未來記 附雨中吟

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柿本貫躬
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2026-08-17T19:23:17.217Z
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柿本貫躬
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ミライキ
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東北大学
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2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
狩山 東火語団・ 同断 未來記 ○○○ 一一一一一一 右同断事 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 養生ぬる 一〇、、、、、、、、〇、、、、〇〇 以テ購入セル間 新鶴亭吉氏蒲篠書 未来記前和哥得薬生柿本實躬 此書を参来記と号する事は後生の輩哥を詠 する事深き姿のたけ高く優にしてたゝしく 又あはれふかきさまをこひねかはすしてたゝ新 しくよみ出さんとする故にやゝもすれは入ほかに 事過又は心詞とゝかすして正風の事は云に及は す変風の隠まても及はすつゝかぬ事を珍しき 詞として心得ぬ事をふかく理かほにいひ又近代 の秀哥ともをぬすみ取てそれをめつらしき様 にしいたしたるおもふ心をふかくかなしひて京極 一黄門定家卿後学末生の心をかゝ見てめ此 未身計 一出ていましめにし給と也仍此作者柿本貫河 書る事可レ受口伝一者也 此各作者つくり名也得業生とは天子より学問 一寮を給りて及第するを文章得薬生と云也 一紀伝儒者とは高辻殿防城殿これらを申也明 法とは外記官務の類を云也算道とは律令格 式を云也明経とは五位に二経を加へて読を云也 周易礼記毛詩尚書左伝此外に周礼儀礼を加へ て七絃也明経とは則高辻防城殿を申也和歌得 薬生と云は無事也貫祈は貫之の風かと思へは 又躬恒か風也又人丸の風もあり此心を以て作 一者をつくらる也儒者に比して和歌得薬生と 書なり 春 年の内に春はきにけり一とせに二たひ霞む四方の山のは 一此哥は古今の巻頭なる上詠哥の大概にも随て 一為二二句一不一レ詠之といへる詞也結句三句まてその まゝ云り狼藉の至極也一とせに二たひかすむも あまりなるにやたゝ世をゑれぬ人のしいたす へき所をかゝ見いへる也 打出る涙の水ときは山声に色あるうくひすの谷 未来巳 十一月廿一日 是は蔦のなみたの少打とけて古すなかしや 春をしるらんと云歌をとれり本哥はあたらし く幽玄なる哥也泪の氷ときはとつゝく事 秀句以外よろしからす鶯の谷は谷のうくひ すを打通し珍しくせんとするにや入ほか成へし 一本春といはもと菅のねのひしてひくまの野への松の一入 此哥一句つゝ見侍れは常の詞にてさらにとかな く侍るをたゝ秀斎にむすほゝれてつゝけ やうのあしき故に殊外なる物也惣の心は無心所 一着の歌のことくさらに落着なく侍るにや只 めつらしからんとおもふ故也 消かての白雪青き若草にをみの衣をきたる御狩は 白雪あをき先以外のつゝき也をみの衣をきた る御かりはといへる此をみの衣はきる事折〳〵 かはる事侍にやいつれも神試たるへし持 はに小君衣着たる事をきかすたとへはをみ の衣とは地の白きに青すりをしたる物也草 の雪にもみ出たるをゝみの衣ににせたる さら〳〵つきなく哉一向斎のすかたにあらす 尤はゝかるへき体也青と云詞又好しからす 時しあれは暁かけて鶯のこゑする梅を人やおるらん 詩人もこぬ物ゆへに鴬の鳴つる花を折てけるかは 定従記 和歌計 と云古今の哥をとれり本哥はゆゝしくや しきさま也大略其心なから暁かけて人やおる らん入過たる心也五文字の時しあれはも心たら す時しもあれはと云へきにめ此いへるよろし からす 梅花四方の山のは眼満てふしのすかたににほふ白雲 此哥は毎句のつゝきききれ〳〵にしてさまも又 事過たる也末代の哥はいかにも入ほかにさまの 過侍るにこそふしのすかたに匂ふあまりな るにこそこしのしらねに春風そふくを思ひ 出ていへるにや久定家卿の山のすかたを思ふ にや 五 明わたる雲のかけはしとたえせす敷か吉野の拳の桜木 花の散を雲のかけはしになすにやあまりにそ 聞て侍る桜木と留る事よろしからすこそ 今朝かすみ言姫のふもと立こめて天津空行花の白雲 けさかすみと云出たるおもはしからす今朝の あさけなと云は同事重れと優にこそ侍 れおもひわきまふへしよし野のふもとをし つけたる詞にや下句又あまりにそ侍るへき 里の名に昔をとへは山ふきのこたへぬ色の露の玉つさ 是は款冬のこたへぬ色に露をきてさとの 未来記 筆部 むかしはとふかひもなしと云をとれるなるへし 露の玉つさ又いふに及はす 春は北秋は南に飛鳥のあすかや弥生くれて行らん 一雁を其まゝによますしてあたらしくせん といひたてたるも中〳〵をろかにやあすかや 弥生といへる移り又いひおほぜすや 夏 夏の来て卯花白くぬきかふる衣ひならしあまのかく山 一かの衣ほすてふあまのかく山と云名歌を其 まゝにてひるらしといひかへて詮とし詞こ とに見苦しくや夏のきてもおもはしから こそ 時鳥鳴やさ月のよの程をあかしや鐘のこゑもほの〳〵 この三句言下のたゝ詞也四五の句さたに及は すや おもふへし花たちはなの軒古て昔にたとる袖の音の 先五文字心ゆかす下句の哥もむかしの袖 の香にすると云を袖のかの哥とつゝけたる 詞も詮なくや 鐘くらき野寺を杉の木の木の申より山時高聲のおちくる 一先鏡くらきの五もしよろしからす野寺を以 未長巳 神城詞 もいかゝ木のまより時鳥のこゑのおちくるて わさとかましくや風情過て詞つかひやう よろしからす 五月雨に舟路も遠く立波のをのれたゆたふしかの大わ 志賀の海なとは静なるやうに云てこそ 所にも似合侍れをのれたゆたふなと云た る心も詞もよろしからす五月雨の舟路の とをくなる事も心ゆかす 是は秋かいさゝ村竹そよこよひ夏ともつけよふし侍 これは秋か殊外のたゝ親也いさゝ村竹とつゝく 秀句又よろしからすそよこよひも聞にくし おもしろからせんとする程に風情しとやかに もなくなれる也 かやりひ とまれかし行方しらぬ蚊遣火の煙そ空にみちの旅人 旅人のさまさらによりつかすけふりそ空にみち のなとつゝきたる又よろしからす 屋よいかに詠の空も力かけて玉ほこ白き露の夕かほ 此上三句はいさゝ村竹のたくひ也玉ほこ白きい 外の事にや。露の夕かほもさしてこのましから す夕かほの露とこそ有へき物を 夏衣木のはやしの枝つゝき遠近近とよむ蝉のもろ声 夏ころも木ゝもいかにそや又木ゝのはやじの枝 トモ巳 未来言 つゝきあまりに取こみて聞よからす遠近 とよむ事過たるにや いつみ川千とせの命いくしたてみかの原ふく風そ涼しき 泉川千とせのつゝき先よろしからす命いくし たてにくき風情かみかのはら吹文聞よか らす田夫の花のかけをはなれ商人の布衣 のみとも云つへしいくしたては五十の串也 秋 賤のめか織や衣の朝明に袖もまとをの秋のはつ風 をるや衣のあさとつゝけん為にやよろしからす あさ明又好ましからす袖も海とをのつゝきも おほつかなしおさをあらみと云てこそ本 哥にもかなひ侍るへけれ さ筵にかたしきかぬる夜を寒み今や衣をうちの橋ひ かたしきかほる夜をさむみよろしらす下句 笑の詞にやかやうのたゝひいくらも有へき 事也よく〳〵かへりみ有へき物歟 遠山のかけひをつたふ鹿の音も共になかるゝ水の白波 とを山の色もし云ならはさすや鹿の音のなか るゝも樋に白波もいかく侍るへき風情をこの む心よりかやうに出来ける成へし 従来記七七 三十一日 夜半になく虎の音とをす板まより月影なから吹 一鹿の音とをす板まとるへからすや吹あらし 哉もすてに禁せらるゝ詞にこそたゝ蛙 どこに任の条後人の心なるへきをはかりよめる也 いく夜月我衣手に影なれぬぬれて物思ふは明の床 ぬれて物おもふもつゝきよろしからすは 明の床又同上句も幽玄ならす哉 みよし野の秋冷しき夕書はすゝ吹峯にあらしなり 三吉野の秋もことなる事なくていかゝ秋 すさましきもよろしからす下句すゝ吹風 こそ侍るへきを吹と云て又嵐たつといへる いかにそやすゝ吹風を身にしめてを取そこな へるにこそ 秋そかし露のよすかに風散て月吹よひの袖のかたしき 吹よひことに聞よからす 五もし先よろしからす風ちりて又いかにそや月 下葉おちふみ分かたき蟇国こゑに秋はくれつゝ 一桐の葉もふみ分かたくをかやうに取そこなへる 事口おしくこそふみわけかたききり〳〵す 以外にこそ侍れ下句もさま〳〵よろしからす 韮そむるまかきの菊のかことたになかはゝ霜の下染そ 菊のかこと聞にくき也上下の句の下染菊に 未来記 神身計 一云なれても聞えす惣の理文たしかならす 行釈は今宵いなはの山なりとやもらへ草の枕結ひて ゆく秋と云て又こよひいなはと云も同心也 山なりとゝ云も詞てつゝにてかたことのやう にや侍らん又秋の草枕むすけん事と過侍かや 冬 山は冬残る共なき一むらのにしきもあきに嵐ふく也 山は冬とをけるもいかにそや此哥はからにし き秋のかたみや立田山敷あへぬ枝に嵐ふくなり 此歌をとれる大かた是は心えて未来記遥は いかくと覚侍れとあまりに錦の縁なくや希は 縁の詞なとにてこそ姿もやさしく成やうの 事侍れされはかやうなるはさらによろしから すさなから又本奇に前の事なし 道芝や霜枯はてし給やいつれ誰にとはたの面かはりて みち芝やと云跡やいつれといへるかしましくや さ衣に尋ぬへき草の原さへうらかれてたれに とはまし道芝の露此哥を取と見ゆたれに 鳥羽田殊外に秀句聞くるしくや 風わたる芦の枯葉にとたゆ也なにはの事の夢の浮橋 はしをあしの枯葉にかくる事おもしろく 同同三 未身計 あらんとの心かへりて見苦しくや侍らん異風の 一かきりにや和西行の歌を取たり 夜たゝ鳴波まの千鳥塩風に吹返さるゝ浦のはつしま よたゝなくもふるくは侍れと常ならぬ詞也 波まの千鳥のまの字又いかく吹返さるゝうらの初 嶋とつゝくは葛のはとのやうに聞ゆるさまい ひおほせられぬ事にこそうらのはつしまも つきなくや古き哥をおもふへき事はかやうに あしくつゝけ侍らんとにはあらす先賢のをしへ をいかにも云しらすへき事にこそ さし暮るすさきにたてるさきたまの津にをる舟も水 さきたまの津は名所也然るをすさきにたてるこ いへるは鷺に取なしいへるにやつにをる舟万葉 にみさこゐる洲にをる舟なとよみ侍れと聞 よからす古体ならんとては聞にくき事 を取出しめつらしからんとてはいひにくき秀 句を好む事をいましめんか為也 雪雪しろし暁ふかく入そのに千里の月のほの〳〵の山 一上下共に朗詠の詩を詮にせり歌に取てそ のさま理り有をよろしとは云へくやほの〳〵 一の山例の事也よく〳〵つゝしむへきにこそ わたつみのあまのまくかた久かたの空ふる雪をたてそし 朱代記 しく ラース まくかたの事公只関にさま〳〵の事をまて かたにて侍るへしそれをなをまくかたといへる もをしたる心にや久かたとつゝく事誠に 入ほかなる金詞也空ふる雪もよろしから すたゝ小智の詠あらは也 白雪も降つむかのゝ道たえてけふこぬ人を松の下をれ 此第二句よみもとかれす下句の松の下をれ 雪にはさもや侍らんなれと云つゝけて更 に其よしなしふかくこれを思ふへきとそ 是はあれぬとはぬ詠の雪の中をたかならはしと暮果る とはぬ詠の雪の中詞つゝきも理見えす 下句の心に其理明ならすいひつゝけてみ るにする〴〵と聞えさる第一嫌事に 屋侍らん ふる山の千尋の松のなみそき此ゆふつけて積る白男 ふる山と云名所にや又いかゝ古今にたかみ そき木綿付鳥かから衣と云哥を取て し出ると見ゆ松のたかみそき心えす一向 無心所着のさまとや 恋 夏虫を袖につゝめる玉ゆらもいはゝや物を人に。られて □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 舜蓮か袖に蛍をつゝ見てもといへるを珍 しく取かへんとて作り出るさま也上手の歌 を取かへんとせはかならすかやうに侍へ きもの也学者よく〳〵思唯すへしとの いさめ也袖につゝめる玉ゆらもなと返え さまあしき秀句なるへし 影はかり見うら崎なるねつこ草下にもえつゝ年はへに 万葉に芝付のみうらさきなるねつこ草 と云歌はこれを取り先にも云かことく 万葉は優にたけ高きをこひならふへ きをかゝるいさふの物を取出る事後生の □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ いたす所也此草いかなる物ともしらすこれを 云ぬへし但又何にかはせん 我恋は大やかはらの岩ひつら手にはとれ共ぬるよしも 万歳にいるまろの大やかはしの岩ひつら ひかはぬる〳〵わかなた也そねかみつけのかほ やる沼の岩ひつらひるはぬれつゝあとな たへそね此二首いるまろはいるまのこかり の道にやかほやか浪も名所也いつれも 水辺の草也と見ゆ長くてひく物にやか ぬる〳〵と云もぬれつゝと云も心はなとひ ぬるゝとも我名たゝすと云心也かゝる哥 なり 同七七 未来言 も更に優ならす詮なくやまして 是を取て証とする事心の程も見え侍る へし大や河原もあつまの名所と見ゆ ぬるをねぬる心によするなるへし毎々か かる心よしなし事にや 恋の道ふむしつけこか手玉なくしほる泪や渕となる しつけこと云るは人の事にやおほつかなし 手玉なくとは機なとをるに手玉なと云 事有にやたゝひまなくおつるなみたと 見ゆ渕となる瀧なと留るさま更に歌に あらすこそ侍れ 長き夜の時なんとする愚言もまたつきなくに袖ぬらす 明なんとする兼言家隆卿の歌に猶長き夜 の月そ残れると侍るをとれるにや三句にう つる字殊にたち侍る也また巻なくにも古 記には侍れときゝよからす 風さはくゆらの湊をこた舟のうきて物思ふ身そ行ゑな 一此歌曽祢の好忠か歌をさなからとれりかやう には云へからすこそ身は行ゑなきもことはつ まりてころしかゝす行ゑなき身といはん は所によりてやさしくも侍るへき歟 人はいさ昨日の雲の跡もな〳〵と朝はきえぬの夢よはに 仁仁 未来計 十三 家隆卿の昨日の雲をうらやみとれると見ゆか やうにまちかき哥共をくれす取事はゝか り有へき物也けさは消ぬのなと更に聞もなら はぬ詞にや 夕暮はつゝき嵐のうつの山おもひをたれにつたの下道 家隆卿のつらきあらしをこひねかふさまにや不 一や句おもひをたれにつたの下道つたへん の心にやいまた事たらす あた人を松にあらしの吹かねて色に見すべきことのはもなし 是は松を時雨のそめかねてをうらやみとれかさ まなり吹かねて殊外にこそ侍れ から枯の庭の村萩秋くれて人の心のあとの山かせ 慈鎮和尚家隆卿後両首を上下に其まゝを けるさまのあまりにや惣して古き哥を取も 其時代又故実侍るへしまして此ころの哥を みなとりよむへき人の心をいましめんと也学者 是をはちおもふへき事にこそ 同七月七日 □□□□□□□□ 未来訓 うちうぎん 雨中吟 此十七首未来記同前には侍れと別に此名 を西中昨と号する事尤可レ候は其得子細 有之此名の外に体なし体の外に名なし といへり体とは常の風体也西の声閻明の体 とも云り風体のあしきをしらしめんのをしへ なりたとへは寝面の物むつかしく打おもふ 様にてくらきかと見れは又あかくなりあき らかなるとみれは又くらく成て勝々として いひしらす心ちもたと〳〵敷山河草木の けしき鳥のこゑなともうちしほれたるやう の時はきやうの折ふしはあらぬうれへもそひて 物いま〳〵しきことはり見えすおもへともと かれす遍きこゆるやうなるも心詞とをらす むすほゝるゝやうに有を西中の心にたとへて 一面中吟といへる也かならす雨中をあしきと云 一女はあらすさひしくて物哀なる心もかき又おし もじろき心も殿には有なり又かなしきさま をよみてそれを感にも成事有詩にも 一盧山両夜草庵中なといへるも心有さま也 又俊成卿の歌に昔おもふ時鳥家隆卿斎 に春雨に木葉みたれし村時雨それもま 矢杉仁 未来記 きるゝかたは有けり是も春の雨のさひしさか いたりたるに感となれる也たゝ雨の降さまにし 表にもおもしろくも又心神くもりはてゝもの くるはしくいまはしきやうの事もあり風 体のあしき歌を書面の中の心にたとへたる 物也後生の人は見な詞を珍しく心をふかくと 一案する所正路にはなくして首尾せぬ所わ くへきいましめのをしへ也返々歌は風体の めしきを嫌事也数を十七首に定めらるゝ 事は太子の十七ヶ条の御憲法をかたとる義也 またれ行光もをそき月よりも雨に聞ゆる荻の音かな 此作者はもしまたるゝ月のためよりも荻の音の 聞ゆるかかなしきとよめるにやたとひさは侍ゝ めとも更にたしかにも聞えす殊に下句の きまうれはしき体也狭にはいくたひも風 をこまん事正路の理也それをさし置ても にて珍しくせんとするかあしき也定家卿の 一近代の百首詞にも後学の人の弁は安かるへ きをはなれたる事をつゝけんとする故に 斎のさまころしからぬよしをの給へる也左大切 のをしへ也夜の雨此心也 未足四 討来記 打しめり薄のうれはをもりつゝ雨ふく風になひて欝 先薄のう礼葉よろしからす大かた一村すゝき に村雨の露かゝりたるさまなとは其興侍る へきをしめりはでゝおれふしたるやうな るころあら〳〵と西風の吹たらんは物うらめし く愁侘たるやうにこそ侍るへけれかやうに 哥を案しよまん事をいましむるの道也な を此体詩に乱たる世の声は恨以怒りと 一云心也此歌いまはしき哥の風体也 夢くらきしらぬ外山の鹿のこゑさむる枕の雨にたくひて 此歌の心さしは夢たにさたかならぬ心するに いつくともなく鹿のこゑ聞ゆるさまにやみ紅にも 有へき事を五もの哥くらきしらぬと山と 一かける事あしき也夢晴と云詞其理なくさ むる枕といふも何かさむるそなと聞ゆるやう なり一首を吹して風体のあしきをおもひし るへきとそ何れの哥も詠吟してその心をは 別すへき物也されはしたてやうによりて異 風にも正風にも成へきにこそ世上の人のさま も風体あしけれはよろしき心をも打うし なふ物にこそ何れ学者其心をおもふへき の心の義也 一同 林春訓 十一寸 秋は行雨は雫にふりしめて袖のしりける夕くれの空 雨はしつくにふりしめては泪とも聞えす事 右外に聞にくき也袖のおもひのみゆるにて侍 らめといひやうのあしきにより聞にくゝ成 なり一首吟せは物わひしきさまにこそ 仲く里の雲に心のかよふらんうかふとかこつ月は雨にて 先いく里の雲に心のといへる俳つかすや侍らん うかふとかこつ事の外にこそ。月は雨にても 留るも作意にて人の心も見ゆる物にこそした たるよるの雨古今にも見えてこそ侍れ 暮の秋はしにしたゝるよかの雨草の庵の内ならすとも 先くれの秋といへるつまりたる五もし也橋に詩の 心なからつきなく取出たる物也一二の句つゝきよ ろしからす下句又更に其かんなくこそ侍れ 哀ふかくとかする様なれとあらそひて事の外 にや侍らん をやみせすまよの空になく泪もりぬしほりぬせく方々 この哥の詞つかひしほり過て感なくこそ侍れ 下の句ことに心の外にや 星もなく雲まも見えぬ雨のよに猶またるゝは山のはの空 此哥誠に無心所着と云つへし又愁はしくやこ こまて八首雨を詠する事西中吟の名をかた 未長四 者来訓 とる義也此末雨ならぬ哥も同詞たゝしから て物のよしも聞え侍らぬは両中のさま前に 云かことく無分別なる心を両中のたとへと いふへし是より末五首みな其理聞えすあや めもわかぬ歌とも也それを両中の師と覚悟 すへき物にそ つれ〳〵と山路度けき秋風に日影ひとつにかよふ春哉 一二の句は冷しき物也下句はあたゝかなるさまなり 惣して春に秋をよひいたし秋に春を結ひ てよめる事は常の事也させる感なくてよ む事曲なくや此歌歌けき山ちに秋風吹 たゝんは寒さのいたりたる義也さありとおもへは日 頼はぬれ〳〵としたるさま也俗言にそこさむく うわあつきなと云て物むつかしき事有に 似たり詞つかひ句のうつりなとはさしてとかなし たゝさまのあしく聞ゆる也猶此哥には上下の云 やうとすれはかゝりと云さまにや両声闇明 のたとへに叶へり そよ暮ぬならの木の葉に風吹て星出る空の村雲のかけ 一色もしめ心中ゆかすならの木の葉もいかく下句 おかしけに云なさんとはしたてたるにやたゝし 星もつきなくこそ侍れ一首を吟しつゝけ 巳年 十九 新剤訓 て見るに風体ことの外にや侍らん たみてこそ山の深きは詠めつれ秋にわひぬる長き夜の霜 上句末にいかなる事あらんとおもへは長夜の霜 におもひわひたるさまさして詮なし一首を 云つゝくれは其興も哀もなしたゝ山ふかく居 て愁しほれつゝかひなき心さま雨中吟なり 一唯哥のさまはれ〳〵しからぬを嫌也 一峯の雲ふもとの霧に色くれて雲も心も秋の松かせ 上句みな西中吟のさま也色くれて見レ可レ然詞と そ侍し秋の松風もよろしからすこそかなし きさまをはいへと更に哀ならす惣してこの 抄にいへる詞に一ふしあらんといひて又心に興あら むとする所相かまへてかやうに詠すへからさる よし代々の庭訓也 様ならす物を思はぬ空まても契よしなき夕暮の鐘 秋にもあらす物おもふにもあらすして何 事かかなじくも侍らん又何の弊ともしら ずこそ侍れ夕くれの鐘も哀なる物なれはこと はひとへに取こみておもしろからす哥のさま 尤いまはしき体也 とはぬかししれもやらぬ鐘のねにたのめもなれぬ明方の哥 上句の詞つかひ物のかたそはのやうに聞ゆか也 未来記 二十 可被仰付 鐘のねもいひならはすこそねもしのちかきは故に 聞にくき也下句も心あらはならて一首の建立 更に理なし両中吟の至極也 忘れぬらんうらめしと思ひ思ふとても待へきにあらすとはん 此哥句ことに文字をあます事詮なくや下 句無下のたゝ詞也此哥を愚見抄とやらん いへる物に宣家卿の自讃の哥といへりいかて かは自讃の歌を此抄に入られ侍らんかの愚 見抄は桐火おけの類也 いへはたゝまたうたゝねの袖なから桃も白き軒のひま〳〵 是はなに事を詠せりとも見えすづゝきは慈 の哥なとゝみれは又さも侍らす袖なかしと 書て其末に理見えす惣しての理りもたし かならすたゝたはことまて也是又雨中吟の心也 つげもせし尋もゆかし今夜なと生田の小野の木からしめ 一二の句先おもしろからす心は生田の杜とよます して小野といへるも後学の輩の心をいへる 今也木からしの風又制の詞也心をかすかに珍 しくせんとする儀にや此二は誠にさる事なれと それに善悪有へきにや侍らん此抄の具書 此風体をかかりに好みよまん時は哥の道のこと ごとくすたるへき世いたれりとしるへしゆめ〳〵 三巳 二十一癸 未身言 まなふへからさる体也此比もかやうのすかたなの つから見え侍るへし仍後学のためにしるし 留る所也 図る所也 此旨学者能々可有思慮一者歟 慶安三年 寅十二月 4623 二十三 同断二十八 同七八 以下に 弟子 鹿一 □□□□□□□□ 松蘿堂 蔵寺 五日 身不恕而能喩諸人者未之有也 此レ又承テ上文一人定國ヲ而言フル國一人定一人定一然ノ後ニ 可以貴人之善一二人之善一無ヲ悪二於巳ニ然後ニ可二以テ正ス人ノ之 悪ク。皆推テ巳ヲ以テ及ホ今所謂恕也。所謂恕也。如レ是。則 所令反其所好。而民不從矣。所。而民不從也 故治国在齊其ノ災ヲ 日本 東下西国