常夏物語

creator
歌川國貞畫
created_at
2026-08-17T19:23:18.082Z
updated_at
2026-08-17T19:23:18.082Z
field_notes
場所: 江戸
field_rights
CC0
field_creator
歌川國貞畫
field_language
日本語
field_has_image
true
field_publisher
山口屋藤兵衞
field_identifier
10010000014596
field_ocr_status
completed
field_title_yomi
トコナツモノガタリ
field_attribution
東北大学
field_oai_datestamp
2025-12-02T15:05:46Z
field_oai_identifier
10010000014596
field_ocr_updated_at
2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
常夏物語一九 『教授』』『 以て購入セル間博士 倫理事吉氏館 一八 乙酉春 後篇 常夏 一九作 四七 物語 国貞画 山口屋版 であん〳〵のでいる〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵 十返舎一九著作 五渡亭国貞画 とこ なつ 常夏 もの 勿かたり 牛吾 諸 かたり 前 文政八年乙酉 後 春新彫 山口錦耕堂寿梓ノ から〳〵とも 十一 一とこなりものかたりじよ 常夏物語序 予先年壮弱の時山城嵯峨の観喜院に投宿し滞 別の徒然精火に打跨て樵夫の澁茶すゝりながら作 言まじりに物語しは此草紙のおもむきなり是を耳の 底にとゞめてそれより丹州天の橋立に行んとて嵯峨 より水尾峠を経て丹波の箕申峠をくたり麓にやどりて きゝに奈羅邑といふありさきに樵夫のかたりしに首合し 殊更善に導き悪をこらすの玄話にてさすがは冷治 にあらざれども人情の深浅不否をわかち聞に讐ざるひ 美談なれば今年の朝撰に縮るものなり然れども大人の 視給ふものにあらず只児女の睡眠をさます而已 文政八年乙酉孟政 十返舎一九志㊞班 十一月廿一日 鷲津山 稲荷 神使 みがき てし こゝろの つるぎ なれど 五 びつちうたま 備中玉 島臣 さやに おさ まる 御代ぞ かし こき 狐怪妖怪怪 精能緩 興廃導 存亡 東京東京 益利益 おもの 一同二十一月十一日大阪市町村 修験者 囲家 法印 仏体 を うけて 生れ 人なから こゝろの 鬼の つのる 兄次 しまはらめ 島原 傾城 常夏 太夫 は東京都市の地域における。その地域では、その地域の地域の 東馬義女於民をんねん 愁念 福冨屋 若太郎 みな 人 因 是は めぐる 車にて とかく うらみを ひくと こそしれ して不思ひてるを 蔬端 端 往時五州の督将大内多々良義弘城州内野にて山名氏清と合 戦に及びしとき氏清の軍女死の勇を震ひ謀計をまうけ勢ひを はげまし大内勢をさん〴〵に駈るやます其時九州がたの先陣に浦多 兵部義景といふは累代大内家の籏下として武名ならびなき勇士 先祖より伝へし白狐丸といふ名剣を重宝として身を放さゞりしが此釼は 農祖鷲津山の稲荷を住給し夢中にさづかりたるにて是を帯し軍 に出るに一たびもおくれをとりしことなし是に依て今兵部義景も敬北せしを 喜念におもひこの太刀を真甲にあてゝ一心に祈誓し何とぞ今一度 此恥辱をすゝがせ給へ我一命にかへて祈念し奉るとて一人とつてかへし おひくる敵にかけ向ふとき折節はや日も黄昏に及びたるが思ひもよらじ 横合より数千の開立おこりたちて義景にちからを合せ敵勢を切くづす これを見て大内がたの軍兵とも我さきにと取て返し右往左法にかけ たて敵将あまた討取終に勝利となりしこと義景面目をほどこし扨 今ききに横舌より打出たる一手の軍卒抜群のはたらきそも誰人にや と見る所に大将とおぼしき勇士義景の馬前に来りわが滝は九州わし 津山の狐にて御身の帯する白血丸に附そひ守護しかるときの危難 をすくはんが為なれば扨こそ連累のきつねどもをかたらひ大軍と見せかけ 漁敵を切崩せりといひ終りて数千の軍兵一斉に消失たり義景 奇霊としてそれより此名剱いよ〳〵重宝とし子孫に伝へたりしが 大内家滅亡の後兵部義景の志流浦安東馬備中王島の城主 大仏右衛門の太夫時夜につかへたるが白狐丸の一ふり格持すること主人 にきこえ智望によりて指上たりしを大仏家の宝物となりて其後も 竒瑞あればふかく伏蔵し宝庫におさめおきたりしを何者とも しれずある夜ひそかにしのび入宝蔵をきりせぶり件の名釼を ぬすみとり逐天しけるこれ此草紙の発駕なり 同断二十一丁 □□□□□□□ たらぬ 四 ● おさらきけ のほう ぞうへ しのび入 びやくこまる の一ふりを うばひ とりし くせものかねへてより きつね きつねのしよく きよ るいを あぶらにて あげたる をたゝわへ もちきたり 十一月廿一日 ほう ぞうへ しのばん とする時 これをまき 十一 ちらしけるゆへ めいけん 〽しゆごのき つねども こゝろを その しよく もつに うばゝれ つら りきを も なひ めい けんを うばひ とられける となり 一〇〇・〇 □□□□ おさらぎ家のさゆらひうらやすとうまはしゆ じんのこんもうによりびやつこまるをさし あげそのゝちびやうししけるがその子ども 三人ありあにはかくまといひてせいしつ たけくわがまゝものにてびやかこまるを しゆじんへとられしことをざんねんに おもひまた〳〵ねがひて御さしもどし 下さるべしとのそせうしゆじんきゝいれ たまはぬをいかり へんさい やしきをしゆつ ほんしゆくゑしれす このたびめいけんふんじつ によりかくまへかた がひかゝりはゝおや 又〆文 せざれば なりがたき しまつにて はゝのく らうを見 おむつかくまのい もとふたり御いとま かね二ばん めのむすめに いでゝおやこ三人 おしん くにもとをたちさり すこしのしるべを たよりやましろの さがへきさりおむつは のうひつなるゆへ てならひのしなん をなしくらしけるが 1000 くのうちほるより かりうけしきんすの さいそくにあひ といふはき りやうすぐれ はつめはにて 禁その身を くりきん すをとゝ のへばゝの にくらうを たすけん とてその 身より すゝ みて ついに しまばらへ 身をうり けるにぞその いもとおみへことし 十五さいなると はゝおやとふたり つきを にてうきとし おくりける そのころみやとほり川の ほとりにうとくのてうにんし ふくとゝやとみへ あんといふ ものありしがびやうしして その子に こみまつとてせい じんのなんしあれども みもちあしくはては いへ出してゆく ゑしれざれば しんるいそうだんのうへはしりてう につきみみへし もんのおい にかみとらと いふをもらひうけ からんとしけるが このきみちし おとがらよくこゝろ もやさしけれども りかけのいたりとてゆう しよぐるひにみもちあし ければこらしめのためとてさがの しんるいのかたへあづけおきけるにその しんるいといふはてならひししやうお むかのとなりなるゆへきみ太郎つね におむつのかたへもこゝろやすくなりて ない〳〵のことなどもうちあけてゆ 三十二 押 ゆおくそこなくかたりあふ ほどになりのちには きんせんをもとつ かへてやりなにかの そうどんあいてと なりて こゝろ やす く かたらひ ける うらやすとうまの そうりやうかくまは びやつこまるのめい けんをしきりに ほくしゆじんの ほうぞうへしのび いりなんなくうばひとりてたち のきしがもとより身もちあしく やたいしゆをこのみそのうへいんよくふよく みやこにきより五ぜうざかのうかれめ おいかといふになじみあつれて かけをちしきたさがにしるか べきことりきたるにはゝおや おむつてならひししやうして こゝにおるをさいわいと おしこみくちさき にてさま〴〵わび ことするにさすがは おやのならひとて ふびんにおもひかくま ふうにほうへといゑをかり うけてさしおきけるが おにの女ぼうにきじん とてかくまのつまおいか こゝろすぐならぬもの にてさま〴〵わるだくみ してくらしけるがこの ごろおむつひてうき なればこれさいわいと いもふとおみへとひそ かにわがかたへよびよせ 二月廿一日 ふうふわざとなみだに にていひけるはこのたびのはしのわづらは とてもほんぶくはおぼつかなしそなたには あんじさせまいとまゝはさしたることも なきやうに今によくなり あんじかなとくちにはいへどもくつうの よふすことにいしやのいふにはとしつきの しんらうつもり〳〵てむもの いたきやまひはとてもたすからぬいのち いたきやまひはとてもたすからぬいのち それともきんす十両もあればやくしゆ かうきんのしなをとゝのへ あれどもきんすなくてはとかひがたし よのなかにひんほどつら もちゆればたちまちほんぶくするざゝほう きものはなしねさへ あれば今しめるはゝ のいのちたすかるし ほうはありながらち からおよばすみころし にするくちおしさおれは それがかろしくてないてばつ かつさそやさぞはゝもさだ めししにとむなかろかあい そふにそなたのことあらにひ とりのこしたらたよりが なかろふびんやとけさもわれへのゆいごん にほかのことはいはずたゞそなたのことば かりくやしいことはこのおれが女ならおしん のやうに身をうりてなりともはゝのいのち をさすけんものおとこ に生れたいんぐわの つくばび これに つけても おしんめは かう〳〵もの おやのなんぎ つとめ ほう こう てんとう さまの おかげにて今ではいつ かどのぜんせいつとめの 身ながらゑよう ゑいくはして 人にはたゆふ さるとて もてはや され よいこの うへと きゝあ しが おやかう にせし そのみの しあはせ なんと いのふと はゝのいのち たすける しよふは あるまい か つぎん つゞき今はゝにしなれてはかはいやそなたはたよりがあるまいこうつふうちにもおれは かなしうて〳〵これ〳〵なみだがこのやうにて水をむけていもふとにみとからせんとのそこだくみ 身のしろをもつてはゝのやくだいにせんといづわりわれひとつちやゝぶくわんとむなざんようして おいかもろともたましかくればおもへは去じうしく〳〵ととうにけてなきふしめたりしがあにの いふことまくとゝおもひ子ごゝろにもはゝにわかるゝこをかなしくさあらばあねさまのやうに わたしのみをうりてなりともはゝのいのちたをかることならくてとへいかなる身となるとも わたしはいとはぬ。あにさまたのひときくよりかくまひろそで成をかほにおしあてさても〳〵 そなたはあねにおとらぬよう〳〵ものてかしゆくとふぞつとりなぶくしてはゝのいのちをたすけてくれ さりながらこのこと はゝへうちあけて いはゞそなたを手ば なしやらんとはいふ 同じ まじければはゝには かくしびやうきほる ふくのぐはんがけにき よみづのこはんをんへ さんけいにゆくと いつはりどうぐして めうにちわれつれ ゆくべしかまへてこの ことはゝへはけして さたするなといひ ふくめてはゝの もとへかへしけるが おみへはいまさら ろごりおしくあす 上りはゝにわかるゝ 身こよひばかりの にてはなかり しかかならず ともにあにの いふことまこと とおもふな あまがくるわへ ゆくときも くれしゞわしへいひおき しはおやのためにくがい にしづむわたしの身は ぜひもなしこのすへた とへとのやうなこと ありともいもふとは て下さるな かあいそふに うちきもの そのうへわたし とちがひ なごりぞと おもへばむねもふさ かりてなみだのかはく ひまもなくかゆなど たきてはしへすゝめちと おこしでもざすりま せうといひつゝ見やる はゝのかほいろあをく やせおとろへひやうくに よはるいきづかへ見るに かなしくはら〳〵とおと すなみだをおしかくし } まぎらかせばはゝも むすめにあんじさせ じとわざとこゝろよげ にいひなしまくらをあけて いひけるはけふそなたは あにのうちからよひにきてゆきやかたといふこと なんのようありてかことのほかひまごりしは さだめしあにのよこしまものもしやわしのびやうき につきやくたいのかはりなどゝそなたをだまして あねのやうに身をうらせんとのたくみにてはな かりしかあねのおしんもあにのすゝめをおやのため かう〳〵とばかりこゝろへわしにかくれてつとめの身 となりしにそのときとてもあねのみいしろきん はんぶんあまりあにのてへひきこみほうらり づかひにつかひはたせしわうだうものそなたをも またそのやうなことにしよふとのもくろみ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ びやうしん にてなみだもろ きうまれつき ひとなかへつき 出されてくらう させさらわづ ちうはしれた ことわしは いもふとが ふびん なく くれ〴〵 のたすみ なれば たとへ 御今つちに こひつき しぬる も すやたを □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ そのやう なくらいの 身には せぬほとに 次へはゞき つゞきこたらへあにがどのやうにざまそふともそなたはとこへもいつてくれなわしも きのふけふは大らんきがんもよしおつつけほぼくにはまもありまいさりながらせうじはふじやう せかいひよつとわしがもしものこらでもあつたならそなたいたよりはあるのおしやばかりなれど これとてもつとめの牛あにはあのやうなわうだうものたよりにはならずそれゆへあんじられるは そなたひとりわしがしんでも とりかはししんみのなみたはてし なきところへね心なくの きみ太ら来けり きみ太ら来けり □□□□□□□ すみておやり也 ずつとはいり おやこがこのていを たちかへればこの たちかつればこの うへいもとごのおみへ 見るよりこれは ごのをもらひ またおやこのしゆ うけてふかふ ふたりよるといつ見 てもないてばかりその となりある となりある このことも やうになにがくらうに しくは なりますぞわたしは ひさしいおなじこといふではなけれど ふらしたゑんでこのやうにおこゝろやすく ながたにつけおまへかたのだんぐのわけ きけばきくほどおいとしさにぶしつけ なことなれとも手づかひなさることも あらば何なりともゑんりよなく いひるへおよばすながらうけ たまはろうといふくらひにて 今わたしの身はかんどう うけしとうぜんの身なれどこづか ひがねははゝのかたよりない〳〵 おくりてくれらるゝゆへすこしづゝのことはとり □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ はからひ アましと ゆちから へをつけて いたり ける かへもしてあげたならそれといふもおまへかたのおいとしさ ことにはゞごの御ひやうき入用のこともあらはわたしがとふともして ことゝなみだくみていへばはゝのおむつはふしおがみふと御ねんごろになりて より御しんせつのなせはそのおことばにあまへておたのみ申たいはこの おみ人のこともしもわたしのなきのちのあにのあくたれものにだま されて身をくらならはひつぢやうさるによりそのやうにならぬやう あなたのおなさけにてこの子のゆくすへとかくよきにおたいみ申 たさそれにたかた今ではおはなしいたしませぬがこのおみんのあんのあねのこと おはるかしいことなからよん所なすわけふて今は九ぜうのしまばらに つとめの身これを見て下さりませとたゆふのだうちうすがたをかき たる一まいのにしきゑをとりいだしこのあふきやきこなつとかきたるは ◎ あげやうからけるして心つかひをせずにすごしくはやくほんぶくあるやうなさるがかりしんの あふきや内 常夏 きくを 源兵衛 版スト そなたさまのまことあるおくざしを見とみもしやこの身びやうしせばふたりの子どものちから となりてたまはれかしといひさしてなきふせばきみならいやうわれらちかきうちにはわびこと あにのかくまのあくしんよりおやのひんくをす くふためとておしんをだまし身をうらせそのうへ にていつそやあにがこのゑを東にてもとめて かへり手からそふにわしへ見せてよろこばしやれ いまおしがひまいゑにも出るやうなぜんぜんせいの 太夫となりしとなんぞやつねのほうこうにんの りつしんしゆつせもせしやうにひけらかすにくらし さわたしはなんのうれしかろうちゝうへこのよに おはすならそのうきつとめはさすまじきに ふがいないはゝおやひとりあにこといへばあくとう ものわたしがよみぢのさはりといふはあねとい もとのふたりのみのうへちからとたのむ人もなく 〽あにさまどふぞかんにんして くださりさせおまへのいふ とをりにはなられませぬ はきまのゆいごんで ござりますわいな いま〳〵しいあまめだもふ にてくをふとやいてくをふと おれがまゝた うるとめかせ おむつの びやうき しだいに おもり 兄弟の女の 子とものことくれ〴〵きみ はらへたのみおぎついにむなし くなりければおみんのなけき 大かたならずはゝのしがいにとり つきゆすりうごかしはゝさま しんでもさりなわたしはなんとなりませういつ しまにしにたい〳〵とけうれのごとくなき わめくこのこときくよりあゆのかくまはしり きたりしうしやうのていはすこしも きたりしうしやうのていはすこしも なくさしあたりほとけのとりおき ばんじの入よう手あてなければ けふすぐさまいもとのおみへを つとめぼうこうのくちへつれゆき てつけきんなりともかりうけ かへりてそう〳〵のいとなみせんと ひそかにおみんをあやなしかくるに おみへこのうれいのなかことにはゝの いひしこともあればあにのいふこと きゝいれざるゆへかくま大きに いかりかねてせうちしおることを 今となりていやとはいはせじ とてひつとうへてうちやくしせめ うたれておみへなみだにめを なきはらしにげまはるをきみ太郎 きあはせかくまをなだめきんす 三里やうをかくまへあたへまづかくこれ にてほくけのとりおきせらるべしおみへ どのははゝごよりわれらへもらびうけ たればあとにてゆるりとそのはなしを いたすべしとてのおくりのしたくをさせそう〳〵をすまして きゝみらはかくまへまた〳〵きんををつかはしおこへをもらひうけ せはになりおりしわがしんかいのかたへひきとりけるがそのゝちきみ太郎 おやもとのわびことすみてみやこゆかへりはゝつもいさいのことをかたり きかせければさいわいのことなりとてきゝみ太郎とおみへをこんれい させふうふとなしけるにおこんこころさしすなほにてしうとめへかう〴〵にし よくしん せつに つかへける ゆへ はゝも よろとび むつまじ くくらし たる さてもかゝまはげんざいはゝのわかれにもいる こうにひるますきみ太郎よりもらひし かねもほうらへにつかひはたしさま〴〵の わるだくみしこうよくのことよりお とりておなしわるものなかまとこう ろんをしいたしけんくはと なりうちあひけるが かくまはひとりあいては 三人そのうへかくま さけにゑひてあし もともさだまらず さん〴〵にうちたゝかれ きうしよをつよく うたれてせうきを うしなひそのまゝついに おころされけるこれ みなどうあくの むくひおやに ふようのばち にてかくまをあ ころせしものどもは そのばよりちくてんく ゆくゑもしれず それなりになりて るくまひとり ころされぞんとぞ なりけり きみ太郎はほり川のうちへたちかへりはゝの きげんもなをりておみへとふうふになりそれ よりはかげうをせいだしくらしけるにおみへ しうとめのきにいりふうふのなかも むつまじくあるよのねものがたりにお みへのいふやうあねさまはいやしき ことはしうとめ つとめの身ゆへこの ごへはかくしさいこく きにつとめいると 一がたのおやし いつはり おけでおもて むきしま ばらへつかひ はやられず はゝの びやうしの ときしらせ やりたる まゝにて そのち たへて おとづれ をも せざれば 今わたしの こなたに あること しらせ たく とゝより ふみはかき おきたれ どもない 〳〵のことゆへ もたせやる人なし もしや御身しまばらの かたへついでもあらばあね にもあひ給ひて今 わたしも御身のせはと なることくはしく かたり給ひてあね 此あんしんする やうつたへ給はらん やといふにきみ太ら きゝてわれもひとたびそなたの あるごたがねんとおもふなれば あねごたがねんとおもふなれば さつそくしまばらへたづねゆく 〽こんな 火はいかして おけば人の 〽ひころの いしゆばらし おぼへたる〳〵 いま〳〵しいやろう なぶりぞろしに してや太郎 べし とて その あくる日 とうじへ さんけい するはそ こゝろやす しまばらへゆき しまばらへゆき きものども うちつれ きやうやみいふ 次へつゞく ところろ三 つゞきあげやへなりこみあふぎやのとこなりたゆふへ 人をゆりしにさしあひありとのことにてことはりを いひ〳〵 からすからくかい こしたるをちよつ となりとももらひくれよとあけやをたの めばそのよしをやつたへげんしばらくすると とこなつたゆふざしきへたちいづるその ふうぞくのつしりとしてきりやうは ならぶかたなくあいけうこぼ るゝばかりにてすこしさかき げんにてかほはさくらいろに てりかゞゆきしどけなき ていにきみ太郎のそば にすはればきみ太郎ひと にすはればきみ太郎ひと め見るよりたちまちこゝろ まよひあじなめづかひにとこなつ もきみ太郎のいやしからぬおとこ ふりに見とれてさもうれしげに さかづきのとりやりひとしぼけうに いりてげいこあまたに さみせんをひかせ さはぎたちて よもふけけるゆへ さかづきもおさ まりこさしきに とこをとらせ打 ふしけるにとこなつ はじめのきげんにかはりきみ 太郎ひとりおきてとこへはいつ こうによりつかずきみ太郎あんに そうゐしのちにはこばらたちて せきこみゐたるところへとこなりは し □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 繁子 きたりとこに入ても うしろむきてものをゝ いはずきみ太郎のかたより ことばをかくれどあいさつも せずいたりけるがやくしばらく ありてはねおきすはりてきみ 太郎の手をじつとにぎりて何も なるゆへきみ太郎がてんゆかずせんこゝより われさま〴〵とことばをかくるに何とて いはずさしこつふきてなにかしあんのこい 御身はあいさつもせざるや といふにとこなつにつくりと わらびてさればのこと なり今わたしにはふかく などみをかさねちかきうち には身うけしやらんとやく そくせしたいせつのおきや そくせしたいせつのおきやくありそれゆへ しゝうはそのおかたのせはにならんとの ゆおりふゆへに けしてほかの うはきなること はつゝしこおる ところこよひ はじめてそな たさまの御め にかゝりし よりはづ かしな こな たの 三郎 ろ いろ に まよ ひ て かんじん のこなた だいじの おきやくの ことをわす れたるゆへ さま〴〵に かんが よく〳〵おもひ なをして 見れば さま なり そな た さま になじみ かさ ならば ついには 次へ つゞ 仲居 一ゞきそのだいじのおきやくととりはつしそのうへそなたさまにはおとゝもわかしまた ほかにうはきできしうへこなたひとりふりすてられはひつぢやうなりなじまぬうちこす おもひきりやすきなればかさねてきたりたまはぬやうにわざられしなく さてこそかくははからひしといふきみ太郎打わらひ いかさまぜんせいの御身ほど ありて人をたらすいひまはし かんしんしたりわれこよひ きたりしはほかより御身へ ことづかりしものあるゆへ それを手わたしせんとおも ひてきたるなればそれのみ のことなりとておみへのこと つけしふみをとりいだしとて なつへわたしさらはといひてたま あがらんとするをとこなりおしとゞめて ふみのうはがきを見ればあねさまへおみへ よりとあるにひつくりしさては かねてはゝのかたよりの ふみにて名はきゝおよ ひしほり川のおかた にてはなきや もしそれならば おかへし申すことは なりがたしときゝ 太郎のひざの うへゝわかひざ をのせておさへながら ふみをひらき見れば □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ まがふかたなきいもふとの しゆせきにてありしことゞも はゝおやのびやうしのとき きみ太郎のせはになりしこと をくはしくしたゝめまたお みへの身のうへ今きみなし とふうふとなりおることは はづかしくやおもひけんその ことのからずしてたゞきみ 太郎のかたへひきとられ せはになるとばかり かきたるゆへとこなりは おみへきみ太郎の 女ぼうとはしらず よみおはりていふやう さてこそこのふみ にもあなたのこと しばらくさがにゐた まふときおせはになりし ときゝおよびしがいま いもふとのおみへも御く ろうになるとあれば さだめしふうふとなり あひてのことならんと 〽とこなりもきみ太郎には こゝろあるゆへいもふとの 水をおしてきけばきみ 太郎もおみ人をつまに こみなりに せしことは いはずしを かゝせばとこと なつまこと おもひさあら おもひさあら はひとかたならぬ 次へつゞく つゞき御おんのあるおかたさきほどよりこなたしなしは ゆりし給へと打とけてかたるにつきぬねものがたり たがいにおもふどしなればついにはふかき なかとなりとこなつもだん〴〵となじむに このほどやどへかへりはやしんぼうせんとおもひこみしも またくとこなつのいろにまよひしまばらへかよひ出し ければはゝはこれをくらうにしてないてばかり見るにつけても おみへはなをいけんせんにもわんきするかとおもはなしがめん ぼくなさにことりにたへずなきあかしその つけてわすられずきみ立らもわかげとてやう〳〵 らへあいかたはわがあまのとこなつといふこと おえはさとりしりてきみ太郎をうらみ あねをもうらみおもへどそれとはいはす きみ太郎の心にさからはぬやういけんすれ どもきかずのちにはおみ人しやくのやまひ に打ふしければはゝはことし六十のうへこして はやほいたいしめうけいと名をつきごしやう いつへんの身にくらう できてあけくれきみ 太郎のほうらつをなげ きたとへのとほりつみ ある子よりもなは とりかうらめしといふに ちがひなくきみ太郎の あしきよりもけいせいといふものは人をたらしその おこへあねのかたへおくりしふみに 介してしめし上ろ〳〵いよく御さはりなふ 一人の身の つまりと なるをも かまはず 人でなしの こんじやう 人のなげき をしやうばい とするつみつく りきけばとこな つといふ女郎そふ ながおなじにん げんに生れなから 子をうるおやも をになればうら れるにもぢ ごくのをに人 をだましてゆく すへかおもひ やらるゝこと うらみたら 御つとび候はんとかす〳〵御めことく御うれしく そんしより〳〵さてはこなた君太郎かく事 御まへごとふかふも〳〵御かたらひのよく此身あり とりては御うらめしく存上よりしそれに御まへはつくや 今の御みのうへはかくしおき候まゝはゝろみには こなたあねとは御そん〴〵なく人をたらしなんぎ させそれをその身のよくとくとするけいせいに うるおやもおやうられし子もゆくすゑはよふある まじとしうとめごの御くりこときくにつけにてもげんざい〴〵 こなたのおやたちやあねさまの事人にてはなきやうに おほせられ候は御ことはりに候へどもこなたそれをきく かなしさつらさ御すいもじ下さるつしかやうに申上 候はゝ君太郎女ほうのごなたゆへさだめし青き してのそらごとゝおぼしめし候はんあかれども はゝうへさま御はゞめこなたとこもひとかこならず 御せはになりし君太郎さま下身の御ためになら ざる御事すこしは御すいもじとかく〳〵その御 かたへしばしのうちなりとも御かよひなきやうに 御はからひの御事ひとへに〳〵御ねかひ上りし こなた事さま〴〵のくらうたへどそれゆへこの ほどはしやくおこりすぐれ申さず打ふりおり候て しよく〴〵もいつこうにすゝみ申さず候まこのてい にてはいの寺のほどもおぼつかなくかなしさ御さつし ぐきくに おみへは おろをも かなし その とこ なりと いふは おみへの あね いふ 四 しうと めへはかくし あるゆへ それとは しらず にくさけ にいふを きゝ たび おみは かなしくいさ いをふみに したゝめとこ なつへつかはしける ねがひ上よし此ふみ上候事君太郎左衛門は けして〳〵御さたなしくどふも〳〵こなたの はゝまおとしよられ御くらうなされ候事御いた はしく候まゝ御こゝろやすまり候やう御はからいひ ねがひ上ゟし申上たき御事山〳〵に候へとも こゝろわきそう〳〵めてたくかし 御あね貞旨 けへより とこなりはおみへのふみをよみおはりてはる ばかりむねふさがりさてはいもとは きみ太らさまとは やうふのなかそれ とはしらず かくまでも 身にかへいのち にかへておもひ にかへておもひ あふたるふ たりのなか すへのすへ までやくそくし ねんのあくのを たのしみにち かひしこともみづの あはうらめしきは きみ太らさまいもとゝ ゑんをくみ水ひしここはじ めにそれとあかしたまはゞしようもやうも あるべきにつゝみかくしてこのやうに人におもはせ あるべぎにつゝみかくしてこのやう 今となりておもひきらぬばならぬぎりとはいひ ながらかくまでもおもひつめしをいかにせんとこぼり るなみだとゞめかりこゝろひとつにみやかくと むねをいためなきあかせしがこのほどはたへてきみ 太郎のかよふこともとをざかりたよりもなきゆへ さてはくるわがよひのことさだめゝはゝごの御いけん おみへのてまへをはゞかりてしばらくとをさかり給ふ ならんそれもはゝごのお心やすめ御しんぼうが御身 いためこがるゝこのよはかすならずとおもひあさらめ 人しれすこゝろになきてくらすうちひさしぶりにて きみ太郎しまばらにきたりければきゝより とこなりはせゆきていつものごとくさしきのあそひは そこ〳〵にしてとこにいればさしむかひいは心とすれば なみださきだちたもとをくちにおゝあてゝよそを はゞかるしのびなききみ立らも何となくめをうち はらひいふやうこのほどはさはることありてひさしく そなたにあはぬゆへけふこそはひさしふりにてそなたの わらひがほ見やうとおもひきたりしに砂をかなしこゝ そのていはといふほどいよ〳〵なき入てそなたさまにあふこと けふかぎりとおもへばそれがかなしさにといひさしてふし しつめばきみ太郎きくよりそれはとふしてなにゆへにと ふはんするかほをうらめゝげにうちまもり御身はこなたの いもふどゝいもせのかたらひし給ふことなぜあかしては下さん せぬそれとしりなばはじめよりおもひきりてこれほど までいのちにかへてもいとしいとおもひここは とこなり三 わきせまじき ものこのふみを見て くださんせとさし 出し見するはお みんのしゆせき きみ太郎はせき めんしことばも なくさしうつふけば とこなりはすかり つほとてもおもひ きらねばならぬ ゑんとあきらめ いかそのことし ぬるかゝごはきは めたれどおかほを 見ねばみれんおこり 見ればみれへおこん きるにもきられす しぬにもしな れずこのやうなかなしいことがあるものかと きみ太郎にとりつきなみごのかぎりなき いりしがたとへいのちにおよぶともいもとへの ぎりなればもはやけふかきりにてふたゝび 御げんいたすまじあなさもはやうおかへり あらばはゝこさまのおこゝろやすめいざく とゝ〳〵かへり給へとおもひきりてつきいだす きみくらもおこんのふみを見しうへはたうり にやくして打しをれいかさまそなたの いふとふりみなこのほうの 十返舎一九著省 一七一一一一 くいたづら けりそな □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ たにも かゝるおもひ をさせ今 さらせんかた なしたがひに あらぬなか なれどもなる ひきらねば ならぬわけ われもいきては いぬかくご今が このよのいとま ごひけふを かぎりのいのち かきこりのいのち ぞときゝに かなしく 次へつゞく 五渡亭国貞画 四 〽つき〽どこなつはすがりつきわたしこそはおまへにわかれてほかにたよりなき 身のうへなれはしんだがはるかにましなれとおまへにははゝどもありいちら しいはいもとのおみ人いくほどのくらうくげんもおまへのあるゆへにこそもし もやいつしよにしなしやんしたときくならばこれもよもやいきてがは まいはゝごのおなけきおみんのおもひたつし給ひていき ながらへみらいのゑんをかならずともにわすれれてばしくた さんすなわたしばそれをたのしみにしぬるこの身をかはいや とおもふてゑかうしたまはれといだきづきてなくなみだ ひきにふちなすはかりにてはてしもあらず見へけるが ひさにふちなすはかりにてはてしもあらず見へけるが ひさにふちなすはかり きみ太郎目をはらひてわれながらゆるほどならば そなたとてもころしはせじぎりにせる れてひとたびはおもひきるともまた かされてじせつもあらんそれまでは こよひをかぎりみれんの心のこら ぬやうふたりよとともかたりあかし あすからはたにんむきいとまこひに きけんをなをしねよふではあるまいか とたはむれてむすびかゝりしゆめ ともなくうつゝともなくびやうぶの かげにすつくりたちしはおみんのすがたくろかみをふり みだしいろあをざめてまなこのすかどき見るよりはつと ふたりながらきもたましいもきへうせてがたくふるひ よぎひきかぶりゐるところへほり川よりあはたゞしく つかひのものきたりておみへさまことごびやうきせんこくより にはかにとりつめはりもくすりもまにあわすくたゞいまりんしう なされしとつげ来るにおどろきききみ太郎はそふ〳〵にほり川にこそかへりける とこなつはきみ太郎とゑんをきるさへかなしきうへいもとおみんびやうしの〳〵 しらせにちからをおとしさてもいかなかいんぐりとにやおやたちにはやくわかれは ひとりのいもとを たよりとしくがいの いとめもねんあけ なばきやうだい つねにむつまじく ゆきかよひして たがひのちから とならんことを たのしみおもひ しかひもなく はかなひわかれ のもとはと いへばみな この身の 〽つゞきいたづうよりおこりきみ太郎さまと いたつらうを なれそめしばかりにいとしや心くろうをさせ それかやまひのたねをなりこのよをきりし いぢらしさかんにんしてくれいもふと そのかわりにはそなたへの ぎりばかりにおもひきり がたきゑんをきりし うへはとてもいき てはゐぬかくご いのちにかへて そなたへたつつ そなし きりにめん じてうらみを はらして しやうぶつ してくれよ かし此うへはさい こをいそがんこの 身もいぜんは さふらいの さふらいの たねみれんは せじとかゝで してすゞり とり出し きみ太郎へ のかきおき をしたゝめ かみそりを しうとめ ごの心ざし あまたの そうたち にくよう ありしくり きにより て今こそ じやうぶつ するなれば もはや とりいだし にしにむかひて なむあみ だぶつと すでにじが だぶつという いをせんと するとき 一一二一一一二二一一一一一一一一二一二二 かたへにあり しよきの 一一、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、〇 うちより こへありて はやまり ねふきあぬ うへとすつ くりたち よぎのうち におみんが すがたあらし われて御身 にからみ なけれど もおつとに こゝろひか されてみれが んにまよふ こんはくも ありがたき ◑此印へ おもひ□ 〽このとす ことなし 御身も しやうがい し給ふに およばず いのちをまつとうし たまはゞやがてつぎへし } } } みこせ かゞきめでたくきみ太郎さま どふたゞびゑんをくみたもふ ことあるべしといふかとおも ゑばこへのみしてありし かたちはけふりのごとくあと かたもなくきへうせける ○きみ太郎はおもひも よらぬおみんのびやうし におどろきやばへ かへりそう〳〵をなし 一七日もすぎてはゝ おやばんとうにいひ つけ見せかたのしよ かんぢやうさせ 見るに大ぶんの ふそくかねのゆき はしれざること のみありてこれを のみありてこれを せんさくすれば みなきみ太郎 のひきおひなる ゆへはゝおやきも をつぶしこれほ どのことには あらじとおもひ しにもつてのほかの しにもつていほね ことこきだつてほう らつにてつかひすごといふ せしをゆるゝてまも なく此ていにてはとて もこのかとくはやり がたしこれまでもおひ いださんとおもひし ことはたび〳〵なれ どもおみんのかはい さにかんべんしさし おきしがもはやかん にんなりがたしとて かんどうしおひいだし けるゆへきみ太郎には かにめのさめ たるごとくこう くわいすれども かなはずたよる かなはすたよる べきかたもなくし てみすぼらしきてい ながらしまばらに ゆきてとこなつを たづぬればこれは はや四五日まへに いづかたやらうけ いだされてこのさとが にはおらすといふきみ 太郎せんかたなくそれ にびつちうのかたへゆかんとこの右の下へし よりすこしのゆかりをたより 〽左の上ゟ一たち出 おもしがはつまの くにへいづる とせたんばぢ より山みちに けりふみま上 ひておもは ず日を くわしひとり たどりゆく □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ にほかきまじてとも とりてみちにさへ ざるばかりなれば □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ かむとたち どまり見る ところにしゆ げんじやと 見へぞうがみ のおとこさ きにたちてゆくをよび かけてみちをたづね ながらやまみちに ふみまよひし ことをかたればかの山ぶし きのどくにやおもひけん 御身ころざまほん どうへはよほどのみち のりこよひめうちに □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ たへいつしゆくしあすほん どうへ出ゐへとねん とうへ出給へと ごろにきこへける ゆへきみ くらよろ こびさあ らばよきにた のみあぐると ( そのやまぶし にうちつれて ゆくにきつね 火もおなじ くやまぶし のさきにたち てふもとのかたへと くだりける このほうゐん きつねをつかふ ものと 見へたり このことすへ のだんに くわし ところつ四 ここなつ四 きみ太郎かのほういん にいざなはれゆきし 所はなら山といふ所 にてふかうとうげの ふもとなりほう いんさきへいりて しか〴〵のよしを 「注刊「 同一一一九一九一 TIININININININININININININININTENINININTER INILINITINININININININININININTENINININTER 組織組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組組 いひてきみ太郎 をよびいれ けるにあるじと みへ四十ちかき 同様に 同一 女出てきみ 太郎を見る よりねんご ろにあし らひ山 みちにふ 同断 同四月一日 同盟国 みまよ ひしを きゝて それは 第三四頁 四四 TELETELE さぞ や 「同一「 なん さ し給ふらん こよひはゑんりよなくやすみゐへたびつかれもおわすらん いくかなりともとうりうしゆる〳〵つかれをやすめゐへ 一関此 一三丁ゟ にあはぬ いんほん のうまれ づきにて などしんせつにきこへしよくしのもてなしもていまい にていへいのやうにもひんかとはみへすめし つかひのおとこおんなもあれどのう げうをなすていもなんかの ほうろんのうちかとおもへど きやうにも見へずめしたき おやぢのかたるをきけば このやのむすめとうしよ のもくだいなにがしどのゝ せうとなりててうあい ふかくそれ手へこのやのあるじ はそのむすめのおやぶんゆへに ばんじもくたゝいよりのまかないにてあんら〳〵の くらしなりといふきは太郎おしかしてほういん のことをきけばあれはいづかたのものにやたび かせぎのしゆげんじやなりしがきとうのかぢ 一五丁ゟ ようを かたりける が今又きみ 太郎のおと こぶりよき たびのしゆ げんじやどう じやくほういん といふにみつつう といふにみつつう しおのがかたに とゞめおきてう あいの御中へし よほれてなれ〳〵 しくもてなしあくる 〽下たゝんといふにとゞめ られてきみたらうか こゝにもてなされと とうりうしゐたり ける をするとてふとこのやに いりこみあるしのひやう きのとききとうせしより やすくなりいつのまにかは あるじの人とみつつうしてそれなり のしよくかくなりといふきみさら これをきくて心のうちおかしく あるじといふはふためとも見ら れぬふきりやうのあのかほにても こひはしあんのほかなりと あわらひいたりけるがこのやのある なをおしなといひてかほには同印へし 一まに おけりと こちに こちに ござり ませゑん りよなしに 〽ありがたふござり ますおせわに なりませうから おらまい 下さり ますき □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ きみ太郎とうりうのうちあるじ おしなしきりにしたひてほういんの るすのときさま〳〵のたはふれ ごとからすれそめてい よりおしなはほう いんに見かへてきみ 太郎に心をよせ けるゆへきゝく も心にはそな ぬながらも さしあたり こまるみのうへ なればさいわいと おしなのきけんをとり をこゝにあしをとゞ めけるかあるよなに こゝろなはうらぐち にいでゝゐたるがと ふとさしきの かたをみればかの ごうじやくほういんひとり ゑんさきにたちいでなに やらひもんをとうへひと ふりのたちをひきぬきまり こうにかざしきねんすれば いづくともなくきつねおび さゝしくいできたりほういん のまへにうづくまるときほう いんことへになにやらいひつくる ていにてしばらくすると きつねはのこらずらせたり けるきみ太郎にしぎの おもひをなしこゝろのうちにおもひけるは せんねんみやときたさがにいたりしとき手ながい じせうおむつがはなしにおさらぎけのてう ほうびやつこまるといふつかぎはうらやすとう まのせんぞわしがやまのいなりよりむちうに さづかりしめいけんにてさつねどもこれを しゆごするゆへ ぬきはなし きねんをなせばいづく ともなくきつねちまたあら はるゝふしぎのめいけんとう ぞくのためにふみじつせしと きゝたるがいま見しほう きゝたるかいま見しほう いんがつるぎのきどくもしや そのびやつとまるにては あらざるかどこゝろに うたがひなにとぞこのつるぎを 手にいれなばおさらぎ家へさしあげ ふたゝびうらますのかめいをひきおこし 女ぼうおみんがゑんにつねがるおむつ ほうゐんのやうすをいかゞとうらゞひける しかるにならやまのもくたいなちがしどのゝあいせう 此やうきにつきいろ〳〵りやうし申せられけれどもあきへ やうふのきやうようにもならんかとむねにおさめて とこなつ口 つゞきしるしなければせうのおやもと おしなかたよりどうしやくほういん のことをもふしあげなにとぞこの かぢきとうをうけたまはゞ ほんにくあらんともふしける ゆへともかくもとてさつそく ごうじやくほうゐんをめされ けるにぞほういんもくたい どのへまいり御きとうのとき そのせうをひとめ見しより さても〳〵よにはかゝるゝろく しきおんきもあればあるものかと 〽きさまは いかふたいへいちく をいはれるけれど いんよくふかきこゝろよりふれ そふうまく おもひそめてきとうらぢもうはの いけばよいが そらにつとめたゞ〳〵そのせうのかほ めのさきにちらつきてわすれがたく とてもおよばぬこひなれとおもへども あきらめかねやしきもそこくに してたちかへりうつら〳〵と そのことのみおもひ つゞひていたりける 〽とのゝ御あいせうのこともしも 御びやうきへいゆしたなら きさまはおかまを出す ことじやせいだして たのみます もくだいのあいせうおせつと いふがやまひにやしてとりみだし おれどもてんねんきりやう あてやかなるにほういんおもひ こみてわすれがたくやしきを かへりてひとりへやに 娯楽 〽いつそわたし はおまへが いとしは いのち に三 ひきこもりきみ太郎と おしながむつましきていにもかまわず たゞおせつのことのみおもひこがれ いかゞはせんとたちまちあくねんを 妙妙 おこしいのちにかけてもこのおもひを はらさではおくべきかとおよばぬこと 安安政 に身のほどをもわきまへずわる かけ うそ じや ないぞや 五 だくみをなしけるはこのほういん きつねをつかふよふじゆつをなし けるゆへある夜しんこうにおよび てひそかにもくだいのやしきへ しのびいりにはさきの木だちの うちにいなりのみやあるをさい 楽 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ わいとこゝに かくれてよふす をうかゞひきつねをつかひ てぼうけいをほどこし ける 〽はてどふぞして わしがのぞみを かなへたいものじや となり 一わたくじが きとういたせば たちところに 御ほんだく させます きつとうけ むいで あいで あいで ござり ます なんぼ くちさき では さめ ても おこゝろいき がとふもわた しにはのみ こめませぬ そのよおせつはびやうくも こゝろよくこしもと どもをあいてによも やまのはなししてわら ひけうじ打ふしけるが よとぎのものもいねふり よもうしみつごろとなり けるときおせつのふし たるをゆりおこすものあり おせつふとめはさましたれ とたれのおこせしとも とたれのおこせしとも おぼへずこゝろうかれて うかくとひとり ねましをたちいづれ ばいろゑんにこし もをちくさといふ かまちうけて こよひはごびやう きも御こゝろ よげなるゆへそろ 〳〵おつれ申せ ととのさまのめし ますほどにこな たへきたりゐへと ておせ心の手をとり いざなひゆくに おせつはたゞゆめの ごとくおぼへてうか〳〵 ともなはれゆくはとのゝ しんじよと見せてにはさきの じやくほういんまちうけおせつをとらへ てこゝろのまゝのふるまいこれみな きつねのなすわざにておせつをたぶ らかしつれきたるなればほういん おもひのまゝにたはふれかゝれど おせつはなにごともおぼへすゆめの ごどくにありけるをほういんあく までもおもひをはらさんとせしとき さしきのかたさはがしくおせ心のみへざる をたづねさがす人おときこへてめい〳〵 手しよくをかゝげはしりちがふものおと おせつをそのまくすてよきてやしきをなかれとげ ゆきけるそのうちおしさむらいこしもともく それ〳〵におせつを それ〳〵におせつを とにはにおりたちていとはかけじゆもくの くま〴〵さがしあゆみて いたるを見つけておどろきあわくなし おこせどたゞきよろ〳〵とせうたいなく さながらものゝけのつきたるごとくなにごとを ねぜころふさせみなくつきそひいたりける 木だちのもとにいたりけるときごう にほういんおどろきあらわれざるさきしを くざるゆへもしや たづねとへどもたわいなくしていらへもせざればまづ〳〵 こなたへと手がきにしてつれきたりしばらくもせの もくだいどのきごしめしこれみなきつねのわざにておせし つをたぶらかせしものなるべしこのほうやしきのおくにはに次へし 一つゞき きつねの ある たありひつ じやうそれに すむきつね どものしはざ ならんいかに ちくしやう なればとく わがやしきの うちにすまい しながらかる ことをなし たるこそ わうざう なれそう 〳〵おくには のきつねの あなをいち 〳〵にいぶし たておひいだ うちころせと きしづにした がひあくる日 おくにはにある きつねのあな をいち〳〵に とこなつ五 いぶして や にくい きつね 次路明 いしをもつて ふさぎあるひ いあなのくち はあなのくち はあなのくち もとにてまつ ばをたきその けかふりをあな のなかへ あふぎ いれなどし てのこらず きつねの すみか をうち くずし けるにぞ ふしぎ 〽このあい だもふ けいきな ばゞあに おれを ばかそふと しおつた せめてうつ くしいしん ぞうにでも □□□□□□□ てはれ れば 〽さつさとあをげ〳〵 おもいれぶちころして ばんにはきつねじるで のみかけよう なるかな その夜もくたいどのゝ ゆめのうちにいちにんの ○さふらひあらはれいでゝわれは このおやしきのおくにはにとし ひさしくすまいゐたるきつ ねのしゆれうなりこのたび そのもとのあいせうふりよの ことにあい給ふをわれ〳〵 のしわざならんとこんにち おく小はのきつねのすむあな こと〴〵くはきやくし給ふこれによりてわれ〳〵の図なにとてさやうのあくぎやうをつさくぐ 一女さいしけん ぞくすみかをうしなひなんじうせり われ〳〵すねん御やしきのうちにすみながら なにとてさやうのあくぎやうをつぎへつぐし とこなつ五 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ れまつたくごう じやくほういん といふものゝ きつねをつかひて なせしわざなり さるによりてわれ くせんこく とりていやく にんと身を 七十一日 へんじほう いんをめし とりきたり 御にはさき のいなりの もりにつなぎおけり そのうへほう いんにつかわり のきつねども 〽これはおかしい あのつらつきで ばかなほう いんめだ はこのほうにて うちころし たれはさつ そくほういん をきうもん ありてその つみをたゞ されわれ 〳〵のすみか 日 〽これは 大わらび ちやん〳〵 ぼうず もとのことくに なをしゐはらば ながくとうけの 御まもりとなる べしとつけ けるとゆめみ てもくだい きいのおもひ をなしよあ くるとそう〳〵 いなりのもかへゆき てみるにのぎ二ね さんびきのしがいの かたはらにこうじや くほういんたかて こてにいましめらは たち木につなき ありけるゆへ さつそくこれ をせめとふにほう ゐんのしわざなる ごといち〳〵はくしやうしければもく たいきこしめしていちめいをとるべき さいくわなれどもわがせうをたぶらかせし こゆへよのじんこうもあればつみをかろくし いのちをさすけくにざかいよりおひはらふべしとの ことなりければごうじやくほういはふしぎにいのちを たすかりおひはらわれてゆきがたしらずぞなりにける 〽それでもこち のおめかをあのつらで ちよろま かそふとし おつた けな ふて申候 〽ほういんめがちへのない つらつきよつほどばかる おとこだきつねにしばられる といふはめづらしい〳〵 こころつ もくだいのあいせうおせるはきつね もくたいのあいせうおせんはきつ のためにたぶらかされしといふ ひやうばんまぢ〳〵にてそれには さま〴〵あくせつをまじへて 人のういき することかぐわいぶん あらんとて おせつひやう こうもゝだいより いとまたまはりけれ はおよひにけなく 大二日文三十二月十九日 おかなして その歌にその歌 とめならばいよ〳〵 わがみきつねのため にたぶ れおいだし まいでしと ひやうばん せばそのこと じつせつにき 八まりいかに してもくわい ぶんあしくひと なかいまじはり もおもてぶせ へせ 〽みかくとのゝおほしめししだいにして あとでまたおねがいなされまづ〳〵こんと ゆちはひきとつておかへりなさい きさまもまんざらではある 六百両 といつ おかぬ ちされ たかう 鍋 ○ちよとこの 所にて御ひろう 申あげます きて〳〵 ぜひもない ことて われらも きのとくせり ばんで ござか 〽どふもいたしかたがこざり ませめまたあとで おわびいたしませう { にて女の身にとり てはこのうへのち ぢよくいなし いきておりてせけ んのひとにかほを ながめられんよりは いつそのことしぬる がましぞともつはら しにかくごする ていにもくだいふびんに おもひ給ひていろ〳〵 いけんしゐへども 路児女 きゝいれざるやうす なればはやくきよじ 天治中 のなきうちやどへ ひきわたすべし とのことにておしな 京ばし みなみでん ますいなりしん 道いなりのひがし 一となりにて 坂本氏 仙女香 うちの薬ことの外 はやりよろしく 御もとめいため し下さるべく 〽さやう なら より おとかなし おれがひ ます もふ おいとま いたし ませう のかたへそのよし をいひつかはしさつ そくむかひにきたる べしとのことなるゆへ おしないそぎ むかひとして御やし きへきたりければおせつは アやうがんをかきはらししぬるにかくどきはめていふくのかずく かたみごゝろに女どもへわかちあたへもくだいへもこんじやうの御いと 奉公いとなく〳〵御いとま申上人〴〵へもなごりおしげになみだ をやき〳〵御やしきをたちいであゆむにもちからなくかごにうちゆ のりかへりゆく 道すがらもこの よの見おさめ あすをもまたず ふち川へも身を なげしなんとおもひつめなみだ ながらにならやまにぞたちかへりける とこなつ おせついとまいづるにいき やどへのみやげきん百両 またおせつへ二百両もく だいよりたまはりけれ 〽どおせつはそれを よろこびもせずたゞ いとまのいでしをきつ ねのためにたぶらかさ れしゆへこといわるゝこと ぐわいぶんあししとても ひとふかほはあはせがたしと 女のせまきこゝろにこれをなげき いきがひもなきいのちとかくごし しぬるつもりにてやしききをさが りおしなのかたへおちつききみ太郎 のこゝにおりしをみておもひよらねば びつくりせしよふすにきみ太郎 よく〳〵そのかほをうればしまばら にてなじみかさねしとこなつだゆふ なりけるゆへこれはとおどろきたり しがさきにもひとめをはゞかるてい にてそれとなのりもせざるゆへこなた もくちをとぢてひかへよふすを もくちをとぢてひかへよふすを うかゞひゐたりける ぐわんらいとこなつはしまばらに おりしとききみ太郎にわかれてすで にしなんとかくごしたりしところ いもとおみんがゆふこんにとゞめられ◯ ○しにかくごをおもひ とゞまりしにそのころ とうしよのもくだい ざいきやうしてつれ〳〵 なるすかく なるまゝ にしま ばらへ かよひ とこなつに なじみ たりしが とこなつのきりやうたぐひ なきにうちこみてきこくのときうけ出しつれゆかん といふにとこなつもはやきみ太郎にはあわれずなま なかこゝにおらんよりはとをきいなかにゆきてつきへぐし もくだいにうけいだされせうとなりてこのくにへはきたるなりされど そのときととなつのおやもとゝいふはなきゆへあにのかくまわうしして のち女ぼうおいかごけときりてたび〳〵とこなつのかたへむしんにきたる ゆへいやながらほかに身よりのものなければおいかのかたをおやぶんと してもくだいのかたへゆきたるさればそのおかげにておいかもこの ならやまへひきとられもてだいよりいゑをたてゝくらしかた ばんじせはとなりいまおしなといふはかくまのごけ おいかのことなりきみ太郎さがにありしとき かくまにはたび〳〵おむつのかたにて出あひ たれどもおいかにはまちがひてあはざりし ゆへたがいにめんていはしらずくにところも あからさまにはいわざりしゆへいままでは つゞきとよつきをすごしなはわするゝこともあらんかとおもひてさてこそ 六 とこな心のゆかり あるものとは たがいにしら ますくらせ丁 ずにくらせし なりおいか おもわずも しあわせよき 身となりしゆへ とこなつへふき こみさきだつて かくまがしちもつにいれ たるびやつこまるのひと ふりもこのときうけもどししよじせしなりしかるに おいか今のなは出しなといひていたつてのふきりやうなれどもいんよく ふかくこのせ心たびのしゆげんじやごうじやくほういんといふものとつぎへづゞく つゞきみつつうしわがかたへ ひきこみさしおきけるが ふとびやつこまるのことを おしなかたりいだして おしなかたりいたして きつねのきごとくを はなしければほう いんそのつるぎを見 たきよししきりに こんもうしとりいだ させてそのよほういん ゑんさきにいでゝそのつか ぎをぬきはなしきつねを あつめ見んときねんし ためしみるにこれ まではこのつるぎの とくにより わしづ やまい なか のも ぞく かた き しゆごし そのかたちをあらわし たるがだいよくぶどうのものゝ 手にわたりしことゆへつるぎの いとくうせてきつねの あつまることなきところに 眠 ほういんはきつねのこのむ しよくもつをうふいしあたへ けるゆへのぎつねどもあつまり これをふくすをほうゐんたひ〳〵 かやうにしてきつねをなつけおのづ からこのきつねどもをつかふことを なしかぢきとうにきつねをつか ひてさま〴〵のきどくをあら わしそのところにもてはやされ てくらしけるにきみ太郎こゝ きたるよりおしなの心かわりほう いんにうとくなりければほうゐんこれを さとりこのうへはきんすたぶんをゆすりと そのうへびやつこまるをわがものとしていづかたへ もたちのかんとおもふうちにもくざいかたに くはんじやうのいなりのはいかの きつねどもにからめとられ てついほうとはなりたかなり おしなはほういんついほうの のちはたれはゞからすきみ太郎 一にたはむれたのしみけるか おもひもよらすおせつもく だいのいとまいでゝ女どへさかり けるがせかくさつねのためにち ぢよくをとりしことをめんぼく おもひしにかくごのていなりとつぎへし □□□□□□□□□ つゞきやしきにてきしより こゝろをつけてゐたりしが こよひおせんにだしきにて ひとりうちふしいたるが ひそ〳〵とはなしごへ してなくこへきこゆるゆへ おしなふずまをひきあけ 入てみればきみ太郎と さしむかひにむつまじ きていをみるよりりん きしてきみくらを大き にのゝしりだん〳〵の わけをきゝてさては そふかとびつくりして あきれはてゝいたりしが なにはともあれふたり のむつまじきていいせん のなじみとはいゝながら がんぜんわが見るまへ にてそふはたせしときみ 太郎のむなぐらをとりてつき まはしかほをあからめ目を いからしてなりわめくをきみ太郎 いろ〳〵になだむれどもなしなは むせうにはらたちてきせるにて うちたゝくやらたばこぼんをなげ 出すやら大さわきをやるゆへおせつも 見かねてさま〳〵といひきかすれは 十一 一〇 側 おしなまたおせつにとつてかゝり おのれこのおとこになじみしは へとあのうちのことかねにてうる身 たれにてもきやくにするがしやう ばいしんじつのこひと 十一 一年三十九回四 なくていへんでせ いふてはなしわしは この人のたよりない 身をこゝにくらさせぜにかねをいれて おとこにせしうへはほるの女に じゆうさすることはならぬときみ 太郎にぞつこんほれいるおしな つのめだちてせりあふところへごう じやくほういんつか〳〵とはいりて 必ズ 一〇〇 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ おしなをとらへわれはからすも きつねのしよいによりてとら われおひはらはれていづかたへ 同断同 たちこゑん にもきんすなくして 〇いふに おしなははらの たつさいちうとり あはざるをほういん いかりてわれはその ほうがない〳〵のおつとなり そりやくになすはくせごととあばれ いだしておしなをちやうちやくし さてはおもれこのおとことかもて みつつうのことわれよくしれり ほかにおとこぐるひしわれを のくたいださんとすると見へたり このうへはかんにんならずと だいどころよりほうてうを もちきたりおしなのむな さきへつきつけられしおしな 一はかなしくしいていはゞ なんぎなりその ころしもしかねましき ほうかりにふうふの ごとくかたらひし ゑんによりてかう りよくをうけん ほういんのきしやうを しるがゆへいのちおし さにおしなはいろ〳〵 をゆうなんをなぎめ ときたれり ほうゐんをなだめ きんす百両ようだちくれよもし きんすとゝのわずばいつまでも 此家のしよくかくとなりそのほうと たのしみをともにすべしいかに〳〵とゆ 男女男女 茂次次 同次第一次第 すかしきげんを とりておししづめ とかくものはそう め入だんづくにてひづく とこなて つゞきともかくもすべしとさけをいだし ほういんをくろめかけんとするにほういんも こゝろとけてさけすはいをかたぶけ ゑひにまぎれてまたおしなにたは ふれかかりついにてのよいこゝに ふれかゝりついにそのよはこゝにゑひやし あかしける 〇こうじやくほうゐんまたおしなへ くひつきてはなれされはおしな 一せんかたなくみな〳〵そふだん のうへやしきよりたまはりし 百両のかねとこゝのかざい ともにおしなとほういんへ つかはしおせつはない〳〵もく だいよりもらひし二百両を もつてきみ太郎とふたりみやこへ かへるつもりそのうちまた三十両をおしなへ いかはして此やつこまるのめいけんをうけとり それよりきみ太郎はおせつもろともびつちう たましまにいたりおさらきのやしきへ いゝこみせんねんやんじつせしびやつこ まるのつるぎうらやすとうまのそうりやう むすめおせつきしきにこのたび手に入し ゆへかへしたてまくるとてさしあげければおやろ ふうふをめしいだされだん〳〵のしさいをきこし めしふうふのものへかず〳〵御ほうびをくだきれ うらやすのかめいさいこうのことこゝろまかせとの おほせにてきみ太郎を御とりたてありければ きみ太郎まづ〳〵ありがたしと御うけ申あげ御いとまをねがひ それよりきやうたへいたりほり川のきうかやくとみやをたつぬる いまたはゝのめうけいあまたつしやにてしやうばいむきは はんとうひきうけてむかしにかはらぬやうすきみ太ら人を もくてわびいれはゝめうけいにひさ〳〵にてのたいめん たましまのとのより御どりたそのこと御分うび下されし ことどもいさいにかたれはめうけいも大きによろこび としごろあんじくらせしにまつはかわらぬていよろ こばしこのうへはもはやこのほうめかとくとなりわれ へもらくをさせたまはれとてぜひともきみ太郎に めうせきをつかせんとのことなればぜひなく それに したかひたま 十二月十二日 しまの 一御やしきへもそのことを 申あけ御けらいぶんと なりて御やしきの御ようを うけたまはりふくとみやを あらためてうらやすと なのりおせつ のいゑをも つぐこゝろにて そのみやうじをもちび かとくをつきてめうけいを いんきよさせふうふむつ ましくかぎやうゆだんなく せいいだしければしだいに しあわせよく はんじやうしめ □□□□□□□□ 一 ゆくすへ ながゝ とみさかへ たかへ けるとなり □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ きみくらはおせつとふうふと うらやすといふめうしを つぎておせつかたのぼだい しよをつとめ玉しまの なりてほり川のいゑをそよぞくし おやしきへお出いりとなり 御用をつため御やしきにて は中にせうかくとおほせつけられ 御ふちかたをたまはりいまはあん らくのくらしこれまでのうき くろうはむかしがたりとなりて はるははなの もとにさけ くみかはし □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ あきはつきの たかとのにこと さみせんを ひかせてたの しみものみ ゆさんこゝろ のまゝにして きにくづたゝ といふこと きけれは いつもかはらす これまことに おせつがかう しんのことく こゝろざし よければてん とうのめぐみ ありてねがは ざれどもさい わいきたり かくはあくに むくふならひ とてごうしゆへ ほうゐんおしな ふたりはこゝろ よこしまなる ゆへしだいにふ しあわせうち つゞきしんしや つゝきしんしや うしまひて たん〳〵おち ぶれいまは みやこの二じやう がはらにひにんと なりてその日〳〵 のもらひぐらし きみ太郎とほ りがけにこれ を見てあり あわせのくはい ちうのきんすを かうや申よくしける とかく 人はよきに すみあら きには べし しりぞく ぜんあく のむくひ そのたがひ あること かくの とこざる 十返舎 神輿 一九 売ものにかされる花の 枝ふりもつくり 下手なる 梅の木本 小野小町 秘方精製 価一包 花王香 七粒入五十銅 此薬は第や気こんの妙薬にて 諸所へ奇功あることは歌書に 一くはしければ御用ひいためし に切 ゑざうし問屋 古屋 江戸中ゑぞうし見せして 取次仕候間三条ののゑ 一本之世に而御求被下候 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 尾上梅幸盛是 折木 住我見袋おたしなみ中 袋の 此書は柳外遊民主人のあらわす所にして 髪はしやうのいたしかたすべて男女 たしなみ第一の書なれば御承御覧可被下候 十返舎一九著円 彫工鈴木栄次郎刀 10507