風流御伽しやみせん 卷七至八
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- 勝川春亭畫
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- 2026-08-17T19:23:18.240Z
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- 2026-08-17T19:23:18.240Z
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- 勝川春亭畫
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- 日本語
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- フウリュウオトギシャミセン
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- 東北大学
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- 2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
狩生湖
村上男
風流御伽しやみせん
西代売店中割会を
以テ購入セル簡博上
将軍亭吉氏善蔵画
S
欠S
S
巻
しあんしかたなしもくだいさまのまへにでゝせつしやは
うね助がおとゝでござりますあにうね女がかはりに
せつしやをつみしてあにをおゆるしなされてくださんと
ねがふて見るよりほりはないそれとてもかなはふやら
かなふまいやうふぢやうなりいかゞはせんととつおいつ
むねにときうついりあいのかねつく〴〵としあんに
くれてぞゐたりける○そのつぎの日女ぼう
おまきはをつとにむかひわしやあにさま
眼壱人どのゝところへちよと
眼壱人どのゝところへちよと
ひとはしりいつてきますと
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
いひすてゝとろかはとして
ねひやう介わがやにかへりいろ〳〵しあんしてみても一両のさいかくもできやうしやだん
すこしもなくといふて五十両の金ができねばあにうね介の命はもちろん母
いきてはいぬきと思んはどうがなしてと思ひけるが此うへはほかに
之
いそぎゆくあとにはひとり
ひやう介がかねのことに
くつたくし手をこまぬきて
ゐたるをりしもこめや
ふるてやついとはいれば
七
こい〳〵ようござりましたと
いへばぶるてやがイヤようは
きませぬわるくきました弓兵介
ふるぎ代そんりやうの代だび〳〵
さいそくにくるがけふのあすのとらちがあかぬ
けふはぜひ〳〵ゐざいそくとしりまくりしてかしこまれ
米やもつつと入かはりわひやう助いはずとしれた
命かなきのこめの代なぜすまさぬとふするのた〳〵と
ちたりしてやかましくわめくにぞひやう介はたゝみに
ひたいをすりつげてそふおつしやるはごもつともにはか
めくらのなんぎゆへ思はぬぶさたいますこしおまちなさつて
どふですますかねはあるまい百ぐらんのかたにかさいつかいだいばころの
がらくたでもとつてかへるとふみこんでわれなべせびんかけぢやわん〽ツきくつゝく
くだされといはせもはてずかヤ〳〵そのこうやのあさつてきゝあきた
〽わしは
たべずと
よい
とゝさまと
そなた
たべ
もので
あらう
〽かゝさま
コレミや
さんせ
おまんまが
たらぬ
わいな
まへのつゞさすりばちすりこぎしふうちは
ことものものまてようしやなくつから
いだしてなわからげいつかのにもつに
つくりおきかうした所が二そく三もん
此うへのはらいせにはひやう介わが
身をぞんふんにするぞとて米や
ふるてやりやうにんがたちかゝり
ひやう汝がゑりかみつかんでひぎ
たふせばコリやめかいのみへぬものを
あんまりなさけないぞや。そして可申しやう〳〵のかざいどうく
もつてござつてはさしあたつてにたきすることもできませぬ
どうぞりやうけんしててぶらでけふはかへつてくだされつてを
あはせてむがみますとなみだをほろ〳〵こぼしながら
なけきわひるをきゝいれずしゆろぼうきどすりこ木を
ふりあぐるおふではおくよりはしりいでコレのふときまを
なんとさしやるはらのたつことあるならばわしをかはりに
うたしやんせと手にとりつきてさゝゆればめんどうな
小びつちよめおのれがしつたことじやないのいて
ゐおろとなさけなくひつとらへてつきとばし
おゝごゑあげてなくにもかまはずひやう介を
さん〴〵にちやうちやくすればむざんやな
ひやう介はかみもみだれ
きもりもやぶれてめも
あてられぬさまなりしが
米屋ふるてや両人は十二ト
むねんかくちをしいか
けたいのわるいどうめくらめ
やぶれふとんにつゞれのぬのこあづきまくらやよだれかけ
これでちつとはらがゐたと
つぶやき〳〵からくたの
にもつをかづきおもてへ出れば
やせいぬがわん〳〵〳〵とほゆるにぞ
おのれもすりこ木くいたいかと
はつしとうてばきやんとなきゆかんとすれば又わん〳〵
うてばきやん〳〵ゆいばわんきやん〳〵わん〳〵いそぎやく
○さておまきがじつのあには眼壱人といふろうにんにて
ちかき村にすみけるが此とき出まきはあにがん兵人をどう〴〵して
たちかへりがん兵へまづいひけるはわひやう助いまいもとゝいつしよに
きたのはべつのことでもないどふぞおまきにひまやつて
おくりやれひまとりにきまらしたときいておどろく
ひやう介がひざすりよせていひけるはとし久しく
つれそひふたりの子どもをまうけたおまきを
にはかにひまとらふといはしやるは
なんぞしさいがなふてはかなはぬそして又
おまきもひまとるしよぞんでござる
かとたづぬればおまきはずつとすみいで
コレひやう介どのしよぞんぐらいじや
ないわいな
てみじかふいへば
おこなたにあいそが
〽つきたのじや
…………………………………………………………………………………………………………………
一九一一七
ふうふとなるも
ふかいゑんとだうりを
つけて
しこれまでも
いろ〳〵とひんくを
しのびで見たれども
どうしてみてもふがいない
はたらきのない男こなたの
やうなびんぼうしやうな人に
べん〴〵とつれそつてゐては此すゑ
どんなうきめを見ようもしれぬと
しあんかためてけふあにさんに
そうだんしたらあにさんも御りや
もつともじやはやうそのきが
つけばよいと思ふてゐた「つゞく
つけばよいと思ふてゐた〽つぎへつゞく
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□
〽お
き
し
あに
がん
兵へ
〽ひやう介ぢく
松を
〽おふで
父のかはり
おまき
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
じまへのつゞきちつともわかいうち
ほかへみをかたづけるが上ふんべつ
しぜんはいそげじやとよろこんで
一
いつしよにきさしやつたわいな
サアわしやこなさんとゑん
きつてなほかの男をもちかへ
きつてなはかの男をもちかは
けつかうな身になるわいな
はやうさりじやうかいてもらひましよと
いひならぶればひやう介はぐつとせきあげ
ゴレ女ぼうわりやきがちがひはせぬか
おふでやぢく松はかはゆくはないかはゆくはないかり
いふのかといへばおまきはせゝらわらひきも
ちがはぬほんきでなふてなんとしやう
女の子は女につくとはわたくしごと
てさぐりにてだきかゝへゆすり〳〵いひけるは
こなさんのうました子どもみな
こなさんにつけてのきます
子どもにみれんはのこらぬわいな
サアこの子もこなさんにわたすぞやと
いひつゝふところにちぶさくはへしぢく松を
ひつはなして兵介がひざのうへにつき
つければわつとなきだすおさな子をひやう助は
さきこへぬぞよにようぼう
そふいふ心であらふとはつゆ
しらず日ごろていせつなる女と
こゝろのうちでほめておきかはいや
おれゆへくちうするものきをもましたら
ぞらはふとせつないかなしいことが
あつてもなりたげかくしていたはつたが
いま思へばくやしいはへとみうちをつかむ
はらたちなみだばら〳〵とつゞれの
ひざにおちかゝるそばからがん兵へいひ
けるはとてもきのそれたおまきくちかづいし
コレおふでおれが
かはりに状を一つう
かけといへばかしこい
やうでもさすがには
なにのぐわんぜもない娘
おやこのわかれとしらかみを
おやこのわかれとしらかみを
ひろげてふでをとりあぐればひやう介は
さぐりよりまづそこへいつてんうつてな
そのほうことゝかけヱイかそれから
いとまつかはし候ことじつしやうなりとかけ
いとまといふ字しつてゐるか〽アイけさかゝさまに
をしへてもらふてようしつてゐるわいな〽フウそちに
さりじやうかゝそとてもじまでをしへておきおつたり
つねからほめしおさなごのおぼへのよいがうらめしいはへ
女ぼにあいそをつるされてさり状をかゝそてゝたが
てならひをさすものぞこゝけなけものじやわりや
おやのかはりするかう〳〵なものじやアこんな花の
やうな娘いたいけなちのみ子をすてゝうはいとも思はずに
出てかせをるはゝめはなんたるはうよくもの
いぬねこでも子はかはゆがる四ツあしにおとつたる
むだことはテあはせものははなれものえんのないのはしよことがない
さりじやうかいておくりやれといひければひやうふはなみだをぬぐひ
もあにごまでもそふいふきになられたうへはぜひが
ない見ちがへたちくしやうにようぼ
なるほど
さりじやう
かいてやり
ましやうと
いふてわしは
めがみへず
わ〳〵おふで
すゞりばこ
もつてこい
〳〵と
おふで〳〵と
よぶこゑに
あいと
あいと
こたへて
おくのま
より
すがりを
▲
いづれば
女めと目があくならにらみもすべきがんしよく
にてさりじやうにはんをすゑはたとうちつけ
だがよ〳〵とぢく松がせなをなでゝゆすりあげ
をとこなきになれければおまきはさり状
うけとつてこれできがのう〳〵としたはいな
ながゐはむやくさあ〳〵あにさんごさんせと
あにとつれだちいでゝゆくコレノウかゝさまどこへ
ゆかしやるかゝさまとしたふおふでがかはいさに
女ぼのにくさは百そうばいむねんのなみだぱら〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵
はゝのたのみのうねはできずかけとりにはちやうちやくされ
二十七日
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
まへのつゞきにようぼにはあいそをつかされよく〳〵うんめい
つきたるわが身とてもいきてはゐられずとさぐりとり出す
わきざをぬきかくるてに念りつへてころと
わきざしをぬきかくるてにとりついてわつとなく子にきもよはり
〽うはいやおれがしんだしわれもぢく松もうゑじにをするであろ
人のなさけでそだつてくれと二人の子どもをみぎとひだりに
人のなさけでそだつてくれと二人の子どもをみぎとひだりに
いだきしめなにのいんぐわでおれがやうなかたわをおやに
もつたぞどどうとわけふれてなきけるがとてもいきては
ゐられぬと又ぬきかくるわきだしのてにとりつきて
むすめのおふでヒウンとゝさま此わきさしの
さげをにかゝさまのてゞかきむきのことゝ
かいたふみがつけてあるわいななんじや
かきおきがあるあいそつかして
いとまをとるになんのかきおき
ごのやうなことかいておきをつた
そこでよめ〽あいとこたへてよみいだす
かきおきの事一ゆふべおふでをすかして
くわしくうけたまはり候へば
五十両のかねなくてはひぐち村の
あにさまはゝごさまのお命までに
かゝはるよしたとへみさほはやぶるゝとも
わが身をうりかねとゝのへてあげましたく
ぞんじつき候へともひごろものがたき
おんきしつなればあにがん兵衛へのぎりを
おぼしめして身をうれとはあふせられまじくと
おほじけふしもあにとはなしやいいざとあいそ
つかしのかづ〳〵をまうしあげさりじやうをとつて
あにのてよりのがみのさとへ身をかりなし
みのしろ金はあにさまよりおんとゞけ申つと二人の
子どもさぞ〳〵わたくしをしたひ申へくわけてぢく松に
おんこまりとそんじら〳〵とうぶんもらひぢにて
おんそだてくたされつみ申上たきことかづかぎりなく
ござ候へども身をうりものとなしはだみをけがすかと
三三
又もなきよし
ゐたり
ゐたり
けるが
おもてのかたに
がん兵人が
こへとして
いもとが
みのしろ
うけとつて
くだされと
さいふを
かちへ
なげこめば
はしらに
ばつたり
しめをは
きれて
ばら
ばら
とつ
さま
こばんが
わい
な
ヤアト
こぶ
のす
に
ぞんじ候へはむねふさがりかなしくて〳〵
かゝれ申さず候山〳〵申のこしつくかし
じよみおはればひやう助は又びつくり
さてはそふいふ心であつたかかきおきを
わきざしのさげをにむすびつけ
たるはひごろいつてつなわが気を
はや
はや
まつた
こと
するで
三二二二
あ
らふと
こま
かに
こゝろ
つけ
たる
ならん
そふ
とは
しらず
ふびん
やな
●●
あいそ
つかしをいふてゐたうちさぞやかなしうありつらん
二人の子どものわかれぎわよく思ひきりけるぞと
三十一
五両
十匁
二十両しかも
一丁ど五十両
きやう
ともに
ともに
そろふた
しんてい
かたじけないと
くわいちうし
へんしもはやく
はゝびとに
これをわたして
あにの命
すくはん
ぢく松を
おふでを
はだに
ものと
いだいて
つゑに
たちいでいゝ
ひぐちむらへと
ゆくそらも日くれに
ちかきめなしどりねぐらに
まよふがごとくなり
つきのゑのわけおまきはのがみのさとのはなげさやといふあそびやへ三ねんを五丁両にてかはれあげ
まきといふとほりなをつきちか〳〵につきだしにいづるとてぐわんらいそがたのかへくしきうへにくるわの
水にてあらひあげたればいときわたちてびれいになりかみもよこひやうごにゆひべにおしろいにけはい
してさとのならひの二まいぐししのぎのかんざしさしかさり一つぶかのこのひぢりめんにくろし
びろうどのまはりむくしろじやすにあげまきむすびのぬひのうちかけをかいとりて〽つぎへでく
ぬけ
体
〽おまき
あげ
なをかへて
一たうちうの
けいこする
あげまき
むかふを
やかたり
あやま
一
みへな
をしつけ
とらぬ
きり
たての
そでを
ひまの
春
春亭春
画
傳宗
作傳宗
ひやう助が二人の子どもあんどんさへ見るとかゝさま〳〵
としたふゆへせめてひとめあはせてやらんとぢくまつを
ふところにいだきおふでにてをひかれてとぼ〳〵とのがみの
さとへたとりゆくとちうにてゆきさへふりいだしみうちしよぼ
ぬれてやう〳〵くることにてもきさへふりいたしみうちしよほ
ぬれてやう〳〵くるわにつきはなかづさやにたかねあきりしが
見ぐるしきすがたにてみよりのものともいひがたくあんないも
こはれねばうらへまはりておくにはのきり戸によりそひ
おまきはいまあげまきとなをかへたるよしとうぞこゝへ
出よかしとしばしたゝずみゐたりけりあけまきはかくとも
しらず二かいにいでゝらんかんに身をもたせ今ごろはふたりの
子ともはどうしてゐるぞぢく松がちにこまりて兵介
どのはさぞこまつてござるであらうとおもへどいまは
かごのとりせんかたなさにのびあがりてわがやのかたを
ながめやりこひしきをつとなつかしのわが子やと
しのひなきになきゐたるがおふではめばやくこれをみつけて
モウミとゝさまあの二かいにかゝさまがべにおしろいつけて
くしかうがいをさしかざりけつかうなひかるべゝをきて
ゐさしやるこゝからよびましやうかといへばイヤ〳〵よんでは
わるいかゝさまはひかるきものきてゐるかすりやもふ
すがたがかわつたなきのふはにようぼうけふはうりもの
みにきんらんをまとふてもこゝろのうちのくるしみは
つゞれのときにはまさるべしと思ひやりてかなしみしが
あけまきも二かいよりそれと見つけてとびたつ思ひ人目を
しのびそろ〳〵と二かいをおりてこなたへきたりひやう介
どのようきてくださつたといひつゝひしととりつきて
さきたつものはなみだなりおふでははゝにとりすがり
あいたかつたとなきだすをち忠ととゞめてあけまきが
うちかけのしたにいだいてこゑたてゝ人かしつてはわるは
しづかにせよとせいしけり兵介はなきごへにてそちらしんてい
けきおきにてくはしくわかりけねもうけとりさつそくはゝにとゞけたりうぞ
川たけにみをしづめて金こしらへてくれたるしんていれいはことばにつく
〽されずたゞこまるのはぢくねぢ目かいがみへねはもらいぢゆならずすりてあたつて
めそ〳〵とものかけでないてゐるゆへせめてひとめあはせてとしやうこと
なきとづれこきたつとのまなりとちく松めにちゝのませてやつてくれと
なきにつれてきたちとのまなりとぢく松めにちゝのませてやつてくれと
ふところからいだせばあげまきはいだきとつてちぶさをふくめ
きゝそふでござんしよともさぞしたふて
なくであろとこゝへきてもかたとき
わすれはせぬわいなそれにまた
□□
かくちをしたへてなき出るおちてめもおなじやうになきをるゆへしかつておけば
いぢわるうちのはるのが
ゑひのたねほうばいしやうの
まへのつゝさたんのうせずよるだいてねればおれがちゝしやぶつてかゝたま〳〵と
入
之
巻
めをしのびかふろどもにも
くちとめしてうがいぢやわんに
ちゝをしぼりれ也じからすて
さするそのたび〳〵に心の
かなしさほうはうい
〽とゝ
さん
あれあの
二かいに
しゆうがてん〴〵に
しゆうかては〳〵い
かみやひべやのうはさ
かゝさまが
ないてゐや
しやんす
にもすいたすかぬの
わいなし
あだはなしわしかみ人は
かしやくのくるしみたつたひとばんぢく松を
だいてねゝして此ちゝをあくまでのませて
やりたいとつとめする身にめづらしい
ねがひごと思へば〳〵よのなかに子ほどかはゆい
ものはなしすいりやうして下さんせこれみやしやんせ
ぢく松がかつ〳〵してうまそふにちゝのむわいなと
わが子をつゝむうちかけのちんじやのかほりは
くさきにほひよりけつくまさりてあはれなり
かくるをりしもあげまきさん〳〵とやりてのこゑにびつくりし
なさけなくもちぶさはなして子をわたししらぬふりして
なんじやいなぎやうさんなといへはやりてがおまへまだ
なんしやいなきやうさんなといへはゆりてかおまへまだ
くるわになれぬといひながらけふつきたしのはつきやくの
だいじのざしきをあけてなにしてゐさんすこりものじや
ないかいなのらかはうしやんすなとしかられてあげまきは
きのふまで子もちにようぼのふところの小べん
アイわたしやゆきのふるのは
おもしろきにこゝにながめ
ゐたはいなとゆきにかゞしかる
をつとやいが子もぞさむ
からうと思ひつゝぜひ
なく〳〵もおゝへゆく
あとには
ひやう介
しよんぼりと
ゆきにこゞゆる
よるのいる
なく子を
はだに
あたゝめて
たがよ〳〵と
そりしも
わかくふり
おやこく
ゆき
なみだも
とき
しやみ
やうに
かみのおくれの
ぱら〳〵と
子にまよひ行
さよちどり
ちきはゝことなくからす
月もかたふくむねのやみ
気をすつるやぶにおひたつむらがらす
うたふ
にいと
あられを
そゆる
そゆる
なり
あげ
まき
かんざき案内は
いま山だちの
かしらとなり
おほくのてしたを
したがへあふみのいぶき山に
かくれすみざいほうをうぢひて
かねあまたたくいへをり〳〵のがみのさと候
きたりさき大じんとよがれておごりをきはめ
けるがあけまきがつきだしのことをきゝ
はつきやくにならんとやくそくしてこのに
あげやにきたりこがねのはなをちらしければ
みな〳〵こびへつらいてそんきやうす
さるほどにあげまきはぜひなくこの
ざしきにいでしよくだいかゝやく
まんざのなか小うたしやみせん
わるみのおどりぢくちついしやう
そらわらいもわがみゝへは
しめらのたいこかしやくのこゑと
きこへつゝ此さけすけてとあつがんの
きこつゝ此さけすけてとあつげんの
さかづきもわがくちへはしやうねつの
ほのほをのむこゝちすれどいつすん
のがれに此きやくをつよくよはせて
なりたけははだみをけがさぬくめんをと
なりたけははだみをけがさぬくめんをと
なりたけははだみをいかさぬくめんをと
思ひなほしてつらさをこたへいや心
思ひなほしてつらさをこたへいや
むりざけなきかほをわらひがほにしかへつゝ
少郎だはこゝに心はかしとおつとやこど匂は
どふしたぞもふかへつたかまだぬるかと
どふしたぞもふかへつたかまだぬるかと
思ひあまればうつかりとつきのないとき
へんじするこゝろはぬけがらぜひなくも
さしきをくるめてゐたりけり
さてあげまきはさき又じんとあやなして
しいつけ〳〵のませけるに「ごきへつゞくし
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□
ちゝ此いてふにかよひてながれいでたるに
ひやう介はとかくぢく松がちゝにこまりあげまきと
いひあはせたるごとくこれもあをはか村のやくししつに
ごわかんがけしてあゆみをはこびけるがふしぎやかくしとうの
ちゝいてうより日に三度いくちゝながれ出てぢく様か
のむほどにあまりければあらありがたや
かたじけなやとまいにちこゝにつれきたりて
これをのませひたすらほとけのれいげんを
とうとみもんるいもでをしぼりけりこれあけ
まきが貞しんとひやう介かかうしんの
まことのいちねんがつたいしてあけまきが
たがひなしさて又やくしのむそうに
よつてひやう介此ぢゝをまいにちわがめに
ぬりけるにふしぎや七日めにまなこ
ひらきてあきらかにぞなりにける
ちくは月のくすりといふこと
これよりはじめけるとなん
候やう介がかうしんあげまきが
ていせつの大くどくによつてやくしが
れいげんをかうふりちらてふより
ちゝいでしれいげんをひと
こぞつてかたりけるにぞはな
かづさ屋のあるじこれをきく
さほどのていぢよにみをけがさすへ
こゝろなきことなり此いごは
こゝろなきことなり此いごは
きやくをとらずたいこ女郎と
なつてさしきばかりを
いひければ一つゞく
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
なみせん
〽ひやうみ
やくし
れい
まなこ
ひらく
〽ちく松
ちゝいてふ
いづるちゝを
のみむしけも
なくなり
ふとりて
たつ
そだか
ヲ
んおまへは
めがある
しやつたか
はや
あけまきはあるじのじひを
ありがたく思ひさいいひ
かねてことしやみせんのたぐひ
すべてのゆふがいにたつし
こゑうるはしくうたひ
さけをよくのみざしきを
にきはすことにみやうを
えたれば大にはやり
あるじのさしぐにて
おふでをよびてかふろと
なしぢく松もよびとり
なしぢく松もよびとり
ひきふねにいだかせて
ごうちうしけるにぞ
いつもけんぶつ
くんじゆし花かづさ
やるしんしや
やのこもちあけまきと
なたかくなり又ていぢよ
あけまきともいみやうを
とつてだいぜんせいの
ゆふくんとぞ
なりに
〽きやくを
子もちあげまき
どうちうの
てい
〽きりやうに
いひこゝろざしといひ
よにめづらしいけいせいじや
〽おふで
かふろと
〽さて〳〵
天天の
うまれ
かほり
あらうか
せて
どう
とは
めづら
さる
あげ
まき
日に
野上之里
けるにぞ
ひやう介
かたへ
かねを
かねを
みつぎ
なにふそくな
くらさせ
おやしこみ
くるわにゐて
はだを
けがさぬ
いとめの身
めづらし
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