福神寶山入

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歌川國安畫
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場所: 江戸
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歌川國安畫
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日本語
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江崎屋吉兵衞
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フクジンタカラノヤマイリ
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東北大学
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2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
狩山紀 第六兼幅氏の副会を 以テ購入セル竹関博士 荻野亭吉氏善蔵画 福神宝山入序市中価 一抑大黒は是天佛なり摩利支天の如くにして言家には これを崇て軍利を祈里浮屠にはこれを信じて供 養を乞民家には常にこれを祭りて幸福を祈る也 一仏説摩訶迦羅大黒天神経に曰今自在業通を以て 娑婆彼女世界に来り大黒天神と顕れ給ひて我形像を 刻み家内に安置し崇敬なさば我七世の天女眷属八万 一四千の福治神をして毎日一千人を供養せしめ一切貪究 无福の衆生に大福徳を与んと誓ひ給ふと云是を以て 一伝教大師比叡山に三千の衆徒を供養せんことを請て 大黒天の社を三所に建護法神とすといへり猶甲子の日 黒豆百粒をもつて是を祭りとぞ世俗には大己貴のみこと 袋を負て稲羽の国気多の郡にいたることありまた一名を 大国主神と申奉る故大黒と大国とその音近きに依 大黒は則大己貴尊といへり鼠をもつて使者とする事は 甲子の日を用るよりおこれり此御神人間の洪福を掌り 給ふ故常に人信心恭敬なすべき事勿論なり仍て 今戯れにこの草史を編りて初陽のはつわらひぐざ 筆のこゝろみなす事しかり 文政申孟春 七難即滅 七福帰生 商ひに格別 利生 有かたや と おほ宮 ねの 風の 神 より 大黒天 衆生に 福徳を の 授給ふ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ せかいに びんぼう 神といふもの あり身にはつゞ れをまとひ手に 岩やうちわをたづさへ 〽くせもの 見つけた うごくな しかしくらがりで めばかりひかか がもしや どろぼう こでは ないか きゝこのわるい シツシ〳〵 せかいのびんぼうを まもるかみなり しかるにきんらい きんぐをまう 一人みながゝこく けることのみくふうしてかねもちおなく なりひんきうのものすくなくむや びんぼうがみどもこれにてはなか まのしよくぶんたちがたしとてなかまし ぢうよりあひてひやうぎしけるが これといふもせかいにゑびす 大こくのごときふくじんありて 人にふくとゝをあたふるゆへなり そのもとはといへば大こゝのしよ ぢするうちでのこづちより きんだをうち出して人にあた ゆるゆへなれば何とぞしてその こづちをこのほうへうばひとりなば〳〵 〽まんまとてにいつたこのひと しなこれさへこつちへせしめ うるしとすればこれからは ふくじんのこらずびん ぼうにんとならんこと うたがひなし だいぐはん かたどけ ない きんぐを打出すたねとうしなひ 人にふくをあたゆることならざかゆへ しぜんとびんぼうにんおほくなりて われらなかまのはんじやうならんとてびんぼう あるよひそかに大こゝてんのほうぞうへしのびいり火をてんのうちでのこづちいりたる はこをぬすみとり見つけられしがついににけいびいづくともなくうせたりける ふくの利一 大こくてんはおもひも よらずかんじんのうち でのこづちをびんぼう がみにうばひとられ いかゞはせんととほう にくれてゐ給ふところに かくとはしらずつねに 大くくてんをしんぐする ものどもなにとぞふく とくをさづけたまはるべし とてみきくもつをそなへ ねがふにぞ大こくてんは このせつかんじんのこづちを うしなひたまひしんぐのもの どもへふくをさづけ給ふことかなはず さればとてせつかくいのりしん〴〵 するものすてゝもおかれずつちをうし なひしといふもめんぼくなくこのせつは すこしさしづかへのことありふくをさづける こと今すこしまつべしとことはりを おほせられけれども大こくさまのことゆへ みなくあてにしておることゆへものまへなぞにはかけとりの あなたがなにおさしつかへがあるものかとがてんせず 〽さてくきのどくながらもふ すこしまつてもらひたいこの みそかまでにはどふぞして ちつとづゝでもさづけてやり ませう 〽イヤ〳〵あなたうそばかり これを御らうじてくださり ませこのてうめんにこのと ほりのしやくせんちつとづゝ でもやりたうござります どふぞたゞいまふくを さづけて下さり ませ 〽いよ〳〵けふさが けて下されずは わたくしいつ こうつまり ませぬから ぜひなく あなたを おほやさま ごとくみな〳〵大こくさまのかたへ さいそくにきたりぜひともこんにちは ふくをおさづけ下さりませとせつくも ありなかにはうらみいふもあり そう〳〵はまたれませぬこのあい だからたび〳〵のおことはりけふは さづけてやろうのいやあすはきつと せろうのとおだましなさるはきこへ ぬとこゞといふもありて大こゝてん このいひわけにてこづり ことのほかこまらせ給ふ 〽いやはや大こくさまには おにあひなされぬくめんが わるいのなんのとうそばつうり さりとてはつまらぬぜひく けふはちつとでもふくを さつけて下されねば いつまでもゐざい そくいたして おりますから さやうおぼしめして 下さりませ ふくか印一 にあづけて かへります びんぼうがみのなかまにては 大こくてんのこづちをぬすみ とりきたりし うへこゝろみに つちを もつて うち いだし 見れば きんぐざい ほうころの まゝにうち いだすゆへこれは きめうと今まで くうやくはずに つゞれあわせいち まいにてかんちうし にもぶるく しながらくらし たるものども きん〴〵じゆう になりてたち まちおこり 〽ごくかんのうちでもぼろ〳〵したあはせいち まいでくらしたものがこのあいだからこんなに いくまいもかさねぎをしだらどふやら かぜをひいたやうな □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 〽びんぼう神にかねがてきたるゆへ たちまちその女ぼうがゐしやう ごのみしていぎなふうぞく なか〳〵びんぼうがみのせぼう とは見へざり ける の心 つき びん ぼうがみ のしやう らいをわすれ にはかにつゞれをぬぎすて 身にはけんふをかさねぎし 女ぼう子どもにもとうせいの ゐしやうをきかざらせ くちにもおこりつきて かばやきもゑどまへ でなければくへぬこと わるくしやれ出し ちやのゆいけばな かうなどゝ大そふなあ そひをするやうになりさけさかな いろ〳〵のちんみにくひあきおごり ちらしもとよりびんほうするものゝもちまへ ぜまねをもつていることができずあればあり たけめつとやたらにつかひすてなか〳〵 びんぼうがたことは 見へざりける 松戸惣三千文 ふくの神一 びんぼうがみはだん〳〵おごりにてうじ そろ〳〵とあそびに出かけけるに きんぐはゆみづのごとくつかふ ゆへどこのゆう所へゆきても このせつはびんぼうがみのいせ いつよくちややのふうふはびん ぼうがみと見るととんでいで うやまひもてなしかないのものも それ〳〵びんぼうがみさま入らつしやり ましたとつちでにはをはくほどの いせいとぶとりもおつるいきし ほひきやくのなき ひまなばんにはどふぞ こんなときびんぼう がみさまがおいで なさればよいにと こつちからこがるゝ ほどにてびんぼう がみのこぬちややはどふぞこちの うちへもひんほうかみさま がごさるやうにしたいと うらやましがる ほどなりける びんぼうがみはかねづかひがあらきゆへみなびんぼう がみの出はいりするうちはしだいにはん じやうしけるにぞみなこれをうらやまし がりなにとぞこちのうちへもびんぼう がみのござるやうにといのりけるもの おほくこのごろはりしやうあること ひやうばんにてみなびんぼうがみを ありがたがりきのえねなどの大こく てんはまつらず家くにびんぼう がみのぞうをかけてこれにみき くもつをそなへふくとくをいのりける びんぼうがみをまつるには大こく てんとは大ちがひにてちやめしとう ふのしるなどにてはなくうまき ものならべたてなんでもおごりて けんやくせざればびんぼうがみの こゝろにかなはずとてさけ さかないろ〳〵こしらへ人を まねき 大きに おこり ちらかし ける TILINELINERINERINELTENENEENE フー印ニ 〽はいくなむびんぼう がみさまどふぞわたくし かたへもおいで下されて おかねをたんとおさづけ なされてくださりませ うつくしいわたしところの むすめがあの とほりおねがひ でござります びんぼうざゝはびこりてふくのかみはあつて なきがごとくこのごろはしよ〳〵ほう〴〵にて びんぼうがみをうやまひまつりけるゆ 七ぶくじんのうちじゆろうじんはおなじ ふくじんなかまのうちにてもいたりて しつその御きしつにてばんじ じみにて御かたちもやせて 御としもしらがのひげを ぼう〳〵とはやしゐたもふ ゆへそのかたちびんぼう がみによくにより給へばしゆ ろうじんうか〳〵とまちなかを あかき給ひけるをよくふかきものども これを見つけびんぼうがみとまち がへつかくと御そばへよりてこれはく びんぼうがみさまでござりますか わたくしどもはいたつてあなたを しんかういたしますなにとぞ わたくしどものかたへも御いで 下されてふくを御さづけ 下さるやうにとむりに そごをひきてつれゆ かんとするゆへじゆ 〽ふくのかみはしちり けるはいとかくいまはびん ぼうがみさまでなければあり がたくない ろうじんおどろき 給ひいや〳〵わしは びんぼうがみ ではござらぬ ふくじんで ござるといへばこのものども あきれてふくじんならいり ませぬ大こくさまで こりはてたいま〴〵しい ふくじんうそくと こゝらにまごつい てござるから びんぼう がみにまぎら わしいどこへ なりとはやく ござれと たゝき出さぬ ばかりに おつたて ける かゝか印二 次 〽ふくじんも すさまじい これまできのへ ねをまつつて 大こくさまを いのつたが ふくを さづけて くださる くださる ところか せめておたふくの 女でもさづけて 下さればよいに たゞちやめしを くひたをされた ばつかりだ きてもびんぼうがみはうちでのこづち あるにまかせきん〴〵をうち出し〳〵 こゝろのまゝのゑようにほこり びんぼうがみどものいせいよきに おそれてわかいのあくまげだうども みなびんぼうがみのみかたとなり てよりいよくはびとりびん ぼうがみのかしら べんさいてんの うつくしき におもひを かけげどう どりにいひつけ〳〵 べんてんをうばひとらせる けるにぞ七ふくなかまやす からずおもひことさら うちでのつちをもうばひ とられそのぶんになり がたしと七ふくじんより あひはやくびんぼう がみとりをうち ほろほしうち 出のつちならびに べんてんをうばひかへさん とひやうきありて とかくこのごろは びんぼうがみの いきほひつよくあく まげどうどもみかたして やまおくにやかたを かまへようじん きびしくなか〳〵 たやすくはほ ろぼしがたき ていなりよして ふくじんがたいなく くふうしとくだま すに手なしとや めい〳〵すがたを をつししゆげんじやの ととくいでたちびんぼう有こどもの たてこもるやまへのぼりゆきくらしたる ていにていつしゆくしゆだんを見す ましうつてとらんとそのひやうぎ いつけつし ける ふくじんのだひ 一とよばれ 給ふ大こくてん うちでのつち をうしなひし よりきん〴〵に とぼしくしだい にこんきうし給ひ やう〳〵いかはし めの白ねずみが こばんをさいかくし くはへて来り ゆ それにて くらし給ひ けるこの しろ 入ねづ みは ちうぎ ものゆへ せけんにて ちうしんのてだい をしろねづみと いふはこのとき よらぞはじ まりける それより七ふくじけはすがたをやつし給ひ しゆぎやうじやのていに出たち大こく てんたわらをせおひ給ひこれを ひやうらうとしてかのびんぼう がみどものたてこもる山に いたりてみればその山 いちめんにこがねの はなさききん〴〵 のいさごにてこれを たからの山と なづけて びんぼう がみのす みどころ とし さん 〽このどうちうがきそかいどうなら にへ川のしゆくのかしはやへとまりたい あのやどはきれいでていねいで あのやうな やどはほか にはない ずいの けしきまで よくだん〳〵と 宿ふかく入て見れば ひんぼうがみのすみかの けつこういふばかりなくたいそう也 のふしんかねにあるしてたてし 見へさすがのふくじんたちもめを おどろかすばかりにていかさま たからの山となづけしもことはり まで見へにける しだいに □□□□□□□□□ そのす みろち かくなか てたに 川のなかに うつくしき女 何やらあらひゐたるを 見ればへんてんなりこれは とみなくよろこびいさいのやう すをきゝてそのあらふものは何ぞ ときけばびんぼうがみのふんどしなり これまでびんぼう神のふんどしはあか じみてきたなきゑつちうふんどしつる これははぶたへのはゞひろきながふんどし今 ひとすじはひがのこのしぼりはなしゆへみなく きもをつぶし給ひあきれはて給ひける いか印二 七ふくじんたちびんぼうがみのすみ ちんみをならべちらしなまゑひいも 七ふくじんたちびんぼうが々のすミヤかへいたり見たまへばみなしびしゆ となりてたははもなきていに うちたをれふらゐたるにぞさい わいの所やなんとべんてんにあんないさせて こづらの声あり所をさがしうはひかはゑひ ふしたるびんぼうがみともをいち〳〵に ふみたをし びしやもん てんほこを とつて あく まけ とう さ おつちらし びんぼうがみ どものねをたやさんと さんぐにつきふせなぎふせし給へば びんぼうがみども大きにへきゑきし たつあしもなくわれもくとにげ いゞしひよろつきながらこける まろびついちにんものこらず ちり〴〵にぞ やう にげうせける 〽あいたくまかびら ごめん下さりませ びんぼうひとる ころさずと 〽おのれらびん ぼうがみのぶんざい としてにくいやつらこれ からはにしのうみへぼい まくるぞ 〽はいく〳〵どつこへなりと まいりますからどふぞ いのちは出たすけなされて 下さりませわたしがしに 申まする いのちは おたすけ ますとかゝあをごけにいたすが ござりませうからありたら女をもちぐさら ふびんでなりませぬさだめしごけをたてるで かしにいたすがざんねんでござります 世の計二 びんぼうがみどもへ みかたせしあくまけどう どもどば大こゝみんみづ からせりぶんのまめを もりてにしのうみへと おひちらしける これよりして びんぼうがみども せかいへかほだし ならずうちでの こづちは大こくてん 国安筆様 とりかへし給ふゆへ これからはずいぶん ふくのかみをしんぐじ せうじきせうろに とせいせいだしかせぐ ものにはふくじんのめぐみ ありてふくとくをさづかり ふつきはんじやう すること うたがひなし 〽おには そと〳〵 やくはおれ 十返舎一九校 〽はいく〳〵 にげます ○武 申春の板元 十返舎一九作 歌川国安画 三兵 文政七申春 十返舎一九校 新趣向発行 哥川国安画 番いり 福神宝山入編 馬喰町四丁目肴店 地本問丸 江崎屋吉兵衛 ふくのうみはひんぼうがみの かたへうばひとられしうち でのつちたからものをとりかへし 給ひてすゞさまふねに つみ給ひ 七ふくじん みなくうち のり給ひて じゆんふう にほを あげ かい上 なみ かぜなく かへり給ひ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ これより しよにん 一にふくこゝを ことい あたへせう じきのかう べにやどらせ 給ふぞ有がたき 嘉永三 大こしてん今まではかんじんのうち でのこづちをうしなひしもなんなく こりかへし給ひゑびすさまと いひあはせこれまでしん〴〵 つよきものどもへふくとく をあたへんとてそれ〳〵へ かわたし給ふなかには びんぼうがみ大こく てんのつちをうばひ とりしときにはかに大こく てんをうちすてびんぼう がみをしんかうしたりしやから もあればこれらをばこの たび見せつけ給ひ たゞせうじきせう ろのものどもひごろに しんぐひとすじ のものばかり めしよせ給ひ それ〳〵にふく とゝをあたへ なをもこのうへま もらせたまはんとの 御やくそくにて大 じやうぶの御うけあい なりまたゑひすさまは あきんどをまもり給ふかみ にてしんぐのあさんどどもへ おほせつけられけるはとかく人は よくをかはかずおのれそんを するとも人のためならばそんを することいこふまじ今より何 しやうばいにもせよしろものを しやうばいにもせたしろものを もとねよりやすくしそんをしてうるべし これかいてのためなればいかやうにも やすくしひんきうのものへはたをるゝ心 にてかしてやるべしそのそんもうはわれ うけこみそのばいましにしてふくとく をあたへつかはすべきなればかなら ずくかうりはさておきすこしの りぶんもむさぼるまじやすく うるほどかねのできるやうに まもりつかはすべしその こゝろへにてしやうばい すべしとのこと なりける ふくの神三 〽きさまたちへたのんでおく ことがあるもしもきさまたち たびをするならば中せんだう ではたかさきの大こゝやかるい ざは京さんどや六ゑもん 木曽かいだうにへ川の かしわや吉ゑもん この三げんはみなわしが まもるうちでかりにも よくばらずしやう じきいつへんに 早々よじんを そまつに せずうち がきれいで かないぢうが きがさいて よいやどやだ からあのほうへ いつたらこの三 げんへとまるが よいこの大こくが そふいつてよこした といへばうけあつて そまつにはせぬ からたのみ ますぞ ゑびすを しんかうの あきんど そんを してし ろもの をやす うりせばかての そんもうばい そんもうばい ましにふくをさづ けて下さるゑびす さまちやくそくゆへ あきんどみな しろもいゝもと ねよりそんをして やすくうりけるが かいてもまたゑび すきましんかうの人 〴〵はせうじきにて 人にそんをさせてはめうり がわるいとてやすく うらんといふを いひねにては かはずねたんをつけあげて かをふといふうりてはやすく うらんとすればかいては たかくな ければ かはぬと せりあひ ける 〽やすいことはござり ませぬおかいなさつて 下さりませ 〽イヤ〳〵そんを させてはむさ ぼるやうな 一 ものでこつちの こゝろもちがわる いからやすいものは かいませぬこのたんものを 十五匁にはあんまりやすい せめて廿匁にかいませう 〽イヤ〳〵十五匁でも五匁 そんがまいりますどふぞ たゞの五匁にでもうつて せめて十匁そんがしたい 〽わたくしたなはげんきんでもかけに なりとおのぞみしだいその かはりには しろものゝ 〽よいふりそでが そのおむす ならたゞやつて しまへば よいに やすいのを おふしやう なされて おかいな きつて 下さりへ ませ 一 ので ござりま すがとかく あつたのやう におつしやるお人 ばかりでしろもの がよくてねがやす ゆいとかいてのない にはこまります □□□□□□□ ふくの神三 なんでもそんをしてしやうばいすれば そのそんにばいましにしてふくの かみよりふくとくをあたへ下さると いふことゆへあさんどみなりぶん をとらずそんをしてやすくうる作 をせんとすればそばや などもしん〴〵の ものは一ぜん五十文のかも なんばんを二十四文づゝに うりけるゆへなかにはふく のかみしんかうのものは やすきものをかいてこの ほうにとゝをとりてはふくじん がたよりふくはさづけ下さるまじ とかくそんをせねばふくじんがたのお心 にかなふまじとおもひければ さやうの人はかもなんばんへ 二十四文ではがてんせず はらをたてゝばか〳〵しい はらをたてゝばか〳〵し 五十のものを二十四文 とはあんまりやすい 人をばかにしたなんでも 五十はらつてゆかねばきがすまぬといふも 大平しかほく あんかけうんとん 二八そば 廿四もんの てころへ五十おい たのはわしが わる かつ た またそつと人のしらぬやうに廿四文 おくやうにして五十文おいてにげ出す ものもありあとにて見つけそばやこ はらをたて今のやらうめ廿四文 といつたに五十おいてゆげやアがつた ふといやつだかさねての見せしめに おつかけてひつとらまへその ぜにそぶつつけてかへしてやれ もしうけとるまいとぬかし たらぶちのめしてやれと はらたてける くひにげでもすれば よいにぜにをたんとおいて にげやうとは大それた 天廿四文の ぜにがないかし て五十おきやァ がるおのれの やうなやつは見せ しめのためこの にぎりこぶしで おもいれさすつて やろう 御家督三 どふぞ りやうけん 五十とつて おいてくだ されその かはり もふ いちぜんくつて こんどは百文 おきませう から そんをしてあきなひをすれば それだけふゝのかみよりふくとくを あたへ給ふといふことゆへなんぞあき ないをはじめそんをしてうらんとは おもへどもなかにはそのもとで なきものあきないもできず せんかたなくおもひつきよなく わうらいにいでゝ人のとをる を見かけてひつとらへおの れのきてゐる きものをぬぎ てむりむたいに わうらいの とうらいの ものへきせ てはおひちらし けるこれを おひはがれ とてこのごろは 人どほりなき ところにては おひはがれ おほくわうらいのたび よみちはけして せざりける 〽ヤイ〳〵 このわう どうものめが よるよなか このかいだう をとおるからは このおひはがれが 出ることはしやうち であろうこまごと いはずとこのどてら いちまいきてかへれいやだと ぬかせばおのれをこのまつの 木へくゝりつけておいらがきもの のこらずおのれのにもつといつ しよにからげてせおはせておくが どふだことばのあるいうちきり〳〵 おれがきものをきてうせやアかれ 玉人〽はいくさても〳〵このやうにぶつそふ なかいだうとはしらなんだあとのまつはら でもおいはがれに出あひましてむりにこの うへにきておるぬのこをきせられましたとてもの ことにもふいちまいきてゆけとおつかけられて いの神に やう〳〵こゝまで にけのびてま いりましたもの またおまへがた にきせられ てはからだ がおもくて ある かれませぬ どふぞお どふぞお じひにその きものをき せることは おゆるし なされて 下さり ませ どふあつてもきせて やるいぢばらばその うへにさかて をもそへてやるが おのれそれでも このきものきて ゆかぬかしぶとい やつの 十尺 ふくの計三 なんでもしろものを やすくうることが はやりくるわの 女郎やのてい しゆども よりあひそう だんしこのごろは みな人がせうじき りちぎになりて女郎かい にきたりむだがねつかふ ものなくしだいにしやうばい ふけいきとなるべきなれば この やす うつは きつと はやり ませう こゝにて女郎のやすうりをはじめ そのそんもうを大こくさまからうめて 下さるやうおねがひ申て見ゆうかと そうだんけつして大こくてんをしやう だいしそのことをだん〳〵おねがひ 申おきさらばこれからなんでも きりやうのよいしろものをはんぶん ねにしてやすかりをはじめんとそう だんきはまりやがて女郎の 大やすうりぞ はじまりける どふぞやす うりを はじ めぬ さき に 大こく さま ふくを ぜん いたし たい ものだ うつくしい やつのやす たりなら くちあけに おれもひ とりうつて 見たい さてもけいせい のやすこりはし まりければこれ ばかりはやすい からかはぬとその ねだんをつけあげて かうものもなくやす うり大きにはんじやうしだい一 ばんに七ふくじんのうちでも御 としわかきゑびすさまと びしやもんてんはふだんよろいへ かぶとをはなしたまはぬほ どのものがたき御きしつな がらいたつていろごのみにて ゑびすさまと打つれて 出かけ給へばふくじんのこと ゆへ大もてにておもひの ほかふかいりし給ふほどの ことなればぼんぶの 身にてはなをさら やまいといふをしやうくはん にてにはかにくるわはん しやうしける しかはの神を 〽なんでも やすいといつ てはやるもの うら おほ かた と へいつ ても まける 下 あろう 〽いつそおまち おいでなされますからおはやうおこしさり ませ なさり どこもかしこもふゝのかみをしん〴〵することはやりある家に 大こくてんしんかうにてきのえぬまちのばんその家の女ぼう いたつてしつふかきおしやらくにてていしゆのほかにいろおとこを こしらへこよひていしゆさけにゑひとをれうちふしたるひまを うかゞひ女ぼういろお とこをひきずりこみ くらがりにてちん〳〵 かものうまきさい中 ていしゆぬからぬおと こにてそらいびきを かきねたふりしむつと おきてたんすのひき出し よりひとこしをとりいだしこしに ぼつこみふたり打ふしたるところへ ふんごみおいれら大それたやつら ふたりともかざねぎりぞとわき ざしをひきぬかんとするときかの いろおとこがたくとふるひながらてい しゆの手にすがりまつたくもつて たゞしゆけうのうへのたはふれごと にてふかきわけなしいかやうとも そのもとのはらたちおわび申す しゆだんもあるべしまづぐおんびんに 〽ヱヽおのれらは につくいやつら かゝアめはとも かくもこのせらう めいけておく ものかおのれ よふ行く だいじのおれ がかゝあを 大かたおのれ 女がろくに とくしんも せぬものを むたいに こじつけ おつたで あろう にくい なしたまはるべしこなみだを こぼしわびけるにぞていしゆも すこしはふびんにおもひしばらく しあんしてさあらばないぶんにてすますべし そのかはりせけんにさだまりのとをりその ほういいのちがはりくび きんす七両二分いだ されよといふかのいろ おとこ大きによろこび まづはあんどいたし たりさりながら そのもともふくじん をしんかうなり このせつやす とりのはやる さいちう何とぞ 七両二分をやすくし はんきんにまけて たまはるべしそのもとの そんもうはふくじんがたより それだけのふくとくをあたへたまはん なれば三両二分にてしまし たまはるべしとぞかけあひける おもの夜は ていしゆきゝていや〳〵ほかのうりものとは ちがひて大それたことすでにいのち にもおよぶほどのことなんとして〳〵 まけてやるものうそれともに ほかのあきなひもの ならりぶんをとらずに そんをしてうるときは ふくじんがたよりふくを さづけそんをうめてくだ さるれどこれはあきなひ ものでなきなればまけてやつて そんをうめて下されぬときはつまらぬ ものそこをよくとりきはめてからまけて やらうさいわいこよひはきのえね大こく さまへおうかゞひ申て見てからの ことゝいふとき大こくさま そんをしたあとでふくじんがたよりその きいたくとゆるぎ出 給ひていしゆに むかひてこれは はんきんに まけてやるが よかろう神は 美艶仙女香 御かほのくすり こうのふつゝみ かみにくはしく あり 南てんま丁 いなりしん 道にて 坂本氏 いなりの となり にて せうじきにて へつらひかざることが きらひだからありてい をいふがかならずはらを たてやるなまづこゝの女 ぼうのかほつき大あばたに ひりつりだらけおけんつうの うへひたいぐちにたんこぶが ありてはなはひくゝほうはたかし くちはそつはでふうぞくはつだらみじかく どこにひとつとりところのない 一二一 しろもの七両二分とはあんまりだ はんきんでもたかけれどもしゝく むらいでしかたがないいろおとこどの はんきん出してやつてもふこれにこり たがよいあとのはんきんはおれが出して やろう人のよいこゝをしたしりをぬぐふも つまらぬものなれどしかたがないと を辛 こつちよりちよい〳〵と三両二分ふり出し 及ひあとはそのおとこよりうけとれとのたまへば ていしゆはなのにをながくしてよろこび大こゝさまへ おれい申せば女ぼうにた〳〵わらひして大こゝさまは にくらしいわたしのふきりやうのたなおろしをなされますが ふゝの印四 非常ニ かへさまの めにはまん ざらでもな いと見へて わたしを 見るとそで つまをひい てなんだの かだのとなつ しやるおかたが たんとござります からわたしが みつふをいたしたは この人ばかりではご ざりませぬまだ つぎへつゞく さらでもあるまいと手がらそふにいへばていしゆよこでを 大こくさまあのとほりどふぞおねがひ申ますときして 大こくてんあきれ給ひさて〳〵そなたはおもひ のほかのたはけものかゝらゆのよいてとをした そのしりをのこらずわしにぬぐはせ やうとはあつかましい今女のくちから じまんさうにまおとこのたなおろし いくたりもござりもござりますからもしこちの人今そのしうをのこらず よびにやつてひとりまへ三両二ぶづゝあとのたらず下へは大こゝさまからみな 出しておもらひ申すと大ぶんのかねひともとでになることなんとこちの人まん さらでもあるまいと手がらそふにいへばていしゆよこでをうちてでかした女ぼう いやはやはしにもぼうにもかゝらぬ おんなのみちにそむけたいたづら ものあのやうな女ぼうはさりこ くつてしもふがよいていしゆそな たもたはけなれどせうじきもの ゆへおれがせはをしてよい女ぼうに とちまんとやうのぢさんきんもつ てくるのをもたせるほどにその 女をばさらけ出してやるがよい とのたまへばていしゆあたまを なでながら なるほど いとまは いかはしま せうが今この 女の申すには かくしおとこが まだいくた 里もある と申せば はけついで にそのもの どもから はんきんでも よいうけとつた 〽大こゝさんそんなに おつしやりますなあ なたもいつぞやわたしの しりをうまそふなと いつておたゝきなさつた ことがござります うへでひまをやりたう ござりますとよくげはみぢんもないことを申せば大こくさまざて〳〵そなたは こまりものまだそんなたはけをいふ女ぼうさへおひ出したあとはおれがうけこみ かねはいくらでもかして間ひいきのそなたが今まであの女にはなげをよまれて いたがよびんな女めはいかにしてもつらにくしせかいのいたづら女どもへの見せしめにわれ しかたありとていしゆにさしづをし女をまるはだかとし大こくてんはりこの大まつ だけをとりよせ給ひこれを女にせあはせおひいだし給ふ女はすこしも おたするけしきなくいでゆきながらまだくちはへらずこの 大まつだけがはりこだけつまらぬと 大ぐちをあきてわらひ〳〵 いでゆきける ふくじんを しん〴〵のもの どものなかには こころへちがひの ものもありて さま〴〵なん だいのことを おねがひ申 やからもあれば 七ふくじん打より しんぐのものどもを のこらずめしよせ大 こくてんおほせけるは そうじてあきんどは それ〳〵の里とくをとりて とせいとするものなれ どもなかにはよくばり てかうりをむさぼるもの あるゆへそれをさせまじき 〽そんをしたらそのそんを うめてやろうといつたものだ なかにはそんをせぬやつも したゝかそんをしたつらをして おいらをせぶりおるからふくじんも そう〳〵はつゞかぬによつてこれ ためしろものにたとへそんの ゆくものありともやすくしてひん きうのものゝたすけとすべしその そんもうはこのほうよりふくを あたへうめてやらんといひしをあてに してなかにはとんだこゝろへちがひのものも ありてあきなひものにてもなきものにそんを せしとてこのほうへそのしりをもちかけゑて かつてのねがひをなしまたはおもてむきそんをし ないしやうにてはとくをとりながらそのそんを うめてほしいとふくをいのるわうちやくものも ありそれといふもみなふくじんをあてにする ゆへなりいまよりはこのほうをあてにせず めいくすこしづゝの里とくをもつてとせい すべしこゝろさへよこしまなければいのらず とてもこのほうよりふくとくをあたゆべし またわうちやくをするやつはいかほどにいのりても ふくとくはあたゆまじなんでもみちにそむけし かねまうけをせずしやうじきのあきなひを せいださばわれ〳〵七人のこらずよりふく とゝをあたゆべしそのむねこゝろへていま よりけつしてこゝろへちがひなきやうに しゆつせいすべしとのことなりける わうちやくものとせうじきもの とをこのほうにてゑりわけ せうじきものにばかりふくを さづけるつもりだからみな 〽はいくさやう そふこゝろへたがよい がてんかく ならこのもの まへはわたくし せうじきに いたしませう □□□□□□□□ □□□□□□□ しやうじきのかうべには ふくのかみやどり給ひふくとく ゑんまんじゆみやうてうきう しやうばいはんじやう しそんゑいきうを まもらせ 給ふゆへとかく とんよくをせず ひとをかすめ むさぼること なくしやう とうのと せいするもの にはふくのかみの 御りしやうあること ゆめ〳〵うたがひ あるべからずよつてこ 家ながく とみさかへしそん てうきうすべし めでたし〳〵〳〵 金の草鞋十七編 十返舎 著 おなじるゝ 十八編 全六冊 全六冊 当年秋趣向有之候所著述間に合 不申候故来春二編とも出板差出申候 十返舎一九拾 歌川国安画 10556 十二丁目