妬湯仇討話
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- 歌川豐國畫
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- 2026-08-17T19:23:18.080Z
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- 場所: 江戸
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- 歌川豐國畫
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- 日本語
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- 蔦屋重三郎
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- ウワナリユアダウチバナシ
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- 東北大学
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- 2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
始湯仇計語上
一ゆの
名山東京傳作
有馬筆
物歌川豊国画図
二
摂州有馬湯
泉之傍数ト
歩在一小湯
形如盆池其
沸少許俗名
曰妬湯
へせつしうありま
摂州有馬
せつしうありま全部六冊
全部六冊
うはなりゆあたうちばな
おふぢのでん
於藤之傳
妬湯仇討話
通油街科書堂梓
□□
皆
十九年乙巳年九月九日乙巳年記記録記録記録記録記録記録記録
一如湯仇討話小引東都通油町蔦屋重三郎版
這稗史は長禄の頃の小歌に松になりたや有馬の松に藤にまかれて
見とござると唄つたへたる摂州有馬の湯女於藤が復讎の事をのべ
ならびに同所の古跡後妻湯鳥の地獄有明桜等の来由をしる
せりされどわづかなる藤波の流れの跡を汲て作りまうけたる史にし
あれば勘懲の意味深き教戒の篭の海を探索ことあたはず唯喜
怒哀楽の人形筆を躍しめてわづかに児女のつれ〳〵を慰る而已
文化四年丁卯四月稿成
同五年戊辰正月発行
山東京伝識
元和元年同同九日同十九月九日同九丁九丁九丁目九丁目
摂州有馬湯女杵藤
此五香猶勝
如花語更真
春風や酒女の笹原わけて
ねん・許六
地獄谷之荒鷲婆
病鳥をとりしむくひによりて
生ながら諸鳥にせめらる
殺生の
罪科
もくぜん
通
目前にその
むくいありおそる
べし
蛤蚊居木竅間守宮噺錫之類也其首
如蟾蜍背緑色上有黄班点如古錦蜘蛛絲妓
長尺許尾短其色最大雄為蛤雌為妙
一雌一雄常自呼其名一
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
摂州大江判官家臣
岩手森九郎
大江判官妾婦
漁火怨浸
たつと見る
うちにきえ
けり
霜はしら
山東京山
うはなり
長禄のころひがし山
よくまさ郷の
じだいのことゝ
かやせつつのくにゝ
大江のはんぐわん
くにとしと
きこへしは
いまだ
としわかく
ほんさいは
めとゝれ
す二人の
てかけあり
けるが
ひとりは
いさりび
とてことし
はたち
ばかりなり
ひとりは
ありあけ
とて十七才
なり二人とも
にたくひ
まれなる
きりやう
にて一つい
のひきよく
すこしも
まさりおとりなく
やうきひせいしそとをり
こまちともいひつへく
やなきの
ゑだに
さくら
のはなを
さかせて
さかせて
梅のかほり
をとめたる
ふぜいなればはんぐわんくにとし
いづれをいづれとわけんくにとし
いづれをいづれとわけへだてなく
ちやうあひ
ふかくぞ
つかはれける
○さてあり
あけはふだいの
かしんまのゝ
入ゑもんといふ
ものゝむすめにて
こゝろばへやさしく
すなほなる
うまれにて
すこしも
ねたむ
こゝろなとは
もたざりけるが
いざりびいもと
岩手木にけらと
いふろうにんのいもと
にてそのみはんくわん
のてかけとなかしゆへ
あにもりけらもめし
かゝへられてとうけの
けらいとなる
きやうだい
ともにころざ
ゆがめるものにて
〽どふじや
しやうぶは
ついたが
どちらでも
まけた
ものに
此大はいで
いかにのして
ありあけを
とほさわがみ
ひとりちやう
あいにあづかり
よつきをかみて
きやうだいともに
すへのゑいぐわをきは
めんとこゝろのうちにこふおき
わざとおもてむきはあり明が
きげんをとりわれとしうへ
なれどもわざととししたの
ありあけがしたはにつく
やうにしてゆだんさせ
やうにしてゆだんさせ
〽それしまふたら
おもてむきはむつましく
こゝろのうちにはつるぎ
をとゞぞおそ
つれびきの
さ
きゝ
たい
〽おまへは
おじやう
を
どにして
〽なんの
じやう
すて
ほんの
うつなり
みごもらぬさきにわれみごもり
うみいだして思ひのまゝに
いせいをふるはばやと
あらゆるかみほとげに
りうぐわんしかぢ
りうぐわんしかち
きとうに心をつくしみやうやく
きとうに心をつくしみやうやく
いまだそのしるしもなしありまの
おんせんによくすればかならずはらむ
いざりびはとかくありあけがよつぎを
ひやくにこがねをおしまずといへども
ときゝほどもとほからぬところなれば
なぐさみかてらにとしばしのいとまを
ねがひすでにありまにおもむきて
とうりうのあいだなにしおふ
つゞみがたきのたぐひちかき
あたりのめいしよこせきをやう
らんしところのなさへおそろしき
ぢごくだにといふところに
のりものをおろさせてやすらひ
けるにかたわらのくさむらの
うちより一つのしやうぢや
かいるをのまんとおどり
いでけるがへびもかいかも
うしこのなかれにおち入て
たちまちししたるやう
すなりそれさへふしきと
みるうちにかのながれの
うへをとびこゆるからすすゞめ
たちまちみづにおちてしして
たちまちみづにおちてしして
けりいざりびはのりものゝ
うちよりこのていをみて
あやしみそのゆへをたつね
けるにあんないのもの申しけるは
此ながれにはどくきありとり
むしのたぐいこゝにちかづけは
たちまちしすゆへにとりの
ちごくともむしのちごくとも
申すなりもゝ人此みづをのむ
ときはそく死はせざれども
はやきはおよそ五十日
おそきは百日すぎて
〽あれみやれ
どくきはつし
からすや
らいひやうの
ごときやまひと
すゞめが
さかたまに
なりてついには
なつて
いのちたすからず
候とものがたればいざりひ
候とものうたれはいさる
これをきくてさても
〽あれ〳〵こらふじ
ませへびもかいるも
あの水へ
おちて
しに
おそろしい
ことじや
のうきいて
さへみうちが
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
やうなとみぶるい
○とりのぢ
きうせきいまは
井のごとき
わづかの
かたち
のこる
してこわげなる
のうちにはあり
あけをうしなふ
にはこれくつきやう
のとくすいと
うちうなづき
てぞかへりける
とはなり
〽ほんにのう
どふいふこと
じやのあんないの
ものをよんで
わけを
きゝやい
いざりびはやかたにかへりあに
岩手森九郎とみつだんし
かのとりのぢごくのみづを
とりよせてありあけに
のませんとはかりけるが
めつたにとりよかせもし
たにもれてはごにちの
さまたげなればひとの
しらぬやうにとりよせ
ばやといろ〳〵しあんを
めぐらしけり
〽そふたいあのありあけが
おやの入ゑもんといふ
おやの入ゑもんといふ
おやぢひごろちうざ
だてをしてはれ〳〵
きやうだいがはかり
ごとのじやまになるやつ
あいつもどうぞ
おつかたづけて
しめへさへものだ
□□□□□□□□
〽かのごくすいを
もつてありあげめに
わるひやまひを
わろらはせおいさけて
しまへばはんぐわん
さまはねかそふと
おこそふとわたしが
こゝろしだいその
うへでよつぎの
わるぎみをうめば
おまんものぢふは
しつけんしよ〳〵
なんとうまい
ござんせぬか
どうぞ
かの水を
とり
かせて
くだ
さんせ
はやいが
よい
ぞへ
森九郎かのどくすいのことをつら〳〵思ふに
とかく人にいひつけてはほかへもれんことも
とかく人にいひつけてはほかへもれんことも
きづかはしとおもひしゆくぐわんありて
すみよくへさんけいのよくを申上て
しばしのいとまをねがひとも人は
とちうにまたせおきよにいり
みづからふくめんづきんにかほ
みつからふくめんつきんにかほ
かくしてかのとりのちごくに
ちかづきとくりのうちに
どくすいをくみとり
ゐたるうしろのかたに
こゑありて相成九郎
さまやちうといひ
おひとりで此ごく水を
くみとりなにの用に
なく給ふといふを
きいて大たんふてき
の森九郎もおもひ
がけねばぴつくりし
ふりかへりてよく〳〵みれば
日ごろやかた人馬のかいりやうを
おさむる豆作といふものなり
成九郎思ふに此ものはひさしやべ
森九郎思ふに此ものはひさ
しくやかたへいでいりして
いつかちうのものおほかたはちかづき
ごくをくらはゞさらをねぶれといふ事あ
おもひつゝそしらぬかほしてあいさつしやだんを
みすましたゞ一かたなにきりころししがいをたにへ
けおとしかのとくりをたづさへてぞかへりける
〽うねがくちを
しやべらぬうちも
しやべらぬうちに
ころして
なりこいつにみとがめられしは百ねんめ
しまふのだは
うはなり
○ものいはじちくはながらのはし
ばくらなるをはきじもとたれ
ざらまじといふ古哥も
今このまめさくがみのうへ
詞
かくて森九郎かのどくすいをいざりひにあたへければ
いざりびよろこびめいしゆのうちへかの水をくわへ
こしもとに
もたせて
ありあり
ありあり
かたへぞ
おくりける
さてそしらぬ
かほして
ゐたりけるが
五十日ほど
すぎてあり
あけろはかに
だいねつはつし
いちやのうちに
かほやそうみに
ふきでものして
しだいにひに〳〵
くさりらいびやうの
ようだいなれば
やかたのうちにをり
すたのうちにをり
がたくひやうきの
さといりへもんがかたへ
さがりければいさりびの
なにくはぬかほして
こゝもとをいり
一へもんがかたへ
つかひにやり
やうすをまうしとて
いとまをねがひおや
さま〴〵のおくりものに
みまひのふみをそへて
さもしんせつにいひつかはし
ひやうきのていひつかはし
びやうきのていをうかゞはせ
〽いさかひかたよりおみまひの
ふみづかひ此丁なはおくまひの
しるしてござり
ます
見
され
に
せぬ
けるにまことのびやうきに
さういなきよくはかり事を
しするしたりとひそかに
よろこびぬありあけは
さま〴〵のりやうぢを
なしけるがあゝそう
しだいにくさり
たゞれてそうみ
あたかもがまの
せなかのごとくに
なりてはなのすがたの
あともなくあはれむべし
ことくわづかに十八才を
いちごとしてついに
はかなくなりけるにぞ
ちゝいりへもんはいふもさらな
ありあけがおとゝおぎの介
そのいもとしらたきが
なげきいふべうもあらず
まことにあはれの
ていなりしが
さてしもあるべき
ことならねば
ひろうしてむな
しきからを
もべにおくり
こけのした
びやうしのよしを
にぞうづめける
〽あまたのはい
らいびやうの
しうきを
したいあつまる
〽いけく
〽ありあけが
おとくおき
おのくく糸とも
の介
十六さい
ことくもやさい
あねのかたはらを
はなれずかん
〽さても
ござりまみやう
さても大江の
はんぐわん
くにとしは
あいしやう
ありあけ
あくそうに
よつてひやうし
ときゝ給ひ
おゝいにしう
しやうし給ひけるが
いまはいざりひ
ひとりねやの
とぎとなり
かたちをつくり
こびをけんじ
てはんくわん
のこゝろを
とらかし
けるにぞ
さかなを
さるものは日々に
うとくついには
ありあけがことも
わすれたまひ
ひたすらいさりひ
をちやうあいふかく
めしつかはれけるにより
いさりびはのぞみの
ごとくいせい
しだいにつよく
しだいにつよく
なりうへみぬ
わしとはね
わしとはね
をのしめに
をのしあに
もり九郎も
おのづから
りろしんして
たまはり。
ぐわん
もとより
成
〽ちと
おあいを
ま
うはなり
かりをこのまれ
けるがかりば
いつしきの用を
つかさどるやくめを
森九郎にいひつけ
給ひかねてひそうの
いだてんまだらといふ
めいばをたまはり
けるにぞくわん
ちうのしよしん
しぜんと森け郎を
そんきやうしその
いきほひかたを
ならぶるもの
もなし
京傳衛
読書書
一つゝみ
一匁五分
きこんをつよくし
ものおほへをよくす
すべてきよしやうの
人用ひて
こうのうくをし
○たばこいれ
きせる
○京伝自画さん
あふぎたんざくあり
かながみふく火
しん
ない
しな〳〵
○山東京山玉石銅印
篆刻取す
の
一豆さくと
いふはとうごく
いふはとうごく
ありまごほり
あけのむらの
へんにすみ
ぐわんらいいり
むこにてつまは
小よしといひ
一人のなんし
まめ太郎と
いふはことし
十二さいにてうまれつきたる
めぐらこなりそのつぎ
なるはことしうまれの
なんしにて作松といふ
小よしがはゝほといふ
によしがはらはとし八十に
あまりおいぼれてこども
のやうになりまことに
二どおぼこといふがごとく
なにごともたわい
なかりけるがによしは
世にまれなるかう女
〽ちゝをたんと
あがつてもふ
あがつてもふ
おやすみ
なされませ
とこを
あたゝめて
おきま
にてろうぼにかう〳〵を
つくすことなか〳〵
ことばにつくされず
豆太郎も又おやを
ふかくろう
ぼや二おや
ほや二おや
につかゆる
みならひかうしん
ことまめ
やかなり
内に
さて豆作
がしがい
をたにの
をたにの
うちより
みつけいだし
森九郎が
しはざとは
ゆめにもしらず
ふかくなげき
かなしみけるが
まめさく
なきのちは
いまゝでの
とせいをする
こどもならず
だん〴〵まづしく
なりけるが
なりけるが
ろうぼはのこら
ずはがぬけては
ものをくう事に
ならねば
によしは
はゝにちゝ
をのませて
やしなひぬ
これや
まことに
はんほ
のかう
ともいつつ
べくもろこし
の二十
きかうにゆおとる
へからすけに
しゆしやうのかう〳〵はなり
うへなり
し
の
なき
はゝ
ちゝを
のませ
なひ
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
〽ことし
うまれ
の子
のこ
まめ
太郎
まめさくひごうにじしてのちは
なにのとせいもせず
しやう〳〵の
かざいをとり
ぐいにして
くらしければ
一おやこ四人
やう〳〵ひとへの
つゞれにはだへを
かくすばかりにて
あさゆふのけふり
さへたてかねたり
されども
ろうぼには
めくらの
ゆへ
うゆること
なしといへども
小よしまめ太郎
おやこはくふものも
ろく〳〵にくふこと
しならずかへがち
なりければ豆太郎
おさなごゝろにこれを
かならみすこゝにても
ぜにをえてはゝにあくまで
しよくじをさせたく思ひけれども
もとでもなければせんかたなくそのみ
めくらのことなればほかにすべき
やうもなく手さぐりにてわらぢを
大う云
〽こども
めの
みへぬ
ものを
なぶつて
ろい
いづかの
あきないで
はゝを
おもへともめくらのことなればとほ
うりにいづることもならずちかき
むらへとりにゆくみち〳〵もさとの
こともになふられてつぶてをうたれ
どろ水をかけられなどすれども
めくらのことなればこれを
せいすことあたはず
たゞいちづにるう〳〵に
のみこりかたまりたる
ものなればたゞかんにん
にしくなしとかへつて
つくりこれをすこしのぜにゝかへんと
こどもらにわびこと
してぞとほりける
そのこゝろねぞ
太郎
わらぢを
ふびんなるさて
あり
いへ
なく
つくり
わらぢ
なれれ
もあし
ければ
さい
□□
犬はか〴〵しく
くれざり
ければ
あゆみつかれて
ものにこしを
かけてやすらひ
それよりまいにちつくるほどのつかぢをかい行けり
そのあたひのぜにをみるにみなさびたるぜになりけり
そのみをなでゝみれば子ども
につぶてをうたれてひため
からはちかながれつまづきたれば
むかふすねを
むかふすねを
かゝらぬていを
どろをかけられ
なげきてさめ〴〵とぞなぎゐたる
ときに一人のそうきたりわらぢを
ありたけかいゆきければ豆太郎介
大によろこびその日はおもふになくおもふ
はゝにしよくしをいたさせけりの
よくじつまたかのそうきたりてわらぢをかひ
はゝによしかのそうのことさびたる
ぜにをみて日〳〵おほくのわらぢを
かふてなにゝすることぞと
かふてなにゝすることぞと
いぶかりある日まめ太郎が
○かのまめ太郎をなふりしこともらは
ねつびやうをいつらひしとそ
てをひきてかのそうの
あとをつけてゆきけるに
山口むらといふ所にてみ
うしなひいよ〳〵いぶかしく
一つのつかのうへにいしのちぞうそん
ざし給ひそのおんくびにまめ太郎が
つくりたるわらぢおほくかけてありさては
このぢそうぼさつまめ太郎がかうしんを
あはれみ給ひそうとなりてさいせんの
思ひそこらあたりをたづねけるに
一つのつかのうへにいしのちぞうそん
あたへのぜに
みなさびて
ありしもの
ならんと
まことに
かひ給ふにうたがひなしそれゆへ
ありがたく
たうどくて
かんるいそで
賽
鉄
をしぼりけり
せつしうあり
まくほり山口
むらにぜにづか
のぢそうみて
さまにあるみほど
けはこれなりとそ
又ぢぞうほさつに
けうぢをあぐる事
これよりはじまり
けるとかや
けるとかや
○これとな
なくの
くどく
ふかき
ゆへと
しられ
人の
こと
して
はけこ
おこなふ
小よしろうぼにちゝろ
あたへてやしなふに
くわんちいほそきちゝ
なればはゝにたくさん
のますればさくまつに
のまするちゝたらず
さく松に十ぶんのますれば
はゝにあたふるちゝふそく也
されどもおやはこにかへ
がたしと思ひさく松には
のませずしてはゝにのみ
あたへけるにぞさく松は
ちぶさをしたひてなき
わめきしだいにやせ
おとろへければかくては
命もなかるべしうへしなんを
みんよりはふびんながらも
すてるにしるじおやのみと
してこをすてるはつみふかしと
いへどもおやのためには
ぜひもなしもろこくの
孝子は子をうづめんと
したるものさへ
あるものをと
こゝろつよくも
思ひけり
うはなり
〽ちゝのむがそれほどに
うれしいかかわい
そうにさぞひもじ
かりつらんいつせの
かりつらんいつせの
わかれにちる
たんとのんで
おきや
当年
山東
京山
ゑさう
しなく
出板仕候
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
よろ〳〵
さておやといつせのわかれにせめてちゝを十ぶんにのませてすてばやとは
ひざのうへにかきあぐればさく松はちゝにうへたるときなればいと
うれしげにちぶさをふくみいますてらるゝとは
しらずしてすや〳〵とこゝろよげにねふり
けるそのねかほをつゝ〴〵とうちながめたま〳〵
もふ此よ
ではあはれ
おやことうまれきてそのゑんはふかくと
いへどもふかんなときにうまれあはせて
ちゝさへもろく〳〵にあたへずうまれ
まいこれが
いつせの
いきわかれ
おちからうへさせてまだとうざいも
かなしや
わかぬこをおやのてづからすてに
ゆくふびんさよとてやせたる
はらをおしなでいゝ
ひたんのなみだ
はら〳〵とかほの
うへにおちかゝり
ければさく松はめを
さましてなき
いだすにぞ小よしは
せなかをさすりいんのこ〳〵
といひてゆすりあけちくねせ
つけて一つのふごをとりいだしうちに
ふるわたをしきてさく松をいだき入
いぬなどにくはれぬやうにとまもりを
かけさせさてすぐりをとりいだしなみだて
すみをすりながし一つうのかきつけをぞ
したゝめけるそのぶんていにいはく
かさぐるま
まはして
ふびんな
やつじや
○わたくしことおつとにわかれいへまづしくひとりの
ろうぼをやくなひかねてふびんながらはゝの
てづから此男子をすて申候おやのみとして
子をすつるつゝみふかしとぞんし候へども
おやにはかへがたく此しぎにおよび候おやこの
おんあひせつなるかなくみ御すいりやう
くだされべく候もつともあしきちすぢの
子にてはなく候あいだなさけある
おんかたさまおんひろひとり
御よういくくだされべく候はゞ
しやう〴〵せゝ
御おん
わすれ
申まじく
候いつたい
ちゝほそく
うへがちにて
びやうしんの
子に候へば
さぞごやつかい
とぞんじ候
ほうそうも
かろくせよかし
かろくせよかし
とぞんしまもり
をはだにかけ
させおき申候へその
をもいれおき候▼
うへなり
寒
中山
鎗
同四月一日
むしのくすりもあま
そへおきゆへばとう
ぶんおんのませくだ
されべく候をとかきて
あくのあ□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
の年月日時を着るし
これをひとつにふごに
いれてやちうひそかに
一たづさへいで山口村の
もちぞうぼさつ
のまへにすて
此おんほとけの
おかけにてなさ
けある人にひろ
はれよかしとで
なみだを
すればさくおは
めをさましてなきを
いだをゆへに又
たちもとりていだき
あげちぶきをふての
ねせつけてそつと
おき思ひきつて
さらんとすれば又
なくゆへにまた
もどりていだきあげ
ねんねこ〳〵よ
ねんねがこもりは
どこへいたとあたりを
どこへいたとあたりを
はゞかる小ごへにて
ゆすりあぐれはさく
松はおやこいつせの
いきわきわきわきわす
してにこくとわらふ
にぞによしはおぼへず
むせよへりはなれ
がたなくおぼへける
がたなくおぼへける
をのしもはるか
にちやうちん
のひかることへ
けれはみと
がめられ
じと思ひ
きり小児
をそこに
すておきて
なく〳〵に
やにかへり
けりこれゟ
によし思ひの
まゝにはくす
ちぶさを
あたへ
ます
によしといひ
まめ太郎
といひ
世にまれ
なるかうし
なればのちに
そのすみしところを
母子むらとなづけ
いまに
いたりて
せつ
ありま
ごほりに
そのちめい
をのこしぬ
○それは
さておき
森九郎
いさりび
きやうだいは
はんぐわん
はんぐわん
くにとしの心に
かなひしだいに
かなひしだいに
りつしんしておもふ
まゝにけんいをふるひ
きやうだいともにたび〳〵
きやうたいともにたひ〳〵
わがまゝのことありければ
とうけのしつけん玉つくり
村のしんといふものはんぐわんの
〽人の
かよ
まへにいでかれちきやうだいが
あやまりをかぞへたてゝかんげんを
もちひけるにぞはんぐわんもしつけん
しよくのことばなればもだしがたく
いさりひをはしばらくしもやかたへおしこめ
おき森九郎をばとうぶんめどをりを
とをざけ給ひぬ○さるほどにいさりびは
しもやかたにおしこめられしゆゑんいと
たけのしらべにのみあかしくらせしみの
にはるにさみしくこしもとまでもしり
ぞけられひとまのうちにたゞひとり
すみけるがをりしもあきのなかばにて
むしのもろこゑいとほそくそらとぶ
かりのはつねさへきをひきいるゝこゝちして
いりあいのかねきこゆればけふもくれぬと
おどろきてしよんぼりとたゞひとり
ゑんさきにいでゝながめ
ゐたるににはすへの
くさむらのうちより
いとあやしき人かげ
ぞあらはれける
なにものぞとよく
みればしろき
しやうぞくみだれがみ
のすがたすぎゆきし
のすがたすきゆきし
ありあけがれいごんにうたがひ
なしさてかすかなるこへして
いひけるはうらめしやいさりび
わらはゝなんぢがためにあらきやまひを
うけてみまかりそのうらみめつせされば
なり
〽ありあけが
ゆうこんあき
くさのうちゟ
あらはるゝ
いまにうかまず
申右にまよふて
ゐるぞかしさり
ながらさんげに
つみをめつすると
いへばなんぢが
くちより
あくじの
しさいを
さんげせば
まげてから
まけてから
みをはらすべし
もしさもなくば
たち岡ころに
とりころしとも
にめいどへつれ
ゆかんいかにやいか
にとせめ
□□□□□□□□
ありあけがうらみをきゝて大たん
ふてきのいさりびもみうち
〽人にまれなる大あくにんめ思ひしつたか
とく〳〵うでをまはしおろう
ぞつとひへとをりそのうらみは
ことはりぞいまはなにをか
つゝむべきとてあにもりけら
といひあはせとりの
ぢごくのどくすいを
とりめいしゆにくわん
ておくりあたへたる
ことをくわしくかたり
いまはうらみてかへ
らぬことあと
ねんごろに
とふらふべし
うらみをはらし
じやうぶつあれ
なむあみだふつ
〳〵ととなふる
をりしもには木の
かげよりありあけがちゝ
まのゝいかへもん一人の小児を
いだきてたちいづればつゞいて
天つくり村のしんあらはれいでやにはに
いざりひをたかてこてにいましめければ
かのゆうれいはらへのしろききぬをぬき
すつればやうれいにはあらずしてあり
あけぞんじやうのていなればいさりびつたゞ
あきれたるばかりなりときにいりへもんをさり
ひをはつたとにらみさきだつてなんちが
たちまちしすよりて鳥のぢごくのごくすいとさとり
おくりしめいしゆあやしかりしゆへかい鳥はそゝぎしに
〽さては
たばかられ
たるくち
おしや
このばに
およんで
わるびれる
やうな
おんなじやない
てもぎやう
さんな
おほく〳〵〳〵
とあざ
わらふ
ありあけにつげてそのさけをのみたる
ていにもてなさせみにうるしをぬらしめて
ちいびやうのていにみせびやうしと
ひろうしてかりにのべのおくりを
なせし事みな此
村のしんどのと
いひあはせの
はかりことなり
そのせつあり
あけはんぐわん
さまのおん
たねをやどし
ゐたれども
なんぢがしつ
とをおそれて
ひろうせす
びやうしといつはりし
ひてしといふともの
のちは村のしんどのゝ
たくにしのばせおきすでに
あんざんしてそのわかぎみは
あんさんしてそのわがきみら
すなはち此御なんしなりなんぢかあくじ
それとさとれどもたしかなるしやうこなく
とのきいあいふかきなんぢなればもし
ざんげんにあはゞかへつてわれ〳〵がつみを
ざんげんにあはゞかへつてわれ〳〵がつみを
うたんことをおそれてけふまで
うけんことをおそれてけふまではつゝみ
いたりじせつとうらいしていまなんぢが
くちよりはくじやうのうへはこれに
こしたるしやうこなしはんぐわんの
ごぜんにひきなほきうめいを
くはふべしいざ〳〵とてひつたてつゝ
いちどうにかみまたへぞいそぎわる
いちつどうにかみまたへぞいそぎける
〽此御なんしはむらのしんどのゝ
たくにてありあけが
あんざん
せしとのゝ
おんたね
なるは
〽わらはかくゆう
れいのすがたに
つくりておくりておくりておくりておくりておくりておくりておくり
よりしのびいりしのびいり
なんぢを
おどせしは
あじを
はゝ
じやう
させん
はかり一と
みなこれ
村のしん
さまと
ちみへの
いひ
にて
あり
けな
すが
さても村のしん入ゑもんはいさりびに
なわをかけてはんぐわんのごぜんに
いたりありあげはしゆつしやうの
わかぎみをいだきてごぜんに
いでいちどうにくはしぎ
ことをきこへあげ
けるにぞはんぐわん
どの
はじめて
いさりび
きやうだい
があくじを
しりありあけが
みのつゝがなきと
わかぎみたんじやう
のことをよろこび
給ひさつそく
森九郎をとらへ
しめ給ふに森九郎は
はやくあくじろけん
のことをしりその
よのうちにしゆつほん
ゆきがたしれずなり
にけりはんぐわん
いさりひをふかく
にいひつけて
いさりびを
すまきとし
にゝみ給ひ村のしん
村の
ありまのゆもと谷の町家
のゆつぼのうちへふしづけ
にぞさせ給ふさてあり
心あけはもとのごとく
そばめをして
わかきみを
よういく
給はり
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
へもんには
もりもらが
あとやく
としてかりば
いつしきの用を
つかさどらせ
さきだつて
もり九郎に
たまはりたる
かのいだてん
けの
うはなり
〽なんといつても
もふ百ねん
めだ
〽たとへこのみは
しするとも
こんぱくは
このゆつぼに
とゞまり
ながく
あたをなく
□□み□
むくふべし
ゑゝくちをしや
ざんねん
〽あくのむくひは
こはひものだ
しよいほ
までを
くだされ
栄枯
くわふく
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
これらの
いふなる也
十五
さるほどに
いざりびは
せきあくの
むくひによつて
ゆつぼのうちに
ふしつけとなり
此よ
なる
せう
ねつ
ちごく
ひの
くるま
くるひ
しにしし
けるがその
ゑんこん此
ゆくん此
ゆつぼに
とゞまりあめ
あげ一のごと
かぜのよはやつぼの
うちよりあやしき
すがたをあらはし
てあなくるしや
たへがたやとさけび
ければさとひとら
おそれてちかづかず
いまにありまの
うはなりゆといふは
このゆつぼのこと
なりとぞ
前編終
京伝著作
〽このつゞき
ありまの
おふちの
でんかたき
うちまで
こうへん
十四
京傳作
豊国画
戊辰
発販
の国
蔦重版
をせにしばりそめごらうがうせいばなし一全山東京傳作
全山東京傳作
六
翻感染五郎強勢談
四
歌川豊国画
○合巻にて売出シ申候
豆州天城山の猟戸山友円八夫婦貪慾邪見にして釜が浦牛九郎に
害せられ其死霊京四条河原の辻君にとりつきて畜生道物語
の事曽根寄丹下が娘母に孝行をつくすけ同下人すね平たぐ
ひなき忠義主人親子をはごくむ艱難の事絞染五郎勇力強
勢の事因果上人の教化によりて国八夫婦成仏得脱の事釜が淵
牛九郎孝子忠臣のために討るゝ事のたゞびすべて因果観面善
一報悪報の速なる道理を説しめしたる稗史なり
来巳年新版絵草紙鏤刻出来次第当秋より売出申候間
不相変御求可被下候○山東両家の作五郎出板仕候耕書堂記
ありあげは
ぎみを
候
也
だつべしと
あふせを
かうむり
もとのごとく
やかたの
うち
にめし
つかはれ
けるが
このたびは
まことの
びやうき
にてちく
入ゑもんが〽はて人かげ
たくに
さがりさま〴〵
さがりさま〴〵
〽はて人かげ
もみへぬに
ぞんの
いりやうを
つくすといへども
ひぐにやせおとろへて
じや
つや〳〵ものもすこまず
よるもねられぬまくに
うづら〳〵としてねぬがち
なるにあるよおくにはの
かたゟこまげたにてとび
いしをつたひくるあじおと
するゆへみくをそばだてく
きけばつねにきゝなれたる
い□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
なんびやうのものものにに行人つゞく
□□□□□□□□
十六
午十一日ゟ
合
四日
さま〴〵
なる
かぢ
そつべしあけさせてみするにさらに人かげもならといふしやうしを
られば又あしおとありてこなたよりかなたへかよひかなたよりこなたへ
ゆきつもどりつするあしおとなりそれよりまいやしんやにいたれば
いさりびがあしおときこへありあけはこれをきくたびにみうち
ぞつとひへとをりなをもやまひ
よりとひつどをりなをもやまひ
おもくなるにぞいるさま
これはいさりびがあくりやう
のしわざなるべしと
ひやうぎあり
はんぐわんどのく
めいにてあらゆる
おめいそうちしき
きとう
をなすと
いへども
みこ山ぶしに
おふせて
つゆはかりも
しるしなく
わかぎみを
くるしみたふれて
たへいることたび〳〵
なりのちにはちうや
をわかたずくるしみて
しだいにしんたいにしんため
おとろへ
あはれむべし
うみたる
みなれば
くわんちうの
くわんちうの
しよしも
おのづからたつとみ
かはる〴〵みまひて
いろ〳〵にこゝろをつくせども
びやうきはます〳〵おもり
あやしみもいよ〳〵つのりて
のちにはやなり
しんどうし
まどのしやうじ
●ありあけ
はかなくなりければ
ちゝ入ゑもんはさるなり
おとゝおぎの助いもと
しらたきがなげき
いふべくもあらずさて
あるべきことならねば
やぐわいにおくりてむならき
けふりとなしたゞまつこつ
のかせに
さかりの
はなを
ちらし
わづかに
十九才を
いちごとして
しでのたび
ぢにおも
むきぬ
などにさつと
やのむね
にて
女の
らふ
同
ゑ
などを
ありあけが
目には
をり〳〵
いさりひが
すまきに
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
なりたる
まくの
すがたにて
みうちより
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
しく〳〵〳〵
ゆげたらのぼりくろかみ
おゝしけ
をみだしたるがまくら
ちかくあゆみよりまなこを
いからしはたとにらむては
めにさへぎりそのたび〳〵に
ありあけがあなくるしや
あつやたへかたやいとし
□□□□□いさりびがこはね
てついには
□□□
らみぞのこりけるさて四十いげんによつて
ありまごほりつゞみが
にそのほねをほねをほうむりつねにあいし
たるには木のさくらをうつしうへて
はかしるしとすありあけ
さくらといふめいぼくは
これなりとそ
〽あねさま
おくすりを
うはなり
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
あをのむらのによしがはゝはことし
八十よさいにてまことに天じゆへ
をたもちてわうじやうしたれ
どもによしまめ太郎おやこが
なげきはひつくすべくもあらず
なく〳〵のべのおくりをなしそのゝちむ
おやわたゞふたりにてくらしけるが
にはしが思ふ八まめ太郎めくら
子のことなれば此まゝおびたては
いつしやうをおくるなりはひ
なかるべしめしいのわざに
さうおうのはりをたてる
わざをいまりならはすに
しらじとおもひつきさいわい
ちかきむらによきばりたて
ありければまいにちそのかたへ
はりのけいこにぞつかはしける
とゝに又いわてもりけらはさき
だつて大江のやかたをいそがはしく
しやつほんしたればたこくへにけ
ゆかんにもろぎんのたくはへなく
ゆかんにもなぎんのたくはへなく
せんうたなさにとうごくゆの山の
山中にかくれいりよな〳〵いでゝ
ゆきゝの人をうからひなにとぞ
のきんをゑてたこくににげゆかんと
思ひけるがかのまめ太郎はりを
けいこにゆきてかへりがけゆの山みち
四十八かせといふところのたにあいを
とをりけるをもりけらこかげより
うかゞひみるにくびにさいふを
かけていとおもけにはへければ
こゝろにゑふやうこの
おさなきものよほどの
かねをもちたる
やうすなるが
かならず
大あき人の
めしつかひ
にてなはせの
かねもちて
ゆくにちがひ
ゆくにちがひ
なしこれ
てんのあたへ
なりとよくに
めがくれて
まめ太郎が
つんをつきて
めくら子
なるにきも
つかずそゞろ
によろこび
つとはしり
いでゝまめ
太郎をはり
たふしかた
八郎の大木
にくゝりつけ
さいふを
とつてうち
をあらため
みるにかね
にはあらず
してべんとう
にもちしと
みへたるにぎりめ
竹のかはにつゝみて
なり
〽これはとふだ
かねと思ひのほか
にぎりめしむた
ほねを
おつた
いめんま
を
下り九郎
これを
だいちに
なげつけ
まめ太郎を
よく〳〵みれは
めくら子なれは
けちいま〳〵しい
どうめくらめ
これをしつたら
むたぼねは
おさまい
ものをくやくやくやくやくやくやくやくやく
さよぜめてこの
さよせめてこの
わんぼうなりと
さるてにして
はらを
いんと
きもの
をはい
でまた
しばりつけ
ゆかんと
せしが
たち
もどり
こゑ
などを
しられ
ごにち
ごにち
なをぬき給へしとかたなをぬきのへどのへどの人をさしとほしとほしきものを
かくへてもかんとするにあくおも〳〵してあゆまれねはこはあやくやとおもひつゝ
あくふみかため又御らんとするにひとあしもあゆまれねばいよ〳〵あやしみ
きものをすつれはあしはたちまちかるくなりついに山ふかくにげいりぬ
○はこの小よしはかくいくもしらずはやよにいれどもまめ太郎かへらされば
大にあんじ●むるひにいでゝ此ところをところをとをりあしにからまるものを
小ぢやう
ちんにて
みれば
がおび
ぬのこ
なりこれは
まめ太郎
ふしぎと
おどろき
むらうになりてなにごともぞんせずさていま
はゝさまのよび給ふおんこへがみくにいりゆめの
さめたるやうにおほん此ところへはいで候といへといへば
さめたるやうにおほ人此ところへはいで候といへば。
によしはきゐの思ひをなしぢぞうぼさつを
よく〳〵みればみおぼへあるかの山口むらのみほとけ
にてのどのあたりにきすつきてありけるにぞ
さてはこのみほとけなんぢがかう〳〵をかんじ給ひ
みがはりとなりて
つゝあたり
又もなんぎを
〽これはたじかに
をみれば
大ぼくに
はしの
いしの
ぢぞう
山口むらの
ちぞう
さまじや
ぼさつを
しばり
つけて
ありける
にぞいま〳〵
さんしみ
まめ太郎は
いづく
にぞ
まめ太郎
よ
よぶり
ければ
くさ
もつたい
なやとて
かんない
そでを
しほりけり
まめ太郎も
たう
とく
思ひ
そ
がはしく
一いまゝではざぞうで
あつたがりうぞうに
あらはれ
給ふも
又一つの
ふしき
□□
図
ふかき
所より
まつ
太郎
はだる
にて
はい
かて
はゝ
さま
にて
にて
おはす
りや
よき
ところへ
きて
くたされ
しぞと
いふに
ことよし
まつ
おちつき
なにゆへ
すちははた
かになりて
かになりて
そこにはゐつる
ぞといへば
まめ太郎
かやう〳〵にて
木にしはり
つけられ
のこのあたり
ひやりといたし
今の
きものをちやくし
おやこしてちぞう
ほさつをもり奉り
山口むらの
つかのうへにもとの
ごとくあんちし
奉りてかへりぬ
これまつたく
まめ太郎か
□□□□□□□
〽いまのは
たしかに
はゝ
さまの
こゑじや
こやから
かうしん
ふりきゆへ
とこれを
きく
かんせぬ
ものなく
この
ざとう
だにと
なづけ
てその
なり
いまに
のこりぬ
ためたら
めくらこ
なる
ゆへに
しかは
な□
なるべ
にぢぞうほさつ
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
小よしおやこがゆめの
うちにつけ給ふはかの
たにのへんに一つのしみつ
ありそのみづにて
まいにちまめ太郎が
目をあらふべし
かならずしるし
あらんとつけ給ふに
よりをしへのごごく
なくければ廿一日めに
まめ太郎かまなこ
ひらきてつねの人よりも
なをあきらかになりぬ
これよりかのしみづを
目あらひ水かこなづけて
目あらひ水となつけて
これもいまにそのな
のこりぬみなこれかう〳〵の
とくなるぞかし
とくなるぞかし
○それはさておきまのゝ
へゑもんはありあけがあとを
へゑもんはありあけがあとを
ねんごろにとふらひほとなく
百かにちもすぎけるに又一ツ
のきよらじそいできたりぬ
□ゑもんさきだつてもりけらが
ゐとやくをいひつかりて
かりばの用一しきを
つかさとりいつたん
もりけらにたまはり
たるいだてんあしける
いふめいばずを
くだされけるが
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
ならしのためこぶしに
たりをすとんかの
かだてんあしげの
うまにのりずさを
めしぐしていりあひ
ごろに山をくだらんとし
けるがをりしも
ゆふぎりふかく
たちこめて
とうざいも
さだかなら
ざりけるが
まへなる
みねのあたり
よりつるおと
たかくひゞきて
しらはのや
一すぢとび
きたり
入ゑもんが
のどぶへを
のぶかにぐさと
ゐぬきければ
なりとも
□□□□
〽これはなにものゝ
○しはざぞはやく
そこらをさかして
くせものをとらふべしはやく
▼ぐわんらいがうきの
ろうじんなれども
いたでなればなにりは
もつてたまるべき馬より
まつさかさまにおちて
そのまゝいきはたへはてぬ
つきしたがひしものどもくせものを
とらへんとこゝのみねかしこのいわかげを
さがしけれども人かげもみへざればせんかたなく
一人をいへにはしらせ一子おきの助にかくとつけければ
おぎの助きやうてんしはや馬にて此所へきたりめ
おぎの助あくのしがいをいだきおこしてみれば
はやこときれてこほりのごとくひへ
かたまりけるにぞあるいはあきれ
あるひはなげきしばしとほうに
くれたりけるがやくあいてこゝろを
しづめておもひけるはこれは
いわてもり九郎がしはざに
うたがひなしとほやに
かけしはひきやうなやつ
なんぢたとひいづくに
にけかくるゝともたづね
いだしてちくのかたきを
うたでやはあるべきと
こぶしをにぎりはを
かみならしてこくうを
にらみじだんだをふみ
けるがさてしもあるべき
ことならねばしがいを
いへにもちかへりしゆじんに
しさいをくわしくまうし
あげてなく〳〵のべにおくりけり
萩
○この山の女神〽あしげのこま
〽なかをすへたる人しげどうのゆみ
〽しらはのや山にいるをいみきらふ
そのたぐひもし山にいるときは山河
めいとうしいかづちよりひゞくといひつたふ
此とき入ゑもんあしげのこまにのりたかを
すえて山にいりしらはのやにあたりてちくめい
したるは山のかみのたりかもしれずと
かくて父入ゑもんの百か日もすぎければ
おぎの助しらたききやうだいしゆくん
大江のはんぐわんぐわんくにとしのまへに
いでゆの山にてちゝをとをやに
かけしはまつたくいわてもり九郎が
しわざとそんじゆへばわれ〳〵
きやうだいか水がゆくへをたづね
父のかたきをうち申したく候あいだ
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
はだされかしとねがひけるにぞ
けん□□□□□□□しんをかんじて
とつそくきゝとゞけたまひ
のぞみのごとくしばしのいとまを
つかはすあいだしゆびよくかさき
をうつてめでたくきさんいたす
べしとのたまひければありがたく
おれい申てしりぞきさてにはかに
かないをとりおさめかざいはしばらく
ゑんじやにあづけおききやうだい
いすがはしくたびのよういをとゝのへて
ふくしんのしもべ実平といふ
ものを一人めしぐししやう〳〵の
にもつをもたせてほつそくし
けるがもり九郎がゆくへ
いつくをあてにたづぬべき
たよりもなけれどまづ
きんごくをたづねばやと
思ひかはちいづみやまとそのほか
ちかきくに〴〵をめぐりはんとし
ばかりたづねけれどもそのゆくへぶつに
しれずいせよりあふみにいでこきやう
の人にあひてきけばもりけらたこくへは
みつけたるものもありとかたりければおぎの助
さるずやはりせつつつうちにかくれすむよし
卅九
ひやうぎする人も
ありけれども
まつたく
ふくむ
ものゝ
しはざと
おぼへたり
きやうだいそれとはしらす
きんごくをたづねしはむだあし
にてありしを
いひて
すぐに
こきやう
せつつつ
くにへ
たち
り
ぬ
口上
ほり
ほり
江町
二丁目
いせ孫
かたにて
しんせい
あらひ
玉と
申すをおろし
うり仕る
おほく御ざす御もらめ
つねのあらい
ことちがひ
こうのう甚
こうのう甚
御ざす御もらめ
可被下り
かくておぎの介
しらたき
きやうだい
せつつつ
くにへもどりて
あまねく
さがし
もとめ
けれども
とか〳
しれざり
おきの介
思ふやう
こう
ごくの
山おく
なごに
かくれすむも
しれすあり
蔵
きのおんせんは
しよにんの
しよにんの
述志
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
もとめなば
れれ
□□
して
しれぬことは
よもあらじと
しあんを
将頼
きはめさいはい
ありまのゆばに
〽
さいくは
こゝの
めいぶつ
よつて
しる人ありけれはそれにたより
みをやつしおほくの人にきをつけて
もつはらそのてかゝりをたづねけりそも〳〵
ゆなといふは五つ湯のりよかくにてをまか
せてなぐさなるものなれどもおふぢはかりに
みをやつしゐることなればいかでか
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
おほんたる小うたをうたひしやみせんを
一おほへたる小うたをうたひしやみせんを
おきてざしきばかりをつとめ
おほくの人のくちうらをひきて
もつはらかたきのてかうをもゝめ
けるがよにたくひなきびしん
なるうへにはなはだこゑよく
しらたきはおふぢとなをかへて湯女に
しでみせんもたいなりければそこへも
こゝへもとおほくの人にめでられすこしの
ひまも
〽ちらつとまいつている
やり
すぐにきます
わいな
あり
まの
おふぢ
〳〵とて
しぜんと
そのな
たかく
なり
人
〽まつになりたやありまの松に
つまつになりたやありまの松に
ふぢにまかれて見とござるといふ
ありまぶじの小うたは此ときよりかたひはじめけるとなん
〽これ〳〵おふぢ
さんちよつと
さんちよつと
このあいして
くだんせ
〽江戸から
一山本
富士五郎
てじなれんまんの
めいじんが大さかへ
まいつてゐるときつひ
ひやうばんでござります
人丸のうたに〽みな人のかさにぬふてふ
ありますけありてのゝちもあはんとぞ
思ふとよみしはむかくよりこの
ありまのめいさんとしておほく
すけがさをつくりいだすゆへなり
としかりをつくらいたすなり
さるほどにしらたきはおふちと
なをかへてゆなとなりおきの介は
あり
有馬
人形筆
□つくりいだしければめづらしきふで也
しんのもてあたしきふでもつくのとしきふでしきふで
子とものもてあそびいへつとによき
ものとて入湯のりよかくきそひて
これをもゝめぬありまのにんきやう
ふでといふはこれなりかゝるかうしの
つくりはじめたるふでなれは今のよ
までもそのかたをうつしてめいぶりと
なりこれをもとめていへつとにする
いまにたへず又しつ午はすけ
がさをつくりとき〴〵
これをうりにいつるに
これをとりにいつるに
ことよせてしよ〳〵
南馬毛少々町
ほう〳〵をありき
もつはらかたきを
たつねけり
名物
忠孝堂
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
ふでの
○おき
の助
かくおち
つきてくらし
かたきを
やうつ心
なき
ていに
みするは一
みな
かたきに
さする
けいりやくなり
から
くりの
四日辛丑年
自馬筆
全図
全図筆管五寸六分
十一丁一丁一丁
管ふとさ図のごとし
摂州
有馬
有馬場上町三十二丁一丁二丁二丁目
名産
人形
筆之
図
筆頭一寸二分
○たこくの人はにんぎやうふでをいまだみざる人もあるへければその首を右にあらはす
ぢくを五しきのいとにてまきはなはだみごとなりちくのうちにからくりをしかけもじを
かけばぢくのしりよりちいさきにんぎやうのいつるやうにしたるふでなりにんぎやう八
ゑひす大こくとうじんのかいろ〳〵ありふでのちくをいこにてまくはまきふでとてふるき
ことなりしかのまきふでなといふも鹿毛にてゆひたるふてのちくといとにてまきたるをいふ也
こゝに又いわて
もり九郎はせつ
つのくにをさつて
かわちのくにゝ
一たちこへまへど
めしつかひたる
かばくもでと
いふろうぢよ
とうごくに
すむよし
それをたより
それをたより
にみを
かくさはや
とこゝかしこ
たづね
ありき
いこま山の
さんちう
ところの
なさへ
くらかり
とうけ
ちごや
たにと
にを
すみて
ものとはばやと
ためらひけるに
おぼしくいとくるしげにうめ〳〵
こゑきこゆ又かねをうち
ねんぶつのこゑありあな
くるしやたはかたやと
うめけばかゝをせわしく
うちならしねんぶつを
せはしくとなふ
もりけらあみかさ
のひまより
あがらやのうちにびやうにんと
〽なまいだ
のぞきみれば
どてらぬのこを
きたるわかもの
あら〳〵しき
あら〳〵しき
てににあは
ずを
かけて
ぶり
だんの
あり
こな
たに
ふし
たるは
ひやう人と
みへゆきを
あざむく
うはなり
ともなればからざるもの事を以る
かみのける
四五ほんつゝ
ぬける
たび〳〵にばゝくるしみてこへを
〳〵たつるなります〳〵あやしみて
よく〳〵みればやぜおとろへて
やめこなたをかへり
しらがのうばなるがあやしいかなかん
かもきじさきはとすぐめのたぐいの
しよちやうまくらがみにゐならび
ばゝのしらがをくわへてひけばその
むかしのすがたはなしと
いへどもたづぬるうは
くもてにうたかひなけれは
やかてあんないをこふに
かのとりどもはきへかせ
かのわるものねんぶつを
みてあんないを
こふはなに人ぞと
いふもりけら
いふもりけら
これは
いわてもり九郎
とてこのやの
戸かう女くもでに
ゑんあるもの
なりといへば
わるものたちいで
しつんことをひらき
しはのとをひらき
さてはかねて
きくおよぶ
せつしやが
はゝの
ちゝを
あげ
これへと
内へ
〽もり九郎
かきの
そとより
うかゞひことる
さてしか六はゝはやまひに
おかされてけふあすもしれ
候はずといへばもり九郎
まづかきのそとにてみたる
とりのふるまひをかたり
けるにぞしか六なみだ
をながしそれをごらん
なされしうへはな心をか
つゝみ申すべきわたくしは
かりうどをわざといたし
候がはゝはとしよるに
したがひてとんよく
ふかくなりよな〳〵
いでゝねとりをとり
おほ〳〵のとりをしめ
ころしてかり候
わたくしもせつしやう
をわざといたし
御へどもさすがに
ねとりはとり
まうさずね
とりをとる
ことはすべて
一りうどなかま
のかたきいま
しめにても
ねとりをとゝ
つみふかき事
つみふかき事
うけたまはり
候人ははくに
〳〵
いけんを
くわへ
候へども
〽さてこそ
ばゝあ
めが
ねとりを
つみをつくり
くふものも
つられれ
くらはずに
ためた金と
みへるしか六が
もとらぬうちに
はやくもつて
はやくもつて
にげましやう
もちひず
これまで
よしほほ
十ねんほど
ねとりを
水ごりを
どり申候
じぜんと
人もしり
ちごく
たにの
あら
わし
ばゝと
ばゝと
やう
をとり
候がその
〽しかろくふる
つゞらにはゝのしかはね
をおためての人のおくり
むくひにや
このたび大ねつびやうをわづらひ
あなくるしやた人かたやかみのけが
四五ほんづゝぬけるやうにかしらがいたんで
くるしいとわめき候がとりのかたちは
わたくしの目にはみへ申さずたゞ今
ごらんなされしおんはなしを
ごらんなされしおんはなしを
うけたまはればいよ〳〵とりの
むくひにうたがひなく候はくが
むくひにうたがひなく候はゝが
びやうきにつきわたくしも
いちねんほつきしてこのころは
せつしやうをやめはゝがらいせを
たすかるやうにおねんぶつばかり
申ておりますとらくるいしてぞ
かたりけるもり九郎はかうあくふてきの
ものなればむくひのほどをおそろしと
やつかなとこゝろに思ひそれがしいつたんしゆつせ
なむ
思はずかつぷくににあはぬきのよはきこといふ
したれどもゆへあつてまたろう〳〵のみとなり「是つゞく
うはなり
いまだぢうしよさへさだまらね□□うぶんこのやにかくまひ
もらはんと思ひしにくもでがびやうきをりわるしといふ
うちにろうぢよははやりんじゆうとみへてくるしめばしか
まくらにちかづきまつこの水をあたふるにしなんとしては
しなずとかくゆるのしたをのぞきてしにかねるやうすなり
もり九郎かたはらよりこれをみてさてはこいつゆかのしたに
こゝろののこることあるゆへならんとこゝろにうなつきゐたりけり
さてろうぢよついにくるひじにくししければしか六は大になげき
ひつきをもとむるてあてさへなければしがいをふるきつゞちに
入てみづからせおひのべのおくりをなしにけり
さてもり九郎そのるすのまに
たゝみをあげてゆるのしたを
みればすこしにたかき
ところあり
さてはうはめが一ねんこの
ねんこの
かねにのこりてとかげにけし
返たるにうた
がひなし
しんでしんでしんでしまへば
いらぬかね
おれに
くれよと
いひつゝ
はしり
ゆきぬ
をもつて
うがちそれば一つのつぼをほり
いたしぬさてこそこのうちに
ものあらんとおもひつゝ
つぼをとりいださんとせしに
一つぼのうへに一尺ばかりの
あをとかげとやつきてめを
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
ものなればなにともおもはず
これをはらひのけつぼをとり
いだしてみればはたして金子
廿両ばかりありけりこれてんの
ふりかへりてみればかのあをとかげ三尺ばかりの
おほきたになりあとをおひきたるゆへ
あたへとよろこびしか六がかへらぬうちにと
つぼをかゝへてにげいたしけるにたちまち
みうちぞつとしてあとへひかるゝやうなれば
六は
のべより
かへり道
ぐら〳〵
思ふにはゝ
こゝろをのこして
ゆかのしたに
しにかねたるは
日ごろつみを
一せんだいを
とふへしと思ひつゝ
いへにかへりみれはゆつのしたを
ほりかへしてもり九郎
ゐさりければさては
もりけらとのはや
もりけらとのはやゝ
此ことをさとりうばひとつて
にけたるにうたがひなしと
つくりてためたる
かねをかくし
おきたるに
うたがひ
なし
なら
せめて
そのかね
にて
とふかことくにそのあとをおひ行けり
〆
あらそひもり九郎かたなをぬめて
しか六になりつけたるにたちまち
つぼのうちよりしんくわひら〳〵と
もへあがるどみへしがもり九郎
五たいすくみてつぼをとり
おとしみぢんにくだけて
廿両のかねあらもとにみだれ
ちるもり九郎これをひろひ
とらんとすれば又てあし
しひれてうごかれずときに
とびめぐり人百とびめぐり老女が
かほにそのまゝにていまにも
くらひつかんいきほひなり
さすかのもり九郎もこれに
おそれてかねをすておきいちあし
いたしてにけさりぬさてしか六は
かねをひろひあつめていへにかへり
さても〳〵あさましきことかな
けんざいわが子のわれにさへかくして
ためる此かねはみなあくこんのたねぞか
かの大こをかげがしらのうへを
〽さても
しう
ねんの
ふかい
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
たし上がたし此ほうへかへし給へへいやかへすまじと
なれかしとてそのかねにてせがきをなし
しか六やう〳〵もり九郎におひつきなんぼしゆうすぢの
おんかたにてもはゝの心ののこりたるつぼなれば
まことにしやうなるほつしんなり
かはちのくに中のむらの雁そとはとて
いまのよまでものこれるはかりて
いまのよまでものこれるはかのそとは
なりとぞ
○もり九郎はとかくしあはせあしく
なにとぞろようのかねをさいかく
してゑんごくへたちのかばやと
心あて
あれば
ふたゝび
くにへ
たち
どど
こゝかしこ
にしのひ
ゐたり
〽そのつぼを
こつちへ
わた
さいせへ
さらゝごほり中のむらにいしのそとはをたてはゝのため
ふころされたる鳥のためにながくぼだいをとむらふたねとすかくて
しか六ぼだいしんをおこしししゆつけとなりてねんぶつざんまいによをすぎぬ
ういなり
めとのゝしればおきの助こへはげまししやうこといふはなけれども
たておざの助がしもへじつ平はありまずけがさとかりあるきせつしうしまかみごほり
山ざきまちにてもり九郎をみつけとぶがごとくにはせかへりておぎの助にかくとつげ
しらせければおさの助におどりしてよろこびいもとおふぢをともなひじつ午もろとも
つがふ三人山ざきまちへはせやきこゝかしことたづねみなせ川のへんにてもり九郎は
いてあひめづらしやいわてもり九郎まのゝ入ゑめんが一子おぎの助ならびにいもと
しらたきいまはなをからためておふぢといふにも見あすれはいたすまじまのやまにて
又は五ゑもんをとをやにかけておころ〳〵たるひきやうものやの飛ぬこころなりじんじんやう
にかたききとなのつてしやうぶそみとよはらればもり九郎いひけるはこは思ひ是よらぬかたき
やよはうそれがし入火もんをとをやにかけたるおぼへかつてなしうぬらはきでも
ちかぶたるもちろんわれ入ゑもんにいこんなきにしもあらねばよきをきをりを
をみてかいせんとは思ひしがなにものかゆの山にてとほやにかけたるときゝ
ほゐなく思ひてうちすぎぬなにをしやうこにかたきとぬかすたわけづら
おや人はなんぢよりほかにうらみをうくる人をもたずこのばに
身いたりおほへなきとはみなやつじんじんじやうにはくじやう
してしやりぶをけづせよたとえいかほどいつわる
ともほねをひしきてもいはさでやおくべきとてつめよす
ればもりけらから〳〵とてやおくべきとてやおくべきとてつめよす
ればもり九ふから〳〵とあざわらひなんぢらごとき
よはむしめらたとへいくたりきたるともそれを
おそれていつはりをいふべきかおぼへなければせひもなし
それはともあれかねていこんある人ゑもんが子ともらさいはい
のしゆつくわいいけてはかへさぬかくごひろげとよばりかたなを
ぬいてあいむかひじつ平はうしろにありもしあやうくはすけ
たちとめくぎをしめしてひかへたりさてたがひに火花を
ちらしてたゝかひけるをりしもうしろのいなむらのあいだよるめい
くわう〳〵たるつるぎのきつさきひらめきいでもり九郎が
せぼねよりどうばらかけてさしとをせばなにかはもつてたまるべき
あるとさけびてたふれたりこれなにものゝしわざぞときつとみればみそじ
あまりとみへたる女のじゆんれい十三四さいなるおとこの子のてをひき
一ちがたなをひつさけていなむらのかげよりたちいづればおぎの助大にいかりなんぢは
力にものなればわがおやのかたきなる此もり九郎をてにかけわがのぞみをうしなはせ孝道をさまたげ
しぞ此うへはなんぢをうつてうらみをはらすべしといひもおはらずきりつくれはかの女みを
かはしてちやうとうけやれはやまりたまふなしばらくまつてわらはがものがたる一とほりをきて
たべとてうや〳〵しくてをつきわらはゝもととうごくめをのむらにすみてかねておんやかたへうまの
かひりやうをおさめたるまめ娘がつまによしと申すものこれなるはまめ太郎といふせがれ
なんさかぬるころ此もり九分とりのぢごくのどくすいをくみとるところをおつとまも作
にみづけられほるにあれんことをおそれてころし候よし候よしそのときさしかにみとゞけたるもの
あつてのちにけらはにかたり候ゆへむねんこつすいにてつしなにとぞもり九分をうつておつと
のあたをむくはんとこゝろがけ候へどもろうぼ一人あるゆへにもしかんつたなくかへりうちにもなる
ならばたれかはゝをやしなはんといたづらにつきひをおくるうちはゝもみまかり候へば此と人は
もり九郎をうたばやとつけねらふうちゆの山にてとほめにみればみおぼへあるいだてんあしげの
うまにいつてすぐる人ありかのうまはもとおつこまも作がおせわ申しておんやかたへさしとしめいば
にてしばらくわがいへにやしなひおきよくみぼへたる馬にてにたゞひなきいなみなみなればみたがふ
へくも候はずかのたをのちにもり九分にたまはりしときけばこのうまにのるものものもり九郎ゟ
ほるになしことさらかりばのことをつかさどるもかねてかれがやくめときくかた〴〵もつて
もり九郎にうたがひなし女わざにたちあひのしやうぶはとてもかなふまじとぞんじわらはが
父はもとろうにんにてけんじゆつゆみやのたつじんなればわらはも女ながらゆみゐることをいざくつゞく
すこしわきまへ候きまへはいそぎ
いへにかへりゆみやをたづさへて
ふたゝび山にのぼり夕ぎり
ふかきそのうちより
ふかきそのうちより
うまを
めあてに
ゐおとして
あたをむくひ
あたをむくひ
よろこびしが
日ごろの
あとにて人の
うはさをうけたま
はればもりければ
とくにおんやかたを
しゆんほんしあとやくを
おんちゝ入ゑもんさまに
いひつけたまひかのうまも
たま六りてわらはが
おとしたるは人たがへ
へゑもんさま
なりと
かけたまはり
じだんだ
ふみて
くやめども
かへらぬこと
あさましや
女の
あさき心より
たゞうまを
しるし
としてなのり
あひもせず
とほやをゐたる
そこつさよ
かくてはとても
おつとのかたきはうたれす
めいどにていひわけせんとみづから
なのりいでゝいかなるつみをも
うけばやとぞんぜしが
御きやうだいともに
もりけらをかたきと
おぼしてねがひをたて
たびにおもむき給ふと
きゝしからばおんあとを
したひくわしき
ものがたり
三十二一
して
おん
てに
かゝらし
ば
やと
おやこ
じやんれいに
すかたを
やつして
おんあとを
たつねはんとし
ばう
ばかりきんごく
をたづねけれ
どもおんゆくへ
さらにしれず
ふと人のうわさを
きけばとうごくに
たちもどり給ひて
ありまにすみ給ふ
ときゝわらはも
とうば〳〵に
たちもどり
ありまに
いたりて
たづね
ばやと
たゞ今
此所を
とほり
おもひ
がけなく
もり九郎にいであひおつとの
あたをむくひ候かたぎを
たづねてくろうするは
よにおほきためしなれ
どもかたきのほうから
うつ人のゆくへをたづねて
しんろうせしはわらはばかり
御すいりやうくだされかし
とてもり九郎にむかひ
いまだいきあらばよく
きけよこれといふも
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
おこと
おづものかたき
思ひしるべし
とてのどぶへに
とゞめをさし
さて
まめ太郎
にむかひ
なんち
くびを
もり九郎が
とつて
とゝさまの
ゐはいに
たむけよ
かねて
いひ
きかせ
おきたる
とをり
はゝがさいで
かならず〳〵
なげくなよ
いさ〴〵おぎの助さまはやくわらはがくひをうち
おんちゝかへのれいぜんにたむけ給へとてそでを
ちぎつてかたなにまきはらにぐつとつき
たてければちからほさつとほとばしるまめ太郎は
そでにすかりこゑをあけてそなきさけふ
おぎの助きやうだいじつ平ら三人は
によしがくわしきものがたりをきゝて
さてはそふかとうちおとろきよりつねの
ものならはにけかくれもすべきに
われ〳〵があとをしたひうたれて
一くれんとたつねしは女にまれなる
義心なりちゝのかたきとはいひ
ながらもと人たかへといひじさつの
かへはうらみもはれぬまめ太郎と
やらはそれがくはこくみつかはすへし
あんとしてじやうぶつあれといふおりしも
玉つくりむらのしん三さいばかりの
しやうにをいだいてこゝにかけつけ
小よしにむかひそれがしは王紅の
かしん玉いくりむらのしんと
いふものなるがせんねん
山口むらの石ちぞうの
山口むらの石ちそうの
ま人にてこのしやうにを
ひろひようしとなして
そだてしがさくやかの石の
そだてしがさくやかの石の
ぢぞうぼざつゆめのうちに
つげ給ふはなんちがひろひたる
しやうにはあをのむらのまめ竹か
つきによくといふ孝婦の子なり
よにたゞひなきかうふなれども
すくせのいんぐわよぬかれずみやうにちその
小よしみなせ川のほとりにてらくめいすべし
なんぢしやうにをつれてかしこにいたり
いきのあるうちおやこのわかれをいたさす
べしとつげ給ふによりさいせん此所に
きたりものふけにてやうすをきくに
はたしておんみはその小よしなるよし
いざ〳〵おやこのわかれをいたされ子とて
みやうそをあくせすてごにそへたる
しやうにをあはせずてごにそへたる
しやうこのかきつけをいたしてみせければ
一つねておひはくるしきをうちわすれしほうにを
いたきてなみたをながしさく松よ〳〵
さてもおほきうなつたのふうまれた
としにすてたればみしりはせまい
わらはそちがはゝしやぞやさり
ながら此はゝありと思ふなよ
うみのおんよりよういくの
ごおんはふかきおれき〳〵に
ひろはれたるはそちが
しあはせせいちやうしても
御おんをわすれずずいぶん
かう〳〵つくすべしさすがは
いやしきものゝ子と此はゝ
までのなをだすなじひある
おかたにひろはれてすてられた
子はしあはせものすてたるは□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
此やうにやいばをもつてひがうにしす
みなこれすくせのいんぐわなり
たゞありがたきはぢぞうそんなほも
らいせをおんたすけとてふしおがみ
うへなり
さて村のじんに
むかひてよういた
のれいをのべいざ〳〵
おだの助さま
わらばるみを
さいのめに
きざんで
なりとも
おんちくの
むくひ
給へと
いひつゝ
はらかき
さばき
のんどの
ふへん
かきさりて
うつふしに
ふしたり
ける
おぎの助
ます〳〵
小よしが
みんてい
をかんじ
かたき
ながら
もかく
ある
女の
くひ
うつに
しの
びず
とて
どり
じつ
平に
つけて
そのしがいをほう
むらせもり九郎が
くびをまめ太郎に
うたしめてこれを
たづさん村のしん
さく松をつれて
もろともろ
王江の
やかたへ
いそぎ
やきぬ
○まこと
にこれ
によしが
ふるまひ
孝あり
貞あり
我あり
勇ありただひ
まれなる
女なり
七巳
かくてやかたにいたりければ王仁判官くにとし
六人のものをめどほりによひいだしてたいめんし給ふ
おぎの助まづによしかみづからなのりいで
じさつしたるいはれあしげのこまにて
人たかひしたるよしをくわしく申上
村のしんもさく松をひろひたることの
はじめより出れしく申上まめ太郎は
はゝによしがろうほにつくて大孝なりしこと
山口村ぜにつかのぢぞうそんのれいげんにて
ひんくをたすかり一めいをのがれめしいの
目あきとなりしことをくわしく
申上けるにそはんぐわん大に
かんじ給ひによしとやらん
孝といひ貞といひ義といひ
勇といひ古今まれなる
女なりとてかたじけなくも
かんるいそでをしぼり給ふ
さておぎの助に父のかこく
をつがしめてかぞうを
たまはりおふぢにはいつに
たまはりおふぢにはいつに
ろくをあたへてあねありあけが
うみたるわかきみのもりやくとなし
給ふまめ太郎にもろくをあたへて
わかきそこのとぎやくとなさ
わかきこのとぎやくとなされ作松は
村のしんがのぞみのとをり養子となし
よくいたはりそだつべしとのたまひ
山よしがあとをねんごろにとむらひ
つかはされじつ平ことげらうなれども
ちうぎのものなりとてかづけものあまた
給りければみな〳〵そのじんしんをふかく
かんじけるとかや○さておぎの助ありまの
ふでみせをじつ平につかはしけるにぞ
しつ平そのみせにすみ人形ふでを
ひさきてよをあんらくにすごしけり
○思ふにもり九郎いさりびきやうだい
ともに悪意をたくはふるゆへについに
てんばつをかうふりてあさましき
死をならぬあくのむくひはぜんの
むくひよりはかやくみなかくのごとし
おそれみおそるべきことぞかし
○小にしは世にまれなる
孝女なるにひめいに
しせしはその
くどくなきに
にたれども
そのこ豆太郎
はんぐわんの
かしんとなり
わかぎみの
代に月
いたつて
しつけんしよく
となりさく松は
村のしんがあとを
とりて高ろくの
みとなりきやうだい
ともにれき〳〵のぶしと
なりたるはまつたくによしが
孝道のむなしからざるところなり
されば人の子たるものはげみつとむべきはかう〳〵の道ぞかし
うはなり
おじぎを
〽かのいだてんあしげの
こまへは人にわざはへひする
うまなれば食もん
〽おさむへるかへ
一□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
よのなかの子どもしゆへつげ申す
すべてゑぞうしに見やうあり
あく人いつたんときをえると
いへどもついにてんばつを
豊国画
山東京傳作
書
かうふりてほろぶるところを
みてはあくのむくひのはやきことをさとり
さるひことはせまいものあゝこはひことじやと
〽めでたし
〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵
維
思ひてわがみのいましめとすべし又ちうしん
とうしくんぶのためにせんしんしんばんくするところを
みてはあくらやましいことわれらも此やうに忠孝の
人となりて天のめぐみをうけたいものじやと子どもの
彫工小泉新八
六
ときからこゝろ
がくれれ
しぜんと
しぜんと
行
よき道に
よき道に
いるなり
いるなり
とかくわるい
ことには
そまりやすく
大
よきことには
そまりにくき
ものなれば
ものなれば
候
とゝさまかゝさまの
しつけおししやう
さまのおつしやることを
そむき給ふなそむくとてんばつをかうふりてゆへすへよきとなしがてんか〳〵
読書丸
一つゝみ
一匁五分
きこんをつよくしものおぼへをよくす心腎の
きよそんによしつねにみをつかはず心を
つかひてしんろうおほき人ろうにやくなんによにかぎらずもちひて
らうのうおほくすべてうまれつきよはき人かならず用ゆべし道中するへ
たくは人てゑきおほし〽原伝定かみたばこ入きれぢたばこ入きせしるめづと
しんがた品〳〵○京伝自画さん扇たんざゝ御所望の御方に応し申候
るめづらしき
前編
三冊
とりいだし
おき申候
あいだ
もよりの
ほんやにて
おんもとめ
御らん
可被下候
○べつして
此さうしは
かうしの
ことを
もつがらに
見給ふべき也
しるし
たれれ
たれは
心をとめて
かふべき也
文
化
五
年
皮
辰
正
月
新
第二
攝州・有馬
一妬湯仇討話全冊
山東京傳作
歌川豊国画
於藤之伝
白久屋捨妻
敵討賽八丈余
曲亭馬琴作
歌川国貞画
一古手屋八郎兵衛
天報
山東京山作
歌川豊広画
復雙帋全六冊
正宗
六樹園著作
七役
日十日
敵討記乎汝全三冊
酔放逸人画
高野
矢木
高野山敵討報蛇柳全六冊
松下井三和作
葛飾北斎画
時太郎可俟作
新編月熊坂全五冊
葛飾北斎画
候
音
市二三戯作
同
曰珍説飛敵討全三冊
酔放逸人画
不言
録
右追々出板仕候御家御覧可被下候通油町蔦屋重三郎松
垢湯仇討話
維
画
心事
山東京伝
歌川画
戊辰
散販
篤画
京傳作
豊国画
戊辰
発販
の
蔦重版
名山東京傳作
有馬筆
_レ物歌川豊国画図
四
摂州有馬湯
泉之傍数十
歩在一小湯
形如盆池其
沸少許俗名
曰妬湯
來ニ文庫
全部六冊
摂州有馬
姥湯仇詩話
女湯仇言言
於藤之傳
於藤之伝聞
通油街科書堂梓
雑画
全雷
十一月十九年代記」「門」「仁和」十九日十九日、
一妬湯仇計話小引
おりまつふまつふが
這稗史は長禄の頃の小歌に松になりたや有馬の松に藤にまられて
見とござると唄つたへたる摂州有馬の湯女於藤が復讎の事をのべ
ならびに同所の古跡後妻湯鳥の地獄有明桜等の来由をしる
せりされどいづかなる藤波の流れの跡を汲て作りまうけたる史にし
あれば勧懲の意味深き教戒の篭の海を探索ことあたはず唯喜
怒哀楽の人形筆を躍しめてわづかに児女のつれ〳〵を慰る而已
文化四年丁卯四月稿成
同五年戊辰正月発行
山東京伝識
摂州有馬湯女杵藤
此五香猶勝
如花語更真
春風や湯女の笹原わけて
ねん許六
地獄谷之荒鷲婆
病鳥をとりしむくひによりて
生ながら諸鳥にせめらる
殺生の
罪科
目前にその
むくいありおそる
べし
蛤蛉居木竅間守宮斯錫之類也其首
如蟾蜍背緑色上有黄班点如古錦妓
長尺許尾短其色最大雄為蛤雌為野
一雌一雄常自呼其名一
摂州大江判官家臣
岩手森九郎
□□□□
おほえのはんぐわんのおもひもの
大江判官妾婦
漁火怨涙
たつと見る
うちにきえ
けり
霜はしら
山東京山
長禄のころひがし山
よゝまさ郷の
じだいのことゝ
かやせつつのくにゝ
大江のはんぐわん
くにとしと
きこへしは
いまだ
としわかく
ほんさいは
めとられ
す二人の
てかけあり
けるが
ひとりは
いさりび
とてことし
はたち
ばかりなり
ひとりは
ありあけ
とて十七才
なり二人とも
にたぐひ
まれなる
きりやう
にて一つい
のひきよく
すこしも
まさりおとりなく
やうきひせいしそとをり
こまちこもいひつへく
やなきの
ゑだに
さくら
のはなを
さかせて
梅のかほり
をとめたるが
ふぜいなればはんぐわんくにとし
いづれをいづれとわけへだてなく
ちやうあひ
ふかくぞ
つかはれける
あり
あけはふだいの
かしんまのゝ
入ゑもんといふ
ものゝむすめにて
こゝろばへやさしく
すなほなる
うまれにて
すこしも
ねたむ
ねたむ
こゝろなとは
もたざりけるが
いざりびはもと
いざりひはもと
岩手森九郎と
いふろうにんのい有
にてそのみはんくわん
のてかけとなりしゆへ
あにもり九郎もめし
かゝへられてとうけの
けらいとなる
きやうだい
ともにころざし
ゆがめるものにて
いかにめして
ありあけを
とほさわがみ
ひとりちやう
あいにあづから
たつきをうみて
〽とふじや
やうぶは
ついたが
どちらでも
まけた
ものに
此大はいで
きやうだいともに
すへのゑいぐわをきは
めんとこゝろのうちにこめおきな
わざとおもてむきはあり明が
きげんをとりわれとしうへ
なれどもわざととししたの
ありあけがしたはにつく
やうにしてゆだんさせ
おもてむきはむつましく
こゝろのうちにはつるぎ
〽それしまふたら
をとゞぞおそ
つれびきの
琴にきゝ
たい
おまへは
おじやう
どにして
〽なんの
じやう
ほんの
ときの
ひ女郎
りで
かつの
じや
わい
いざりびはとかくありあけがよつぎを
いさりびはとかくありあけかよつゝ
みごもらぬさきにわれみごもり
うみいだして思ひのまゝに
いせいをふるはばやと
あらゆるかみほとけに
りうぐわんしかぢ
きとうにらせうらみやうやく
きとうに心をつくしみやうやく
ひやくにこがねをおしまずといへども
いまだそのしるしもなくありまの
おんせんによくすればかならずはらむ
ときゝほどもとほからぬところなれは
なぐさみかてらにこしばしのいとまを
ねがひすでにありまにおもむきて
とうりうのあいだなにしおふ
つゞくがたきのたぐひちかき
あたりのめいしよこせきをゆう
らんしところのなさへおそろしき
ぢごくだにといふところに
のりものをおろさせてやすらひ
けるにかたわらのくさむらの
うちより一つのしやうぢや
かいるをのまんとおどり
いでけるがへびもかいるも
かしこのなかれにおちひて
たちまちししたるやう
すなりそれさへふしきと
みるうちにかのながれの
うへをとびこゆるからすゞめ
たぢまちみつにおちてしして
たぢまちみつにおちてして
けりいざりびはのりものゝ
うちよりこのていをみて
あやらみそのゆへをたつね
けるにあんないのもの申しけるは
此ながれにはどくきありとり
むしのたぐいこゝにちかづけば
たちまちしすゆへにとりの
ちごくともむしのちごくとも
申すなりもゝ人此みづをのむ
ときはそく死はせざれども
はやきはおよそ五十日
おそきは百日すぎて
どくきはつし
らいひやうの
〽あれみやれ
からすや
すゞめが
ごときやまひと
なりてついには
てついには
いのちたすからず
いのちたすからす
候とものがたればいざりびは
これをきくてさても
さかさまに
〽あれ〳〵ごらふじ
あの水へ
おちて
ませへびもかいるも
ましにした
おそろしい
ことじや
のうきいて
さへみうちが
ぞつみする
○とりのぢごくの
きうせきいまは
井のごとき
わづかの
やうなとみぶる
してこわげなる
のこる
なせ
どもひ
ども心
のうちにはあり
あけをうしなふ
にはこれくつきやう
のとくすいと
うちうなづき
てぞかへりける
〽ほんにのう
どふいふこと
じやのあんないの
ものをよんで
わけを
きゝやい
いざりびはやかたにかへりあに
岩手森九郎とみつだんし
かのとりのぢごくのみづを
とりよせてありあけに
のませんとはかりけるが
めつたにとりよせもし
たにもれてはごにちの
さまたげなればひとの
しらぬやうにとりよせ
ばやといろ〳〵しあんを
めぐらしけり
〽そふたいものありあけが
おやの入ゑもんといふ
おやぢひごろちうぎ
だてをしてわれ〳〵
きやうだいがはかり
ごとのじやまになるやつ
ごとのじやまになるやつ
あいつもどうぞ
おつかたづけて
しめへてへものだ
十二十二丁
〽かのごくすいを
もつであり。あげめに
わかひやまひを
にろらはせおいさけて
しまへははんぐわん
さまはねかそふと
おこそふとわたしが
こゝろしだいその
うへでよつぎの
わつぎみをうめば
おまへものちには
しつけんしよく
なんとうまい
ごさんせぬる
とうぞ
かの水を
とり
よせて
くだ
さんせ
はやいが
にい
ぞへ
森九郎かのどくすいのことをつら〳〵思ふに
とかく人にいひつけてはほかへもれんことも
すみよしへさんけいのよくを申上て
しばしのいどまをねがひとも人は
とちうにまたせおきよにいり
みづからふくめんづきんにかほ
かくしてかのとりのちごくに
ちかづきとくりのうちに
どくすいをくみとり
ゐたるうしろのかたに
こゑありて森九郎
さまやちうといひ
きづかはしとおもひしゆくぐわんありて
おひとりで此ごく水を
くみとりなにの用に
なく給ふといふを
きいて大たんふてき
の森九郎もおもひ
がけねばびつくりし
ふりかへりてよく〳〵みれば
日ごろやかたへ馬のかいりやうを
おさむる豆作といふものなり一
〽うぬがくちを
森九郎思ふに此ものはひさ
しくやかたへいでいりして
いつかちうのものおほかたはちかづき
しやべらぬうちに
しやへらぬうちに
ころして
しまふのだは
なりこいつにみとがめられしは百ねんめ
ごくをくらはゞさらをねぶれといふ事ありと
おもひつゝそしらぬかほしてあいさつしゆだんを
みすましたゞ一かたなにきりころししがいをたにへ
けおとしかのとくりをたづさへてぞかへりける
○ものいはじちくはながらのはし
ばしらなかすはきじもうたれ
たらまじといふ古哥も
今このまめさくがみのうへ
かくて森九郎かのどくすいをいざりびにあたへければ
いざりびよろこびめいしゆのうちへかの水をくわへ
こしもとに
もたせて
ありありありあり
かた人ぞ
おくりける
さてそしらぬ
かほして
ゐたりけるが
五十日ほど
すぎてあり
あけろはかに
だいねつはつし
いちやのうちに
かほやそうみに
ふきでものして
しだいにひに〳〵
くさりらいびやうの
ようだいなれば
やかたのうちにをり
がたくひやうきの
やうすをまうし上て
いとまをねがひおや
さといりへもんがかたへ
さがりければいざりびは
なにくはぬかほして
なにくはぬかほして
こゝもゝをいり
へもんがかたへ
つかひにやり
さま〴〵のおくりものに
みまひのふみをそへて
さもしんせつにいひつかはし
びやうきのていをうかゞめせ
けるにまことのびやうきに
さういなきよくはか事を
しすましたりとひそかに
よろこびぬありあけは
さま〴〵のりやうぢを
なしけるがあゝそう
したいにくさり
たゞれてそうみ
あたかもがまの
せくの
せなかのごとくに
なりてはなのすがたの
なりてはなのすたの
あともなくあはれむべし
ことくわづかに十八才を
いちごとしてついに
はかなくなりけるにぞ
ちゝいりへもんはいふもさらな
ありあけがおとゝおぎの介
そのいもとしらたきが
なげきいふべうもあらず
まことにあはれの
ていなりしが
さてしもあるべき
ことならねば
びやうしのよし
ひろうしてむな
しきからを
もべにおくり
こけのした
びやうしのよしを
にぞうづめける
〽あまたのはい
らいびやうの
しうさを
したいあつまる
なり
〽いさかひかたよりおみまひの
ふみづかひ此一しなはおみまひの
しるらでござり
ます
見
かひ
せぬ
〽いもと
〽ありあけが
おとくおき
十二いさい
ことく十四さい
あねのかたはらを
はなれずかん
はなれずかん
〽さても
うるさい
そうつとうし
さそうつとうしう
ござりまりやう
さても大船の
はんぐわん
くにとしは
あいしやう
あいしやう
ありあけ
あくそうに
よつてひやうし
ときゝ給ひ
おゝいにしう
しやうし給ひけるが
いまはいざりひ
ひとりねやの
とぎとなり
かたちをつくり
こびをけんじ
てはんくわん
のこゝろを
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
〽もつと
さかなを
つけい
とらかし
けるにぞ
さるものは日々に
うとくついには
ありあけがことも
わすれたまひ
ひたすらいさりひ
をちやうあいふかく
めしつかはれけるにより
いさりびはのぞみの
いさりびはのぞみの
ごとくいせい
しだいにつよく
なりうへみぬ
わしとはね
をのしあに
もり九郎も
おのづから
かぞうを
たまはり
はん
ぐわん
りつらんして
もとより
森
〽ちと
おあいを
仕り
ま
しやう
かりをこのまれ
けるがかりば
いつしきの用を
いつしぎの花を
つかさどるやくめを
森九郎にいひつけ
給ひかねてひそうの
いだてんまだらといふ
めいばをたまはり
けるにぞくわん
ちうのしよしん
しぜんと木次九郎を
そんきやうしその
いきほひかたを
ならぶるもの
もなし
京傳店
読書丸
一つゝみ
一匁五分
きこんをつよくし
ものおほへをよくす
すべてきよしやうの
人用ひて
人用ひて
こうのう多し
○たばこいれ
きせる
〇京伝自画さん
あふぎたんざくあり
○山東京山玉石銅印
はながみふくろ
なかみふくろ
るい
しんじ
しな〳〵
篆刻取す
かの
一口ヱさくと
いふはとうごく
ありまごほり
あをのむらの
へんにすみ
へんにすみ
ぐわんらいい
ぐわんらいいり
むこにてつまは
小よしといひ
一人のなんし
一人のなんし
まめ太郎と
いふはことし
いふはことし
十二さいにてうまれつきたる
めぐらこなりそのつぎ
なるはことしうまれの
なんしにて作松といふ
によしがはらはとし八十に
あまりおいぼれてこども
のやうになりまことに
二どおぼこといふがごとく
なにごともたわい
〽ちゝをたんと
あがつてもふ
あがつてもふ
おやすみ
なされませ
とこを
あたゝめて
おきま
なかりけるがによしは
世にまれなるかう女
にてろうぼにかう〳〵を
つくすことなか〳〵
ごとばにつくされず
豆太郎も又おやを
豆太郎も又おやを
みならひかうしん
ふかくろう
ふかくろう
ぼや二おや
につかゆる
ことまめ
やかなり
さて豆作
がしがい
をたにの
をたにの
うちより
みつけいだし
森九郎が
しはざとは
一ゆめにもしらず
ふかくなげき
なく
かなしみけるが
まめさく
なきのちは
いまゝでの
とせいをする
こどもならず
だん〴〵まづしく
なりけるが
ろうぼはのこら
ずはがぬけて
ものをくう事
ものをくらに
ならねば
ものをくう事に
小よしは
はゝにちゝ
をのませて
やしなひぬ
これや
まことに
はんほ
のかう
ともいつつ
べくもろこし
の二十
四かうにゆおとる
へからすけに
つからすけに
しゆしやうのかう〳〵なり
□□□□□□□
小
の
なき
のませ
あつ
うまれ
の子
〽十二才
めくら
のこ
まめ一
太郎
やしなし
まめさくひごうにししてのちは
なにのとせいもせず
なにのとせいもせず
しやう〳〵の
かざいをうり
ぐいにして
くらしければ
おやこ四人
やう〳〵ひとへの
つゞれにはだへを
かくすばかりにて
あさゆふのけふり
さへたてかねたり
されども
ろうぼには
まめ
大う云
〽こども
わるい
〽めくらの
ゆへ
うゆること
なしといへども
によしまめ太郎
ならずうへがち
おやこはくふものも
ろく〳〵にくふこと
しならずかへがち
なりければ豆太郎
おさなごゝろにこれを
かならみすこしにても
ぜにをえてはゝにあくまで
しよくじをさせたく思ひけれども
もとでもなければせんかたなくそのみ
めくらのことなればほかにすべき
やうもなく手さぐりにてわらぢを
なぶつて
あきないで
はゝを
つくりこれをすこしのぜにゝかへんと
おもへともめくらのことなればとほく
うりにいづることもならずちかき
むらへたりにゆくみち〳〵もさとの
こともになふられてつぶてをうたれ
どろ水をかけられなどすれども
どろ水をかけられなどすれども
めくらのことなればこれを
めくらのことなればこれを
めくらのことなればこれを
せいすことあたはず
せのすことあたはず
たゞいちづにかう〳〵に
のみこりかたまりたる
ものなればたゞかんにん
にしくなしとかへつて
こどもらにわびこと
してぞとほりける
そのこゝろねぞ
まめ太郎
わらぢを
ふびんなるさて
あり
くと
いへ
ども
たる
わらぢ
なれば
かたち
もあし
ければ
国
玉はか〴〵しく
くれざり
ければ
あゆみつかれて
ものにこしを
かけてやすらひ
そのみをなでゝみれば子ども
につぶてをうたれてひたい
からふちかながれつまづきたれば
かゝらぬていを
どろをかけられ
それよりまいにちつくるほどのわかぢをかぢをかい折けり
そのあたひのぜにをみるにみなさびたるぜになりけり
なげきてさめ〴〵とぞなきゐたる
ときに一人のそうきたりわらぢを
ありたけかいゆきけかいゆきければ豆太郎は
大によろこびその日はおもふにあゝに
はゝにしよくじをいたさせけり
よくじつまたかのそうきたりてわらぢをかひ
ぜにをみて日〳〵おほくのわらぢを
かふてなにゝすることぞと
いぶかりある日まめ太郎が
てをひきてかのそうの
あとをつけてゆきけるに
山口むらといふ所にてみ
うしなひいよ〳〵いぶりしく
思ひそこらあたりをたづねけるに
一つのつかのうへにいしのちぞうそん
ざし給ひそのおんくびにまめ太郎が
つくりたるわらぢおほくかけてありさては
このぢそうぼさつよめ太郎がかうしんを
あはれみ給ひそうとなりてさいせんの
せにゝてわうちを
はく小よしかのそうのそうのことさびたる
かふてなにゝすることそと
せにゝてわうち
あたへのせに
みなさびて
ありしもの
ならんと
まことに
かひ給ふにうたがひな〳〵それゆへ
なにうたがひなしそれゆへ
ありがたく
たうどくて
○かのまめ大分をなふりしこともらは
ねつびやうをわつらひしとそ
賽
鉄
うんるいそで
をしぼりけり
ぜつしうあり
まくほり山口
むらにぜにつか
のぢぞうみて
いまにあるみほと
けはこれなりとそ
又ぢぞうほさつに
わらぢをあぐる事
これよりはじまり
けるとかや
けるとかや
○これどな
しられ
小よしろうぼにちゝを
あたへてやしなふに
くわんちいほそきちゝ
なればはゝにたくさん
のますればさくまつに
のまするちゝたらず
さく松に十ぶんのますれば
はゝにあたふるちゝふそく也
されどもおやはこにかへ
がたしと思ひさく松には
のませずしてはゝにのみ
あたへけるにぞさく松は
ちぶさをしたひてなき
わめきしだいにやせ
おとろへければかくては
おもなからるべしとうへらう〳〵
命もなかるべしうへしなんを
みんよりはふびんながらも
すてるにしるじおやつた
すてるにしるじおやのみと
してこをすてるはつみふかしと
いへどもおやのためには
ぜひもなしもろこくの
孝子は子をうづめんと
したるものさへ
あるものをと
こゝろつよくも
思ひけり
とはなり
〽ちゝのむがそれほどに
うれしいかかわい
そうにさぞひもじ
かりいらんいつせの
わかれにち
たんとのんで
おきや
当年
山東
京山
作
原さうし
しなく
出板仕候
ひやう
ばん
よろゝく
こひ
ねがひ
ける
さておやといつせのわかれにせめてらゝを十ぶんにのませてすてばやと
ひざのうへにかきあぐればさく松はちゝにうへたるときなればいと
うれしげにちぶさをふくみいますてらるゝとは
しらずしてすや〳〵とこゝろよげにねふり
けるそのねかほをつゝ〴〵とうちながめたま〳〵
おやことうまれきてそのゑんはふかくと
いへどもふかんなときにうまれあはせて
ちゝさへもろく〳〵にあたへずうまれ
おちからうへさせてまだとうざいも
わかぬこをおやのてづからすてに
ゆくふびんさよとてやせたる
はらをおしなでつゝ
ひたんのなみだ
及もふ此よ
ではあはれ
まいこれが
いつせの
いきわかれ
はら〳〵とかほの
うんにおちかゝり
ければさく松はめを
さましてなき
さましてなき
いだすにぞ小よしは
せなかをさすりいんのこ〳〵
といひてゆすりあけらくねせ
つけて一つのふごをとりいだしうちに
ふるわたをしきてさく松をいだき入
いぬなどにくはれぬやうにとまもりを
かけさせさてすぐりをとりいだしなみだて
すみをすりながし一つうのかきつけをぞ
したゝめけるそのぶんていにいはく
ずに
かざぐるま
まはし
ふびんな
やつじや
○わたくしことおつとにわかれいへまづしくひとりの
ろうぼをやくなひかねてふびんながらはゝの
てづから此男子をすて申候おやのみとして
子をすつるつみふかしとぞんし候へども
おやにはかへがたく此こぎにからずとも
おやにはかへがたく此しぎにおよび候おやこの
おんあひせつなるかなしみ御すいりやう
くだされべく候もつともあしきちすぢの
子にてはなく候あいだなさけある
子にてはなく候あいだなさけあ
おんかたさまおんひろひとり
御よういくくだされべく候はゞ
しやう〴〵せゝ
御おん
わすれ
申まじく
候いつたい
ちゝほそく
うへがちにて
びやうしんの
子にゆへば
さぞごやつかい
とぞんじ候
ほうそうも
かろくせよかし
とぞんしまもり
をはだにかけ
させおき申候へその
をもいれおき候▼
うへなり
寒
鉄
中に
むしのくすりもあい
そへおき候へばとう
ぶんおんのませくだ
されべく候かしとかきて
おくのかたにさんじやう
の傘月日時をしるし
これをひとつにふごに
いれてやちうひそりに
たづさんいで山口村の
かのちぞうぼさつ
のまへにすて
のまへにすて
此おんほとけの
おかけにてなさ
けある人にひろ
はれよかしとて
なみだを
すればたく松は
めてさまてなき
めをさましてなき
いだすゆへに又
たちもどりていだき
あげちぶさをふくめ
ねせつけてそつと
おき思ひきつて
さらんとすれば又
なくゆへにまた
もどりていだきあげ
ねんねこん〳〵よ
ねんねこ〳〵よ
ねんねがこもりは
どこへいたとあたりを
はゞかる小ごへにて
ゆすりあぐれのさく
松はおやこいつせの
いきつきわかれとはしらす
してにこくとわらふ
にぞによしはおぼへず
むせかくねはなれ
がたなくおぼへける
をりしもはるか
にちやうちん
のひけりみへ
けれはみと
がめられ
じと思ひ
きり小児
をそとに
にておきて
なく〳〵けが
やにかへり
けりこれより
によし思ひの
まにはゝに
ちぶさを
あたへ
ます
かう〳〵
をつくし
ける
小よしといひ
まめ太郎
といひ
世にまれ
なるかうし
なればのちに
そのすみしところを
母子むらとなづけ
いまに
いたりて
せつ
しら
ありま
ごほりに
そのちめい
たいへ
をのこしぬ
○それは
さておき
森九郎
いさりび
きやうだいは
はんぐわん
くにとしの心に
かなひしだいに
かなひはたいに
りつしんしておもふ
まゝにけんいをふるひ
きやうだいともにたび〳〵
わがまゝのことありければ
とうけのしつけん玉つくり
村のしんといふものはんぐわんの
〽人の
かよ
まへにいでかれちきやうだいが
あやまりをかぞへたてゝかんげんを
もちひけるにぞはんぐわんもしつけん
しよくのことばなればもだしがたく
いさりひをはしばらくしもやかたへおしこめ
おき森九郎をばとうぶんめどをりを
とをざけ給ひぬ○さるほどにいさりびは
しもやかたにおしこめられしゆゑんいと
たけのしらべにのみあかしくらせしみの
にはかにさみしくこしもとまでもしり
ぞけられひとまのうちにたゞひとり
すみけるがをりしもあきのなかばにて
むしのもろこゑいとほそくそらとぶ
かりのはつねさへきをひきいるゝこゝちして
いかあいのかねきこゆればけふもくれぬと
おどろきてしよんぼりとたゞひとり
ゑんさきにいでゝながめ
ゐたるににはすへの
くさむらのうちより
いとあやしき人かげ
ぞあらはれける
なにものぞとよく
みればしろき
しやうぞくみだれがみ
のすがたすぎゆきし
のすかたすきゆさし
ありあけがれいこんにうたがひ
なしさてかすかなるこへして
いひけるはうらめしやいさりび
わらはゝなんぢがためにあらきやまひを
うけてみまかりそのうらみめつせされば天
といなり
〽ありあけが
ゆうこんあき
ぐさのうちゟ
□□□□□□□□
いまにうかまず
中有にまよふて
ゐるぞかしさり
ながらさんげに
つみをめつすると
いへばなんぢが
くちより
あくじの
しさいを
さんげせば
まげてうら
みをはらすべし
もしさもなくば
たちどころに
とりころしとも
にめいどへつれ
ゆかんいかにやいる
にとせつ
□□□□□□□
右もの
〽人にまれなる大あくにんめ思ひしつたか
ありあけがうらみをきゝて大たん
ふてきのいさりびもみうち
とく〳〵うでをまはしおろう
ぞつとひへとをりそのうらみは
ことはりぞいまはなにをか
つゝむべきとてあにもりけら
といひあはせとりの
ぢごくのどくすいを
とりめいしゆにくわへ
ておくりあたへたる
ことをくわしくかたり
いまはうらみてかへ
らぬことあと
ねんごろに
とふらふべし
うらみをはらし
じやうぶつあれ
なむあみだふつ
〳〵ととなふる
をりしもには木の
かげよりありあけが
かげよりありあけがちゝ
まのゝいかへもん一人の小児を
いだきてたちいづればつゞいて
玉つくり村のしんあらはれいでやにはに
いざりひをたかてこてにいましめければ
かのゆうれいはうへのしろききぬをぬき
すつればゆうれいにはあらずしてあり
あけぞんじやうのていなればいさりびはたゞ
あきれたるばかりなりときにいりへもんいさり
びをはつたとにらみさきだつてなんちが
おくりしめいしゆあやしかりしゆへかい鳥にそゝぎしに
たちまちしすよつて鳥のぢごくのどくすいとさとり
〽さては
たばかられ
たかくち
おしや
このばに
およんで
わるびれる
やうな
おんなじやない
てもぎやう
さんな
おほく〳〵〳〵
とあざ
わらふ
ありあけにつげてそのさけをのみたる
ていにもてなさせみにうるしをぬらしめて
らいびやうのていにみせびやうしと
ひろうしてかりにのべのおくりを
なせし事みな此
なせし事みな此
村のしんどのと
いひあはせの
はかりことなり
そのせつあり
あけはんぐわん
さまのおん
たねをやどし
ゐたれども
なんぢがしつ
とをおそれて
ひろうせす
びやうしといつはりし
のちは村のしんどのゝ
たくにしのぐせおきすでに
たくにしのばせおきすでに
あんざんしてそのわかぎみは
すなはら此御なんしなりなんぢかあくじ
それとさとれどもたしかなるしやうこな
とのきいあいふかきなんぢなればもし
ざんげんにあはゞかへつてわれ〳〵
ざんげんにあはゞかへつてわれ〳〵がつみを
うけんことをおそれてけふまではつゝみ
いたりじせつとうらいしていしていまなんぢが
くちよりはくじやうのうへはこれに
こしたるしやうこなしはんぐわんの
ごぜんにひきなほきうめいを
くはふべしいざ〳〵とてひつたてつゝ
いちどうにかみやかたへぞいそゝぎける
うへなり
〽此御なんしはむらのしんどのゝ
たくにてありあけが
たくにてありあけが
あんざん
せしとのゝ
おんたね
なるは
〽わらはかくゆう
れいのすがたに
つくりておくりておくりておくりておくりておくりておくりておくり
よりしのびいる
なんぢを
おとせしは
あくじを
じやう
させん
はかりこと
みなこれ
村のしん
さまと
ちゝうへの
いひ
にて
ける
さても村のしん入ゑもんはいさりびに
なわをかけてはんぐわんのごぜんに
いたりありあけはしゆつしやうの
わかぎみをいだきてごぜんに
いでいちどうにくはしき
ことをきこへあげ
けるにぞはんぐわん
はじめて
いさりび
きやうだい
があくじを
しりありあけが
みのつゝがなきと
わかぎみたんじやう
のことをよろごび
給ひさつそく
森九郎をとらへ
しめ給ふに森九郎は
はやくあくじろけん
のことをしりその
よのうちにしゆつほんじ
ゆきがたしれずなり
にけりはんぐわん
いさりひをふかく
にゝみ給ひ時のしん
にくみ給ひけのしん
にいひつけて
いさりびを
すまきとし
村の
ありまのゆもと谷の町
のゆつぼのうちへふしづけ
にぞさせ給ふさてあり
あけはもとのごとく
そばめとして
わかきみを
よういく
させし
なり
いり
へもんには
もり九郎が
あとやく
としてかりば
いつしきの用を
つかさどらせ
さきだつて
もり九郎に
たまはりたる
かのいだてん
けの▼
げの▼
〽なんといつても
もふ百ねん
めだ
〽たとへこのみは
たとるこのとも
しするとも
こんぱくは
このゆつぼに
とゞまり
ながし
あたをなく
とらみを
とらみを
むくふべし
ゑゝくちをしや
だんねん
やし
〽あくのむくひは
こはひものだ
▼めいば
までを
くだされ
栄枯
覚
くわふく
きつきやうに
あざなくる
なわの
てとし
これらの
ことを
いふなる
さるほどに
いざりびは
せきあくの
むくひによつて
ゆつぼのうちに
ふしつけとなり
此よ
から
なる
なる
せう
ねつ
ちごく
ひの
くるま
くるひ
じにしし
けるがその
ゑんこん此
ゆつぼに
とゞまりあめ
かぜのよはやつぼの
うちよりあやしき
すがたをあらはし
てあなくるしや
てますちくさけび
たんがたやとさけび
ければさとひとら
おそれてちかづかず
いまにありまの
うはなりゆといふは
このゆつぼのこと
なりとぞ
ありあげは
わか
ぎみを
手
だつべしと
あふせを
かうむり
もとのごとく
やかだの
うちし
にめし
つかはれ
けるが
このたびは
まことの
びやうき
ことてこた
にてちく
にてちく
入ゑもんが
たくに
入ゑもんが〽はて人かげ
もみへぬに
さがりさま〴〵
さがりさま〴〵
いりやうを
つくすといへども
ひぐにやせおとろへて
おとしや
つや〳〵ものもすゞまず
よるもねられぬまくに
うづら〳〵として梅ぬがち
なるにあるよおくにはの
かたゟこまげたにてとび
いしをつたひくるあしおと
するゆへみゝをそばだてく
きけばつねにきゝなれたる
きりはつねひみなれたる
いさりびがあしおとなり
いさりびがあしおとなりて
あやしと思びかんびやうのものに□人つゞく
京傳著作
〽このつゞき
ありまの
おふぢの
でんかたき
でんかたこた
うちまで
こうへん
なり
の
こう
へんと
御たづね
しやうじあけさせてみするにさらに人かげもなしといふしやうじを
たつれば又あしおそありてこなたよりかなたへかよひかなたよりこなたへ
ゆきつもどりつするあしおとなりそれよりまいやしんやにいたれば
いさりびがあしおときこへありあけはこれをきぐたびにみうち
ぞつとひへとをりなをもやまひ
おもくなるにぞいるさま
これはいさりびがわくりやう
やのしわざなるべしと
なる
さま〴〵
かぢ
ひやうぎあり
はんぐわんどのく
めいにてあらゆる
おめいぞうちしき
くるしみたふれて
たへいることたび〳〵
なりのちにはちうや
をわかたずくるしみて
しだいにしんたいにしんたいにしんたいに
おとろへ▼
きとう
をなすと
いへども
つゆはかりも
しるしなく
わかぎみを
てみこ山ぶしに
おふせて
うみたる
みなれば
くわんちうの
しよしも
おのづからたつとみ
かはる〴〵みまひて
いろ〳〵にこゝろをつくせども
びやうきはます〳〵おもり
あやしみもいよ〳〵つのりて
のちにはやなり
しんどうし
まどのふうじ
ありあけ
はかなくなりければ
ちゝ入魚なんはさらなり
おとゝおぎの助いもと
しらたきがなげき
いふべくもあらずさてしも
あるべきことならねば
やぐわいにおくりてむなしき
けふりとなしたゞはつこつ
あかれむべし
むじやり
のかせに
さかりの
はなを
ちらし
わづかに
十九才を
いちごとして
しでのたび
ぢにおも
むきぬ
などにさつき
ひかり
やのむね
にて
女の
同
らふ
の
ゑ
などを
ありあけが
目には
をり〳〵
いさりひが
すまきに
なりたる
まゝの
すがたにて
みうちより
ゆげたちのぼりくろかみ
をみだしたるがまくら
ちかくあゆみよりまなこを
いからしはたとにらむてい
めにさへぎりそのたび〳〵に
ありあけがあなくるしや
いつ
あつやたへかたやとし
いふこゑいさりびがこはね
にそのまゝにてついには
うはなり
らみぞのこりけるさて四十いげんによつて
ありまごほりつゞみが
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
たるには木のさくらをうつしうへて
はらしるしさすありあけ
さくらといふめいぼくは
これなりとそ
〽あねさま
おくすりを
あがり
それはさておきこゝにまたかの
あをのむらのによしがはゝはことし
八十よさいにてまことに天じゆへ
をたもちてわうじやりしたれ
をたもちてわうじやりしたれ
どもによしまめ太郎おやこが
なげきはひつくすべくもあらず
なく〳〵のべのおくりをなしそのゝちは
おやこたゞふたりにてくらしけるが
小にしが思ふはまめ太郎めくら
子のことなれば此まゝおひたてに
いつしやうをおくるなりはひ
なかるべしめしいのわざに
なかるべしめしいのけさに
さうおうのはりをたてる
わざをいまよりならはすに
しらじとおもひつきさいわい
ちかきむらによきはりたて
ありければまいにちそのかたへ
はりのけいこにぞつかはしける
こゝに又いわてもりけらはさき
だつて大江のやかたをいそがはしく
しやつほんしたればたこくへにけ
ゆらんにもろぎんのたくはへなく
せんかたなさにとうごくゆの山の
山中にかくれいりよな〳〵いでゝ
ゆきゝの人をうからひなにとぞ
ろきんをゑてたこくににげゆかんと
思ひけるがかのまめはらはりを
けいこにゆきてかくりがけゆの山みち
四十八かせといふところのたにあいを
とをりけるをもり九郎こかげより
うかゞひみるにくびにさいふを
かけていとおもけにみへければ
こゝろに思ふやうこの
おさなきものよほどの
かねをもちたる
やうすなるが
かならず
大あき人の
めしつかひ
にてかはせへ
かねもちて
ゆくにちがひ
なしこれ
てんのあたへ
なりとよくに
めがくれて
まめ太郎が
つへをつきて
めくら子
なるにきも
つかずそゞろ
によろこび
つとはしり
いでゝまめ
太郎をはり
たふしかた
はらの大木
にくゝりつけ
さいふを
さいふを
とつてうち
をあらため
みるにかね
にはあらず
してべんとう
にもちしと
みへたるにぎりめ
みへたるにぎりめし
竹のかはにつゝみて
四つ五つありけるにぞ
いゝ
〽これはとふだ
かねと思ひのほる
にぎりめしむた
ほねを
おつた
いめへま
いめんましい
㊞
下りしけり
これを
だいちに
なげつけ
なげつけ
まめ太郎を
よく〳〵みれは
めくら子なれは
けちいま〳〵しい
どうめくらめ
これをしつたら
むたぼねは
おさまい
ものをくやし
さよせめてこの
わんぼうなりと
さるてにして
はらを
いんと
きもの
をはい
でまた
しばりつけ
ゆかんと
せしが
たち
もどり
こゑ
などを
しられ
ては
こにち
ほとめてしままふべしとかたなをぬきのんどのふへをさしとほしきものを
かくへてゆかんとするにあしおもくしてあゆまれねはこはあやくやとおもひつゝ
あくふみがため大まんとするにひとあしもあゆまれ。ねばいよ〳〵あやしみ
きものをすつればあらはたちまちかるくなりついに山ふかくにけいりぬ
つはこの小よしはかくともしらずはやににれどもまめ太郎かへらされば
大にあんじ
小ぢやう
ちんにて
みれば
まめ太郎
がおび
ぬのこ
なりこれは
ふしぎこ
おどろき
つゝあたり
をみれば
大ぼくに
いしの
むちうになりてなにごともぞんせずさていま
はゝさまのよび給ふおんこへがみゝにいりゆめの
はゝさまのよひ給ふおんこんがこくにいで候といへば
さめたるやうにおほ人此ところへはいで候といへば
によしはきゐの思ひをなしぢぞうぼさつを
よく〳〵みればみおぼへあるかの山口むらのみほとけ
にてのどのあたりにきすつきてありけるにそ
さてはこのみほとけなんぢがかう〳〵をかんじ給ひ
みがはりいこなりて
又もなんぎを
〽これはたしかに
山口むらの
ちぞう
さまじや
ぢぞう
ぼさつを
しばり
つけて
ありける
にぞいよ〳〵
あやしみ
まめ太郎は
いづく
あり
●がたや
もつたい
なやとて
かんるい
そでを
しほりけり
まめ大みも
にぞ
まめ太郎
〳〵と
たう
とく
思ひ
ければ
くさ
がはしく
ふかき
所より
まつ
太郎
ある
にて
はい
いて
さま
おはす
りや
ところへ
きて
くたされ
しぞと
いふに
こよし
まつ
おちつき
なにゆへ
そちはは
かになりて
そこにはゐつる
ぞといへば
まめ太郎
かやう〳〵にて
木にしばり
つけられ
のこのあたり
ひやりといたし
御ひしか
そのゝちは
きものをちやくし
おやこしてちぞう
ほさつをもり奉り
○山口むらのかの
つかのうへにもとの
ごとくあんちし
奉りてかへりぬ
これまつたく
まめ太郎が
〽いまのは
たしかに
さまの
こゑじや
●いまくではざそうで
あつたがりうぞうに
あらはれ
給ふも
又一つの
ふしき
五
かうしん
ふかきゆへ
とこれを
さく人
かんせぬ
ものなく
この
たにを
さとう
だにと
なづけ
てその
□□□□□□□□
いまに
のこりぬ
右衛門
めくらこ
ゆへに
しかは
なるべ
さて又そのよぢぞうぼさつ
小よしおやこがゆめの
うちにつけ給ふはかの
たにのへんに一つのしみつ
ありそのみづにて
まいにちまめ太郎が
目をあらふべし
かならずしるし
あらんとつけ給ふに
よりをしへのごごく
なしければ廿一日めに
まめ太郎かまなこ
ひらきてつねの人よりも
なをあきらかになりぬ
これよりかのしみづを
目あらひ水となつけて
これもいまにそのな
のこりぬみなこれかう〳〵の
とくなるぞかし
○それはさておきまのゝ
金もんはありあけがあこそ
へゑもんはありあけがあこを
ねんごろにとふらひほとなく
百かにちもすきけるに又一つ
のきようじそいできたりぬ
入ゑもんさきだいてもりけらん
あとやくをいひつかりて
かりばの用一しきを
つかさとりいつたん
もりけらにたまはり
たるいたてんあしげと
いふめいばまてを
いふれいはまてを
くだされけるが
ある日たかがりを
ならしのためこぶしに
たりをすえかの
いだてんあしけの
うまにのりずさを
めしぐしていりあひ
ごろに山をくだらんじ
けるがをりしも
ゆふぎりふかく
たちこめて
とうざいも
さだかなら
ざりけるが
まへなる
みねのあだり
よりつるおと
たかくひゞきて
しらはのや
一すぢとび
きたり
入ゑもんが
のどぶ人を
のぶかにぐさと
ゐぬきたれば▼
〽これはなにものゝ
しはざぞはやく
そこらをさかして
くせものをとらふべしはやく
▼ぐわんらいがわさの
ろうじんなれども
いたでなればなにりは
もつてたまるべき馬より
まつさかさまにおちて
そのま〳〵いきはたへはてぬ
一人をいへにはしらせ一子おきの助にかくとつげければ
おぎの助ぎやうてんしはや馬にて此所へきたりめ
つきしたがひらものどもくせものを
とらへんとこゝのみねかしこのいわかげを
さがしけれども人かげもみへざればせんかたなく
うはなり
おぎの助ちゝのしがいをいだきおこしてみれば
はやこときれてこほりのごとくひへ
かたまりけるにぞあるいはあきれ
あるひはなげきしばしとほうに
くれたりけるがやゝあいてこゝろを
しづめておもひけるはこれは
いわてもり九郎がしはざに
うたがひなしとほやに
かけしはひきやうなやつ
なんぢたとひいづくに
にけかくるゝともたづね
いだしてちゝのかたきを
うたでやはあるべきと
こぶしをにぎりはを
かみならしてこくうを
あらみじだんだをふみ
あらみじだんたをふみ
けるがさてしもあるべき
ことならねばしがいを
いへにもちかへりしゆじんに
しさいをくわしくまうし
しさいをくわしくまうし
あげてなく〳〵のべにおくりたり
秋
○ゆの山の女神〽あしげのこま
〽たかをすへたる人しげどうのゆみ
〽しらはのや山にいるをいみきらふ
そのたぐひもし山にいるときは山河
めいとうしいかづちなりひゞくといひつたふ
此とき入ゑもんあしげのこまにのりたかを
すえて山にいりしらはのやにあたりてちくめい
したるは山のかみのたりかもしれずと
かくて父入ゑもんの百かともすぎければし
かくて父入ゑもんの百か日もすぎければ
おきの助しらたききやうだいしゆくん
大江のはんぐわんくにとしのまへに
ちでゆの山にてちくをとをやに
かけしはまつたくいわてもり九郎が
しわざとそんじゆへばわれ〳〵
きやうだいかれがゆくへをたづね
父のかたきをうち申さく候あいだ
父のかたきをうち申したく候あいだ
なにとぞしばしのあいだおんいとま
くだされかしとねがひけるにぞ
はんぐわんそのかうしんをかんじて
さつそくきゝとゞけたまひ
のぞみのごとくしばしのいとまを
つかはすあいだしゆびよくかさき
をうつてめでたくきさんいたす
べしとのたまひければありがたく
おれい申てしりずねはありかたく
おれい申てしりぞきさてにはかに
かないをとりおさめかざいはしばらく
しんじやにあづけおききやうだい
いそかはしくたびのよういをとゝのへて
ふくしんのしもべ□□といふ
ものを一人めしぐししやう〳〵の
にもつをもたせてほつそくし
けるがもり九郎がゆくへ
いつくをあてにたづぬべき
たよりもなけれどまづ
きんごくをたづねばやと
思ひかはちいづみやまとそのほか
ちかきくに〴〵をめぐりはんとし
けかりたづねけれどもそのゆくへぶつに
しれずはせよりあふみにいでこきやう
の人にあひてきけばもりけばもりけたこくへは
ゆるず。やはりせつつうちにかくれすむよし
みつけたるものものもありとかたりければおぎの助
うはなり
ひやうぎする人も
ありけれども
まつたく
まつたく
ものゝ
うらみを
ものゝふくむ
しはざと
おぼへたり
ふくむ
きやうだいそれとはしらす
きんごくをたがねしはむだあし
にてありしと
いひて
すぐに
また
こきやう
せつつつ
くにへ
たち
もゞ
ほり
江町
二丁目
いせ孫
かたにて
しんせい
あらひ
あらひ
玉と
申すをおろし
うり仕る
つねのあらい
ことちがひ
てうのう甚
おほく御ざ候御もゝめ
は被すよ
かくておぎの介
しらだき
きやうだい
せつつの
くに人もどりて
あまね〳
さがし
もとめ
けれども
とかく
しれざり
ければ
おきの介
思ふやう
もしは
とう
ごくの
山おく
なごに
山おく
かくれすむも
春
しれすあり
しれすあり
きのおんせんは
しよけんの
いりこむ
来志尚
ところなれば
てかゝりを
もとめなば
かのところにて
し
□□
しれぬことは
よもあらじと
しあんを
持□
□□
きはめさいはい
ありまのゆばに
〽かの
さいくは
こゝの
めいぶつ
めいぶつ
ばや
やすゝ
よつて
内
〽この
は
しる人ありけれはそれにたより
みをやつしおほくの人にきをつけて
もついらそのてがゝりをたづね□とも〳〵
もついらそのてがゝりをたづねけりそも〳〵
ゆなといふは八湯のつくにかくにみをまか
せてなぐさむるものなれどもおふぢはかりに
みをやつしゐることなればいかでか
みをやつしゐることなればいかでか
はらたみをけるすべきたゞかねてならひ
はたみをけるすべきたゞかねてならひ
おほへたる□うたをうたひしやみせんを
おほへたるとたをうたひしやみせんを
ひきてざしきばかりをつとめ
おほくの人のくちうらをひきて
もつはらかたきのてかうをもゝめは
けるがよにたゝひなきひしん
なるうへにはなはだこゑよく
こゝへもとおほくの人にめでられすこしの
しらたきはおふぢこなをかへて湯女に
しやみせんもたへなりければそこへも
ひまも
〽ちよつとまいつている
けつ
やり
あり
すぐにきます
わいな
〽これ〳〵おふぢ
たんちよつと
このあいして
くだんせ
まの
おふぢ
〳〵とて
しぜん
そのな
たかく
なり
人
〽まつになりたやありまの松に
ふちにまかれて見とござるといふ
ありまぶじの小かたは此ときよりうたひはじめけるとなん
〽江戸かる
山本
富かく
てじなれんまんの
めいじんが大さかへ
まいつてゐるときへ
まいつてゐるときつひ
ひやうばんでござります
人丸のうたに〽みな人のかさにぬふてふ
ありますけありてのゝちもあはんとぞ
思ふとよみしはむかくよりこの
ありまのめいさんとしておほく
すけがさをつくりいだすゆへなり
さるほどにしらたきはおふちと
なをかへてゆなとなりおきの介は
あり
平
有馬
人形筆
つくりいだしければめづらしきふで也
子とものもてあそびいへつとによき
ものとて入湯のりよかくきそひて
これをもとめぬありまのにんきやう
ふでといふはこれなりかゝるかうしの
つくりはじめたるふでなれは今の子
までもそのかたをうつしてめいぶりと
なりこれをもとめていへつとにする
いまにたへず又しつ午はすけ
がさをつくりとき〴〵
これをとりにいつるに
ことよせてしよ〳〵
有馬毛少々町
ほう〳〵をありき
もつはらかたきを
たつねけり
名物
大音堂
□□□□
○おお
の助
かくおち
つきてくらし
かたきさ
かたきに
さする
けいりやくなり
から
くりの
ふで
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
ふう
全図
倒れ
摂州
大こくの人形
大吉堂
自馬筆
筆管五寸六分
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
管ふとさ局のごとし
有馬
めいさん
名産
人形
通
筆之
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
筆頭一寸二分
て左こくの人はにんぎやうふでをいまだみざる人もあるへけれはその首を心にあらはす
らくを五しきのいとにてまきはなはだみごとなりぢくのうちにからくりをしかけもじを
けはちくのしりよりよりちいさきにんぎやうのいづるやうにしたるふてなりにんぎやうは
ゑびす大こくとうじんのかいろ〳〵ありふでのちくをいこにてまくはまくはまきとてふるき
ことなりしかのまきにてなといふも麁毛にてゆひたるにてのちくをいとにてまきたるをいふ也
こゝに又いわて
もり九郎はせつ
つのくにをさつて
かわちのくにゝ
たちこへまへど
めしつかひたる
うばくもでと
いふろうぢよ
とうごくに
すむよし
それをたより
にみを
かくさはや
とこゝかしゝ
たづね
ありき
いこま山の
さんちう
ところの
なさへ
くらかり
とうげ
とうけ
ちごく
たにと
いふ
所を
よきり
一つ
やの
からず
ずみて
同二十四日
ものとはばやと
ためらひけるに
あばらやのうちにびやうにんと
おぼしくいとくるしけにうめ〳〵
〽はゑきこゆ又かねをうち
ねんぶつのこゑありあな
くるしやたへかたやと
うめけばかねをせわしく
うちならしねんぶつを
せはしくとなふ
せはしくとなふ
もり九郎あみかさ
のひまより
〽なまいだ
〳〵〳〵
〳〵〳〵〳〵〳〵
のぞきみれば
どてらぬのこを
きたるわかもの
あら〳〵しき
あら〳〵しき
てににあは
ずを
ぶつ
だんの
もとし
あり
こな
たに
ふし
たるはし
ひやう人と
みへゆきを
あざむく
ぬける
たつるなります〳〵あやしみて
四五ほんつゝ
しらがのうばなるがあやしいかなかん
かもきじさきはとすぐめのたゞいの
しよちやうまくらがみにゐならび
ばゝのしらがをくわんてひけばその
たび〳〵にばくくるしみてこんを
よく〳〵みればやせおとろへて
むかしのすがたはなしと
いへどもたつぬるうは
くもてにうたかひなけれは
やかてあんないをこふに
かのとりどもはきへかせ
かのわるものねんぶつを
やめこなたをかへり
みてあんないを
こふはなに人ぞと
いふもりけらし
これは
いわてもり九郎
とてこのやの
かう女くもでに
ゑんあるもの
なりといへば
けるものたちいで
けんをもらに
しちのとをひらき
さてはかねて
きくおよぶ
さくおもしつが
せつしやが
はゝの
あげ
もり九郎
かきの
わりとより
うかゞひみる
さてしか六はゝはやまひに
おかされてけふあすもしれ
候はずといへはもり九郎
まづかきのそれにてみたる
とりのふるまひをかたり
けるにぞしか六なみだ
をながしそれをごらん
なされしかへはなにを
つみ申すべきわたくしは
かりうごをわざといたし
候がはゝはとしよるに
しきがひてとんよ〳〵
したがひてとんよく
ふかくなりよな〳〵
いでゝねとりをとり
おほくのとりをしめ
ごろしてうり候
わたくしもせつしやう
をわざといたし
候へどもさすがに
ねとりはとり
まうさずね
とりをとる
ことはすべて
かりうどなかま
のかたきいま
しめにても
ねとりをとるは
つみふかき事と
うけたまはり
候へははくに
たび〳〵
いけんを
くわへ
候へども
〽さてこそ
ばゝあ
ねとりを
つみをつくり
くふものも
くらはずに
ためた金と
みへるしる六日
もてらぬうちに
はやくもつて
にげましやう
もちひず
これまて
十ねんほど
ねとりを
どり申候
しぜんと
人もしり
ちごく
たにの
あら
わし
ばゝと
いみやら
をとり
ひがその
むくひにや
〽しかろくふる
ぐらにはゝのしかはね
をおためてのべのおくり
このたび大ねつびやうをわづらひ
あなくるしやたへかたやかみのけが
四五ほんづゝぬけるやうにかくらがいたんで
くるしいとわめき候がとりのかたちは
くるしいとわめき候がとりのかたちは
わたくしの目にはみべ申さずたゞ今
ごらんなされしおんはなしを
うけたまはればいよ〳〵とりの
むくひにうたがひなく候はゝが
むくひにうたがひなく候はゝが
びやうきにつきわたくしも
いちねんほつきしてこのころは
せつしやうをやめはゝがらいせを
たずかるやうにおねんぶつばかり
申ておりますとらくるいしてぞ
かたりけるもり九郎はかうあくふてきの
ものなればむくひのほどをおそろしとも
思はずかつふくににあはぬきのよはきこといふ
やつかなとこゝろに思ひそれがしいつたんしゆつせ
したれどもゆへあつてまたろう〳〵のみとなり「是つゞく
いまだぢうしよさへさだまらねばとうぶんこのやにかくまひ
もらはんと思ひしにくもでがびやうきをりいるしといふ
うちにろうぢよははやりんじゆうとみへてくるしめばしか六つ
うちにろうぢよははやりにしなんとしなんとしては
まくらにちかづきまつごの水をあたふるにしなんとしては
まくらにちかづきまつごの水をあたふるにしなんとしてなり
きくらにちかのしたをのぞきてしにかねるやうすなり
しなずとかくゆかのしたをのぞきてしにかねるやうすなり
もり九郎かたはらよりこれをみてさてはこいつゆるのしたに
こゝろののこることあるゆへならんとこゝろにうなつきゐたりけり
こゝろのこよついにくるひじにくるひじにくる六は大になげき
さてろりぢよついにくるひじにくししければしか六は大になげき
ひつきをもとむるてあてさんなければしがいをふるきつゞちに
入てみづからせおひのべのおくりをなしにけり
さてもり九郎そのるすのまに
たゝみをあげてゆかのしたを
みればすこしにたかき
ところあり
さてはうはめがねんこの
かねにのこりてとかげにけし
たるにうた
がひなく
がひなし
しんでしまへば
いらぬかね
おれに
くれよと
いひつゝ
いひつゝ
はしり
ゆきぬ
六は
をあつてもし
をもつて
うがちたれば一つのつぼをほり
いだしぬさてこそこのうちに
ものあらんとおもひつゝ
つぼをとりいださんとせしに
つぼのうへに一尺ばかりの
あをとかげとりつきてめを
ぽち〳〵としてゐたり大たんの
ものなればなにともおもはず
これをはらひのけつぼをとり
いだしてみればはたして金子
廿両ばかりありけりこれてんの
ふりかへりてみればかのあをとかげ三尺ばかりの
おほきたになりあとをおひきたるゆへ
あたへとよろこびしか六がかへらぬうちにと
つぼをかゝへてにげいたしけるにたちまち
みうちぞつとしてあとへひかるゝやうなれば
のべより
かへり道
つら〳〵
思ふにはゝ
ゆりのしたに
こゝろをのこして
しにかねたるは
ばだいを
とのへしと思ひつゝ
いへにかへりみれはゆつのしたを
おりかへしてもりたら
ほりかへしてもり九郎
日ごろつみを
ごろつみを
つくりてためたる
つくりてためたる
かねをもくし
おきたるに
うたがひ
ゐさりければさては
もりけらとのはや
もりけらとのはやく
此ことをさとりうばひとつて
此ことをさとりうばひとつて
にけたるにうたがひなしと
とふかことくにそのあとをおひ行けり
せめて
そのかね
かね
にて
一
あらそひもり九郎かたなをぬいて
しか六にきりつけたるにたちまち
つぼのうちよりしんくわひら〳〵と
もへあがるとみへしがもり九郎
五たいすくみてつぼをとり
おとしみぢんにくだけて
廿両のかねあらもとにみだれ
ちるもり九郎これをひろひ
とらんとすれば又てあし
しひれてうごなれずときに
とびめごり人百とびめぐり老女が
かほにそのまゝにていまにも
くらひつかんいきほひなり
さすがのもり九郎もこれに
おそれてかねをすておきいちあし
いたしてにけさりぬさてしか六は
かねをひろひあつめていへにかへり
げんざいわが子のわれにさへかくして
せめてはそのつみめつするよすがにも
かの大とかげかしらのうへをから
さても〳〵あさましきことかな
〽さても
しう
ねんの
ふかい
やつ
ためる此かねはみなあくこんのたねぞかし
なれかしとてそのかねにてせがきをなし
しか六やう〳〵もり九郎におひつきなんぼしゆうすぢの
おんかたにてもはゝの心ののこりたるつぼなれば
さし上がたし此ほうへかへし給へいやかへすまじと
まことにしゆしやうなるほちしんなり
かはちのくに中のむらの雁そこはとて
いまのよまでものこれるはかのそとは
なりとぞ
○もり九郎はとかくしにはせあしく
なにとぞろようのかねをさいかく
してゑんごくへたちのかばやと
心ああ
心あて
あれば
ふたゝ
す
くにへ
たち
こゝかしこ
にしのび
ゐたり
〽そのつぼを
そのつぼを
こつちへ
かた
さいせへ
さらくごほり中のむらにいしのそとはをたてはゝのため
こゝろされたる鳥のたる鳥のさめにながくぼだいをとむらふたねとすかくて
しか六ほだいしんをおこしししゆつけとなりてねんぶつざんまいによいにすぎぬ
きておぎの助がしもんじつ午はありまずけがさとかりあるきせつしうしまかみごほり
山ざきまちにてもり九郎をみつけとぶがごとくにみせかへりておぎの助にかくこつげ
しらせければおきの助におどりしてよろこびいもとおふぢをともなひじつ午もろとゝ也
しらせければおきの助におとのへんにてよそもり九郎に
つがふ三人山ざきまちへはせゆきこゝかしこをたづねみなせ川のへんにてもり九郎に
いであひめがらしやいわてもり九郎まつゝ入ゑもんが一子おぎの助ならびにいれと
しらたきいまはなをあらためておふぢこいふよも見わすれはいたすまじゆのやまにて
父へゑもんをとをやにかけてゐころしたるひきやうものものかれれこころなりじんじやう
〳〵にかたきとなのつてしやうぶせよはればもり九郎いひけるはこは思ひもよらぬかたか
よはりそれがし入ゑもんをこをやにかけたるおぼへかつてなしうぬらはきでも
ちがふたるもちろんわれ入ゑもんにいこんなきにしもあらねばよきをりをりを
一又みてがいせんとは思ひしがなにものかゆの山にてとほやにかけたるとことこと
ほゐなく思ひてうちすぎぬなにをしやうこにかたきとぬかすたわけづら
めと入のゝしればおきの助こへはげまししやうこといふはなけれども
おや人はなんぢよりほかにうらみをうくる人をもたずこのばに
いたりおぼへなきとはみれんなやつじんじやうにはくじやう
してしやうぶをけつせよたとえいかほどいつわる
ともほねをひしきてもいはさでやおくべきとてつめよす
ればかりから〳〵とあざわら〳〵とあざわらごとき
ればもり九分から〳〵とあざわらひなんぢらごとき
よはむらめらたとへいくたりきたるともそれを
おそれていつはりをいふべきかおぼへなければせひもなし
それはともあれかねていこんある入ゑもんが子どもらさいはい
のしゆつくわいいけてはかへさぬかくごひろげとよばりかたなを
ぬいてあいむかひじつ平はうしろにありもしあやうくはすけ
だちとめくぎをしめしてひかへたりさてたがひに火花を
ちらしてたゝかひけるをりしもうしろのいなむらのあいだよりめい
くわう〳〵たるつるぎのきつさきひらめきいでもり九郎が
せぼねよりどうばらかけてさしとをせばなにかはもつてたまるべき
あるとさけびてたふれたりこれなにものゝしわざぞと身とみればみそじ
あまりとみへたる女のじゆんれい十三四さいなるおとこの子のてをひき
一ちがたなをひつさけていなむらのかげよりたちいづればおぎの助大にいりなんぢは
なにものなればわがおやのかたきなる此もりけらをてにかけわがのぞみをうしなはせ孝道たげ
しぞ此うへはなんぢをうつてからみをはらすべしといひもおはらずきりつくれはかの女みを
かはしてちやうとうけおれはやまりたまふなしばらくまつてわらはがものがたる一とほりをきて
たべとてうや〳〵しくてをつきわらはくもととうごくめをのむらにすみてかねておんやうたへうままま
おひりやうをおさめたるまめ娘がつまによしと申すものこれなるはまめ太郎といふせがれ
なんさかぬるころ此もり九郎とりのぢごくのごくすいをくみとるところをおつとまめ作
にこづけられほるにあれんことをおそれてころし候よしものときたしかにみとゞけたるもの
あつてのちにわらはにかたり候ゆへむねんこつずいにてつしなにとぞもりけらをうつておつと
のあたをむくはんとこゝろがけ候へともろうぼ一人あるゆへにもしかんつたなくかへりうちにもなる
ならばされかはゝをやしなはんといたづらにつきひをおくるうちはゝもみまかり候へば此う人は
もり九郎をうたばやとつけねらふうちゆの山にてとほめにみればみおぼへあるいだてんあしげの
うまにいつてすぐる人ありかのうまはもとおつとまも仰がおせわ申しておんやかたへさしとしめいば
にてしばらくわがいへにやしなひおきよくみぼへたる馬にてゝにたぐひなきけなみなればみたがふ
べくも候はずかのたをのちにもり九分にたまはりしときけばこのうまにのるものものもり九郎ゟ
ほかになしことさらかりばのことをつかさどるもかねてかれがやくめときくかた〴〵もつて
もり九郎にかたがひなし女わざにおおちあひのしやうぶはとてもかなふまじとぞんじわらはゟ
父はもとろうにんにてけんじゆつゆみやかたつらんなればわらはも女ながらゆみゐることを聞さへは
□□□□□□□□へはいそぎ
いへにかへりゆみやをたづさへて
ふたゝび山にのぼり夕ぎり
ふかき
うまを
めあてに
ゐおとして
日ごろの
あたをむくひ
よろこびしが
あとにて人の
うはさをうけたま
はればもり九郎は
とくにおんやかたを
しゆんほんしあとやくを
おんちゝ入ゑもんさまに
いひつけたまひかのうまも
たまはりてわらはが
ゐおとしたるは人たがへ
にて
なりと
うけたまはり
じだんだ
ふみて
くやめども
あさましや
女の
かへらぬこと
したるは人たがへ
あさき心より
たゞうまを
目じるし
としてなのり
あひもせず
あひもせず
とほやをゐたる
そこつさよ
かくてはとても
おつとのかたきはうたれす
めいどにていひわけせんとみづから
なのりいでゝいかなるつみをも
うけばやとぞんぜしが
御きやうだいともに
もりけらをかたきと
おほしてねがひをたて
たびにおもむき給ふと
きゝしからばおんあとを
したひくわしき
ものがたり
□□□□□□□□
して
おん
てに
やと
おやこ
じやんれいに
すかたを
やつして
おんあとを
たつねはんとし
ばかりきんごく
をたつねけれ
どもおんゆくへ
さらにしれず
ふと人のうわさを
かへなり
きればとうぞくに
た□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
ありまにすみ給ふ
ときゝわらはも
とうごくに
たちもどり
ありまに
いたりて
たづね
ばやと
たゞ今
此所を
がけなく
もり九郎にいであひおつりの
あたをむくひ候かたきを
たづねてくろうするは
よにおほきためしなれ
どもかたきのほうから
うつ人のゆくへをたづねて
しんろうせしはわらはばかり
御すいりやうくだされかし
とてもり九郎にむかひ
いまだいきあらばよく
きけよこれといふも
みななんぢから
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
おこること
おづとのかたき
思ひしるべし
とてのどぶんに
とゞめをさし
さて
まめ太郎
にむかひ
なんち
もり九郎が
くびを
とつて
とゝさまの
ゐはいに
たむけよ
かねて
いひ
きかせ
おきたる
はゝがさいで
かならず〳〵
なげくなよ
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
おんちゝかへのれいぜんにたむけ給へとてそでを
ちぎつてかたなにまきはらにぐつとつき
たてければちからほさつとほとばしるまめ太郎は
そでにすかりこゑをもけてそなきさけふ
おぎの助きやうだいじつ平ら三人は
によしがくわしきものがたりをきゝて
さてはそふかとうちおとろきよりつねの
ものならばにけかくれもすべきに
われ〳〵があとをしたひうたれて
くれんとたつねしは女にまれなる
なりちゝのかたきとはいひ
ながらもと人たかんといひじさつの
うへはうらみもはれぬまめ太郎と
あんとしてじやうぶつあれといふおりしも
玉つくりむらのしん三さいばかりの
しやうにをいだいてこゝにかけつけ
小よしにむるひそれがしは玉紅の
かしん玉つくりむらのしんと
かしん玉いくりむらのしんと
いふものなるがせんねん
やらはそれがくはこくみつかはすへし
いさ〴〵おぎの助さまはやくわらはがくひをうち
山口むらの石ちぞうの
まへにてこのしやうにを
ひろひようしとなして
そだてしがさくやかの石の
ぢぞうぼざつゆめのうちに
つげ給ふはなんちがひろひたる
しやうにはあをのむらのまめ竹か
つきによくといふ孝婦の子なり
よにたぐひなきからふなれども
すくせのいんぐわまぬかれずみやうにちその
小よしみなせ川のほとりにてらくめいすべし
なんぢしやうにをつれてかしこにいたり
いきのあるうちおやこのわかれをいたさす
べしとつげ給ふによりさいせん此所に
きたりものかげにてやうすをきくに
はたしておんみはその小こかしなるよし
いざ〳〵おやこのわかれをいたされよとて
しやうにをあはせすてこにそへたる
しやうこのかきつけをいたしてみせければ
ておひはくるしさをうちわすれしやうにを
いたきてなみたをながしさく松よ〳〵
さてもおほきうなつたのふうまれた
としにすてたればみしりはせまい
わくはそちがはゝしやぞやさり
ながら此はゝありと思ふなよ
うみのあんよりよういくの
ごおんはふかきおれき〳〵に
ひろはれたるはそちが
しあはせせいちやうしても
御ほんをわすれずずいぶん
かう〳〵つくすべしさすがは
いやうきものゝ子と此はゝ
までのなをだすなじひある
おかたにひろはれてすてられた
子はしあはせものすてたるはゝは
此やうにゆいばをもつてひがうにしす
みなこれすくせのいんぐわなり
たゞありがたきはぢぞうそんなほも
らいせをおんたすけとてふしおがみ
うはなり
さて村のしんに
むかひてよういく
のれいをのべいざ〳〵
おぎの助さま
わらばたみを
さいのめに
きざんで
なりとも
おんちゝの
あたを
むくひ
給へと
いひつゝ
はらかき
さばき
のんどの
ふへを
かきさりて
うつふしに
ふしたり
ける
おぎの助
ます〳〵
小よしが
しんてい
をかんじ
かたき
ながら
もかく
ある
女の
くひ
うつに
しの
とて
成て
そのしがいをほう
むらせもり九郎が
くびをまめ太郎に
うたしめてこれを
たづさへ村のしん
さく松をつれて
もろともに
ともに
一土手の
王経の
やかたへ
いそぎ
やきぬ
○まこと
にこれ
によしが
ふるまひ
孝あり
貞あり
ずあり
勇ありたぐひ
まれなる
女なり
七乙
せうそのはんぐわん
かくてやかたにいたりければ王江判官くにとし
古人のものをめどほりによひいだしてたいめんし給ふ
おぎの助まづによしかみづるゝなのりいで
じさつしたるいはれあしげのこまにて
人たかひしたるよしをくわしく申上
村のしんもさく松をひろひたることの
はじめよりくわしく申上まめ太郎は
はゝによしがろうほにつかへて大孝なりしこと
山口村ぜにつかのぢぞうそんのれいげんにて
ひんくをたすかり一めいをのがれめしいの
目あきとなりしことをくわしく
申上けるにそはんぐわん大に
かんじ給ひ小よしとやらん
孝といひ貞といひ義といひ
勇といひ古今まれなる
女なりとてかたゞけなくも
かんるいそでをしぼり給ふ
さておぎの助に父のかわく
をつがしめてがぞうを
たまはりおふちにはいづに
ろくをあたへてあねありあけが
ろくをあたへてあねありあけが
給ふまめたらにもろくをあたへて
わかぎみのとぎやくとなされ作松は
村のしんがのぞみのとをり養ことな
村のぞみのぞみのぞみのとをり養子となし
よくいたはりそだつべしとのたまひ
うみたるわかきみのもりやくとなく
によしがあとをねんごろにむらひ
つかはされじつ平ことげらうなれども
ちうぎのものなりとてかづけものあまた
給りければみな〳〵そのじんしんをふかく
かんじけるとかや○さておぎの助あり車の
さておきの助ありまの
ふでみせをじつ平につかはしけるにぞ
じつゑせをしつ平につるはしけるにぞ
じつ平そのみせにすみ人形ふでを
ひさきてよをあんらくにすごしけり
○思ふにもり九郎いさりびきやうだい
ともに悪意をたくはふるゆへについに
てんばつをかうふりてあさましき
死をならぬあくのむくひはぜんの
むくひよりはやくみなかくのごとし
おそれもおそるべきことぞかし
○小よしは世にまれなる
孝女なるにひめいに
しぜしはその
くどくなきに
にたれども
そのこ豆太郎
はんぐわんの
かしんとなり
わかぎみの
代によし
いたつて
しつけんしよく
となりさく松は
村のしんがあとを
とりて高ろくの
みとなりきやうだい
ともにれき〳〵のぶしと
なりたるはまつたくによしが
孝道のむなしからざるところなり
されば人の子たるものはげみつとむべきはから〳〵の道ぞかし
うへなり
ほだいしよ
うまなれば念もん
種
全
よのなかの子どもしゆへつげ申す
すべてゑぞうしに見やうあり
豊国画
あく人いつたんときをえると
いへどもついにてんばつを
かうふりてほろぶるところを
〽めでたし
みてはあくのむくひのはやきことをさとり
わるひことはせまいものあゝこはひことじやと
思ひて思ひてわがみのいましめとすべし又ちうしん
をうしくんぶのためにせんしんばんくするところを
みてはあくらやましいことわれらも此やうに忠孝の
人となりて天のめぐみをうけたいものじやと子どもの
〽めでたし
〳〵〳〵〳〵〳〵
山東京傳作
彫工小泉新八
ときからこゝろ
十
がくれば
しぜんと
よき道に
車
いるなり
とかくわるい
ことには
前編
三冊
とりいだし
おき申候
あいだ
大
そまりやすく
よきことには
そまりにゝき
ものなれば
尾
とゝさまかきまの
しつけおししやう
さまのおつしやることを
〳〵とてんばつをかうふりてゆくすへすへすへすへすんか〳〵
そむき給ふなそむくと
一つゝみ
読書丸
一匁五分
一匁五分
きこんをつよくしものおぼへをよくす心腎の
一匁五分〳〵き千そんによしつねにみをつかはず心を
嵐津
つかひてしんろうおほき人ろうにやくなんによにかぎらずもちひて
かうのうおほしすべてうまれつきよはき人かならず用ゆべし道中するへ
たくはへてゑきおほし東伝痘かみたばこ入きれぢたばこ入きせるめづ
しんがた品〳〵○京伝自画さん扇たんざゝ御所望の御方に応じ申候
のよりの
ほんやにて
おんもとめ
御らん
可被下候
○べつして
此さうしは
かうしの
ことを
もつからに
しるか
見給ふべき也
心をとめて
文
化
二日
山東京傳作
摂州有馬
於藤之伝
妬湯仇討話全六冊
歌川豊国画
内久屋捨妻
火に
四十八丈余
商吉
同断古手屋八郎兵衛
曲亭馬琴作
歌川国貞画
年
皮
天報
山東京山作
復雙突腹帯全六冊
歌川豊広画
正宗
〇
辰
正
七役欠
日十替吉岡
六樹園著作
討記乎汝全三冊
酔放逸人画
月
高野山
矢木啜
敵討報蛇柳溪冊
松下井三和作
葛飾北斎画
新
板
時太郎可俟作
新編月熊坂全五冊
葛飾北斎画
同
市二三戯作
形説飛歒討全三冊
録
酔放逸人画
右追々出板仕候御家御覧可被下候通油町蔦屋重三郎板