江戸名所兩岸圖抄
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- 雲井園梅信選
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- 雲井園梅信選
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- 日本語
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- エドメイショリョウガンズショウ
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- 東北大学
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狩布雄
江戸名所両岸図抄
両岸図抄序
「荒井恭四郎副
以て購入せる関博士
狛野亭吉氏藤蔵
吾友雲ゐ国のあるしめうとし日次のつとひに南岸
図抄といふみをまうそ出て墨田川のをちこれの
景物名物をつはらに題にける土されたるこの川より
業平の意の歌に見えそめて千登せのむかしより
名高き処なりけりまして明暦に無縁寺を
建られ万治に長橋をわたされてより名におへる
ふた国の人はさらなり其御成候の国蔵とも
東より西より南より北与理絶間なく行通ひて
大江戸のうちにてもたとしへなくにきはゝしき所とそ
一なれりける今そのほとりはなれぬこころしはさら也
ちから人の沢まふさまわさをきの立給ふすかた
をはしめありとある物のかきりをかの一蝶師宣
〽宇母ものゝ数とせさる広重の翁たくみを尽して
うつかし出たるに未得下青をもあさけるはかりの
上手の人たち心を砕きてよみ出せる今やうの
あ斜れ兵いを奈ほよく見てよしと撰ひさためて
かきそへられたれ聞春や備をこのむともからは
しはらし裳机の沢とりをはなつましくまた
旅寝せるゐなかうとなしとの費しには璃絵
赤本にもまさりてこよみなき家曩にこる
あるへ重れ
安政の五とせといふ年のうつき
至清堂権兼
しる数
江戸名所両岸図抄
撰者
撰者雲井園梅信
一広小路両国の開帳詣京見つれむれては横き広小路かな
吉川町なへてみな繁昌をぬはなかりけり万よし川町人の見世
血育薬あかゝりへしむる矢風の底口へかむせてふせく児骨参
芭蕉背参吹あつる時雨にぬれて障子迄横に破れし芭蕉音楽
薄荷図看板に置し黄金の薄荷円なへての人の目にやつくらん
五臓図立よれる大米の蔭の涼しさふ胸をひろ是出す。五臓円
筆屋豊ねの亥の雪の宝年米沢町にちかくひさけり
菓子見世器さへ竹の折敷の有平も無わたりやすき向両国
一幾代餅紅ことに稲ともつきし両国のいく代の餅のも母へんたら
服すたれ涼しくたれて両国にひさける餅の幾世へぬらん
雲中関月守
花雲庵春久
安芸守杉秀
菊のや
不二のや水元
松のや
梅や
雲地園龍雄
万年豊後守
御荷堂
十五
舟涼
涼ふね家根にて忘は
つかへても隣しらすに
さわく両とく
宝市亭
影芝居
夕に
両国の水にうつし絵
影芝居道具につかふ
南円堂
夕月の舟藤成
涼舟
人あまた花火によるの
すゝみに磨似かゑみを
千尋庵
つくる唄女文明
花火
福広
十三
金
きゝ道は吉川町の
七曲の玉やか花火見物は
いけま脊女には
蟻の這出るひまもなき迄
柳山亭
其名も福広の
仝
料店丸竹
いさかひの仲直りにも天窓割
見世
桧園
下戸は痛かる丸竹の酒
不二のや水元
野御
仝
日和考かつけにそへて鯛よりも
壱友亭
客を釣たるえひすやの見世
客を釣たるえひすやの見世
梅秀
水売
両国の花火をあてに出し家台
宝市亭
水やも玉を安くるからくり
元柳橋
十三
霜枯の三冬もつきて
船宿も春はめを出す
万年堂
亀友
元柳はし亀友
藝者
芸者
仝
姿をもかさる錦の
同
裏かしはういた
両国に身は
糸にてくらす
三味線のとうなりと
うき世の調子
明
あはす唄め
坊主蕎麦
仝
片たすき輪器岩に
雲清楼
千代住
雲柳園
清住
かけて板前か丸く
もりや
毛りや
てつちて打坊主そは
元枝
両国橋
十三
両こくの橋より流す納誰
浪の杢目をぬひつそゆく
柳はし
富本太夫
桧園
柳橋家富本の
太夫てそ
七本さくら
江戸の花
江戸の花
なれ
箸や
笠丸
夜席
十五
露しくれぬれ場の
幕に女つれ顔も
二代目
何の舎
もみちのてりは狂言
料理茶や
両国の川岸は花火を
見通しの座敷に
客も施ぬ金麩羅
仝
両国川岸
唐士の呂尚か業や
雲間固
船鶴
まなへ川岸釣に
よねんも投棹にして
講釈場
玄麗今
帆影
軍談にこり場へ客も押よせし
下足の札やならふ楯板
花や
仝
赤穂記をよむ両国の講釈坊
下足の札もいろは番附
機関
音月堂峰鷹
せん様ははつたりかはる両国の
門田舎
はした然にてのそくからくり田守
辻稷
一砂煙りたてゝ人呼両国に
団扇はなたぬ辻鰻うり
浅や
乞食
定めなき空を恨みて
壱間国
両国に洞の雨もつゝむ袖乞今間を
船嶋
回向院
十五
回向院秋は浅の
雲帯園
一升落し鼠子僧の万久住
おくつきの歌
角力場
十三
一樟脳にまかふ
一七俵のまき酒に
角力場
一回向院御法の庭の
勝角力仏のしらぬ
油虫をはよくる
角力坊
千柳亭
花はふりけり
梅や
角力
むらさきの塵手水をも
遣ひけむこふしひらきて
投るほてわき
二本松
台図
角力音薬
取つてみて贋と本家の
両国に団扇のあかる
広志
角力膏薬
獣店
公
中々にかへりみられつ
しらにかへりみられつ
いかり猪のはてのうき身を
東矢座
切売の見世
仝
洲崎や殿
一江戸前のうまみにはまる
汝さきやの見世に立込
五葉園
松蔭
客の汐時
山岸号村
都鮎桜鯛柳葉の鮎漬込て都まし売花の両国
雲間園和鶴
笛屋そりかへる両に橋に角兵衛の獅子田の見世に解酒そふく
元のや元持
五色茶漬むら雨の晴間をしはし草漬みせ空も五色にかゝる夕虹
雲麗は帆影
名倉蓮根の骨鑓もして薬研堀名倉に近くひさく朝市
梅や
柳湯犬をやかな絞りゆかたの折湯に顔のさくらも匂ふ唄め
見世好く道も右と左りの両国に酒の大地采子の中川
大橋座摧々に我おとらしと酒くみてよくものいひの出来る大橋
雲津楼千代住
雲柳園清住
千尋庵文明
軽焼屋身上も山を物たる法嶋やいれ疱瘡の軽焼そうる
虫売両国の川辺涼しく作り龍の舟を陸にもみする由売
家庭見母裏店はかりの住居の家蔵見世帯も一荷ひと荷ひまり
鼻とほす山葵もいれて両国の橋のほとりに売代鮨
雲帯園万久住
月の門村澄
三州百之
便々館
順月馬凹成
両国の橋間に舟の奥女中奴は家台見世の立喰
秋月庵向水
神農の昔もかくや家廬みせつまみ喰して過る両国
商ひ八日に百火もするめさへつけ焼にしてひさく両に
青物市つみためて橋の社に七種のせり葉もする春の朝市
無宿困敏住
門田舎田守
馬サキ
松庵重樹
すき櫛のなりに来ねて並ひ床青物市にひさく隠元
両国に雷ほしをひさく日は峯作りけり雲のを筑波
袋のや高嶺
万久住
一月貢金米人
露おける朝貌籠の青物もさかり短かき市に出らん
一髪結床行列のならひ床にも本田髪小姓盤をもみする両国
その葉にも似たる毛うけの扇形銀杏盤ゆふ橋の床
末のや
京
丹竹園連文
一読売両には世わたる道も広露はし一本天よみ売の本
花や
二母
何の舎
朝夕のほそき燈りも立姿箸一本てくらすよみ売
町すね切の口を酢くせし両国に足をそきたる四文やの蛸
五葉園松蔭
見込たる哥ははなさて出封しませゆひにもとしまへて売花や
泡香の軒端をかりて穴熊の伝三郎かひさく脊参
泡香の軒端をかりて穴熊の伝三郎かひさく青薬帆影
瀧のや清麿
買ふ人の月をくらまして両国に塵を吸出す野師の糞薬
香も風の吹矢に出てさわく西両国の夕たちの小屋
万久住
両国は宝塚を吹矢の竹筒に蛇の出るうてもかきり附しつ
全
一王蔵呑込と見てふところの尾小路胸のふぐるら鳩の豆蔵
琴通舎
講釈場扇りて下知なすさまや講釈師車備に客は一むれ
暁月新浦船
夜軍談寒の暑さに引かへて涼しき声も流す水責
焼きりに出す遅楚の背水も川をうしろの両国の序
山をなす人に抽出し講釈師読さへ陸楚両国の席
甲帰の辻譲頼の立きらは銭の内藤人は山形万久住
両国の辻講釈の口くるままた明晩と引もとしけり
二本松
きりむすふ手元はけしき講釈に火花をちらす蝋燭のしん
台台閣
蓑や笠丸
両国の席に和漢の物かたりするよ忠孝貞孝貞正も出て
一亀友
暑さにはどうかかう頼少に来て重寝の席になれる両国
揚弓場
弓場根のあらぬ矢をは愛つゝの竹のうさたる人のひく物らふ
トチキ
一桜月窓又則
手にすうる鷹の羽の矢も引つらん左りきゝなる物弓の妹
二本松
台星雨
来る客を的になしたる初弓場ねらひはつさてあたる両国
一芝居両国の女芝居は大入におしつ草うる楊枝はみかき
客人をつり首板の大泊にあたりはつさぬ矢場辰の小屋
幟にも染出すのしの屏形握りこふしもある芝居客
軽業師軽業の白紙わたり見るにさへうす水ふむ心ちせられつ
軽業の太夫は松のゆかりとて下り殿をも見する両国
田守
二代目
何の舎
海のや広志
万年御坐候
西堂
仙タイ
千柳高
唐獅子の洞かへりする軽業師つゝむ惣身は牡丹せめなり
朝夕の細き悟りの綱わたり身の軽業をみする両国
仝
南円堂殿成
両官図抄
柳橋
軽業のかたき後世の綱渡り七分三分の金まうけしつ
暑さのみ流れて涼し柳橋風に心をつなく家根舟
雲暁楼柏雅
二本松
一台閣
高サキ
和右
重樹
涼しさふ人もなひかん柳はし袂に風のかよふ船宿
煙りをもふとく立けり柳橋客の絶間のあらぬ船宿
松樹園竹雄
ゆするせし髪もみとりの柳橋土蔵うたふ茶やの唄女
西堂
三味線の三筋の糸の柳橋はうたもういた家様舟の客
雲霞楼楽翫
橋の名の柳の糸にもやひ舟ちよつとこゝらが花聞見所
柳橋さすか女房のみなれ棹みなれし客を招く舟宿
雲花楼きん女
内守
一禁うく柳橋より影さえて月のみ舟も氷る冬の夜
梅か香をよそに遊へる春風とうし木にまさる元柳はし
四つ手引柳橋には舟宿も網をはつては客をこそまて
柳橋あらき風にもさからはて客の楫とる船宿の妻
千楊庵和合
末のや
宝友子升友
宝山高金丸
柳はし川岸をはなれて一葉つゝちり〳〵に出る小舟屋根に
浦船
柳橋堀川岸
おれにはつもりになりて悲めの尻迄たらく乗りて恨めの尻迄たらく黒川岸の海路
藝者柳はしかよふ藝者の下地子つはくら口の懐紙かゝへつ去の
思はぬになひくと見せて柳橋すなほに風をよくる唄め
青柳に臨む藝者の染ゆかたきさこ続りに汗もはしきつ
順月高回成
うたひめか洗ひし髪も風にもむうしろ姿をみる柳橋
仝
参会奈や
茶や柳はし茶やか出口にたひかせてはり出す書画の匂ふ花押末
末のや
麻十
料店
杵落
桜川
桜川
かくはしき名をもとめきて梅川に立よる人や袖のから川岸
竹山二二
両国にかをりも高き梅川のその鼻さきへつんとつく船
肴月高峰鷹
春雨の柳橋にてしのく黒花笠もある岸の梅川
猪方舟に煙る火縄も柳橋袂も風に匂ふ梅川菊のや
梅川の酒にふかして時をとへは月もはつかに入ら残るてふ笠九
料店両にの川へたてもむつましく匂ふ梅川なひて青柳
宝陽亭実生
万八楼
八楼宮の亀芸者の浮鹿遊ふらん万八楼の堀の池には帆影
坊主そは
一下戸上戸宮旨ちかひも好みけむ坊主そはやののりの花巻
根山葵の毛さへ落して丸皿にするたてよしと出す坊主そは
今朝ははや腹の時計も四十八ト比もよしとてよる坊主そは
朝申たき坊主そはやは賑はひて丸くまうけの日毎ますらん
上もなき阿字を思へて坊主にはのりさし〳〵と押もんて喰ふ
客人の並ふ花漢の坊主そは片肌ぬきてはこふはたらき春のや
下戸上戸両国橋につき合の宗旨違ひ奉行坊主そは
水茶や
一大に火ありとしらせの札張て家に煙りたつる水茶や竹椎
涼し方を訪ひ来る人に掛茶やはあつきめくみをうくる両国雲清楼東を住
川きしに向ふ三軒両国は暑さはふきて風と中よし
全
化ものゝ一つ目近き両国にすこき女のならふ水茶や
春のや
川風のこそる夕へはすらしさのより所なる岸の水茶や月交念米人
一同三百文
両国橋
不云風波遣に見なせる両国に人の山なす橋は名高し宝市亭
両国橋不元波遣に見なせる両国に人の山なす橋は名高し
仙タイ
両国は軽業をみぬ人にまてひやりとさする風の涼しさ
千柳亭
手拭は風にとられて両国の橋の袂をさかす涼しさ
広志
不二筑波両こく橋の人の山四時に繁昌する河常抄雲臨楼柏雅
両国へ流す梨子さへ囲ひよの妹か願ひとも戸隠の神相蔵園本住
見せ物も所あらそふかたつふり角のうへなるふた国の橋
回向院角力太鼓の音につれて両国橋は鳴わたる人
橋番亀の子や放し侭を商ふはぬらて者とみゆる橋番本住
車河岸さやかにはみそねと秋の車川岸風におとろく柳柴の舟の舟其
川開川ひしきあくる花火のみけん尺巳にめくる車やの川岸桂園
両国の流れの末の石川は落し花火の星や成けん
菊や花火ほんといふ間に両国の河童の屁かと思ふ川尻
家根舟もやれも春の心ちせん花火の梅の星下りには
音にきく亦火見にとてつとひ来る舟にうもるゝ両国の川
川開花火に人は山なして崩るはかりにひとく打あけ
麻生
竹山高
雲歌楼花扇
清荷堂
面堂
納涼
両国の橋間に船を引かけて鍵やか花火めつる夕これ
打あけしすゝき乗火や松きけん人のつとへる両国のかし
花雲庵十二人
無窓園敏住
一涼みに風すさむ日はたゝよひて橋をみなとや両国の川
両国の風さへ神にいればくろ肱を枕の舟夜すゝみ
凹成
雲の門光枝
賑はひをしれ両国の夕涼川も陸路とつて屋根舟
両国の橋間の家根にもやひ舟渡りせりふの声色もあり宝遊子竹友
両国の橋間の舟は三味線の糸てつなきてうかす唄め
楽翫
見世物の看板のみか両には秋といつはる風の涼しさ
スン上云
松雲居呉龍
府生
柳山高
両国の橋の下ゆく涼舟此上をこすたのしみやある
両国のはし間につなく家根舟の内は芸者の酌もとり梓
両国の川の中つ瀬舟うけてつ芦の声を流すもろ人面堂
舟屋形さするに棹の雫さへ玉ともみゆる大柳の川岸重樹
新芝居
一川ひらき漕出す舟の影芝居ういたはやしにさわく両国
両国の門にも月の影芝居幕まてはやく明る短夜
両国川
橋方舟ののほれは下る遊賊鬼舟直と無道の両国の川四神軒
四神軒
杉や
薬柑堀堀のかつの薬師のさまや青傘を横日の影にかさす小舟は
堀のけつの名の足崎のさまや青今を横日の影にかさす小舟は桜や
温温舟針のあるゑはとはしらて手長河老手の長縄にかゝる両国
雲間園船鶴
網舟横網に廿日の月の四つけるの月きしめく露のしらゑ
雲遊園知棟
山錦見世
多久山人
山孫見世
高壱升八郎
夏秋の牡丹もみちを印にて二季鳥うる両国の見世
頭には霜をおきても夢の世としらてや霞の葉喰せる
両国の夜見世に冬も鹿の内ひさくともしに人のよりきつ
さにすむ物としもなき山篠沼ある銭のさちにかふらん
紅葉鳥鍋となしては酔しれの顔も夕日にてれる両国
かんことゝの火中によるの紅葉鳥肉のはやしの両国の見て
落し咄
四つきもの喜怒哀楽を咄しから別て後世を送り柏木文明
治し咄四つきりの喜怒哀楽を出しかゝ則て後世を送り拍子木
両こくの橋のたもとの涼しさは風もたゆまぬ扇橋か席
両こくの橋より落しはなし象可安命をたすかりにけり
魁
日のへする紙にもみぢの色そひて賑はふ秋の林やの序
手遊見世
お持よい品とはうへや両こくの橋の袂にひさく手遊
商人田向院角力場に来て突出しも利て手はやき心本売
見世物肴板は目につきの輪のくま女人の肝をもつふさせなけり
文
千柳亭
雲柳成清住
美しきうしろ姿を見世物師むすんて捨る妹か水髪や柳風満住
ぬらくらと蛇をつかひて両国の橋より長い銭まうけせり
からくりの糸より縄を引切て見無物小屋をのそく菰穴
木戸銭もひた八文は極安以天の岩戸をみする両こく
玉くしけふたに橋の明かたに天の岩戸もひらく見世物
哀れさは物のむくいを見世物の親の周果か菰はりの小屋
南円堂殿成
仙工丁
一千折高
両国にぬしりくらりと蛇遣ひ我くちなはに遣はれにけり
地遣ふやすみせ物も両国にからみ附たる崖の朽縄
懸夜文はこへる客を見世物にとりもつしの山雀の藝
見世物の一寸法師をとりけりこれにも五分の魂やある
雪の日は土弓太鼓の音たえて天の岩戸の明たてもなし
讃黒渕
秋光
本住
両塀堀少
太郎の参会菊やをそはに見て天の岩戸をのそく両に
両こくの天の岩戸の見世物も神楽様子にはやす木戸番
両こくの橋の袂にめつらしき一ツ眼のみせ物もあり
大川嶋
〃〃利垣某
機関からくりも唐と大和の両国に紅毛文字の積に見て行
梅磨原坊きれ原の緒もたてなから下駄の歯の二の口村とかゝる菊坊
一乞食仁和寺の鼎ませぬとつれ〳〵の法師めくらもみゆる両国
辻君鶴野を高くかゝけし折助を夜るなる鷹のねとふ両国
ぬ風中楽めのきれて両国の夜鷹の小屋に引かゝりけり
長き世を渡るもはかな両国のはした銭にてなひく辻君
奈良条や
や浅雪のきえせぬ名々こそ久しけれしの日野やに千代の繪年銭のや
安わ雪のふりの客とて突つけた火入にのこる立きえの炭
両国も花の都の名所や宇治の葉めしにひらの泡雪
沙崎や鰻泥水にそたつ鮫の書されて仕舞の札を掛る浅さきや茂用何の其
筋小牛魚をぬみて師崎崎やと申し玉さしくる家の満汐升友
泡雪にとなる鰻も水瓦にきゆるやうなる沙残やのゑ水元
村店
付柳
一青柳に舟をもやひて夕すゝみ露の玉やの花火見にけり凹成
水利棹さすかに春は家根にも風により来る青様の川岸藤成
壱句の母も娘も手伝ひて夕のをもてなす青柳の川岸浦舟
唄女かさはり文句のしのひ約ふる春雨にぬるら青柳栄人
参言茶や
名ひろめは霞の幕の中村や踊りの花にむかふ両国亀友
角力場
弁当商人
ふりわけて出す角ゆく場の幕の内ひとつ明りて来る大津や米人
与兵衛鮎
与兵衛館潰る山葵の口薬鉄炮巻も好むものゝふ知棟
干酢の帯しめさせて三好むよしの子持すしの子持に応元枝
こみあひて侍学臥るゝと知館前も説とも手を握りけり万年壱生成
鯛平目いつも風味はよ参詣買人は一冊に侍て軒詰
客の気を与兵衛いうまく恋者のりらひもそへて出す握り飯千代住
四倉そは
食そは芦の藪よりもよき田宮そは口にうましの玉はもたせつ実生
神屋
神屋広らしそはの薬味にいれ過て楠正の見世にみる後男梅秀
角力膏薬
用力膏薬直心ませぬ角力膏薬勝淫をのみの宿ねか用色にねる
かたつふり争ふ角は式守か角ゆ音にもみゆる両国
功能はよそにやけしと腕かきりしこむ名代の角力膏薬
皆のや高嶺
銭馬倒
秋光
豆利
蝸牛角ふりわけて両国に須磨や明石の角も音楽
松の下
松の鞘
一神伊賀山葵隠しにいれて人まても泣かす安宅の丸鏡のすし高嶺
四向院
院回向院まゐる同者か捨おきし菊つとこのふ弁才天和天前丹佐国連又
見無物の鳥獣まて田向後ふり出す南の潟繁兵ふなく梅や
里帳も拝まれそうに霊室場まはる嵐者のとる左り楼和合
一開帳に賑いふ春は回向院空も露の御手の糸引
なき魂もうかむ智識の田向院みのり尊し花深くとも
居所のくほまぬやうに同向院土俵も高く損し角力場
一言観音
一回向院男をみなしも一言の菩薩たふとみとく詣けり
角力湯
一見物は酒の力にとよみけりひいき角力のたりさす見て
物名行同
四本柱
雪やうし霜やつらしとこと草のしほむはしらて残る松か枝
入相の鐘はきかねと曰向院花のちりしく壱の角力場
建いれもよき相方のにしみ合丸太も四ツにくんた角力場
大関は横綱はりし春角力あたる弓矢のかつけ物しつ
両関を立る角力は木戸口も手形なくては通さゝりけり
便々報
麻生
晴天に櫓太鼓の音につれて角力場へ出る雷もあり
花火漕かへる舟のたゆたふ両国の薄花火もなしなりけり
古岸図抄
二代目
二代目何の舎大人撰
鶯春鶯
金
一鶯も羽袖うちふり
十二
一馴染たる春の別れの
月日星をしく鳴らす桧園
くれて行春も
一をはりの木の下になく
海のや
うくひすの声
仝
広志
力なき老鶯よいかにして
仝
くれて行春は
さそへと遅さくら
つれなき春をとゝめはつへき
文明
千花庵
声の色玉の光りもうすらきぬ
見てゆかましと
文明
残るうくひす
春くれ竹に来なく鶯
二冊
〽何の舎
南円堂主人撰
仝
藤花久句
ゆく春のすゑの
十一
一松かえにかゝれる藤は
我見ても久しくなりぬ
住よしの岸
松山末かけて
久しくにほふ
花の藤なみ
仝
あかぬかなくれ行
春を藤のはな
うら紫にさき
残りつゝ
春友亭
宝市亭
東本庵
梅秀
一武根のふた木の
松に夏かけて額梅や
久しく匂ふ藤浪
仝
みとりなる松に
ことりなる松に
本
うつろはて千代も
久しく契りはゝむ
初もとのの紫の藤
誠や
栄えむ松かえふ
いく壱かけて
雲柳園主人撰
婦人花見戻り
志賀の山駕籠に
乗へきあし程の
をみなかかつく
匂ふ故なみ
南円堂
仝
〽春雨にぬるゝ
をみなの
少女子は蛤楼の
花もとり
はしをりて花の
ねを
いたはる
波間をひろふ夕くれ
藤成
隅田の夕くれ銭や
東夷庵
名の大枝
権園
をうな鳥かひきこの酒のなき上戸
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
桜みて帰る
禿も上野山
東かんさしの
一月千本
此くりのや
高嶺
帰る道さへ遅さくらはな
雲芋園万久住
一毛安かぬ露のなりめの
夜さくらを目もとに
ふくみもとる手福め
雲柳園清住
5137
清船
同十