假名文庫
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- 繪馬屋額祐撰
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- 2026-08-17T19:23:18.400Z
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- 繪馬屋額祐撰
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- 日本語
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- 10010000015167
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- completed
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- カナブンコ
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- 東北大学
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- 2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
狂類似名文庫春
猶
井折なすやくらの紋も橘の生もと
止計の星に夜鎌倉山のまくあきに
桧三羽臺へつと飛来る人に手にはをよく
あはめ雪違のなきかな文庫夫と匂はす
一蘭奢の薫り見出す塩冶のつましるし
一等は類朱墨の赤坂田町ゟヨ絵馬屋部
七十九翁
安政六の春
天明入道内匠
うしるす
狂類仮名文庫
二代目画替人
『歌井恭唱史ノ奇照会ヲ
以テ講人セル関博士
一狛早吉氏書誌書
絵馬屋頬祐撰
副
楽月庵町住
同在将亭月守
在明亭月守
仝
二月兼頭
武家神詣庭前松
三月兼領
遠山余花寄鮒恋
文栄子
鶴か岡匂ひ袋の蘭麝詩
雪麿
みやゐにかをる武士のつま
十三十
松代
一騎かけかく打込て
勢月二郎
さし天行将碁の駒の
松成
十五
王子権現
戸かくしへ遠楽
かけし武士は心々高
なし地をみする
鞍の山かた
十二十三
武士の参る
一北斗の星かみね
これや
これや吉方
吉方に
稲垣
あたるけんさき
秋吉
夏衣かとりの宮にぬかつきて
室小路
花咲
ふうん〳〵といのるをかしさ
十三七
越路よりなれも
三友亭
益群
きつらんはつ丁の
十三十
武吉王子
宮おとつるゝ
みやけの画人形御国さふ良ひ
西山居
弓ひく如
光子
ぬきし片はた
十三七
三輪高杉人
ゆかりある
若紫の染手綱
福岡
知らぬ火のこゝろ
真留喜
つくしの神詣
春日まうつに
駒もいさめり
いたゝ九
武家へ
飛ふ梅守
弥生庵
鞍馬石すゑたる庭に
わらはやみふるふは
□□□□□□□□
十三十
藪うつ松
松のくち葉なりけり
ものかは琴ひきて
八十五
新内の調子も
一合の中庭に
ふくり大きな
庭の松かえ
三輪亭杉人
みとりいやます
松代舎
ねあかりの松
波喜
十三八
こほれ葉の
針あふなしと
庭の面に
奈良芝へたつる
天明老人
一燈籠の春日かた
爪たつ
さまや
ねあかりの松
笑花堂
春交
三日さにえたを
作る庭松
髭椎で
七十三
日まん顔する
庭もせに
りうきう
つゝし
朝せん
池水に影をうつして
東錦堂
綾機
色ふかきみとり
くらふる庭の松かえ
新玉園
清門
のまつ
江戸園
目にこ
十三十
切口に徳利
かふりて庭松も
酒のみ過し
色を
みせけり
絵楽
武家神詣
野羽織も足利木綿いみやせん新田の宮へ参る武士
絵馬の箔光りまはゆし金紋の先箱ならふ神の広前
はや業に打込太刀の風の宮神影流の興儀いのれり
稲垣秋吉
新玉園清門
在明二月守
一をしへ子をれて葉守の神いさめ霧の額を上る先生
仝
鈴鹿山田村詣の武士はめぬきに鬼も打て付なり
行しなへ供に持せて御器箱一本聞ゐる神の広まへ
楽月庵町住
仝
またきより熊野詣に宿板の烏もむれてさわく供まぢ
小野あな女
武士の参る千羽の鶴か岡こかねにさく見る鑓しるし
乗初の馬場下かけて金踊のあな八まんへまゐる弓とり
三友高庵群
さく花に駒なつなきそ武士の名にし桜の宮まう伝には
月守
桶かはの鎧はひつにひめ置ていさとまうつる多賀の引やろ
日
稽古より廻る破軍の星か崩けんさきみする西洋の筒
柳園満糸
かけ額の雨もきらめく星か崩月毛は下馬に残る供まち
松代
桃樹園
武士かひなのもちひの言詣ひしを重ねし太刀の柄糸
日歳庵
武士の春日詣にみの箱のしくれにぬるゝ鳥居金その
武士の春日詣にこの箱のしくれにぬるゝ鳥居金その陽月舎
小袴にあすかの花のこさくらをそめて王子へ参る武士
呉鶴亭白喜
一昔しをもしのひて参る神路山とこゆみ照らす青貝のさや
桜園
スンフ
吹風に袖もひら〳〵武士のいさみて参る鎧明神
一金壱貫目
三味せんの天神詣武士のつるゝ奴の髪のはちひん江戸園目貫
梓弓矢口の音に詣つら舞十騎計りもみゆる武士海肱楼織成
一伊勢暦出る御神へ詣ぬる大小こしに目たつ侍東極国歌明
脇さしのあひけそろふ武士はよき中のふの八まん詣心々高
武士の吉方詣の刀さへみし初夢の鷹の足緒巻白土地
御影堂折主
さらに持つ水天寒に似まちの奴も尻にしく合羽かこ
松柏堂寿
武士の小手のうへにもあられふるかしま詣の首途いさまし
一此風堂折方
姫君の初借とて対箱にかけしゆたんも赤城明神
雨の宮まうつるけふはぬれ色にそめし乙鳥の割羽成なる
清涼舎音好
あられふる鹿嶌詣に武士の上下そうふけさの供立
敷嶋のみちめし武事我国のうめの宮ゐに参る出立
磯の屋千船
上下の加茂の宮ゐにぬかつきて紋の葵もかくる武士
けいこかに参る八はたの弓と矢は随神門にみゆる供まち
寄舞台百間
松代
藤の屋
鶴か岡八はた詣にひき馬の亀甲あみも目たつえり髪
鶴か岡八はた詣にひき鶯の亀甲あみも目鳥川元髪山中舎猿丸
酒きけん初印もとりに舞玉のさいもふらつく三ひん侍
季日楼田高
かくれみの亀戸の神へまうつらん忍ひの術におけし武士
に男鹿のいたゝく角の袋杖もたせて参る妻乞の言
河なめ
五
手になるゝ弓矢の道に富る岡いのるもうんの永き代の寺
三輪園丼記
鉄炮の稽古かへりは妙見のほしを目当に打る程に
松代
松成
武士の春行日吉の神詣かすめるやうに徒士もひきけり
一俳道堂引也
大鳥の神に歩行の足かるも一足とひの出世いのれり
鈴吟社振成
八はた山御垣のうちに武士のゑ同したきも目立つ笠
武士のけふ神垣へひく駒めくつわせ鳴く枕の野く宮
干船
大小のさやまはがしてみを守る釼の宮へ参るものふ
孔明の智をもいのるか東南の風水宮ゐに参る武士
儀によりてふた言いはぬ武士は一言ぬしの神に詣り
鏡銭金一丸
桶狭間しのふあつたの神詣くつはみならす御代の武士
錦流
初午にまうまてくゝる鳥居よりこしの朱さやの目立武士
初午にまら得てくゝる鳥居よりこしめ来さやの目立武士呉龍行相成
さい銭の浪打きはに武士も幸ひまねく熊谷稲荷満糸
病生軒文門
老の腰弓はなせとも武士の八はたの神へはるのねきこと
木太刀をは神へをさめて中〳〵に人より腕の切るゝものゝふ望月楼
神いさめ北斗の書言ぬかつきて星とひからす大小の鮫折主
武士のみかく心に曇りなくはれし日吉の山王詣杉又
神詣けふのあゆみに調錬のあしなみ誘ふ住よしの松千船
庭十たくけふりに武家もたちつるき神わをしのふ草なきの言一昼群
駒なへてかける子孫も永田はゝけふは日吉と神詣しつ柏丸
道渋の昔しもしのふ武士の日々にまうつる太田姫いなり那歳
帰番の星をもくりて武士あたる吉方へ半ゐる妙見朝桜亭八豊波
おくれしと来る武士のいたみ足ゝひく弓はりの月より古小松庵雲彦
鉄炮のねらいはつさぬ金駒のあなの稲荷へ参る武士艸の屋富芳
花扇高歌丸
遠乗りに十騎もかけて鷹の羽の矢口の神也参る弓とり
十八
武士の勝こと守れ白かねのしろ地になひく題目のはた
六
寿
此神の守れる弓矢つるか岡利やくを的に参る武士
暁月軒浦船
経政か昔しもしのふ竹生嶋ひは講かけてまゐる武士
経政か昔しもしのふ竹生嶋ひは講かけてまゐる武士由二島
御袴の仙台平は何某の君か武うんをいのる塩かま
鬼吟社春けん
あらそひし世にひきかへて武士の弓もをさまる神の広まへ
夢の一笑
みつわくむこしものしめに新玉の年のはしめに参るしら髭
気の康丸
正鶴の鬼宮ゐに武家のたつからひきしほりたるわに口のひも
山定亭樽明
納りし源氏の御代は武士のさきあらそはぬしらはたの宮
秋吉
武士の出世を祈る神詣あて金的の絵馬水かけ額
春鳥舎初音
神詣諸侯の供は上下の行義あられにならぬ広まへ
松春亭内芳
遠乗りの駒をはやめて鶴る岡君も千代とや祈る武士
八雲たつ出冬の神にねきことも八重垣流を学ふ武士
源氏庵万久住
春雨亭花誘
桜窓橋草
吉方なる弓矢の神へ初詣あたる的さへかつるゝ武士桜窓指草
駒寄へ鑓立かけて武士の桂馬稲荷へ参る初午終同堂
遠乗の駒の手綱も日のあしものひて新田へ参る武士
古いてふある御社へ乳の多きまくをうたせて参る武士五葉亭
武士の矢の松を額にかけまくも賢き神のいさを祈れり歌丸
梓弓やはたの神に武士のあくる兜のほしと呼汝五葉亭
星は夜鎌倉武士の長袴ふみしたきたる神の広まへ幸亭
武士も駒のあかきにひかれ寄弓矢の神のつるか岡とて天の葉衣
鎌倉の神借する武士のえらふ兜のほしかけの駒実則
何ことも糺の神のあきらけくやり一筋にいのる武士山邊唯住
鎌倉の神治して美ししきつま戸に心とむる武士椙の門
金酒のねらひはつさす名を高くあけたる敵も掛る広前枕源泪
七
中黒を的にいたゝし矢の守りかへさは飛す遠乗りの駒仝
御社の光りに武家のねきことはちかひもかたき石の玉垣
八はたます兜の鉢の星月夜かまくらさして参る武士
心さへ直なる竹の弓とりや八はたの神へ月詣して
武士も爰にあはらぬ鶴か岡まうつる日さへ静なりけり
梓弓ひく武士は一筋にねかひをとほす神詣せり
白籠や弓矢の先にたつかしら神に祈をかくる武士
こしにさすにほんを守る大小の神の社へまゐるものゝふ
こしにさすにほんを守る大小の神の社へまゐるものゝふ細美代将彦好
飛鳥山駒のかはらけ飛やつゝ王子稲荷へ参る武士
飛鳥山駒のかはらけ飛せつゝ王子稲荷へ参る武士清月堂
御鏡のくもらぬ神へ詣つるは星に兜着る武者にこそあれ
小沢庵童山
高綱の渡しを跡にうち神へ駒かけ抜る梶はらの村
軒月桜梅香
岩とほす桑の弓矢の大御神たけき心に祈る広まへ
星の屋梅彦
鑓梅のかをりも高く花やかにきたのゝ言へ参る若殿
矢の如にはしりて弓のつるか岡引つゝき行遠乗の駒
武士の女いさまし八まん唐をさめ兜の星をさしけり
鶴か岡まよふもやみの黒羽織かなはぬ恋もねかふ武士
武士の素袍に臂を張うやいさをし祈る梅の神垣
松代
一風々亭松盛
歌
銭の屋
神楽堂外道
喜笑亭店記
武士のこかね作りの大太刀や弓矢も頬にあくる神垣
公遊舎室船
神詣はをのす空の鶴か岡あたりはらへるゑほし大政
大小にそりいうてとも武士のこゝらす直に神詣せり
海静舎玉船
スンフ十童
土佐若語真
武士のねらへはつさぬ弓矢さへ納めぬかつく初雁の言
一味月金浦風
いさましやあらかりはつせぬ弓とりの八はたの神を酌に参れり
手早はりにくりからみせて武士のひと備へ来る白籏の宮
別当は真先かげて武士のうま鳴詣る石はまの宮
厳龍高鮮
錦園綾九
仝
ハ
とりわけて行義あられも武士の上下しるき加茂の御社湯自舎
陽月舎
産神へ鑓ひと筋に折るかな身は足軽の歩行詣して小槌庵餅主
武士も花みめくりの神詣馬は名におふするすみ田川
鎌倉
千羽楼
絵楽
庭前松
八丈
一燈籠の春日の男鹿恋ぬめり庭に粧ひつくる姫松
一くに袋も敷寝のすしの箱庭に月の夜露を握る娘松月守
かひ猫のひたひ程なる庭もせへうつす女三のみやま木の松蘆群
一庭そせに腕をのはして旅人の足をもとむる難波やの松
一青すたれ揚屋の庭に呼出しのまつの大夫やすねてゐな寺
数おほき枕多こともみゆる哉遊ひか庭に松かえの病八岐の大地
世のせはもはなれ座敷の庭すせに枕木高くね上りの松一商得利
有明の月の煙の影みえてあみテすなりや松のつり縄一水
鐘梅のかをりも高く花やかにきたのゝ言へ参る若殿
矢の如にはしりて弓のつるか岡引つゝき行遠乗の駒
武士の女いさまし八まん座をさめ兜の星をさしけり
鶴か岡まよふもやみの黒羽織かなはぬ恋もねかふ武士
武士の素袍に譬を張うやいさせし祈る梅の神垣
松代
一乱々亭松盛
歌
銭の屋
神楽堂外道
喜笑亭店記
武士のこかね作りの大太刀や弓矢も頬にあくる神垣
公遊舎室船
神詣はをのす空の鶴か岡あたりはらへるゑほし大政
大小にそりはうてとも武士のこゝらす直に神詣せり
海静舎玉船
スンフ十音に
土佐若語真
武士のねらへはつさぬ弓矢さへ納めぬかつく初雁の言
一味風
いさましやあたりはつせぬらとりの八はたの神を明に参れり巖枕高鱗
手里はりにくりからみせて武士のひと備へ来る白籏の宮錦園綾丸
別当は真先かげて武士のうま伝詣る石はまの宮
仝
ハ
とりわけて行義あられも武士の上下しるき加茂の御社場月金
産神へ鑓ひと筋に祈るかな身は足悟の歩行詣して小槌庵餅主
小槌庵餅餅
鎌倉
武士も花みめりりの神詣馬は名におふするすみ田川
千羽楼
庭前松
絵楽
燈籠の春日の男鹿恋ぬめり庭に粧ひつくる姫松
一くつ箱も敷寝のすしの箱庭に月の夜露を掘る娘松月守
よひ猫のひたひ程なる庭もせへうつす女三のみやま木の松一童群
一庭もせに腕をのはして旅人の足をもとむる難師やの松桜園
一青すたれ揚屋の庭に呼出しのまつの大夫やすねてゐやます
数おほき枕多こともみゆる哉遊ひか庭に松かえの病八岐の大蛇
世のせはもはなれ座敷の庭すせに枕木高くね上りの松一商得利
有時の月の皺の影みえてあみテすなりや松のつり縄一水
心々高
庭石の横にそけたる松布川のすねた姿をみする松かえ心々高
一杖さする松のにかけにはき梓し梶木鼻緒もみゆる庭下駄日山成庵
庭先の障子にうつるおかけのすみ絵もにしむ春の朧夜
一庭松も琴やひくらんたれ枝にしらへの緒ほとかくるつり縄
我まゝにおもすねをは延しけりそたてられたる親のうち左
明暮に琴もしらへてしゆ木枝津しけん梗の庭の老春
松代
藤の屋
小地こくもあなる箱根の保治場の庭の松葉に針の山音
村からの根となる石はとりのけてふりも作れる庭の松かえ
東遊園歌明
橘蔭道
すね松の邪摩衛寸えたは切捨て垣根の袖に三日四箇皓音母
汐くみのみゆる坐敷の悪ふます村雨しのふ庭の松風
不出内守
垣根さへ寺の名におふ建仁寺五かいもあなる庭の松かめ一丸
花鋏さんてうさせて植木屋にきれとをしふる松のすねえた
一笑高喜楽
はたからを月の都になひかして風にき見る庭の赤まつ
水鉢のいはほも青て苦むしてわは千年をふる庭の面
築山の月も眠れは庭もせにつら杖つける松の影法師
築山の月も眠れは庭もせにつら杖つける松の影す師町
一はゝ木内に急すちみせて経留し針にもにはの松のこほれは
心なき磯か軒端に馳らのねをきく候そゝにはの松かせ
のそきみるかはやの窓の軒さきの松のふくかにたるゝ朝露
春たつといふはかりにや老か目の霞はゆつる庭の松かえ
箒めの波の鼓をうちへやうおひしつけき松の羽衣
植こみの木々は色ます時にもぬれぬ顔する庭の笠松
織部かた折寄やのうつは後泉好茶せんにはさむ庭の松かえ
小座敷へさし入る月に扇窓すみ絵の来や庭の松かけ
小座敷へさし入る月に扇窓すみ後の木や庭の松かけ目貫
おのつから香たく窓の障子にも慣るは庭の聲かけろふ
垣根にも松のこふしの津かへけり手のひらほとな座に茂りて
雪をれをしのかんえたのつか縄もしくれとやみる庭の笠まつ
赤城軒下住
みとりなるいろはに見えし松かえにかな蛇籠をかくる庭さき
杖の下くゝりて掃染する僕にこふしをみする庭の松かえ桃源洞
庭に生ふる松はみこりの色このみすかたを池にみる水鏡
うつしたる墨絵ににはの地山の窓月にをりこむ松の下えて
寿
共なし飼小鳥の遊ふ松かえも籠目をあてし庭の作り木
庭守かこほれ葉寄て横煙りみる色いふせき照手姫香
同年庵
蟹の如横にはひけりせり〳〵ははざみをいるゝ底の松かえ
まり堀にえもん流しのおかえは雪をけ落す庭の沓石
八重波
元松代七十翁
一舞のほる強風の鶴の糸切れてすこそるやうや夜かへ
寛政老人
幾千とせ過ての後は家作りのうつはり候せん庭の老松
鶴のや松誰
春雨にぬるゝもよしやさし出てふりよくみゆる庭の笠松
振もありはり持つ松は便城にこれも庭木の出職なるらん
三国志よみかけてたつ庭にまたきしや臥龍の松風の琴満兵衛
蔦紅を草とへるはかり枝ことに金魚のつとふ池の松かけ弥生庵
蟹の如横にはひ出る庭の松はさみを入て直す禁屋有信て
一ぢら〳〵と年の尾をふる白雪のまたらにつもる庭のねこ松東の玉成
横にえたはえぬる松に沢かにの鋏を入れて造る庭守
浮世をいはなれ生敷の庭の松杖つくえとも老の楽しみ仝
神さひて幾代へぬらん住吉のき手か庭にも茂る老直
年をへてこしもかゝめる庭の松のはせる椀に杖もつきけり
邪干になる松の下枝切捨てはらをみせたる竹の庭下駄町住
塩竃をうつしし庭の松かえのゆきをはらへはけふり立けり
静洲園
奥庭の袖はき垣にふらかゝるゆるを小えたにはらふ松風花楼
人の気に花を空かとみる頃もうはの空ふく庭の松風東風舎文好
八ツ橋のくも手に持も茂るかな三河掻てふ広庭の変無念園敏住
松一木ありて千歳をへん庭に亀の甲なりも見ゆる飛石
表をははなれ生敷の中庭にひとり煙りをたつる老妻
木にふせしすり鉢不二と見こし松道に雪けの煙たつ日は
此宿は冬にえたさへかてまして栄る庭のまつの行末歌丸
十八の火をいさめしかわ川か腕ッふしにもにはの松かえ吉田楼福住
ワカ山
歳ふるく住なす家に杖つきてむかしかたきの庭の老松玉亭光丸
万木にすくれし色は常磐津のふしに癖ある庭の老虫
千歳ふる松に太夫の名を付て葺をへるよしもかな山踏
君民をからめて祝ふ鳥紅葉つるも這する庭の老虫千羽梅
いつとても替しぬ色のかはらふき軒端の松の春に色青
ひゝわれし塀の腕木に立ならふ松のこふしは霜かけもせす小倉山守
火除とて極にし庭の松かえに三尺棒の杖やつかせん
泉水の幾しの姫松やさしくも現今のね合す庭の住よし
朝またき霜にけはひて人みなにねかほいみせぬ庭の姫松
松風の琴のしらへを聞なからくみにかゝれる庭の打水
枝あらふ波打かけの大夫職いけのみきはにつき出しの松五合道
琴をひく庭の女松のこふしにはいと新しく結ふつか縄
壱岐の松尾の上の松や千松鴛庭にうつして登る常磐木
庭守の作れる松は手狭のはなれぬ中の二葉なりけり南陽軒山寿
春雨に眠れらさ半や枕木をよこになしたる庭の松かえ心友高幸門
心友高幸門
世をすねし今戸の庵も門並のけふりは庭に生つる松かえ千船
庭松のえたふりさへも六段やせらのしらへに通ふ夕風織成
雨おちへはりかす枝のひちに半鳴力こふある庭の松まへ無礼事研笑
垣越しの桜に松の腕五寸を花盗人と人なとかめそ柳楽園綾風
杖つきて力をはるの長閑さにこしものさする庭の老虫無其庭多め免丸
青柳のすくなる糸にひきかへて男気のある庭のすね松艾中将末吉
庭其せの月もくらまの石塔籠まつのえた空かゝる念みん一丸
泉水にさし入汐も空ゝ嶋の半つのしつえを洗ふとそみる仝
庭もせに姿やけしき秀松ことり色ます春雨の跡仝
大空のもとりの松をあらかねの土なふりしてうつす庭面交野広鶴良
月の坐にさし出かりしき一えたを切て捨たる庭の十種類明
咲梅の星をかくして庭の面にくまともなりし松の一元と
はゝおとある庭婦ところに生立て理らひき習ふ小松愛らし大蛇
子さいへ植しゆかりもおほをちに聞伝へたる百とせのまつ
薄くらく茂れる庭の笠松のみかけあかるき石のとうろふ蓑月烏亀城
かげ糸の十三かいも吹上みの底に声ひく風の松かえ梅香
空の袖半くり腕して柄妻のたすきをかくる庭の松かえ無多垣壁殿
人毎にあふきてそみる風かよふ地帯つくりの庭の姫書枕樹園
末ひろく作り上たる扇かた庭のかなめとあふく松見め
生立て琴ひしままに成にけりうへし植たる庭の姫松
底さきへまかり出ける松かえは下郎り太き腕にかも似る
さてもよき景色や庭の清みかた木の間にふしの見ゆる松枝寿
一我妙の枕やあてん夢結ふ丁固か庭に茂る松かえ仝
エトサキ
武士の庭にうつすもやさみしやふるこりを持し男山香
縁樹園
硯にふくむ琉球の玉に疵つかぬやうに手入るた庭の松かえ
蔭道
利松川
利松川
君か代の千代に一葉を救とりにもとりさかゆく庭の松かえ
米成
枝葉さへきまゝにそたちはひこりてさらに上みぬ庭の笠松五妻立妻立躬
亀の蜑のかたちをみする松の根に酒をのませて植る庭面
切すかす我内庭の女松月のさはりそならぬ枝ふり真留喜
庭下駄の沓音させて参内のか寒松かえに鋏いれけり竹の屋笛好
琥珀ある松や吸ひけん庭清み世のうきちりにそふぬ下庵益群
底面の松の下えた切組のしあけをみする胸のからくり初音
産もせにひける霞は紫の鉢にうつししは家のわか松明
輪かさりをかけたる産の姫松は磯に汐くむ蜑かこしもの下住
親にあふこゝちやすらん老松の霜とけに敷く庭のかれはい
スンフ
奥御屋庭にうつしし老松は木〳〵の中なるつほね改から大霞月橘言語真
○
茶坐銀をへたつるへす飛石の臼の目をはく松のたれ枝楽月庵町住
○
一かつうきの神詣によと下供の姿みにくき渡り宿はん絵馬屋
十五
当坐兜鉢歩三反亭主人撰
北斗をい守る破軍の兜鉢うこかぬ星と見る妻の花町住
尻さやのはゝき送りの梅にもたにさて跡をうつ兜鉢五葉亭
くきなゐやはたしら梅と咲き言ふ一の谷とも呼ふ鬼躰月二寸
花ひらの数も五まひ給ふと鉢にほへる梅や春の前立阿奈女
○
みな人のひとめ来やかくはしき兜鉢にもにほふ妻かえ益羽
十五
当座湯上り化粧粧錦園主人撰
今免桶のゆあみ上りにけはひする妹かねかけも光る金たか
十三
みしまひの部屋に流摩のなるみ染桑名をかくす妹かゆ上り木の
少女子の是ゆる暮をつけの様かねつけよとてゆふ鐘木髷波影
湯あみしてとしまか顔の洗はりちりめんしわものみすおしまい山寿
○
○
湯上りのかほに笑くぼの落し空はつちりけそふ泥水の妹綾丸
追加
みつ海を渡りてすはの神法腰の刀も氷なすらん調合館巳持
扨太刀なほも威風をますらをかふしていのれる草おきの五
○在遠山余花
茂る葉のしからみかけて咲花の白波よとむ遠の山川
遠目には紋とこそみれ夏衣のせ山にのこる花の一むら
砥並山遠き青葉に籏かせのひ桜めたつ花のしんかり
一春雨のおやに別れて里遠き山ふところにさく児桜
青雨のおやに別れて里遠き山ふところにさくゆん梅町住
誕生の釈迦を待ゐて峯遠きわしのみやまに咲暮賢像
誕生の釈迦を待ゐて峯遠きわしのみやまに咲売賢像阿奈め
夏衣干すかとはかりうたかひの雲井はるけき花の香久山
一衣二五寸かとはかりうたかひの雲井はるけき花の香久山益群
ちり残る花も葵の二葉山遠き詠に手をかさしけり
ちり残る花も葵の二葉山遠き詠に手を寒しけり実刻
遠山に春の出茶屋の捨か申と七りんはかり残るひさけら
旅僧も愛んうしろの山遠く春の尻へに咲児されら
遠乗りにみゆる生駒の山桜花は青葉の染わけ手綱
遠かたの土産にせよとや遅桜花も青葉につゝむ夏山
十八十二
ちりの世をへたて遠き
松柏堂
山家某若葉にしのふ西行桜
十五八
一姫おひし富山の奥の
犬さくらまたらに
呉龍軒
相成
のこる花の八ツ房
十五八
夕露の乳ふさ尋ん峯遠き
はるの捨子の児されら花
橋の門
十三十二
二子山はるかに知る恵の
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
橘蔭道
第なる良舞
根揃ひの黒髪山の
○桜つけの小具しの
はかくれに咲
福岡
真留喜
十三十
遠かたにみなす氷室の
山さ九らなつまつまま国ふ
文栄子
雪麻口
花のしら雪
十三
一火串深と遠山の
はにちり残る花に
持よる鹿の角樽
稲の舎
実刻
十三十二
遠山の青葉
かくれのいせさけら
はなは弥生の
十三十二
一抜まゐり三輪亭
かも頼人
草臥し足から
山のおそ桜いつしか
春におくれ
山辺
てそ咲唯住
十五十
夏山の遠きこすゑは風の手の
とゝか博花のちり残りけむ
スンフ十童
若語真
春雨の親をたつねて
稲の舎
峰遠き高野の山に
咲旧ん桜
実刻
十三十
春いまた寒しと
をちの山深み
東
なつきにひらく玉成
花のされら戸
花のさ九郎戸
十十三
公園園
三年あまた遠くこし路の
敏住
夏木立青葉にましる花の船
しら山
十二千二
咲残る一重桜は
春過て衣さらすと
みゆる
香久山
銭屋
柳糸園
一仲立をたのむの
綾風
池の鮒なれや
ふかき思に
恋わ堂る
みは
恋わふる身は
昆布まきの
鮒なれやうきに
とけさるひとり
寝の帯
松柏堂
八十三
あはまつむ恋の
重荷は文車の
わたちにしのふ
鮒はものかは
都金亭
副人
Pror
一月に霞かゝるよし野の山遠みのこんの花郷峯の飛空
道遠き信濃の山の姥桜過にし春に捨られてさく
鶯は経しまふ頃開きけりみのふの奥の花の口ひる
春を跡に隔て夏の初瀬山花も青葉にこもりてそさく
青葉武者遠まきなせる夏山に退口つよき花の一もと
捨置て春もいにけり遠にみるさらしな山の姥されら花
五郎妹子か黒髪山の葉かくれに残る桜や夏の前さし
遠山にちりの浮世や忍ふらん青葉か中の花のかくれ家
ねにかへる道一まとひし児桜遠山寺に花のみゆるは
風となる冬とみえしは遠山にちり残りたる花のしら雪
あふきみて笠の枕てはつすらん残るさけらも夏の夢山
かつらきや粂路に春の中たえて青葉に流す花の浮はし
十二
からくりの箱根の山の糸桜遠みに残る春の土もかけ
遠山の春を募りは雨乞の小町さくらやちり残りけん
茂りあふ青葉か中に咲花は晴行みねの根なし空はも
捨て行春いつれなし信濃路の遠きみ山に咲焼さけら
春の日もきのふと過て夢山の遠嶺に残る花の半深ろし
遠目には可是ゆくみゆるひん桜三ツ四ツ残る山のふところ
遠山に残る桜は行春のかすみの棚に置わすれけん
春の夜の朧はちりて月程にみる遠山の在明桜
花見連忘れいにけん手のこひり浅黄桜の残る遠山
遠かたに咲く夏山の姥されら老にまれなる色か有けり
一すいの夢見艸かも遠目には粟粒深とにみゆる夏山
遠かたの山はゆるしの夏こたち青葉かくれや花の奥の手
笹原源野夫
別れ行春の日あしや仏ふらん遠山かけにさくおそさけら
彦かさす手先はるかの山のはに残るさ九らも一つかみほと
夏山に練りし花のひろひ物手に取るやうにみる遠目鏡
白雲とはるかにみえて牛の尾の山にあゆみの連桜さく鈴吉
西行忌すみにし遠の山寺に猫ほと丸く花いのこれり童山
山遠みしゝ折音の鉄炮て夏のひなはにみる犬さ九ら
春暮て夏もくるこの夢見草床の山辺に乗る居残椙の門
暮て行きのふ○の春とけふ殿のへたつる峯に花は咲けり錦流
一き所にのみ見てて暮さん遠山の高天に残る花のしら空
春雨の親にわかれて遠山にちゑれ桜夏のら惣領音好
春もやゝ霞の末の松山を図の小浪のこすかとそ見る
三輪山の松の青葉のかさし草酔しか春の跡に残れり
五
遠かたの山ふところにいつまつも残りて笑ふ児老九らはな
隔つれはけ残る雪とみね遠くまれに咲たる小さけら花
松龍堂真鳥
谷川のゑくほ階てまゆすみの青葉かくれに咲遅れされら
折方
月四日の足さへ遠き嘉半路に夏半伝囲ふ花のしら雪
春しらぬ身ははつかしと遠山の青葉かくれに花や残れる
春雨の落したねかも遠山に夏のしらさる児桜咲
時鳥鳴て過行遠山の青葉かくれに咲く遅さ九郎
一遠山の花は青葉にかぐれん深ちらす風には見付られしと
目路遠くみ山の花や千金を遣ひはたしゝ春の居残り
暦なき遠山里は夏そともしらつて花の咲残るらん
茂る葉の青今さして行替のうしろ紙や遠山さくら
にひまりのつくはね遠き山桜こかよ十日おくれてそさく
エトサキ
緑樹園
日の日の遅き桜かしら空かはるの匂ひの残る遠山
静月堂
唐焼の斧あてかねて残しけん木の間に花の見ゆる遠山
遠かたの青葉隠にのこりけり春をつき穂の山さくら花
遠山も衣かへけん遅さけら裾もやうともみゆる明深の
遠かたに一枝花のおくれ咲是よわ冬とみゆる山のは
行春を早ねきもかへせ峰遠き一の谷間の熊谷桜
隅田川遠きつくはをみわたせはかの子またらす花ぞ残れる
一の若二の谷こえて峰遠み青葉に残る花ゆかしき
ちり残る花は老たる姥桜ぬけはのやうにみゆる遠山
あしひきのふふところのれ桜青葉かくれにこらかこそみる
春過て余る日数も末長くあしひき山のかひに花さく
一遠山に春の俤なつかしてかすかに残る花の四五里ん春道
遠山に春の俤なつかしてかすかに残る花の四五里ん
六
スンフ
脱かへてけさは衣のうす桜遠山かげに花のしろたへ
肥かへてけりは衣のうす桜遠山かけに花のしろ堂へ酒月楼亀成
世郷しのふ桜も遅き深山路の青葉か中にかくろひてたく
道遠之春におくれて咲花のあゆみも遅き牛の尾の山
鶏衣
愛らるゝ浮世をさけて遠山に忍ひて花の残る葉隠れ
遠山も春の別れを惜みてや若葉にかくす花の四五里ん
遠山に残る桜は茂り葉に戸さして夏の入口に咲く
山遠くみ上る花のおくな咲心してふけ峯のまつ風
春暮て青葉にくらき遠方の山にひとも寸堤灯さけら
明告る鐘の音遠き山寺にあまれる花もしらむ様くも
遠かたの山懐に我まゝの夏へ手を出す児さけらはな
青風の手入もなくて咲ぬらん遠山かけの遅さけら花
川へたつ向ひの山に水その浅黄されらも咲残りけり
有信亭
遠山におくれし花は足よわの老木の姥てはた児桜
遠山の青葉に茂るまくらかのこかくれて咲花も可ざしな
入相の鐘も聞えぬ遠山に心やすしと咲れされら
あれにしと思ふはかりの辺桜ゆひさしてみる志賀の山越
遠山の桜は夏へまはり道咲るははるのあと戻りかも
呉羽鳥あやにみとりの若葉して花の錦に二むらの山
香とみしふ二のすそのゝれ桜はるか霞に消残りぬる
棚ひきし霞の網の目をもれて遠山かけに花は残れり福住
峯は今真登りなりと連桜一えたをりて里の手乗け餅成
花七日過て都の家つとに咲残りけん遠山さ九ら文好
春過て夏も木曽路の山桜食をつなく花のかけはし波喜
目をうつす遠山鳥の庭桜へたつ尾上の鏡なるらん
沓手鳥初音はるけき信山空井に匂ふ花のひと本
一遠山に浮喜をさけて春霞やふるゝ袖の墨染桜幸門
卯の花の雪みる頃に火桜くるひ咲する遠の山のは後はた
時分啼行山をみ渡せは有明桜咲のこり九百月戸足
見桜春の模子とみる半伝に拾ふ道さへ遠き山のは笛好
寄鮒恋
十三十五
うかむ瀬のなき身は鮒の思ひ川千ひろの弁の針も届伝折主
一嬉し老は君にあふみの鮒鯰ほねもぬかるゝ思ひなりけり
はね付る妹をうらみて焼鮒のかた〳〵伝身をこかすくるしさ二市魔
水くさき人の心に焼鮒のさし込痰や駒の竹串町住
恋やせてうきやわたちの鮒の如ほしきは君か水くきの跡得利
思ひのみます田の浪に住鮒の日毎つられて身をこかしけり摺のつ
生くさき申とこそなれは宵しもあふみの鮒のかたのなしては
そさらに赤らむ顔の紅葉朝君か返しの封しきる時
むつ言のうまみに二人骨半伝もとけてぬる夜や甘露煮の越
玉章の蚯蚓かきせし返事さへ引はる鮒にけふもつられつ
水くきの諸さへたえてつれなさは微の鮒のこゝちこそすれ
ぬは玉の夜網の鮒のふた心よそにひかるゝ人そうらめ也
恋しなん日照の鮒の小町田にさそふ水さへなき明しけり
帯ひもゝとかほ侍夜は昆布巻の鮒やつれなきひとり寝の床益群
日に幾度こかるゝ鮒の雀焼踊る胸をもさいてみせたし
網の目をしるへる鮒や二瀬川恋のふち瀬にしつむはかなき内守
あら川に住鮒なれやうき人の胸の早瀬に恋よわるみい満糸
十二ハ
玉さかに天にあふ夜はかん路にの鮒のうまみにとけ〳〵と寝ん一い
八
昆布巻の帯もとかせん紅葉鮒よき折つめにころひ寝りとこ五葉亭
うき人の秋風たちて泥水もかるゝ思ひに気を紅葉鮒寄丸
やくそくの今宵あふみも偽りや一はい喰た源五郎鮒八重波
仲立のゑさに掛りて身をこかす鮒にたりへん我思ひ川公館喜楽
言よらんしほなき水に住鮒の聞えぬ人や事なしの池摺のつ
玉章の針をお路せり池の鮒思ひのたけを釣竿にして万久住
牛の内の鮒とけなしてはねつるへ深き思ひを汲ぬうき人綾風
ねもやら伝思ひます田の池の鮒のみはひれにしてなきしつみけり
焼鮒の身はこかせともつれなさは思ふ渕瀬に行れぬそうき
秋風のたつ田の川の紅葉鮒ちり〳〵となる恋そわひしさ敏住
明暮にもゆる思ひは諸賊のこかるゝ胸をわつてみそたき
嬉しさは君にあふみの鮒ならて二世のかための契をそする百富
一与路こふのひよく蒲と也に巻雛へ頭ならふる夜半の嬉さ
若山
恋やせて今は命もたえ〳〵にわたちの鮒の思ひなりけり
かはらしな君にあふみの鮒なら伝二世のかための深き契は
赤坂のみつけられしと思ふみは恋に苦労もますかたの鮒
思ふ事いは井つ水に住鮒の心の底もくみてこそしれ
二世かけて契し中之鮒の姿のさかれてははみをこかしけり浦風
こふ巻の鮒の誂寐はかくせとも人の口はにかゝるはら帯綾桟
井の鮒の深さ思ひもはねつるへはね付られし水くきの跡折主
契りあふ近江の鮒の作りみにそへし大根の左しらかまつ朝成
いつかまたあふみの雛の浪作りかたみに袖をしほる別路松極堂
うき手をふる井の鮒のしきへとも心のそこをくせぬ君かな餅主
井の内の鮒にはあらつあたなからふつかる事も出来ぬうき恋桜田
九
言よれは手をやく鮒の身をこす心のたけの中もとゝかつ綾風
一君ゆゑに身をもこかして塊鮒の骨と皮とにやける恋やみ玉成
つれなさの返事は鮒の雀やき開てみては身をこかすなり
鮒ならつ夜母こかせる胸の内たち割つゝも君にみせたき実則
思ひきや恋には胸を焼鮒の人の口はにかゝるへしとは
鮒なら伝はらに掛れは口先にはつして逃る妹はつれなし
我恋は朽井の鮒の年へてもくみてしるへき人たにもなし
恥じく身は恋やみの泥の鮒こともに迄もゆひをさゝれて波影
見初ては忘事まなき鮒鯰口すくしてもくとき落さん
嬉しさは君にあふみの鮒にいて骨もとろけん二人寝の床銭屋
一鮒鯰すいた目寸の手こしらひ骨もひろふと契る恋中
むすひてし下紐とけてあふみ朝よろこふ巻の味き恋中織成
うき恋に思ひ入口の鮒なれやしけきあしまに迷ひぬるみい松桃堂
一井の鮒の深き思ひをはねつるへみわけて是にくれぬうき人
駒木もあさかの沼の鮒ならんあさくも君に釣れてそまつ立躬
いかにせん夜毎つらるゝ糸川の鮒とし君に遊はるゝ身は文門
釣竿のなかくつられしかひもなく摺うき身をとす境鮒紫ちゝふ
我恋はにこり江につ朝なれや君につられて夜毎寝られす神丸
はりつめし水の下の鮒ならつ深き思ひのうかむなもなし月麿
心引中を誠とうけ下の延し男と鮒やわらはん机笑
○
磯はたの山路に蓮の糸桜遠き青葉も花のまんたら森亭月守
風の矢を青葉によきて吉野山奥にひそめる図の花の土かも絵馬屋
当坐蜂稲の舎主人判
一巣にうたし持る坂とて留貴の釼の鞘をこしにみせけり摺の門
熊蜂にさゝれて毒のまはり一六月の輪ほとにのこる症跡七百好
人形の腰折と呼ふ蜂は身のうちにかくせる赤の針かね五葉亭
花愛てよしの後やつかふらん穴の奥さへ深き蜂の巣清月堂
蜘のゐの飼うちかけて引上んきらめて蜂の釼ひとふりあな女
○
○
たゝかひを好むしるしか釼にも尻鞘かけて打ける熊蜂突則
当座
余興
飛脚尽御影堂判
一とん伝来てみるも吉田の遠目かね飛脚もはねの生し中鶴
一拳の手によへるまつまの国飛脚ゆきゝの日さへ指のせりつめ町住
木遣り唄あれはきん谷の町飛勝斎も筏に組て届けつ清つ
○
○
一明日またぬ花の誘ひの届成ちりりんとなる棒の風鈴折主
追加
一思ふのみあふはかた日の鮒の踏めしさへつる恋病の胸日〻斗庵
落かたの十日の月の山をみ咲し桜も春の片われ
杣人の切残したる太と山の桜も今は花のまさか利甘喜
及なき身とはしりつも池の鮒のうきつしつみつ恋わふるかな
恋死ん今は水さへかれ〳〵ててる日の池の鮒の君ひに
偽りのゑ雲とはしら漕池の鮒のうさにつらるゝ身こそくしき
│御養老高波守
月のめ寸三笠の山の遠かたにのこる瀧のあり明さくら万砂子
まく明の夏をまたきて匠山の舞台に花の干両役者房長
21307
狩。
権顕仮名文庫夏
}
狂顕仮名文庫
二代目画賛人
絵馬屋頬袴撰
副柳園満糸仝
四月兼領
雨後猟人
財布金
十八十三
晴る半伝雨
やとりして
ぬらさぬへは哀を
しらぬ
猟人の袖
咒
十五十二
雨の矢の
それ行跡へ
ふく虹の
摺の内
十五ハ
雨晴て
弓たつさへて
出る猟人
同
猟男か弓の
月かけに
きえ行
星や
無窓園
敏住
鹿の毛衣
一猟人のねらひは
それて手おひ猪
よこへ走りし
三悔亭
三好三好亭
杉人
夕立の空
十三十三
たつさへる弓矢の
外にひきしほる
東風舎
文好
猟男か袖も
むら雨の跡
十三十
雨晴て月の
光りをかり人の
ねらふ兎の
あしの
三友亭
益群
か夜
十三十五
一苦さしといるゝ財布の
松柏堂
伊勢絵に不断桜や花の白かね
十二十三
紫の財布につゝむ
大判は霞かくれの
山順の花
利根川
月二日
十三十
十三十五百三十五百三十三百三十三百三十五
一わる酒に財布の
腹もくたすなと
異見しなから
子にゆへり金
山中舎
羽丸
十三八
一深れ薬本家は佐渡の
吉田楼
縞木めん財布のかねに
福住
持る愛敬
頬の図ちりて
啓風堂
折方
財布の仲の町
下草残る
山吹の色
十三十二
一小財布の乙鳥
口にはこひこめ
佐渡の土なる
呉龍軒
形成
黄かね
しろ金
い
十三八
かますにも似たる
江戸園
財布に取いれん
目貫
切もちなりの
この色
この包かね
かね
七宝亭
一商
八十三
味噌こしの
得利
縞の財布に
黄かねをは
われしるのみと
ひめて
おく
公柳雨後猟人
村雨の晴行跡も猟人は下駄もてつくる笛て持らん
ねらひたる鹿も走りて通り雨逃足たはべき峯の村空
雨あかりわきて暑もつよ薬仕込て出る猟ひとの筒
村雨もとひ来る廉も身をかはし通りこさせてうてる猟人
小男鹿のなく音もしめる雨晴て右はぬ袖をしほる猟人
雨晴て笠とり山の猟人は手をもぬらさすしめる穴熊
五月晴さつ男かねらふ筒先のましらの顔や夕やけの空
ねらひたる猪は走りて雨晴に牙のなりみる夕月の影
夕立のはれたる政も猟人のひなはにみする稲津早のかけ
梅の雨ちりにし後も足あとに花を見せ行さつ人の犬突則
一秋雨の晴ても妹か古下駄に鹿をよひ出すさ行人の笛
ウイ
四
弓を杖に猟男ものほれ夕立の空さへ横にすへる山みち
寛楽庵福丸
猟人の火縄のなりは夕立のもりをふせさしにたらひのたか五葉亭
一穢男らもよたちにぬれし衣やうす尋てありて竹のさを鹿実則
とく晴る梅の雨夜のくらふ山火串にやみもしるききつひと
松柏堂
雨晴る森の雫の二ッ玉さつ男はおのか。してもうたれつ
波瀬居
通り雨猟男か打しさるの刻七ッあかりの日和とそなる
一望月月
雨はれてさつ男はあみをはらの夜の瀧の月の気まつらん
波喜
腹つゝみうつの山辺に夜の雨の晴間に狸抔らふ猟人
雨晴て烏てふ日い高かるに月の亀をねらふ猟ひと
ワカ山
雨はれてうつ猟人の鉄砲は空にしられぬ鳴神の音一笑
猟人のねらふ手筒の袋落落して鹿も迯る梅雨はれ山踏
夕立ははれてさつ男の筒先へ向て出かむ熊の月の輪
鹿の星熊の月の輪すかしみて雨のはれ間にいつる猟人
は生ゝ神夕立跡も猟人の火縄にみする稲つまの影
猟人のねらへる猪に鉄蛇の玉さへすへる夕たちの跡
那歳
梅の雨はれて猟男のいるさ山鹿の星毛も矢先にそたつ
三日月の弓手挟て登るかなさつ男も雨の笠取の山
夕立の上りし後もさつ男らか篠をつかねてふれる松明
雨はれて打鉄炮の玉くしけふたつならひか岡のきゝすを
雨はやめとくらき山路の猟人は月の亀を目あてにそ行
白畠は跡なくはれて夕日山またなる神や狩人の箇
雨はれて照射とみねの月影により来る鹿をねらふ猟人
むらふ去れて火縄の星月夜しかとみとめてうてるさつ人
雨あかりなほも柳のみのを着て火縄のけふり立るさつ人
〆
五
きゝす啼ほろ〳〵雨の空はれて猟男一あさる野辺の篠はら
猟人やしたひ行らんに男鹿の夕への雨につけし足跡
真神うつ猟男出る頃雨はれて月をはきたる空の大口
雨上りぬれしほくちにすりとさへ打ことならずむ猟人
夕立のくも無はれて鉄炮の玉の横野をあさる猟人
鉄炮の玉さかはれし五と馬に猟男もねらふ熊の月のわ
夕月の食もかなと村雨のはれ間待居ていつるさ行人根のつ
ふりやみし雨のあしたも猟人は鹿をよひ出す妹か下駄笛
雷のするとき雨ははれてなほ山を免くれる猟人の筒
雨はれて笠水山の猟人異の一とすちに鹿くおふらん鼠笑
雨はれてぬかる道にい気よりおのれとひ〳〵あかて猟人得利
出る月に笠を持せて皐月されともしに受て帰る猟人鄙人
一両かみをねらひすまして猟人のしかも打ぬく十分玉
名銭なくたさへはれてあら熊の月をおひて帰る猟人
通り雨はれての跡も筒先にかゝをおこしてうてる猟人
通りゆはれての跡も此内先にあらをおこしてうてうろうろこ
夕日さす時雨の後の紅葉鳥血しほみんとてねらふさつ人
夕日立す時雨の後の紅葉鳥血しほらんとてねらふさつ五
妻乞る鹿の思ひか梅雨晴にたける火串紙にしめり勝なる
摺のつ
雨はれて荘の雫に棹鹿の露の命をねらふさつ人
両の足みしかくはれて狩人のうつ鉄炮にあたる小亀
猟人も聞や深山の時鳥てづへんかけて雨もみれ行
夕立のはれ間に出てあら熊の月をねらへるみねの猟人
深野夫
康丸
飯倉寄友
波喜吉
夕立いはれて上毛の星あかりしかと猟男に手こたえつゝする
山路の面喜
五月雨のはれてさつ男もわけのぼる鹿の背山の星明りにて
五月におのはれて土門男もわけのほる庫の背山の星鳴りにて唯住
秋雨にぬれけん鹿のあわれたにしらぬ社をしほるさつ人
唯住
桃源洞
六十一
五月雨のはれてかすかに鹿の毛の星をみいたす夜半の猟人
雨はれて小路を帰る狩人はけふのえものをかさに見てけり
あつさ弓矢壺にいかつ猟男らか峯に鹿のよるの雨中み
雨はれて鹿の上毛も夜はひ星ともしによるをねねらふきつ人
鹿の脊の星もかけり猟人のねむる夢野の雨のはれ間に
雨上りぬれ手伝あみのもち月夜兎からめてかへる猟人
長雨のはれ間に出る星かけをしかと見留て出るさつ人
雨はれし山路に遊ふに鳬を手をもぬらさす取れる猟人
財布金
客人の財布も廊の撫子縞ちらせる金やさくら山ふき
一白ことらぬ遊ひを揚てにきちらす様布の金も山ふきの色折主
結ひたる財布の紐の千草色重みの見ゆる歌の玉銀
玉かたましまの財布のこかねには世のしらつてこゝろよすらん
玉かたましさの此布のこかねには世のしらさてこゝろよすらん三皿翠
一財布よりやすにはいたく惜らん妹と手を切るかねとおもへは
つゝみ置絹の財布の類銀いかすみにこもる桜なりけり
天明入道
極印は太閤桐の小判とて入るゝ財布も唐うちのひも
財布よりつかみ出してきの国やまきしこかねそみかんもなる
真田紐はよき財布のこかねにも六文銭のましる蔭武者
種木町砕つふれたる目てしま胡布のかねの一と夜め高う
橦木町酔つふれたる目くらしま破却のかねの一と夜光音声郡人
売上し所の仕切にみちのくや雁の財布にこかね花さく
花垣
女房をかはせにふかし金そともしら鴻財布郷握りたりけん
瀧守改
武玉川瀧水
朝夕に手なるゝ皮の金那布すこしは事もすれし南鐐
朝夕に手なるゝ頃の金加布すことは事もすれし南鐐浦風
敷嶌の財布に入れて寄人のこきんも多くひめて置らん
菱坂
雷の呉良やく絵の財布にいへそくり金をかくしてそ出く
五葉亭
□□□
七
こてあてし皮の財布にあら壁の土から出来る金やいれなん
橘の門
スンフ
物いみぬ山ふき色の金いれて財布の口もかたくむすへり
千町
山吹の茎なる財布に玉川のかはせの金もいれるふところ
雷と通りか今ての女房や臍くり金もかくす小財布
なしといふ言葉はうその皮財布人にかくして仕舞ふ白かね
まきちらす財布の金の山吹に花の東のきをもみやけり
阿奈女
朝成
鎌倉
千羽楼
スンフ
亀成
うなるのはふ思儀にあらす朝夕に金か物いふ小財布のうち
米成
茶袋ににて山職の財布から出すこかねもやまふきの色
益群
双六のさいふの金は世の中をまはりて人のたからなりけり
梶の葉に寄かく露の玉銀の星に願ひのいとおり財布
一打かけの鳳凰も来て遊ひけり散らす財布の金の桐には
米相場空川の市場のかハ財布みつきの雪とみゆる白かね
真鳥
八丈の縞の財布に新しきかゝねも目につく色の白木や
那歳
酒元来る財布の金に稲寿の鍵ははなさぬかみなり親父
一市干㊁
へそくりの財布の金のしめくゝり夫もしらぬ妻か腹おひ
玉成
子を産るこかねを入る財布とて細にはちをも付るふところ
綾はた
ひんさしの鯨染なる小財布に入るゝ小判の耳もか〳〵也利
朝出て。夕部にかへる日なし金いるゝ財布も鳥のとひいろ
みちのくのかはせに判も日数へて都へのほる白かは財布
瀧緑の財布の金は川竹の流にしつむ妻か身のしろ
湯糸
千金の春の霞の縞炉布七重八重にも包む山吹
いさましやあしたまたるゝ竹売のよこれ財布に清き用金
真田紐付る財布は六文の銭より溜し金にやあるらん
真田に付る財布は六文の銭よりまし金にやあるらん得利
みちのくの仙台平の財布にも黄かね花さく山吹の色
八
よそ目には木綿貼布のつゝなしもうちはこかねの山吹の色
帰り風たつ夜桜にちらさしと金に財布の口も〆けり
毛は筆になりけん鹿の皮財布いるふ判も打る文の字
年棚の豆銀いれん掛乞の鬼太威持て絶し財布は
かてるありやける日も有り敵ふたき文字小判もかくす小財布
交り金財布に入てこた〳〵とさこ寝もさする大はらのうへ
物言ぬ山吹色の金いれて財布の口もかたくむすへり
かはをその皮の財布にひめ置い火の用心にためし金にも
路用金入し財布の菖蒲皮忠義の根にはしるあしかる
ふりの客あられ等数の財布からつめたき金も遣ふ吉はら
かはを給ふ財布に深田のつみ金向ひ合せに置さくらかた
五葉亭
足る事をしらさる欲の皮財布可成るゝ半伝に金も多免焼た松柏堂
八丈の縞の財布に新しきかねも目につく色の白木や
八丈の縞の財布に新しきかゝねも目につく色の白木一~那歳
酒元来る財布の金に稲妻の建ははなさぬかみなり親父
溜え来る財布の金に柏寿の鍵ははなさぬかみなり親父市干呂
へそくりの財布の金のしめくゝり夫もしらぬ妻か腹おひ
子を産るこかねを入る財布とて細にはちをも付るふところ
子を産るこかねを入ら財布とて細にはちをも付る婦ところ綾はた
ひんさしの鯨染なるに財布に入るゝ小判の耳もかくせ利
朝出て。名にかへる日なし金いるゝ財布も鳥のみひいろ
一みちのくのかはせに判も日数へて都へのほる白かは財布
滝緑の財布の金は川竹の流にしつむ妻か身のしろ
千金の春の霞の縞炉布七重八重にも包む山吹
いさましやあしたまたるゝ竹売のよこれ財布に清き用金
真田紐付る財布は六文の銭より溜し金にやあるらん
みちのくの仙台平の財布にも黄かね花さく山吹の色
花崎
よそ目には木綿此布のつゝなしもうちはこかねの山吹の色
帰り風たつ夜桜にちらさしと金に財布の口も〆けり敏住
毛は筆になりけん鹿の皮財布いるふ判も打る文の字
十年棚の豆銀いれん掛乞の鬼太織持て絶し財布は
かてるありまける日も有り頻ふたき文字小判もかくす小財布
交り金財布に入てこゝ〳〵とさこ寝もさする大はらのうへ
物言ぬ山吹色の金いれて財布の口もかたくむすへり
かはをその皮の財布にひめ置は火の用心にためし金かも
一路用金入し財布の菖蒲皮忠義の根にはしるあしかる
ふりの夜あられ小政の財布からつめたき金も遣ふ吉はら
かはを縫ふ財布に深田のつみ金向ひ合せに置さくらかた
足る事をしらさる敵の皮財布やふるゝま伝に金もためたき
御寵ふる妹か手ふりて干筋の財布より出す大夫小判
声かけて呼へとこたへす山吹のかねの財布も口なしの色
身にかへて送るも操立雁の財布の逢て図と愛らん
スンフ
此布より散らす桜の白銀に図の七日の居つゝけの虫
夫にもしれぬ女房の腹のうち臍くりかねを溜し小財布
口なしのうこん木綿の財布にも物を立する山ふきの色
入おける黄金花さくみちのくの袋平の縞の小財布
古財布しま黄金の五十両みたの光りにまさる尊とさ
御竃箱ふる財布なる小判には大吉もはた小吉もあり
天地の学むおのこ路しま財布産る黄金の広き通用
額銀のさくらちらしてふつりをも財布の中へ入相のかね
遊ひ女のほれたはうその皮財布ゆ水に遣ふ金のつめたさ
九
ふところにはらむ黄金も岩田帯〆し財布の初子持しま
物をいふ義に財布のひも長く遊ふは額の小さくらのかけ
子持しま財布に子さへうませつゝ金は中〳〵老の楽しみ
また紐はもかてこかねをはらみゐる重き財布は子持弦かしも
小槌庵餅餅
○
郡内の財布に入れしなまよみの甲州金やいくらあるら舞
柳園満原
夕立のはれ行跡もはたて神こ生りにひてさつ人の筒
当野
当野老人松柏堂大人判
一髪の毛の白と黒とは囲碁のみつゝ老にし人にかもにん
家の内に杖づく身とはなりにけり老の坂をも登りつめては
ぬけ残る歯の丸柱によとめかしひたひによする老か年波満糸
○
青さしを賜る孝の子を持て与はひは百にあまら出しさ松柏堂
喜道二
狂類假名文庫夏下
狂歌仮名文庫
二代目画質人
絵馬屋額祐撰
副御影堂折主仝
五月兼題
田家蚊遣
楼之涼
十三十カ
十三日
稲の舎
火のえの掟札さへみえぬまつ稲の舎
かやりにけふる村長かつ
実則
十三十三
機を出る賤も
寝る子にをり〳〵は
ところをかへる
閑亭
文胤
風の蚊遣火
十三十三
折まけて竹も
紀
焚らむ賤か子の
青住
まけら蚊やにも
かふる蚊遣雲
十五十
蚊遣やゝを焚て
よひからふみのはす
あしのまろやは
三輪亭
杉人
いねよかるらん
咒
玉門
養老亭
瀧水
十三十二
みとり子を
寝かしなからに
あふきては
二十五
かたふきし賤か伏家へ
新玉園
御門
夜さらたく煙りに
おかる新の枝に
まかる軒の蚊柱
煙り這はする
賤か蚊遣火
十三十
あさなへる縄や
松代今
焚らん蚊遣火の
波喜
煙りほそひく
賤か門口
十五十三
すま笄かけし
松柱堂
二階に鼻紙も
千鳥に飛八寸
千鳥に飛八寸
風のすゝしさ
十五十三
山路
すゝしさい竿
かゝけし桜の
面喜
床も香炉の
灰の雪風
十三十三
楼にとりて
室小路
夏もしらま弓
花咲
まともに当る
風のすゝしさ
十二十三
五葉亭
継はしらせし
楼のすゝしさに
あせを流せる
風の気
塚畑
註
一星かりしひるの
苦界のうら二階
一商
得利
風におひとく夕部
すゝしな
十三十
一音すたれ浪打
風もうら二階
いかりおろして
鏡銭舎
一丸
すゝむ舟宿
十三十
すゝしさい二階
有信亭
座敷の風すきて
下におかれぬ文の
十三十二
夕涼さわるゝ
二階の挑灯も
よみさし
あきのもやらの
花の上風
三友亭益群
廿一日廿七日
家毎に焚楠の遠かゝり蚊も引かへす天王寺むら
心なき身にも涙はこほれ葉の松はをくゆる賤か蚊遣火
臼ほとの蚊はしらさへもふすへ火につきへりのたつ二合半領
柳園満兵衛
玉川
養老亭瀧水
楽月庵町住
焚捨し毎ににはの蚊遣とは作大将のから免手の瀬戸
賤の女の手引の糸の片手業蚊遣も間なしくゆる綿種
心なき賤か期遠に涙さへこほるゝ麦の秋の夕暮
米をつく夜なへ仕事の賤か家に煙りしらけてみゆる蚊遣火
夏なから秋をいはひて片田舎いねよかれとやくゆる蚊遣火
一蚊を焚けふりも縄によりあひてわら細工する賤か夜仕事
樟脳になる楠ををりくへてひなのすまひに禁ける蚊ゆりと
若苗のみしかき夜半も蚊遣していねよき事を願ふ賎か家
五葉亭
□□□□□□
馳走ふり汲て出寸茶の渋うちは蚊遣雲あふ具賤か門口
風あくる五月半は軒毎にうなり来る蚊をいせ賤か家
まに任るひるより夜るのふすへとに血をすふ改をいさくる賤の女
いかめしく庄やかいふす烟さは一村なひく軒の蚊遣火
蒼朮を蚊遣りに焚て村の者けふたからする艸わけ名主
蛍とも星とも遠に立ぬるは小ゆをへたてゝくゆる蚊遣火
賤か家の壁も蚊遣にふすほりて涙やこほす大津ゑの鬼
衣さへみしかゝさ袖田おくみまのつまかしつける蚊遣火のいと
夕餉たしの方の煙りの跡つきてたつる伏家の軒の蚊遣火
気あさよ自由自在に焚くとの鍋もひとつにけふる蚊遣火
千早へも間をき賎は楠の煙をあけてくつす蚊の陣橋の門
夜討する坂をふすへ共に焼立て作大将野添こり顔なる
一海苔そたを夜毎くにくゆらせは蚊も賤か家に不入斗村
物言はぬ桃の朽えた折くへてをとれら蚊さへちらす壬生村
焚たつる賤か伏家のふすへ火に崩れかゝりし軒の蚊柱笛好
かんな屑くへて田舎の木工も蚊はしらけつる夏の夜仕事
蚊遣丁の田毎にけふる夕まくれ瀧の月を夏もみるかな房
下知うける者もけふたく思ふらん田長か軒の蚊火の煙りに
賎か家のかやふき家根は富士に似てたえぬ煙りをみする蚊遣火
スンフ
田にうつる蚊雲の煙りも夕立の空かと思ふ雨乞のころ亀成
ふずへとに蚊を追ひやりてむくら家のわら打磯か持上るつち
夕暮も音の秋とて蚊遣りの煙りに賤かのきそ賑ふ
焼ものゝ猪に蚊遣を煙らせて鉄炮成しする山田守折方
世のうきを聞ぬ耳にもふんと来る蚊はうらさしといふ寸賎か家
五
一
鍋つるのをりたつ賤か門田へも煙りのなひく宵の蚊遣火
馬乗亭広丸
スンフ
小田作る軒の蚊遣りの百草は夏の夜ふけてねる薬なり
亀成
いとなみの細きにも似す賤か軒煙りは太く立る蚊遣火
折主
村里のある義か軒のふすへきに股引はきし蚊さへ逃けり
後守
蚊遣火のもえ立毎に打水の雫の田井も煙る賤か家
あしひきの山崎村はちりひちを取集てや蚊遣焚ち舞
有信言
スンフ
腰板の頬の家根に村長の焚蚊遣ども袴着しわら
千町
藪蚊さへたき伏家の竹竿の子ふしよくせんと煙立けり
まにし取賤か伏家を這出てけふりうつまく軒の蚊遣火
ふすへとの強き力に蚊柱もたふれかゝかしわらに家の軒
夕風に煙る坂やりの玉くつれたはこに名ある小山田の庵
わら仕事賎か夜なへのかたはらに縄をもなひてけふる蚊遣火
あなめ
一園の戸も明はなし寝る賤か家は蚊どの煙りも夜はひをくせん
煙りたつふ二かす水にうたかひのかけいま守か蚊遣なりけり
はた糸のよるひるかせて賤の女は柴も手をりて蚊遣焚らん
乱髪児になふらるゝ賤の女かうつとしい蚊をけふ寸草のや
淀近き賎か伏家に蚊遣火の煙りも軒をよこに引舟
賎の女は機おりかけていふ寸蚊の尻にもしまの白くみえけり
青柳のえた折くへる蚊遣火の煙りも輪をは結ふ賤家
楠を蚊遣にたける煙たさに泣男さへ出来し賤か家
牛にやる草を期遠に賎か家はもう〳〵としてくゝき黄昏
いぬせくも小田守賎か夕へ〳〵いねよかれみや坊を焚らん花垣
蚊遣焚田長か門に損しまの股引はいてたてる蚊はしら郡人
引舟の淀田を守に賎か家の蚊雲の煙りも軒をはひけり
□□□□□□□
一
貢さへては斗ゆるしの村里にすまひて御代をあふり蚊遣申候
破れ有をつゝりなからも賤の女か松葉の針をくぼるふすへ火
たいかる田長かつに蚊遣雁の煙りの糸や夕たちの冬
在渡りの細き煙りはみつうしの森のあなたの賎か期遠火
賤の女か夜なへの事に原車くる〳〵半はる風の蚊を火
夜とすかし煙りたえせすくゆらせ蚊卿なきやらにみゆる賤か家
糸車取る賎の女郎貫く蚊天の煙りによりもかくる夕風
空蝉のからにちいふす妙か家をもわけて人をつゝく蚊の針
萌黄地の木の葉や焚ていふすらん期くゝたにつらぬ賤か伏家は
淀川の辺に住る婦家はくらはぬ朝と鳴いふす故やり火綾機
糸車夜仕事せんとふすへ火に先かた寄る軒の蚊の針五葉亭
いとまなき山田守身は骨折し国府之通ふ宵の蚊遣火
夏衣のおくみ田近き賎か家の蚊火の煙りも軒に持たち
夏衣のおくみゆをき賎か家の坂やとの煙りも軒に持たち松柏堂
つゝれ衣着し賤の女くふすふ火に蚊の針さしもあらぬ気楽さ
物足らぬ田今に住めはやなしとて涙出る半伝煙すなべ火
葉烟草を新端にかけし賎か家に煙りも太く立る蚊遣火
心さしの松めをやくへて隣まつ烟りおくれる賎か坂ゆり聞
蚊遣さに涙こほせは桶のなき男ともわらふ賎か家
坂遠やうのいふせき賤かもてなしに夜も涙をこほしこそれ
下子川
村持てる坂は上やれと村長をけぶたく思ふしつかふすへは浅屋
ワカ山
みしか夜もあたにせましとわらんすを作りてくゆるわらの蚊遣火
賤か家の細き煙りよひしにゆよりもとめしわらの坂魚一笑
夕蚊遣煙りも黒き賤の女のひたひのふ云ゝ墨絵なるらん
夕月のは塩は軒端にさしなから寝郷に吉はなし賎か坂暮火
一
蚊遣たておはに夜なへの糸生煙りも深そき賎の女か業
中のよき姑は小田のひるよりもよる様つて蚊をいふしけり
賤か軒煙よりまくやきうちに蚊は打死と見ゆる啼こゑ
地造りの酒うる村のしるしかも杉の葉くゆる賤か蚊遣火
むらさきの青田守家に蚊遣火の煙りは白くみゆる黄昏
気あさよ蚊遣に家は明はなし戸さゝぬ御代の田舎住ひは
田草取ら賎か伏家は蚊遣火の煙りも横にはひなからたつ
ふすへ雲に改をちらしつゝ苅の水のはたか麦さへねかす賎の女
吉は楽の種ま九賤か手馴業蚊遣ふすへて跡そ寝やすき
鳴子縄ひけるの面の賤か家に煙りもよれるよはの蚊やり火
松柏堂
いふし火に日ころ中よき始りさへ目をこすらする小田守か母
新沢庵味好
暮るゝ迄賤はま草にく寺へひれていねよかれとそ焚る蚊遣申候
玉川
芦のや短樹
十八
取入し麦の穂からの蚊遣りはこく高のほる煙りなりけり
煙りたる跡住吉の田植人いねよかれとや蚊やりたくら舞し
蚊刀持た博しのける賤は蚊遣雲に古き萌黄の松葉焚らん
けふてかる親仁もまから帰る頃いふし立たる宿の数遣火
いふされて煙りたつ家のかはふきにかく吹ちらす夏の夕風
賎の女か片手互の蚊遣火にふん〳〵出るも糸のつそみち
楼上涼
梅の軒に笋の波たちて風見の舟のうこくすこしさ
在明亭月守
日をよきてすゝむ二階に宇治の茶の土図もかをる網代天井
楼の燈さけしてくらまきれ暑津礼行かせはすゝしな
柳園満兵衛
夏祭くみあふ酒の泥の合茶はんにみせてすゝむたかとの
楼に秋まつ夜半のすゝしさは軒端を風の廻り焼籠
月守
山鳥の鳥はく立てひとり寝にすゝむ二階も鏡天十十
楼へのぼる将棊の段はしこはつして涼む月のまる窓
すゝしさは風の手摺のふき込て是も遠くはき出し二階
一すゝし老に時も忘れり八ッ七ツゆけたのいよ笄かけし楼
楽月庵町住
三友高益群
すゝしさよこ階は夏の裏はしこ隣の秋てそつと来にけん
夕風は夏さへ秋の声色て火はれに扇あつるたかとの
御影堂折主
とむしろの筏すゝして楼に瓦のなみをはしる夕風
若竹の葉末の風に成ふし守法のふる思ひの二階すくしも
燈籠も冬のげしきの雪見形月の霜おく二階すりな
上りたる風の手しなの箱はしこ夏をかくして秋をみせけり
礼しのふ涼しき風の手摺から軒端へ落す桐の柄うちは
新しのふ涼しき風の手摺から軒階へ落す桐の物うちは砕笑
るむしかつ披構の声も高とのに秋の気鎮ふ風のすくしさ
鵜遣ひもみる梅は風すきてえもんに咽を〆る涼しさ
喜楽
地水の鏡にうつる月の影秋ににかいの夕へすゝしも
二階からみおろす庭の春日かたしかもおよふ風のすゝしさ
楼にひて三味せんの箱はしこ三筋も油とみえて涼しな
夕涼目かくし窓の二かいから手のなる方へ通ふ給仕女
すゝしさは空の衣をぬきすてゝふ二もはたかにみゆる楼
奥女中すゝむ笑顔のふ二ひたひすかたけ高ゝみゆる楼
戸障子もひらきてすゝむ楼の取たるきにさそふ夕風
かけ扇枕をはつす風の音にひら寝の夢をさますたからす桃源洞
楼の下より風のせり出しに秋のけしきをみするすくしけ酒糸
是をいさ九る夜打の基軍にすゝしき風を祈るたかとの実則
二階から見渡す秋の桐畠すくしさまねく風の吉田屋綾織
十一
明からす語る二階へゆさへもしのひ返しを越てへへり
軒につるしのふも涼し楼の風に乱るもちの振そて
仲の町竹の竿の雪によしならひてかくる二階すゝしも
涼しさや秋ににかいの夕風に桐のはこたの声もちらして
難ゆもまたかけやらぬ梅をふき思ひて行風のすゝしさ
酒の酔草す二階に盃の夕日も山にいりてすゝしき
尻に帆をかけて星や走かけん湊すゝしき浪の高との
津早琴の音も高とのに通ひ来て汗もひかせる風の涼しさ
焦熱もしら伝二階の羅かんひさ片はた脱てすゝむ極楽
すゝし。さは隣の秋をしのひこま引三味せんの裏二階部て
唄女か声もすゝしき楼に市のこはんもちらす夕風
風のみか二階の酒の酔さめに下から水を上るすらしき
すゝし雲を招て二階の堂にさくは哥のをや風もはらむ音ゆて
鳴神の光る二階の源氏甚夕たつかせの通ふすもしき
山松の二かい座敷へ大家根の谷間ふきくる風のすゝしさ
すゝしさはなかと思ふ高座敷手にさへ持る柿の渋解
川のせの二階作り水風入に骨もすゝしき硝子障子
夏の夜のやけて風をや引窓を下に見出ろす二階すかしも
葛の葉のうら吹かへす裏二階野風としも思ふすゝしさ
二階から薄国火もみめくりや秋のちらつく鳴田の川風
軒先の籠の蛍の金砂子扇たる木の二階すゝしな
玉はゝ木酌かはしたる源さはひるの星もはき出し二階
夏の夜の星はさらにしら鷺の鳥肌となる二階すよしる
ともし火へ朝貌かけて楼にさかにごしかくすゝむ夏の夜
雷の音高とのへたしぬけに行つ玉さへひやすすゝしさ
涼風に鼠啼する遊ひ女は甲子楼のふくのかみたち
すゝみには持し雨もろうそくの風よけとなる高とのゝ上
むすめき星もしはし凌けり笋かゝけてすゝむ青梅面喜
上りつゝ秋かと思ふすゝしさば夏を忘るゝ月の高ちの
腰まけて上る言ひ郷の奥二階星しらかの老か夜涼
楼のすたれはつして涼みけり火入にはかり風除をして
楼に女扇の帯とけてまねけい通ふ風のすゝしさ柳源洞
あふきみらその桜のすゝしさへ掛し扇の不二の嶺おろし
夏をむねと南に作る楼は秋のきたかと思ふすゝしさ
障子みなからりと明て月さへも二階へあかる夕へ涼しも
三味せんのかはへすゝしき二階とて浪のつゝみもうたす下方
葛めんもかす二階のすゝしさいうしかへりたる椽の庭へり梢の門
雨はれて二階へ虹の掛はしこほもきえ行風のすりしさ五葉亭
風の手に涼む二階も太神楽よき曲まりの籠枕して
探かんのもやうの浪に舟かたの月さし入るゝ二階涼しも殊成
風いるゝ二階の窓のすゝしさに行灯迄も羽織きせけり
酔ふしてねふる二階へ吹風に酒もともさます涼しさ末吉
寐よとつく鐘には耳をふたきつゝ明るもしらつ涼む楼百貞
風かよふ軒の芦も青によし奈良団扇たにいらぬ梅松柏堂
掃除して蒸さへなつの楼によくふきこめる風多しさ振成
段はしこ上り切子の焼ろうをつけん程にも近きすしき浦益
すかしにい千鳥もみえて楼の竿浪うつ風のすしさ
夕涼我を忘れてのむまに二階障子のはめも真しつ
十一
十一
枕外二階よゝみの越れて是もゆひの上すへか〳〵して
楼のはしこ上れはつくにすゝしくなりし夏の夕かせ
楼にとりてみれは涼舟すゝしき風にむかう両こく
サノ
みはらしの山根にこしをかけ作り岩本地にすしむ梅
輪月生
夕風にまとこむ夢もさめか橋二階すゝしき鯨の枕
酒酌て気も高とのゝうてう天月を涼のうつ共にはして
花垣
三階丁酒くみかはすつの河も風に五かいを破る夜すゝみ
三階て酒くみかは寸法の海も風に五かいを破る夜すゝみ一丸
二階からか茂の流れを三渡やはぬれ葉の色の葵涼しき
スンフ
みとりのや松彦
水持てる月の鏡は楼の化粧たる木にうつる凉しさ
スニフ
喜兵
すうさて風に中行舟の帆も寐こうひなからみゆる楼
淡海のや近忠
○
桃桜枝をりくへて蚊遣たくひなの軒端て餅の草の家
御影堂折主
呼上しあんよといつか居眠りて風か春をうつ二階すたしな絵馬屋
一当坐夏駕籠摺の門大人判
十三
脊の龍のにらおこしけん夕立に朱のか也目たつ赤岩のかこ
花の雪とけて露け幾葉桜の雫にもとる志賀の山かこ哥戸戸日
物立よぬ嘉祥に登る下乗橋目たつやかうの口なしの家根満糸
暑き日に背をやく亀の万年やくちうらとひて乗する旅色
空蝉のもぬけのからの帰り路にかたたかひさへさする様かかい折主
○
汗のしほみちひのあなる山がこい目にも千鳥をみする鳴海路根巫門
当座天狗ひら寝新玉園主人判
ひる寝する土風半其の秋風に木のをふて侍も夢をちらしつ折方
一出ら寝よる天朝の鼻の高いらき目覚寸時も八ツすきの本
夏の日の光るみやまの転寝にねむら天狩も杉の木半くら摺の○
○
ひる寝する木のをふて持はしからしにさらはれけすと見るといん清門
四月分追加
物言はぬ色のこかねや入ぬらん弦の財布の口をむまひて錦屋
むて
{
春道公
同
狩衣
狂類似名文庫頼
狂願明名文庫
二代目画替人
絵馬屋頬祐撰
副楽月庵町住仝
六月兼題
遊里秋草
寄刀恋
十五十
落合し
水道尻に
天明入道
水色の
つゆも
流るゝ露草
の花
十五八
早帰りしのゝめ草も
露おひて手くたの
つるのからむ吉原
五葉亭
□□□□□□
一秋風の通ふ田甫に松梅堂
葛の葉のうらをも
みする廊のはね橋
百姓の錦
十二十三
侭ならぬ廓にむかひの
松代舎
おい絵
朝かこにくや別れの
波喜
庭の鶏頭
かさりて風の手に
をとる尾花の
野のふる市
一高
一高島利
十三十
橋の門
蛙折る遊ひかへやの軒端にも
井けたに組てつる忍ふ草
十三
水月軒
白露の玉やか内に遊女の
山踏
はきもあらはにみゆる中庭
十二十三
一かき上る寝乱髪や傾城の松籠
松籠堂
真鳥
うかひ茶わんにうつる朝皃
十三五
藤吟社
遊ひ女の床に活んとこの腕の
房長
むしの根も院菊の一えた
スンフ
望月楼
百草の花にみとれて老か身も
遊ひ過しし秋の色里
葵津する枕刀のかこ釣瓶
むねくみかねる妹か水性
都金亭
二人
十三八
正宗のあらみの太刀やゆかけんの
さめて手切れとなりしくやしさ
十九
十三八
こし刀かたる心のたけ目釘
浪影改
朝風亭
桜園
しめし合せる夜半そ嬉しき楽波
十三
君ゆゑにかくも
すかれし錆刀
福国
真留喜
楽波
後藤庄助
せめて窓をも
明てみせたき
十三七
しらけ
忍れと浮名は
いつかたち作り
米
一人の目に
かゝるくるしさ
頂月亭
約束をたかへし凹成
君か舌の根は
二重はゝきの
ごしらへ刀
十三七
契り置て手をふる
身の小サ刀後の証拠も
握るをりけ
同拾
三輪亭
杉人
十十三
一加茂川の水にはかねも合性と
ちきる二葉の葵下坂
橘
蔭花
十三七
いつしかに袖は朽けり
天国のあめと
暁月軒
浦船
そほてる涙
かゝりて
○楽遊里猶草
一こづ蝉のも抜の床のまはし客軒はの萩をたる月の夜柳園満糸
一吹風にまかする廓の女良花ぬれあふ歌や間夫と云はまし
江戸町にならふかせなき金盛は今紫の荘にこそあれ
遊ひ女が錦の夜具にくらへてもはつかしかしからぬ八千草の床
間夫に遣る遊ひか弁のはし書をえんの下より覗く朝顔在明高月守
客の首尾見合す間夫の忍艸遊ひか閨の軒につられつ
摺のつ
堀越におはりろとふや覗らん悪かへしのるりの朝皃
一ひけ過子虫もくるわの格子生ん袖かたふける露の穂薄
ほんほりの明るき中に落くらきたる甚の鬼の鬼の灯
さはる手の指も切たるかみそりは遊ひに馴し廊の穂すゝき
さぬくの別惜て似城のうらむ目もとににはの朝かほ後織
一助六の鉢聞義ゆかし仲の町江戸むらさきの匂ふ糸荻野歳
明潟のに咲朝皃の朝なほしつるも替ゝ居続の床折主
遊ひ女か幾ぬ〳〵わふる朝風に露のはまふ庭の鶏頭
不破名古屋神もすれあふ仲の町色あらそへる露の花かえ
露むすふ秋の錦のかさり夜具水引草も目堂つ惣花
いとはやもうつろひゆき色里に見立替する秋の七草
いたつらにちきりし花の朝貌もみは留らさる遊女か部や
日歳庵
浪影役
遊ひ女のむしんも床の中万字客の寝耳に水引の花
一遊ひ女のむしんも床の中万字客の寝耳に水引の花楽波
老こみし遠手か部やの鉢植にちりめんしわのみゆる朝顔一水
呉竹の春も霞の姿えひ花さく庭やはなのむらさき
間夫を待遊ひか庭の女郎花たれをうしとてくねる一時音好
瑠理の露ふくめる廓の初かねやうかひ茶わんにうつる朝拝振成
居続の客の座敷に朝貌を直してみする床の鉢植
西喜
かわかしの袖縫留て糸薄引ありるらん三日月長屋浦益
寝乱し姿やはつる鏡草露の玉やの遊ひ女かには若事楼谷二
一時の栄花の夢のしら露をむすひて廊にひさり朝虫杉人
二をふより廊にそたちてはらからの顔をもしらず咲水布実則
遊ひ女かしかけの縫の糸薄ゆから蒔絵の色をうつせり
菊の名も銭と黄金の交りみせ同し畑伝違ふ吉はら
きぬ〳〵に直を送りて遊ひ女の花をみる目もねむき朝顔
昼見せの鈴なる廊に潰嶋のあはの色にも咲女良図
連子窓半はひらけは胴貫のかのこ絞りもみゆる朝顔
夜客の来へき宵なり笹かにの糸薄さへそよく夕風
契情か寝まきのまゝの姿えひ露に乱し朝顔の花
終東高南山
七
遊ひ女の手取に力くらへんと庭におひたる角力件かも
うその種まゐ扇やの骨格子もる様子の花のくちひる
貌し部やしのひし春を野分程遣り手か声の鬼のしこ草
芝居から廻り舞台の吉原に秋をきしらす事の花
如露の水遣ねか鬼の鉄棒にまはりくる巳の小車の花
白菊の星やくるわの細見に山かたなりもみる雨障子
源氏名の花都里の女良花みわかぬ人もあらぬ全盛
わる火をたつ彫物のやいと花みてや命をのふる遊ひ女
また咲ぬつ深みの花の朝顔にかはらけ紬もみゆる吉原
みちのくの花も廓さかくれ咲赤はらたれし宮城の花
咲みてる花の錦のかさり夜具ひと夜臥猪の田舎大豆
千話喧嘩せし遊ひ女ににその面ふくれてそひら向る桔梗満糸
十十
若山
色里に咲そろひたる女良花みてはおもはす僧も落らん
紀形丸
またも来て遊んさとに葛の葉もうらを返せる庭の夕風
色里にこかね持ぬる女郎花ふけて遣り手の姿みせけり
色里にこかね持ぬる女郎女葉ふけて遣り手の姿みせけり幸門
秋草の色にひかれて葛のはのうらを返して通ふ吉原
半かきにもひくすかゝきの糸薄風の手くたに招く遊ひ女
きぬ〳〵を送る扉下に手を拭し寝まき姿や絞り朝顔
万字楼生た如来の五揃ひ観音草の光るしら露
置露を指てはしきてそろはんの国荘活る番頭新造
糸薄きねくいさ葉の嶌原へ根引をなしてうつすひと本
燈籠のしかけに胸のとゝろくは免くる紋日の小車の花
客招く手つるの弁の口紅に咲朝顔も遊ひ女か部や
名に答て一夜遊ひし女良花つひ居続を人にかたる
近右得
素波
六
吉原に月の桂男さえる夜にすねてうつやく花か花妻
書介もひとかは細きすみ町に筆ほとつほむ朝皃の花
遊ひ女かたらして仕舞頼む時風にうなつく尾花をかしも
ほころひし花の錦を遊ひ女かはりもてつゝる笹蟹の糸杉人
遊ひ女ををとりに出して客人を揚屋のわなに釣り忍草
遠さかる夜はいつしか秋風やうらみ勝なる廊の昔のは文甫
交送る廊下に岡のきぬ〳〵は袖をしほりに咲る朝顔茄子円帯成
待客の足音やせん色里の二かいに通ふ花の上風
秋はなほ七斛たる若なやに宮の背中をたゝく遊ひ女内守
秋草のあきにはこゝつ草の葉のうとなしみする居続の座
真直なる道も尾並に招れて横に出のそれる吉原
吹風にはを動して色里に国をならへし孔雀朝顔松人
性の空渡りてきたのひと廊てうせん種の孔雀朝かほ
間夫も手を切られやすらんしこ草の鬼の咲出る羅生つかし桃園
色里のそてなす口のかるかやに招く薄もみゆる夕か是
契情かぬれに伝栗の女良客をたませる床の投いれ
酒少々呑安
夕化粧するかに名たる二丁町客の目にたつおしろいの花
青梅にむしたる粟り女節花露を枕のかんたんの夢
七草をみに来なましと云の葉も作りて弁を送る遊ひ女
遊ひ女のしれて一輪つめる手にひらさき染まる朝顔の花
弁書て送る遊ひか禿筆さきも短くなりし穂薄
待わひて客さし招く風情かな遊ひか庭にそよく穂薄
新造の振初かさの悪そやう咲乱れたる朝かほの花猿丸
遊ひにとけふこそきつれ藤袴ほこそひかゝる国の色里
秋草の仲の町にもおしろいの花はひときは匂ふ夕暮綾城
荘桔梗咲去草のましりみせ露の情にそまるか也里
麹月生
福もけふふり替て八朝の雪の小袖にするゝしら荘鼠笑
遊ひ女の身しまひ部屋のえん先にゆかたしほりの目立朝興朝成
遊ひ女かけはひの窓の様子生んかわかし顔にたつ男へし
宵〳〵に花を抱寝の草枕遊ひか庭の花の上つゆ
たち縫はつはりをは持し遊ひ女の部やに沽高糸荘の花
遊ひ女の部やに月見の花薄備へて春やまねくなるらん
かしまし九虫は鳴とも女郎花中〳〵いはぬ色のよし原
さしかさす日今のなりに仲の町てか影いとふ朝かほの花
たち縫はぬはり持廓の藤袴おのかまゆ〳〵綻ひにける
咲初て名もよし原に菊の花寄の情に夢結ふ蝶安志好
一からず羽の蝶やうかれて遊ふらんやみなき廓の月草の花
吉原の孔雀長家の尻へにも折〳〵光る露の玉菊
遊ひ女と露の契りの席の内茶やか迎ひにまつおきな草
穂に出て招く尾花やかるかやの色に迷ひて遊ふ吉原
七夕を祭る廊の遊ひ女か軒に願ひのいと花のはな
移し植し尾蔵人をとゑんとや江口の里に風招くなり清月た
情うらさとのまかきの女郎兵衛雷かものいふ心ちこそすれ町住
一唄女も直す廊の内庭にみる三味せんの駒つなき草
遊ひ女かつくるひたひの丸山に濃いろみする白粉の図
初雁の涙みぬさきこと禿らかとりはへすらん秋の七件杉人
金盛の花の姿にはつかしと庭の尾花も秋ふほふらし唐丸
風に安様きやすらん糸薄からむ手くたの遊姿か庭初心
八
廊通ひ夜毎に土手の露あひてまかきに袖をすれる花かえ柏丸
鹿も露深き廊の鶉草朝夕友とみるかこのとり同守
麻花にひねる小菊を投入にさすか風流のさとの部や持輪月生
出のか香に蝶をいまんと秋草のいつれ仇なき花の色里
夕暮て虫もくるもの糸花にふるまいみする蜘のすらき昼群
汝も身をうりてくるわの遊いとちもてはやさるゝ秋の七草
女郎花くねるは廊の習ひそとくせつの床に我も落にき帯成
くつわやのまかきり露に狂ひ出す客の心の駒つなき事月守
仲の町尾岡か袖に紫のぬひも入たる糸はきの花杉人
わくらみに来てみる廓の女良花ひと手折らん気さへ出けり寄友
一時の栄花の廓に置露のしろかねちらす朝顔の花実則
寄刀恋
腰刀君かはかせにうらとはんうきに狂へる恋のものゝけ
一ならへたる二つ枕の山刀身のはかなさに夢も結はす
在明亭月守
二の腕に深かし中このかくし銘もるゝ浮石を包むしら鞘御影堂折主
一書入る弁の中こに逢ふ夜半のこひ江合す牛の角文字胡雲て都人
恋病の君にかたないさゝ程ねとつひ鞘走る身社つられ暁月軒浦船
待になほ今宵は君の長かたなもしかし抜て切る心か善二
我妹子か赤き所の錆刀切れぬと云ふそたのみなりける橋の門
切あき心としらつ契りしにきも村正の君いうらめし広丸
かくせともいつか浮名はたち送り人の目畳にわれし尻鞘有信亭
地かねからきたへし物を切るゝそと云へるは人の付院及かも帯成
同郡人
様云ひをは守刀の目釘衆思ひのたけを通す恋中郡人
きぬ〳〵にあまる心しの長刀はさき迄出て残るくるしさ亀成
九
恋に心乱れ堤はのたち川左衛門おかり身に成て待夜侘しな得利
恋わひて忘るたなや思ひ寝るはかなく結ふ夢のさめ鞘亀中
言かねて仇に月日をふる刀ほそみと成てかこつ恋病
替さやの合ぬつらさに立やせて細身の太刀と成しくるしさ
たまさかに逢ふ夜はにくや太刀の名の小鳥告る暁の空
言寄てふり付らるゝ身の鏡をのこふ涙の天国の太刀
太刀のさや割くときやる五章の思ひ切れとの通事つれなし
恋したふ心も深き錆刀砥石の肌にあはぬつれなさ
恋風の身にしけとふ旅刀ひき肌寒きさやの中山
言寄れとかふりふるみの腰刀やきはも薄き人のつれなさ
やすり目の目にちらつきて木の間も忘かたなや一右か俤
やすり目の目にちらつきて木の間も立かたなや一右か俤折方
五月雨のくされえんとも名や立ん菖蒲刀の切れぬ恋中
瀧水
やう〳〵と人目の関をこし刀さしていゐける妹か閨の戸
善二
古さるゝ恋の中この寸端物請て浮名のぬけぬ後家鞘
古さると恋の中この寸端物錆て浮名のぬけぬ後家鞘郡人
大にのはなれぬゆしと立し名はたりによりや鞘はしりけん満糸
君ゆゑに気も愚光の乱焼そきらざりを打るゝそうき寺門
恋ゆせて細みと成し上り太刀胸のしのきの身契りしさ文胤
数ならぬ身は数折の清刀地かねをみせん妹か合も砕波喜
赤いわしくそれしえんの錆刀抜さしならぬ恋そ侘しき敏住
あくかるゝ胸に刀の関すゑて思ひのたけを言も兼光顕人
拵もはまなそり身のたち姿を出てみたき妹か尻鞘五葉亭
我狗のもゆる思ひのゆかけんは人にゆるさま恋る正宗房長
恋の道またしら鞘の方より堂めしてみたき妹か心根突則
あひけの逢ふ夜にかへて暁の小烏丸はうらみ成けり紫山人
十
うき人をうらむは恋の錺太刀中こは切ぬ心なりけり
こりすまに思ひそ立る錦木の千束も朽る数打刀
引肌のはたゆるせよと袖ひけと長き刀の気長きそうさ
腰越や龍の口より胸の太刀折てもくれぬ君はうらめし
玉草の返しあらみの長かたななほ云よりてためしてやみむ
恋ゆせて心細みの錆刀思ひ切るにも切れぬくるしさ
切るゝとはうはへはかりの仕入太刀中こい人にみせぬ恋中
逢ふ夜には互に髪も乱焼人目の関を兼光の作
スンフ
亀成
思ひ切心はさらになけれとも君と我とは左り正宗
取かはす起証も切し切ましと守り刀の肌身はなさす
利根川
しら鞘の二人か中こ色〳〵と名を付らるゝ胸のくるしさ
しら鞘の二人か中こせ〳〵と名を付らるゝ胸のくるしさ一木成
蜘切の刀にあらは人しれす抜てしのみん君か枕辺
やう〳〵と人目の関をこし刀さしくゝいそける妹か閨の戸
一やう〳〵と人目の関をこし力さしていそける妹か閨の戸善二
古さるゝ恋の中この寸端物請て浮名のぬけぬ後家鞘
古さると恋の中この寸端物錆て浮名のぬけぬ後家鞘都人
一大にのはなれぬ中と立し名はたりによりや鞘はしりけん満糸
君ゆゑに気も兼光の乱焼そさらそりを打るたそうき
恋ゆせて細みと成しより太刀胸のしのきの身ぬ写しき文胤
数ならぬ身は数軒の絵刀地かねをみせん妹か合も砕波喜
赤いわしくされしえんの錆刀抜さしならぬ恋そ侘しき
あくかるゝ胸に刀の関すゑて思ひのたけを言も兼光郡人
拵もはつなそり身のたち毎に出てみたき妹か尻鞘五葉亭
我將のもゆる思ひのゆかけんは人にゆるさつ恋る正宗房長
恋の道またしら鞘の刀より堂めしてみさき妹か心根実則
あひけの逢ふ夜にかへて暁の小烏丸はうらみ成けり紫山人
十
うき人をうらむは恋の錺太刀中こは切ぬ心なりけり
こりすまに思ひそ立る錦木の千束も朽る数打刀
引肌のはたゆるせよと袖ひけと長き刀の気長きそうさ
引肌のはたゆるせよと袖ひけと長き刀の筆長き長きそつき
腰越や龍の口より胸の太刀折てもくれぬ君はうらめし
玉草の返しあらみの長かたななほ云よりてためしてやみむ
恋やせて心細みの錆刀思ひ切るにも切れぬくるしさ
切るゝとはうはへはかりの仕入太刀中こい人にみせぬ恋中
逢ふ夜には互に髪も乱焼人目の関を兼光の作
スンフ
亀成
思ひ切心はさらになけれとも君と我とは左り正宗
取かはす起証も切し切ましと守り刀の肌身はなさす
しら鞘の二人か中こ色〳〵と名を付らるゝ胸のくるしさ
利根川
米成
蜘切の刀にあらは人しれす抜てしのみん君か枕辺
実則
艾ノ中小末吉
食せ砥のかたき君には錆刀あふ事ならぬ胸のくるしさ
いかにせん君か刀の後家鞘にそりの合ぬか恨みなりけり
待宵に心も錆てちりつもる枕刀のときするそうき
束の間の咄しも切れぬ竹光に忍ふ目釘の短夜の床
仇人は枕刀のときもせつ身は深そりたる恋やみの床
我は右君は左りの陸奥守あはぬ刀の鈴家鞘そうき
来ませよと返しの弁の隠し諸人にしらさぬ恋の折紙
待夜半のひとり淋しき刀さへ妻とふ鹿の角に掛けり
松花堂
玉川
恋したふ身をひと振にふり付て誓りたに金ぬ君は恨めし
数打の力にあら伝今ははや切ても切れぬ妹と我中市麿
大小の切ると聞しかなしさに袖と涙の玉ちかはかり楽波
くさへ乱焼刃のたちなれや思ひ切れてふ弁の辺しに橋の門
きぬ〳〵の別惜みて鞘とみのはなれ兼たる錆付のえん
正宗の刀の刃よりあやふもい渡り初たる恋のかけはたし猿丸
打付て言よる弁に刀鍛冶あひ槌堂のむ恋の仲立
人心堂のみからなよ直る身も弁の返しに思ひさめ鞘一店
君ゆゑに長き力やたち物を忍ひて祈る恋のねきこと浦益
ふとしたる恋路も今は錆刀切るにさられぬ中と成にき内守
ひとり寐の涙に床も氷なす刀のみよりしへつめたき
○
○
口のはゝにこほき刀の疵目かねつひ見出れし恋の焼はた三月庵町住
うかりける人の心の釼もて肉をもけつか恋病の床絵馬屋
当野鼻山旬朝風亭主人対
遊ひ女の折らん堀とならぬ間に飛て田南へよひる鼻紙摺の門
合せ砥のかたき君には錆刀あふ事ならぬ胸のくるしさ
食を碇のかたき君にい給刀あふ事ならぬ胸のくるしき艾中小未吉
いかにせん君か刀の後家鞘にそりの合ぬか恨みなりけり
唯住
待宵に心も錆てちりつもる枕刀のときするそうき
束の間の咄しも切れぬ竹光に忍ふ目釘の短夜の床
仇人は枕刀のときもせつ身は深そりたる恋やみの床
我は右君は左りの陸奥守あはぬ刀の後家鞘そうき
来ませよと返しの弁の隠し諸人にしらさぬ恋の折布
待夜半のひとり助しき方の妻とふ鹿の角に掛けり
松極堂
玉川
恋したふ身をひと振にふり付てそりたに金ぬ君は恨めし短樹
数打の刀にあら伝言ははや切ても切れぬ妹と我中
大小の切ると聞しかなしさに袖御涙の玉ちるはかり楽波
くさへ乱焼刃のたちなれや思ひ切れてふ舟の返しに橋の門
十一
きぬ〳〵の別慎みて鞘とみのはなれ兼たる請付のえん瀧水
正宗の刀の刃よりあやふなきい渡り初たる恋のかけはし猿丸
打付て言よる弁に刀鍛冶あい槌堂のむ恋の仲立鎌
人心堂のみからなよゑる身も弁の返しに思ひさめ絹一麿
君ゆゑに長き刀やたち物を忍ひて折ら恋のねさこと浦益
ふとしたる恋路も今は錆刀切るにさられぬ中と成にき
ひとり寐の涙に床も氷なす刀のみよりしへつめたき春住
○
口のはにこほき刀の疵目かねつひ見出れし恋の焼はた三月庵町住
うかりける人の心の釼もて肉をもけつか恋病の床絵馬屋
当野鼻山旬朝風亭主人対
遊ひ女の折らん堀とならぬ間に飛て田南へみひる鼻紙摺の門
一稲荷山夕日にかさす鼻紙の小杉もおほくみゆる御年文胤
三味浪のさんに折たる鼻紙はいひんと高ねにはり上てかむ帯成
○
三味せんの鼻緒をすける梅川に蛍もひねりて出すに別紙楽波
当野煙草盆御影堂出
十五
香笠のくさりは蔦のかけ橋やたはこ盆さへ木曽の桧細工町住
有明の月かたすかす煙草盆よひやみしめふふちの黒柿阿奈女
○
輪にふかすけふりも舞ひの薄月夜かゝかたすかす丸たち蓋折主
へた成大人
月
猪右衛門
狂類假名文庫秋下
狂顕仮名文庫
二代目画替人
絵馬屋頬祐撰
副在明亭月守仝
七月兼題
雪中音曲
婦人旅
十三十
ふみこん伝習ひにかよふ毛谷村場
日歳庵
飛石うつむ雪の稽古所
一音
十三一
得利
寒さには火にもあつらん
降つもるゆきのしらへ緒
十三十二
指先に穴をふたきて
直す小皷
雪風の寒寒も
しらす笛に遊へり
十三八
三味線の駒さき立て
清涼舎
音好
一音好
細やかないと道あくる
雪の門つけ
歌舞台
百鳴
同壱冊
十二九二
十三十
少女子のひく
筑波嶺
むら咲
三味線の天神記
しやくもとる程
つもる雪の日
十二十五
兎をも雪に
無窓園
つくりて一株の
敏住
とくさに似たる
笛や吹らん
十十五
雪の日にさらふ
一喜撰も手に重き
十三
雪の朝つれも
サ
輪月生
いつしか踏こえて
今をたゝきて
踊る少女子
五葉亭
ことのゆるしの
道や
付けん
常陸帯かしま
三輪亭
立からくたひれて
杉人
八十三
嫁にやる娘をつれて
初かねの七野を
有信亭
かことはかりを
頼む足よわ
東錦堂
十五十
綾織
女旅やき餅坂を行過て
めくる
都見物
四十一
まはりきの出る江の島の道
十五八
水月軒
女とし揃ひ
山踏
ゆかたの朝かほに
汗の露おく
旅の日さかり
十五一
稲の舎
一旅かせく芸者の
実則
猫も素人に
第一
化て参れる
化て参れる
岡崎の宿
十三十
江の嶋の
巳の
蚫のつとに
女連かた〳〵
真張
おもい荷物
もたせ利
十三十
道草にてまな
とりそと母おやに
ひき立られて
ありくうまや路
ワカ山
十三八
暁月軒
浦船
おくれたる
子を思ふよるの
十十三
かんさしの
免独斎
侭代
あしたに出て
千鶴見宿
鶴見宿竹杖の伏見
竹杖の伏見へ
首をのはして
待る母親
呉龍軒
な歳
やつと
つける
足より
在雪中音曲
一香炉峯しのふはかりの雪の日にみすを巻する奇の儀太夫
椙延門
布さらしさらふ少女も雪の日は重けにみゆる下駄のはたらき
むら竹の枝葉も雪の伏勢に琴柱の雁の雁のつらやみたるゝ
御影堂折主
鶯はひそめる雪の谷の戸に高音ふき切る庵の横笛
柳園満糸
袖萩を引かたりする外面より出せと開かぬ雪の枝折戸
車ひき語る半にふり出して雪にきしらす引窓の釼
楽月庵町住
一ふる雪をつくる五輪や経か鳴ときめく琵琶に聞平家唄
ふる雪をつくる五輪や経か嶋ときめく琵琶に聞平家唄在明高月守
常磐津の松さへ雪のほうかふり窓の時りをたよる
ふち犬も悦ふ雪の朝またき梅子またらに打能太皷浦益
鶯のうまるゝ竹の尺八に歌口しめす雪の山しな
引留る雪のこよひの居つゝけはひとよ切ともならぬ尺八
、
常磐津の松の操のみとり子にかゝるもつらき雪の宗清波喜
ふる雪に源氏窓をもふたかせて紫匂ふ琴のゆるし手しる好
安達り原かたるも三の切戸口雪に埋みし垣の袖はき康丸
孝行の糸道ふかき雪の日に引かたりせる竹の子の段酔笑
汐くみの鼓をうてはしらへ緒の千鳥にみたす雪の波五葉亭
寒さらひ雪にこゝえし指先の身にも覚のあらぬ琴責
六つの花ちり込室にみ味せんの駒いさまして唄ふ寒心き真留喜
降雪のあかき戸口に尺八の子ゆゑのやみの鶴の巣籠由淫
爪琴の小川も雪に埋れてねいろもことぬ雛つらの曲都人
積雪もしろきを治の浄るりにの深せてあつく語るこゝ場筑波庵
我か先にとひしはたそや雪の道一筋細く通ふすすせ琴満糸
糸行もうなかす舟のかち原や雪に逆積も出す角田川郡人
十二八
降雪に松もけしきを棄れて琴の音計り通ふ奥庭
鱗
巨達にもあたら伝子等か雪の日にたゝく太鼓の鰒の皮張
明からす三味線の音も高塀を風に飛こす松かえの雪
雪の日は犬と猿さへ狂ひ出てあはす鼓に三味浪の音
酌酒に犬はかりかは三味線の猫もうかれて狂ふ雪のる
雪の日は巨達入とんの唐草にくるひ獅子をも語る少女子
降りつもる雪に軒端もかくれ家やひく三味せんの恩こまなる
三味せんのひき手障子のすきまからもれる吹雪は打ことそみる
友達の跡をもつけて三味線の駒に道しる雪の夜稽古
のんとより声せり出して三味線の頭巾引ぬく雪の関の戸
〽業平のことや思はん東路にふし松かたる雪のつれ〳〵
ふる雪に縮みあかりて寒かるは越後獅子をも語る少女子
上
尺八の竹に声ある下折れの門に彳ゆきりやましな
鬼婆くと孫は思はん寒さらひせむる安達の書ふりの夜は
松かえもをる雪の夜に棹つきてふし面白く語る竹本
雪の日は松風たえて竹本のふし面白くかたる三味せん
伊勢路にて打杉お玉か三味せんの手もえひとなる雪のつめたさ
夜の雪吹こむいきや浅の恩に指の通ひもあつき笛の音
朝きたきほつむ雲の袖花場めくらさくりにさらふ寒ひき
爪現今の秘色ゆかしや降雪の山なす庵に語る関の戸
こたつにも三筋の猫の爪ひきにのと薄ころかす雪の夕くれ
初雪をみる間に消て水調子夢のらん蝶ひく忍ひこま
松の雪風にちらしてつくし琴中よき友とひく合せもの
三味せんの手を引あひて宵はまち雪のふる夜も唄ふ寒ひき
一たゆましと気を引立る三味せんの音色もさゆる雪の夜鷲こ
あつかんのてうしはよしとやる雪に蹴つけては語に浄なり嘉寿丸
笛太鼓はやす様子にうかれてや雪も窓よりまひ込にけり
枯木守博花の咲たる雪けしき駒くるはする三味綿のはちち
三味せんも未たかけ出しの犬の皮雪に狂ひをひく越後獅子
寒さへしら髭近き書見舟かたるやむつの花の江戸ふし清門
重稽古雪ふりつもるつめたさにふしもふるへて語る清元
雪明り窓よりうけて見台にひらきし本も文字の直伝
南与兵衛かたれる上の引窓へ風か投こむ雪の白かね
糸道もたゆる斗りに雪つめとあゆみかはらぬ三味線のこま
村田
尺八の竹にそある雪の日は御無用といふ風の手の内
雪の夜もあかすそきぬる青ひたひ黒く唄てきかす白酒
六
雪の夜にうたふ謡も奥ゆかししつかに声の通る往来
菅原の伝授場かたる庭の面に鳥の跡みる雪のしらけ
雪つみて外をふましと須磨琴のひと筋糸の道や付けん
望月楼
真心も音にこそたゝめ隠れ家に深きをはかる雪の尺八
竹やさへ寝てゐるすたの雪見舟芸者かさせる三味路の棹
巨達をははなれて腹をかゝへけり雪にかたれる茶利の浄なり
蔭道
栄樹園繁雄
ころかすもまた面白き雪の夜に声も高ねのふし松のふし
雪半路免する童の婦ならんころかし語るとみもとのふし
宗清をかたれる庭へ降雪にときはの松も色を替けり
堀一重晦亭近き梅の春花とみまかふ雪の清元
かきならすその爪琴のつめたさは雪ふき組にかんしいる也
尺八をふき込雪にあみ笠のひもどく暮てやとる山科玉成
折られではひしきし竹を作りとてまた音を立る雪の夜の笛織成
積雪を湯ににる爐にも灰かるゝら上る末社のさわくさは皆浦船
降扨て興も十寸見の撥音は雪のまに〳〵ひゝく山彦一文甫
三味線の調子もあひの中庭にとつちりとんとつする白雪帯成
折にあふ琴のしらへも薄雪のきえぬ軒端にしのふ爪音
野も山も白き雪の日真黒な明からすをも語る新内
足跡は御無用といふ雪の日にふくや思ひの竹の尺八
笛太皷音いろもいさむ獅子舞の狂ひにちらす雪の小桜
琴ひきて唄ひ遊へは我友の雪に音つる軒の呉竹敏住
降つもる雪を詠て酒のかんてうしを直す三味せんの音輪月生
雪とけに滝なす軒の琴の音を聞て事をや洗ふ飼猫浦船
降雪に今さす指も切るゝほと打る鞍の音色を愛聞文胤
ひくきらの唱歌もをりに合の手やまた降初の薄雪の曲ちゝふ
婦人旅
一ふ二の裾たとる女の旅衣あふき付なる袖もかをれり
松かけにいこふ女の旅笠に紅の糸たる蔦のもみち葉
関越る夢やみにけん箱根根路の旅寝に髪をとける手弱女稲の舎空刻
多瀉さしの烏もねからら求らん嶋田へいそく旅の手をや女松柏堂
弥生空内裏みんとて女連蛤つまの目たつ桑名路橘の門
旅かこの品定して箱せこの内やゆかしく焚源氏香胡雲亭顕人
女連七里か浜の真砂地に金しの光る帯のおり留御影堂折王
女同土つれ立旅に姫ゆりの力とたのむ母の添竹
柳園満原
一乗物に打たる鉄の星月夜かまくら名所みる奥女中
女つれ明日の帰りを案内の弁にも多き文字のかな川
子をかはふ妻か旅寝にみの虫のちゝよ〳〵に貰ひなきしつ
立戻る野上の宿の旅女ねやに肩や忘れたりけん在明高月守
うき旅になやむ女の足からやすかれる杖の竹の下道小野河奈女
旅日記にしるせる文字の女連筆のあゆみもおそき古路湯糸
うちまきの外なるかねに炭の茶ふしたしなむ宇治のたひ人
足よわき女の足にかんさしのふたまた道をゆく国境筑波庵
釣またき龍の口へと通しかこかろきかた瀬の女講中清門
春の野に紫めたつ花すみれ一夜とまりの女ひとむれ南山
子を留守に置て女の初旅に足をくはるゝわらんしのちゝ松雄
手をや女かねかけの玉の十団子旅路に目立宇津の山城実則
笠当のいたゝき赤き女旅鶴の郡をゆく甲州路繁雄
逗留をしらせの弁も女文字つひ長くなるかな沢の旅日歳庵
化粧堂になさ伝旅寝をするか路や妹か素顔の不二出たひ三つ
足ひきの山路に母か手を取りし娘の年や十三峠嘉寿丸
かけはしをたとる女の足えにひや〳〵さする木曽の饗風
江の嶋へまゐるいはやの奥女中弁天から子つるゝ一とむれ
敷嶋のやまとめくりに痛み足なやめる妹は顕の姿か
玉くしけい相をせおひて梓神子なき世の事もはなす道迚
四国をもめくる旅寝の猿胴着にほ束なさや女同行町住
双六になれし少女の道中はふり出し箸も懐にしつ
江の嶋の土産も花の貝屏風女のつれの七日路の旅松枕堂
手まりうた鞠子の宿に女連茶代はつみて一夜明せり
かこに乗足はよこさぬ女さへ旅は砂ふむ宿の仕まひ湯
納豆の浜名とまりにふみ書す豆に糸ひて女ひとむれ
旅はなほうきと人にもつけの根とすかなれたら妹か道速
大津絵の姿ありけり小娘の杖をとゝめし藤えたの宿音人
古しへの花の姿も忍よれつ奈良の都へ行大年増摺のつ
照君のひは骨高き駒の背にうき旅やつれかこつ手弱手橘兵次兵衛
おしろいの雪とけみせて女連ひなたかひの不二も黒むな川様西喜
旅寝して髪も乱るゝ艸枕土はこに結ふ夢のはかなさ
スンフ
浪岡講宿を尋て冬の日の足よわかりし女道中
ゆすられて酒にも多くくれ竹の伏見の舟に酔ふ女つれ
竈元の下女も御供につれられてのらや伊勢路の三室芸林喜哲様
伊香保路へいそく女の旅衣風をはらめる肌すゝしき輪月生
女旅かろく見込て空介もかこをすゝめて酒手にそする
旅衣させてふせに少女子の夢おとろかす小夜の中山都人
日坂に旅の少女のかこからもやさかたな身を出すわらひ餅
はる音かる都へ登る女旅心ほそみもたのむふたこし杉人
朗たしなみ紅げしろいに根油かねも用十一のに絹女か旅真鳥
かしまし九女三人うる志路に泊りをいやりすくめいかつ時亀成
五月雨ふり乱したる妹か髪嶋田の宿にむすふ川留満兵衛
浜をきの伊勢路を廻る女同士なにはのあしもよわき得れ
成田道女は豆をふみ出して小金のはらの馬もやとみん甘喜
はたち余り日数も旅をするか路や額に不二もみする手要文胤
ふた親を尋ねて雨のふる郷をから涙にしほる振袖玉成
旅のうをはらす咄しの鉄炮をうけなから行武士の妻後織
手習の女師迄も踏なれぬ旅はいろほのかな川とまり橘のつ
足よわの娘も旅の夕暮にもう爰かへと急く泊りや
伊勢詣つれの男子に心せよ石部泊りの少女子か母
つれて行娘も旅の染ゆかた母の足手にまとふ朝皃折方
武士の妻はさすかにたしなみの心ゆるさぬ旅のあひ口
母娘つれ立月の都路に心のくまや雁の山しな
飛曽丸
村田
縁洞園
踏なれぬ旅もいろはの女連七ッ下りに宿るかな川丁
両掛やかこをつらせて美しき生弁天の参る江の嶋
足よわの妹をのせ来し膳かこの酒手もつよくねたる冬介
手をや女のまた身になれぬ旅衣裾重けなる足からのめ
雷の鳴みしほりを上着せし妹に付ゆく旅かこの冬
夕立は晴て日和になるみかたゆかた揃ひの女ひとむれ甘喜
行なやむ少女か旅の足えをはやく見附の駅の宿引郡人
なふられやしつらん妹か旅姿すすしへさんつみゆる菅笠一笑
気まゝなる妹か伊香保の旅の空日は高崎に宿る足より鼠笑
桑名行旅の女も塔のさそふ時雨に足休めしつ益群
女連みて戸塚から岩嶋とかこに旅寝をすゝめ色時喜鳥
白ねりの脚半の紐もしとけなく結ふ出冬の女旅人浦風
うしとのみ思ふ女の旅衣馬かたまつら付まとひけり帯也
余りては大津へかへる双六のさいや娘ののほる都路福住
やつれ油をうりてゆかた地の白絞りともはをる鳴海路五葉亭
壱里行二里行休む女旅三りに灸をすゑはかこかも差好
日々にふり替るもうへよ松嶋のはしき見に迚行女臣つれ浦船
女つれせおふ荷物もゆる井沢牛のあゆみの善光寺旅折方
江の嶋へ妹か願ひの通しかに桜の額を納む開帳一水
朝かほのはかなき貝をしるへにて身は東路に迷ふうき様由隆
足よわの女の旅の長縄手よるにかゝれる心深そさよ素皮
古今の夢をも見つゝ女旅髪もたかひに浮ひあふなり天明入道
入相の鐘におきことほりやへつかれつゝ行女旅人四歳
○
二子山あなる箱根の関守に乳やみせつらん女旅人在明高月守
つくし琴聞にとひ来し友垣の交り深き雪の足跡絵馬屋
当坐都暮秋暁月軒主人前
一物いはぬ狂言のみる虫の音もたえて暮行秋の壬生寺
けふきかに秋のひと日も暮行はとも暮行はともし油の露沸な
羅生つ出行神のうしく髪引戻すべき鬼神もなし満糸
○
秋暮るゝ日影も西に入町やねくらをいそく烏丸こち浦船
十一
当坐絵図七宝亭主人判
一勝将棋さすかこまかに都をもつめてみせたる王城のゑつ
浦嶋の箱館給候図の表さへ明れはしわもよりし折口
一兵法の陣取繕図は馬印のはれんの数もかけて摺けん橋のつ
取いそく御城普請の大絵図には寒草の花や紙のすき切月守
太子堂もりや普請の紙絵図ものりに仇して火やはむらん
〇おこかまし九も点あへして
さしかねの曲りなりにも墨引の絵図は地面の間にあはすのみ
六月分追加
夜もすから葉に置露の玉揃ひまかきの許に咲女郎図鏡銭舎一丸
広前に納かたなのはをひきて切ぬためしを神に祈れり
十一
足よわの女の旅の長縄によるにかゝれる心深そさよ素波
古今の夢をも見つゝ女旅髪もたかひに浮ひあふなり天明入道
入相の鐘におきことほりやへつかれつゝ行女旅人凹成
○
一二子山あなる箱根の関守に乳やみせつらん女旅人在明高月守
つくし琴聞にとひ来し友垣の交り深き雪の足跡絵馬屋
当坐都暮秋暁月軒主人前
一物いはぬ狂言のみか虫の音もたえて暮行秋の壬生寺
けふきりに秋のひと日も暮行はともし油の露淋しな
罷生つ出行神のうしろ髪引戻すへき鬼神もなし満糸
○
秋暮るゝ日影も西に入町やねくらをいそく烏丸すち浦船
十一
当坐絵図七宝亭主人判
十五
一勝将棋さすかこまかに都をもつめてみせたる王城のゑつ
浦嶋の箱館給候図の表さへ明れはしわもよりし折口
一兵法の陣取繕図は馬印のはれんの数もかけて摺けん橋のつ
取いそく御城普請の大絵図には雲平の花や紙のすき切月守
太子堂もりや普請の紙絵図ものりに仇して火やはむらん
〇おこかまし九も点あへして
さしかねの曲りなりにも墨引の絵図は地面の間にあはひのみ得利
六月分追加
夜もすから葉に置露の玉揃ひまかたの許に咲女郎図鏡銭舎一丸
広前に納かたなのはをひきて切ぬためしを神に祈れり
茄子団七人
同断
堀川丁
狂類假名文庫冬
ナリ
狂類仮名文庫
二代目画賛人
絵馬屋額祐撰
副柳園満糸仝
八月兼題
商家酒盛
士笑財
十三十三
伊勢約を仕入る
一商
一商
一店に内外のうり
得利
あけよしと
くむ祝ひ酒
三輪亭
杉人
十三八
東錦堂
綾織
秋雨にしつむ
筏の材木や
酒もりなしつ
一燭台にこよひ二十日の
やみもなくひるこの
神をまつる
酒もり
きをうかせけり
松門亭
十三七
藤丸
懐をあたゝめ酒の
かんふちにとくりを
付て祝ふ市人
硯
根のつ
帳面の帳面の紙
酒をそろはんの
はしき豆もて
くめる市人
十三七
雛の舎
門口へ三筋にまかん塩とひ屋
二而干口
うたひ女よひて酌いはひ酒
三郎㊞
水月軒
一三味せんのてうし山踏
かはりて酒もりのあとを
山踏
ひき出す糸みせの客
鳳凰堂
十二十三
折方
酒くみて顔もされらの
炭とひ屋はねた
芸者に
おこる酔しれ
松柏堂
蝋燭の火串あかる義山鹿流
一よふこの笛やいきのかけひき
明暮に学ふ言書や納けん無礼事
さなた紐みる楠の箱
砕笑
十五十二
と深川おやの功しのはん
横竪に引し茶図の
十三十
清水亭
清水亭
十文字やり
浦益
武士の手から咄しの
種か嶋鉄炮きすの小松園
付し鎧は
千代住
前
十三八
よつの海しつめし切
しられけり鯨目ぬきや
鮫つかの太刀
十三七
花扇亭
梓弓はるのひいろや
哥二合
武士のかたなたんすに
山中舎
猿丸
目たつわらひ手
妻乞ふる小鹿の角の刀かけ
清涼舎
音好
かゝるもあやし笛まきの鞘
十三十
弓とりの敵にしのきをけつらすま
都雲亭
る人
矢の根の錆をおとす土干
十三七
みこし路の雪もしのへり五葉亭
よつ白の駒を逆手にうてる
竹むち
十十五
あやしくもきえぬ
災と光れるは兵書を
橘
蔭道
よめる青貝の卓
十三十二
みつけへとけふ交代を
しつかたけ七本鑓の
めたつ
武士
呉龍軒
那歳
柳商家酒盛
縮緬のしわも延せる酒もりにしやくとり女よふ太物屋浦船
足服やの店おなしとて酒の座にちりめんしわもみする洗み折方
めつたしと笑上戸のえひす講腰たゝぬ迄砕し酒すり南山
酒の座に花を持せて麹やの拳の手にみる室さきの梅郡人
もる酒をつする帯やは盃も右へまにてしめる手合弥生庵
一道具みせ血をはく直にも祐天の掛物うりて酌る釼菱紫山人
十露盤のたまの案みて帳合もすてゝわりなき酒のかけむき益羽
焼火は風に流れて蝋燭やしんとはふけぬ夜半の酒そり安丸
酌かはす酒かまはれは十かへりも松坂ふしを唄ふ伊せ店
玉川
盃も丸くまはりて玉子店酔ても角は出さぬ酒もり
利伝くらす質屋の酒にまねかれて盃半嶋もうけつ流しつ
酌かはす酒の肴はみせさきにひさり莨の骨抜とせう
盃の薄手の猪口の瀬戸物やあつかんこのむ酒呑仲間
呉服やのさそくとみえて酒もりにちりめん昆布も遣ふ吸物
盃にきゝ波よする近江店せた蜆をも出す吸もの
させる店春のひさらにあきもせつ踊るまつ呑樽の吸から
盃もかはせに組て両替や小はんのせんに乗せる額さら
遣る花をつゝむ紙やの酒の座にすき切みせぬ芸者一枚
玉川はませぬ酒屋のいはひ酒水いらすなるうちは客かも
盃もちらし五そくの鮓やとて折つめにしてきそふ拳酒
鯨とる熊のすみやに今打しもりのそはをも出す酒そり
呉服やの売出しいはふ酒の座の茶はんにみする昔八丈
帳面の〆くゝりよき手打そはのひしを酒の肴にいして
材木を納し跡の酒にまた筏牛府を愛る商人
喜楽
商人も小鍋に鳥の肉屏風寒さ立きる雪の夜の酒
事き聞る十組仲間の盃もかはせになして受る酒そり
一砂酒に出す肴の目利さへふるいとけなす道具商人
えりおくみ月のみころに酔しれて相場のけんも出す古着や
音好
唄ひ女の弁てよひてえひす講酒かひき出す三味せんの駒
唄ひ女の弁てよひて大いす講酒かひき出す三味せんの駒輪月生
商人の仕込も多き酒盛に小間物店の客も有らん
底なしの上戸もあらん破酒の免くる珠数やの玉の盃
同し事くりかへしつゝをた巻の糸やも酔るみわの味酒
受かねておゝつと流しつ銚子にも酒の入替しけき質店橘のづ
艾や伝酌酒そりに二ツ三ッおさへてほしきあつかんの酒綾織
晴水の糸くりかへす店おろし洗ふもきよき盃の耳
冬物をけふ売出しのこふく店酒の座へ出寸重年盃有信亭
業ひに抜めのあらぬ商人はまけて利をうら拳酒の猪口露明
砂酒に酔も子はりてやりとりの猪口にもけんを遣ふ豆や那歳
本店のあるしかけふの賀の筵子店孫店寄せる酒もり猿丸
夷講うり買すみて釣竿のたけなはになる夜半の酒盛鶴衣
酒もりにひさもくつれの呑仲間の良もよき莨やの店
をた巻の糸やに破る味酒の肴に出す三輪の素麺
三味線の糸やに今宵いはひ酒又もてうしの替るにきよひ
袴着や帯とき祝ふ古着店酒酌猪口もけんの遣とり
座敷さへ下戸に上戸の両矢や今見せに酌いはひ酒
店ひらき思ひの外の商ひと祝ふ手打のそはの酒盛
酒盛にうたひは舞に座もくつれ夜さへふかして騒く莨や
〽我れる星へ手田のかし小袖ひさく絵馬やか夜半の酒すり
道具やの堀出し物の祝ひ酒さすか名高き正宗の銘
末広と大盃の数つそる扇あきなふ店の酒もり
酒の座に下戸も盃手にとりてにかき顔して呑薬種店
かんはんに偽もなき紅みせの奥に酒呑人の赤つら
報ひさく人もかへりて酌酒にあたゝまらんと雪のあつかん
サノ
輪月生
三味せんのいと長〳〵と酌酒に跡を引たる商ひはしめ
市人の富貴はいつも夷講生弁天もみゆる酒もり
鱗し
けふ一ト日出のか渡世をいこひけり酒の座敷の小間物の店
店おくし済し祝ひの酒盛にとくりも多き瀬戸惣屋平路善
酒盛に猪口もたひ〳〵洗ひてはやりとりをする古しや仲間実則
そろはんのたまに仕切の造り酒呑にはひ出てそこもなし
直の出来て手をうつ毎に酒もりの鯛もつり出す夷屋の店
横はまへ店を出しゝ祝ひ酒酌盃の交易はしめ
打たゝくにも成丈にはたら成てさし上升るかはりめか酒
みせに居る男伝こんす忽茶はん酒の座敷へ出す長持
酒酌てくたをまきやの主かも食角こふしもあける砕しれ
中よしの酒に酔しれ其まゝに寝物語もみのや近江や
帆もかをる新酒祝ひに手拭の真赤に揃ふ店の酔しれ
顔色の青物見せに又虫のむかひ酒をも出す二日酔
スンフ
よりつとふ糸屋仲間の参会にく堂を巻出す酒の砕しれ
望月楼
十露盤のたまさか酌る酒もりに酔て噺もくとき八かけ
金字よりよき勘定に商人の車座て呑酒の賑ひ
士器財
ほこくはん世にしあらねは城に名を譲りものなる重代の母衣
松柏堂
紫におとす菫の草すりもひと夜は家に寝かすうりもの
紫におとす茎の草すりもひと夜は霜に寐かすうりその根の門
鉄砲はかさり物なる君か代になまりをこむる先箱の棒
薄はたの水に陰をなおほらしそ山鳥の羽の床の矢屏風
中たゆる橋うち越し大将の兜のほしや飛毒の花三輪寺杉人
遠乗りにいさ水かはん嶺のまき絵の花もたわむる梅杓
すゑたまゝ動かぬ御代の大筒は錆たら秋の庭の置物
桜木に堂具具へる武士の具候はゝ槌ひとけは月日匂ふ軍殿
櫛岡ちらし小役の染草も弱いさまする鞭の腕掛日歳庵
七夕の空にきらめく星鬼天の川ともみる二方白得利
一今つおやの骨をられたる陣扇風をもいるゝ夏の日の丸
とほつおやの胃をられたるつ扇風をもいるゝ夏の日の丸清門
汗水になりし先祖のいさをしを今にひめ置くさり帷子亀成
咲夜に袖すり節も匂ふらん矢ころをはかる秋の艸鹿同守
夕立の空をもしのふつか盛目貫の程をつゝむ黒沙五葉亭
スンフ
敷嶌のやまとしまねは武士の鑓にもみゆる色紙たにさく又千町
調れんの時より外は陣太鼓なんにもならぬ御代の愛たさ有信亭
一そろばんは手にたにふれぬ武士も重さをはかる象眼鏡得利
御先祖の昔しかたりにひけな伝てぬいてけれと書す毛抜鑓
腹まきにかゝやく紋の銀世界おとしの色も雪の卯の花
腹早きにかくやく紋の銀世界おとしの色も雪の卯の花天栄堂弘明
やみの夜の行手真黒き鼓鐙御生の光りにみる村なし地涌蓋
武士の歌をはかれる物の具を春はかさらんほらと鉄炮天明入道
冠れは重き思ある父親にヤツトウねたりて出来し面に手嘉寿丸
掛物の冬雀や立ん錯おしたんほの鑓に早わらひの鍵折主
白むくの雪かき分て土用干に踏出すすねの十王頭
物いはぬふくめんなして重代の桃なり兜風やいれけん喜楽
武士の腰に付つゝ陰笠をかふりて馬に乗れる挑灯突則
夢むすふ狩場の鹿や驚かん霜ふり羽もて制し矢音に
三千歳のゆつり物なり武士の箱にひめ持枕なり兜輪月生
弓取の持てる矢立のうつ添形つる輪に似たる執も打り摺の門
引しほる弓をや望の月とみんつかへる必失も秋の雁また折方
武士も堀出しものみ悦ひてえたる兜にみゆる鍬かた将軍
望の夜の月毛の駒のくまとみん押かけ覆ふ冬の村山河奈女
一しつけさい老もしまんの海老腰に具足をかさる御代の初春
志川けさは老もしまんの河屋腰に具足をかさる御代の響
身のなきは誰もしるらん山明の黄金作りの進物の太刀寺亭
鎧ひ川中せん道は重代の家に伝はる桶かはの胴帯成
武士のきたへし腕に備前ものためしに割るや枕なり兜
腹わたへしみる扇の九寸五分所のなる名ものこる露芝杉人
武士の言をふみしかき合口もそうのあひける中の吉光
すくれたる光りみえけり骨迄もみかきし人の持る鉄扇実則
毛色にもまかふや馬のやせかくし駄覆はこえてみゆる黒羅紗綿流
床の間にかさら鎧のえひ胴は腰もまかりし老のたしなみ瓢国駒也
夕立のひとふりふつて光りさへ半はゆくみゆる雷鳴の太刀花咲
干代能か桶かは銅の鎧にもみる月かたの水のみのわん橋のつ
きらめかす十千はやみも赤ふさやもちりの鏡にする稲妻五葉亭
一度ても跡へはひかぬ塩塩切さきかけに出す秋の虫干広丸
一鉄炮のねらひはつさぬ跡の日を破軍の紐もみする筒先織成
うすはたに並ふ鎧のおとしさへ春のに桜夏の卯の図河奈女
山〳〵の木の間〳〵に吹おくる風にお添ふ絵の蝉元音人
味もよし匂ひもよしと武士のうまひ顔する小豆長せん
セ干にかさる鎧のひおとしやあつき恵みをあふると御先祖
物のためしも引て九寸五分握るこふしや石と成けん杉人
笛伝とる鹿の角なる刀掛よきねを出して買求けん
白鳥の羽の矢添ん枕へにおく関守の手束弓には
さやかとも見ぬ長刀の三日月に光りを覆ふ黒羅紗の空
上下の行義も揃ふ武士の折目正しき鑓挟箱
武士のうふすなそともいは清水納る太刀も鳩丸作り
抜はなつ氷の刃打みれは身さへひやりとちゝみ上りつ差好
君か代は長柄の鑓も亥関にかさり物とそなれる雲たさ
鳩丸もひめや置らん両の手にしなひの豆の出来し武士
せきにせく小サ刀の催供にヤツトしかけるなまけ職人スンフ干町
富か岡となる御堂の通し矢に八まんまさも目立つよ弓弥生庵
治りし御代にきちらきゝ洌しなく用にもたゝ鳴くをりかたせ
静なら御代に手柄の武士は鞘に納めて遣ふ持鑓
道具やのみせに久しくかさり置鎧兜は幾世へにけん
治れる国の守りの梓弓引なはなちそものゝふの道
星落て石になるてふ湊川世に流れたる菊水の籏
鉄炮の諸めつらしき内兜今虫喰のある恐ろしや
打たゝき出せる音かせもさつはつの軍太皷や荒馬のかは
切先を磨て敵に向鑓朱に染名を代々に残せり
大筒やふき心すほらも三寸のくさひの舌に半はす地中敏住
軍せぬ御代はねの出ぬ鉦太皷たゝ道具やのみせに迷ひ子
納りし御代にもみかく武士の心に錆いあらぬ業もの
一庭へうつ水鉄炮の下知なして浪にも忘れぬ軍配うちは
武士の家をけかさぬ宝そとしみ〳〵守る物の具のあり
うけ継し家のほまれの古鏡身の守りともなれる楽しさ
太刀の身の雲の焼又は納りて月の輪さゆるふくりんの鍔
骨を折みをも砕し俤やねかして置る重代の太刀
あら尊君か恵みは厚金の鎧かふとも鹿のおき物
裾長くみる野袴のふ二形や腰に龍さへみゆる印龍
日本武みことのりうけ東路に草なきふせし剱尊き
日本武参とのりうけ東路に草ひきやせし剣尊き花楼
心さへ気さへまひにあひ言葉山よかはをもはる陣太鼓
雷の鳴瀧の磯に錆落て光るつるきは稲妻の如桃源洞
雲井守時名さへあけにし武士の弓はり月や鷹の羽の征矢
ふるものと家に伝へし系図にも武器かゝやく金の宋配安志好
に桜の盛る先祖の具足櫃備ひは春の餅はかりなり松柏堂
○
少しつゝなむるや戸ちも拳酒に打ましりてそきわく砂糖也柳園満糸
敵にうし路させさるすさの鎧櫃うち絵の巻やひめて置らん絵馬屋
当野手遊呉龍軒主人判
富士かねの煙り重えせぬ印をもやくや今戸の土の西行幸て
生さきをことつく松のみとり子に持せんや澄のすか糸の風南山
雁かねの初音の鼓わらはへに送れる秋の風の手みやけ幸門
咄しさへかん鳴くゝめる子供らの打てよろこふ紙の鉄炮綾織
をやみなき子らか涙の雨をしも土産に晴しし日和人形月守
○
油屋を胸にかけたる幼子のとうしん入れてまはすこう六まな歳
当座提灯清涼舎主人判
軒のはな高くかけたる提灯はやみのくらまの天狗しやうかも
摺のつ
秋もなほ残る星の夕すゝみあせの水とる糸瓜てうちん
夕半くれ寐起に鼻をならす子の虫の根を切る鬼灯てうちん
主の仇むねんと握るこふしよりにてうちんにも付し置うひ
うちかけも孔雀の羽根の玉くしけ箱提灯に出る仲の町
○
吉野紙極粉色の提灯をつるして愛る花の奥庭
七月分追加
女旅鐘のゆらつを長〳〵と聞て行ともまた日高川
堂にもたくふ妾の御国つめのれるかきへ光る道中菅垣
商家追加
一勘定のあへは銭さへたる酒をつけてもとふかしまる寐めん林々舎轡
仲秋のはしめ光りも高き北斗連の
宇斯達打つれて星月夜鎌倉の里なる
八はたのみやしろに詣たまふけるを江の嶌の
弁天のへん〳〵として打す義んも心なら
ねは女方の転士の玉詠をつとひ駅路の
鈴のしやんしと無事傳かへるを待うけや
脚半の紐のとく〳〵も四人の判者の
みるめをかりなみ〳〵ならぬ月の御影
あるか中にもあら磯の底ふかきこと
の葉をそのまゝむをふねにせんも中意
なきことに思へは板にゑりててる月なみの
巻のしもにそかふることにはなれり
華の
綾波
由こひの海わたせる
この玉章も
月の鏡に
こつる
さやけさ
ト
題海邊月
画質人
撰在明て
者柳園
御影堂
八十五左十二柳十三丁
一浪枕ねよとの鐘もわすれ貝益
三友亭
益群
みるめにあかぬ月の高浜
一投入れし太刀の風情やあら磯の
清涼舎
清涼舎
音好
波間をくゝる三日月の影
一地とる蜑やめつらん江の嶌の弥生庵
いはねはなるゝ片われの月
極楽寺越えてあなたに月かけの
十三十二十五
みて老と成やしつらん
光る深さちの稲村か崎
一商
月たて杖つく筆の竹芝の浦
得利
益群
十三十二十二
あかす見ん福石あなる
清水亭
江の嶋に月の白かね
浦益
つむ岩や口
十二十五十十
一枕の夜の月にはしろき象潟の天明入道
ねふるなかめはうらみ
なりけり
十二十二十二十二十二
十二十三十二
照る月の
一みつれいかくる十六夜や
文栄堂
弘明
一児か渕なる波の白義〳〵
十五十二十二十
戯れ給のとはたの浦に影やせし春翫亭
花楼
はよひの月や十六夜の空
十五十二十二
秋の秋の秋の夜のちをはりまかた
松様堂
月にね久る手枕の松
十五十十五十十
浜荘の露に
やとりて照る月の
玉やひろはん
伊勢の
十三十十二
一松をふく調子も琴の
海風やなきさに寄する
松柏堂
月のしら波
海原
不出
内守
十三十二十二十
神代より今も
替らぬ海原に
三輪亭
杉人
まろ九産るゝ
望の夜の
同
十三十二十十
地とる蜑や
捨けん海の面に
琵凰堂
折方
櫛かたみゆる
夕月の影
十二十三八十
日歳庵
一金いりの
錦とやみんあら磯の
浪におりこむ
月の
光りは
同十三十十
しとの酒龍の
都をのかれ出て
橋の門
から井へもとる
月の
しら玉
十二十八十三
また年もわかの酒わの
都重て
郡人
さし書物はたちに足らぬ
月のかつら男
十三十十十
稲の今
影みてる今宵の
月に心して浪も
山にはたゝぬ海原
実則
一隈となるいわし雲さへなかりけり有信事
黒戸の浜の秋の夜の月
同十十十三
一扇さす舞子の浜に置はくの五葉亭
こかねも浪にたゝむ月影
同十十十三
江の嶌の岩屋の
一注述の左り縄
よる〳〵愛る
十十五十
一由井か浜よせ来る
浪のたん〳〵ゑ月の
剣にしのふ
釼にしのふ
古しへ
一月のさやけさ
紀の
清涼舎
音好
青住
十二十二十三八
新玉国
一光陰の矢しまの浦に弓とみし
清門
月もまとかに
十十二十三十
うかふあつら
唐土の玉にはあらつ
数多き車をてらす
森風軒
壱人
月の高輪
東錦堂
綾織
十三十八十二
大船の
大船の
大船のかとりの
酒の月こよひみなとを
十十十三十
裸しまなきさに
立田舎
生ふる松かえの
錦流
ふくりあらはに
みゆる
明て愛る十五夜
月の夜
十八
照る月に浪も
いはほに
打われて
しふもの星の
十三十八十
十三十八十
する墨の黒雲
切れて猶こよひ
歯人
影すむ月の
しらげ
の磯
きゆる
一さやけさ春翫事
花崎
十十二十八
一打寄る波のつゝみに筑波嶺
打寄る波のつゝみに
立いつる舞子の浜の
筑波嶺
むら咲
月の少女子
十三八十
青畳備後表の
新玉園
さす月のかけ
清門
十八
照る月の弓にゆかりの鞆かま
波間をいれる光りさやけさ
表風亭
商人
十八
一蛤の唇三手楼とくもみゆるか南幸亭
桑名の海の月のみやこへ
十十三八
面白く波の
十八十三十
鼓をうち海に
みで老となりや鼓をうち海に
みて老となりや
月の色の
しつらん寝るをたに月の色の
しつらん寝るをたに
忘れ艸生かふ住の江の月
踊る
秋の夜
松柏堂
水月軒
山踏
十八十十三
福岡
照る月に遠く遊ふる母やよふ真留喜
ちかの浦辺にくるふ蜑か子
真留喜
八十三八
一淡路嶌通へる月の少女子に
いく夜寝られぬ須摩の関守
桃源洞
八十八十三
一帆柱の波に影うく大船の
花扇亭
類摩呂
香取の浦にてり渡る月
十三八八十
朝風亭
雲のえんはなれ業なるはなれ嶋
楽波
一月の太夫の帆はしら渡り
八八十十
菅こもの十度の
蓑月庵
兵衛成
浦辺に愛あかぬ
月のみふねの
影うきて
影うきてみゆ
みゆ
十三十八八
心なき海士も
みるやと有明の
暁月軒
浦船
まにこよひの
月や
すむらん
もろきむ達の言葉の花を
桜木にものし侍るついつに
見え風しと覆ふや雲の袖か浦しのひかほなる月の桂男一商の後刻
一同大将成
雲と風行分川に空晴て七里か浜の月のさやけさ呉新那盛
雲のあしみしかく切れて難波江の浪にやとれる秋の夜の月一笑亭喜楽
〇こゆるきの磯すく類とて
月清み雲間を晴てこゆる義のいそかぬ旅も望る雲の夜折主
金沢に杖をとゝめてかくなんよめる
雲はれて瀬戸のはしよりはしまづも光り渡れる秋の夜の月満糸
鎌倉に宿りける夜
我からに咎のみるめもかりたしな鷺行月の鎌倉の海同守
江の嶌の宿りに旅硯を引よせて
児か渕あ其礼をそふる月かけに野うちぬらす浪のして菊額祐
当野傀儡女惜別松柏堂大人判
猫もちとひけるくゝづに惜れてつらき女三の宮の朝戸出満糸
くゝつ女も旅の別れの涙顔面ふせに北々おせる菅笠郡人
底豆のそくいひをねりて旅人の別れを紙にのはす飯そり同守
○
人形の手ことのつきて別れ行路のうきには鞠もをとる依僧女松柏堂
当坐按摩尋杖胡金亭主人判
春の夜のおほろに杖やさくららん梅戸を笑ふ門の梅かえ松松堂
行暮て迷ふあんまの目なし鳥と守る橦木の杖や尋ん橋のつ
目も白に持し按摩は囲碁の手をも延して杖や尋る得利
腰こえやかたせをもめる旅あんま尋る杖も鎌倉いてう音好
○
一そみさすり尋る杖のみえぬといおそや目しひのかんたるひも
当坐顕人旅中聞書
啓風堂
文栄堂
両撰
一矢立より出して歌書筆つ七秋の寝覚に聞しうまや路
哥枕あはれと思ふせの音は藤沢寺の事こほかつき
一歌人の神ぬらすらん秋雨になくみの虫や笠ぬひのさと折主
あれ果し古戦場とて歌人の旅寝して聞輿書かも南山
一歌人に旅の哀もそふる哉西行庵の鉦たゝき虫郡人
古しへをしのひて聞ん歌枕鴫堂つ泥の鉦たゝきむし
○
○
よみるもひとつの巻につゝりさせ聞再考の十三峠折方
顕日記をしるす矢立の気つむし日〳〵に新の諺にこそら弘明
弘明
帯成十人
帯成吉
狩山
一狂類假名文庫冬下
《題:狂題狂類情名文庫
二代目画替人
絵馬屋額祐撰
副御影堂折主仝
九月兼題
冬月渡氷
寄星祝
一影はこふみの水はこほりゐて五葉亭
月のみ桶へわたり来にけり
十五八
十五八
魚すめる
一商
池の氷や
得利
いたきけん
かけさへひゆる
月のはた
かみ
七十五
稲の舎
閉られし落葉の
秋の舎
実義
沓のうへをしも
ふみて氷をわたる月影
十三十
心々斎
一月の雪氷の
うへに帰りつみて
さふさ重ぬる
夜半の
きぬ川
十三十
三井の鐘氷の
三輪亭
杉人
うへをはしる夜は
月の鼠の
かけをうつせり
せり
十三十二
南天のちりはをとつるあつ氷
橋のつ
一月の鏡のうら三そみれ
十二十三
朝風亭
津波
一楽波
冬の夜の月にも竹の楽波
かふり笠あしろめ
かぶり笠あしろめ
たつる風の薄氷
十十三
影のこる月の蛙も
薄水のみつに声なき
井式の玉川
十三七
村雲のあしも
筑波嶺
むらす
しと路に定らず
十三
あつ氷かれはは下に埋れて
鼠笑
月にさはらぬ池のむら芦
こほりをはしる
月の
あふなさ
夕戦恋
菅垣
十三八
三日月の太刀は雲間に納りて
さやかに光るよひの明星
一笑亭
喜東
十二十三
納れる水穂の国のなかれほし
日歳庵
そらにもたゝぬ雲の浪風
天地のうこかぬ君う大御代の
心友斎
けつ
かなめの石や北辰の星
アキ
十三十
はゝ木星世のうき雲を
はき捨て日本はれの御代そ楽しき
南湯軒
山寿
十三八
戸さしたになさつ
栄ゆく君か代を守る也
門のいぬかひのほし
吉田楼
福住
十三八
藤崎舎
空の海雲の浪風をさまりて
の海雲の浪風をさまりて去
ほしの真砂や光りますらん
一音清
天地のあらむかきりは北にます
暁月行
徳船
深しそ動かぬ御代のいしつゑ
七十三
落たるをひろはぬ御代はくらから伝
蓑月軒
道もあかるくてらす星かけ
亀成
十二十三
大君は動かぬ北のひかりにて
無窓園
一毎く
敏任
むらかる星や御代の民草
十十三
波瀬居
一治れる御代も
みたれをわすれなと
いくさを破る
星のかゝやく
冬月渡水
一麻の葉を冬も氷にみそ茂川はらへは清し月の風雲
三友亭益群
はた糸のよらかの此の水にはかひこやあさる月のをとめ子摺の門
一影はしく浪は氷りて月ひとつおく十露盤の玉つくり川
影はしく浪は氷りて月ひとつおく十露盤の玉つくり川五葉亭
稲の舎実則
はりつめし汀の水さもなくて渡れる月のかけし十六夜
さら伝堂に厚き氷に月影の雪を重ねて寒き池の面
村雲のあしをいたくけむしぬ氷にすへる月の下風
千代能が桶にも月のわをかけて水もそらさて氷る寒けさ
つまかさね雲の衣を祝捨て月は氷をわたるつくま江
一水いろの空に八月のすみた川氷渡れる夜半の寒けさ浦船
冬の夜の風に素足の寒橋わたる氷の月のをとめ子
冬の夜のあみたか地の薄水をわ後光みせて渡る月かけ
影さえて渡る水も水かねの光りをうつす月のみかゝみ
冬寒みとつる氷のきぬ川にきらめき後る夕月のかま
すみ渡る月も水にすへるかとあしもすくみてみゆる難波江
とき立の鏡か池の水かねも氷りて月の照りわたりけり
板とはる氷の舞台村雲の黒まくおつる月の顔みせ
高瀬さす岸の氷のくさひには月の車のめくる淀川
みなの川水る鏡につくはねのうつるや月の少女桂男
月守
妹脊川むすふ氷のいはた帯玉のやうなる月そ生るゝ
輪月生
冬されは水さへかるゝ枝川の氷の橋をわたる月影
夜あらしのあらき氷のはり番に雲の小笠やぬきし月かけ
すはの湖水のうへのあふなしと雲の足代やかける月かけ
清月堂
スンフ
望月桜
さらしなの田こと氷のとち本を一まいつゝに月やよむらむよむよむらむ
古句斎和歌丸
雲間より池の氷をさし覗くあはせ鏡や冬の夜の月
今もなほむつましからつにらみあふ畝火の水耳なしのつき
動かさる月の都のへつくり氷のくさひ打かためけん
冬の夜にうまれし月のひとつみや麻の葉みする池の薄氷
冬の夜の氷を渡る門こしのせに物すこきはたか身の月
立さわく雲も氷にいつこへかすへりて凌き限の西の月
芦刈れる鎌やは三日の月すこく氷のはをも渡る難波江
ふくる夜の軒の氷柱にちよろ〳〵と月の鼠のかけ渡るなり
薄氷はるひいとろの帋や川あはせ鏡とみゆる月かけ
紙や川わたる氷のあつ表し雲にとちめもなき冬の月
立田門氷にとつる紅葉の錦に玉のひかる月かけ
立田門氷にみつる紅葉の錦に玉のひかる月かけ松柏堂
真葛ちるうらみか瀧の氷る夜も風の声そふ月の玉水
さゆる夜の月みて老と成やせん氷のしわのよる姥か池
辻かこの声冬かれて山谷堀氷をはしる月の猪芽舟
沢かにの穴をとちたる薄氷にてりそふ月や雲の横はひ
菊川の氷にとちて夜もすからならかれしらぬ月の大りん
薄氷なんのくもなく後れるはみるさへすこき月のはれ業
うらうへに月の鼠の影ひきぬこよひ棚田にはりし薄氷
冬されは音なし川の音もなくかもなく月のうつる薄氷
薄氷のはりし地帋のかみや川浪の杢めはつけぬ月かけ
雨はれでとつる氷の板ひさし月の水のみそる不破の関
氷をは後れる月の影雲て松もの枝もをる作のゝ池
姿見の池の氷の鏡にも光りをそふる月の水かね
冬の夜の氷の上のらん杭を黒きて月の渡る軽業山寿
ひるはまた中こそ留ゆれ粂川の水の橋をわたる月かけ
もゝしひよつと落たら泉水のうすき氷を渡る月影
影すこき月の釼やさやはしるさやまの池のかたき氷にあな女
地水もけふはり初し薄氷あやふみもせ伝渡る月かけ
唐人の地の水に月さえてひけをうこかす風のかれ芦
落さうな姿あやうし明ちかく薄き氷を後る月影波瀬居
あくた川塵ひとつなき冬の夜は氷のうへをすみ渡る月
冬なから月の城の飛こまはうはすへりせん氷る古池得利
もやひ総こけぬ氷にむすはれて月のみふねの影も動す綾織
渡りぬる月の鏡のうらならんとちし木の葉のみゆる薄氷土台楽
吉野門印のやうなる薄氷庭のみくつもすき通る月十輪月生
浪のしわのひて氷らし上をしもみて老となる月そ渡れる
玉川の汀の氷布に似て白くさらせる冬の夜の月
冬の夜の霜の化粧に水たる鏡にうつす月の丸かほ帯成
ぬなは生ふる池の氷のうはすへり泥はねかゝる月の村雲
枯尾花しらか乱してひも鏡かけやうつせる月の櫛かた
冬の夜の月のすこさに走とて氷にすへる雲のうきあし
鏡なす氷に夜こと影さして月の少女の姿見の池
愛られし秋しのふらんひも鏡みる影かはる月人男
風の手に氷の鏡みかくらんかけもはしれる月の水かね
月影の弓に砕て流せかし清水の氷岩となるとも
利根川の水も氷につき橋や真間の入江をわたる月かけ
湖の水はるかに冬の夜のてらせる月のかけかゝみ山
月えんと氷へたてゝ底のえひ長きにのはす猿沢の地
帯なせる溝の氷の厚板を深しけに覗く月の少女子
松かえは辷り落ても猿沢の池の水をわたる月かけ
臼ときね持し兎も寒けさに氷つくかと思ふ月影
七匁の玉川水の薄氷そこもあり〳〵みゆる月かけ
木の葉舟氷にとちし池の面も月は流て渡る冬の夜
すはのうみ氷を渡る月の影あらくなかけそ村雲のあし
あたらしき氷の橋はみて老となるてふ月や渡りそむらん
鏡なず水に凄き池の面影さえ渡る冬の夜の月
氷りたる鏡か池にうつくしき月の少女のかけやさすらん
風なりに氷り付たる芦のはを辷りて渡る冬の月影
赤縄をやむすふ氷の浮橋に月の桂の枝かはすみゆ
すはのうみ承りの橋を狐より月の兎の渡る寒けさ
つめたしと雲の足をやちゝめけん水の上にさゆる月かけ得利
三味せんの音羽の滝もみす土程の氷にうつる月のはち皮綾綾織
氷なす太刀つくり江のはを渡る月はあふなきはる業そする山路
すはの湖渡る水の一文字道も直なる冬の夜の月市麻呂
氷ては渡しも草子川西へ月のふねのみ棹さして行嘉寿丸
玉くしけ箱の池水薄水のあはせ鏡や月のをとめ子昼秋
芥川とつる水も浅からぬ寒をおひてわたるかつら男音清
すはのうみ水の橋の足代をかけて渡れる月のかつゝ男郡人
おしろいの霜夜へすこきず粧かた月の氷の合せ鏡に藤丸
まとか成池の氷に夜化粧のあはせ鏡や月の少女子清門
小夜風の手にも氷の走り仕事とちめめのすきを
のせられて月の城もすくみけんぬり盛とみる池の氷に橋のつ
十十
冬の夜の月の跡の細工その池の氷のキヤマン仕たて喜遊
月ならつ渡りもとむるかけもなしおかなからの橋の茂水
はつか成池の氷に影とめてあふなけもなく月や渡れる振成
高野山雲の衣を引とむる月に氷のくもる玉川弘明
照りと雲月の少女のかけうつる合せ鏡の池の薄氷花咲
光陰のやゝ弓はりも影みちて氷をわたる冬の夜の月うろこ
寒けさもつよく氷れる門岸の筏は月のさすはかり也一陽亭新多
すとの潮狐もこせぬさきにはや水を渡る月人男嘉寿丸
氷る夜はなほも清らに光ります鏡か池の月の寒とき
月のけは鯉の鱗ときしめさて水を渡る唐人の地実則
山里は狐の色に冬かれてすいや氷をてり渡る月杉人
谷川の氷を渡る月かけのくまにい手さへのひぬ猿橋山踏
みたらしの柚杓をとちし薄氷砕もをしき月の影かる松柏堂
すいのうみ薄き氷を狐かり月の衣や夫へこゆらむ
弓はりの月も氷にこらひより真直にいらんすはの湖康丸
するとくもふかにし池の厚氷清て渡れる冬の夜の月涌蛍
照る月の雪をも踏てさし覗く池の氷に寒さいやます音好
また狐もこし立ぬ諏訪の薄氷くもなく渡る冬の月影酔笑
十一
川さしも氷る失口の渡場を弓はり月の影そ過行
キヤマンのすたれとやみん谷の戸の氷柱をのぞく冬の夜の月
てり渡る月の少女やはき捨し水にみつる鴨のうき沓折主
影高く弓張月の薄氷をわたる失はせもひえの山風
つるきなす水に雲やはらへけん手からかほなる月のかけ清杉太梅
稲かりし跡の田ことへ落し水それさへ氷る月のさらしな杉人
一氷りては春待顔に重餅を月しの気の仕度を守る杉人
石垣の角はる堀の薄氷をまろく渡れる月のするとさ
寄星祝
払へきちりさへあらぬ清き代はしまひこまれて出ぬはゝ木星
幾千代もはかり尽せし米にとむ皇国豊にさらすぬかほし松柏堂
星落て石となりけんことのはも動かぬ御代のためしにそひく
行義にてゐならふ星い道しある御代につかふる人の傍筑波嶺むる咲
清らけてみるもゆふらの糖星やあかつき迄も光る君か代
瀬さへ長きつふりは君か代の千代にくらへん南極の星歌摩呂
君か代の数にとらはやあらかねの地に敷真砂久かたり松柏堂
君か代の厳とならんさゝれ石の数にたりへん大空の皇
久かたの星の秋茂りてもえたはならさぬ御代の神風百鳴
しつ是に破る軍もあらぬ代い雲にかくれし星の釼さき
よろこひのふえぬる御代は崩ちらす楽の種かと思ふ星かけ五葉亭
よるとひるめくり守れる大星の二つせや国のかすかひ山路
うたふ声空にひゝくやひなつ星雲間を覗く豊年踊り月守
大空の恵みあふきつ磯か家のひなつ星まつ唄うたふ世は椙のつ
影すめる北の翁といはしろの星の夢やうこかざる御代折主
厳むす苔雲わけて出る星は御代をいはひのさゝれ石かも
あし数の四ツの海さへ納りて目たつふたつのいぬかひの星
あふきみる星の林も時つ風枝をならさぬ御代のゆたけさ
邪魔堂にもなゝます星の釼先にちり行雲ややその黒船音好
四つの海静けき浪に影すむい水つかさとる星にさりける
あれはたれかはたれ星のへたてなく光りの届く君か木代阿奈女
天津空星の林のかけみちて曇らぬ御代の栄をそしる
黒米のつきぬ御代とて天に半ついとほこりかにみゆる糖星スンフ
数ならふ星の光りに曇りなくあふけは高き君か代の空
久かたの星の林のあり数もかそへ尽せぬ君か大御代
限りなきこかね色なる糖星は君か栄をいはふ数かも
八百日行浜の真砂を御代てりて光り豊けき大空の星
苔むし弥鞭のとりや告るらんゆたかにてらす東雲の星松極堂
大空をあちらこちらと飛星の筋さへ長くつゝく君か代那歳
四つの海いつも替らぬ北極のうこかぬ御代や敷嶌の国
ゆたりさい空にみえけりわさはひもかへれと逆に堂つはゝ雲重駒成
限りなき世々の恵もいや高くさらにうこかぬ星の光りも
あふきみる空に限りのなき星君か齢の千代の数とり
糸に名のある太白の星かけもすみて乱れぬ君か大御代
君かよはひ長上下の星小紋をりめ正しき御代をてらしぬ
幾千代も君か室とうら安の国をめくるは金銀のほし
北にます星の所をかへさるはすみよき国のしるしなるら也
末広の御代とあふかん南北の星は動かぬ西めなりけり
豊にも星のてります君か代は祝ひても猶余り有けり
治れる御代の光りや数そふる南の空の星も曇ら伝
鶴にのる南の星はこと深幾の長き頭の翁め伝たし
七星に風を祈れる軍法もいら博心のやすくにの民
楽みにける鶴のはきより南極の星のかしらの長き御代をは
巌とも落てやならん星の数さゝれ石ともあふく大空
歳々も落てやならん星の数さゝ礼石ともあふく大空内守
末ひろしこかねはき込箒星戸さゝぬ御代のとめるこトか
輪月生
来る年の白きにくめる祝酒夜もほの〳〵とあけの明星
納れる御代の光りをあふきつゝ兜の星を空にみるかな
曇りなき御代に住ひは有かたや冬至に祭る星も真白き
あしき事ちり程もなき楽しさは箒星をもしらぬ君か代
豊年をいはひて刈れる色紙内に金砂子まれ糠星の影
納れる神のみくにの尊さはぬさとも空にあふく星かけ
偽りはなき代の契り星合をかはらす祝ふ御代そ楽しき
月の弓雲の袋にいるゝよへ彼筆の星もみえぬ静けさ千代住
君か代の数とりにせん空の海砂子とみゆる星の光りは
北にます星にたくへん君か代の尽せぬよゝの動きなけれは
君か代は空に散しくぬか星のふけともとはぬ風のしつけさ
千代ふかき鏡か池に影うつす光りも清き七曜の星
時堂にもたかへす星はあらはれて戸さゝぬ御代の夜を守るらし
君か代の光り尽せぬためしにはみそらの星の数もしられす
諸星にのなひきむかへるに辰の動かぬ御代そ楽しかりける職成
君か代の兜は鹿に納りてみそらの星の光るめ伝堂老
北辰のうこかぬ星を見当にて舟もまよはぬ御代の海原
浜の真砂うへなき空の星の数尽ぬ御代こそめ伝たかりけれ
地に落て巌とならは千代やへんさゝれんともあふく星影
あふかはや星の妹も君か代の八日万代の数にたくへて
一明らけき兜の星も武士の家のかさりとなる代楽しき一水
うつろはぬ御代にあふきてみる空の星の林そ花さかりなる
一大空の月にもひとつくはへたるは生いめ伝堂き目の家成けり瀧水
め伝たやと空いうすめにしらみつゝ天の岩戸をあけの明星
一あしき事みなは義捨ていすゝちりおとつなき君か代の二は面喜
有かたや富貴は天の堂ま物と星いたゝ聖てかせく国たみ
有かたや富貴は天の堂草物と星いたゝ声てかせり国たみ杉人
冬至梅咲るけふとてねふらんことしも星の白きをそみて南山
天地の道しる半時にいよふなら夫婦星みるかさゝきの橋市干呂
七曜のほしいと思ふ室守済めるとりて来る遅の釼先帯成
稲星の出しと祝ふ小宿の深にほの咲て万作踊り猿丸
星の真砂干潟をみせつ君か氏は空の海にもたゝぬ白波榴のつ
神代より尽ぬみそらにときは成星の林や千代の松かえ幸つ
天地の恵み尊しひきかたの空にもふゆる孫や彦星雨峯
万代の音を祝ひて跡つけん連なる歌の友ひきのら星松柏堂
一鶏の名い雲に玉はする静きや星月夜くる鎌倉の山輪月生
めの堂さゝ春の岩戸のみせ開きの間に門もあけの明星広丸
○
西風の雲さへなくて星影もみのれる稲の猶津洲の国御影堂折至
宿るへき水は氷にとちられてかけさへすへる冬の夜の月絵馬屋
当野職人併携五葉亭大人前
鮫の如白き木もてつきぬらんもちひに菱もとる柄よき師得利
よくねれし羽二重餅をたらんとて定木も出す仕立やの方にあな女
大備へつくらん君の鏡磨ときをよくする暮のもち米
松薪もたける今戸の瓦職巴に杵をいるゝもちつき柴山人
幸駄天をさむ沸洲も拂餅のあしのつよきは手に命しけり満糸
○
槌形の義らねに鍛冶やか合橋の餅さへ延をみするのし取五葉其事
当坐炭一笑亭主人前
一焚あたる炭のころものたま〳〵につきてあかしし佐野の隠家錦流
灰かきのすしたれ目それて猫火桶光る女三のみや木の声阿葉女
百薬の酒の油利の口かきてつひには毒もけし炭の壷
煙りては雲となかめん桜炭灰となりては雪とこそみれ千代住
相落さへなふり付して相談も立きえのする馬つけの共清門
○
月の輪の鍵打こみて土蔵よりひき出してそうる盤岸喜楽
当野高輪高三友亭主人寄
十五
一東さへ岸にならひし高輪にゐさりもなやむ雪の初図な歳
角文字もしらす鳴ゆかん牛かひの雲ちらしたる高輪の雪松柏堂
から帋の引手茶やある高輪に敷居みそ深とつけし雪道摺の門
ふかつする雪にたわみて呉竹も弓をみせたる義士のおふさ阿奈女
〇
雪ふかみ庭びえもせん飯もりの宿にとなれるごしや斗横町益群
帯成候
同断