長歌詞珠衣
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- 小國重年
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- 2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
狩山
巨歌詞乃珠衣
長歌詞珠衣一之巻
▽矢米酒氏ノ寄贈金ヲ
以テ隣人セル間関博士
堀野一一一一
○近き頃高学の道之さかりにおこりて古事記曰本紀万楽御代
々の古き奇書を見て古風の歌をよむともかし多くいて来に
けりそれかおかにしも長顕は岡部の氏県居大人
かも
県主の教へ
真渕
給ひしより人皆亡みならひて仮名つかひも古の書によりてそかく
事とはなりたれとてにをはの事はこまかにあきらめたらす人も
なくてあんめれは長春しみちか歌ともに乱れてとゝのひあしき
か多かんるを古風を好みてよむともがしも多ら言葉のふるく
耳とほきをゑり出して人の耳をおとろかしあるは四夕三勺
廿勺八勺なとやの乱句を好みて歌のしら道のおたやかならぬなとを
古風とおもひほこりててにをはの定りあることなと露知らすして
おのか心〳〵にまかせてよみきわれはほゝひかめる哥なんおほかるを
吾本居大人
平朝臣
定長
てにをはのことわりをあきらめ言葉の玉の玉の緒
てふ書をあらすし給ひてより二ヶ度世に明らけく是六とり見る
人は草〳〵のしけきてにおすもとけかたきふしもなくなか哥みしか
イニシヘフリノチノヨフリ
一度古風近風ともに何れもよく知らのへることしはなりにけりしか
はあれ共長顕そのつゝくるさまにいろ〳〵のあやありて詞のつゝきも
おのつからなかくしあれは疑哥とはいさゝかたかひあんりて
出のれよく詠得たりとお見る人しもやゝとりはつしてはその定格
をあやまつたくひなきにしもあらねておのれいにしへより長顕の定
損とおもへるひとつ〳〵に引出して是の捨くれの橋とそ書はやるは
その定格をつふさにさとさむとてなりまついにしへより小長哥といふ
ことあれは今七勺より十五勺迄め哥をまた一首のうちに対句をお
きてよめる故多けれは其対句小長歌とし十六匁より五十匁迄を
中長哥とし五十句より夕数のおふきをは皆のうちにし種々
定指ありて二句宛二句つひし二勺つゝ四句つひ大長歌とさためて
あけつかく三ツにわけされは其よししめしかたきか故になとし
四勺と四句とつゐし四句と六勺とつひし三勺ならへ対し一句あらへ
対する事もあんめれは今それを委しくさとさむとてその勺毎に
何くれと名目つけて下に出しぬ如此名称をつけされは委しく
はさとしかたきがゆへになりこは人の耳をおとろかさむとてこと
好みになつけしにはあらすなん扨其闘句をあけはくはしく
さとさむまつ一句尉は
おきそやま
二勺対は
かたまもよ
かたまもよみかたまもち
ふくしもよミふくしもち
みぬのやま
ふくしもよ
四句連尉は
いくひをうちいくひにはかゝみをかけ
六勺連対は
さかしめを
まくひをうちまくひにはまたませかけ
くはしめを
ありときかしてさふまひにありたゝしたちかをもいまたとかすて
四勺長尉は
ありときこしてよはひにありかよはせをすひをもいまたとかすて
をひちるしつくのたるはかりかねもさむくきなきぬ
にひはりのとはのあふみもあきかせにしらなみたちぬ”
並対は
ほつへのあめをおへり
中つえはあつまをおはり
しつえはひなをおへり
如此くさ〳〵に名目つけて次第にそのつゝけしさまをいゝへり皆是
におそらへて知りへし此定指定りある詞をつらぬ念せて長く
もしまた短かくもして一首とはなせるものなればいさゝかもこの詞
の指にはづるゝ時は何程かるはしき言葉を集めて詠いつるとも
言葉のしらべとらのはすしていみしきひかきなるものをや長形を
好みてよまむならは此詞のつかひさまをさとりえてよむへき
わさになむ○てにをはは糸のことく言葉はときぬのことし
たとへはそのてにせはの糸をもて長くも短かくもうちかへしも
かさねもして対のことは言葉のもとすゑをあはせて一首しらべ
よくとりのへかるはしきあやにしきをたちぬひて衣となしたる
らんやらによまゝほしきこれそこの糸もて衣をぬへるわさともはら
おなしことになんありけるしかはあれとも上つ此と中つ此とはあなし
さまにもあらでをとこをみなの衣はいふもさらなりあるは袖のひろさ
せばさ丈のおかさみしかさなむと種々の違ひはあんめれはくびは
かみにつけすそは下につけ袖はかたへにつきてあることは古へより
今か世に至るまて何れの衣とてもかはる事なししかはあれ
とも上つ代と中つ代とは其衣となすへき絹のうしうへのたり
へるふしはなきにしもあらすなんまた世ゝをふるまに〳〵その絹は
にも種々のをり縫いろ〳〵のあやにしき咎なれぬさまなんと多く
いて来ぬれともかのてにをはの糸もてぬひて衣となさむにはくひ
と袖とすゑとのわかちたしかに定まりてかみと下とのたかひ
はをさしなからき是そまここの定格にはありける
○またてにをはは糸のことく言葉はとききぬの如くにして種々おほ
うれ共其絹のよくさあしさを乞く見わかちてかの糸もて本
末をかな合せて衣となさられは袖にはあやにしきをつゝりなから
すそにはあしたへをつけしやうのことどももいて〳〵めり短歌
は句数のすくなきものなれは見る人もそのけち火を早くさとり
ぬかを長顕は長きにまとひてひかことましれるをもたやすくは
見わかちかたきふしもあいめれはまして初学ともかしなんと
おかくさへつゝくれは長哥とのみ思ひよめるからたえは草〳〵
の絹をつき合せて衣とはなせれともそのさまのいやしく
告書のたかへるやうの歌もいて来ぬるものなるをや長歌をとる
むとおもふともからは先此言葉のあやにしきを見せりちときき
ぬのからうにをさとら知りて大宮人のかんの衣をぬひたらむ
やうにそよまゝほしきわきわさになん有ける何程かるはしき
あやにしき成りともそのぬへる手のつたなからむにはなか〳〵に
あらみゆへの衣よりも其さまいやしく着さま迄もみくるしき
ものにかししやはこのことをくにみてき上り行されはかならす
長哥はいてくましきことそ
○近き頃詞の道明らけてなりぬる侭に短哥または文章なと
はこと〳〵に時代のふりをしたゝすめれと長歌はそのよしをいへる
ことなきにしもあらさなれとも文章抔どりは稀にして見せす
人の多きはいかなる事そや長哥とても同し事也先神代より
神瀬朝倉の御宮の頃のあたりそのさまもおほかたおなしかり
つるを藤原の大宮なしの大宮の頃よりもやゝうつろひそめて
今の大宮の始の頃は一きはかわりたりしり上つ代と申つの代とし
かはあれとも其立捨にいたりては露たかへるふしもなして只其
ことのはのつゝけと対句なとひやかなりしらべかはれるそなれは
長顕の定撫のたゞしきことはこゝにていてしるしよくちか類を
考長哥はことに心をつけてよまゝほしきことそかしそのよし
は四め巻の初丁より三丁めからまてにさとりてくはしくいへりき
見ら見しいまその事をおのれはしめて言いたせるからめつ
とおもひうたかふくもなきにしもあらねは神代より始めて
なしの頃今の都かはしめまての長顕のあるかきりをひき
いたして證前にあけつよく〳〵味ひてそのけちめをさと
御座候
○長歌はよみさまの種々あるなかたも人々のふり左へよりも歌人
たちのおのつかしみなはりてひそ〳〵の定挨のやうにおんなり
にけるまつそのことをいはむにかけまてもかしこき大御代々の天
皇の大御ふりは申さむもかしこく又大御歌の数もすくなくし
あれは其外の人々の歌をあけてそのよしをいふを味ひさ
とるへし柿本朝臣人麿は常に対句を好みて対句なき歌
はよます万原集に数多あれとも対日なき歌は一首もなし
ことに対句を一首のうちに多くよみつれたか哥なんおほかり
けるその中にも連対勺長対句をまじへたる義どもをよめり
山郭宿祢赤人は連対をおほくなんよめるなににも四百連
対句をのみおほくよみて長対句をよみいれたるなと対句なき
哥とは一首もよます山上臣悦良は対句建勢長対句を
一首のうちにてみいれこまかによめることを旨世はよめり笠
朝臣金村は詞をはなやかによめるを旨思して対句をよみ
いれたる歌もたゞ一二首折みにして其外には見あたらす大伴宿
祢池その二勺尉をよみつれし哥のみにして長対句連対
句はよます是も対句なき歌はたた一首の類也大伴坂上良女
は二勺対をせみよみて長対句をよます連対々をよめる歌も
たゞ一首のみ也また対句なき歌そおほかりける大伴宿祢
家持今の二勺軒をのみ多くよみいれたまへりまた対々なき
別も多かりける是等の人々の外ニは大伴宿祢旅人郷久米
朝臣廣縄車持朝臣千年野君足人高橋朝臣出唐
丹比真人国人葛井連老大伴宿祢三中丹比興人笠麿置
一始東人境部宿祢老麿文倭部可良麿是等の人々は
皆対句をよみいれたる哥多けれとも我数す念けれは其
人々のむねとよみしふしも見わかち難くなん有けるかゝれは
いま長歌を好みてよまむとなしはたゝ声の歌を朝夕に
よみなれきしなれてよろしたふしをりきまへしりてかりにも
わたくしのさかしらをかふへきにあらずふるき跡につきて
なんよむへきことなりける
〇対句二勺対句連計勺長対句三置対句と種々名を付て
証哥をしるせり其中にも連対と長対とはわかりかしき
故にかたへに墨引をしてその句のさまをわかてり比しるし
をよくさとりて語哥を見るへし先つ一夕尉は引二勺対は
一四勺連尉は
□
□
六勺連対は
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□
長尉は
何る迄もみな
一同同四勺六勺長村は八
かくのことし
十月
□□
その外十二句十六勺何句
三並村ハ同
まてもみなかくのことし
語哥とを合せて其言葉をさとえし対句の中にも是付は
四日八勺
ことなることありて
六日十二句
とやうに対したる格なり是深かの
対句とはそのさまかわれり此対句古へはなきことなるを藤原
宮の頃柿本朝臣の歌なとよりやよみはしめけむその後にいた
りては人々好みてよめりしかし此対句は中長歌大名形に
おほくよめる様也語哥を見て知るへし
○古事記日本紀万葉集迄に凡て長顕三百四十二首あり
それか中に一首の中に二句対一ツをよみいれたか哥八十七首
対句なき哥七十二首四句連付をよみつれたる哥卅首二ヶ村
二つよみいれたる歌二十三首二勺尉三ツよみいれたる十三首
起句となかしとに二句対ある哥八首起句に二勺対をおきて
よめる顕十一首また対句なくしてうちかへしてよめる声
ある是対句をよみ一れてうちかへしてよめる前と合せて
廿七首右の八体の哥数二百七十壱首也いま是を除はのこれ
馬寄七十一首也此前には種々の格ありてこはよく長顕の
心を得されはよみかたきふしぞ多かりける今の代の人々の
詠いつるも此八躰には過すおん有けるこのは体にあらす
してよめることは誠に上手の上ならてはよみかたかるべし
初学の輩なとこの八ツの体にはつれてよみなはかへりて
いみしきひか哥のいてきなんことのをや
席詞のしるし
詞珠衣一之巻
〇連対一つ二句対二ツをおきてよめる格
古事記
古事記上八千弟神御歌
八千弟神将督高志之沼河比売幸行之時到
其沼河比売之家歌曰
起句六句に次六句連対一つる次二句日次二句対一つり次二句。次二句対一つ日
次終旬九旬日合三拾九旬日中長歌
やちほこの神のみことはやしまくにつまゝきかねてとほ〳〵し
二しのくにゝ
さかしめをありときかしてさよはひにありたし
くわしめをありとき也してよはひかしありかよはせ
たちかをも
いやかたとかすて
おそふしひ
をすひをも
をとめのなすやいたとを
いまたとかねは
ひこつらひ
我たゝせれは
青やまにぬえはなき
○さぬつとりきゝしはとよむ
は青やまにぬえはなき
○にはつとりかけはなく
我多ゝせれは
○にはつとり
うれたくもおくなる○このとり。もうちやめこせねいしたふや
あまはせつかひことのかたりこともこをは
此歌の格古事記日本記万葉集の長哥のうちに是一首にして同格の
歌見あたらずしかれとも六句連対をや句連対によめる歌あり勿数の違
へるのみにしてすへては同し膳なりいま次くにあけつ○また此詞のうちに
青山にぬえはなきといふよりかけはおくといふまて六勺は三並対句とも
いふへきかともおもへと何とかや匂のつゝきさまぬつとりと庭つ鳥とを対に
して青山にぬえはなくといふ二句は上なるをとめのはすやいふとゝいふと目也
青山も松詞にあらすして
さまにきこゆれは
かくはあけつ
二ノ巻十
万葉集
八丁ら
同同年年同柳本朝臣人麿従石見国別妻上来
時作歌二首并短歌
起句に旬え次四句連対一つ次六勺。次二勺符一つ江次十句次二勺封一つ日
終句五句日合三拾九勺日中長歌
うらなしと人こそ見えめよゝゑやし
石見の海
角の鋪回を
石貝の戌年の浦目をかたなしと人こそはらめよしみやし
うらはひけとも
いさおとりうなひをさして和多豆のありそのありそのありそのありそのありそのうへに
かゝはなけとも
下十三日序
朝はふにの風こそよしめ
玉もおきつも
夕はふる
夕はふる波こそきよれ
おみのむた
かよりかく
かよりかく玉もなすより妹をつゆしものおきてしくれは
よる
このみちの八十くまことによろ豆たひかへりみすれと
いやとほに
いやたかにし
里はさかりぬ
なつくさの思ひしなへてし母ふらむ妹か門見む
山もこえきぬ
おひけ此山
反歌
いすみのや高つぬ山の木のまゆもわかふる袖を妹みつらむか
さゝか葉にみやまもさやもさわけともわれは妹思ふわかれ来ぬれは
いはみなる高つぬ山の木間ゆも我袖ふらをいもみつらむか
二十二
同巻丁ウ
起勺二勺同次四勺連対一ツ。次六勺日次二勺対一つけ次十二勺日沢二勺対一ツ江次
終句七勺え合四十三勺え中長歌五
石見の海つぬの浦をかたなしに
からおしと人こそ見えめよしゑやし
石見の助つぬの浦を出たなしと人に奉見らめよし恐やし
陣はおくとも
潮はなくとも
いさなとりうみへをさして粟田津のあらいその人に
下十二日序
あらいその
あけくれはなみこそきよれ
おみのむた
かあをなるたまもおきつも
ゆふされはかせこそきよれ
かくなすおひきなひきなひきなね也しきたへの妹かたもとを
露しものおきてしくれはこのみちの八十くまことによろ豆となび
いやとほかし
かへりみ
いやとほかしさとはさかりぬ
さとはさかりぬ
すれと
いやたかに
山もこえきぬ
はしきやしわかつまのこか
ふつくさのおもひしあへてながくらむつぬのきとむおひけこの山
反歌
いはみのみ高つぬ山の木間より我ふる袖を妹みるこわむか
万葉集
三ノ巻五
十九丁ら
悲傷死妻高橋朝臣作歌一首并短歌
起勺六勺日次四勺連対一つ日次二勺日次二勺尉一つゞ次十勺日次二勺対一ツヽ次終
勺拾三勺同合四十七勺日中長歌
〽しめの
忘るえの袖さしかへてなひたねし我くろかみのましらかに
ナリキハマルマテ
あたしより
或恋したりよのともにあらいこむすひてしことははゝさす
成極
成杯
夏早のをの
こゝろはとけず
ナラムキハシ
家土もいでゝ
しろたえのたもとをわし
にきびにし家工もいでゝ
あさきりの
みとりこのおくをもおきて大
りこのおくをもおきてあくきり
ほのかにして山しろのさがるか山のや方のまをゆきすきぬれは
あしたには一
いはむすへせむつんかにわきもことさぬしつ宿に
ゆふんには
いてたちしぬひ
いりゐおよかゞ氷きはさむ子の吹ことにをのこしものおひみいたきみ
あさとりのねのみなきてなれともしてし
ものにふしとわきもこかいりにし山をよすかとそ
あれと
おもふ
反歌
うつせみのよのことなれはよそにみし山をやいまはよすかにもはむ
ありとりの母のみやなかむわきもこにいましたさしにあふよしをなみ
右にあけたる長類の連対句の長短こそなれ四首共に同し格なりしかれ
とも上つ代と後の代とのたかひなきにてもあらず上つ代のことばの
つゝはるさりは後の代の歌とはいさゝかかはりて聞ゆ柿本朝臣の歌はまこ
とにいにしてあらす後ならずして対句の至さまももはら上つ代の
歌とことなることはなけれども代もくたりぬれはそのしらへもいたりては
花やかなるところあるは是上つ代と後このたかひめなり此哥ふるき
格にはあれとも右の四首の外よみし度なし此指をよりむとならバよくろな
をさとり得て対而なと心を付てよむへし対句にも上つ代と後の代との
かわりあり上つ代より藤原宮の頃まてはおほくかはれるふしもなかは
りきなしの頃より今の都の始にいたりてはおなしことも詞のかはりあ
り此哥どもの時句を見てもさとるへし守事起の御歌はおなし
詞を重ねて六句連対とし柿本朝臣の歌も同し事を重て四日連
尉とせしはかみの歌とさしてことなることなきを尊橋勅臣のかたは
八日なかし詞をかへて花やかにいへるは是上つ代とならの頃とのかはり
めなり此対句のつかひとまをよくさとり得さればおのれよく古風を
よみ得たりとおもふともうちきく時は歌のさまは上代にして対句はなし
よりも下れる哥おほきそかしよく心を付へきことなり猶よく語
歌を見るへし古事都の御歌は柳本朝臣の歌よりもまた一段ふるく
聞ゆるものをやしかれとも遠臂白また対句のひところすへての指は
古事記の御歌も其外なるも多かふ少しなく皆内し損なり是等を見
ても上つ代より歌の格は乱れづしてよみきつることをさとりてゆめ〳〵
おそろかにはよむ早しき事ぞ○此格は中長屋にのみよみて小長類と
大長哥にはよみし例なし
〇連対句を一ツおきてよめる櫓
十三巻
万葉集
万葉集廿一丁ウ作者未詳
起候二勺日次六勺連計一つ日次終句三勺日
一合十七句日中長歌
をちかたにいもうはた也おもふそら
等もりくのはつせの川の
こめかたしわれは多ちて
われはたちて
おけくそし
にさにぬりの小ふふ
やすからなくにさにぬりの小ふねもかも
こきわたりつゝも
やそかしなかにたましきの小かちもかもこきわたりつゝも
カタラハマミヲ
あひかゝら
あひかためを
めを
一右の哥こきわたりつゝもの詞二句としてあけつもし一句なしは上に一句説し
なるへしよく考へし
六ノ巻
万葉集
三十丁ウ
夏六月幸干芳野離宮之時山部宿祢
赤人応詔作歌一首并短歌一首并短歌
起勺四勺カ次六勺連対一ツ江次終勺三勺日
合十九勺日中長歌ム二
〽やすら
やまたかに
〽やすみし我か大君のみしたまによしぬのみやは
かははやみ
くもそたおひくかみさびてみれはたふとくこのやまのつきまゝのみこそ
つきはのみこそ
せのとぞきよきよろしなへみれはまやけしこのかはめなえはのみこそ
たえはのみこそ
もろしきの大みやところやむ時もあらめ
反歌
神代よりよしぬのみやにありかよひたかちつえせるは山川をよみ
十三巻
同集
十二丁ウ
作者未詳
●身十二丁ウ竹者未詳
起り二句日次六句連対一ツ日次終句七勺日
一合二十一句え中長歌
十二人は店也
こもりくのはつせの川の
上つせに
いくひをうちいくひには
下つせに
まくひをうちまくひには
かみをかけまたまなす我もふいもも
我給ふいふももあや
雲まをかけかゝみなす我もふいもも
さまをかけかゝみならす我もふもありといはゝこそ
ありといはゝこそ
くににもいへにもゆかめたれゆゑかゆかむ
反歌
としわたるまでにも人はありとふをいつのほとぞもわれゑにける
よのおかをうしと思ひて家てする我やほにかかへりておらむ
同集
十三巻
廿六丁リ
作者未詳
起勺十六勺。次六勺連対一ツ日次終勺三勺
合三十一句ロ中長歌
木の国のはまによるかふあはひたまひりはむといものやま
いひて
やの山こえてゆきしきみいつきまさむと玉ほこの道にいてたち
ゆふうらを我とひしかはゆふううの家にいろく我妹子や
おきりなみ
汝まつ君は
江すん君いへつなみよするしゝむきやきりうとそきみはきやきぬ
ひさなしすなぬかはかり
はやかして草ふつかりあらむとそ君はきこしむとそ君はきこひそ吾妹
反歌
つゑつきしつかすも我はゆきめとも君かきまさむ道のしらおく
みまゝにゆかぬこゆこせういはせふみもとめそ我こひてすへおみ
さよふけていまはあけなとひしきてきへゆきし君をいつとあまたむ
ぬと
かとにをるをとめは内にいたるともいたく引ひはいまかへりこむ
右にあけたる四首の長形の皆六日連対をおきてよめり此格も中長寿
にのみかきりて大小の長哥にはよみたる例なしまた対句のさまもいと
ふるく聞ゆ万葉集十三巻十二丁の哥は古事記下巻にもいでゝいさゝか
のかはりはあれとも全くは一ツ度なり其外もいと古き歌とぞきこゆる
なかとも山部宿祢の哥は外三巻のさまよりは詞のしらべるにして花やか
なりそのよしは此巻四丁の表高橋朝臣の哥の所にいへり合見る
へし此捨なとよまむとおもはば誰哥を心を付て見えし
同集
八巻
サ二丁ウ
山上臣憶良七夕歌并短歌
合三十五勺。中長歌
起勺六日次十勺連対一ツ口次終勺九勺九勺九勺九日
ひこほしはたおはらつめと天つちのわかれし時ゆいなむしろ
おもふそら
おもふそらやすからなくにあをなみにしのそみはたえぬ
いにむきこうわくそらやすくなくにしらくもにしらくもにし
八にむきたちなけてそらやすかしなくにしらくもにしらくもにしらくもにし
川にむきは
帰はつきぬ
ウヽカミヤヽハきつきをゝむさになりのをふぬもこも
あくのみやいきつきをしむさにぬりのをふねもかもあまなきに
あさなきに
あくのみやこひつゝあらむしましきのまかひもかもゆふしほに
いかきわたり
〽ひさわたり〽ひさかたの天のかはらに天とふやひれかたしきて
あたまでのたまねさまねさまへあまり
反歌
風くもはふたつのきしにかよへとも我とほつまのことそかよはぬ
つふてにもなけこしつへきあまのあはへたゝれはかもあまもすへなき
右にあけたる長顕ハ拾句対をよみいれたり此格も中長郡にかきれり
かゝる哥は古事記日本記万葉集の中是一巻へして外によみたる
例なししかれともすへては上にあけたら
四首の格と同格なるへし
○四句連対句と一つ二句対句と一ツをおきてよめる格
一ノ巻
万葉集
十二丁ウ
近記大津宮御宇天皇詔内大臣競憐
春山万花之艶秋山千葉之彩時額田王以歌判之歌
起句二勺○次四句連対一つ。次二勺口次二勺対一つ口
次路勺○二勺〇合十八勺〇中長歌○
一冬木成春さりくれは
なかさり
さかさりし
さかさりし
夜もき鳴ぬ
山をしみ
花もさけれと
くさふかみ
いりてもとらす
たをてもみす
あきやまの木葉を見ては
もみつをはとりてぞしぬふ
おきてぞなけて
青きをはおきてぞなけて
そこしおもあき山われは
しか
四巻
同集
廿一丁
安貴王語一首并短歌
起る四百〇次四勺連対一つ。次二勺〇次二勺対一つ。
次終句二句。合廿勺。中長歌一
とほつまのこゝにあらねば〽玉ほこの道をたとほみ
おもふそら
なわくそら一
やすからなくにみそらゆくくもにもかも
ゆゑらるゝにたかゆて今にもかもかもあつゆきていもにことゝひ
われかためいもことおく
いもかたきわれもことなくいやうもみること多くひても
かも
反歌
しきたへの舟まてりかすあひたおきてとしそへにけるあはぬおもへは
同集
十三巻
八丁う
ノ丁目
作者未詳
起句四句〇次四句連対一つ口次六勺〇次二勺御打一つゝ
次終勺三勺え合廿五勺日中長歌
同八右衛門ノ店也
朝なきに
をとめらかをけにたれたるうみをなす長門の浦に
夕なきに
みちくるしほのそのしほのいやます〳〵に
よりてなみのそのなみのいやしく〳〵に
よりくるなみの
わきもとに恋つゝくれは
うなかせる
あこの海のありそのうへにはまなつむあまをこめらか
てにまける
ひれもてるかに
玉もゆららに
しろたへの袖ふるみえつあひもふししも
反歌
あこのかみのありそのうへのさらうなみ我こふらくはやむ時もなし
十三巻
同集
サ四丁ら
作者未詳
起而四勺〇次四勺連対一ツ〇次四勺〇次二勺対一つ○
次終句三勺え合廿三勺口中長歌○
つゝしはな
物不念みちゆきぬるも青やまをふりさけ見れは
物不念
さくしはな
にほへるをとめ
さかえるをこめ
なれしをそも
なれをそも我によるとふ
なれは
いかにおもふや
我をそも
なれによるこし
きるかみの
きるかみの我みをすくせ
としのやとせを
おもへこそ
たちはなのほつ枝をすくり
このかはの
下にもなかくなかこゝろまて
右にあけたる四首の長顕のうち歟木成春さりくれはそみの歌はすへて
句数十八匁なりこはうちかへしてこたへる損と起るに対句をよめるなの指けり
外には如此き句数の哥は見あたらすおもふに秋に我はの句秋山。我は。の二句
にはあらしかともおもへとまたそこしおもしろしの句もそこしおもしろし
と二句にも聞ゆるはいかにともおもひ定め致し猶つき〳〵にいふへし
○とほつまの。こゝにあらねばかの哥も句数廿句なり是も例もていはゝ
廿一句あるへきなりおもふにいまも見ることの句いまも見ること。の二句なるか
県居の大人は我もことなくの下に五言一勺悦しかといはれつれともいかゞあしむ
冬木成の歌と全く同し格なれは並てあけつ
○右の四首同し指なからも袖にあけたる二首は終句いさゝかことなり
もしは一句祝しもやとおもへと同し格にして二首ともに終日の祝へき
よしなけれはこはまた此格のうちにして一ツのよみかたなるたし終句の
句数のことなるとに対と半との違ひありそはいつれの歌も終句は三句の五
句か七句かとやしにすへて百あまりて結ふべきを二勺にむすへるはこれ
後の二首のむすひとたかへり
この事はよく〳〵考へし
同集
六巻
卅六丁ら
作者未詳難波宮作歌一首并短歌
類勺はかに次二勺尉一ツニ次四勺。次四勺連計一ツ半次終勺三勺。合廿七勺。中長歌
やすみしゝ我おほ君のありかよふおにはのみやはいさなとり
あさはふる
波のとさわき
かのときこゆ
海かたつきてたまひろふはまひをちか
ゆふなみに
あかときのねさめにきけ海石之しほひのむた
からすには
あしてには
ちとりつやよひ見るひとのかたりにすれは
〽みけむかふあちふの原は
〽たつかねによみきくひとのみまくほりする
見れとあかぬと
反歌
ありかよふなにはのみやはうみちかみあまをとめらかのなるふねみゆ
しほひれはあしへにさわくしらつるのつまよふこゑはみやもとゝろに
同集
十三巻
廿二丁ウ
作者未詳
起勺二勺。次二勺対一つ。次四分。次四勺連対一つ。
次終句十一句○合廿九勺○中長歌
木のくにのむろのえのべ
さはることおく
よろ豆よに
かくしあらむと
おほふねの
朝なきに
きよるふかみる
おもひたのいてたちの
おもひたのきよきなきよきなきなきに夕ち
き夕なきに
きよるなはかり
さに
子夕なきにきよるなはかり
ふかみ馬のふかめしこしを
ひけはたゆとや
さとひとのゆきのつとひになくこおす
なはのりのひけはたゆとや
廿四日店也
ゆきとりさ〽あつさゆみゆはししきはをふたつたはさみ
はおちせむ人しくやしもこふるおもへは
二ノ巻
同集
卅八丁ら
柿本朝臣人麿妻死之後泣血哀怖作歌
二首并短歌
都勺十勺同次二勺対一つ口次廿二勺日次四勺連対一つ日
次終句十三勺合五十七勺同大長歌
うつせみとおもひし時にたつさへて我ふたり返しりての
つかみにたてるつきの木のこち〳〵の元のはるの葉のしけきかことく
妹にはあれと
おもへかし
子らにはあれと
子のめかし子にはあれはむき引ぬはかきろひの
手ゆるあらぬに〽しろこまへの天空かくりとりしもの朝立いまして
ぬに
序也
〽いか日なすかくれにしかは我妹子かかたみにおける若児の
こひなくことにとりあたふものしなけれはをとこしものわかはさみ持
に
我妹子とふたり我ねし〽まくらつくつまやのうちに
ひるはも
よるはも
からさひくらしなとゝともせむすへしらに
うらさひくらし
いきつきあかしこふれともあふよしをなみ
大とりのはかへの山に
我こふるいもはいますと人のいへまいはねさくてなつみこし
よけくもそうつせみとおもひし妹かかきそひのほのかに毎にし
おき
みえぬおもへは
反歌
こそ見てし秋の月夜はてゝせともあひ見し妹はいやとしさかる
ふすまちをひきての山に妹をおきて山路をゆけはいけるともなし
一大にあけたる三首の長郡は始にあけし四首の長歌と皆同し格にしていとふち
くよりよみきつるしらんとは聞ゆれとも読人のいちしるしくしるしは
額田王安貴王柳本朝臣人麿のみなり此七首のうち後の三首はこと格
のやうにきこゆれともこは四句連対を始におけると後におけるとの違にな
すへては同し様なり此格はたく中長歌にのみよみて大長哥によみし
は柿本朝臣人麿の哥一首のみなり凡二はよみたる例見あたらす柿
本朝臣の歌も或本の哥亀四句建対をふたところにおけりそのことはその
ひらにいふへし是をおきては古今集に壬生の忠峯かな
ありこは別記にいふへし考合すへし
○二句対と長対句と重ねてよめる格
同集
九ノ巻
サ二丁ウ
一同年冊一献一首并短歌一首并短歌一首并短歌一首并短歌
起勺四勺〇次二勺尉ヲ次四勺長尉一つ日
次終句五勺日合廿一勺え中長歌
うくひすの生印なかにほとゝきすひとりうまれ
しかちゝに
しかはゝに
にてはなかす卯のはふのさきたるぬへやとひかけりなきとよもし
にてはなかすたちはなの花をゐちらしひねもすになけときゝよし
まひはせむとほくなゆき我やとの花たち花にすみわたれとり
反歌
かきゝらしあめのふる夜をほとゝきす鳴てゆくなるうましそのとり
同集
六ノ巻
四十四丁ウ
讃久通新京歌一首并短歌
起郷四勺。次二勺尉○次六勺長対一ツ日
次終勺七勺合廿七勺日中長歌
もゝきなす
わろおほきみ神のみことの高しらすふたきのみやはおしきなれ
おちたきり
そこひすの
山は木きしそこひす水きなく春へはいはまには山下ひかる
瀬のとも清しさをしかの
さをしらの一まよふ秋はあまきらふしくれをいたこ
にしきなす花咲をくり
もみちちとせにあれつかしつかしつかしつかしつゝ天のした
さにつろふもみちちりつゝ
しらしめさもし代にもかはるへはらぬおほみやとろ
むと
反歌
いつみかはゆくせのみつのたえはこそおほみやところうつろひゆかめ
ふたきやま山なみ見れはもゝ代にもかはるへからぬ大宮ところ
をとめらかうみをあらふかせのやま時しゆけれはみやことなりぬ
かせやまの木立をしけみあさゝらすきなきとよも□うくひすめいひすめ
こまやまにおくほとゝきすいつみかはわたりをとほみこゝにかよはす
大になけたる二首の長歌は中長歌にのみよみて心によみたる何なし
古事起日本記万葉集にも此二首の外見あたらす
四勺
二句対と
との長対をおきてよめる捨
六勺
九ノ巻
同集
サ三丁う
一家弟死去作歌一首并短歌一首并短歌
四句
起りは句○
右同断一つ〇次二勺御村一つゝ
六句
次終句九勺〇合三十一句○中長歌
ちゝはゝかなしのまに〳〵〽はしむかふおとのみに」はあさつゆの
あしはらのみつほのくにゝ
四やすきいのかみのむたあしそひかね此
とほつくによみのさかひに
よみのさかひに
とほつくに
いへなみやまたかへりこす
やみよなす
おの〳〵むき〳〵
はゝつたのおの〳〵むき〳〵あまくもの小かれしゆけ共いやるしくの
おもひまとひ
〽こゝちをいたみ
あしかきのおもひみたれてはるとりのねのみなきつゝ
あしさはふよろひのこゝろもえいたむこゝろもえいたむわかれを
反歌
わかれてもまたもあふへきおもほへは心みたれて我こひめやも
あらひきのあら山なかにおくりおきてかへらふ見れはこゝろくるしも
同集
八ノ巻
大伴宿祢家持贈坂上大伴宿祢家持贈坂上大褒歌一首并短歌
五十二丁ら
都勺六勺同次二勺尉一つ日次二勺
次終句十一勺合三十九勺江中長歌
ネモコロニ
叩今ものをおもんはいはむすへせむすへもなしいもとわれ
にはにいてたち
手たつさわりて
あしたには
しろたへの袖さしかへて
いふへには
とこうちはらひ
あしひきの山とりこそは花むかへに
さねしよやつねに有ける
さねしよやつねに有ける弐つせみのひとなる我やおよすとか
こゝもんは
つまとひすといへし
こゝもんはむねこそいため
いまとひすといへしさかりゐてなけきこふゝむこゝせんはむねこそいため
ひとひ一夜も
そこゆへに
こゝろなくやと
高まこの山にもぬにもうちゆきはあそばひゆけははなのみ
にほひてあれみることにましておもほゆいかにしてわするゝものそ
こひちふもの
を
反歌
たかまとのぬへのかほ花おもかけにみえつゝいもはわすれかねつも
右の歌は始に二句尉一ツおけり
さしべのさまいてゝかことなり
同集
サ巻
卅六丁ウ
陳防人悲別之情歌一首并短歌二月二十一
三日兵部少輔大伴宿祢家持作
起る四日廿四日次三ツ日次三十四夕日次二夕日次二ケ対一ツ次十勺
次二勺対一ツヽ次終勺十一勺口合七十七勺〇大長歌十一
はゝそはゝそは
おほきみのまけのまに〳〵しまもりに我たちくれはちくれは
ちゝのみの
はゝのみことはみものすそつみあきかきなて
なみたたりなけきのたはく
ぢゝのみことはたくつぬのしらひけのうんゆ
〽かごじものみまひとりしてあさとてのかなしき我子あらたまの
としのをなあひみすは恋しくあるひけふたにもことゝひせむと
かゝ
をしみいゝかなしひいませわかくさのつまもことももをちこちに
さはにかく〽はるとりのこゑのさまよひしろこまへのそておきぬらし
たつさはりわかれこてにもひきとゝめしたひしものをおほきみの
みことにしたまほこのみちにいてたちをかのさきいたむことに
よろつたひかへり見しいゝはろ〳〵にわかれしくれはおもふそうし
こふるそう
やすくもあらす
ものよの人なれは〽たまきはたまきはたまきはるいのちもしらす
うなはらのかしこきみちをしまつたひいこきわたりてありめくり
たひらそくおやはいまさね
我くるまてに
つゝみなく
つまはまたせと
すみの元のあかすめ神に
ぬさまつりいのりまらしてなにはつにふねをうけやそかぬき
すゑ
かことゝめてあさひしきてぬといへにつけこそ
て
反歌
いへひとのいはへにかはらむたひしそくふなてはしぬとおやにましさね
みそらゆく雲もつかひと人はいんと家つとやしむたつきしらすも
家つとにかひそひりへる生まなみはいやく〳〵も毎かくよすれと
しまかけにわかふねはてつけやうむつかひをおみやこひいゝゆかむ
此分は長対の後に二百符二所におけり始の二首の長顕とはいさたのことなり
後に二日府二所におけることは大長前にかきれるか哥数すくなけれは
いかにとも定てはいゝかたし
猶よく心をつくへへ
○二句尉と六勺長対をおきてよめ格
同集
九ノ巻
十七丁ウ
一同月月一日嫡子歌一首并短歌
乾勺四勺口次二勺対一ツ○次四勺口次六勺長対一ツヽ
次終夕五勺日合二十九勺口中長教
むなわけの
水長鳥あはにつきたる「あつさゆみすゑの玉名は
ウキトリ
こしおそ込
ひろきわきも
すかるをとめ
妙そのさまの端正雨花のことゑみてたてれは
玉ほこの
玉ほこのみちゆく人はおのかゆくみちはゆかずてよはなくに
さしなみの
さしなみのとなりの君はたちまちにおのかつまかれてこはなくに
かとにいたりぬ
かきさへまたぬ
ひとのみなかくまとへれはうちしなびよりてそいもは
たはれたり
ける
反歌
かなとにし人のきたてはよなかにもみはたおしらすてゝそあひぬる
右之前一首にして外に
此前の損見あたらす
○長対と二勺対とを重ねその下にまた二勺対をおきてよめる損
同集
六ノ巻
悲寧楽故京郷作一首并短歌
卅二丁ウ
起る十三日。次八勺長対一つ口次二而対一つ日次八勺口次二勺対一つ口
次終勺十五勺日合六十三勺口大長歌五
〽やすみしゝ吾おほきみのたかしかすやまうの国はすめろきの
神のみ代よりしきませるくにしあれはあれまさむみこのつき〳〵
天のしたしらしまさむしやほよろすちとせをうめてさためけむ
かねて
なくの都は
かきろひの
かきろひの春にしおれはかすかやまみかさのぬへに
つゆししの
やつりやま
つゆしもの秋さりくれは
もの女さりくれはやつりやつりやつりや方と思ひかをかに
まおくしはなく
さくらはな
このくれかくり
かくりかほとりはまおくしはなく山間
さくらはなこのくれかくりかほとりはまなくし貧山見きは
つまよひとよめ
はきのえを
はきのえをしからみちらしさをしかはつまよひとよき里見れは
しかしみちらし
山もみかほし
りもすみよし
ものゝふの八十とものをのうちはへてさとおみしけは
天つちのより合のきよろつよにさかえゆかむと
おもひにし
たのめりし
大みやすらを
あらめやみをあれはすめのことにしあれはすめろきのまに〳〵
ならのみやこを
はるはなのこつろひかわり〽むし鳥の朝立ゆけは〽さすたひの
おほこや人のふみならしかよひし道はう半もゆかす人もゆかねは
あれにけるかも
反歌
たちかわりふるきみやことなりぬれは道めしはくさなからおひにし
なつきにしなしのみやこのあれゆけはいてたつことにおけきしさる
右之図首にして此格の
哥外に見あたらす
○此巻十一葉り長顕鶯のかひこのなかに鳴鳥立云の歌よりこなし
七首の歌は哥ことにいさゝかつゝ極のかわれるやうに聞ゆれともみなた長
対句の前後に二而符をはさみておはけるのみにて其外は事なること
なし大長哥に至りては長対の後三日尉を二ツ至てよめり是
中長歌と大長哥のたかひめなり其外は同しさまにそ有ける
しかれとも此損二長度によみし例はなし
○四句連対と六句連対とをおきてよめる指
万葉集
四ノ巻
卅四丁う
大伴坂上郎女怨恨歌并短歌
起内十六日日次四夕連対可日次二勺日次六勺連対一つ日
次終句三勺日合四十一勺中長歌合六
おしてるなにはのすけのねもころにきみかきこしてとしふかく
なかくしては雨すからみときしこゝろをゆるしてしその日の日のきまゝみ
なみのむたなひく玉ものかにかくにこゝろはもたす大ふねの
ちはやふる
神やさけむ
たの児か明に
きみもきまさす
うつせみの人かさふらむたま
もたまつさのつ
たの人かさふらむたまつきふらむたまつさのつかひもみんす
なりぬれはいたもすへなみ
ぬはたまのよるはすからになけらとも
あからひくひもくるゝまておもんとも
しなしをなみたはやめにいはゝもしるく
たもとほり君かつかひを
たつきをしらにたはらはめねのみなきはら
まちやかねてむ
反歌
はしめよりなかくいらつゝしたのめずはかゝるおもひにあはましくり
右の哥一首にして此格の
うたほニ見あたらす
〇四句連対を二つ置てよめる損
同集
二ノ巻
卅九丁ら
○柿本朝臣人麿妻死之後泣血哀働作
一歌一首并短歌五
次終勺十一句合五十五勺大長歌
起勺六勺〇次四勺連対一つ日次二十二勺〇次四勺通対一つゝ
うつそみとおもひし呼にたつさはり吾ふり見しいてたてる
もゝえつきの木
はるのはの
こち〳〵に
ち〳〵にゑたさせることおもへかし妹にはあれと
高のはのしけきかことたのめかし妹にはなれ
妹にはあれと
妹にはなれと
よのなかをそむきしえねばかきろひのもゆるあらぬにしろたんの
あまくもこもとかしもの朝立いゆきていり日なすかくれこしかは
我妹子かかた三にをけるみとりこのこひなくことにとりまかひ
ものしおけれはおのこしものわきはさみもち家妹子とふたり我ねし
ひるはもこらさひくるらなけらとも
〽枕つまやのうちに
よるはもいきつきあらしこふれとも
せむすへしらに
あふよしをなみ
大せりのはかひの山になかこふるいもはいますと
人のいへはいはねさ一くみてなつみこしよけくもけなきうつそみと
ハイレテマセハ
おもひし妹か灰而座者
ホノニモマサネバ
反歌
家にきて家屋を見れはたまとこの外にむきけり妹かこまて
右の義一首にして此格の歌見あたらすしかし此族をすへてをいすゞ
此巻の九丁二あけたる二日付一り四日連刻所おきてよめる損と同
し様にもやあならむ其よしは柿本朝臣の同し前に始の二日符を
四日直府とかへてよめるをおもへはいにしへは同し指なりけむ
〇二勺対二ツ四勺連付一ツ置てよめる損
日本記
十七巻
八丁ウ
匂大兄皇子大御歌匂大兄皇子親躬
春日皇女於是月夜清談不覚天暁斐然之藻忽
形於言乃口唱曰
起勺四日日次二勺尉一ツ日次四勺〇次四ほれ対〇次四勺日
次二勺対可○次終勺三勺日合三十一勺○中長歌
くはしめを
やしまくにつまゝきかねてはるひのかすかの国にい
よろしめを
ありときゝて
ありときゝて
まきさくひのいたとをおしひしきわれいりまし
あつとりつまぬがたていもかねをこれにまかしめ
まさきつら
まくしとりつまぬりたてわか手をはいもにまかしめ
にはつとりかけはなくなり
たゝきあさしゝくしろうまいぬひとに
ぬつとりきゝしはとよむ
はしけくもいまたいはすてあけにけり我妹
右一首にして此格の哥外に見あたらす
いさゝかかわれる歌つきにあく
万葉集
十三巻
卅二丁ウ
備後国神島浜調便首見尻作歌
一首并短歌
起勺八勺日次二勺計了○次四勺日次二勺対〇次二勺日四勺連対一ツヽ
次拾勺え五勺合三十五勺中長数四
〽たまほこの道等いてたちあしひきの
たまほこの道等いてたちあしひきのぬゆき山ゆき
タヽワタリ
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
イサラカハ
ふくかせも
ほにはふかす
川往浅いさなとりうみちにいてゝ
たりなみも
ものとにはたらす
ユキワタリテハ
のとにはたゝす
かしこきや神のわたりのしきなみのよする浜辺には
たかやまを
うらすを
へたてにおきて
おもちゝか
まなこにもあらむ
まてにまきて
うらもなくこやせるきみは
つまもあらむは
〽わかくさの
いへとへといへちもいはす
なたにものらす
なをとへと
なをとんとなたにものらすこまかことをいたつけとおもしきなみの
かしこき海をたゝわたりそむ
反歌
おもちゝもつまもことも多か〳〵にこむと待けむ人のかなしさ
いへひとのまつらむものをつれもなきありそをまきふせる君かも
うらすにこやせる君をけふ〳〵とこむとまつしむつましかなしも
浦なみのきだするはまにつれもなくこやせる君が家路しらずも
右にあけたる長哥二首の歌は一首は四句連付を中にをきこそすへに
おきてたりへるに似これともたゝ対句のひ所のかわれるのみこして
すへてハおなし損なり此様いと心なくは聞ゆれとも右の二首の外
によみた例見あたらすまた中長屋に北みよめり此度の挨を
おもふに一首内に二日符を三ツよみいれたる歌の一かたの二日対を
四ろれ付とかへたるのみなれは二勺対三ツおきてよめるなと全くは
同し損にもやありけむ
玉衣
〇二ノ廿一丁哥こゝに可可○連対句と長付句とを出きてよめる身の杉
○対局連勺長対句をおきてよめる杉
万葉集
十三巻
卅丁
都勺二勺日次四勺連付一ツ○次四勺〇次二勺対一ツ〇次四勺長付一ツ日
次終勺三勺日合廿九勺○中長歌
十勺席
こもりくのはつせの川の
かみつせに
一糧を八ゝつけかみつせの
しもつせに
一精をはらかつけしもつせの
らせに鵜をはと御かつけしもつゝ
あゆをくはしめ
ワアレコヽシミ
あゆをくはしめ
くはし妹に鮎違惜なくるさのとほさかりゐて
ミチトホサアリ
なけくそう
おもふそら
やすかしなくに
かもふそらやすかしなくにきぬこそはそかやれぬれはぬひつくも
なはてそしやすかしなくにたまこそこそそそをかたのはくゝりつゝ
またもあふと也
またも
またもあふといへ
あはぬものはつまにし
ありけり
同集
三ノ巻
廿七丁ウ
一同記詠不尽山歌一首并短歌一首并短歌
起る二而対而次四勺次四勺連対一ツヽ次四勺〇次四勺長対一ツヽ
次二勺に次二勺対一つ○次将勺三勺日合卅七勺日中長数二
なまよみのかひのくに
こち〳〵のくにのみなかゆ出之有
うちよするするかのくにと
あまくもも
のまくももふきはゝかりもゆるとを雪もてける
ふちの高松は
とふとりもとひものほらすふるゆきを火もてけちつゝ
いひもかねなつけもしらすあやしくもいます神かも
せのそみと
ふちかはと
なつけてあるもかのやまのつゝめるうみそ
ひのもとのやまとの国の
ひとかわたるもそのやまの紅のたきちそ一
しつめとも
しつめともいます神かも
なれる山かも
するかなるふしの高根は見れとあかぬ
たかくともなれる山かも
反歌
ふしの根にふりおける雪はみなつきのもちにわぬれはその夜ふりけり
ふしの根を高みかしこみあまくももいゆきはゝかりたなひくものを
右の長顕は起句と後とに二々対をおきてよめり始の前とはいさゝかことなり
此損は外によみたる例見あたらす
同集
五ノ巻
老身重病経年辛苦及思兒等歌七首
卅七丁ウ
長歌一首
短歌六首
山上憶良作歌
朝夕二分〇次二ヶ付一ツヽ次二勺日次四勺長年一ツ日次四勺日次四勺日次四勺連対一つる
次四勺同次二勺対一つ日次終勺三勺日合卅九勺同中長歌二
たまきはるうちのかきりは
たひらせてやすくもあらむを
やすくもあらむを
こともなく
もなくもあらむを
よのなかの
いとのきて
うせくつらいとのきていたきゝすにはからしまをそくちふこと
うけえつらみ
ます〳〵も
おもきうまには
そはにうつといふことのこと
いふことのこと
老にてある我身のかへにやまひをらくはへてしあれは
あれは
ひるかも
よるかも
なけかひくたしとしなかく
わかひくらしとしなかくやみしわたれは
いきつきあかしつきかさね
やみしわたれは
ことくは
うれひさまよひ
こと〳〵はしなゝとおもへと
さはへなすさわくこともを
うりてゝはしなむはしらひ
一みつゝあれはこゝろはもえぬかにかくる
かにかくに
おもひわつらひねのみしなかゆ
反歌
おくさむるこゝろはなしにくもかくれなき行とりのねのみしほかゆ
すもなくくるしもあれはいてはしりいなくと見とこらにさやかぬ
とみ人の家のことものきるみなみくゝしすつらむきぬそてはも
あらし給へのぬのきぬをたにきせかせにかくやなけかむかせむすへをなみ
みなわなすもろき命も多くなはのちひろにもかとねかひてしつ
しつたまたかすにもあらぬみにはあれとちとせにもかとおもほゆるかも
右の長哥は二反対をふた所に置てよめり
此様も是一首にして外によみし哥見あたらす
同集
六ノ巻
卅三丁ウ
讃久通新京歌一首并短歌
起力四日〇頃四日連対一つ時頃六夕頃二勺尉日頃四日長茸一ツツ頃二日時頃終夕
七勺同合四十一勺一
あきつかみ吾おほきみのあめのしたやしまのなかに
くにはしも
さとはしも
おほくあれとも山なみのよろし国と
やましろのかせ山のまに
さはにあれとも川なみの立あふさとと
みやはしらふとしきまつり高しらすふたきの宮は川ちかみ
せのとそきよきあきされは山もとゝろにさをしかはつまよひとよめ
鳥かねとよみ
鳥かねとよみはるされはをかへもしゝにいはほには花さきをゝり
ふたきの原に
あをたふと
あをたふと大みやところ
うへしこそ我おほゑはきみのまに
きこしたまひ〽さす〽さひたけの大みやこゝとさた吹げらしも
反歌
みかのはしふたきのぬへをきよみこそ大みやところされぬばらしも
山舟かく川のせきよしもゝ代まて神しみゆかむ大みやところ
右の長哥は二日対にて長対句をはさみてよめり
此格是是にして外によみし例見あたらす
上許あけたる四首長屋ともは何とかやふるくは聞ゆれともよみ人の多し
かにしるしは山上臣蛇良のみ二して其外の三首の歌はいつれの人のよみた
るともしれかたし此拾中長寄のみにして大長分小長歌の二りにはよみ
たる例なし其中長歌の四首の中にしもいさゝかのかわりありて
十三巻なるは連対句を先にひき長年句上に対句ををけり三の巻なるは
起句に対句ををきれ計る長符句をもおきてそれよりこる肝をおけり
五の巻なるは生格とうらうへニして長符句を先におき後に連付るをおき
その先後に対句をおけり六の巻なるは始は十三巻なる哥のことくによみて
亡時句の先を後上に対句をおきて長対るを去さめるが如くによめり
かくの如く一首〳〵にそのよみさまのかこりありて可検にはあらさるごとく
聞ゆれともすへてを見るに一首の内符連対日長付るを三ツよみ
いれたるのみなほし損にして詞の至さりの役と是とあやにたかへる
のみなりかゝれはいまは
おなし格とはいたしつ
〇二句対四つ四句連対一つをおきてよめる格
十三巻
万葉集
廿九丁う
起候二ツ付一ツ時頃二カツ頃二ヶツ時一ツ時頃二ヶ日頃二日ニ付一ツ時頃八日頃二勺尉一ツ江
次八日。次四日。対一ツ日頃終日九日合五十三勺大長歌二
しらくものたなひく雲の
あをくものむかふす国の
天くもの下なる人は
あれのみかも
あれのみかも
きみにこふしむ
きみにこふれは
天つちにいゝるゝはして
こふれかも
むねのいためる
おもへかも
こゝろのいたき
我こひそひにけにわきいつはしもこひぬ時とはあらねとも
ちよにも
ちよにもしぬひわたれと
このなか月を我せ子かしぬひにせよと葉にもしぬひわたれと
万にもかたりつかへと
はしめてしこのなか月のすきまゝをい事もすへなにあらたまの
いはかねのこゝしき道の
つきのかはれはせむすへの舟ときをしらに
一つはとこのねはへるかとに
いてたちなはき
いりゐ恋つゝ
ゆふんには
ぬさたまのくろかみしきて人のぬる
うまいはねず大ふねのゆくら〳〵におもひいゝ我ぬる夜々を
よみもあへぬ
かし
かも
右の度是にして此損の
前外によみ之例見あたらす
二句対七つ四句長対句一ツをおきてよめる格
万葉集
二ノ巻
明日香皇女木形殯宮之時柿本朝臣
卅二丁リ
一人麿作歌一首并短歌
起る二日。次二日符○次四句長蒔○次二日。次二日御付〇頃二日の頃二日朔日頃二日ヨ
次二日対日頃二六日頃二ケ付る頃十二日討○次二ケ日頃二ケ時日頃終日十五日合七十
五勺〇大長歌
サカ序
とふとりのあすかの川の
いははしに
こつせにいははしわたしいははし
うちはしに
とふとりのあすかの川のしもつせにうちはしわたしうちはしに
たゆれはおふる
ひおひけるたまゝもそたまゝもそ多ゆれはおふる
おひなひける
かるれははゆる
あひをられるかはももそかるれははゆる
おひをられる
なにしかも吾大君の
たまものことく
たゝせれは
かはものことく
ころふせは
なひかひしよろしき君か
あさみやを
ゆふみやを
わすれたもふや
そむきたもふや
はるへは
うつそみとおもひし時に
あきたては
序
みれともおかす
いやめつらしみ
〽しきたへの袖たつさはり
序
花おりかさし
紅葉まかさし
おも月えし
君と時〳〵いてましてあそひたまひしみけむかふきのへのみやを
常みやとさため給ひてあちさまゝふめことも出て
〽ぬえとりのかた恋しいゝ
あやにかなしみ
一歌とりのかよはす君の
夏くさのおもひしなへて
雨ふつゝ水
かゆきかくゆき
けぬの
おもひやるこゝろもあらすそこゆゑに
たゆたふ見れは
走もしるしやおとのみもなそもたえす天つちのいやとほなかに
思ひゆらむみなにからせるあすか川万代まてにまゝしきやし
我大君のかたみかこゝを
反歌
あすか川しからみしせかませはなくなくるく水ものとにかあらし
あすかつしあすたに見むとおもへやも我おほきみのみなわすれせぬ
右の長願はことに対日をおほふくよみいれたり
此前のことてよみたる哥外に見あたらす
二句対四つ四句長対一つをおきてよめる指
同集
五ノ巻
廿九丁リ
貧窮問答款一首并短歌山上臣憶良
起勺二勺対日次二十二勺日次二勺対○次三勺日次四勺長対○次十六勺日次二勺対口次二勺。
次二勺符日頃発勺十五勺同合八十二勺大長款一
風ましりらあめのふるよの
すへもなくさむくしあれはきたし風を
雨まして
ゆきのふるよは
とりつゝしろひかすゆさけうちすろひてしかふかひはなひしに
しかとあらふひけかきなてゝあれをおきて人はあらしとほころへと
さむくしあれはあさふすまひきかゝふりぬのかたきぬありのこと〳〵
きそへともさむきよすゝを小れよりもまつしき人の
ちゝはゝは
めこともそ
飢さむからむこのときはいかにしつゝかなかよはりたる
ごびておくらむ
あめつちは
つきひは
あかためはせはくやなりぬる
ひろしといへと
あかしといへとありためはてりやたまはぬ
あかしとい也とあらためは老やたまはぬことみなかあのみやしかる
わへらはに人とはあるを人みなにあれもなれ
ぬのかたきぬのみるのことわゝけさかれるからぬのみかたにうちかけ
ちゝはゝは
ふせいほのまけいほのうちにひたつちにわらときしきて
めこともは
まくらのうたに
かまは了しは
あこのこたに
かくみゐてうれひさまよひ
けふりふきたてす
こしきには
くものすかきて
いゝかしくこともわすれてふ元とりの
みしかきのをはしきるといへるかことくしもととる五十戸良がこゑは
イヘヲサ
ねやとまてきたちよまひぬかくはかりすへおきものかよのなかのみち
反歌
よのなかをうしとやさしとおもへともとひたちかねつとり也あらぬは
上件けたる三首の長歌はことに対句をおほくよみいれたり此指は大長前
此ミにして中長哥にも見あたらすこは哥のしらへもおもしろく聞ぬ
一誠ニ上手なしてはよめかたかるへしい事しへもから歌は柿本朝臣山上臣
二人の外よみし人見へす初にあけたるよみ人しらすに一首あるのみなり
十三巻なるは起るに対々ヲをきそれより戦而四ツひて連対句を下におけり
二ノ巻なる柿本朝臣の哥は対る長対句を始におきて次第に符句
をよみいれたり五ノ巻山上臣の歌は中に長尉句をおきて次第に着
後に対るを四ツよみいれたりこは問答のことてよめる歌にて始二首
とは略格にはあれとも兼るをおほくよみいれたるさま
三首ともに内しけれはならへて次第にあけつ
○二句対四ツ
十四句
十二勺
長対一郎をおきてよそる格
二ノ巻
万葉集
サ七丁ウ
一日並皇子尊殞宮之時柿本朝臣人麿
作歌一首并短歌一首并短歌
朝夕六勺日次二勺対日次二分夜二勺
次二勺対。終勺七勺日合六十五勺大長歌四
あめつちの初めの鳴し〽久かたの
天の河原に八百よろつ
千万神の
かむつとひつとひいまして
あまてらす
かむはかり
はかりし時に
あまてらひひるめのみ二と
ひるみこと
尊ひかる
さるひかるひるみこと
あめをは
しらしめすと
あしはらの
みつほの国をあめつちの
とふとりの
つゝみのみやに
とふとりのつゝみのみやに神なよしふたしきましてすめかつきの
ふとしきましてすめろきの
より合のきはしらしめせ神のみことと
あまくもの八二わけて
しきますくにと
あましのはら
あましのはらいは声をたてゝ
かむくたりいませまつりし
かむのほり
のほりいましぬ
吾おほきみみこのみことのあめのした
はかはなのたふとからむと
したしめしせは
はかはなりたふとかしむと
もちつきのたゝはしけむと
あめのしたよものひとの
〽大ふねのおもひたのみてあまへみつあやきてまつにいかさまに
おもほしめせかよしもなきゆゆみのおくにみやはしらふとしきまし
朝ことにみこととはさすつきひのまねくなりかなそこゆめに
みこのみや人ゆくへしらすも
反歌
久かたに天見ることくあふき見しみこのみかとのあれまく
あかねさす内はてらせれとぬはたまのよわたる月のかくらおしも
右の長顕の極外にてあたしすかゝる横は柿本朝臣の
歌のみなりその外もなそらひ見るへし
○二句対五つ長対句を三ツまておきてよめる格
起勺三勺対○次十八勺日頃二勺符日次四勺○二勺蒔○次二勺○次二勺対次二勺〇切切
人八日
長対
長寿口次郎次三十八勺比次郎江次郎江次郎
勺。合百五十一勺同大長歌
二ノ巻
同集
卅三丁ウ
凡高市皇子尊城上殯宮之時柿本朝臣
人麿作歌并短歌
かけまくもゆゝしきかも
いはまくもあやにかしこき
あすかのまかみのはらにひまかたの
あまつみかとをかしこくも定毎まひて神さふといはかくれます
〽やすみしく我おほきみのきこしみすそともの国の
ふは山こえて〽みまつるきわさみか原のかりみやにあのりまして
天のした
をさめたまひ
〽鳥かなくあつまの国のみいくさを
をすくにを
さためたまふと
ちはやふる人を知せす
めしたまひて
皇子
皇子随任たまへれは
まつろはぬ国をおさめと
ヨサシタマヘハ
太刀とりおはし
おほみ身に
弓とりもたし
おほみねに
御いくさをあともひたまひ
とゝふふ
吹なせる
小角のこゑはいかつちのこゑときく申て一
かみのおとはあたみたるとしかほゆると
つゝみのおとは
もろひとのをひゆるまてに
さゝけたらはたのなひきは冬木なすはかさりくれは野ことに
とりもてるゆはつのさわきみゆきふらふゆのはやしにつむしかも
つきてあるひのかせのむたなひくかことて一
もろひとのみまとふまてに
いまきわたるとおもふまてきゝのかしこく
ひきはなつ矢のしりけて大ゆきのみたれてきこれまつろはす
席
立むかいしもの治たはけけぬへゆくとりのあらそふはしに
わたらひのいつきのみや神かせにいふきまし天くもを
ひのめもとこやみとおゝひたまひ定めてし水極の国を
神なから大しきまして「やすみしゝ家大君の天のした
申たりへ生万代にしかしもあらへゆふはなのさかゆる時に
我出るみこのみかとを神みやによそひまつりてつかはしく
みかとの人もしろみまんのあさの衣きはにやすのみかとのはらに
あかぬさす日のこ
日のことし
したしもの
いはひふしいゝ
ゆふへになれは
大とのを
ぬはたまのゆふへになれ共大とのをふりさけ見つゝ〽うつしなす
いはひもとほり
いわひもとほりさもらんとさもらひかぬて〽はるとりのさまよひぬれは
さまよひぬれは
なけきもいまたすきぬに
おもひもまたりねはことさへくくたらの原ゆかむははふり
はふりいなして朝もよしき給への意をとこ宮と定まつりて
神なかし
神なからしらゆりしぬしかれとも吾大きみの万代と
おもほし
めして
おもほしてつくししゝかく山のみや万代にすきむと
おもへや
あめのごとふりさけ見つゝたまたすきかけてしぬはむかしこかれとも
反歌
久かたのあめしらせるきみゆめに月かもしらすこひわたるかも
はにやすのいけのつゝみのこもりぬのゆくへをしらにとねりはまとふ
右にあけたる二首の長屋の櫓は大長前にのみかきりて外によみし例子
しこは柿本朝臣の歌にのみこの損をよみたまへり大長歌をよまむ
人はよくあしはひて此損の詞のつゝきさまをよくさとしすはよみ
あたかるへしまことに上手のそへのわさになん
○二句対二つ六旬長対二りを重ねてよめる格
同集
一ノ巻
廿三丁ウ
藤原宮御井歌
起勺二而并○次八日○次六勺長蒔○次六勺長谷
次二日付次終勺三勺え合四十三勺○中長麩三
やすみしゝ
わさおほきみ
たろひかる
ひのみこ
たろひかるひのみこあらたんの原におほみかと
はしめ給ひてはにやすのつゝみのかんに
はしき給ひてはにやすのつゝみのかんにありたらしみしたまへは
みしたまへは
ヤまとの
やまとのまたかく山はひのたての大みかとに十四ツ
大みかとに
青やまと
うねひのこのみつ山はひのよこの大みかとにみつやると
みつやまと
しみさひたてりみゝなしの
しみさひたてりみゝなしの春すけ山はそとものお子みかこに
そともの
おほみかとに
やまさひいまひなくはし
せまさひいますなてはしよしぬの山はうけとものおほ三かとに
おほみかとに
よろしなへ
神さひたり
高しちや
雲殿にそ
とほゝありける
天しるや
天のみかけ
ひのみかけの
みつこそは
常雨有米御井の清水
反歌
ふちはしの大みやつかへあれつけやおとめ之友者吉召賀聞
外に見あたらひ
右の前一首にして比格のうた
○長対句二つ二句三ツをおきてよめる格
同集
五ノ巻
八丁ウ
哀世間難住歌一首并序漢文山上臣憶良
とりつゝきおひくるものはもりくさに
都勺四勺長対ヲ次四勺〇次二勺対○次六勺同次四勺長対○次八勺。次二勺対
次十六勺日次二勺符○次終勺五勺〇合六十七勺大長歌三
よのなかのすへなきものはとしつきはなかなことし
とりつゝきおひくるものはもりくさにせめよりきたるを
をとめしか
しろたへのそてふりかはし
をとめさひ
をこめさひかしたまをたもとにまかしい
へくれなゐの
あろもすそひき
よちこらとてたつさたりてあそひけむとしめさはりとゝみかね
一みなしのみかくろきかみにいつのまかしものふりけむ
すてやかれ
これなひのおもてのこえにいつてゆかしてかきたり
つねなりしゑまひまよひきさく花のうつろひにけりよのなかは
つるきたちこしにとりはき
かくのみならしますしをのをとこさひすと
さつゆみをたにきりもちて
あかこまにしつくらうち
ありこまにしつくらうちはひのりてあそひあるきしよのなかや
つねにありけるをとめらりさなす一ツとを出しひらきいたとりよりて
たまてさし
かへ
いくたも
またまてたりてさしさねしよのいくたも
あらねは
こしにたかぬ
かくゆけはひとにいとはゑ
かしゆけは
ひとににてまえ
こしゆけまらひとりにくまきおよしをはかくのみならし
たまきはるいのちをしたとせむすへもなし
なし
反款
ときはなくすあくしもかもとおもんともよのことなきはとゝみかねつも
右にあけたる二首の長寄は長対句を一首のうち二ふたところよみいれたり
始の歌は長対を重ねたる様にして此歌とはいさゝかことなりこれも
大長歩中長度にのみかきれる格なり如此よみし哥は外に見あした
らす
○起句二句剃終句に一句符をおきてよめる格
一ノ巻
万葉集
万葉集七丁号泊瀬朝倉宮御宇天皇御制衣歌
起勺二勺符。次二勺口次百符次二勺〇次二勺対○
次二句日次終句一勺対日合十八句を中長歌一
かたまもよみかたまもち
このおかになつますこ
ふくしもよみふくしもち
いへのしへ
なのしさね
そらみつ
やまとの国は
おしなへて
我こそをれ
しきなへて
我こそませ
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
氷をこそ
いへをも
せとはのらめ
なをも
右のうたの一首のなかに一句尉と二句符をおけり
此格外によみたる例なし
同集
二ノ巻
卅一リ
吉備津采女死時柿本朝臣人麿作歌
一首并短歌
あきやまの
〽なきたりの
起句二句対も次四句に次四句号対日頃十勺日次書対○次二句○
次終勺口一勺符○合三十四勺日中長教山七
したふるいも
とをよるこらは
いかさまにおもひをれか多くなはの
かゆこそは
なかきいのちを
きゆぬといへ
きりこそは
きりこそはゆふへにたちてあくれにはろ見ぬといへ
う見ぬといへ
あつさゆみ
あつきゆみおときくわれほのに見しことくやしきしきし給んの
きを
〽わかくさの
手枕まきてつるきたち身にそひねにそひね〽わかくさのそのつまのこは
おもひてぬらむ
くやしみか
こひおもふらむ
朝露のこと
時ならす過にしこしか
夕霧のこと
反歌
さゝなみのしかつのこらかまかりにし川胤のみちをみれはさふしも
右の歌は一首のあかに四百の長対ると二日封とをおきてよめり
此損し是一はにして外に見あたらす
中
古事記
古事記神軽嶋明宮御宇天皇御制衣歌一
天皇越幸近淡海国之時云云故到坐木幡村之時麗美娘
子遇其道衢云云於是天皇任令取其大酒箋而御歌曰
都勺二め封○次十二勺日次二勺対に次二勺日次二勺対に次七勺日次二勺対○
次一勺〇次終勺一勺対○合四十勺日中長歌三
このかにやいつくのかに
もゝつとふつぬかにかに
もらすとふつぬかのかによきらふいつくにいたるいちじしま
みしまこときみをとりのかつきいきつきしなたゆふさゝなみ路を
すく〳〵と我いませはやこはゝの道にのあさしとをとめ
ろしろては
はなみはし
をとめ
をたてろかも
をひしなす
いちひゐのわにさのにを
はりには
はたあからけみ
しかには
にくろきゆゑ
みつくりのなかつにをかふつくまひにはあけすまよかき
こにかきたれ
我見しこら
かくもかと
あかみしこに
くたしきに
むかひをるかも
いそひをるかも
右の長歌ハ一筆の内に二日尉を三ツ至てよめる始の二二郎とハいさゝにことなり
此損も外ニよミし度儀なし
上津三首の長義はいと成るきかくにして左事乱の御哥は中に二句付三郎を
至万葉集一の巻の御哥は中に百付一ツ二日付二郎をおき同二ノ巻なる
は中に四日壱付一ツ二百計一ツをおけりしかよめるさまは異極のやうに聞
ゆれとも初終りの詞のさま哥の句数おも日し指とそ聞ゆれは
いりは可指とは定めつ古事都下巻に宇治の御手の御哥万葉集十三
巻に全くひとしきさまの哥あれともそれはうちかへしてよめる格こし
て此橋にはあらすなんよくせすはまきのぬへし見む人心せよ
その哥の格の事はその所にくわしくいふへし是と合せて考て考てよ
○起句ともに二句対を三ツをきてよめる指
万葉集
五ノ巻
十一月
小集五十五月読令反惑情款一首并序漢文山上臣隠
起勺二勺対而次二合二勺同次二勺対流二勺日次二勺御村同
次拾勺五勺日合三十一勺日中長歌一
ちゝはゝをみれは千国とし
めこ見れはめてうつくしよのなかはかくこそと
はり
かゝらはしもゆらへしらねはうけくつをぬきつることくふみぬきて
あめゆかは
ゆくちふ人はいはきよりなりてし人かなかなのしさね
なかなのしさね
つちならは
おかまに〳〵
おほきみいますこのてらす月日のしたは
天くもの
むかわす極み
たぐくしの
さはたるきはみ
きこしをす人ほのまほしきまほしきししまき〳〵しろにはあらしか
反歌
ひさかたのあまちはと注しなほ〳〵に家にかへりてなりをしまさに
右一首此度の三十之外に
かくよみし例見あたらす
○起句に二句符ををきなるに六句連符をおきてよめる格
三ノ巻
なゆたけの
きにつらふ
同集
同集卅二年アリ石田王卒之時丹生王作歌一首并短歌
一起句二句対○次六句日次六勺連対○柊夕廿三勺日
合四十五勺日中長歌四
なゆたけのとほよるみこ
さにつらふわかおほきみは
〽こもりくのはづせの山にかむさひに
いつきいますと玉つさの人そいひつる
およつれか
まかことか
我きゝつる
我きゝつるも
あめつちにくやしきことの天くものそくへのきは
そくへのきは
いたるまてに
つえつきも
我やとに
つかすもゆきてゆふけとひいしうらせて家やとにみもろを
たてゝ
まへしてかしいまひへをすたかたりをしゝにぬきしゆふたすき
たれ
かひなにあけしあけくなるさゝらの小野のならますけ手にとりもちて
久かたの天のかはらにいてたちてみそきて
そきましをたりやまの
いはほのそんにいませつるかも
反歌
およつれのたはことらんも高やまのいはほのこんにきみかこやせる
いそのかみふるの山なり杉むしのおもひすく
右にあけたる長うた一首にして
かくよみ之例外に見あたらす
○起句に二句対をおきなかに四つ速符をおきてよめる格
三ノ巻
同集
十三丁
長皇子遊猟路池之時柿本朝臣人麿作歌
一首并短歌
起勺二勺対に次四勺え次四勺連対せ
次拾勺九勺江合廿五勺中長歌七
やすみしゝ我おほきみ
我ひのみこの
うななへてみかりたゝせる
へたかひかる我ひのみこの
かりぢのをぬに
ししこそは
はいはひをろかめしらしものい
しらこそはいはひをろかめ一しらしものいはひをかみ
うつらこそ
うつらこそいわひもとほひもとほれ
かしこみとつかへまつかて久かたのあめみることく
あふきてことはるくさのいやめつらしき我おほきみ
反歌
久かたの天ゆく月をつなにさし我大君はかさになしたり
すめろきは神にしませはまきのたつあら山中に海をなすかも
六ノ巻
同集
十七丁
過辛荷島時山部宿祢赤人作歌一首并
短歌
起勺二勺尉日次十勺日次四勺連対ゆる
次終勺三勺○合廿五勺日中長歌ニ
おちさはふいもかめかれて
かにはまきつくれる船にまかちぬき
しきたへの手枕まかす
我こきくれはあはちのぬしまもすきいなみつまからにのしまの
あをやまかそこともみえすこきたむる
嶋の書ゆ少きへを見れは
しらくももえになりきぬゆきかくる
ものことく
しまのさき〳〵くまもおかすもひそ家くるたひのけなかみ
反歌
玉もかるかゝにの嶋にあさりする難にもあれ家もはさらむ
しまかくり我こきくれはともしかもやまとへのほるまくまのし船
かせあけはなみかたゝむとまもらふにつたのほえにうしかくりをり
右二首は中に四句連符をよみはれたり比格は
比二首の外よみたる例外に見あたらす
○起句に四句連符をおきてよめる格
万葉集
十三巻
卅一丁
起候四勺連対。孫勺三勺同
一合十一勺○小長歌
みもりくのはつせの山わしりてのよろしき山の
あをはたのおさかの山はいてたちのくはしき山そ
あたらしき
やまのあれまゝし
をしも
中
古事記
同古事記書記古書記受比売歌
起勺四勺連対○次砲勺五勺同
一合十三勺え小長歌山四
たかひかるひのみこへあしたまのとしかきふれは
やすみしく
やすみしく我大きみあしたまのつきはきへゆく
うへおく
きみまち
かたに
き三まちらに我かけせるおすひのすにつきたゝなむ
右二首ほしかくなり此格
外に見あたらす
○起句に六句連対をおきてよめる格
万葉集
一ノ巻
十三丁
額田王下近江国時作歌
起向六日迄付〇次給に勺三勺日
合十五勺合小長歌二
うまさけ
うまさけみわのやま山のまかしいかくるまてつわらにも
青によし
青によしなしのやまみちのく子いつせるまてにしは〳〵も
みつゝゆかむを
みさけむ山を
こゝろなくくものかくそふへしや
反歌
みわやまをしかもからすかくもたにもこゝろあらなむかくそふへしや
土衣二ノ十一丁
みけむかふあはちのしりの哥こゝ天へし
同集
十三巻
同格十五勺同
廿一丁
小長歌○
見わたしにいゝらはならしおもふそらやすからなくにさにぬりの
こなたにわれはたちてなわくそくやすからなくにたましきの
をふねもかも
をかちもかも
こきわなり
こきわなりつゝもかたてはましを
右二首目格なりすへてハ上にあけし二首の小長歌も同し格にして
五首ともにいとふるきしらへにそ有ける此様は小長屋のみかきりて
外にかくよみし例
見あたらすなん
4610
狩手
第一
長歌詞乃珠衣
詞珠衣二之巻
○起句に二句対をおきてよめる格
十六巻
万葉集
廿四丁
起勺二日付○終勺三勺同
戀夫君歌一首は
合七勺ヒ小長歌。
いひくへとうまくもあらす一
あかねさす君かこゝろしわすれかねも
あるけともやすくもあらす
十三巻
同集八丁リ
同集
八丁目
起句二句付え題句二句五句
合九勺○小豆歌○
あめはしもなかくもかも
つきよみのもてかおち水いとりきて
やまはしも
やまはしも高くもそも
君にまたしておちえしむもの
反歌
あめなるや月日の如くわかもへる君かひにけにおゆしをしも
同集
八ノ巻
十五丁
桜花歌一首并短歌
同格九勺
小豆歌○
をとめらうかつしのために
みやひをのかつらかために
しきませるくにのはたてに咲にける
さくしか花のにほひはも
の
かこそのはるおんかし君に三次にてしさくらか花はむかへくらしも
玉ノ巻
同集
八丁リ
思子等歌一首并序漢文山上臣憶良喜
同格九勺
帖長歌同
かりはめはこともおもおゆ
くりはめはましてしぬはゆ
いつくよりきたりしものそまなかひに
もとなかゝりてやすいしなさぬ
反歌
しろかねもこかねもひもなにせむにまされるたかたかめやも
同集
三ノ巻
十七丁目
柿本朝臣人麿戯新田部皇子歌一首并短歌
起句二勺対る終句七勺日
一合十一日小長歌
やすみしら五日おほきみ
しきます大とのたかにひさかたの
高ひかるひのみこの
あまつらひくるゆきしものかよひつゝませ万代まて等
反歌
やまりやま木立もみえすふりみたれ雪のはたてのあしたたぬしも
同格十一句
同集
六ノ巻
卅六丁
小長歌○
石上乙麿郷配土佐国之時歌并短歌
石上乙麿郷配土佐国之時歌平短歌
ちゝきみかし吾はまなこそ
まゐのほるやそうち人のたむけずと
はゝとしに吾はめつこそ
かしこの坂にぬさまつり音はそりかるとほき土佐
ち
反歌
反歌
おほさきのかみのをはまはせはけとももらふな人のすくといはなくに
日本記
十巻
饗應奉行奉行奉行
十丁リ
十丁目
紀曰二十二年春三月壬天皇居高居高台望兄媛之船以歌曰○
あはろしま
いやふたならひ
あつきしま
いやふたならひ
よろしきしま〳〵俵伽多佐例
阿羅知之きひなるもをあひみつるもの
万葉集
十三巻起夕二勺対り終句十三句日
十三丁合十七句○中長歌一
はかされは花咲をゝり
秋つけはにのほともみつ
うまさけを神なひ山の帯にせる
あすかの川のはやきせにおほる玉ものうちなひきこゝろはよりて
〽あさ露のけおはけぬへくこふらくもしるくもあんるこもりつまかも
反歌
あすかつ瀬々の玉ものうちなひきこゝろはいもによりにけるかも
同集
ホノ巻
十五丁
起く二日対日終に句
山部宿祢赤人作歌一首并短歌一
十五勺合十九勺中長歌
あめつちのとほきかことく
おしてるなにはのみやにわこおほきみ
つきひのおかきかことく
くにしらひしみけりくにひゝかみつきあはちのぬしまのまのまのまのまのまのまのまのまのまのまのまのまのまのまのまのまのまのまのまのまのま
わたのそこおきついくりにおほびたまさはにかつきふねなんて
つかへまつるかたふときみれ
反歌
朝なきにかちのときこゆみけりくりぬしまの海士のふねにし
古事記
上
巻
○沼河日売命御歌
起勺二勺対○終句十九勺
合廿三勺日中長歌
あをやまにひかがくらば
朝ひのゑみさかえきて〽多くつぬの
ぬはたまのよはいてなむ
へ序
しろきたゝ
しろきたゝあわ雪のわかやるむぬそくまらきなかり
またまで。玉てさしまきもらなかにいはなさむをあやになこひ
きこしやちほこのかみのみことことのかたりことも
こをは
万葉集
十九巻
十四丁
幕振勇士之名歌一首并短歌
同格廿三勺
中長歌ニ
ちゝのみのちゝのみこと
はゝそはのはゝのみこと
おほろかにこゝろつうしておもふらむ
そのこなれやもまひらをやむなしくある
なけやもちちひろいわうしつかきたちこしにとゝはきあしひきめ
やつをめそこえさしまくるこゝろさやしにのちのよのかたりつくへく
なをたつへも
反歌
せすしをらおを引つへしのちのよに
上野橋一首の長形はいとゆる起損なりける比格小遣歌中長別にのみよみ
て大長度にはよみたか例なしまた見あたらす玉衣一元巻卅五葉の書
に四日連符を起るにおきてよめる捨と六句連付を起るにおきてよみし
長寄なり此二郎の橋も上件の十一首の格と同し横にもやあ
らむしかれともいまは起るか其疑によりて異指とはさため
つ四の巻におしつはらなともを合せて考へし
○起句に二勺符をおきまたなかにも二勺符をおきてよめる格
万葉集
十九条
卅六丁
詠霍公鳥歌一首并短歌極久米朝臣
広縄作歌
起勺二日対〇次四勺日次二勺尉日次終夕三勺日
十五勺日小昼款
谷ちかく家はをれとも
ほとゝきすいまたきなかすなくこゑを
木高くて里はあれとも
あしたには
あしたにはかとにいてたち
きかまく
ゆふへにはたにを見わたし
かてゆふへにはたに
こふれともひとこゑたにも
いまたきこえす
反歌
ふちなみのしけりはすきぬあしひきの山ほとゝきすなとかきひかぬ
二ノ巻
万葉集
凡弓削皇子薨時置始東人歌一首并短歌
卅六丁
起勺二勺対る次六勺日次二勺対日次終勺二勺
一合十六勺日中長歌三
やすみしく吾おほきみ
かたの天つみやに神なから
高ひかるひのみこ
ひるすも
ひのこと〳〵
神といませはそこをしもあやにかしこみ
よるはも
よのことく
ふしろなけあきたらぬかも
ける
反歌
右の長歌ふしゐなけらことあるうへにもし
哥一日祝句あしむかしかゝる様もあれはなへてはいゝかたしたゝおとろかし
おくのみ
おほきみは神にしませは天くもの五百重の下にかくれたまひぬ
さゝなみのしかされなみしく〳〵にどこにを思かおもほせりけむ
同集
三ノ巻
卅六丁
一同山部宿祢赤人登春日野作歌一首并短歌
起る二勺対○次八勺日次二句附
次終句三勺日合十九勺。中長歌
はかひをかすかけ山の
朝さらす雲ゐ棚引かほとりの
たろくらのみかさの山に
まなくしはなく雲ゐなす
なく
まなくしはなく雲ゐなすこゝろさまひそのとりのかたこひのみ
よひ
ひるはもひかはたて
よかはゝもよのはたて
立てゐておもひそ吾するあはぬこゆへに
反歌
高くしめみかさの山になくとりのやめはつかるゝこひもさかも
同集
十五巻
古挽数一首并短歌
起勺二ヶ時江次は何日次二勺対に次政に勺
十一丁目
七勺合廿三勺。中長歌一
夕されはあしてにさわき
かもすしにつまとたくひてわかをには
あけくれはおきになつそふ
しもなふりそとしかへてうちはらひさねさしかへてうちはらひさねこふ手のを
ゆくみつのかへらぬことく
あともなきよの人にしてわかれにし
ふしかせの見えぬかことく
いもかきせてしなれころも袖かたしきてひとうにもねむ
反歌
たつかなきあしへをさしてとひりたるあなたり〳〵しひとりさぬれは
一ノ巻
同集
廿一丁
一軽皇子宿于安騎野時柿本朝臣人麿作
歌并五歌
起句二句対○次十句日次二句対
次務勺七勺合廿五勺〇中長歌五
やすみし五日おほきみ
神なから神さひせすとふとしかす
たかひかるひのみこ
みやこをおきてこもりくのはつせの山は申きのたつあしき山ちを
いはかねのしもとおしなん
さかとりの
朝こえまして
夕さりくれは
かきろひの
み雪ふる
あきの大きにはたすゝきしめにおし
いにしへおほして
反歌
あきのぬにやとるたひ人うちなひきいもぬらめやもいにしへおもふに
真間にかる荒奴子はあれもみちその過にし君かかたみとも
あつまぬのけありのたるところみてかへり
ひなへしのみこのみこのうまなへてみかりたゝしき時はきむけり
同集
三ノ巻
五十七丁
天平十六年春二月安積皇子薨之時
内舎人大伴宿祢家持作歌一首并短歌
合廿九勺日中長歌二
起勺二勺対○次八勺次二勺対次終勺十三勺日
かけまくもあやにかしこし
いはまくもゆらしきかも
五日おほきみみこのみことよろつ代に
めしたまわおほやアとくにのみやこは〽うちなひくわかさりけれは
まし
山へには花咲をゝり
さかやひけにさかゆる時とお子つれか
川せにはあゆこさはしり
子はことゝしろしたへにとねりひて氷つかやまみこして
かも
ひさかたのあめしらぬれこゐまろひひつちなけらとあきたらぬかも
反歌
吾おほきみあめしらむとおもはねはおほにみけるわつかそま山
みける
あらひきの山さへてりてさく花のちりにしとき吾おほきみ
同集
一ノ巻
廿二丁
藤原宮之役民作款
やすみしゝ
高ひかる
起勺二勺蒔日次二勺日次二勺対○次終勺卅七勺日
合四十七勺。中長歌ム十
五日おほきみ
高ひかるひのみこ
ひのみこ
〽あしたんのふぢはらえに
めしたまはむと
をすくにを
ミヤらかを
高しらさむと
神なかしおもほすなへにあめつちもよりてあれこそ
〽いはゝしの
いはゝしのあふみの国の衣手のたなかみ山のまきさく
ひのつまてを〽ものたふ水八十うち川に玉もなすうかへなかせれ
そをとちとさわくみたしいへわすれ三もたなし
らす
水にうきにて氷かつくるひのみかとにしらぬ国よりこせちより
一下五句序
吾くには
吾くにはとこよに
なさむ
いつみの川にもちこせるまきのつまもたて
てを
のほすらむいそはく見れは神からならし
十七巻
同集
卅七丁
レ敬和遊覧布勢海賦一首并一絶大伴宿
起句二而再○次四十四勺え次二勺対日
祢池主作歌
次終勺五勺合五十七勺日大長歌二
ふちなみはさきてちりにき
外のはなは草そさかりと
〽あしひきの山にもぬにもほこしきひ
鳴しと見すうちなひくこゝろもしぬにそこをしもうらゑしみと
おもふとち
おもふとちうますはりいてたられはいみつかは
みなとの
みなとのこり朝なきにかたにあさかししほみてはつまよひかはす
ともしきに見つゝ過ゆきしふたにのありそのさきにおきつなみ
よせくる玉もかたよりにかつらにつくりいもかためてにまきもなひ
うらくわしふせの水海あまふねにまかちかひぬきしろころ也行
袖ふりかへしあともひてわかこきゆけみをふのさき花ちりまかひ
なきさにはあしかもさゝれなみたちても
なききにはあしかもさゝれあみたちても
さわき
ゐても
あきさしはもみちの時に
みれともあかす
はるさらは
はるさらは花のさかりに
かもかくも君かまにまと
かくしこそみもあきらてたゆるひあし
反歌
しらなみのよせくる玉もよのちひたもつきてみにこむきよきよきよき
はまひを
上件の八首の長分はいとふるき指にもあらす老鳥の宮藤原の宮の頃よりや
よみ始けむそれよりこなたの歌にのみ見えたり此接大小中の三ツにわたりて
よめるしかれとも大小はいつれも一首にして残り六首は皆中長歌のてなり
此様はよまむとなしは此語前を見て味しかへし
○四句連対を一つおきてよめる格
一ノ巻
万葉集
十五丁
明日香清御条宮御宇天皇大御歌
一合十三日。小長歌○
起る二く〇次四日連対一つ次終日三日
十一日序
みよしぬの
耳かの嶺に
ときなくそ雲はふりけるその雪の
ひまなくそ前はふりけるその雨の
ときしくがこと
ひまなきかことくりもおちすおもひつゝその山みちを
同集或本歌十六丁
一ノ巻同格十三句
小長歌○
ときしくそ雪はふるとふそのゆきの
みよしぬの
みよしぬのみのかの山に
ひまならそ
ときしくかこと
その山道を
いまなきかことくりもおもひつゝその山道を
同集
二ノ巻
廿三丁
近江大津宮御宇天皇崩御時婦人作教一首
同格十三ケ口
小長歌○
さかりゐてわかなけくきみたまならは
うかせみしかみにたへ
ねはさかりゐてわかこふるきみきぬなしは
てにまきもちて
ぬくときもなく
吾こひむきみそきそいめにみえつる
のよ
同集
二ノ巻
廿四丁
同時大后御歌
同拾十三匁
小長款二
いさなとりあふみの海を
おきさけてこきくるふねおきつかひ
〽つきてこきてこきくらふねへつかひ
いたくなはぬそ
いたくなはぬそ
少かくさのつまのみことおもふろたり
同集
九ノ巻
廿五丁
同拾十三句
七夕歌一首
小長度
かみつせにたまま也あめふりて
久かたの天のかはに
しもつせにふねをうけすへ風あきて
風は少くとも
雨ふらぬとももぬしさすやますきませたまはし
わたひ
反歌
天のかはきり去わたるけふ〳〵と吾待君の船てすらしも
同集
同橋十三間
小長歌○
十日夜
をはりたの
をはりたのあゆちの水を
ひまなくそひとはくむとふく玉ひとの
ときしくそ人はのむとふかむひとの
ひまなきかこと
ときしくかこと
反歌
おもひやるすへのたつきもいまはなし君にあはそとしのへぬれは
みつかきの久しき時ゆゑすれは吾帯ゆるふ朝よひことに
司長十三巻同拾十三人
同集
同角廿丁リ小長歌○
十日市
ひまならそ雨はふるとふそのあめの
みよしぬのみみかのたけひまなくそ雨はふるとやそのあめの
ときなくそ雪はにかとしそのゆきの
ひまなき
のこと
明しかこと
ふる
反歌
みゆきあるよしぬめたけゐる雲のよそに見し恋わたかかも
十三巻同拾十三句。
同集
廿二丁小長歌
かむかせのいせの海のあさなきにきよか五か三日ふかみかの
ゆふなきにきよかまたみかまたみるの
ゆふなきに
にかめしわれを
つまといましとのおもほゆかき
またゆきかへり
十三巻
同拾十三匁同
同集
サ九丁
小長歌一
にしのうまやふてゝかふこまくさこそは
もゝしぬのみぬのおほきみ
ひむかしのうやふてゝかふこまみつこそは
めのみゑの花はかしめて
とりてかひなめ
くみてかひあめ
なにしかもましろのこまのいはえたちつる
反歌
ころもてのまゝろのこまのいはゆるもこゝろちちれかもつねにせになく
同集
六ノ巻
十四丁ウ
山部宿祢赤人作歌一首并短歌
起勺四勺ヽ次四勺連対一ツ日次終勺三勺日
合十五勺え小長歌
やすみしゝわかおほきみはみよしぬの秋豆の小好に
ぬのへには
みやまには
とみすゑおきてあさかりにしかほみおこし
いめたちわたしゆふかりにとりふみたて
うまなめてみかりそたゝす
はかのしけぬに
反歌
あしひきの山にもぬにもみかりひとさつやなはさみさりきたかみゆ
一ノ三十六丁ノヲモテニ入へし
同集
六ノ巻
十八丁
過敏馬浦時山部宿祢赤人作歌一首并短歌
同橋十五勺。
小長歌一
十日序
みわむかふあはちの嶋にたらむかふみぬ歌の浦に
おきさには
からまには
ふかみかとりふかみるのみまくほしける
なのりそかるなきうそのおのかなをしみ
まつかひもやらすてわれは
いけりとも
反歌
すまのあまのしゆやききぬなれなはかひとひも君をわすれは
の
同集
十ノ巻同拾十五勺
十八丁小長歌○
ますらほにいてたちむかふふるさとの神なひ山に
あけくれは
ゆふされは
つみのさえたにさとひとのきゝこふるまて
こまつかすゑにやまひこのあひとうむまて
ほとたさすつまこひすらし
さよなかになく
反歌
たひにしてつまこひすらしほこゝきす神なひ山にさよ受てなく
同集小長歌
十三巻同拾十五匁同
小長歌
かしなみか
天くものかけさへ見ゆるこもりくのはつせの川は
いそなみか
ふねのよりこぬよしゑやしからはなくとも
あまのつりせぬよしゑやしいそはおほしいそはしほしいそは
おきつなみきそひといりこ
あまのつりふね
反歌
さられなみわきてなかるゝ初胤川よるへきいそのなきかさふしさ
同集
十三巻起勺四勺四合四勺連対江次壁勺五勺同
廿三丁合十七勺口中長歌口
六日市
ものもはす道ゆきぬるもあをやまをふりさけけれは
つゝしはな
さくらはな
にほへるをとめなれをそもわれによすとふ
あら山も人しよすれは
さかゆるをとめわれをそもなれによすとふ
わかもとにとらむとそふなかこゝろゆめ
反歌
いかにして恋やむものそあめつちの神をいのれとわゝおもひます
同集
十三巻同拾十七勺口
廿五丁中長歌二
ともりくのはつせのくにゝよはひせす吾大皇すよ
おくとこに
ワカスノロキ
すととこに
さゝはねたりおきたしきはゝしりぬみ
大かはねたりいてゆかはちゝしりぬへみ
一ぬはたまの夜は明ゆきぬ
こらたくもおもふことうぬこもりつまかも
反歌
川の瀬のいしほみわたりぬはたまのこまのくるよはつねにあらぬ空も
同集
同十三巻同拾十七匁同
同集廿四丁中長歌三
たなくもり
こもりくのはつせの国のさよはひにわかきつればきくもり
さくもり
雪はふりきぬぬつとりきらしはとゝかみ
雨はふりきぬ家つとりかけもなきぬ
さよはあけこの夜は
あけぬいりて旦ねむ此戸ひしかせ
右の長寄は白数うたかはし、さよはあけ。この夜は、あけぬ、そふ句を二日とし
て上つれとも、何みかや一句と聞ゆへもし一句ならは。いりて且ねむとの問に一句
落しなかへし
猶よく考へし
反歌
こもりくのはつせをくにゝつましちれはいしはやめともなほそきにける
同集
六ノ巻
卅六丁
石上乙唐郷配土佐国之時歌一首并短歌
起る六人。次四日連付一つも次砲勺三勺ツヽ
一合十七勺○中長歌一
かけまかくもゆゝしかしすみのえのえのあら人かみの小なのへに
うちはゐたつきたまはむしまのさき〳〵あしきなみ風にあはせす
うしはきたひ
より九里のさまはひしてのさき〳〵くさつゝみみやまひあらす
すみやけくかつしたまはぬもとつ国へに
十三巻
同集廿五丁
起勺二勺〇次四勺連対る次終勺七勺日
合十七勺日中長歌一
うまよりゆくに見ることに
ひとつまの
つきねふやましろちを
かつまりかちよりやけはそこもふに
ねのみしなかゆ
心しいたし
たらちぬのはゝのかたみと吾もてるまそみからみに
おきつひれおひなへもちてうまかよはうせ
反歌
いつみかはわたりせふかみわかせこかなひゆきと大もぬれにけるかも
まそかゝみもたれと家はしろしなし君かかちよりおつみゆく見きは
右二首の長歌は先にあけたる三首の長方とは
闘句のをきところいさゝかことなり
古事記郡長谷朝倉宮天皇大御歌記曰大后坐日下
起勺八勺え次四勺
之直越道幸行河内え云之時行立其山之坂上歌曰け
連対せ御給句。
十四日市
三勺四合十九勺に
中長歌一
へくりの山の
こちしの
もとにしはいくみたけおひ
山のかひにたちさかゆるはひろくまし
すゑにはたしみたけおひ
いくみたけいくみはねす
多しみたけ多しにははねす
のちもくみねむそのおもひつまあまあはし
万葉集
六ノ巻
十三丁
同拾十九勺同
山部宿祢赤人作歌一首并短歌
中長歌ム三
やすみしゝわかおほきみたらしらすよしぬのみやはたゝなつく
青かきけり川なみのきよき河内そ
はかへは花さきをゝり
あきされはきり立わたる
そのやまのいやますしに
このかはらのたゆかことなく
もゝしきの大みや人はつねにかよはむ
反歌
みよしぬのきさ山の間のこぬれにはこゝたもさわく鳥の声かも
ぬはかなまのよのふけゆけひさきおふるきよき河内にちとりしはおく
同集
六ノ巻
十七丁
山部宿祢赤人作歌一首并短歌
同格十九勺同
中長歌
やすゝしゝわかおほきみかむなかしたかくしらするいなみぬの
しひつるとあまふねさわき
大河原のあらたへのふちゐの浦にしほやくと
しほやくと
しほやくとひとそさわにある
からをよみかんもつりはす
おほきみ
きよきしら
はまをよみえものりやうありかよひおほきみ
しるし
反歌
おきつなみへなみやすけみいさりすてふち元の浦にふねそさわける
いなみぬのあさちおしなべさぬる夜のそなかくなれはいんしぬはゆ
あかしかたしほひのみちをあすよりはしたゑまりはしたゑまゝむいへちかつけは
同集
十三巻
十五丁
一起勺二勺〇次四勺連付一つ日次終勺十三勺口
合廿三勺日中長歌ム三
せむすへのたつきをしらにいまゝかねのこゝしき道をあしたには
心はへるかとをいふんには
いてゐてなけき
いりゐておもひ
ぬはたまのくろあらしきて人のぬるうまはさねず〽おふふねの
ゆくら〳〵におもひはゝ呉ぬる夜らをよみもあへむ
反歌
ひとりぬる夜をかそへむとおもへとも恋のしけたに心ともなし
同集
三ノ巻
廿九丁
同登神岳山部宿祢赤人作歌一首并短歌
起る十四日十四日遅刻○次鯰句三日日
合二十五匁同
十五日は不つき〳〵の序
みもろの神なひ山に五百枝さししらに生れたるつかの木の
いやつきしに玉かつしたやかにてありつゝもやますこよはむ
あすかのふるきみや置山たかみ川とほしろし
はかひには
あきのよは
いしみかほし朝くもにたつはまかひ
見ることに
川しさやけし夕きりはしかはつはさわく
見ることにねのみしあかゆ
川しさやけし夕きりわしかはつはさわく見ることにぬのみしかゆ
いにしへお見は
反歌
あすか川川よとさらす三きりのおもひすくへきこひならなくに
日本記
十四巻
八丁目
殿長谷朝倉宮御宇天皇大御歌紀曰幸阿岐
豆野而御猟之時天皇坐御呉床余症昨御晩即蜻
鈴来昨其茲而飛於是御歌其歌曰
起勺八勺同次四勺連対江次終勺十一句日
合二十七勺。中長郡
やまとのをむしのたけにしゝふすとたれかこのことおほまんに
一我
ナラハ
まをす
たまゝきの
まをすおほま
たまゝきのあくらにたゝし
そこをきかして
しつまきのあくらにたゝし
しゝまつとわかたゝせは
さゐまつとわかたらせは
わかたらせは
たこむらにあむかき
そのあむを
つきつ
あきつはや
あきいはやはふむしもおほきみにまつらふなかかたは
おかむあきつしまやまと
同集
一ノ巻
十八丁
幸干吉之宮之時柿本朝臣人麿作歌并短歌
起向十六句〇次四句連対日次終句三勺日
合廿七勺日中長歌四
やすみしゝ
やすみしゝわかをほきみのきこしをすあめの下にくにはしも
さわにちれ山川のきよき河内とへみごゝろをよしのゝ国の
花ちらふ秋つのぬへにみやはしらふとしきませは
大宮人はふねなんてあさ川わたりこのかはの舟ゆかことなく
大宮人は
ふなき給ひやふ川わたるこのやまのいやたからし
いはゝしる多きのみやこ見れそあかぬ
反歌
みれとあかぬよしぬの川のとこなへにたゆることなくまたまへり見ひ
同集
十九巻
卅六丁
天平五年贈入唐使歌一首并短歌
起勺十三日頃四勺連対一ツ次終勺五勺日
一合二十九勺中長歌
〽そらみつやまとのくにあをによしおしのみやこゆおしてる
なにはに
くたり
つかはせる各せの君を
一吾せの君を
つかはせう吾せのゑをかけまくもゆたしからんすみの元の
吾大みかみふねのいましこりしさきいましさしよしひいそのさき〳〵
ふなともに
はなをもなしよしてこきはこむとまか〳〵とまか〳〵に
あらきかせなみにあは
ゐてかへり
せす
たひしけてゐてえりもとのゆへに
ませ
反歌
おきつなみいなみなみなる
きて
きて
同集
九ノ巻
卅二丁
過足柄坂見死人作款一首一
起而七日日次四日達付一つ日次終与三勺同
一金三十一勺同中長都山
をかきつのあさをひきほしいもなねかわりきせよむしろたへの
ひとおもとかすひとへゆふおひをみへ
ひとおもとかすひとんゆふおひをみへひくよしきにつかんまつりて
いやしたにもくにゝまかりてこゝはゝもつまをもひとおもひつゝ
ゆきけむ君は鳥かなくあつまつ国のかしこきや神のみさかに
序ニキタマハヤハハタノ誤ナランアシカナレハ序ニアラス
にきたまの夢もさむらにくにとへとくにをものらす
ぬはたまの
ぬはたまのかみはみたれていんとへといへをもいわす
ますゝをの
ゆきのすゝみにこゝにふりたり
同集
二ノ巻
十九丁、
京朝臣人麿從石見国別妻上来時作歌一首并
短歌
起勺四ツ日次四句連対一つ日次終勺廿七勺日
合卅九勺中長歌八
はくりにそ
角さまふいはみの海の海のことさへく
角さはふいはみの海のことさへくからのさきなる
ありそにそ
ふりみる生る
なひきぬしこを
玉もは生る
ふかみかの
ふかめておもへと
さぬる夜はいくらもあらす
はふつたの別しくれはきもむかふこゝろをいたみおもひいゝ
あへかすれは大ふねのわたりの山のもみちはのちりのまかひに
〽四ケ序也
いもかそてさやにもみえす
つまこもる
いもかそてさやにもみえすづまこまるやかみの山の
わたらふ風のをしけくもあくこひくれは天つたふいりひさしぬれ
ますしことおもへか吾もしきたんの衣の袖はとほりて
ぬれぬ
反歌
青こまのあかきをわやし雲ゐにていもかあたりを過て来にける
ける
ちりおみた
秋やまにおつるもみあらしかしくはちりおわたこともかきに見む
りそ
十三巻
万葉集
九丁ウ
起句十匁次四句連対次終夕十一句
合廿九句○中長歌一
あきつしまやまとの国はかむなからことなけせぬ国しかれとも
北ゝ二とあけて天つちの神もはなし
たし
ゆくかけの
おもんかも
むねやすかしな
〽かけ大正の
三けろひの日もかさなりてこふれけも心のいた
心のいたき
すゑつひに
君にあは一我いのちのいけらむ極云こひつゝも吾はわたかむ
ますからみまさめに
ますからみやさめにみを思ひみてはかかかかかかりのこそこひ
反歌
おほふねのおもひたのさし若ゆゑにつくり心はをしけくもな也
久かたのみやこをおきも葉まくしたひゆくきをいつとかまたむ
同集
四ノ巻
一
十六丁
八冊比興人芝麿下筑紫国時作歌一首并短歌
起句二十八日日次四句連対一つ口次終句十一句日
一合四十七勺○中長歌三
三人店し
臣の女のくしけにのせるからみなすみつのはまへにさにつろぶ
ひもときさけ吾妹児にこひつゝそれはあけくれの飯まりかくり
なくたつのねのみしなこゆわかこふるちへのひとへもなくさもる
こゝろもあれ家のあたり家立見れは青やきのかつらき山に
やと
たなひけるしら雲
たなひけるしら雲かかりあまさかるひなしの国のたくむかひ
あさなきに
あはちをすしにあはしまのそかひに見てあすなき子かこのこのこゑよひ
ゆやなきに
かちのとしいゝ
なみのへをいゆきさくみ
序
居候
いなひつま
へとりしもの
いなひつまうらみを過て
いはのまを
いゆきもとほり
五ケ序
なつさひゆけはいんのしま
なんさひやけはいへのしまありそのうんにうちなひきしらにおひたる
ありそのうんにうちなひきしゝにおひたる
なれりそかなとかもいもにのらすきにけ
反歌
しろたへの袖ときかへてかへりこむつきひを
よみて
同集
十七巻
二十一ツヽツ
人哀傷長逝之弟歌一首并短歌大伴宿祢
起る三十六日夜四句連対日次終夕七七日
家持作歌
一合五十一勺日大長歌今四
あまさかるひなをさきみおほきみのまけのまに〳〵いてゝこし
われをおくらに青によしなし山過ていつみかはきよきあなに
うまとしめわかれし時によてゆきてあれえりこむたひしけて
いはひてやてとかたらひてこしひかきみたまほこのみちをたとほみ
やまかはのへなりておれとこひしけてける
おもふあひたにたまつさのつかひのけれはこれしみとあかまちとふに
およつれゐたはことなせのみことなせのみことなにしかも
かも
るしはあらはたすゝきほつる秋のあさにはにいてたちならし
明しはあしむを
は紅のはなにほへるやとをゆふにはにふみたゐらけて
さほのうちのさとをゆきもあしひきの山のこぬれにしらくもに
たち棚ひくもあれにつけつる
反歌
まさきてといひてしものをししくもにたちたちたなひくときけはこなしも
かゝらむとかねてしりせはこしの海のありそのなみも見せきものを
土衣一ノサ一丁ノ
表に可入
十七巻
同集
同集廿五丁大伴宿祢池主更贈歌一首并短歌舎弘之
徳重恩蓬豊云ゑ漢文其詞曰大伴宿祢家持作歌
起勺十二勺日次四勺連付〇次十六匁次四勺長対次終勺十七匁
一合六十一勺。大長歌山四
おほきみのまけのまに〳〵しなさかるこしをおさめにいてゝこし
ますらわれよのなかのつねしなけれはうちなひきとこにこひめし
かなしけくこゝにおもひて
いたけくのひにけ二男をかなしひてなけて
いたけくの
ひにけにませは
いらなけくそこにおもひておも
そこにおもひておもふそら
やすからなくに
あしひきの
くるしきものを
あしひきの山きへなりて玉ほこの道のとほけは
まつかひもやるよしもなしおもほしきこともかよはす〽たまきはる
いのちをしけとせむすんのたときをしらにこもりゐておもひなけかひ
はかそ度か
おくさむるこゝろはなしにはかはなの咲るさかりにおもふとち
たをりかさらすはるのぬのしけみとひくらうくひすのこゑたにきかす
をとめしかはかなつまこれなゐのあかものすはかさめに
の
にほひひつちしかよふらむ時のさかりをいたつらに春しやりつれ
しぬはせる君かこゝかをうるはしみこのよそいもねすに
からに
けふもしゆえにこひつゝそなる
反歌
あしひきの山さへし花ひとめたにきみとしてはあれこひめやも
やまふきめしけみとひてうくひすのこゑをまららむ君はともしも
いてみならむちからをなことこもりゐて君にこふるにこゝろともなし
上件三拾四冬の夜前は皆同し格也比しらへいわしへより大中小の三ツに渡りて
小兵斎の十三日より大長歌の五十一日迄によめりそれゟ日数の多きなは
いまた見あたらひよみたる儀なし扨同し格なからも詞のふ百井と
あたらしきと起る終日のなにきゝとみしかきとによりて歌のさま
のかわれるめて聞ゆるはそのつかけさまにうれることなり近くしらへ
て其よしをさとかへし又六石連終十つれ財をよみいれたる哥
あり其様は皆中矢前の十七日より三十五日迄によみて外によみたる
例なし是も右にあけたる三十二畳の前と同し橋にもやならむ
しかれとも戦句のさまことなれはこと様とはして四の巻にいたし
つ考へ合すへし
○二句対を三つおきてよめる杉
ニノ巻
万葉集
サ五丁
天皇崩之時大后御作歌
起句二勺日次二勺対江次二勺口次二勺対〇次二勺口
次二勺対○次終夕三勺日合廿一勺日中長歌ム二
やすみしかわこおほ君の
ゆふされはめしたもふらし
あけくれは
とひたもふらし
神をかの
山のもみちを
けふもかも
とひたまはま也
あすも可も
めしたまはまし
そのやまをふりさけ見つゝ
あやにかなしみ
ゆふされは
こらさひくたし
あけくれは
あらたへの衣のそてはひか時もなし
同集
六ノ巻
卅五一
春日悲傷三香奈荒堰作歌一首并短歌
起勺四日に次二勺対に次第日次二勺対日次四句日次二勺対日
次終句三勺日合二十五勺江中長歌○
みかのはしくにのみやこはやまたかく川の胤清也
ありよしと
すみよしと
ひとはいへとも
われはおもへと
ふりにしさとにあれは
くに見れと
さと見れと
ひともかよはす
いへもなれこり
さくはなの
はしわやしかくなりけるかみもろつくかせ山きわに
もゝとりの
いろめつらしく
音なつかしく
ありかほしすみよきさのあるらせしも
反歌
みかのはし国の都はあれにけり大みやひとのかつろひぬれは
さくはなのいろはかはらすもゝしきの大みやひとのたちかはりぬる
同集
十三巻
○起句二勺○次二勺対江次六勺日次二勺対〇次二勺に
卅二丁ウ
次二勺封○次終勺五勺え合二十七勺○中長歌二
鳥かぬもきこんぬ海に
たかやまをしとみとなして
おきりもをまてとなして
かはのきぬ
あらひもきに〽いさなとりうみのはまへにうしもなりやもれる人は
のまなこにかはらむ
いてとへと
まなこにかはしむ
おもほしきことつてめやと
つまかありけむ
山かくさの
なをとへと
いへをものらす
なまにものらす
なくこなすことたにとわすおもへともかなしきものは
よのなかにそ
ある
反歌
おもちゝもつまもことももたろ〳〵国こむとまちとまちかなしさ
あしひきの山道はゆかむ風ふかはなみのふさける海路はゆかし
同集
十七巻
卅四丁
二上山賦一首并短歌二首三月三十日依興作之
起夕四日頃二日朝日次二句日次二夕尉日次四夕日次二句対次終
大伴家持
勺七勺合二十九勺中長歌一
いみつかはいゆきめくれる〽舟まくらけふたかみ山は
はるさなの
女のはの
さけるさかりに
いてたちてふりさけ見れは
にほへる時に
かむからや
そこはたふとき
やまかしや
みかほしかしむ
あさなきに
すめかみのすそみの山のしふたにのさきのなりに
いふなきに
よすかししは
みちくるしんの
いやましにたゆゑとないわしへゆいまのをつゝに
かくしこそ見る人ことにかけてしぬはめ
反歌
しふたにのさきのありによすかなみいやしく〳〵にいにしへおもほゆ
たまくらけふたかみやまになくとりのこゑの恋しき時は来にけり
同集
十九巻
十八丁
四月三日贈越前判官大伴宿祢池主霍公鳥
歌不勝感薄之意述憾一首并短歌大伴宿祢家持作款
起而二日頃二而対日次二句日次二夕封日次十勺○次二句付江次終句
五勺合三十一勺中長歌○
わかせこかてたつさはりて
あけくれはいてたちむかひ
ゆふさきはふりさけ見
おもへのん
みなきし山に
一やつをにはかすみたなひき
たにへには
つはき花さき
うらかなしはかのすくれは
ほとらきすいやしき鳴ぬひとりのみきけはさひしも君とわが
へたてゝこふるとなみやまとひこえゆきて
あけたゝは松のさ枝に
ゆふさらす月にすかひて
あやめくば玉ぬくまてになきとよめやすいぬさせすきみをなやませ
反歌
われのみきけはさふしもほこゝきすにふの山辺にいゆきなかなも
起し公よなきをしつゝ吾せ子かやすろしなゆめ心あれ
同集
十九巻
十三丁
悲世間無常哉一首并短歌
起句十二日次二句対○次四句○次二勺対口次二勺日
次二勺対次発句五勺○合卅五勺○中長歌一
あきつちのとほきはしめによのなかはつねなきものかたりつき
おかしへきのあまのはらふりさけ見れはてる月もみちかけしより
あしひきの山の木ぬれも
するされは
はるされは花咲にほひ
あきつけは露しもおひて
かせましり
くれなひの
いろもうつろひ
紅葉ちりけりうつせみもかくのみならし
ぬはたまの
くろかみかはり
あさの名そゆふへかはらひ
みえぬかことく
ふくかせのみえぬかことく
ゆくみつの
とまらぬ如く
つねもなく
うつろふ君れにはたつみ
うりろふみなかならつみなかるらなみ
なみた
反歌
ことらわぬ木すら春秋つけはもみちちらくはつねをなみそ
うつせみのつねなれはよのなのなかにこゝろつけとておもふひそ
をほき
上
古事記
古事記上」須勢理毘売命御歌一首大国主神之嫡后須
勢理毘売命取大御酒坏立依指挙而歌
起勺五勺日次二勺対江次四勺〇次二勺対日次二勺日次二勺対る
次終句十二句○合三十五勺え中長歌二
やちほこの神のみことやあかおほくにぬしこそはをにいませは
うち見る
しまのさき〳〵
かきみる
いそのさきをちす
〽わかくさの
つまもらせしめあまゝもよ
めにしあれは
なをきて
なをきて
なをきて
をかなし
つまはなし
あやかきのふはやかしたに
にこやかしたに
序之
むしふすま
わかやるなねたくつぬの
ありゆきの
たくふすまさやくかしたに
しろきたゝぎたゝきたゝきすな
むき
もゝなかにいをしなせとよみきたてまつらせ
万葉集
二ノ巻
卅一丁
讃岐狭岑島視石中死人柿本朝臣人麿
作歌一首并短歌一
起勺二勺日次二勺対に次十勺日次二勺対日次十六勺日次二勺
対日次終夕五勺合卅五勺中長歌三
玉もよしさぬきの国は
くにかしか
くにかしかみれともあかす
かみかしかこゝたたふとき
あめつち
月かとともにみちゆかむ神のみおもとつきてこしなかのみなとゆ
うねうけて少かこきくれは時つかせ雲ゐにふゝに
おき見れは
へた見れは
しき皮たち
いさなとり
さなとり海をかしきわく小ねのかちひきとりて
しらすさわく
をちこちに島はおふけとなくはしさみねの嶋のありそまに
いほりし見れはなはのとのしけき浜辺を
あらとこと
ころにす
家ししはゆきてもつけむ
君か
きてもとはましを
玉源この
万葉集
六ノ巻
十九丁
春正月勅諸王諸臣子等散禁於授力
一起ゟ十四石〇次二勺対口次二勺口次二勺尉江次六勺同
寮時作歌一首并短歌走る十四夕○次二日封日次二日次二勺村下次六日
戌二勺対日次終勺七勺合四十一勺中長歌山回
まくすはふかすかめ山は〽うちなひくはかさうやと
露たなひき
ものゝふの
八十とものをは
カクツキテ
折木四哭之
ともなめて
来従皆
つねにありともなめて
石此続
つねにありせは
あそはむものを
うまなめて
ゆかましさとを
まちかてに吾せしはるを
かけまくもあやにかしこし
いはまくもゆゝしくありと
あしかじめ
かねてしりせはちとりなく
かねてしりせはちとりなくそのさほ川にいそにおふる
そのさほ川にいそにおふる
すかのねとりて
しぬふくさはらへて申しを
もゝしきの
反歌
ゆくみつに
及歌大こや人の事早ほこの
反歌大みや人の
みそきてましを
高聞添この
すめろきの
みことかしこみ
みちにもいてす
こふるこれて
うめやなきすくららししさほのうちにあそひしことをみやもとじろに
道たにしらすおほらしくまちかこふらむはしきつにらは
反歌
つまもあらはつみてたけさみのやア野のうへのうすきにけらすきにけらすや
まし
はき
よきつなみきよるありとしきたへのまくらと申きもなせう君かも
そを
同集
二十巻
三十三丁
為防人情陳思作歌首并短歌兵部少
一輔大伴宿祢家持作之
起勺八勺。次二勺尉江次十二勺日次二勺対日次二次二勺
対。次終句十一句。合四十五勺。中長歌三
おほきみのみことかし三こつまわかれかなしはあれとますらをの
心ふりおこしとりよそひかとてをすれは
たらちねのはゝかきなてゝ
わかくさのつまはとりつき
たひしけて我はいはゝむまさきくてはやかへり」とまそてもち
なみたをのどひむせひいゝことゝひすれはむし鳥のいてたちかて
いてたちかてら
いやとほに
国をきはなれ
すゝこほりかへり見して
あしかちる
山をこえすき
なにはにき
おふし月に
ふねをうけ花
ゐて
あさなきに
へむけこかむと
さもらふと我をる時に
はるかすみしまひにたちて多つかねのかなしくなけははろ〳〵に
いへをおもひておひそやのそよとなる
まて
反歌
うなはしに霞たなひき左衛門かねのかなしきよひ
いへおもふといをねすをれはみまつかなくあしへも見立頃春のかすみに
同集
二十巻
廿四丁
陳私拙懐歎一首并短歌二月十二日兵部少輔
起句十六勺。次二句尉。次十二勺日次二勺尉日次十二斤日
大伴宿祢家持作歌
次二勺尉次終勺え三勺日合五十五勺同大長歌
すめうきのとほきみよもおしてるはにはの国にあめのした
しらしめしきといまのよに毎度頃いひてかけまくもしやにうして
かむなからわこおほゑのうちなひくはるのしめはやちくさに
みのともしん
山見れは
花咲にほひ
ものことにさかゆる時と
川見れは
みのさやけく
死したまひあきしのたまひしきませるなにはのみやはき也めす
よもの国よりたてまつるみつきのふねはほり元よりみをひきしつゝ
あさなきにかちひきのほり
あちむらのさりきほひはまにいて
ゆふしほにさをさえくたり
海原見れはしらなそのや重をるかくらにうきて
そきたくも
おほみけかしつかへまつるとをちこちにいさりつりけりそきたも
こきたくも
おきりなきかも
こゝ見れはうんし神代ゆさためわらしも
やたけきかも
反歌
さくし花いまさかりなりあにはのうみおしてかみやにきこしき頃な也
うなはらのゆたけきみつゝあしくちるなにはにさしはへぬへておもつゆ
同集
二十巻
五十丁
一喩族歌一首并短歌大伴宿祢家持作歌
起勺六勺ツ次二勺対日次八勺日次二勺対り次二十四勺日次二勺対し
次終勺九勺日合五十九勺大長歌
〽久かたの天の戸ひしき高ちほのたげにあもりしすめろきの
神の御代より
はしゆみをたにきりもた也
まかこやをたはさみそへて
おほくひんのますらたけを
さきにかみてゆきとりおほせ山川をいさねさらみてふみとほり
くにまきしつゝ
りはやふる
ちはやふる神をことむけ
人をもやはし
はきゝよめつかへまつかし
まつろへぬ人をもやはし
秋つしまやまとの国のからはらのうねひのみやみやはしら
ふをしりたてゝあきのしたしらしめしけるすめんろきのあまのひつきと
つきてくるきみのみよ〳〵かくさはぬあかき心をすめしんに
きはめすしてつかへくるおやのつかさとことたてゝさつけ給へる
いやつき〳〵に
かたりつきてゝ
きくひとのかゝみにせむと
あたらしき
きよきものおほろかにこゝろおもひてむなこともおやのなたつな
おほとものうちとなるますらをの
あへる
反歌
しきしまのやまとのくにりあきしけきなにおふとものをこゝろつとめら
つるきたちいよゝとゝへしいわしへゆさやけくほひてきにしとりなそ
そのなそ
同集
十七巻
四十四丁
思放逸鷹蔓見感悦作歌首并短歌大伴宿
起勺六石江次二勺尉○次二十勺。次二勺尉を次六十二勺日
祢家持作歌
次二勺尉江次終勺五勺日合百五勺口大長歌四
序
おほきみのとほのみかとなに雪ふるこしとなにほへあまさかる
山たかみ川とほしろし
ひなにしあれは
山太かみ
あゆはしるなつのさかりと
ぬをひろみ草くそしけき
しまつとり
しまつとり鵜飼うともゆくかはの清きせことにかゝりせてし
〽店し
なつさひのほろつゆしもの紅にいたれはぬもさはに鳥またそうと
ますらをのともきこひてたかはしもあまたあれにもやたかをか
あさかりにいほつとりたて
あかをほくろにしてぬりのすゝとりつけてあさかりにいほつとりたて
ゆふかりにちとりふみたて
おふことにゆるすことなくたはなれもをちもかやすきこれをおきて
またさなしへる多かはなけむとこゝろにはおもひほこりて
ゑまひつゝわたるあひたまたふれたるしこつをきなのこと手にも
われに取つけすとのくもり雨のあるひをとかりすとなのみをのりて
みしまぬをそかひにみつらふたかみの山ひとこえて雲かかくり
かけりいにきとかへり来てしはふれつくれをくよしのそとになけれは
いわすへもたときをしらにこゝろにはとさへもへつゝおもひこひ
いきつきあまりけたしくもあふにありやと安しひきめをてもこのもに
となみはり有りんをすゑ」「ちはやめる神の社にてるかゝみ
しつにとりそ也こひのみてあかまつ時にをとめらかいめにつくらく
あかこふるそのほつかなまつたえのはまゆきくしつなりとる
ひみのこん過てたこめしまもひたもとほりあしかものすたくふる先に
ちかくあらはいまふつかたみ
をとつひもきのふもあかつちかくあらすいまふつかたみ
すきめやも
とほくあらはなぬかのうろは
きなむ吉せこねもころになこひそよとそいめにはけつる
反歌
やかたをのたかを手にすへみしま野にからぬひまねく月そへにける
ふたかみのをてもこめもにあみさしてわかりつたこをいめにつけつも
わかまつたこをいめにつけつも
まつかへりしひにてあれさやまたのをちかそのひにもときあはす
けむ
ころには
ゆるふことなく
をゆるふことなくすかのやますかなくのみやこひわたりなむ
右にあけたる十二首の長義皆目し指にしてをつ神代よりふなくよみきぬる格
なり此様は中壱分大亡義にのそよみて小そ前にハよくし例なしこはよみかしき
故なるへし又火の長歌のなかに壱せり姫の御義は起ろと終ると右の中
一首の南の橋とバいさゝることなりこはもし神のミことやといふ詞の方には
あらさるかもし二日なしはあやかきのとあち詞の上に一日祝多かともおそへ
とすへてをしらふるに祝心ありとも聞えねは上つ代はかくもよみ多分
ひけむかゝる御哥の事をいまおほちけにいふすかしこけれともたゝ心
みにいふのみよくふるき歌のさまを考へ見へし
○二句対句二つをおきてよめる様
万葉集
十七巻
一読三香原新都歌一首并短歌
九丁目
天平十三年二月右馬祭境部宿祢老麿作歌
起句は二句日次二句対る次二夕日次二句対口
次終夕同三勺口合十五勺小長歌○
山しそのくにのみやこは
はかされは
花さきをしり
あきされは
もみちはにほひ
おさせる
いつみの川の
かみつせに
うちはしわたし
よとせには
うきはしわたし
ありかよひつかへまつらむ
万代まてに
反歌
たゝなんていつみの川のみをたえすつかへまつらむおほみやところ
同集
六ノ巻
廿五丁目
凡天皇賜酒節度便卿等御製歌一首并
炬火尤勺え四分〇次二句対○次二句日次二勺対次終句
短歌
三勺ち合十七勺中長歌
をすくにのとほのみかとになむちしか賀まかりゆけは
たひらけて
たむたき
吾はあそはむ
かきなてそ
なてそねきたもふ
すめしわかうつのみてもち
吾はみまさむ
うちなてそねきたもふ
えわむひにあひのまむ酒そこのとよみきは
反歌
ますしをのゆうとふ道そおほろかにおもひてゆくなますらをのとも
をのとも
同集
九ノ巻
十九丁
見河内大橋独去娘子作歌一首并短歌
同格十七斤同
中長歌
しなてるかたしはかはさにぬりのおほはしのう
これなひの
ゆ山あひもて
あかもすそひき
すれるきぬきて
たゝひとりいわたらすこは
わかくさのつまかあるらむ
かしのみのひけりかぬらむ
とはまくのほしきわきしかいんのしらなく
反款
大はしのほつめにいへまかなしくひとりゆく
大はしのほつめにいへまかなしくひとりゆくこにやとこさ
あしは
ましを
十三巻起勺二勺同次二勺前○次三勺江次二勺対次終勺
同集
サ丁ウ九勺合廿二勺日中長歌
打久津みやけのはらゆ
ウツクツノ
ひたつち下しあしふみなつみ
なつくさをこしになりみ
うへな〳〵はゝにはしらさす
人の子ゆゑにかよはすも
あこ
うへな〳〵ちにはしらさす
いかなるや
みなのわた
かくろきあみにまゆふもて阿部左のひやまとのつけか小柳を
みに
おさへさすしきたえのこはそれそ我つま
反歌
ちらはゝにしらせぬこゆゑみやけちのなつのたなをなつみくらかも
右の長義はこえな〳〵といふ句のこへへん祝たるかくもよめる廿二の花の花の二十
五丁すせり姫の命の御義にこれとひとし喜格の歌あり合考へし
同集
六ノ巻
凡過敏馬浦作歌一首并短歌
卅六丁う
起勺八勺日次二勺対日次六勺次二勺対〇次終勺石口
合二十三勺中長款○
やちほこの神のみよゝりもゝふねのはつるとまりとやしまくに
もゝふな人のさためてしみぬめのこら
あきかせにからなみさこき
きよる
ゆふなみに
しらまなこ
きよきはま
ゆきかえり
みれともあかすそへしこそ
になこきよきはぬゆきかへりみれともあかすそへしこ
へは
みる人ことに
うたりつきし給ひけらしき
もゝよへてしまはえゆかむ
きよきしらはま
反歌
ますかゝみみみめの浦はもゝふねのすきてゆくきはまなくに
へき
はまきよう浦うるはしみ神代よりちふねのつるおふわたにはす
おふわたのはま
はつる
同集
九ノ巻
廿七丁
鹿島郡苅野橋大伴郷歌一首并短歌
起而四勺。次二勺ツ時江次八勺口次二勺尉次終夕三石口
合廿三句中長歌一
此牛のみやけの酒にさしむかふかしまのさきに
さにぬりの
玉まきの
をふねまらにて
しからしほのみちのみなこふあともひたて
こいまろひ
よひたてゝ手前水いてなははまもせにおくれなをりてあしまし
あしすりし
とひかもをらむ
ねのみやなかむ
うなかみのそのつにさして君かこき
反歌
うみつちのなきなむ時もわたりなむかくたつなみのふなてすいしや
同集
十八巻
サ二丁
為幸行芳野離宮之時儲作歌一首并短孤一
起句六句次二日対え次十句日次二句対
次砲勺三勺日合廿七勺中長歌
たかみくらあまのひつきとあめのしたしらしめしけるすめろきの
かしこくも
神のみことの
たふとくもさためたまへる
みよしぬのこの大みやに
ありかよひ出したもふらしものゝふの八十とものをもおのかおんる
このかはのたゆることなく
おのかなをひて大きみのまけのまく〳〵
このヤアのいやつき〳〵に
かくしこそつかへまつらひいやとほなかに
反歌
いにしへをおもほすらしわこほほきみよしぬのみやをありかよひ飲す
ものゝふのやそうち人もよしぬかはたゆることなくつかへつかへつかへつかへつかへつゝみむ
同集
十三巻起与六勺〇次二勺対に次四勺日次二勺付江
同次終勺せ十一勺合二十九勺中長款一
うちはへておもひし小野はとほからぬそのさと人のしめゆふと
たてみらのたつきもしゝに
きゝてしより
たてみら
をしくの
たつきもしゝに
おくかもしらに
ちゝはゝのしか家すしを
くさまくらたひねのことも
おもふそしやすからぬものを
なはくそし
すみえぬものを
序
あまくもの
ゆくら〳〵にあしかきのおもひみたれてみたれをのをけをなしに
五ツこふるちへのひとてもひとしれすもとはやこひいきのをにして
反歌
ふたつきの恋をしすれは常の帯の三重に御ふん我身はなりぬ
同集
一ノ巻
十九丁
幸于吉野宮之時柿本朝臣人麿作歌一首
地震
起白十四日次二勺対江次四勺同次二勺対日
次終勺三勺合二十九勺中長歌二
やすみしゝ五日大暑神なからかむさひせす」よしぬ川
たきつ河内に高とのを高しりましてのほりたち国見をすれは
たゝなはる青かき山山つみのまつるみつき
はかへは
あき
花かさしもち
はちかさせりいやかはらのアハセメ」神も大みいかへまつると
もみちかさせり
鵜川町たて
かもつせに
山川もよりてつかふる神の御代かも
反歌
山川もよりてつかふる神なかしたきつ河内等ふなてせす
同集
二ノ巻
卅一丁ウ
同柿本朝臣人麿戯泊瀬部皇女歌一首并
右同月九日次二日同右同右同断〇次二勺対口
短歌
次拾勺三勺合二十九勺中長歌三
とふとりのあすかの川の
かみつせにおほるたまもは
ともつせになかれふしはへ
たりもなす
なひかひしつまのみことのたゝなつく粟はたすら
そこゆゑに
つくきたち身にそひねてぬはたまのよとこも
あるしむ
なくさめかぬたたしくもあふやとおもひたまたれのをちの大野の
あさつゆにたまもはひつち
ゆふきりにころもはぬれて
する
反歌
しきこまへの袖かいし若玉気のをちぬすきまたもありあ
同集
十九巻
サ丁ウ
遊覧布勢水海作款一首并短歌
起句十勺日次二句符○次八夕日次二勺符より
次終句三勺に合二十九句中長歌の
おもふとちまさらをのこのくれのしけきおもひをみあきらめ
こゝろやうむとふせの海に小船つらなめまかひかけいこきめくれは
をふの浦にかすみたなひき
はまきよくしら皮さわきしく〳〵に
たかひめにふちなみさきて
こひはまされとけりのみにあきたしめかくしこそいやくしのはに
はかは子のしそきさかりに
ありかよひ見つゝしぬはこのふせの海
あきのはゝのもみつる時に
反歌
ふちなみの花のさかりにかくしこそうらこきたるとしにしぬはめ
同集
六ノ巻
サ四丁
藤原宇合郷還西海道節度使之時高橋連
趣句十四夕日次二句対日次八勺日次二勺符
一虫麿作歌一首并短歌
次拾勺三勺日合三十三勺中長歌○
序
しらくものかまつたの山の露しもにいろつう時にうちこえて
たひゆう君は五百二てやまいゆきさくみてあたりもるつくしにいたり
山のそきぬのそき見よとものへを
やまひこの
たにくゝの
こたへむきはみ
さはたるきはみ
かたをみしたりひてならたり
くにかたをみしたりひて冬こもり春さりゆかは
序
につゝしの
とふとりのはやくきまきたつたちの岡部の道下さん
さくらはな
に月はむ時の
さきなむ時に
山たつのむかひまひても君かきまさは
反歌
ちよろつのいくさなりともことあけせすとりてきぬへきをめへきをめし
同集
十七巻
丗丁ヽ
一卅丁リ
敬和立山賦一首并二絶極大伴宿祢池主
起而廿四夕次二勺対日次二勺次二勺対
次拾勺三勺合三十七勺中長歌
あさひさしそかひに見ゆるかむなかしみなにおわせるししくもの
ち重をわけあまそらり多かきたち山冬なつとわら時もおく
しるたへの
しろたへの雪はふりおきていましへゆありきにけれはこゝしかむ
いわの神さひたまきまきまきまきまきまきたちてゐてゐてゐてゐて
ぢやし
きよき河内に
みぬこるみ谷をふかみとおちたきつ
あさららす
ゆふされは
戻し
きりたちわたり
くもゐなすこゝろもしぬに
くもゐたなひく
たりきりの
おもひみたれて
ゆくみつの
ゆくみつのおころさやけて
よろつよにいゝつきゆかむかむかえ
反歌
たち山にふりおけるやうはとこなつにけすてわた神なからとそ
おちゝまきりかたかひ川のたえぬこと今見かくもやますかよはむ
同集
三ノ巻
五十七丁
天平十六年春二月安積皇子薨之時内舎人
大伴宿祢家持作歌并短歌
起句八勺日次二句同次十二句同次十二句日次二句同
次碇勺え十五勺合四十三勺中長歌二
かけせくもあやにかしこしわかほきみこのこのみことのものゝふの
あさかりにしらふみおこし
八十とものをゝめしつとんいさなひたまひ
いめかりにとりふみたてゝ
おほみまのくちをしとゝめみこゝろを見しあきらんしいてちやま
こたちのしかにさてこきもうつろひに
こしにとりはき
こゝろふりおこし
手にきりもちて
天つちと
いやとほなかに万代に恋しもかもとたのめりしみこのみうとの
さらへなすさわくとねりはしろたんのころもとりてつねなかし
ゑまひふるまひいやひけにかはろふ見れはかなり
反歌
はしきかもみこのみことのありかよひ三しくいくちの道はあれにけり
おほとものなにをふゆき万代にたのみしろいつくりよらむ
おひて
同集
九ノ巻
卅四丁
詠勝鹿真間娘子歌一首并短歌
起勺十二勺〇次二勺附〇次八勺〇次二勺府〇
次拾勺十五勺合四十三勺中長歌一
鳥かなくあつまの国にいにしへにあにけることゝいましてこ
たえすいひ馬かつしかのまゝのてこあさきぬにあをくひ即て
なか
裳にはおり
かみたにもかきはけつらす
きて
きてくつをたにはかすやけと
はかすやけとも
にしきあやの
なかにつゝめるいつきこもいもにんかきや
なつむしの火にいることく
花のことゑみてたてて
ゑみてたてれは
ふねとくことく
ゆきかくれ
人のいふときいくはくもいわらぬものをなにすとか身をたなしりて
皮のとのさわらみながおくつきにいもかこやせるをきよに
ありけることをきのふしもみけむかこともおもほゆる
反歌
かつしかのまゝのゐみたちほらし水をこみけむころしほとも
れは
おもほゆ
同集
十七巻
四十二丁
入京漸進悲情難発撥述懐一首并一絶大伴
損ハ外の損所
起勺八勺心次二勺対○次八勺日次
宿祢家持贈極大伴宿祢池主歌
二句対次終句廿九勺合五十三勺
べし三首九丁
七日店
大長歌一
かぎかそふふたかみ山に神さひてたてるつかの木もともえも
おやしとき
おやしときはしきよしわかせの君を
あささらす
夕されは手たつさはりて
いつみかはきよき河内にいてたちてわか立見れはあゆのかせ
つまよふとすとりはさわく
いたくしめけはみなみにはしら波高三つまよふと去りのさわて
あしかなとあまの小ふねは
いり江こくかちのと高し。そこをしもあやにともあやにともあやに
あそふさかりをすめろきのをすくにほれみこともちたちわかれなは
おくれはめるきみはあれたまほこのみちゆく
にても
われは
たなひく山をいはねふみこえへほりこひしけてけのなかけむ
そこもえはこゝろしいたしほとゝきすこゑにあへぬく玉にもか
手にまさよひにみつゝにみつゝにかむおきていかは
をし
反歌
わかせこか玉にもかもなほとしきす声にめへぬき手にまきて
ゆかむ
右の長前は対句につまよふとすとりはさわくあしかるとありの小船は
とある句はあまの小船はいり二て”といふまてへかゝりて二日と
対分なしむか見む人○ならの頃より闘白の事は何となくたしかな
らぬ哥こゝを付へし
同集
三巻
五十丁
天平元年乙巳摂津国班田史生又部龍麿自
同一
継死之時判官大伴宿祢三中作歌一首并短歌
起勺六日江次二勺尉江次二勺日次二勺符同
次将勺廿九勺〇合五十五勺大長類八
天雲のむかふす国のますらをといはるゝ人はすめろきの
とのんにたちさもらひ
神のみかとに
玉かいしいやとほなかく
うちのへにつかへまつりて
おやのなも
おやのなもつきふくかをおもちゝにつまにこともかたらひて
奥にしひよりたしちねのはいはいはいはいはいはいはいはいはい
ひとてにはやふとりもち
ひとてはしはにききて早さきくまさきくまさきくま
ひとてはしはにきたへまつり
せと
神にこひのみいかならむとしほるにかふらし花かくはし若か
ひくあみのなつきひこむ」たちてゐてまちけむ人はおほきみの
みことかしおしてさすなにはの国にあら玉のとしめるまてに
しろたへの衣ほさす朝よひにありつるゑはいかさまに
おもひませかうつせみのをしき此そを〽露しもめおきてゆきてゆきてゆきてゆきてゆき
時にあらすして
反歌
き給ふこそきみはありしかおもはるにはま浜の元の雲に棚引
いつしかとまつらむいもに玉つさのことたにのらすいまし君にも
同集
二十巻
十八丁
并
迫痛防人悲別之心作歌一首并短歌二月
八日兵部少輔大伴家持作歌
起勺十八日江次二勺付○次六勺口次二勺対日
次終勺二十三勺合五十五勺、大長数八
すめろきのとほのみかとゝしらぬひのつての国はあたまもる
おさへのきそときこしをす四方の国には人さわかしみちてはあれと
鳥かなくしつまおのこはいてむかひかへわせすていさみたる
たらちねの
たけくつくさねきたまひまけのまに〳〵
たけくツヽわきたまひわけのまた〳〵
おろくさのつまをもゆかす
あら両方の月はよみつゝあしかちるなに春のみつおほふねに
まかひしゝぬき
あさなきにかことしのへ
夕しほにかちひきをりて
あともひてこきゆく
きはみ
なみのまをいゆきはぐらみまさきくもはやくいたりておほきみの
みことのまにますらをの心をもちてありめくりことしをはしは
つゝまはすかへりきませいはひへをとこへをとこへに
すへて
そてをりてなかきけをまちかもこひむ
はしきつま
うは
反歌
ますしをのゆきとりおひていていけはわかれを
とりかなてあつまをとかつまわかれかなしくありとひとしのをなかみ
同集
二ノ巻
卅七丁
柿本朝臣人麿妻死之後泣血哀怖作歌
二首并短歌
起与六勺次二勺尉次八勺次二勺対候
次終句卅一勺合五十三勺火長歌九
天とふやかるのみちは少きもこがさとにあれは母もころはし
みまくほり
すと
やますやかす人火をおほみ
まねくゆかは人しりぬへみ
〽さねかつしのちもあは
むと
大ふねのおもひたのかきろひのいはかきふちかきふめこもりのみ
みて
恋つゝあるに
わたるひのくれぬるはこと
てるつきのくもかくること
序
おきつものなひきしいもは
もみちはの過いにきと玉つさのつもひのいへはあつさゆみ
おとにきゝていはむすへ七むすへしらにおとのみもきにてありえぬは
吾こふるちへのひとへもなくさもる心もあるやと吾妹子か
やます出てかるのいちに家立きけ
見し
なくとりの音もき也〽玉ほこのみちゆきくもひとりみなに
にてしゆかねはすへをなみいもかなよひて袖そふりつる
反歌
秋やまのもみちをつけみまとひぬるいもをもとめむ山ちしらすも
もみちはのちりけくおんに玉つさありつかひを見れはあひしひおもほゆ
同集
十九巻
廿七丁
挽歌一首并短歌大伴宿祢家持作歌
起而四十二勺次二句対る次四勺日次二勺対口
次終句七勺七合六十一勺大長類五
天つちのはしめの時やうつそみの八十とものをはおほきみに
まつろふものとさたまれるつかさにしすめろきのみこと少しこみ
あれは
ひなさかる国をゝさむとあしひきの山川へなりかさくもに
ことはかまへとうぬゝにあまなひのかさなれはおもひこひいきつきとり
をるに
〽玉ほこのたくる人のつてことにわれにかたはしきよし
らく
君はこのころうしさひておけかひいますよのおかのうけくつら
咲花も時にうつろふうつせみにつねなくありたらちねの
けり
はゝのみことなにしかも
時しはあら
ことなにしかも時はあら
の
むを
序土を
まそからみみれともあかす
かまうのをのあたらさかりに
たりきりのうせぬるかこと
おくつゆのきへゆくかこと
たまもなす
序
まかことや人のいゝつる
なひきこいふしゆくみつのとゝめもえす
およつれか
人のつけつる
あつさゆみつまひくとほとにもきけは
かなしみ
にはたつみ
なかなら
とゝめかね
なみた
なみたつも
反歌
とほとにもきみかいたむきゝつれはねのみしなかゆ思ふ吾は
なかゆ
こゝろつく
よのなかのつねなきこゝろつう
する
にして
同集
九ノ巻
卅五丁
い
見荒原處女墓歌一首并短歌
起而二十勺〇次二勺対而次三十六勺日次二勺対日
次終句九勺え合七十三勺大長歌
あしやのうなひおとめかやとせこのかたなりの時ゆをはなりの
かみたくまてならひをる家にも見えす〽うつゆふのかくれてをれは
みてしかといふせむ時のかきほなす人のいとむときちぬをこと
店し
うなひをと
ふせやたき
この
うなひをとのふせやたきすゝしきそひあひよはひしける時に
やきたちのたかみおしねり
しらまゆみゆきとり火にもいゝむと
しらまゆみゆきとりおゐて
きそへる時に吾妹子かはゝにかたしつらまきいやしき書ゐゑ
らく
ますらをのあらそひ見れはいけりともあふへてあれやしろ
よみにまたひとこもりぬとしたはへおきうちなけき妹かいぬれは
ちぬをことその夜いめにとりつゝきおひゐきはおくれたる
けれは
さめあめあめあめあふきさけひおらひつちにふしきはかみたけ
しころをにまけてはあらとかきはきのをたちとりまさきつし
な
とめゆきけれはそからともよりつとひて
なかきよの
なかきよのしろしにせひと
とほきよの
かたりつかむと
○、
をとめつかなかにつくりをとこつかかならとなたり
ツクリヨケル
ゆゑよし
をき
ト
きゝて
しらねともにひもの
反歌
あしやのうなひをとおくつきめゆきくと見れはねのみし
なかゆ
つかのかへのこのえなひきくかことちぬをとこよろへけらしも
にし
同集
十三巻
挽歌
起候四勺〇次二勺対日次六十六勺同次二勺御射口
廿七丁ら
次終勺十一勺合八十九勺に大長歌十三
かけまくもあやにかしふちはらのみやこしみにお
ひとはしも
きみはしも
みそてはまれと
おほましませと
ゆきむかひとしのを長くつかへこし君かみかとを
あめのことあなき見つゝかしこけとおもひたのみいつしかも
ひましてもち月のたゝはしみこのみこのみこのみこのみことは
はかされまゝうゑつきかう
くにみあそなか月の時雨の秋はおほとのゝみきりしみゝに
雲路おひてなひけるわき玉子すきかけて先母
冬のあしたはさすやなきねはへかあつおほみてにせたし給ひて
あそはしゝ吾大君のけふりたつはるの聲しまそかゝみ
みれとあかねはよろつよにかくしもかもと〽おほふねのたのたのかける時に
わかなみためにもあよなおほとのをふりさけ見れはしろたんに
かさりまつりてうちひさすみやめとねりはたへのほのあさきなきあさきなき
いめかもかつゝにかもしゆりよの
むしに
きのへの道ゆ〽つぬさまかふいわれを見つゝかむはふりはふりまつれは
おもんともしろしをなみ
ゆくみちのたつきを
しらに
おもへとも
おくかをなみ
おほみそて
ゆきふれし
ゆきふれしことゝはぬ木にはありあら玉の舟つ月ことに
まつを
とも
あまのはらふりさけ見はゝ玉多すきかけてしぬ春かしこかれ
反歌
つぬさはふいわれの山にしろたへにかゝれるくらはおほきみちし
同集
九ノ巻
十八丁
詠水江浦島子歌一首并短歌
起勺五十六勺同次二勺対○次二十二勺日次二勺対○
次拾句七勺え合九十三勺大長歌○
はるひのかすめる時にすみのえのきしにいてゐて泣船り船の
とほらふ見れはいましへのことそおしほゆみつの元の海島の子か
かつほつり
かつほつりたひつりなぬかまて家にもこずてうみなかを
ほこり
すきてこきゆわたつみの神のむすめたまさかにいこきむかひ
くに
あひかたらひことなりかはかきつらねとこよにいたりわたつみの
神のみやのうちのへのたへなるとのにたつさはりふたりいりゐて
おひもせす死にもせすじとこしへにありけるものをよのなかの
しれたる人のわきもとにせりてかたゝしはしくは家にかえりて
ちゝはゝにことをのらすあすのこと吾はきなむいひけれは
いもかいへらくとこよへにまたかへりていまの事あわむとなしも
とのはこをひらくなゆめそこらくにかためことをすみのへに
いへも見かねて
かへりきたりて
いへ見れはいへも見かねて
あやしきそこにおも
さと見れは
さとも見かねて
みとせの
いへいてゝ
いへいてゝみとせのらにかきもおくいへうせめやこのはこを
ひしきて見てはもとのこといへはあらむと玉かたますてひしくに
しらくものはこよんとこよへにたなひき立はした
ゆけは
さけひ袖にりこいまろひあしつりして舟ちまちに心けうせぬ
わかゝりりはたもしはこぬ
くろなりしかみもしらけぬ
今日なりしかみもしらずぬゆな〳〵はいきさへたえてのちつひに
いのちしにけるみつの元の浦島の子か家ところみゆ
反歌
とこよへにすむへき
とこよへにすむへきつるきたちなかこゝろおそやこのきみ
ものを
から
十八巻
同集
サ丁ウ
賀陸奥国出金詔書哥一首并短歌
大伴宿祢家持作歌
都白六十八勺〇次二勺冠〇次二十勺日次二勺対〇
次将勺十一勺合百七勺口大長教
あしばしのみのぼの国をあまくたりしたし火しけるすめろきの
神のみことのみよかさねあまのひつき」しらしくるきみのみよ〳〵
しきませるよもの国には山川をひろみあつみと色てまつら
みつきたからかそへえすつくしもかぬつしかれとも吾本ほ君の
もろひとをいさなひたまよきことをはしめたあひくかねかも
かしけく
たのしけらむとおもほしてしたおやますとりかなくあつまの国の
みちのくのおまなる山にくかねありとましたまへれみこゝろを
あましめ給ひ天つちの神あひうつすめろきのみたまたす
とほきかゝつゝしことをわかみ代にあらはして
あれは
さかえむものかむおからおものを
まつろへのむけのまに〳〵おひ人もめのわらはしかねかふ
にも
ころたらひになてたまひおさめたまへはこゝをしもあやにたふとみ
うれしけくいよゝおもひておほとものとほつかむそのなをは
なやの
うみゆかはみつくかはね
おほくめぬしとほひもちてつかんしつかさ
やまゆかは草むすかはぬ
おほきものへにこそしめかへりみはせしとことてますらをの
きかきそのいにしへにいまのをつゝにおかさへるおやのこともそ
なを
おほそもとさへきめうの人のおやのかなつること
たて
おやのなたゝすおほきみにまつろふもの」いひつかもことのつかさそ
あつさゆみ手にとりもちて
新まもりゆふのまもり
つるきたちこしにとりはき
みかとのまも我をおきてまた人はあらんといや多ておもひし原さる
おほきみのみことのさききけはたふ
反歌
ますしをめこゝろおもほゆおほきみのみのみことのさきをきけは給ふとき
しるうしめ
人のしるへて
おほどものとまつかむやおくつきはしるらしめ
たて
すめろきのみよさかえむ」あつまなるみちのゝ山にこかぬ花さく
右にあけたる廿一首の長分は皆同し指にしてむかしよりをてくよみきぬる
極にはあれといとふるくは見へす花原清見原藤原の宮の頃の前よりこなた
にそみえけるしかれ共よみ人しらすの哥はその頃よりもやくほるかり
けむもしれかたけれとも何とかや重頃より改めけるしらへに出ん有ける
古事記日本記の歌には此格いまた見あたらすなんさて中長度大長哥
にのみよみて小春哥にはたゝ一首の外なし又王事記に出ししへのことく
一その内に二勺計を二ツおきてよめる度あれともこはこと損なれは外に
いたせりおもひまかふへからす
門9冊
野狩4
長歌詞乃珠衣
詞珠衣三巻
○うちかへしてよめる格
問題
下
古事記
古事記□難波高津宮御宇天皇大御歌天皇恋八田
若郎女賜道御大歌
八勺
小長歌
やまのひともとすけはこもさすたちかあれあたらすから
なむ
すけはらと
いはめ
あたらすかしめ
下
同記下者流於伊倉通郎女御歌記也
同格
亦将流時歌曰
おほきみをしまにはらふみあまりいかへりこむそわかたみゆめ
ことをこそたゝみといは我つまはゆめ
め
一万葉集
十六巻
サル丁
能登国款
三首ノ内
内格△一
〽はしひてのくまきのやつしらきをのおとしいれかけて〳〵
なゝかしそねうきいつるやとみらむ少し
二同集同丁同歌同格一
ニ同集同丁同歌同
はしたてのくまきさかまのし類やつこわしさすひたて
ヤに
いてきよしをまのらるやつこわし
古事記題長谷朝倉宮御宇天皇大御歌記曰豊楽之
日亦春日之袁杼日賣献大御酒之時天皇歌曰
同格一
みなそゝておみのをとめほたりとら□ほたりとりかなくとらせ
したかたくやかたくとらせほたりとらす
日本記
二十七巻
廿丁
童謡曰
同格
みえしぬのえしぬのあゆ阿ゆこそはしまへもえきゑくるしゑ
なきのもとせりのもとあれはくるしゑ
日本記
十一巻
十四丁
難波高津宮天皇大御歌能曰天皇際江
幸山背時桑枝浴水而流之天皇視歌曰
十勺
小長哥
つぬきはふいはのひめのおほろかにきこさぬうらくはのき
よるましき川のくま〳〵よろほひゆくかもうらくりのき
日本記
廿七巻
十五丁
同格
童謡
○
うちはしのつめのあそひにいてませこかめてのいゐのやゐこのとに
いてましめくひはあらにいてませこかま聞てのいゐのやゐこのとに
サカ
下
七一
古事記
古事記題軽大郎子御歌起田木梨之太子所知日継未即
位之間斯其伊呂妹軽大郎女郎類曰
同格
二
さらはらしうつやあられの多く〳〵にゐねてむのちはひとはかゆとも
うちさしとされさねてはありこものみれは
二ノ巻
日本記
十一匁
九丁
下照晦日下照帳御預
下照晦日下照暖神歌
二
あまさかるひなつめのいわたらすいしかはかたふち
かたふちにあみはりわたしめろよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし
かたふち
田本記
五巻
六丁
○少女歌紀曰大彦命遣北陸云云大彦命
到於知拝坂上時有少女歌之曰
同格
○
みまきいりひこはやおのかをおしせむとぬすまくしに
ひめおそひおほきとようかゝひてころさむとすらくをしに
すも
ひめなそひ
すも
中巻
十日事記
古事記中十乙倭建命大御歌
到坐尾津前一松之許先御食之時所忘其地御刀
不失猶有余御歌曰
同格
一同小長歌
をはりにたゝにむかへるをつのさきなひとつまつあせを
る
いはつかつ
ひとつまつひとにありせてたちはげきぬきせしをひとつまつ
ましを
あせを
右の哥書記にはひとつまつあはれにこぎぬきせましをたちはけましをみこと
ありこの哥とはいさゝかたかへり
日本紀
二十二巻
十九丁
厩戸豊聡耳皇子命御歌紀曰皇太子
遊行於片岡時飢者臥道垂仍問姓名而不言云云則歌之日叶
十四勺
小長寄
しなてるかたをか山にいひにめてこやせるこのたひと
あはれおやなしになれなりはめやさまたけのきみはやなき
いひにゑてこやせるこのたひとあはれ
三万葉集
十三巻
同廿七丁中長歌の
琴酒をおしたれにぬゆいつるみつぬならはいでず寒水
サムキシモビノ
こゝろもさやにおもほゆるおとのすくきみちにあはぬかも
すくなきよちまたにいろけせるすか笠小笠吾うなける
あはゞ
たまのなか
かなきのなかとりかへもまらさむすくなきみちあはぬかも
つを
ものを
右にあけたる哥十四首は歌のさまによりていさゝかのかわりめはあれとも春也て
は同し是より下なる義は同し格なよし対句をよみのれたる義也
同某
同十三巻起勺二勺同同次二勺対江次終勺二勺同
四同集
二丁
二丁合八勺小長歌○
みもろは人のもる山
もとんにはあせみ花さき
すゑへにはつはき尤さく
うらくはし
なくこゆる山
十三巻起勺四勺日次二勺対江次終勺四勺日
五同集
廿七丁合十二勺小長歌
あまなくに
しなたてるつくまさぬへおきなかのとほちのこすけ
しかなくに
いかりもちき
いかりもてきて
十日事記
中巻
起而二勺対江次二勺日次二勺対江次路夕
腹腰裳少女歌
四百四合四勺小長歌○
みまきいりひこはや
みまきいかひこはや
おのかををぬすみしせむと
しりつとよ
しりつとよ
まへつとよ
いゆきたかひ
いやきたかひうかゞはくしらはしとみまきいかひこはや
右の歌は起勺二勺尉にして
いさゝかことなり
六万葉集
十三巻起勺六勺は次二勺尉え次拾勺五勺同
卅四丁合十五勺小長歌一
みまくほしは雲ゐに見ゆるはしきやしとはの松はしばらはども
いさやいて見む
ことさけはくにゝさけおむ
ことさけは家にさけなむ
天つちの神しうらめ也
草まくらこのたひのけにつまさくへしや
反歌
草まくしこの多ひのけに片まさかり家路おもふにいけるすへなみ
一万葉集
十三巻起勺七勺七勺同次四勺連対○次終勺一勺日
十丁
合十六勺中長歌
あしはしのみつほれ玉は神なからことあけせぬ宗しかれとも
ことさきくませとさきくませとありそなみ
ことあけそわかする
さきくいませともしんなみ
つゝみなく
つゝみなくさきくいませともしんなみ
つゝみなくさきくいませ
ありても見むと
ちへなみしきに
ことあけす
われ
反歌
しきしまのやまとの国はこと多身のたすくる国そまさきかれこそ
申巻
古事記申巻白橋宮郷宇天皇大御發説曰自其地幸行
到忍坂大室之時ニ云故明将打其土雲之類曰
起句二句日次二句対し次終夕十二夕日
合十八勺中長歌
おさかのおほむろや等
ひとさはかし
ひとさはかしきはりをり
ひとさはにいりをりとも
〽みつ〳〵し
くめのこがくふつゝいいしつゝいもちうちてしやまむ
〽みつ〳〵しくめのこらかくふつゝはいしつゝいもういまかたは
よらし
右にあけたる三首の長前は終るのさまいさゝかことにして外にあけたる
哥とは杉もはづるしことくに聞ゆれともさにあらすこは又うそかへせる
哥のなかの一ツの杉なるへし
日本記
九ノ巻
十一丁
熊之凝歌紀曰為忍熊王軍之先鋒則欲
起勺六勺口次二勺対日次八勺
一而已衆因以高唱之歌曰
一合十八勺中長歌
をちかたのあらら松ばらまつはらにわたりゆきてつくゆみに
まりやをたん
うまひとはうまひとぬちや
いとこはゝもいとこぬち
いさあはなわれは
たまきはるうちのあそかはえぬちはいさこあれやいさあはな
われは
古事記下表軽大郎子御教記曰進到之時待懐而歌
同
起勺二勺同次二勺対日次四勺日次二勺対日
次終勺四勺口合十八勺中長歌一
こもりくのはつせの山の
おほをにははたわりたて
さをゝにははたはりたて
おほをにし
なかさためるおもひつまあすゝれ
つくゆみの
こやるこやりも
あつまゆみ
あつさゆみたてり〳〵も
のちもとり見るおもひつまあはれ
一ノ巻
万葉集
天皇遊猟内野之時中皇女命便間人
七丁
七丁
連老献御歌
同格
中長歌ム三
やすみしゝ我おほきみの
あしたにて
あしたにはとりなてたまひ
いふんには
いよせたゝせし
みとらしの
いまたゝすらし
あさかりに
あつさのゆみなかはつの音すなり
夕かりにいまたゝすゝし
みとらしのあつさのゆみのな加はつの音すおり
反歌
たまきはる内の大野にうまなへて朝ふますらむその草ふけぬ
九万葉集
十三巻起句八勺日次反対ル次二勺対り
七丁
次二句え次終勺一勺符合十九勺中長歌山一
ももしねみぬのくにたかきたのくゝりのみや小ひむかひに
いてましのみやありときゝて吾かよふ道の
おきそやまなひけと
みぬのやまかくよれと
ひとはふめとも
ひとはつけとも
こゝろなきやまの
おきそ山
みぬの山
中巻
十日事記
古事記中巻宇遅能和紀ノ郎子御歌
起夕四夕日次一勺対而次六勺連対日次一勺日
次終夕日一夕対日合
ちはやひとうちのわたりにわたりせにたて事
あつさゆみ
まゆみ
いきしむと
いきし玉とこゝろはもへともとへはゑをおもひていらなけく
いとうむと
いとらむとこゝろはもへとすゑへはもをおもひてかなしけく
そこにおもひて
こゝにおもひて
あつさゆみ
いきゝすそ
くる
一まゆ三
日本紀
十七巻
八丁
春日皇女御歌
起勺六勺日次二勺尉次終勺十八勺
合廿九勺中長歌三
〽こもりくのはつせの川ゆなかれくるたけのいくみたけ
もとへをはことにつくり
よたけ
ふきなすみもろかうへに
すゑへをはふゑにつくり
序
のほりたちわかみしま〽つぬさはふいわれのいけのみなしたふ
うをもうんにてゝなけくやすみしく我おほゑの
おはしろさららのみおひのむすひ音たれやし人も
うへにてゝなけく
上竹乗る長義廿七畳は皆うちかへしてよめは格也其中にも初にあけたる
十四日之は対句をよみいれす後にあけたる十三そは軒日をおきて
よめりこはかくのたかへるに似たれ共すへては同しかく也此格はいとふなき
しらんにして左事記日本記の哥に多く見へたり小長哥の八句より中
長寿の廿九日の哥迄によみて其外句数のほほき別にはよみし綿なし
〇七哥かくへよみし哥には返哥をよみし侍まれにして大七首の
長義のうちにいさゝか三首そみ也其外にはよみし例なしまた
後ニは此橋の哥はみな人よりすして万葉集にかは是あれとも
よみ人のたしかにしなくは高市周平宮の中のら安命の御哥
せみなり此頃しもかくよみし人はすくほかりけむしかれとも
短度ニは是と等しく損そ
おほかりける
○五勺の長尉を一ツおきてよめる格
中巻
古事記十巻白橘原宮治天下天皇大御代記曰第宇迦斯
起勺六勺改五勺長対日次終勺
之献大饗者悉賜其御軍此時歌曰一
一勺は合十七勺中長歌一
うたのたかにしきはさやしきはさやしきはさやらすいすくはし
こなみのなこはさはたちそはのみのなけくを
くちらさやる
うはなりか
うはなりかなこはさはいちさかきみのおほけくを
こきしひゑね
こきたひゑね
あゝしやこしや
右一首にして外に此格
見ちたらす
〇四句の長尉一つおきてよめか格
万葉集
九ノ巻
廿三丁
○登筑波山歌一首并短歌
起勺六勺江次四勺長寿江次終勺五勺同
一合十九勺中長歌一
〽くさまくらみなひめうれへをおくさゆることもあらむとつくはねに
をはなちるしつくのたなにかりかねもさむくきなきなきぬ
のほりて見れは
見れは小ひたりのとわのあふみもあきかせにしらなみたちぬ
つくはねのよけてを見れはなかきけこしおもひつみしうれひはやみぬ
反歌
つくはねのすそわの田ゐにあきたかるいもかりやらむもみちたをしな
下すらのこが
か入
右の長歌一首にして
外に見あたらす
六勺
○
四勺
長対を一ツおきてよめる杉
同集
三ノ巻
四十六丁
石田王卒之時山前王哀傷作歌一首
六句
六句
長対次終勺七勺
起句六勺次
四句
一合廿三勺中長歌二
〽つぬさはふいはれの道を朝さらすゆきけむ人のおもひつゝ
はるたち花を
ほとくきすおくさつきにはあやめくさは
ほとくきすおくさつきにはあやめくさはなたち花を
かよひけましは
なかつきのしくれの時は
もみちはを
かつらにせむと
たまにぬき
まゝふくずのいやとほおかう万代に
をりかさゝむと
たへしとひてかよひけむ君をはあすゆよそにかもみむ
おもひて
反歌
こもりくのはつせをとめか手にまける玉はみたれてありといはす
やも
川かせのさむきはつ瀬なけきつゝゑかあるくににる人もあへや
右一首の外比格
見あたらに
○
四勺
六勺
長対を一つおきてよめる杉
同集
九ノ巻
サ丁
○春三月諸郷大夫等下難波時歌一首并短歌
四勺
起ケ六勺日次
六勺
同断同右同右同同
三勺合十九勺中長歌ム二
十一
万葉集
二ノ巻
廿五丁
乙天皇崩之後八年九月九日奉為御齊
起句五句次二句対次終句十二句
会之夜夢裏習賜御歌二首一
合二十一勺中長歌
あすかの清見原のみやに天のしたしらしめしく
五日おほきみ
やすみしゝ五日おほきみ
やすみしく五ツおもほしいかさまにおもか〽かむかせの
たかひかる
ひのみこ
いせの国はおきつももなみたるなみにしほけのみかなれるくにゝ
うまこりのちやにとらしきたかひかるひのみこ
一、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、〇〇
しし雲のたつたの山のたきのかへのをくらゐみねにさきをゝる
さくらの花は
くらの花やまたかみかせしやまぬはほりえはちり過にけり
はるさめのつきてしふれはしつ元にのこれなはなは
しはしくはちりなみたりそ草まくしたひやくわれがかへかくまてに
反歌
我ゆきはなぬかはすきたつたひとゆめこの花を風におちらし
同集
十九巻
十五丁
詠霍公鳥并時花謡一首并短歌
四日
起勺廿四日頃
右同断同人長対頃終句写
同起句廿四日頃六分長対頃終句写
一合三十五勺中長歌四
ときことにいやめつらしくやちくさに草木花さきなくとりの
こゑもかはしくみゝにきしめに見る
しぬひつしありくむしにこのくれやみうつきしたてはよこもりに
なく郭公いにしへゆかたりつき鶯のうりしまとかも
あかねさす
ちやめくす花たち花ををとめしかたりぬく
まてにぬはたまの
ひるはしめらにおしひきのやつをとひこえ
よるはすかしにあかときの月にむかひてゆきかへりなきとよむれと
いかゝあき
たらぬ
反歌
ときことにいや吹つらしくさく花のをりもをらすも見えてよしも
としのはにきなくものほとくきすきけはしのあはぬひをおほみ
ゆゑ
右の長哥二首の外
此拾見あたらす
一ノ巻三十八丁の前こゝにか入
○起句に十勺長符をおき又なかに二日対をおきてよめる杉
上巻
古事記上巻大国主神御歌記曰自出雲将上坐倭国
而東製立時片御手者繋御馬之鞍片御足踏入其
御鐙而歌曰
起句十句長対次十三句次二句対同
次終勺十四勺合五十一勺大長類土
ぬり両方のくろきみけしきまつふさにとりよそひおきつとり
去にとりの土をきみけしをまつふさにとりよそひおさつとり
むなみかときはたしきもこれはふさはすへつなみそにぬきうて
むなみかときわたしきもこもあまはすへつほみそにぬきうて
山かたにまきしあたねつきそめきかしろしめころもを
まつぶさにとりよそひおきつとりむなこるときはたしきも
むしとりの我これいなは
こしよろしいとこやのいものみことひけとりの哥ひけいなは
二勺席
なかしみなはいふとも〽やまとのひともとすゝきうなかふし
おかなかさあさあめのさきりにたらむそわかくさの
つまのみことことのかたりこともこをは
右にあけたる長義は始になけたるとはことなり長尉も起力にありておかに
又対日をおけりもしはこそ格ともやあらむこの歌のさまによまし
哥は古事記日本記万葉集にこれ
一首のみ也長時の例によりてこゝには上ケツ
○起句の二句尉ともに六勺長尉の内によみいれたる格
万葉集
十三巻十五匁
十六丁小長前〇
あかこまりうまやをたてころこよのうまやをたててそをかひに
あかこまの
おもふつまこゝろにせりてたりやまの庭のたをりにいめたてゝ
しゝまつかこととこしきにわかまつまいぬなほえそ
を
反歌
あしかきのすゑあきわけきみこゆと人になすけそことはたなしり
此度是にして外に見あたらす今しひていすゝ
上に上たる歌の橋にもいるへきか猶考へへし
右にあけたる長前一首の杉は神代よりよみきつゝいとふるき橋にそあり
ける右の様に連対々と対句とましへしは数多なれともかく長対日斗り
よみつれたるはまれなり其長時々の中にもたしかに対して句数も
同し程によめるは初になけたる二首のみ也是をおきては古事記大国主
の神の御歌と万葉集十七巻大性地もの御蔵とはかりなれとも此御前は中に
二句対句をおき給へせとの哥は始にて対句ヲなきてよめるは初五そのまた四句
三日とやしに長村はかりよめる歌も是等の三丁のな共なし又長対の内に
対句をよみいれたるは下にあけし一首のみなり此あかこまのうまやをたて
といふ哥は大国もの神の御前と土津のゆわりなし二首の長前はこと杉にもや
あらむ元息あれとも今しわしく類によりてこゝにあけつ見む人心せに
○三並対句と二つ時と重ねてよめる損
日本記
サ二巻
十七丁
蘓我馬子大臣歌紀曰置酒宴君半
起勺六句次二勺三並対次二而尉次将次将貞
卿是日大臣上寿歌曰
一勺合十七勺中長歌一
やすみしく山か大君のかくりますあまのやそいてふらす
みそうをよろつよかしこみてつかへまつらむ
みそらを
見れは
ちよにも
見水はちよにもかくしもかもをろかみてつかへまつらむ
もかくしもかくしもかもおろかみてつかんまつらむ
こたつき
まつる
十三巻
起而六勺次二勺三並尉次二勺尉日
万葉集
六丁
次終勺三勺日合十九勺中長哥○
あふみのみ酒八十あり八十しまの島のさき〳〵ありたてる
はなそうほつえにもちひきかけわかはらをとしくをしらに
はなたち
はななかつえにいかるかかけ己かちゝを予をしらに
いそはいをる□いかるかとしめと
右二首同橋
○六勺連対句をおき又其下に三並尉と四勺ち尉とを立ねてとる
よめる様
古事記
下の巻
三重采女歎記曰天皇長谷之百枝槻下
為豊楽之時伊勢之国之三重采女指挙大声以越去云
有応曰事即歌
起勺二勺次六勺連対次四勺次高三並対次四勺
長対次終勺十七勺合四十九勺中長歌四
まきむくのひしろのみや
あさひのひてるみやたけのねの
ひかけるみやこのねの
いふひの
十月によし
ねまとみや
ねはふみやまきさく
〽もゝたる
〽ことゝたるつきかえ
いきつきのみや
ひのみかと
にひなんやにおひたてる
あめをおへり
ほつえの
なり元は
あつまをおへり
なかつえは
ひなをおへり
なかつえの
一二つ元はひなる
二つ元は
なかつえに
おちふしさへ
らさゝなかつえにおちふしす
元のこらすゝなかつえに
くしもつえに
おちふしはへ
元のちしはゝしもつえにお
しきゝしもつえにおちふしは
元のちしすゝ
しろ元の元のこしずは
へいつ
ありきぬのみえのこかさゝかせるみつたまうきしあふら
うきに
うきしあふし
おちなつさひみおこをろこをろかしこしもあやにかしこし
たかひかる
たかひかるひのみ也ことのかたりこともこをは
右一首にしてこの杉
外に見あたらす
〇二勺三益付二つ二勺対二つ一勺対一ツをおきてよめる格
万葉集
万葉弐十六巻都而十一斤次第三益料次高次二勺三益対次四勺
三十丁次二句附江次六勺日次二勺尉江次終勺十二勺合五十五勺
大長
大長
歌山
おしてるなにはの小江にいほつくりなまりてをも
あしかにを大君めすとなにせむにをめすらあきしけく
めや
わかしることほ
うたひとゝわをめすゝめや
ふゑふきと
ふゑふきとわをめすめや
わをめすらめや
ふゑふきとわをめすらめやかくもみことうけん
かくもみことうけむ
けふ〳〵と
あすかにいたり
たちたれと
おくなにいたり
ひむかしのなかのみかとゆまゐりきて
つらねとも
つくなにいたり
うまにこそ
うまにこそふもたしかくもの
みことうくれは
くれは
同同小うしにこそはなな
はるなはまくれ
あしひきのこのかた山に
さひつるや
いほえはき
もむにれを
もむにれをいほえはきてあまてるやひにけにほして
あまてるやひにけにほして
たれ
にはにたつ
うらうすにつき
うらうすにつき
おして候やなにはの小口のはつたれをからくたれきて
すゑひとのつくれるかめけふゆきてあすとりてき我めしに
しほぬり
はやさも
たはゝ
はやさも
右二郎の外七拾
見あたらす
右歌一首為蟹述痛作之也
右にあけたり四首はいとふるき少く也然れ共比挨後にはよみし例見あた
らすこの三並村々の下に二つ符句か又は四勺春軒にてもおきてよめる格
なる事初の三首の如し然るを万葉集十六巻なる歌は三置付
二所になりて下に尋々なし四日へたてゝ対力をおけりかくも
よみし事もありしかしかよめるはたゝことにして稀也此格
をよまむ人はよく考てよ
○終句に百符をおきてよめる桧
日本記
玉ノ巻
四丁目
磯城瑞籬宮御宇天皇御代活日歌
紀曰八年夏四月に云以高橋邑人話日為大神之掌酒公云
起勺五勺
十二月祭大神是日活日自挙神酒献天皇仍歌之曰は
次路に句一勺
再合七勺小長歌
やまとなすおほものぬしのかみしみき
このみきはわかみきやまとなすおほものぬしのかみしみき
ならす
いくひさ
いくひさ
右一そにして外に
比拾見あたらす
○燈句に二句をおきてよめる桧
日本記
十四巻
廿一丁
泊瀬朝倉宮御宇天皇大御代
紀曰天皇使御田断其采女自念将刑而付物部時奏
起り十一日終句
一酒公待坐欲以琴ノ声便情於天皇横琴弾曰ニ
二勺符合十五
小長歌一
かむかせのいせのぬのさかえをいほふるかきてしかつくる
まてかしおほきみにかたてつかへまつからむとわかいのちも
なかくもがと
いゝしたくみはや
あたしたくみはや
右一首の外比杉
見あたらす
○歌句に三句尉をおきてよめる格
万葉集
十六巻弐勺十三勺終勺三勺長対
廿九丁合十九勺中長歌
所聞多禰のつくしめしましたゞみをいひりひもてきて
いしもちてつゝきやふりはや川にあらひすきからしほに
こゝともみたかつきにつくへにたてゝ
だり
はたしまつりきや
ちゝにまつかきや
めつこのまけ
みめつままけ
右の歌のかく外に見あたらす
是そのみ也
○なかと終句に二勺尉を置てよめる歌損
日本記
十四巻
十一丁
十一丁
○泊瀬朝倉宮御宇天皇大御歌紀曰天皇
起勺二勺対二勺
遊乎泊瀬小野観山野之体勢慨然与感歌曰本
対次二勺次終句二勺
対合十百中長歌
ともりくのはつせの山は
よろしき山
いてたちの
出しりての
よろしき山
はつせの山は
あやう
うらくはし
あやに
あやにうらくはし
こもりくの
右之外よらし杉
見あたらす
右にあけたか四勺の長歌はふるきかくにはあれとも終句に二勺符有は二勺対
あるは三句長符をひていつれも聊のたかひめはあれともすへてをいはゝ
一つかくにそありけるよりて今は一ツに至らぬ誠にこれ等の塔は稀にして
かくよみし歌はすへて外に見あたらす
〇なかに二勺尉を置又終句に一句尉を重ねておける桧
十六巻起句二十句次二句対同次廿八勺次終句一勺対二つ重て
万葉集
廿九丁
一至り合五十六勺大長前二
いと古のなせのきみはをり〳〵にものにいやくとかしくらに
とうとふ神いけとりにやつとりもてきそのかはをたゝみにさして
を
やまたゝみへくりの山にうつきとさつきの程にくすりかり
つかふる時にあしひきのこのかゝ山になみたてるいちひかもとに
あつさゆみやつたはさみ
ひめかふらやつたはさみ
ひめかふしやつたはさみしらまつと我をる呼にさをしかの
きたちなりたちまちにわれあかへしおほきみに吾はつかへむ
我つぬそみかさのはやし我みゝはみすみのつほ我火しは
に
ますみめかた二我つめは御弓の心はつ我けらはみふての
みはこの
我かはゝみはこめ我しらはみなます家きもゝも
かはに
はやし
みなます
みしほの
我みきは
はやし
はやし
ならへ花さくまらしはやさね
やへ花さくとまゝしはやさね
右にあけたる義は句を次第にかそへしさま対句に似たる所もあれとも
一全くは対句にあらすかそへ句なるへし貴一首にして比杉外によき
例なし
○なかに六勺連対句をむき終句に二句対句をおける桧
下巻
都合二勺次六勺連対次一勺次終夕
十日事記
軽大郎子御歌
二勺尉合十九勺中長歌一
こもりくのはつせの川の
かみつせにいくひをうちいくひにし
しもつせに
まくひをうち
まくひには
かゝみをかけ
かゝみをかけまたまなすあかもふいも
またまをかけかしみなすあかもりつま
ありといはゝこそ
いへにも
くにをも
ゆかめ
しぬはめ
右にあけたる歌は是一首にして外に比指見あたらす万葉集十三巻十二丁
に是と同し哥あり然れ共給句此哥とことなりこは玉衣一ノ巻廿五丁に
いたしぬ食せ
見るへし
〇起勺小二勺対を置中に四勺連対を二つ置てよめる桧
十三巻
万葉集
老勺二勺対次六勺次四勺連対次八勺次
五丁
作者未詳
四勺連対次終勺五勺合卅九勺中長歌回
やすみしゝわかおほきみ
ふかひかるひのみこの
きこしめすみけつくにかむかせの
いせのくには国見れは
アヤニトモ
りいつつつしし
山見れはとかく尊し
川見れはさやけくきよし
みなとなす海もまひろし
こゝをしもまくはしもかけまくも
みわたす島の名高し
あやにかし山の辺の
あやにかし山の色のいしのはらにうちひさすおほとやつかへ
こき
あさひなすまくはしもはかやまのしなひさかえて
ゆふひなすこらくはしもあきやまのいろなつかしき
もゝしきの
大みや人はあめつち月日にともに万代にもか
反歌
山のへのいしの三本はおのつかしなせるにしをはれる山かも
右之長前のかく一首にして外に見出しらす此哥は国見れはしもとある間等
田中道唐アヤニトモの言脱つらむといへり其言葉を添て見れはしゝへも
いとよく聞ゆる其言楽屋広の考への如くなしは三直符ともいふ
へきりともおもへばよくしらへ見るにさにあらすこは一ツの挨なるへし
○長尉をおきてまた二勺対を置てよめる格
因葉
五ノ巻
長一首
懲男子名古日歌三首
三十九丁
短一首
起勺十勺次八勺長対次十八勺次二勺対
次終句廿一勺合六十九勺大長歌四
よのひとのたふとみねなゝくさのたからも我はおかにせむ
かふ
かりかかかつのほかなかのうまれいてしし玉の吾子ふるびは
たる
あかほしのあくるあしたはしきたてのとこのへさらすたてれとも
ゆふつゝのやふへになれはいさねよと子をたづさわりちゝはゝも
をれとも今もに
をれともともにつかつかりつかりたはふね
とほくなさかりさきくさの
とほくなさかりさきくさのなかにをねむと
なつかしくしかかたらへば
いつしかも人となりいてゝあしけくもよけくも見出大ゆねの
おもはぬによこしまれのにもふくかおほひきたれ
せむすへのたときをしらしろたへのたすきをまそからみ
かけ
手にとり
もちて
あまりかみあふきこひのみ
国つかみふしてぬかつき
かゝらずもかゝりも神の
まに〳〵と立かなざりかつかいはい
よけらのれにやう〳〵にかたちくがあさなさなさないふことやみ
たまきわるいのちたえぬれたちをとりあしはりさふしあふき
けむ
むぬうち手にもたるあこかとばしつよのみち
なけき
反歌
わかけれはみちゆきしたしまひはせむしたべのつかひおひてとほらせ
ふしおきて吾はこひのむあさむかすたゝにゐゆきてあまちしらしめ
右にあけた日前は是一首にして外に出換見あたらすことに腹句とおほ
しき所もあまたあれ共語句にはなりかたしよりて祝句と思える
所には丸を付てかりに勺数を合せおきぬ尚よく考へて其句の
ことはをさとるへし言葉はいまた思ひ得すなん
○長対句を一つおきてよめる杉
同集
十六巻
七丁
竹取翁偶逢九筒神女にて封近細之罪希贖以
起勺七十六勺次六勺長対次終勺廿六勺合
語即作歌一首并短歌
百十四勺大長歩八
みとりこのわくこかにはたらちねのはゝにいまのはゝにいな
はやかたきぬひつりにぬひつりにぬひくひつけのうなゐこかみな
ゆふはたのそてつけたもきしわれをによれを
みおのわたかくろき髪まくしもてこゝににかきたりとりつかね
あけてもとりみたりうなひこのになすこらにつかふいろに
まさみ
なつかしきむしさきの大あやの衣すみの江の遠さと小女の
まはりもてにほしきぬひつけさしへかさねに
なみかさねうちそはしをみのこらありきぬのたからのこら
きて
うつたへまゝへておらぬのひにさしあさてつくりをしきもなすは
しきやとにおしいなきをとふとふと
をちかたのふたあやしたぐつとふとりのあすかをとこが
なかめいみぬひしくろさしはきて庭にたちゆきそばなたちゆきそばなく
いむをとめかほのきしてわれにおくりしみはなたのにきたへほびを
ひきおひなすかしおひにとりしわたつみのとのゝいらかにとひかける
すかちのこしほそのとりかざしひ〽ますかゝみとりなめかけて
はるさりておゝんをめくれはおもしろみ
おのかかほかへらひ見つゝ
あきさりて山へをゆけはなつかしと
我をおもふかさぬつとりきなき
我をおもふかさぬつとりきなきかけらひ
我をおもふかあまくももいゆきたなひく
かへりたち道をくれは
〽うちひさすみやのおみな〽さすたけのとねりをゝみしぬぶらひ
かへりひみいゝたかこぞとやおもわれてありしをかくそしになら
いにしてのさゝきし我やはしきやしけふやもこらにいさにとや
思われてありをかくばしこき人ものちのよの
かたみにせむと老人を送りし事もてかへりこし
反歌
しなはこそあひみならせいきてあらはしろかみこらにおひさしめや
しらかしてこらもいきかくのこと木かけむこしにならへかねめや
なは
右の前は玉衣三巻八丁二いたせる前と同し指也しかはあれともその言
京のつゝけさま何とかや出たやかならす秀らにはきこえにぬる哥なり
よりていまたこゝにあけずたゝよめかさまもいにしての人のよみ也
にしたかひて其侭を仮名にうりしてかきつく
○対句をおかすしてよめる様
十巻
古事記中去白梓原宮御宇天皇大御歌起曰将起于
登美眺古之時歌曰
七勺小
長歌一
みつくしくめのこらかあはふにはかみしひもと
そねめつなき
そねめつなきうちてし
やまむ
右之歌日本記ニハクメノコラガといふ下にカキモト二といふ一勺
ありては夕の小長哥也今は古事記によりてあけつ
中巻
同格七勺
同記同同御宇天皇大御歓起曰同時歌曰同時歌曰
小長類一
みつ〳〵し
みつ〳〵しくめのこらかかきもとにそゑしくちひくく
はしかみ
われはわすれしうちてしや
まむ
同記中巻同御宇天皇大御歓記曰同時歌曰
同夕
同拾人一
かむかせのいせのうみのおひしにはびもとほろふしたゝみの
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
いはひもとそちてしや
ほり
まむ
わひモトホロツもハヒモトヘルと
右の哥方ヒシニを日本記ニハオホイシニヤとありまたシタヾミノといふ事
勺の下にアコヨといふ三言なり今は十四事記によりつゝ
十巻
同記
同記廿七吉野国主等歌記曰於吉野之白構上云云云献其
大御酒之時撃口鼓為伎而歌曰
日格〇
かしのふによくすをつよくすかしかみしおほみきうましに
厶り
きこしもちまろかち
をも
同記
下巻
△一
軽太郎子歌
あるたむかゝるをとめいたなかは人しりぬしはさのやまの
はとのしたなきに
したなきに
なく
日本記
九ノ巻
十二丁
ハタ小
忍熊天卿歌
長教二
いさあきいさちす□□たまきはるうちのあそかくふつちの
いたておはすにほとりのかつきせな
八
一四
十七日
るんに
下巻
古事記難波高津宮御宇天皇大御歌
同格
つきねふやましろめのこくはもちうちしおほほぬねしろの
しろたゝむきまかすけはしらすとも
こそ
いはめ
十一ノ巻
日本記
十三丁
磐之媛命御歌
同格
中巻
同記中巻同御宇天皇大御歌記曰同時歌曰
同夕
同拾人一
かむかせのいせのかみのおひしにはびもとほろふしたゝみの
うちてしや
いはひもとそちてしや
ほり
まむ
わひモトホロツもハヒモトヘルと
右の哥方ヒシニを日本記ニハオホイシニヤとありまたシタヾミノといふ事
勺の下にアコヨといふ三言なり今は十口事記によりつ
中巻
同記廿巻吉野国主等歌記曰於吉野之白持上云献其
大御酒之時撃日鼓為伎而歌曰
同格〇
かしのふによくすをつよくすにかみしおほみきうましに
くり
きこしもちまろかろ
まろかち
をせ
同記
下巻
二
軽太郎子歌
あるたむかゝるをとめいたなかは人しりめしはさのやまの
はとのしたなきに
なく
日本記
九ノ巻
十二丁
ハウ小
忍熊王御歌長教二
いさあきいさちすね〽たまきはらうちのあそかくふつちの
同記下巻同天皇大御歌記曰又続遣九近臣○子而歌曰同村
〇
○みもろの
そのたかきはるおほのこりは
おほろ二かはしにある
きもむかふこゝろをたにかあひおもはす
あしむ
つきねふやましろ川を川のぼりわかのほれは川くまに
たちさかゆるやそまのきはおほきみち
下巻
十日事記
古事記下巻難波高津宮御宇天皇大御款記曰幸行
日女嶋時云云連内宿祢命以秋問属生卯之紙其歌曰同
拾三
かたやきはるうちのあそなこそさよのなかひみ
やまとの国にかりこむときくや
日本記
十一巻
サ丁
建内宿祢敷
同格
やすみしゝわかおほきみうなん〳〵われをとはすあきつしま
れ
やまとの国にかりこむといましきかす
同紀
十六巻
三十丁
一影媛歌紀曰収埋既畢云経心教曰同
同格
▲
あをによしならのはさまにしたしものみつくへこもりみなそゝく
しひのわくをあさりつなぬのこ
こを
古事記中巻白椿原宮御宇天皇大御歌記曰撃兄
同格九勺
師木弟師木之時御軍暫疲余鼓曰
小長歌二
たゝなめていなさの山のこのまゆもいゆきまもらひたゝかへは
也
われはやゑぬしまつとりうかひかともいますけにこに
下巻
同記下巻難波高津宮御宇天皇大御歌記曰坐
淡道遥望御歌曰
△
同格
おしてかやなにはのさきいてたちて我国はあはしま
おのころしまあしまさのしまもみゆさきつしまみの
下巻
同記下巻難波高津宮御宇天皇大御教記曰御立
其大后所坐殿戸歌曰一
〽つきねふやまころきのこゝはもちうちしおほねさわ〳〵に
なかいへせとそうちわたすなかは取なすきいり申ゐ一
くれ
六ノ巻
万葉集
廿三丁
冬十一月大伴坂上郎女発師家上道
一超筑前国宗刑郡名児山之時作款一首
同格〇
おほなもちすくなひこなのかみこそはなつけそめけなのみを
なこ山とおひてわかこひのちへのひとへもおくさまほくに
古事記
口事記中光建内宿祢命歌記曰為御子答歌曰同様
このみきをかみけむ人はそのつゝみうすにたてゝうなひつゝ
かみけれかもこのみきのあやにうたゝぬしさく
日本記
三ノ巻
十一丁
白椿原宮御宇天皇大御代紀曰皇軍大悦
仰天而咲困歌之曰
十勺
小長哥○
いさはよいさはよあらしやをいまたにもあこよ
してしをひとりもゝなひと人はいへともたむかひも
せす
中巻
古事記中巻吉野国主等教記曰瞻大雀命所佩御
刀類曰同格〇
ほむたのひのみこおほさゝきおほさらきはかせるたち
もとつるきすゑふゆふゆきのすからかしたさや〳〵
きの
下巻
同記司法難波高津宇天皇大御代記曰号其船
謂枯野云云茲船破壊以塩焼取其焼遺木作琴其音
一同断右同断曰同格〇
からぬをしほにやきしかあまりことにつくりかきひくや
序レ
ゆしのどのとほかのいくりふれたつほつの木のさや〳〵
下巻
古事記下巻泊瀬朝倉宮御宇天皇大卿教
同拾五丁
やすみしゝわかおほきみあそはじゝじらのやみしくの
の
うなきかしわかかしけのほりしありをのはりのきの
えた
十九巻同格
万葉集
三十一丁
おほ玉のゝこのもとほりの雪おそねしは〳〵もふらさる雪そ
□□□
かつ
山のみにふれりし。
ゆめよるな人やふみそねゆきは
雪そ
反歌
ありつゝも見したまおほとのゝこの有とほりの雪なふみそぬ
はむと
上巻
古事記上巻高比売命款記曰阿遅志貴高日子根神云云
同格十一勺
時其伴呂妹方旧比売命恩顧其御名故歌曰
小豆歌○
あめおるやおもたなはたうなかせる玉のみすまらみずまるに
あなた方まやみたにふたわたらすあししきたかひこねの
かみそや
一十巻
日本紀
六丁
軽島明宮御宇天皇大御歌紀曰便知得
賜髪長媛而大悦之報歌曰
同格
△
五、
みつたまるよさみのいけぬなはくりはへけらしらにゐくひつく
かはまたのひしからのさしけて
元の
しらに
いまそ
くやしき
十四巻
同紀
九丁ヽツ
同治諸朝倉宮御宇天皇大御代舎人等歌
同二
橋
やすみしく我大君のあそはじくしらのうなきかし三三
しかにけのほらしありをのうへのはりかえた
あせを
万葉集
八ノ巻
十五丁
同格
草香山歌一首
△一
〽おしてもなにわを過し
わかこえくれは山もせにさけるしひにくからぬ君をいつしか
ゆきてはや
みむ
同集
九ノ巻同格
廿四丁
みもろのかみなひ山に立むかふみかさの山に秋はきの
つましく鹿のあさつくよ明まくをしみあしひきの心ひことよめ
よひたて
なくも
反歌
あすの夕へあはさらめやあしひきの山ひことよめよひたておくも
清右衛門
同集
十六巻
廿七丁〇
琴酒をおしなれ小野いつるみつぬるくはいです
サムケキ
水うちもさやにおもほゆるおとのすゝみちに
なき
あはぬかも
同集
十三巻○
四丁目
をのとりてにふのひ山の木こりきていかたにつくりまかちぬき
いそこきたたしまつたひみれともあかすみよしぬのたきもとゝろに
おつるししおみ
反歌
みよし野りたきもとゝろにおつるしら
ほしき
先しなみ
同集
十三巻同拾十三巻同拾十三巻同拾十三
四丁目
勺小長歌▲四
みてくらをなしよりつてをほつみにいたりとなみはる
さにてを立ていはばしの神なひ山に朝みやにつかへまつりて
よしぬへといります見れはいにしへおも不ゆ
反歌
月内はかはりゆけもひさにふるみもろの山のとつみやところ
同集
十五巻同格
廿五丁○
六十六商作
わたつみのかしこきみちをやすけくもなくおやみきていましにも
もなくゆかゆきのあまのほつてのうらへからやきてゆか玉と
するに
むと
い児のことみちのそらいやとりする兵
ちに
反歌
むかしよりいひけることのからくにのからくもこゝにほかれする
しらきへかいんにかかへるゆきのあまのゆかひたとおもひかまつも
同集
十三巻同拾十五匁五
六丁方小長前
あをによしなら山過てものゝふの宇治川渡り〽をとめらに
あふさり山にたむけくさぬさとり我妹子にあふみの海の
おきて
おきつなみきよるはまくれ〳〵とひとりそう
こし
を
反歌
あふさかをうちいてあふみの海しら半花に彼たちたる
わたる
見れは
同集
十三巻同拾一
十九丁ム二
おほふねのおもひたのみ木始己いやとほなりし家もへ事
恩によりてはことのゆゑもなくありことゆふたすきかたにとりなけ
いはびへをいてひほり奉知天つちの神にそ吾ねいたもすんかみ
同集
十三巻同拾一
十九丁
〽みはかしをつるきのいけのはちすはにたまれる水ゆくんなみ
家する時にあふへしとうらへる者をなねそとはゝきこせて
吾こゝろきよすものいけのそこあれはしのひしたゝにあふ
いけの
まてそ
反歌
いにしへの神のみよゝりあひけらしいまのこゝろもつねわすらす
同集
十三巻日拾二
廿三丁
さとひとの吾につくらくなかこふるうつくしつまはもみちはの
ちりまかひ神なひのこの山べからぬはたまのこまにのりて
川の瀬をならせたりてうらふれてつまはあへりと人そつけつる
反歌
きかすしてもたもあらせなにしまも君かたかを人のつけつる
十九巻
同集
十八丁
不飽感霍公鳥之情述懐作歌一首并短歌
十八丁
はる過てなつ来句はあしひきの山よひとめよさよなかに
なく郭公はりこゑをきけはなりあやめくさ花たち花の
ぬきまし也かつらく迄にさとくよみなきわたれなほししりはゆ
とも
反歌
さよあけてあかとき月にかけ見えて鳴動し大きけはなは
ほとしきすきけとつせうあみとりにとりにとりてなつけなかれすなくなり
郭公かひとほせらことしへてきむかふなつまつなきなむ
同集
サノ巻
廿七丁
倭文部可良麿作歌
同格
あしかしのみさかたまかへりとすあれはくえやみあらしをも
はり
たしやまたふわのせきくえてはゆうまのつめつきつくしのさきに
あまりいてあれはいはむもろ〳〵もさけくと
まをす
同集
九ノ巻
卅丁ら
天平五年癸酉遺唐便舶発雑難雑波海之時
同格十六勺
親母贈子歌一首并短歌
中長歌
秋はきをつまとふかひとり子ふだり子もこりといへ
かこしもの家ひとり〽くさまくらたひにしやけたかたかたまを
しゝにぬきいはひんにいはひいゝ吾おもふあ
たれ
中のさきく
ありこそ
反歌
たびひとのやとりせむ野にしもふしは吾子はくらめあまのむらつる
同集
十三巻同拾十七勺
十丁ウ中長前二
いにしへめいひつきはらく恋すれはやすからなものをたまのをの
つきてはいへとをとめしかこゝろをしらむそをじらむよしのなけれは
なつそひくいめちなつみて「かりこものこゝろもしれす
一もとなそ□いきのをにして
反歌
しく〳〵におもはず人はあらめともしはしも吾はわすらえぬかし
ただこずこゆこせろしいはせふみなつみそ吾恋てすへなみ
同集
十九巻
十九丁
詠山振花歌一首并短歌
同拾十七勺
中長度〇
うつせみはこひをしみとはるまけておもひしけらはひきよちて
をりもをら見ることにこゝろなきしけやまの谷へにおふる
すも
むと
山ふきをやとにひき植て朝露にににほへる花を見ることに
おもひはやますこひししけしも
反歌
山ふきをやとほらめては見ることにおもひはやます恋こそまされ
同格
九ノ巻
公
同集
難波経宿明日還来之時歌一首并短歌
十九勺
二十一丁
中長哥○
しまやまにいゆき火泉るかはそひのをのへの道にきのふこそ
吾こえしかひとよのみねたりしからにをのうへのさての花は
多きのせにたきちてかみむそのひそのひまて小はやましたの
風な吹そとうちこえてなにおへる風まつりせる
もりに
反歌
いゆきあひのさかのにもとほ咲をゝるさての花を見せむとも
四ノ巻
同集
廿三丁
二年乙丑春三月幸三香原離宮之時得娘子
笠朝臣金村作歌一首并短歌
同拾十九間
中長寄〇二
みかのはらたひのやこりに〽玉ほこの道ゆきかひにあまくもの
よそのみこことゝはむよしのなけれこゝろのみむせつゝあるに
天つちのかみことこそ〽しきたへの衣てかへておのつまと
たのめかこよのものものもよのなかくありこせぬかし
ひ
反歌
天くものよそに見しとり我妹子にこゝろもみさへよりにけるかも
このよしのはやくあくれは春へをなみあきのもらよをぬかひつしかも
古事記下巻泊瀬朝臣宮御宇天皇大御歌記曰幸
阿岐豆野布御猟之時ゟ御猟之時ゟ御覧
同格二十匁
中長歌二
みえしぬのをむろかたけしらふすとたれそおほまへに
まをらす〽やすみしく吾大君のしゝまつとあてにいまし
しろたへのそてきそのふたこむらにあむかきつきそのあむを
あたつはやくかくのことなにおはむこそらみつやまとの国を
あきつしまとふ
ふ
ミノ巻
万葉集
角虎津乗船時笠朝臣金村作歌
卅四丁
并
同杉廿一句
一首并短歌同様廿一句
中長歌四
こしの海つぬかのはまゆ大ふねにまかちぬきをいさなとり
ろし
うちをいてゝあへきつゝ吾こきゆけはますらをの舟ゆひか浦に
あまをとめしほ焼けむ草まてたひにしあれはひとりゐて
席三勺
みなしるしわだいみの七にまかしぬひつ
やまとしま
ねを
反歌
こしめうみたゆひか浦をたひにして見れはともしもやうとし
同集
同条
六ノ巻
十四丁
同冬十月幸干難波宮時笠朝臣金村作歌
一
首并経美同拾廿一匁
一首幷短歌同拾四勺
中長前五五
おしてるなにその国はあしかさのふりにしとゝひとみなの
おもひやみてつれもなくありしあひたに〽うみをなすおなしのみやに
まきはしうふと高しきてをす国をおさめたまへはおきりとり
あちふの原に〽ものゝふの八十とものをはいほりしてみやこなしたり
たひにはあれ
とも
反歌
あらぬしのさとめなれおほきみのしきますときみやことなりぬ
あまをこめたなくしとにこきつらしたひのやとりにかちおときこゆ
同集
八ノ巻
サ丁ら
天平五年癸酉春閏三月笠朝臣金村贈入
唐使歌一首并短歌
同格二十間
中長前二
たまたすきかけぬ時なくいきのをに我もふ名はうつせみの
みかとかし夕たれはたつのつまふなにはかたみつのさき
おほふねにまかちしらぬきしらなみの高きあるみをしまつたひ
いわかれゆるとゝまれるわれはぬきにいはひつら君をはまたむ
はやかへりませ
反歌
なみまよりみゆるこしまの雲かくりあないきつあひわかれゆり
たまきはるいのちにむかすこふるゆは君かみふねのかちつかにもか
同付等
九ノ巻
廿九丁
記天平元年己巳冬十二月作歌一首并短歌
同二十一勺
小長寄
一うつせみのよのひもなれはおほきみのみことかしこみしきしまの
やまとの国の〽いそのかみふるのさ葉ひもとかすまろねをす
れは
吾きたる衣はなれぬみることに恋はまされと色二山上有山の者
人しりぬへみふゆのよのあけもかぬるをいもねすに我はそこふる
いもかたゝかを
反歌
ふる山ゆ文に見そたしみやこにそいもね頃こゆるとほからなくに
我妹子かゆひてしひもをとかめやもたえはたゆたゝにあふまてに
とも
目付等
十九巻
十二丁
潜鶴歌一首并短歌同様二十一夕
潜庁歌一首并短歌
同様二十一勺
中長歌三
あら両方のとしゆきかきは花のみにほふあしひきの
山下とよみおちたきちなかるさき田河の瀬にあゆきはしゆ
しまつとりうかひともかゝりさしなつさひゆけ我妹子か
なへ
かたみくてらをくれなゐのやしほにそのおこせたる衣の裾も
とほりてぬれ
ぬ
反歌
くれなゐに衣にほはしさきたかはたゆるこみなわれかへり見む
としのはにあゆしさきたかはうやつかりけて川瀬左つねむ
はしらは
同集
十三巻同拾廿三匁
二十中長歌
なるかもの日香天元なかつきのしくれのあれはかりかねも
けた来かみなひのきよきみたかきつたの池のつゝみに
なかす
もゝたらすいつきか枝にみつえさす此のもみちはまきもたる
をすしにたをやめに我はあれともひきよちて枝もとををも
ゆらに
うちたをりわはもちて君かかさしに
ゆく
反歌
ひとりのみ見れは恋しみかみなひの山の紅葉は左をりか
きぬきみ
同集
十三巻同拾廿三勺
十一丁中長歌四
あらた身のとしはきゆきゆき玉つさのつかひの夜はかすみたつ
なかき春日をあめつちにおもひたらし〽たらし
まゆこもりいきつきわた我こふるこゝろのうち人にいふ
ものにしあらまつかねのまつこそ
とほみ
ねは
〽しろたへの吾ころもとほりて
ぬれぬ
反歌
かくのきしあひもはさしはあまくものよそにそしはあらへかりける
三ノ巻
同杉廿五匁
同集
五十六丁
大伴宿祢家持作歌一首并短歌
中長歌
吾やとに花そ咲たるそを見れはこゝろもゆかすはしきやし
いもかありせてみかもなすふたりなしひゐたをりても見せましとのを
こつせみのかれるみなれ
序
やうちをいり日なすかくりにしかす
さして
いゝもえすなつけもあともなき世のゆしなれはせむすへなし
しらに
反歌
時はしもいつもあらむとこゝろいたくいにし吾妹かわくこをおき
いてゝゆくみちしらまあらかぢ火いもをとゝめむせきもおかまじを
せは
いもかみしやとに花さき時はへぬ我なくかみたいまたひおとも
同集
ナノ巻
卅三丁
秋雑歌七勺
同拾二十五勺
中長歌四
あめつちとあかれし時ゆ〽かたのあせつしなしとさためてし
あまの川原に〽あら玉の月をかさねいもにあふ時をしまつと
たちまつに吾衣手に秋かせの吹かへしへはたちゐする
たときをむらきものこゝろさふしくとききぬの思ひみたれて
しらに
いつしかと吾やつこよひこのかはの行長有馬鴨
反歌
いもにあふ時かたまつと久かたり天の川原に月そんにける
同集
十三巻同拾二十五匁
十七丁中長歌
わかせこはまてときまあまの
さす
よもふけにさよふけてあらしの吹はたちまつに我衣手に
ふろ雪はこほりわたりぬいまさらに若来まさ〽さなかつし
めや
のちもあはおしてむるこゝろをもちとこそてもちとこちち
むと
うつゝには君にはあらすいめにだにあふと見え雨のたり夜に
反歌
衣てにあらしの吹てさむき夜を君きまさすはひとりかもねむ
いまさしに恋ふとも君はあはめやもぬる夜をいめにみえこそ
おちす
十五巻
目付等
廿三丁
到壱岐島雪連宅満忽遇鬼病死去
同杉廿五勺
時作歌一首并短歌二首
中長歌一
すめろきめ遠のみかととかし国にわたら吾せはいへひとの
いはむまたたまにもあやまろしけむあきさしはかへりまさむと
ねか
たゝちねのはゝにまうして時もすき月もへなれはけふかこむ
あすかもむと家ひとはまちふらしとほのくにいまたもつかす
むと
やまとをもとつゝさりていはかねのあらき嶋へにやとりする君
反歌
いはたぬにやたりす恋家人のいつらとわれをこはゝいかには
同集
十八巻
廿三丁
代為贈京家願興珠哥一首并短歌大伴
宿祢家持作
同様二十五勺
中長歌一
すゝのあまのおきつみかきいわたりとかつきかつきとふあはひたま
いほちもかもはしきよしつまのみとのころもそのわかれし時よ
あはたまのよとこからきりあさねかみかきもけつらすいてゝこし
月かよみておけくらしこゝろなく郭し公きなくさつきの
あやめくさ花たちはなにぬきましへかはらにせよとつゝみてやらむ
反歌
しら玉のつゝみてやらばあやめくま花たちはきあへもぬくかね
おきつしま花きわたりかつくちふあはひ玉もかつゝみてやうむ
わきもこかこゝろなくにやらむためおきつしまなるしゝ玉もかも
しら玉のいほつたとひ手にむすひおこせむ海人はむかしくも
同集
十九巻
サ九丁
従京師来贈歌一首并短歌大伴氏坂上
郎女男女子大褒也
同杉廿五勺
中長歌五
わたつみのかみのみこをみくしけに多くはひおきいつくとふ
玉にまさりておもへりしあかこあはあれ〽うつせみのよのこと
はりと
ますらをのひきのわに〳〵しなさからこしちを
さして
わかれにしよう〽〽ほふねのゆくう〳〵おほふねのゆくう〳〵に
ひき
おもかけにもとなみえつゝかくこひはおひつくあかけたしあんむ
反敵
かくわかりこひしくあらさますかゝみみぬひ時なくあらましものを
ものを
同集
十八巻
十八丁
宣下
独居幄裏遥聞霊公鳥
同了
短都大伴宿祢家持作
同杉廿七勺
中長類○
高三くしあまのひつきすめろきの神のみことのきこしをひ
国のまほらに山をしもさはにおほみもしとりのきゐてなく
はかされはきゝのかなしもいつれをかわきてしぬ卯の花の
はむ
咲月たてはめつらしくなく呼鳥あやめくきたまぬくまてに
ひかくらし夜わたしきくことにこゝろうこきうちなけき
きけと
あはれの鳥といはぬ時なし
反歌
ゆくへなくありわたるほとゝきすなきしかくやしぬはむ
とも
わたらは
卯の花のさくにしほとゝきすいやめつらなのりなくなん
なけは
なへ
ほとゝきすいとねたけらはたちはなの花ちら時にきなきとよろ
むる
同集
十六巻
十三丁
并
恋夫君歌一首并短歌
一丁恋夫君歌一首幷
同杉廿七匁
中長歌五
きにつろふ君かみことらたまつさのつかひも病はおもひやむ
吾身ひとつそ〽ちはやふら神にもおふせからへすゑかめもなやが
恋しくにいたき吾身そいちしろく身にしるとほり〽むらきもの
こゝろくらげてしやむいのちにはかになり
ぬ
〽もちねのはゝのこことの〽もらす八十七ちまたゆふけにも
うらにもそしなむ我内
とふ
とふしなす
反歌
からへをも八十のちまたとうらとへと恩をあひみむたときしらすも
我いのちをしてあらすさにつゝいふ恩によりてそなかくほり
同集
十九巻
廿一丁
詠霊公島并藤花歌一首并短歌
同杉廿七匁
中長歌一
ものしきくれなないろにほひたるおもわのうちあをやきの
ほそきまゆゑみまかり朝かけ見いゝをとめしか手にとり
もたる
ねを
まそかゝみふたかみ山にこのくれのしけき釜をよひとよめ
朝とひわたり夕つくよかそけきぬ也
たちくらりはふりにからすふちなみの花なつかしみひきよちて
ちらす
袖にこきれつそまはそむ
とも
反歌
ほとらきすなくはふりちりにけりさかりすゝふちなみの花
にも
一ノ巻
同集
○幸讃岐国安益郡之時軍王見山作歌
八丁
同格廿九勺
中長部
かすみたつなかき春のくれにけるたつきも知らす〽むらきもの
心をいたみぬえことりうらなけ
遠つかみ吾大君のいてましの山こし風のひとりをる
吾衣手に朝よひにかへらひぬれますらをとおもへる吾も
〽くさまくらたひにしなれはおもひやるたつきをしら綱の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の湯の
海人をとめやうしほのおもひそや五日しつこゝろ
上る
らか
反顔
山こしの風々を時しみぬる夜おろす家なる妹をかけてしぬひつ
円座等
十八巻
廿九丁
詠庭中花作歌一首并短歌大伴宿祢家
持作
同拾廿九勺
中長歌
おほきみのとほのみかとまきたもふつかさのまにみ雪ふる
こしにくたり「あらたまのとしのいつ
き
ひもとかすまろねをすいふせみとこゝろなくさなてしこを
れは
やとにまきなつのほのさゆりひきさく花をいて見ることに
おほし
なてしかかその花つまさゆりはなゆりもあはむならさむる
に
すろしくはあまさかるひなにひとひあかへくあれや
なくは
反歌
なてしこり花見ることにをとめらかゑまひのにほひおもほゆらにも
さゆりはなゆりもあはむしたはふらこゝろしろしろしめやも
八ノ巻
目集
丸大伴家持攀橋花贈坂上大嬢一首并
卅丁
短歌
同横卅一匁
中長歌一
いかといかとある吾やとにもらえさしおふるたちはなたまにぬて
さつきをちあへぬかに花咲にけり朝小けにいて見ることに
かみ
いきのをに吾もふ妹は〽ますかゝみきよきよきいとめ
あひ見るまてちりこすなゆめといゝこゝはくも吾も子ものを
には
おへと〳〵と
うれたきやしこほとらきすあかときのうらかなしにおへと〳〵と
おほもきないたつらにつちにちらせはすへをなみよちてたをりつ
きて
見せむ吾妹子
反歌
もちくたちきよき月より吾妹子にみせむともひしやもの哥はな
いもかみてのちもなきほとらきす花橘をつちにおとしつ
なむ
十三巻同拾卅二
十三巻同拾卅三勺
同集
卅四丁中長歌六
この月寒きみ来ま大ふねのおもひたといつしかと
さむと
吾待をれは〽もみちはの過てゆきぬと玉つさめつかひのいへは
席
ほたるなすほのかにきゝ大つちのあしふみたちてゐて
かけて
ゆくへもしらにあさきりのおもひまとひてつゑたらぬやさかりなけき
なけゝともしなしをなみといつくにか忍かまさ
むと
ゆきのまに〳〵〽いゆししのゆきもしなむおもへともみちししししらぬわ
ひとりゐてきみにこふる
反歌
あしへゆくかりのつわさ見ることに忌かおはしくなやしゆゆ
おもほゆ
内集
いに
十八巻
卅三丁
一月廿九日夕歌一首并短歌大伴宿祢家持作歌
同拾三十二勺
中長歌一
あまてらす神のみよゝりやすのかはなかにへたてむかひたち
袖ふりはしいきのをになけかすこらわたりもりふねもまして
はしたにもわたしてそのゆへもいゆきわたし
あらは
うなかけりおもほしきこともかたらひなくさむるこゝろはあらむ
ゐて
なにしかもあきにしことゝひの
あらねは
よの人われもこゝをしもあやにくすゆきかはるとしのはこと
あらのはらふりさけ見
反歌
天の川橋わたせらはそのへゆもいわらむといわらすとも
やそのかりこむかひたとしのこひけなかきつまとひのよ
ちて
こらか
内集
四ノ巻
廿二丁
廿二丁
神亀元年甲子冬十月幸紀伊国之時為
賄従駕人所誂娘子笠朝臣金村作款一首并短款
同拾三十七勺
中谷部五
すめろきのいてましのまに〽ものゝふの八十とものを」いてゆきし
うつくしつまはあまとふやかるのみち玉文すきうねひをみつゝ
〽あさもよしきちにふりまつちやまつちやらむしは紅葉はの
ちりとふみむそましきわれはおもくさまくら多ひをよろし
思ひつゝ君はあらむとあそゝにはかつはこれともしかすかに
ことたもあり者我世子かゆきのまに〳〵おはむとはちたひおもへと
ねは
舟をやめの我みにしいゝやちもりのとはむこた二いゝやらむ
すをしらたちてつま
にて
つく
反歌
おくれゐて恋つゝあら左の国のいもせの山にあらましものほ
頃は
ものを
吾育子かあしひとめおひしかはきのやきいとゝめてむ
かも
同集
ナメ巻
同桧卅七句
卅二丁
秋雑歌七夕
中長哥△三
あめつちのはしめの時ゆ天のかはいむかひをりてひとゝせに
ふかはらひありつまこひにものおもふ人あまの
ありにふとしのわたりそほふねのともにもにも
ハタアラシモトハモクセニ
まかちしぬき旗せ尻本三小巻貝世母かせのふきくるよひに
しらなに
おちたきつはやせわたりてわかくさの
あまのかはしらなみなきおちたきつはやせわたりて
しぬき
妻かてまかむ天ふねにおもひたのにてこきくらむそのつまのこか
〽あらたまのとしか瓦長くおもひたしこひつくすらむはつあきの
なぬかのよひは吾もかなしも
反歌
こまにしきひもときかわしあめひとのつまとふよひは吾もかなしも
ひとほしの川瀬を渡るさほふねのゆきて草しむ川つしほもほゆ
ほゆ
同拾三斗七勺
同集
并豆欠
十九巻
八日詠白大鷹類一谷
中長歌三
八日詠白大鷹類一首早短歌
十一丁
あしひきの山坂越へてゆきかはる年の尾おろく〽しなさかる
こしにしすめはおほきみのしきます国はみやこをてもこゝもおやしと
心にしそ思ふものからかたりさけみざくる人めともしきと
おもひしそこゆゑにこゝろ声やと秋つけははき咲匂ふ
しけし
いはせ野にうまたきをちこちにとりふみたてゝしえぬりの
ゆきて
をすもゆゝにあはややりふりさけていきとほる心のうちを
ゆゝに
おもひのへうれしひなし〽まくらつくりやのうちもとくらゆい
あら
すゑてそ吾はましらふの
かふたか
かふ
反歌
やかきをのましろのたかをやとにすゑかきなて見はゝかはくしよしも
同所
十七巻
廿九丁
見送七言詩晩春三日遊覧詩一首幷序上已
名辰云云漢文有詩又漢文」敬和歌其詞云三月
五日大伴宿祢池主作
同拾四十一句
中長歌五
一ハ玉衣四ノ巻三十二丁ノう二丁ノう二丁ノ
おほきみのみことかしこみあしひきの山野さはらす万まさかる
ひなをゝさむらますしをやなにかものもふあをによしならちきかよふ
たまつさのつかえたえこもりこひいきつきつきわたりしたもひに
めや
なけかふ否せいにしへゆいひつきてしよのなかはかすなきものぞ
なくさむるこれもあらむさとひとのあれにつら
きて花ちりかほとりのまなくしははるのぬにすみれをつむと
しろたへの袖をりかへしこれなゐのあかもすそをとめらは
ひき
おもひみたれ君まつとうら恋すこゝろくしいさみにゆかむ
ことはたな
ゆひ
反歌
やまふきのひに〳〵咲ぬうるはしとあかもふ君はしく〳〵おもほろ
吾せこかこひす也なかりあしかきのほかになけなれしかなしも
同集
十八巻
卅丁ら
○国極久米朝臣麿縄次天平二年附集使入
京師於時主人守大伴宿祢家持作一首并短歌
同杉四十五勺
中長類三
おほきみのまきのまに〳〵とりもちてつかふる国のとしの手ちの
ことかたぬ〽夏早添この道にいてたちいはねふみ山こえ野ゆき
もち
みやこへはしまろし吾せはあしたまのとしゆきえり月かさね
みぬひさまぬこふるそうやすきすきなとしきすきなくきつきの
あやめくさよもたかつらきあそひつきあそひあくれといみつかは
雪けあふれゆくみつのいやましにのみたつかなくなこえの春の
ねもころにおもひむすしなけきつゝ我待着かことをわり
ほれ
かへりまかりてなつの野のさゆりの花の花ゑみにふゝにゑみて
あはしたるけふをはしつねみなすかくしつねみむおもかはりせす
反歌
こそのあきおひ見し侭にそふ見れはおもやめつらしみやこから人
かくしてもあひ見かものをすくなくもとしほふれは恋しけめやも
同集
十九巻
卅九丁
一向京路上依輿類作侍宴応詔歌一首并
短歌
同拾四貫五勺
一十七丁一十七軒
あきつしまやまこの国を天くもにいはふねう也とも等へてし
まかひしゝぬさいこきつゞ国見し由てあもりましわらひたひしけ
ちよかさねいやつき〳〵にしたしくらしまのひつきとかむほから
吾大君のあめめしたおさめため也〽ものゝふの八十とものをゝ
なて至まひ思らのへ念せひをすくにの四方の人をもありてはす
めんたまへはむかしよりしたかしたひまねてまねてまうしたまひぬ
たむたきてことなきよとあめつちひつきとゝによろ豆上に
しかし塩かむそ〽やすみしく吾大君はあきのはなしかいろ〳〵に
みしたまひあきらめたまひさかみつきさかゆるけふのあやにはめふとき
反歌
秋のはなくさ〳〵にといろことに見しあきひるけふのたよとき
あれと
同断同同
三ノ巻
五十四丁
同七年乙亥大伴坂上郎女悲嘆尼理願死去
同杉五十三間
一作歌一首并短歌
大長歌八
多くつぬのしらきの国ゆ人ことをよしときかしてとひさくる
うからからなきくわたりたりきりしてすめろきのしきます国に
はらから
うちひさすみやこしみみにさといへはさはにあれいかさまに
とも
おもひけめつれもなきさほの山へに〽なくこなすしたひきまして
しきとやへの家をもつくり〽あし玉のとしのを
なかく
草しかをいけるものしぬかれぬものにしさぬものにしあれは
舟のめかし人のこと〳〵〽わくさまて多ひなる程にさほかはを
朝川わたりかすか野をそかひにあしひきの山辺をさして
くらやみとかくりましぬれいはむすへせむすへしらにたもとほり
たゝひとりして〽しかへの衣手ほさなけきいゝ吾なくおみた
ありまやま雲ゐ棚引雨にふりきや
反歌
とゝめえぬいのろにしきはしきたへの家ゆはいてゝ雲かくりかき
あれは
同集
十七巻
卅一丁
述恋緒類一首并短類大伴宿祢家持
同拾六十五匁
大医歌ム六
妹も我も心はおやしたくへれといやなつかしくあひ見れは
こと初花にこゝろぐじめくしなしにはしけやしあかおくつま
おほきみのみことかしこみあしひきの山こえぬゆきあまさかる
ひのきはわかれこしそのひのきはみあしみや身のとしゆきかへり
にと
はる花のうつろふまてあひみねはいたもすな
に
袖かへしいゝぬる夜おちすいめにあらのと
こひしけくちへにつもりからあらはかへりにたにたにしうちゆきて
いもか手枕さしかへてねてもこましをたまほこのみちわし
とほく
せきさへにてなりて
せきさんに〽なりてよしはあらむほとゝきに
あれこそ
きなかむ月にいつしかもはやくなりなむうの花のにほへる山を
よそのみもふりさけ見たあふみろにいゆきのりたち〽あをによし
なしの吾家に一ぬとりのうらなけしてしたこひてしたこひうらなれ
かとにたちゆふけとひわをまつとなすゝむをあひてはやみむ
反歌
あらむのとしかへるまてあひみねはこゝろもしぬにおもほゆるかも
ぬはたまのいめにはもとなあひみれとたえにあらねは恋やますけり
あしひきのやうきへなりてとほけともこゝろしゆけいめにみえんけり
はる花のうつろふまてあひみねはほかよみつゝいもまつらむ
同集
十五巻
十二丁
属物発思款一首并短類
同拾七十一句
大長歌
あさられはいもか手にかゝみなすみつのはまかにおほふねに
まく
まかちしらかしくにゝ渡りゆかむとたゝむかふみぬきを
しままちてみをひきゆけおきんにはしら波高三湯まより
こきてやれは吾妹子にあはちのまにけりされは雲ゐかくりぬ
店し
さよふけてゆくへをしに〽吾こゝろあかしの浦にふねとめて
しらに
うきねをわたつみのおきへをとめいさりする海人をとめら
して
小ふねめりつからにあかときのしほころしへにはあしへには
うけり
くれは
たつ鳴わたうあまなきに小なてをせふる人ともかこもこゑ
にほとりのなつさひゆけいんしまは雲ゐにみえぬあかもへる
こゝろなくやとはやくきておほふねをときおほふねをこき吾ゆけは
おきつなみ高くたろきよそのみかし見つゝ過かきたまの浦に
船をこゝめてはまひより浦いそを見て〽なくこなすねのゝなかゆ
わたつみの手まきの玉をいへつとにいもにやゝむとひりひとり
袖にはいれてかへしやうつかひなけれはもてれともしるしをなみと
またをき
つるかも
反歌
たりの浦のおきつしらるひりへれとまたそなき見る人をなみ
秋さしは吾ふねはておせきておけておけし
む
上野七十二その長願ハ皆同し損にして遠り神代よりよみきぬる損二そ
ありける此様は小長形中す顕大長顕の三ツ二わたりていつれの哥にも
よめる事上にあけたる語歌の如ししかれ共八勺の小す義七首十匁の
小長願五首万原集十六勺の中長分一首合拾四首は定指にはつれて
古事起日本影の御前ともはいにしへの一ツの様あろへし万葉集の分も
こは脱々ありとも見えねは一ツの挨ならむか猶考へし古事起日本
顔の外は此損一ツまれなり今よし前とも也立損にもつることは小兵衛は七
勺九勺十一勺十三勺とやら立ありとてハウ十勺十二勺十四勺と屋しによみし前は
祥なり
門9册
狩4
第一・
長歌詞乃珍衣
長歌詞乃珠衣四
詞珠衣四之巻
○二句尉を一つおきてよめる杉
万葉集
十三巻起句二句次二勺対次終勺三勺
一合九勺小長歌○
起句二句次二句対次終句三句
冬木なす春さりくれは
あしたにはしらつゆをき
ゆふへにはかすみたなひき
こぬれかした
なくも
行論能振
アミナヒノ
同集
十三巻同拾九勺
一十三巻
同集廿四丁
廿四丁
小谷歌○
我身をすくせ
しかれこそとしのやまとせを
しかれこそとしのやうとせをたちはなのほつえを過て
きるかみの我身をすくせ
をたちはなの
ほつえを過て
このかはの
したにも
したにもなかくなりこゝろまて
反歌
天つちの神をもはれはいれりてき恋てふものは走てやますけり
中巻
十日本事記
軽島明宮御宇天皇大御歌記曰天皇聞看豊
起与三百次二勺尉
明之日於髪長比売令握大御酒拍賜其大子余御歌曰決居候ニ付合
十勺小長歌一
みつたまるよさみの池のゐくひうち
ひしかしの
さしけるしらに
ぬなはくりはへけくしらに
わらこゝろしいやをこにしていまそくやしき
日本記
十一巻
サ丁ウ
一難波高津宮御宇天皇大御歌紀曰天皇為将豊
楽而奉行日女島之将属生卯余召建内宿祢命以歌問暦生之
越其歌曰壱勺二句次二勺対江次拾勺四勺
一其款曰
合十勺小長款一
うちのあそ
たまきはらうちのあそ
なこそは
なこそはよのとほひと
なこそは
なこそはくにのふかひと
くにのなかひと
あきつしま
やまとの国にかりこむとなはきかすや
下巻
十日事記
軽之太郎子御歌
起句四句次二句対次終句二句
合十勺小長歌一
したとひて
〽あしひきの山田をつくり山たかみしたひをわしせしせしたなき
せしたなきに
わかとふいも
わかほくつま
許布こそはやすくはたれ
死曰したなきに、わかなくつま、うたなきに、我おくつまゝとあり
同し対々なかし其いゝさまいさゝかはかれり
下巻
起句二句次二句
同記同泊瀬朝倉宮御宇天皇大御代表梓比売歌等
対次終句四勺
合十勺
小長歌入
〽やすみしゝわかおほきみの
あさけたいよりた也
ゆふけにはいよりたゝす
わかつきの
したのいたにもかあせを
日本紀
廿二巻
十七丁
小墾田宮御宇天皇大御歌
同杉十勺
小長歌一
同ずかに
そかのこし
うまなしは
ひむかのこま
たちなしは
くれのまさひ
うへしこそ
そかのこらを大きみのつかはすらしき
中巻
古事記中也白持宮御宇天皇大御歌記曰到忍坂大室之時江
老勺二勺次二勺対次終勺五勺
故明将打其土雲之歌曰、
合十一勺小長歌入一
おさかのおほむろや小
ひとさはにいりをりとも
ひとさはにきいりをりとも
みつくし
くめのこらかくふづらいいしつゝいもちうちてしや
まむ
茶葉集集
三ノ巻
廿六丁
暮春之月幸芳野離宮時中納言大伴郷奉
同杉十一勺
勅作歌一首并短歌
小長歌○
見よしぬのよしぬのみや
山からし
たふとかるらし
水からし
さやけかならし
天つちと
なかく久しくよろつ代にかはらさるいてよしの宮
反歌
むかしこしきさの小川をけふみれはいよ〳〵にやけてなりにけるかも
十三巻同拾十一勺
目集
十三丁小長歌
みもそのかみなひ山ゆ
ものくもり雨はふりきぬ
あまきらひ風さへふきぬ
〽おほくちの
まかみかはゝゆおもひいしかへりにし人家にいたりき
反歌
かへりにし人をおもふとぬはたまの其夜は吾もいも収かねてき
同集
一ノ巻
十一丁
十一丁
起勺四勺次二勺対次終勺
近江宮御宇天皇三山御製歌
三勺合十一勺小長部
かくやまはうねひを男とみゝなじとあひあしそひき
かみよして
かくにあるらし
いにしへも
しかなれはこそ
しかなれはこそうつせみのつまをあらそふらし
うつせみのつまをあらそふらしき
反歌
かくやまと耳なし山とあひしとき立て見にこしいなみ国はら
わたつみのとよはたいり日さしこよひめつく
同集
同集十三巻同様十一勺
九丁う
小長歌
ふちなみの
しきしまの大和の国に人さはにみちてあれともなみの
「わかくさの
おもひまつまし
おもひつきみからにしきみかさむなかさむなのき此夜を
同集
十三巻同拾十一句
十八丁小長歌一
小長歌一
たまたすきかけぬ時なくあかもへる黒によりてはしつぬ事を
たかたまを
手にとりもちて
しゝにぬきたれ天つちの神をそ吾いたもすへなみ
しゝにぬきたれ
こふ
反歌
あめつちの神をいのりて吾こわるてわる君にかならすあはさしめや母
同集
十三巻同拾十一勺
廿一丁小長哥
あかねさす
一たりたすきかけぬ時なく吾本もふいもにしあら
ぬはたまの
ひるはしみしに
よるにいもねすに味をこふるにいける
よるはすかしに
反歌
よしめやししおむよ音妹いけりともかくのみこそこひわたりおめ
こひわたりなめ
わか
中登
起勺四勺次二勺対次終夕
古事記中先建内宿祢命為御不答歌曰来
同四勺合十二勺小長歌○
このみきをかみけむ人は
うすにたてゝ
うたひつゝ
かみけれにも
まひつ
かみけれかも
このみきのみきの
あやはし
うたゝぬしさゝ
下巻
同記建内宿祢命以歌語曰
趣句二句次二句対次終句六勺
合十二勺小長歌入二
うへしこそ
とひたまへ
たかひかるひのみこ
まこそろし
とひたまへ
あれこそは
よのなかのひ「やまとの国にかりこむといまたきかす
万葉集
十三巻起勺六勺次二勺対次拾勺二勺
廿二丁合十二勺小長数人一
おしてる
おして事なにはのさまにそほにそほにそほにそほに
つなとりかけ
ひこつしひありなみすれと
いひつらひ
ありなみすれと
ありなみ
ありなみいはれにし
えぬそ
わがみ
中巻
古事記
召事記中堂倭建命大御歌記曰尾張国にて
起夕六夕頃二夕対次終夕
於意須比之襴着月経故見其月経御歌曰
三勺合十三勺小長歌
〽ひさかたのあめのかく山とかまにさわたるくひひはほそ
たわやかひな
まかむとあれはすれと
さねむとあれはすれと
なかけせるおそひのすそ
つきたちに
けり
中巻
同記中志長帯比売命御歌記曰息長帯比売命醸待
酒以献令其御祖御歌曰
同拾十三勺
小長歌○
このみきはわかみきおらすくしのかみとこよにいますいはたらす
すくなみかかむほきくるほし
みの
まつりこしみきそ
みのとよぼきほきもとほし
あさすきせ
さゝ
一ノ巻
万葉集
七丁う
○高市園本宮御宇天皇登香具山望国之時
御製歌
同杉十三句
小長歌○
やまとにはむら山あれととりよろふ雁のかく山のまりたち
国見をすれは
けふりたちこの
うまし国そあきつしま
うなはらはかまめたちたつ
やまとの国は
同集十三巻同弐十三匁同断
同集
十八丁小長歌
すかのねのねもころ〳〵に吾もへる妹によりてはことのいみも
いはひへをいはひほりすゑ
なくありこそ
たかたまをしゝにぬきたれ
あめつちの神をそ吾ねく
いたもすへな
三
反歌
たらちねのはゝにもはすつゝめりしこゝろはよし
下巻
十日事記下記売命御歌記曰皇后即自山代廻到坐那
起勺四勺次二勺対次終勺五勺
良山口歌曰
合十三勺小長歌合十三勺小長歌
つきねふやましろ川をみやのほり北かのほれは
あをに上ら
をたてやま
なしをすき
やまとをすき
わかみかほしくにはかはらきたかみや
わきへのあた
わきへのあたは
り
下巻
同記
起勺四勺次二勺再頃終
同記下巻初瀬朝倉宮卿宇天皇大御歌仕
初瀬朝倉宮卿宇天皇大御歌志ゟ四夕次方尉次終
勺七勺合十五勺小長歩
〽もゝしきの大みや人はかつうどりひれどりかけ
まるはしり
をゆきあへ
にはすゝめ
序
うすゝまり給ふもかもかもさかみつくらし
こその
かたりこともこをは
万葉集
六ノ巻
卅六丁
可
石上乙唐郷配土佐国之時歌并短歌
同拾十九勺
小長歌
うましもの
いそのかことふらのみこと
したしもの
なはとりつけ
弓矢かくみて
おほきみのみことかしあまさかるひなにまかりて
ふるころもまつちの山ゆかへりこむ
反歌
おほきみのみことかしこみさしなみの国にいてます吾せのきみは
同楽
十三巻起勺六勺次二勺対次終勺五勺
卅四丁合十五勺小長歌
ミサクレバ
欲見者雲ゐに見ゆりころはしきとての松原少子等
ミガホシハ
ことさけはくにゝさけなむ
いさやいて見む
ことさけはいへにさけなむ
天つちの神しうらめし
かくさまくらこのたひのけつまさくへしや
反歌
こめたひのけにつまさかり家路おもふにいけるふにいけるすへなし
日本紀
十巻
六丁
軽嶋明宮御宇天皇大御歌紀曰於是天皇知
大鷦鷯尊感髪長媛而欲配云云時搗大鷦鷯尊以指髪長俊
同拾十五勺
乃歌之曰
小長歌一
いさあきぬひるのみにひるつみ所わか行道のかくはし
花土花は
しつえらはひとみなとり
ほつえらはとりゐからし
一つくりのなかつ枝の
ふほこもり
上十三匁序也
あかれるをといさゝかはえる
万葉集
二ノ巻
廿四丁
従山科御陵退散之時額田王作歌一首
同拾十五勺
小長歌
やすみし
我おほゑのかしこきや
はかつかふうやましなの
かゝみの山に
よるわも
よのこと〳〵
ひるはも
ひのこと〳〵
ねのみをなきつゝ
ありてや
〽もしきの大みや人はゆきわかれな
六ノ巻
同集
十一丁
神亀元年甲子冬十月五日幸紀伊国時山郡宿
同杉起勺八勺次二勺尉次終勺三勺
一称赤人作歌一首并短歌
合十五勺小長歌
やすみしく我大君のとこみやとつかえまつるさひかぬゆ
かせふけはしらなみさわき
そかひにみゆ事おきつしまきよきなき
たまもかりつゝ
しほひれはたまもかりつゝ
神代よりしかそたふとたまつ島山
反歌
おきつしまありその玉もしほひみちいかくろひ子おもほえむかも
和にの浦にしほみちくれはかたをなみあしんをさしてなつ鳴わたる
同集
十三巻
内集十三巻同拾十五勺
十四丁小豆歌二
さすなかむこやのしき
さきすゝなかむこやのしきかきすてむやれこもをしきからむ
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
しこのしこてをさしかへて水なむしゆゑ
あかねさすひるはしみしに
ぬはたまのよろはすからに
このとこのひしとなるなききつる
まて
かも
反歌
わかこゝろやくも吾なりはしきやし君にこふるも我こゝろから
中巻
十四事記
古事記中光軽島明宮御宇天皇大御歌記曰天皇看豊
明之日於髪長比売令握大御酒拍賜其太子余御歌曰
同横起勺六匁次二勺対次終句六勺
合十六勺中長敵一
いさこともぬひるつみにひるつみにわかゆく道のかくはし
花たそはな
ほつえは今朝かたし
しつえはひととりかたし
みつくりのなかつえの
上十三日序也
ほつもみあかしをとめいささらはよらし分
を
万葉集
四ノ巻
十二丁才
岳本宮御宇天皇御製顔并短歌
起勺八勺頃二勺対次四勺次拾勺四勺
合十六勺中長類一
神代よりあれつきくれは人さはに国にはみちてあちむらの
ひるはもひのくるゝまて
去来者行跡吾こふる君にし給ふる君にし
ひるはも
よるはもよのあくらきみ
あらねは
おもひつゝいてかてにてあかしくもなかきの
反歌
山のはわしあちむらわきゆくなれとわれはさふる君にしかうには
あらねは
あふみちのとこの山なるいきやかはけのころころはこひつゝもな
万葉集
九ノ巻
廿一丁
○春三月諸郷大夫等下難波時類一首
并
一普請負壱勺六匁弐匁
短歌
一合十六勺中長額〇
しら雲のたつたの山をゆふくれにうちこえゆけたきのかんの
さくしの玉は
さきたるは
さきたるはちり過にけり
ふしめるは咲つきぬへし
こち〳〵の花のさかりに
みされとも〽世間悦立かにかくかし黒かみゆきは今にし声
反歌
いとふあらわなつさひこたりむかつをのさゝての花もをらまし
ものを
右の長前はかならす見されともといふ句の下祝句有へし
句数は何し程とも知れかたし尚よく考へし
同条
十九巻
四十二丁
勅従四位上高麗朝臣福信遣於難波賜酒者入
唐使藤原朝臣清河等大御類一首并短歌
一銀壱匁二白銀二勺対次修具
合十七勺中長歌一
うみのこへはつちゆくことく
そしみつやまとの国は
ふねのうへはとこにをることく
おほきみの
いわへる国そよつのふね船のへならへまささくらはやわたりきて
かへりことましさむひあひのまひさけそごのとよみきは
反歌
よつのふねはやえり」としらかものすそしぞしぞしでゝまたに
上巻
古事記上尤沼河日売命歌記曰沼河日売未開戸自内
数曰
都勺六勺次二勺対次終勺七勺
一合十七勺中長歌一
やちほこのかみのみことぬえくさのめにしあれはわかこゝろ
浦春の鳥そ
いまこそはちとりにあらめ
浦春の哥そはちとりにあし
のちはおけりにあらむ
いのちはなしせたまひ
いしとおやあまてせつにことのかたりこともこをは
下巻
同記同石之日売命御歌記曰皇后即不入坐宮而
引避其御船訴於堀随河而上幸山代此時類曰
趣夕十二句次二勺対次終句一句
合十七勺中長歌
〽つきれふやましろ川を川のほす北かのほれは川のへに
おひたてうさし小をざしふめきしかしたにおひたて馬
はひろゆつまつはき
しかはなのてりいまし
しかはのひろりますか
おほきみろにも
日本紀
十六巻
三十丁
夥媛教紀曰戮絹臣乃楽山是時影媛逐行
戮処見是戮己驚惶失所悲涙盈目遂作歌
起句十句次二句対次終句三勺
合十七勺中長歌五
いそのかみふるを過て〽こもまて高はしすき〽ものさはに
おほぬも〽はるひのかすかをさほをすき
すき
すき
たまけには
たまけにはいひさへもり
たまもひにみつさんもり
なきそほちゆくもかけひめあはれ
万葉集
三ノ巻
四十八丁
過勝屍真間娘子墓時山部宿祢赤人
同拾十七匁
作類一首并短歌
作類一首并短歌同拾十七匁
中長歌一
古昔にまりけむ人のしつはたかおひとたえてふせやたて
つまとひし
一まとひしけむかつしかのまゝのて二つきをこゝとつきをこゝとはきけと
まきのはやしけりたからむ
まつかねやとほくくしきことのみもなのみも吾はわすらえ
なく所
反歌
吾もみつ人にもつけひかつしかのまゝめてこなかおくつきところ
かつしかの
かつしかのましのいりけむて玉もかりけむ
ほゆ
同集
四ノ巻
四十九丁
同大伴坂上郎女従跡見庄賜留宅女子大壌
起勺八勺次二勺対次終勺五勺
歌一首并短歌
一合十七勺中貞歌一
とこよかにと吾ゆかなくにをなかとにものかなしうにおもへりし
おもふにし吾みはヤセぬ
吾児のこしをぬはたまのよるひるとおもふにし吾みはヤセぬ
なかくにしそてさへぬれぬ
かくはかりもとなしさひはふるさとの此月ころもありかてましを
反歌
朝かみのおもひきれかくはかりなれかこふれいめに三元ける
同集
六ノ巻
十一丁
車持朝臣千年作歌一首并短歌
同杉十七匁
中長教二
うふこりのあやにともしきなるかみのおそのおとのみよしみよしぬの
ちけくれはあさきりたち
まきたり山ゆみくた七は川のせことに
いふばれはかわりなくなへ
ひもとかすたひにあれはあのみ給てきよき江原をみらくしよし
反歌
なきのうんのみふねの山はかしこけとおもひわすく時も日もなし
ちとりなくみよしぬ川の川おとなすやむ時なしにおもほゆるきみ
あかねさすひならへなくにわかこひむよしのゝ川のきりにたちはゝ
目集
六ノ巻
十五丁
中長
可
豆欠
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
車持朝臣千年作頼一首
宛勺四百次二勺対次終句
年寄
九百合十七勺
歌
いさなとりはえをきうちなひきおふるおもに
朝なきに
夕なきに
千重法より
五百重波より
うへつなみのいやしく〳〵に月にけにけにけにひに
いまりみにあきたゝめしらなみのいさきめくれすみの元のえの
やも
はま
反歌
しらなみのちへにきよするすみの元のきしのみにふににほひてゆる
万葉集
六ノ巻
十丁
養老七年癸亥夏五月幸干芳野離宮時笠
起勺十日次二日対次孫百四句合十八日
朝臣金村作歌一首并短額
中長親一
六百店之
多花のちへのみふねか山に三つえさししゝにおひたり〽とがの木の
いやつき〳〵によろつよにかくしらさむみよしのゝあきつのみやは
かむからかたふとかたらむ
山門をきよみさやいつつりかか
くにからかみかほしにしむ
かへし神代ゆさためけししも
反歌
としめはにかくも見てみよしぬのきよき此内にたきつしらなみ
山たかみしらいふ花のおちたきりたきの河内はみれとあかね
右の長哥はきよきさやけみといふ詞の下に祝句有へしかゝる歌の挨
に十八日とやらによみし義は極めてなき事也十九日の長分な
るへし今こゝろみにいはゝミヤトコ口もろ又ハコヽトシモとかあり
し夕の落たるなるへしかゝる例外ニもあり考へし
下巻
古事記下巻泊瀬朝倉宮御宇天皇大御代大后若日下王
起勺八勺次二勺対次終勺七勺
御類
合十九勺中長歌
やまとのこのたけちにこたからいちのつかさにひなへやに
そかはかひろりまし
おひたてうはひちゆつまつはき
そかはなのてりいます
たからかひからひのみこにとよみきたまつらせことの
かたりこともこをは
万葉集
三ノ巻
十六丁
鴨君足人香具山類二首并短歌
同杉
十九勺
中長
歌台
あもりつく天のかく山かすみたつ春に至れは麦れみに
いけなみさくし花このくれしけ
たちて
おきへにはかもめつまよひ
へつへにはあしむらさわき
〽もゝしきの大みや人のまかりてゝ若ししねかちさほも
なくてさふもこく人なしに
反歌
人こかすあらくもてかつきするをしとかへとふねのへにすむ
いつのまにかみさひけるかく山のほこ杉かられ
十七丁
同拾十九勺
同集
一十七丁同人歌
オ
中長歌一
〽あもりつて神のかく山うちなひく春さりくれはさくし花
このくれしけにまつかせにいけなみたちて
たちて
へつへかしはあしむしさわき
おきへ下しはかもつまよひ
〽もゝしきの大みや人のまかりてゝときこしほねかちも
ときこしふねはさをかちも
なくてさふしこかむとおもへと
い
同集
三ノ巻
廿七丁
山部宿祢赤人望不慮山歌一首并短歌
同拾十九勺
中長歌○
あめつちのわかれし時ゆかむさひて
わたるひのかけもかくろひ
ふしの高根は天のはらふりさけ見れ
てるつきのひかりもみえす
ししくももいゆきはりときしくそ雪はふりけるかたりつき
いゝつきゆかふしの高根は
む
反歌
多この浦ゆうちいてたましろにそ富士の高松に雪はふりける
けれは
同集
三ノ巻
卅七丁
同杉十九句
中長歌二
大伴坂上郎女祭神歌一首并短歌
人かたのあまの原童あれませる神のみことをおくやまの
いはひへをいわひほりすゑ
榊が枝にしらかつくゆふとりつけて
たかたまをしゝにぬきたれ
しらしものひまをりふせ匁をやめのおすひたりかく舟にも
五口はのみなむ君にあはし
君にあはし
かも
反歌
ゆふたゝみ手にとり
ゆふたらみ手にともちてかくうまにも吾はこひなむ君にあはし
同集
九ノ巻
廿三丁
一登筑波山領為躍歌会日作歌一首并短歌
同様十九句
中長寿○
序か
わしかすむつくはの山のもはきつのそのつのう
ひとつまに吾もましらひ
をとめおとこゆきつとひかかふかゝひに
わかつまちしひともことゝへ
このやまをうしわらむにしよりいさきなけまわけふのみは
まくしも
なみそこともとが
めす
反歌
をめかみに雲立のほりしくれふりぬれかふるし吾かへしめや
同集
三ノ巻
卅八丁
一人登筑波岳丹比真人囲人作類一首并短歌
卅八丁
趣々四句次二句対次終句十一勺
合十一句中長歌一
ふしかみの
鳥かなくあつまの国に高山はさはにあれ
あみやまの
たふとき山の
みかほし山と
神代より人のいらつきくに見するつくはの山を
冬木成時しく時とみすていなましてこはに雪けす事
山道すしをなつみそ五日こし
反歌
つくはねをよそのみ
おみてありかねて雲けの道をなつみけるかも
同集
六ノ巻
十六丁
三年丙寅秋九月十五日幸於幡磨国卯南野
時笠朝臣金村歌一首并短歌
同拾十九勺
中長歌○
なきすみのふるやゆみてありあはちしまつほの浦に
朝なきに
玉もかりつゝ
夕なきに
あまをとめありとはき
もしほやさはゝ
もしほやさはしあまをとめありとはきこにゆかむよしのなけれは
ますしをのこゝろはなし小多をや火のおもひたこしたもとほり
みて
吾はそのふねふねかちを
なみ
反歌
玉もから海人をとめ
玉もから海人をとめみにゆかむふぬかちもなみ高く
ゆきめくりみともあかめやなきすみのふなせの浜にしたるしら波
同庄等
第十三巻起勺十勺次二勺対次終勺五勺
卅一丁
一合十九勺中長歌
玉ほこの道ゆき人は要しひきの山ゆきぬゆきたゝわだり
川ゆきわたはいさなとり海路にいててかしこきや神のわたりは
ふくにせも
ふくにせものとにはふらす
けつなみもおまからひらすあとゐなみたちせく道を多かこゝろ
たつなみも
左衛門なみもおほにはたらす
いたつけと
かも
けむ
同集
十三巻起句十勺頃二勺対頃六勺
五丁合二十勺中長歌三
空みつやまとの国あをによしなら山こえてやましろの
つゝ木の原に〽ちはやふらうちのわたりたり多きのやのあこねの原を
ちとせに
かくることなく
よろつよに
ありかよはむと
山しなのいはたのもりのすめかみに
ぬさとり
むけて
右にあけたる長義はぬさとりむけての下に一ヶ祝しなるへし脱女は
未たおもひ得す尚よく考へし
九ノ巻
同集
起勺十四勺
廿九丁
関
神亀五年戊辰秋八月歓一首江
神亀五年戊辰秋八月歌一首并短歌
次二夕対
次終勺三勺合廿一勺
中長歌二
人となることはかた
人となることはかたわくらはになれる我身は死にもいきも
君かまにまことおもひいゝあひた
に
おほきみのみことかしみあまさめ
にと
朝立しはゝ
むれ去ゆけて
とまりゐて吾はこひはなみつひさし
なしは
朝とりの
むしとりの
反歌
みこしちのゆきふち山をこえむひはとまれる我をかけてしぬはせ
同集
十九巻
廿五丁
二十二日贈判官久米朝臣広縄虚空広縄西は
一起而四月頃二日対頃終日十三日
恨歌一翁開短歌
合廿一句中長歌○
あけされは
こゝにしてそかひに見ゆ吾せこかかきつかたにゝ
ゆふさねは
はりのさ枝に
藤のしけみに
はろ〳〵に鳴郭し公吾やとのうゑきたち
はる
花にちる時をまたしみきなかなくそこはからしかれとも
谷かたつきて家ゐせもる君かきゝいゝつけなくも
反歌
わかこえたまてときなかし
わかこえたまてときなかほとゝきすひとりきゝつけむきみ
かも
同集
十九巻
卅四丁
悲傷死妻歌一首并短歌
赴句十二句次二勺尉次終
勺五勺合廿一勺中長歌○一
天のその神はなけれやうつくしき吾つまさからひかるかみ
なりはたてみつさへともにあらむとおもひしにこゝろたかひぬ
いわひすへせむすへしらに
ゆふたすきかたにとりかけ
しつぬさをてにとりもちて
なさけそと
吾はのめともまきてねし妹かたもとは雲にたな
ひく
反歌
うつゝにとおもひていめのみにたもとまき三日はすへし
三ノ巻
内集
サハ丁
山部宿祢赤人至伊豫温泉作一首并短歌
起勺十六勺次二勺対次終勺三勺
一合廿三勺中長類○
すめろきめ神のみことのしきませる国のこと〳〵湯はしも
コヽシカモ
さはにあれともしまやまのよろしき国ときわめしかいよの高根の
いさにはのおかにたしてことおもひことおもしくみゆのへの
こむらを
おみの木におひつきにけり
見れはなくとりのこゑもかはらす
見れは
遠き代に神さひゆかむ
いてまし
ところ
反歌
もらしき被大みや人のにきたつにふなのりけむとしのしのしらし
六ノ巻
同某
十二丁
神亀二年乙丑夏五月幸干芳野離宮時笠
朝臣金村作歌一首に
笄
短歌
一同壱拾壱合弐合六勺弐勺六勺
一合廿三勺中長歌三
かり
あしひきのみやまもさやおちくまきつよしぬの川の川の川の
きよきを
かみつへに
ちとりしななき
見れは
しもつへに
〽もゝしきの大みや人も
見れはしもつんにかはつつまよひ
オチコチニ
オチコチニシアレハ
起乞爾
越乞爾思自仁思有者みるこましあやにとも玉かつし
コエガテニモヒニシモヘル
たゆることてよろつ代にかくしもかもあめつちの神をそいめら
かしこかれ
ども
反歌
よろつゝかにみともあかめやみよしぬのたきつかふち大みやところ
人みなのいめちもわれもみよしぬの多きのこと
いはの
同集
五十三巻起句十二句頃二勺対次終句七勺
同集十三巻巻句十二勺蒔次終句七合
同六十九丁合二十三勺中長歌三
みよしぬのまきたつ山にかあをなら山すかのねのねもころに
わかおもふすめしきのまけりまま〳〵ひなさから国をさめにと
君は
おくれたる吾かこひなむ
むし鳥の朝去ゆけは
たひなれは君かしぬはむ
いはむすへ
せむすへしらにあしひきの山のこぬれにはふつたのわかれのあまた
をしくも有
かも
反歌
そつせみのいのちをおかあれこそととらまる吾はいはひてまたむ
十三巻起勺八勺次二勺対次啓勺十一夕
目集
卅一丁合廿三勺中長歌○
おほきみの命かしこみあきつしまやまとを過ておほともの
軒なきにかこのとしはゝ
みつのはまへゆおほふねのまゝのちしゝ
ぬき夕なきに
ぬき夕なきにかちのとしいゝ
まかことや
ゆきしきみいつきまさまさとおきていはひわたるまかことや
人のいらつる吾こゝろつくしの山のも三ちはのちか過にしと
君かたかて
を
反歌
たはことや人のいひつるたまのをのなかくと君はいゝせ
ものを
同集
九ノ巻
卅一丁
思娘子作歌一首并短歌
起勺四勺次二勺対次終勺十七
勺合廿五勺申長歌四
しら玉の人のその名をなか〳〵にことにをはへ
あはまひの
こふるひの
まねくすくれは
かさなりゆけは
おもひやるたときをしゝに〽きもひかふこゝろくたけて
たまたすきかけぬ時なくくちやます吾こふるこを〽玉くしろ
手にとりもちて〽ますからみためにみぬ下搗やまやま下ゆく水の
上にいてす五日思ふ心やすからぬ
反敵
かきほなすひとの上ことしけみかもあはぬひまね自かへぬらむ
たちかはる月をかさねてあはねともさねわすらおもかけにして
―三巻起勺十勺次二勺対次終夕十一ノ
同条
十七丁合廿五勺中長歌三
吾骨子はまてときまかりかねもそのみてさ
さす
むし
よも五にけりさきふくとあらしの吹はたちまつと吾親手に
おくしももひにさえわたり
わらゆきもこほりわたりぬ
あらゆきもこほりたうぬいまさにきみきまさ
めや
のちもあわむと「大ふねのおもひたのめ」うつゝには君にはあはす
いめに舟にあふとみえあめのたり夜は
反歌
衣手にしあらしの吹てさむきよをきみきまさひとりかも
すは
いまさらにこふともきをあはめやもぬる夜をおろ夢にみえこそ
同集
五ノ巻
十二丁
筑前国怡土郡深江村子負茶云云漢文十口老
伝曰往者息長足日女命征討新羅国之将用茲而石捕
著御袖之中以為預懐所以行放弁此石の作類曰
起勺六勺次二勺対次終句十七日
合二十七勺中長部一
かけまくはあやにかしたしたしひめかみのみことのからくにを
むけたひし
けて
みこゝろをしつめたまふと
いとらしていはひたまひし
またまなすふたつのいしを
よのひとそししめしたまひよろつ代にいゝつてかねと」「わたのそこ
て
おきり陰江のうなかみのこふのはらにみてつからおかし舟まひて
かむなかし神さひいますくしみたまいまのをつゝにたふときろも
反歌
あめつちのともに久しくいひつけとこのくした
同集
十三巻起勺十日次二日対次終日十三日
廿九丁合廿七勺中長歌三
しきしまのや君との国にいかさまにおもほしめせかつれもなき
き足のみやにおほとのをつかへまつりてとのこもりこゆりいませは
あしたにはめしてつかはし
つかはしゝとねりかこしはゆくとりの
ゆふんにはめしてつかはし
むらかりて
むらかりてありまてとめしたまはつらきたちときしこゝろを
まち
ねは
あまくものおもひはらしくこいまろひひつちなけあきたとぬかも
十九巻
内集
十六丁
為家婦贈在京曽母所阿部作歌一首并短歌
起句十四日次二勺尉次終句九百
合廿七日中長部二
ほとゝきす来鳴さつきに咲あほふ花たち花のかくはしき
おやのみことを願ゆふにきかぬひまなく〽あまさからひなにしなれは
あしひきの山のたをりにたつ雲をよそのみ見はら
なけくそら
おもふそう
やすけくなくに
くるしきものを
なこのあまのかつきとるふしらたまのみかほしおもり
たらむかひ見む時まてまつか元のさかえいまき
一反類
しら玉のみかほしきみをみすひさにひ子にしをれはいけりともも
旧集
十九巻
廿一丁
一記贈水鳥越前判官大伴宿祢池主款一首并
短歌
一起句廿日次二日次二日
合廿七日中長歌一
あまさにもひなとしあれはそこゝもおやしもろびいんさかり
としかへぬれは
としのへぬれはうつせみのものほもひしそこゆゑにこゝろなくさに
ほとしきすなくわつこゑたちはなの玉にあへぬきかつしきて
あそへれはしも
あそへれはしもますしをゝともなへたてゝしらきかはなつさひかほり
ひらせにはさてさしわたし
はやせにはうをかつけはゝ
月に日にしはしあそ
はぬ
反歌
しらきかは瀬をたつねて吾皆子は鵜門たらさねこゝろなくきに
さに
うかはたちこらさむしゆしかはたはわれにかきおまひしも
むけ
同集
十九巻
四十二丁
為応詔作款一首并短歌大伴宿祢家
持作
同十四日朝旬二日対次終日廿一日
合廿七日中長歌
あしひきのやつをのうへの
いやつき〳〵に
青によし
まつかねの
たゆることなく
ならのみやこによろつよに国しらさむと〽やすみしく吾おほきみの
神なからおもほしてとよりのあり見らせすかは
けふは
やそとものしま山にあかるたちうつにさしひもときさけて
をの
する
ちとせほきほきらとゑら〳〵につかへまつる
よもし
反歌
すめろきの三代万代にかくしこそ三しあならたつとしのはに
同集
三ノ巻
一老夕八勺次二日付次終句
一同旅歌一首并短歌
卅九丁
十五日合廿七日中長歌
わたつみはあやしきものかあはぢしまなにたてしらなみを
おきて
いよにめくらしゐまちつき
ゆふされは
しまをみたしめ
いよにめくたしゐまちつきあかしのとゆはゆふされはしまを三たしめ
あけけれは
あけけれはしほをほさしめ
しほさゐのなみをかしこと
しほさゐのなみをかしこみあはちしまいそかくりにていつしかも
ゐて
この夜あけむまつからにいのねかねてはたきめうんのあさぬのきゝし
あくれこそしとよむたしいさこともあへてこきておにはもしろし
反歌
しまつたひみぬめのさきこきためはやまと恋しくたつさはになく
同某
二ノ巻
四十四丁
同霊亀元年歳次て卯秋九月志貴親王薨時
作歌一首并短歌
題句二十勺次二句尉次終句五日
合廿九勺中長歌
あつさゆみ手にともちてますしをのさつやたはみたちむかふ
上五百疋
高まと山にはるぬやくぬひと見るまてもゆるひをいかにとえは
玉ほこの道くる人のなみなみたこさめにふれころたへの
ハ
衣ひつちてたちとまり吾等かゝらくいつしかも
きみはねのみしなかゆ
すめろきの神のみことのいてましの
かたれはこゝろそいたき
たひのひかりこゝたてり
反歌
高まとのぬへの衣よきいたつらに咲かちりなむ見る人なしに
みかさやまぬへゆく道はこきたくもしけてなれひさにあら
なくに
同集
土ノ巻
五十一
元神亀五年七月二十一日筑前国守山上臣憶良
日本挽類一首吉貞句六匁次二日対次終日十九日
一合二十九日中長部
大きみのとほのみかと
大きみのとほのみかと」〽しら給ひつくしの国におくとなす
したひきまして
いきたにもいまたやすめす
としつきも
としつきもふかたあらねば
こゝろゆもおもはぬあひた
うちなひきこやしぬれいはむずへせむずしらにいはきをも
あかつ
とひさけ
いへなしはかたちはあら
しらす
むを
うらめし喜いものみことの
あれをはもいかにせよとが〽かほとりのふたりならひかたらひし
ろ
こゝろそむ
ろそむいへさかり
きて
います
反歌
いへにゆきていかにか
いへにゆきもいかにあらむまくつまやまやさし
ふしく
はしきよしかくのみからにしたひこしいもかこゝろのすへもすへなさ
くやしかもかくしら申せは常によし国ちこと〳〵見せましし
ものを
妹か見しあふちの花はちりぬへしわかなくいまたひなくに
なみた
おほぬやまきりたるわかなけくおきその風にきりたちわたる
わたる
十三巻起勺十勺次二勺尉次終日十五勺
同集
三丁方合二十九日中長歌○
あしはしめ水穂のくにてたむけ壱とあもりましいほよろ豆
けむ
土よろつ神の神代よりいゝつききたる神なひのみもろの山は
はるさきは春かすみたち
秋されは
くれなゐにほふ
かみなひのみもろのかみおはせる
あすかの川のみをはやみおひためかたいはかねのこけむす
まてに
あたらよのさきくいよことはかりいめにみせこつるきたち
いはひてまつる神にしませは
反歌
神なひのみもろの山にいはふすきおもひ過めやこけむすまては
いくしたてみわすゑまいふりてかうそのやま見れはともしも
つる
かげ
ト同集
五ノ巻
廿七丁
筑前国司守山上憶良敬和熊凝述其志歌
一二
起勺廿二句次二勺対次終勺五勺
六首并序漢文
合三十一勺中長歌三
うちひさすみやへのほちたしてしやはゝかてはゝかては
ふれ
くにのほくかをもしへやまこえてをゆきいくしかもみやこをんむら
おもひつゝかたらひをれとおもかみしいたはしけれは〽わほこの
道かくまひにくまたをり柴とりしきてとこしものうちこひふして
おもひいゝなけきふせらく
くにゝあらはちゝとり見まし
よのなかは
家にあらははゝとり見まし
かくのみならし〽いぬしもの道にふしてやいのちすき
なむ
反歌
たゝちしのわゝかめみおほしくいつちむきておほしく
すて
つねしらぬみちのなかとこれ〳〵にいかにかゆかむかりてはなしに
てを
いへにありてはゝかとりなくさむらこゝろはあらしなはしぬとも
いてゝゆきしひをかそへてけふ〳〵とあをまたすひちゝはゝらはも
ひとよにはふたゝひみえぬちゝわゝをなきてやなあかわかれしむ
かく
九ノ巻
同集
卅三丁
過葦屋処女墓時作教一首并短歌
起合八勺次二勺対次終句十九勺
一合三十一句中長部
いにしてのますらをとあひかたらひつまとひしけむあしのやの
うなひをとおくつきをわかたちはれは
めの
めの
なかきよのかたりにしいゝ
のちひとのしぬひにせむと
〽玉ほこのためへちかくいはかまへつくれるいかを天くもの
そきへめきこのみちをゆく人ことにゆきよりていたちなけし
かひ
さと人は水にもなきゝかたりつきし給ひつきをとめしか
おくつきところ我ささしみれはかなしもいにし
反歌
いにしへのしぬたをとこつまとひしうなひをとめのおくつきそれ
めの
かたりいくからにもて恋しきをたゝめに見けむいにしへをと哉
二匁
同集
一
十七巻
卅九丁
立山賦一首并短歌大伴宿祢家持作
弐勺四百次二勺終次終句二十三匁
一合卅一勺中長歌一勺中長歌
あまさからひなになからすこしのなかくぬそこと〳〵
山はしも
川はしも
しゝにあれとも
さはになれとも
すめかみのうしはき草にひかはのそのたち山に
とこなつに雪ふりきておはせるかたかたかたかきかきせに
朝よひことにたつきりのおそひしめやありかよひいやこしのはに
よそのみもふりさけ見てよろつよのかたらひくさといまたみみ
人にもつけむおそのみもなのみもきゝともしふる事
かね
反歌
たち山にふりおける雪をとこなつに見れとも
かむなから
あかす
ならし
たゆること
かたかひの門の瀬きゆくみつのたゆること
ありかよひ
なく
見む
内集
一ノ巻
廿九丁
老勺廿二日次二夕尉
従藤原宮遷于窓了楽宮時類
一次終而七勺合卅三勺
中長
歌山三
天皇のみことかしみにきひにし家乎択とも一ゝくの
家乎択ともりくの
ミヤコヲカキテ
はつせの川にふねうけて我ゆく川の川くまの八十ぐまをち
よろつたひかへりみして玉添この道行くたし青によし
なくのみやにいゆきいたり我れたる我れたる夜の上従
の
サムキ
たへのほによろの霜ふり
あさつくよさやに見ゆれ
冷夜を
川のひこぼり
リコル
いこふことかよひいしつくれるいへに千代二手来座多公輿
なく
われもかよ
はむ
反歌
青に上しならの家ニはよろつよに我もかよわむあすると思ふ
同某
九ノ巻
サ二丁
検祝使大伴卿登筑波山時作類一首并短歌
起り十二日次二日新次終日
同十七日同卅七ヶ谷町二
ころもてめひたちのくにのふたなみのつくはの山をみまくほり
黒きませりとあつけたにあせかきなけ木の根とりうそふきのゆり
ゆろしたまひ
をめてを着に見すれをめかみもゆろしたまひ
ときとなく
ちはひたまひ
空為雨ふるつくはねをさやにてうしいふかりし国のまほらを
つはしかに
つはしかにみせしたまへはうれしみとひものをときいへのこと
とけてそおそうちなひき春見ましてはなれと
けふのたぬしさ
反歌
けふのひにいかてかしかむつくはねに咲の人のきけむそのひ
十三巻起而廿四匁次二日対次終日五日
同集
合三十三勺中長歌
おほきみのみことかしこみ見れとあかぬなら山こえてまこつみの
いつみの川のはやき瀬にさをさし
たきつ瀬をみてわたりてあふみちのあふさか山にたむけして
吾こへゆけはさゝなみのしかじつさきくあらみまたえり見む
いやとほろし
道のくま八十二里二となけきつゝ我過やけは
いやたかに
さとはさかりぬ
なきたちさやぬきいかこやまいかゝ吾せむ
やまもえきぬ
たして
ゆくへしらすて
反歌
あめつちのなけき恋のみさきくあしはまたえり見むしにのかしさき
同集
一ノ巻
十六丁
過近江荒都時柿本朝臣人麿作歌
起夕廿四句次二日対次終句
七月七日廿五日中長蔵七
一玉たすきうねひの山のかしはらのひしりの御代あれましく
神のみことの〽つかの木のいやつき〳〵に天のした
そらみつやまとをおき
おもほし
おもはしめははしの近江の国の国の「さゝなみの大津の宮に
天のしたしろしけらすめろきの神のみこその大みやは
スとのは
こゝときけとも
こゝといとも草ししけく生たりかすみたつ去かめきれる
もゝしきの大みやとこのみれはかなしも
反歌
さゝなみのしかのこしきさきくあれと大みや人の船よちかねつ
さらなみのしかの大わたよとむとに昔の人に又もあてめやも
同某
十五巻
葛耳連老作歌
廿四丁
起句十四句次二つ付与終句
十七日合卅五日中長前二
あめつちと是にもかもと思ひいしありけむものをはしけやし
いんをはなみのうえゆなつさひきあら玉かもき也ぬ
雁つゆふし
かりかねともつきて来な〽夏らちねのはゝもつまも夕きりに
八十郎
ものすそひつし
ころもてぬれて
さきくしもあろしむこいて見はしまつらむものを
よのなかのひとりなけきあひおもはぬゑにあきはきの
ちしへるぬへのはつをはなかりほにふきて雲はなれとほき五んの
露しものさむき山へにやとりせるらむ
反歌
はしけやくつまもことももたか〳〵にまつらむ君やしまかくれぬる
もみちはのちりなむ山にやとりぬる是をまつらむ人しかなしも
同集
十八巻
卅二丁
○六月朔日忽見雨雲之気仍作雲類一首并短
起勺四勺頃二日朝勺四百廿七日
歌一鮑大伴宿祢家持作
一合三十五日申哀歎
すめろきのしきます国のあめのしたよものみちには
ふねのへの
いつくすきはみ
いはつるまてに
いにしへよいまのをつゝによろつつきまくるつかさと
つくりたるそのなりはひをあめならすひのかさなれはうゑしたも
はひを
まきしはたあさことにしほみかれそを見れはこゝろをいたみ
けも
みとりこのちこふかととありつみのあふきてそう
山のたをりにこの見ゆるあまのしゝ雲わたつみのをきつみやんに
あめもたま
たちわたりとのくもりあめもたまに
あひて
はね
反歌
このみゆる雲ほひこりとのくゆりあめもふらぬかこゝろよろしかに
十三巻起る六日頃二日付次終日廿七日
内集
十五丁合卅七勺中長歌七
百不足やまたの道を〽なみくものうちはしつまとかたらはひ
アシヒキノ
わかれしくれは
はやかはのゆくをもしらに
〽うましものたちてつまつき
ころも
ころもてのえるも壱に
序
せむすへの
せむすへのたつきをしみに〽ものこゝろ
おもひたう玉あはし君きます吾なけてやさかのなけき
玉ほこの道くら人の立とまりいかにと是はこたへ申類
たつきをしたさにつろふ君か名いはゝいろにいてゝ人しらぬへみ
あしひきの山よりいへる月まつと人にばいゝて忌まつ吾を
反部
いをもねすおかもふゑはいつこへよし今見誰輿可まてどきまさぬ
十七巻
同集
遊覧布勢水海賦一首并短歌大伴宿祢家
卅五丁
持作
一同廿二歩次二日新次終日十一日
合卅七勺中長寄三
〽ものゝふのやそとものをのおもふとち心やらむとうまなへて
うちくりふりししなみのありそによするしふたにのさきたもとほり
まつたえのなかはまをしうなひかはさよきせこと
かゆきかくもそこもあかにふせのうみにふせのうみにふねうけす
あしむらさみき
へにこき見れは
こぬれ花さき
おきへこきへにこき見れは
しまゝにさゝこぬれ花さき
こゝはくも
このさやけき〽ふたかみ山にはふつたのゆきはゆきはわかれす
ありかよひいやとしのりにおもふとちかくしあそはないまもみること
反歌
ふせの海のをきつしらはありかよひいやとしのはにみつゝしぬはむ
同一リ入三十五丁前
同集
十九巻
廿六丁
○追和処女墓類一首并短歌大伴宿祢家持
十六丁
作
起勺十四日次二日対次終日廿五日
合四十三日中長類一
いにしへにありたるわきくすはしきことことと
うなひをとうつせみのなをあら
そふと
相争角つまとひしけるをとめらかきけはになき
はるはなの
〇女の春の
したえさかえて
あたらみのさかりをすらますらをめこといとほしみ
にほひにてれる
ちゝはゝにまうしわかれ家さかりうなひにいてあまよひに
たち
みちくちほの八重なみになひく玉ものよのあひもをしきいのろと
露しもの過ましにけれおくつきをこゝとさためて地ちのよの
きゝつくくもいやとほにししぬひにせよつけをくししかさしけて
おひてなひ
けり
反歌
をとめしかのちのしろしとつけをくしおひかはりかひなけきけらしも
同断同断同同
十七巻
四十三丁
忽見入京述懐之作生別悲号所賜万回怨緒
并
一雑禁聊奉所心一首并二統大伴宿祢池主報賜和款
起句十六句次二日尉次終句二十五日
合四十五勺中長歌四
あをによしなしをきはあれ
みはゝしをれはおそひやることもありしをおほきみのみことかしこそ
をすくにのこととり持てあかくさのあゆひたつくりむしとりの
朝をいなは
おくれたるあれやかなしき
たひにゆく君かもこひむ
おもふそうやすくもあら
ねは
なけかくをとゝめもにてみわらしせは卯の花山のほとしきす
かねて
心のみたなしあさきりのみたるゝろことにいてゝいはゝゆゝしみ
なかゆ
となみやまたむけの神にぬさまつり吾にひのましはしけやし
着かたしかをまさきくもありたもとうほり月たゝは時もかはさす
なてしこの花のさかりにあひみしめと
反歌
たまほこの道のかみたちまひはせむ吾おもふきみとなつかしみせよ
うらこひし吾せの忌はなてしこの花にもかもなあさな〳〵見む
同集
十八巻
并
記数寄史生部史生尾類一首并短歌大伴宿
但壱教噺史生尾張少昨款一首并短
廿五丁
起勺四勺次方対次終ゟ四十三匁
祢家持作
合五十一句大豆歌
ちゝはゝを
おほなむち壱くなひこなや神代よりいひつきけらしめに見えは
見れはとふとく
かなしくめくし
〽うつせみのよのことわかしかくさまにいひけるものを
よのひとのたつることなりにはしきよし
たつることたて
そのつまのあまよひにしみへゑますうちあけきかたりけまくは
とこしへにかくしもあらまや天つちの神ことよせて春はなの
今等未
さかりもあるのもの多之けむ時のさかりを没居立なけかすいもか
いつしかもつかひのこむもまたすゝむ心さふしくみなみふき
雪けせ二りていみつ川なふるゝ三な
ひものをのいつかりあひ
おきをふかさとはせる君かこゝろの走もすへな
反歌
青によしならに醤煉の多かたかよねらむこゝろしかにはならしか
さとひとのみめまつきふらこにさとはす黒かみやてしりふり
くれなゐはこりろふものそつるはみのなれにしか
くれなゐはこつろふものなれにしかめやも
きぬに
同集
十八巻
二十七丁
二十七丁
一同様橋歌一首并短部大伴宿祢家持作
起勺二十勺次第弐拾勺二十九勺
一合五十三勺大長歌二
かけやとくもあやにかゝこし春めきの神の大云代にたちまもり
とこよにわたかやほこもちまゐてこしき嬉しくのかくのかくのかくのみな
かしこくものこしたまへれくにもせにおひ去さかえ春されは
はつはなの枝にそをりて
ひこえもえいらすなくさつきはつきはつは前の枝にはをりて
をとめらにつとにもやかみ
あくはしみおきてからしみあゆるみは
しろたへの袖にもこきれ
急笑にぬき手にまきて見れともあかす秋つけは時雨の雨ふり
あしひきの山のこぬれはこれなゐににほひちれたちはなの
なれるその
なれるそのひたてりにいたれは
霜おけともそのすも
霜ほけともそのももかれすときはえにしかれこそ
神のみよゝりよろしなへこのたち花をときしくのかくのこのみと
なつけゝらし
反歌
たちはなは花にも雲にもみつれともいやとたしくにおほしみか
十七巻
同集
サ二丁
廿二丁
忽沈狂疫殆臨泉路仍作評詞次申悲緒
一竹
歌一首短歌
起向四十六日次二日尉次終句七勺
一合五十七日大長期八
おほきみのまけの早に〳〵ますしをのこゝろふりを〽あらひきめ
山坂こえて「あまさにるひなにくたりていきたにもいまたやすめす
としつきもいくらもあらぬ〽うつせみのよの人なれはうちなひき
床にといふしいたけくのひにけにませはたらちねのはゝのみことの
大ふねのゆくら〳〵にしたこひにいつかもこむとまたすらむ
心さふしくはしきよしつまのみこともあけくれは門によりたち
ころもてををりえしつゝ夕されは床うちらひぬはたまの
くろかみいつしかとなけかすいもらせもわかきことも
くろかみしきていつしかとなけかす
らむそ
道をたとまつかひも
道をたと
をちこちにさわきなく〽たまつかひ
まつかひも
うむ
ほみ
ほみ
やるよしなし
ことつてやらす
たまきはるいのちをしけと
こゝろはもえ給
にほるにし
なけきふせ
せむすんのたときをかくしてやありしを
らむ
反歌
よのなかはかすおきはるはなのちりのまこひにしぬへきおもへは
ものか
山川のそきへをはしきよし妹をあひみかくやなけ
とつみ
同集
五ノ巻
卅丁
反歌二首
好去好来歌
山上憶良
起勺四日頃二日対頃終句五十五勺
一合六十三勺大長歌三勺大長部
神代よりいひつてくらくみらみつやまとの国は
すへうきの
ことたまの
いつくしきくに
さきはやくにと
かたりつきいひ給ひけりいまのよのひともこと〳〵
めのまんにみたりしかしみちてみちてみちてみちては
ひのおほかみとかむなからめてのさからに天のしたまをした
いへのこらゑらひたまひおほみこといたゝきもちてかしくにの
とほきさあらつかはされまかりいませうなはらのへにもおきにも
ひに
神つまりそしはきもろ〳〵のおほに神ふねのへに
います
みち引麻志遠天つちのおほみくみやまとの大国みたま
ひさかためあられみあまかけり見わたしことをわり
そらゆ
かへしむ日またさらにおほみかてふねのへにみてうちてうちて
には
ちかのさきおほともの
すみなはを見たちことくあてかをしちかのきよりおほともの
みつのはまひにたくはてにみふねはははつらみなくさきくいまして
はやかへりませ
ませ
反歌
大とものみつのまつ
大どものみつのまつかきはきてわれたちはやえりませ
またむ
ませ
なにはつに
たろはしり
なにはつにみふねはてきこえなはひもときさけたちはしかひ
せむ
上竹八十七堂の長顕は皆同し様にして遠つ神代よりふるくよみきぬる姫なり
此様ハ小壱度中長前大長前三ツにわたりていつれの哥にもよめり此八十七首の
哥の中に古事記曰本記の哥に十勺の小兵哥あり十六日中長哥一首合六首
あり右その七首の外ニ十カ十六とやらによみし哥はなき事なるに万葉
四ノ巻十二丁九ノ巻二十一丁六ノ巻の十丁に十六勺の少遣哥二首十八日の中長
哥一首は極めて万眩しなかへし猶その哥の処にもくはしくいはり
あわせ見かへし古事記日本記の哥の句数の事は別に考なり
狩4間丁
長歌詞乃珠衣
詞珠衣五之巻
○枕詞をおかすしてよめる杉
中
古事
吉野国主等歌
巻
七勺小長歌
かしのふによくすをよくすにかきしおほみうまたに
つくり
きこしもち
きこしもちまろかち
をせ
下
同記
難波高津宮御宇天皇大御歌
八勺小豆歌
奏シ
みもろのその高きなりおほゐころおほゐこかはらにある
きもむかふ心をたにかあいおもはす
あらむ
万葉集
六ノ巻
廿三丁
大伴坂上郎女歌
九勺小長
歌
おほおもちすくおひこなかみこそはなつけそめ
けむ
なこ山とおひわかせこかちへのひとへもなくさま
て
なくに
十日事記
中
建内宿祢命歌
巻
同
このみきをかみけむ人はそのつゝみうすにたてゝうたひいゝ
かみけれかもこのみきのあやにうたゝぬしさゝ
日本肥
三ノ巻
十一丁
江白持原宮御宇天皇大御代皇軍歌
ナタ小
長歌
いさはよいさはよあらしやをいまゝにもあこよ
ゑみしをひとりもゝなひと人はいへともたむ給ひせす
中
古事記
吉野国主等歌
ー矣
巻
同
ほむたのひのみこおほさゝきおほさゝきはかせるたち
もとつるきすゑふゆふゆきのすからからたさや〳〵
きの
同記
下
巻
難波高津宮御宇天皇大御代歌
同
からぬをしほにやきしかあまりことにつくりかきひくや
ゆくのものとなかのいてふれたつなつの木のさや〳〵
りに
万葉集
十九巻同
卅一丁
三形沙彌歌
おほものゝこのもとぼ雪なふみしはしもふらさる雪そ
りの
そね
山のまにふれりしゆめような人やふみそねゆきは
雪そ
反歌
ありつゝも見したまはおほとのゝこのもとほり雪なふみてね
むと
そね
上
十日事記
を上
高地売命歌
十一日
十一シ
小長前
の
あめなるやおとたなはたうなかせる玉のみすまるみすまるに
あるみはやみたにふた渡らすあししき高
かみそや
万葉集
四丁
をのとりてにふの柳山の木こりきていかたにつくりまかちぬき
いそこきたみしまつたひみれとも
おつる白波
反歌
みよしのゝたきもとゝろにおつるしらなみとまりつゝいもと見まくの
ほしきしらなみ
十五巻十三句
万葉集
廿五丁小長寄
六鯖作
わたつみのかしこき道をやすけくもなくなやみ来ていまたにも
もなく出かなをゆきのあまのあまのほつてゆかむとするて
むを
いめのこと道のそらちにやとりする君
反歌
むかしよりいひけることのから国のかしくもこゝにわかれすらかも
しらきへか家にかゝへるゆきの海士のゆかむたともおもひうねつも
きも
万葉集
十九巻
十九丁
詠山振花歌一首幷短歌
十七日
中長歌
うつせみの恋をしみとはるまけて思ひしけくはひきよちて
折もをらすも見ることに心なきむとしけや夕の谷へに生る
山ふきをやとにひき柱軒つゆにに月へる花を見ることに
思ひはやます恋ししけしも
反歌
山かつきをやとにうゑて見ることにしおもひはやます恋こそまされ
万葉集
九巻
廿一丁
一記難波経宿明日還来之時類一首ヲ
十九勺
短歌
中長三郎
しま山にいゆきめくれかはそひのをかへの道にきのふこそ
吾こえしかひとよのみねたりしからにをのうへのさかての花は
多きのせにたきちてきみか見むそのひまてやましたの
なかる
風を吹そとうちこえてなにおへる風乗りせな
もりに
反歌
いゆきあひの坂のふもとか咲をゝるさくらの花を見せむこも
万玉不集
十八巻
十八丁
一独居幄裏の途聞霍公鳥喧作類一首
十八丁
短歌大伴宿祢家持
廿四日
中長哥
高みくらあまのひつきことのきこしをす
国のまほしに山をしもさはにおほみもしとりのきろてなくこゑ
はかされはきゝのかなしいつれをかわきてしぬ卯の花の
はむ
咲月たてはめつらしくなく郭し公あやめくさ玉ぬくまてに
ひるくしし夜わたしき
あはれの鳥いはぬ時なし
反歌
ゆくへなくありわたるとも呼分なきし渡らはかくやしぬはむ
卯の花のさくにしなけはいやめつらしもなのりなくなへ
ほとしきすいとねたけくはたちはなの花ある時にきなきとふむる
右にあけたる願ともは一首の内枕詞をも対句をもおかすしてよめる格なり
此損は小長郡には七かどり十三ヶ迄よめり中長類には十七日より廿七日
迄よめり廿七日より白数の多き哥は見あたらす〇すえて長顕は
七百九勺十一日十三日と屋々によめるか定格にて八日十日十二日とや
らによめるは変損にしてまれなりしかるを書記の前十口事記吉
野ら国主か哥万葉集三形沙満の哥は何れも十句にして
勺数の例にたかへるはいかにとも考へすいさゝか思ひよるに
四首とも小皆十日によめるは是また此度の損のなかのひとつの
挨なるへし
○枕詞をおかすして二日尉を可おきてよめる様
九勺小
十三巻
万葉集
二丁丁
長歌
冬木なす春さりくれは
しらつゆをき
あしたにはしらつゆをき
片端能振
いふ也にはかすみたなひき
アミナヒノ
こぬれかしたら
万葉集
三巻
廿六丁
一暮春之月幸芳野離宮時中納言大伴郷
関
奉勅作類一首并短歌
一十一匁
十一ケ
小長郡
見よしぬのよしぬの宮は
山からしたふとかならし
水からし
さやけかくらし
天つちと
なかく久しくよろつ代にかはらをむいやましのみや
反歌
むかしみしきさの小川をけふみれはいよ〳〵さやけてなりにけるにも
一ノ巻
内集
近江宮御宇天皇三山御製類
十一丁
十一勺
小長歌
かみよゝり
かくやまはうねひを男みゝなしとあひあらそひき
いにしても
かくにあからし
しかなれはこそ
うつせみもつまをあらそふら
反歌
かくやまと耳なし山とあひしとき立て見るこしいほみ国はら
わたつみのとよはた雲にいり日さしこよひのつくよあきらけくこそ
中
古事記
建内宿祢命歌
壱
走
巻
十二日
小長度
うたひいゝ
このみきをかみけむ人はそのつゝみうすにたてまひいし
かみけれかも
かみけれかも
たしぬしさゝ
このみきのみきのあやにたゝなしさゝ
同記
中
巻
此息長帯比売命御預
十三日
小長寄
このみきはわかみきならくしのかみとこよにいますいはならす
すくなみか
みの
かむほきほきほきほし
まつかこしみきそ
みのとよほきもとほし
あさすをせ
さゝ
万葉集
一ノ巻
七丁
高市岡本宮御宇天皇御製歌
十三日
十三日
小長哥
やまみにはむら山あれ」とりよろふ天のかく山のほりたち
国はらにけふりたちこめ
国見をすれは
うまし国そあきつしま
うなわらすかまめたちたつう湯
やまとの国は
一は
同某
三ノ巻
廿七丁
山部宿祢赤人歌
十九日
中長哥
あめつちのわかれし時ゆかむさひて高くにしきするかなる
わたるひのかけもかくはひ
ふしの高根は天のはらふりさけ君れ
てちつきのひかりもみえす
しら雲もいゆきはなりときしくそ雪はふりけるかたりつき
いゝつきゆかむい子十一の高抔は
反歌
たこの浦ゆうちいてゝれはましろにそ富士か方松に雪はふりける
同某
六ノ壱
十六丁
笠朝臣金村歌
十九勺
中長歌
なきすみのふなせゆみゆあはちしま松帆の浦に
朝なきに
夕なきに
玉もかりいゝ
もしほやきいゝ
あまをとめありとはきけとみにゆかむ吉野なけれは
ますしをのこゝろはなしにたをやめの思ひたこひたもとほり
吾はそこふるふねかちを
なみ
反歌
みにゆかむふぬかむふねかちも
ゆきめくりみともあかめやなきすみのふなせのはましきちしらなみ
同集
十九巻
サ五丁
久米朝臣広縄歌
廿一ヶ
中長歌
こゝにしてそかひに見ゆる五口せ子かきつの良に
あけされは
にゆふされは
はりかさ枝に
ふちのしけみに
はろ〳〵になく時水わかやとのうゑきたち
はな
花にちる時をまたしみきなかなくそこはからしかれとも
谷かたつきし家ゐせる君かきたしつけなくも
反歌
わかこゝたまてときな上郭しそひとり聞かゝつけむきみなも
かぬ
同集
三ノ巻
サハ丁
山部宿祢赤人歌
廿三匁
中長歌
すめろきの神のみことのしきほせる国のこと〳〵湯はしも
さはにあれやまのよろしき国とこゝしかも
いさにはのおかにたゝしてこたおもひことおもつみ湯かへの
おみの木もおひつきにけり
こむしを
見きはなくとりのこゑもかはらす
見れは
はなくとりのこゑもかはらす
遠き代に神さひゆかむ
こゝましころ
反歌
もらしきの大みや人のにきたつにふなのりくむとしのしられて
同集
三十三巻廿九日
三丁う中長屋
あしはらの水穂の国に多ひけすとあもりましけひいまよろつ
ちよろの神の神代よりいゝつきなる神なひのみもろの山は
はらさきは春かすみたち
秋されはくれなひにほふ
竹されはかれなひにほれかみなひのみもろの神のおはせる
あすかの川のみをはやみおひためかたいはかねの苔むす迄に
あたしよのさきくかよ
めぬよのさきくかねのさきくかりいめにみせつらきたち
いはひて祭る神にしくませ
神にいませは
反歌
神なひのみもこの山にいまふすき思ひ過きや苔むす迄に
いくしたて
はふりへかうつの山かけはふりへかうつの山かけ見れはともし
上件十一間
右にあけたる形ともハ何れもころ尉を一た置て乞児か損也比様小長寄
は九勺より十三日迄よめり中長度には十九日より廿九日迄よめり
中長殿の中に万葉集九ノ巻廿一丁二十六日によめり顕あれとも
こは脱力なれは潰前とはなし難し又小長前に同案十三十一の
廿四丁に九勺の哥あり此哥も上に祝句なるべく聞ゆきは証哥
等はとり難し其外にも此損とはしき歌同条九巻廿三丁二も
見へたり其外にはかゝる杉の歌見あたらすなん○古事記中巻
武内宿祢命の歌は十二ケ也此格の事は此巻の五丁の者の平
に委しくいへり考合すへし
同杭詞をおかすしてうちかへしてよめる挨
下
十日事記
古事記下難波高津高津高津宮津宮御宇天皇大神願
ハタ小
長期
やたのひともとすこもたすたすたちかあれあたらすあら
なむ
ことをこそすけはらとあたらすか也
あたらすか
いはめ
同記
下
巻
衣通郎女御歓同
おほきみの嶋にはふらは子子あまりいかへりこむそわかたゝみゆめ
ことをこそ
ことをこそたゝみと
いはめ
我つまはゆめ
日本記
サ七巻
廿
童謡曰
みえしぬのえしぬのあゆあゆこそは嶋へもえきゑくるしゑ
なきのもとせりのもとあれはくるし
│[
同紀
廿七巻
十五丁
童謡
十日
小長歌
うちはしのつめのあそひいてませンたまてのいゐやゐこのとに
いてましのくひはあらにいてませこたませこたませこのちのやゐこのみ
か
同紀
五巻
六丁
六丁
十一ヶ
少女類
小長み
みまきいりひこはやおのかをおしせむみぬすましくしらに
ひめなそひおほきとようかゝひてころさむとすらくを
すと
しらに
ひめにそひ
すも
中
古事記四十一年二月九日御歌
巻
尾張にたゝにむかへ事をつめさきひとつまつあせを
なる
ひとつまつひとにありたちはけきぬきせひとつ松
せは
ましを
あせを
右になけたる願は枕詞をおかす対日もなくしてうちかへしてよめる
損也此損はいとふるき損にして十日事記日本記の義に北みあり
て外によはし伏見あたらすこは小長歌の八句より十三日迄に限れり
万葉集十六巻廿七丁に比杉にひとしき哥あれともいさゝりことなる
やうに聞ゆれはこゝにそあけすこは小長前の泥れる指とそおもほゆ
終度の都にいたせり合せ見るへし其外には見あたらす
○枕詞をおかすしてよめる種この哥の挨を一ツにあつめてこゝにいたし
ぬこは哥数のいと〳〵すくなけれは也其格は左になけたる分にて
さとかへし
㊆枕詞をおかすして二勺対又は四日連付をおきてうち也してよめる指
十二毛八勺小
万葉集十二巻八勺小
万葉集
二丁
長前
もとへわはあせみ尤さき
みもろは人のゆる山
みもろは人のもる山はろんにはつはきむさく、
うらくわし山そ
すゑへにはつはきむさく
なくこもか山
万葉集
万葉集十三巻十六日
十丁中長前
あしはらの水穂の国は神なかし言上せぬ国しかれとも
とあけそわかするをさきくませとありそなみ
ことあけそわかすることさきくませとありそなみ
ことあけそわかする
ことあけそわかすみなくきゝくませともしへなみ
ありても見ひと
ことあけす
ちへなみしき等
われ
右二首の外かゝる杉の哥をしはなれは四けれ付をひてよめりまへ
なる哥とはいさゝかこと也かへし哥もそわりたり
反歌
散しまのやまとの国はことたまのたすくる国そまさきかれこそ
をおかすして六日長刀長尉をひてよめる杉
万葉集
十三巻十五勺
十六丁小長哥
あかこまのうまやをたてくろこまのうまやをたてそをかひに
おもふつまこゝろになりてたかやまのたをりにいめにいめにてゝ
吾ゆゝかこと
しゝまつかこと
とこしきにわか待つまをいぬなほえそね
反歌
あしかきのすへかき
あしかきのすへかきみこゆと人になつけてきみこゆと人になつけ
右の哥は六日長村の中に起るは二句対也比杉は是是にして外に
よみ之例なし尚三巻十一丁と合考へし
り枕詞をおかすして三並対句と二日尉と重てよめる旅
万葉集十三巻十九勺
万葉集
六丁う中長屋
あふみのま泊八十あり八十しまの島めさき〳〵ありたて事
ほりえに
ほつえにもちひきかけ
はなたちむ
なかつえに
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
己かはらをとしくをししに
しつえろししめをかけ
己かはらをとしくをししに
いそはゐをろいからかとしめと
ぬ枕詞をおかすして終句に一句対をおきてよめる杉
日本記
五ノ巻七勺小
四丁長崎
このみきはわかみきならやまとなすおほほものぬしかみしみき
いくひさ
いくひさ
胸枕詞をおかすして終日に三句連対を置てよめる挨
万葉集
十六巻十九勺
廿九丁中谷駅
所聞多禰のつくゑの嶋のしたゞみをいひりひもて来て
いしもちてつゝきやふりはや川にあらひすゝきかうしほに
はゝかしまつかきや
ちゝに
まつりきや
こゝともみたかつきにつくゑにたて
ちゝにまつりきや
めつこかまけ
みめつこのまけ
右にあけたり長歌は一首宛なしてはよきし儀なしいと〳〵稀
なる様にそありけら
同起勺に二分符をおきてよめる損
万葉集
十三巻九勺
小兵衛
あめはしもなかくもかも
月よみのもてるお露いとりきて
やまはしも高くもかも
君にまたしておちえしひもの
反歌
あめなるや月かのことくわかもへる君かひにけにしゆらてとしも
同集
八ノ巻
十五丁
をとめらかつらのためと
しきませうくにのはたに咲にける
みやひをのかつらのためと
さくしの花のにほひはも
あはれ
反歌
こそのはるあへりし黒にこひにてしさくらの花はむかへくらしも
同集
五ノ巻
八丁
山上臣憶良類
同
そりはめはこともおもほゆ
いつくよりきこりしものそまなかひに
くりはめはましてしぬはゆ
もとなかゝやすはしな
りて
反類
しろかねもこかねもむもなにせむにまされかたから子にしかやも
同条
六ノ巻
卅六丁
十一句
石上乙麿郷歌
小長兵衛
ちらきみに吾はまなこそ
まゐの添る八十氏人のたむけすと
はゝとしに吾はめつこそ
かしこり坂にぬさまつり吾そまからと深き土佐路
反歌
おほさきのかみのをはませはけとももゝ船人のすくといは
なくに
日本紀
十巻
十丁
軽島明宮御宇天皇大御類
十勺
小長寄
あはちしまいやふたならひ
よろしきしま〳〵優伽多佐例
あつきしまいやふたならひ
阿羅知之
右にあけたる杉は小長歌にせみよみて外によきし体なし又何れの歌とも
皆かへし哥なりこも可か様なるへし候様は古事記と日本記と
の御顕為ほり万葉集なるは皆かへし哥をよめり考合すへし
◯日本記なる御哥は脱てありてしまたは文字違へりやいかゝ
とも猶考へし
廿一日朝句に二句対をおき又なかにも二日封をおきてよめる挨
谷ちかく家はをきとも
木高くて
足はちれとも
ほとしきす花かたきなかすなくこゑを
こうとにいてたろ
あしたにて
きかつく
せんにて
たにを見わたし
ほりとやふんにからたにを見わたし
こふれともひとこゑたにも
いまたきこえす
反歌
ふちなみのしけりは過ぬあしひきめ山ほとゝきすなとかきなかぬ
右の一首の外かゝる格に枕詞のなき歌は見あたらす
万円参
十九巻
廿六丁
廿六丁
久米朝臣広縄歌
甘目四句の連対を一ツおきてよめる格
万葉集
一ノ巻
十五丁
明日香清見原宮御宇天皇大御歌
十三句
小長寄
みよしぬの耳かのたけは
ときなくそ雪はふりけるそのゆきの
ひまなくそ雨はふりけるそのあめの
ときしくかこと
ひまなまかこと
くまもおちすおもひつゝそその山みちを
また同条同十六丁或本の顕とて是といし杉の前あり詞等いさゝか
たかひあれはすへてはわしけれはあけす
二ノ巻
同
同集
○近江大津宮御宇天皇大御代婦人類
廿三丁
うつせみしかみにたへねは
さかりゐて出るなけくきみたまなしは
さかりゐてあうこふるきみきぬなしは
てにまきもちて
吾こひむ
五日こひむきみそきそいめにみえ
ぬく時もなく
のよ
つる
同集
十三巻同
十一丁
をはりためあゆちの水を
ひまなくそひとはくむとふくむひとの
ときしくそひとはのむとものむひとの
ひまなきかこと
ときしくかこと
五日妹子にわかこふらくはやむ時もなし
反歌
おもひやうすんのたつきいまはなし君にあはすこしのへぬれは
みつかさの久しき時ゆ恋すれは吾帯ゆるふ朝よひことに
同廿一同
同巻同
サ丁リ
ひまなくそほはふるとふそのあめの
みよしぬの
みよしぬのみみにときなくそ雪はふうとふその
たけに
ひまなきかこと
侍しくかこと
ひまもおかすあれはそこふらいもかたゝかに
反歌
みゆきふるよしぬのたけ
一同十三巻十七匁
同某
廿三丁中長崎
つゝしはる
ものもはす道ゆきぬかしあをやまを
ものもはす道ゆきぬかしあをやまをふりさけつゝしみに
さくらはな
にほへるをとめなれをそもわれによすとふ
さくしはさくしはな
あら山も人しよすれは
さかへるをとめわきをそもなきによすとふ
わかもとにとゝむとそなかすろゆめ
反歌
いかにして立やむものそあめつちの神をいのれとわゝおもひます
日本紀
十四巻
八丁ウ
長谷朝臣宮御宇天皇大御歌
廿七匁
中長歌
やまものをむらのたけにしゝふすとたれかこめとおほまへに
たまゝきのあくらに多よ
まをすおほきみはそこをきかして
しつまきのあくらにたゝ
わかたゝせは
しゝまつとわかたゝせは
わかたゝせは
たこむらにあむかきつきそのあむを
さろまつとわかたゝせは
さろまつと
あきつはやひはふむしもおほきみにまつらふなかかたは
おかむあきつしまやまと
上竹六首
大にあけたる外ニかゝる様よさし例なし其中にも小長義にそ
大にあけたる外
多くありける中号顕には右の二首の外なし十巻十八丁一ノ巻或本
歌なと同し損の哥あれとも何れも皆小す顕也〇十ノ巻なるは起句二
聊し疑ひあきはこゝにいたさす猶語哥二ノ巻にいふへし
○同二勺尉を三つ置てよめる格
万葉集
六巻二十五勺
卅五丁申長訓
みかのはし国のみやこはやまたかく川の風きよき
ありよしと
すみよしと
ひとはいへとも
われはおもへと
ふりにしさとにしなれは
くに見ればひともかよはす
さと見れといへもあれたり
はしけやしかくありけるかみもろつくかせ山きはに
さくはなの
もゝとりの
いろなつかしく
おとなつかしく
となつかしくありかほしすみよきあるらくを
さとの
しも
反歌
みかのはし国のみやこはあれにけり大みや人のうつろひぬれは
咲花の花はかわらすもゝしきの大みや人そたちかはりぬ事
右の哥はみもちつくといふ一日もししやまり字にはあらしかうみをかく
なといふ事にて枕詞なしは此損二ハあらし
同某
十九巻
十八丁
大伴宿祢家持歌
わかせことてたつさはりて
むりて
あけくれはいてたちむふひ
ゆふさきはふりさけ見つゝ
おもひのへ
みなきし山に
やつをにはかすみたなひき
たにへにはつはき尤さき
うらかなしはるのすくれは
ほくゝきすいやし喜呼ぬひとりのみきけはさら君とわか
へたて引あふうとなみやまとひえゆきて
あけたらは松のさ枝に
ゆふさしは月にむかひて
あやめくさ玉ぬく迄になきとよめやすいねさせすきみをなやませ
反歌
われのみきけはさふし郭公にいゆきなかなも
ほとゝきすよふきをして五日せこかやすいしなすゆめ心あれ
右の橋は中長顕にのみありて小長歌大長歌にはよみし例なし
この二畳の外見あたらひ
○同二勺尉勺二ツをおきてよめる格
万葉集
十七巻十五勺
九丁り中長歌
山しろのくにのみやこは
はるさきは
花咲をゝり
女されは
もみちはにほひ
おはせる
いつみの川の
かみつせに
みちはしわたし
ありかよひつえまつらむ
よとせにはうきはしり
万代迄に
反歌
たらなてていつみの川のみをたえすつかへまつらむおほみやところ
同集
六ノ巻
廿五丁
奈良宮御宇天皇大御歌
十七夕
中長歌
をくにのと添のみかとになむちしかかゝまかりゆけは
たひらけて
たむたき
五口はあそはむ
かきなせそ
かきなせそねきたもふ
すめらわかうつのみてもち
うちなてそねき舟もふ
吾はみまさむ
うちなてそ
かへりこむひにあひのまむ酒そこのとよみきは
反歌
ますらをのゆくとふ道そおほちかにおもひてゆくかますしをめも
十九巻
同集
中長歌
おもふとちますみをのこのこのくれのしけきおもひみあきしめ
こゝろやらむふせのうみに小船つらほめまかひかけいこきめくれは
をふのうしにかすみたなひき
はまきよくしら波さわきしく〳〵に
たるひめにふちなみさきて
こひはまされとけふのみにあきたゝめやもかくしこそいやとしのはに
はるはなのしけきさかよりに
あきの春のもみつる時に
ありかよひ見つゝしぬはむこのふせの海
反歌
ふちなみの花の盛りにかくしこそうらこきたみとしにしぬわめ
同集
九ノ巻九十三勺
十八丁大長歌
はるひのかすめる時にすみのえのきしにおゐてつりふねの
とほらに見れいにしへのことそおもほゆみつの元の浦島の子か
かつほつりたひつりうろうふかまて家にもこずてうみなかを
ほこり
過てこきゆうわたつみの神のむすめにたまさかにいこきむかひ
あひかしこゝひことなりしかはかきづらねとこよに
いたり
神のみやのうちのへのたへなるものにたつさはりふたりいりゐて
おひもせすしにもせすとこしへにありけるもよのなかの
しれたる人のわきもこにのりてかたしくしわらくは家にかへりて
ちゝはゝにことをのしひあすのこと吾はきなむといひけれは
いもかいへさくとこよへにまたかへきていまのことあはむとしは
こめはこをひらくなゆめ」そここてにかためしとをすみの元に
いへ見れはいへもみかねて
あやしとそこにおもはて
かへりきげて
さと見れはさとも見かねて
いへいてゝ
いへいてゝみとせのらにかきもなくいへうせめ也此はこを
ひらきてはもとのこといへはあらむと玉かしく
しらくものはこよりてゝとこよへかしたおひきたせけはしり
ゆけは
さけひ袖ふりこひまろひあしすりてたちまちに心けうせぬ
わかゝりし
はたもしはみぬ
ゆる〳〵はいきさへたえてのちつひに
かみもしらけぬ
いのちしにけるみつの元の浦島のころ家とこれ
反歌
とこよんにすむへきのをいるきたちなかこゝろしおそやこめきみ
右にあけたる哥は大小中の三ツにわたりてよめる枕詞をおかすして三ツに
よめる損ハ七終義にあけしより外二詠し例なし
一同四勺連対一ツ方尉了をおきてよめる格
万葉集
一ノ巻
十二丁
一近江大津宮御宇額田王御歌
十八勺
中長歌
なかさりし
鳥もき鳴ぬ山をしみ
冬木成春さり花は
さかさかし
尤もさけれはくさふかみ
いりてもみす
とりてもみす
あきやまの木葉を見ては
もみつきはとりてそしぬふ
青きをはおきてそなけく
そこしおも
同集
十三壱サ三勺
廿四丁
つゝしはな
物不念みちおきぬし青やまをふりさけてさくしはな
さくらはな
見つゝ
にほへるおとめなれをそも我によるちふ
さかへるおとめ我をそもなれによすちふ
なれは
なれはいかにおもふや
おもへこそとしのやとせを
きるかみの
きるかみの我身をすくせ
たちはなりほつ枝をすくり
このかはの
下にもなかくなかこゝろ
まて
右にあけたる哥は此二首の外よみし儀なし
またかへし度もなき損也
廿同二勺尉と長付ほを重ねてよめる格
同集
九ノ巻廿一勺
廿二丁中谷前
しかちたに
うくひすの生卵なかにほとしきすひとりうまにてしかちゝに
しかはゝに
にてはなかす卯のはなのさきちるぬへゆる
にてはなかす卯のはなのさきちるぬへゆとひかけりなきとよらし
とひかけりなきとよもし
にてはなかす
たちはなの花をゐちらし
にてはなかすたちは子の花をゐちらしひねもすかしなけときゝよし
とほくな
まひはせむ
我やとの
ゆきそ
反部
かきゝらし雨のふる夜を添上しきす鳴てゆくなりうましとのより
比拾一首にして外に
よみし儀なし
キ○同起句に六勺連射をおきてよめる指
同宗
十三巻十五勺
廿一丁中長歌
見りたしに
しにいもらはたゝしおもふ
見わたしにいもらは多しおもふそうやすはらおくにさにぬりの
やすはしなくにさにぬりの
こなたに
われはたちて
やすからなくにたまゝきの
をふねもくも
をかちもかも
こきわたりつゝりくたらはまし
右一首にして外によみし
右こそにして外によみし日本は口前は上句悦たるかもしれかたし
例見安たらす
脱し哥ならは終哥にはとりかたし一ノ巻
五十六丁考合すへし
〇凡て右にあけたるの七度五十九首はいつれも皆物をおかすしてよめる
哥とも也枕詞のあるはふるくなきはあるはあるはあるはけるまた
枕詞有にもあたらしき哥もろふくあれは一かたには定めかたくなん
別の古躰近体は枕詞による事にはあらすおきつかし詞もふるく
つゝきもふるきそ百体なりける詞の花やかなる哥はおのつからあた
らしく聞ゆるとのなりその事は一ノ巻四丁にくわしく
いへりあわせ見るへし
○枕詞をおきて対句をおかすしてよめる格
此損ハ始にあけし哥ともとハかしうへにして同し指懸から枕詞をことに多く
よみいれたる哥也哥ことに枕詞の一つあるは常におふけれはいたさす
小長歌の七句より十一日迄の歌に高なるよりいたして中し長歌
大長哥みなそ歌の句数にてへて枕詞の殊におほくよみいれ
たる歌とものかきりをいたしつ左の歌を見てさとるつし
かゝる印のなににあるは枕討しこ見やすかしむかために
かくなん
古事記下難波高津宮御宇天皇大御歌
ハタ
小長前
枕詞二つ
「たまきはる」うちのあそなこそはよのなかひと
やまとの五にかりこむときくや
日本紀
九ノ巻
十二丁
忍熊王御歌同松討二ツ
いしたあきいさちすくねたまきはる「うちのあそかくふつちの
いたておはすはにほとりのかつきせな
同紀
十六巻
三丁ら
新媛歌同同三つ
影媛歌
はきよしならのはさいしゝしものみつくへこも
まに
しひのりくをあさりつる
中
古事紀
白持宮御宇天皇大御預
巻
九勺同二つ
小長屋
たらなめていなさのこのまゆもいゆきまもいゆきまもうひ
わきはやゑぬしまつとりうかひかともいますけに
ごね
万葉集
八ノ壱合一勺同二ツ
十五丁小長哥
おして主
おして事なにはを過て
おにてを過てうちわたすくさかの山を夕くれに
わかこえくれは山もせかしさけるあしひのにくからぬ君をいつしか
ゆきてはやむ
ひむ
同某
十三巻十三勺同四ツ
四丁り小長分
泉川
猶
うちひさすみやこめいせゝ「みつたてをほつみにいたとなみはる
さにてを過て「ははしの神なひ山に朝みやにつかへまつりて
よしぬへといります見れはいにしへおもなる
ほゆ
反歌
ひさにふるゆけひさにふるみもろの山のとつみやところ
十三巻十五勺同五勺同五勺同五勺同五勺同五勺同五勺
同集
六丁才
小長兵
あをによしなし山過てものゝふの
あふさか山に〽爰むけくさぬさとりむけ我妹子にあふみの海の
なきりなみきよるはまくれ〳〵とひとりそ我こし凍かめをほり
を
反歌
あふさかをうちいてゝみの海しらゆふ花はいふむに波立わたる
見れは
いま葉集
三ノ巻
笠朝臣金村歌
サ一勺
中長寄
廿一夕同四ツ
卅四丁
こしの海つぬかのはま大ふねにまかちぬき
をろし
うちをいてゝあへきはゝ吾二きゆけはますらをの
あまをとめしほやくけり
あまをとめしほやくけり〽草まくらたひしあれはひとりゐて
見るしろしわたいみの
見るしろしなみ
なみ
たる
見かしろしわたいみの土にまかしたる
やまとしまぬ
を
反歌
こしのうみたゆひか浦をたひにして見れはともやまとしぬひつ
内集
六ノ巻
十四丁
同同五ツ
笠朝臣金村歌
十長歩
出してるなにはの国はあしかきのふりにしひとみなの
さとゝ
おもひやみてつれもなくありし玉ひたにうみをなすなからかみや等
まきわしらふと高しきてをかす国をむさめたま
ちにの原にものをはいほりしてみやこな君
たひにはあれ
とも
反歌
あしぬらにさとはあれともおほきみのしきます時はみやことなりぬ
あらをとめたりなし小船こきいしたひかやとりにかちのときとき二ゆ
同条
十三巻廿三勺同四ツ
十一丁中長部
あしたまのとしはきゆき玉つさのつかひのこねはかすみたつ
なかき春はとあめつちにおもひたらちねのはゝかかかふこの
まゆこもりいきつき我こふる心のうちを人にいた
わたり
ものにしあら
ものにしあらまつこと
ねは
どほみ
しろたへの
しろしてもとまりてもとほりてもとほりてもとまりてもとほり
ぬれぬ
反歌
あまつかなふひのしれゆけは
かくのみしあひもはさらはあまくものよすにそ忌はあるへかりける
十九巻
同集
廿九丁
大伴坂上郎女歌
サ五勺
廿五勺同五勺
中長哥
わたつみのかみのみこのみくしけに多くはひおいつくとふ
きて
国にまさりておゆへりし
あかこあはあれ
国にまさりておもへりしあかこあはちれ
ますらをかひきのまに〳〵しなさかる
ますうをめひきのまに〳〵〽こしちをさて
わかれにしよりおきりなき
ひき
おもかけにもとなみえつゝかくこひはあひつくあかみけたしあへ
むかも
反歌
かくはかりこひしくあらはますかゝみみぬひ時なくあらましまし
同三十三巻卅三勺同六ツ
同六つ
同所
卅四丁
中長駅
卅四丁中長部
このつきは君来まさむ」「天ふねのおもひたのていつしかと
吾待をれはもみちはの
ほたもなす石のかにきて大つちにしあしふけてたちてゐて
ゆくへもしらにあさきりのおもひまとひつゑたらぬやさりのなけき
なけらともしろしをなみにといつくにか君かまさ
ゆきの葉〳〵いめしゝの
きみにこふるにねのみ別かゆ
反歌
あしへゆく
あしへゆくかりのつからを見ることかし君かおはらしなくやしなくや
ぼゆ
同某
三ノ巻
大伴殿上郎女歌五十三勺同八ツ
大伴坂上郎女歌
五十四丁
大長寿
みやくつぬのしらきの国ゆ人ことをよしとき申
うからすく
うからすてなきくにてこめにましてすろき被しき寿国に
さといへはさといへはさはにめれいかさまに
も
なもひけめしつれもなきさほの山へにおくこなすしたひきまして
しきたへの家をもつくりあら玉のとしかを長くしたひつゝ
いましくものといけるものしぬそふことさまぬかれぬものましけれは
たのめりし人のこと〳〵とすますます多ひなる程にさほ川を
朝川わたりかすかぬをそかひに見てゝあしむきのやまへをさして
くしやみとかくりましいりむすへせむす也
たゝひけりしてしうたへの衣手ほさはなけきいゝ五日ならなみた
ありま山雲井棚引雨にふりきや
反歌
とゝめえぬいのちになれはしきたえの家ゆはいてゝ雲かくりにき
上竹
右にあけたる顕十三首は殊に枕詞の多き哥とも也この哥の外にも
枕詞の多き分尚有へしこは見あたる侭にしなしつ
○同二勺尉を一つおきてよめる捨
同十三巻十一勺同二ツ
同二ツ
万葉集
十八丁小長歌
しきしまの大和の国に人さはかしみちてはあれ
ふちなみの
おもひまつはし
わかくさの
おもひつきはし
きみからに
きみからに恋やあかさむなかき比夜を
同巻同同三ツ
同某
一サ一丁小長哥
たまたすれかけぬ時なく五日おもにしあらねは
あかねさす
ぬはゝまの
ひるはしみしに
よるはすかしに
いもねつに妹をこふるにいけるすえなみ
なみ
反歌
よしゑやししおむふ吾妹いけりともかくのみこそこひわたりおめ
わか
下
此建内宿祢命歌
十日事記
巻
小長屋
十二匁同二つ
たかひからひのみこ
とひたまへ
うへしこそ
とひたまへ
早こそにとひたまへ
とひたまへ
あれこそは
よの中の人
万葉集
同五ツ
六巻十五勺同五ツ
卅六丁小長哥
うましものし
いそのかみふるのみこと
したしもの
なはとりつけ
弓矢かゝみて
おほきみのみことかしあまさからひなにまかりて
ふるころもまつちの山ゆかへりこむ
反歌
おほきみか
こみ
吾せのきみは
十六巻
日本紀
新媛歌
三丁方
十七日同五ツ
中長寄
〽いそのかみふるをすきこもまで高はしゆき
つまこもら
おほぬも太きはるひのかすかをす
廿
たまけには
いひさへもり
たまもひに
みつさへもり
すき
なきそほち
なきそほちゆくもかけひめあし
はれ
万葉集
一ノ巻
十六丁
柿本朝臣人麿歌
卅五勺同七ツ
中長前
〽玉たすねひの山のかしはゝのひしりの御代物あれましく
神のみことのつかの木のいやつき〳〵に天のしたしろしめし
ける
そくみつやまとをおき〽ナムによし
あふみのしの国の
大ミやは
天のしくしろしめしけらすめろきの神のみことの大みや
大今の天
こゝときけとも
春草ししけく生二りかすみたつ夜日のきれる
こゝといへとも
もらしきの大みやところみれはかなしも
反歌
さゝなみのしかのからさきくあきと大みや人の船まちかねつ
さき
さゝなみのしかの大わたよとむとにむかしの人に又もあはめ
やも
同集
十三巻卅七勺同七ツ
十五丁中長屋
アシヒキノ
百不足
やまため道を
なみくもの
うるくまとかたらはす
モヽタラス」
わかれし
これは
ゆくをもしらに
ころもてのかへるもしらに
うましものたちてつまつき
せむすんの
せむすへのたつきをうくものこゝろ
しらに
おもひたら玉あはししますやと吾なけてやさかのなけき
玉添この道くる人の立とまりいかにとへはこたへやる
たつきをしにさにつそふ君か名いはゝいろにいてゝ人りぬへみ
あしひきの山よりいつる月まつと人にはいゝて君まつ吾は
反歌
いをもねすわかもふ君はいつこへかしこよひたれまてとき早
一、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、〇〇
十七巻五十七勺同八ツ
同集
サ二丁大長分
おほきみのせけめまに〳〵ますらをのこゝろふり
おこし
山坂こえてあまさりていまたにくたりていきたにもいまたやすしめす
としつきもいくらもあらぬ「うつせみのよの人なれはうちおひき
一床にこひふしいたけくのひにけにませたしちねの
〽大ふねの一ゆくら〳〵にしたこひにいつかもこむ」またすらむ
心さふしくはしきしつまのみこともあけくれは門によりたち
ころもてををしめしいゝ夕されは床うらひぬはたまのし
くろかみきていつしかきこともわかきことも
くろかみきて
をそこちに
さわきなく
らむ
たまほこの
やうよしも
なし
おもほしき
ことつてやらす
こほかにし
こゝろはもえぬ
道をたと
をたとしまつかひも
源三
たまきはる一いのちをしけと
たときを
せむすへのたときを
ありしを
かくしてや
しらに
すらになけきふせ
反敵
一世の中はかすなきも
色のましはかすなきもはらむのちりのまかひしぬへき
に
しぬへき
山川のそきへを
川のそきへをはしき
とほみ
山川のそきへをあひみながよし妹をあひみなけかむ
上件八首は対勺を一ツ至てよめる歌の中にしてことに枕詞の多き
哥なり尚次とにしるせる義は哥数すくなけれは一つにいたしぬ
十四同うちかへしてよめる格
ニノ巻
一ノ巻廿一夕同六ツ
万葉集
サ五丁中長分
あすかの清見原のみやに天のしたしたしめしく
五口おほきみ
やすみし
やすみしたし五日おほきみいかさいかしいかしなかむかせの
ひかみこ
たかひかる
いせの国はおきつものなみたなみにしほけのかほれる女に
ひのみこ
うまこりのあやにともしきたかひかるひのみこ
右の義は天皇崩たふねは年九月御赤野し杉夢の裏に習給ふ
御歌とあれは哥のさまもいかゝにきこえまた終哥ともなしかたけれと
かゝる様には枕詞をおきてよみし哥稀にして是一そこみなれは
いたしつ猶よく考てよ
八同起勺に二勺対句をおきてよめる格
万葉集
三ノ巻
十七丁
柿本朝臣人麿歌
十一句同三つ
小谷歌
やすみし
やすみしゝ吾おほきみ
高ひかるひのみこの
ひさかたの
しきませる大とのゝかはにひさかたの
あまつたひゆきしものかよひつゝま万代まてに
反歌
やつりやま木立もみえすふりみたる雪のはたゝのあした子ぬしも
二同起勺に二勺符をおきまた中にも二勺尉をおきてよめる様
一ノ巻
万葉集
廿一丁
柿本朝臣人麿歌
サ五勺
中長歌
廿五勺同六ツ
やすみしく一吾おほきみ
高ひから
「高ひから」ひのみこ
神なから神さひせすとふとしかひ
みやこをひ〽こもりくの
いてかねの
しもとおしし
さかとりの影こえまして
み雪ふる
かきろひの夕さり花は
あきの大地にはたすゝきしのにおしふ也〽︎子まくしたひやこります
いわしへおほひ
して
あきのぬにやとるたひ人うちなひきいもぬしめやもいにして思ふに
真草からあらぬにはなれもみちはの過にし君かかたみとそし
ふきぬ
あつまぬのけふりのたてもところ見てかへりんすれはふきぬ
時はきむけり
ひなへしのみこのみこのみこのみかりたゝ
し
同集
一ノ巻
サ二丁
藤原宮役民作歌
四十七勺
中長部
やすみし
をすくにを
吾おほきみあしたんの
みやらかを
高ひかる
めしたまはむと
神なからおもほすあめつちもよりてあれこそ
高しらさむと
なんに
あふみの哥なふみの国の国のまきさく
ひめつまてを「ものゝふの」八十うち川に「玉もなす
そをとらと
さりくみ
いへわすれ
身もたる
たみも
かもしもの
しらす
水にうき
ゐて
水にうきわかつくるひのみかとにしらぬ国よりこせちより
吾くにはとこよになしむふみおへる
かめも
いつみの川にもちこせらまきのつま
もゝたらひいかたにつくり
を
つほすらむいそはく神から
見れは□ならし
◎同四勺連対を一つおきてよめる損
万葉集
二ノ巻
十九丁
柿本朝臣人麿歌
卅九勺同八ツ
中長部
いくりにそ
角さまふいはみの海のことさへく一くりにそ
なるありそにそ
十一日
ふかみかみかみかみかすなひきねしこ
さぬゝ夜はいくらもあらひ
玉もは生るふかみるのふかめておもへと
はふつたのわかれしくれはきもむかふこゝろをいたみおもひはゝ
かへりすれは大ふねの渡りの山のもみちはのちりのまかひに
いもかそてさやにもみえす
わたらふ月をしけくもかくろひ天つたふいり日さしぬれ
くれは
ますしをとおもへるわれも
われも
ぬれぬ
反歌
青こまのあかきをし雲ゐにそいもかあたりを過て来にけり
あきやまにおくるもみしはしくはちりおみた
十月二夕尉を二ツおきてよめる杉
同集
二ノ巻
卅七丁
同柿本朝臣人麿歌
五十三勺同八ツ
大長歌
天とふや
〽天とふやからのみちはわきもころに
なれはねもころに
みまくほり
やまそゆかは
一人目をおほみ
すと
まねくゆかは
さねかつらのちもあはむと
一人しりぬへみ
大ふねめおもひたのみて
おもひたのみてかきふちこもりのみ
いはかきふろこもりのみ
恋つゝあるに
わたるひの
恋つゝあるにわたるひのくれぬるかこと
てるつきの
くもかくること
おきつものなひきしいもは
もみちはの過いにきと
〽もみちわのしいにきと玉つさのいへは
おとにきゝていわむすへ
おとにきゝていわむすへせむすししにおとのみもきとてありて
えねは
吾こふ事ちへのひとへもなくさもる心もあるやと吾妹子か
□□□□□□□□
やますはしかるのいちに我しきけは玉きはら
なくとりのおともきこえす〽玉添このみちゆき人もひとり五に
にてしゆくといもかなみいもかなよひて袖そふりつる
反歌
此やまのもみそをいもをもひぬるいもをもせぬむ山ろしらすも
しけみ
あひしひおも
もみちはめちりいたなんに玉つさのつかひをはあひしひあひしひあひしひあひしひあ
ほゆ
同集
二十巻
十八丁
大伴宿祢家持歌
五十五勺同八ツ
大長歌
すめろきのとほのみかみ〽しらぬひのつくしの国はあたまもる
おさんの城そときこしをす四方の国には人さはかしみちてはんと
鳥かなくあつまをのこは
あつまをのこは
いてむかひ
かへりみせ
かへりみせしていさみたる
たけきいく
たらちねのはゝかめかれて
ねきたまひ
まけのまに〳〵
さも
わかくさのつまをもまかす
あら玉の
あら玉乃月日よみつゝ
あしかち過
あら玉行月はよみつゝあしかしるなにはの下おほふねに
にみろにおほふねに
まかひしらぬき
あさなきに
かことらもへ
夕しほそ
かろひさありて
あともひてときゆくき
はみ
なみのまをいゆきはくたまさきくもはやくいたりておほきみの
みことのまにますらをの心をもちてありめくりことしとしは
つゝますす久かきませといわひへをとえにす
ゑて
そてをか
かへし
そんをりてしきてなかきけをまちかもこひむ
はしきつま
うは
反歌
ますしをのゆきとりおひていとゝゆけはわかれをあけきけむ
おしみ
つま
とりかなくあつまをごとのつまわかれかほしくありひとしのをなかみ
同某
十三巻
十三巻八十九勺同十
廿七丁
廿七丁大谷部
かけまくもあやにかしふちはらのみやこしみ
ひとはしも
きみはしも
みちてはあれと
おほましませと
ゆきむかひとしのをちくつかんこし君かみかとを
あめのことあふきてかしこけとおもひたのみていつしかも
見て
ひたゝましてもちほのたゝわかおもひしみこのみこのみこのみことは
けむと
はるされはうゑつきかとほつ人松の下道ゆのぼらして
うへの
くに見あそ
なか月の
すくし
くに見あてなか月の時雨の秋はおほとのゝみたりしみたに
露おひておひけるわき
せ
冬のあしたは
はさすやなきわほみてよとうしたまひ
あそはしく
吾大君のけふりたり春のひくしますかゝ三
みれとあかね万代はしかくしかもと〽おほふねの
わかなみた
わかなみためてもまふようほほとのをふらさけるたんに
かさり
まつりてうちひさすみやのとねりはたへのほのさきさきさきさきぬきぬき
いめかも
うつらにそもと
くもりよの
あさもよし
はしに
きの人の道ゆ
きかへの道ゆ「つぬさはふりわふりわふりわふりわふりわふりわふり
かむはふりわふりまつれは
わふりまつれは
見候
おもへとも
しろしをなみ
ゆくみちのたつきをしら
おほみそて
おくかをなみ
なけ候とも
ゆきふれし
ゆきふれしことゝはぬ木はちれともあら玉のたつほことに
松を
天の原ふりさけ見て〽玉だすき一かけてしぬかしこかれ
する
反歌
つぬさはふいはきの山にしろたへのかゝれる雲はおほきみろし
右の損は大七分にのみよみて小長前中長前にはよみし
例なし大長分には此外にも三ノ巻五十丁にもみえたり
同し損なきはもうしつ
門9冊
右四丁
第1
長歌詞乃珠衣六
詞珠衣六之巻
四日
①枕詞をおきて二句尉と
との長尉を出きてよめる格
六勺
万葉集
二十巻
卅六丁
大伴宿祢家持類
七十七句枕詞十一
大長寄
おほきみのまけの家〳〵島もりに我たちくれは
はゝそそゝ
ちゝのみの
はゝのみことはみものすそつみあけかきなて
ちゝのみことはたくつぬのしらひけのうへゆ
おみたたりなけきのたはく
たゝひとりしてあさとてのかなしき家に〽あら玉の
としのを長くあひみすは恋しくあるしけふたにもこゝひせむと
をしみいしかなしひ草せわかくさのつまもこともももをろころに
さはにかくわるとりのこゑのさましろたなえの袖なきかたし
ぬたし
よひ
よひ
たつさはりわかれかて
たつさはりわよきかにもひきとゝめしたひしものをおほきみの
みことくし
たまほこの
みことろいしみ「たま添この」みちにいたいたいたむることに
よろつたひかへり見しつゝはろ〳〵にわかれしくれは
わかれしくれは
くれは
やすくもあられ
おもふそう
こふるそら
うつせみの
きものを
きものをうつせみのよの人なきはたまきは
うなはしのかしこき道をしまつたひいたきわたりてありめくり
我くる迄に
たひしけておやはいまさぬ
つゝみなく
つまはまたせと
すみの元のあかすめ神に
ぬさまつりいかりまらしてなにはつにふねをうけゑやそかぬき
かことらひてあさひしき我こきてぬいんにつけこそ
反歌
いへひとのいはにかしむたひしけく船てはしぬおやにまらさね
みそらゆく雲もいにひそ人はいへと家つとやらむたつきしらすも
家つとにかひそひりたるはまなみはいやしく〳〵にたかくすれと
すれと
島かけにあかふねはゝつけやらむつかひをなやこひつゝゆらむ
○同四勺鹿尉と六勺連対とをおきてよめる損
同集
四ノ巻
卅四丁
大伴坂上郎女歌
四十一日同七ツ
中長寄
出してる一なにはの世のねもころにきみがきこしてとしふなく
なかくしいへはまそからみ」とき也心をゆるしてし其ひのはみ
なみのむとなひく玉ものかにかくに心はもたす天ふねの
我のめる時にちはやふ事神やさけゝむかふはしゝ
うつせみの人かそふらひたまつさめつかいもみえす
たまつさの
きみもきりさに
つかひもみえす
なりぬれはいたもす也ぬさたまのよるはすからになけくとも
なりぬれはいたもすへ
なみ
なみあろらひくひもくるゝ戸ておもへとも
なけくとも
ひもくはくまておもへとも
しろしをなみたはやめに
しろしをなみたはやめにいはくもしろく
たつきをしらに
なきをしらにたわしさゝのねのみなきいら
一たもとほり君かつかひを
まつやかねては
む
反歌
はしめよりなかくいゝつてたのめ春はかゝら思ひにあはましもか
ものか
○同二勺対二リ四勺連対一ツをおきてよめる格
日本紀
十七巻
八丁
匂大兄皇子大御歌
三十一日同六ツ
中長歌
やしまくにつまゝきかれて「わるひの春日の国に
くはしめを
よろしめを
ありときゝて
ありときゝて
ひかいたとをおしひらきわれいかまし
あつとり
つまぬりたて
わきによろゝめ
まくらとり
つまぬりたて
いもにまかしめ
まくらとりつまぬりたてわか手をはいもにまかしめ此
まさきつら
たゝきあさまいね人に
わり
にわつとりかけはなくなり
ぬつとりきゝしはとよむ
はしけくもいまたいはすあけにけりけりけり
我好
㊂同二勺対七つ四勺長対勺一ツをおきてよめる格
万葉集
二ノ巻
卅二丁
柿本朝臣人麿歌
七十五日同九つ
大長歌
かみつせに
しいはこしわたしははゝしに
とふとりのあすかの川の
しもつせに
うちはしわたしうちわしに
おひなひける
おひなひけらたまももそ
ふひけちたまももそたゆれはお
おひなひけりたまももそたゆれはおふる
おひをられる川ももそ
る川ももそか
くるきははゆる
なにしかも我大君の
たゝせれはたまものことく
ころふせはかはものことく
なひかひしよろしき君か
あさみやを
いふミヤを
わすれたもふか
そむきたもふり
うつそみと
しきたんの
袖左衛門さはり
思ひし時に
くゝみなす
もちつきの
はるへは
あきたては
みれともあかす
いやめつらしく
岡をりかさし
一紅葉はかさし
おもほへし
いてまして
あそひ千ま
みけむかふ
きのへのみやを
ひし
常みやとさため給ひて
あちさはふ
めんことも
そこをしも
たえぬ
ぬ元とりの
かた恋しいし
あやにかなしみ
三
朝とりの
かよはす君か
夏草のおもひしなんて
いふつゝのかゆきかゝゆき
大ふぬの
おもひやる
大ふぬのたゆたに見れは
こゝろもあらすそこゆゑに
すへもしるやおとのみも
すもしるやおとのみもなのみもなのみもなのいやと添なかに
思ひゆかむみなにかゝ
思ひゆかむみなにからあすか川万代まてにはしきやし
あすか川万代まてにはしきやし
我大君のかたみかく
こゝを
反歌
あすか川しからみしやうませはなかるゝ水ものとにかあら
わたし
あすか川あすたにおもへやも我大君のみおはすれ
見むと
せぬ
同起句に二句対終句に一句対をおきてよめる格
万葉集
ニノ巻
卅丁
同十二日本朝臣人麿作歌
三十四日同七ツ
中長屋
あきやまのしたわるいも
いかさまにおもひをれかたくなはの
なきたけのとをよるこらは
つゆこそはあしにをきてゆふへはきゆといへ
なかきいのちを
をきりこそはいふ気たちてあくれさらうすといへ
あつさゆみ」おときくられもほの見しことくやしきをしきを
手枕まきもつるきなや身にそひぬかひ
さふしみかおもひてぬらむ
朝霞のこと
くやしみかこひおもふらむ
時ならす過にしこゝか朝露のこと
夕きりのこと
反敵
さゝなみのしかつのこゝりまかりにし川瀬の道をみれはさやしも
同起句に二勺尉をおき中に四つ連付をおきてよめる捨
万葉集
ミノ光
十三丁
柳本朝臣人麿歎
サ五勺
同七
中長歌
やすみし候
我大きみ
たかひかる
我ひかみこの
うまなへてみかりたゝせるわかこもを
かりちの小ぬ等
しらこそは
いまひを大らめしらしもの
いはひをかみ
うつらこそ
こそいはひもとをれうつしなすいわひも今ほり
かしこみとつかへまつりて
あふきて
あふきここれこ青草のいやめつらし
みれと
反歌
久かたの天ゆら月をつおにさし我大君は笠におしたり
すめろきあ神にしませはまきのたつから山中に海をなすかも
卜同起句に四句連対をおきてよめる指
十日事記
中
中
巻
美夜受比売歌
十三郎
十三日八四ツ
小長度
たかひからひるみこあしたまのとしかきふれは
うへな〳〵
やすみしく我大きみなした声のつきはきへゆく
きみまちかた我かけせりおすひのすそゝつきたなむ
に
右つぬさまふ石見のうみの哥よりこなし十二の分は哥ことに其指はかわれともみな
然詞と住より再力とを多くよみいれたりかく多くよみつれたり歟よりはこの分にも
枕詞と種々の対句とを多くよみいれたり候
かゝる前あらは尚上て終哥とすへし
一証前一首には二首三郎なしてはよみし例なし
上仁三十六その長郡は
〇対句をおかすして重詞をおきてよめる格
中
十口事記
古事記十日奉行宇天皇大神宗宮御宇天皇大神歌
みつみつしくめめこらかあはふにはかみらひとそねかもと
そねめつなうちてしまむ
うちてやまむ
きて
中巻
同記
吉野国主等歌
かしのにによくすををくりよくすかしかみしおほみきうまらに
きこしものをせ
万葉集
十三巻
十九丁
いはひへをいわひほりすゑ同
ナハノ
サ九丁
十九ノ
さゆり花ゆりもあはむと同
卅九丁
さかみつきさかやらけふの
ナミノ
ナミノ
よもふけにさふけて
同
十七丁
十日事記
上
を上
巻
申上
老
高比売命御歌
あめなるやおもたなはたのうなかせる玉のみすまるみすまるに
あなたまはやみたにしふたわたらすあししきたかひこねの
かみそや
日本紀
十四巻
九丁う
泊瀬朝倉宮御宇天皇大御代舎人等歌
やすみしゝ我大君のあそはしゝしらのうたきかしこみ
わかにけのほりしありをのうへのはりかえた
なせを
万葉集
十三巻
十九丁
きよすみのいけのそこ
いけのそこ
いけめ
右二首は初にあけたる哥との重詞聊こと也又一首に重詞二所
にある格は
日本記
三ノ巻
十一丁
白持原宮御宇天皇大御代歌
いさはよいさはよあらしやをいまたにもあこよ
ゑみしを
ゑみしをひとりもゝなひとひとはいへとも千出かむも
せひ
十日事記
中
巻
吉野国主等類
ほむたのひのみこおほさらきおほさゝきはかせるたち
もとつろきすゑふゆふゆきの頃からかしたさや〳〵
きの
また一日へたてゝ二わねたるは
中
十日事記
古事記越白梓原宮御宇天皇大御頼
かむかせのいせのうみのおひしかしはひもとほろふしたゝみの
いはひもとうちてしやうちてしや
ほり
まむ
句をへたてすして
勺をへたてすして
かさねたるは
下
一同断同同高津宮御宇天皇大御歓
巻
みもろのその高木なるおほゐこかはらおほゐこかはらにある
あひおもはす
きもひかふこゝろを
たにも
あらむ
また次第にかされ
たるは
下
同記
同記迄同天皇大御観
巻
つきねふやましろめのこくさゝもちうちしおゑぬねしろの
おほねぬしろの
しろたゝむきまかすけりしらすとも
こそ
いはめ
日本記
十一巻
十三丁
磐之媛命御歌
つきねふや戸しろ川を川のほりわかのほれは川くまに
たちさかゆるやそまの木はおほきみろかし
また一つか二て詞の拶
古事記下難波高津宮御宇天皇大御歌
おしてちやおにてのさきいてたちて我国見見れもあはしま
おのころしまあしまきのしまも見ゆさきつしま
十九巻
万葉集
卅一丁
おほとのゝこのもとほりの雪なふみそかしは〳〵も五郎さる雪そ
山のみはしふれりし雪そゆめよろな人やおみそね雪は
右五分ことなる事おし又くさ〳〵の重詞いと多けれはこは次々に
ひとつしに気〆ていたしぬ
日本紀
十一丁
十一丁
ノミント
本紀十一丁うへお〳〵古事記
下
巻
さわくに同記
同記巻
廿一丁
ゆらのとのとなかのいくりに同哥さや〳〵同記
同巻
あそはしらしかやみしゝの万葉集
九ノ巻
卅丁
つまとふかこそ
ひとりこふたりこふたりといへ同
十三ノ
十三ノ
心をしたひそをしらむ
十丁
この誤にもやあら
むふつ
一同十三ノおもひたらさはしたゝちねの同卅丁いかといかとむめり
十一
ハノ
同
同廿一日
ナノ
卅二
廿二
あまの川やすの川原の同歌そほ
卅丁
ふねのともにもんにもふなよそひ同
十九ノ
かたりさけみさくる人
十一丁
同
十八ノ
三十
さゆりの花の花ゑみににふゝにゑみにゑみににゑみにゑみににゑみて
同
十九ノ
三十九
なてたまひとらのへたまひ同
十七ノ
卅一
こゝろくしめくしも
なしに
〇対句と重詞とをおきてよめる格
比族は対々の詞と対句にあらさる詞と云かりたり我をいたして
対るは常に重りて詞の有ものなに其重詞とて別にはなけす
たは時日の部にくわしく見へし候証哥も合て考へし
ナ口事記
下
下
光
れ
軽之大郎子御歓
したとひに
あしひきの山たをつくり山多かみしたひを見
もしたなきに
わらせ
わかとふはも
わかなくつま
こふこそはやすゝまたし
ふれ
此哥はしたひをわらせを下へ受て
よめつ
万葉集
十三巻
二十二丁
おしてもなにものさきにひきのほうあけのそねにそほふねに
ふね
つなとり
ひこつらひありふみすれと
ありなみえぬそいわれにし
いひつらひありなみすれと
わかみ
此哥対日より詞をそねて受てよめり
一娘にあけたる今は空しさまうしこんなり
また一つの様
万葉集
三ノ巻
廿六丁
中納言大伴郷歌
山そし
みよしぬのよしぬの宮は
水からし
たふとかるたし
天つちと
さやけかるよし
なかく久しく万代にかはてさからむいてましめの
かはらさるらむいてましのや
むいてましのや
中
十口事記
巻
建内宿祢命歓
このみきをかみけむ人はそのつゝみうすにたてゝ
かみけれかも
まひつゝ
かみけれかも
けれかもこのみきのみきのあやかしうたゝぬしさく
うたしぬしさゝ
下
同記
巻
石之比売命御類
青によし
つきれふやましろ川をみやのほりわかのほれは春によし
なしをすき
をたて申ま
やまとをすき
十まとをなきわかみかつしきたかみや
わきへのあた
り
また一ツ重ね詞の格
同記
下
巻
石之比売命御歓
巻
つきねふやましろ川を川のほりわかのほれは川のへに
おひたてるさしふをさしふかきしかしたにおひたてる
はひろゆつまつはき
しかはなのてりいまし
しかはのひろりますは
おほきみろ
おほきみろも
万葉集
十三巻
卅一丁
玉ほこの道ゆき人はあしひきに山ゆきぬゆきたゝわたり
川ゆきわたいさなとり海陰にいてゝかしときや神のわたりは
ふくかせも
のとにはふかす
たつなみも
おほにはたゝす
あとゐなみたちせく道をたうこゝろ
いたつけとも
かも
同紫同巻
廿九丁
しきしまのや戸との国にいかさまにおもほしめせかつれもなき
きめへのみやにおほとのをつかへまつりてそれこもりこもりいませは
とのこもりこもりいませは
あしたにはめしてつかはし
めしてつかはし
夕へかしはめしてつかわしつかはしくとねりか二しはゆくとりの
むらかりて
むしかりまてとめしたまてとめしたちときたちときしこゝろを
あまくものおもひはらしこひまかひひつちなけあきたらぬかも
今も
右の外ことなる事なし又くさ〳〵の重詞あるをは次々に
いたし
日本記
サニノ
十七
まそかよそかのこら古事記巻くふつたはいしいしつゝは
一ノ
万葉集
万葉集十一うぬひを写しと
ナノ
十日記下巻かつらとりひれとりかけて書記
ぬひるつみにひろつみにひるつみにひかつみにひるつみに
六丁
十三巻
万葉集
十四丁
しこのしこよを同
六ノ
十五丁
十五丁
候ては対日より受たり
〽五百重吹よるへのなみの
九ノ
六ノ
同
もはきつのそのつのうえに同
よしぬの川の川のせに
廿三丁
十二丁
同
九ノ
卅一丁
五ノ
いはむすへせむ事しらすいはき
したひ山したゆし水の同
五丁
卅一丁
十三
をもとひさけしらす同集
いほよろつちよろつ神の神代より
三丁
同
一ノ
十三
十三
一ノ
一ノ
廿九丁
我ゆく川の川く半の八十くまおちす同七丁しからさき
さきくあらは云云道のくり八十くまことにういかこ山いかく吾せむ
○重詞をおきてうちにへしてよめる損
こはうちかへしてよめは義なれは詞の重なるは定指也しかれともその
立拾をはつれてことに多く重りたるを左にあけつ
古事記下巻長谷朝倉宮御宇天皇大御願
みなそら〳〵おみのをとめにたりとら
したかたくやかたく思らせほたりとらせ
日本記
二ノ巻
九丁
下照暖御歓
あまさふらひなつめのいわたらすいしかはかたふち
かたふちにあみわりたりしめろよしによしよりこねいしかは
かたふち
同廿七巻
同
サ
童謡
みえしぬの
みえしめのえしぬのたゆあゆこそはしまへもえきめくるし者
なきのもとせりのもとあれはくらしめ
中巻
古事記中し巻倭建命大御歌
をはりにたゝに玉ふ也なをつのさきひとつ松あせを
なる
ひとつまつひとにありさせさぬきせひとつまつ
ましを
ましを
支せを
右にあけたかなことなることなし又重引のあるかきりは次々
にいたしぬ
下巻
十日記
下巻
内記下巻わかたゝみゆめことをこそたらはといはめ
同記下巻うるはしとさねしさねてはかりこものみたれはみこれさね
しされては
九ノ
日本紀
十七
あらら松はらまつはに同じ
十一
むすひたれたきやし人も
八丁
十日記
中巻
十日記中老うちのわたりのわたりせに同記下しつえのえめうらはは
三
云みつたまうきにうきしあふし
万葉原
十六
廿九丁
たゝみにさしてやへたゝみ
同廿九丁
○内起勺に二勺付をおきてよめる様
上巻
古事記上当治河日売命御旗
青山にしひかかくしは
ぬみたらのよは
朝日のゑみさかえき多くつぬの
ぬさたらのよはいてなむ
しろきよりあり雪のことかやるむねをそたゝきたきまな事
むき
またまてたまてさしもしなかにいわなき玉あやに
なこひきこしやちほこのかみのみことことのいたりことも
こをは
〇内二勺対句二つをおきて申める格
万葉集
一ノ巻
十九丁
一柿本朝臣人麿作歌
やすみしゝ五口大きみかむなかしかむさひせす」よしぬかは
たきら河内にたらとのをたかしましてのほりたち国見をすれは
はかへは
たゝなはる青かきやまやまつみのまつるみつき
あたては
むかさしもち
もみてかさせり
ゆふかはの刀はせの神も大みけにつかへまつると
うつをたて
かみつせに
しもつせろしさそさしはす
山川もよりてつかふる神のみなくも
同
六ノ
廿四丁
山のそきぬのそきぬのそと古記上書記上なる鳥かこの鳥も
万葉集
三ノ
三ノ
十九丁
さからか山の山のまを同
十三ノ
廿四丁
いかにおもふやおもへこそ
同
六ノ
卅三丁
わかおほきみはきみのまに同
ニノ
卅三丁
〽︎の宮をとこみやと
一ノ
中巻
同
七丁われこそかをこそ書記まよかきこにかきたれ
六ノ
同
同くらにのしまのじまのまゆ
十七丁
十七丁
○同起句に四句連対をおきてよめる指
万葉集
十三巻
卅一丁
山といふ事を多くようし哥
こもりくのはつせの山りしりてのよろしき山の
よろしき山の
あをはたのをさかの山はいてたちのくわしき山そ
あたらしき
や戸の
やらのあきまゝ
をしも
○同起句に六日連対をおきてよめる様
うまさけみわのヤ戸ヤ戸のまうしいかくるゝまてつはらにも
青によしならのやまのみちかくまいへもちまてにしは〳〵も
みつゝゆかむを
みさけむ山を
こゝろなくものかくそふへしや
かしくさ〳〵あけたる中にその哥によりてくさ〳〵に杉も詞もかわれ
ともその詞の重ねたりさまは皆同しさまし也此外にはことなるかさね
詞見あたらす尚よくたつねもとむへき事になん
○内二勺対句を一つおきてよめる様
日本紀
十六巻
三丁
新媛歌
いそのかみふちをすきてこもまくり高橋すきものさはに
おほぬもすきはらひのかすりをすきつまこもるをさほをすき
たまけにはいでさへあり
たまもひにみつさへもり
なきそほちゆくもかけひめあはれ
○また一つの拾
万葉集六巻
廿九丁
フルキ
いと古のなせのきみはをり〳〵にものにいゆうとかしくにの
とうとふ神をいけとりにやつこりもてきなのかはをたゝみにさして
やへたゝみへくりの山にそつきとさつきのほとくすりかり
つかふる時にあしひきのこのから山になみたてるいちひかもとに
あつさゆみやつたはさみ
しゝまつと我をる時にさをしかの
ひめかふしやつたはさみ
きたちなけたちまちに
きたちなけたちまちにわきまめし大君に我はつかへむ
かく
我つぬはみかさのにやし我三郎は三すみのつほに我めしは
ますみのかゝみ我つめは御弓のゆはつ我けしはみふてのはやし
我かはみなますはみなるししはみなますはや我きもし
に
みなますはやし我みきはみしほのはやしおひはてをぬ我身ひとつに
ならへ尤さてまししはやさね
は重岡さくとましはやさね
上外十八首の長州八歩ことに住てのかわりはあれ共皆期をくさねてよめるかた
とも也初にあけし越くをおからすして詞を定てよめる外十一首合て三十首
すへては目し格こそなりける此三十首の外にも葉〳〵詞を重たる前なき
わしもあらさきともいちもてやけて皆はしけれは今は見あたるまゝに
一あけすこゝになそらへて重手詞の歌をさとるへし
○序詞をおきてよめる挨
十三
十三廿四匁
万葉集
十九
中長屋
みよしのゝまきたつ山にかあをなる山すかのねのねもころに
我思ふ君はすめしきのまけのまに〳〵ひなさかる国をさめにと
むしとりの
朝去ゆけは
おくれたる吾かこひなむ
たひなきは君かしぬはむ
いはむすへ
せむけへしらにあしひきの山のこぬれにはふつたのわかれのあまた
をしくも有し
みなわかれといはひとての序なり
右の歌は始而四百はねもころにといふの序也あし引のといふさり三日は
同集
二ノ二十九匁
四十四中長屋
あつさゆみ手にとりきてますらをのさつやまはたちむかふ
高やと山にはるぬやくぬひと見えてもゆる火をいかにととへは
玉ほこの道くる人のなくなみたこさめにふれはしろくなんの
夜ひつちてたちとまり吾にかたらくいつしかももとないひつる
きけはねのみしなくゆ
すめのみことのいてましの
かたれはこゝろそいたき
たひのひかりそこゝたてりたる
右の哥始の五郎は高まとの序也
イ同集
三ノ
卅四
笠朝臣金村頼
サ一人
中長歌
こしのうみつぬかのはまの大ふねにまかちぬきおいまなとり
ろし
うみちにあてきはし吾こきやけはますしをのたゆひか浦に
あまをとめしほやうかひり草まくしたひにしまれはひとりゐて
みるしなしわたつみのてにまかし玉たすきかけてしぬひつ
やまと島
ねを
彳内
十九二十七日
サ一中長が
もり給ひくれなゐいろににほひたるおもわのうちあをやきの
ほそき番ゑてまかり朝かけ見はゝをとめしか手にとりたる
小を
ますかしみふたかみ山にこのくれのしけき釜をよひとよめ
朝とひわたり夕つくよ
朝とひこたり夕つくようそけきはか〳〵に鳴郭公
めんを
たちくゝとはふりにならすふちなみの花なつかしもひすよちて
袖にこきれつそまはそむ
をも
等同付等同所
一ノ
一
廿二
藤原宮之役民類
四十七日
中長歌
やすみし
やすみしゝ吾おほきみ
あら畳のふちはらか
をすくろしを
高ひかるひかみこ
うてに
みやらかを
めしたまはひと
高しらさひと
神なかしおもほすきにあめつちもよりてありこそ
いはゝしのあふみの国の衣手のたなにみ山のまきさ〳〵
ひのつまてをものゝふの八十うち川に玉もなすうえなかせれ
そをとろとさわくみたいへわすれみもたなしかもしもの
水にうきかつくるひのみかとに知らぬ国はりこせちより
ゐて
吾くにはとこよになさにるあやしきかめもかめもにひみよと
いつみのつにもそこせるまきのつまてもゝたらすいかたにつくり
のほすらむいそはくかむかし
かむから
是れは
なたし
ハ同集
ニノ
ニシ
十九
三十九日
中長歌
角さはふ
いくりにそ
角さはふいわみの海のことさへくからかさきいくりにそ
ふかみかはなす
玉もなす
玉もは生る
ふらみちの
ならありそにそ
なひきねしこを
ふかめて思へと
さぬる夜はいくらもあらす
はふつたの別しくれはきもむかふこゝるをいゝみおもひはゝ
すれは大ふねのりたりの山のもみちはのちりのまかひに
さやにも
つまこえるやかみの山のくもまより
みえす
わたいふ月のをしけくもかくろひそれは天つとふ入日さしぬれ
ますうをとおもへる我もしきたへの衣の袖はとほしてぬれぬ
同十三
ひまなくそ雨は五日とふその雨の
みよしぬのみかゝのたけに
ときなくそ雪はふるとふその雪の雪の
ひまなきかこ
時しくかこみ
ひまもおかす吾はそはへるいもかたゝかに
同
六ノ
十八丁
山部宿祢赤人歌
十五匁
小長歌
みそむかふあはちのしまにおきえにてほかみかとりおかみるの
たゝむかふみぬめの浦にからまにはなきりそかもなのりその
みまくほしけと
おのかほをしみ
まつかひもやらすて吾はいけりともなし
十四事記
雄略
孫
天皇天御歌
くさかへのこちのやまとたゝみにもへくりの山のこち〳〵の
山のかひにたろさかゆるまひろくま
山のかひにたろさかゆるまひろくまもとかしはいくみたけほひ
くし
いくみたけいくみいぬま
すんにはたしみたけおひ
のろもくて
たしみたけたしにはいねま
かもくて収むそのおもひつまあはれ
四ノ
万葉集
十六
臣の女のくしけにのせるかゝみなす三つの浜盆等さにつ給ふ
ひもときまけ五日妹子にあけたれはあけくれの朝きりかくり
なくたつのねのみなかゆわかこふうちへ給ひとへもなくさゆる
こゝろもあれ
こゝろも有れ家のあたり我立見れは春やきのかつらき山に
たなひけるしら雲上りあまさかるひなの国へにひかひ
あさおきに
こゑよひ
あはちをすくりあはしまをそかひに見はら
ゆふなきに
として
なみのへをいゆきさくみ
いなみつまうらみを過てとりしもの
いさゝの間をいゆきもとほり
なつさひゆけ家のしまありそのうんにうちおひきしゝに生たる
は
なのりそかなとかもいもにさらすきに
けひ
ニノ
目付等
十八丁
同柿本朝臣人麿歌
三十九匁
中長方
うらおしと人こそ見しめよしゑやし
石見の海まを
かたなしと人こそ見しめよしゑやし
うらはなけとも
いさなとり
いうなひをさして小たつのありそのありそのこと
うたはなけとも
朝はふら風こそよしめ
かあをなる玉もおきつも
夕はふら波こそきよれ
なみのむた
かよりかく玉もなすより少しもをつゆしものおきてしくれは
このみちの八十まくことによろつたひかへり見すれと
いやとほに
いやたかに
里はさかりぬ
山も荒きぬ
なつくさの思ひしなへてしぬふらむ妹かかと見ひ
なひけこの山
目付等
十三二十五匁
八中長兵衛
をとめしうをけにたれたらうみをなすなかとのうらに朝なきに
夕なきに
みちくらしほのそのしほのいやます〳〵
より馬なみのそのなみのいやしく〳〵に
わかきこに恋つゝくれは
あこのうみのありそのうへにはまなつむあまをそめうなかせる
てにまける
ひれもてるかに
ひもやうらに
しろたへの袖ふるみえつあひもふらしも
上件十二首の長壁は広しを多くよみいれたる前也此外二も是と同
しき横のかた数多なれとも同し損なきはしろしつ序には
二句もありまた三日も一日もある也こは皆其詞を我詞そあつめ
たるところかしもめしくいたしつ合せ見るへし
玉一ノ三十七丁
カ十八卅三丁いきのをになけかすこらことゝひのともしこく
一カ十八卅三丁
一苧の内に二ヶ所にありてこらと切れたる歌外に見あたらす
めつらしき損也
玉四ノサ九丁
戸ノ五ノ七丁
万ノ五ノ七丁三ツ中にてよみ切たる哥の格の事
此精は詞を重てよみし哥とも也詞の重ぬるにも種々ありて同し事を
かさぬいふと黒物にして言葉の同しきを二てぬくもまた句をへたてゝ
言ぬると其前によりてさく〳〵のはにりありいまはひとへに参〆て
いたしつこも見あすからむかために団るしろしのうちにいれて重
詞のをあらはしつ
候様は序に詞をおきてよめる損也其よめる歌の意にあつからすして
長もくしかゝら行のこへのし者さくにつゝきてよけり其つゝそしさまはたに
あけつこも我数多けれはそし見あるまに〳〵しろしつ皆なせて知る
へし
第1
長歌詞乃珠衣
長歌言葉玉衣巻七
類格証款部目録
一首の内二句対句一つ置て諏格種々
起句二句次対次終句三勺合九勺哥吾
起勺二勺次二勺対次終白四勺合十勺五町三首
起句四句次二勺対次終句二勺合十勺号一首
起勺二勺次二勺対頃拾勺五勺合十一勺五勺三百
起勺四勺次二勺対次郡三勺三勺合十一勺四首
起勺四句次二勺対次路夕四勺合十二勺奇一首
起勺二勺次二勺対次終句六勺合十二勺哥一首
起句六勺次二句対次終句首合十二句五号一首
四首
起而六月次二句対次終句三百合十三勺歌四首
一首
起同四勺次二勺対頃終句五勺合十三日寄
起勺四勺次二勺対次終勺七勺合十三勺寄
都勺六勺次二日対次終百五勺合十五勺歌
起勺八勺次二勺対次終勺三勺合十五日五勺
右三十首小長寿
起勺八勺次二勺対次終に而四百合十六勺奇一首
都勺二百次二勺対次終勺十一勺合十七勺寿一首
起与六勺次二勺尉次終句七勺合十七日直軒一首
類勺十二匁次二日対次終句一勺合十七勺春
起白十勺次二勺対次終句三勺合十七勺春川二首
起勺八勺次二匁対次終句五勺合十七勺五斗二首
類句四ケ次二日対次終句九勺合十七勺奉行一首
起白八勺次二勺尉次拾百七勺合十九勺壱勺六首
起り四匁次二ケ尉次終句十一句合十九勺五行二首
起勺十勺次二日対次終句五勺合十九勺奇一首
起勺十勺次二句対次終句六勺合廿勺哥一首
起勺十四匁次二ヶ対次終勺三百合廿一日春一首
起勺四勺改二勺軒次終句十三百合廿一日五丁
趣勺十二日次二勺対次終句五勺合廿一勺遣引一二月
左延勺十六日次二日尉次終句三勺合廿三匁直断一首
起勺六匁次二勺対次拾匁十三間含廿三匁五斤一首
起勺十二句次二日対次雑与七か合廿三日五斤一首
起句八夕次二日対次終句十一句合廿三日春
一起而四句次二句対次終句十七勺合廿五勺春
一首
起勺十匁頃二勺対次拾匁十一勺合廿五勺五斤
一首
起勺六勺次二勺対次終句十七日合廿七勺春
起勺十勺比二勺対次砲勺十三勺合廿七勺吉
起勺十四勺次二勺対次終句九勺合廿七勺五リ一矢目
起勺廿匁次二勺対次終句三匁合廿七勺五行一首
起句二句次二句対次終而廿一句合廿七句五引一首
起勺八勺次二勺対次十五勺合廿七勺一首
起勺廿有次二勺対次終句五勺合廿九勺奇一首
起句六匁次二勺射次終句十九匁合廿九勺五歩一首
朝句ナタ次二勺対次終句十五勺合廿九勺去リ一首
起勺廿二勺次二勺対頃終句五勺合卅一勺哥一首
起句八勺院二勺対次終而十九句合卅一勺五リ一首
起勺四百次二日対次終句廿三匁合卅百五町一首
起句廿二日次二日対次終句七句合卅三勺歌一首
起句十二日次二日対次終句十七日合卅三日歌一首
疑勺廿四勺二日対次終句五百合卅三勺五歩一筆目
趣白廿四匁次二ケ村頃終句七勺合卅五勺五引一首
起白十四句次二勺対次終句十七勺合卅五ケ崎一百
起勺四勺次二勺対次終勺廿七勺合卅五勺奇一首
起勺六勺次二勺対次終勺廿七勺合卅七勺五勺
起勺廿二間次二句対次終句十一日合卅七勺春し
起句十四勺次二句対頃終夕廿五日合四十三日去行
一首
一起勺十六日頃二日対次終日廿五勺合四十五日五日
右五十首中長寿
起勺廿勺次二勺対次終日廿九日合五十三日奉
起白廿匁次二勺対次終句廿九日合五十三日考一首
起与四十六勺御二日尉次終了七百合五十七句去リ一
起勺四郎次二力尉次終句五丁五勺合六十三勺五斤一千目
右三首大長歌
長哥合八十三首
長寿凡三百八十四首
詞玉衣巻七
万葉集
十三巻
二丁才
起勺二ヶ次二日対次終日三日合九勺小長歌
一冬木なすはるさりくれは
木ぬれかした
しらつゆをき
あしたには
霞たなひき
アセノフク
汗湯能振
天龍印
アミナヒノ
中巻
十日事記
古事記軽島明宮御宇天皇大御歌
記曰天皇聞看豊明之日於髪長比売令握大御酒柏原
賜其大子余御歌曰同格十勺歌
みつたまるよさみのいけの
ひしからの
さしける者に
ゐくひうそ
はへけくしらに
ぬなはくり
我こゝろしそ
いやをこにしていまそくやしき
可入哥
日本紀
十一ノ志
二十丁
難波高津宮御宇天皇大神歌
紀曰天皇為将豊楽而幸行日女島之時慰生卯余召
建内宿祢命以焉問歴生卯之趣其款曰
起勺二勺次二勺尉次四勺合十勺小長哥
たまきさるうちのあそ
なこそそよのとほひと
なこそそくにのなかひと
あきつしま
やまとの国にかりこむとなはきかすや
一つ入哥也
下巻
へ
古事記
古事記「巻種之大郎子御教
起勺四勺次二勺対頃終勺二勺合十勺小長分
あしひきの山田をつくり山たかみしたひをわしせ
したとひに
したなきに
フカナクツマ
カタナキニ
我とふはもを
我なくつまを
許布こそはやすくはやすくはやすくは
下巻
同記下巻泊瀬朝倉宮御宇天皇大御代表料比売教
起与二百次二勺対次終句四勺合十勺小長歌
やすみしら我大君の
あさけにはいより多し
いふけにはいより返す
わきつきの
したのいたきにもかあせを
日本紀
二十二巻
十七丁
○小墾田宮御宇天皇大御歌
同拾十勺小長寄
うまならみひむかのこま
まそかぶそかのこらは
たちならは紅のまさひ
うへしこそ
そかのこしを大君のつかわすらしき
三首目に可入
万葉集集
十三巻
二十四丁
一同格九勺小長分
○しかれこそとしのやとせを
きるかみの我身をすらせ
たそはなのほつえを過て
このかはの
下にもなかくなかこゝろまて
反五リ
天つちの神をもわれはいのりてきしいふものは春てやます
一り入前
申巻
十四事記
古事記中巻白博宮御宇天皇大御歌
記曰到忍坂大室之時ニ云故明将打其土雲之款曰
一起勺二勺次二勺対次終勺五勺合十一勺小長寄
おさかのおほむろやに
ひとさはにいりをりとも
ひとさはにきいりをりとも
みつ〳〵し
ためのこらかくふつらはいしいゝいううちてしや
まむ
万葉集
三ノ志
廿六丁
暮春之月幸芳野離宮時中納言大伴
郷奉勅作款一首并短歌同指十一句小長寿
見よしぬのよしぬの宮は
山からし
水からし
天つろと
なかく久しくよろ豆代にかはらさるひいてましのみや
反歌
むかしみしきさめ小川をけふはれはいた〳〵さやけくなりにける
十三巻
同条
十三丁
同格十一勺小長五軒
みもろの神なひ山ゆ
雨はふりきぬ
風のさへふきぬ
おふくちの
まうみか原ゆおもひつゝえりにし人家に至りさや
反類
かへりにし人をおもふとぬはたまの其歟は我もいもねかれてき
一ノ巻
同集
十一丁
一近江宮御宇天皇三山御製類同格十一勺小長寿
かきやまはうねひを男とみゝなしとあひあらそひき
神代より
いかしても
かくにあるらし
しかなきはこそ
うつせみのつまをあらそふらしき
反三月
かく山と耳なし山とあひしとき立て見にこしいなみ国はら
同集
十三巻
九丁
同格十一勺五軒
六帖
八才なり
しきしまの山との国に人さはにみちてはあれと
ふちなみの
わかくさの
おもひまつわし
ガメヲ
おもひつきにしきみからに恋やあかさむなかきの夜を
おもひつきにし
同余
十三巻
十八丁
同格十一勺寄
多方たすきかけぬ昨なくわかもへる君によりては
しつぬさを
たりたまを
手にとりもちて
しゝにぬきたれ
天つちの神をそ我こふいたもす也なみ
反寿
あめつちの神をいのりて我こふる君にかならすあはさらめ
同仕等
十三迄
二十一丁
一同格十一句寄
あかねさす
たまたわきかけぬ時なく我おもふいもにしなれはあかれさあは
ぬはたまの
ひるはしみらに
よろはすからに
いもねすにいもをこふるにいけるすへなみ
反類
よしゑやししなむた我いけりともかくのみこそとひわたりなめ
姉
中巻
十日事記
建内宿祢命為御子答寄曰
起勺四句次二勺対頃終句四百合十二日寄
うたひて
このみたをかみけひ人はそのつゝみうすにたて
まひて
かみけれかも
かみけれかも
このみきめみきのあやわしうたなぬらさく
下巻
同記同記書記同記同断同
同格類勺二勺頃二ケ付次雛句六勺
合十二ヶ所
たかひかるひのみこ
うへしこそ
とひたまへ
とひたまへ
あれこそは
よのなかめそらみつや戸とか国にかりこむというたきかす
ひと
万葉集
十三巻
二十二丁
同格起勺六匁次二日対頃終而二百合十二勺五斤
おしてうなにこりさきひきのほるあけのそほこねそほふねに
つなとりかけ
ひこづらひありなみすれと
ありなみゑいはれにし
いひつらひありなみすれと
ぬそ
わかみ
中巻
古事記中巻倭建命大卿歌
尾張国え到余美夜受比売其於意須北之襴着月経故見
其月経御類曰起句六勺次二勺再次終句三間合十三勺歌
ひさかたのあめのかく山とかまにさわたるくひひはほそ
たわやかひ
な
まかむとあれはすれと
さねむとあきのおもへは
なかけせらおすひのす
そに
つきたちに
けり
中巻
旧記中遣息長帯比売命御願
息長帯北売命醸待酒以献余其御祖御類曰
同格十三勺寄
このみきはわかそきならすくしのかみとこよにいますいそうめらす
かむほきほきくるほし
すくなみ
かみの
まつりこしみきそ
あさすを
せさし
一ノ巻
一一
万葉集
七丁
一御製類同拾十三勺寄
やまとにはむし山なれとどりよろふ天のかく山のほかたち
国見をすれは
けふりたち籠
国はしはけふりたち籠
うまし国そあきつしま
うなはらは
うなはらふかまめたちたり
やまとの国は
同集十三巻
同集十三巻
十八丁
すかのねのねもころ〳〵に我ゆえる妹によりてはことのいみも
なくありこそと
いたも壱人
なみ
いはひてをいはひほりすゑ
たかたまをしゝにぬきたれ
あめつちの神をそ我
こふ
反殺
たゝちねのはゝにもいはすつゝめりしこゝろはよしめ君かまに〳〵
下巻
古事記
古事記下巻石之比売命計款
皇后即自山代廻到坐郡良山口壱日
起勺四勺次二日対次終而五日十三勺五丁
つきねにやましろ川をみやのほりわかのほれは
あをによし
をたてやま
ならをすき
やまとをすき
わかみ参しくには久しきたかみや
わき也のあたり
下巻
同記下巻初瀬朝倉宮御宇天皇大御歓
起句四つ頃二日対次終日七日合十五日春
まなはしら
にはすゝめ
もゝしきのおほしや人のかくしとりひれこわけて
おゆきあへ
おゆきあへけふもかもさかみつくらしたかひからひのみやひと
うすらまりゐて
ことのかたりこともこをは
万葉集
六ノ巻
三十六丁
三十六丁
石上乙麿郷厩土佐国之侍五斤三首の内一首
并短歌同格十五匁五分五厘
いそのかみふるのみことはたわやかんのまとひによりて
うまし給ふ
しゝしもの
なはとりつけ
わすかくみておほきみのみことかしこみあまさかるひなにまかりて
ふるころもまつちの山ゆかへりこむかも
反歌
大君のみことかしこみさしなみのくにいて
ますや
同所
十三巻
三十四丁
起句六百次二日封次終日五勺合十五勺歌
同格十五句寄
欲見者雲ゐに見ゆるはしきやしとはの貴原少子等
ミマクホレハ
ことさけはくにゝさけなひ
いさやいて見
ことさけは紅にさけなむ
やいてはむ
いさやいてむことさけは家にさけなむ
天つちの神しからし
くさまくらこのたひのけにつまさくへしや
反歌
くさまくらかたひのけにつまさかり家路おもふにかけるすなし
中巻
古事記軽島明宮御宇天皇大神歌
天皇宿豊明之日於髪長比売令握大御酒柏賜其
大子余御影曰
同拾十五合五勺
いてこともぬひ馬つみにひ鳥つみに我ゆう道のかくはし
ほつ枝はとりゐからし
花たち花
者つ枝付てひととりからし
天つくりのなかつえの
ほつもりあからをとめをいさゝさはし
くしをとめをいさゝさはしな
よらして
日本紀
十巻
六丁
六丁
同天皇大御歌
一同拾十五勺
いさあきぬひがつみにひるつみに我ゆく道のかくはし
花橘は
しつえしはひとみなとり
ほりえらはとりゐかたし
いみつくりのなかつ枝の
ふほこもりあこれをとめいささちえる
は三百
万葉集
二ノ志
二十四丁
従従山科御陵退散之時額田王作歌
一首同格十五勺寄
やすみしく我大器のかしこきやみわかまふるやましなの
やすみしく我大君の
からみの山に
よるはもよのこと〳〵
ひるはも日のこと〳〵
ねのみをなきはゝありてや
もゝしきの大みや人はゆきわかれは
万葉集
六ノ巻
十一丁
神亀元年甲子冬十月五日幸紀伊国時
十一丁
山部宿祢赤人作歌一首并短歌
一同拾起勺八勺次二勺対次紙勺三勺合十五勺五勺
やすみしてわかおほきみのとこみやとつかえまつれるさひかぬゆ
かせふけはしらなみさわき
そかひにみゆるおきつしまきよきなきさに
しほひれはひもかりつゝ
神代よりしかそたふとき千まつ島山
反歌
おぜしまありそのおもしほひみちいかくらひなはおもほえむかも
水かの浦に塩みちくれはかたをなみあらんとしてたつ時わたる
一同集
十三ノ巻
十四丁
さすたかひ前にしきやにかきすてむやれこもを
しこめしこてさしかへて水なむ君ゆへ
を
あかねさすひるはしみらに
ぬはたまのよるはすからに
万葉集
九ノ巻
○春三月都郷大夫等下難致時頼一首
廿一丁
朝日六日廿二日朝日六時頃終日六日
并短歌
一合十二日中長吉
ししやうのたつたの山をゆふくれにうちこえやけて多きのうんの
桜の花は
さきたるはちり過にけり
咲つきぬへし
ふらけるは
こち〳〵の花のさかりに
君かみゆきは今にしなちへし
みされとも天間朝句かにろくにしかみやきは今にしおべ
反歌
いとまあらはなつさむみたりむめつをのさくしの花にをしましもりも
右之すみされならす見されともの下に祝かあるへしく願は何しを
ともしれ難しもし一つなしハイカニカモゼムなとやしの
匁なるへし
このとこのひしとなるまてなけきへるかも
反歌
我こみろやくも我なりはしきやしゑにこふるに我こゝろから
同集
一斤
四ノ巻
○岳本宮御宇天皇御製韻韻歌
十二丁
起向八月頃二日対次四日次終間四日頃終十五日
神代よりそれつきくれは人さはに国にはみちてあちむらの
ひるはもひのくそゝまて
出来者行跡吾こふる君等しあれは
よるはもよのあくるきはみ
カヨヒハタテト
おもひはゝいてかてにして安かしつらくも長き比夜を
反歌
山のはかしあちむらわきゆくなれと山れはさふしめ君にしあらねは
あふみちのとこの山なるいさやにはけのこのころはあひいゝもあらむ
同座所同同
十九巻
四十二丁
門勅従四位上高麗朝臣福信遣於難波賜酒
肴入唐使藤原朝臣清河等大御歌一首并短歌
起る二日次第対次終日十一日合十七日露
そゝみつやまとの五は
うみのらんはつちゆくことく
舟のうへはとこ小をかことく
おほかみの
いはたる国そよつのふね舟のへならへまさきくらはやわたりきて
かへりことまらさむひにあひのまむさけそこめとよみきは
反歌
よりのふね
のふねはやかはかことしらかつけ家ものすそにしでゝ申しなが
上巻
十日事記
起く六日次二ヶ軒次終日七勺合十七日正行
やちほこのかみのみことぬえくさのめにしあれは我こゝろ
いまこそはちとりにあらめ
浦すの鳥そ
のちはなとりにあしむを
いのちそならせたまひそ
いしとふやあまはやことのかたりこともこをは
いしとふや
いにひ
同記下巻石之日売命御歌皇后即不坐坐旨而引
避其御船訴於堀随河而上幸山代此時類曰
起句十二日次二日対次終日一日合十七日春
つきねふやましろ川を川のほり北かのほれは川のへに
おひたてうさしふをさしふかきしかしたにおひたてる
おひたてら
しかはなのてりいまし
ゆつまつはき
しかはのひろりいますは
大君ろかも
日本紀
十六巻
三丁目
新媛歌戯翰臣乃楽山足時影媛逐行
戮処見是戮己驚惶失所悲涙盈目遂作歌
起勺十勺次二勺尉次終勺三勺合十七勺五斤
いそのかみふちをすきてこもまくら高はしすきものさはに
おほぬもすきはらひのかすかをすきつまこもるをさほをすき
たまけには
たまけにはいひさえもり
たまもひにみつさへもり
なきそほちゆくもかけひめあはれ
万葉集
三ノ巻
四十八丁
過勝鹿真間娘子墓時山部宿祢
并
赤人作款一首
同格十七匁五分
古昔にありけむ人のしつはたのおひ音えてふせやたり
つまとひしかつしかのまゝめてこのおくつきをこゝとはきけと
なか
まきかはやしけりたるらむ
まきかはやしつのみもなのみもなのみもなのみは
まつかねやとほく久しき
反歌
我もみつ人にもつたむにつしかのましめて二なりおくつきところ
かつしかのましのへりえにうちなひくおもかりけむてこなしおもほゆ
同集
四ノ巻
四十九丁
○大伴坂上郎女従跡見庄贈賜留宅女子大
一同壱類一首并短歌
起与八勺次二日対次終日五日合十七日寄
とこよにと我ゆか声にをおかとにものかなしらにおもへかし
おもふにし我身は申せぬ
我このとしをぬはたまのよるひると
なけくにし袖さへぬれぬ
かくはかりもとなしこひはふらさとの七月ころもありかてましを
反五引
朝かみのおもひみたれてかくはかりなねかこふれもいめにみえける
同集
六ノ巻
十一丁
車持朝臣千年作歌一首并短歌同
五丁
うまこりのおやにともしくなるかみのほとのみきゝしみよしぬの
あけくれはあさきりたち
まき左衛門山内三郎左衛門のせことにあけくれはあさきりたち
御ふされはかはつなくなへ
あれは
安のみゐてきよき河原みらくし
反歌
多きのうへのみふねの山はかしこけとおそひわすときもひもなし
ちとりふくみよしぬ川の川なとなすやむときなしにおもほゆるきみ
あかねさすひなしへほくてわかこひむよしのゝ川のきりにたちつゝ
同集
并豆欠
六ノ巻
十五丁
起車持朝臣千年作歌一首并短歌
起勺四勺次二日対次終り九勺合十七日委し
朝なきに
はまんをきよみうちなひきおわる玉もに
夕おきに
千首波より
一五百二十一
いまのみに
へがなみのいやしく〳〵に月にけりひそ〳〵みとも
めきたしめししなみのいさめくれるすみのいさゑの浜
やも
反歌
しし波の先にきよするすみのえのきしかはにやにほひてやかな
下巻
十四事記下巻泊瀬朝倉宮御宇天皇大御代大后若早王
御歌起く八日次二ク対頃終分七ケ合十九勺五行
やまとのこのたけちにこみなからいちのつかさにひなんやに
そかはのひらにいまし
おひたてるはひそゆつまつはき
そのはなのてりいます
たかひかちひのそことよみきたてまつらせことの
かたりこすもこをは
三ノ巻
万葉集
鴨君足人香具山歌二首
十六丁
鴨君足人香具山歌二首并短歌
同格十九日寄
あもりつく天のかく山かすみたつ春にいたれは松風に
おきへにはかもめつまよひ
いけ波立てさくしむこのこれしけに
一へつへにそあしむらさわき
もゝしきの大みや人のまかりてゝいにし舟にはかちまをも
なくてさふじもこく人なしに
反五斤
人こかすしらくもしかしかつきするせしとたかへとふねのへにすむ
いつのまに金さひけるかかく山の添こ杉かうれこけむすまてに
同集同丁同人寄同格十九日寄
安もりつく
あもりつく神のかく山うちなひくすさりくれはさくしむ
へつんにはあしむらさわき
このくれしけ小まつかせに池波立て
おきへにはくもつまよひ
もゝしきめ大みや人のまかりてゝきこし舟はさをかちも
なくてさふしもこかむと思へまゝ
万葉集
六ノ巻
十丁
十丁
養老七年癸亥亥夏五月幸干芳野
龍宮時笠朝臣金村作歌一首并短歌
短歌
一去夕十日次二ケ刻頃終夕四勺
一合十八勺中長崎
たきのうへのみふねの山にみつえさししゝにおひたるとかの木の
いやつき〳〵によろつ代にかくししらさむみよしそゝあきつかみやは
かむかしかたふとかるらむ
くにからかみかほしからむ
山川をきよみさやけみかりのつつの
そへし神代ゆさたのけらし
反歌
としのはにかくもみてしかみよしぬのきよき河内にたきつししあみ
山高みしらやふ花のおちたきつたき河内はみれとあかぬかし
右にあけたる長歌はきよみさやけみといふ詞の下に脱る
あるへしかゝる哥の指に十八日とやらによみし前は極〆て
なき事なり十九日の長哥なかへし心みにいはゝミヤウロ
トカまたハコヽトシモとうありし白の祝くたるなるへしかゝる
例前にもあり考へし
同集
ミノ志
二十七丁
一山部宿祢赤人望不尽山歌一首并短歌
短歌
同拾十九匁五軒
五階
あめつちのわかれし啼声かみさひて高くかしこきするかなる
高くかしこきするかなる
りたるひのかけもかくれて
ふしの宮松は天のはらふりさけ見れは
てら月のひかりもみえす
しら雲もいさりはゝかりときしくそこ
しら雲もいさりてはりときしくそ雪はふりけるくたりつき
いゝつきゆかひふしの高根は
反歌
たこのちらに
たこめからにうちいたきはましろにそふしの高根に雪はふりはゝ
三ノ志
内集
三丁七丁
一竹
行大伴坂上郎女祭神歌一首
短歌
同拾十九日同拾十九匁
久かたのあまのわらりあれませる神のみことをおく山の
いはひへをいわひほらすゑ
さかきか枝にしらうつくゆふとりけて
たかたまをしゝにぬきたれ
しゝしものひさをめせたをやめの出すひとりかけかくたにも
我はのみなむ君にあはしのも
反歌
ゆめたらみ手にとりもちてかくたにも我はこひなむ君にかも
同集
九ノ巻
咒●咒登藝院燈歌会日作歌一首并短歌
廿三丁
同様十九郎歌
わしめすむつくみの山のもはきつのそのつのかへにいさなひて
をこめおとこ
ひとつまかし我も火しらひ
をこめおとにゆきつとひかかふかたひにひとつまかし家もましらひ
我つまにひともことゝへ
このやまを
このやさをうして中のおかしせりいさそなわさけふめみは
まてもなみこともとかめて
そ
反五可
をのかみに雲をかまりしくれふりぬれとほるも我えらぬや
同条
三ノ走
三十八丁
一〇〇
同登筑波岳丹比真人国人作類一首并短歌
短歌
起る四日次二日対次鯰句十一日合十九日合十九日吉
鳥かなくあつまの五に高山はさわにあれとも
ふたかみの
なミヤアの
たふとき山の
みかほし山と
神代より人のいらつゝくに見ひるつくその山を
冬木成ときしく時とみすていなましてこつみ雪けする
山道すらをなつみそなし
反歌
つくはねのよそのみみつゝありかねて雪けのみちをおつみこしかも
同集
六ノ十七
三年丙寅秋九月十五日奉於帳磨国卯
十六丁
南時芝朝臣金村歌一首幷短歌
同杉十九本
朝なきに
なきすみのふなせゆみゆるあはちしまつほの浦に
夕なきに
玉もかりつゝ
もしほやきて
あまをとめありとはきけとみにゆかむよしのおけれは
ますしをのこゝろはなしに手をやめのおもひたこみたもとほり
我はそこふるふねかちを
なみ
反歌
玉もかる海人をそめともみにゆかむふねかちもおみ高くとも
ゆきめくりみともなかめやおきすみのふなせのはまにしきるしら皮
目付等
十三十一シ
三十一丁
起力十勺次二勺対頃終夕五日合十九勺春し
玉源この道ゆき人はあし引の山ゆき野ゆきたゝわたり
川ゆきわたりいさなとから海路にいてゝかしこきや神の渡りは
ふくかせものとにはふかす
あとゐなみたちせく道を多かこゝろ
たつなみもおほにはたゝす
いたつけともたゝわたりけひ
かゝも
同集
十三巻
五丁
惣而十勺次二句再次六勺合二十勺五郎
空みつやまとの国あをによしなし山越てやましろの
つゝ木の原にちはやふるうちのわたり多きのやのあこねの原を
ちとせにしかくることなく
山しなのいわかもりのすめかみに
ありかよはむと
よろすよにありかよはむと
ぬさとりむけて我は爰ゆく大坂山を
同集
九ノ志
二十九丁
神亀五年戊辰秋八月歌一首并短◯歌
起力十四日次二日対次終日三日合二十一句歌
人となる
人となることはかゝきをあくらはになれる我身は死もいたも
君かまにまとおもひつしありしあひたにうつせみのよの人なれは
おほきみの
軒とりの
おほきみめ三ことかしこみあまさかるひなをさきに新とりの
軒有しいゝ
むしとりの
むれ立つけはとまりゐて我はまひなむみつ久ならは
反歌
みこしちのゆきふら山をこえむひは豊後ある衆をかけて三介はせ
同集
十九ノ老
二十五丁
二十二日贈列官久米朝臣広縄覆公鳥怨恨
歌一首幷短類起々四百次二而対次十三日寄
こゝにして
こゝにしてそかひに見ゆる我せ子かかきつのたまゝ
あはされは
ゆふされは
はりのさ枝にし
藤のしけみに
はろ〳〵なく郭了我やとのこえきたちたちは
はな
甚にちる時をまたしみきなかなくそははうらししかれとも
谷かたつたて家将せる君かきゝつゝつけるも
反歌
小かこしたまてときなかぬほとらきすひとりきてつけむきみかも
同集
一
十九ノ巻
三十四丁
悲傷死妻類一首并短歌
起口十二勺頃二勺封次終而五勺合二十一勺肴
天つちの神はなけれやうつくしき吾つまさかるひかるかみ
なりはためてたつさんともにあらむとおもひしにこゝろひしにこゝろひぬ
おとめ
ゆふたすき
いはむすへせむすへしらに
かたにとりかけ
しつぬさを
てにとりもちて
なさけそと
我はのめともまきてねし妹かたもとは雲に桁ひく
空に棚ひく
反歌
うつゝにとおもひてしかもいめのみにたもと風き
ぬと
同集
三ノ巻
二十丁
山部宿祢赤人至伊豫温泉作一首并短歌
起日十六日次二日対頃終日三日金二十三日五行
すめちきの神のみことのしたませるくにのこと〳〵ゆはしも
さはにあれともしま山のよろしきくにときはめしかいよの高松の
いさにはのおかにたらしてうしくおもひことおもはしくみゆのえの
おみの木もおひつきにけり
こむしを
遠き代に神さひゆかむ
見れはなくとりもこゑもかはらひ
いてましところ
反歌
もらしきの大みや人のわきたりし
同集
六ノ巻
十二丁
神亀二年乙丑夏五月幸干芳野離宮時芝朝
一臣金村作歌一首并短歌
起句六句次二句対次終句十三句合二十三勺歌
あしひきのみやまもさやにおちたまつよしぬの川の川のせの
かみつへにちけりしはなき
きよきを
もとしきの大みや人も
見れはしもつへにかはつつまよひ
見れは
ヲチコチニ
越乞爾思自仁思有者
起乞誰思自仁思自仁思者みることもし
モヒニシモヘハ
ふゆること
ふゆることしよろつ代にかくしもかもとあめつちの神をそいのる
かしこかれ
とも
反歌
万代にみともあかめやみよしぬの多きつかふ大みやところ
ちの
人みなのいもちも
人みなのいもちもかれもみよしなの手きのこと
いはも
同集
十五ノ巻
十九丁
起勺十二勺次二勺対次終勺七勺合二十三勺三斤
みよしぬのまき立山にかあをなる山すかのねのねもころに
我思ふ君はすめしきのまけのまに〳〵ひなさかる国をさめにと
むし鳥の朝たちゆけは
おくれたる我かとひなむ
いはむすへ
たひなれは君かしぬわむ
せむすへあしひきの山のこぬれにはふくたのわかれのあまた
しらに
をしくも有之
かも
反正行
うつせみのいのちをかかくあれこそと思らまる我はいはひてまたむ
周集
十三巻
三十一丁
起与八勺次二日付次終句十間合二十三日寄
おほ君の命かしこみあきつしまやまとを過ておほともの
みつのはゑに大舟のまうちしくぬき
朝なきにかこのとしくし
夕なきにかちのとして
ゆきしきみいつきまさむと大夕トほきていわひわたるにまかことや
人のいゝつる我こゝろつくしのやまのもみちはのちり過にしと
君かたゝかを
反哥
たはことや人のいゝつる子まのをのなからと君かいゝてしものを
同集
九ノ巻
三十一丁
思娘子作歌一首并短歌
起而四日頃二勺対次鱧勺十七勺合十五勺五斗
しらたまの人のそのなをなか〳〵はしことにをはへ
あはぬひの
こふろひの
まぬくすくれは
くさなりゆけは
おもひやるたときをしらにきもむかふこゝろくゞけて
たまたすきかけぬ時なくくちやます我こふるこを玉くしろ
手にとりもますかゝみたゝめ又みね下橋やま下ゆく水の
ちて
上にいてそ我思ふ心やすからぬとも
反歌
かきほなすひとのよこと也しけみかもあはぬひまねく月のへあらむ
たちかはる月を二わねてあはれともさねわすらえすおもかけにして
同集
十三ノ巻
起与十日次二は対次鯰力十一ヶ合廿五日直に
十七丁
我労子はまてときまさたかり年の
よもふげにさよふくとあらしのふけたちまつと永衣手に
ひにさへわたり
おくしもも
戻りてみぬ
ふるゆきもこほりわたらぬ
いまさらにきみきまささなかつし
めや
のちもあはと大ふねのおもひたのめとかつゝには君にあわす
いめにたにあふとみえ雨のたり夜に
反歌
衣手に
夜手にあらしの吹てさむき夜を忌きまささせひとりかもねむ
いまさしにこふとも君にあはめやもぬる夜を
こふとも君にあそめやもぬる夜を夢に見へこそ
夢に見へこそ
おちす
同集
五ノ巻
十二丁
云
筑前国怡土郡深江村子負原に
三
漢文古老
伝曰往者息長日女征討新羅同之時用茲而石捕著
御袖之中以為領懷所以行敬拝此石乃作類曰
起力六匁次二日対次終勺十七勺合廿七合寄
かけまくはておやにかしこしたゝしひめ神のみことのからくにを
むけたひら
けて
みこゝろをしつめたもふと
ゝいとらしていこひたまひし
またまつくふたつめいしを
よのひともししめしたりよろつ代にいゝつてかねとわしのそこ
ひて
おきつ漆江のうなかみのこふのはらにみてつかしおかしたまひて
かむなから神さひいますくしみたまいまのをつゝにたふもたろし
反三月
あめつちのともにひさしくいひつけとこのくしみた方しかしけらしも
同集
十三巻
起句十句次二日対次終夕十三日合二十七勺表し
二十九丁
二十九丁
したしまのやまとの国にいかさまにおもほしめせかつれもなき
きのへかみやに
一おほとのを
きのへかやにおほとのをつかんまつりてとのこもりこもりいませは
あしたにはめしてつかはし
つかはしゝ
ゆふへにはめしていかはし
つかはしゝとねりかこらはゆくとりの
むらかりまちありまてとめしたまはれはいらきたちときしくを
あまくもにおもひはらしとこひまろひひつちなけもあきたしぬも
同集
十九ノ巻
廿六丁
為家婦婦贈在京尊母所誹作款一首并短歌
起勺十四勺次二勺対次七勺合廿七勺五分
ほとらきす来るさつきに咲にほふ花橘のかくはした
おやのみことを与朝夕に
おやのみことを与夕にしきかぬひまあまさかるひおにして
〽をれは
あしひきの山のたをりにたつくもを上そのみ見て
なけくそう
おもふそう
やすけくなくに
くるしたものを
なこのおまのかつき書るとふしたまのみかほしみほしみ
おもわ
たらむかひ見む時まてはまつかえのさかえいまさね尊きあかきみ
反五月
しら玉のみかほし君をみすひさにひなにしをれはいけりともなし
周集
十九巻
二十一丁
贈水鳥越前判官大伴宿祢池主類一首并
短歌起句二十句次二日封次終句三勺合二十七句巻し
あまさかるひなとしあれはそこゝみしおやしくそいてさかり
てしのへぬれはうつせみものおもひしそこゆんに心なくさに
ほとゝきすなく初声を立花の玉にあへぬきかつしきて
あそれはし
あそえれはも
ますしをゝ
ともなくたてゝしらきかはなつさひのほり
ひらせにはさてさしわたし
はやせにしそうをかつけつゝ
月に日にしかしあそはねはしき我せみ
反しり
しらきかはせをたつねはゝ我せ子は鵜川たゝさねこゝろなきに
うにはたちとしさむあゆのしかはたはわれにかきなけおもひしもはゝ
同集
十九巻
四十二丁
四十二丁
門為応話儲作款一首并短歌大伴宿
祢家持作起か二日次方対頃終句二十一日合二七七勺遣し
いやつき〳〵に
あしひたのやつをのかんの
まつかねの
たゆることなく
青によし
ならのみやとい万代にしらさやすゝしく宗大君の
むと
神おかしおもほしめしてとよのあかり見らせすかはものはもの
けふは
やそとものしまふかしあからたちうつにさしひもときさけて
はお
ほきゝと
ちとせほきほぎゝとゑら〳〵につかへまつるを見るかたふとさ
よし
反五月
すめろきのみ代万代にかくしこそみしあきらめゝたつとしのはに
同漆
三ノ十己
三十九丁
一
羇旅歌一首短歌
起而八勺頃二勺対次終日十五日合廿七日五日
わたつみにあやしきものかあはじしまなかにたてしらなみを
おきて
御ふされはしほをみたしめ
いよにゐまろまろつきあかしのと
あけけれはしほをほさしめ
くらし
しほさほのなみをかしみあはちしまいそかくりゐていつしかも
この夜あけむまつからにいのねかねては多きのうへのあさぬのきゝし
あくれこそ立とうむらしいさこともあへさこきてなにそもしろし
反五斗
しまつゝひみみぬめのきをこきためはやまと恋しくたつさはになく
同集
二ノ志
四十四丁
八霊亀元年歳次乙卯秋九月志貴親王薨時
竹歌一首并短歌起口廿日次二日対次終勺五勺合廿九勺五勺五厘
あつさゆみ手にとり出てますらをのさつやたまみたちむかふ
高まと山にはるぬやくぬひと見るまてもゆらひをいかに立へは
玉ほこの道くる人のなくなみたこさめにふれはしろたへは
衣ひつちてたちとまり我にかゝらくいつしにももとないゝつら
きけはねのみしなかゆ
かたれはこゝくそいたき
すめろきの神のみことのいてましの
たひのひかりそこゝさてりたる
反五月
高まとのぬへの秋わきいたはしに咲かちりなむ見る人なしに
みかさやまぬへゆく道はこきたくもしかてあれひさにあら
たるか
なくに
同集
五ノ巻
五丁方
神亀五年七月廿一日筑前国守山上臣憶良
日本挽類一首起力六日次二日対次終句十九勺合二十九勺五匁
大きみの
大きものとほのみかととしらぬひ
大きものとほのみかととしら給ひつくしの国になくこなす
したひきましソきしにもいまたやすめす
一とし月もいまたあらねは
とし月もいせたあらねはこ
たに
うちなひきこやしぬれいわむすへせむす也しにいはきをも
とひさけ
とひさしらすいへならまかたちはあらむしき
あれをはもいかにせよ
あれをはもいかにせぶとうにほとりのふたりならひゐかたらひし
こゝろそむきていへさかります
いへさかりいます
います
反五月
いんにゆきていかにかあらむまくらつくつまやさふしくおもほゆんし
はしきよしかくのみからにしたひこしいもかこゝろの走もすんなさ
くやしかも賀しらばせにあをによしくぬちこと〳〵見せましものを
同集
十三巻
三丁
起る十月頃二日対次終而十五勺合二十九勺歌
あしはゝのみつほのくにゝたむけすとあもりましかひいほよろす
ちよろす神の神代よりいゝつたゝたる神なひのみもろの山は
わるされは春かすみたち
かみなひのみもちのかみのおさゝせる
廿されは船なひにけふかみなひのみもちのかみのおさゝせる
あすかの川のみをはやみおひためいはかねのこけ出すもて下
あたしよれよきくによことはかりいめにみせつるきたち
さむ
いはひまつれる神にしませは
反五月
神なひの
神なひのみもその山にいはふ杉おもひきや苔むすまてに
いくしたて壱三右衛つといふりへかうばの玉かけ見れはさもしも
同集
五ノ巻
二十七丁
筑前国司守山上憶良敬和熊凝述其志歌
并
一
一六首并序漢文起句二十二勺次二日対次終与五勺合三十一勺青
うちひさすみやへのほるとたゝちらやすかてはなれつねししぬ
くにかをゝかをもしんやまこえてすきいつしにもみやこを見むと
ゆき
おもひはゝかたらひをれとおのかみしいたはし玉添この
はしは玉ほこの
けれは
道のくまひにくさかまをり柴とりしきつとこしものうちこむしと
ふして
おもひつゝなけきふせ
なけきふせ
くにゝあらす
ちゝとり見まし
家にあらす
よのなかは
はゝとり見まし
かくのみうしいぬしもの道にふしてやいのちすきなひ
反五月
たらさしのはゝかめておほしていつちむさり我木かるらむ
すて
つねしらぬみちのおかてをこれ〳〵といかにかにかむかりてはなしに
家にありてはゝかくりみはなくまむる心はあらまししなはしぬとも
いてゆきし日をかそへいしけふ〳〵とあをまたらひちゝはらはも
ひとよにはふたらひみてぬちゝまらをおきてや子かくあかわかれなむ
同集
九ノ志
三十三丁
一過葦屋扉女墓時作歌一首二川短歌
都而八日次二日対次終日十九日合三十一日春
いにしへのますらおとこの思ひかたらひつまとひしけむあしのやめ
そなひをと
おくつきを
なかきよのかたりにして
うなひをとおくつきをわかたちなかきよのかたりにして
玉添この道のへちかくいはかまへつくれかつかを天雲の
そき也のきこのみちをゆく人ことにゆきよりていたちなり給ひ
さと人はねにもなきゝかたりつきしのひつきをとめらな
おくつき
こし
ころころころころころころなし
反五行
いわしへのしぬた男のつまこひしうなひほとめのおくつきつくつくつくつくつきを
かたりつてかゝにもこゝと恋しきをたゝめによひいかし也おとこ
同集
十七巻
三十八丁
一起立山賦一首并短哥大伴宿祢家持作
起り四日次二勺対次終句二十三勺合三十一勺五斤
山はしも
あまさかるひなになかゝすこしのなかくぬ寺こと〳〵
川はしも
しゝにあれとも
すめかみのうしはきいまにひかわのそのたち山に
さはにゆけとも
す
とこなりに雪ふりしきておはせるかゝかゝかひ川のきよきせに
朝よひことにたりきりのおもひをめやありかよひいやとしのわに
よそのみもあらさけ見てよろつよのかたらひくさといまたみぬ
人にもつけむおとのみもなのみも
きゝて
反五百文
見れとも
たち山にふりかける雪をとこなつかし見れともあくすかむなからし
ならし
かたかひの川の瀬き少くゆく水のたゆる事なくありによひ見む
同集
一ノ巻
三十九丁
従藤原宮遷于寧楽宮時歌
起く二十二月次二日対次終而七日合三十三九五行
天皇の命かしこみにきひにし家乎梓こもりくの
ミヤコヲヲキニノ
はつせの川に舟うけて我ゆく門の川くまの八十くにおちと
つくまの八十くまおちす
よろつたひえり下しはゝ玉ほこの道行くもし青によし
トコノウヘヨリ
ならのみやさほつにいやき至りて我ねなる衣の上絶
我ねたる衣の上従
あさつてよさやにみゆれは
サムキ
たへのほに
よるのもたふり
同
冷よを
いはとこと
川のひこぼり
サヱル
いこふことなくかよひつゝつくれるいへに千代二千来屋多公輿
われもかふは
反五郎
青によしならの家には万代に我もかよはむ小すかゑふな
同集
九ノ十一シ
二十二丁
一検税便大伴郷登筑波山時作歌一首并短
歎起く十二日次二日対次終日十七間分三十三日暮
ころもてのひたちのくにのふたなみのつくはの山をみまくほり
君きませりとあつけきよしあせかきなけこのねとりうそふてぬほり
此ゆり
をのへを君にみすれは
をのかみもゆろしたまひ
めのかみもちはひたまひ
ときとなく
雲の雨ふる
雲の雨ふるつうはねのさやにてうしいふかりしくにのまほしを
つはらかにみせしたまんはうれしみとひものをときていへのこと
ときてそなひてすみましめましかはなつくさのしけくはあれと
けふのたぬしさ
反五月
けふのひにいかてかしかむつくはねにむかしの人のきけむそのし
周集
ナミ志
七丁
起る廿四勺次二ヶ対次終日五ヶ合三十三ヶ合三十三ヶ合三十三ヶ谷三十三日
大君のみことかしこみ見れとあかふなし山越てまこつみの
いつみの門のはやき肌にさをさし
わたり
たきつもをみつゝわたりてあふみちの大坂山にたむけして
吾こへゆけはさゝなみのしかのからさきさきくあらはまたかへり見む
いやとほに
道のくま八十くまことになけきつゝ我すきゆ
はいやたかに
たて
さとさかりきぬ
つるきたちさやゆぬきいかこやまいかこや万いかこやまいから我せむ
ヤアもこへきぬ
多して
ゆくへしらすて
反五斗
あめつちをなけき恋のみさきくあらはまたにへり見むしかのからさき
同集
一ノ巻
十六丁
過近江荒都時柿本朝臣人麿作歌
起る廿四日次二日対次終日七夕合三十五日暮し
玉ふさきうれひの山のかしはらのひしりの御代物あれましく
神のみことめつかの木のいやつね〳〵に天のしくしめしける
そうみつやまとをおき青によしなら山こえていかさまに
おもほしはせかいはわしがあふみがさゝなみの大津の宮に
さしなみの大津の宮に
玉の
天のしたしろしめしけむ春めきめ神のみことの大み申は
こゝときけとも
大とりは
其といへとも春草しし生たりかすみたつ春日のきれる
もゝしきの大みやところ見れはかつも
反五斤
さらなみのしかのこしきさきくけれと大みや人の船まちかれつ
さゝなこのしかの大わたよとむとも昔の人はし又もあはきやも
同集
十五巻
廿四丁
葛井連老作挽歌
起十四勺次二ケ時句勺十七勺合三十五勺五分
あめつちのともにもはもとおもひいゝありけるものをはしけやし
いへをはなれしなみのかへのなつさひきかし玉の月かもきへぬ
かりかねもつきて来るたゝちねのはゝもつまらも
けば
朝つゆに
夕きりに
ものすそひつし
さきくしもあならむとくいて見はしまつらむものを
みもてぬれて
よのなかの人のなけきはあひおもはす君にちれやもあきの春の
ちしへるぬ也のはつをはなかり月にふき雲はなれとほき国への
露しものさむき山へにやとりせるしむ
反玉行
はしけやしつまもことももたか〳〵にまつらむしやしまかくれぬる
もみちはのちりなむ山にやとりぬる君をまつゝむ人し乗しも
十八巻
同條
三十二丁
三十二丁
○六月朔日忽見雨雲之気仍作雲歌一首
笄
短歌一絶大伴宿祢家持作
一起勺四勺次二勺対次終句二十七日合三十五日寄
うまめつめ
すめろきのしきます国のあめのしたト
すめろきのしきます国のあめのしたよものみちには
ふれのへの
いつくすではみ
いわつき年いたしてよいまのをいゝによろつつきまつるつかさと
つくりたるそのなりはひをあめあらすひのかさなれはうゑしたも
まきしつもあさことよししほみかれはこゝそを見れはこゝろをいたみ
みとり子のちこふかてあまつみのあふきてそあしひきの
まつ
山の音をりにこのみゆるあまのしら雲りたつみのおきつみやんに
たちわたりとのくやりあめもたまび
おひて
反五リ
このみゆる雲添ひこりてとのくもりあめもやらぬかこゝろもろし
同葉
十三巻
十五丁
起候六勺次二勺対頃終而二十七日合三十七勺五行
百不足やまたの道をなひくものうるはしつまこかたうはす
アシヒキノ
はやかはの
わくれしらに
ころもての
かへるもしらに
うましものたちてつまつき
せむすへのたつきをしらに
せむすへのたつきをしるものゝふの八十の心をあめつちに
おもひたらし玉あはゞ君方ますやと我なけくやさかのなけき
玉添この道具人の立とまりいかにともへはこた也やる
たつきを
たつきをさにさにつろふ君か名いはゝいろにいてゝ人しりぬへみ
あしひきめ山よりいへる月まつしと人にはつゝてしまつ我乎
反五月
いをもねす木かもふゑはいつこへに今身誰與可まてときまに
内集
十七巻
三十五丁
十遊覧布勢水海賊一首并短歌大伴宿
祢家持作起勺廿二日次二日対次給与十一勺合卅七勺参し
ものゝふのやそとものをのおもふとち心やらむとうまなんて
うちくちふりしらなみのありそによすかしふたにのさき子もともとほり
まつたえのなかはまれてうなひかはきよきせことにうかはたち
かゆきからみつれともそこもありふせのうみにふせのうみにふねうけすゑ
ゆき
なきさにはあしむらさこき
おきへこきへにこき見れ
おほへこきへにこき見れしまゝにはこぬればさき
こゝはくも
みのさやけてかたまくしけふたかみ山にはふつたのゆきはりかれす
ありかよひいやとしのはにおもふとちかくしあそはないりも見ること
反五斤
ふせの海のおきつしらはありかよひいやこしのはに
ふせの海のおきつしらばありかよひいやとしかはにみつゝしやからむ
同条
十九巻
二十六丁
迫和処女墓類一首并短歌大伴宿祢
家持歌起く十四句次二日対次終句二十五日合四十三日暮し
いにしてにありけるわきのくすはしきことにいゝつくちぬをこと
うなひを
うなひをうつせみのなをあらすて
相争ユ爾つまとひしけるをとめらか
相争雨つまもひしけるをとめらかきけてかなし
さるはなの
した也さかえて
秋の春の
にほひにてれるあたらみのさかりをすゝにますうをのこみいとほしみ
ちゝはゝにまらしてかれ家さかりうなひにいてあてよひにいて
たち
みちくらしほの八重なみにおひく玉ものよりあひもをしきいのちを
□□□□□□□
露しものことましにけれおくつきをこゝとさためてのちのよの
しらさし
きゝつく人もいやとほにしぬひにつけをくししかさし
せよと
おひてなひ
おひてなひ
けり
反五厘
をとめらかのちのしろしとつけをくしおひかわりなけきたらしも
おひて
同集
十八ノモ
四十三丁
忽見入京述懐之作生別愁其所賜万回
恐縮難禁聊奉所心一首并二統大伴宿祢池主報贈
和歌起句十六日次二日対次終日二十五日合四十五日寄
こそによしならをきはなれあまさかるひなにはなれと我せ子を
みつゝしおれきおもひやることもありしを大君のみことかしこみ
をすくにのこととり持て
をすくにのこととう折てわかくさのあゆひたつむし鳥の
むら鳥の
くり
おくれたる
あれやかなしき
朝立いなはおくれたる
たひにゆく
おもふそう
おもふそうやすくもあらに
君かもこひむ
なけかくをとゝめも
ねは
とゝめも
なりかくをしゝめもかねてみわしせは卯の花山のほとゝきす
水上二百しかゆあまきりのみたそしこゝろことにいてゝいはゝゆらし
となみやまたむけのか
とこのやまたむけの神にぬさまつり我こひのまくはしけやし
しかたりかをまさきくもありたまと自たらす
なてしこの花のさうりにあひみしめ
反五郎
一
今まにこの道の神たちまひはせむ我思ふ君なつかしみせよ
うら恋し我せのきみはなてしこの花にもかもなあさる〳〵見む
同集
い
十八巻
二十七丁
一橋類一首并短歌大伴宿祢家持作
起勺二十勺次二勺封次二十九勺合五十三勺五斤
かけまくもあやにかしこしすめろきの神の大み代にたちまもり
とこよにわりや添こもちまゐてこしき時しくのかくのこのこのころみを
かしこくものこしたま」くにもせにおひ立さかえ春されは
てれ
ひこえもえ時鳥なつさつきには初花を枝に手をうて
をとめらに
つとにもやかみ
袖にもこきれ
かくはしみおきてからしみあゆるみか
みつゝしおもひやることもありしを大君のみことかしこみ
をすくにのこととり持て
をすくにのこととり折てわかくさのあゆひ千つむし鳥の
くり
むら鳥の
朝立いなはおくれたる
たひにゆら
あれやかなしき
君かもこひむ
おもふそう
やすくもあら
なけかくをとゝめも
ねは
とゝめも
なりかくをこゝめもかねじみわたせは卯の花山のほとゝきら
ねのみし
水六三なかゆあまきりのみたそゝこゝろことにいてゝいはゝゆらしも
となみやまたむけの中
となみやまたむけの神楽ぬさまつり我こひのまくはしけやし
々
君かたりかをまさきくもありたまと自たらす
なてしこの花のさかりにあひみしめ
反五郎
七
万十八迄
サ五丁ら
五十一匁長分コヽ三リ入
かしみせよ
なく見む
起勺二十勺次二勺対次二十九勺合五十三勺五斤
将作
かけまくもあやにかしこしすめちろきの神の大み代にたちまもり
とこよにわりやほこもちまゐてこしき時しくのかくのかくのかくのみを
かしこくものこしたましくにもせにおひ立さかえ春されは
てれ
ひこえゆえ鳴鳥なづさつきには初花を枝に手をりて
をとめらにつとにもやりみ
しろたんの袖にもこきれ
かくはしみおきてからしみあゆるみか
たまにぬき
たまにぬきてみれともおかす秋つけてみれともおかす秋つほり
あしひきの山のこぬれはくれなゐちしにほひちれたちは花の
なれはひたてかほしくみやみかほしくみゆきふら冬に至れて
露おけともそのみもかれときまゝなすいやさかり元にしかれこそ
汁のみようよろしな也このたちごの木のみと
なつけけら
申も
反五月
たちはなは花にも実にみつれとも
内集
十七巻
二十二丁
忽沈狂疾殆臨泉路仍作誘詞以申悲
十一
○緒類一首二升短百四十六勺次二か付次終日七合七勺合五十七勺寄
大君のまけのまに〳〵ますらをのこゝろふりおこしあしひ干の
山坂こえてあまさかるひなにくたりていまたにもいまたやすめす
とし月もいくらもあらうつせみのよの人なれはうちなひき
ぬに
とこにとひいたけくのひにけにまたらちねのはゝかみことの
ふし
大ふねのゆくり〳〵にしたとひにいつかもこむとまたすらむ
こゝろさむてはゝきよしつまのみこともあけるれは門によりたち
ころもてををりえして夕されは床うちらひぬはたまの
くろかきしきいつしかなけらなけらせも
をそころに
やるよしも
さわきなく
たまほこの
ほみまつかひも
おもほしき
ことつてやらす
なし
こほるにし
こゝろはもえぬ
たまきはるいのちをしけれ
せむすへのたときを知しにかくしてや
せむす也のたときをなしにかくしてやありしをすしにおけきふせらむ
反五月
よのなかはかすなきまり春花のちりのまかひしぬきおもんしぬきおもひしぬきおもへ
山あしのたきへを眺みはしたよし妹をあひみそかくやなけかむ
玉ノ志
反十丁二ケ月
同集
三十丁
好去好来歌
山上臣憶良
起る四日頃二日対次終日五十五日合六十三日五引
かみよゝりいひつてくらくそらみつやまとの玉はすてうきの
ことたまの
いつくしき国
さきはふ国と
かたりつきいゝつおひけりいまのよのひともこと〳〵
めのまくにみたりしりしり人さわかしみちてはこれと高ひかる
ひの大君とかむなからめてのさかり天の下海をしたまし
ひし
いへのこしゑらひたまひおほみこといたゝきかしくにの
もちて
とほきさりつかはされまかにませう舟はらのへにもおきにもおきにも
ひに
神つまりうしつきすもそ〳〵のおほみ神にてふねのへに
みちひきまして天つちのおほみ神七ちやまとの大国みたま
ひさかたのあまのみそらあまかけてみわたしことをはり
与女次次
かへらむひまたさしにあほみ神たちふねまへにしみてうちかけて
には
すみなその
すみなそのはてかをしちかのさきおほともの
みつのはまたらはてにみふねはすゝみなくさきくいまして
はやかへりませ
反五月
大とものみつのまつかきはきてわれたちはやかへりませ
はやかへりませ
はら
またひ
なにはつにみふねはてきこえこはひもとき
たちはしか
ぬと
さけて
せむ
千載集第十八
堀川院御時百首寄奉りけりける時述懐の歌とてよみて
たてまつり遣る
源俊頼朝臣
起力四十五匁次二匁対次終匁百二勺合百五十一匁
もかみつ瀬々の岩かとわきかへり思ふこゝろはおほかれと
ゆくかたもなくせかれつゝ庭のみずとなることはもに住虫の
われからと思ひしらすはなけれともいはては元二てなきさなる
かたはれ舟のうつもれてひく人もなきなけきすと浪の立ゐに
暮しさに
あふけきもむなしきみとりにていふこともしきなしさに
二郎は
音をのみから二尺もおさふる袖もくちはてぬ仏ことにかは
音をのみなは
うちいてゝ
あはれとも思はん人にあふみなる折いてかまのうちいてゝ
いふともいかさゝかにのいかさまにてもかきつかむことをのきは
吹風のはけしきに
ごろと
しりなから
かはの哥もおしふへき
にも
あつさの杣に宮木ひき
せりつみし
昔をよそにきゝしかと今みのうんに
なりはてぬさすくにみ
なりはてぬさするにみはしめとり雲のうちかんにはかたまんとも
なにはのことひさかたの月のかつらしおらねねはうけうが花の
さきなからひらきぬこのいふせさによもの山んにあくかれて
このもくのもにたちましりうつふし漆のあさ衣甚か袂に
ぬきかつて後の世をたにおもへとも思ふ日い〳〵ほたしにて
行へき方まとはれぬかゝらうきつれなくも経にける
としを
かそふれはいつゝの十になりにけり今行末はいなつまの
ひとりの間さためなしたと也はひとりなからへて過にしはかり
にも
すくすとも夢に発見る心ちしてひま行弘にことならし
更にもいはし冬ぐれのをはなか末の露なれは岸をたにも
またげしてもとのしつく」なりわてむ程をはいつとしりてかは
首にとなしづひてきかくのみつねにあしそひてなをふる里に
にも
位のえの塩にたゝよりうつせかひうつし心もうせはてゝ
あらぬよのゆしに又なにことをみ熊野の浦のはまゆふ
あらぬ
かさねつゝうきに絶たるためしには明えの森のつれ〳〵と
いたつらことかきつめてあはれしら行末の人の為には
れむ
をもつから
雪鳥の
をめつから忍はれぬ身なれともはかおきやう鳥の
ことも
あやにかな
はぬ
うつもれてそれにつけ
うつもれでそれにつけ津の国の世の社のいくたひか
これにつけし津の国の世の社のいくたひか
あまのたくもくりかへし心にそはぬ身をからむし
らん
反五月
世の間はうき身にそん願なれや思ひ捨れとはなれさりし
けり