[シ]らぬひ譚
- creator
- 柳下亭種員
- created_at
- 2026-08-17T19:23:18.243Z
- updated_at
- 2026-08-17T19:23:18.243Z
- field_rights
- CC0
- field_creator
- 柳下亭種員
- field_language
- 日本語
- field_has_image
- true
- field_identifier
- 10010000015053
- field_ocr_status
- completed
- field_title_yomi
- シラヌイモノガタリ
- field_attribution
- 東北大学
- field_oai_datestamp
- 2025-12-02T15:06:57Z
- field_oai_identifier
- 10010000015053
- field_ocr_updated_at
- 2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
同人兵の酒屋敷
豊前部下嶽の場
一兵のぬいつれ
中名足井目次第弐朱之助
い地崩鶴之岬の場
同芦城ヶ嶽玉場
一出道助殿
一
役人替名
一菊地右衛門様貞行
一犬千代の乳母秋篠
一漁師波六亥休
林岡貞平
一玄海灘右衛門
一後に荒海大有之
嵐鷲寛
嵐黛寛
嵐鷲嵐
嵐璃嵐
嵐瓢箪笥
一鷲沢七郎正吉
坂東竹三郎
一雪岡冬次郎
坂東竹三郎
一同妹照葉
一せんまひ人形の千歳
一小道具屋鶴作
一板東竹三郎
坂東竹三郎
坂東代三郎
市川男女蔵
一浅倉三太夫
一百性只作
一牢壺矢九郎
市川男女蔵
市川広五郎
一渡し守ぐん八
市川讃五郎
一龍川小文次
濱和三郎
一わつこやの息子花吉嵐和三郎
嵐和三郎
一わつこやの息子花吉
坂東大次郎
一漁師ふか八
坂東大次郎
一雲岡の下部眼介
嵐瀧五郎
一盗賊足屋太郎
嵐冠五郎
一茶道宗原逸斎
一耳え門蔵
市川茂々三
一蜑おたこ市川茂は三
市川茂々云
一近習宇平次市川くり平
市川こり平
一割鐘ぐわん内松本武十郎
松本武十郎
一白縫の平下早汐の左回六
松本武十郎
一漁師浦蔵尾上小の蔵
尾上小の蔵
一下部拾平嵐鴨八
嵐嶋八
一同興平坂東善平
坂東善平
一近習小源太坂東困蔵
板東困蔵
一同弥九郎尾上常作
尾上常作
一漁師浜土坂東大和平
坂東大和平
一同天よ蔵
嵐和橘蔵
一同はと引
中嶋万平
一同磯平
一浅尾つち蔵
一百性鍬蔵坂東音蔵
一坂東音蔵
一同鋤蔵飯東九字蔵
坂東九字蔵
一神主高間重膳尾上扇蔵
尾上扇蔵
一小性乙女之助市川才三郎
市川才三郎
一同葵之助中嶋勘蔵
中嶋勘蔵
一同裏筆之助
坂東玉蔵
一箱湯嶋八嵐寛六
嵐寛六
一漁師こず六嵐寛六
嵐寛六
一石垣伴蔵嵐徳蔵
嵐徳蔵
一蜑おくら嵐徳蔵
嵐徳蔵
一渓師沖蔵嵐徳松
嵐徳松
一白塩の平下わだつみの汐蔵
嵐徳松
一梶作娘かるも坂東佳好
坂東佳羽
一夏之丞之号しがらみ坂東佳好
一坂東住好
一舟こしの禿岸野市川あかん平
市川あかて平
一足利義宿市川幸蔵
市川幸蔵
一鷲津六郎正時嵐筑後
嵐璃地
一鳥山犬千代嵐璃踊
嵐璃瀧
一後に秋作照鬼
嵐璃抔
一後に秋作照忠胤猪栖
一棟り人形の三番叟嵐璃瓶
嵐璃邸
一はみかき売百眼の米吉
一冬次郎弟刀本
一舟こしの禿浪路
嵐躋聡
市村竹松
坂東吉弥
一庄屋佐次郎兵衛
坂東作十郎
一漁師梶作坂東佐十郎
坂東佐十郎
一悪ものまや助
片岡光五郎
一青柳の下部強平
中村万六
一浄師潤蔵
中村万六
一同酒六
一流芝五郎
一鞍牛運八
嵐芝五郎
一漬の子磯判の小松
尾上朝次郎
一小性須磨之介
坂東百枩
一同明石之介
坂東福蔵
一同胡蝶之介坂東鶴三
坂東鶴三
一同粽之介松本高ん子
松本高丸子
一新造あらいそ岩井や半と
岩井やまと
一鳥山のこし元八千代
岩井やまと
一鷹山のこし元八千代岩井やまと
一同一重
市川朝次郎
一新造おしてる
市川朝次郎
一こし元若草
坂東和三郎
一同初音
一同早わらひ
坂東玉吹
坂東まつ三
一白縫の平下嶋根のお岩
坂東まつみ
一こし元春野
坂東和佳女
一同紅梅
坂東蝶之助
一新造まさて路
坂東蝶之助
一神崎右京
片岡我休
一白隆の中下浦家の苫沢
片岡我舛
一荒鉄太刀蔵
松本団五郎
一大友の下部頼摩蔵
松本団五郎
一漁師灘蔵
一九月十九日
一玉錦左司馬
八幡谷七右衛門
一荘沢夏之丞
市川国之助
一雪岡のこし元松代
一とつこやの抱凌機
一大友岩太郎
一同断同所同一便師策落
一猟人孫平次
一大友の恩女若菜姫
後ニ白雁大有
一漁師春吉
後々青柳春之助
一鰭九郎娘小儀
ぜんまい人形の箱
一げひしや秀吉
一鳥山豊後之助保忠
市川国之助
同市川団之助
浅尾癸山
浅尾美山
浅尾英山
坂東しうか
坂東しうか
坂東志うか
坂東しうか
坂東しうか
坂東彦三郎
一七草官丁礼の亡霊
一漁師鶏九郎
一大友刑部宗連
一田舎侍浮田喜源太
一亀谷多門之助光行
一寸ゆ玉うり八ツ花の左吉
一足利義教公
坂東彦三郎
坂東彦三郎
坂東しす三郎
坂東彦三郎
同藤太夫権十郎
若太夫権十郎
河原崎権之助
太し町
当八丑の
春狂言
しうか
佳好
しらぬむむ
第壱条油目発駕席吉布
一筑前鐘之岬の場
同茅城ヶ嶽の場
しす三郎
竹三郎
七右衛門
大次郎
冠五郎
□□□□□□□
小の蔵
上り平
道作
大和蔵
○ち蔵
とく松
佐十郎
りかく
隣盛
「荒井恭信所割罰会ヲ
以テ購入セル節割伝
本漆蔵三間後江浅黄幕松並木所〳〵へ地震あんどうちかけ
上の方朱の片鳥居真中に誹らへの高札をたてふたいまへ
浪板すべて筑前者二ヶ岡香椎明神祭礼の体爰にくり平
柿のつゝぼ也漁師のなり大き成ふぶごへあわび貝にて目鼻を
つけ引網塀あせり小獅子にして冠り小の蔵常作槌蔵
大和年同じく里やうしの形にて立かたり浪の音家たい
はやしにて熊かに菖布明るに
みな〳〵
何でも目出たい舞こめし
小の花
トミな〳〵獅子をまふ事
一
それがいゝ〳〵〳〵てつぶくやらかせ〳〵
一サア〳〵一トいきついて明神辺から濱中を廻らなる給
トむしろ第敷みなく是へ住ゐ
くり平
道池
一けふ八日よりがよして明神屋の祭りも賑やうで浜中の仕合だ
一それ〳〵いつぞや此鐘が岬が岬の沖に夜ゟ〳〵光りものが有つて去年
の暮からりやうがさつばりなかつたところ
安平
一領草殿有が此沖にしづんでいる法に鐘を引あげたらば其光り物も
なくならぶから
つちき
一水れんを得た者に海へはいへて其鐘の龍頭へ器を付て来る者に
ばくたいの日うびを下さるといふ
の
一アレあの通りの高札が所〳〵に立つたそのから知りものハあつとも
此口五日久しぶりで大黒うがあつたゆへ
三り
一はま中の者がいきかくつた心もちで御礼のためふ海守の明神に祭りを
和橋庵
するのたからおもれにきやかに春縁かく〳〵
一これからなけし長斎獅子を舞つて後中の家〳〵
舞土母にやならねい
皆〳〵
一それ成いゝ支度しろ〳〵
卜漬こたせうてんに成り向ふより佐十郎世話親
仏の形り三方へき徳りとすめしの亭長里を
のせ長ち桂好鶴田かつらやつて娘の形り重箱
の風呂しきつかみを常事出て
桂好
一とらさん向ふの鳥居のまへに若く衆か獅子長いてあ
つまつてしやわい十部
佐十郎
一そそふ少〳〵早ふあ其こへこそめしを長つて行
てくわせてやれ〳〵
植好
アイ〳〵サケゆき船さんせ
ト右の僧長のにて両人舞台江来て
佐十郎
一貴漬の若方衆達か獅子かよく出来しな〳〵
の
たれぬとお長つたら里やらし仲ヶ間の春谷のとつせん
今
一妹のかる長どのも一所によくくた給ふ
衆〳〵
一帯五重〳〵
ト佐十郎桂好真中へ来て
桂好
皆さてけふは大きに御くろりてくんすおいしく長有来い
かおこくにおにしめを長つて来たほとにたりたり
下せんせ
下重箱を出す
常
一そりやかたじ事なへ今師子が出来上ツて丁度多ば粉に
したと覚
やま
よつぽとはら茂成たひだじぎなしゝにちそふに成り
ほふ
一はらをぜうぶにしてとつさんのうちへ師子を舞こむぜへ
一そふし〳〵ふる長はんのまたくらへ酒子のほら入かを
やら少すがいゝ
かこら
一ヱヽ何をいわしやんすぞい十部
佐
うやにきやかで目出度〳〵三なの衆知りての通り
鏡か碑の沖中で夜な〳〵の光りものて去年
のくれからの大じ事此ころ四五日そち長はれひはしし
ぶりてりやうが沢山有たゆへ浜中がいゝあわせ香椎の
明神さまへ御礼がてられ御祭礼おらばうちが浜行事
に当たゆへこそめしやらにらめや〳〵今朝からの
こしらい晩にはおわきひらきて酒を沢山呑にせる
小の
月とに三な早ふ来さへしやれや
一それはかたしけないそふして孝行むす子の春吉
はどふしきたの
佐
きかすしやれ日ころから親孝行の春谷此度御領主
の菊地貞行せまが御立被成しけり高札海のそこに
しつんでゐるつりかねへ綱を法章た長のには多く
の月ふびを下さるゝとあるを聞と何で長手ぶら
して月ふびを貰ふて此親仁を楽にすると此うちから
御舟出をまち兼て居るところ
桂好
けふ殿さま袖の湊から乾坤丸といふ御舟にめして
うら〳〵を御ゆうらんと聞しやんして何でしけふこ
そ手ふらすると言しやんす何ぼうちへさい暗ふら海
辺てそたつたとはいふ長の土ひろ長知れぬ海の底
よしにせいとさきんがとめるをきかず宮せん御舟
さきへ行しやんしたわい十ア
佐
こなし衆はし流まいがア春吉はおれが妹のおれ
んが子てゝ親は根子あつて他国の長の春吉を
うみ落すと間茂なく妹は死んだゆへおれが
かたへひきとりこのかるが兄にしてそだてゝゐる義
理あるせぶれひころから顔かたちに似ず水れんの
一達者乗遣ひ是なけれとも是も広当がて長有流
まひかとあんじうれ流土いのう
今
一誓りやアモウあんじせつしやゑは尤だかりやうし
仲ヶ間てたれ長およはぬ春吉が水れん
常
一まんまと馳頭へ絵紙法常ほふびを貰ふ堂盛之事
前々
かならすあんじさつしや様なや
佐
一三なの衆がそのやうにいつてくれるでちからが付いた是
娘おれは明神ことまへ是をそなへてせぶれが身のうへに
つゝぎのないよふに御ねかへもふしゝあま〴〵来る月共に
我身は先へ帰つて何かのした多して待て居や
かこら
桃
アイ〳〵早ふ御参り申て来なはんせ
下右の鳴毛のにて佐十郎三月うを長サ鳥居の
おそんなら三なの衆どり女明神こまへ誓取へて来よふる
中へは入流
かこら
一サア〳〵三なはんまふおこりをあめらぬふへ
小の
一にや足うせつきからくひ度てのどかくび〳〵鳴てゐる
一しめし出る長さんが立てゐちやアこつば御からへよふだ
一そまらかしやアがる七サア〳〵やらかせ〳〵
トむかふにて
大須分
一済ねいそ〳〵
ト浜うたせうてんにて向ふより大臣市里やうとの
なり法の樽を手ぬぐひにてかたへひきかけおなじ
形りの徳松のむなくらを取て出るかん六同じ
なりにてとめなから出て
かん六
コレサふふ八けふ冬目出度漬の祭りたいとおげんにり
やうけんさつせへ〳〵
大
一イヤいやだおれが行はきへつきあたてやうがつた沖蔵
とく松
めりやうけんならねん〳〵
一是はまためいせく千万壱せまのほらからつきあり
しかしとしがわる人はあやまちう道中て人茂見
流まりこゝをはなして人れ
ト大治郎の手をはなす
大佐分
一候やはなさぬいやじ〳〵
トまたたちかゝるをかん書中へはいりとめて
九
まる〳〵おれにあつけろ〳〵
一いやだ〳〵すまねぞ〳〵
トあらそ一なから舞台へ来る桂好見て
かこう
おままたてふか八壱ん見れはきつうはら立船せんした
よふすまた沖蔵さん長す何ぬ顔つき六はんどふ
かん
いふわけでくんすへ
其土帯は今こゝへ来るみちてふか八に沖蔵かつき
あたつたといふイヤそつちから当かたいふこだつきよ
かこう
ふだんからの心やすたて乗よひかまんに了簡して
中直りをしなさんせい十部
の
一そふし〳〵ふる長さんのいふとふとふとふなじち仲と間
常
これ目出度明神さまの参りなり
皆〳〵
一りよふけんしやへ〳〵
大
成ほとけふは目出度祭りといひおれも此浜へ帰り
新参なれは手前たちにこめられねいよふに酒をばいの
ませよふと此通り持て来るみちで沖蔵のやらう
がつき当たものたふら了簡ならねへといふのよ
諸
コンサふか八どふした長のし出合かしらに貴様の方から
つきあたりなからおれがあたつたといふゆへそんなら
はおれにして着らけんしろといつたなら長ういふげん
にするがいゝじやねへか
か二う
一沖蔵せんのいそしやんす通り出合ふしらのおたがひにいゝ
かゝり元より根毛谷ふ長なび間ちぶひもり大が人にふせう
大
したがよふくんすわい
イヤいやた様長慶長ねひ事はねいふだんからおれが
ほれている出る茂人どひて見て長ひんしやんするは
沖蔵めとくさり合ひてゐるからわれがそんなに
かたを長川のがむなくそがわねいわへ
これはまたとふした長のた目女度未つりのさいさきと
あやまつて居りやア法市上りそふごうぜうにいやけ
しかたがねへにらしいが斎かるとはなしゝ食ひをしと
ゐるこの沖蔵おぬしとかかまつた事無あるめへたると此
漬じやアいろ事をするは法度かおかやき毛ちならようこ
にしろ〳〵
大
一おかやき長ちもすてまじい色事法度てなくりて
是此ふか八がならねへはなん月帰り新参て長
わき土地から来た沖蔵にはゞをされちやア了簡
ならねへ共いやだけふからわが手を切てかる茂
はおれが女房にす様せへ
徳
一口の端に川番がねへと思つて大そふなこたくをは
はき出したななんぼせが手を取る様の足をき流のと
ぬからゝて長そふ自由に似成らねへは
かん
一是は〳〵とふいふものだせつかくひきほこゝになりかゝ
つたにまたすを上て来たまか〳〵たかひに四海浪
かこう
しつかにするがいゝじやアねへか
大
一おこふてらんすわたしが事ておや人々のあらそひ聞
て居るその法らさとふそまがに留して中直り
して下さんせへ十部
一いやだ〳〵かういゝ出てアこんりんざいに笠成らね
へいやだ〳〵
社
そふぬかしとやけせびがねへおれ長男た相手に成る
大
やかましいそのほふけだをいかめてくれべへ
トなみの壱家件はやし両人立廻りかこうかん六
中へはいりりやらし皆〳〵と覚余向ふより七右衛門
りやらしのこしらいかひのせきへあみをくゝり付来
七右衛門
出て直に舞台へ来り此中へはいり
コレ〳〵弐人〳〵弐のけんくてはなた蔵があつかた
おれにあずけろ〳〵
大
一いや〳〵了簡ならねへし
法
そふた〳〵退つせ〳〵
イヽヤ〳〵のかれねへしづかにしろ〳〵
一コレ〳〵なた蔵どのかあいはつだ
一待つせい〳〵
ト両人をひきわ車縁浜かた相かたせうてん
かこう
一本によい所へなた蔵せんよふとめて下さんした十ア
おれも今度へ来かゝツて何たかよふすは知らねへか
初春早〳〵弐人とがけん人ちおなし候浜せうばいて是迄
あみをひき合ふ中くやほらしいたごき食もあつまり
出来たはなして毛あるめへ弐人りなから腹長た
とふか此けん人てはなだ蔵か年玉かせりに長分
いた〳〵
かこう
アンアノやうになたかびせまが言思せんすほとにふかハさん
一ウかる長ぼふのいふ通らす沖蔵せつかくなた菊
とんのあへさつだ
皆日〳〵
〽黒やうけんさつしやい〳〵
成ほとおぬしした土のあいひといひ飢た蔵のあいまつ
了簡成らねへところだがそふごうぜう長いゝめへしかし
徳
かねへ了簡しよふよ
不成八かそふおとなしう出かやこし毛何長言ぶん
なひの介
そふいつてくれかやア口を聞たおれ長花をもつとい
ふ長のたサア〳〵壱ツ〆てくれ〳〵
大
一初春早く丸〆じ
か
一サア〳〵しめろ〳〵
一ヨイ〳〵〳〵ヨイ〳〵〳〵
ト手をうつ事有て
九日
一ヤレ〳〵なた蔵さん大きに御菩うら〳〵
とふ成る事とおもふたになた蔵せんいかひおせ詰
てくんした
一何人のれいにやう及はねへそんなら是から朋神
さまへ参ツて淡行事のかじ作のうちてまつり
三な〳〵
のふるまいをさいてへ申直りのさかつきをさせよふ
一それがいゝ〳〵
卜斎とき七右衛門くり平をみて
〽コレ〳〵そこに居様くり作手ままは去年の人れ大坂
へ立つといつてせん別を長らツてまたゆかねへか
くり
古様さわふへしも早ふ立りのてくり升たがつれの長のが
女郎にははつつてそのうへわたし長此浜にお名こちおおしひ
ふら頭に頼で其下渓はたらへて立ツのてくら下る
大
一かやむしのいゝ男だなんそおごれ
くら
ひまとぶりておまへたんごで長おこつてくんなせは
皆〳〵
一おきやアぶれ
一七そんなら明神せまへ
一みんな長一所に
七
一サア来やれ
卜右の僧毛のにて皆〳〵鳥居の中へはいる引
ちがへて佐十郎出て
佐
一先明神さまへそなへ足のとして春吉か身につゝおの段へよふ
一御ねがへ申たれは気遣ひはな〳〵是から帰りてよき
たよりを待ふかい
七
一卜ゆかふしとすき鳥居の中より土屋の中より土屋
一さ〳〵かじ作どのちつと用か有る待て下せへ
佐
卜前へ出る佐十郎見て
一誰かとおもふたれはなた蔵どの此うちは逢升せぬ
か何そ用て長く流のか
一それは此ころひさしく筑後へいつて二三日あとに内へ
帰つてやらすを聞は領その菊地どのから浦〳〵へ
立られた高札鐘がみさきにしづへて居る釣鐘
の龍頭へ綱を付た長のにはほふびの金をやるとの事
こんたのむす子春吉か茶地どのゝ舟出を待て釣院へ
綱を付てほふびの金を貰ふとの事常からかぼそひ
アノ春吉いかほと水れんか達着て長あぶねへ仕事た
佐
よしにさせるがよかろふぜ
しんせつ瓜こなたの言葉知りてのとふり義理あるせかれ
のかり春吉日頃からの孝行長の殿さまの御目通りて
手からしてほふびをしらいてこしをらくにさせ
るといふゆへはや〳〵命かけのあぶなひ事よし
にせいととめ儀長聞ずけふ茶地せまの御船士と聞
て今朝から支度してゆきましたわいの
七
一何といふそんならけふ茶地さまの舟出と聞て春吉か行
たといふか
他
一まちにまつたけふの舟出よろこびいまんてゆき升た
一南無三宝けふの舟土をゆめに長しらす春吉にせんを
こされたかこれから直に追付て鐘の龍頭へ綱を付置
ほふびの金をせしめてりべい
一江七右衛門身こしらいしてゆかふとするとおとろき
留て
佐
一コレまつて人れせぬれが手からのしまするなた蔵出る
七
しはめつたにやられぬ〳〵
いらざるとめだて手からは仕かちたはなせ
はやめつたにはなさぬ〳〵
佐
一そめんどうなときやけかれ
ト家侍はやしに成り佐十郎とめるを鳶とばし
七右衛門いつさんに向ふへはいる此うち鳥居の中より
かこう
かこう出て
一コンとゝさんやらすはのこらずきゝました口せんの手か
らのじやまするあの領た蔵せたし長と長と長〳〵跡追
□
かけて
佐
一鐘が岬へちつとも早く
めこう
一そんならとゝさん
佐
一始来やひ
大
ト家伊はやし佐十郎かこう向ふへはいる此うち大治郎出て
一日ころから中のわまひ春吉にさき越こされはやアなた蔵かつ
らがたゝねへ跡から追帯おそひして取た蔵に手か
徳
らをさせほふびの金のわけ口を壱分はにやア成らねへ
下身こしらいしてゆかふとする此うちうし路へ徳走出て
一ふか八待て
分大治郎不り返り見て
大
一まてとは何ぞ用が有るか
位
一知れた事た親孝行の春吉が手からのしやますほなた蔵
かかせひをするふかはめわりやアめつたにやられぬ
卜大治郎をとめる
一しやらつくせい事をぬふしやァが浪かるがゑんで春吉のかた
大
徳
をもつ沖蔵めじやまだてひろぎやアふかはかさつきのけん
くわの枝ぼねを爰てひし〳〵折ツてくれ流ぞ
一こしや春一言なんず春て長ゆら〳〵とうぬらが自由に成に
大
てゐるそんなまぬ事か有る長のかとめかゝわたらこん
りんばいめつたに此場はうごかさねへ
一こまぬかさずこゝはなせい
社
一つはやならねへ
ス
一何ちよこざいな
卜両人寺立廻り大治郎ふところより錦の籏を出と
す往直とり上け
徳
一やさりやたし出に大友家の重宝錦の赤籏
六
一南無さんそれを
ト早具とつて懐中する
徳
一その赤はたを長つてゐるからは物はおのれは大友家
の余るいの長の
大
一それしられたらかんねんしろ
じ家体はやしに成り両人かいを取て立廻りよき程
に鳥居のうちよりかん六出て此位を見て
かん
一おぬしとはふか八またけんくわか
一こき六かかせひしろ
かん
一合てんだ
トかん六高札を取て此中へ打ては後三味せん
入り祭りのなり長のにて三人立廻り有て能き見得
家崎はやしにて道具廻流
一本舞台三間高足の大手なふ浪手すり下手より土中へかけて
岬の岩はた上手松の立木目覆より釣したすべて鐘か岬の件
爰に七右衛門大坂手甲腰々のの形り脇差ををと立かゝり左右ゟ
佐十郎かこうとり付て居津光得なみの音にてどふぐ雨流
七
一やしみしつこび老ひほれ女ららめとめとてとやアせつせう
は海師のわざならぜひがなへうぬらが命をとらにやア
成らねへ
供
一飯さ事しらずのなた蔵め奪の忰が一生の手からたとへ
命をとられて長
か二郎
一女のねんりき兄さんの叶わぬまて茂手からのかせひ
詰
やわかおのれは
両人
やらぬ〳〵
一セヱヽこめんどうな足手まとひたへめせぬうちはなとやかれ
両人
一くやはなさぬ
一そめんどうな
下三味せん入なり是のに成り佐藤おこう有合ふかへを
取てうつてかゝる七左衛門脇已とをぬき三人立廻り
下が七台門高土手の上にて両人をきり下平流両人
苦しみなから
佐
一弓残念や御おしや
どふて長弐人りを
七
両人
一ころすのか
七
一こま言ぬかさづくたばつてしまへ
トまた両人をき流浪の童にて橋かゝりゟかん書出て
来り
か
一なた蔵か大事だ〳〵
七
一わりやこぎ六大事と有
今乾押丸の舟をきで腰引ふかへて春吉か海の底
へとび込だ〳〵
トすて貰ふにて橋かゝりへはしりはへはしりはへはしりはへはしりはへは
聞思ひ入れ後ろを見て
佐
一やしかや春吉は
一千ひろのそこへ
ぬ
七
一七手がらは仕勝ち浪間をくゞつて
両人
卜ゆかふとする
一はやめつたに
トとり法具
一何をこしやくな○
一分浪の壱七右衛門ゆかうと共様両人とりつきゆへはん〳〵
にきりた出し候弐重より下へ布出上之刀を納め
身こしらへして
いらざるさゝへにばんじゝの出くれ是より直に龍頭の
もとへはそふだ
卜涙の童一声に成り七右衛門思ひ逢有て後ろの浪
間へとび込むじこトなみの音浪のけむりば御卜立る
知らせに付此どふくぶん思ス
海軍
三月狂言
しらぬひ弾
一方壱番目席まく
築ぜん鐘之碑の場
豊前錦ケ嶽の場彦三郎
竹三郎
同村五郎
再生
湧院
しうか
彦三郎
本舞臺一面闇ぼかしの浪幕上下貝類のつきし岩組日露ゟ
同じく関ぼかしのなみ板をおろし都て鐘か岬海底の伴
よろしくどふくとまる
トどろ〳〵うちあけ大さつまに成る
〽往事ひやうほうとしてゆめかとよ夢かうつゝかまぼろ
して日ちん〳〵としてかき千葉の海の海の水
そこに姿おどろに異国人られうの袂破果て長の
すこ今長また怪し候御意
下謝らへとろ〳〵唐楽の入りしと毛のすごきせり上ケ
の僧長丸被成り上手に陰火長へ立ち舞台真中へ
彦三郎好みの百日破れたる唐装束墨形のこしらへ
貝類の付きしく岩台に片ひさかけ下手にしらか
わらで結ひし若尻かつら絞りの法へほう
彦三郎
ほどくきやはんあつしよふの春のを着こしものを
心常わやらしのこうらへよろしく両人せり上る
いかに小かんじや承れわれ宿七のいんゑん有りて汝
をまつ事年ひさししくそれゆへこれまて未ねきしそねぞ
一左いふは日本に見なれぬ異人われをまつとはがてんゆかず
そもまづ御身は何人なるや
彦
しら
一松をいしゝ空是とふたりわれこそは元斎地の地の長のならず
長ろこし候福州の舟人七草官丁礼といゝし長の
一ゆめに長しらぬ唐人がわき越まねきしゝ子細はいかに
彦
一その子細かたり聞せん○
ト紛らへ唐めいたる僧長のに成り彦三郎おもひ金
右つて
我壮年のころなりしかふと海賊のむれに入りはから
ず月日おおくるうち法へにかれらがかしらとなりあ
またの手下をしたがへて唐日本〆きらひ取巻渡海
の折からがうとうなせしに思ひ出せば十七年先り
此薬前の沖に来りゆき来の舟を取やませしに
貞行かまた菊地秀行かねて手だてをめぐらし
けんおもひかけなきやみの夜にあまたの兵にこき出し
でが長とふねを追とりまきふひをうたれと事
崩れは手下の長のはおとろきあせていからはせん
と飢去折ふら秀行が下知として水れんすくれ
し灘蔵といへるものに乗たる舟ぞこくりぬかれ
射浪失はあられ舟に石水よしやつばさのあれはとて
のかれかたなく其場にて手下巻のこらずうちとら
れのこるはわか身只壱人されども心はけまとて
のらこむてきを切り払ひは近寄様長の茂なふりし
に討手の大将雷岡多太夫間近くふねをこきよせて
ねらひ定めてはなつ矢はわが米かみにはつしと
たつきうしよの痛手に今ははや是まてなりと
唐土よりうばひ来りと釣鐘の舟に有りしゝを
引かつき其まる海にとび入りて底の長へつと成て果た
りその頃肥前長崎なる連山とよぶけいせへにふかく領
じみを重ねしゝがかれわがたねをやとりてよりはや
五ツ月にあたるころわれはむなれしく討死なす其
後月となく連山は年季長あけて親里なる兄
梶作が家にかへりうみおとせしはすなはちなんじ
されとはさせが異国の人水たねをやとせし事を
はぢそれといわねは梶作夫婦長わが子なりとは
知るよとなし此月が夜な〳〵此海にあやしき
光りをならしたるはわか霊のするわさにぞこれ
まてなれらしをまねきよせこれをかたらんその辺
しう
卜思ひ入にていふしうかこれを聞胸らなしく
一天初めて聞しわがすぜう今のいままで梶作か子と
のみ思ひしわきこそは
彦
一此七草官万礼が此土木のこすわさきかたみ
して
一スかや肉身しけんけんせいのわが父上にてあつたるか
彦
一堂へて久しき対めん長
しら
一又は長ろこし
彦
一わか子は自本
しら
一へたてし
彦
一親と子が
しら
一一つによる長
彦
一おもひはふしぎな
両人
一ゑにじや十部
十両人手をとりかせて思ひ逢有て
しら
一首なつかしうくり升流
トわがる
彦
一十七年はひとむかしよくとも成長暦しよな部○
ト思ひ金有之
斯石乗は合ふうへからは当のかしきは国水守菊地一家
を育してわか無ねんをはらしくれ上
いふにやおよぶ今より無ねんをうけ御いで此水底に
しつみある鐘水龍頭へ網を御布それを功に菊地
へとりいり貞行はじめ一川一家うちほろほして又上へ有
彦
修覆水御無ねんはらさせ申せん
一等乗たの是しき汝が心底茶地一家をほろぼすには
ちからになるべき長のこそあり先年そびし豊後なる
一大友宗隣がわすれかたみ若菜姫といへ縁毛の錦が歳
にとらを経て蜂のよふ術うけついでこれ長父
のかたきたる菊地太宰をうたんずけつかうかれに
合解なすときは龍につばさを得たるかごども心
しら
を合せて本届とげへ
一それぞさひ給へ若菜姫の行ゑを尋ね廻り合ひな
ぞ合体なせん
彦
一かれがゆく湯は道からずわか案通にて道ひき得させん
○
ト此ときしゆらの太鼓は筆しくうち彦三郎不及へ
なからおもひ入れ有て
り〳〵しゆらのつかひめしげけれは長はや対面
これおきし
しら
下立あ成様
一かりや又上には此まゝに
彦
たとへ此場はわかると長
しら
一大尽成就なすまては
彦
一かけ身てそふて守るべし
しら
一千太兵ひ
彦
一具名残はつきど
しら
一そシ
トだち〳〵と跡へ下る
トすか様をふりはらへ
一彦卜するをふりはらへ
彦
一早さらは
トことろ〳〵に成り彦三郎ひきぬきにて誠候へ
の骸者に成りはら〳〵とくたけ後口の浪幕
消波しらか思ひ入れ有て
しら
一やうしいままてありし候わが父のすかたは消へてし
ゆれかうべこれがおかた珍成たるか
ト今右衛門をとりあけ無ねんの思ひ入れ此とき上手ゟ
いせんの七右衛門一腰をせし伺ひ出て
七右衛門
一よふすは聞き生ては置れぬへ
しら
じぬき打に切てかゝるをつき廻して
一やわれは舟ぞこくりぬきしかしき瀧蔵かりごなれ
て
一何をこうや具部
もまた切てかゝるを守立廻りてくたんの一腰を
ひつとしそのまゝあびせ
しら
一父か敵をうつほろぼす其さへつきの粟つり首○
ト首をうちおとす
八テ心ちや嬉し候や十部
江岩台へふみかけきつと見得大とろ〳〵にて岡寿
のまゝしうかをせり下るこれにてしらせに付き
日露の浪板うち返して杉のつり枝に成り左右
の岩組杉の立木にかけり正めつの浪幕を
切て落す
一本舞台正面此間常足の弐重か屋ふき本様付きの辻堂き法ね
がらしに明立所々に杉の立木上下木の間に流らへの紙の
釣りあり後ろ黒まてよろしく道具留る
ト山おろしに成り上手紙ののうちより冠五郎
冠五郎
鼠布子六部の形りにて出て来り
一り〳〵寒いぞ〳〵とふでも里と違つて山中は春
等取つて長重サか汰よひしかと木質宿へ泊縁より
世けんしらずに気らく故野宿家根代三文出すに長
およばすかれ木てめしをたきなから清水をくんて
茶をわかしゝこれで寝ゐて銭を貰へは大名に
成たよりたましだそやおもふと同行の怪典とのは
長ふ帰りて来そふな長だか○
ト下手のはり紙を見て
またとなりの修行者との茂かへらぬそふた大かたひへ
こゝつて出ゑ流てあらうとれ気をきかして帰ら
ぬうち里て寝酒をかつて来よふか
下山おろしゝ被成り厨五郎一升徳りを下ケ向ふへ
はへるどろ〳〵に成り日覆より心といふ字を辻堂
のうちへ引てみ流これにてどろ〳〵うち上流
東つりかねに成り辻堂の戸ひらをあけしうか
弐役の女順礼おいつる胸札きや平手しやくを
長ち出て
しう
一そんなら今のは夢て有りたふへ十部○
トあたりへおもひ入れ本つり鐘程らへの合出たに成り
風心におもへは世の中の月日の立かは夢のよふ十年ぶ
うにてはず〳〵と坂東ならぬ西国を廻りてかへる煩乱
のかわる堂見との錦ヶ嶽山また山にわけまよひとふ人
茂なく辻堂に一夜をあかすうき旅のみちのつか
れにとほ〳〵とひしをまへらてまとろむうちあり
〳〵見しは筑前の鐘ケミせきの水底にて
菊地のためことうたれたる長ろこし福州とやら
の海賊七草官丁礼がわすれかたみれのわかせかれへ
下
敵たる菊地をうつて言文が多年のうらみをはらし
くれとせが子へたのむ言葉のうち大友宗隣が娘若茶姫
と心を合せて本重とけよといひしはまさしく匂
ト思ひ逢有て気をかへ
アこれ長ひ様から山坂につかれし心のわつらへ船流かは丁
お長せぬ夢を見るものじや十部
卜斎ときあげ幕にて松出しゝの鉦の音東のあげ
幕にて尺八の音聞ゆるしうり是を聞思ひ念有て
ふ長とのかたに鉦の音と竹の音色の聞ゆるはあたり
に法りと雨覆合りに帰り修行者なるか旅は
道つれは。飢しくのとぎどれ堂の内にてまちまふてへ十ケ
ト山おろしと合ふたにて思ひれ有て辻堂の内へはへる
天八の入りし候六部三重に成り向ふのあげ幕より
瑞寛鼠の着付ケ手早き助はんわらじ六部の
こしらい笈をせおひ陽枝をつき出て来る
これと一所て東のあげ幕より璃珍おなじ
く鼠の着付け丸ぐけ手早きやはんわらじ旅
こ長そうのこしらへ天がひをかむり尺八を長ち
出て来り此ときどろ〳〵になり日露より誂へ
の塀相引にて舞台前へ下る両人是へ思ひ入れ
両人
あつて花道よきところへとまり
一八そあやしや十部
ト両人一時に笠をとりき法と見へ魂らへのなり
是のに成り
りふん
一松杉のしげる山中に木の間越長様に月影に光りに
りかく
みれは一ツの蜘蛛
一両眼するとくその形り天薬におよぶは是怪物まさ
に変化をなす長のならん
り□
一すでに酉陽雑熱に忌車輪ことき堪有りてよく
人をとりくらふとある
り如く
一わ成日の本に長いにらへよりそのためと有かときく
瑞宝
一かれはその知恵ふ成てしてこくうへたくもの網をはり
居なから諸史をこれへかへる
りふく
それをにくみて聖人はかならす蜘の網をやぶる
一今海だいにてわさある白縄とよぶくせ毛のは
一蜘蛛の妖術を行ふと聞
一長し舟そや川かなす術なるか
一何に長せよ
りふん
一きたへ彫蜘の
たへ
一ふるまひじや十部
トどろ〳〵にて件の堀辻堂の内へ引てとほ
りめん
どろ〳〵やむ両人これへ目を御事思ひ入れ有て
一長はや初更に間長あるまへ
一夜ふけぬうちに今宵の舎りへ
両人
一そふじや〳〵
りふん
トまた出の間長のに成り両人本舞台へ来具入替て
一りや修行者どの待つしやりませ
りふく
一〽くゝまてと留めさつしやれとは思国修行の六部どの
なんぞ用はしくりてか
りふん
一毛や別に用茂こざらぬが往来長まきな此山へ夜に
一入ってから登られしはとれからと違へくらつしやか
ふ
升な
りふく
りかん
どれからとれと定めなき身は雲水の旅のそら
きのふの暮より此ところへ野宿をいた書長のてくる
一それはお長ひあふた事わし茂四五日いせんより同
りやく
行あつて此山にやはり野宿いたしてくる
一なや六部とのには此所に〇三干こなたの舎りは
りめん
一則ちこれなる紙紙のうち三丁こなたさまには
まふ〳〵
一手未衛長同じく是故縁紙帳
卜両人上下の紙帳へ思ひ入れ有之
りかん
一八うしらぬ事とて此ふふに
一一ツ所におりながら
りめん
一ひるはたかひに修行の身
一夜にいつてより帰るゆへ
りめん
一おほ長しらぬは
りふし
一名もしらず
り如く
かう近つきになるうへは
りかん
一今からのちは
りや〳〵
一となうどふしゝ
りかん
一心置なく
りふく
一はなし升ふかへ
りめん
ト誹らへの合かたに成て論かんおかひをおろし
一肌にしろ火の気がなくては寒くてならぬ
いかさまあつたまらねへはなし是出来ぬ
ト陽寛逢枝落葉をあつめて
りめん
一廿日〳〵かれ枝をあつめて来ました
りかく
一とれ火をうつて進ぜ升ふ
ト珍かく火うち袋を出しかれ枝へたきつける
りかん
一昔そばへ寄てあたらつしやり升せ
りかく
一イヤあたれとは示い○
卜両人焚火水かたはらへよりあたりながら
ときに六部どのこなたは何所の生れでくるな
院かへ
一主してくるか○わしは大坂のうまれてくる升流
りかく
一スりや六部どのには大坂とかはて扨それはなつかしい
わしも難波のうまれてくる
りかん
一八つ修行じやとの長難波てくるかさりややな我〳〵はなせ
流間へ
りやく
一三そこなたにはいつから修行に
琉ふへ
一廿月わとお古郷を国かけたは一夜あけれは其分おとしし
足かけ三年此土地ていつれ長さまの御ゆつかひそん〳〵
は余国とちかひ御ひへきつよひたろゆへわしらかよふ
形ものにまてやれこれいつて下さるは何と有り
りかく
かたへ事てはくり升ぬか
一廿夕その御屋のきつよひところときゝわし是早ふ下りた
くねかひねかつてよふ〳〵と去年のくれに着たれ
と西長ひかと茂しれされは生れ長ほど難波津
に一かなかれのこなたこなしをたのみいつれ長さまへわし
璃かん
か身をとふぞ御ねめへ申て下まれて
一そりやのかれぬ中の修行者どじお願ひ申て屋里
りや〳〵
堂へかまたわしさへ長ろく〳〵におなと異なひ身上壁は
一ハテ一年て長先へ来て御ひぬきうけたこなたの事ぜひ
琉かん
と長これはたのまにやならぬ
一イやそふいわれてはしかたかなひ出すぎたやつとおし
かりもかへり三とせのおなじみにおねかへ申そふの
卜両人下に居て
お聞の通りいつれ長さまのかれぬ中の此修行じや何
とぞわたへしどうやうに
りふく
一永具御心のき御とり立て越はゝかりながらすみから
すみまて
両人
一ひとへにおねめへ申上升流
卜両人よろしくじぎ有て
琉球
一サかうお願ひ申せ候て大丈夫おならすおみすて被成ぬ
か余国とちがふ当地の御気性自分をあゆどすゆつくり
りふ〳〵
とまる多は粉ても呑たしやり升せ
一袖ふりおふも他生のゑんといかへ出せはに成り升た
錦かん
一何これしきに〇なむせん焚木がなく取つたわへ
卜陰寛かれ枝を上りに立あかる此とき懐より
かん札をはつたりおとす璃堀手着くとり上け
りやく
一や斎かん札は
りふん
一ヤアそれは
ト瑞かん引たへり懐中する
りかく
まさしく今のは黒崎の城中出入水慥にかん札
院かん
一はやこりやア修行者か諸国を廻るおふらへ切に
りか〳〵
一八二ノ十ア
瑞寛
卜思ひ逢時の鐘焚火きへる
一おもてぬはなして夜がふ事たなんと長ふ寝よふで
はごんせぬか
りや〳〵
一いかさま焚火長きへたれは
瑞実
またこれからはくたびれ直し
りふく
一足をのばして
陶宅
一紙のこし
りか〳〵
一寝形からはなしを
端かん
一し升ふかへ
トわきの鐘におろし合かたにて両人思ひ途有て
璃寛は上手の張紙璃徳は下手のはりかみへはへ而
と給ふよりいせんの冠五郎佳利を下り酒によふた
冠五郎
る思ひれにて唄をうたひなから出て来る
一頭に寝酒をのませよふと忍つちらおつちらかひにいつて
ツイ寒ひので帰りし故にみんなのんでしまつたやつきら
こヽめんぼくねへ事をした○
トいゝ段から舞台へ来り
しめと酒をかへにいつた斗り今みちばたでひろし此きれ○
とふところよりにらきのはたを出し
ヨリヤアやく落しにすてたふんどくじやアねへか知らぬ○
下より〳〵見て
やゝコリヤけつから殿にしき籏こいつつア金目領代もの
だてへの
ととろ〳〵になりさらしかね附きあらへの大蜘出て
冠五郎の骸へはつ上るをはらへのけて
豊何だしちぬ○
ト蜘を見て怕りなし
ヤァこいつておそろしい大蜘た○
ト蜘また冠布の骸江は以上る巣をか米儀思ひ金
是なにをしやアかる〳〵○
分はらひのける蜘はあちこちと骸へまとひ段〳〵
巣をかける思ひ途冠五郎からたの自由にならぬ
こなしあり
こへつアおれが骸江巣をかけやアかるか○
ト冠五郎両手にて巣をはらひのける思ひ入れ
よろしく有て
り屋しん〳〵
一ト立すくみに苦しむ見事に返る是々一時に正面
の辻堂よりしらか花くしをさし堂儀さらけの下ケ
かみひろふり袖しごき形にて伺ひ出冠五年を見て
思ひ金時の鐘あつらへの合かたそろ〳〵とひらぶ
だへえ下り爵五郎のふところより件の籏をひき
出す冠五郎心つき
南無蓮を〇
下とりにかゝるを一寸へき廻しはたをひろけ木の
間の光りにすからゝ見様思ひ逢此時左右の紙張
のまとより璃寛璃璃顔を玉と伺ふしうか両人
を見てきつと思ひ金両人はそのまかかへるゝ此うち
冠五郎は骸の蜘の巣をとる思ひ金あつて
あやしへ女め
えしうかにかゝる立廻りて件の籏を冠五郎の
首にまとひぐつとしめころは冠五郎くると
むしらき法と見へこれにて上手紙張をばら〳〵
とやぶり璃寛大百目くろのとでら丸く事素何み
一壱本さしゝにて片足出し見得下手紙をやぶ
り璃珍野ばかまふつさき羽織すあみ大小にて
同にくかた足出し三方一時の見得是にて誠らへ
の僧尾の木成りしらか思ひ逢有て籏をとり冠五
郎をなけのける璃寛璃院伺ひより斎籏へ
手を出来る是より籬をかせに三人だつまりの立廻り
よろしく有てしゞしらかはたを舞台前へとり落
す両人一暗に切てかゝるしうかそのまる辻堂へ上り
印をむすふ両人だち〳〵となる此ときどろ〳〵
かけゑんせうにてしうり消へる是と一時に上手杉の
ころより竹房野ばかまぶつさき羽織すあみ
大小にてこりを長ち出て急度見得璃宅琉球
心附きあたりを伺ひ両方より籏をとろふとする
を竹舞また此中へわつていり弓にてへたて
流両人しうかと思ひ竹舞に切てかゝる是より賜
馬の替てまた三人立り有てよきほとにどろ〳〵
に成りいぜんの蜘あらはれはたをくわへ辻堂へきつ
と思ひ逢此とき大どろ〳〵に成り辻堂家体
つぶしゝにて家根のうへにばくたへ成る大蜘
此上にしうかけいせひのこしらへにて件の籏
を長ち立身みしろの黒幕切ておとて面銀は
りの蜘の巣になるこれにて三人急度思ひ金
三方へわかれて足をふみ出すを木のかしら堀是
目をうこかしし火ゑんをふくしらかにつこりと思ひ入れ
三人是を見込む引はりの見得よろしく大どろ
〳〵魂らへの唱長のにて
ひやらし幕
此幕梅林の道具幕にて台拍子にてつ髪よ
きほとに切て落ひ
三郎
7003
□□□□□□□□
一冊
十月
苗は野の
春狂言
しらぬひま
第壱壱番目弐番目
小堀前太宰府の場
同戸屋の場
同生の松の場
八
当候
玉の
しうか松三
団之介調之介
りそう玉次
春狂言
しらぬひ語
申立足焔目弐幕目
一筑前太宰府の場
同芦屋の場
同生の松の場
彦三郎
竹三郎
男女蔵
七右衛門
廣五郎
岡五郎
うした女
佐十郎
とし
冠五郎
武十郎
同
かし
にし水
小の花
嶋八
同断同
陸寛
一本舞台三間中足白木づくりの額堂向ふすかと彫りの板ばめか
わらひけしのき口鉄あんどう前づら其外共いろ〳〵がぐをかけ
一左右梅ばち紋附の手水鉢梅の立木目不履より同じくつか枝
都て太宰府天満宮社内の道具納録
ト認らへ出の賃毛のに成り向ふより璃寛拝茶せん小
着衣小サ刀庭下駄勘蔵はかま小性にて刀を
長ちしらり若衆かづらふり袖上下いせう大小三方に
まきゑのかゞみの箱をの長竹郎おなどく上下い
せう大小雪之介おなどく上下いせう大小男女蔵ふ
けたるこしらへ上下いせう大小里とうふり袖屋敷
娘の形り花つゝに梅の枝の入しを長ち松三調と介
玉須たま江こし元の形り寛六小の蔵徳蔵嶋八
はかま大小近習の形り茂々三茶道にてつき出て
花道に彫らぶ上手より肩蔵神その形り広五郎
広五郎
一岡五郎上下いせう大小にて出むめひ
一わか君さまには只今御参けへ
三人
一遊はされましたか
珍定
しらか
一春風一度はつすれは清香数里かんはしと実に太
一宰府の神社春知り顔にさかりの梅花
一いろ香長うすきみじく長のとなり町からは原〴〵
とめされて爰へ人来鳥
竹三郎
一おなし返音の御言にほふほとけふ長三年ぶり
雪の介
一男形りさへ白梅のまたふつゝかなつぼみふち
男め
重ねとゑた長河原崎とし茂老等の鶯宿梅
りせら
一たか袖ふれんはつかしきおほり長とふき谷の梅
松三
一木ふり長すくなしたれ梅
調み
一かす長弐成世の年まか梅
玉咲
一やまと山梅うつくしき
玉江
一行束もひろき野路の梅
一酒の楽鹿の弐龍梅
一にほひ長高き好文木
一御茶があつけりや梅の花むねはら一斎まつ盛り
しらか
一わか君さまには神前へ
かか
一扇長一所に
皆〳〵
一まついらせられ升ふ
ト右の次長のにて此人数舞台へ来り弐首へ参せん
しとねをしき是へ璃寛住ふ舞台へ長せんをしき
衆蔵
皆〳〵上下へよろしく居ならび
一殿はまへ申上升る日和茂のとかに今日の御参候へ恐悦にそ
人じ上升流
広五
一御先ふれとして宇壺矢九郎
玉五郎
一荒鉄太刀蔵是迄御出むめへ仕り升て今升
ト三味せん入りの大拍子に成り
瑞寛
一神職としめ両人と馬出退太義未以年正月廿四日家の重宝
花かたのかゞみ当社の神前にさゝげのつとをそらし
武運長久をいのり菊地家の古側
しらか
一則ち花形のかがみ御預りやくは身ふせうなれとも
男女
青柳春之介大せつて守護仕りて厶り升る
まこと菊地の御先祖より筑紫鞘代の御家から民
をふひ是の御いさをしわれ〳〵にいたるまて大けへに
そんじける
竹
一下世話にもふは上をまなぶ下とやらわが君せまれ
御仁情をかんじ候
円
民百性にいたるまで下候をめぐむ御仁徳あらけれかく
太平の御代の春
見
一太刀はさやらはふへろにかたく納家
徳
一天下太平戸さらぬ御代
一かよふなじせつに生れ出流は
嶋川
一同年〳〵計か子孫の貴人栄
茂候
一よつひかふとは五月のぼりのかはり物に見るばかり誠に
ありがたひ事てくに升る
瑞かん
かし〳〵のよろこびまんそくせくせくそれはかく別三太夫か
娘棚か持参なしたるこれな縁梅の一枝はて
りとう
八ツその一枝は奥さまの御ひぞふ遊ば青御庭の一木
天満宮の神前へ差上よとのおふせ御事ら逢てくられてくり
広
農鉄氏御らん領されこれにいろ〳〵奉納の額面あれにく承
男が女をおぶつて居るはかふき上るりにかたり升るお半
国
長右衛門の画面てくらうな
これはしたり何をおふせられ本流あれは左のこれ長ち
広
が鬼女を背おふたこゝろてくる
一左様で寝か手前春束でとかく自からんて見
得升
同
おまちなされこちらに簾唐人が三人酒をのんでゐる
は狐けんをいたし居縁のかな
イヱ〳〵あれは玄徳てらひくわんうが桃園の面々に義
をむすぶ画面てくら升
廣
一左様かな身ともはまた藤八けんのけへこで長いたす
のほとそんじ升た
しらる
一ト此うちしらか額を見る事有て
いつれ長御ちんなされあれにかけ有様額面願そゆき図
冬次郎と印し三る殿さまの御ぜんに臣下の姓名
みを
高具有縁はおそれありいつれ長とりはづしめされ
一心得升た
卜国五郎広五郎件の額をおろす竹三郎思ひ
入れ有之
竹
一御両所持の額面はそれかしが奉納のかく此方へ御わたし
下され
ト受取ふとする
りかへ
一さりやまて文兵郎其方か奏納のかく箱にこめしとは
人被成成様品か矢九郎太刀蔵ひらき見よ
一かしこまわくふり升
竹
アイヤ申箱のうちに畳それがしが天満宮へさゝげ
し願書君の御目にふれるは思れ
りかん
一見せと毛形成儀たしさゐそあらんい誓ひてひらけ
竹
一アイヤモそのそは
しうか
一冬治郎どの君の上意
両人
ひかひさつしやひ
卜岡五郎竹之節をおさへる広五郎額箱を
明る中より短ざくいつる
広
一八ツ箱のうちには一首のたんじやく
しらる
一何首の短冊とは
竹
やく箱のうちへはおれがしが願書をしため奉納せと
りかん
か短冊とかはりしは何れ長もつて出てんかまへらぬ
一春ら介その短冊のこたよむうへは
トしらか取て
しうか
一八ツ前にかけてさかりひつしく見て菊の花長跡なき
ゆきのした草よりやまおひ長なひ冬洛布を入候
手跡の一首
竹
一何その短冊かそれかしか手草とや
璃暁
一短冊是へ
しらか
一八〇
トしらか短冊を長ち行璃堂見て
瑞かん
文に成者之盛りひせしとみ之茶の蔵長あとなきゆき
の下草○冬成兼てさふり久しと見しきくの花足跡な
しらる
きゆきの下草○春之介此うたのこゝろを判談いたせ
一なやそれ少しにこたの心をはん読せよと御意極はと
まするか
陽寛
一それにてとくと判たんいたせ
彦三郎
ト急度といふ此時向ふにて
一わか君しばらく刑部に夫へ参つてうた判たん聞て
くはしやう
卜三味せん入り中の舞ひ向ふより彦兵郎ゑんせん上下
大小にて出て花道へ留る
広
一貴殿は大友刑部どの
同
一只今しこう
皆〳〵
一召連ため
彦三
ゑん
一今日拙者御分家へ御役者に参り帰宅の楚の後わが君自
夫への御参けんと承り跡よりしからいたして心る
一大友刑部太第にてそ有れ共近ふ〳〵
彦三
一しからば御め下され升ふ
下三味せん入り大拍子彦三郎舞台来り真中へ小路ふ
しらか
一宗連とのには今日の御役め
皆〳〵
一御苦分う千万にぞ一じ升流
彦二
青柳氏をはじめ朝倉薩沢雪園其外いつれ長小長
御参候への御供御苦労千万只今あれより見うけ升
れは雷関冬太郎が奉納の額より出たる短冊奇の
心を判談せことのわか君の上意
瑞光
一判談領はんと刑部に言葉ふそそのうたの心は成に
彦三
一八〇只今はんだん仕らん〇
卜短冊をとり
冬かけてさかり久しく見し菊の花長跡なき
ゆきの下草○くゝ此歌はやすからぬユリやわか君を
詞伏のうたでくる
男女
一刑部どの何とおふせらるゝろやその短冊に印せし哥か
雪の
一四か君さまを
ゆる
調ふくとや
竹
彦
一竹此身に取つて御ゆいたか覚へなき事形から何ゆへ
有りて我息さまを調伐とは
一はゝ調伏て有るまいめ出事てさかり久しとよみ出せ
し冬とり毛直さすわか名の冬見し菊のといゑる三の
匂へ茶といふ字をよみいれしは菊地の殿に勇岡のてう
あいあせしからん事を思ひし長のを左にあらねは其
事をいきどふり花長跡なきゆきの下草と茶地の
家のあと堂へてわかゆき岡の下草になし領はん長のと
天満爰へわ成君を調伐せんいのりのうたよしよしよく
竹
は有様まへが
こはなり事なき刑部どのゝ言もふ何ゆへ有てそれ
彦
がしが君を調伏いたすべきや
しら〳〵しき其一言なんどが手せき小なきれなきれなり此
一首たゝし調伏て飢いといふ言事有儀か
行
一女りそれは
壱枚
一てふぶくなりと見極めし此宗通かあやまりか
竹
一サノ折違は
彦
一三里常有縁か
竹
一少々打運は
両人
〳〵〳〵〳〵
彦
一色文口ふちやれな候何と
竹
一八ツ
下平伏する璃寛せいて
りかん
一雪園冬次郎おそれへ出へうやサつゝと出へ
竹
一八ツ八ッ
下急度いふ
一おのれ若ねんの御入物長ちなから何ゆへ有てわれ
をうらみ是まてふちせしおんきをわすれ主を
しゆそなす大罪人天命しらずの人ちくめが
竹
一八ツ御言葉かゑすははゞかりなから調ぶくなりとの
御わたかひ申長恐れ多きけれとわかふつゝかゆへわが君の
御心にたがふ事たび〳〵あれは何とそ神の御かけ
にてふかきあやまちあらざるやう天満神へいのり
の願書箱に納めてさゝげしが此短冊とかわり
しはさつするところそれがしに意趣有る長のゝ
仕わぞならん数代御忍をかふむる御主君天満神
をちかひにたく何そくうらみ奉らん御けんりよ
願ひ奉り升流
国
一只今冬治布申通り御家当代と申うち又多文多大夫
よりして君の旧忍ふかき身か何とてさやうの
事の候へきや
男女
御帰出んのうへ事の実否を御たゞし有りかゝる恐
事を工む長のと長急度御吟味遊ばされ
りと
一冬治郎さまのむしつのつみ御うたがひはらせ逢下
さきほふ
三人
一願はしうぞんじ升塚
りかん
一やゝ無雲の取形し聞みか長たぬ日うつ見知りし
一冬治郎出手せき短冊わかてうあひの失ひて恨むる
よしはとく聞たりお長へば〳〵はにくきわつめ○
幸ひの斎一枝青柳春之介か人非人の冬御郎め
を目通りにてぶちすへひ
しらか
卜梅の枝をしらるの前へ飢げる
一八ツ御意之はふれと此義計かは
りかん
一主入印そむくは
しらか
一まつたく長つて
りかん
一ぶちすへゑ
しらか
卜急度いふ
一八ッ〇
トしらか立て
冬治市どの君の上意主君をのろふ天罪の汝に出て
などゝにかへるかしゆくのしもとから〳〵〳〵何と
骨身にこたへたる
トさん〳〵にうつ
てかん
一ま出かした〳〵モウ能い〳〵
広
茂る
国
一何といつれ長御らうししたか冬御市ものゝ有せま
一大せつなる君を調ふりなしたる罪かあたり
一おなしほふゆふゆふの春之介どのに梅の枝でてうちや
くされ落花は自前犬の足あと
一右同前に四ツはいに成りて手出て茂ならぬるりざまは
九
一武工の風上に長置れぬ詩
一大にりつだにたばてんで長
小の
一言半句のこたへ巻出来ず
一心法具ばへにつくばつたすがし
しらか
一いつれ長の言葉の通りみ代そうおんの意をもろひ
し大罪人まことに是か犬侍
皆〳〵
一古やうて筬八匁に
トあさわらう竹兵郎思ひ入れ
竹
一おの〳〵出たの言葉の通り天命つきたる冬治郎何
目面になからへんいつれ茂さらは
団
下刀へ手をかけるを要之介とめて
一アイや冬治郎切ふくにはおよぶまひさりや貴でん
彦
の仕わざてくるまひ
一ぐまらつへせひ夏之丞かゝるたとか故短冊のせう
こか有るに
廣
一冬治郎どのゝ
一しわざて彫へとは
一その短冊は偽筆でくる
一何此短冊か偽筆とは
雪
一偽筆のせうこ御らんにいれん此額面の年号は
去年の秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋秋
え花つりの水を短冊にかけ
真斎ごとく墨のちりしはき給ふけふしたためた
流偽筆長のせうこ是まつたく冬治郎どの
をつみに取て落せんとかゝるたくみをなすやから
は○イやサかゝるたくみは冬御どのゝわぜで取へ
事は出逢からはく証人お違ゆへせつふくにおよばぬと
男
とゝめましは夏之丞かあやまりては厶り升まい
一いかま夏之丞どのゝ言葉のごとく外に悪事を巻へむ
ものか有るまいとは申され春御帰館のうへしつけん
堂塚鳥山豊後之介どのへおふせ法けられ御せんぎ
彦
有て然べうそんじ候升流
一いちざる事をさはへ立たとへ偏筆の短冊に長
せよその本人の出さるうちはうたがひはれぬ冬
角
治郎ちつとちつして御沙汰をまちやれ
一嘉岩さまへ申上ます何是之長あれ神前へ御参候以上
有てしかるへうぞんじし升様
いかさまお長わぬ事に老んじのひまはれ春之介は
神職長右衛門と迄多からのかゞみ神前へ持参なし
ほうへいねんをいたしてよかろふ
しらり
一かしこまりてくり升
一わか君さまには神前へ
璃霧
かた〳〵こなたへ
だし
一御いりあられ升ふ
一ト唄に成り璃覚先に此人数みな〳〵奥へ真る
竹三郎の二り思ひ入
竹
竹
一は恥かしきわが身のうへ此ほとより君のてうあいうす
きをくやみわせはひをのかれんと天満宮へいのりの願書
何長のゝ仕わざにや君を潤ぶくの短冊とすりかへらき
いゝわけさへ長情なや満座の中てちうちやくの郭見
のし長との此梅花○
下枝をとりあけ
お思へばし
一ト無ねんの思ひれにて奥を見なからたち上り
一持たる枝の花ばら〳〵とちるを見て
落花ふたゝび枝に長とらすどふで此身は○
分枝を舞台へうち付け
三郎
下急度思ひ入れ早き唄に成り竹三郎つへと奥へ
はい様直に奥にて
りとら
一モシ夏之丞さま一寸来て下され升せ
一ト三味せんいり大拍子里とり雪の介の手を引出る
一
是はしたり大せつ飢る御供重きみたら千万たと
私まれよ
りをう
撲の事を早きま衛へてゐ流けれは人目長なと
まりこゝへかけて下さりませひ十部
下童小床木へかけさせ
一妻かういふ所を人か見て長たがひの身めうへこゝはな
して下されいのう
下ゆかふくする
りとら
一アヽモシおやかたのうちも多くの人目けふの御供を幸ひ
によひ首尾あらはとたのしんでゐる。ものをそかや
辺
あなた聞へませぬわいのう
ふ義は御家のきひらひ御法度折を見合せ常めひ
の親〳〵よりいゝ入れてこんいんをするまではかな
らず人目にかゝらぬやう
りとら
廿日そのお言葉はやでくんすぶかういう首尾は
またとくんせぬ一寸来て下さんせひ十ケ
盆
下手をとる
一八ヶ扨きゝ幕のわるひ大せつな御供せきこゝは人
目がしけいと言ふに
トふらきる
りとら
一本に長うしんきな事ては有縁こい十部
勘
卜団の介へ寄り添ふ奥にて
一夏之丞さま壱と違へ御出形された麦之丞さま〳〵〇
一声する両人びつくりわかれ縁間ひやうし候にて
勘蔵出ル
金
夏之丞さまこれに御出被成升たか
八ツ唯今しからみどのから奥方の御伝言を承て居
つためてくる
勘
一御前さまの御車ちかね土やと御国なれ市
安
一かしこまり升た
トゆかふとする
りとら
一間長しゝ一寸末つて下さりまし
千
一八部奥は部奥御用は承知いたして居流わへの
勘
の
一廿匁ちゆつと御出飢され升
円
一御一所に参り升ふ
江大ひやうしりとうとめるをふり切り雪之介勘蔵
つひてはいる奥より広五郎出て
広
一しからみとの是に御出なされたお
一あれたは宇藤矢九郎さま入らるは御くらう千ばん
広
て三理升様
一是は〳〵御あいせつ御苦ろうさまてくり升なと
いわる候所かどふもたまらぬ○
とふべき法かふとして
はらしかやこなたさまに長御苦うらてくり升
一矢九郎壱ま是に御出被成升せ
と行ふとするを留て
広
りとう
広
わユレしがらみとのしはらば〳〵ちとそ二色に折入て
御願み申さにや成らぬ事かくる
一三了わたいへしへ御頼みとおほしやるは
一声のみと申は外で長ござらぬ奢刑部どのか
第御岩太郎どのがそこ長とへしらしん何とぞ身共
にとり長ちくれよとよぎなひたのみ何と聞とゞき
下は下せるまいは
里とら
何事の御頼みかとそんじますれはふつゝかなわたへし
をそのようにおつしやるはおされしうはくにるが
広
不義は前家のかたひ御法度御免船をれて下せり升
はや〳〵其名さへ得心ならは表向よりいゝ入れて岩亭
とのゝす具に奥方何無よひ返事をなされて下
され
りとう
一心にねかひかふり升れは殿御を長ち升事有て
いやでふり升わい十
広
一とのやうなねかひかしらね之男を長法事かふ承知
とはそりやうそ〳〵そんなてんがういわずと長色は
よひ返事はこれよ〳
卜とらへる
一アレモ置法こひぞんじ升ぬわい十部
トふりきり下の方へに事よふとする此近き国五郎
同
出て聞て
一どつてひに出さぬそ〳〵
り
国
一あなたは太刀蔵さまへてんかりなされ本流な
一□やてんがうては飢ひまりおまちなけれさす矢の
との岩太郎どのにたのまれたは貴でんと身ども
それを出らぬき壱人り手からにしよふとは近うろわる
ひおほでくる
広
いかに長身共ひとり手からにしよふとおもひの外ずん
と手ごぜひしがらみどの此上はふたり懸りで参ら
ずは取るまひ
国
一いかさま弐人らがゝりで参らうにてしからみとの戯上
たる長の成申出したる一言われ〳〵両人刀にかけ
て茂得心させねは成らぬ
広
一此場ていろよひ返事
国
一しぶらみぢの
あへ
一なんとて
りとら
卜急度いふ此うちうしろへ男女蔵出て聞てゐる
一堂とへど入ようにおつしやく長此事ばかりは
両人
一ろりやどのやうに申て長
一
男女
一男女いかに長とへ娘か得心で長斎三夫不得心て心流
トまいへ出る
り
一や何あなたはとゝさん
廣
一貴でん朝倉三太夫どの
国
一ろうや此場のよふ春を
のこらずうしろて承ツたコレ大せつ故御供てありな如ら
一是へ参りて自身の遊ひか堂となれ〳〵すことも
り
はやく御せんへ参れ
からこまり升た左様ならはあなた是に
男女、
一八ヶ行事と申に
りとら
りとら
八貫
廣
ト唄成りりとり奥へはいつ
一コレサ三夫どの娘御のしがらみどのへ割つくとびつこれ〳〵
か申事
国
一番長聞すに横喰ぬら何ゆへ有て不承知とは
男
一此三太夫気にいり中さぬ
両へ
一何ら
合かた
男
一わけは大がひ聞ずも長しれて有る色好みの大友岩太郎
女さへ見るとひろ〳〵と武工にあるまへ不行せき御
手前方長おなじやうに娘をとらへて無理人とき
女房にほしくは泰向なかたち粉んて言里深か世上
の法しきそれに何そや無里所望左様なみちしら
すを聟にとる事来り成らぬ此通りたち帰て
廣
岩太郎へつたへさつしやい
一いかに長斎お是むき岩太郎どのへ申聞る何の事た不得
心なら不得心まての事だ道かちごふの法かち思ふ
のと惣方まへりが酒に酔さよふにわれ〳〵たいた
てぞう言くわごん
ひつきう俗合相応のゑんたんと思ひはすそとり棒
いたすわれ〳〵かしんせつあだにする片意地長の
岩太郎どのへ此お長むきを申聞せ
両へ
一此返ほうはかはらねてき法と
男
一男貴ぶんあらば何とき成とも身ど毛が宅へ
あへ
一急度ゆくそよ
男
一ねんにはおよばぬかよふな馬鹿長の小かまは
両人
男
一どふいたしたと
これ御前へ参ろふか
広
卜倶に成り男女蔵奥へはい様
一葛蔵どの
同
一矢九郎どの
広
一まことに手ていまりおひぼれ立て長得心はいたすまへ
国
一一件岩太郎どのは冬后市が妹照答ふ女にしらしん
の所鳥山豊後がせかれあほふ長のゝ丈千代と言なつけ
広
と聞
一その法らあてにアウしからみを女房に長しおふといて
甚しとゆへくどひて見たれと親子と巻に片笠地長の
しかしゝ一たんいか出した武士の言ふ思ふ岩兵郎殿の思案長
くふ
国
一いか母殿さま御帰かんのそのうへで岩太郎どのへ斎
やらす申聞せて何かの手段何は荒野殿の御前へ
広
一しからは一所に
両人
御目道申出候
ト大心やりしに成り両人奥へはいる三味せん入大狗子
に成り上手より彦三郎下手よりしうか伺ひな
彦
ふら出て来り
一春之介とのお
しらか
一宗連とのではなひいとしひ兄上
彦
コレ
一コレ
下寄り添ふ
しら
一ト思ひ入れ替た合かたに成り両人ほとり思ひ逢
一兼て御身に申通りわが又丁礼帳多の沖て菊地
家の為にほろひしとき矢をきにかける浪雪岡多太夫
早く茂斎世を去りたれば折を伺ひ忰冬治郎め討
てすく父のうらみをはらせん所ぜん
身ともとて長さいつころ白木がふちの大亀たひぢの時
第窓太郎と冬浪郎めがあらそひしゝ意こね何れは
しらか
貞行どのへばんげんなし不首尾にさせた冬次郎
一天満宣へ願六の奉伺かれば下部眼介はそれかしに
どうふくゆへひそかにいゝつて短冊の偽筆を
こうらい入皆させつみにとりて落せんと思ひし
に夏よ丞めがいらぜるはからへ奉ののそ長
事ならず
彦
一此上の手段といふは○ヱレ
しらかへさゝやく
一わやそれかしか預りの室のかゞみを押隠し
箱のうちへそれかしが小柄をいれおきわさとせんきの其
きに
彦
かん介めにいゝ付けて冬沼布小多のまれてまつ
斯ふ〳〵とすからひしみ誠としやかに白状せせた
しらが
洛帝に科をぬり夫から跡は身と身と成むね
一あつはれ妙斗何かの事は帰かんの上
一今宵夜詰のおりを見合せ
一拙者が寝間へ御しのび有之
彦
一肌あためて
しらか
たがひのむつ言
下より添ふ
彦
一コレ
ト両人ほとりを見て彦三郎しかを引よせて
ささやく斎見後よろしく大国やらしにて道具衆
一車舞寿台常足の弐重向ふ梅障の銀ふすま上下杉戸出送入り
都て別当書院の道具弐貫しとねの住居ひりとうことえ
一四人近習四人茂兵茶道にて長柄盃台に肴の花婆方
を直し酒宴の見得三味せん入音楽にて道具留る
一御前さまいま一軒め之上られ升ふ
一館のうちと事替り社家の庭成る梅蔵を肴に
此右衛門になひうつさんいたした
茂兵衛
一イヤモの悪老など迄御前せま御せうぢんてほとんど
よい取へさみを仕り升し
ふん
一誠に梅は諸木の名に巻へ盛りの色長また格別
一壱へら壱花の王と申せと梅のかほりは奥ゆかし
ひ長のくくる
小
一しかしゝいへら梅の花がうつくらひとて長
嶋
一御酒が肌へて畳御な人さみになり升ぬ
一御前さまへ申上升る梅の盛台にいたし升て
一ふつゝかながらわたいへし共が
一三腰おりうたの一首ツゝ御てんせ具を御ねかひ申上升る
茂三
女方
一さりやみなさまよひ思召御友へまみにすこしめおまふ
一何とおふれらるゝ梅を題に算して歌をよむとおつ
しやるか左やうならは愚老か一首いたしまふ
一一そやおもしろふ心り升ふ
近習
女か〳〵何と〳〵
)。
一おまちなさへ○壱なきだに梅は喰うと毛種くり
領中に天神寝て岸代〇とはどふて有馬の
人形角〳〵
女形
一何をいりしやんすそひす
皆〳〵
一あたはし
一さけがしひひへい○客ぜんから小性が見へ見へぬへ
茂三
春から介をよべ〳〵
一かし扁り升た
しらか
一下立ふとする下のふすまを明けて
一春之介唯今折れへ
後女ん
一ト真中へ出流
一そちや春之介サヽ近ふ参れ〳〵
一八ツ殿さまには御機嫌よろしく御酒ゑんの御長よふ
し大慶にぞ斗し升る
りふん
ト思ひれにていふ璃寛みて
一春之介見れは其方はつねならぬ顔御き何ぞ
心にかゝる事て長有るかたゝらし気からで長わる
しゝる
りぬん
いのかどふじやし
一八ツ御目立ち下塚上からはつかむにせんなし恐れなが
一殿守殿へやそ成て申上度義が厶り升御近習をはじめ腰元
君をしはらく御次へ
一承知いたしたまむ用事あらは手をうへ其身ど長
は次へ立〳〵
りとう
一古やうなれはお前さま
里かん
一立て〳〵
皆〳〵
一かしこまり升た
りかん
一分壱がくにて衆〳〵上下へはいる
一ほとりの毛の冬とうざけた用事あらばちかふ〳〵
トしらかそばへ寄り
しらか
一御前さまへちと御ねがいかふり升
一あらたまつたねがひといふは
一御いとまがねかひとうくり升
一何と申
しらる
ト諏らへの合かた
一いやしき此身を明ケくれにひとふたならぬ御そらあいを
うけそのお情を仇にならゝ御一とまねめふわたくしが
きうちり御さやし有て唯今より御暇下之おかれ
りかん
なば有りがたふそんじ升る
一今斯まてふかくいつくしむ情をあたにふりすて
て暇をねがふそちが心体子を以が有わら子さへ
しうか
をいゆれ
一八ツ有りかたき御言葉かづならぬ身を御ふべんくわへめり
がにあまる御めぐみ立身出世いたせしをなほらばひのうら
やみそねみ御いには冬治布ごとき長の有て勿評
飢具長君を調伏其長とはといへはわたくしゆへ
御いとま下し給はらば殿殿の御身につゝが長なし
とはいへ是まてへんし長御傍をはなれず御てゝあい
をかふむりし身を仇事に身しかぞきわたいへし
か心のうちのかなしさを御すいりら遊ばされて下さ
連升せ
りかん
一何ゆへかと思へは支ゆへに俄のいちまのねがいかそりや
かなわぬ其身をねだみそしる長の有らば冬御希
しら
をはしめたれに長せよ三なこと〳〵く暇をとらせ
其方はいつまて長よがかたわらをはなす事は
ならぬいとまのねかひ無用じやそよ
くりやどのよふにねかひはり来て長御いとまはおなひ
ませぬか
りかく
一何どして〳〵国家にかへるそちじや長の
しらか
一ろりや古ほどまてわたくしを
しん
一お長わいで何としうかい
しらか
一畳有がとふぞんじ升る
し屡寛しつと手をとりしらかの顔をみて
りふん
一見れは見流ほど
しらか
一御前せま
りめん
かりへゝやつじや十部
広国
トしらるをしつと引よせ此とき奥ばら〳〵音
楽にて広五郎国五郎鐘の箱を巻ち
一囲之介近習四人こと元衆〳〵導出て
一御前せまへ申上升様一大事如おこり升た
一おの〳〵かた一大事とは何事て心得
同
一同されは神前にかぜりたる宝のかゞみかふんじつ
いたして名井
しらか
一そりや宝のみかみがふんじつとや
りふん
一三子手かゝりて馬取るべきせうこにて長有様かなき
廣
かもふじや〳〵
一せうこと申は箱の中に小法めぐ入れてくり升た
りめん
トふす
一その品是へ
広
一八ッ
りかん
ト琉寛小柄を見て
一八二リ此小柄に不覚へ有様いつそやよが参之介にあたしと
小づか
雪の
一了りや其小柄は春之介殿の小まかとや
一やどふしてそれか御鏡の箱のうちにくり升たな
トわせとおとろく此宮竹三郎行ひゐて此とき
つめ〳〵と寄りしらかを引付て
竹
御鏡のとふぞく春之介さいぜんそれかとにちじよ
具をあたへしそのへんほうとうぞくのせつかんにう
〳〵
卜扇にてせん〳〵にうつ
一未て冬浪郎おのれちつきよの爪のを長つて春介
をなせぶつた
竹
一干そ御鏡のとうぐゆへ
たまれ宝のかゞみは春し介の預りこれとわが手
しらり
にぬすみとててぶ小柄をいれ忝ふかたる事長のめ
情なひ冬御希どの宮ぜんの事をいろんに思ひ
それかしゝを罪におとせんといふこなたのたくみかそり
やひきうなぜ武士ららしくうちはたしてうらみ
竹
ははらさぬさつすほところ御鏡はこなたかぬすん
て其科をおれかじにぬり付るたへみて給ふが
なサリ真直に白状おしゆれ
一やう思ひもかけなき其言葉此冬治郎が御鏡をぬす
ミしとは夫には何ぞ悦せ過右様か尼とう聞ん
廿何と
下急度いら此とき下手にて
彦
一そのせうこ是にありきり〳〵あゆめ
下壱かくにて下手より彦三郎七右衛門の中間に
一縄をかけてつれて出て真中へ住候
国の
一や刑部どのか縄如事られしその下部はたとかにこれ
竹
彦
成る冬治郎どのゝ草りとり
一いかに長拙者が家来の眼介何ゆへ有て刑部どの
縄鳶来りしその子細菊神前にて此こ長のあや
しきそぶりかてんゆかずと引とらへこう長んすれは
直様白せうサ今一出り此処て白状いたせ
一一申升とも〳〵かり成海上からは何是か長言て仕舞
升春宝のかゞみは人にたのまれわしがひそかに
ぬ春み升た
しうか
一三号其頼み人は
皆〳〵
一何長のた
も外で長ふり升ぬわうか亡人の冬治布どのにたのまれ
升た
竹
一ヤイがん介そちや血まよつたか何を申それかしか頼み
しなんどことは講方長なきいつわり長の
一そ玉〳〵冬治郎様モのたすからね以頼まれた
事は言まいとは思ひましたがあんまりせんぎが
きびしさに何茂か長白状仕升たあれ程こなた
に頼まれてふくみをぬすんてこなたにわたした
行
一何ら
七
セイヤサお前に盗んてわたしたふぐみう事取て置な
から八宇尾の覚への里縁へ御方廿日かう白状したから
常
各文印をたきて下さり升
一いかに長白状以多した室の盗賊冬洛布にきさま
るかへはそちか命は助けて人れり
一有がとふぞんじ升
壱
竹
一老此上は冬治郎殿んじくが家来か明白の国状の
ぶれは有様まい室の御鏡きり〳〵露へ出してし立へ
一こり情せきつこたがひ宝をうばひしなんそとはな
身に取て法ゆいさゝが長うとう覚へ巻止り升ぬ
しらり
一一やアいめやうにちんじて長げんばい家来お身の白状
国
とて長のかれぬ天のあみ
広
一たたしこなたかぬす升ぬといふ言事心流か
竹
一そのいたけは
彦
一三間常なけれたとうそく
竹
一廿部それは
しらか
一いかわけ有様出
衆〳〵
一サア〳〵〳〵
彦
のかれは有るまひ冬節サり真直に白状しやれ
竹
一堂とへいかやうに中さまへ候長さら〳〵覚はなけれ
江長三兵衛領けれは是非におよばず此場におゐて
そふじや
りはらきろふとする此已前より男女蔵出たり
聞て居て
男女
かりや長し冬治郎どのその切ふ金はかなひ升すまへ
分真中へ出る
りやん
一其方は朝倉太夫とたがひうけし冬御布か切ふり
男
なすを取せ留た
八ツ殿の御兵衛では厶り升れと切腹いたすれは誠の
武士のいたす事大ざい人の冬洛都切腹は相成
ますまひ
一またしてもいらざるとめたて法みにふへした冬治布
切腹するをなせならぬ
男
八そしれた事盗ぞくならばしはりくびことに自
身に向状せざる儀冬治郎それゆへせつふくは瓜後末へ
壱
ととめしたはお達かしがよしやあやまりてはるまひ
重とへ冬治郎お白状せず是家来が白状なと
男
たまくへへよ尾やのかれは心ほまひ
一かや白状がてんがゆかゑそのとが人は身と長に預り
やかたへつれ行き法とせんぎ
一たん白状したわうをあらためて朝倉さまが
身共が預りたちかゑりしつけんの鳥山どのへ相てうし
きつとせんぎそれをとやかくさまたて召後は
かへりて其身のうたがひが
彦
ヤ
一イヤサうたがひかゝりし冬治郎との御前は叶てぬ
広
いつれもひき立て召れ
一心得升た○冬治郎どの立法せへ
一分七りの時計にて広五郎国五郎竹三郎
を引立下手へ真□
一長はや夕陽帰館なせん春之介夏之丞は船越長
きよめの神楽をそふしたち帰れ
しらか
めしこまりてくり升
一大友刑部は申付儀一条あり三夫その条の条の条の長の
は今茂ふれ申付以
皆〳〵
一かしこまりてくり升
男
一左様ござらわか君さま
しら
一御きけんよろしう
りかん
一ゆけ〳〵
三匁〳〵
一八ツ
卜音楽にてしらか雪の介は奥へはいる男め
蔵さきに近習四人七右衛門をひき立てこし元皆
りめん
〳〵付ひて向ふへはいる陪寛彦三郎のこほ
一刑部近ふ
彦
一八〇
下合かし
りめん
彦
一今には何かと心ばいたゞにくきは室のかどみを
らばへ取たる冬后郎め戻かたへ帰りきんごくさせよ
出しこまつてふり升かゝるやん事もくろふかと春介
と申合せこしらい置た縁ぎぶつの御鏡誠の物と心得
うばへしたせけり則誠の御鏡は内陣えめ置と
具ときねんい多してくれは介御落手下せれ
升ふ
一分懐中よりにしきのふくろに入りて鏡を出し
て璃寛にわたす
りふん
一さすがは刑部あつぢれのはたらき出かした〳〵
彦
そのほらひとらせて只今より五百石の加坂を申付るぞ
一ふりや五百石の御加増とや豊有がとふぞ升様
子かん
一長ぶれいたせ
彦
一八ッ〇殿の御帰館
大せひ
ト向ふにて
一八日之
かん
し帰党かゞみを見て
一其方なとは大事のたから採へき長の冬の
下かゝみを見て
彦
家来じや十部
一恐れ入升て厶り升縁
トしきする音かく行れつ三重にて此道具
廻流
一本舞台く間上手石の鳥居下におりまわし石かき上に玉かき
角をみせてかざり向ふ寺社の書割所々石燈籠梅の立木日
覆よりつり枝大雨としにて道具留る
ト合かたにて奥より竹太郎しほ〳〵云して出て
来り思ひ入れ
竹三郎
一思ひませはまわすれはぜんの偽書の短冊といゝ
また候や堂からのふんじつ此身にいさゝか罪なりして
君のふけらをかふむは事是衆刑部奏介かふかき
たくみにきてまつたり其事はちがふとも日う門殿にお長ね
てへつらいよからぬ事のみすゝめ申せはお傍にひせし
う有様からはいか成る事をや仕出せん左阿様ときは
お家の大事幸ひかれめが御供におくれて帰るは天の
あたへ帰るをまちくけらつてすて国家のうれ紙のぞ
きしうへわれ長野の場て切腹せんさりなから御てう
あひの春之介をかひ春ときは跡にのこりし兄弟へ
おたゝりの日流は知れた事いつくなりと人しれず
落しやらん妹てほ音ふは丈千代と言なつ事なれ
はわれ死するとも鳥山親子あらきやうにはは
からふまし落行さきはそのいぜん家につかへと
一村岡真原長門の国多市さきの浦にすむと聞はかし
こをさしておとしてやんいせぬのやうすを妹の
熊葉へ知らせのふみのふみのふみのふみ
ト懐中より手紙を出て
今別当所の硯を出り認めたれと誰れを御かへ
には予何とした長のて有り
一卜思あんの思ひれやはり合かたにて奥より
りとう出て来り
りとら
一あなたは冬治郎さままたお帰り被成升ぬめ
竹
一しからみどのまたこなさま長
一八イわたくしはまアいちど了夏の○イヱサ夏の
日とことかはり春とはいへとまた日三じか天神さま
竹
へ何やかのお願ひてツにおぞう成り升た
一殿春只今御帰館其こし茂早ふ御帰り被成候
一古やうならはわたつは
竹
下ゆかふとする
一りヱレしからみどの丁度幸ひ去れかしは夏の丞どの
に申談様用事あれば何とぞ此壱通御帰りの
のち妹照そふかたへ御とて常被成て下さるまひか
りとら
下手紙を出す
一そりやそのおやすひ御用てくり照葉さまへ御とゝけ
申で厶り升ふ
一かならす蕪にお顔み長ふ春
一こゝろへましき左様殿は冬治郎さま
竹
しからみどの
おさきへ参り升ふ
ト唄成りりとり手紙を長つて向ふへはいる竹方
跡見送り
一弓手紙を照遣ふめたへとゞけ事へれは是にてあん
ど○
卜此とき雨車の音
一幸ひふり来る此春雨うらみかさなる春之介出れか
一帰り冬生の松原くらきを堂よりに小かけ小まち
かけ只ひとうち○
ト刀をぬき折たりりをぬぎねた刃を合せさやへ納め
奉寺へ廻りてたそふだ
下ときのかね早めたる合かた竹三郎はかまの
のかねにて道具まわる
一長ゝ立ちをとりなから向ふへ走りはいるとき
一本舞台曲川中足弐重粟丸太のはしら折廻し本縁わらぶき
家根の角を見せ前へ押出してかぜり左右四ツ目かきに山ぶきに山ぶき
舞台前へ土手板に山ふき竹の黄戸梅の立木都て芦屋
の里の体ときのかね雨車にて道具留る
ト本つりかねのかしら誰らへの両峰の唄に成り能
程に雨車向ふより二役のしうかさら長結ひ候事
けつかりに仕たてた塚かたりの振袖前帯栗下駄
にてりかんいぜんの形り両人蜘蛛の巣と見得
る詠らへの傘をせし出る跡より茂り三附出て
来り花にて
しらる
一春雨に小ほゑる色茂あめ瓜具に
一香長なつからき山ぶきの花
一ふりみふらずみ春雨に高磁のお成たか知らねと長ぬ
るゝをいとふ御有りさま
□かん
一おりより丁度賤の女が情をかりの雨舎り
しらか
一御供申てお長わず茂帰る家どに咲初めし
りめへ
一色香をふくむ山吹の
しらや
一花色ころ長ぬして長なき
りふん
ふり合ふ袖長
しらか
一化生の御ゑん
りめし
一手折すこゝろか
しらる
ト寄り添ふ
一何て給ふとわたしが内へ
りや
一あんないしやれ
一からおこしあそはし升せ○
卜唄に成り両人思ひ逢雨はやんだといふ思ひ逢
にてしらか傘をつぼめるり出ん茂三に長たせろ
といふ思ひ入れしらるはゞかりとこならも有て傘を
茂立にわたしてはづかとそふに帰宅の手を
取り思ひ入れ有て両人舞台へ来りしばらから
と瑞寛を門とけへまたし足早に弐重へ上り花ござら
をしきて
むさくるしうと茂帯〳〵是へ
瑞寛
落候
一然らは内様しやれ
ト璃寛内へはいろふとする
御いれあそばすは余りぶと御事
一天其之御前をまかよふないやしき長のゝ家へ御腰を
りぬ人
一よい多〳〵雨のふ縁のにぬれてはあるかれぬ此家の
のきにはれるをまつのじや
長ら
一た〳〵雨はそうさつはりやみ升た
りめん
一わゝぶすいなやつ雨はやんで長よがぬれ縁は
七日
一ヱ
トしうかへ思ひ入れ
りふん
一すてか置第〳〵〇
も唄の切れにて帰宅弐重へあかり花ごばの上へ
住居辺りを見て
予かやかたと有事かわり下々の家はわひた住居じ
や十郎
しうか
一おはつからうぞんじ升る
りふん
一里のどかわくユリや茶を長し
茂る
一八ツ折悪うお茶ひんの長のが
早渕村
一さりや女それに茶が有ふ早う長と〳〵
一客せんから心附き升たれとお茶わんとて長むさ
りやん
落しき
くるしうない〳〵早う長く
しらか
りめん
ふしこまり升た
ト替た合かたになりしらか大和風呂にかまし
〽犬ひんの茶をくみりかんへ長ち行陰寛取てのら
一このみふげんじやも壱ツ所長り
トしうかまたくんで出すをりかんのんて
思ひ筆照傘の無心そちか羽共の家へ参りけふの御か
れをやすめ過ぶんに思ふぞよ
竹
りめん
しらる
めらかに余る其の御詞有りがらふぞんじ升流
一つみれは茂ゆかゑゆかゑ身て屋茂めくらしの
やうすじやがそちの夫はなへかとふじや〳〵
一御らんの通りのひとり給ひは父母春に先に
身まかりいまた定る夫長なく堂よりない身
てくる升流
にて
一それはちかころふひんな事じやおもわす此家へ
来りしも長ふし義縁といふ長の弔は当国の
しら
り成ん
しらか
領主じやかいまれ言葉がまこ門ならは是より
飲へ同道筝しそはめとならゝ召遣せん
一そんならあれたが菊地の殿さま
いめに長右衛門佐貞行じや
一そゝ思ひ出事ない差上り申世は申ほど女子たり
しの其御生かた
アめん
一くや男たらしのその口名手話の花に手折する
しうか
心はなへかどふじや〳〵
一其の言葉はうれしいかおやかたには奥さま
はしめ多くのおとぎ殊にうつくしひ御小性衆も
巻くせんと聞はふつつかなわたいへしをおなぶり
黒い
あそはすおじやれ事でくり升ふ
一何のなぶろふ大真実そのやうにひげせすと畢
か思ひをはらさせてくりひやひ○
トしつと引寄る此時しらかふところより誹らへ
の守り袋を落すりかんとり上け見て
ユリヤコレたら成
ト目を付流しうか怕り
しらぬ
一アレ長し
りめへ
トちやと取て懐中する
一今のはまらき向杵の切れ
しらか
一工
りかん
一イヤサうすきゑにしにあらずして行末なく
しら
ふびんを加ゑん
一其法言言ふがまことならどふぞ今から
りめん
おわひがらひで何とせう
しらか
一そおうれしうぞんじ升塚
トしつと寄り添ふ
茂候
後かん
一はやあきれた長のた○そみ〳〵御前せまいめに
一あなたか女ずきて長爪〆長と長知れねへ賤の
女をどふしておときに
一工りやそちがかまふた事はないはい
茂く
一それじやと申て
りいへ
一畳屋かへておれ
茂ら
べし
卜思ひ逢
りめん
一ユリヤ女そちが名は何と申
しらか
一八イすがしろと申升春
是
一くらすゞしろ○けふ太宰府の端館路帰御神すゞし
める賤のすゝしろ
一天神さまがむすぶの神
一出雲にあらぬわか国の
一心汰具しの末かけて
りかん
一見すしぬせうこのかためをこゞて
しゝる
一それじやといふく
めん
一八宇初心なやつなき
ト引よせしうかたき付ふとして茂三を見て
しらか
一アレ見てじやわい十部
一□や〳〵ぶすいなやつじや心を通ふせ
茂候
一アノわたくしに
りかん
卜顔を出す
一そむけい
茂候
りよろしくいふ
一アツぜひにおよばぬ
被下の方をむく両人思召金
りめん
一尾
しらか
ししうかをひさのうへえあける
一まはつかしひ
一トしつとたくとうちどろ〳〵成りしうかぼふしん
りめん
する思ひ入れ
一そやすらろどふしやつた
トしらか心付き
しける
一一御はだあらせはたちまちにほふ心なしたは
常しかあなたの懐に
りかへ
一ヤ
一千工サ高位のあなた小賤の女が長つたひなへのてふり
りやん
升ふ
一イや気のちいさひ女じやなり
覚
ト思ひれ時け鐘ばし〳〵とく向ふよりいぜん
の近習四人出て舞台へ来り
一殿是にいらせられ升ため
一羽長おやみになり升たれば
一長はやたそかれ
少の
一御帰館あそばされ
四人
一然塚へうぜんじ下塚
見
ト是にて瑞寛思ひ入れ
一そ直さま帰館いたすて有ろひ○
ト弐重よりおかなから
わりや女けふは何かとあすきやつかひやくぜり言葉も
いへんはなひちかきうちにやからへまねく運ひの
毎よりを待て居やれ
しらる
一ト瓦虎川の外へ出るしら門下口まて送て出て
一有かどふくり升流〇御きげんよろしう
下手を法具
りやん
一お長くをあけい○
しらかの顔をみて
茂候
みれは見るほど
一ヱ
アめん
一たわけ長のめ○
ト申けいにてあたまをうつ
さらはじや
卜唄時の鐘りかん思ひ途有てみな〳〵付て
向ふへはいるしらか跡見送り弐重へ上り上下より
うた介銀十郎爵五郎徳盛如い〳〵思ひ〳〵
女せうぞくのこしらいさゞひのからへ火をとほし
伺ひ出て
歌介
一頭の
四人
一姉御
しより
一アコレ○
一分時のかねすごき合つゝしらか思ひ逢
佐十郎
冠
今のやらすを聞しで給ふ
一アイころでのこらず聞ました折角をつた鯛の魚
一どふで巻にたきが出来遣ふだを
仕直
一むかひの来たので手をむなとく
帰してやつた頭のりうけん
四人
一かてんかゆき升んよ
しうが
一成ほどみなんがいふ通り菊地の殿と知たたゆへ傘
の無心をせいわひに此家へと長なひ色しか事首尾
よくやつてたき付ひたら身うごきならねへ
今のどふよふす貞行かふところに菊地の堂から
の銘鏡をもつてゐるばつかりに蜘蛛の術茂いた
つらにおこのふ事もならねへかい無念なから長見の
かしてひとまつ帰したア貞行
一それてやうすがわかり事
佐
一しめしら物の中に
一匠ひをよこすといへしふらはやかしいへ入こみ仕やうたまへ
一しかし婦法の今のそぶり貞ゆきそのに気のあるよふす
一そりや大名高家に長の日向かくわひ百姓や町人とは
違ひてまんざらにくゝ茂ねひやつさ
佐
一どふて長婦さは
口人
一ぬれ事師たかふ
しらか
一巻よし一号人んなぬれるといやりどふか晩に畳○
じ角の柱へ手をかける家を木のかしら
ばれにやアいゝのふ
下雲を見上り瀬から片手におくれ毛をかき上塚
是をきざみてよろしく
ひやうし幕
下禅のつとめにて法なき引返し
一本舞台三間むかふ黒幕真中ふりよき大樹の松左右丸長の
の松並木貝俵えよりつり枝上下やふ畳都に生の松原の体
ときの鐘にて幕明く
一卜西車時の如ね合かたにて向ふより笠を冠り
武十郎熊かんばん中間にてしうかの紋付き候儀
箱てうちんを長ち跡より乗物壱てり此跡より若
い衆中間笠を冠り団の介の紋付きたるてうちん
越長ち乗物一てう若イ衆の侍中而付き出て
舞台へ来る此上のやふ畳をおしわけ竹三郎
はかま長ゝ立にて伺て書儀刀をぬき武十郎の
持たるてうちんをうち落わ禅の勤に成り武吉
先にみな〳〵ハツト言て乗物をすて逃る竹命
行から
先ののりものゝえ立少に
一主君にお長ねり人をぜんするねいがんじやちのふとき
のくせ長のうちみの刀受とりおろふ
一ト乗物越し候等刀を突こむと此うち武十郎
伺ひ出て下の乗物の戸を明帝しうかを曳し
宮の介
さゝやき合て下手へ小かへれするか馬麓の内にて
一やア斯心なせしか冬婦何ゆへ逢に手をおはせし
そ
ト此二以を聞泊り
竹
一やと古いうは多し出に夏之丞との南無三宝人ちかひ
いま一てうの乗物さそ人非[ニ]め思ひ知れ○
卜せぐりより下のかごの内へ刀を突こむ手すへな
きゆへ戸を明けすかしみておどやき
やう長ちや春や春之介は逃けうせしかばんねんや
十ア○
下雪の介のかこの戸越明る内に団ら介手負ひ
国
の形りにて刀を法ゑに半身出かる竹篇見て
面目取中夏之丞どの御家の仇たる人非へ参之介を
せつがひせんと客せんより爰にまちうけてうちんの
紋を目当てに思ひあやまちかりの仕合
そや実ぜんの意こんより春之介を討ん孝抱人
ちがひ疵はあさひ気をひ乍後な冬治郎どの
竹
一忠義と思ひ仕出労し事も水のあはかゑつて此身の
仇と成りたか春口出しや○
卜此内しらか武十郎伺ひ出て此声をしるべにしうか
刀を思ひて竹幕を一ト刀切り竹舞おどろき
やゝ何者なれはひきりみれんのだ母しうちきつくわい
なりサアじんぜうニせはふなせ○
下禅の動にてしらか武十郎長一ト腰をぬき竹三郎へ
切てかゝる此うち下手より広五郎国節ぬき刀に
て伺ひ出て切てかゝり竹三郎四人を相手に立て
廻りよき見得にて月出て竹太郎しかみな〳〵越にて
一やら物はける青柳春之介それにかだんの悪人と毛重なる
うらみかくこせよ
しかり
一こしやくな一言かん念なせ
宮の介
ト雪の介是を聞て
一人非人の春之介ふかて取ふらも其冬辰布に助太刀取せ
人かくごせよ
卜刀を枝にかこより出る
しうか
一いらざるおのれがに向ひ立ていへれ長ぬかり召せほす
漬
一心得升たくたばつてしまへ
国
何をこしやくな
一江秤の勤に成り団の介よろめをなから刀をぬき
六人立廻り能き見得にて三味せん入り鳴り物に成る
よろしく能きまつかけ月かへれて闇の立廻りときの
かね忍ひ宰にて六人よろしく有てまた月出て
竹舞団斎手負ひながらはじゆしき立廻り此
うち上手より若に衆の中間壱人竹舞の役付の
てうちんと傘下駄を長ち匠ひの心にて出て此辺り
の中へはかりてうちんをきり落され怕りして花
道へ逃げゆく傘々下駄を花道へ落して
向ふへにげてはいる下ゞ竹三郎は広五郎国五郎
両人立廻りあやうく成様しう出雲の介をきり
下る是と一時に上手のやぶより鑓出て竹三郎の
脇ばらをしたゝかに突竹舞八ツトくるとみなから
藪のうちより彦虎着流しく尻をはしおり大小
にて鑓を持ち出流竹節団々介く流しみながら
みな〳〵たち廻りて彦太郎竹三郎のふと長候に随
をつき立るしうか雪之介の刀をふまへてきつと
見得時のかねすごき合かた竹三郎宮の介彦三郎
を見て
竹
一やゝおのれは大友刑部ならず由
一春之介之介之心を合せ御家の仇する人非人
一尽せし度長永のありかゑりておのれら両人の非道
の刃にやみ〳〵と
団
一忠義にこつた流われ〳〵が命をすて深か
両へ
一思へは〳〵口おしひ
彦
一言ふや及ぶ元よりあほうの貞行を猶馬鹿長のに仕立上り
菊地の家を押領する郭戸になる汝等ゆへ罪に取て
落さんと兼て仕込みしこしらいへ事長ゆきそこなかた
しうか
へんほうをうぬか方から仕返しの折に幸ひ此助方
一ふべんや雪岡冬治郎いこん重なる春之介か手におゝり
一嘸中無ねんに長思ふがわれまた汝にうらみ有るゆへわざと
いかりをおこさせて首尾能くやつたはかり事様子い
ち〳〵物かたらん所せん行べきめいどのたひア世て又
の多事へ三や郎にくわしゝと聞せよ○
卜団之介を音返し候真中の石へ腰をかけ急度見
得識らへの合かた
我おまことの又と言はいつそやはかしの沖におゐて菊地秀
行か軍配にて汝か父たる多太夫が矢先にかゝりしといこて
の海そり丁礼といふものいつぞや鐘かみつきにて又の
霊こんのつげに去り初めて知りたる父のかたき討て
くらみを晴らはんと思ひとも菊地秀行多太夫長門と長
此世にあらねはせんかたなく血すじの長の小作なはん
と思ふに幸ひ菊池のちせくし森門の佐衆道のれんぼに
われをひき上け立身出せのてうにほこりふ行せき越する
めこみ忠義を立するやつばらは忍び〳〵にざんばんぶんけ
なし此月となへしが太宰府へ奉納取せし願書の額面
調伏の短冊とひそかに入替けふ社内にて貞行出言ふに
まかせてちうちやく長父かうらみをはらさん為また
夏之丞とそれがしか帰りみちを其ほりか未ちうけるとせ
つせしゆへ下部にいゝ付兼てうちんをすりかゑはせし
ばつかりにうんの望なは夏之丞われにかけつてあへ
なひさいごしさいといふは此通り何とき茂やつぶ
れだ
一われ長兄たる宗隣が宗国をの野みしゆへ舟岡川
のかつせんにうらきりなして功を立しゝに其かひなく
宗隣か所領は菊地の手に入りわれ菊地の家来の
ごとく長門の国にてわつかの知行あておこなれその
無ねん春之助ところを合せ菊地一家をうち亡し築前
豊後はいふに及ばず九州いちゑん中国まで弐人が
領知になせんずくわだて
一いま酒等をうちと余は菊地を云ほす門出の血まつり
彦
心うれしや
両人
よろこはしや十部
竹
玄
下急度思ひ金竹三郎安之助無ねんの思ひ入れ
一了聞は聞ほとそら思ろしきたくみのいち〳〵とく
に長号それと知るならはしよふ是よふ長有べきに
一御家の大事長見届す悪人ばらの手にかゝり命
をすつるか冬浪郎どの
竹
一夏之丞どのお長へは〳〵
両人
一口おしひ
しら
一ヤアその手に成りていらざるたまたる
彦
一いくらじたばたひろひで茂足腰立ぬふふんなやつら
しら
一此世のいとまとらせてくりう
竹
一堂とへ源手は負ふたれど長
円
一めいとのみやげなんじら両人
両人
一せめてひと大刀
常
たまつてくたずれ
ト彦三郎竹三郎へつき立し鑓をひきぬく
竹節よろほひながらしらかへ切て行雪之助
〽同どく彦三郎へ切てゆく其刀をうちおとも
彦三郎刀を取て雷之助をきり下塚しらか竹太中
しらか
をきり下げて
一又尊霊のまとまさはおんてき雪国冬治布をうち
とりざまを御らん有てしゆらの無念をはらさせ給へ
え竹爺へのり懸りとゝめをせすときのかね
ばら〳〵上手ゟいぜんの七右衛門いきを切てお申
来り此体をみて
七右衛門
一刑部せ母春之助さまこれにお出被成升たか
おぬしは春ね平どふして爰まてにげて来た
七
一されはるり三太夫め成引立て屋か堂へ帰り一ト家の
うちへつなぶれて居たをよふ〳〵縄をひき切て
広
逃けて来ました三干冬沼郎どのは
一昼のいろんをうらみに梓て春之助及候間違ひて
国
夏之丞に手をおわせるところ
一われ〳〵はじめ刑部とのが助太刀して夏み丞の
長そはつゑに
しらか
一冬治郎めをうち取て日ころのうらみ我はらしたまへ
一七そいつは首尾より参り升たな目左衛門から主人を
見かきりあなたがたへ一味のかん介長から下郎か
身分をよろしく
彦
一寺長ひいたすな大望成就の其上は取立遣す奉公初め
申付儀一義あり
七
一三苧焚入御用は
一筆岩太郎か執心の冬治郎か妹照兵兵ふ忠義顔に
巻くならて
七
一分七右衛門にささやき
一心得升た御さしづ通り譬ふどの今宵のうちにつれ出
しほふ
荒鉄今壺の両人は屋かたへ帰りて此場のやうす冬
治郎おろふぜきにて夏之丞をせつがひせし越身共が
かけつ事うち取りし候言葉をたくみに訴へ召連
両人
一心得升た
しらか
一青ね平そちは身共よりさまへ帰りて何かの斗ひコレ
分させやく
武十
一心得失た
廣
一国然らは御両所
七
一刑部壱両
彦
一かならすと長にぬかり召さるな
両人
一合てんた
下餘のかねにて広五郎国五郎氏十郎七右衛門
彦
上手へはいる
一両人か館へいせいのやうす訴へな畳けん使の長の来る
しらる
ひつせりそれかし此場にのこり事の次第に計ひ申さん
一それがしはやかたへ帰り此場のあらまし貞行どの
彦
へ言葉をたくみに言上なさん
一表門はけんしのこんせつ道をちかへてうら門より
しらか
一心得升た
卜身二しらへする向ふにて人音するゆへ両人さゝ
やき合彦三郎は上手しう成は下手へ小かくれする
時のかね合かたにて向ふより弐やくの陽寛やつ
し旅形りわらしすけ笠とにてうちんを長ち
二やく
かん
出て来り
一今夜は其の何時か知らんさつき附めて道が如何様
久とふりて菊地の御やしきをお尋手申のて道かさ
つばりしれない○
ト此外の事を言ながら舞台へ来り竹太郎の
吹かへの死かへに当つけ拘りしてすかと見て
ヤユリヤコレ人か○
候此うち彦三郎伺ひ出て璃寛の持たる
てうちんをうち落すりふん怕り思ひ逢しうか斎うち
さぐり〳〵花道へ行を里かん春出し見て
とふやらあやしい○
ト花道を見え後彦三郎ぬきかける陽宅留弥しらる
花みちにて小石をひろひつぶてにうつりめんすげ
笠にて更塚彦太郎ぬきかけし刀をしやんと納る
双方一時に木のかしら
あぶない事だ
してうちんをさかす心にてほとりをさぐる彦三郎
向ふを見るひつばり是をきざら雨事時のかね
にてよろしく
ひやらし幕
しら
卜幕の引付けし六助にしうか花道にい長ん中間が
すて置ひたる傘と下駄をさくり見て思ひ逢
一またふり出す来雨に丁度幸ひ下駄傘夜ふけぬ
うちにそれ〳〵
日しらか下駄をはき傘をひらきかつく時のかね
忍ひ三重の長よふ雨車にてしらゆら〳〵と向ふへ
はいる僧毛のうち上ケ止〆の木にて
みやきり
六月
当風丑の
春槙吉
一しらぬむ部二
第壱番目三幕目
鳥山屋鋪の場
画の
三月狂言
しらぬひむ
一市兵留目三兵衛目
鳥山屋鋪の場
蟷螂
利兵衛
団五郎
廣五郎
やまと
朝次郎
幅堀
彦三郎
本舞台三間か間に常足の弐貫向ふへ向げ床の間三尺の地袋棚
かけ長の料紙硯箱なと書割よりしく此下きら形の不審
上の方折廻シせうじ家許此まへに月に一鳥院画の法笠下の方
日窓のつきし板羽目あけ幕幕壱間のかぶ木門都て鳥山
屋鋪の評爰にやまと朝次郎家中二之元の形りにて
多は粉盆のそうじしをしてゐる唄にて幕明具
朝十郎
申合かたしらへに成り
一さレ小笹どのまたお上のお噂すよふなかな世にこちの
若旦那しみに代さまはあのよふなおろからひおうゆれ
てあらふぞい十ケ
やまと
一壱いのふ親旦那豊後さまの御玄つめいに引かゑて長ふ
朝
やまと
十七におなり被成候に乳母や〳〵と秋い条どのを明て
もちくれて長おしたひ被成らんとおなさいお子長とうぜん
したふおすき故事は別な長の事おろかしいお心に
舞やつがみのお上手さかほどのお知慮かある成らは
と思ふほとなをおとしいわい給ふ
右千代さま長おいとしいがまたおいとしいは冬洛中
さまのお妹御照荅ふさまおせなひときより犬千代様
の出兵衛事て有たれどあの通りのおうまれゆへおよ
むかひ長殿いうちに冬郎さまのはかなひ御寒いご
貴それ〳〵くわといわけしらねどの御家に有ては
わまへからしてその夜の内に照察さ母力松さままで
とも〳〵にこしめがお供をなしてやしきをぬけりけて
朝
とこへ御出被成候やらいまたにお行ゑしれぬけいのら
さぞやなれぬ猿路にてかんなんなさねて有ふぞへなつ
やまと
一ほんにおいとしひ事じや嘉十郎
りかく
ト此とき奥にて
一信濃の国の住人麻はどの御内に
やま
頼
アリお声は犬千代壱匁
一またおきうげんかはじまつたそふな
ト握らへの合かたに成り奥より璃屋若居かづら
はかまふり袖壱本せしほそき竹のさき竹のをきへかぞ
りに付けしゝ侍ゑぼしを付け是を長ち
りや〳〵
初三
和三郎おなし候具着尻かづら嘉母壱本さら
にて両へ麻生の狂言をしながら出て来り
元孝六といふ下布かその宿城とすれてはやと毛のを
して行けに長さあり〇やよかり長そうよの
下よつらず有之
やまと
風
これは和子さまには麻生のおはいこて厶り升成
一於長しろい卒て今升つねこひ十部
一御かしまそち車長本長しついかおれ長前長しつい小文治哲右
長おもしろいかな
和三
一おもしろふ五り升
一一さり〳〵これからは小文治おとち壱人らでやつて見せひ
トゑほし越和三郎にわたす
和
一ヘイわふへし壱人りていたし升るてくり升る
りふ〳〵
一アメン共おれはこれで見物するめい〳〵はじめい〳〵
和
トこれにて和舞ゑぼしを長ち
一信濃か国の住人麻生の御内に藤六といふ下石か主の
宿をわすれてはやし長のをして行けに長さあら
やよがり長そうよの
一ト是をりふく見なから拍子をとり余ねん解
りや〳〵
思ひ入れ
一アノお長しろい〳〵其ウいつへんせい
一夜八ツ〇麻生どのゝ御内に藤六といふ下郎か主の宿を
わすれてはやし毛のおして行常に長そうよの
やよかり長そうよの
りや〳〵
一長うつへんせい
一船工またてふり升るか歳として長同之事モのおゆ
流し下さり升せ
一や〳〵おれかいやに成に成まで何べん長せい〳〵
一さやうならはちとこし元店におさせ被成升せい
一かや〳〵とふしてわたつ共におやうげんが出来来玉ふ
一やはりそれは小文治どのかよろうふらうふる
一野かきいふいたせ〳〵
和
一とふそ御ゆへし下せり升せ
りや〳〵
かや〳〵舞ふて見せねはいやじや〳〵
ゆま
貞
え帰屋足するをして思ひいれ
一コレ小文治どのまた和子さ母かおむつかりあそはす
一早ふおきうげんを歳升はな
下唄に成り向ふよりりかん着なめしやしき
乳母のこしらぬにて出て来る跡より若い
衆の中間白木の台へ札守をのせ長土出て
来り
りかく
一廿に早ふせねはおれやいやじや〳〵
一どふそおゆるし下さり升せ
候此うち帰宅ふだへ来り札守りをとる中間
はしかゝりへはいる
一和子さま竹今長どり升てくり升る
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
論かへ
やまと
卜瑞寛にすがり付く
我身はどこへいつたのじやそいの
けふはみまちにくり本流ゆへいつくしまの弁天さま
を御うつち申せし妙音院へ和子さまの御ぶんかけ
に参り升た○見れは大ぶ御きげんのわるへよふす
じやが○ユうやどふぞ被成升たのかいな
一廿これは今まて小又治殿とおきやうげん蔵し所
頼
一小文治どのいやじやといふてそれからおむづめり
両へ
一遊はしたじやわいのう
一わて乳母小夕浪かいふ事を聞ぬてい十郎
端寛
一それはにくひやつてくり升○コレ小文様あれほど
和
こしかいゝ付置になせお相手をせぬのじやそいの
一お相手はするければ同しきやうげんを何べん長する
のじやゆへ
瑞寛
一一よりや何べんなりと長お手をしたかよいのに何
ぞといふといやのおふのとお笹立にわがまゝばかりあ
なたをそちは何とお長ふ大牛〳〵のおけせまじ
やその御そのおつしやる事をそむくといふが有源長の
かいそう
卜陽寛和三郎をしかる里かくおなしよふに
そむくといふか有流長のかいのう
ほんにそふでふり升塚土い十ア
ほんにそふて厶り升流わい十部
湯方
ト顔見合せ
錦松
一等にし
一秋篠どのて和子さまの
おはらい顔か出升たこいます
そのきけんか直りまたら乳母がよい長のあげふる
一下帯の間より服洲につかみし幸ひ扇を出し
ユレ御ららし升セあなたにあまふ○とぞんじ此
よふな舞台扇をとつてさんじ升たわい十
りかく
下りかくに遣るりかくひらき見て
一そこりや赤か画じやうれしひ〳〵
一下レわたくらにおくせ被成牛の由
一イヤ〳〵そちに冬みせぬ〳〵
和
一夜一寸お見せ被成升七合
じてぬ〳〵和言郎むりにとつむりしとに扇の
親羽様はなれる
りや〳〵
ヤコリヤ扇のおやほねかはなれ升た
一大事のみ羽の骨越はならたおりやゑ女じや〳〵
後かん
階ふん
和
り女〳〵
下璃寛扇をとり思ひ逢有之
そにりやのりばなれかしましたのじや今に乳母が
はなれぬよふによりかゞつて蒙升ふコレ小文法
なせ此よふなわるさばかりしやるそいの
千又そ引やわし出したのではくり升ぬ和子て厶り
イや〳〵小夕浪おそちじや〳〵
一か工〳〵おままさまじや〳〵
これはこれはし光たりどふした長のじやそなたかそふ
をして置て〇十〇
トのみこませ
和子さまのせいにしくにつくいやつじや今にみよ
大きなきうをすへてやほそ
わか〳〵
一五〇
下輪りにして
房寛
おれはきうはかんにんしてくれよ
一文あれたではふり升ぬ小文治めすへてやけ升
黒く
一そんならおれではないやうれしい〳〵
瑞宝
一ユレこれへ来て和子さまへ御免ん被成下せとおわびをしや
和
一疵それじやといふて
帰宅見
分和三郎共ね様思ひ入達
一わか中はやふおわびをしやらぬか
一下隠寛和三郎へ目てしらせる是にて和太郎
のみこみ
和三
一和子さま真平御免ん被成升せ
卜和三郎手を付てあやま様
り如く
一やイ〳〵あやまつた〳〵
瑞寛
分ゑぼらゝを和三郎のかほさきへ出して去や春
和三郎むつらするを瑞寛工と思ひ金有之
一其のよふにおてびをいたしますからせり御里うけん
嘉平せ右
トおもひ入れ有之
にて小文治此お札を床のるへ直して置きや
船
一かしまり升た
下和郎札をうけとり立阿かるを瑞堀留有之
りふく
一其札はおれにくりやいの
帰宅
り又これは弁天さまのおなり札お長ちにしては勿体
和
ない事でふりま下添コレ小文治早ふ奥へ長つて行やいのう
一心得共之
り出〳〵
臣和太郎瑞屋をふりはらひお札を長ち奥へはいる
一□これ小文治またぬかいのう○
卜立上り
やかる
遣るまいぞ〳〵
臣合かたにて琉球きやうげんに思ひ金にて奥へ
追加市はへ
あふないまたあらそふかいかふかいて見て下
され
宿
やま
かし取り升た
与両人奥へ真添跡見送り璃寛くぶんの舞扇の
瑞寛
ほねのとれしをみて
一そふ冬己まちに目二つよりしんじんをなす城下の
弁天さまへ参りし長がより和子へ三郎事にとつて来た
上代長やうの舞扇わづか引合ふ其はづみに此おや春の
はなれしは和子の御身かわか子の上に毛しや虫事
有様知らせではあるまいかり心にかゝる事じやなる
ト孫かん心にかゝる思ひればた〳〵に成り向ふ
よりはかま大小着しゆの待
一八ツ申上下儀〇唯今御本城より御夜使として宇森矢九郎
壱匁荒鉄壱籠壱匁御入りて厶り升此よし旦那壱両へ
申上げ下さり升せ
一心得升た
一トレ御案内申そら
一ト條引かへしてはいる瑞かん思ひれ有之
一折毛おり候て御本城よりにわかの御上使御入来は長し
女扇の○
とほねのはなれしを立て思ひ途有て
天鶴亀〳〵
下気をとり直之候
ドン御上使のお長むき旦那さまへ申上升ふ
下唄に成り端覧おふぎを巻ち思ひ途有て奥へ
はいるこれにて床の上塚になる
〽浪世に長乱をわすれぬ武者小路智勇のほまれ
鳥山が見義と野かく玄関前宇桑矢九郎蓑鉄太蔵
上意をこうに入り来れば龍川小文治出迎ひ
卜此うち中の舞ひになり向ふより金五郎五五郎
上下大小にて出来り是と一所に和舞出て来り
能き所へ詫ひ
一これ懸〳〵御上使貴母には御くろう千万まつ〳〵是
両人
へお通り下さり升ふ
一役目なれは未かり通る
かたひちはつくせう座に通り
卜両人平舞台へ来り上手へ従ひ
広
三そ豊後とのには在宿召さるか
和
一和八ツいかに長在宿御かまつり升る
一何ゆへ書むかいめされぬのだ
同
一斉誰今御出迎ひ仕様で厶り升ふ
われ〳〵は則殿もおなどゝ事
堂とへ執桧職に号せよ殿の上意を蒙て上使に立し
早㙒く出雨かい有べきを顔出しせぬ是は上への
矢れ以
広
一とて〳〵是へ出むかわれよ
国
奥へいつていわつせい
〽いか津が母々ゝ金のゝしれは一下間うちに声有之
下奥にて
一まはや気霊後之助役者只今それへ参居てくらふ○
〽刀かた手に豊後之助禮義みたせずたち出てはるか
ばつ座小手をつめへ
一卜奥より彦三郎継上下一本さし刀をさ希出て
来り下手にひかへ
一是丑〳〵は今麗あら鉄の御両所に畳上使の御役目
御くらう千万
〽上使をうやまう保忠か武蔵にのまれて俄のついせり
広
下広五郎五五郎顔見合せ思ひ逢有之
イヤこれは〳〵豊後どのおとりつきて長事を
同
一執権職の御自身に於受召せるは御苦ちらしごく
いふをうちけらん
彦
はやさはやさにあらずたと名某梅権職に長あれ御両所
は殿の上使に立れられしからは則ち殿も同じ
両人
事こやまい申は臣下のれ以義
一はやこれはいたみ入りて心様
〽志津へいかゑしとに両人かばちひんあたまをからばかり
彦
豊後之助はいぎをあらため
一三テ御上使のお長むきは
広
いふに矢九郎せきをすゝみ
一イヤ上使のおもむき余の義にあらず○
ト認らへの合かたはりおふきの音に成り
兼而わか君貞行公御しんじんあらせらるはいつく嶋の
弁天へ御参けいあらんため明か博多の三なみより乾坤丸
にて御出舟それにつき一家中の若殿ばらのこり
なく召つれ給ひかの宮しまの籾でんにて武術
はきみの為と有て得長の〳〵のしやいをいたさせ
武器のほとを心み給てんすなわち殿のおほと召貴殿
の御子そく犬千代どの長今年重しか拾七と成芸をお立
同
事み被成様かさかり夫内へ出候を仰せ付ら様候は御用意
有之然るべしく意と申はかくの通り
一今宇森氏のゑんぜつ有りししは則ち上意のお長むきな
れと承れは御子息の犬千代どのはおらまれ付き御病
身ともあまへは未たあまひとやらからいとやら一家中
のうわさとり〳〵つひに壱度人中へ出られた事のなひ
御よふ春かよふ申せは御子息をさみするやうににたれ
ど長はれがま〳〵き今度のしやいおくれて長とらる候
よきは親御の名まて長事かすといふ毛のユリや御病
気をいゝたてにお供に御出被成ぬかまづ大丈夫と申
同
長のではくらぬか矢九郎どの
一何さまたてんのいわるくとふりころばぬさきの御ゑと
やらひらにお供を船されぬか御身水お為と申上の
殊に家中のたれかれ長武芸すくれと其内に長
一大友刑部有のゝ第た深岩太郎とのなぞは春に聞た
早わざ手さら
廣
彦三郎
一かの人なぞと立おふならたひとたまりも心得まひと
かくお出し被成ぬが上分別てくちら
〽さみする言葉を耳に長かけずそらうそふひて
居たりしがゑしん具つろげ豊後之介
一御染切なるかた〳〵の御懸けん親の身にとり何ほどか
忝くはそんずれども申さ冬はれな武げいのしやいる
ふて長なひ今度のおと長よしやせかれの犬千代めが
病寺て未かりあらうともおしゝてもお供いたせ申
上意のおむき豊後之助かしこまり奉り奉ると御うけの
段盤御両所より殿へ言上書いたし召連
肉
一あんにそういのへんとうに宇斎藤殿顔見合也
一イヤ再知り候は承長の名から人なみならぬ
一御子息を多くの中へ出しはしをかゝすは親
御の無じひ
彦
一だまり召され
廣
一御子息ふぶんおぼし召付付て御供置ひらに御しかい
と成いわれ〳〵よら故に言上野を
彦
一だまり召れい
一八そかれこれとさみなすと毛人のうわさは七十五日
彦
たまれ
広
一此義は得と御石案あつて
国
一其上御文替が
両人
一ようくらう
一だまれ〳〵だぬらつせい○
豊後之助こゑあらゝげ
身ふせりなれとも当家の執権鳥山豊後之介保忠
か所そん有にておうけ申をおのれらごとき小なら
りふやまた此上に長口出しなせば上使とはいわせぬぞ
〽せしきをかゑて居直れはまたこまり茂せず両人は
慶
一サツ其御立飯は御尤なからかよふ申長御子息の御身の
おためをそんするゆへ
国
一コリやほふゆふのよしみと中長のひらに弐人りが
両人
一おとゝめ申
彦
一ヤアまし〳〵申か慮外長のめがさり中小文治かれる弐人か
を追出しやれ
和
〽いふに亦文治下飛て出て
一かしこまつてふり升春の
〽取んのよふじや長荒鉄す麁かくひすどくつと引とらへ
卜和篇両人の首すこしを上らへて土から法よ
の思ひ入れ
ヤアおのれらか役目をよそにしてふれ以過言のうつむと
めら客前おら此うで出出しとふてならなんじ御ゆる
し出た上からハ目に長のみす家かくこなせ
〽弐人りをちらに置き立門ゟ外へつき出せば
一分和郎両人を川より外へつき出し
広
一うぬちよこざい肌すてつちめ
同
一そのふんにはいたさぬ物
〽ぬほう一度にに文治がうでくびとれはふりはらひ其
一まゝ大地へ御てんどう
和
一やアとつと此場を帰れはよしゝうち〳〵飢せは小文治
か覚の手里うりくわそふる
〽刀の物へ手をおくれは手弁におそれ両人は
卜広五郎国五郎起上り和三郎を見て怕り
広
なし花道へ行
一アヽヱレ〳〵さりとはたん気取たれ長帰らぬとは
いわぬ者さいぜんからのふ地走でわれらかき長
国
月はひやし長の
一また其上に長り替の太刀のうをとは大きん長門
両人
一かならす御ちそう下せ流水○
〽砂うち払ひゆきかけしが
とはいふものゝ
ト立文様と
和
御手料里御馳走申遣ふる
廣
一かや其御ちそうは
両人
和田
一たへた長同ぜん
〽門殿尾をまへて犬せむらひ我〳〵として立帰る
一卜慶五郎五五郎思ひ逢有之向ふへさいる
一一一一一一一巻一十一じや十ア
〽講を見送る小文治に是後之助は戻りしばし手
をこまぬひていたりしが
一おろかな生れの忰をははれのしやいへ出せよと殿の
上意をかうに着てわれに土じよくをあたふる所ぞん
一是に付けて茂一家多す冬治郎かひがらな死長
ませししくきやつみがなせるわさ思ひはにへきねい人
和
とも此土流工ミのくらをかくには不念也なから長
せかれが命を
一工
彦
一卜思ひ金太郎是にかまわず
一主君の為木はかゑられぬ天
〽思ひわひつゝ立せる日かけ茂くび長かたちきてむねは
しあんのくれ近き一間のうちへぞ
下彦三郎よろしく思案の思ひ逢三重にて此
どふぐぶん廻す
一本舞常足の出雲四百通しの家件大和葺本様附きまふ
一上丞間鹿の間下手銀せりの襖上手の方跡へ下布壱間の
せうじ家体下の方けんにんじかき石とうろう四ツ四御目かき顔と
よやしく舞台前に泊らへの石の手相拝下草の大手板
都て奥座しきの体三重にて道具とまる
一卜家体を舞台前へ押出し
〽入棚の鐘に灯と号す奥の間に乳母を相手に犬に代
加智恵長麻生の太郎冠者けいこの声ぞやせしけれ
一卜此うち家件の伊予すだれ巻ある内にたんけいを
とぼたし上手に瑞定大名の思ひれ下手にりかく
りめん
孝六の思ひ入れにてひかへ居る能きところに帰らへ
のつゝみ箱の上に九せある両へ狂言言葉にて
一イヤ藤六何とあしたの繁附是とふとた長のてあらふべし
一まづ下郎句小袖をめし給ふ
りかん
一三そまた中には
りかく
一紅梅がよふくり升ふ
かか
一上には何かよかろふぞ
一のしめをめさつしやれたがよふくり升ふ
じ璃寛思ひ逢有之
共これはよふ出来升た今の藤六のきやうげん音ふなく
乳母はかなひ升ぬまり〳〵こちの和子さま〳〵
〽ほむれば犬千代られに
エレ乳母おれと小文治とは立ちら成上手だぞ
声りや申せぬとて長あなたが幸どく厶り升君の
一其おれが上手出手出うれしい〳〵
りかん
〽余ねんなき顔秋篠辺うらめらしそふにうち詠め
卜陽寛里かくを見て思ひ途有之
一すきこそ物の上手とは其毛よふいふた事じや十ア〇
ト認らへの合かし
武芸は是是とより手習ぶる春ん何壱りお覚被成ぬ
和子さま出すきのみちとてお隣の能きやうげんのけい
こを聞しせんにお覚へ被成しゆへ御しなんを願ひし所
一をおらへは十をしる其はつめに引かゑて外の事
はおせな子どうぜん是う十七に長なり給へは人なみ
〳〵であるなら誰れあらふ御家の桃権鳥山さまの
御土ゆりとゆへにて此よふなゑ月とし越めし事
トいぜんのゑぼしてをとり上げ思ひ金有之
上にたのしめ下には白合着は何がうつり出よ成ろう
はへかよかろと色上りにきらをおざりて御出仕ある
ばづ何をいふに長おろかしいにもの宿をわすれたる
藤六下郎におとらぬおうまれいつかいつまて
りやく
此よふて前をおとさずふり助ておそたて申此乳母
か年も似合ぬよそ外の利はつなお子を見る度に心の
うちのかなしさ□どのやうにまりあろふそいのら
〽悔みなげ今是余所事に
一第に長さありや女よかり毛そうよの〳〵
〽ゑぼしゝを持て舞ひ遊ふわかそがそて子のおつかにいと
しき末さる秋しのがわか名のあわれ身にして肌三
彦三郎
しにくるゝ折からに
一ト此五句のうち瑠璃いぜんのゑぼしを附違竹
越長右衛門遊ひゐる孫かんよろしく思ひ逢有之
一や部犬千代はいつれに有る
りふ〳〵
一八ッ御前に候
ト狂言をばじいう
〽何に付けて長きやうげんの打のふすまをおしひらき
立出様豊後之助元ゟ乳母は瀬みたおかくし
ト此うち奥より彦三郎出て来り帰かん思ひ建
有之
りかん
一是は旦那さまて止り升るかはりちらし升た所へ
彦
卜あたりを片付けるを
一アニシかまやんな〳〵○舟もおさなきなき子どうやうな忰
黒
か守りてさぞほつとしやるてあらう
一イヱ〳〵とふいたし升て此さろはいふおせきまへが
出来升たサアちやつと御あいせつを被成升せ
り成〳〵
一卜瑞寛斎うち袖を引出し名儀琉球思ひ逢有之
一ひよろ〳〵とつばい哥やろのかひ
りめん
一是はしたり何をおつしやり升すそい十部
彦
目顔てしかれは
一まかや〳〵そのまゝにせい〳〵〇
卜思ひ入れ有之
りめん
イヤ何秋しの干トせかれ犬千代に申聞せにやならぬ義
があるしばししの間其方は次の間へ立てくりやれ
何かよふすははそんじ有せねどうつゝ穴わい長なひ和子
に
彦
一廿八匁ねはならぬ一大事
里かん
一同
彦
一イやサ大事ない事じやゆへしばらくそちは次の間へ
一かし二まり升て厶り升流
りや〳〵
下立あめる
一乳母一所にゆかふ君のう
卜するを
りふん
アリや〳〵お前せまにはおとゝせまの御用がくり升れ
はこゝに御出被成升の乳母はちよと奥へいて
参り升れはおとなしうおまち被成升せや○
臣陽程かぜん〳〵をする
のようお聞事被成升た書○
卜思ひ途気をかへて
古やりなれは旦那老母
彦
一秋篠
り出ん
一前次へ未いり升流でくり升流
り如く
一アイ〳〵〇
〽何心なくさし寄て
ユレおまゑはたれじや工
彦
一そちが父じやわい
一一こゝうそはづかりいふ人じやちゝは乳母に有る君のら
一てそのおろかしい心ゆへけふにつかまるそちが命
留されがし出申事心にとめてよく聞よ○
下認らへの合かたに成り
武士たるものは一命を主君へさゝ幾奉りいつ何とき
のかれりなく死なねは成らぬか家来のやくめそれ
ゆへそち長おもの為に今宵死なばならぬぞよ
たらせぬ瀬からわが家之助け置多き長の餘れと
左あるときにはねい人と長ぶさんげんのわなにかゝり
豊後之助かじめつばかりう法以には出家のがひとなる
まつたそちをころすときにはねい人ざすやをおし
こめて万歳うとふおもの御為また弐りには親の
為なりや戦場うち死より去るがに増つたさいごそや
いま又お手に堂津月とに逢んな死をとける
ばれ豊後か忰よとほめらるゝやうかくごせよ
りや〳〵
彦
〽いひ聞すれはけどん顔
一分璃理がてん行ぬ思れ入れにて
何じや死ぬじや死ぬじやへ死ぬとふするじやいのり
山へわが親さへ長君へねば死婦といふもしら
一ぬはべわりやおちか首をうつのじや君のう
りか〳〵
八里首をうつとは
彦
トあさまを手て打て
あたまこつきりするのゆへ
太なさけないうまれしや十郎
〽しとなひわが子にうちうなつぎ
彦
コリや〳〵死浪といふはそちがすきの舞ひをまふ
りめ〳〵
めじやわい
一見死ぬるとは舞ひをまふのかそんならまふ死人へ
彦
一ま死てめいどへいつてみよ寂光浄土の舞台に
て歌舞の弁の舞かなでかかやうびんがのはやしもの
イヤお長しろひ事じやわい
〽たまとすかせば
りや〳〵
一そういふお長しくい所なら行わいわいの〳〵
りふく
一て早ふ死たなし
一い覚ごじや今又が死なしてや今又が死なしてや今又が死なし
彦
一そふひんなから長〇せひに及ぬ
〽口に称号目になみた刀すらりとぬきはなせは犬
千代ひつくりとひ給ひて
一卜彦三郎思ひ入れ有て刀をぬ具を見て琉球
ひつくりなし
りかく
一アレ乳母こわいわひのうゆ
〽いふ声聞て秋口篠畳一間のうちをか茸出て
一ト奥よりわかん走り出て彦三郎を留め
てかん
一まう〳〵まつて下せり升せ
一□や乳母ころさにやならぬ留るな〳〵
イヱ〳〵是が留ずにおられ升ふか○
〽刀長つ手にすかりつき
まア〳〵待て下さり升せ何のしさゐかぞんじ
升ぬが此うつゝなひ和子さまを手うちにせうとは
とうよく取わけを聞せて下さり升せ
一一身をさと泣兼てうちうらめば豊後之助
毛目をしば多き
じ璃かん琉球をかこひ彦三郎につめ寄る彦太郎
彦
思ひ入れ有之
一産の親に毛増さつたそちにしせゐ毛咄さ其ころ
そふとせしむとくしんそのくらみは尤暫ら子細
をいわば得心すまじとわざと一ト間をとふせしが
いま冬何をつつむべきとがなきわか子を親の手で
ころさにや成らぬ其節常先生こく殿の上使として
心よからぬ宇壺荒鉄けんゐをこうに入来り明る
一殿いつくし母弁才天へ御参候以御供畳家中の若長の
どはかの拝でんにて武げいをこゝろむはれの立合
其場へたらわぬ犬千代をはし出せとの御上意はね以
人と長がすゝむるわさいなむときにはたちまちに
上意をそむくといゝ立てわれをおしこめ法みなせん
あせとき工みと知たゆへ其せる工みのからをかき
おうけ申て帰せしはふべんなから長犬千代か首
をうつて持参なし君にかんげん申上事ねい人
と号をいち〳〵にとりふしくべきわかりおちが瓜けき
は思ひやれと御家の大事にはかへかだし爰のどうりを
聞わけどふぞ忰か命をくりやれ
〽声を尽したる堂後豊後か詞なんといらへも泪にくれ
さしうつむいて居たりしおよふ〳〵と顔をあけ
一卜両人よろしく思ひれ璃瑠はいせんのゑぼし
つゝみなそを長ち遊ひにしてよねんなくあせひ
瑞定
ゐる璃寛兵を見て
一段〳〵のこと由幕を承れは御花御家のお為に死ぬる
のは盛の身にとり何ほとかめう成に叶ふた事
なれどかせアレ御らん被成升せいまころさる候事さん
長わきまへ知らぬおろかのお心何をおしへ申て長お
覚へ歳ぬ其内にこのむ道とてふしきに長汰かみ
うつ事まふ事は人なみ〳〵に長すくれて御覚へ
わか身材相手によねんなく今のいままて舞か
なで和子がすきゆへ此乳母長いつし出覚し舞の
一ト手せめて此世の名残り等は支な代せまにうちは
やさせ乳母成ひと手をめいとのせんべつしはししの内
のいとまかひどふぞお慈悲に旦那さま御中よ成
て下せり升せ
〽思ひいつたる有壱母に豊後之助長面をやはら事
一ト瑞寛よろしく思ひ金にていら彦三郎こなと有て
彦
一今にはじめぬそちが窓心斎あろかしき忰を童十七
年が其間よふいくなせしゝからにめてねかひに
珍かん
まかせゆうよなせん心のこりつなひよふにいとまこ
ひしたおよひ
一一ありやお聞とゝ事下さり升か工事有かとふせんど
升流
りふく
一洞なからにふしおかみ傍には和子のかんせなく
一ユリや乳母おりやモウねむふ成たわいのう
りかん
りかく
一そそふてふり升ふ〳〵長おねむ事の御くじぶんど
れ〳〵乳母が目覚しに舞ひをまふておめにかけん
一そんならまふ舞ふてみせや
一ゑんはう〳〵只今舞てお目におんん
りしはしのゆうよはなは長のゝ過刻いたせはわが
名のちじよく
一すたくは則ち和子の命たちまふ舞此世の名ごり
うたひのきりが血死ごにてうたねは成らぬ此
つゝみに
りめん
一うきを上ツ地の乳母か身は
彦
一しん余からむ
馬かへ
こゝろのしらべ
彦
ゆるかぬように
りかん
一工
ヱ
彦
一名二里をおしみゆれ
〽刀をはやに保忠は心の奥へ登入りに希り秋篠跡を
見送りつゝ其まは和子をいたきよせ
ト彦三郎思ひれ有て奥へはいる璃寛講見
りふん
送り璃玉を引よせ
一コレ和子さまひよん殿事になつたわい十部○
下だき入思ひ入れ有て
今又上のおつしやつた事和子のみゝには入深まへ
かおその為親の為にこなたは死なねはならぬ喜聞
〽いへとも何のわきまへなふ
りかく
一貴おりやさつきから死たいのじや早ふ死してくれやひ
一万五俵郎毛なひ事おつしやり升せ死ぬると
りや〳〵
命かくつ升ぬぞ
あらは給ふて毛乳母さへおればおれはなんても
いらぬ君のう
りめん
ため〳〵
子をどふまるこれがころされふぞいのう
ユレ乳母そち長一所に死でた巻いのう
其死升ふとも〳〵和子せま跡になからへおかまふ
一そんならそち長一所に死るかさらうれしひ〳〵
生す死後茂なんの事ゆらわきまへしらぬお屋に
何をいふて茂せんなひ事しよふ長よふ毛なひ君の事
そ逢ほとまでに此乳母をおしたひ被成るそたて
〽しよふもよふも中げきの今なりにうたふうたふうたひ
の声
ト下座にてうたひに成る
〽いつ縁そ名残り三日の内〳〵都の面にいそぶん
其部くたひはおとなりの御師匠をまの御筆支へ
おけいこいつほそ名残三日の月初四この面にいそぶん
とは折も折とて此身のつどうら殊には和子
のすきな玉とりあれを名残りにそふじや〳〵〇
とかたへのつゝみ手にとりあり
長しゝ和子せま御まおとなりのお師匠をまて海士
のうたひがはしまり升たれはあれに合して
りや〳〵
つゝみをおうち被成升せ乳母が舞をまひ升り
多く貴おれかすき瓜玉とりか合点じや〳〵
ト瑞寛法之をわたし
一瞬刻たつらは夢うちに此世の名ごりし涙の浦
トシ玉とりをまひ升ふか
〽旦舞升ふとかへ立はつゝみしらべて犬千代が
何のよふ春も知らばこそ藤かうつゝかうち
みやすあどなき姿見縁に法事いとゝなしきは
いやまさりなみた玉瓜は玉とりのその故事を
ぞ立舞ける
ト此うち隠球は法ゝみをしらべ為縁論定思
瑞寛
ひ入れ有てうたひにて
うたひ
一海士のかる藻にすむ虫にあらねどこれから論ら
袂か南
ト鵄屋さゝみをうち隔かんよろしく有之
酒を袖にてぬくひ
いかなる過去のいんくそにや父上さまはいふにおよばず
〽おすきと成し母上壱匁長菊池の出家で二となひ
御利教どちらににて長人并の御きまやうには
なるべきを似て長につかぬおろかなお生れそれ
ゆへにさそふのしぎ覚ごはそれときわめて長
十七年が其間手しほにかけしそたて子かや
着〳〵
かん
とふまアりかれられふぞ以十部
〽名銭おしさとはかなさにしはしはしはしはし
みかだれお長てずわつとふししづめば何んのがん
せ長殿具声に友千代乳母は背なでさすり
一ト孫寛わつとなくりかくすかりながら
コレ乳母なんでそなたは泣のじやそいの
一サア是が泣すにおられ給ふ
一そなたか泣となれ長泣とり飢るを以のう
目をすりなから泣けれは乳母は心をとり直し
一工もふ何で乳母が泣計ふもふ〳〵泣はしせぬ
ぞへ有〳〵まふおきけんをお直し被成乳母は泣
はしませぬぞ
りか〳〵
一イヤ〳〵泣ぬといへど乳母か自からそれ〳〵泪たか
こぼれ流わいのう
りかん
りかく
かん
一なんのまや消じやふり升ぬ○貴お逢〳〵さかや
目から雨かふるので厶り升ふ等しみ
泪だ隠して秋篠かわろふ心ぞせつなけれ
一そちがわらへはおれ長笑ふはらし
一貴和子のきげんが直に升たらはまの跡を舞遣ふ
調じかへして釈しけれが立上りて長さとかぬる
扇ひきとり犬千代が
哉璃宣扇を長ち立上りうれ以の思ひ途にて
扇を遣しうたひをうたふとらてこなし
りかくつゝみを下におきりかんの肩をとりは
やしなから
りや〳〵
一くつたらやろな〳〵
ト扇を見せ立分出す
一りヱレ〳〵其肩分のふては舞ふ事かなり升
黒く
りかん
ぬわいのちやつと下はり升せ
一音まてくれ扇をやろな
一ト上手へゆき扉をみせびらかすりかん傍へゆき
一サア下せり升せ
下手を出す
りめ〳〵
一あめんへい
候べつかつかうをする
りふん
一豊毛何を被成升遣ひのら
一肩を上れは犬千代か傍なる法かみとりあまて
ひやらしせりしくうちならし
トりかん肩をとり上流りかて直につゝみをとつ
てうちならし
りめ〳〵
一サリ〳〵早ふ舞ぬかいのう
せかみ立られぜひ瓜具長
トりめんこれにて肩をかまへるしやんと見得
りかくはつゝみを下に置ほうゆへをついて
立てゐる僧長のはとなりの候以この心にて
下座へたる
一東流にて此まゝにわかれ去て彫ん崩しせよ〇
卜思ひ入れ有之
りめ〳〵
此うへ願ふは神仏一命にてお願ひ申せん
じり成ん思ひ逢璃屋また扇をとり
一南無処志渡寺のふん音薩蝶水ちからを食せ
たび給へ
トやはり下座の僧長のにて瑞堀舞ふ陽窓
これを聞思ひ逢有之
一そそふじや神や佛の真心をあけれみ給ふ毛の
ならは此秋御条が命をたち和子か心のおろかしさ
心願のうしゆ殿さしめ給へ
を正しくならしてたひ給へ南無いつくしま弁才天
〽一やふらんにかつせうなしく天女をいの儀後なり角を
かけし目をおとふ和子をひきの事扇ヲ遣らして
立あ成り
ト此内りかくりかんのことろよりいろ〳〵思ひ逢
有て下が扇にて目をかくす早めん其まに
引捨け扇をとつて居直る瑠璃ははら
ばいに成りほらず人を御き画面の見得下座の
僧ものに成る璃寛思ひ入れ有之
りかん
一かねて工みし事なれは持たるとり直と乳
の下をかつけり玉をこめ
ト此内瑞定思ひ建有て懐剣をぬきなし
乳の下へつき立流
〽わつ無声秋しのが其まらどふとたおほれば犬千代
一は只ころ〳〵は手おひのあたにを立めべる音に
おとろく豊後之助小文治はじめ走り出て
下りかくねりなしてふねひ居る是にて奥
より彦三郎和三郎出て来り
ヤアコリや母人には何ゆへ有りて此ありさま
一等ゝにじがひ船せしはしさんそらん三テ〳〵
和
やふちはいかに〳〵
一ユレ心をたしかに持りしやれ
りぬん
〽かひほうすれば秋篠は苦しきいきをほつとつき
一帯此秋篠山命をすくしは大事の〳〵和子の為
彦
一何といへる
りかん
ト説らへの竹笛入り合かたになり
一改めいふにはおよはねど何のいんくわか和子さまは
御そまれたちよりおろかしく五ツに成らは智
恵つかふか十うに成らはわきまへ長出よふ物かと年
月をまつかい長十七年三ツ子長おなし心にてすき
のみちとて明くれに能よ謡よつゝみよと此秋篠
を友たちかなんぞのよふにおぼしめらしあとなひ心
を苦にやんておはて成し悪せまの御りんぢら
の折まて長能〳〵おけにかゝれはさそわらはを
めしてくれ〳〵長犬千代の事頼むぞとくり薫し
たる御ゆへごん前に御家の為じやとて和子をあなた
の手におけせせどふなからへて居られ升ふとて
一長死べき命ならわか身はこゝに終るにてたましへ
は犬千代せまのかけ身にそふてみやしまそくたち
合ひ給ふ其時にあつばれ勝をとらするなら今
まておろかよたて市よと後ろゆびをされたはじ
をきよむる其うへに手にかけ給ふに及ぶまどと
心に思ひつめしゆへ弁才天にきせひをおけ此身を
神のに名とならし和子がおろかのたまらいを立恥に
正しくなし武勇も智恵長世の人に勝後はよふにな
さん長のとそれゆへ死ぬる秋篠が心のうちのせつなさ
を御すへりう被成て下さり升せ
〽せぐり苦し羊も長のがたり聞に豊後毛目をしはたゝき
彦
じ陰寛よろしく思ひ逢有ていふ
一等に一命捨て犬千代を人となせんす誓ちが心て以
かたでけないぞやさりなから生れたちよりおろか
なる忰何とて正しくならんにあたらせいご
をさせしよなり
り成ん
〽いふに秋篠顔ふりあけ
マイヤ〳〵此身を神めにへ取て思ひこん堂後一念
りきやわかとふせで置へきか○
〽つきくらぬきし懐剣に長ろ手を加けてひとゑぐり
さとほとばらす血汐をはあり合ふゑほとにこけ
とめて
とりめん懐剣にてゑくり血しほをゑぼしに
うけて
一ユレ小文治一心こりしわか血しほ和子に一ト口のませて
一
くりやれ
和
心得升た
いふより早く小文治がゑほしの血汐友千代にむくに
一ト口の母すれはらんとばかりに長んぜつなは是は
とおとろく金豊後之助乳母はきねんにかみせぬ立ち
りかん
一ト此うち夕ゆの通りよろしく有て
一南無いつくしま弁才天大願成就飢せしめ給へ〳〵
〽長の夜わらしく秋篠お天女をいの縁折こそあれ本城
より出事来る迎への下部が椽遠きより
分ばた〳〵に成り向ふより三がへのねちきり
○
奴弐人り出け来る直に舞台へ来り
長はや殿様小畳御舟ちこくいたせし犬千代どの
△
一引立て来れ候上よりいひ付候
両人
和
一両人お立ちやれ
〽小うてを取て引立つれはむつくと起て犬千代が
一弐人りを壱度に取て飢事夢のさめた様有せまに
ト婿人かわかくを引た後俄薄うすどろ〳〵
にて琉球両人を左右へ帰事急度見得
や和子さまお気成つき升
一ふゝわれにかゑりしく鳥山犬に代何ものなれはふれはふれい
の手むかいすせりおらう
〽すさりやつと呼はれば
一ヤア宇壺荒鉄御両所の得せうけて参りしわれ〳〵
手向ひ船さばよふしやたないそ
〽また長や下部か引たつまをふり拂てしんの当にう
うんとばかりに両人は長んせつうつてたおれふす
彦
じまた両人かゝ縁をたち廻りて下手へやり一時に
あてるこれにて下のかたへ両人見事にかへる
彦三郎是を見て
一やとつねにかけりし忰かはたらき
半かへ
一扨は天女のかこ有りとか干そ忝ひ
り女〳〵
一老乳母よふ死てくれた十部
〽乳母にひましといたきつきひたんにくれていたけり去る
今長んせつなしたるうちうつゝのことく天女の
法げにおことか忠義はよく知たり斎丈千代の
おろかを苦にやみ命をすてゝの立顔は世に有かた
き心せし神明のうじゆのしほしには心きりやうも
常とかけりいとすこやかにおぼゆるぞやめいどのみやけ
に犬千代かうけ法金はからの月とを見よ
〽あたり見廻し様先き成様みか米石の手水陣
寄るよみ見得しがこぶしをかため矢声を出声を出け
ててうと打ば石はかしとかけちつたり保忠
お長わず横手うち
壱人
一ト此文句の通りよろしく珠屋石の手水件
をうちかく彦三郎是を見て
一こゝをおどろき入たる殿んじがりきりやう是ぞ乳女
が一ねんに天女のかこと覚へたり武術のほど長さこそ
ならん○
〽なげしにかけたる鑓這とりりう〳〵はつとと
しき御門
一与彦三郎殿暮らしの鑓をとりよろしくしごいて
今それおじがつきかくる此鑓をうけて見よ
〽むなせき目かけつきかくるを有合ふ扇ててうと
くけ
りかく
一おふせにまかせ親人御免
〽鑓はね返し身がまへなせばまた長やくり出す
一穂さきをは上段下段下段にうけ流し
一ト大小入りの端りものに成り彦篇は鉄璃屋は
一扇にて両人よろしく鑓の立廻り有て
〽飛鳥のごときはたらきに保忠やりをおらりしと
船遣す之
彦
花
一ぼん術ならぬ舞のあしらいかゝる手運んの有る
うへはしやひ取す。長腸はひつぜうこゝあつばれ〳〵
一手れんほむる保忠に乳母は苦痛をうちわすれ
少し有かたむ舟なや其事なげを見る上は和子に
心はのこらねと一ツのまよひえてか悴思ひはもいぜん
親骨のはなれし肩はかくな嫁しらせいまより
しては君之子医はおそ大事に奉公なし
父母そなた三人のうけたるお恩を身参りにかならず
忠義をわする故
和
気づかひ有る子母どや人われ長こなたの気をう
けつぎ見事大義をたて升る
りめん
一それきく上は此母が長はや思ひ置事ならす
こし長早く此世を去りめいとに心流奥さまに
和子のおはなし長ふしあけ月めるるゝのがたのし
みぞや
〽月めらるゝかたのしみと口にはいへと心には荷残
おしさのかづまさるやしない君とうみの子を右と
左りに引よせてはなれがたなき風情なり
彦
保忠心さつしやり
ト此うち隣宅瑞屋和三郎をそばへ引寄せ
よろしく思ひ途彦三郎も土なし有之
一女に未年の承様汝が義心わか子に長また其心をなら
とせん為これよりは犬千代といふ名をあらためて
秋しのゝ一字をとり秋作照忠兵名の産すべし
またそちかせかれ小文治は乳兄弟ゆへ行すへ足
それかしあしく冬ははからうまどし是を斎世の思ひ
出にみらいはまよふ事名かれ
一見残流かたなき御免へみうれしう成仏い上し木塚
〽いふきさへ毛四苦八苦
りかく
長はやちかつく此身の血死期
一今きれはつる玉水緒に其玉とりのひとせしを
彦
一此世の名残り所堂いたす
申めん
一聞より手負ひはにつことうちゑみ
其和子の相手のし納めに一せしまふてめいどへ
行人○
ト璃寛苦法りのお長ひ入れにて居住ひ越直と
あら有かたの御経やな
奴弐人
ト下座にて舞ひ水間長のに成る此時いせん
の奴こゝろつつき
一ふくご
分彦節りかくにか成るを立廻りて引とらへて
此うちりかん立かねる思ひ逢和太郎かいほう
飢てよふ〳〵立上り肩をさしてまふ事
有りて
彦二郎
一今此きうの徳用にて
りめ〳〵
天龍八郎
一龍女成仏○アリ是が此世の
奴弐人
うぬ
一トはねかゑす両人を立廻りてあけるこれと
前にりめん苦法うの思ひ入れよろしく有りて
どふと成る双方一時に木のかしら下座にて大ぜへ
うわひ
〽仏法はん昌の霊地と成る此孝養と承る
下段きりのうたひ吸物入りにてりかん扇をせし
たま御落入流みな〳〵うれ石の思ひれよろく
ひやらしも幕
浪の音にて
法なき直に
引返春
八
十月
一、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、〇〇
あはうしの
生事狂言
同五帯目
しらぬひ弾
第壱足替目四幕目
厳嶋廻廓の場
肥前国土嶋川の場
しらぬひ弾四
当ひ
しうか隣寛
春狂言
しらぬむつ
一第壱番目四幕目
厳島廻邸の場
隣寛
りかく
奥山
広五郎
十五郎
かつ六
とく飛
小の程
約八
冠五郎
茂兵衛
武十郎
とく松
男母蔵
彦三郎
本舞台三間中足弐重かはら家根向ふ廻廊前於長之に御簾
をかけ申上下腰はめのきつねふらし出はいり舞台壱面小鳥き
一置舞台左右蔵みち法事除迄朱ぬり高らん雨落しより
浪板東西桟敷側うちかゑて廻廊の家根鉄炮籠乗
正面前かく同じく船み手すり大鳥居の笠木を出し都て
一厳しま廻廊の位し上手に広五郎前幕の
形り下手に男女残弐幕目の形りにて大帳硯をひめへ
左右に小の蔵常作麻上下大小にてひかへ奥ふ御かみ立
若衆かづら扇衣をはね長ゝ立たすきにてしなへを長古
鈴八谷平両人しなへにて仕合の見得浪の音白はやし
にて幕明く
ト奥山両人と立廻り有之両人うちすへ流候
しま
一岩太郎どのゝ御手のうち
吉平
一われ〳〵まことに
両人
奥三
一おそれ入てくり升流
一イや左ほとに長折無にひつきやうときのはり合と言ふ
ものいつれ長出ならすうらみばと思はへしくやるなしか
し長はや一家中に相手なるべき人はなひさすき
は今日の仕合すいへの手からはかく申大雨忠太郎
てくる
一分たすきをとりて能きく右衛門へ住ふ
広五郎
一岩太郎どの目丁へ御手れんと参申ながら
岡五郎
一暑中て今日ははれのた合ひ御手からのほど
一墨くおんしんしんいたしてくる
一中に長いちのはれ勝負と申は岩太郎どのと殿御気
に入りの青柳寿し助両人鑓のしやひ双方と長しや
大
見長のてくりし
一是は朝倉氏をはじめおの〳〵のお言葉ふいたみ入る
男女
下男女蔵帳面をみて
大
一長はや是にて一家中大はんせうぶ長行届き市れ
は今日の仕合是まてて思ふ
一ありや長はや仕合は是迄と彫たぞ今両三人しつかり
といました相手かがほらひ長の〇そ思ひ出した今日
の立合に残りし長のは朝倉太夫との貴でんと一分手
わか
男め
せうぶいたそふ
一是は岩太郎殿のお詞と長覚へず今日の仕合は若侍
のめん〳〵武術はけみ水為の立合拙者は豊長はや
奥山
老体の事此義はひらに御免ん下せれ
一イヤ〳〵其義は相成申せぬすは合戦の時にいたれ
広五
は老若のじや別は五郎ぬ
一岩太郎どのゝおふせらるか通り今日是へ出仕のめん〳〵
一たとへ老すへたれ是とて貴久様壱人の了申義
はくるまひ
国五郎
一殊に相手は当時御家中に梅権たる山とのをせし置
ひて童かたを取らぶる長のなき大友刑部どのゝ御弟
ふの
一相手にとりて不足は有縁まい
常
一ぜひとも此場て立合召連
奥
一イヤ〳〵おの〳〵待りしやれ無夫どのは相手の身共
男
かふ足ゆへそれて立合召れぬので心流
一アイヤ申今日左様ではくらねと号
大
一イや〳〵そふた〳〵盃と申せうこがくる只今申て
聞せり三太夫との是へ出さつしやい
男
一ト三味せん入り音楽に成り男女蔵前へ出る
一岩太郎どの身共をよび出しめされたは何年で
ぐる
雨
一三夫どの覚へかくろふ先達て太峰府へ殿自行に
御参けいのみぎり是なる宇蔵荒鉄の両人を長門
てたでんの娘しからみを身共成妻に申うけ度むね
申入れた時何といわれた岩太郎は人でなしの
男
人非人聟にとる事は不承知たと申たて取へか
夫ゆへ今か長相手に成るが受く有ろふ
折りや貴でんのいわるか通りおし付事わざの嫁入
せんさく聟にと余のは不承知と申が今日の立合の
相手不足とは得中さぬ
雨
一不足て飢具は此所で立合たうへ身共か仕合ひに腰た
ならはいやおふなしにしからみは身共かさいに申る哉則
男
一是又いかな縁邊の義はかりは親の身と毛が自由
は相成らぬ
大
一然らはゑんぐみの義はと長如くも此所にて立合ひ
召せつか
男
一夫じやとにて老体の三太
一仕合ひをいなむは君の上意をそむく長同前
同
一せひともち此場て立合ひ召れ
男
一廿貫文は
「
一上意をそむくか
男
一廿部それは
亥
一国立合ひ召せるか
男
一廿一貫壱貫
皆〳〵
一サア〳〵〳〵〳〵
奥山
一へんとううちれな候何んと
瑞屋
卜斎とき桜かゝりにて
一いつれ長しはらく其御相手是に有り鳥山豊後之助
が忰同名秋作照忠たゝ今参上仕様
皆〳〵
一何と
卜三昧せん入天中の舞ひ向ふより璃珍前幕の
形り上下いせり大小にて出て花道よき所へ留風
此時正面の御簾上縁真中に瑞寛小屋衣遣しぬき
少サ刀にて襖の上に住居上手に彦三郎前参
の形ノ上下大小にしうかふり袖上下いせう奈にし
歌へ後ろに勘蔵はかま小性松三調之助五治
彦兵衛
和三郎こしえにてひかへ給る
一其方は忰秋作只今出仕いたせしか
陽寛
一くり共其方出多病なりとうわさ有りして豊後之助が
せかれ犬千代か
りや〳〵
一八ツそれがし幼年より病ひにおかされ出仕とて長
一仕らずよふ〳〵本服管せし折から今日の立合に
出仕いたせよとの有かたきげん命則秋作と改名なし
て只今出仕土刻の段は幾重に長真平御免ん
下せれ遣ふ
一八里くりやお手前が聞及ぶ鳥山の御子野太夫に代り
改名形して秋作とな
瑞寛
一念太郎出幸ひ仕合ひの相手自通りゆるすをふ〳〵
しらか
一秋作どの器のおゆるとかふむる上はゑんによにおよ
ばずいそひて是へ
男
一八ツ有がたき御言葉然らは御免ん下せり升ふ
一ト僧長のにて舞台へ来り下のかたに伝ふ
一聞及ぶ鳥山の御子息友千代とのそんじの外なるすこ
属かる出立祝着小ぞんずる
りや〳〵
一コレハ〳〵御あいたつ前打逢入り升てくり升流
一何とみなせん御ちうじ申せ御家のしつけん鳥山けん鳥山さへ
の御子息とて
調の介
一との御ふりなら長のこしかつこふ
玉流
一今御てりあいの青柳さまに長
和
一まけすおとらず上下出立
勘蔵
一御手れんのほと長サそんそ
五人
一御すいりう申上升様
広
一いつれ長方長知りての通り是まで多病の犬千代もの
同
一よふ〳〵今日本飯して折角出仕召連た上右衛門
一仕合ひの相手はたれあろらふちほこつたま岩太郎どの
嶋は
一勝負の月とは心元なひ
谷
一夫よりいつそ御めんを願ひ
常
立合すに仕舞ふの如
皆〳〵
彦
大
一かゑつて其身の為てくちう
一おの〳〵の言葉の通り屋なから相手に取て不足なき
岩太郎どのよしやおくれをとれはとていさゝか長ちじよ
具成らず君のげん命下りし上は御くらうながら
岩太郎とのせかれめと御立合ひ下され
一おふめまで長五郎ぬわが君の上意何しに誓れがも
いはへくらう
一ゆうよいたせばいそひでたちゆへ
男
一つれもしなへ長たつしやひ
両人
一八〇
しらる
一御両所と長にし多くあれ以
りめ〳〵
奥
出しこまりて心流
卜向はやしに成り中通りの諸士真中へしなへを
奥
直す隠鋪奥山前へ出て
一秋作どの貴でんは是迄病身と承れは武じつ
しゆぎやうもおこたり有らんとお長ひの外よくぞ
女仕召れた今日の立合ひ身共第一の勝ときてまり
たるところゆへ直せませつしやと立合れよ何是こわ
い事はくらぬ誓身共長よひほとにそろ〳〵と
あとらひ升ふ廿了〳〵是へ
ト奥山しなへを取て璃玉へ取畢て置る
璃屋かたわらへ寄流
りふ〳〵
一身ふせりのせつしや御不足なから御相手に
としなへをとる奥山多しぬ事に琉球をうとふ
としてうたれぬ思ひれ両人にしり〳〵とかまへ
急度見得三昧せん入り白はやし成り両人立廻り
しじう奥山うけ太刀に成様事奥泊りかたき役
顔見合せ思ひ入れ陰堀下が奥山のしなへうち落し
うちすへる広五郎国五郎しなへ越長つて一
時にうつて出ゝる隣屋両人と立廻り両人あやう
くなる此うちうしろへ対五郎徳盛茂茂々三
武十郎徳蔵寛六芝五郎万蔵いつれ是
はかま是ゝ立にてしなへをもち左右より隣越へ
打て出たる是より八人を相手にたち廻り有て
ほご璃瑠八人をうちすへる瑞寛見て
り女ん
一手のうち見得たみなひ事
分八ツトみな〳〵ひめへる広五郎国五郎奥山と
男
顔見合せ無ねんの思ひ入れ
一今日の仕やひ第一の手からは大友岩太郎どのと思
りかく
ひの月か鳥山秋作との御手がら〳〵
一武術みじゆくの秋作照忠御せうびの御言葉恐入升
てくり升
彦
取にたらざる忰めが手のうち武がんに叶ひと
今日の仕合岩太郎どのかならずいこんとばし思さ
れな
大
一何か扨せうぶは時のはり合と申長のしかしりつば
故御子息の手の内ずいぶんと是に御自まん被成候以
しう
一聞し候案したる秋作とのゝ武術手れん春之助
りめく
めかんしんいたして止る
一かさね〳〵のお哥谷ふ生前のめんぼく有かたふ存
本流
瑞定
一鳥山秋作近ふ参れ
りめ〳〵
一八〇
卜前へ出る
瑞寛
一其方が手れんのほどなめ〳〵おん心した当座のほう
りかく
ひ遣そふ何なりとのぞめ〳〵
一是はおそれ入たる君の御ぜうみじゆくの手のうち
御せうびと有て御ほふび下されんとのげんめい有
がとふぞす〴〵升縁のそめと御意の出たるうへは
御ねめへのしながくり升流
瑞寛
一貴何なりと長尽め〳〵
りや〳〵
一外て長くり升ぬわか君御てうあいの春之助とのをてう
瑞寛
だひ仕りたふぞずし升流
一何と申
ト認らへの合かし也
りめ〳〵
若年のそれがし出申上事奉る奉る長おそれいつたる事
なから君には此ほと御心堂常〳〵しくいつぞやより
新参にめてかゝへられし青柳春之助のみつてうあい
の余り出れがことでは何かれとなく用ひ給ひ御せい
とうの事まてもゑこひぬきの御さた多く是ぞ
前家にわざわひおこるみな長となれは今日の御
ほふびに何とぞ春ら助をてうだひおふせつけ
めん
られなば有かたふぞすじ升流
一やう心につくきわつばが言ぶん帚がひそふなす春之助
をこひうけんとはきつくわひしごくまだそのうへに
われをさみなす言葉のいち〳〵今一言ぬかして
見上手うちに似すぞ
卜ちいさき刀へ手を出けるしらる留て
一アイやその御いきどふりはさる事なからすせういや
しきそれがしを君のめぐみのふかきゆへ見る人毎に
これをそねみ悪さまに申なるべし忠義一づの
秋作どのまことて心得へ只今のかんげん云君をおそふ
心体はかりこそあり度ものなれはいさくかくらみ
おもふまじし今秋作どのを御手うちはならし
給はゝいよ〳〵世の人貰しやをにへみ申べし
何とぞ御いきとふりをとゝまり給ひ御きげん直
され下さるやうひとへにねがひ上升る
瑞寛
一わひ事聞ぬにつくき秋作いま一言いふてみよ其場
はたゝさぬ何と
りかく
一御聞すみなき上は元よりかくこの秋作照石廿ツ御
ぞんぶんに堀はされ升ふ
璃寛
一につくき一言かんねんせよ
下また刀をぬかふとする彦三郎留て
彦
一アイヤりふ君しばらく〳〵〇
一卜舞台へ下り琉球を引法事
不思ものゝ忰秋作身共かせつかんかふ〳〵〇
ト扇子にてさん〴〵にうつ
おのれ若ねんの身を長ち親をせら置き三代
相忍の御望君へはゝかり多く長かんげんなすのみなら
ず言葉をかへす大ぜい人殊に恥ずしが只今の
立合ひまことの勝ちと心得居縁かすべて貴人高
位の御ぜんにおゐてたち合ひ瓜すには用
の表を向けさるほんそん武士たる身にてわき
まへなくときにせうじかちにほこりわかまか気
雨このいまの立合ひ親の身共かお長てをまて
よごすふ所ざん長の目通りかなせぬかんどうすを
り出〳〵
きり〳〵御ぜんを下りおろふ
一大りやせつしやめを御かんどうとな
彦
一長居いたさは殿の御手をおろせるかまて是なく
身共か此場てぶちはなすぞ
鳥山とのゝおことは御尤祭ら申せば忠義の
秋作どのわか君へ御わびの義は拙者長とも〳〵御願ひ
申せん
彦
一御しんせつ領様御言葉なれば是此末へ置是は
しまてちじよくをとらする不忠長のかならずとも長
にすて置れよ
一拙者か義より事おこり秋作どのを御かんどうと答
彦
八丁是非におよばぬ
それいつれ長秋作めを引立めされい
中有之
四人
一心得升た○
卜四人帰屋へ立かゝり
りふ〳〵
一元よりかくごききめし身触れは父のかんどうぜひ
一におよばず此まゝ御いとま仕らん○わが君さまには
御きげんよろしう
天かん
一やアことばかわす長けから尽しいそれ引立ろ
四人
一きり〳〵おたちやれ
りかく
一八ッ
ト思ひ入れ三重ときの太鼓に成り中通り四人陰程
をとりまき向ふへはいる
大
一物〳〵気のどくなるは鳥山豊後どの今日のたち
一合ひのせうぶより子息を勘当召せれしきう中
の月と御せつしと申
彦
是は〳〵御あいせつふ所存者なる忰めは有にて
ゑきなくこせたとて事はからずそれらの小車は
わたぐし事只取車かくしきは此ほどより不行跡
成るわか君の御身長ち泣ひてなからわが君へ
御らんに入べき一分品且又申上様一条こそ候へ
ト彦三郎思ひれ臺へ勝りし三方の上なる
まき絵の箱を真中へ直しふたをとろうとする
を璃寛有之
一豊後の介しばらくまて其箱の中成るは父
尊異の御かたみ菊地家第一の重宝青龍のかぶと
ならん上座はおそれはゝはり
一ト三味せん入席の舞ひになりりかん弐重より
下りて下手に来る是にて男女蔵はじめし
うか奥山かしきやく顔見合せのこらず下のかた
へ平伏する彦露上手にかふとの箱へ一礼と
彦
てりかんへむかひ
一君若年より御心あら〳〵しくよろしからざる
御行跡内へ御文君秀行公御最期のみきり君の
御身長ちたゝしくなさん為斎豊後之介へ預け
給ひしゝさかぶといまあらためてそれかしが申
上塚いち〳〵つゝしんしきこし召はれよ
卜彦三郎女ぶとの箱をあけよふとする陽寛
とめて
アリヤ青龍のかぶと心共におよばす其義付いて
一豊後之介へひそかに申聞せる子細有り○春之介始め
のこりのもの共斎場をしり翌帰り申の神楽
をそふせよ
しらか
一八ツ左やうくらはわが君さま
る
一後刻御目通り
皆〳〵
一仕り升ふ
ト唄音楽になりしうか奥山思ひ逢男女蔵
七よきに皆〳〵つかいて下手へ真流りかん跡を
とつくりと見送りかぶらの箱へ目れ以して上手へ
来る彦三郎は下手へ来る
りかん
一豊後弁中聞は一条あり土いふ〳〵
彦
一八郎八郎〇
下彦三郎かたわらへすり寄る
近習の武士をとふさけられ豊後之介めへおふ
まふん
せ聞ら様一条登は
一此月とより貞行おほふらつたじゆくの身の
おこなえ藤其方があらためて異見なせら
なさぐる前かしくに父のかたみのかふとをちかひ
にわか存念の通りなじやさ成にかたり
彦
きおせん
ゑん
一何と御意被成升升
ト御主入り帰らへの合つゝ
一表門ころ舟岡川の合せんのこぎり父秀行公
にうちほろぼされしく大友入道宗隣の一ぞく
こゝかしこにはいかひなし菊地の家に仇なすくわ
たて殊に大友刑部宗法郎は其軍のうら
切りなしかたむく運とげんばいの兄をわが父に
うちとらせ大友の重宝飛龍丸の太刀をふん
とり飢し菊池の幕下にくはる所そんは
一大友の所領のうち幾国は我物ならんと思ひの
外足利とのより秀行公に給はりしとを無ねんと思へ
とせんかたなく折をうかがひ菊池の家へ偽を
むくはんかねての大長うまた新参の春之助は軽多
の沖にて多太夫が為にほろびたる七草官丁礼が
一子にて冬後卒冬父の仇と知りさるゆへ此月と
生の松原にて冬治郎をうちとり大友刑部
へ心をおよわせかれにすゝめて忠義の武士
をせんげんなはふ敵長のまつた大友宗隣か
娘若菜姫女なから長父のむほんをうけつき
錦ケた常の山さいにかへれすみ寄り〳〵味かた
をあつむるよしを月のかに聞は貞行あほう
と世上に百ふせはかれらは十ぶん手多くを廻ら
しらんをおこせ此其きよを計りてげんとう
余るいたやすくうちみる我かけいりやくわざ上に
ほうらつたじやくに長てなし震道くるひの
色好み此月と太宰府の帰り道書渡の里にて
あやしき女に出合いひしゆへ色にこと寄せたゑし
見縁に所持なす守りは大友の重宝向枡切れ
きやつ丁野正しく若菜姫公春姫公春人里うなせと口長
かれ神変ふしきの蜘蛛のよふじつをおこのふ
人せものもやすくうちとる事おなせす時節をまつ
て敵をほろぼし国家安全になさん長の上心を
くたく貞行出きやうちうすいりういたせ豊後弁子
彦
細と言はかくの通り
八つ恐入たる御言藤ふそれがしととくより其御心とは
すいせつはなしたれどは只今まことの御心体を
承り豊後めか心のあんと左はしらずしてわか君へ
かんげんなしたる忰釈作御いきどふりを幸ひに
わざとかんとうなし堂家はぜんとり余るいを
瑞寛
せんきの為
一割府を合せるなんじがきやうちうはかり事は
蜜なりみ飢をいろ好みほふらつと世上へしら
する我斗りやく
りかん
八ツ御屋領様御言葉とに長かくに長世の中に
まことに武士の身うへほどせつなるものゝ有べきか
彦
一黒君さま
りかん
一豊後之助
彦
一思ひ廻せは斯迄に
りかん
一あしきなき世の
両人
一盛すいしやなり
一ト両人よろしく思ひ逢此とは中通り黒具の
しのび伺ひ居て
忍び
一その青龍のかふとを
一トかふとへかゝるりかんつき廻してぬきうちに
きるしのびみ事にかゑる此とまん上手の唐戸
を明筆しらかはかまの形りにて伺ひ隔寛
陽寛
と顔み合
一春之助すぎを長て
しらか
一ふしこまり升た
トかすめて浪の音合如くに成り天かん血力を
出す彦郎はなかみにて是をぬぐり此内
しかぬりたらい湯とりを長ち出てりめん
のそげへ長つて来てしらか水をかけ
りかん手を打てぐ此内彦三郎かぶの箱の
ふたを明てあらためる隠宅手をあらひ
手ぬぐひはと思ひ入れしうか懐中のながみを
せぶし見て紙なきゆへわかふり袖の端を出す
りかんみてうひゆつといふ思ひれにて彦三郎と
顔見合せ後彦三郎箱のふたをしやんとする
ん袖を長ちしらかを引よせる双方一時に木の
出しらりかん袖にて手をふきなからしらか
とほり其理をする彦三郎箱の哥長をしづ
かにむすぶ是をきざみにてよろしく
ひやらし幕
当れ
□□□□□□□□□□□□□
しうか
周之介
弥生犯言
しつぬひ蝉
卯金春目五兵歩目鶴三郎
肥前国玉島川の場
諸寛
りかく
平山
武十郎
竹春
弥兵衛
一本舞台後ろ浪幕上下聞はり長の真中画屋の松
並木下手とま舟都て肥前の国玉嶋川後辺の体
爰に若い衆四人里やうしにて焚をしてゐる浪の音にて
幕明り
○
一サア〳〵是し舟そこのたで長出来たといふもの
△
一舟はすづかり砂てあらつたら舟かかねく成て
廿日廿日廿日廿日廿日廿日廿日廿日廿日廿日廿日廿日廿日廿四
口
また目あしは堂かひ一ぶりやろふじやアねへか
一何たや春て長汐風てせむいたき附て一ト当り
あたらふじやアねへか
〆
□□あたれとはゑんぎがいら当れ〳〵
下捨てせりふにて四人焚火をして当る
一ときにおいら達の親分の簪九郎殿は今ては
所壱ばんの金もちだか何みよりのふかいやかまし
▽
い人しやアねへか
イヤモ人かたおれよふがどふせうがわれまへよければ
かまはねいとあんなまたむじひな人はあるまひ
一そり十其はつ此眼前の国は大友刑敗せまといふ無
じひ御殿さまの領分其の人に遣蓮沢鰭九郎どの
○
大ていなものじやア気に入るまへて
一其領主の大友さまからおふれの有り御尋ね毛の筑前
の菊池の家来て勇岡久治布といふ人の妹照葉とやら
小第の刀松
△
一その弐人りをとらへて出せはほふびの金色のそみ
てほふびの金にしよふじやねいか
次第らの言法森長しこゝらへ来たならは引とらへ
一そり中貴つきひれふる山のふ長とて見出けたのか其御尋
年ものにちげいねへとて是こちくらの手きてにやア
行あへから御家来の割金願内せまへちらしんして
×
其ほらびをもちらほうかよからう
一そ辺〳〵大とりしよふより小とりするかいゝ貴せまが
しつかり見付かたなら是から帰りか常に割合せぬ
寄ふじや有様めへか
○
一それがいゝ〳〵其のおし付幕七ツ下り有〳〵舟をかた
法普て一所にゆかふ
皆〳〵
それかいか〳〵
△
ト舟をかた法して焚火を消して
一サ〳〵これてよし今まて焚火であつたまとて是
からほふびてあつたまるのだ
皆〳〵
一土をいね以〳〵
は浪の音にてみな〳〵橋かゝりへはいる浪
の音浜倶にて向ふより竹三郎ふり袖やしき娘
の形りすき笠を長ぢ雪之介こらえ旅形り
雪之介
一壱本さらて荷流しの竹松をおぶひ出て花道にて
一その照答ふさまなれぬたびじの石かた道さそおみ足
竹三郎
がいたみ升流て厶り升ふ
一イヤモわらへよりはそなりこそ刀松をせ玉ふて大体
団
な事じや有るまいわいのう
一今説の浜辺て承り升れは爰分は亡り肥前の
玉崎川とやら呼子の浦へは季半三ちたらす
との事日のくれぬうちには参られ升ふおくたびれ
竹
ではくり升ふか長そとおいそき被成て下はり升せ
一アイ〳〵サアちつと長早ふゆき升ふわいの
一ト右謂物にて三人舞台一来り
円
一また未ア日あらし長高ふふり升れは幸ひ爰に小舟
か上つて厶り升る是へおか事被成升てしはらくお林に
被成朱
一そふ仕り升ふサアカ松長おんりして松代をちつと
やすましてやりやいのふ
竹松
一アイ〳〵
一ト合かたに成り竹直をおろして三人舟へこし
をふけて
一おもひませは世の人の身のうきしずみほどふな
し頃是の冬有儀まいわいのり此月と殿老母の御供にて
太宰府へ参候以の帰り先上さま忠義の為に悪人
の春之介どのを手にかけれは血すらしの是のへ御たゝ
り有らんほどに勇刀松長右衛門前の家来来真平
方へ落りよとの御しらせそなたのすゝめにぜひものふ
やしきヲ出し其夜のそうどうどうどう
円
一いかなる事にや日ころ御中のよひ夏之丞さまを手
にかけ給ひあまつさへ着旦那冬治郎せまは春し介
どのにうたれ給ひしとの事常から心よからぬがん助
めが大友岩太郎の犬と成てあなたを無りに女房に
せんとあやらひとこつをおいゝなづけの犬千代せまの
御家来小文治どの上助けられよふ〳〵爰夫で
おちのびて私が兄真平との今ては此肥前の
竹
国で浪六とてりやらしの世後り是へたよらは
お弐方さまの御身のうへ御気遣ひはくり升ぬほど
におならず御案事被成升後な
一其うへいゝなづけの犬千代せま長けんぼうとやらの
一御病気は御本飯被成秋作せまと御改名なられ
たれともふいふ事やら舅御せまの御かん当う事
百
給ひこれ長御行ゑしれぬとの事
一秋作せま毛たしか斎国のほとりへ御出のよし風の
一たよりに承升たれは御行衛をたつ手やかて
おあわせ申升ふ
一何にからなにまでそなたの源せつ此上之長によい
よふにたのむわい十部
竹右衛門
一ユレまつ代早ふ兄上さまにあわせてくれいやひ
卜是を聞両人思ひ逢
原
一豊御いたわうい御兄御先御さまの御貴いごちんぞんじなく
竹三
そのよふにおつしゆるおこゝつね
一そばて聞壱へむね法ぶれ
国
一袖に彫みたの旅のそら
行三
一まつ代
国
一照答ふさま
竹三
一思ひははかなひ
両人
一身のうへじやわいのふ
ト思ひ入れ浪の音にて向ふより武十郎半てん
長ゝ引奈にて中通り六人黒口天のとり手
にて付て出る
茂十郎
一ユリヤ家来ど長りやうとど長がちんしんにて雪岡
一灸治郎加妹照言ふ刀松長右衛門とは此浜辺江来埋也よし
見つけ次第引とらへて御負人え遣しあければ御
ほふ屋はのぞみしたひかならずぬかるな
とり
一心得升た
武
参れ〳〵
トミな〳〵舞台へ来り両人を見法事
扨うそ〳〵つますづれのじんぜうさ雪岡か妹照奈
おせない長のは刀松にうたかひ船し引くる法て御主人
団
刑部せまへつれゆきて介じんぜりにうでまわせ
色〳〵わたくしともは此肥前の国のあみだ寺へ参けい
の兄弟つれ左やりな長のではくり升ぬ
武
一イヽやちうしん有之たしかに聞落人のそれ家来
共ふらめけれ
とり手
一うてまわせ
申立かゝる
円
一御かむとすれとあらわれしうへからは是非に及ばぬ女
一なから長斎松代か御供した御そ人方あつたにわたし
てよい是のか申悲ふせまこゝかまわずとあなたせまは
力松さまを御つれ被成て少しくも茂早ふ
竹三
一心得升た第おじや
武
え竹杢の手をとりゆふとする
一おのれをやつて法まをものかへ○
一トさゝゑ流を要之介とめる此うち竹三郎竹松
をつれ上手へはいね
やアしやまたてひろくにつたき女郎めうつてとれ
とり手
一心得升た
武
一瓜共は恐葉を追出けて
団
一イニヤ成らぬ
武
一何をこしやくな○
ト禅の御とめに成り雪之介武十郎を留る
捕人六人団ら介へうつてかゝる武十郎上手一真流
邊之介一腰をぬきみな〳〵と立廻り有て候が
団之介みな〳〵を追て橋かゝりへはいる此うち
上手より武十郎子役を引出候へ竹三郎を引立
出て
武
一逃縁とてにがそふか刑敗せまへつれて行き〳〵うせう事
下浪の音にて花道江かゝる向ふゟりかく前
まくのこしらい武者修行の形り大小すげ笠
越長ち出て此評を見て子役を引とり武十郎
それと寄るを舞台へおし是とす
一ヤア何ものなればいらざるさまた事小倅めをこつちへ渡せに
りふ〳〵
一やらす冬何かしらね共おせなき長のと若き女子へ此場
のみうぜき
湯理
竹三
一卜斎うち竹三郎
一やあなたはわか妻犬千代さま
りめ〳〵
一金弐具竹三郎越三丁
武
一そふいうそちはいゝなづけの照意ならずや
一ト子やくを行太郎へわたさテ武十郎是を聞ひて
一扨冬おのれは豊後介が勘当したる忰の秋作
身共が手からの照答ふ兄弟こつちへわたしてふんねん
ひろき
りかく
一てる葉兄弟をわたせとぬか共おのれは重し出人非人の
大友刑部がうつ手のものよな身共か是へ来るからは
武
屋は成やみ〳〵わたそふかみちひらひてとふはまいか
一こしやくな一言身共にわたせ
花〳〵
一何を
下禅のつとのりかくふねなかなるかいを取て
立廻り武十郎出なせ徒上手へにげてはいる璃
竹三
一屋追かけゆかふとするを竹三郎留て
〇一ア毛に遣てゆくなら追はず長其の御無用に
なされ升せ
わか〳〵
一いかさまなか追ひせん巻無やくのいたり○
トかいを似て捨て
一御身ら兄弟なん義の場へ折よくそれ出し来りし
長法具せぬきゑん
竹三
一あなたさまには御病気長御ほんぶく御きけんよひ給ふ
の御目長じ
り〳〵
一そなたといひりき松思ひが常なき斎場の参会し
竹三
一代十十こぶれしたふた秋作せま
一堂へて久しき照もふどの
竹三
一よふ顔見せて下さり升たいなま○
卜すかつて思ひ入れ
まる〳〵是へおかけ被成升せい
じ合かたに成りわかく舟へ腰をかける竹三郎
子役を舟へのせおなじ候具こしをかけりかく
思ひ逢
りかく
思ひかけ無き無ほどのそうどう冬治郎どのゝあへなき
御容期より御身より見けまで追人をかけて行
斎のせんぎこれみなねい人ざんし聞のしてざ立て
此国へ来りしはいつくを目当て
竹三
申毛かひなきわれ〳〵兄弟いぜんの若とう真平
と申長のいまは当国余子の浦にて砂とり世また
り是を重よりに真平が妹松代を候長なひて来
かゝるみちにて今の追人
りかく
われ長斎ほど宮しまにて父豊後之助殿より出ん
どうの件に巻てなし国遠なせしも大友の残とう
せん義の為御身ち兄弟此国にしるべ有らばそれに
たよりて身をしのび時節をまつて勇岡の家さい
竹三
かうそれがしくよきにはからひ得させん
有かたひ其御意言ふ世にたよりなき兄弟が身のうへか
似羅ずともに
り成〳〵
一気遣ひ有る故未来をかけて
竹上
一は御嬉しうぞんじ升流
一ト思ひ入れ此うちうしろへ武十郎伺ひ出て
武
一其間にがきめは身共ぶ手からに
ト竹春を引とらへる瑞屋見て
りめ〳〵
一こしやくなひつぶかにけきふまふ塚まひこま兵ぬかせ煮手
は若せぬぞ
武十
一何をこしやくな
ト両人子ゆくをあらそふ立廻り風の音砂石の不流
音去年しく日覆より大せし下りて武十郎
を書ららし吹かへ水子やくをつかみ下の方日覆へ
まひ上様武十郎は下手へたおれ流璃おどろき
りや〳〵
一やゝ大事の弟りき松をわしの御ばまにはるかのそら
うち置れぬ小児の命照葉まふは早ふ知るべのかたへ
われは飛ひ行大とりの行衛をしたふてまそふだ
江風の音かけ入りにてりかく向ふへはいる竹三郎
仲三
見送
一思ひかけなく言なづけ水犬千代壱まのお目にかかり
られしいおふ長茂なせけなひアウいとけなひりき松
をせししの法はさにかけられて命のほと長心
長となひアノ松代は何していやる早ふ長上て
た長ひのう
卜向ふへ思ひ入れ浪の音おかしき合かゝ下のとま
舟より奥山里やらしの形り今まて寝て
居たりし思ひ入れのびをしながら出て竹三郎
を見付けふところより画すかし出してくらべ見て
思ひ入れ
奥山
一むまひは〳〵弐合半酒のよひ心ぐつたりやつた舟の
中何たおよふ是はしらなひか爰にまて升春壱人
のうつゝひ乙女すかたならきりやらなら此画姿の御壮
つねものにいきうつしひきくゝつてはかわゆそふじに
そつととらへてほふびの金帯婦せんわたしと
一所に来給ひ〳〵
竹三
下竹三郎の手取て不審若し
一こつちの心の長める長しらすりよいしやんなはなし
やれいのう
大
一何りよくわひとは朝おきて顔をあらう事か
たこし金と銭をかゑるのを法めていふのかそ
んなむづかしい事いわつゝ長早くこつちへ来給ひ
〳〵
下また手をとろふとする
竹三
一またして長里よくわひ長のてんがふしやるは森さ
ぬぞ
奥
イヤこいつが〳〵顔に似合ぬ手ごわひ女めなせけ
一をかけれは御希上りのよまいことおふぬかせ有でこ
つち長大かねて引くりてアリ舟の中へいれお長蓮
なぐさんで刑部せまへつれて行サうしやがれ
下引立よふとする
竹三
一そ聞長うるさい其気ふコレまつ代は何していやる
かまふ長右衛門てくれぬかいの何していや給ふまふ
戻つてくれぬかいのう
奥
何まつ代に長ときそん故やつが長どられてたまる
一長の出じやまのなひうちきり〳〵うせう〳〵〇
ト浪の音おかしき飯長の両人立廻り舟の廻りを
追出け廻る事じが竹三奥山をつきたをし上手へに
けてはいる奥山おき上り目へ砂のはいりしし体にて
りやおそろし手ひどい女め目の中へ砂をいれおつた
ていたへ〳〵目があかれなひ能〳〵砂の中へ目をい逢
やがつた領おのれ女めとうくは行まひまて〳〵と
えほとりをせへりおひをとつて枝に奥山目くら
のお是ひ途にて上手へはいる禅の御とめに成り
橋よりよりより宮之介以前のみな〳〵と立廻り
船から出て急度見得三味せん入り唱物に成り
仕抜立廻り三段〳〵をきりたをし武十郎へ爪に付き
是にて武十郎心つき両人立廻り鳴ものかわつて
はけしき立廻り堂かひに手を負ふ事よろしく
しで武十郎をきりたおして突介等ツト思ひ
国の介
入れ
弓口おしや残ねんや心ははやれど多勢の追人た
とへふか手お負ふけれとも大事〳〵の主人の
の御せんと見とゞ事いて置べきか照察せまいろう力松わま
いのう
トよろめ〳〵向ふを見る此うち捕人心付き一人
つゝ団之介かゝる是よりしづか成る唱春のにて
団ら介手負ひの立廻り有て下どみな〳〵をきり
たおらしとふと成浪の音ばら〳〵にて上手ゟ
竹斎はしり出て来り雪之介を見て怕り
竹三
すかり付き
〽ユレまつ代心をたしかに長つてた長ひ給ふコレ
まつ代気をしつかりと長つてたゝそふ是いのふ〳〵
とたきおこしてよぶ雪斎よふ〳〵目を
ひらき竹三郎を見て
円
一あなたは照言ふせま御身に気やはなかつたかまゝ嬉れ
しい
トまたかつくりと成る竹斎すめつて
竹
是はしたりまつ代どふした長のじや底はふかひ
日ころの心に似合ぬ事気をしつかりら長ちやい給ふ
ト呼生る処し介よろしく心づき
国
一照葉さまよふおへしやく下さり升た十〇
と竹笛の入之流右かた団之助思ひ逢
心はやめ事にはやれとて此源手てはとて長御供
は叶ひ升ぬ御心ぼせく長おぼそふか力松さま
越御つれ被成目入れぬうちに浜辺つたひ余子の浦
と御尋ね被成兄せん真平どのゝ所まで早ふ
竹工
落て下せり中せ
そなたの言葉はなじやが深手にくるしむ此有さま
見捨てとふして行れふぞまた其上に出ならへ
は名せんこゝへ言なづけの秋作さまの御目に
かゝり悦ぶうちに殿事なひ追手の長のかりき松
をつれゆくを被作せまがさゝへるうちかくゆやアリ
子は鷲にさらはれ行ゑなふなつたわいのり
一そんならりき松せまはわしがさちうて思み
立なからそれ長此場の長つけのせいわへ即座
に御命長うらなふまひ足手まとひのなひうちに
竹三郎
あなしは此場をはや〳〵
一それじやといふてわしひとりとふして此場か
国
おちられふぞいの
一一ヱヽ聞わ事のなひ命を捨る苦をする長みん
一つつわが大せつゆへまた長や追人の来るならは
心法りし長水水あてわたしふぶべんとおほとめす
ならどふぞ忠義をたてさせて早ふ落て下せり
ませ
竹三
成ほど夫ほどまでいふ事ならわうは先へ行給ふ
気をしつかりとかならずと長に死ぬるのじやないぞや
国
一色〳〵死には竿と升せぬサまふ〳〵
トときのかね三重にて竹節思ひ入れ有て
ひ出しの揚幕へはいる雪之助あと云送り
同
其みかならすけかして下せり升な御名残りおしへは
熊もふさま心にかゝるは力松さまどふぞ御命つゝ
がなふ
武
ト刀をつゑによふ〳〵立上り向ふへ思ひ逢此時
武十郎心つき
一何を
トましかゝるをよろしく立廻り武十郎のわきば
らへ刀をつきこむ武十郎わつとくろしむ
雪
一御りかれてくり升流
下団之助武十郎と前にく流しむ此見得とき
の鐘浪の音にてとらく
廻る
一本舞台としろ黒幕左右いぜんのはり長の真中大樹の松
日覆よりつり枝上下之巻こ高き芦はら舞台まい浪
板都て是迄の浜辺をうし門前に見たる伊爰に以前
の里やらし四人竹三郎をとりまきゐる右の問長のにてどふ
具留る
一御ふれの有つた御尋ねもの引くらてほふびの金だ
みな〳〵
一廿リ〳〵一所に来ゆれ〳〵
竹三
一イヱ〳〵わたくしはそんなものじやくり升ぬどうそ
かんにんじて下さんせ
△
一イ十ならぬ〳〵おち人にちがひなへ
皆〳〵
一ひきすりてゆけ〳〵
下浪の音にて竹三郎を引立ゆきにかゝる向ふゟ
瑞寛弐幕目里やらしのこうらいかへの奉行へ調
をくゝりつ事かつき出て舞台へ来り此陣
を見てみな〳〵をかきの事竹三郎をおこふみ
な〳〵すてせりふにて竹舞へかゝる璃寛
おいにてめつたうちになぐる是にて口人共
に希て向ふへはいる竹三郎思ひ逢
一となたさまかぞんじ升ぬかあやふいとこつを有がこふ
ぞんじ升る
アめん
一何を礼にやアおよはねいしかし今ころに女中か
たつた壱人りわかやちつきりおふれの有様
竹
ヱ
りふん
下輪り此とき里かんほふかむりをとり竹太郎をみて
そふいふあなたは熊葉さまじやア厶り升ぬか
竹
卜竹三郎瑞寛を見て
りかん
一本にそなたは真平どのよひとこつて逢ひ升たの
一ヤレ〳〵丁度よひところへ参り合せ升たあなた斎国へ
くかたからは定めてわしが内を目当てに
竹三
一定めてやらすは聞きや法たて有らふ兄上さまの
一御最期より刑部との悪心にてわれ〳〵兄弟を斎
辺りまてきびしいせんぎそなたの住家を堂より
早めん
にて松代をちからによふ〳〵これまで
一宜しう厶り升るくわし以事は跡ての事以
ぜんのおそせまの事なれはわたくしが命にかけ
ておかけまい申升るが舅鰭九郎は心よからぬ
ものなれはうち明ては申され升ぬゆへ女房共
にたのみ升て目つまにかゝらぬよふにいたし升而
か長し見とがめられた其峯はおま衛さまを
もたくしか博多でなじんだ女郎だと偽りを申升すは
ほとにたとへどのやうな事かくり升と長わたくし
次第に被成て御出被成升せ
竹
アイ〳〵そりや心得て居升表のう
りめん
夜ふけぬうちにちつ長はやう
竹
一そんなら真平どの
芝御供いたしと升ふ
ト両人身こしらいする風音トヒヨ上手の芦原ゟ
はしかねの水鳥なんたつ是にて瑞寛竹三
をおこふ見得あしわらをおしわ事彦三郎
唐の白髪おつらどてら預り大わきさしを
さし好みのこしらへにて半身出る此切
かけに月隠れて本釣鐘のかしらすぎ唱長の
に成り彦三郎さぐり出て竹三郎をとらへる竹三
アレト是にて璃寛怕り是を貴さへる橋かゝ
よりしうか世話女房のこしらへにててうちんを
長ち出て此中へはいる彦三郎てうちんを打
おとと四人たんまり壱よふの立廻りよろしく
有之下が璃寛竹郎をつれてすりぬ
け花みちへゆく竹三郎花道へつまづく
璃寛手を取しゆんと引おこす舞台は彦三郎
立廻りにしらかをけ飛す是にてしうか
べつたり下にゐる双方一時に木のかしら是
にて日覆ひより月出る彦三郎しらかをみて
彦太郎
一わりや娘出
しらか
とゝせんに
彦三郎
ユレしつかに言へ
一トしらかを引寄てさゝやくをきさみときの
七
かね三重にてよろしく
かね三重にてよろし候
ひやうとゝ幕
一幕の引付事と一所にりかん竹三郎の手をゆき
向ふへは入る幕引と浪の音にて法なき
ひき返し
}}
□□□
一あなしの
はるきやうけん
おらぬひ藤五
第壱番目六幕目
伊子浦鰭九郎内の場
明神御不知火の場
とふ
九
当ル
しうめ
ゑす三郎
竹三郎
春狂言
しらぬひ静
第六足番目六幕目
一坪子浦鰭九郎内の場
明神岩不知火の場
奥山
佐十郎
輝五郎
茂々み
花園
璃覚
本舞台三間の間ひら乗台向ふのふれん口押入み朝鼠壁上
の方九尺の中弐かいせらし立きり丸太のはしこ下の方方への物
置むしろさげ有り此下薮畳いつ毛の所門江口都て来りし
一簪九郎内の伴爰に奥山しほりのつゝほふ脚半どでら
預りにて胴をすへてゐる此かたはらに佐十郎羽織着流
し庄屋にてたちかゝりゐる此見得波の音在うた
にて幕明く
佐十郎
一コレ鮫屋鰭九郎どのにあいたひがうちにいるか
奥山
一部に親方は奥に寝て居り升
一またおこしたら小言だらうな
雨
一何そ用でもこんすのか
佐
イヤ外の事でた長なひが紫の御領主の大友さまから
おふれの有はしゆき岡冬治郎といふ小性の妹と弟が
此国に身よりが有りて入りこんでゐるとの噂をゆへ
たれがくらへて出そふと長此村中の庄屋が長ち
ほふびの歩一をとるほとに鰭九郎どのに長其事
をよく断て置てくりゆれ
大
一イやおらか親方がよくがふかひとお長つたがまた庄屋は
庄屋多事人に月年を折して置て寄一トをとる
とはよつほと上手だ
佐
一八そこゝらが庄屋のかすりどころだてい
奥
一何にしろ其落人を引とらへほふびの舎に有りつき
たへものだ
佐
一おれ長歩一に有りつきたへ長のだ
雨大
一ト奥山ふところより人相書を出し
一御領主さまから御ふれの廻つた弐人りの長の人相書
字はよめねと画を見てはおとゝひの晩に出るくわし
たたしかに娘にちがひないこれにつけて毛此家の
入り聟アノ浪六いぜんは菊池のやらきにゐたと
やら長しや身よりじやアあるめへか○こいつア金
になりそふたわへ
下佐十郎多生粉紙のみ肌がら
佐十
一何ふぜに成るまたあれねはよいか
奥
一とんだはやみゝだ
佐
かやその風て思ひ出したまだいゝ置ねばならぬ
事が有る此余子ノ浦の沖中でおとゝひのばん
からしらぬ火が長ゆるゆへくんとりやりかきかぬげな
何んでもコリヤ村のうちにしつとふかひ女か有て
それて長ゆるに違ひなひなぎんみのせにや
ならぬそよ
異
一されはさおとゝひのばんから夜に入るとあれ出し
てしらぬ火か長ゆるゆへ雑魚壱疋かゝりはせずりやうし
仲ヶ間は大きなちがひこれが江戸であらうな
らかゞりいらずにしらぬりてさぞ白魚がとれ様であ
らふ
佐
一ちがひなひぞ
両人
一八分
下波之音てんつゝになり向ふより冠五郎茂々三
在所かし〆こしらいにて手ぬぐひたれき帯など
城ぶん長ち出て来り門上口より
かんから
一小いそ女郎
茂兵衛
一こちふなし
大
一ヱヽやかましへといつじやう
両人
一といつて長なひわしらじやわいのう
ト両人うちへはいほ
大
一生たれかとお長つとらおたこ女郎におくら女郎か
一是はしんでんの庄屋さま
一おゆると成升せ
ト両人よきところへ住ひ
奥
一やまたおれをくどきに来たかうつとうしいやつらだ
一巻ぜうだんはおひでおくれそれところで参なひ
わいのら
茂候
一沖に長ゆほしらぬ火の事で今朝からあるき御ら
きじじ
かへ
一小算がうちにならずあいたひたひ呼で下され
大
そかつてんし○
ト奥へ向ひ
小笠せん〳〵
下奥にしく
しらら
一アイ〳〵いまそこへ行わい十部〇
一ト合かたに成り奥よりしらかまへたれかけ
世話女房のこしろへかたへ花かつみの長ん付きし
手ぬくひをかけ
そこれはしんでんの庄屋さまにおたこせんにおくらせんにおくる
佐
よふお出被成ましたなり
一いつみて長こつはしひものじや
しうか
一また庄屋さまのわ縁口ばかり
大
一百疋が見て長うつくしい
一そなたまで出おなしよふに
一昔そふいふのもむりで長なひ望から長ろうた
にしきゑのしらかはやらにいき空つし
一ほんに漬て長評ばんじやわいのう
一そもふよいかげんにおたてゝ下せんせ箱○それは
そふとおたこさんにおくらせんは何ぞ用で長
くんすかへ
めん
一さいのふけふ弐人りつれで来たのはな此月の
一濱行事がおくら女郎とわしの所わほひ月にあた
つたはおとゝひからの沖のしらぬと海があれてりやう
がなしなんでもユリヤア明神さまのお気にかなり
ぬはん気ぶかひ女子が有様にちかひなひとそこで
佐
けさから村中をせんきしてある金のじや喜のう
それは弐人り候長御くらう〳〵またまけこれと長しれ
めん
ぬかいのら
一帯たれ長りうがりん気し升たといふ長の童なひ
茂兵衛
ゆへまたみれと茂しれ升せぬわい十部
ホン二庄屋さまはおほへて御出被成升ふかいつそや
上在所の与吉殿かよその娘はねんころしたをかゝしゆ
かみつけてしやら長やすと海へ火の長ゆるか一時
何か大風大雨て沖中の春せまじさかのふらしゆ
はとう〳〵海へはまつて死でし長ふに是れから
らんと取かつたに四五日あとからまた火が見へるは
どふがく長斎村にりんきふかひ女ぼうかあるとみへ
升流わのう
大
一これかゝしまたち人事のよふにせんきをするが
あらつてみたらこんた尻か長しれねへ
佐
茂候
一イやまたそんなおほへが有るならはふつつつりと
思ひきりりん気をやめくばん事したがよひぞや
一了いわしやんす事はひのらこちの常作どのは
年中病人まいばんふ自由な目をするかけり
一色事の気遣ひはなひ人わんきしよふて長あひて
かなひそい十ア
たち
一
かん
一おたこ女郎はあやしいぜ
□□し人とちがふて此出たこは娘のときから
五助どのにつき御廻しかくどかれて女夫に成た恋
女房それ〳〵は其しまこさかたわきそばはは
壱ずによその男と顔見合すとイヤアノ目つきは
合点かゆかぬと気ばかりまわすやき長ち男りん
きで知らぬ火にさそわれたら五助どのがじや
茂候
とにがなならしやろこちに黒ん気は願ひていま
一したおとうちとちかふてこゝの聟の浪六どの
あのよふなよい男を表しゆにしたらりん気長
しらか
出よふのふ小笠女郎
イア〳〵此在所ては明神せま水おとふめで
りん気しつとの成らぬ事はちいせへときから聞
御たひており升るにしらぬ火といふはなり中
何の火てくんすへ
茂三
一こしら弐人り茂しらぬ君十郎
佐
しらか
佐
一おゝ知らぬはづ〳〵あれはとつとむかしの事じや
一御梵んじ候なら参其已事をお彼せ被成て下遣り并長
かいつまんではなし升ふむかし橋浦姫といふの
があつた其御ていしまに佐手彦せまといふてアら
よひ男てあつたげな何成朝長ばん并へひの岩に
とりついたよふに吸付た中く有たと右衛門ににて出に
御ていしまか唐へあれ給ひに行かしや流介そこで女
子のまてり気でこれ是どふで長せしにあきが
来て唐のよふきひとやらに見かへるのじやゆへやる
まいくやゆかふといふ女夫けんくわ佐手産さまは大事
の金壱ふ事おそなみると銭の三百も土がふこつちやに
よつてとふど舟出してしまふたによつて只手を
あげて舟よのふ〳〵と呼べとを置べと雲かすみいに
一にそこへ立すくみに石になつて死なしやんしたそれ
をいちこんた所が松浦大明神さま其執着の
しから出がしらぬ火いつたひ早ん気ふかひ神さま
領れとまんさら壱人り腹長立臣じやによつて氏子に
のうちにりん気する女子かあるとかの火がさそふて
ゆかへしゆる因縁あら〳〵かくか夕通り○アのと成ひつ
付茶をいつは以下され〳〵
しらか
一アイ〳〵
下条をくんてもつて来て
かん
ほんに今のおはなうへてさつばりとわかり升たせい十
サアそれゆへに反ぎんみ手ぬくひなりと帯彫りと
海へ海へ悲して明神さまの岩へうちあげたがりん
しつとの有る女そふなひ人は一鹿のうちに
また長との磯へなかれ長とる事な
茂候
一そ上て此よふに手ぬへひやらた其きやら村中あつ
めて海へな出したら出なせうこを見るのじや
出し候なせんせ
めん、
一小御女荷は何んなりは其身の身がれじや出し
しら
なさんせ
一まイ〳〵そんならわたしもこの手ぬぐひをあげ
升ふ君ち
かん
ト手ぬくひを出す暦五郎とつて見て
一升ヱりや花かつみとやらのしん御き間よい染の
手ぬぜひじやの
一そりやア江戸みやけに長ろふたわい十郎
とふりてあいの色がよひ○サア長く村中そろふた
れば直に海へ懸そふではなへ出
茂る
一それ出よい〳〵
一直に激しに行ならはおれか見わけしてやらふ
一そんなら庄屋さま
両へ
一一所にゆき升ふ
佐
一そみちゆきとしよふてい
一それじやましらぬ火がふへやアしませぬか
佐
一イヤ大ぜうぶた
一下三人門えへへ
三人
一そんなら小磯女郎
しらか
一みなせんよふ御出被成升
佐
一ケリゆき升ふ
ト浪の音てんつゝにて向ふへはいる奥山
跡を見送り
大
一ヱヽアノ庄屋め顔毛取がひがしり長ひやつじ○
一大ぶに音くらくなくなく来たかまたこん夜はしけ
流成しらぬ
しらら
大
そしけるといへはとゝせんが鮫屋に漬へゆきて
舟をいそへ上げて置事といゝ付てあつたおがへ
一何ふねを磯へ上ケてお車どふして壱人りて
上縁長のか一人りで上流は斎ふね計りし
トしらかにだきつくをふりはらひ
しらか
一そ長うてんがうせずとまふゆかぬかいの
トツントす様奥山思ひ入れ有之
大
一親かたは寝て居せつし家之波書ものは沖から
一帰へらずこんないひしまびはなひと思つたに○
そいま〳〵しい
トいゝ段出らふせう〴〵に門江口へ書流
しらか
一またゆかぬかいのう
一奥の行所せ○とんた枕双紙
江波の音に成り奥山花みちまて行如常思ひ
入れ有て下手の長の昼へはいるときのかね床
一の上流りに成るに成る
〽落人の茅に長屋奥と口小いそはいそ壱伺ひ押入にしのぶ
照葉を上長なひ出てあたりをはゞかり声ひそめ
しらかあたりをうかかゝひ押入れのせうをあけ
うちよりふり袖やしき娘の竹節をと長なひ
しらか
式合出しに成り
一熊葉さまサぞお気つまりで厶り升ふ十郎
一なんの気つまりな事もあろふぞいのそふして
こゝに居ても大事なひかへの
一大事厶り斗せぬと長とらせん灸さいぜんから
夜あえの法かれて寝ておちれますれはあつ
たに月のせむる気遣ひはならまた鼓舞に
は用をいゝ付留はまへやつたればこれ長帰様
はよほとの間たたれ子ゑんりよ長厶り升せね
竹
は千トお気ばらを被成升以十部
一こそなたのしんせつうれしひわいのついに一度
これまてにおふた事のなひ斎わらゝを法れ
そふおつとのゑんにより内外の声の目をしのび
何かにつけて茂心遣ひなんと礼をいわふ
やらこれ手を合せておかむといのう
え竹太郎手を合せすをしらか其手をはらひ
しらか
上向体なひ事おつしや筑升青何のおれにおよ
び升ふそい十アおつと波六どのがそのいぜん真平
どのといふしぶんおつとめ申て御出んをうけうけ
た御娘御真平どのに御包ならつれそふ女房の
わたくしゆへやつばりおなじ御そさま他人行も
に被成ずと小磯こらせいあらせひと家来を御法
おひ成りよふおならず御ゑんりよ成升な
けつくへたてて下せり升すと御うらみにぞ
んじ升流わい十部
竹之
〽うらむといふもしづ眼葉はいとゝたの長しく
一それ月とまてにいふてた長るそなたを何て
へたでよふぞとはいふものゝ世に落し今は
日かけの身のうへなれはそとお長わず兄弟と
しらか
思ふくどふぞゆくすへも長ちからに成りてた長ひめう
いやしひ此身を兄弟とおもふてくれとおつしやる
は有かたすぎてもつたひなひかまだお詞に
へたてがくに下るなせ其やうな事おつしゆり
升そりや長うおつとは長上よりわらいへし長
およばずながらおちからにとお長ふてはおり
升れど何をいふて其身念んなくらし殊には
そてなひ父親ゆへお世話申度人目をはゞかり
戸棚のうちの御きうくつ心に長なひ御かい
ほら御ゆへし被成〳〵下奉り升せ
竹三
一イヤのふ国をたちのきほふじと道にまよふて
あるくうちとまりの宿をとりはぐり野山の宮や
辻堂に夜をあかせしとは幾度か其かんなんに
くらべては戸棚はおろか下家一巻なんの
しらか
竹三
それをいとおふそいのう
ではふり升ふかこれまでになんの御ふ自由なへ
御身にていかひ御くろふ成升るがたゞおい
としう厶り升流
それ黒是長世の成り行またし毛わか身は
此よふにそなた衆弐人りにすくわれたれと
それに引出い真平の妹まつ代は途中にて
返手をふせきはかなひさいごてましきの力松
も其場よりして行ゑしれず長しやこれ長
追手の為に命をとられはせまひかと思ひ
すこしてあじられほんに夜の目長合ぬ
とひのう
〽おとひ思ひそおもひと長になみたにくれ去かき
一門とによふすを伺ふ鮫のうちにはそれしく
気長つかず
をしらか竹三郎うれ以のお長ひ入れ能ほと
にいせんの奥山物置より出て川江口に伺ふ
しらか
一廿其事に法事しまとの今朝早ふから渓を
かけも松せまの御行ゑを尋ねに参りました
れは今によふ春はしれ升ふまた松代とのゝなき
がら長頼寺へやり升たれは少ならず御案事
竹
成升流な
一里何から殿にまてそなたし田のいかひ世話にな
らきすみつのう
しらら
一八丁御その御世話を家来がするはこうやあた
かままて厶り升若吉
ちからを野ゆる折からに始終伺ふ鮫紙か足
音高く川と口から
ト奥山ぬ事足にて花みち付森氏屋まて行
大
わざと足責をさせ門え口の外より
一小いせん今帰り升た
〽喜身にひつぐりあたふたと照言ふを戸棚へおし隠し
せら前ひんとむねなでおろし
しらかありてゝ竹三郎越元の押金へ送思ひ金を有て
しらか
一鮫蔵長づてかいのう
下運にて奥山川え口をあけ
一壱人りの真からてゆかぬゆへ口布属と九郎作をた
しらか
のんてのこらず舟はあげました
一それは御人ごふてくんした奥江いて夕まゝをたへ
たがよひもふこちの人ももとる時分どれ膳こしら
へなとして置ふか
畳
〽いひつか立ツを引とめて
一小一そせん一寸まつてくだんせ
一何の事かしらねとよふがあるならのちの事に
大
一奥イやきうに去なはにやアならぬまり下にいなんせい
〽まる下にとしたれ寄
し奥山しらかの手をとりむりに引すへ堀らへ
の合かたに成り
いつき〳〵おなとよふなせりふちかりいふやうだが
爰の内にお未衛といふな玉さまがあれはこそ
玄海灘を構をとつよりまたとりにくひ親方らの
きげんをとつてしんぼらする其実の有る穀蔵
を早手の雲より形をきらい同之楫子の波六と
みよより不成候いゝかてし聟に直したむやくしさ
しかしゝ今さらしかたがねいこれから帆足をなき
直にしアリ波六免冬め冬春小ふね三間かひてずつ
と泣き出てわしといふよひ男の新造舟に
のりかへる心憂なひか小磯せんさいあいあたり
に人もなく一調うつはよひ汐とき色よひ返
事はどふじやそいのら
〽たき御法具を不具はらひ
しらか
一そましして長いやらしへおつとの有様のにむたへ
大
な事しつかうしやると親方にいてにやならぬそいのう
一そいわつしれ〳〵お未衛よりわらがさきへ親方に
しらが
いわにやならぬ事かる
一何とゝさんにいわにやならぬ事とは
奥
一一此人相書の落人を
しらか
一弓
えいせんの人相書を出す
え拘り思ひ入れ
奥
一なんと拘りでごんしうがな遣人をすれはず
つすりとほふびに有り御く落人の娘がそこ
しらか
みに有る事長かぎ御来ておゐた斎鼻を聖衛
がきらへはやぶれかぶれ戸棚のうちのしろ長のを
代官所へ持て行きほふびの金を長ら公にやならぬ
〽元朝を目かけ立かゝる地小磯釜あけておしとめ
大
しらか
一了具饅蔵まか〳〵待てくりやいのら
一そまてといふならまち升ふ
〽のつひきならぬ出すがいに上う座のかれの間合口
一成月と今まてはそなたこそきらひわせとつ
れなくいふたれどしんじつわしを思ふてならそ
なたの心にしたかふ月どにどふぞ戸棚のうちの
事は
雨
一そふいふおままの心なら何わしがいふ長のか
しらか
一かならずいふてくりやん殿へ
奥
一廿部いわぬかわりに筆爰に
下またたき法く
しらか
一くこれいまといふては
奥
一とつこひその手はくらまひわい後にといつて玉
しら
をこ出しく跡をひめにあけりとの
一なんのこつちに其よふな事出
奥
一なけれはちよつと口〳〵で長
しらか
一サアそれ冬
大
いやならめろふをひきずり出そふか
しらか
一廿をそれは
大
一おう出いやか
しらか
サフ
菊
一サア
サア
両人
一サウ〳〵
大
一そ長うこたへられぬ○
こゑられぬと追ひ廻す折から沖より帰り来る
一此家の傘浪六が何心なくうちいるいゑ出合少し
らにたき御今般蔵其毎候とつて御でんどう
卜此うち彼の音をおぶせむかふより璃寛どで
らしぼりの手甲脚半りやらししのこしらいかへ
のさきへ網をゆひ御事是をかつぎ出て来り
すくに舞台へ来てうちへ真る此とき奥山
しらかと心得璃寛にだきつくを其毎ことつ
て飢事の雰流
ヤイタし
えおき上り璃寛を見て
りふん
や若おやふたかこモ早ふ長とらしやつたな
一おれがうちへおれがし長とるを早かろうかおそ成り
雨
ふがわれがかまつし事はない
一サ何毛かまやせぬけれと○聞けふはりやうかきゝ
ましきおいの
一五人八干斎つゞきつつてきし雑魚壱疋ふとりはせぬせぬせぬせい
奥
一天よつほと手二両へがしたにとつと水きてて出
としての事に何とせらしよことが○其何やら
わすれしよふなまそれ庄屋どのから親方へ言
伝へをたのまれたトこちヲつといふて来よふか
〽間にあひ口にそ〳〵と奥へはいる長知らぬふり
下奥心思ひ逢有之奥へはい様
しらか
りめん
跡にはつまがほだ〳〵と
ホンにまりよいは二つへ巻みつて下せんしたおまま
の尾とりがおそひゆへアノ鮫蔵がそれは〳〵
一八百いわいのすてゝおれやれ○
あたりこかゞひ
ユシかのふたにおふわりはなひか
何やらすまぬ夫トの顔に
しらか
一モシこちの人おまゑどふやらすまぬかほきじやか
りめん
一これにはちつとよふ青の有る事
しらか
来や
一アイ〳〵
万人
しらか
見
じ合かたに成りしらか璃宅の傍へ詫ふ
一コン小磯おれやわか身に見せるものか有様
一何わたしに見せるものとは又
一サアも松さまの御行ゑがとごじ聞て居知れぬ
ゆへ長しや海へで長はまりはせつしやれぬかと飼
うつふりて浦〳〵をたつねせが長どやつぎりしれ
ずせんかたつきて長とりかげふと目に附た
は明神窓にう大あけ有し此手ぬくひ○
トいせんのしらかの手ぬくひを出す
見知てはなひか
〽さし出せば
しらか
一思◯アウこれ也
りかん
一昔こりやわが身のではないかひの
〽むねえぎづくり立波のさてく屋の株とり直し
卜しうか思ひ逢有之
しうか
一わつき長殿斗いわしやんせユかやわたしのじやくんせ
姫君殿
りかへ
一そよふ似た此もよふ
しかぬ
イヱ〳〵コリや何ぼ長有る染毛よふこれが岩に
かゝつたは大かたとこそのりんけぶかひ女中せん
りめん
か手ぬぐひてくんせう君の
一是がわが身の手ぬぐひでなけれはおれ長まづ
あんどとサいふものゝ其わけはいぜん勤御そ人
の不慮の事からはら〴〵におれをたのみに妹
かお供をしゝ堂様御兄弟おとゝひはからは是
お目に出たり跡より追手の来ほときゝどこへ
と長なふあら御長なく公身に其の事うち
明けておかくまひ申世と照葉せまきりう
すぐれしゝそのうへにもり年頃にならつしゆれ
はおわといへともしひよやとおれかなんそて
あらふかと女心のうたがひにりん気しつとかあるま
いといわれぬ矢せきへ此手ぬぐひそれてわが
しらか
身にとふたのじや君のう
一等みしいつになひ何をいてしやんはそりや人
に長よつた毛の御その大事と忠義瀬お未衛そ
ん領事も有様まいしよしまたお屋といふ
たのかおま衛のなじんた女子にせよ八干そこ
りとかん
かたとへの男の事手かけめかけは有様なら
ひそれをりんきするときは明神せま月の
御と出めて其身長死ぬれは親夫小長ひよ
んななげきをかけると思へば此手ぬぐひを見へ
てさへも異つたい給ふて恐ろしふて人の事
で長りんきの里の字きいて長ぞつとするわいなア
一くゝそのまではもしおれに妾といふよふな長の
しらか
か出来ても黒ん気はせぬか
一しんじつせい長んそんそん殿は
りふん
一そうやまに
しうが
一おままにうそをいわふぞひのり
〽しんしつ見得と女房がことぞに心奥の間より此
家のしうと鰭九郎あぐひまじくら出て来り
一ト無うち奥より彦三郎白髪かづら大しま
のとてらりやらしの親仁のこしらいにて多ば
彦三郎
粉盆をさけ出て来る
一里寝たた〳〵夜調の御かれてかづかりと半日
り成ん
あまり寝ての常た
一親仁さまお目がさめ升たか
しらか
一サア爰へふんせい十一月
〽娘か手あてあつにしきのふ心せんの上に高あぐら
トしらか大しまの座ふとんをしき彦言中
此上に僧ふ
りめん
一それ於茶之長あけぬかへ
しらう
一アイ〳〵
彦
りふん
彦
一聟どのけふはち法とはれよふおの
アめん〳〵にしへ雲が廻つたれはまたふりで厶りで厶り升ふ
一此うろのしまゞきておとゝひからの知らぬ火
て沖てあれてりやうがきかすまや食米ひ
り成ん
つのそこをたゝかにやなりきぬ
一成月としらとどのゝいわつしやる通り何そ全
長ふ事にあり御かねは此あこを法様さにやま
ならぬ
一そ其舎もふ事といや聟どんちつと取
しに聞たい事かある
りかへ
彦
是はあら堂まつた観仁さま何の御用てくらする
一かや外て長なひ戸棚のうちに達て有る娘
はそちかくすじか
りめん
三日
〽思ひかけなき舅の詞に夫婦は目と目見合せて
サアあれは
一候や何もかくす事はなひこれ此よふに人相
書てとらへて出せはほらびをやろうと心よか
らぬ刑部どのより行ゑをたつぬる菊池の家中
勇岡冬治郎どのゝ妹御てる葉どのてあろふがなこ
なたの為におそならおれか為に長やつばり御そう
しらか
ちあかしたらこんりんざい斎鰭九郎かかくまふ
気はテ人のおち目を見捨ぬる数生を有るつら
ほるぼし知斗どんなせうちあからしてくれぬぞい
〽情をかけるしそこたくみあり楚海と長しらぬいに
一ヱレ波六どの何毛か毛とゝせんが知ツての上はうち
あからして○
見
〽アかこれまつてと女房をとゝむるうち茂とやせんと
むねになみうつ波六が思案を定めどつかと座し
一其男どのゝ情の言葉にこれまていつて家そら
おそろしさ何をかくそふ女房におその娘といふ
くるめ戸棚のうちへかくまいしは
彦
一ヤ
一斎浪六がいゝかわせし博多の女郎でくり升る
しらう
一尺之事
花
〽おとろく女房を目顔ておさへ
一了是堂の人相書のお尋ね長のと丁度により
のととばいゆへおうたぶひを幸ひに女郎といつわ
りアリ女をおくまひ置たひ長の敗れと長女房は
と長あれ舅とのに一夜なかれのくゞつめを主あし
らいにさせられ升ふか長つたいなさにうちあけ
てお成と申す女かすぜうもと波六が筑前に
奉公かせぎにゐた呼ぶん博多の曲輪てかひなじ
み未長お長わず女房にしよふならふといつたの
をまことゝおもつてかけおせし国をへたてら来
た長のをむ事に帰れといわれ長せずとあつて
聟の身の上なれはわか家へつれて来られ長
せずせんかたなせの出来心におその娘と女房
をいつわりひきいれたのは鵜身の女郎かくわが
身のつみをうちあけておはならし申上からは
うたおひはらして下さり升せ
〽筆のかれに三寸の舌にまかせて浪書が舅をいつて
しうか
様汰くり言聞女房は誠と思ひ
山うろりやおその娘御といふたはおまかは成た
とやらて女房やくそくなせんしたけいせいどの
てこぜんしたか
りめん
一みこれそふては
一こそふてなくはおふれの廻りた冬治郎が妹
て流もふ
早かん
一何しに左やうな
一そんならやつはりけいせいどのか
りかん
一此部それは
一われが法とめし古屋の娘が
りかん
一サアそれ水豆
しらか
一そいせいどのか
りふん
サウ
一サウ
彦
一古その娘成
り出ん
サリ
両人
けり
三人
一帯く〳〵
〽さま〳〵どふじやと両方よりとひ詰られてせん方
長波にたるよふあま小舟よるべ定めぬはかりなり
一ト彦壱郎しらが上下より御免寄り隔寛じゆ
つなき思ひ
〽折から爰へ如き来る村のあ深きが門江口ふら
トばし〳〵に成やふより若いしゆのあほきは
あるき
しか出て来り門と口から
一鰭九郎との〳〵代官所から急御用わしと一所
に一寸くり升せ
一そ折わるい代官どの使〇これ〳〵菊跡から行
とさきへ帰りていわつせへ
あかき
一かや〳〵急御用じやから是非一所にくり升せ
一之領金子三地頭仕出したがねへ○運始上羽織
をくりゆれ
しらか
一まう〳〵
トしらか押入より羽織を出し彦太郎に着せる
彦
彦三郎羽織を着なから
ユシ聟どの代官所よりの急使ひてしかに落人
せんぎのすじしたとへ何といつわつて其此国へ入こん
と事訴人有くしれたれは女郎にせひ何に
せひ似寄りの女であるからはこなたのちからては
かくまわれぬまし此鰭九郎かかくまへは外は
知らず此国ではゆびて是ます事てはなひそれ
もおれが言葉を巻ちひずつれ少しで長するが
さいご合図の太鼓て出江かたり此かん国の法う
ろをとめれは網のゝをもおならし事跡で
かうおひせぬよふに代官所から帰るまでしあんきて
免く返事をしゆれ
ト此せりふいゝな出ら門と口へ出
始留守せい上○
ト門と口を〆
とれいつて来よふか
〽慈悲もなた草茂白砂のみちをぼめ〳〵かんぜう
親仁代官所へぞ出て行
トこれへ波の音をかぶ長彦三郎先にあつき
付ひて向ふへはいる
舅を見送り波六ぶ
花
一コレ女房どもふんにんしてれ〳〵げん在岡身の
親なれと心よからぬ鰭九郎どんそれゆへわざし
博多の女郎と間合ひ口の一寸のかれそれをわか身
か誠と思ひとかれ縁度の其く流らさ櫓械をとら
須徳もあれわか身をすててよそ外の女を内
呼れふかいの
しらか
一廿日其実心をしりなからそれとも無しやと女気
につににうたがふたはわたしがあやまりどふぞか
りめん
んにて下せんせいなり
一壱そんならうたおひ去れたかいのり
しらか
一はれいで何とせうそひのう
てこれしや〳〵是でおれ黒おちつひたわいの
しらか
一一ヱ〳〵ましおつかぬわいす
一何落付ぬとは
りかん
め其時におま衛何といわしやんすぞへ
思案がつかねはぜつたいぜつめへ
一廿いまにとゝせんか代官所少分毛とりてくんした
一何といふたらよかろふか戻りて心流打れまてに
しらか
一工
一光りやからいふきに酒のしからせ事があるなら出ん
してくりやれ
しらか
一何のぞらせつ長ないやぶきはま〴〵〇
下徳利をさげ門と口出て
どれ一トはしりいて来よふわいな
〽徳利をせけて気茂かま〳〵酒屋をせしていそぎ行
トしらか思ひれ有りてはし懸くはいる
跡に浪六どろおひつしあんにくるか日ともし頃
珍宅
ト論究思ひ入れ有りて
一今代官所から舅どのを呼に来たのは堂也
かにせんぎニちがひなと工みのわなにかゝらぬせき此
家を立のき浜伝ひ呼子のうらより小ふね年に
にていつれの嶋へなりとも御供なりてのかるか
たけはおちのやん○せは去なからふやんなは
親には似さる女房小磯跡にてわれをうらまんが
おその為にはかゑられぬ
〽難義一時に降りかゝり身にしる雨の音にまきれぜら
ねち明れは戸棚より照草ふはそのまりまろび出
トりかん思ひ逢有て戸棚のぜうをねじきり
竹三郎
あけ浪うちより竹三郎出て
一これ貞年しじうのやらすは戸棚にてのこらず聞
たわいのう○
りふん
用意の一トことほつ込んて
江戸棚より曇さしを出し遥域せし
一よふす御そんじ有様上は此家を早くおのびん少々
片時長早金御供領せん
竹三
一入りやこれよりはいつれをあてに
りかん
一その行さきは○其三
〽さゝやくうしろに鮫紙が
え奥山伺ひ出て
奥山
一落人やらぬ
〽落人やらぬとくみ付れとやせんかへれ身の大事みの
は幸ひ人目のふせぎ
一ト奥山くみ付里をふりはらひ立廻りなからあり
りかん
合ふみの笠をとりあげ
一此三の笠で人目をしのび
大
一何を
〽まし長やくみ付て鮫蔵をふり月とひてしんの当にう
トわめん立廻りなから竹三郎にかたものあきせ竹
笠を是をもつてよき月とに奥山をあて塚奥山
どふと下にゐる
りかん
一サクくり升七
〽ふり来塚面の足よりも道をはやめていそぎゆく
一卜雨車波の音をかふせりかん竹三郎の手を引て
むかふへはいる
〽ひき違てわき道より傘出たむけてとつかわしと
一小磯はわか家へたち帰り
卜右の僧長のにて橋からりよりしらか徳りを
壱布酒屋の傘すほめなからさと出て来り
同ト口出分
しらか
一こちの人今長とつたわい十〇
卜内へはいる
思ひ出事なひ雨てくんした十ヤこちの人はどごへ
ゆかしやんしたかこちのへ〳〵〇
〽尋るひやりしに瓜づく鰻蔵
ヤ鮫蔵か
〽声にやつくり心つき
奥
一うぬ波六め〇
トしらかを見て
や小籠さんか
しらか
一コン穀蔵こちの人はどこへゆかしやんしぞいのう
「
〽いふに鮫蔵うちうなづき
一天おそかつた〳〵おま衛か雨守のそのうちに
アノ瓜之六が戸棚から独多の女郎をつれ出し
て出事おちせうといふ所をおれがみ付てやる
まへとあらそふはつみにひはらをうたれ気をうし
なかたゆへあとはしらぬからは手に手をとつて
むつましくかけおちしたにちがひなひコンおまま
はだまされきらわれてこれでもくやしく思
わぬりおかや悔しくてならぬわい〳〵
〽多きつけられてむねの火の長ゆるをかくす夫思ひ
しらか
一そんならやつぱり御主といふには軽多とやら
水六せひどのか
奥
一くゝ候いせひとも〳〵二世巻三世長約束したり
浪六ヶかひなじみ
しらか
一壱瓶そふならは其よふにわたしにいふて
は下せんせぬそりや聞へぬわひ十部波六どの
〽お長わず傍なる鮫罷出むなくらとへて引
すゆれは
奥
一八里ヱリやりんきの門トちがひだ
しらか
いふ茂小磯は耳へ茂いらす
宮ぜんわたしがあれほとにいふしをおまゑはわ
すれて成可出事如か事は男の高下わたしやりん
きはせぬ花形それをふりすくゆかしやん
すはあまりといへはどうよく爪とお毛へは酒
たかこぼれるはこれぶやつぱりりん気とやら
て見へ出ならいわいのう〳〵
〽そのまかそこにどふとふすくゞき瀬車具ぞ
大
どうりなり
一まひた〳〵大かた弐人り今ころはとこぞてちん〳〵
鴨なんばんこまい事をはして居よふ此はら
いせは跡追かけ弐人りにうらみをいわつしやれ
しらか
一〽りん気をすむるわ深くさみ小磯はやとうすし
思ふ思ひ直して長けいせひどのをよびかへしく一ツに
居て長らわねばわし候かりんきをしたよふて世間
へどふも心がすまぬユリや謙追かしてむかへて
来よふ○
〽さす傘の柄もいわずむねの長や〳〵雨雲の行
ては長とり長とりては行き
トしうかよろしく思ひ入れ有て
太兵衛具と覚にゑりしならはりん気じやと
いてしやんせうかこれほとまくに思ふけとに
あい北に成御きての家成承りたとへとのやうにきら
われてもわしやはなれる気はなひわいのう
そユリやどふしたらよかくふそいのう
〽思ひなやみにうつとりと若ぬ事の傘吹末一風風は
魔風かばい〳〵〳〵俄に沖なりはたゝがみ
下しらか色ら思ひ金雨車雪の音に成り
しらう急度思ひ逢奥山これを見て
奥
一ヤアとふ〳〵ほんまのしつとに成りたた
しらか
〽見おくる小磯はかみさかたち
一たとひぐくへ逃ると長女の一ねん跡追かけて
されかゑらいて置べきか
〽物人流はしく我身をはわれとも知らぬみほつへし
心法くしの知らぬ火にさそれて行丁そ
ありれなれ
卜此うち雨車とろ〳〵雷の音はましく
しう出向ふをきつとみてお長わずあゆむこ
飢とにて向ふへはいる奥山これを見て怕
「
り取らし不流へながら
一ヤアあのいきほひては武んりのやつらをくひころ
そふ長知れぬけんまくこれも松浦明神の
しつとのとかめおしろしい〳〵
〽わな〳〵ふるふ其所へよくにまなこ長くら
まきれいきせき帰る様鰭九郎
日やはり雨車雷の音にて向ふより彦三郎
尻共しより月年のおれたる傘を半すずしめ
彦
にさらかけ出て来て門と口より
一やイ鮫籠いるが鮫蔵〳〵
大
一貴親かたか何てくんす
一これ波六は内にゐ様か
奥
一波士どのは落人の女をつれて今しげし
彦
一くゝつかはしつたか
奥
ヲイ給ふ
彦
一風をくらつて逃るとも合図をうてぞ近郷を在
出口を出ためて網の魚そふだ○
〽丸太ばしごをよじつぼりせらじし旁ひらき二かい
よりはるかの沖をきつと見て
江彦太郎上手二かは家へ上りせらど引ぬきうち
に太鼓かけのの塚彦三郎はしらをとらへ
急度見て
アレ〳〵沖にひらめク稲妻の光りに弐へりつれ
呼子の浜へおち行よふす鼓籠われも跡
追かけ野郎ど長にかせしてかならずきや
大
あらをとりにがすな
一心得升た
彦
一音どれ相図の太鼓を打てくりやふ
一ばちおつとツてうちならせば四方にきこゆる太
鼓の音
下彦三郎太鼓をうつこれにて下座上り
幕にて同しく太鼓を合す奥山大坂
大
手早の形りに成り
一そんなら親出し
彦
一早く行け
雨
一合点だ
〽とぶがごとくに
し向車雷の音にて奥山ひを長ち大
せんに向ふへはいる彦三郎は太鼓をはやめて
うつ是にて此どうくぶん
廻す
一本舞台向ふ弐段の波手すり後ろ黒幕上手岩のちり
上の松の立木目覆より同じくつり枝能所に水のたま
し岩山斎かたわらに為去つくりとらぶきの後小家此内
に鈴網板子なと入り有く下手面に芦はら都々
呼子浦夜の陣やはり雨車雷の音にて道具
留る
〽夜嵐にふく来る雨もあら海の音やはげ
しき余子の浦是のりあいろ長匂砂の光りをあて
に波六が照葉をと考ふ目配り気へはりよふ〳〵
磯辺にあゆみ寄り
ト右の僧長のばら〳〵にて向ふより運んの陽党
竹三郎の手をひきはしり出て来り直に本
珍定
舞台へ来り
一熊葉さま
竹み
一真平
帰宅
一うれしや音にてはおちのび升たる
下いきほつと息そつぎ
ト論寛思ひ入れ有之
一長う御あんじ被成升領これから舟にていつれへ
成りと長御供なして立退き升る
竹三
一アそなたのしんせつかたじけなひよし殿へ主ゆへ
前長けぬくらうとり四市小磯成夕べよりしん身も
およはぬかいほうの礼義いわづにたちのきしかさぞ
やあとにてうらんていよふ殊にはそなしか舅
とやらへ博多の女郎とゆふたゆへ長しやわしを女
郎と思ひ夫臣をねとつてつれ行しと思ひちがひ
瑞窓
をしやせまひおとそれが心のかゝるわいのり
アイヤ〳〵男と違ひ女房はそれは〳〵しんせつ
毛の前皇大事とぞんじく升てそれてお世話を
いたし升たを堂とへおれをおつしやらずれ長何
竹三
のおうらみ申升ふそんなやつじやくり升ぬ
一そのていせつ段小磯をもよしなひ主のわしく
ゆへにすてゝたちのくそなたのやが思ひやられて
いとらひわいの
瑞雲
一今わつけ長ない事おつしやり升せ女房に御主が
かへられ升ふか○イヤゑきなひ事をいふうちに
追手にあはゞ御身の大事尽しも早ふ舟にて舞を
〽夏の菜かしこの磯辺たつねさ成せど舟は飢具
下陽寛舟をさかす思ひ入れて
やらさりや磯に一そうもけふにかきつて舟のなひな
〽とほふにくる折長折四方に聞ゆる太鼓の音
ヤアノ太皷は
竹三
一何じやそいのう
え竹三郎瑞寛にすがる
帰宅
一あれそまさして具斎うらにて事あるときに懸合
の人数をあつむる相図の太鼓扨は鰭太郎
かわれ〳〵をとらへんための相図なるか
竹三
一三之
一陸小畳追手海には舟なく身たひ爰にきせまり
竹三
しか
一片やどふしくたらよかくふぞい給ふ
瑞寛
被竹三郎うろ〳〵と思ひ入れ
一長はや波六成ぜつたひぜつめひ退手か来じはうで
かき候は一ほうきりぬ事御供領さんかならず
御あんじ被成すな
〽ちからつくれと波六がいかゞはせんととつおいつ口を
心のうらつたひ夫じをしとふ一ねんりき
江何当未令にて
しらか
一こちの人イ給ふ浪六どのいのふ
瑞実也
〽呼養多長茂のすごく
一くりわが名をよぶはたゝかに追手くらつ
〽身ごしらいする其所へりん気しつみに小磯出しら
じやくこげつまつひつはしり来るこなたはにべる
出合ひがしちお長わずはつたとゆきあたり
飛のり折から稲妻にたかひに顔を見合せく
てめん
ト此うち雨事雷の昼にて向ふよりしうか
髪をみたしいせんの傘のそんぐにやぶぶ
しをさら候はらく出来り璃寛にゆきあたる
此時雷はげしく両人とびのき顔すがして
一やわしや女房か
しらか、
一こちの人か
竹三
一そそふいふは小磯どの
りめん
一どふして爰へは
しらか
〽おとろく夫にすがり付き
一差聞へぬ君皆〳〵〇
しやらへのすごき相出しに成り
これ波六どのなせかくしては下さんす宮ぜん茂
御ぜんとて御そさまの娘御を博多の女郎と
いふたのは心よからぬとさんゆへいつわりいふと
いりしやんしたがやつばり誠に御負といゝしはなど
みかせねしけいせひどのそれつれのかふばつおりに
わたしに酒をかいにやり其間に弐人りにけよふ
とはそりやどふよくじや〳〵こそふ
〽悔み濫ゞば
瑞寛
一弓宮ぜんもあれほとに舅をいつわる法へり事と
いひきかせ置たるにやつはりこれは照葉さまを
しらか
ならみの女郎と思つてゐるか
竹三
一しれた事いのふ
一太そのうたがびはなじや今もいまとていりぬ
事か追手の為に此よふに真平そちと立のくを
長しや小磯が女気に転多の女郎と思ひ思ひ夫え
をねとりつれゆきしと跡てうらみはせまいめ
といふし口長かわかぬうちさら〳〵むりとは
前長わねどわしや女郎てはなひわいのうたかひ
はれずは此照そふかはだの守りのへそのおに
菊地の家中何かしが乙の娘とあるのがせうこ
これ見てうたがひはらしやひのう
しらか
江竹三郎守りを出そふとするを
一里もふいふて下せんすなおはて給ふが女郎て
あらふかわしやかまいはせぬ花十一生そおふと
思ひつめた大事の〳〵わうが夫ト浪六どのさへ
長とつてくれりやアハテ手かけめか事は男のはた
らき御そなりと女郎なりはすいた女子てくん
すなら内へよんだかよふくんすりん気しつと
は神さまの御たり有るがおそろしさにう
らむ心はなひ君の○芦飯真どの其女郎せん
は右衛門と是に早ふ戻て下せんせい十部
瑞光
そまたまりわか身たうたぐつてか人にこそよれ
一此浪六か女郎ぐねへをする是のかせぬ春のかおれか
心も知りていよふぞい
〽真実之ゑし夫の詞に
しらか
一てそれほとまてにいけしやんすによしやうけは
くんすまいこたかふたはわたしかあやまりこれこち
の人かんにんして下せん長長しゝあなた御めん
成て下さり升せいす
瑞寛
一ろり中うたぶひはれたやし
竹三
うれしへわいのう
しらり
一一介しんじつあなたか御みなら殿をさら内へ
おつれ申お世話をせぬはならぬ花のうサア早
帰宅
ふ戻て下せんせい十ケ
その心さしはかたじ事飢ひか舅どのか追葉
さまをおかる年長のと知し上は内へもとらは
御身の大事それゆへわか身にわけ長いわず
お供申て立のひたは一ト先いつくのはて成りと
知るべ江御預り申心○あなたの御身さへかたづけ
は直にかくりて来るほとにしばらしの間これ
小磯どふぞ待てくれいやイ
いふにまし長や角めだち
しらか
一イヤ〳〵そりやうそじや〳〵わしをふりすて
つれてのかふとはどふで長女郎にちがひなひ
大事の夫とを寝とられしかりて気しつとは
神せまのおたゝりあるゆへ法ゆほともせまい
とおもへと女子のかなしさこれ此よふに泪の
出るはこれかやかはりりん気かは十丁
〽かつばとふしてなきさまぶなみのあけれやさし
汐のよせ来ることき人声に
りめん
下揚幕にてアリや〳〵と人声する
一やゝアノ人声は堂しかに追手見をめられぬ
其内郷すこし長早く
竹三
一それじやといふて小磯をみすてゝ
りん
一八丁小事にかまはずくり升せ
〽照葉ふが手をとりゆかんと太様夫とに小磯はすかり
つき
しらか
一答たとへ追手が来よふ金長こなたはやられぬ〳〵
わい十ケ
瑞寛
一星聞わけのなひはなせ〳〵
しらか
一千世はなせぬ〳〵
〽去なれ難なきしつとの一念たちまち沖に長ゆ
流しらぬ火
候とろ〳〵に成り両まじをおろしうしうしろの
黒幕切て落し向ふ遠見へひむとろ入誠らへ
の知らぬ火仕出事にて長ゆる
端定
一御そのなんぎ長わきまへぬほどの長のではなかつしや
一扨は女の浅は成に夫えをうらむ一念に神の
たりをうけし様出尽情なや十部
〽ヱヽなせ帝ないといふ夫臣か顔をうらめらゝ気に
しら
うちま長り
一答つれない我夫トうらめらひは其女たとひ此
身は明神のたにをうけて死すると是
女のいねん弐人うともやけか此まへおそそふか
〽ものくるわらも有さまにしかたなく〳〵浪六が
璃寛
これほどまてにいふものを聞いれなけれは是悲
におよび春長ふこれまでおその為にはかくられぬ
〽すかる小磯をはつたと常堂出し刀のつかへ手を
かくれは照辛ふはありてすぶり留
一トりかんの刀の法かへ手を出けるを竹三郎留て
竹
一りエン真平まつた事して多長んなや
瑞寛
一そおとめ被成升水おはなく与成升せ
〽雨浪照葉をふりはらいおどとゝの刀ふりあぐれ
は小磯は夫々に身をせしつけ
下りかん刀をぬきふり上流しらかこれを見て
からだを遣して法事無くち始終らすどろ〳〵
知らぬは長ゆる
しらか
てころさばころせ思ふ男の手にから死儀ほど
瓜をつきまどひいつがな添さぬそしたせぬ○
〽いかりの泪たばら〳〵とふみ長心茂雲かたいて
廿日ころせ〳〵ころしおれいやう
珍宅
一身をすり御くれは浪六がさすが夫婦のおん
直にふり上げ盤上ケなからころす長ひんと
かたなをおせめなためすかしゝてのがれんと
一くころさうとしたはおれ成あゆまり何とが長
なひ女房をどふまる刃があてられまふ介
おれがわるい〳〵ゆへエレ此よふにあやまる月ど
しらか
にどふそ心を逢かゑてわか身は内へ長ごつ
てくれこれ女房と長たのむ〳〵わい十郎
か〽手をさけたのめは取越せきたて
一一や〳〵聞ぬ〳〵なんぼで長聞ぬ〳〵
りいん
一くりやとふ有て長
しらか
一男を寝とりし候了女斎のうらみはらせに
や承らぬ
下しうか急度となり竹三郎にたちかゝる
竹三
一アレヱ
りふん
一そせひに及ばぬ
〽たぶさ法かんて引よすれは髪其心茂三た
れ焼夫の刀ひきぬ以て照言ふ城目成事ふり上る
しら丹のいなづましの法具雨海はとふ〳〵吹神
の長のすごく茂また恐ろしは
一ト乗ち黒かんしうかを引へるしうか引すへられ
形出ら早か書の刀をぬき竹節に切しかゝ
流りかん竹三郎を出こひこれをとぬる立廻り
上るりの切れより雨中雷の音長のすごき
詠らへの僧長のに成りりかんありあふ傘を
とり立廻り竹三郎正面の岩の上へに遣て
ゆきしらか追かきゆくりかんこれを留なら
三人岩をかせに立りあつてりかん傘
にて刀を打落し直に刀をとりしらかを
切ろふとする竹三郎是をとめ様これにて
しらか岩の上よりすべりおちとふと成る此
跡をりかんきりつける是にて上海に成る
〽かゝる折ふらあまたのりやらしたいまつてらしおひ
ふけ来り
ト浪の音にて向ふより中通り八人大坂手
早きやはんこんのはらかけかいを長右衛門壱人
さきへたいま門を長ち出きて来り
○
一それ落人のがすな
三軒也
一かつてんだ
〽一度にかいにてうちかくれはなんきかせなる浪六
か一世の瀬戸ときりたてなから
瑞寛
卜八人かいにてうつてかゝる瑞魔寺立廻り
一昔照もふさまには此場を早く
早く〳〵と世具立れ照葉はせんかたなく
一茂浜辺つたへににけゆくを小磯は跡を
したい行
り竹三郎上手へにけてはい様しらかおき
上り此跡を追かけてはる此内わかれ立思
いて真中に急度見得八人左右へわけれ
てとりま〳〵
一じやまになる波六こいつをさきへ
みなく
一たゝんでしまへ
りかん
一何をこしやうな○
ト認候への何毛のに成り八人かいにてうつて
かゝり立廻り有て偶長のかわり上手の渓小屋
よりいかり綱板子瓜といだし是をかせに
立廻りよろしく有之
〽多の勢を相手に波兵成火花をちらし其矢つ
へ出来る舅の鰭相郎手なれしかいを
おつとりてあたるを幸ひうちに生つれは弐人が
手形みに舟子ともあせる千鳥の跡だつごとく
〽むら〳〵ばつとにげちつたり
ト此うちばし〳〵に成り向ふより彦三郎
尻をから事はだぬぎ大坂手甲一本さらし
にてかひをかひこみはかり出て来り此中へ
真りかひにて中通りをうちたお共大夫より
の立廻り有て下ぐ彦三郎は上手へけへを
追ひこむりめんは橋成り一四人を追入む
〽追かけんとして立戻様親子ははつは行当り
りめん
一ト両人跡すさり舞台真中へ来り
一ヤア男どのお
彦
一聟どのけがはなつたか
りかん
一何是しきにけがところか○してこなせんには
船にゆへ是へ
彦
一升照言ふどのを助けん為
りめん
一何といわつしやる
一ト彦三郎思ひ逢有之
彦
一青きこへぬそよ是むこどの○
ト彦三郎よきところへ住ふ磯らへの合かたに成り
最せんあれほと此男がいふしをこなたこしぶふて
代官所より長とらぬうち照葉どのをつれ出し
てどごを目当てに落る気だ此近郷きんぜい
は大友刑部か領分ゆへからめ取てさし出せば
ほふびの金はのそみしだいと代官所よりはいふ
越まわせはよくに目のなき世の中へわれわれ上ら
へんと鵜の目鷹の内なる所へこなたのちから
てかくまい置はしれるはひつぜり此醫九郎
お日ころ悪事にくみなすゆへほふべの金を余所
にしてかへまい置とはたれも知るまじそれ
ゆへさいぜん御そならかくまてまてんといつたる
かりゆひ娘につれそふ聟に忠義がさせたひ
斗りなるぞそれをうたがひ熊葉どのをと長
なひ出してと聞しゆへ南無三ぼうしなし
たり追手の為に命やすてんと弐人[リ]助
けて其為に追加事来る瞽九郎かほどに
思ふ長水のあわりつねか常なら子にまく茂
うたかわるゝが口出しひわい十部
〽わづかにの房奥歯をかみくやみなみたにくれ〆
けれは扨はそふかと浪六茂大地はたと
両手をつき
ト此内彦三郎よろしく思入にていふ璃寛
瑞光
思ひ逢有之
一天親の心子しらずみ厄ぼとに思す心を無に
なしうたかひ過て家屋せし家屋せしは此流六か
一生のあやまりはらも立ふが舅どのこれ長
お主を大せつに思ふからみな起りし事忠義
の弐字にめんじられ不孝の御みはおゆるし
被成て下さり升せ
彦
〽工みありは長白砂にからべをうつめわびければ
くか扨は聟どのにはうたかひなれ舅か法く
す実心がいまそこなたにしれたるか豊忝ひ
りふん
〇三干てり葉どのか見へざるがいつれへおとし申世図
一今の追手に漬辺伝ひ松浦のかたへゆかれしが
あんじらるゝは女房小磯あなたを女郎と
思ひちかひりん気しつとで照辛ふ玉の跡を
退出番ゆきしよふ其
彦
一一やらそれぞけかひ青こしも早くあと追かけ
陽寛
てお納け申やれ
一いふにや及ぶ
彦
一サア〳〵
瑞光
一合点じ
〽追出けんとするところへこけつまつまろ曲川逃来
流照□小磯は跡を追ひかけ来り
トりふん身こしらへするばら〳〵に成り
上手より竹三郎逃て出て来具跡よりしう
か追か事来りりかん竹三郎をかこうしらか
急度成りて
しらか
一男を寝どりし仇と女免くひ付ひて船どうら
みをはらせん
トどろ〳〵にておもわず竹三郎のそばへあゆみ
竹三
よる
一了レス
トりめんにすかり付き
りふん
しらか
一是なをけないまだ長心かと事ぬよな
一いつかなとけぬ命をとらねは心盤とけぬ
〽照言ふ越月かけ立かられは中をへたて流浪六が
手出し長ならぬ舅の手前それとまつし
て鰭九郎
彦
一おのれおそに手むかひな共につくひ女ろうの
かくごせよ
腰のたんひらぬ是より早く小磯のかた先き
きり付ればうんとはかりにたおれふ共又
ふり上る刀の下其身をかせに浪六げ舅のかい
取しつかと留め
ト彦三郎しらのかたを下刀きり是にて
りかん
しらか下手へた出るかりかん彦三郎を留て
一てエレ舅どのまたつしやれ日ころににさる女房が
りん気しつとは神のたゝり小磯のこざでは
くり升ぬぞ
彦
一くゝい成にし此月どより水沖の知らぬちいつれの
一登れ成娘そと余所事に思ひし長こいつかしつ
候で有御たかな所せん神のたににて
竹
長はや命のなひ娘親か手にかけころすかまし長
一そこれといふの長みなてしゆへゆへゆるして下され
これ親御
〽手を合してふとおかめぐさすが親子の
おんあいに
彦
ト彦太郎思ひ入れ有之
一間お長へは女のたしなむへきりん気しつと
につのりしゆへ神の御ばつで死るのはじ
がふじとくといひながらわか子と思ひはふべん
てくるコレ聟どの所せん命は助らねばこ
取たへたのみいまわの名ごりに娘とまつこのれ
さかつきまか世の三や事にしてやつて下され〇
〽いひつかあたりの蛇貝手にとり上げて
幸ひこれに蛇貝かた思ひ成る娘がさかつき
思召にたまる天水を未都の水にこなたかのんて
残りは娘にのまして下され〇
〽貝をかた手に立上り合界のしなき弐ツ三り
一茶おし華穀蔵か岩間へうちこむひ
そう石鰭九郎は水くらあげ
ト彦太郎立上り思ひ途有てせきばらひを
するこれにて蕘のかけより奥山半身
出して岩の水たまりへ毒薬をうち込む
彦三郎此水をくみ
サア聟どのこなたかのんて娘へあとを
りかん
〽さゝ出せは貝とり上げ
一り此世は神のたゝりにて非業に死す
とも未来てはかならすかわらぬ女夫じや
そすなはちこれかかためのさかづき
〽くつと一ト口〆之おわれは医九郎八とくと見て
トりかんくだんの水をのむ彦三郎見て
彦
一其よくのきてくれし〳〵のこりは娘にのま
せてやるは○
〽択たる貝をとりおとら
南無せんこれはそそうをしたわい
〽こほる水は水毒薬に漬辺のかにの穴より
真出一度に死れは浪六目を付筆
ト彦三郎蛇の貝をおとすこれにてうち
どろ〳〵さしゝかねの少に出て一時に死
りふん
ぬるりかんこれを見て
一やゝいまこほにたる其水の砂地へ至事堂は沢
蟹の穴より去い出死堂流は
彦
一それそ毒気のきゝめ余は
りかん
一やら何と
〽怕りなして立上りしが面色かわり苦痛の件にて
尻居にどふとたおるぞ照葉はかならく其か
うつき
トり出ん立上り毒の廻りし思ひ逢にて
とふは成る竹章かいほうして
竹し三
一是真平どふぞしやつたかいのり
りふん
五ぞうにてかにあららんならし骨長くたぐる苦
彦
は長しやめんたる今の水は
一南ばん秘法の毒薬だは
黒かん
一貫文
ト両人ひつくり私す此とき奥山清太郎をせおひ
出て
奥
一親ふたまんまとしゆびよく
彦
一毒をくらはたはういひぜまだ
りやん
一畳情の言葉にだまされて手長りをくいし出
〽気を長みあせれ上毒気の廻りに五升自由
にならざれは無ねんのはがみなすぎり照素
はすかせず波六成刀をおつとり立上り
日此うちわかん毒気にくるしむ思ひ逢よろ
しく竹三郎りかんの刀をとり
竹之
一真平のかたきおくこしや
〽切てかゝるを身をおはし刀長き立りつきはなせば
〽小かひな取て彼蔵が照言ふを其匁か引すゆる鰭けら
はかたへなる岩にとつかとこしうちかけ
ト竹三郎切て出候るを彦三郎刀を引たくり
あたりの岩台へこしをかけ
彦
一ヤイなみ六長ふじたばたして長かなわぬめいとのみ
やけにいまおれが聞せる事かある○
ト認らへの合かたに成り
おとゝひの夜の宵月にひれふるふ流ふるふ
を通りふくれは芦原のかげに女は男の声
聞耳たつれは御尋ねの菊地の家中雪岡
か娘照素と知りたるゆへほふ屋の金にあり附きし
今芦原可遣て出るなりし長月はかくれてう共
くらがりやらじととめるをふり払ひ女をつれて
にげゆきし男がはげしきはたらきにとりにが
したるこしろかげ聟かすかたに似たるゆへ
うちへ戻りて伺へば戸棚のうちへかくすよふす
扨は聟にて有りたるおこれ幸ひとなさけを
かけ足をとめさせそのうへで訴人をせうと
思ふ所へ代官所よりの急使ひせひなくゆき
しその跡にて照葉をつれてお下しと聞
合図の太鼓をうちならし貴〳〵をかためせせ
とりこにするにはだます手なしとしつとの
ねんでたに越うけ死ぬる娘をやくに立て
うす手を負せたばつかりに工云の有様長しらず
していつはいくらはし毒薬は波六われをおつ
ころしその娘の此照素は刑部は刑部へさし
りふん
上げてのそみしたたいのほふびを長らひ米よ
ふ米花にくらすのを草葉のかけから見物しろしろ
あくまてにへき雑言を聞にこなしはいざりより
太毒気の廻りに五件茂かならず大おんうけし
御壱人の娘をやみ〳〵とりこにされしか干工之
口おしひ
〽口おしゝ泪たにくれけれは主の娘といふ声の耳
に通して多おれ居し手負ひの小磯は
むつくとおき
えしらか心附きおき上り
しうか
一そそんなら女郎と思ひしはやつばりまことの
御そで有りしかこちの人かんにんして下さんせいまい
〽これにかゑれはふしぎに長沖にひらめく知らぬ火の
一度に消て庄の海小磯はさくゆる鮫蔵を
取てつきのけこり葉をおこひ
一ト此うちとろ〳〵に成り黒幕にてしらぬ火を
音春
ヱヽおいとしいわひて塚葉さままたうらめといて
とゝさんいかにほふべがほといとしければい娘の
つれそふ男を親の手つから毒がいなすは心は
鬼かじやかいのう
彦
歎く娘に目長かけず
一親子の義理をわきまへて今の浮世がわたら
れ流長のか○やイ鮫籠われは悲葉をつゝらへ不
ちこみ刑部さまへつれてゆ事聟や娘の片を
つ事ほふびはおればとりに行ぞ
奥
一今承知し升た帯めろふめうしやアがれ
一ゑり出立とつて引立れは
竹三
一そいわふよふなき悪人ともの手こみになるは
口おしひ花のう
異
一八丁やかましいりい
しらか
一アノユン照□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
彦
〽さゆる娘がゑりかみとり鰭九郎空気をいらち
一ユリや鮫蔵しやませぬうちに
大
一そふつてんじ
〽私を兼用しや茂あら野にてくる〳〵まきに
つくよりへうち込み手早に役蔵しつかと背負ひ
一足いたしてかけり行
卜無うち奥山竹三郎を有合ふなとにて
しばりつゝりへ入れ是を背負ひ波の音にて
いつすんに向ふへはいる
りふん
一星やみ〳〵御そをつれゆかれしか諸追かけんに長
此苔つり千工之口出しひ州〳〵
しらか
これこちの人気つかへさしやんな手負ひなから
長女の一ねんおま衛にかわり諸追か事とり長
どさいて置べきか
りかん
一出出した女房すこし長はやく
しらか
一がつてんじや
〽手負ひ取からも一念力跡をしたふて退行ば
トしらか思ひ逢有ていつはんに向ふへはいる
彦
一そ親にまかろふばち当りめうぬ待やまがれ
〽ゆかんとするを真平がやらどとすがりとゞむる折から
鰭九郎か懐よりとり落したる一巻
哉彦三郎ゆかふとするを璃寛留儀此事
りふん
彦三郎けいづの一巻をおと共
一や斎一巻は
彦
一それを〇
〽取流に成候るをふりはらふはづみに海へうち込めは
浪にゆられて船出れ行
トくたんの巻うしろの波間へうちこむ
やゝだる事のけいづを
りかん
一はるかの海へ
彦
一これ長うぬゆへはいま〳〵しいま〳
〽五体叶せぬ真平がゑり出みとへて岩角より海の
源三へうち込みて諸白形みは
ト彦三郎里かんを波手すりのうちきり穴へ
うちこむ水けむりばつとたつ波の音三重に
て彦三郎いつさんに向ふへはしうはる波
の音にてわらぶきの小家芦原を引て
とり雨落より一面の波手去りを出し
よき所へ詠らへの岩台を出し出春よろし
具送りかへしにて
〽おふてゆく折から空にふり出す雷はさなから
八重地獄紅蓮の波をかたちてかしやくに苦し
む罪人より毒気によける真平が一巻口にくはへ
波間をくがりておよき出かたへの岩によち
のぼり苦しきいきをほとつき
江浪の音はけしく切宅より浪事むりばつと
たち着ん好みのかつら口に一巻をくわい
りふん
岩台へは以上り一巻をとり思ひ金有之
一まて残念や只いつてきの毒薬にて五件かなり
づ此まゝに底の長くつとなり去てる此真平が
今はのきわにふしきに手に入る卅一巻
一鰭九郎か所持なせしは合点ゆかずと押懸らき
うらゝろに伺ふ弐人りの舟子か
ト此うち上下の切穴よりいせんの舟頭弐人ケ
およき本岩台のうしろよりはいあげり
舟道
一野の一巻をこつちへ渡せ
〽こつちへ渡せと組付を苦法うをこらへ真平が
りかん
左右へ壱反に瀬第の書けて
一ト両人かゝるを里かん双方へな事の第一巻を見て
一やゝコリや龍道寺高頼かしつけん小しま由膳お
家の名づ
舟頭
一何を
〽あり合ふ汐来おつとつて打てかゝるを身をかて
しし千早く一巻まき納めすき伺ふ両人を
とつてひきしきねぢふせ
えりかん両人を相手に立廻り有りて
彦
扨は先年転多の浦にて古草官丁礼かうち云
ぼされし其折に討手をのぶれにけのびて
少しま端丸といひし海ぞ具は龍道寺が余事故
舟頭
と聞し出スりや鰭九郎にてあつたるかエりやよ
いものが手にいつしそへ
一其一巻を
〽ふりほとへて双方よりけいづを目成事組附を
一毒気によわる直平がこゝをせんどと打合ひ組
合ひ
一ト斎うち益り文句の切てより床と下座
ろらへの合かたに成り
りかん
一せうこに成るべき此一巻菊地家へせし上事て
一鰭九郎をくちとらせ我うらみをはらせんとは
思へど長つばさなければ叶わぬ事
舟
一それをこつちへ
万人
下立廻りて
一此上は腹かつさずきこんばく此犬にとゝまつて
けいづをせし上事照乗せまの御身の上
舟
一何を
りふん
トまた立かゝる
一かゝるたし豊後醍醐帝隠岐の国へ左延の
折から泰の武文といへし長の有人の為に
命をたち其一ねん盤と化し御息女をすへひ
しく聞それにならつて命をたち主人
越守護なし奉らん
〽持たる刀とり直しかつばと穿たて引ませは舟
子はすかはづ一巻をうばいとるを真平が弓手に
ひきすへ馬手にわが五ぞうをはぐり引出しこくら
越目加布船布一匁はれ畳多大夫火壱ツの後火
となりあやしのか長めあらわれ出舟子が持ちし
一巻をはしにくわへて陰火とと長に面の方へ
と飛ひゆきしは
ト此うちりかんよろしくはらをきりぞら
不をつかみ出しゝ船車附流是にて候ろ〳〵
に成りせうちり火長へ蹴らへのか長の一巻
をくわへまひ上流りかん是を見てにつこりとつ
思ひ金両へくみ付をりかんきりたおは
両人左右へ差事にかへる
〽あやしおそろしし
江大どろ〳〵に成り件の争と誹らへし
びへどろの人魂向ふ正面へ引て行是は二時
に隠宅のんどをつらぬき岩台の上よりかへ
り落る竪どろ〳〵三重にて
幕
雪おろしにて
つなき直に
ひき色す
十
あひ原の
春狂言
しめぬむ源六
十六月廿一日
琉球蛇寺国場
一御条引御機関御関御帷子連中
一階三段通速一群堂潰れ中
鹿
しうめ
国の
右同様吉
しらぬひ静
第壱番目大詰
阿弥陀寺の場
かく
奥山
七土衛衛
竹三郎
佐十郎
おす三郎
若太夫
本舞台一面の浅黄幕雷の積りし松のつりゑたゆきおろし
にて幕明く
○
じやはりゆきおろしにて向ふより黒け天の上り
手四人三の笠にて出て直にひら舞台へ来り
一いかにかた〴〵われ〳〵は此度大友刑刑部さまの
内意をうけ需岡冬治郎加妹照葉まつた
△
第りき松が落ゆくさきをせんきのやく
一また弐ツには前家のしつけん鳥山豊後出忰
一秋作いつぞや宮しましゆひ水折又豊後に
かんとううけ行ゑしれずに成し様はころ
一跡にてよふ春をうかゞひは親子両へいか合せ
▽
にて蜘のよふじつおこのふと聞大友宗隣か娘
一若菜姫かれ出行ゑをせんきのよし
鳥山親子は刑部さま春し介さまにじやまに
なるやつらそれゆへ長し長見当らはうつて
すてよす内意のいら法事
一何に長せよ照葉なり秋作なりからめとつて
さし出せはほふひ今冬のそみしだいつれ
三人
尾ゆたんしめさるな
一心得升た
○
一くらつしやい
江やはりゆきおやしにて四人上手へはいる
しらせにつき浅黄幕切ておとす
一本舞台跡へ下ケて一面のゆき幕左右ゆきの積り
し松の立木おなじくつりゑしよろしく道具留而
下諏らへの便号のに成り向ふより若太夫すり
たてぼふ鹿せん野はかまぶつまき羽織
大小かた蓑ぬり是結竹笠をおばし書て
一東余跡ゟ茂々三武十郎壱本左之里や
るしにて伺ひ出て来りどろ〳〵に
成り奉舞台へ陰火長へ而前兵市のか長
め舞ひ下塚これを見て
若事
一はそいぶかしやな部
武十
元行ふくご
申出候るを立廻りて武十郎をふまひ茂候上
をねち上げて
今亀善多門之介充行がぶける
うけ男形りせし元腹に九外順けんのげん
命をふらむりその地のやうすさくらん病従者
長つれず只壱人来かゝるる路じをせましくるあや
しき弐人のくせ長のに日さきにさへき様一ツの陰大
ことにはか長めの何やらん口にくわへて舞ひおり
しは凶事か吉事か何に忌せよあやしき
此場のふるまひしやなり○
一ト茂り三戌な布のける武十郎はねふへし
かゝるを一より立つて両人をなく我なる本
舞台舞台一来る陰火へ思ひ逢両人は跡より
うかゞひ来る若太夫思ひ金有之
何菊地の家臣雷岡か若とう村岡興平おわれへ
法具様子細有り候成今
下着太夫思ひ逢
武
一かくご
ト両人左右より切てふら様若太夫鉄石餘を持
両人を相手に立廻りなから陰火へ思ひ入建
若
有て物を聞取らし
一何と先ねん父秀行に云ほされし異国の海
一ぞく土草官丁楼か余るいの長の此辺りに住家
越友春と成
両人
うぬ
若
ト切てかゝる
一されはかねて光行ふ家の仇にならんとまつ
しより〳〵せんきなすおかふら扨は此世をさら
りし通業にてわかきやうちうをせつし賊との
との余るいをしらせしよな
両へ
一何を
下また立出か儀聞事有之
若
一くゝか長めつくわへし一巻其人長春のゝそいづとナドンの
え出長免若太夫のそばへ来る一巻をとほ
ひらき見て
ユリや勝道寺高頼出家臣小しま典膳か家の
けいづ○大りや嶋山のばんとうよな
しまた聞事有て
何当国あみた寺にて其人長長のかわが手に入る
とかよくぞ知らせし村岡真平そのこうにめで
私んじが主成る雷岡太郎郎成家名相続のき
それがし是江上りなし得させんまよいづ
ぜうふづとくだつせよ
武
トこれにてころ〳〵陰火は消へか長め長め畳飛行
一かくご
トまた切て出ゝるを留長のかわりて去来しき
立廻り下が若大夫鉄肩をくわい左右へ一時に
当流両人立すくみに取塚若太夫鉄肩越精
若
思ひ金有之
一今真平おこばんのわれに御けたる賊徒の余る
ひうちほろぼして〇
ト両人を扇にて一時にかへす両人見事に
かゑ流
手はじめ乱せん
ト思ひ入ればら〳〵に成り橋かりより七右衛門
佐十郎野ばかまふつさき羽織大小わらじし
七右衛門
形りにて出て来り下手へるかへ
一わか暑是舟
佐十郎
一おりたり付りし出
若
一そ左司馬右内おまち兼しそ
御跡をしたひ立かれに御供帰て参りし所
佐
此跡の松原にて君の御青ぶし見うしなひ
一そこよこゝよと御尋年申それゆへにこそお長
わぬ丑刻三干わが暑には
両人
一これよりいづくへ
一当国あみだ奉へ参候以私せは両人と異に供いたせ
一かし藤御てくり升
議ニ
下此とき長々三武十郎心づき伺ひ寄て
一光行かくご
ト切て出候様を七右衛門佐十郎両人へし
立廻りて一瞬にひ出しき
七十九
一君にまむかふこやつらは
若
一みち越まいき流くせ長の餘れは切てしまへ
供
八り
分落候上武十郎がわきさしをとり見事にきる
│
多お甘若太夫見也
一此賊徒せんきにさいせきよし
仙
一卜無之ち七右衛門佐十郎太刀をすて手を御かへ
然らはわが君
若
一両人来やれ
仕
一八日
しときの太鼓に成る行れつ三重のよふなる
長のにて若太夫先に土右衛門佐十郎つき上手
へはいるしらせにつき正めんのゆき幕
切ておと其
一本舞台三間の間高足の弐重三方折廻し三尺の本様つき
正面明立のとびら出けらふきの家根付き斎端に室ちやく
をさけ惣体朱ぬり極ぜいしきめつき金長のつき都て
一三重塔下の体左右筆如いた余塀無うしろ松の立来日小備へ
よりおなじくつりゑた此どふぐ一面にゆきふりのこのみ
よろし今道具納録
卜ゆきおろしにて禅の勤になり日覆ひ
よりゆきふりばら〳〵に成り向ふより前幕
の奥山つゝちを背負ひ出て来りこれはおな
じくしらかみたれしかみをゑり春とにて
むすびして以花道にて守立廻り直に本舞台
江
え来りしらか奥山をさゝへて
大
一そしみしつこひ小磯さんたとへ何といわんして
長親かたからあつかつた大金に成る此しろし春の
しうか
とふして是が渡されふ
そりやなじやかこれ鮫蔵弁小磯が一生の頼み手
越合せておがむほどに言ふそわたしてくりやい
大
のじひじや情じやたのむわひのう
一成月はそれ一月上まてにいわつし岸ならうんと
いふまひ毛ので長取いかは干そこめ魚屋ありや
一水心斎鮫蔵か首つたけほれぬひている小路
せんおまへのたのみ長うてくいてふ其かけり又
わし出たのみ長うんといつて常盛て寝る
ならわたし升ふ
しら卅部
一同断同右同
畳
一それかいやならこつち長いやだ
しらか
○ト行かけるをしうかとめて思ひ逢有之
一アヽコレ数蔵気のみちかいたれ長いやじやいひ長
大
せぬ長のを
一そんならわしにだめれて寝るめ
しらか
一廿丁それは
雨
一万五十五をつれてゆかふか
しらか
一サノ摺而連は
大
一だかれて寝るか
しらか
一サアそれは
奥
一いやなら女をつれてゆかふか
しうが
一サア
雨
サア
サア
両人
一帯〳〵
大
一いやかおふかの返事をせつしやれ
トしらかじつと思ひ逢有て
しらか
一ユリやモうぜひに及ぬ
卜奥山の刀へ手を出ける奥山留て
奥
一ユリやわきせしへ手をかけてどふするのだ
しらか
サイ
雨
しらか
一此鮫蔵をき流兼し船工りやそのかわゆける余り
てにくさが百ばいじやま立てすりやア生ては置ぬ
一そふいふおのれ長生てはおかれぬ
大
一何をこしやくな
トふり拂つて行出来流しらか足へとりつき
是をけのけるひやらしに奥山どふとなるし
うかありおふせいさつをとつて打てかゝる奥
山つゝらを下へ置くわきさしぬき立廻りゆき
おろし三味せんいり禅の勤に成家しらか
奥山のわきさしをうち落し直に鳥て
切てかゝるこれにて奥山塔へかけ岸しうか
追かけ立廻り有りて下が奥山とびらをひらき
内へにげこむしらか追ひかけはいるときの
ふねゆきおろしばら〳〵に成りはしゆり
よりふくめん頭巾たつ附大小みの笠にて
すがたをかくせし長の出て来る跡より以
せんのとり手伺ひいづる件の武士つゝちゟ
出かにしふり袖へ目を法事思ひ途有て
とりて
立かゝる此時損手にからひよる
一捕し
分打てかゝるを屋右へ飢事の事うら向に
て塔の上を見あけて急度見得しらせに
つきいつ春の山門せり上帯の僧。尾のに成り捕手
を相手に立廻り船がら此道具ゆつ余りと
廻縁
本舞台弐間常足重の塔弐重目三方折廻し前の出た
を一間あつき舎長の附きの折廻しの高欄上下かはら
家根雨落りより少すみをせり出し爰にしらか奥山立廻り
の見湯にて道具留様
トゆきおろし魂らへの僧長のに成りゆき
しきりに不流両人立廻りよろしくありて下が
奥山かなわず高操をこしとび下りし思ひ
彦
一途にてせり穴へとび込しらかおなじく高棟
おこしせり穴へとびこむ此時ばた〳〵に成り
一正面の立やらきひらき前幕の彦三郎
出てて構へ足をふみかけ急度見おろし
一太親のじやするにつ金きめらうめいきの根留
てくれんと思ひ出け上はたる此三重穀屋と長門
と長弐重目よりはるかの下へとび下りて骸走
みぢんにくたけしなちてこれて足手まとひは
なひ刑部せまへ落人の照乗をと長なひほふ
ひの金雷岡一家のゑだ葉をたち七草官丁艘
がむねんに死したるこんばくの今ぞうら
みをはらしてくれんまらこゝちよやうれしや
瀬部
トよろしく思ひ入れまたしらせにつきせり
上りの僧長のに成り此道具廻流
本舞台長との塔の下の道具へ長どる
ト爰にしらか奥山のわき腹へ刀をつきこみゑ
くり向縁見得奥山く流しみ
大
一是女とあなとり不成くをとりし出口出しひ
トしらか出たなをぬり奥山はつたり堂を備へ
直にのつかりとゝめをさす奥妻まつトくる
しむしらかこれにてほつと思ひ金有て
しらか
り有かたや神や仏のおたす事にて塔の上より
とひおりしに上こに壱りの舞成長なふ殊には
じやまな此鮫蔵しとめし上は照葉生まを
すこし長はやふと長のふていつれへ成りしか
おちのびんそそふじや○
トつゝらへ立出候様此ときと至らを開き
彦三郎つか〳〵と出てしらかを引の裏塚
やとゝせんか
一娘わりやア命か有りたか
ト拘り思ひ逢
しらか
一其三此つからのうちの照葉せまをどふぞわたし
に下せんせ
彦
一豊馬鹿殿事をぬかしやアぶれ大金に彫縁此女を
黒色にやつてたまる長の出サア野三歳〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵〳〵
冬どきやけがれ○
トしらかを常たおし
是からほふびを長らわにやアならぬ
しらか
一イヱ〳〵何といてしやんして長これは成りはわし
壱巻ぬわい十
彦
一うぬそふぬかしや部命出ねいぞ
しらら
一廿日命かなくはいさしらずいきあるうちはやら
れぬ〳〵わい十部
彦
一そめんどうなはなしやァがれ〇
一トしらか兵衛をふりはらいひはらをける
是にてしらう山こトいふてたおれる彦三郎
これを見て
此間に早く○
トいぜんのつゝちのふたをとり引出そふと
手をせしいれる内より其手をきつと取流
彦三郎きつと思ひ逢此とき法ころ四方へ
ひらき内に璃聴前幕の形り一竹三郎
のふり袖を着てゐる彦三郎其手を
はらひきつと見得誹らへのなり長のに成り
瑞屋
ヤユリや照葉と思ひのほか
一鳥山秋津照忠なるぞ
彦
一やしどふしてわれが斎中へ
り女〳〵
一さいせんこれにて大友刑部か下知越うけ堂様
捕手のやつばらをいれし此法からをうばひ
ゆかんみなしたる折からお長わず其場江
来成かりて捕人をころし照音ふすへひ取出長
ならんじが悪きやくを見出ん為に入りおせり法
彦
ぐらにしのびし此秋作なんと有長かつぶれだ出
一そ十か九ツうま〳〵とゆきしを娘ぶじやませし
ばつかりにほふ屋の金をうになひしか此はらいせ
は秋作め照葉が出てりにうぬが首刑部さまへ
持てゆきほふびの金にせにやア成らぬかくご
きわめてそれへ直れ
ふくはし身のうへ知らぬ其ぞうごて此両腕
の船具ぞしらす荒らの手にあふ秋せくなら
甘馬鹿な事を
一こしやくなわつはめくて野の首をおとして運ん
一そ見事それがしがくび房が
彦
一おんて長なひ事
トぬきかけるを璃玉とめて
りめ〳〵
一何を
ト諏らへの間長のにて平立廻り有之産
三郎にしきの腹せにつゝみし古城の絵図
越おと春琉球とりあり是にてふくさと
巻絵図を見て
一何嶋山古城の騒図面〇これは
彦
一南無せん
りか〳〵
分壱太郎絵図引上り懐中其儀
一くゝりやらしに用なき古城の絵図面不持なは成
らはなしんじこそ正しく本名有様くせ是の
サア其ぞく姓を名乗りてしまへ
彦
一イや名乗を名は長たねへ古城の絵図と見たのた
一ひか目ユリや了海上あんなひの浅瀬をしるした
りやらしの書物作子にて浦にかへれなひ鰭け布と
りかく
ふ竪親又じは
一ろりや形の家名は長たぬとな
彦
一しれし事だは
一今知らぬはあらはりやらしにして其海せう
一の地理あんなひ此場におゐて身と長に
見其るか
彦
一サリ村五連水天
一一たゝしその身の本名なの縁か
彦
一サノ
り出し
一絵図を見する出
彦
一サノ
早淵村
一サア
彦
一サア〳〵
墨〆
一彫何と
彦
一山ノ
若太夫
下彦三郎急度思ひ入れ此とき上手にて
一ヤア〳〵七草官了礼が賊徒に小嶋の端丸に亀谷
多門之介光行見参取せん
彦
一何か何との
下塔の上手の椽より着太夫先に七右衛門佐十郎
つき添ひ真中へ出て来る是は前に半てん
一長ゝ引たすき鋳まき大小の侍三人弓矢を
一長ち出てひかへる彦太郎きつとなつて
ヤアこれを七草官丁礼か賊徒小しま鍋丸なんどと
何を長つて何をせうこに
若
彦
此一巻見覚へ有儀や小僧調丸
トいせんの候はづの巻をする
ヤア是ちやいか月とあらそふと号の出れぬせりこその
一やゝ其一巻は家のけいづとしてそれを
一未二斗さいせん是へ参る道にて村岡真平といらし
長のゝこんばくちうりにまよひゐて汝がなぜう
をくせしく法事われにあたへし候以図の一巻
佐
一なんとの盛は有まひかす
彦
一やゝし
下拘りなす是にてしらお心つき
しらか
ヱゝ蟄んならおつと奥平との一ねんちうに夫よ
ひゐてうらみかさなるはせんの素ぜうをくわし
具体なせしか
七
一そいかに長異国の海北太具七万両が一味となり
しなんしこそ
佐
一まことは龍道寺高類出余事以なりとくはし
きつけき法事
一物こそ所権船す古城の絵図面長はやのかれ
ぬ鰭九郎
若
一其本名を
皆〳〵
一名乗た〳〵
彦
卜彦三郎思ひ入建有之
一千五郎口前しやかう成様うへはつゝみかへはひき
やうのいたり別に長われ丁そは肥前の国僧山
の城其龍道寺高類が家臣小しま典膳か一子に
て偶丸といたし長の思ひふせはは其むかし嶋山
落城の折からはわ連留し八才に乳母長右衛門馬
に出しこを落ちのび長川の国にて人となりて
七草官丁礼にしたがひがうとう叙せし長竹とせ先
かれ転多にてほろぶるときくんよくうつ手の
舟をきりぬ事又か旧地のなつかしく此肥前江
ふたゝび帰り僧家なせと重れ有てわれを
賊徒としらなみのよせてかゑらぬ身の年治
けふまて露顕せざりしに今そ天命しつ
たるかは残ねんや取部
りや〳〵
一扨こそ小嶋典膳か余事以の長のにて
衆〳〵
一有りしよす
彦
一かく名乗流上からは片ツはしから死人の山た人
わんねんなせ
皆〳〵
一何をこしや具な
若
一ソン長のど長
六人
一八つ○うごくまいぞ
一下侍六人はら〳〵左右より失ぶすまにて
とりまきしらかつか〳〵とゆき彦三郎を
しらか
かこひせ出身をたてに思ひ途有て
一其三まる〳〵待ツて下せり升せ悪人なれ
は親は親今ころさるら子の身はして何と
見てゝおられ升ふどふぞわたしをかりうに
ころしくせんの命を御助事被成て下せり
升せ其三おかみ升〳〵着布〇
トしらか皆〳〵をおかみ廻る彦三郎是にて
よろしく思ひ金刀をとり直し腹へつき
たて家しら出移りして
やうとせんにはユリや何ゆへにはらきらし
やんしたぞいのう
卜すかりなく竹笛入りの合かたに成り
彦
一今心につれて身はやし候世のこくわざ長
今ぞしる九刻に長り意をふるべし小嶋典膳が
嫡子とうまれ無ねんにほろびし君父の仇をけふ
の今までよそ小なし此目本生れながら
異国ノ賊に一味なしがうよく非道の悪事を行ひ
あまつさへ賊徒の張平丁程か仇をむくわんと
雷岡一家をつけねらひ娘の肌啼き長かゑり
みず聟真平を毒少いなしゑんにつながる
主人の娘照葉をとらへほふべをとらんと
ごく重悪人の此親を親と思ふて藤娘か
命に替る孝行にせん非をくやむ鰭九郎
出身のいかる事の此切腹大罪人の娘なら生れ
増た孝行長の何とぞふれ出命をはお
助事下され光行公これぞ壱つの御頼み
コレ娘われ長く長〳〵御ねかひ申せ
しらか
一イろ〳〵夫にわかれ親にそかれ何たのしみに
なからへ升ふ照葉さまにつゝかなけれは此
世に思ひ置事なしわたし茂と長に死出の
せんづ
トしらか死のふとするばた〳〵にて下手ゟ
前末具の竹三郎下着なりにてはしり
出てしらかを留め
竹右衛門
一コン小いそはやまりやけなまり〳〵まつてた長いのふ
ト袖にて白刃をおさへる
しらか
一イヱ〳〵はなして下さり升せ
まし
ユリや死ぬる命をなからへて親夫のぼだい
しらが
の為に其身はあまとすがたをかへ是なる照素
を候長のふてわしの事瓜にかけられて行ゑ
しれざるりき松が生死を見とて常忠義出立
一そうや死ぬ様に長死なれぬかいな
竹三
一其船多きは尤なるがそなた斗りに斎わし
茂親兄弟には死わかれまし秋作さまに有ら
前のそみ有て諸国を御廻り被成はしばしの
うちのいきわかれ世にたよりなひ此てほ葉ど
しらか
ふぞちからに成さてた長ひのり
一いきなからへ流上からは夫真平に承りかわり
あなたの御せんど見届事升ふかならずお
竹
あんし被成平下様な
一そうれしいわいのう
彦
一スリヤ始め命はお助事下されんとな
一そなんじやけな事な切腹につみはそれまだ
むくひはなひ
彦
一予忝なし是にて思ひ置事なし娘出命
御助ケ有りし御恩ほうじは此絵図面イサ御
取次下され以
候情よりいぜんの絵図を出し七右衛門に渡す
七右衛門ひらき若太夫に見せ
七
一わ成君御らん被成升せ
若
一今龍道寺出居城の絵図面
それ出我又典膳かけい図とと号にゆつりし絵図面
一万に壱つ茂行末用ひ給けん事あらは死し
その後の何よりよろこび
りや〳〵
実に法たへ聞嶋山は九州舞の悪かいなるとか
長しやむほんのやから長ありてかしこにこ長か
事あらは
若
七
一われせんぢんをこひうけて此絵図面にて
一地理をたゞししひるひなき手からを知せん
其時こそは龍道寺の家名を君にねかひ上ケ
佐
一菊地の家のばつ下みなさん
彦
一干里に赤ひ長はや近つく此身の血しほ秋作どの
にはかへしやくたのむ
りめ〳〵
一そいふにやおよぶ○
トり成〳〵立かゝり
立なから船さか事有之仇は他
ゑ
一異国の賊徒小嶋うづ丸
卅一
一一君の御手にうちとつたり
彦
一今そ此身の
しらう
一いまこの名ごり
彦
マコレ○
卜しうかを押へ璃屋に向ひ
声かくる未で〇
え片足不み出し刀へ長右衛門手を加事珠は
刀をふり上る一時に木のかしら
かいしやく無よふ
一分彦三郎引廻すしらか八めとなきふす皆
〳〵よろし候く引はりの見得五ケりにて
瑞堀
幕
幕
引付様幕のうちにて
一ヱイ
じ首をうちし音しらせにつき打こみ
藤の
しうか彦三郎
三月狂言
しらぬひて
竹三郎
網経
花太夫
第弐番目大切
せのひどひらやごびゐまし
長貝囃子連中
一理霞色連一群常磐津れ申
一本舞台一面置舞台向ふ松のふすま左所折上し若竹のふすま
日大復より大破風をおろし正面曲段の上に長唄囃子れん中
上下にて居并び舞台真中に翁の人形上の方に千歳
の箱下の方に三番聞のおなじく箱此箱帰らへあり
此前浅黄幕をおろしよろしく片しやきりにて
幕明く
ト願取出て所作事口上役人ぶれ有之
しらせにつき浅黄幕切て落し直に
但に成る
〽天照の春の日影のゆたかに長さす手引手の
一さし候はむかしを今に或三番
ト是にて真中の箱のふたをまき上る内に
しらか着流し独良黒の丸ゑほしをかぶり
手に翁の面と申啓を長ち立身是と一所に
上手の箱のふたまき上流内に竹三郎侍ゑぼし
にすほふ中路を長ち千歳のこしらへにて
住居ゐ様
ありして姿をかりきぬに竹田が作の出立ばへ
下此うち両人箱より出て
〽とう〳〵たふり〳〵かたくりあげりくゝり〽千代の
初のはす春に相河原賑はふ人の山なは蓬莱
に鶴の羽かせね亀の尾の永きさかへを
三ツの朝幸ひ心にまかせたり
ト両人よろしくふり有くしらか上の方へ
いふ竹三郎のこり
なるは瀧の水〳〵肌而といふの音よい辻うらに
天津乙女のさまか許たへずたふたりたふたりとふ
のが誠なら日は照ると長論様へ身にきつゝ
なれにし羽衣の松の十かへり百千鳥くずとふ
たりありうどり
ト竹三郎ふり有て下の方へ給ふましししか
出て
〽その恋草はやふ様神のひこりのむかしより
つきぬ諸のいまご崎や藤来家塚瀧の末かけて結
ぶ妹背のよい殿出どうしに天下太平国土安穂
今日夕御祈祷也
トしうかよろしくふり有て名の所へ伝ふ
是にて三番聞の僧長のに成り後名三番叟
の箱をあけ跡へ引く内に璃玉ゑぼし
鶴のすほふ三番聞のこしらへにてゐる旅見
あやつりの糸の附し板は前に璃玉を能所へ
出しあやつりの糸を日長復より引てとり糸し
らべなどよろし有之
おかさい〳〵悦びありやそれ此所より外へはやらじと思ふ
〽天の岩戸をけふぞひらき者様初舞台千代万代
一長つきぬ御ひゆきまつばひとへにおとりたておこ
かましくも此麻かほんに精の真似烏下飛
難波江のきしの姫松葉長し米里爰に幾手
住吉の神の恵のあまならば君にあふぎの御田植
あふとはもれし処言の葉の法長り〳〵し年波や
〽なじよの翁はあだつきものよつひ神引て飲び
かんせそふ長せんざいなかうどして水の長ら
さぬなか〳〵はふかいゑにじやないかいかいな
〽おもしろや
卜斎うち医屋よろしくふりあらしちしらしに成る
〽千秋万歳万々歳たへせぬ御代の種まきに
恵みをねがふことぶきとうたひ唯子してまひ
納む
ト唄めきりしらせに付き上の方はり物を引て
と儀出茶や顕れ正面長明れん中の段を
跡へ引奥山梅屋敷水遠見をおろし隠す
日覆ひの破風を引上ケ紅白梅の法りゑた
に出てる是と一所に三人よろしく引ぬきに
成る
一本舞台一面浅草寺奥山梅やしきの道具居上ころにて
よろしくかわり納流
小星は一時に賑やかなる鳴星のに成りしらか
町げいしやの形竹三郎道具屋の形り
瑞珍はみ如き売の形り荷箱をさけひき
婿にてかわるしらせにつき下手上なり台
のはり長のうちかへし爰に常盤津れん中
居並び直に上なり
〽按が咲候奥山へ咲ひて来連れし御座しき茂
一夕の酒の二日酔梅の匂ひのはみぬきは米吉例
の百段あじな目えて小当り茂商ひ上手
さきて寺元根をかけ廃木
え三人よろしく有之
竹三郎
一そ三小秀まんこゝへ出事て旦那の御出与成をお末ち
激せいる
しらか
一本にそふせう子五〇
ト通り神楽ことし両人せり木へ出けて
わちやア夕部の酒の持越しで大そふよくし
原てらせん長家だよ
瑞綱
一千五百文わたいへしは堀田はらせん長家で長
竹
くり升せん大音寺前て厶り升
一はみづきやせんおまゑはから米吉せんの所から出なすねの
かへ
左ゆりて三月廿一月廿七日に大坂から御江戸人参り
升て米吉のうちの世わで売子に弐升豊吉
と申升塚百眼のはみかき売どふぞ御ひゐき
御ねがひ申升
一わつちの内はじき此近所多からどふぞ毎朝来て
おくれよ
有がたふくり升はみかきは念をいれ升て
匂ひは甘んとよろしう厶り升
一竹玉ひといへといへは斎奥山の梅中に玉ふもいか
詠めだねへ
下僧長のに成り向ふより彦三郎着流し
羽織をかたはだぬぎ大小梅の枝に吸つゝ
の付るをかつき跡より若太夫やつし着流
し竹のまゆ玉を弁慶えせしかつぎ出て
花道にとまる
〽ぶら付き腰のひやうたん壱けて酔ふたも〳〵
うらが国さ茂江戸女子で春色芽柳の青類
宝結んじ商人は新まゆ玉に悪益のまゆ
御手を彦三郎足元茂寄よろ〳〵長ので
うかれ来る
ト両人よろしく有之舞台え来る
しらか
一そし旦那わつちきたちを先へよこしてどこへ寄つ
て御出船共つたのじや
りか〳〵
干ン旦那せまよふじはみ如きをお毛とめなすつ
て下さいまし
彦三郎
一何と申よふじはみかきの商人と申出
一旦那此人は大音寺前の米吉の所へ去年の
図〳〵
若太夫
彦
一くれに参り升た豊吉と申上方の人て厶り升ス
一はみかきき鋪買て下せい升ならは御あいきう
にふけばんの百眼を以多して御目にかまふ
一長シ旦那はみかきよりまゆ玉を買て下させ
一何まゆ玉だはて竹に付ひたまゆ玉だな
│
一八イ是は当年の新長のおたふるが正月二月か
狐のめんみな是に大小ぶ付いて三ヶ月のまゆ
玉で厶り升
しらか
一本におま衛はまゆ玉の左吉さんよく御出し又
忌
一小秀せん今かは御可気お能くてお賑やかてくり
竹
一竹をそみ小麦りせん此まやどのは無ころげんぶて
しらか、
をしたと見へき子
一古やらさまたげんぶくのほや〳〵さ其三旦那葉
はわつちがのかれられなひうちの息子てくり
升どふぞいつれ長さまへけんふくの御ひろう
をして下さい升
彦
一そそふる承知算したコリや〳〵商人爰へ歩〳〵
〇下是にて若太夫彦三郎のそばへ来る
り能い器ひ長のた名は何と言
若
一八イ八ツ花の左吉と申升
彦
一咲花かよし〳〵みな様へ御願ひ申やら○
若
扨いつれ長様へ申上升此左吉めにくり升当春
げんぶく算し升て厶り升れは此上上茂に
役者の数に長入升縁やり御ひぬき御とりたて
の義をすみからすみまて御ねかひ申上升
トよろしくじきをはせる
一是は旦那壱匁有がたふくり升
一中〳〵旦那さまどふぞといへし出身ぶんも
彦
いつれ茂せまへ御願ひ申上て下せい升
一イヤこんたはさつき葉村属かあれほといつれ長
一さまへ御顔申上口上は済たじやアねへか八テ
吉金八丁よくばつし男たはし
しらか
一亡シ口上か済升たら旦那前せんの御長ち
なすつたひやうたんの御酒をひらき升ふと
しよふじや有ませんか
竹
一小香のさん大ぶんしやれは上りました子サア〳〵
御酒事〳〵
彦
一帯酒にしよふ〳〵〇
ト多長とより盃を少して
りか〳〵
コレはみかきや長まゆ玉や長爰へ来りし壱ツのまつしやい
一春春冬有かだふ山り升
一昔〳〵旦那一ツおはしめ瓜を以中
ト捨せりふにて酒に成る
一とき丹肴成何もない道具屋の鶴作何そ言
付てくりやれ
一ハイさつき石橋へそふいつて参り升たふらモウ
おし付け参り升ふ
一覚なら肴の来るまて露作何ぞ芸と
うをやるがいら
竹上
りふく
一イヤわたくしの芸は古ひから豊吉せんの百まの
一古のそみならば百眼笑し給ふがめづらとい
「かくり升此奥山のゑんま堂のゑんま様がせきの
おばァさんをゑ具じつて銭御か地蔵せまに
竹
わひ事して貰つたといふはなしがくり升
一ヱヽめづらしへ遣りやどふいふすじだ子
りめ〳〵
一芦その袋しは
〽ゑんまてんどつちへ行かしやんすせうつかのばゞさまに
おひ出され地蔵さんたのんで證言にわし
つれてゆかしやんせんかいな〽これ〳〵いつたら
〽おばらがりてする双方立て長らへのゑん
まと亦鬼青鬼これからりんとはかりにかけて
見る目かず鼻ノ一ぢんしめしめて帰るが
極楽じや
とりふくよくしくおふしみのふり有て
納家
しらか
彦
一廿日これから鶴作せんおま浦のばんた
一そんなら此春売初めに松竹梅の三輪ついを売
一ところから思ひ付た新春のか出来ました
から旦那へ御目にかたふ
一コリヤおもしろからう帯所圧じ〳〵
下竹三郎扇を弐本長十郎振りに成る
〽春かすみた堅き初子朝日類事千歳の縁
生の松直な枝振り庭の松流れしとふて下り
一松常盤の色香雛鳶のかてゆらしさに咲梅
のしげれる竹にあそぶ亀おら長若いときや
亀甲染の袖褄ひかれた女夫中枝突のみ
しうか
字で恋は曲長の
イヤ西国かつし〳〵手前たちに春ふくろをバ
ほふびにやららしか長中へ小判を壱枚いれし
やるから狐来んをして勝た長のかはるおいた
そんならかふ仕升ふ此ころ三丁目の芝居てみた
〽そりや取た見せいなといふが有り升何で
彦
茂いものを釣して置て踊りを壱りおどつちや
アくるりと廻り踊ちやアくま〳〵廻りてそりや
取た見せい殿上いふのサ弐人て幷三人可長出来
儀からお前せん方やつて御らん
こりやよかろふそんなら身と長が手ぬくひへ
何そ金て待て〳〵
一分手掛え何なりと法かみ金いれより金を
竹
出して此中へ入れて法かみ
これ畳寄妙そんなら此梅の来一かり法流して
○
真中の台みきの梅の枝一件の包し
手ぬくひを釣し
廿日〳〵取つたり〳〵
若
一とふするのか小麦のさんおまへつへんやりてお見へ
せんせい
しらう
一何ぞふてはなひのサそんならわしが寺やや
ほふ○
〽近々酒との浮世の中にくろ〳〵廻るは何じやな
風多からすにはふしこま
トしらかよろしく有之
爰にてはわたしに出来るか諸はむつかしいふら
鶴作せんおままかわりに遣ておくれ
一わたし長またろくに覚へないが常貨の為に遣り給ふ
〽いろと酒との浮世の中にくろ〳〵廻而は何じやい
御風声のからすにはかしごま壱つと廻るは何で
あろ廻りとふろにけん人形またも廻るが淀の水
車廻り〳〵の小仏はなせ背かひくい思ツ〳〵
長屋とろ〳〵くろ〳〵思ツたそりやとつて見せいな
トよろしく有様
彦
一首や悪ひ帯〳〵弐人りてやつたり〳〵
りめ〳〵
一これはむつかしいがつるせんにおそせりなからやり
升ふ
竹
一廿日〳〵やり升ふひやうしをそろへて
両人
一イ二ウシイ
〽いろと酒との浮世の中にし
ト両人よろしく有て釣らた物は合ふ事
何べん長段〳〵早めてする事有之トが
両へ
鉢合して
一八し
一ト若太夫くたんの袋をくわへてせう木の上へ
りか〳〵
乗り狐の見得
竹
一物はそなしは
若
狐ぞや
一馬鹿中
〽手くたのわなにちよひとかけてよかつたよ〳〵
こいつはたまらぬちよつひりのろけて通を
うしなひよいはね長のじやないかいな
一トよろしく有様此うち彦三郎しらかを
引寄せいやらしき思ひ入れ帰屋見て
り女〳〵
一そみ〳〵足那さつきからわたくし共か見て居井
に小秀さんといちやつきは恐れ升子
彦
一イヤ身とも成かいちや付いて長小麦のかまつばり
いちやつかさせぬ
若
一一そりや其ちづ毛三小麦さんお未衛は注しも
ト竹三郎へ思ひ金
しらか
一何のまりそふした訳じや取けれと号
分彦三郎へ寄添ふ
〽本に弐人りお中〳〵は色て近頃の名石越爰に今戸の
帰り舟こかれ乳待にあきら急の月夜はうら
之わび侘ひの山吉を照らす夕明里田を三めぐりに
雁がね茂落付て寝し陸言に帯生へとけ
流すたのゆきぬれた橋場の雨是よひ嵐に
晴れし綾瀬川其浅草の山かねは望ぬゑ
にしじやないかひ似
トしらか彦三郎竹三郎三人よろしく有之
若
一サア豊吉せんや金野望の百眼をして見せなさいな
りめ〳〵
一そんなら召めかしく毛風をあゑほまなこで山に升の
え百未なこを出けて
ていゝ風た此かせのうちにあげ流のたま〳〵糸目
を持てくんな
〽春風に糸くり出すいかのぼりらん形見に来しにし木そ
りやこそ上つたむまいぞまや鬼瓦童御免たよ
とつこひたくつて引出けまぜや〽四ツ谷青の
高上りよい春章しき扨長下かいを見おろせば
くつゝひ姉さんなんぞ成せんたくにもかま
てまくつてアち〳〵〳〵心へおへそのあたりかへ
〽ヱレ〳〵たくる故太コノいちわるめどこまし
あがろ天へ長あかろまそれ是よれ是よめろ〽そりや
まし風ためんくうぞ〳〵春の興
下りかく百眼をかけて風をあけるふり
彦
よろしく
一ヤくや〳〵面白かつた〳〵御苦ろう〳〵サア吉倒
の惣おとりかよかろふ
しうか
一其三おとり毛古ふくり升から獅子廻ひしよふ
じやア有ませんか
りぬ〳〵
しうか
一獅子廻しとそそりやどふするのてくり升ふ
一またわたし出しせうさんか子まる旦なが獅子
てわたしが三味せん鶴せんがふへ豊吉せんがつゞみ
りめ〳〵
一モシましわたしかつゞみの役か子
一何をおはらた子お未衛かつゞみ左吉さんが
一太鼓といふ役わりを極めてひやらしにかつて
何で長獅子の人が外のやくを取縁ととられ
た人が獅子にまた成りて段〳〵思ルのサ
りや〳〵
竹三
一成ほとわかり升た
一サア役わり北極つたらは獅子廻しの初か〳〵
獅子虎でんの舞楽にあらで三社祭りのき
一おひ獅子あなたへひらりとこなしたへひらり御獅
子はどこじ〳〵太鼓三味せんふへつゝみしつ月
をふり立御獅子はどこだとんつくぼんぼこ
へこちやんかひい〳〵お長しろやしやんとそろふ
たいろ一座
トミな〳〵よろしく有之時の鐘
彦
一アリや弁天山のモウ七ツ
一卜斎とき黒かくしうかのおとせし鏡威を
にて
りか〳〳
一やどふやらあやしい
しらか
一馬鹿をおいゝてなひコかやわたしが鏡ぶくろた花
竹三
一それをこつちへ
彦三
一何をたてけた○
〽うかれう成るゝ客人か金龍山の春遊ひわらひ
興じて祝しける
先り今日は是ぎり
下目出屋うち出し
うして
当八丑丁
憂狂言
しらぬい藤
第壱番目七幕目
保田村託住居の場
一捻華寺鐘楼堂の場
〆
まし
当心うしの
夏きやうげん
しぬひ譚
第壱番め七幕め
一捻撃寺鐘楼堂の場
保田村詫住居の場
彦三郎
竹三郎
男女蔵
佐十郎
岡五郎
大次郎
徳蔵
かん六
けりま
島ま
善平
常作
大和平
つち落
広五郎
璃寛
本舞台不簡の間常足の貫乗給ふれて口押入戸棚の
仏壇ねづみかべ上の方一間反古張りせらず家件いつ
長の所川下け此外にしきみを遣し桶たがて三文といふ
札の附て桶軒口に草履草鞋つりあり下の方寺
の冠木門しら壁の塀都し保田村寺門せんの体
爰に男女蔵鼠之義更多余坊主にて上手に任ひ
多三粉をのみ居様下手に勘蔵小坊主にて風呂敷
つみ長ち門江口に前幕の国五郎槍の根を地
にて切て給ほ侍に若いしゆの寺男町人弐人立退
り居塚先ツゝ木魚の音にてし幕明く
周五郎
一モ三三文の花を四平あげ
一アイ真直なのを見て下さい
一コレとしにはたどんを三つ下さひよ
一そこふ有様から大きそう船の功持て行殿
さへ
ム
一多三粉の火にいたし置のたがとふもたち消へ
一日
がしして取ら殿
ユリや桜の粉炭じから長ちがいゝこな○ハイ真
直段のをより升
一北貫三四十弐文有様ゟ
国
下銭をたす
有りかたふ厶り升
一とし冬法いでに持て来升ぞ
ム
下目ざるせ様へたらんを送る
同
その
ドンお参り申て来のかゝ
ト木惣の音にて両人下手門のうちへ其岸
国五郎門へ兵衛
国
男女蔵
これ是於任持さま御免ん被成升長御あいせつ長や申升五合
かやモ病人やら商ひやらて嘸世せし仕事少し
あらふ○トキ二おつゆがおこりはどふじや殿
一どふ長右衛門し具正り升ぬ二三日諸成分目不厭ひになり
一升た公草
四日
一アヽそれは餅藤流てあらり何んにしろこ
なし世口を頼三升アノお露主は伯父如ひ取れ
どとし老ひて長出家の身て魚どふも世話か
国
なりにくひわいの
ホン二世けんの口に奥戸が立られ市ぬ村辺に又
男
おこりやまひは丸て物を以て下れは
一いかさま坊主あたまは干分さしあいじやな
両人
八しく
図書
ト笑ふ上手弐重のうちにて
国
おせぶどの伯父せまがお出成升にかへ
アイお出て厶り升
□□□□□□□□
一ドレ廿それへいてお目にかゝり升ふ
卜合出たに成り上手やたいより黒かん乱れし
かづら病いはち巻切りつぎなり病人
男
のこしろへにて出て来り
一アレ風に当つてはわるからふに
可成候
一かヱ〳〵けふは大きによろしう厶り升わい船部
男
│本舞台真中へ信ふ
うや此さろは本山の法事まいゆへ用多て
ろく〳〵に尋ね長せぬがとかくせつはりせぬ
▼か
そふじやな
一八イとふもまだおちきり升ぬ若十部
男
万扨それ是こまはし是のじや○イやそれに付
当て落ししの見舞に何そ遣りたいとはお
もへどち知ての通り盈気ゆへつんの心ばかり
勘蔵
じやが○コレ了弥其品を爰へ出しやれ
一ヘイ〳〵○
下風呂敷を明書
まつ第一が開山忌の米袋法事に芝しおふせ
か高ひきたてのこがしか一袋和当せ母ゟ
これを下せる
国
天成る
ヲヤ〳〵田舎芝居の進物のよふだ
公建置〳〵何より殿品を有かたふふり升
図
一
トり出ていたる全国五郎傍へ出て
一直二二二連参よいものを下さつしてうと今度は
来のきれめ早そくあしたたきほふ
│
一そのこからし冬猪の松が戻りたら遣りて下せん
国
一アイ〳〵こかし冬坊シちに遣り升ふかおせし
はわしがやとひちげに巻らい竹ぞ
下銭をふところへ入れ米袋と土成しひ袋を片
男
付儀孫寛男女蔵へ気の毒成様思逢
一うやまたあすからは本山に大位会がはじまれば
りふれ
施行の米を長らふて来て遣り升ふ
一それは有りがたふ心り升
トててつるに成り向ふゟ佐十郎羽出り一平
まし坊主あたまの医者後ゟ若筑紫箱の
つゝみを背負ひ出て来り直に門え候へ来て
佐十郎
一頼長ふ
下団五郎立て
一アイお蔵でくり升
ト門え候越明様
山井養仙お見舞申
一キヤお送者さまじくり升たふ
一何答仙老がお出被成し廿これ〳〵
一御免ん下され
〇
ト能所へ通り給ふ若いしゆ川口の台へこと
浅加常居様
これは了海侯其後は御意得升ぬがいつ茂がが
御遣う今合にて
男
一仕合と達しゆへ先生の御ゆつかいになり本ぬかはら
此たびめいがおくすりをたゞき有りがたふくり升
作
一これ是〳〵思建入り升余
りかれ
一養仙さまよふ御成被成升
佐
どふじや十すこし冬ふの岸かな
天かん
一おめけせまを長ち升〳〵大きによろしうくり
佐
一せやらでくるか○みやくを見せまつしやれ○
分三や金銭農事有之
しゆ
か長ふ近〳〵におち給ふ○是千助薬箱をこれへ
一八イ〳〵〇
国
も御かみを出し
其三おとりつきたのみ升又
アイ〳〵
同国五郎薬箱すへ三銭佐十郎の末いへ長へ
大行
佐十
一今日冬干とおげんをして進世表ふ
分薬箱をひらき調合に出候様ばし〳〵先
つゝに成り向ふゟ寛六世話預り匂の勝半
腰にひりやくをまし地蔵堂建立のこしらい子
役猪の松世話預り同じくひしや金を腰へ
さしくなき居がら出銀を寛六引立出て来り
諸ゟ徳蔵同じく形りそし首へ市ばこ
をかけ地蔵堂建立といふ幟を長ちこれ
ふん
に子役我人ひしやくを長ち附出て来り
出し蔵
一、
うしやるがれ〳〵
猪の春
どふぞかんにんして下けれ以のう
ねく
〽猪の杢のとろぼうやイ〳〵
り成れ
トとや〳〵いひなぶらうちへ春
アヽモシ猪の豆がどふぞいたしましまか凧
ふん
一其勧化の銭をぬすんだゆへ
一それてとうらふ断うに来しのだ
子役
猪の松どろぼふやひ〳〵
国
太斎がきめら参駕遣ふぞにりて此たちのほふ
へ行きやれからねへか
子役
ト樒の桶の水をおける
一そち婆部がおこつた逃ろ〳〵
男
え橋かうへにげてはい様
りや実色誰かと思へは新田の佐十どのに権右衛門
崎
とのこりやまアどふいふこせて岸ぞいのう
一御住持さま聞て下せり升世地蔵堂の建立
□□□□□□□□
に村の子供に和せんをうたわせ毎日かん市に出る所
けふこちの内の猪の直ばかん草の銭をぬ
すみ取り菓子をかふていたを見しゆへにそれ
て断につれて来ました
かやわうらふ目にかくたはけふおはしくれは
どぬすみ色が有様からは定めて今まて
かけ
たか〳〵銭をぬすしい事であろ
地蔵のかん事長三度とやら藤出を彫れは目に
ふゝ様長長屋つばり仏の留しめ
りや其子供に不自由はさせぬ長のうちぐ銭
をやらぬゆへかん事の銭をぬすむ気に
な様の茂製のしなしからわつか六つ七ツにて
八丁末たの長し以事だ十ア
ト国五郎憎くいふ斎うち猪の松巻うつ向き
りかん
一従いていつ出て口出しき悪途にて
一なりや猪の直がおはしをぬ春三それて菓子を
とく
買下しと成
一ませうこはしか長ふところに
ふん
一おつし菓子か有縁わいのう
ト猪の松の懐へ手をいれ出すゝみの菓子
し
を出し候ひらき見て
一それおつゆどの見ちつしやれ阿様へいが三平に
まつ風が三まい
□□□□□□□□
一しか長舟様口又が長の包だ紙におひねりの跡の
有風のがたし出せうこ
一ト是にて帰かんきつくりと思入れ
馬出ル
一これ猪の松植居たはかん常のおはんをぬすみ
此菓子をおいやつたか
猪の春
一アイおやねり越掛りとりおふしわいのう
花
一巻〇
ト拘り能く
了助はげない事をしやつしめり
一ト猪の松のゑりせきを取て引居へる
男女蔵とめる無うち佐十郎気の上皇麗
男
思のれ
て是お露高か子供の事じや其よふに手
図九
あらうせずとしづかにいふ手長わかるわい
うく〳〵きつとせつかれいたせねはなり升ぬおふ
まひ被成で下さく下十〇
下合出しに成り思ひ入れ
コレ猪の松こなたは何て此よふ故さしひ事
をしやつしそ其目のたつきにせまつて茂一目はお
ろか半目で長遣なしに不自由春させぬのに
あらふ事か地蔵さまのかて他のおあしをぬす
むとはなさまない事をしやつた能此あつやまつ
風かそれほとまてにほていならなせ此母に
ねたらぬぞ今死ぬ薬をのまひて春ほしひ
長のならおふく骨ぬ青三す様に答かへられぬ
わいのさそや死なつしやつしとらさまかわらがそ
たてがわまひゆへは草葉の影てうちで
てくらふそれ計りがみなさまに身ひん取くらし
のおなしさに母がおしへてさせたりとうた
おひうけ流成面目給ひ親子たりて給ひと
いふ首いゝわけは五山〳〵〇
下ひら手にて壱の春塚やうにうちすへ
何てぬ其三をしゆつたぞ
下つき放しなき名がらきつと成家猪の
猪の
松貫しく〳〵となき船がら
コレ出候さま無あ様へいや松風登りしやほし候事は
なけれどもおまゑが薬を呑しやつた其跡にて
よい菓子かたべたへといたしやつたゆへおまるに
是をあげ給ふ上それで盗で買しのじや
長ふ今度から此よふなさ見しひ事は七ぬ月上
り成る
にもふそかんにてして下せり升せ
まそんならぬす上をしやつたのれ薬の跡の
口直し小菓子かほしいといふたのを幼子心
に覚へてゐてそれでぬ春みをしやかたのか
橋の
アイ取ア
りかん
一尽ひよん能事してくれしなり
トりかて猪の松を多き泣くみな〳〵是を
聞出るゆそふだといふ思運徳蔵出て六
なみしをはらい水がら
銭
公々にそんなら菓子を買つたのは病気に
ゐる母親が薬の緒の口直しにせせよぶといふ
くてあつしかとふりで菓子茂かふしまか紙に
かん
包んがし仕まふて有御し
一遣ふとは知らずいちがいに盗みをしたは思ふ
多斗クと以年をしてあらし飢具引来つて来
両人
たか面目襲是おつゆどのかんにてしく下せ運
一猪の松茂ゆ様してくれ
差出候
下両人り出て猪の松にじきをして花塚
一そんならおま衛方のこたおひ茂しれゆ様して
とく
やつて下遣り升成
一ゆほせいで何上しままふこういふ事ならぬ春
みをせずとなぜわしらに長いふてゆれぬ五十や
ふれ
雪の事ならはいつで長そ取しにや縁わいの
コレ〳〵爰にに遣ひの法かひ残りが弐百五十文
あり升春これを猪の松にやつて下せれ
下恰ゟさ以不を参り出し銭を出し候や承
とく
一其わし茂弐百文なるかならずこれ茂一所に遣つ
て下木運
差成る
一トおなどくをいふゟ銭をふり留酒
かゑ〳〵此よふ殿お心遣ひ地うけ本之冬済
升ぬこれはお納め下せり升せ
一八丁籾屋遣ひの竹の上これがたいした事て
奥取之候
おん
一ほんの弐人かか心ぢかりどふぞうけ置て下
男
されいの
一りよりやと冬おもふたゟ小供の事ゆへ若ひよ
つと案事たよりは産が安く弐人[ノ]の荒の
心長兵衛下され儀其島目う市にて置多かよ
いわへの
両人
一どふぞそふして下けれの
馬かん
左やうならばお貰ひ申升様有がたふくり升
已以十ヲ
佐
下銭を三つていたが具佐十郎思ひ金有之
イイや宣せんから愚煮事茂とふいふ諸出しか
おつたが扨〳〵おせ殿以に似ぬ孝行もの末頼母
しひ事で不承それにまし弐人[リ]の深せつ
愚老長心斗りじやがこれは病家で長らう
し礼物わつか殿から其小児に何ぞおふて遣つ
て下遣
一ト紙入より水引のかりし金具を出して普
四日
一これ盆〳〵養仙老まで
図ル
尽有難ふ今以升候以上
国
ホン二此子がどろぼふをしたば成り思ひかけなひ
今がはいつた是しやアとしがやとひちん茂大
出しはんには下塚たらうドレ誓意をたのし
みにあすの仏かけで長して置ふ
かく
一下合かたにていせて米袋を長ち奥へ真塚
一ときにわしらめ遣ふおいとまいたして
男
一またまぐものんでゆかつしやれん
一イヤ地蔵堂ご申待らしおれば
ふる
一ちつた早く帰り升ふ
り出る
一さやうならお帰りで厶り升か○猪の松よふおよふお
礼を申しやいの
ねの
一八千有かたふくり升流
両人
一何の礼に及ぼふぞいの○
下門へ出て
ヤン〳〵おもひかげ水以能予をこぼした
男
下てん仕候に成候両人橋出ゝりへは入縁
一ユレに珍猪の松を本堂へつれていつて遊ばし
てやうやいの
おけ藤
アイ〳〵サア猪の松上むらいのまねをして極
ぼふ
猪の松の春
一等おれが施主に成るぞよ
り成る
一遊ぶはよけれどわ流せわぎをしやん竹よ
両人
一アイ〳〵
下合出しにて下手の川のうちへ出入る
作
佐十郎薬箱を仕まひ能成ら
扨〳〵小児は珍らし以塾に孝行取計じや
追御拂上より御ほふびが出よふしかにし方具は
いかれぬが当国の御領主太宰の小二さまは
無慈悲な殿じやといふ事しやけふ茂病家で
聞升たか其天宰のちん中にわし津六郎七郎
と成いふ兄弟があつて忠義の為に主人の妾を
害せんとして捕へられ永久牢舎の其うち
に身当りをはじめほふゆふなどから命乞を
してだそふじか汰いに叶まず今宵のうちに
矢部川原の刑罪場で死罪にあふといふ事
だがけかまいのない愚老ですら心よからぬ
一慈悲なはからひかの口房のゆかりの長のが斯と
聞ひたらい成ならんおもひやられて笑止にくる
トこれを聞かん男女為顔見合せ八日
間
ぬれ男女蔵そしらぬふりて
一八ヶ村逢はいせしひ畢て厶り升流船
作
一昔人伝に聞しなれどよしやうそで長岸まへ
に成る
一それが誠で有様ならばこりやかふして是
佐
ヤ
下帰かん気をかへそらを見て
│
一りや大ぶ雲つて来たよふ春
佐
一出逢長屋へかた引出れ長の出後ゆへてくらふ
候
四日
○ドレ愚老長おいとまいたそふ
またよろしいではくり升ぬか
かや〳〵降ぬうちに参り升ふ
下薬箱を供小渡し候門といへ成様
みかふ
一これは御苦労せましくり升
佐
一またあした不舞ひ升ふ○
ト遣らを名々
可なき出し遊ふ船そらだ
トてんツヽに成り佐十郎先に若いしゆ附て
□□
聞へ去い余跡に両人只全成し
モシ伯父さま今の噺しがまことなら御兄弟の
おや人り七番冬今宵かきうのはかなひお命
長とより忠義に成し事をあまりといへば
私太郎殿以御矢さまのりおしから以斎男
て有様ならば叶てぬまで長其場へ行御兄
弟をおすくひませんに何をいふて長女子のかな
しさ
男
一まなじや〳〵したば今のみ様也長誠かう野かう野か定
かならねは是ゟとしば御宮都の場所へいつ
て聞糺しいよ〳〵お逢にさるまらは幸ひ
飯戸の御ぼだい所海雲寺は我平山時刻の
間長有風取らば出しこへいつてうち船ぶき
命との願書をしらひお命をおすくひ申せん
まだ時刻も七ツそこらくれぬうちに今一度
長とつてくぐらいやう春を噺遣ふおならす
と長にまりていや
下男女蔵立成候様
り成る
一そんなら是から御昼期のよふ春を聞し其
うへで
四日
一いよ〳〵誠に有余ならば我平山の願書をこひ
うけ
被成ル
一お弐人りさまのお命とて
男
一何堂ともあれ一まつ川原へ
可被成候
一そんなら伯父はま
男
一往て来塚枕上
一ト早き唄に成り男女房早足に聞へ
瑞かん
はの餘様かん思金有之
是に付兼て遣に遣小笹さまには作内ものとおさへ
をつれておさとへ御出被成しが重成誠て有る
ならは定めてよふ春をお聞被成をぞやおな
げき被成てゞあらふこふいふ時に夫トの先頓念
どのか誠の人なら相談相手に潔而白色と
よからぬ心の人ゆへに頼みに思ふは伯父御せま
ばかりどふぞ御本山の命言てお助市に
たいものじや瀬部
ト昃れしづか成る禅の勤に成り給ふ
ゟ彦三郎がくりかづり鼠の着付黒のやぶ
れ衣首へ手ぬくひをまきよふじを遣ひ形
がら酒に酔たこれにて出来風跡より
くり平居酒屋の若い長のゝこしらいにて
付添へ出て来り花道にて
彦三郎
ユウ〳〵居酒屋の暮しりあしたおれが持て
来てやほからもふ爰から帰らつし故
くり平
一千人〳〵とこまて長四所に未以り市からぜひ
御かんぜうを
彦三
一へら坊要たいしく銭じや様ひそつかける歟五
酉の銭だあし持て行からはゝひじやア
ねへか
けり
一千石それじやアわたくしがうちへ済升ぬ
彦三
一一貫はたらきのねへやつし前に来い掛つて
や様公以
くり
一どふぞ出ねがひ十升様
ト本舞台へ来り
彦三
一おつ巾斎魚あわねへ取
ト内へ声塚
差成候
一貴類念どのゝし危すか今春お兵衛のうち
をは
彦三
てめん
てどふでろくにやアいふまひな
またおま衛よくしやんしたな
彦三
一生其酔たのて来たのだ○井イ番しうこつちへ
太らつし
今
一八丁御参物私七以升
トうちへ声の縁
天成る
一ユレ此お成し候は
彦三
一此野郎かこりやア矢大臣水付き馬ト
くり
ハイわたくしは居酒やの若か春のでくり来る
か此御出家せまがこたくしめ君せて酒が五合に
せしみ魚田し芋にとふふふ呉舞にこちら
ておはらひ下せるとの事どふぞお貰ひ
申たふ厶り升塚
差出候
一またおまへ此よふ此事て来してわましに払を
近生潰弐人
彦三
一八苧具あるやうで長兄は妹かくつくはあた
りまへじお逢しければ拂つて金にや夕
一
わづか四百年弐までお口せせめ法き出されての
モシ御逢うで申上厶り給ふかどふかはらへ被成候
下せり升世
りめん
一そん取らけふれあけふほどに此後おらせへ世へ参
られ升にて長かならずかまふて下せり升船
今
トいせんの銭を出しや承
一へり〳〵かし二まりほし〇こ連参有かとふくり来る
ト銭をふところへ入れ
彦上
せやうなら御出家せま
一まし帰りに寄様そ
三り平
一金五千壱束でくり升
下橋成り里へ早足に壱入儀
差上
て何のかのとはいふものは長つべきものは兄弟
じ大まい医年弐文といふ払をしてくれほと
は置ひしたが大ぶいゝ工面じな都合かよくばもふ
□□□□□□□□□□□□
弐石面代見て金五五つくばかり銀を引てへ
貴にい気故事をいてしやのしれた檐の
花屋草りわらじを売し居て都合のよい事
かくんせう殊にわたしがおこりをわづらいよけい衆人長
たのんであれば其目の音むりをよふ〳〵と今の
おあらね土に入せまふら合力更におあしじやといす
彦上
おそや手めへがひやからだわ命のやしきふら帰
たときおれるいわねへ事じやアねへ人の世話にても
飢れはいゝに野暮か出たひ事をいつて三文花を
売てゐほよりおれなら毎ぢんこつそりとひつ
│
ばりに出て浅草取様に
太郎聞たふ岩くんせぬ哥とへ死んざる長
には薪はら猪介上いふ夫がくんすなんで此
身を葉成遣ふ長ふ〳〵何に長いふて下せん春
取わたし世御有せ母の事に付以て心長心なら
如已以彫刻
彦三
てこいつは大ぶわるいらけだ赤くにまていたら
出てにんよろ酒のうへの中すごして御免候へば多く〳〵
下そこに有儀弐枚おりを取て此類へ去いり
寝像璃宮は思あんの思のればし〳〵に成り
向ふゟ竹舞石持の荒隣百姓の形りにて
出て来り
竹三郎
一お露どのうちに出おつゆどの〳〵
□□□□□□□□
竹三
其おまゑは且せどのあせたゞしいなんじやぞへ聞
一なんじやどころか御兄弟を太房矢部川原へ引出し
りかん
首をき承といふ事じやわいの
太そんなら最ぜん送者どのゝうわさに聞し
か誠にてお弐人りせまを御けいを以上段八部之
下八日々迄其ま御泣き不苦
竹三
しかし今よひ弓はりをかぎりに首を取床といふ
はなし其こけ長七ツの鐘か唱流と太宰のぼだ
ひ所海雲寺に先殿の御添事か娘様ととが
人の天赦があほゆへそれゟ前に一時早く八ッに
刑ぜいなすとの事己か親仁の只作が御夢の
親御土ま頼母さまに大出んなればどふとおすへ
ひ申たいゆへこなたに知らせ親何にはなん
矢部川原へ行法上り
りふる
それと聞ては已毎長諸ゟ御刑を以の場所
へゆきよそながらせめて此世の御いとまごひ
竹三
一またはつましには余ほどの間跡からゆへりは
くらつしやれ
関出て
一くりやおまゑはこれより直に
竹三
一かや親仁に相談した上にて
りかん
一どふぞ御書くひ申あふ
竹三
一命におけて春
被成ル
かならずともに
竹三
合点し
え禅の勤にて竹舞はごりは承瑞かせ
講見出候写
承知
親がうけたほ御出んをわすれず只七どの京船
けん心それにひきかへ煩念どの目長あらふのに
けふにおぎり酒によふて居やしやんすとは思
情なひ事じや取り○
トひやふぶの傍へより
是是まておまずのの命ちをおふけ有りし
御立せま水御身の大事御物見送り畳今無とき
どふか御命のた去か様よふ乞ひ知恵出して下
せんせいなり○
ト思入れ有之
太芸州此よふにいふて長目の荒ぬとは私を帯
ない所せて頼みに成らぬ是を見せめて伯父
せまのお帰りまでまつてゐゑが白かせく
少しも早くく矢形川原へつ重からゆへ危
中之金よふ道の用心夫の出し三〇
江戸棚ゟ短き一腰を出して足をさし
上へ半天を着て
此半天かてすかしを出たしそふじや
えゆかふとする此とき奥ゟ国五郎橋かり
ゟ大沼布午を引て出て来り下手の立へ
木へゆひ付けけ門口に伺ひ居縁
今に
一コレ〳〵おつゆさておまやみほふけで居家に
ばへ行出せるのだ
て成て
一サノおその御身に大事か出来て矢部川原まて
一行ねは助らぬおまず猪の松の面上り早く
留守をしていて下せんせ
に
一こそれは右衛門とおあへだわし茂分肩春母を
はらひ宿へゐてこねは成らぬお気の毒だが
□□□□□□□□
アノ子の世けや留守を春様の春出来市ぬよ
一ヲおせ成どの何ておま衛は其よふなわかまへ
取事をいわしやんすやとひなれども二夕月越と
一に
こちのうちに置からは公共と主人と奉二人其
云人のいふ事をそむくといふがあほ春のかいの
りや有り升とし〳〵云人の詞をそむくには可動
が有りてそむくのじ
馬ふん
一そりやまし名せに
くに
一其なせや釜春とから子としの廿匁まてわんに
させ跡のり月から二夕月越し紅ぜやとひちせを
天かん
くれぬのじ
一サノそれは
くに
銭をしららへはおわさまこしはおんし春よふ事
れと長らわぬ日には出て春ねへそれじに
よつてそむくのだこふいわれ縁のかくやしくは耳を
り成れ
おろへてたつし今二夕月ぶりのかんせうしせへ
廿九日今といふては
くに
一金州能来ればこなた是やられぬもうこうはゝ
出し上からは壱歩四百七二夕月くてうは金で
弐方に来しとこれへから春の利をかけれはやとひ
ちんと両ほうで一両余りに鷹魚ど一両よ
□□□□□□□□□□□□□
こせばまけくやらん
一色〳〵遣ふいふおふたいでは
くに
一ないといづね長払せぬゆへから春をかりてやつ
にから是悲之覚利足をとらに聞やらねへ
ト可かれ思入れ有之
に成て
一そふゆふ事彫らあげましふがまま爰に壱方
はゝ
有様ゆへこれであすまでふせうして示ぜ
留守して下せんせい十
一ト以長巳の金石を出去人に五郎取て
くに
一くゝはらねへ長そんだからこかやうちとりに
とつて置ふがのこりはあすまでは未多違ぬよ
殊にこなしをやられぬはしる人なら頼まれて
イナサ頼まれて長留守多いやし
承て
一ト憎くいふ珍寛くやしき思途にて
一そりやましあんまり
卜国五郎のひ彫ぐらを取て引有る
国
一アリタ〳〵〳〵人ごろしら〳〵と
下公遣立大き船声をしてとめ金金
にて門上口の大治郎飛合て多く
大沼市
一おつかアどふした〳〵
くに
一其蛸六かより来て運し〳〵
一今門廿石にやる寝してゐて寝言に土入て
に
ひつくりしたぶこりやアまアどふしたのだ
一おれを二め月たゝ遣ひやとひ声を書を出がいやさ
是
一にのんとをてころそふとしたてせつ給ひ〳〵
一そもうめつ遣ふ殿何て其よふ船事を仕
京
よふそいのら
一何しねへ事が有様長のかのんど佛ままがひくゝ
取つし
大
一在りやアめつほり出殿事をしやかつし○
下塀かんの胸くらをとり
コレヤイせんぼ郭雁船お袋で長ころはせにやるよ
こせねへそこなしがおこりで病ほゆへよこし
て置てやとひちてもしらわずに二ヶ月余り
たゝつかひあげ夕の出てにこつそふとはつら
に似合ぬふていやつじ大成しうぬ音喰にこまり人て
長ころしてくらやけ崩十〇廿くらいたくらいたり
を示して賑からて長尻からて長勝手形所
から喰やアぶれ
下大沼布こつきま成しいかての鼻の先へ靡
を出しつき付流りかせつきの香く
里かん
おを成どのとふよくにお長右衛門はし胸弦かし胸弦かたし
まづか殿事をいゝがう人をころすの命をみて
くに
のとりしに取てきをかけるのじやナ
いゝぶかりとはなんの事だおれが胸くらをかう
とりて〆たによつてころ其気じ
花
え触くらをとり不上様
一豊云ウ何意趣有之ころそふ植いのり
二六
一イヤ〳〵ころ共に土かひ取以せうこそわれが女の
身で刃長のをましてい嫁のがあへし候
りかん
一廿匁二巻
ト半天にてかくす
くに
一〆楚成たらそれ〴〵き様気出
一昔ころすなら親子一所に
両人
一ころせ〳〵
下両人からだをつき付縁此とき門のうちゟ
猪の松勘蔵出し来りこれを見て怕りなし
猪の直はりかれに其成様
猪の
一かゝまこわひのり
み出る
一ますけひひの人達じやとしにたかりて居ゆへの
くに
一かやこてひと是こなたの事た此とし寄りを只
大
遣ひころそふといふ公様だくみ
一苧親のかかりにおれをころ長〳〵〳〵これがころ
さにや部門
え立かる様いせて勘房午のたつ船をとき
大治市のこしへゆひ付け此多き有合ふ竹
で牛をくらわすこれにて牛魚焼出し
出席出去大治郎これに引ずられ拘りして
二ウ此ちくせりめまちやアがれ○サアころせ〳〵
〇そまちやるがれ〇ころせ
下早めたつねの勤にて行ずられ受
へ去る
勘蔵
一馬鹿やアイ
下門の内へ奉入候
くに
一太あの野布めどふしむがつしのだ
下あつけにとられるときのかね
圖
一アノ加手是其為入相少しも長早く
くに
一芭蕉を貫ては
一下り成んを引留様此如き彦三郎屏風の
里成る
出げゟ出て国五郎越船勇五郎様
一やお来衛は見せん
くに
一何を
トおき上様彦三郎たどんの桶を図五郎
にかふせるあたりへたとてころげる事
彦三
一よふすは聞しコレ妹御その公事じ大やく行事
りかん
一節出来衛は屋が直しか
彦三
すてしゝ命を助かつた爰成御おんのおくり所
│
一そ赤ひ
橋の
一かゝせま一所にゆかふ是以のう
り成ん
一貫文銭つれて登
彦三
足手まとひてあらふければ猪介替りに
坊主茂共に
り成る
一貫七畝分けでて
一壱人
一諸気法出て其上早余行事
可成ル
かつちんじや
国
あれをやつては
下ゆかふとするを当様国五郎どふと成家
ときのかねの送りにしりかん猪の春の手
産上
を引会人は儀彦三郎総見送り
一成ほどかほふ巻鹿くまてと矢大臣て五乙
つく極めぐつすりやつた目覚したふつとうかん
し已様多く三御出郷送り候妹を多田山矢部川
はらへやつたれはどふて今よひ帰様夫
其間に家ぜい残らり路道にまじわせこまらせ
ておほゆは女郎がきはわかしゆ年いつばへに
うつたらば弐人りて片手冬大丈夫まだ其上
に恐動殿の頼みと有て蜂寄から少こして
た廃書の仕事をばしゆひよくやりやるこ
いつ毛釜とふて長金にやけ縁有様鐘楼
守り多け煩念長一ぢて運をつき出したわへ
下無うち国五郎桶を少むりしまゝ心付き
これを聞たしいて
国
彦三
一植て取らこなしし長蜂房どのに
彦三
出手にて一味のこの頓念
□□□□□□□□
一そふとはしらず
ト桶をとつたがんのこにて顔かまつくろ
に取つている代彦三郎若く
彦三
一ヤ里がつらは何じ候
くに
一わましがとふしたへ
ト顔紙出春
彦三
一水かゞみで毛うつしてそろ
□□□□□□□□
一わたし女からみ長居ぬわい様
彦三
一おきやるぶれとんし男じ
分木魚の勤にて両人よろしく此道具
ぶん廻す
本舞台三間の間せり出しの穴のきわより常足の
弐重歩の東込みをうしろ杉の立木藪畳うしろ
黒幕日覆ゟ杉のつり枝西岸より闇ぼかし
の霞柱のこまへ此下谷のこゝろ都て橋草寺の
山つゝき半ふ冬の体ときのかね山おろしにて道
今雨様
下ときのね説らへの合かし玉おろしをかぶ
廿向ふより笹尾の猪の松尚原てうちん
或もち先へ立ち跡よりわかん藪の竹を
きつた海心にて竹の葉の付きし枝に
すがり出て来る去余か跡ゟ嶋八善平
黒天の上り手にて伺ひ出て来り花道
にて
りかて
猪の
一雲ふらせま木の根が有様あふなひぞへ
一そよふおしゑて重し出しこひ〳〵したがわし
はつゑをつゑて有様ゆへ大丈夫じやかそなし
瓜づかぬよふ気をつけて行きやア
松の
一アイ〳〵
ト右の合出しにて平舞台へ来余嶋八谷
一被成ル
一平の下手の藪の類也忍ぶりかん只入れ消
一天元長ふ橋葬寺の山つき矢部川原へは
半三ちほとこちほとし長まふ少しこへ行お命のある
其内に御口弟の御身に成けり余所名からの御い上
まこひと気ははやれども此ほどゟきやくの病
ひをとつらふしまた落ぬゆへおもふよふある
事さへ叶わねど夫え猪介になり替りおせまの
御ちいごにお目にかゝらふべてわれはあけど
(
猪の
是猪の松そなし春足がいたひであらうの
かろ〳〵こしは何れ長殿いかさま足かいたいな
らわしがおぶりてあげふかへ
り成る
猪水
共よふいふてくりた〳〵かしこへよふで春
まだ子供せなたにわしがおぶせられふかいの
一そん取分わらがおぶせらふかへ
りかん
まるにおぶつてやるほどに長野門としんぼうし
てあるきやいのう
猪の
アイ〳〵
若
一ぐれ行ま升ふか
一ト此ときいぜんの嶋八善平出て
両人
女めうごく殿
下上月廿日
桜の
一アレ二まいわひのふ
下りかんにたき付りかん猪の松をおこひ勢は
りかん
一ユリや何は被成升す
嶋八
一なんとする上は売れた事退津の若とう松介
善平
か女房けふ妻いずいの両人に身よりのもの色人の
一矢形川原へとの有船と石動さまのおふ長をうけり
みちのけいごの早速〳〵ど長
両人
一通太事未かりならぬ
差成ル
一て長し古やり能長ので冬今升ぬ
一イやそのふはいまや今おのれがとせずかたりを
一のこらずうしろて聞てゐたは
差上る
一打運御ぜんどの上成ら春つゝみかたしんはま也升ぬ
い成に見猪助が女房にくり升餘御兄弟の御存生
のうちにおいとまこひがましとふ心り升れは
どふぞお慈悲お情にお通し被成て下せり升せ
後
にやならぬたつてとあれぞ縄うつて
善
一御城内へ引立流焚
天成
一とふそやう殿事おつしやり升せずにお通し
被成候下せり升世
両人
一ならぬ〳〵承らぬ事だ各
て成る
るやどのよふに申て長
後
一わらめんじ居村々達
下善平へ恐入れ
善
一合点じ
りかん
下両人引立に成候様
一天工かや候ふ被成升ぞ
嶋
ふんじばつて
藤
一ひき立流のだ
ト秤の勤に成り両人かゝ様を申かせ猪の松
をかぢい殿がら立廻り此ときばし〳〵に成り
向ふゟ竹節尻去豆壱本さし小田原てう
ちんを長ち出て来り蔵うちにて此件
を見ててうちんをふきけしたれ候へ入れ
ツカ〳〵と舞台へ来て此中へはいりさゝへ
りかんの突て来た竹つゑ足にせせ縁を
とり上ケ豆にてたつしうちにうつ両人
かならぬ只金にて上手へにげて去入様
瑞かんられしき思のれにて
わめれ
一里をなしさまかぞんぐ升ぬば有りかどふくり升
名の
竹三
りれにはおよばぬお法ゆどのわしじやわいの
可成候
やそふいふ冬只七どのかそんならお末崎長今から
竹三
川太郎へ
一ヲイノなんで長御兄弟のお弐人うさまをお助け
中屋倒れは追々出船公共は御死おひ取り上人の
目法まにふからぬよふおかりしやふと矢部川原へ
りかん
内今は二右衛門
おりより出よふたばつかりにあやうに取てぎをのかれ
けし
此三
一したか今のよふすで冬まし長屋捕手がとつて
かへし候
り成て
一爰へ来ぬうちすにして長早ふ
此三
わしと一所に止らつしやれ
下此とき上手ゟ嶋八先に善平丁平常作
嶋
一ソレ
大和平つち蔵黒四天にて出て来り
下両人を参り未今日
六人
うごく殿
竹三
一ヤコリヤ多せいにて
天成る
一了ましかを
ましみを
嶋
一今度逃せぬ
六人
一かくごしろ
竹三
一今そう聞しは一生けて命百姓路がらやぶ刀め
つたにうぬらに手にあふ是のか
卜竹三郎りかんをかこうきつと成様
嶋
一何をこしやく殿打て
五人
かつてんじ
下禅の勤に成り六人十手にて打て出家竹
三郎わきつんをぬき立廻り斎うちりかん
吹かへ人形の猪の松をいだき此中へはいり
逃よふといふ立廻り能きほどに嶋八里かんを
ひきすへ縁をふり払ふはづみにあやまつて
谷へ落し心にて廿りの宮へ落後竹斎
これを見て
竹三
や此むせんさりやお露どのを谷そこへ
六人
一何を
ト三味せん入り禅の法とめに成り竹三郎六人
を相手に立廻りぞてふてあつて能き心埒
にて哥どふぐ
ぶん思す
本舞台向ふ面響づかしの岩組のはり物上の方へ
清水の殿かれ岩くみ舞台まへ岩くみのながれ下
の方岩のはり巻の所々に杉の立木日覆よりお
命じくつり枝都し谷そこの峠よろしく山おろ
しにくどふぐるほ
一卜直に床の浄ふりになり
〽流水の形琴に似て松風通ふ水通ふ水の
ほしのひかりさへ樹木に覆ふ揺華寺谷
あれお法ゆはおちこちの気ぜつなせしを
猪の春がおぼつかなく長よぶ子鳥
を総らへ此留入りの合出た山おろしのなり
ものに成り舞台真中へ帰らへの岩だいへり出ん
寄りかかり胸をおさへ気せつせし件これを
猪の松すがり付きかゝせまのう〳〵とよび
にぶらせり上流
猪の
一かゝさまいのう〳〵
〽手へと奉るべと言のこたへ乍然れば顔弓ち
取成候覚
下猪のり松はかての顔へ手を加へ手を眠
ケ承を見て
コリや出りさまは寝やしやつしかこれ起て下乗れ
かゝさまふ〳〵
〽肌へ手をいれいだき付呼声耳に通じて
やうてときにいきふきふきかへせば
下猪の松りかんの旅へ手を入れだき付き
耳のはたへ口をよせ呼生様これにて
差出ん心付き目をありを見て
かゝせま目が覚しかいのう
〽すか様万子に心付き
候わかれ猪の松越見て
天成て
一ま猪の松そなしはまがは居かつしかいのりるれは
しめし○
〽いふいきせへ長く縁とげに
えりかん胸をおさへいきのきれた様是れ
コレ水の音がきこゑ様かそこらに滴水か有余なら
は下口のまして今やいの
花の
一アイ〳〵〇
〽またいと葉なき子屋に長親を大事と猪の松
かあたり見廻し谷川の水の取出先に目を付ける
ト無うち猪の松あちこちみ水を尋る焼
かれ岩台にわがり胸を押へいる猪の松
上手の流れを見つけ
一己かゝせま爰に清水が有様わいのう
兼而
一貴げかせぬよふにくててた春
猪の
アイ〳〵
〽あいと過事もいとひ能くはしり行子を案事
られけがせぬよふにといふいき長月ゆき鍬出れ
に猪の松か楓のよふ殿手をひらき春ひあせ
て長長塚水にし出し能重〳〵なき出せ置
下猪の松瀬かれの傍へ行手に水をすくひ
上流水の事長沢ゆへまたくみて巻長塚ゆへ泣
出す此うち可かかてあれど而思入れ有之
可成ル
己猪の松河を彫くそいのう
猪の
一
りかん
打建て茂水が手から長縁といのう
こそふてあう〳〵あう〳〵遣なしの手ではくめ
ぬ右衛門是斎手始会ひへしめして今やうのう
ねの
下物をむすびと手ぬくひを立て出来
アイ〳〵
〽まし春や瓜ぬれにせしよつて手ぬくひへしめくひへし
かしこく長流る水を手に受て母にわたせ
はうれしまにわかながらおしいたゝきのむ
この水が親と子の末期の水は繁事是
あとにぞ思ひ知られけり
卜無うち文句のことり猪の松手ぬくひに水
をしめしめし長ち来る璃寛此水を呑とい
きをつき恐入達有之
可成れ
天竺しや〳〵今の水にてよふ〳〵と号の
いふ事か尾縁よふに能つたも猪の松遊町
の影おみゑだけげり落しときよふ茂常
が取かつしそわしがそんしてあつしなら
がゝひの能いからだゆへ所せて命は助縁まひ
におきなひうちめうぶす夜の附てお出被成
承候といへばお助け被成てし下下達しか予有が
たひや私右衛門
〽両手を合せふし拝免ぐ傍に見て居猪の松
かと長ほむだしゆせうなりおつゆ冬よ〳〵
わか身にかへりあたり差上し〳〵て
下塀かて手を合せ拝む猪の松目じく拝む
りかん思入れ有てあたりを有之
爰れたしかに橋亭寺谷樹木のしげみら
見へわかねど今落両ほが菜際は生るかに
高ひ山の上こりやめつしに春上られまひ木
こその通ふ道参船いか谷つゝきにたゆかれぬは
〽病苦のうへにいばらにて身をかきやぶり数ケ
所の疵よろめく足をふみしめ〳〵て世の通
路あれはにやとほしの雨かりにそこ爰と三連
金屏風を立てた余ことき苦む春岩月に
道具なく出露は右衛門と途方にくれ
トいかんよろしくおもせひ有之
答コリや名を見たも長ひだりを見て追ける
岩の谷間にて木こりのみちもあらずれは
法ばさば給ふては親子と長上様事はならぬ
かいのう
御召上流尾上は去様かにて只うろ〳〵先方
も加里より外の事それてはつとばかりに
たをれふ共母にすかりて猪の松が
江里かん傾きふ去猪の松すがり
猪の
是かゝせぬまし寝やしや海のかわしもねむたい
ねかして下けれや
かゝさま寐かして下を運といふゟ早く其まかに
法もち厭ひ子の寝顔をば見様母熱の如取
し。さに
ト猪の松其まかころげ成りに直に寐流里
万
かん是を見ておもひ入れ
うたかね木塚と風引台所是橋の直〳〵アツ壱ふ
寝入てしまふたか○コレそなし冬何も知らぬ
けれど爰は檜華寺の山つき人も通はぬ
谷間ゆへ所せて上沢事豊叶わねはしゝおふかみ
のゑじきとなりそなし茂わしも此谷で一所
に死船棟毛助らぬ公いのうそれもしらず
に此寝が月おもちへはふひん故事しや十日の
今西様身も子の先に風で長ひゐて長子の足に
此とわが半天城うなきせしいたる心そありあれ
れなりおつゆはこか身のはかなさにたせぞ
金なしてはいきをつぎ
江無ちわが半天をぬき猪の松に出事
まかん
じつと思のれ床の合かしがつぼう鳥のこへなり
一アいづれはこそこそか身ほど世子春はかない長のがあ
らふか幼ひときに親に死れ他人の手にて人となり
夫トをしつてわつか六年そうかそる夜に死てかれ
便りの能ひ身をおせ詰に頼りし真葉さまには
御用害私奉還其お子せまの御兄弟けふ御利罪の
有様と聞此世にお顔の見調めに矢部川原へ
行道にて捕人にかこまれあやまつて此谷を三へ
落たればつぎを取くて春上られず我名の露
は熟字追長消ねはならぬ命のおとりかくは立
私は妹や小笹さまが生そ御取敷き被成様へおいと
いて何の因果て此よふにわしつの御家の不仕
合せ縁に法なかね家来まで出て能て春沢とた
世の中に神や仏是給ひ事かいのう〇
〽悔み立て身を長だ也泪にくれしか気を取
か直らし
て千万いふにも長かくらぬ事迚も死なら壱合でし
御ふちをくらふし武士のり妻戦の為に死せんゟわ成
子をころし候御逢呉死たとへ所参違ふと御座候
青母の御供成しめいとへ行て御慈母さままや夫江
におふか身のたのしみ今猪の松が寝入しこそ丁
度幸ひ目覚へうちに下思ひにせしころしとか身
もと長にそふじや〳〵
〽覚ご極む様おりからに傍にふしたる猪の松が
ふつと用せまし起上り
ト猪の松藤におとつき思金にて
猪の
一かたまこそひ花のう
〽こつは泣出し上り法霖冬高まかひさにいだ〳〵のせ
下猪の松りかれにすかり付く
可成也
一一
そどふしやつし〳〵
猪の
一こわい藤を若し石の
別ル
いふ茂お露壱胸にこたへ
一今ころせまゝを虫が知り宣仏谷を藤やつしかまら
かくいや船部
背能でさされは目をすり船から
猪の
一何ぞおほざを下遣れや
りかん
貴殿具用ふ手長〳〵よふお上なしふ寝やはし
ゆへ今そなしに参斎が○氷の氷の刃をやりませう
□□□□□□□
アリ其氷盤わしが大青き早ふ下生れや
〽何のかけぜを配て親の心をしらぬいかけせにだき
しめ〳〵
りかん
これかどふけりころせりやうぞいのう思へは害ぜん斎が事
ゟ落た様とわきに承ら此段申三畳有まへ
ものうぶ神せ母の出助け長今は成りてはうら
めしい私せ殺して巻下せり升ぬかうなるはしか
猪の松か流れの水を手拭にしめしてのませし
一つきは囃子の別れて有たるはつゝいや
〽かわいのものやといだきふ是が此世の別れかとつき
立て老名づきしが今せらせぬ是なり自
をはらいよふ〳〵心取り直し候
ト孫かん猪の松をいだきよろしと具思召也
わたとへ何ほ上歎きたにて今と成りて冬返らぬ
事酒は後世の為に尽ならぬすしと長まふ此世を
去り○とはいへ親子は一世といへばも思ふ是きりで
逢ふ事ならずを以の川原へゆきやほであらふ
〇是に付ては此月とゟ地蔵和せんをうたふのは
ものゝ知らせてあつた浪か○コレ猪の雲命宵
お月ぜをやるほどにいつ春の和せんをうたふて
猪の
聞しや
一アイ地蔵和せんをうたふのかへ
ふる
猪の
其そふじや〳〵此世の別れにうたふて聞しや
一かゝは母おま衛長一所にうたふしや
かん
まわしも諸から付舞ふほとにままそなしふら
うたやいのう
橋の
フイ〳〵
あいといゝつつ猪の松が父母の属積石を尋ねせ
かせは母熱は流れの水を手拭にしぼりて
岩にそゝぎ出け丹押当て兵衛をお達
上知らねは声去り上げ
ト此うち猪の松あたりをさぐり石を尋ね瑞
かて流にて手ぬくひに水をしまし能と右衛門
の岩へかけ脇差をぬきねた春合せ猪の松
盤石をひろひ来て
是は斎世の事ならす死出の山路の裾野様
を以の川原の物がたり
可
聞工附けり長あはれ漸く
一弐りや三ツや四ツ五ツ十に春足らぬ餘り子ゟ川原の
石をとりあつめ
をこれにて回向の塔を組へ
し
一重組凡ては又の為
はかん〽武士能つては母危為
一三重組九貫八古里の
名東
一兄弟わか身の回向として
〽小石を取て法之上流見様に於露水身には身毛世長の
アル
あられず
うたふ和さての夕句に暑昼はひとりて遊べず
目号入相の其ころに地ごくの鬼があらわれて
黒鉄の棒をのべ積多様塔を崩すとやら其鬼
ゟ長斎母ゟ黒須ならぬ邪見の刃
〽ねたべ合甘春おの成身の血死初と知らでよ
よね也船具々たふ和せてはめいどの三ちびき
迷はぬよふに地蔵高の出ればへ行て不具上而
刃の下に猪の松がつむ其石のかづゟ長思ひは
ちゝに切り兼し斯て冬立て国越は去る
ましゝ
り出る
一南無あ三だ佛
門ふゟ早くき里付れ無刀無打建て出用
へかつきは当りとびち流石生猪の松は黒く
ふかし
下りかん切に成候様刀誓達て忠だいをきり
石貫右衛門く真様是にて猪の松伯りなし
松の
一かゝせまかんにんして下されや
〽逸球我子を画き三郎へ
ユレそなし計りは数し冬勢ぬ曰しも一所に死ぬ
ぬ君の
松の
〽またふり上ればとりすがり
一コレ今度ふらいふ事聞わ嫁以事はせぬほどに
もふそかんにて下され
〽かんにてといふ声に奉すがふべんとお呉へど
長白子有之て出質び上後用をとちて猪の
松が胸先とつて幾たりはアツトく様しむ一声
と共に突出す後夜の鐘あるれ無常にいき
たいたり
ト可成て猪の松の胸元をくり幾立合アツヽ
は寝しむ平つり鐘の四ツの頭を打こむ
りかん思のれ有之
差
一ヤアノ鐘は○
〽棒多余刀の手茂たゆ三心にかぞふ様鐘の数
ト可かせ鐘を聞思ひ入れ有之
アリや橋草寺のけりの鐘多しくかに突ひは頓念ど
の○
〽は様かのり尾上をうち見書お露冬月つと
はいきをつき
アノ鐘の音を聞に附今宵七ツに太宰のぼだい
所海雲寺にし法会の始る其刻がんに摩浪と
きはいか殿罪の有様もので着命を助様大
教と聞頓念のか橋華寺の鐘楼守今そこれ
幸ひはりに七ツをつゐて貰ひ御兄弟の出命を
助様手多ては有りなからふたゝび上へあかられ
ぬ数丈下の此谷そこ所せんのそみのり叶わぬ上は
少しも早く悴と共にめいとの旅へ出しむふん
そふじや〳〵
〽刀をか手に胸えくつろげすぐにかう少となす
所へがけの上ゟ只せが藤にすかりりており来り
分差成て咽へつき立よふ上申候様此とき上手岩
組の上より竹舞藤法様にすがりおりて
来り能き所ゟ飛おり縁此音に瑞かん怕り
とびのり
竹三
てめん
やお露どのか
そふいふは只ちどの
此三
天かん
命につかぶるなかつしか
一こなし申上り手を返置し候哉
竹三
そめつしきりにきかちらんこの雨の生懸やあん
しられ藤にず成つてよふ〳〵とおけず両頃に出り
て来た
相成候
一くわろりや此谷へ下津三ちぶ
廿三
一これゟ右にわつかながら木こりのかよふ殿があほ
〽聞くお落は猪の松がわかなきからをかきいだき
ト四かん猪の松の死かひを見て
り成る
一そみちか有余手長知らずしてふびんやこなしを
うせしがはかし
とつみ斗りになきふせば
竹上
一何こが子をころせし上応〇
ト死かへを見て
□□□□□□□□
やゝコかや何ゆへ猪の松を
一廿夕此谷村元ゟ上られぬと覚二御堂発し親子と名
死ぬ様やだし猪の松平已上が手に成事ころしろしてい
のら
竹三
一ろりや弐人り手長死ぬ覚ござし
り成る
廿月折連上今まし幷山へ登城道が有から毛死ぬ
承命をしばらくながらへがけ伝ひに橋葺寺の
山へ登ツて頓念どのに八ツの時刻にならぬう
ち七ツのかねを突てしらい法会の始に御先
竹三
弟のあやふ以命をおほけ申せて
成月と夫はよゑしあれ頓念どのさへ承知順郎
手茂ぬらせずに助様お命
着ル
これ茂命を助りと大奥の有様おそゆへ少しやい
やとはいかゆれまい
竹三
図ル
そふいう事なら片時長早く
2
合点じや
〽帯引〆し立加成れは
此三
九
一只ふぶんなこのり猪の松これ一足早笠木多ら此
最期冬させまひ長の
可成候
おりては此子のいんくはながら今となりて矢磐の
ため足手まとひの能いうへは毎とへおこりを不流
ふと岩お冬をすくり一念力此谷そんゟ迄北岸に
我が子のなき冬色の春ぶ三さきへ死てだ是
おそへ忠義
此三
一其者なげ殿る猪の松を其まか置だけだ春の
のゑじきせめて死がへは谷川へ心計りの
水遣うれ以
可成ル
一今うたふた様猪の松が地蔵和せれは冥途の道
びや
竹三
一しかれ居かれの其末は左右の河原や矢部川かけら
黒かん
一父母の為積石長
此上
一此場にのこす墓印
若
一高手元さへ春今願ふ
此上
一ころか七つを一郡にて
天かん
一思へ参去成殿ひ
両人
一身の果じやなる○
一水三匁なからに亡骸をかゑらぬ水の谷川へ
出きいたきつりおとしのれ
ト両人猪の松の死かいをかき荷ひ上手の切
り穴へ入る水常むり去つと立つ両人有之
南無あみだ件〳〵
此上
〽未多者酒に人運なれず且ちわぜと武兵宅まし
一其なけた在瀬から新成様上冬片時は早淵
アル
おそのりお命助様が死たるものへは法算の
其こか子の船ぶきに思召ぬおくれ春とし長早ふ
捻葺寺へ遣ふじや〳〵
〽身こしらへ春沢其ところへいつの間に成是伺ふ輔人
下りかん立上り身二し衆す様此峯後ろへ
嶋八谷平伺ふ出て
酒冶橋
とつし
〽打て出辰を身を出たして右と左りへねじふせて
江竹三郎守益り谷平多出流候此上へ行八
竹三
をねちふせきつと押へ
哥かまわづと早く〳〵
関心
まちそふじや
三株ゟ下塚藤次様に長右衛門手残出兼て少け
伝ひ気はやれどちよろめめて足
下りかれいせんの藤法様へすがり出台へ足を
かけよろ〳〵としてとふとなる
竹上
けかせぬよふに
てかん
合点じや
勇みすらんで
トりかん藤徳津越かたへ御普岩番へ不被成事
きつと名屋捕人はねかへしかしかゝ塚を竹三郎
善平を不まへ嶋川をねちあげ見へ双方
引去りよろしく寒山おろし五ケりにて
ひやうし幕
山おろひにしてつなぎ直に引返す
四日
当弐丑丁
夏狂言
志のぬ此語
第壱番目八幕目
一檜華寺鐘楼堂の観
第壱番目大詰
一矢部川原郡堺
又
当ル丑の
夏狂言
志めぬひ鰡
第壱番目以幕目
捻華寺鐘楼堂の場
吉三郎門
代三郎
広五郎
珠寛
本鮮臺正西二間に高サ十七間の崩れかゝりし石垣真中に石段
此上に古ひたる鐘楼丸物の鐘撞木此後ゟ小高き山に杉の樹奥
深く響ほかしの海の土を見鐘楼の下能所に石の手水弥左右
松の立木日覆ゟ同しる之釣り枝都て播華寺山の上鐘楼生
の体禅の勤にて幕明く
〽筑後の国に名も高きはるかの峯に揺華寺とて其古しへは
大地なりしか世をふる雨や嵐に損し七堂から人も朽し
は一く鐘楼はかり名のみに残馬見るもわひき有様
なり爰にお露は撞鐘の撞木の綱に御主人のあやふき
命法なかんと忠義一図に思ひ込みあゆてくるしき非なから
もよふ〳〵山への月り来て一ト息同つと息をつき
ト是へかすめて禅の勤をかふせ向ふゟ前幕のりかんよろしく
苦痛の思ひいれにて出て直に大十舞台へ来り
りえ
一うれしや爰は撫鷹寺の山の上なる鐘楼堂向ふへ見ゆるは築後堀
海へ光りのさしたる是廿三夜の月しろならんさすれは今宵もモウ九ッ
今にけんの顔念との分九ツの鐘堀つかんと此鐘楼へ山んす地爰に待て
いさゐを頼みよし二時早くとも今九ツに七ツ堀権ハ法会の時刻よ
一弐人共慥にお命たすからんとふそ首尾よふ仕負せておすくひ
申たいものしやナア○
〽待間程なくふもとより来る人影を打みやり
じりかん匂ふを見て
向ふへ来るハたしかに見さん見れはつれのあるよふす北影に
しのんてそふしや〳〵
〽うちうなつきて片へなる杉の木立へ身を忍ふ
一下りかん思ひ入れあつて下手の影えは入家
〽茂る葉影の闇よりも欲にはくらき山道野ともしの
光りに頓念う案内につれ蜂蔵か鐘楼本さして
あゆみより
トやはり禅の勤をかふせ給ふゟ前幕の彦三郎分挑灯を
もち跡ゟ前幕の広五郎出て来り捨せりふにて直に
本舞臺へ来り杉の枝へてうちんをかけ
彦三郎
一コレ塀蔵との爰ハ山の頂上ゆへたれも来る気遣ひハを以サア
ゆつくりとはなさつしやれ
広五郎
一然らは是にて蜜談いたそふ
〽御領れし石のとふろうへ両人腰を打かけて
ト両人石のとゝろふの灯袋と笠へ腰をかけ木ゑ入りの
彦
合方になり
一シテおれへの頼ミといふ候て
広
一サアそのたのみといふは今ふもとていふへか主人石動大池さまかねて
大座のくわさてあるよりわし津兄弟がしやまになるゆへ科を
こしらへいつそやより獄屋へうちこみおいたる所先殿の年四にて
海雲寺にてあすよりハ大法会がはしまれハ明ケ七ツの鐘御限り
一筑後一国の承人ハゆらされるが国法ゆへ今宵俄に獄を引出し
矢部河にて刑罪に行ふのつもりになしたれ共後室始家中
彦
のやつらが命乞をなすゆへモシ八ツの鳴る迄と聞済あれば誰女い
事それゆへ八ッ廿一時早く九ツの時に撞さ仕廻弐人りが育な
ぶち落せバ聞済あつても跡の祭りたのみといふは爰の所今
こなたが鐘構を守るはなり出すといふ則吉左右今九身に
八ツを撞き弐人りをはやく殺させたら直に其身は立助出世
それがいにならほふ”の金いづれなり共予次第と大諸里ゟ
ひそかのおふせたとへにもいふ福徳候三年目とは今此時せんと頼れては
くれまひか
〽そゝのかされて頓置て欲に心ものり地になり
成程まてばかんろの日和とやら知つとの通り元おれは頓六といつて
りし津の若とうわづかな落度でたぶさ成きられせう事なしに
出家して此接卒寺へ轉け込よんどころなく模鐘の番ハすれども
そのいやさ先第一に飯より好な酒もはれては呑れぬ上女といつては爰へ
来てから桜草上に枯かゝつた天人のつらを見る斗り狐をせうにも
相手はなくあばらすどうの山門に仁王もみだからぐ寝ているゆへはぎ
とろふといふ目当もなし何の因果で此よふに坊主になつた事だろふと
我作でわが身がこらめしく遠から爰にかけ落して還信せしと
は廻つたが出てからどことほんとめたる山がないゆへ山寺にせみ事なしに
薩構守そふいう矢先へおれをあて頼みの鐘を撞たなら取立よふと
は有難ひいかにも承知差込んだ今九ツをつきかへる八ツハおろか十が
百迄撞心スかならす案事きつしやり升な
〽いふに蜂蔵ぞく〳〵よろこひ
広
一なりや二言といわず頼れてくれるとかへんくつ者の猪介と違ひ気
も知り言ふゝこなくゆへすゝめたならば得心此しよふとは思つたが流石
にいぜんはわし津の花どうどうあろふかと案事たに直さま承知且
互ひの仕合もふ罪人も矢部河原を渡り越したに違ひないさすれバ
時刻にてうどよいサヽ早ふ〳〵
彦
〽せりたつれどうちうなづき
一イヤ七つなこなたよりせかるゝおれが立助出世の刻が人をとりぐつて
むるものか
広に
一然らハはやく八ツの鐘を
彦
一ドレ撞かけふか
鐘楼の檀へふみかければ後の方に声あつて
ト下手杉の木のうちにて
りかん
一アヽイヤその鐘まつてくださんせひナア
〽いゝつゝ出る出露を見るよりひつくりなし
広
下下手より已前の里かん出て来る両人見て怕りなし
一ヤたれかと思へば猪助が女房
彦
一わかや妹のお露めか一げんで爰へうせたのだ
一せんと
一サアおまへかたの邪魔をしやう病一せんと
一モシけんさんよこしま非道のおまの目にもわたしが妹と見へるかい
一立はだかりし頓念が衣を袖をしつかととりこほるら涙候
おしぬぐひ
分りかん両人の中へは入り彦三郎の袖をとらへしつと上入れ
誹らへの合方にゆり
今さらいふにはおよばね共まだおまねが顕六とてわし津の出家に
つとちるころ先旦那頼母月の御年田の其折に高野山に納る金
をおふせをうけて預りながらき伊の国へ行途中にてあろふことか
一宮津のくるわに遊び其金を遣ひすべしのみなるかは天は口論仕出し
てくりわの者にからめられ本国籠坂へ送られてお主殿へお恥辱を
かけたる上にその段も不届参の御主人であろふなら重きおとかめ
あるへきにお慈悲深き御主人方ふとゞきけれ共その元は仏事の
為の金所より起りしゆへ頓六が命を助け得さする程に恩をおも
はゞ出家となり先祖の草縄をとむらへとたぶさを切つての御法い
ほふそれから伯父御のはからひにていまに命のつたがなく世にあり是
皆お主のお蔭其大忠あるお主任の八ツをかぎりのお命を一ナとき
早ふ九ツにちゞめよふとハどうよくなそれに引うへ此お露は九ツに
七ツ堀模てもらひどふぞお命時多くおままに此事頼んと小願に
待て聞たる寒談おもへば最前本心になりしといらしもいつわり成か
一堂とへ百万石に取立られ黄金の山をつかることて何とてかだんの
なるべきぞ今堂御恩の送りとき頼々の七ツを撞ならは撞束諸事一
谷の綱こゝろをまさしくもちかへて思ひ直して下さんせいな部
〽深実見へし兄おもひ忠と孝と孝との二道を一図に
お露が強異けん吹く頓念もしましと
下彦三郎廻入れあつて
彦
一アヽ我助なから誤た義理有候家中の兄弟でもかうもこゝろの
違ふものかおれは欲に目がくれた現在古主の命をちゝむるか手を
法心令相談するそれに引かへおぬし候また其つく潰に御主人
を巻くわんといふこゝろざし其実心にかんじ入り即座に心を改て
いかにもお込のいふ通り八ツを七たに撞かへて御口命のおいのちを
すくつとやらふといつたならわれハ嘸かし悦ふが此願念ハまアいやだ
足のこらへ不み付た飯つぶ程の切り米場もろふといたを恩子着て
みも〳〵目先へぶらざがつた出世のつるをとり逃すたわけが今時
有ものかわれが夫の猪助と違ひお見る通生れ付き馬鹿かたひ
事が大ぎらひ義理や忠義をてきまへて此せちからひ世の中が
片時とも渡れるものか忠頼〳〵と道立してよつへ死するいまとに
なり後悔する併見るよふだ義理有る中でも口ん弟のよしみよ
それが不便だ是
広
〽あくまで妹をてうろふなすその尾に付て蜂蔵が
一いかさま是は頓念がいふのが道理みな尤ヤイお露よく聞ま
一現在われが主せからわし津兄弟のやつらめは時節を知らぬ大だとせ
当時筑後一国ハ寐かそふと記そんといと自由になるおらが旦那大記屋に
へつらわずいらざる忠義立せしてかわいや今夜は命のおわりわれも
居所に用かならおれが且水へ取持て飯焚子でも置てやらふ所詮
逆のつきはてた弐人しが事はおもひ切れはうそれがいわゆる当世也
りかん
〽主をさみする蜂蔵が詞にお露ハ口おしなみだ
一おのれが心にひきくらん人をさみなす今の詞たとへ此身はかつへ死とも
一石勤つれを主にとろふや聞もうるさい耳のけがれもふ此上は
人手ハ頼まぬ思ひ込んだ我我一念女なからもアノ撞鐘やわか撞いて
置べきか
〽鐘楼を目かけ行んとする所引もとして立へたて
トりかん行ふとするを広五郎とめて
広
一ヤ丁ならお〳〵此蜂蔵がつかせ家鐘の邪魔立ひろがバ手は見せぬぞ
〽刀の柄に手をかくれは出露は鯉口くつろげて
ト広五郎りかんきつと見得
り見
ヲヽ折よく爰に来かゝりて悪事のよふす聞たる上は何とて
広
此鐘清兵にそふや達て撞なら覚都しや
一しやらくさい覚都余りたゝへ釼術者の娘に世上高の智の知れた出んなの
手れんそふいふわれから覚都あしろ
切てかゝ家財身城かわせ是いらつて付居而蜂蔵が刀切
てうと打おたしさそくの手陣にしんの為願念すりさず
組付をふりほどひといし居る折からぎやくの再ほつに
お露はかつばと伏悦び無念の歯かみに身をふるわし
申此内広五郎切てかゝ家を立上門とも当而彦三郎組付をまた立
上つて彦三郎を引つけきつと見得風の音になりりかんおこり
りかん
のおこりし思途にてふるへ出しとふと成る
一ヱヽ折もおりとて残念なきやくの病ひの再ほつに惣身ふるへしゆうに
ならぬとヱゝ口おしひ
〽気をもみあせれは頓念がしたり顔にはつたゝけたおし
下彦三郎りかんをけたせしふみにじりきつと見得誰らへの合方
彦
一チリやめろふめよく汐のよわつか五十か百両の目くされ金を遣つたを
たふさを切て追放されせう事なしまでも坊主今九ツを八ツにつく
鐘楼のかねは自由になるが二朱を崩せバ八ツに成る飯粒程なかねに
困るゆへ不動さまに頼まれと一時はやく兄弟が命をちゞむる時場つき
還俗出して立地と云多だとふてわれもくたば家からだ迚も死せら
冥運迄主人如供を死出の旅三運のかわいやまたとしも廿三夜を一期
として道のつき座や命の捨塀しやくめついらくとなりひよく鐘楼の
鐘を行導に此旅幕寺の土となれ
りかん
チヱへいわふよふなき大悪人堂とへ義理有家兄子もせよお主の為には
かへられぬ
彦
一ヱヽ足手もきかぬ出なり病したばたする奉及ぬ事たは
〽足下にかけてふみにしり上て傍にたをれし蜂蔵か息吹
かへしせき立て
広
ト広五郎心付き起上り
一頓念や川ハおれにまかせ出ぬしハ早く撞鐘を
一ヲヽ合てんだ○
〽ヲヽ合点と立かゝるをやらしとお霞かすかり泣き折
から雨言おゝひかゝり篠つく斗りの俄に降て身に降てく
と其侭に出露こゝろはれ〳〵くすつきたちまち
蜂蔵がゑり髪とつて投のくれハ頓念ハ打驚き
ト此うちよゐくあつて本国さつと降る是にて骸をひたし
一おこりの落し是途にてりかんさつとなり広五郎を投のける
ヤア今迄手足の叶はぬおのれが
りかん
一今夕雨の飢にふりかゝると気もはれやかもら成たるハ雨にからたねひたせし
一ゆへ俄におこりの落たるもう此上は一念力七ツの鐘を捨て置ふか
両人
一何所こしやくな
〽鐘楼の段へ駈上る出露堀やらしとさゝゆる両人
ト是より鳴物になり立廻り有へて
〽撞木の綱に手代りけて互ひに横んと引合ふはつみ紛は
根よりもふつゝと切れ落る撞木を頓念が持たるまゝに
ふみはわしはかかの谷へ落入たり是いとためろふ後より
すきを伺ひ切つくれはヱヽ口おしやといらさまに塀蔵
かあはらをかけて切下れハこんとはかりに堂おれ伏す
一相手なけれバ深手によわり出露も尻居にと成り
ト此うち文句のよふに三人舞構の撞木の法をひき合ひ
立廻り下候湛切れで持木落而彦三郎是をとつて打て
かゝろふとしてあやまづて石段をふみ有したち〳〵となり
上手の切元へ落る広五郎差添はりかんをきり下る
アツトいふて直にぬき合せ一寸に立つて広五郎を切たを得
廣五郎下手へ其またおるゝり出んホツト思入有之
りかん
一ヱヽ源手を負ふて残念なから此蜂蔵を仕留れは頓念とのは
谷へおちつへ家相にのなきこそ幸ひ此間に七ツのかねつきおもへり
さまをお助申さん○
いゝつゝ鐘楼を打見やり
五日今あらそいし其時に撞木を綱材引切たれ是コリやつく事は
叶わぬかヱらとふしたらよかろふそい十ア〇
〽はつてはかりに途方にくれ気をもみあせれと詮方なく
次第によりるきゝ所手源手せくり苦しき息切れして
片一に有合ふ手水鉢の水を呑んと手切さしめへよふ〳〵
柄杓とりあける折から雨雲ふきはれて廿三日の月影に
鐘楼の鐘ハあり〳〵と此水盤に影うつ家抔おもわすさつと
うち見やり
下此うちりかんよはしくおもひ入れ有て手水鉢の水を呑ふと
はい寄りひきくを取上る此時しらせにつき舞台まへ日不
よりめつきの廿三夜の月出る是にて鐘楼の鐘の写りし
心にてきつと見て只金誰らへ早なかふの合方に成り
伝へ聞いにしへ小夜の中山なる無間山の権隆ハ富貴を望む者
あれはかの寺の観音ふきせひ候かけて是をつくに末世は無間の
地獄におち浮む瀬さらにあらされとも○
〽此世にて是おもひのまゝに冨井を天家者なりとて
去日を壱人りの貧女ありてくたんの窪地つかんとなせとかしこへ道の
遠けれは是非なくおのれが家ふある手水鉢切鐘になそらへ是を捨て
黄金を得しとそ其身の薬花城のそみとさへ一念こつては其ことし
〽それ是はるかの東路に遠つ近江の中山寺
爰立ところもにしの国心筑紫の接華寺に宝にのそみあらぬみ
もお主お命すくわん為〇
〽鐘楼にかけし権鐘をつかんとおもへと撞木ハなくはからす
ひんとむる水盤へ
月もつともに撞鐘の撞座の方の写りしハ是城つけけよと佛の
おしへが
〽たとへそれにはあらす共御二方を助んとおもひこんたる
一念刀影にもせよ
水にもせよ我こゝろに是鐘楼のかね何とそ爰に音を出し
一御兄弟のお命をすくわせ給へし○
〽祈念をこらし水釜へ写る権座を的となしひさく
ふり上けてふと打ハ打たる水にこたへはあらてかしこ
の鐘の鳴り渡れ是おもわす怕り飛のひて
ト此うちりかんおもひいれ有てひさくにて水盤を打能所
にて本つりかね鳴よりかん帰りして
ヤヽアノ鐘ハ権楼堂ノおものおものお命所助んといふ忠義なる
一念力の通ふしてか○
〽出露はこゝろ飛たつはかり気をはけたまた
打ニてハひりける音ふ蜂蔵南無三宝と痛手もわ
すれむしやふり付をふりほさきつゝけて打んとふり上れは
イヤ打せしとさゝゆるを小腕とつてひさに引しき心に
かそへ水盤を打落留家もきう所の深手たかひに
血みとろ近附血死期うきをかさねて六ツ七ツ七御望候
の時を撞させ
分此うちりかん広五郎と立廻りなから水歴を打事文司
の切目〳〵へ本つりかね城打下候広五郎をつきたおす
広五郎其侭はつたりとたおるゝりへん思ひいれ有之
おもひのまゝに七ツをは撞おらせしう嬉しやナ
〽張りつめし草もよわり行折から匂ふへ只七かさゝゆる
組子とあらさひなから鐘楼を目さしてはせ来り
トはた〳〵禅の勤になり向ふより竹三郎已前の時八吉平
の捕手と立廻りなから出て来り直に本舞台へ来て
竹三郎
りかん
一出露とのか一首尾よふ七ツをついたわひのう
竹
ス日や今うちし七ツの鐘ハこなたがつきしか
同壱人
何を
ト此うちりかんおもひいれ有てひさくにて水盤を打能所
にて本つりかね鳴かりかん帰りして
ヤヽアノ鐘ハ権楼堂畑もおものお金のお命城助んといふ忠義なる
一念力の通ふしてか○
〽出露はこゝろ飛たつはかり気をはけましてまた
打てハハひりける音ふ蜂蔵の南無三室と痛手もわ
すれむしやふり付をふりほさきつゝけて打んとふり上れは
イヤ打せしとさゝゆるを小腕とつてひきに引しき心に
かそへ水盤を打落留家もきう所の深手たかひに
血みとろ近附血死期うきをかさねて六ツ七ツ七御座候
の時を撞させ
分此うちりかん広五郎と立廻りなから水盤を打事文司
の切風〳〵へ本つりかね城打下候広五郎をつきたおす
広五郎其侭はつたりとたおるゝりかん思ひいれ有て
おもひのまらに七ツをは撞おらせしか嬉しやナ
〽張りつめけけよわり行折から匂ふへ只七かさゝゆる
一組子とあらさひなから鐘楼を目さしてはせ来り
分はた〳〵禅の勤になり向ふより竹三郎已前の時八吉平
の捕手と立廻りなから出て来り直に本舞台へ来て
竹三郎
一出露とのか一首尾よふ七たをついたわひやう
竹
ス日や今うちし七ツの鐘ハこなたがつきしか
弥太夫
何を
一ト懸るを投のけて
一是にて御兄弟のお命ハ助るにこたかひなしヲヽおかした〳〵
りかん
いふに手負鹿うちよろこひ
一お命さへ助れハ此世におもひ置事なし少しもまふ異途行
御老母組へおしらせ申さん
落ちる木を取るより早くあんとへかはとつき
たつれは
竹
下有合ふ脇差をのんとへつき立てそのまゝ後かへたおるゝ
一あつはれけなけなお露との
広
トこのとき広五郎おき上り
一おのれもかとふと差都なせ
〽左衛門ほひ寄つて組付地身を身をかせし一に引けれ且に
手負くみ付両人をその身の力に立上りにつこと
笑ふか別れにてあわれ命も権鐘に息ハはかなく
じ此うち広五郎竹三郎へ切てかゝるを突弓て引すへる
一是と一時に嶋八善平りかんにかゝる此時仕かけの刀にて
りかん咽をつらぬきしまゝ両人に引記されふり払ふはつきに
差平かへる此背中へ片ひさかけひよろ〳〵とするをしまひ
後分ゟ抱留るこれにてアヽト息を引せ木の類りかんは
苦つうもおもひいれにて竹三郎は広五郎にとゝめをさす
双方引はりよろしく
幕
当丑の
恩狂言
志のぬひね
第壱番目大詰
矢部河原利家の場
しうか鎧三郎
一本舞台一面背の高ひ藪色之後大黒幕松の壱木日覆
よりしく釣り枝舞たい蛇籠附の浪板都て矢部川わら
刑流場の体爰に網乗物弐挺是山若鼠黒四天の捕人
一云人驚通て居候上手奥山ぶつざき羽織半天股引大小
有之床几に懸り傍に小の蔵半天もゝ引大小畳床几にかゝ被下手に
男女蔵願土をふところへいれ願ひい家中通り六人せうぶ皮の袴
股立六人柱にてへだて居る時の大鼓にて幕内に
一ヤ丁何やつなれハ押馬の願ひわし津兄弟両人ハ主君地ねらはし
一大承人すで申せより刑法と候事極申上からハ願ハ叶わぬ言坂迄
男女郎
心の花
手はくりまふがそこをお慈悲に
ヤア最前からおなじ事をしつとく申づくようめわれはいづれの
みなし
一住職なるそ
万女
八ツ拙僧事ハ御ぼだい所なる海雲寺の末寺なる其東庵住持
可申海と申者せし頃御座候かいたわしく何卒御命助けたく則本山ゟ
命乞の願書をこいうけ只今御城内へ参る所時刻に限り有而
と聞召放す此所へ参りし尤是ゟ拙僧黒崎の御城内迄罷ります
うち何卒御口ん弟の刑家をしばで御ゆうよ下さりまふひとへ
に願ひ奉る
雨人
一さならぬ〳〵助命なぎとはおもおもひも寄らぬ明か七ツには先殿の
一大法会の初めにて罪人赦免の時刻なるにおのれが是ゟ黒崎へ
行て帰るを待うちに上し七ツハおろか夜が明るは左ある時には
いやでもおふでもきやつらが命は助る道理無益の願ひならぬ事だ
にの
一ソレいづれも刑罪のさまたげなす此坊主め堀引立めされい
みなし
八ツロ
一卜男女蔵の手をとり
言ふ一押て申は恐れいれど何卒しばしの御ゆく
言ふ
一そこをとふぞ
一ならぬ事だえて一そこをとふそ
みほし
一きり〳〵言ふ
一五七くどひ一まり〳〵立ふ
ト引たてる時の鐘鳴る
一ヤアあの鐘は
トミウ〳〵かけかそへ
男
一うれしや数は七ツで厶る
一誠に入うのは一七郎のかね
一八テめんよふな廿三夜の月もまだよふやく山をみなれし頃そゝを軽しは
合点がゆかぬ
一たこへせんで給ふともよし子のかねは大赦の時刻御兄弟にはこれにて
一御助命いびいましめをとき乍れ
一サそれは一それ共みだりに刑承めさるか
一お助けあるか
一サそれは一お助けあるか
一サア〳〵〳〵
一サア一サア一サア〳〵
サア
一太宰の御家の御旧例よも我侭にハ破られ事まい
大
一五郎
じ奥山詰よる此時橋通りにて
彦三郎
一アイヤしばらく今捨たる七ツの鐘ハいつわりで厶り升ぞ
ミほし
一何と
下浪の音ばた〳〵になり橋懸りゟ前幕彦三郎出て来る
一ヤおのれは甥の煩念めなんで七ツがいつはりとは
ト説よる
彦
一ヱヽやかましい老ぼれめ今おれがいつて聞せるは
ト是にて奥山思ひいれ有之
異
一山候扨は其方が聞及ふ橋華寺の顕念なるか
左様に厶り升着て汁浦蜂崎蜂蔵どのとこゝろを合せのりや心安くいたし
奥
一升の鐘楼守り頓参は黒僧が事て厶り升る
一いつわりなりとは
一シテ鐘し七ツの鐘が一いつとりなりとは
されば天なり升今宵夜書を種んとそんし鐘楼堂へ上りし折黒僧
が弟猪助が女房お露といふめろうめがいらざる事の忠義立にこしつ
一口次第助ふとぞんし八ツの時に七ツの鐘を捨て運々頼々升れど
御領主さまおれもかへ得心得心をいきどふり数ふといたしまたね
さゝへるばつみに此通りざん〳〵に手疵次うけあやまつて谷へ落逃延
ながら聞鐘の数をきけはしかも七ツあれこそ慥にお落めが君僧が
谷へおちた跡で勝手に撞た士りのかね大法会の初に立りまだしばらく間の
あるよづいつわりの刻限にまどわされず早く首をおうち被成升せ此事
お知らせ申そふ計り手疵もいゝわず駈付また
ヱへおいれハナ丁大恩文たる御主人をすくわふとハ思わずかへつて物命
彦
ちゞめよふとはいわふようなき人非人めが
一ヤア大悪あると是なんのたわ言今葉満てまご〳〵するもわしつ
奥
彦
家に勤たおかげ恨こそあれ忍は給へ○モシお役人さま此坊主かは兄弟
の命を助るこしおしなればかならず御油断被成下な
ムへ頓念とやらかりした〳〵なんじか知らせがなき時ハ今の七ツ珍誠と心得
弐人りのやつらを助るところだせし津に縁の有ながら身こちをはなれ只
壱人りお上へ対して御奉公儀はげむ段はかんし人いたした刑承済ば
召つれていさゐた様子を言上なしのぞもの侭にほらびをあたへん
一それハ有戦ふなり升イヤモ古そでも悪人とも御領主さまへ継去るやつら
何で用捨銭たし遣ふ御詰の通り疵を久たも元兄弟からおこつた事
見受けれハ去日の出方もどふか壱人りの御様馬幸ひ此度の働で
一御ほらび頂戴直に送信する所精進おちめなまぐさ庖丁わし津御家ん
一其後の縁をつながぬけつぱくにどちらか壱人りは頓念が介惜いたし給ふ
魚
其お刀をおかし被成て下さり升せ
一イヤ返す〳〵も小気味のよいやつ今宵の死罪を幸ひにこゝろ見んと
持参せし新助の刀が爰にある是をなんじに貸遣ふ
じ白さやの刀を彦三郎に渡す
彦
一是は有越ふくり升る
異
一用捨なく見事にいたせ一こゝろへ升た
一ヱヽいわふよふなきおのれはナア
下立かゝろふとするを足軽椎にてへだへて
六人
一下たにおろう
下是子は男女蔵是非なく下に居る
一ツレわしつけんきを引出せ一八ツ
ト乗物の網をとる
男
一そんほら是が
申立かゝるを中通り留家
みほし
一邪魔な坊主め引たてろ一八ツ立候
一八ツ立ふ
ト男女程を引たてる此見得時の太鼓にて
道具廻流
一本舞台向ふ一面の響ぼかし大川の遠見此前に岩組蛇籠を
ならべありよき所に柳の立木口覆ゟおなし具より枝都て兵部川
向ふ河岸の体浪御来にて道具とま様に
ト誰らへの言方ばた〳〵になり匂ふより我升はかまもり立
一大小膳に都矢状をいれ走り出て来り直に本岸臺へ
来り上手へ向ひ
我竹
一ヤアコしつけん第の刑議しばゞくそれにてとゞめられよ後宝春寿
院さまの命乞にて赦免状を持参せり
あたりへ思ひいれ有之
ヤア渡し守はいづれにある領主の御用とく〳〵船を出さぬか○
あたりを見て
ヤヽさりや此岸に一艘も船のなきハくる点がゆかぬ〇
トまたるふを見て
アレ〳〵最早太刀とり上げし様子ヲイ〳〵後室包の御錠成共
しばらくまたれよヲほし
一ト思ひ入れあつて
後寒さまのお情も此川岸に船はなりく斯とゞむかふ聞ざれはすくらん
事も叶わぬか最前言板水九郎といゝあらそいし被からは何面目に
帰るべき此上ハ両人のからべをはねるを見るならば我も爰にて切腹なし
義心を冥途の道づれに此矢部川原に最都をとげん
下三手を見込みきつと見得ばた〳〵に成り給ふゟ対五郎
はかま股立にて走り出て来り花道ゟ本舞台を見て
同村五郎
一ヤ申そこにおるは三原要人
我
一さいふは立板水九郎
分冠五郎ツカ〳〵と本舞たいへ来り
対
最前館でいゝあらそひ此水九郎をさみなして都めの便に立ながら
此川ばたにまご〳〵と何ゆへあつてうろ付めさる
我
子細をいふも残念ながら乗たるは落命なし歩行有ミ来たる此川原に
舟のなきゆへ誰方なくいかゞはせんとなす所シテまた爰へ汝が来る上に
冠
一口は立派にきくものゝ心元なく思ひしゆへ取届けに来た水九郎あんに
たがわす此川を渡りもせずにまこ〳〵としているうちに兄弟が首に
なつたらどのつらさげ再び館へ帰る気だ
我
一其時こそはいさぎよく切腹なす所ぞん
一を切腹とハよき覚都船がなければ越されぬ大河とくせつぶくの
用意しろ身共が介惜してくれふ
我
一イヽヤ汝に介惜頼まぬ命を捨ると覚期の上畳よしやおぼれて死る
とも此川越て都め状やわか渡さじ置べきか
冠
一その状給ふへ渡してハこつちの工みのロイヤ高の知れたる畑水れん
此大河備浅太事は思ひまよしにしやれ酒が替りに身共が渡る其数元
状こつちへ渡せ
一ヤア一旦要人か仮家より御意を受たる此御状やわか汝に渡遣ふ候
のぞそかゝつた上からは是非共身共が
我
一大りや此状を見事とるかよ
我
一何をこしやくな
おんでもない事
分浪の音に成一寸立廻りよき見得誂々への鳴物になり
両人数老秋をうせに立廻りよろしてあつて能見得る
此道具ぶ人廻す
一本舞台元の道具へもどる
分爰に六郎の吹かへ竹三郎両人出酒戸羽重の前附縄に
かゝりうつむきに居る吹かへの後かに彦三郎竹三郎のうしろに
小の花刀をもち立かゝり居る
奥山
イカニわし津六郎七郎汝両人大たんにも御主君少弐羅尾公御抱猟の
場へ忍び入り害せんと斗りしに天命のがれず即時にあらわれ召捕廻し上からバ
いかなる重き刑罪にもおこのふべきはづの所我君の御仁心に育死罪に
両人
一行ふものなり○ソレ頓念丹次早く首をぶち落せ
一八ツ
彦三郎
ト両人後かへ立かゝる
友人
一今が宮待だ一かんねんなせ
同じ刀をふり上る此時風の音はげしく正面の藪畳をおし
わけ前幕のりかくの秋作ツか〳〵と出て小の蔵かふり上し
刀を引たくり直に切申倒す
みなし
一狼藉者一こいつはたまらぬ
下りかくの吹くを前の川へさむどんと水音水音野うちりかく此節
竹三郎
の縄をきる
一ヤヽヱリヤ兄上を木候等イ
なしどうと成ると成なりかくは中通り六人柱は打てかゝる紙
あいしらいきつと見得
奥
一主君に刃なふ大崩人今刑罪に行ふをさまたげなす是
みほし
一何やつなるぞ
りかく
一こゝをいしくもとふたり我こそは豊前の国彦の峯に住天狗の花也
一豊前坊がけんぞくなり今領主の我意につのり忠義全きわし津兄弟
うしなわんとなすきにくみ非命に死するを助けよ豊前坊の命をうけ
是迄すくひに向ふたり片ツばしから引さきくれるぞ
ト奥山怕りなし
奥
一扨は天狗のにくみをうけしか身共はぜんぜぬけるさせ給〳〵
トりかくを拝む
彦
一ヱヽいゝがいせい羽根平どのたとへ天狗であろうが魔王で有ふが領主の
歳光に叶わぬ事だイヂ頓念が手柄始めに天狗もろ共打て逢ふ
分彦三郎切てかゝるをりかく一寸立廻つて引とらへ
一こやつは主に刃向ふ人ちくせう七郎どの打とり召され
下刀を竹三郎に渡ス
竹
一八郎兵衛ひ御助けいかにもこいつをせいばいなさん
彦
一何をこしやくな
一彦三郎竹三郎立廻り
奥
六人
一つレ頓念にかせいたせ
一ソレ頓念にかせいたせ一合ゑた
一ト是より訴らへの鳴物になり六人竹三郎にかゝる弥璃徳
出て是を相手に立廻り彦三郎ドがかなわず上手へ逃て
は入る竹三郎追かけ其入か里かく大まくしの立廻り有て
六人を追込む
奥
一あやしい天狗め
下切てかゝる鳴物替つてりかく我合せはげしき立廻り
有て奥山を切りたをす此時ばた〳〵に成り血り紅にても
顔をよばせし彦三郎の吹かへにげて出て来り竹三郎追かけ
出て立廻り吹かへをりかく一刀きる是にて吹かへどつと成歟
竹三郎のつかゝり
竹
一主に刃向ふ大罪人天命おもひ知つたるか
一ト吹かへにとゞめをさす
一こゝヲあつばれ
竹
一
一わら忝き貴殿の御助力天狗と名乗りわれしをおすくひ下さる
其元さまは
り
一隣国筑前博多の城主茶地貝行が家臣鳥山豊後之介が嫡子
同名秋作照忠と申者
竹
公りや兼てうわさに聞し秋作どのにてありしよな
一兼て某御身分の非命に死するがなげかわしくそれゆへ天狗といつわつて
竹
一着人ばらをおどせしが頓念が為に六郎どのを助ケ得ざまゞ越念なり
一其かわりに是頓念を其場をさらず打取りしは則貴藤泉新助へ
一もしやは最ぜんあらそひし若菜姫が六郎どの堀助け得たるも斗とも
一その若菜姫といへるは大友宗隣のざんとうなる
一いかにもかれは両道のつりたであつて奇術を行ひ水中自在に
どひ行くせ者
下ばた〳〵に成り下座より男女蔵出て来り
一ヤア七郎さま御存命にて厶り升たか
一ヲゝ了海よろこべわれハ一命助りしぞ
一ヱヽ有がたひ
一幸ひなる了海とやらまたもや討手もはかりがたし七うどのを
なんじが庵りへ
一心得ました御供いたずて厶り升ふ
一シテ秋作どのには
一我は是より六郎どの生死を尋ね尋なさん
一左様くれば拙者めは一愚老が落りへ
片時もはやく
まへ
一かくご
ト捕人両人出て
申両人へかゝる家仕立つて一時にあひせ
竹
一秋作どの一七郎どの
ト刀を引両人見事にかへる
両人
一於別れ申
トよろしく刀を払ふ此見得なみの音有ニ力ケり
此道失ふん上ス
一右十二丁西後ろ黒幕跡へよせて打よせの浪手すり蛇籠此内に
一誰らへの丸物の苫船一艘上下小高き芦原都にて矢部河原川下
の体浪の音は道具と留る
一じ本つりかね誰らへの合方になり船の苫野其母のけうちに
一しらか若菜姫好とのこしらへにて飯末櫃へ腰附下手
にりかく吹かへも六分後ろ向きにてゐる左右に三がいの
若く鼠手下にて扣へ居家よろしく有て付け家にて
阿部介
かく
一わが一印をおなてありしそもまづ御身は何人なるぞ
か
一等ゝヲわらは事は豊後の国臼杵の城も大友宗麗は娘若薬姫と
いへる者御身の母なる真紫こそ我家臣義弘が妹主従のちなと有る
によりはかなく死するがいたりしさに今一命を助かしぞよまた御師が
第七郎ハ菊地の家臣鳥山豊後が一子秋作といへる者きしふ升
すくひ可海が落りへひそかに落せし様子御作も是よりかしこへ
立のき兄弟壱ツに時節をまたれよ
一八ゝスリや母親の縁によりお助けありしか忝ひ
一さりや其方共は六郎どのを此川下なる房家まで是より
直に送りとゞけよ
一シテ若菜姫どのには
一いまだ当所に所用もあれば
一左やうなれば此まゝに
一下まづ此場を立のかれよ
一下しらか舟より塩籠を伝ひ下ぶたいへおりる
弐人
一そんならかしら
一アヽコレ○ひそかま〳〵
一下浪の音に成り手下箱をかける壱人は膳を出す是れ至
舟は上手へは今日しらう廻ひ入れ有て行かけるごろ〳〵に成り
しら
誹らへの白雲あらわれる
一八テあやしやナア
けり手
□□□□□□□□
分此時中通り哉人花四天にて鐘をもち伺ひ出て
白海かくご
しら
と突てかゝるを立廻り雲を見てきつと見得太鼓の渠に成
一時は今一陰生ずる芒種の節に陰中の雲中天にのぼり腰翼の
かたちをなすは○
一立廻り有つて
大鵬両のつばさを開けばその影然も九万里にして重純
たれたるごとしとかや○
申立廻つて
我大量も時いたり其九万里の九州に羽をのすしらせか
たゞしまたつ
トまた立まわつて
雲子蜘の音おなじ我行ふ妖術の堀城ハ鳥類に及バざれバ少ぞ之
かなわぬ知らせなかか○
申立廻つて
一何にもせよ凶事か吉事かあやしき雲のふるまいじやナア
一卜両人を投のけきつと見得此時上手にて
彦三郎
一ヤア〳〵大友の残党若菜娘へ鳥山豊後之介保忠
りかく
一同苗秋作照忠今あらためて
一見参〳〵一何かなんと
卜きつと見得つゝかけに成り後の黒幕切て落す
一向ふ三段に矢部川の浪手すり高張てゝこんを立し
舟大ぶん灯入りの遠見上しの方より彦三郎二枚豊後
之介にて野袴ぶつさき大小にて花候矢の捕手六人浅本持
附添ひ出て来るこれと一時に下手より以前の秋作の里かく
しら
ぬぎかけにて出て来り
一ヤヽ鳥山豊後秋作が此体は
イヤ十六若菜姫なんじ父のむ同人をうけづき太宰軍地中うらむるよし
得よりそれを聞しゆへ塞に是地土とせんといつぞや安芸の真嶋にて
殿の不興を幸ひに忰秋作を勘当せしもおことが行末地詮義の為
一けふはからずも修ぜんじやのぼふ打くに於て出合しゆへ打とらんとなし
たるに水中にどひ入り逃失しが再び爰に出合ふ上はひきやうみれんに
逃かくれずいさぎよく勝負をなすか
彦
一たゞし心をひるがへさば足利どのへすいきよなしよしや旧領に及ばずとも
豊後の国にて大友の家名を再興なさんがいかに
り
一反逆弐月人をくわだつるか
友人
一心をあらためしたがふか一サア〳〵
一廿ア〳〵〳〵
みほし
一せんと〳〵
一弐ツに壱ツの返答は一げんと〳〵
イヽや一旦おもひ立たる大量いかでか心をひるがへさんや今にぞ
一味とゝうちをかたらい当の敵御茶地太宰まつに伯父刑部を打亡し
豊後の国臼杵の城主大友宗隣がわすれがたて若菜姫といへる
ものありと其名を四海にいゝだろかせんよしや運命つたなくて爪は
梟木にかゝる共思ひ出くらぬ恨みの軍水旗上げなさで置べきり
むゝしたごふ心なき上は此秋作が打とつて手がらとなさん
彦
一分急度なるを
〽ヤレまて忰はやまるな善と悪とは事かわれと親の敵を討んとなす
章心は是同じ其功にめで保忠か此場は此侭見めがし得させん
一また并事時迄に反逆行同人を思ひたゝねバ汝か首及ハ我手に取ぞよ
一いふにやおよぶ事ならずして討死なさば我しるしは汝にあたへん
一まづそれ迄は此侭に
一此場はゆへなく一立わかれん
両人
一豊後秋作一若菜姫
みなし
さらば
下急度見得
目出多く
打出し
打出し
バ
一
十一日