死出乃山路獨旅

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白陰禪師 作
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2026-08-17T19:23:15.275Z
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2026-08-17T19:23:15.275Z
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場所: [出版地不明]
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白陰禪師 作
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日本語
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[出版者不明]
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シデノヤマジヒトリタビ
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東北大学
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ハクインゼンジホウゴ
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2025-11-13T05:41:17Z
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2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
白陰禅師法語全 死出の山路独旅 白陰禪師作 荒井恭信氏ノ関附会を 以テ購入セルヿ引伝十一 陰禪師作 帰命頂礼七仏蓮台、築が親方釈迦牟尼如来が、肝 心要の小歌の文句をじいさんばゝさん皆さん 聞てもくんない、諸行は無常じや、是生は滅法じ や、生滅々已て、寂滅為楽と、あつても知れぬで、弘 法大師がいろはにほへとでさわいでをかれた 夫でもわからにや、大小取交ちよんがり坊主が しやべるを聞んせ、ほんに浮世ははかない物で な、人間万物山でも河でも、日月星辰竹や木がや も、花咲や散ます満ればかけます、生れや死ます 有物は無クなる、夫で皆さん千年万年暮そと思ふ て御座路ふけれども、うか〳〵する間に無常の 嵐が俄に発と、鬼とも組よな強気な男や、天人見 るよなやさしひ女中も、出る息一度止るが最後 最早傍へはよれないさまだよぞこで地水火風 の四大は元へ戻りてなくなるやうだが差引残 りて一ツの魂一生なしたる善業悪業、是には元よ り形がないから、土にもならねば灰にもならず に、善業は善所へ、悪業は悪所へ、因縁次第で六道 経めぐり、天道人界、地獄や餓鬼道悪名ばかりで、 牛にもなつたり、馬にもなつたり、鳥類魚類の形 を受ては、浮つしづみつ、とんだりはねたり、死だ り生たり、定まりなければ、こゝらの道理で、諸行 は無常じや、是生は滅法と、申た物だよ、是ではす つはり安気がならぬで、佛や笄の、教に随ひ、精々 進んで、修行に実を入れ、貪瞋煩悩の、根を切枯し て、六道生死の、機綱が切れば、是が即ち生滅が己 で、こゝに至ると、此身が此侭、真実無相の、悟を開 けば、月を枕に、虚空にねころび、微塵世界を、一目 に見晴し、信心清浄、修行も清浄、こゝらの事をば 寂滅為楽と、云ふたる物だよ、夫レから御釈迦や、阿 弥陀や、観音勢至や、地蔵と肩膝並べて、誓願衆生 の、手船に棹せし、十方世界へ、神通自在に、現世は 勿論、無始劫以来の、父母兄弟、伯父や伯母ごの、六 道に迷へる、苦患を救ふて、皆々安楽世界へ道引、 生死の根も葉も払ふて、七宝荘厳、台に座せしめ、 百味の飲食、自然に備はり、天の羽衣、心の侭にて、 微妙の音楽、耳をなぐさめ、五色の天華を詠めて 楽む、とゞのつまりは、仏にするのじや、なんは皆 さん聞分ないかへ、まんざらいへでも、ないなら 聞ん勢、人々御所持の心と云ふやつは、是ぞと申 て、しかと致した目鼻も手足も、ごんせぬけれど も、物ごと自由な、わろめでをじやるぞ、佛も産出 す、地獄もあみだす、夫で皆さん油断がならない、 さいぜん云よに、無常な浮世で、じいせんばゝぎ ん、いふに及ばす、若い達者な、息子屋娘も、直に今 宵が未来に成やら、どうやらこふやら、知れない 身の上、うつかりして居ちや、つまらぬ物だよ、い へでもおふでも、忽ち此世を、老も若も振捨行の 一人死洲の山頭狸方 は、承知で居ながら、よそ目に見ている、頭のはて から足の裏迠、欲でかためた、心の姿を鏡に冩さ ば、二目と見へまい、千万劫にも、得がたき身を受 人間世界へ、生れて出ながら、餓鬼や畜生地獄の 振舞、高いも低いも、貪欲色欲朝から晩迠、晩から 朝迠、居るにも立には、名聞我慢で、月日の輝く、明 るい世界を、まつくら暗闇境界本来、佛にかわら ぬ心を、十悪八邪の、不浄をぬり付、すつぺらべつ たり、穢してしまふて、我と我手に、悪事を申て、人 は殺さず、火付はせぬぞと、是等の外には、有まい なんどと、口先よければ、見惑思惑の、微細の様子 を、ねつからはつから、御存知有まい、たとへ知り ても、行作がわるけりや、まざりの時には、役には 立ない、冥途の方から、使が来た時、どうなとこふ なと、断申てお見へれ、閻魔の目玉に、ひさしがつ ん出る、其時皆さん、あわて騒て、うろたへまはれ ど、なくより外には、しやふが有まい、夫から行先、 いか成所じや、どふでも行先き、よいこた有まい、 自分がふところ、自分が承知じや、教の下から、算 用して見て、心で心の、異見をおしゆれ、毒と知り 一夕出の山の山王夜方 つゝ、毒を喰よな、病人どもには、耆婆や扁鵲、如何 なる名医の、療治は届かぬ、夫て仏も、縁ない衆生 は、済度はならぬが、無仏性じやの、なんじやの、か じやのえ、しかりておかれる、無佛性とは、如何成 人者よ、断見常見、世知辨懈怠の、因果の道理を、弁 へなくして、三毒五欲を、我侭気侭で、釈迦の教の、 十善五戒も、天照太神の、六根清浄も、孔子の教の、 五倫も五常も、ちや〳〵むちやくちや、言捨聞捨 用いぬべからが、世界に多いで、夫故地獄が、へた けた繁昌、虎の皮成、ふんぞしかいたる、青鬼赤鬼 目には見へねど、世界へ入満、いかな尊ひ、上々様 でも、馬士や船頭、乞食長者も、悪業邪業の、重ひ軽 ひが、つぶさに残らず、手帳に記して、毎朝毎晩注 進致せば、閻魔大王、其余の冥官、皆々集り、御評議 なされて、命を奪取、娑婆の妻子や、六親眷族、別れ てかなしみ、なげくもいはわず、サギタ々々火車を 引立、載行ますれば、三途河原で、裸につんむぎ、い もじもさせずに、素足で追立、閻魔の御前に、引す へますれば、向ふに建たる、浄はり鏡に、娑婆に居 た時、身口意三つで、作りし罪咎、はつきりきつか 七巳の山各蜀衣 り、移りて見ゆれば、うんともすんとも、いざこざ いわさぬ、そこで遂一、吟味が終りて、罪の軽重、品 々分つて、一百三十、六種の地獄へ、夫々役目の、獄 卒共らが、早速受取、罪人其をば、追々おい立業風 はげしく、炉炭の焔で、天もこがるゝ、うづまく釜 入、追込なげ入、ゆでたり、むしたり、しつかい、割木 のもへさし見るよな、こげたる屍を、銕の棒にて、 引ずり出して、鉄の臼にて、搗たり挽たり、大盤石 にて、骨身を押たり、金箔打よに、五体を打延或は 鰻の蒲焼するよに、ひち〳〵する身を、さき割、す だ切、銕きに掛ては、ふいごて吹たり、扨又大事の、 いとしひ男の、肝綿刻みて、審さにさいなみ、女に さし付、むりやり喰する、こちらの方では、かわい ひ女の、惣身が爛た、膿血をろくろで絞りて、男に 呑する、其外無量の、呵責の有様、色々様々、言葉に 尽せず、夫が十日や廿日でないぞへ、百千万刧、晝 夜をわりたず、逃ては出られず、死ぬるに死なれ ず、ほんに誠に、一寸息する暇もなければ、苦みさ けんで、わんわとなく声、天地にせまりて、震動雷 電、ほんに誠に、咄をするさへ、身の毛がよだつて、 ぞつとするよぶ、なんと皆さん、こわくはないか へ、そこでこのよな、責苦を受ぬる、在家の屋から は、此世に居た時、どふなと悪業、なしたる報が、よ く〳〵思ふて見せんせ、よその身の上ばかりじ やないぞへ屋つはり人々、心の楽屋で、品玉遣の、 手づまを見るよに、右から左へ、變るの早さよ、人 前錺て、慇懃叮嚀、殊勝な目付も、主人や親には、ぶ しやかなつらつき、女房小供に、鼻毛を延すも、脇 目に、あんまりあほうな物だよ、金借時には、地蔵 と化たり、戻して呉れと催促せられて、俄に閻魔 顔そんな、しやつつら、目たゝきする間に、けらり と変りて、ついしよう、へつらい、他人を欺き、懦慢 無作法、人をあなどり、神や佛の、心に背いて、殺生 すなどり、無慈悲の殺生、物の命で、妻子を養ひ、己 が邪見が、気侭にならぬと、余所の事迄、さん〴〵 蔭言、謗りそしられ、互に腹立、意根がつのれば、切 たり、はつったり、先祖や主人の、御蔭を忘て、しうと がにくめば、嫁女がふくれる、不実不孝の、火と火 をすり合、とゝらがとぼけて、二丁の弓引きや、か ゝらも習ふて、ふた舛あつかい、一寸よそから、た 一七尺の山各蜀衣 きつけられては、胸腹もやして、焼餅屋いたり、悪 、口雑言、無慚愧千万、嫉の火の手が、あがれば狂乱 おり節額に角をもはやして、首鈎身投は、晴では 有まい、親の命を、縮る大罪、ばくゑき色欲乱酒を 好みて、是等は皆々、地獄の種まき、せつかく前生 で、善事をなしたる、功徳の果報で、此身を得たれ ど、死ぬると必定未来は地獄じや、夫故佛も、やれ 〳〵不便や、何卒助けてやりたい、ものじやと、涙 をこぼして、いたわり玉へど、自業自得の、罪咎の がれず、心の田地に、蒔置種じやで、芽を切はへ出 一粒万倍、無間の苦患を、受ねばならない、夫がい 屋なら、今日只今、人間根性に、切替直して、神や佛 や、聖人君子の、教の道理を、受るがよいぞ屋、孝悌 忠信、独りを慎み、信心堅固に、修行をしますりや、 差て難儀な、訳ではごんせぬ、魚類の内にも、鯉み 申て、立派なやつめは、龍門瀧をば、はげんで進め ば、登りおふせて、龍とも成ます、狐は稲荷の鳥居 を、ひよくりひよいと、飛こへ、升れば、神にもなり 升、雀は忠々忠義を囀る、烏は孝々反哺の養ひ、折 々みながら、御目にも留らず、鳥類魚類や、四足な んぞに劣るといわれちや、一分立まい、心から底 から、むつくり起して、魂ひ入変、三宝を皈依して、 先祖を敬ひ、両親しうとに、孝行第一、夫婦愛敬、親 類友だち、誠をかゝさず、貧賤病苦の、やからを慈 み、国主領主の、掟に随ひ、慈悲と正直堪忍三ッを、 自分が勤りや、人まで見習ひ教へざれども、自然 と導き朝夕にこゝく、わろふて暮せば、神や仏の、 御意にも叶ひて、八百万神、梵天帝釈、御守り給へ ば、悪敷邪神は、どこへか逃行、無病息災、延命長久、 天下も泰平、五穀も成就、御家も栄へて、よい子も 出来ます、猶又皆さん、南無阿弥陀佛や、摩訶般若 や、南無から足納も、妙法蓮華経も、何れも無明の 根を切る事じやよ、口から出る声、しつかり〳〵、御 唱へなさると、煩悩妄想も、おゐ〳〵消はて、自然 と三昧、発得しまして、念々仏心、々念仏こゝを去 ずに、極楽淨土じや、末世の衆生は、是が近道望み の御方は、智識に近付、真実とつくり、聴聞なされ よ、口で言ても、繪書たぼた餅、聞た斗じや、お腹も ふくれぬ、経文ばかりぢや、能書斗で、病は治らぬ、 水ものまねば、冷だん知レない、六根清浄も、只是一 心一心悟れば、娑婆即寂光一心迷へば、即地獄じ や、かへす〴〵も御油断なされな、今にも無常の、 嵐が発ると、暫時まつてと、云ふ間もごんせぬ、次 第〳〵に、一時々後へは遠なる、先へは近付、死ん で此身が、どうなるこうなる、此世の果を見て、未 来を知りやしやれ、諸佛菩薩も、昔は凡夫じや、ど ふでもあの衆は、覚悟がよいから、満徳円満成就 し給ふ、さすれば各々、覚悟が肝心、日照に望んで、 井を掘ないよに宝の山にて、からでをふらずと 此一大事を、なんと皆さん、佛の道をば、打捨置ず そ、ふんごみ求る、御心ざしをば、發してくんない、 やれ〳〵心動や、 南無阿弥陀佛 死出の山路独旅終 七巳の山各蜀辰 「□「」足独方 右は白隠禅師の法語にして尊き諸師の法語も数多あ れども此法語は至極手短にして其深味殊こ勝れ且ツ 面白き口調につゞり釈迦弘法の四句の文を題とし神 儒二教の文意を加へ三教一致にして第一因果苦楽応 報の理を十分に説さとし諸人をして目下五常五倫 廢悪修善の道を勧め且厭穢欣浄の機を發起さし めんための正教なれば此度当社に於て新に彫刻せし 事なれば自然望の方あらば施本こそ致すべきもの也 東京々橋区北槙町十四番地 信德社蔵版 19181 の