と云第二に心の相手を鑓付踏込ての高名 第三に譬は二人立并鑓合するに一人の共の鑓付たる 首を其一人の兵か鑓を捨逐て取事是は人の跡 付たるをもは鑓下の高名に似たれ共鑓場の高名と云 事は己鑓をせすして人の鑓付たるを取は鑓下なれ共己も 一鎗上日改め斯三段の高名何れも鑓合聞中勝負等史中に 其場にては高名を鑓場の高名と云或心に言鑓を合 て突臥其場にて高名は不成物也十か十なら打死する故 助るは斧也真程に鑓を合句の相手を突臥其場にて高 名をせらさる程の場は鑓と可申理なし子細は鑓と云は何 けて鋪場にて中高名不成物也答曰其理一姓有といへ 共片詰たに吟味也敵味方の別の者も互に己か備を抽 相懸りして鑓を合候時敵の鑓ゟ味方の鑓大勢に而然も敵 味方の惣懸り遅き時は味方に助る人多く無き故若此の 場にて必鑓を合其場にても高名なる物也左言夫は華 なる事也鈴場にては手寄けわ前鑓を突に隙なき役故も 突臥ても鑓を投飛込首を主事難成物也若首をも遅か 身を被突故其所迄は無頓着唯身の火を払ふる懸り居 故以高名ハ希也敵の鑓ゟ味方の鑓夕敵の鑓廻懸りれた 彼是の仕合調は鑓場の高名は不成物也勿論一番鑓を合る 共の鑓場の高名を仕候事も有へし譬は鈴湯にて宝利 たり共敵こたへす崩れ行は其高名は追相同様也敵味方 の鑓合最中勝負未決の一而生につかへ武内の高名を 鑓場とは言也鑓下之高名も同し心也若部を今時ゟ 相手も出す直に敵の備へ鑓を入又敵の鑓は味方ゟ多程も 敵の鑓場ならは一人して四五人を相手して戦ふ物也譬 一人相手を請付ても炒りの敵有て鑓場の高名は不成者 也若づれたゝ去にて踏て高名する共敵の鑓先なれ は千に一も不可申助立程に絵場鑓下二ヶ条の玄名 は其伝に無類もの也 退候高名之事 一味方匠日の時踏谷へ敵の柚て来る敵と拝負し引手 を退るの高名と言也況退而混乱する事にて味方は手 負討死を引懸退割其当の敵を打て高名は尚以強き 働也ケ様成を誉れと言也右返り之高名は崩口の其名共ひ也 名持軍鑓無き事 一凡功有侍を呼に其名六条第一に或は初陣の若武上一二 度のせり合にも出別の者の跡をする後を黒め又は朝待させ かたりの時も根能手をふさき或は大合戦の時も遊首にて 其甲は云又は退候にも人并ゟ諸に退きは必操之名付て 是を利口者と云第二に其心はせ二三度に及ひ鑓様の働は 両度もかゝを名付て甲斐之前者と云弟三働きる気能強 之左のみなけれ共毎度に手を合せ追首之と云共早々も夜 込朝役にも人先に首数をに手をふせけるを用に立廿文 物仕とそ言第四に甲斐〳〵官事四五度にも余り跡下の 高名猶詩組に太刀打或は一番乗又は鑓を合けヶ様の 事は九度も有るを覚の者といふ第五に場数なく共働 程の所手強事のみ有るを剛のこと云是に陽数あらは 剛の共にて覚のこと云第六に小身なりとも其気姓 下尋常軍の始終盛衰を察し戦て有利間敷には大将 を拝め止め可勝図を見請ても惣軍を設め従是を押渡て 者を励し前後左右を下知し惣軍を一同させ其身真先に 鑓を入大軍を追なひけ永追を制し歩己後を殿し堅内に 味方を引もせ軒へ難きを踏こたへ惣軍の危きを助け式味 方の敵に喰留られ引に兼る時は両沖の間へ乗込堅 目に人数を引上弓矢の吟味を穿鑿し万事の要 を弄或は味方の遅後も重るを助手負死人を引懸退き 退候して防き居或は返し合鈴を合せ大穀を追在し場数は 少く共非太刀不入働を守とし物事大様に小事に不朽 大軍を可引廻志有之を別の武士と云也如斯の士を物ひたし 権杯を授人数を預へし故は一身の働しが十度有とも其志少 く其地にかき無キ士は古ゟ巴夫の勇と号し少将の官に 不任と見へたり城夷野舎の合戦に不恨せり合足軽の 場にても必かさなる士は勝て見ゆる物也一度の跡を誉り 降へ掛る意地を以てこ大合戦にも敵味方六七人の鑓を 合か勝負にて両軍一二万の勝負に成成道鑓をする兵は 先別にして軍の相色を能見ぬは不叶かきなき侍不叶 事也是を以て小身にても本の身とす一番鑓或は二番跡 強ならバ三番鈴も誉ならん惣而敬金二十間此間一丁内 外勝負初而少前善悪に見ゆる物也子細に専致叱のもり 合最中の事ハ廿一日卅間の間成殿矢鉄炮の王の降程 来宛手負死人将台倒しに重り捜る兵ハ一番鑓の枝梁 たるへし一度の鑓を釜も人の進に得ぬ所を招るを比を 以て候様の士の智謀有を社大剛の公一人当千の兵と言 へけれ殊に城貢の野舎の合戦に不銀千二千の侍の中ゟ 二人三人倒れて振め事に対候も一度にても覚の別の 武士と云左に色而も愈る日も千万人に独る人は英雄となりし 侍の枝梁たり故言鈴を不合ともたら所主とも其身に 徳備り人を悟り士卒を愛し忠義を本し唯中有 て大軍を扱ひ軍の得失を察し謀を工みにし大敵の 勢ひを碎きにも血を不付して粉事を万里の外に 顕わすを大雄の士と云て人傑共誉たり己前の長者武 道の了護共言也誠に高祖の張良を誉給ふは是也惣而 一団の大将の武功有をは勇将共弓矢共言也十上強き働き 有を別将と名付其大将に仁徳智謀九日を名大将と言也 一郡一城の士大将の如斯成を武簾は大別の士大将 よく言乍立候ては忽火得と言物也唯有之君さへなくは一郡 一城の主といふ共是を名大将と共云也唯有へ言り仮初にも 大勇成士を執立る事行要也朝臣か權の下を濫りしも 大剛の誉は成へし 一鎗并借詰太刀鎗下の高名之事 一大雄の所は天下の大切なれは爰に不及一身の働き内には 跡を合日を大事とする子細は敵味方数万の軍公を率し 生死を極め押合は訳にての事なれは万死一生の手柄也 殊に一番鑓抔は唯一人成は若相手出合いとして待請書 大敵の鑓前へ懸り七八千に一も助かは常也去は一度の一番 鈴と自余の諸十度にも勝れたみ誉理也但鑓場 の太刀抔に鑓をわたる人より先一踏込敵を切松又は鑓を切 折なとするは鈴より強きかなれとも鑓を合する羽かひの 下の棒なれは飛込て鎗より劣にて猶以跡下の高名も 一鎗合する所に中なれは飛込ての高名是も鑓ゟ勝れる なれとも是も鎗を便てつゝ其下にての働成れは是以鑓に 劣り一番鑓合候公は言に不及修礼の功も被下の高名 も十に九ツ討死するか浪手負か何れ何れ助りて稀也 三州の下々の言葉に言惣而針武簾武簾と二条なり 鑓を令る人先を致すは針武簾其外は参武簾也 針の通りたる跡は爾は通り安き故に千諺め斯跡に 次て跡下の高名を誉るも惣手の先を懸買を抜鑓を 絵地煙を踏立春武字中に一心に思ひ切刀を抜て踏 込意地を以て也惣而鑓の舎事敵味方其に強して 汲こたへてもなされ也故に鎌舎る時は互に力足を出し逃 三日煙にて二間先しそ見へさる也其上無性になり敵の具 足着物の色又はいつくにて何と有も覚す然月夜の如く 唯夢の見ね成ゆ也但家ゟ先へ拙候人は能御見候出也故に 勝れたる働しか証人不入と言は諸人に先立左に惣軍 の目に懸るを以て也また後陣にて先手をとて敵味方不押 合内は士煙薄く二筋に成て堺を陽天にとる物也既に跡令る時 は二筋の地煙一ツに成め何にも厚く地にうつまひて天へとら す鉄炮の春もしつまり立いとう声と鈴者はためく真斗 遂に同也扨鈴をするは甲を傾ケ無性に成唯ゑいとう 而と言計を力とし左右の事も知す敵の色相も不覚 歯も不合程振ひ付胸せき上唯掛月表に知らぬ道 を通る如く成物也惣而路場の筋に安く対へ難き事は 度々の鑓に逢たる共にてならは其けわしき事をは不可知 鈴下か詮様か組打りの首ならも歩行走りの首にても高 名と云子細しか鈴湯にかる程の士は強とにてなけれは不知 故に双方は葉武者にても其志しか葉武をかれす故御行意め 何大将の首にても逃候所を追打に而は左のみ高名とは不言 乍去一手の物頭を打は冥加を感して是又誉也惣而甲首 一世上方府の言事也是申候古ゟなき事也関東にて終に不聞何 者の首にても五日れ鑓場か鑓下か何れけはしき場て難も へ主を言名と云也却而本朝の弓矢は明応文亀の頃より 悉く執失ひ武道の格式たり前に成下り拾ひ首を取ても 高名と呼又は本の兵の鈴を合候おかひの下より首尾を合 ても一本の鑓の如く自慢し終せり合をも鑓々心行武 道の吟味を不志唯敵を実朝し首さへいと沢山に 取は手柄と思ふとみへたりつく〳〵と当世の風を見る に猿の如く也小里最伝の打亡能少しの首尾をも事と 敷言廻り作法も吟味も不志唯口先にて触れ候侍の程も 合戦部軍の時た人先に逃し主奇親の計りをもふ 顧程に成て連廻り恥も米理も不知者共へも吟味也 に抱置物の頭となし人数を預る事多し殊更左様の義 理も所も不無きおひとには進打の首にても唯はい取のき 付の高名甲付の抔と自慢し崩れ口には主寄親を 討せて帰りたも生て居て恥とも不思人先に逃迄他国へ 行ては武勇者に成り互に生延助りたる傍輩を古の武 簾の證人に立合て成立者多しと見へたり殊に負軍 にて主組頭の討死する上は能兵は皆義を守て打死 し生残る者共は互の恥をも吟味をも不知公義弁舌を 本として物前の首尾迚も人の取たる首を拾ひ又は奪取人 を助ても相打と言猿賢き人共成は偽は多く実は少しと 見へたり凡士は首は不取手柄はせすとも事の難に至て 不退主君と枕を并べ討死を遂忠節を守り是を差 て侍とは申也譬万々の手柄有とも義理恥を不知輩 は物の吟味をせさる故幾度の首尾有迚も一ツも浦山藤は 不思心にて心を磨我十分に強みと思わぬ手柄は脇ゟ 巻か迚手柄とせす義を守り忠を守りてする士は一度の 手柄も奥深く思ふ也受幼少の時分侍の風義を見るに 物毎大様にして肝要の弄を専とし三度四度の鑓を 仕たる兵も又大軍を指引し軍配を取て勝を得たる侍 大将も其功にほこらす仮初にも我身の誉を不言只 義理をのみ専とし兵炎矢極ても終に敵に不降忠義 と共に死を収くせし故譬は九例のむ底を見る如く奥 深し次第に世下り信美ならす皆利発名関に走り忠義 忠節の志仮初にも不有と見へたり人大禄を以て招く 時は普代の主君を捨二君に仕る輩甚多し其志は 物に触て移安き物なれは仮初にも士道の外を見 関へからす朝夕身を習わし馬を乗り弓を射鑓を 遣ひ太刀打学問をする共忠義忠孝を聞武功有 者を集め軍法の謀を聞習士卒を懐け民を安撫 し道を慎一度甲の結を〆鑓長刀を提天下の難義救ん と志は侍の役也兎角士は忠義信のみを以て貴事成は縦 主君ゟいか様の悪敷振廻をしられ恨に思ふ共必謀なし 又他国へ走り余の主君へ仕へからす是悲堪忍難成は主 者の馬の前にて忠死を致事尤也常に我か身の行に たも詩歌文学茶の湯の花奢院流を仮初にも不可 存唯二六時中弓馬を嗜み智仁勇の士を招集の功を 励し仮初にも本奢成事と利発とを不可見聞必ねぬ なく成て死所にて不死得もの也士は士の捨有然に他事を 好士道を執失ひ武道の事を脇へなし茶湯歌道蹴鞠 公義弁舌をのみ守とし手ぬるき事を好奴原をは時 刻を不思答を可刎もの也右開巻ゟ退口名持追集所 皆古法を以書置者也他は不知信玄鎌信の両家を始 猛き弓矢の家中扨は御当家の軍法是也必す他事を好 武道を不可取矢近代侍の作法次第々に利発に走り仮 初にも逢銀米銭の物語りし若武辺の咄する者をは見 たくなひ咄抔と狂人の如く言なすと見へたり浅間鋪末 の世哉と泪を流す事多し皆侍も町人の如く成も末の 代の印と覚る也世と同しく有ことも侍の格を立へし蓮は泥 中に生してもあへて不穢と言事有唯義を重し死を 善尊に守り人間を嗜み天下の治乱を以て夏一身 に掛唯明ても暮ても一心に君の為天下の為に鑓長刀 ひ執て死んとのみ可慎者也仍如件 九月九日 九月九日同平八郎藤原忠勝 一本多美濃守との 同 同出雲守との 家老中え 参 同 19463 金 ▼ 同断