求身抄

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伊勢貞丈編
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2026-08-17T19:23:21.343Z
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伊勢貞丈編
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キュウシンショウ
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東北大学
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2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
将軍総盟 求身抄 求身抄 以テ購入セル竹精博士 一狛野亭吉氏書 狩野氏図書記 一足踏の事胴を真直にして足を八文字に踏へし 両足の間の広きは我矢束のたけほと踏開へし 過 一つかされも悪し廣きたるも悪し 一膝はいかにも伸して柱を立たる如くすへし膝 を折り屈るは悪し 一腰の事いかにも右の方へひねるへし如此すれは 腰しまる也腰ぬけたるは悪し 一押手の事左の肩は出とすへしさし肩なるは悪 し入肩なるも悪し弓手の二の腕をふせへし弓 引時二の腕に力入へし弓捕るたる手くひ内へ も外にも折たるは悪し真に弓を押すへし大指 人さし指の伎にて弓を押すなり手のひらにて 押すは悪し 一芥手の事右肩はさし肩にして肩の上の丸みを 前へひねり向けへし右の肩落たるは悪し 一矢筈を取事大指と人さし指の間に筈を挟みて 引也人さし中指は大橋の頭にそつとかけ置た るはかり也弓を引時は臂に力を入て臂にて引 べし手首にて引は悪し引時臂殿を段々に下け 肩まて引さる を他流につけ といふ て背の方へ引込せは矢束能引るゝ也ひちしり の立つは悪し筈を持たる手は手の表を内へ向 一芥手つかさる事 とのケ条下に 見へたり へし外へ向るは悪し引付てこふしをは肩の上 に置へしこぶしを肩へ付ると付る事ならさる との二品あり人の骨篩の生れ付又は肥たると 痩たるとにより遠有二品の何れにても臂たに 能しまれはよき也 一頭は頬を肩の上に置て胸の方へ真向になる心 にてよし仰たるも伏たるもなけたるもそりた るも悪し其にすへし 一目は的をいかにもねたましげに見入て余念な きをよしとす 一気の事足をふみ定るより気を臍下に鎮めて気 をはるへし気を張されは身の内弱くて勢なく しまりなくて悪し気を張るとは息をつめる事 にてはなく気をましむる也 一矢払の事矢をつかうには腕を伸す屈す乳の通 にてつかうへしは腕をはり弓のうらを伏過た るは見苦し矢かまへ前へより過れは片打上に なる也能程にかまへてきつと胸をみて其顔持 にて打上へし 一打上の事相の立上る如くにすへし打上は諸打 打上とは歩立に言打 起とは騎上にいふ也他 上を好へし片打上は悪し諸打上とは両手をつ 流には歩位に打起 といふは故実にたかへり 胴根よわき事の ケ条下に見へたり 気を備するとは服 へ気を込て腹をふく 一らかず也出入にいきを り合て同様に打上る也片打上とは弓手を上て 馬手は下る也諸打上は引出ろすによき也片打 上はおろすにあしき也打上る時打あくるに つめるにはあらず つれて腹の引込あり悪し気を満すれは後引込 一他流に引取と云 事なし又打上る時頭を前へさくる事有へし 一打おろす事大鳥の羽をひろけており下る如く にすへし左右の手つり合てゆる〳〵と滞りな く打上て引おろすへし顔の通りに芥手を引出 ろしてこぶしを肩につける也又肩につける事 ならす眉の上にあるもあり何れにてもひぢた にしまれはよき也 一他流一 にたも ちと云 ちと云 ○ひかへの事是は引てたもつ事也押手 の二のうで葬てひぢ尻に力を入れつり合てぬ 方を能調るためにたもつなり猥に久しくたも つにあらすあまり久しくたもち過たるは悪し また余りはやくはなつも悪し程能は功を積て 独しるへし 一矢所の事是は胸をねらふ事なり遠くも近くも 的にあらうらへし先打上る時こぶしにて胸を わり引付ては挙の上弦の内弓の外かとより明 を見るへし扨目付所はうしろの下也近き物を は酌をはつしてうしろの下二寸さけてにきり 上六寸より見て放へし如此云を悪く心得て二 目つかひ出来る事あり悪き事なり挙の上と云 も弓の内もと外もとゝ云も自然に押あてかふ 時みゆる事成を一度此くせつきぬれは直りか ぬる事あり 一放の事押手の二の腕前手の臂しりに力を入れ はなさんとする時 左右の手出すと引 と双方をつりあひ とくと両方つり合せて引かためて扨そつと放 一トしめしめなから そつとはなすなり 此下シめしめるにて つへし如此はなせは矢所あやまたす矢構より 放れ又こやか也八九 分引込て放つべし 十分引過れは却て 矢弱し下のケ条 惣て矢わさと云 打上引おろしひかへまて能調たりとも敵やう 悪けれは矢所大に違ふ也されは古人放を至極 所見たり 大事の事といへり敵やうゑとは大放小放送り はなれ等也此事左に見へたり 一大放の事是はあらけなく放す事也是は臂にも 入らすして腕首にはかり力入たるに依て我力 はぬけて弓の力まさるに随て放す故あらく放 れて矢は高く行也臂に力を入て引かためてそ つと放すへし 一小放の事是は押手前手と引かためす不調にし てそつとはなす故矢勢弱く落る也押手苅手を つり合せよく引かためて扨そつとはなすへき なり 一送り放の事二品あり放さんとする時荊手の拳 を弓手の方へ送りなから放すもあり又放て後 苅手のこぶしを弓手のかたへおくるもあり我 力に勝たる弓よりおこりたるくせ也よはき弓 にて押手刈手をつり合引かためて射なをすへ し 一ゆるす事引こみて放さんとする時ゆるむなり これは矢束を引返すより起るなり臂に力入れ す腕くひはかりにて引くゆへしつかに放す事 ならす放さんとするとき其あてがひをはじめ てする程に昇手ゆるまるなり是また弱き弓に て対直すへし 一能あてかひたれとも矢所さま〳〵違ふ事は皆 押手其手かつり合すそろはさる故なり又両方 つり合たりともはなしやう惣けれはみな違ふ なり 一矢前へ行ハ押もの力過て其手の力たらざる故 也又弓の本はずの方仰たる故也又身の内よは けれは前へ行なり是気を張らぬをいふまた右 のひさ引こめは前へ行は前へ行也又矢細き故也 一矢後へ行事第一押手の肩根出すき芥手の臂口 うきはまへより手さき後付也又弓のうらはす の方ふせは後へ行也 一矢高く行事弓手の肩根おれ過中くばなるは矢 高く行く又弓手のかた取さし引のきあるも高 く行又芥手引下けたるも高くゆく又放あらけ れは高く行也 一失ひきく落る事不足なむる事不足なれは落る なり又射くゝめは矢おちるまた芥手よりつよ くはなれ手先の二のふしより肩まてのたるみ あれは落る又しめさかり也引口に早く手先す わるも落る也 一筈を出るきふる矢の事是は天手よりはなるゝ ゆへなり 一およく矢の事是は手先より放るゝ故也 一何れも矢いろあるはかたはなれと知へし是は かけわたしに矢先少下りたるかよし 一矢よわき事十分に引れたる故也八九分の内に 放すへし 一矢ふくら近き事是は放す時勝手つよく手先は うしてよりいつきつりあくる故也 一はやけの事第へ小引なる故也第二うしろ浮き 立故也第三勝手下たる故也第四矢箟をとるに かけくちあさき故也第五身と弦との間遠き故 也又我力に勝たるつよろより起る也 一手の内大指の根あく事いかにも手の内やわら かに握てせたけたか指をとりかく様にて射也 一左の角さし肩になる射手の事是は手先を高く あしを広く左の腰を右へ引やうにて射 一右のかたね折たる射手はかまへより肩口に心 を付てちとかたをさしかけへしさし肩なる対 手うらおもてになすへし 一肩骨出肩を打事第一弓をかさねはやくおさま まる故也是は右の足を前へふみ出し弓を伏か けおり付て可射 一弓とり落す事差悪也其故は放れ無念無想なれ とも手つまきりさる故也さやうなるは我方よ り弓返りするやうにしてよし又は手の内強過 たると知るへし 一二重押の事弓を引く時押手を二度に押す也此 くせは堀と苅手の手の内かたき故也 送りはなし又一 つけはなれゆるまる事第一引口しめきわ強き故 つけはなれ共いふゆる めてはなす也是も絶 弓をむりに引て引き 口しめきは強きより 也いかにもこゝろをしつめひかす矢束のこゝ おこる也 ろもちにて手首よりはなきすひぢ口より放す やうに射へし 一むねへ。せきかけくるしき射手の事是は腰の折 れ過たるゆへなりまたはひきのき肩さしたる 故としるへし 一弓を射かづく事是は第一引のきあるへし放れ かつくはがげる也 きわ。しめさげ。上は筋よはき故也 一対くゞみある射手の事此くせは。はなるゝ時対 一村手の引のき同し 右の方へかたむきて のきあるやうに射るへしいくゞみは片拍子に 引くせ也 手斗つよき故也 一手を打つ事第一弓をにきる手の内あささ故也 手の内浅きとは弓を人さし指大指の岐へ深く 入れす指さきにて弓を握り手のひらにて弓を おして手くひうしろに折れ腕をまへ口そらす るゆへ手を打なり又は緩とけと知へしゆるむ 所はふしより肩根まてゆるむなりまたしめき かりもあるへし 一射はなしてかけむすぶ事是は放さんとする時 かけくちむすびたる物のとけさるやうにて放 しかたきなり此くせはかけくちしまり過手首 の力にて引てはなすゆへ也いかにもかけを和 らけひちの力にて引かため臂切に対へし 〇此間に弓かまへにかけのうらくひ折るゝ事 といふけ糸入へし書をとし也未に記す 一手さきまかるゝ事是は弓持たる手うしろの方 ゆり給くを云手先の足うき立故也左の足に力 を入れ少腰のやむ様に射へし 一前をしする事放て後弓を向へ押出すくせなり 是はわさと弓かへりをするゆへ也ひぢきりに 五日も三日もゐるへし弓返せぬこゝろにてい るへし 一ゆつく事放て後押を以て物をこづくやうに 押手をこつくなりこれ又わさと弓返する故也 強く弓を握左右の腕の力を揃へ弓返をせぬ心 にて射直すへし 一思ひの外力なき事是は矢構より引付るまて余 り強過たる故也 一押方の肩おち入肩なる羽手の事是はかまへよ り二のふしをふせ肩を高くいせかけ左右をつ り合引へしたとへ肩入かゝりたりとも矢はよ かるへし 一放れよわき事馬手のひちに力を入もぐへし 一地立のよはき事右の足を一文字にふみて指に て土をかゝへ弓手の膝を少前へたはめむねを すくま立て腰を前へ出しむねを入て射へし 一頭持の悪き事右の目頭にて弓手の目頭を見て 射へし 一引のく事是は弓引くに右の方をかたむき引也 強弓より起るくせ也釣弓にて少射くゝむ様に して引へし 一引のかする事是はうしろへそる也気を張ると 云を悪く心得て息をつめて引込故也 一腰のく事是は腰を左の方へひねるなり悪し右 の方へこしをひねり射へし 一肩をよする事両方の肩をさしかけてよする也 強弓に肩を引よせられたるなり釣弓にて射直 すへし 一放し煩ふ事左右の心の拍子と気と掃きるに依 てなり油断よりおこり且は心得やうあしくな まじひに矢所をあらかひ押手芥手にちからを 入るなと云て一念の調はすしてためらふゆへ なり 一二目つかひの事まをみるに矢所を了簡するな とゝて酌のあなたをみて目付のさたまらさる なり正経を専らとしてこゝろをあらためて直 すへし 一押手を押得さる事是つよき弓を好て弓を我力 に勝故押手のひさるよりをこるくせ也弱弓に て先近き物を射て射直すへし 一芥手つかさる事是はあなかち嫌へからす能つ かんに於ては云に不可及たとへ外手はつかす といへとも腕首斗にて押付たらんはいたつら 遠 事にて矢所も違へし矢色も悪かるへし 一胴根よはき事は又是気の満さる故也 一弦遠き事是は弦と身の間遠き也是はかけの大 工ひの根よわくかけてかけてかけのうして上すちた るむ故なり 一弓の方のく世は皆我力に勝たる強弓を好むよ りおこる也弓の力に引立られて我身の固めを とり崩す故にさま〳〵のくせ起るなりと古人 はいへり弓のくせを直さんとならは我力に自 由に引るゝ弓を以て心まゝに我身の固めを調 へて射直すへし 一弓もふし身もしつみ引わたしろくなる群手は 矢強く徳多ししかれとも矢数なとにはきらふ 事なり 一捻て失わざには引しめ八分九分に放すへし八 分九分は十分にあまり放るゝもの也能々たん れんあるへし引こししめきはつよきも十分に なるへし是は心はや立ちゆるみけになるなり あとに心をのこし矢つかひひけ又とゝ思ふう ちにはなしてよし 一弓は弓。弦はつる。矢は矢。といる事本義なりその ゆへは手の内強きは弓にてはなし○つるに強く あたるも強にてはなし○又矢簑をつよくしめ るも矢にてはなし◯此心方弓によし秘説也 一就稽古禁事あり 第一弓のかすきくるにて不可対 第二稽古の時勝負射へからす 第三酒に酔て射へからす 第四かつへたる時殊へからす 第五物くき時射へからす 第六ひんかゝすして射へからす 第七す手にて射へからす 第八射る時たはふるへからす 第九槌打へからす 第十嫁事犯すへからす 一弓かまへにかけのうてくびなるゝ事かけくち をやはらけひぢににこゝろを付かけの大指を 上る様に可射也 愚 学射百未熟幸家伝有射芸之書記者書 跋 中摘最緊要者以為一冊一通之於歴右 且暮読詞欲以為射芸之助爾 宝暦十一年辛巳六月十九日伊勢平蔵貞丈書 20679