狂歌集
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- 魚屋北溪等畫
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- 日本語
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- キョウカシュウ
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- 東北大学
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狂歌集
目録
荒井恭姫郎
夏月瞿麦納涼雀條寒月夕花花花陸風逢惑
海蛇望夏歌恋歌雑歌更衣餘花菖蒲時鳥
夏月夏草氷室夕立泉御板恋名所旅山家松
初春霞鶯柳春雨恋歌新歌菖蒲四十篇
青梅書草湯渡ノ泉夏蛍金銀衣類遊女
蘭女郎花雑歌千鳥梅若詣首藤初越藤金忍
十社黍木火土金饒老秋月花官女納涼
未通女鍔傾城
欠
小夜風の吹上の浜のしら鷺は花かあらぬかなみのたてるか后住
涼しける羽風に夏もしらろきは氷室にかこふ雪とみるまて猶菴
一拾遺春夏混雑
杖たれし孝のうつ木に打よする池のぬなはや月のむらくも白千柳亭
江戸
一卯の花の浪より月のあかるかとみれはかきねをのそく菅笠
大坂
松わつき竹につきてもことほきのことはにもれぬはなやこのはな雌雄雄軒
花ちりし後にも空の枝雲に家のにほへるはつほとゝきす第裏丸
人に人はなし侍へて一声をあまた聞たるはつほとゝきす御安清
親の音の月星ませるむら雲に遠くあそはてなけほとさす便が菫
大坂
雌雄軒
前にはつの梅はととへはしり顔にはなのさきにそきなく鶯雀雌雄軒
長閑さしてけさの目かねまたかはすてわをかけのほる春の野ひはり此
きのふみし山吹衣ととなりとしかたひら垣に咲る卯の花宛相正
さゝうたねの雲の袖よりふりこほす声もをやまてなけほとらきす仝
ほとゝきすとくしはなけよ庭草の笠敷て夜こと〳〵まつ身に竹愛雄
ほとゝきすかけたとなくを聞んとてかけろと疑の告るまてまつ
ほとゝ出す親をこうてやまつ山の月のかゝみにむかひてそ鳴江千柳亭
子起たまこのたまか一声をきかはかへるにしかしとやなくツ山積図
のする間は扇かはりに涼風を吹おろしたるゆふかほの棚工下安清
夏月
茂りにし木の間もりては夏の夜のまたら霜おく月の涼しさ芳九
鶯の縫てや老し梅の雨はれてにほへる月の花かさ春時
ほどゝきすなくたひ指をさゝれても顔みられても月は明るし仝
真清水を影のくゝりて涼しきす月にや秋のかよふぬけみち玉丸
江戸
たえかたきあつさに池の月かけは空へ水くむうつはとやみん
むら雨の雲のきれ間に涼しさのいつる穴かと見ゆる月かけ糸彦
むさしのゝ草より出て涼しきはあつさに逃ぬ月の真清水千枚九
夏なきと思ふはかりやほ影の霜を敷寝の台すゝしき
江戸
はらのふみに紙魚なとつかは夏の夜の深しき月にさらせから人皆秋色菴相門
涼み台のほれは音のみしくと月のこほりをやむ心地せり同舩の屋細人
夏なからすゝしき秋をよひつきの月のかつらの花の浜秀丸
萩の屋平魚
水鳥の冬にあそひし杣川の月にうきねの夏のいかたし萩の屋平魚
在尾
彼面堂北面
にしのねの雪はとけてそ其夜ふるその間は月の霜や置らん彼面堂此面
庄ノ
ぼとゝきすなく觜のあけはやみ横雲かける夏の夜の月壺岑亭雪人
ゆあみして夏のあつさを忘れ井にうつれる月の水もつかへり。予秋調
童ひと自ふしの化粧もなか空に素顔すゝしき有明のつき槿花
谷川の流れに影のさそはれて落るもはやき夏山の月六合菴明良
涼しささわたりてゝみたし夏の夜の月のこほりの諏訪の湖面生京菴江戸住
白玉の氷をくたく水うりの荷ひへはりし夏のゆふほ霞櫻亭艶芳
雲の浪月のみふねははしれともすゝきにはほのみえぬ夜一思菴只仲
水鉢にさして光りのすゝしきはつふ盃うつるつきかけ双紙袋亭
かけうつる月の氷をくみあけて柄杓にくたく庭のうち水元業
ちり雲をぬけて出たる月にまたはゝき目いれる打水の影千里唐
風わゆらく竹の葉分の月影はふみよむ壁をもりて涼しき后住
みしか夜の月は箱根の関の戸の明てよりこそ山はこゆらめ平奥
夏の夜の月はすゝしのうす羽水の底まてすき通るかけ車人
名古や
跡くらする間もみしかくて明のこる月を追こむやうな小からす肩山人西室
江戸
吹風に蚊を追はせつゝ月かけにさゝれてうれし夏の夜涼み
青くと空のはれしは夏の夜の月のかつらや若葉さすらん丁々亭梅時
さす影は清かきあれやひるの間の岩さを直す月のすゝしき裏行
長女改
すまひ男も涼しき影に窓の戸のむさうをはつす夏の夜の月景山亭零余子
夏川のうつまく水に影さしてめくるすはやきみしか夜の月金霍
竹の影うこくは秋やまねくらん風はさやかに月はすゝしき尋九
山のはをのほること影はなを早し月の老のあしのみしかね早記
氷なす月の光りは着し衣のほころひまてもとほすすゝしき粕人
あしはやみ茂るこむらにもる影も筋のみえたるみしか夜の月一円窓
瞿麦
夕風にちりをはらひて手枕の野に露やとす床夏のはゑ千枝丸
そよきては風に川原の白砂をあふるうつらの床夏の花酒九
夏草の中にほり出しものなるはこれ多賀城のかはらるとしこツ山積園
眉はけに似たる釜の木てしこは露さへにほふ花のぬれ顔末広
暑き日の影やいとへる蝶の羽の袖をかつきしなてしこの花香梅
やうかくとうつしうめたる貰ひ苗ちにありつきしなてしこの花松彦
さくまてにやしあはれたるなてしこは誰か扇のおとしたねにも全
朝鮮の垣ねを中にわけてさくからなせしこにやまとなてしこ
花の上に置しら露もほしとみん石に曲かりの庭のにてしこ玉丸
唐机むかふ硯の水いれにさしてなかめん孔雀なてし土野哥亭
涼しさに一夜ねてみん春咲しここみれのあとの野辺の床夏春光
こや地の床夏ならんぬき捨し衣のあたりに咲るなてしこ糸彦
夕風にねたり起たり白露の情うる身のとこなつのはなつ
涼しくもかけは清水にうきまくらこれやいかたの床衣のはな一円窓
納涼
花の頃にくみし風に葉さくらの枝かな戸なす夏の夜すゝみ
夏はなほあつさをはらふ柳かけあせの玉ぬく風のすゝしさ
吹とりし扇をひらふそのひまに日傘をたゝむ風の涼しさ春時
緑竹の梓々たるみれは汗さへもひたる君子のかけそすゝしき
あつき日の光る山にも秋ほとに涼しく思ふきりふりの瀧倉
一涼しさそ床机のあしやかんなへの尻をもひやす賀茂の川きし
東遠頓
ナコヤ
月花菴
十五、
すゝしさは
月の団扇に
夏の夜のしも万民を
あふき給ふか
仝
蝶宿亭
香摘
青葉の上の月そすゝしき
○
仝
むら竹をもれ来し風に
一軒のはのすたれもうちへ
たわむすゝしさ
月桂菴
秋盛
仝
すゝしさは秋をまねくか
吹風にすゝきをみたす
水のからくり
錦亭糸彦
十二、
屋形をも吹かたふけて舟人にあせしほらする夜かせすゝしき香摘
江戸
風すゝし火入の灰の吹かたちて白妙になるむつのはら産松嶌菴底清
真黒なる二布まくりてはしためか顔にあせする風の涼しさ雪人
あつき日の影をくたきて水げふりさかのほらする瀧そ涼しき商九
隅田の茶屋涼みとる日の馳乞には風袋ある鯉も料理つ千枝九
さゝかにの糸吹きれし涼しさして風のふくろや縫ひにけん酒丸
隅田塔夏はととへとしら髭やかよふ秋葉のもりのすらかせ縮緬堂
涼しさを夏のうちよりひきいれて秋なしむるか袖の夕風龍迺屋
くるくとまふ淀川の水車風くるまかとおもふすゝしさ芳九
椀にしく花てふ雀を吹まきて座敷へかほる風のすゝしき秀丸
吹からに肌はひやく笛の音の流れてすゝし川そひのかせ舩則
橋のうへ子かはを月と夕立にわけてすゝしきすたの川風尋丸
夕されは野辺吹生さむ涼風に岩さは是ゆりこみやせし玉丸
風涼し数寄屋の風炉にしら灰の雪をちらすかにしの懸物月花菴
すゝしきは秋かあらぬかわくらはの楓に雪のしくれにす風糸青
花の時いとひし風も板はしのたもとわかほるゆふへすらしな倉積
はなの頃にくみし風をたのみては汗をちらせる薬城の下金雀
茅にましる尾花や秋をまねくらん焼居すゝしき軒の下風香摘
たかとのゝ普請も夏をむね瓦ふきくる風の手際すゝしき
日あたりをゆかはあつしと茂りたる木かけをかよふ風の涼しさ
泉水に乳母か気てんの盥ふね風に棹さす若子の夜すゝみ槿花
淀川をのほれる舟のつきてにも風をひくりと思ふ涼しさ長房
夕くれの川辺の風にもち扇とられてはらのたゝぬ涼しさ音割木亭角丸
蝋燭のきえかゝかほと川風になかれ次第の舟のすゝしさ
汗衣ほしてゆかましさほ川原袖からとほす風の涼しさ
持うちは風にとられて竹桜になかれの月とみえて涼しきは物琴き女
打水に香をたゝせる涼風はとなりの秋とかとちかひかも同紀九人
雨催ひする雲よりも持傘にゆたんのならぬ風のすゝしき旧草菴興住
たはこ盆風にふきちるしら灰の雪をはらへる袖をすゝしき燕子楼
西風に吹付るかは禅園会のすゝみは川のひかしにそよる船則
すゝしさに土手のさし木の柳かけ白椎のはゆる程休みけり南網
見るも涼し頼さす川岸の夕風にあつきのせ行三日月のふね和文
山川のむせふ声してすゝしきは流るゝ汗をとむるしからみ
ゆきのした咲る水はのすゝしさにこしをかくれはたわむ竹様行竹
たえかねしひかのあつさそいつくへかのきはをつたに風のすゝしさ春春
らんかんのはしのたもとに吹風はつとになしたき夏の夜涼み橘元
茲になれる旅の黒さを軽めんと風のちからをたのむ木のもと尋丸
となりなる秋をさそひて打水に雪をたゝする風の涼しさ香保利
涼風に飛す扇もすてをふね草の浪間をなかれ次第か南松亭
ともし火を吹けす風の涼しきは閨へ忍ひて秋のかよふか生信
碗ひも名にし四条のゆふ涼みのめやうたへとさそふ水茶屋仝
たちつゝく蚊火のけふりも涼しさにかよくる秋の夕霧とみん芳丸
女夫とち風もへたてす夏の夜にむね打明て閨にすゝみつ吉世廬融
涼しさはいつより秋やたつたゝいつくに夏をおきつしら浪香湖
ときは木の葉を吹おとす涼しさに秋の声ある杜の下風樫守
初瀬川涼しき風にかよひくる秋と夏とのふたもとの杉玉丸
弱肩におつる水泡のふどたすきかけて涼しき日くらしの滝高九
むつましういさなひ合てうちは同土丸く並ひて涼む夏の夜一夢
夕されはひるの暑さしてさるの芸ひくり返して涼風そ吹牽人
月の雪風やもて来て蚊遣り火のうふり吹をる右のすゝしさいろは堂
諸人の押合ふはしの両国に風のゆきゝもたえぬすじき酒丸
曲つきに肩を越さする心太滝にうたるゝさまそ涼しき金
葉様のまねく木かけへうかれ来るおくれの髪をみたす涼風秋盛
江戸
夕くれは吹出す風の生たつゝみ秋葉も近くみえて涼しき水鏡亭梅景
月清きせこの小河に涼まんと人もなかれを尋ねてそ来る占正
花の頃いとひしものを奈桜の日影へたてゝ涼かせそふく雪筍
花のとき家路忘れし桜かけねにもかへらてすゝむ夏の夜后住
雪とみる老の白髪を吹たてゝちらつかせたる風の涼しさ雀蒔
夏草のあつくしけれと逃水を追かけてふく風のすゝしさ早記
吹まくるすそにおとろく閨のうち忍ひて秋の涼風やたつ黄長丸
音信もならぬ高ねのすゝしさをゆふへの風の便りにそしる常人
すゝしくも両国わたりさは〳〵とあほひとくさも風に浪たつ一円向
一当雀幸の屋春時主人判
候
若竹のたわみ過て今とまりわふ雀にもまた品はありけり
末つひに貝ともならん雀とて屏風かうらのかたとこそなれ倉積
はまくりになると思へは親雀子をうみにいる瓦屋ののき業白亀園俊持
なかなくと思へは軒の小雀にのりをはまれし下女か吉打酒丸
とく起し雀は羽もて竹の葉の露にあさいの月をゆすりつ春時
拾遺
三千とせのよはひものふるこゝちせり桃湯あひたる跡の涼風浅春菴
野分する秋かと思ふうらかたかめどきの萩をたふすすゝかせ
老となる月には山のいたゝきもはやくやけてそしらむ夏の夜神一蓮亭
江戸
松梅亭商人
ゆふたちの雨うちはれて邪魔になるかさはすてにし反の夜の月松梅亭
よもすから宿せし月のぬけからの朝寄しけきとこなつの花柴錦舎小萩
花生にあるてふ竹をたわめては汗もひきゝるなつの涼風秋人
水呑てかたひすゝしき然まくらたのしみはその中橋の上
夕風に庭のはせを葉ならしきてはしゐの夢をやふる涼しさ紫
欠S
餘寒月
一風さむみ月も霞のうす衣にふるへてうつる池のさゝ浪南亭
さむや月霞の衣くらゐては春のきたらぬこち丁そこれ三ふね
十一
二番目は又も雪かや月氷るさむさをすへ引かへし幕春江亭
なとてかくさむさは去年にます鏡春にうつらぬ春の夜の月丁〻辛梅時
さへかへる風に霞の衣とりてすの月をもさむからせけり東夷菴
花又とはおろか外山の月さへて雪か来さうな春の中そら道列
いつとなく月はおほろになりにけり火桶はなさぬ老かな場も一亭一
またのこる氷くたきてかすむ夜の寒さをあひか月の仇浪隠栖
レ
さへかへかさむさに水も薄氷のとちて臍にうつる目かけ仲貫
北渓
十五ヽ
おほひたる
霞はうすし
また残る
さむさよ月に
衣かせ山
亀遊亭
見際
すわりたる春の虫きに出かねて月も霞の内にこもなり琴松金綾重
さむそさをすへもちこすむかひ酒月も見かめのするとくそなる最長
山の端へ月はゆけともまた跡へのこりし物はすのさむけさ吾了軒菊成
むらまとも残るさむさはしり顔に頭巾ほと出て目にかふせつ宝館福住
さりやらてすわるさむさに月影のにか笑ひせし春の獄夜見際
此寒さまたも雪けとみそらに笠ははなさぬさぬ春の夜の月杜近
風さへてさむけき春の夕月は冬ににたりの舟かとそみる内成
夕花
心こゝにあらさる隅田の夕まくれ猶から花へかよふ吉原臥竜園
たそかれに下戸は右へとかへり道左にのこか花の生酔双紙亭此主
□□□□□□□
山のはに見すてかたきは花のみかまことの雲も夕日色そふ
いり相のとまり烏におこされて家路にもとる花の下ふく西来居
そうちかくさけるよしのゝ山桜夕日も花の雲にいからし折安
夕かたになると行風かへり風諸こして植し花にさはるし砂子
山〳〵をなかめあるきてかへるさは目のくたひれし本の夕くれ便々甚潮静
夕烏かへか山から酒かひにさとへ飛する花のすき人巴流斎
日くれぬといそかすすかたの丹長は花を花ともしらぬしれ物東夷房
さく花の雪解の水や夕月の舟もさくらの波に大ゆるふ琴吹辛万都人
入夜のかねてをらせぬ木のもとに心をつける尤にそありける
入夜のかねてをらせぬ木のもとに心をつける花にそありける蓬莱竹丸
黄蝶改
駒かたの舟引とめてわか袖もはらはぬ花の雪の夕くれ
苔の屋岩雄
□□□□□□□□□□□□□
同所
十五ヽ
露光る
梢ことみしは
いつしかに
花の雲間へ
出しく星のかけ
含笑房道列
せ
かへり足つなくけしきは夕くれの花の波間に三日目の舟春江亭
顔にしむ目の心の深草やさうしにうつる花もすみ染鶴明舎未明
白露のちるは涙かさくら花あかぬりかれの袖ぬらしけり南辛
入相もうれしや花につかはれし三舟をやすまする是からか酒みふね
きゆる火も其まゝ茶やか夕まくれおこしてそゐる花の生酔杜近
隅田つみさくらに波をゆつり置て花の中行夕月の舟走
かはほりの飛かふころは田楽の山椒味噌さへなき花の下登丸
山はみな雲ととみへてもあすはまた雪とはふらしむの夕はへ一亭一
花随風
十三、
心なき風かさそへはさそはれてしらぬ家にもゆく桜哉龍楷窟
十二日
あそふ子の袖もうつむとみかる色に花をのせくる風の手車回来居
一小町さくらなやむをしらぬ顔にくし風にふかるゝ女生酔狂蝶子文丸
風はそれ君子の徳のつれにして花の王をやさそひ出しけん跡財
一峯の花ちるか梺の風白く風白くとて枝雲もなし臥竜園
うたてくも風のさそうてさいはひにとかをおほせてちる桜分春江亭
かたちらの柳にこれも習ひけん風次第にそちるさくらむ梅時
ちる事は風にまかせて一むれは梢はなれて花のまさかり便々
花の枝ほしやとかさすわか袖へ二ひら三ひらいる風の手白正
そよとふく風にも花のうなつきて心よわくもちか桜哉南辛
□□
尤さそふ風のやとりの行方をわれにしらせよ夫ましらせん集丸
吹まゝにまかせて花のちれは又下にはおかぬ風心ありみふね
きへのこる峯のふゝきこと声の外花めつらしき松の下蒡一亭一亭一
友にたにしらせぬ物を太のますよいらさる風の花さそへらは画賛人
花さそふ風をにくまは木のもとに雨つかひも心してまし雀躍園
逢恋
十二ヽ
たなはたのほしをもこよひ祭りかへて年に一度をあはぬ夜にせんみふね
あふよはに枕のちりか目にいりて袖をしほらすたぬとなりにき綾重
顔みれきわかにもまた恥かしくさゝろそむけし里の行灯西来居
あふよはゝこはさかれしさはつしきそむける類にあてる片袖砂
うれしさのあまり心のをきなくて君か抱寝の乳をひぬるなり道列
ハヽ
中直りしてあふときは君とわか手をしめて寝るよはそうれしき走
ちきりてし指は物かはあふよはゝ下になる手のきりてやりたし隠栖
ううみたる事はむかしになり平やとけてあふ夜の口まめ男万都人
ともらひもかゝけすゑひあふよはゝたゝうれしさの一筋にして最長
待、わひし百夜の数のうらみさへりよひけしたるぬやのともしひ折安
いかにせん雨にあふ夜は顔と顔見合せてゐるねやのむつこと岩雄
かへなんと思ふ命をあひみては千代もとちきる心はつかし玉蘭舎
顔と顔あかりはけしてすひ付るたはこのけふりその間にもみん南亭
四つの耳枕と夜着にふたかれて口に物いふねやそうれしき雀躍園
海眺望
の
□□
十二、
なには瀉あし間を遣すくわき行はおなし一葉やあまのつり舟竜潜室
八、
舟の帆は附木のことく見渡して朝日をうつす明方の海双紙亭
片男浪女しまへと打てんてゆけは白帆も風にはらめり跡成
百千舟かきわけられぬなかめそとこゝにもすてん筆の御つら竹丸
はるけしと見わたす沖の百舟に心ものりて遊ふやうなり道列
見る内に帆をはらませて走れるは風のひなたなむこの浦舟岩雄
をちかたのそらへたてなき白波や雲にのり行あまのつり井折安
帯にするはかたの海を見渡せは浦にいとうしく舟そおほかる内成
立もとかすのさむさにゆきかひてかたへ氷かとみへし夕目北斗庵
ゆく方はおなし此下に雪と雨風の花ひうなくるかはらけおなしく
六臥文不鈍談夏の部
八十十六一
蚊火のこと立るけふりも扇持ておさへたやうな水無月の不二米守
七五五七八十三
一古郷へいてもとりしは夢なから寝くたひれたる夏の旅篭順馬
三十十十六
立よりてしはし木かけに待とまた風もかてこぬ夏の日さかり米守
三十十二五十一一
春林舎
一呉夜にをり〳〵雲のかゝれるは月の汗ふく袖にやあるらむ梅武
六八五十三五六
苑囿亭
ひる中は花もねむるか蜘の巣のほろかやかくる庭のなてしこ
六八十二五一
花本亭
時鳥待夜机に仰向てたて通しなる筆立の筆喜蝶
五八十二七六三
星まつる秋の支度か短冊のこより葉はかりつけし若竹春江亭
七十七十七一
大家臺
すみれ草つみにし野へにまたもねんかやつァゝくさに床衣の花振吉
八七七七七七七六六
夕くに痰のおとろく雷の後西日さしこむ家の脇はら喜蝶
六七九五七七
何ほとのしろにかへんと水売も白玉餅のたまをならへつ便波亭
十三十三十三十三十三十三十三十三丁
神田居
真鳥
きゝいれぬ
妹かれ事
かへてまし
あたりの人の
耳の
はや
きを
同同国
七八十三六十二
水まして
□□□□□□□□
菖蒲も庭に
見る空の
くもの根ふかき
五月雨の比
苑囿亭
麟馬
川越
六径園
六径固
十五九十五八六
貞盛
おくりたるみは
きせるへとほ
されて
されて
こちらの胸の
ふさかるそ
うき
阿波
八七六七十五五
目花
おはくろの色には
卯時
似れとかねに
して
賤の口へは
いらぬ初茄子
岡貞画
宝市亭
八七七七十三五
つれなしや
袖は泪の露
しくれ
舛成
君かへんしの
日和かはりて
至清堂
九十六八七七七三十五
捨魚
不審紙つけて捨魚
かへすなとち文の
あひへはさみて
渡す玉章
六八五十七五
鶯宿園
板ひさし伝ふ雫の玉くしけはこへ塩まてしめる五月雨梅古
七一八十七七
逃られてくやしさ握るこゝしより青筋立て蛍とひゆく米守
六五五十六七
丁〻亭
寐ふたしを夜さら水鶏に起されておのか目ふちをしはたゝき
五七七一六十三
霞仙亭
目印のあるはひる顔時牛草花に寺子のもとり待けり桃人
七五六九六五
宝市亭
絵にかきし扇の不二の高根にも雲をのせたる夕かほの花
八十二五一六六
川越和船亭
きて結ふたひに貴さを捨つるか野中の清水いまはぬるめり玉留
十七七一五八
奥福嶋
卯本も笠にぬれぬことやある親を見ならへ山ほとゝきす狂哥菴
七七九七七一
三界室
はゝきにはならぬ先より風の手に蜘の巣払ふ志の若竹
九十一七十一
むらさきのもこき茄子や作からん灰をこやしに遣ふ山畑浅紙庵
六三五八八八八八八八八八八八八八八
咽もどを過てあつさやしけんふる舞水に礼もいはぬは米守
七八七十一五
方円斎
太平の寝させものとて具足櫃のまくゝ草紙を出す虫干器水
五八五八五六
春湖亭
夕立の雲のころもや洗ふらん虹のたすきを見せて晴行梅久
五八一八五十
便里館
一星は粉にくたき行濾壺の水もて水をたゝくすゝしさ往成
一十七十二六一
かかたき昼のあつさは夕芝の出て来し跡の留守に行しか喜蝶
五八九五五五
同音にきやりのやうな聲たてゝ軒に何本たてる蚊柱催馬
八七六八六一
珠迺屋
匕をもて葛と砂糖を当分のあつさ凌きものます水売
八三九五六五
大坂櫓拍子
五月雨のやとは市子のほしのみか暁のはへたる咄しまて出る舟丸
六七九五六三
琴松舎
筆とりて葉すへの露の水入をしたむ硯のかはら撫子綾重
八八七五六一
家根舟にたれしすたれの若竹になみか露おく風のすゝしさ振吉
七八七五七一
一飯山新樹園
もし杖の門違かとおもふほと戸をたゝきしは夜のすらかせ
七七六八六一
泉ノ場堺
浪もつゝみ打ばやすなり万歳のゑほし魚つる鎌倉の海仲垣
一八八八五五
うき草の所さためす独行は音なき蛍に寝なき夏夜喜蝶
八六五一五十
松代蘭蕉亭
うたかひの桜の音はとけてまた波にまかへる谷の卯の花薫
七八一五六七
独楽堂
あまのはらすゝしき夏の月みちてうまるゝ秋の風のうふ声高盛
七五五五五七
とりいるゝかみなり干は掛さをゝ落ておとなき夕立の空風鳴潤
五三七七五七
泉ノ堺聴風軒
堀川の太郎次郎の歎書まても干ならへたる土用三郎草浪
五五九〇一九
あけちかき風にきゆるかあけ方は蛍もほたるほとになりけり
六一十三五八一
琴樹園
日をちかくよせぬ梢に聲ありて是迄やる風そ涼しき二喜
八五五五六五
川越便〻居
日の船とめんと竹の波間へも碇うち込風の花百合
○百合高波
高波
六五五一十一
牡丹堂
かけおける下をくゝれは夏もまたに袖いたゝく虫干の宿花義
五十一八八一
雑風舎
夕立の跡はそゝしくなる神のおちてあつさやもて登りけん梅綱
六十三一五七一
花の親といひしも今は老にけんきみしかにふる夕立の雨浅崎庵
六七十二五一一
阿波針業
手にもてるそのかはほりも大空へとんで涼しき夏の夕風有大尽
十五五五五一
一魚ノ堺手繰
一添乳する子をは起して艸を地にたゝき付つゝ寝さす
十三一七一五三
一化ノ若山
雷に暮し跡まて檀中のあたまへかゝる寺の夕たち太記
五十五三一五一
一仙ノ石津深楽高
まんまかな目みる秋や通ふらん芽の輪をくゝる川辺すゝしき百條
六三一五十三一
川工夢菴
涼しやと詠むる月に明ぬれはねふけもあすへ残る短夜梅法師
五一十五一七
六極国
雨雲のさかりての世は山の名もさみたれにけり笠着笠とり南北
六一一八一十二
六蔵亭
にえかへるよるの暑そきらはるゝ薬見せも昼にぬるまなしとや宝馬
五十二一一五五
柳雪園
志賀寺の僧もおさえん玉の緒の風にもゆらく夏虫のかけ大丸太夫
六十一五一五
花鳳亭
手弱女か類の富も夏の日は汗に消たるおしろいの雪寝待
五一一一一十一
川王栗窓
本とゝきす聞とや畳の起すらん本見風にこゝろ勝れり藤浪
十五一一六三
川越
からたちの垣根を越て北窓に橘鳥の声かをるなり貞盛
八五一一十一
ふみこみし野中の清水つめたきははや足もとに秋や来つらん桜曙園
一一一一一一
小町紅の絞りかすとて蚊やり火のけふりをさそふ風も有けり梅時
六十一五一一
日光松陰舎
帷子のしはものひたる涼しさは老せぬと聞く松の下かけ遊鷹
六十一一五一
川越捨栗庵
一つてなかめし垣のしら雪となまくさくさく見ゆる卯花
五十二一一一一
奥保原一鳳斎
時得ては夕立よりも足はやに少めせとてはしるあきへ八桐
七一一一一七一一一一七一一一一一一一一一一一一一一一一一
たらちねのふかうまつらん門狩にとりて帰れるいなやきかんと伽馬国
一一一一一一一一五一
見てのみや人に語とん賤の女のひねりし奥の蘇生してけり宝馬
恋の部
九七十十五六
紀ノ山橋
手の舞も足の踏ともしらぬうへに胸もをとりて逢夜うれき
八十三七五一
綿糸亭
逢ふ夜半の胸さへをとる嬉しさに枕のちりや立さはくらん綾機
八七十六三
うれしさに泪の出るははらひたる枕の塵の目にやいかけん千尋
七七五七七十
色かはる泪はもみのきれにさへ懸の目やみそつゝみかねたる高盛
八五十八六六
結ふにも力すくなく応やせてうしやあはぬにとくる下紐梅法師
六八五五五十二
竜ヶ崎
いかにうき人を寝てみつ起てみつ六ツになる迄待明す谷や明あ
六七七七七七七七七
福島桜木園
泪面袖やくちなん枕さへあかるひもなき然やみの床文包
八八五五八七
一水戸梅香舎
ほとふれは文のつきめに中たえしねかけのゝ字見るも侘しき珍馬
八十三八五一
福島
恋雲の泪の西はわすれその山よりおこる煩脳のくも六歌国
七八十二十一一
日光順震図
来へきとの宵は心のせはしさにうれし泪も出て手伝ふ華々
八三六七六十
ふたつなき命をかけてくとけともひとつも聞てくれぬつれなさ催馬
八五一八六十
鹿沼春調亭
いろくその呑こみうねし妹か気をつらんと文もみゝつかきして立日良
三一十十三一
至清堂
人の目をつゝめる懸のや其細工口をも耳につけて語ふ捨魚
七一十十八一
ひとしらぬ我通ひ路の園の戸をいつくゝり出てうき名立ん
六五八十七一
ひねるへきちりを払ひて今宵しも手もちふさたに新枕せり春江亭
七五七八七三
待わひてかそふる鐘の外にまた逢は恨の数もいはなん薫
七三六七十二一
つゝみたる恨も胸のひと火灸今さら腹にすえかねてうき
川辺
八七七五六三
船込屋
恋の種まくとき妹をみたやもりみたやと計思ひくらしつ綱人
八五一七五十
恨をは吸ついてなといひよらんきこえ怒耳にたこのゐる迄無闇
六九六十三一一
うき人にあへは泪か先へ出て我に恨の口もきかせす喜蝶
七一五七一五七一五七一五七一五七一五七一五七一五七一
一人にもし漏もやせんと蛸のうちに文子をすかして読る玉章有大尽
六十五一五五三
一尾藤左衛門
身にあまる思ひの丈をのへはやと待夜きてもなかくこそあれ七辻
七十七五五一
文都舎
恋衣仕立てきよせ仲立の身に引かけてくれるうれしさ
八八五一五八
うき合虫の付てやられにけん思ひのたをのことのはもなし順馬
七一九五六七
長生館
文にかく行しも蛇に似てなまころしなる妹かあいさつ
春明
八八五七一六
命をは洗濯すへき廓からものほしらしき玉つさも来つ浮丸
六
六七五八七一
我国亭
胸の火もひるの是も消うせてふたりぬる夜の心すゝしき梅雄
五五五七五七
一人しれず氣になる恋の病には蜆の汁もあるにかゐなし春江亭
七八一五五八
相馬千知園
一おもてには見せぬ心の奥のいん恨の滝のいはてちらして俊信
六八九五五一
一人の口とめて逢夜の嬉しさにおのか云へきことのはもなし桜睦国
五八九五一六
石
一声までもたかひに忍ふみのあふみ寝物語のもれぬやうにと黒唐
七七一五六八
逢ふことはなからの橋のくち〳〵に跡かたなきを云ふらしけり桃亭
七七九五五一
川越和錦亭
恨みつゝかこつ泪の時雨にはまつ毛も赤うそまるはかりそ経衣
六五十七五一
長崎都風舎
一朝夕におもひの魂とつれ立てともに出あるく泪くるしき
六一七十二五三
一常陸帯むすふの神の女夫松ふたつ並ふる枝のまくら木綾重
三十三一、六一
胸の火は次第〳〵にもえそふて消んとそする玉の緒はかり梅緒
六一八十一七
若山一統斎
玉章を火にまてくへて我恋のけふりも見せぬ胸のくるしき駒主
七一十二七五一
逢ふ夜半は燈心ほとの妹か手を枕にしたる園のともし火綱人
三一七一五十五
紀若山
契りつる人をまつちのこねはまたかへにも見んとぬるそわひしき浦見女
七十二六五一一
日光
やる文は雨の晴間にこよかしとかゝはや筆のかさもとりあへす遊鷹
十三一五一一
水鏡亭
月雪とたとへし妹かつれなさに袖は泪の卯花くたし梅景
七七十一五一
阿波六柯園
まてと来ぬ文の返事に恋やせてあはらの骨をよめる計そ猿人
三八一十五三
鹿沼浅春庵
神かけて契ることはのはしなくもあくる侘しき待宵の床安良
六一十一一十一一一一一十一一
掛川松下堂
返されし文のたはねはふとるともにくといふきのつかぬ恋痩音澄
五一一七五十
君かゐほりしかひなの入墨も命なりけり然の中山梅古
七五一十五一
また跡の夢はともあれ逢夜半はかへしともなき衣〳〵の袖往成
六十二一六一
川越一両国
思ひきや今宵も逢はて玉章の君か名にのみそひ寝せんとは王丸
一三七十五一
臂枕して転ひ寝の畳にもふたつゑくほの入しうれしさ仲垣
一九九一一一
旧草庵
下紐の関をゆるさぬ君ゆへにたゝ涙のみ袖を通せり奥住
一十一五六一
一仙府柳髪亭
花娘の縁結ひする白紙はしらぬ応路のしをり也けり唐輪
十一六一一五
文秀舎
思ひ寝に南柯のゆめやむすひけん恋しき人とあり〳〵の
八十一一一一
法路
和合亭
すみた門あふれる泪せきとめよつゝみとなれる君か出性方丸
一三一十二
橋
胸の火をしめしらしへくも只らぬ筆つむしの舌打
一一一一一一
船堀橋仙会
来ぬ人をまつほの浦と題はよめと風のたよりもあらて恋き仲芳
雑の部
八十十五五七
歳代通て松老にけんからさきの岸のひたひによすかさゝ浪梅久
七五九五五十三
万年のよはひを我にかそいろのあつうせゑく亀の尾の灸宝馬
六七五七五十三
自由さは庭の清水に米かしき嵐にたきゝ拾ふ山住麟馬
一同五五六七十二八
恩かへしせよせ烏の子にいんくわかんてふくめる餌さへ何度喜蝶
六七七五十六
都へはたよりなき身に音つるゝ風まてつらくあたる松の戸一栄
六八七八五七
よしの山深くわけ入すむ人の心の奥は花にさりける犬馬
八七六五五十
是はさや春は袋にをさまりて何にもことをかゝめめてたさ六歌円
七八六七五六
不二見酒下戸かのみては胎内をくゝりまはれるやうに思はん梅網
三十一十五十一
仙台小吟亭
着初しを思ふもふかきやれ袴ひたは五ッのをりもなつかし道守
八八九八五一
世のちりをさけて住むとはいひなから目にはひかやうな遠の席華之
五八一五十十
浪かけてよるへき人もせん磯におりゐる男佳や沖津島守麟馬
三五九七六八
一飛鳥山人のかわらけ飛すとき風なけをろす峯の松か枝
六八九五七三
耕のあひにまなはゝ和歌も詩もつくりとり也世々の民くさ耕馬
五五一五五十
百工のてふな初せし番匠はこれ墨壺のいともかしこき
七八七五六五
桃渓園
ゆふてやる子には角髪はやせとも悋気心は出させ女房虎住
八
八五七七八三
文三品余
琴いとのされてさかると見るまてに根なしかつらのまとふ松か枝汐道
カ八十五八一
あれはつる不破の関屋へたんさくの手かた残して越る歌人仲芳
七五五五七七
岡栗庵
一烏の子か手遊もおもひ出ぬから〳〵と鳴様の枕に阿夫美
同五五七七七七七七七七七七七七七七七
目かけと見えたる臼の跡にまたかつら尾といふ鶏のあさり浅綺庵
八八五八六一
一阿波弥太楼
月見よと守か指さす天よりもちをしたふ子そすかしたる
八八八五一五
淡路沼鉾
子に目なき親の玉産は紙をもて皃をつゝみし市松人形漏
八八五一五七
ひけるなら引てくれよと御琴のねを付て買ふ植木やの松綱人
五十五一六七
俤のかはらで幾代住吉のうらやましきは岸のひめ松梅久
八五七一六七
驢馬園
いつの頃建し石にも苦むしてひのめも見えぬ北の山かけ盛砂
八十五八一一
すり流す墨のかをりも高嶋の硯へしたむ菊の水入捨魚
八十七一五一
新宅はまさい〳〵とことふきて畳かそへつ柱かそへつ浅春庵
八七一五十一
福嶋林花園
武士の手なれの弓もつるくちて蜘の糸はる御代そめ近き秋好
五五一一五十五
仙タイ有漏堂
菅菰は三ふかなゝふかしら石の紙布はひとへになつかしの衣無漏住
一一五十六七
煮はなつく土瓶の口のわろきよりはやくも尻へまはる夜咄し華々
六十一七五一
一画工みのうづくしよしとかきもせてひはにねをなく蝉のから人文々舎
五五十七一一
買ふ人に僧はいまねと青土佐の染紙はへる伊勢三度笠米守
六八十一一一
いて舟に風まつをりやもそこしへ詞の花をちらす仲丸千柳亭
五十一五五一
鶴亀の池のあやめは君か代の長き例をひくにこそあれ方丸
七一一十五一一
麻糸の乱たる代を直せとやしらかなからに母のうみけん文々舎
六五一一一一一一一一一一一一一
富士と藤こと言ふなまれは雲の上の位もかはる白とむらさき梅古
五一一〇一一
人の気も直くて天の落しものひろはて山とむれる香久山不書亭
十三一七一一
文明舎
ふたつある国のさかひ其角田川黒く流るゝ大江戸の絵図春丸
十五
當坐顔見世苑囿亭撰
手をうつもみやまおろしや顔見世にかさしの菊の匂ふ垣代宝馬
塩竈をうつす只みせ浄るうの声もとほるの大書柱鈍々亭
おなしこゝろを
不二のことゆるき出たかしはらくの声もとゝろく人の山彦麟馬
○
おひといてあはせて給へころもてのひたちの神の神のことはかり堂六樹園
はきよせてみとり色こき滝ちらぬ木の葉の杜の下道臥竜園
君とたゝへ友と愛つゝすくなるをまねひの窓の竹の一むら文々舎
きく期なき薬は何にせんしやう常のことく成らぬ然やみ不尽亭
筏士のくたす丸太は真直にて水にふしある瀬々の岩浪鈍々亭
暑さをは凌ん風も夏の日やすゝめに動く庭の竹の東談洲楼
今の世のならはしに狂類のおとり勝りうにすよひの
香附といふものになそらへて左り右りにわかつとも
なく巻との狂歌を二人三人の先達して撰はす
えらふにはた数の爪しるし候つ是子合せて殊に
勝れたるを最手うらてと与ひかつけ物おくり
かつ次第を定めて桜木にものすなりけり判者は
行司にたくへたりこゝに阿夫美類道とて兄弟の
風流土ありてたひ此事を催したてゝ花染の
衣字白かさねにかへ春におくれたるさくらを巻
菖蒲の酒に酔しれ郭今に寐ぬ夜をかこち
府
涼しき月に明日の昼寝の種をかもし夏草の茂みに
行へき道をうしなひ氷室山の日かけをしたむ夕
立に暑をわすれ岩もる清水むすにより夏はつ
る御祓まてすへて十くさの狂哥なり東西より集る事
百千にあまる文至盛りにして静けき御代の
ためしならしかし片田舎にうつもれたる落粟もさかし
出されて大江戸に名たゝる大人等ともに墨引するもさち
とやいはん恥かはしとやいはむいはてやむべき事にしあ
神ともとめにおふして三よしのゝ里なる二世の
落栗菴高濤しるす
秋雨亭
十十二八
また酒にひた御ぬうちに
あやめ草根にほんのりと
酔や見すらん
笠人
落栗菴画
行春に
一十三十三
殿へ
はくれて
夏へ
残せしは
隅田の
わたりの
花の迷ひ子
宝市亭
舛成
八十三八
はしゐして
思はす横に
ならうちわ
あふけは涼し
夏の夜の月
川越
崕栗菴
朝起
武田中
七八十二
そこらまてついて
来りし星もや
清水の音に
和船亭
玉留
逃かへりけん
一十七十
あつき日と
人の告野に
しりて
しりて
夏
しらぬ
氷を
まをり
ける
かれ
川越
狭山人
十五八六
麻の葉の
片手には
身を
なてし子の
草人形も
とりて
流さん
奥一ノ関
黄鳥亭
声音
ちらぬうちはやく仕立て
花の香を夏の衣に
とめて置なん
和国亭歌道
馬歌道
松月画
落栗庵画
十二五十一
いかつちは
鳴戸の
方に聞へて
雲のうつ
まく
夕立の
空
川越
岡栗庵
阿夫美
更衣
四方
落栗鈍々
十五
五三七
一春の衣けふ脱すてゝ花の香をもたぬ袂そ身かるなりける和国亭歌道
ぬきかへて春の袂をふるふときみれんの出る袖の花ひら霞仙亭桃人
奥信夫
八五
いふよりは涼しき風をまつしまやをしまの袷海士もきかふる藍臼舎苅安
武錦入
七七八
若かゆれは国の匂ひもぬけ巻のすゝしくなりぬ坪の羽衣栗友菴行成
一十五五
たりには袷きかへて右の手に春のかたみの袖をらしみつ歌道
十二一八
一花の香に別れし故か今朝はちと心さむしやたゝ一重ては神田居真鳥
一八十二
今朝夏の仕立おろしを着かふれはゆきをくらふる卯の節秋雨亭笠人
七八六
いふといへは袷きそろの旅衣うすゐ体や身もかるい沢月花永女
脱かふる袂は花の酔さめに水色このむ夏のころも手至清堂捨魚
川越
冨士さへも霞のころも脱かへてそ朝よりかはる白き手せり
さなきたにおもき衣はぬきかへてつまは重ねぬひらへ涼しき唐縫舎糸光
十一八
夏良きかぶるけふはうら表冨士の御嶽も雪の綿ぬく生花斎真名井
脱かふら袷にも又うつるゝ音の袂にいれん花見手ぬひ鈍か亭
余花
雪ほとは残らぬ花のほさくら毛虫に袖をはらふ夏山宝市亭舛成
奥山は人気につれて我侭に夏をさかりと咲達さくら歌道
ほころひしきのふの花の袂から落りこほれ程残りてそ咲舛成
十五六
みとり子の指さす枝に二りみつ布愛らしも花そ残れる春林舎梅武
夏かけてはつかにさけし桜花のこり多しと誰か見さらん日雌栗菴朝起
そよと吹風もよせしと爰山に青葉とりまく迂さくら花西山楼下住
十五五
武山
する天夏をむねとの兵のちりのこわたる花の殿水亭行也
七五七
武安戸
袷着るけふのしたゝの遅桜はな紙ほとに谷のふところ並松村雨
一七十
さくら花友へはつれてなま弓のはるにかへるとうたかはれ咲捨魚
一十六
卯の花の雪には少しかたよりて朝厂にはならぬ花の白雲和唐亭砂守
川越
うの国の雪はかたへにかき染て残るさくしの雪をみる哉
一五十
青葉して海の色なす山かけにのこる桜は波の花かも富桐亭貞人
ト三一
弥生より卯月へかゝる藤なして日数さかりて咲速さて酒道好鹿
菖蒲
一八十一
あやめ酒のみたらぬゆへ跡ひきてあひらしたくの風呂盛けり歌道
水くるまかけし汁のあやめ草手にきしらせてつもこすれ堪忍舎二字寺
九ツのふしあしあやめ尋ねてん人の深沼やたれも小沼に不尽年貞俊
八八八
奥福島
引ぬきし太刀つくり江の菖蒲草百病の根もされるなかへし身通立子
きのふより酒にひたりて酔ぬらん赤きねかほの匂ふあやめは歌道
一十三八
時にふくあやめとりつゝか茂の矢の形つくりてかさすて女等楽聖麗光丸
川越
一菖蒲くさ露を薬ときくよりもさきはらせて軒にふくなり
七七七
曳て来し沼のあやめに泥まふれ軒よりは先足やふらん晦々亭催馬
七八六
夏の夜のまくらにむまふあやめ草誰も思すながねをやせん醉田上燗
十三七
けふはまたあやめを家根に葺んとて軒端へ人の参りたつ哉栗枝菴樽弘
一人なみに深みの音蒲ひかんとて手をしく出すさるすの池梅武
武越生
朝まさき新のあやりの葉末には万金丹と見ゆるしら露鹿杖楼一ツ法師
一七十
風の手にて朝丸めたる薬かり匂ふあやめにつたふ玉水和孝亭早道
一七十
栄ふる節句は病のねをきりて菖蒲をひたす酒も楽しき砂守
一九八
大原女か午の重荷にに付してけふは都くひたあやめ草浅路菴花満
一三十三
しのゝめのあやめわかたぬとしろからては真菰そと袖を引たゝ桃人
川越
朝は猶ねむたきすのあやめ草誰によとのに緒なからそひく
十五
同
水の中へいりて音蒲を引ときは敵より外に手伝人なし
一五十
恨ことひけとつきぬあやめのためしをは広き世界の情にみる哉雪堂花桂
時鳥
事に生ふるまつともしらす鳴すてゝと所へいなその山ほとます
ひと声は夢一本は耳もとの蚊に邪魔されし初ほとた事催馬
十七七
時鳥なくねをえんのはし近に走り出られし其の上人桃人
七七十
ほとゝきすせめて姿を三日月のかすかひうちて空に留たし栄錦舎小萩
七十七
郭公啼つる方に何もなく残るは耳の底のひら耳
一七十五
ほとゝきす我はきゝつといち早き人の初けそ先またれぬる緑園真由躬
十五七
武竹沢
聞ことはかたきものとて時鳥岩倉あたり尋ねわひけり出原盛菴広丸
栗盛菴広丸
十六
鳴すともせめて影させほとゝきす月にうはさの有明のそら
全
七九十
耳よりも目にはいりしか時鳥声のみありて影はなかりき和順亭国住
一十三八
一声に空見上れはほとゝきす飛行ものは星にそ有ける
珍々亭糸成
十五七
川越
村雲の袖のあたりの時鳥たみかにねて聞そうれしき
岡栗菴阿夫美
五
川越
八そくともとてよしはしかほとくさすきの程夜の今の一声
時鳥待高ひれて眠るころこかるゝ魂や空にとぶらん便波亭浜網
一十二八
ほときす来ぬ夜あまたのたてひきにきかぬ気て待村なの空
九五
村真の袖にもとめて置よかし橘鳥の紅しの匂ひを三献亭貞盛
一十二七
郭公なかずみなかす鳴すともなかぬ答の一声もかな
一十三六
同
一仰向は雫なかれて朝手水耳へのこれる初ほとゝきす日拾栗菴月義
十五五
汝か親にめくりあふてや村雲の袖にすかりてなくほとゝきす。榊絮園片頼
七八五
声きゝて窓をのそけは蜘の巣を耳へかけたと鳴ほとゝきす和木亭仲芳
七八五
ふりむけは鞍馬の竹のふしの間にはすにされ行山時鳥浅洲菴歌宿
一十三五
上毛大ゝ、
半分は曽て聞たり小夜衣かへしてきなけやよほときす琥珀玉人
窓に顔月にさらせはほとゝきす鳴て行衛はしら川の関藤浪
一十二六
よきほとにこたはかわりて一声をふたつにきかす山ほとゝきす錦糸亭織方
一五十三
大原女の黒木めせとは何事そ幼ほとゝさす尋ねありくに挑人
一十七
時鳥声たつるとき山の端に月も恥てやかほ横にせり
一七十
奥信夫
ほときす待夜は雲も横のものたてとをしにて一声そきく
苅安
一十二五
武松山
念す手を思はすうては延生の釈迦も指さすよつほらさす篠元節
篠元節
一七十
川越
かしきもふしみの里の時鳥雲へそくしに這入一耳
七十一
同
汝か親の跡をしたふか卯の花の雪解する頃なる時鳥
一十五一
汝か親もさそ悦はん時鳥よい耳はかり人にきかせて黄金亭多丸
一十六
意なして侍夜まくらにつもる也こやちりひちの山ほとゝきす
子規谷間へおとす一声を手たるやうに聞える山路団住
川越
迷ひ子になして越へゆけ野崎山海道をきら〳〵鳴時高風栗菴花人
一十五
同
目に青葉初鰹ゑなき里にまて一ふしきく山ほとき一丁目草花園ソ蝶
十五
はや鳴てこしの九兵衛や都には年のあかとり侍ほときす米
一十五
つきあたる其儘言もうはの空一声かけて行ほとゝき水糸成
一十三一
おくれ咲花をけぬけて初音をはよし野に致す山時鳥堅人
一十二一
ひと声にふとかけ出すらは草履我もちをはく初ほとゝきす。修竹園桑雀
三十
ほとゝます聞んと夜さらねむい目もはつさりとして通り一声千宮毎磐
一十一
どのゐたり声かけられて見る空も星のくらろになく時鳥鈍々亭
一十一
ほとゝますきかまほしさに寝むらしと茶をのみて待宇治の里人歌道
夏月
十二七六
月影を手桶にくみて庭の面うては蛍々ちれる涼しき
夕立ははれて君となる傘にさしくへてよき夏の夜の月
十五八一
すゝむとて寝ぬ夜の目に樽ひとつまた宵なから明にける哉連筆啓上
一十三十
涼しさよ顔さふく手に汗たりて思はぬ袖に宿る月かけ田
ともし火はひまを遠戸も明置て月を待とる夏の夕暮里
十八五
真清水と共にそはからわき出るかくめとも影の壱ぬ夕月花
八七七
夏のよの月人男あかきのは昼のあつさの日にやけしかも催
更なりといひにし月を水売の薬椀の中にうつす涼しき同藤
一十八
武引俣
頭膝になりて愛られは夏の夜も月に星の和らきにけり武蔵野広人
武蔵野広人
湯あみせしたらひの水に影そふて明のこりたる夏のよの月片頼
一十六
水もてる夜中の月に裾わけの昼の氷も思ひ出しれつ樽弘
十二七一
鹿いられぬ夜半のあつさに出てみれは月も秩父のねいらて次か八幡君竹
真清水とともにそはから酒出るかむまへと顔のうせぬ自米守
七五八
酒もりはまた中空の月なるにいつしか樽もあくか夏の夜春湖亭梅久
同
横雲はふたへまはりの夏帯かみしかく廻る月のかねさし同新奥亭船盛
一八十
団扇とて軒の跡はしら払ふ手にさすは嬉しき夏のよの月同素雀
七五八
よれは辷り〳〵てむらそのあしもとまらぬ月影の宿挑人
七五七
うち水に辷りならにふむ影は霜解かそも夏の夜の月文明亭玉盛
一十二五
同
ねは猶うこかぬみすよ夏の夜もよくにをてる也石山の月有明菴稲村
きす朝も涼しき月の水車めくるに呼る夏の淀川笠人
一十七
川越
日のくれぬうちに蚊遣雲蚊帳出して夜中八月につられ出て発行
十三六
舟橋
涼風うこく蛍のかけは水座敷へ流す夏の夜の月
七十一
川越
うちこととつ其斤。袖に思はすもはらふや夢の月のしらき笹栗菴高撲
笹栗庵高積
一十六
朝貌のしほめるさまよ横雲の紫かゝる夏のよの月柿斎千万多
一五十
舟ハシ
夏のよの月の都もひやゝかは誰かさとくる出置ならん丈門橋麻呂喜
一十五
川越
すゝしやといふにもなつの雨あかりぬからぬ顔の月そ出ぬる花人
一十一
同
戸障子も昼のまゝにてすむ月にふすまたになき短夜の月樽弘
夏草
十七十二
かきりなき米の波間は唐大和ひとつゝきなる撫子の花捨魚
一八十六
川越
氏蔵野の広きにほこる夏草は分行人の髭やなつらん阿夫美
一十五八
雪と見し垣のうの国とゝ敷く又よむ窓をふさく夏草片頼
九九五
上毛大マ
なしといふ国の海なす草の波大和撰子しゝつけの花玉人
十五七
武田中
撫子の処乃おもりやねかすらん蚊帳つり草に床夏のはな和舩亭玉留
七八六
苅ははへ〳〵してかる人の手もとゝかさる故草のたけ米守
七六八
川越
鞍馬山石の外にも行人の背くらへやせん夏草のたけ要順亭為戒
同
恥かしや萍の宿の夏くさはかりにも人の見へぬしるしか稲村
氏秋山
一八十
逃水を追まはれとも夏草の中にこもりてしれぬむさしの一草亭古道
花貴を日にかたふけて夏草のひあふきかさす野辺の姫百合織方
一七丁
南黄なすかやつり草に風そよく蝶やねよその床夏の花思案在貫
多賀城のあき野にしけき夏草はかはら撫子壺の姫百合歌宿
一十六
上毛大マヽ
遠目には筑波のたけにおとらしな夏野の草の葉山茂山
一十五
むさしめをたつね歩行と堀並の為所しれぬ夏草のたけ
氷室
十五一十
涼しさの木の下闇の氷室山夏にあふてもしらて過行蘆菴一馬
一八十五
あつき日に去ねの寒さのかたまりを打くたきつゝ出すお宝き砂守
十三五六
北山も命かけにてもる氷空せんけふ迄はからす崩さす梅久
十八五
大君のかけにてとけぬ夏氷堅く守れらおちも悦へ其風亭枝成
七八六
すこしれと貰ふ氷むろの心さし水にせぬ間と配るせはしき在貢
大君へさゝけぬ前の妙空には風の手をたに付させぬなり歌道
とかさしとさゝくる迄は妙宝寺氷りの上をふむ心地せり舛成
一七十
妙宝寺翁は髪の雲上も捨つけてのみとかさゝりけり真名井
七五六
かきよせしまゝにおとろのみたれ髪とかしたにせす小室守らし貞俊
奥一ノ関
氷室おほふ葉は檜か秘かとなしられて日もあてしと口へらぬ犬翁黄鳥亭声青
ときは木に落しけりあふ氷室山あたりに夏の居所もなし歌道
夕立
川越
一九十
一雷の落て一木をこいふたつにさきの村へはふらぬ戸立稲村
十八八
夕立にぬれて扇のほねと紙はなれ〳〵となりし道つれ玉
十八七
雨はれて西日に顔をあはせるも気の毒なほとぬれし夕立一
舟橋
十三五六
名にもいす雨降山は日のてりて日向の里にかゝる夕立歌宿
須磨のからしはし木蔭をかりきぬや松にかゝれる夕立の両琴松舎綾繁
一十二十
ふりやみて残る入日にかさすとは二度のはれするか豆のかさ
十八五
雷のましなひきして鎌なりの月のみ残るゆふたちの跡
一九十三
夕立のはれて使の涼しさは暑も其所にふり落しけん万代舎狂今吹
うちたへてぬらす日傘の立る紙は雲のはなるゝ夕立の空舛成
がら瓦の馬のせ田行夕立のかたらはわけて西日さしけり芬々舘梅風
来し時はくゝにもとかぬ山川のかへさに瀬なすとその夕立。笑更菴坂月
七八八
干梅をとり入るし間もころ〳〵と一粒ゑりのゆふたちの雨呑吉
一十五六
鳴神につりたるかやの片すみをはつせしやうにはるゝ夕立啓上
一八十三
にえかへるやうにさはきて茶見世にも人のこほたし夕道の空米守
たちまちに空をも墨に染草のしぶきかゝりし夕立の雨砂守
九八五
くらま山此一ふりは木太刀かもしのきはもなきゆふたちの雨波松亭浦風
一十三七
川越
笠とりの名は有なから夕立の雲かふりたる山もとのさとり
一七十三
袖笠に寺子の着たる路衣よと春に染こむ夕色の空
いそらぬは文珠のきゝゑか待うちに其のきれとのみゆる夕たち
七七七七七七七七
一傘の迷ひはてうと間にあへと行ちかひたるゆふたちの雲
七九五
虫まても蚊帳つり草に逃こみぬるあしはやき野辺の夕立南華軒蝶
一九十
かさかりに尋る家は仏となりてしらぬ新端にはるゝ夕たち貞人
七八五
よつしかや隅田川原の夕立は瀬をふりわけし駒形の方在貫
日にそりし軒の屋根板はた〳〵とうち付てふる夕立の雨踊振吉
みたゝねの鹿耳に水や夕立の雨に流せし夢の浮橋真由躬
一八十
夕立を凌く木蔭に諸人のはなしもいつかやみて出て行
下住
一十八
いかつちの一所おちて三角な坂やへ逃し込宿のゆふたち竹窓亭和則
竹窓亭和則
一十八
涼しさのわたりて来しか夕立のはるみ空に虹のかけはし
素雀
十八一
ひとふりの刀ほとなる光りとて只つかの間にはるゝ夕立啓上
十二一五
夕たちの物さはかしく行跡ば火の消しやうに涼しかりけり真名井
一三十三
いかつちのなりひゝけるは雲の峯うち崩す音か夕立の雨捨魚
一十六
いそかしく雷干をとり入てよそになり行夕立のくも和心亭実琴
十二三一
武坂戸
是など逃るやうなる夕立の尻から光りはなつ稲つま陸斉群人
一八十
鳴神も昼のあつさに出かねつゝれくなりしといき夕立福禄亭寿
一五十
すゝしきは雲ちかつきし夕立にあつさや遠く鳴神の音糸成
一十五
団子うる宇津の山辺も一しきりとをさして置夕立の宿隣栗菴浪頼
一十二一
同
鳴神に折られし杉の時間より雫に月の落る松かめ同義
泉
十九七
岩角につく手廻りてこけ清水おもはぬ袖に結ふ涼しさ糸成
同八九八
谷間のしみつすゝしく梢から暑をさるの影もうつれり松庭守
七九八
手にむすふ野中の清水涼しくて元の暑の心わすれつ米守
一五七
尋ね来てくめる清水の咽もとを過ぬうちから暑さ忘るゝ行
七十六
こしみつは帯と見へけり苦衣着たるいはほの腰をめくりて坂月
十十六
おのか羽を真帆になしつゝ蝶々の笹の舟の舟のる泉涼しも便浦亭高波
宮木ひく杣はわりこに紐つけて結ひ下たる清水すしき
蟹の住岩間の水をむすはんと横に下たる谷の細道
一十五五
づめたさをいかにととへは挨拶は胸にしみつの答へかねぬる同稲
一十二八
結んと清水尋ねてゆくは誰ぬれ足跡や道しるへす残田中
涼しさと立よる人もいはしろや松の木蔭に清水むすひて
一十七
むすぶ手をさし出す松の下清水いゝぬこふしも漁て涼しき舛成
一十六
尋ねづゝ分入野路にしけりあふて草も結へる清水涼しき
一十六
月かけを茶わんにとめて真しみつも結ひ上たる宵の釣殿桃人
一三十二
いとゝさへ松の木蔭は涼しきに身にもしみつをそふる夕風花山
御祓
奥一ノ関
さはへなす神をはらへは麻の葉に蝿より草も取交てまし黄島中戸春
川越
御祓して涼しきれをあすか川ふちもひと日はあさの葉となる
七七六
武引俣
仙人の洞とちの輪を讃りきて延る千年の秋桃のつと武士
一九八
みそき川袖も涼しく初秋へくゝもちのわは風のぬり道舞楽楼ともゑ
一五十
御祓して夏と秋とを川端にはさみ細工も流すかたしろ霍成
一五十
夏はらひしてさゝかにの網もなし芽の輪を綴る風のすゝしき歌道
十五〇
意せしと御祓をすれを背を撫ら妹かみ月来ては迷はん鈍々亭
○
刀はまた十三なく門方の衣とおひかせくらもあとにさかれり四方歌垣
○
川越
夏草の深さに影も見えすなりて名には相違の浅香山の井落栗菴
○
むはふ手に暑さはわきへこほれ草の松のかけうく清水涼しき鈍々亭
当坐
富曲山舞楽楼大人判
忘
十五点
うれしさのあまりて今宵新枕かはすも夢の心地こそすれ
とりかはすふみは人目を封しても包みきゝれぬ浮名はつかし鶴成
川越
すかりつゝかこつ泪の玉ちりてとはしりかゝる仲たちの袖花人
思ひ川あはぬ昔かまし水にかはく瀬のなき我なみた川
かくみを人にみせしと引篭り二世のやまひを作るくるしさ
便浦亭
一今迄のもめし心やみからを枕にのへて逢ふ夜うれしき高波
うつり香をとめても袖にかひなしや詞計を残す別路舛成
泪にて袖はあらへと今更によこれてし名を何にそゝかん
恋衣仕立るときは未長く思ひをうちに縫上もしつ歌道
川越
帰さしと引とゝむれはつれなくもはや帯しめる峯の横雲
あふ夜半に紅絹のふとんは敷かへんひをみるうし明日の花〳〵ともゑ
同司有明庵大人判
一
あふとみし夢をは横にくはせれと覚てもをかむひとりねの床米守
書送る心の花をみもやらて返すもつらき雁皮紙のふみ織方
一爰にたに見へよとは何思ひけんさむれはつらきひとり拵の床糸成
ひとりぬる夜は明烏さのみやはにくまぬ身こそ猶思ひやれ浜綱
一両袖をしほる泪のぬれ衣に立足おもき閨のわかれち綾繁
はつかしと思ひし所も虫喰て外へうつろといふきたになし自身楽菴虎丸
泪雨にふみも書れすうつむけは硯を海とするそくるしき南人
から問し三ツの柏のそれなして立事いとふ恋の仇し名
まとりつゝかこつ泪の玉ちりてこはしりかゝる仲立のそて
○
しのふ夜はせきもはしへてゐるものをはからぬ朝の告んとすらん
同
名所旅和国亭主人判
十五ヽ
一旅日記の矢立の墨も逃水の名所尋らむさしの東和則
こととあらの小蔵折敷旅つかれ草鞋くひも紫の色砂守
ぬれましと飛のく波のあはち嶋千鳥に通ふ須ケの浦道米守
みよし野の田面の底につなかりてや客を仰く歌の初旅歌道
同
山家松岡栗庵主人判
十五日
一色かへぬ松のみ愛て花の春もみちの程もしらぬ山住米守
帰さしと引とゝむれはつれなくもはや帯しめる峯の横共織安
あふ夜半に紅絹のふとんは敷かへんひをみるうし明日の花〳〵ともゑ
同司司有明庵大人判
一
あふとみし夢をは横にくはせれと覚てもをむひとりねの床米栄
書送る心の花をみもやらて返すもつらき雁皮紙のふみ織方
一爰にたに見へよとは何思ひけんさむれはつゝなひとり拵の床糸氏
ひとりぬる夜は明烏さのみやはにくまぬ身こそ猶思ひやれ浜綱
両袖をしほる泪のぬれ衣に立足おもき閨のわかれち綾繁
はつかしと思ひし所も虫喰て外へうつろといふきたになし自多楽菴亮丸
泪雨にふみも書れすうつむけは硯を海とするそくるしき南人
から問し三ツの柏のそれなして立事いとふ恋の仇し名
すとりつゝかこつ泪の玉ちりてこはしりかゝる仲立のそて
○
しのふ夜はせきもこらへてあるものをはからぬ朝の告んとすらん田稲村
同
名所旅和国亭主人判
十五ヽ
一旅日記の矢立の墨も逃水の名所尋らむさしの東和則
十三、
一ことあらの小蔵折敷旅つかれ草鞋くひも紫の色砂守
ぬれましと飛のく波のあはち嶋千鳥に通ふ須摩の浦道米守
みよし野の田面の尼につなかりてや前を仰く歌の初旅歌道
同
山家松岡栗菴主人判
十五日
一色よへぬ松のみ愛て花の春もみちの種もしらぬ山住米守
一言の葉の曲はなりにもすみぬらん浮世にすぬし松の下常桃人
露しくれもりなはことれよ山住は新端の松を笠にきてゐる花人
岩はしる谷の清水の飛散てふしぬ時雨をはこふ松かえ綾蝶
いそかしき世のことしらぬ山住居手の廻らさる松に隣りて
諸ともに歌合の判しけるつい伝
落栗庵のもとによみて贈ける
狂歌堂
さ例重たの道も明るき卯もを
高崎とみし河越の里
十二ヽ
初春鈍々亭撰
初霞色のうすきはまたふかく春にこゝろのそまぬなるべし
すわりよく動かぬ御代のかゝみもちかびのこけむす春のめてたき
福邉庵
和国亭
鶴成
歌道
ふりかゝる去年の白雲つきいれし餅もあられにきさむ初春
壁堂
耳在
手土産に妹はつゝみてやり羽子をつきのはしめやいはふ年礼
舞楽楼
ともゑ
千早振神代の春や伊勢海老のひげもにほんのかさりしめ縄
八百斎
菊人
奥信夫藍臼舎
一春立て来し跡なるか霞ひくひとすち道の雪の村きえ
笛安
日のひかる山は笑ふてきのえねをまつるや春のはしり大黒
屠蘇酒に酔て礼者もあし引の山の手にたつはつ霞かな
楽聖庵
光丸
便勢堂
待阿彌
〽桟か音に鶯の声とりそへて来る初春の是も賜もの
和春亭
花頼
か
言の葉の曲りなりにもすみぬらんつ世にすぬし松の下常桃人
露しくれもりなはくれよ山住は新端の松を笠にきてゐる花人
岩はしる谷の清水の飛散てふしぬ時雨をはこふ松かえ綾蝶
いそかしき世のことしらぬ山住居手の廻らさる松に隣りて
諸ともに歌言の判しけるつい伝
落栗庵のもとによみて贈ける
狂歌堂
さ例主たの道も明るき卯もを
高崎とみし河越の里
初春鈍々亭撰
初霞色のうすきはまたふかく春にこゝろのそまぬなるべし
すわりよく動かぬ御代のかゝみもちかびのこけむす春のめてたさ
福邉庵
和国亭
鶴成
一口国鶴成
歌道
歌道
ふりかゝる去年の白雲つきいれし餅もあられにきさむ初春
壁堂
耳在
手土産に妹はつゝみてやり駕をつきのはしめやいはふ年礼
舞楽楼
ともゑ
千早振神代の春や伊勢海老のひげもにほんのかさりしめ縄
八百斎
菊人
一春立て来し跡なるか霞ひくひとすち道の雪の村きえ
奥信夫藍臼舎
弥安
日のひかる山は笑ふてきのえねをまつるや春のはしり大黒
屠蘇酒に酔て礼者もあし引の山の手にたつはつ霞かな
楽聖庵
光丸
便勢堂
待阿彌
一桟う音に鴬の声とりそへて来る初春の是も賜もの
和春亭
花頼
か
□□□□□
八、
一聲は去年の名残りに羽たきて春そと人につくる初鶴
ふるびたる去ねを露にそめかへて色あけもよく春は来にけり
苑囿亭
麟馬
上々舘
呑吉
春の来てけふみかの原いつみ川通へる水は去ねの雪とけ
一昼夜酒に春祝ふとき初日さす空もたん〳〵あかうなりけり
去年の帳みなしめ縄に初日影さしひきのこる千金の春
仝
琴樹園
二喜
諫鼓堂
尾佐丸
西山楼
宝船しきてたのしく寝かへれはかちとるやうな木枕のおと
下住
泉州廿カイ車堂
一居なからに物か香遠くおくり来て動かぬ御代の春をしらする
神楽獅子また来ぬさきににきはしくはやし立たる門の松竹
睡虎
錦糸亭
織方
磯
今朝はまた桶も霞の立板に若水流す春は来けり
よしの山みねに霞のかけ橋は春やわたりししるしなからん
青則
琴松舎
綾重
牡丹樓
入船の魚はかりかは日本橋あたらしきたこのあかる初春
根分
和唐亭
若水の手桶の文字の亀にまて尾のみえしかと見るしめけり
かさり
信夫
砂守
あきの方とし徳若や万歳の柱こよみもはるはきにけり
藍臼舎
霞
十二ヽ
分別庵
有馬山人形筆にまきかゝる霞の糸もむらさきのいろ
玉道
すみれさへこゝは霞の染からをつみならへしと見るむらさき野
年徳のあきや霞もたつた山そみちの木すゑそむるむらさき
初夢はさめても不二の願けしきまだ目のさきに霞かゝおり
砂守
望月
広方
宝市亭
升成
鶴も空舞ふてのとけき春霞人のよはひや引のはすらむ
呑吉
ゆつたりと見えし霞の衣はまた裾廻しにもたらぬ不二の根
も
上
□□□□□□□
哥仙樓
十ヽ
道秀
わたと見し盃も霞の糸くるま引出すまゝになくす山のは
在江戸八幡
若竹
花はみな霞のきぬにつゝみても匂ひは外へこほす梅か枝
軒端
月盛
あまをふね初瀬の山は春霞ほのくらきより網そひきぬる
曠々亭
むさし野の草はもやうのかたなしてそむる霞の袖のむらさき
広住
生花斎
いとけなく山の腰にも縫揚のやうにたゝまるはつ霞かな
真名井
海士の着しふるきぬとけよ新らしく霞にかへすうらの初空
升成
寄居山水楼
清喜
小はた山霞の色をひいてゆく馬士にも衣磐けしきとけり
上毛高崎豊後楼
梅芳
野辺にさく梅も霞のまかきよや花の香おほふむらさきのかゆ
同
まだすこし仕立残るやさほ姫の霞の衣にあそふ糸見ゆ
烏子亭
笠の山きたる霞の衣にはきのふの雨のしみもなかりき
笠の山きたる霞の衣にはきのふの雨のしみもなかりき歌道
仙人にまつ聞はやな八重霞その出所ののみこめぬのを
砂守
至清堂
さか鉾のしつくのなれるあわち島かゝる霞や天のうきはし
捨魚
花橘亭
さほ姫のけはひ道具やのするらん霞も今朝は横にたなひく
香鳥
出しいれのしけき霞の袖口を早蕨の手にすりきらすなよ
出しいれのしけき霞の袖口を早蕨の手にすりきらすなよ歌道
歌道
和木亭
錦ともめてたき御代の初霞これより花や織出すらん
仲好
冨喜窓
筑波山染る上着の惣ちらしかのこのもにや霞引らむ
花丸
熊谷清明軒
一二子山今朝立わけてさほ姫の霞の衣のうふき着するか
裏吉
冨相亭
若みとり木々の霞の染むらも柳しほりと見えて美し
龍潜窟
貞人
西除のおりてもみこや不二筑波つゝむ霞の衣の大幅
未分
万物のはしめの春となりてけさひくやかすみの一字千金
歌道
も
十一
□□
一上毛高崎泉源楼
寿女
褒弓をかさりて祝ふ御代の春まつ引ものは露ひとすち寿女
破魔弓をかさりて祝ふ御代の春まつ引ものは露ひとすち
鶯
そくひすの声にこゝろのうかれゐて客の案内もきかぬ梅守
杢目庵
如鱗
捨魚
風さそふ梅の匂ひをうく比すはおひかけかほに枝つたふなり
唐縫舎
鶯のふくらすほうのあそこらに声の玉をやふくむなるらん
糸光
鴫のや
朝毎にたつ菜市より鴬のねの安うりはあはて帰るか
をさな子もめつるや春のあめ細工玉を吹出すうく比すの声
浮洲
三度庵
栗に法師
升成
鶯の初音は垣をうちこえてそとへはり出候梅かかけ茶や
川越三献亭
あれはてし不破の関屋におのかねの月日をもらす軒の鶯
鶯貞盛
川越草花園
すゝ竹にとりのこされし薮を出て古こゑ払ふ軒の字く比す
ソ蝶
梅か香の遠く遊へは淋しけによひかけて鳴枝のうく比す
鶴成
梅か香にくさめの出るは聞たらぬよそにうはさのうくひすの声
香鳥
さく梅のきちんとまりやよみ歌の三十一文字をのこすうくひす
さく梅のきちんとまりやよみ歌の三十一文字をのとすうくひす
鶯のかたちは藪にかくし藝飼鳥によく庭のこはいろ
尾佐丸
朝またき聞ねこたろのよきにかへて目さとくなりし庭の鴬
水もくみ菜もつみて飼ふ鶯を手もぬらさすにきく隣かな
をと女等かさかすかるたは見えすとも飛すな庭の鴬の歌
綾重
西来居
未佛
一朱佛
北斗庵
折主
南亭
聞なから酒過せとや三度まててうしをかへるうく比すの旨
葉〻廣
こゑ
浅崎庵
折〳〵は王母か様にやとりきて唐人笠もぬへようくきす
花満
川越岡栗庵
〽梅かえのをり合もありいく度か来てよみなほす鴬のうた
阿夫美
4
四
十五束
宝市亭升成
梅を折類くせもの
なるか字くなすの
ねいきうかよふ
たはれ歌人
十五両
川越
飼鳥のないて
三献亭貞盛
〽告れと暁を
しらぬ寝かほや春雨の宿
丸竹
同
よりも風の柳にまねかれてへんじのやうにきなく鶯
梅よりも風の柳にまねかれてへんじのやうにきなく鴬
さら梅の下露なめて鶯の玉ふくむ音を聞すなるへし
松桂園
門前の小僧もめてん山寺に習はぬ経をよめるうく比す
曽立
仝
あさ露の玉をふくみてさく梅の枝をころかす鴬のこゑ
雨香庵
時飼せしおんかへしとや鳴音にて人をやしなふ鴬のはし
如橘
踊
鶯のほゝうといへは東風吹て片よる柳にくる梅か香
振吉
やとらせし梅か香よりも中〳〵にきゝところある鶯の声
人かけを見れは飛たつ鶯のほうかふりして梅の木かくれ
たにさくを梅につけんとよりそひておのかつらるゝ鴬の歌
とことなくころかす玉はさひのなき春をゆり出すうくひすあ
歌道
和心亭
禾岱
山本
里住
文明亭
玉盛
鶴
鴬は梅ふきちらす春風に驚たちて初音のこせり
縫かけし梅の花笠月のかさ丸う大きなうく比すのこゑ
綾重
鴬の初音をきいて隣からこなたへにほふ軒の梅か香
福禄亭
寿
上毛高崎冨記亭
うくひすの初音の笛を子供ちもふくかけんよき梅の下風
繁昌
十三ヽ
柳
淀
あけたての戸にはさまれて一枝は風をもしらぬ門の青柳
小船楼
花を折る人や逃らん夕まくれ縄になひたる風の青柳
十二、
山道
春風のさそひによれと青柳の髪も結はて門にふらつく
縫女
軒なるゝ猿子柳は春かせの曲なす枝につたふ朝露
呑吉
堪忍舎
門にたつ風のそへ乳の和子の脊に守り縫かも青柳のいと
二字守
。
上
い
北斗庵
梅の香をはこへる風の姿をは軒の柳の袴にこそしれ
さからはぬ気にはめつらし河上へ影の流るゝ風の青柳
枝かけて梅や桜をなふるなり花をもたさる風の青柳
むつましく軒のつまこふから猫やしなたれかゝるかせの青柳
寄居東歌楼
道寄
去年すをとりし新端も春はまた蜘の巣はらふ風の青柳
一和琴亭
川岸にあやとる糸の青柳の水にうつるをすくふはるかせ
いきたなき門おとつれて朝おきをしなとの風もおこす青柳
琴通舎
英賀
来る人のかたをなてゝはしらぬふりあちらむいたる風の青柳
升成
春雨のやさしきふりを見ならひてつよくはあてぬ風の音柳
熊谷砂楽斎
八
名丸
深みこそ藍のやうなれ谷水にひたしてそむる青柳の糸
地をはらふえたはつはめのひちりこをはこふ風情やかせの青柳
青木
かすみつゝ笠めす月のくもる夜は露の雨ふる軒の青柳
風のすかたうつすかゝみか池水にふきめたてたる風の青柳
堪忍堂
青柳のいともてあけよいかのほりひものひ〳〵と風にまかせて
青柳のいともてあけよいよのほりひものひ〳〵と風にまかせて書
春風の柳のいとのくゝり猿枝にいくつもむすふ夕露
露花頼
花頼
寄居五常亭
こきませるはな咲ぬうち青柳を春のにしきのかた糸と見ん
見ん眞守
上毛高崎泉
朝いせし門たゝかれて風の手にたるゝ柳も目をこすりけり
元清
川越
したれ枝も時しり顔の猫柳まろき目もありほそき目あり
貞盛
宝
賤か家に糸とる車ひゝくときよりをもかくる風の青柳
市女
市女
室小路
川岸の柳も枝をあらひよね水かけんする春の朝風
花成
は
ね
七
蝶花園
一景
道のへの土橋はそまの一またき二またきなる岸の青柳
金銀舎
髷かとも見えて烏のとまる時兵庫むすひや青柳の髪
溜升
揃亭
西東北やみなみもつきあひのひろかる枝や風の青柳
奥福島狂歌庵
その色は藍よりもまた青によしならふものなき一もと柳
行武
鹿住
朝寝せは風の手あらくふきあてゝ裏戸をたゝく軒の移し
朝日さす霞の糸もよりこみく長く引出せ青柳の枝
しら露の玉も見えけりさる沢の池にたれたる青柳の髪
春くれは眉つくるなり朝な〳〵あさ妻舟にたるゝ青柳に
大門を出てうしろを見かへれは背中をたゝく風の青柳
白魚をすくへるあみのいと柳目もこまかなる隅田の川添
公
水鏡亭
梅景
丁々亭
梅時
高砂亭
松成
便風亭
風の手もいとしほらしく吹てなと人のあたまをはるの青柳
虎岳洞
同風
和順亭
春風のきに当れともあらそはぬ心はとけし青柳のいと
国住
花の香をぬすむ春風からめんと縄なふさまや門の青柳
砂守
一熊谷涼風亭
春あさみ霞の衣も風の手にぬふかと見ゆる青柳の糸
岩守
辻君の立そふ風にかみもよく夕化粧してなひ〳〵青柳
織方
吾友軒
咲花にちとけんへきの春そとて風のもまるゝ庭のみま
倉人
吹たゆむ風に下枝はをとり子の愛敬髪と見ゆる青柳
鴬の玉のかさしのさしこみにひかれる露や春梅の髪
綾重
千里亭
むすひおく夜露も風の手をそへてすへらかし青柳の髪
角文字
峯ちかくつなく湯船のぬるしとや質やをたゝく風の音柳
西来居
)
□□□□□□
春雨
一風たちて霞の衣仇しわにきりをふくかと見ゆる春雨
花咲庵
米守
一むらさきの霞をあらふ春雨の雫にめくむすみれ早蕨
庭の面は此ころもえし若草に烟草のしめる春雨の宿
春雨のいとのあやつり人形かはねつまはりつ軒の玉水
花をまつ人の心やしりぬらん風さへ吹ぬはる雨のそら
春雨の宿のあくひやうつしけん花もねふれる庭の海棠
海棠の花には下のたるゝほとねふりかちなる春雨の宿里住
海棠の花に被下のたるゝほとねふりかちなる春雨の宿
上毛高崎
くもる夜は花ぬすひとゝおもふなりぬさあしをしふける春雨
元清
しつかなるものたはしめか春雨のふるきふみさへしつほりとこる
文亀亭
催馬
花本亭
春雨のいときれ〳〵にしつか家も結ふにたらぬかひの夢山
喜蝶
春雨の軒の玉水ぬるまなん庭の若草もえ出る日は
麟馬
あたゝかき雪けに山のやせるほと畑は土のふとる春雨
米守
ぬれて行桜草売よふ声をうるほす花や門の春雨
花さかすむかしのちゝに庭守や灰まくやうにふれる春雨
花楽亭
呑吉
春人
糸と見てふる無雨は空にひく霞の綱のほつれなりけり
長き日をひとりあんまにねつおきつやすめるかたや春雨の宿
行武
かひと飼ふ妹か眉よりまたほそくきぬ糸かともふれる春雨
奥高子身廼
立子
庭もせをはきさうちして其跡にたれもこぬかとふれる春雨
去年あまりほねををりたるくたひれのいつるや春の雨のあし
呑吉
〇
□□□□
さほ姫の霞の袖はふりつけて花のたもとを洗ふ春雨
眉はきの毛ほとにふるとあふむきし顔に覚ゆる夜半の春雨
哥かるたすみてかき餅あふりこにまたならへたる春雨のやと
野遊ひをけふやすませてふまれたる草をも雨のふり直しけり
九
竹窓亭
和則
文亭
田中楼
数頼
住安
米守
捨魚
ふるまゝに桃も桜もひもときて寒さをほくす春雨の糸
鈍々亭
和樽
軒端にも滝をなさぬは鶯のうたの神戸にやこのめ春雨
当坐
梅茗詣八百斎撰
催馬
一けふりたつ柳にむせて梅若の空もなみたの雨をほしつ
梅若のわさんの声を春雨に土手の蛙の眼ふたはらつ
青姫のたれも回向をすた堤若柴もゆる塚のかけろふ菊人
青柳のたれも回向をすた堤若柴もゆる塚のかけろふ
十五亥恋の歌六樹園判川又田廬翁
来るといふ事も丈夫に思はれす宵のしらせもさゝかにの糸
十三ヽ
水鏡亭梅景
泪川水かさましてはれあかるおのかまふちや堤なるらん
水戸梅香舎珍馬
沖の石かはかぬ袖裳しり顔のうみの母にはいかゝしのはん
十二
大マく金湧井
しつほりとぬれて逢夜はなかりけりかはかぬ袖魚つねの事にて
カヌマ春調亭音良
いく度かやるふみよりも魚ひとつおさまりかぬる恋病の床
事戸壺栄楼綱彦
ことせにひとたひ逢とは棚機とおなし星にや我あたり兄
歌林堂
かならすとちかひしふみもつい袖の口よりもらす妹かそさう御
十二ヽ
真壁壺深亭足兼
いのりたる役の行者も見捨けんふみひらいてもくれぬあた人
薊ハシ東邊舎一岱
十一ヽ
かへさるゝ文をかしらにおしあてゝ恨はかくと角おふしてけん
浅紡庵
十
せましとて寄そふ堂めそ逢ふ夜はのふとんにせはやけふの細布
神田居
十ヽ
人しれぬまくらの塵ははらへともなとはつと立うき名なる也
花咲菴米守
海川にいりても死なんおもひそと身をなけかけて頼中立
塵外楼
塗枕いきのかゝりてくもりは雨と雲とのふたり寐の床
船廼屋綱人
わかれ路にぬらす袂を引とめてあちらて絞る衣くの袖
初
古嘉祢守門
一結へとの鹿島の帯の帯の帯のこゝろのこゝろのからかへりては
花輪花高木
つはくらに国をゆるして思ひ寝の枕につきし薬をとらせん
桐生壺錦楼文守一
逢ふ事のかたきふたりか中山はしのしへ夜なきの石になれとや
一台浅龍庵
惣病はまくらはかりか物くはて鍋や釜にも塵そつもれる
キリフ壺珪楼一村
我も二世そなたも二世と誓ひしをよせてはにゝき人の詞か
阪年舎新
鯨よる浦とちかひしことの葉もはや七さとへうき名たちけり
巌亀九
煎やせて火はしに似れと胸の火をはさみてすつるもたになし
○
六樹園
ほそ布のあつらへ織の幅ひろみむねにあまりてたつるにしきゝ
十五点
雑の歌浅誘菴判
真壁世間亭兼
世をすてゝいほり尋ねて来る人はかくれんほせし雑友たち
桐生壺成楼長慰計
しなひにものちはきるへき今年竹朝日をうけつ露を流しつ
白井壺凉亭友楽
十三
笠めした月はみねより麓まて飛たる影か清水の瀧
守門
盗みには出ぬあれ寺の仁王をもしはりつけてんころひかゝれは
浅竜庵
飛ぬすむ人を蔵王のしかるかときけはよし野の瀧の大こゑ
二
郡山壺猿亭真似保
山寺の飽よむ声と遠方にきけえて岩うつうく比すの滝
マカヘ一齋清丸
いや高きふしの芝山見あくれは近江の湖のふかさ何丈
戸思案外也
駿河なる富士えゝあふみに親もあり宝永といふ子も持て居り
雪堂花桂
人穴のあれは爰から若人もうみ出しけん不慮の名哥を
十二ヽ
山田
神楽堂初穂
波間こく千石船も一こくのうちにちいさく見ゆる海はら
十ヽ
綱人
松かえのすねものは手にあまり水わけて目にたつおとなしの滝
玉兎楼満丸
松やにのこはくになるも理りや千とせふれとてちらせぬなり
十
湧
植木やそこれをはほめん山の端に風の手いれの松の枝ふり
大マヽ壺延廬唐雪
老か身はのりて遊ひし竹馬を杖につく〳〵思ふこしかた
鹿沼浅春菴庵
齢ひにも千代を伝へてめてたきは万葉ふりのまな鶴の
太く若草庵未繁
子金にかへぬきりやうを持なからすこしのあたい絵河にやらぬ事
高津部ノ影無法師
夏痩もせすふとりしは実に渥の徳とやいはん養老の瀧
花輪花高木
みちのこの姉はの松通ておもかけのかはらてとしをいくらつももん
瑞籬久世
小雀の茶くらさかせはこちらそと風にまねきし庭の呉竹
新生舎新
きぬくのわかれをつくる鶏のたまこもやはらかへれどやなく
壺鳳楼竹人
つゝちおりにこけの衣をたみつけのこんの香はゑかかみにも
小鳥亭囀
煙籠の油やぬらん庭の面の松の落葉の針のさひには
菖蒲軒風
二月の舟もあたらはくたけなん岩のやうなるみねの白雪
常養軒糸正
我つこか神へさゝそんみあかしにとき〳〵つくる油にはとり
平嵜
行にもはるかと見れは遠かたのかすみてきゆる塩竈さくら
宇津巻方
はたを織糸のことくに揃へてやむらなくおつる布引の瀧
山中浅笆庵
高砂の尉に箒や立られん千代の長居の浦のまな鶴
奥阿武松人
をり〳〵に声を立ても耳遠き老寒からす松の友すれ
久下田原播磨守伊
松風にあはせて聞けん玉琴の音羽の瀧のしら糸のおと
歌林堂
からさきの松もろともにつとかねのねもひろこれる志賀の山寺
梅景
松風の琴にならひて山住はつもる木の葉やきならすらん
藤長房
とまらんと旅鶯も夕くれの鐘に経をしよむも古寺
亀丸
一
いつのよにひける子の日と辛嵜の松をとはゝや千代の老雀
蘆菴一馬
その原や名所聞て付るあまり箒木のやうになりし日記筆
尸糟久斎野暮浦
をのかその千代のさかへを見んとてやつひ飛過しそのゝ若竹
松山柳窓亭唐歌
仙境にいりしこゝちもなきならす月香花をなとすつる身は
仙タイ秋楓亭眞艶
松嶋の松の色こそかはらねと景気のかはる沖の島山
○
浅湾庵
千とせふる松には調度住吉の石の鳥居を杖につかはや
□
欠S
花愛盃二
菖蒲
撰者
南都伯墨
上ヽミヤサキ
猿沢の池にけふひてあやめ草赤きところやしりといつまし千本
とろのまゝ引しあさかの温あやめ新端より先足をふきけり
あやめ引沼へこしきりはまりけり日足も出ぬ五月雨のころ
花雲
足引の山鳥の尾とみゆる哉なか屋〳〵にさせしあやめは
蟹のすむ石垣沼のあやめ草是も軒端へはさみもそする
板ひさしあやめふく日はこゝのふしかしこのふしもみえすなりにき
わか軒のつまにみるへきあやめ草ねなからひくを人なとかめそ
あやめ草櫛のはにふの宿もけふさみたれかみの軒にさすらし
橘の花さく軒は薬玉のそてにあやめのかほりうつせり
軒にふてあやめをけふは仰向て三日のもやはり薬なりけり
月登
桃阜
あやめふて
宮もわら屋も
けふはかり
おなし高さに
匂ふ氷の端
漢
文千尋
月登
とくつけてきこしめせとや
さし出たる
枝におもしをかける青梅
いとたけののひしあやめをえらみもてけふ軒口にねを入にけり浦世
菖蒲酒あやめのねのみひたせるかふくほと顔のあかうなりけり
詣を覚てあやめ引かと筑摩江をみれは小笠の泥まふれなり神人
沼ふかしよしのけさまに辷るともすくにねなからあやめひかはや
あかきねをそゝきてくめはほんはりとめもとに色の出る菖蒲酒
あやめ草けふは薬のふり出しに引てかほれる風心よし
邪を払ふなれはさやまの池にひくあやめは陽のはものなりけり春明
十日めのあまねく軒へあやめ草五日の風に吹わたしけり
早苗
花愛盃三
ほめらかく姥にまけしと鮎もかくろ帯して植る若苗梅風
乳をしたふ邪雁たにあるをさをみめの足に取つく小田のひちりこ
さをとめも蛙のあとにつくはうておはれとほしに苗うゝるなり
田子は先菊やのみぬらん昼休となる早苗の物につかへて
ふしたゝぬうちといそくそおかしけれ竹田の子苗植る賤の女梅時
水のおもへうつれる堂をかきわけてりやうの手にとる露の玉藍
いそく時はねたるとろも其まゝに笠にかゝつて植る若苗蔭成
早苗とる菅のに笠の白〳〵と水にうつるも田子の浦不三
ふくひたひ水にうつして玉苗のはへきはよくもつくるさをよめ路蔦
万倍の歌の深田に賎の女かおくてててふ名の子苗植らし梅吉
一持参せし娘か田地を小舅の株わけしたる菖の植つけ杉貞
持参せし様か田地を小舅の株わけしたる苗の横つけ
あせ一重へたてもなしに嬉か田をしるとか来てはうらる若苗菜
千町田の子苗しまうて祝酒とひてもあとへさかる妙の女春久
1
花登盃三
青梅
つけるにははやうしおそ〳〵と相撲のしゆくさて枝にとまる青梅春繁
ひとへ衣かふれと子らは春よりもけつくたもとのおもき青梅竹人
紫蘓まきにならぬさきからかふさりしはにつらまれてそたつ青梅春江亭
橋をふところにせしためしとはくひちかふ子子うか袖の青梅仝
梅一木は山しけ山しけて実をむすひて人のめにつくは山
鶯の月日はうとき木下やみほしはちら〳〵みゆる青梅
青梅のしゆくせし枝に鳥よけの網をはりたる蜘そからこき
紫にいろげの多き紫蘇よりもにかみはしりてよきは青梅
つを持てをれはなからしま一つと欲のかわきもとまる青梅跡成
鶯か来なかぬころは里の子か枝うつりしておとす青梅
宿とせし経よみ鳥のすて置し数珠にも庭の青梅の数
梅古
また青き梅をおとしてくひかけはにか〳〵してもしかる庭守
むすふ実の青きにあかき色みへて五位と六位の匂ふ梅つほ
もきかなよ和子かのほりの花笠に鈴となりたる新の青梅
此枝に葉守の神やおはすらんわけて鈴なりみゆる青梅島旭
一風にゆれて邊の青梅ころ〳〵と落るにしるし枝の鈴なり冬住
かつくしき花の顔には似もやうてそはかすやある青梅のはた汐道
咲おとす風の青梅ひろふうち水にはのうく辺の池のも竹人
書
花雲
いにしへの風にならうてすなほなり柳に似たる女文章明良
不二かたの筆架の筆にかて文字の雲は硯の海よりやたつ文々舎
道風の筆の跡をもまなはぬにとかくふるへる席書のもし
世にたへてかくへきはしもなかりしに石かわたして朽ぬ三略
覚へよど子はいさめてもよめかぬる今川状になかあきそする梅風
いかはより心の駒やいさむらん見事に筆のはしか庵書汐道
花愛盃三
茶湯
わたらひの茶湯におくる月日星こは鶯の藪の内流梅古
わひたりな松に時雨のおとたてくたきる風呂の涌待合のかね南亭
鶯のいろのうす茶にもてなしのたきもの匂ふ花の枝炭
花愛
のみ廻し〳〵して茶の友のましめりは又別義なりけり
ほり出しの井戸の茶わんに似合とき木地のつるへもつかふ水きし春江亭
釜かけししはしか内は世にましる心のちりをはらふ羽箒
十四.
武士
花登盃三
一遠つおやのその名もしるし鬼神とよはれし末の武士の三つ指南亭
浪風のたゝぬ御代にはものゝふの八十うち川もわたりやすけり升成
ふたこしをくわんぬきさしのものゝふは桶のしまりも丈夫なりけり
一楠にはちぬ忠士の名はいて代ふれともけしてくちぬ大石浦也
両刀をたはさむ武士の魂は忠と孝とのふたつなりけり
忠孝のおもき所はものゝふのつかふ弓矢のひつはつたもの多来留
ものゝふのこしによこをりふせてさすつるきも御代はさやの中山巴流卅
当坐渡南亭大人撰
十五ヽ
郷こり酒これなとのみてみわか崎さのゝわたりに魚もあらなに不孤辛
まつち山夕こへくれて舟よはふ声先見ゆるすたの川風万守
日もくれぬはや舟いそけとはすともこせは女のすた○渡場南辛
花雲盃三
泉
撰者
すゝしさはこけたに青き岩畳清水はへりのやうに流れて扶桑園
花と
雪折の松の古枝かけ樋にて冬よりこゝへかよふいつみか
上ヘミヤサキ
千万多
旅人の笠のをよりものともとに一すちむすふ泉すゝじや
風のなき日にもさは〳〵岩間よりふきてすたゝき松の下水桃亭
こほれ葉のくさりにとめん流れ行清水にかけのよとむ松かへ
雪登
二はしら松の雫のさかほこに秋やうまれん清水すゝしき
岩清水なかるゝ松の下かけは秋へねちけし風のすゝしさ
昼中のあつさはさらに忘れ水のめはすゝしさ口におほへて
むすふ手にあつさわすれて行しとは清水のもとに見たにめりやす
十五日
そそ此あつき峠のこけ清水いはほも汗をしほるかと思ふ梅年
夏山にこゝのみ秋といは清水松をしきりにわきてすゝしき岸恒
夏夢
花登雪三
夕立にぬるくと見たる夢さめて昼寝の汗をしほか衣手行言
花雲
時鳥落す一こゑさかねぬるゆめの名こりに蚤をおさへり綾重
とかと見しほたるはなくて手に汗をつかと残れる夏の夜の夢午尊
ふするたにきぬ夏の夜の夢にみていとすゝしきははたが不二かも春明
こまけたるまゝにあくれはぬる間なくうちもかへさぬ夏の夜のかへ巴流斎
蛍
花愛
一ふることはしらねと宿に夏虫をめつれは籠をもしはりにしつ冬住
月登
うき草に
すこきさそふ
ほたるかけ
とこまても
追うていなんとそ思ふ
八橋舎調
文字はりの籠をは露にはかさせて一しつくつゝほたる逃けり米守
とらはれしにきりこふしをぬけ出ていきつくやうに光る夏むし
雪登盃一
花かけの後光のことき夏虫は観音草の化身なからし片言
音たてぬかや屋の軒の玉水やおちてほたるとなりそめにそん千万多
一下総イヒヌマ
子らか手にとりてはつゝむ紙屋川水にすきぬる夏虫のかけ月明
上ヘ三ヤサキ
かたちをもかりちの池の孔雀塵に玉をかさすとみるほたるかけ千本
思ひなき身には沢辺のほたるかけやはりほたるとみへてすゝしき
おさへんとたちよか草に風ふけは露をあふせて逃るなつむし
露しげき草をはなれてとふほたる手もぬらさすにわれにとれとや臥竜園
学ひする窓をみまねに覚へけん道をあかかくてらす夏むし桃亭
雷愛
たんさくをむすふ事なはたまたかしやほたるのほしをやとす若竹登森
しら露の玉とはかりにかけみせて草の葉からへ廻る夏むし梅古
りせ苗にひけるほたるをあやまりて葉ことにのほる露かとそみし
玉江なる水はかゝみか一めんにひかりをうつす夏むしのかけ
多来留
花登
金銀
丸つはの月の露のこかねには打合せよきしろかねの梅綾重
世をふれは何にか化てをりつらめかけたにみせぬ猫の自かね春樹
山順とさくらを風のふきわけて世の玉川やこかねしろかね
いもに似る草のいろなるこかねにはみほれぬ人もあらししそ思ふ
山吹のいろにみへても世の人の身をもつたぬは金にそありける
衣類
花雲
うつくしく夜半はへありとともしひをかきたてくみる丁子茶の衣千尋
雪と
やみの夜の黒羽二重やそら色の衣にみゆるきはつきのほし梅古
むかしよりはてに心のひかるゝかなかくなりけり衣のふり袖巴流弁
遊女
花愛雪三
信〻松代
みやひたる月雪花のあそひ女は人のまよひのまの上人
花雲
根なしこと人にゆふみや浪枕身はうき草のよるへさためす
調
身にとりてあなうもれつま鵜の鳥の羽袖ほすにもとまりさため次
雪登
文車のふみをもかきつ格子からおほくてみよき里のううな女梅綱
君ならてたれにかなとゝ玉章にかゝるゝとしりてまよふ松女梅貞
S
欠部
S
殊大慶候
伊太夫斎竹蘭臥竜園様松通屋琴彦
藤はかま行浅崩さて咲たるは何かし殿のふるき城あと
大慶候
南枝亭梅咲
石畳袖とく花の藤はかま前にうしろにむすふしらつゆ
梅亭花丸
ふち袴見よやうしろはふちれたと口のさか野にほらさわくなり
水鏡亭梅景
武士のかたちい小野ゝ藤袴いやしからさるにほひ也けり
仝
草いろ〳〵しけれは花の藤袴けまはしせはき野への通路
政子改
染殿薄柿
好の野に数ある花の藤はかにいつれをめすや月のかつらを
花無春躬
よりそひてうき名形たてそ藤袴風になひける女良花には
殊めてたくゟ
花丸
素人のをよはぬ花の藤はかま秋はみことに仕立やの庭
梅咲
人はまたさてみぬ庭○藤袴井筒は袖の石たゝみにて
仝
藤はかま朝ゆふ露○帯門下絵ともみゆるすゝきひとむら
めてたし
仝
ふちはかにをりめ正しく乗る世に立膝をする虫は何〳〵
積善舎阿丸
秋の日のあしふみこめは藤袴ひた崩すすひたなほすかせ
雲竜舎峯住
藤はかまさくあたり追ふみこみてあしをもかれ那野心きり〳〵す
後註文行丈
秋の野に人のきてみる藤はかま花の色こそあつき縞なれ
籬
風をりし。しはになしなは藤はかま霧ふきかけて引心はせかし
春江亭
めら花蝶かる野へ門藤はかまをとこすかたいなまめけるみゆ
竜吟亭雲起
ふちはかまきてみよりしに咲にけり程よく丈も延しあき○此
菊芳
かたふきし故つ日あしにかけのひてさかりもなかき藤はかまかな
催馬
未すゝき風にみたれてひとい〳〵御ころひかゝる藤はかまかな
梅咲
左右の手を先さしこみてをりとらんきてみる花の藤はかには
花丸
藤はかによしきなれてもしはにすな寝なからにみる手枕の小野
廿三
影満
縁日にまりてるわこへ植木やかめしませといふふちはかまかな
貞俊
露すふてたはるゝ蝶も腰板のもんところかどみる藤はかま
梅芳一
花つれおなしやうなる藤豆の垣こしにみる藤はかまか南
木綿糸丸
ぬき捨し人はしらぬと藤袴ふみ込あしのみゆる難波津
阿丸
大慶長日卯篭阿九
仙方のくすりも入て有ぬんし鶴いよはひ○長門印篭
梅景
印籠○蒔絵の梅の花に袖すれて薬のうつり音そする
殊めてたくゟ
二月亭梅雪
あて人のそつわきさしの鮫鞘になといまるへきこし○印篭
花麿
見たところ人からのよき高蒔絵羽重すれの印籠の趣
合口をぬくとき亀の高まき衣すつほんとなる印籠のふた
仝
めてたくゟ
梅咲
助六のやうなをとこの提たるは杜丹のはなのひとつ印籠
歌林堂
助六の機にしひとつ印籠の紐は総角むすむなるんし
葡萄にも似たる諸しめの印簾の中は梨子地としられねる哉
舎
繁樹
しつくりとあふたる竹の印籠は竹の子のことほんとかけけり
為羽玉
印籠の高は小判の形にして中に小粒のさんの丸やく
廿四
梅芳
印籠のふたみにちらす金砂子蒔絵は伊勢の浜萩にして
梅雪
仝
祭礼の印籠は紐のかけなし緒しめの玉もねりものにして
印籠の出所はよし長門てもぬりはすはうのいろとみよかし
峯住
印籠のをしめ○玉を月と見て蒔ゑの鬼はねるさまあり
仝
一珊瑚珠の緒こめをそんし印籠は赤親からのわたりもの也
雲起
ゆふされは緋色のをしめ印籠の府絵の瀬田に照わたるかゆ
梅芳
印篭にみゆる蒔絵の猿猴はをしめの月をとらんとすらん
長閑楼梅盛
すたりてもむかしはむかし立花の蒔絵ゆうしき長門印籠
仝
石山の景を蒔絵の印籠にみるはをしめの水晶の月
梅景
袖ふれてにほふまきゑの印籠は花立はなのむかし形かも
むらさきの袖はさなから藤の花ふらりと捨る腰の印篭
景満
一三国にふたつとあらぬ冨士の様を蒔絵にしたるひとつ印篭
真名井
水晶○諸しめの玉は印籠の住の江をゆく蛍かとおもふ
菊
菊芳
悪の膽をとり出すときに印簾のほんとなるいも鉄砲小みそ
廿五
薄梯
印籠の中にひかれる丸薬はよきゑの龍の玉かあらぬか
琴松堂
紫の紐も長門の印篭や蒔絵の藤もまつにからみづ
臥龍園
〇おなし心を
藤袴仙臺ひらは鶴からのすちめよろしき村長か庭
むかし形たくひ梨子地の印簾に蒔絵もありのみとなりけり
仝
當座糸瓜松風臺引真名井
殊大変候
月の夜に水をとるとき絞り〳〵糸瓜に皺を見ゆへりけり
琴彦
大慶候
あのやうな器に入て水とらん徳利にもよう庭の糸瓜
臥龍園
棚にみる糸瓜に風のあらものや捨たる傘と覚てふら〳〵
殊大慶候
女郎花
め良花あるしかをしむ心をもふみにひどもとくとき落さむ
大麦六六斗花九
大慶候
誰と寝てあしたの原のめら本露はわかれのなみたほど置
歌林堂
一形より竹のそへ竹に又輪をかけてほつけりみゆるめら花かな
針めてたくゟ薄柿
殊めてたくゟ
めら花さかりの頃は植そへてかふろ菊こそあらまましけれ
春江亭
さかりをは手治にもせてをみなへし人の夜にとをる野守かな
梅盛一
女郎老外面如菩薩内心の鬼のしこ草なくてめてたし
琴彦一
一植木やの相談とけてをみなへしいさねひきせん秋ふけぬまに
廿六
梅芳
めてたく
日は西へ入野にたてにめら花寝たかる野は誰ためにふく
船底真倉
かへ〳〵にかたしく人の草枕をみなへしさくあきの弁囲
梅芳
いそせを空しくせしとめら花かふりふるなり秋の夕風
花丸
高野山のほるにかきり有なからめ良花をはなどゆるすらん
仝
けはひすとたれもみつ野門をみなへし朝日の紅粉や露の白粉
梅芳
をみなへし摩耶夫人かとみほけのまします松の嵯峨野ゆかしき
糸丸
め良花みれはみのほど色はえてめうつしさせぬ千草百草
白粉の露もまたらの女ら花むかふは月の鏡なりけり
仝
梅咲
いなみ野の名にはにけなきかゝけ花をり〳〵秋の風になむくも
梅盛
から花ほらうちはらふ露に月かりいやとりををしむさみ哉
梅足
をみなへしさいたる野へにこゑすなるはた織虫もよそならぬ哉
梅咲
女郎花萩いにしきをしと物にて置るは露の玉の隣路
雲八重龍
をみなへしとこか淋しくみえにけり庭の巽の方に植て八
真名井
風にふれ松にあたむらんかたつふり○角をいたしく世のめ衣花
廿七
貞俊
鼈甲のころふの薄横様にさして媚く野のをらすへし
彳
をみれんしさくもにけなさとりあはせ角力とりてふ草の例には
梅葉
一めら花露は霰とみなからかしましからぬ口なし心いろ
雲起
かたるなとありし嵯峨野の如良花口なし色に咲にけるの南
朱守
うつくしき色にまよひてめらず思案の外の道もことれり
直道
落馬せし時に珠数をやきりにけん露〇玉ちる野いめらせ
むかしとはかはる嵯峨のをみなへし月の都にこよひめさるく
仝
峯住
昼露のしろみはさりてには鳥の玉子いろなるをみなへし哉
兵衛
深草○此への鶉はめらむ己か餌にはむ栗とみるらし
換芳
たらなへしむかへる月の鏡沙秋のすかたつうるはしきかな
山谷船
大豆壱升山谷船催馬
朝よたき空飛雁の棹も哉今北国を出る山谷ふね
幽玄亭
山谷から火縄のけふりたてそひて柳橋へとかよふ猪牙船
梅器一
おいらんにふられた雨の朝かへり連にもかゝる舟の苫尻
奉存候
山谷から乗たる舟のさと噺よんはよろしき首尾〇松葉や
廿八
幽玄亭
殊めてとくる
朝またき山谷の堀を乗出して皆みかへり○柳葉の舟
花九
尻くらひ観音の塔右にみて邪会はかりのふね○風流士
山そふね今朝は茂睡かつかつかの間にかくれ家となる秋の川霧
仝
めてたく
仝
山谷舟客のふとんの柏餅あんに相違のよんのふるまひ
糸九
朝かへり山谷のふねにむかひ酒顔○もみちは土手の道哲
桜咲
編笠の余波なるらん山谷ふね客にふとんをかしは餅らは
〃格盛
わかれこし男体女体めもはるに山谷ふねから喜るつくはね
新造や先にはなすてつはうの火縄も匂ふ山谷ふね丁南
仝
桜島
桟橋のくたり坂とはみえぬ也山谷のふね、の客のふところ
暁園
ふられてももてゝも容のいふなりに揖は功者な堀の船長
峯住
山谷ふね首尾の松をもみなからに日に十かへりも客をのせにき
谷
水にかけちらりみる間にきえて行山谷舟も三日月のさま
琴
東のしらむ頃出る山谷ふね西河岸まてといふそおらしき
琴通舎
朝くり禿の送る客まてか山谷のふねのふねのふたり船頭
廿九
春江亭
わかれ路のこゝろはあとへひき瀬のよさなくかへる堀の猪弟舟
○
臥竜園
都にも恥さる鄙のをみれへし小田に小河の沈魚落雁
山谷出てもてたるよへの夢みんと船に又寝の蒲団一枚
仝
三矢当屋水車幽玄亭判琴彦
十三魚
水車これこそ淀の名物と案内の口もよくまはらなれ
歌林堂
小糠ほと水けふりたつ水車されは米をやしらけあくらん
おなしこゝろを
幽玄亭
水車もしもとまらはせんなしと絶間なく賎か廻る板の口
〇
臥竜園
大堰川筏に鮎に水くるまみつくむとたかいひはしめけむ
大慶候
雷神門
梅景
観音の御つ守護せし雷もかしましからむ人のゆさかひ
貞俊
かんさしを稲つまのことひからせて雷門にかゝる手弱め
拝めてたく身
岩礼
たとふれは秋の紅葉に若柳色わくつの風神雷神
めてたくに
手酌酒盛
浅草にあるてふことは雲井迄も雷門の音にきこえん
同浜政子
まゐる人下向のひとのなし音に雷つは名のみなりけり
亀遊亭友貞
雲おこす金龍山に相応なかみなり門の名はひゝくめり
古菜三年
とこしへにかみなり門のひかれるは臍うり金やあつの置けん
桃亭
もろ肌をぬきしも入て臍かくす雷門のつのすゝしさ
梅雪
観音にまかふかみなり風の神細にかゝるそをかしかりける
藺堂
白面の気色たになくはれし日は雷門にひとそとゝろく
烏羽玉黒主
家つとの太皷かつきて稚子もかみなり門にしのくゆふたち
伊達雄
浅草の雷つの御寄近に臍くり翁を出すひともかな
晴行
中みせに太皷たゝかせうらせけりかみなりつは問尾株にて
文々舎
葵草ふた葉にたゝせたまふなるわけ雷のかみなりの来ん
操九一
音にきく雷門にから〳〵や太皷をひさく人もありけり
高根
馬の背とふりかはりたるゆふたちに雷つはひとをわけゆく
○胡竜園
さしむかふ雷門にちら〳〵と稲つまをみる老のまたゝき
殊大慶候
粂平内
麻太芸候粂平内政子
文の数真砂のかすやよめとつさぬ平内さまへまゐる人〳〵
大慶候
巴流斎
平内はまて来る人をまつら瀉石になりても恋のなかたち
梅芽
め夫石うらやましくやおもふらんやむめくらし〇条のま内
春潮亭改
春江亭
ぬきことを石ものいはしいかにせむかたくちめたる条の平内
めてたく
〃便々寮
憲法の行儀あられの上下は石目にしるき条の互内
梅景
悲したふこゝろをくめの平内につけとをするその人はたも
糸正
そのこゝろ粂のま内石にたつやの字むすひの味かなさこと
古根
たのめとも仁王のやうな顔をしてあともらんともいはぬ平内
仝
横点泰にくむけしさを人にみせて膝たて直す余の平内
虫也
つれなさはその人のみかいのれとも千引の石の粂のま内
梅芳
上下をめしたすかたは弁天の先従ならんくめの平内
玉光
恋中は石のかたち○くちもくされ外へもらさぬくめの原内
一琴彦
この山の奥家老かも平門は上下着つゝ女中応対
〇〇弐両
平内をたのみて恋の影ほときみれは石やの少女なりけり
殊大慶候
染犬亡へ候楊枝廓梅咲
妹かすむ銀杏○もとのやうしみせ虫のつく○は書物のみかは
大慶候
大慶候畢満
となり同士姉妹かも酒中図○むめに柳のせらしや○みせ
殊めてたくゟ
催春亭
うつくしやみとり〇眉に桃の花紅羊ひさく柳や○いも
毛也
見わたせは柳○やうし酒中花をこさませてうる奥山の廓
梅芳
一やうしうる女女はなれて御流士の背中をたゝく風の柳や
梅雪
めてたくか
かいにくるさしはかことのせうしみせ百度まゐり○客も有けり
貞俊
此やうにみかきたまへと浅草に白歯の少女やうしうるなり
政子
房やうしあるは小やうしかふ人のいつもとされぬ柳やかみせ
歌林堂
花の頃柳のすかたかさりてはいろ〳〵ふうしちさく手弱め
和合亭方丸
一ツ家の跡とて今も石にそのかしらをくたく扇板やかこせ
操丸
とふ人のこゝろの朝やつなかれかんやうしをむさく柳やもと
有貞
鳩の餅のまめにたちゐの手弱めはつかひころなるやらしあき給ふ
○郡竜園
おもふこと梺なりけん恋の比こしかけてゐるやうしやの客
林めたくゟ北向猿梅咲
かわけぬは三本たらぬ毛のやうに苦むす塔の北向のさる
常盤
奥山にうつす西行さくらをもめの下にみる北面のさる
桃亭
めてたく候
寒さにも身はならはしか頬へたの赤くもならぬ北向の猿
盞近
北向のさるはみえなてみたせるは瓦〇鬼○髪にそ有ける
備
鬼瓦角つきあひの仲間われすまし顔なる北むきの櫛
四
行丈
北向のさるも月にはわかぬなり塔の三重よちうみれとも
梅景
観音○御堂の鴻を鷲とみて兎にまきれる北向の猿
万
名にたかき塔の外には若人の心のさるも北をむくらし
升成
かへる雁塔の上こすそのときにつらをかたせし北向のさる
同操丸
北向のさる〇額に三筋ほと霞ひくらし浅草の塔
臥竜園
一北向に瓦〇くろきさるにてもしりへは赤き南とをしれは
幽玄亭直道
因果地蔵
地蔵へとそなへし塩のとひちりて車○茶に霜そ置ける
殊めてたくゟ
一タ文々舎
塩尻○山をさゝけて地蔵高いのる車○音○鳴沢
めてとくゟ
梅景
手遊ひ○みせにゆかり○地蔵尊因果車は賢車かも
米守
にきはひはたえす線香のけふりたつ民○竈○塩なめ地蔵
不弘亭
身におはぬ恋○重荷○なかたちは石○地蔵○因果なりけり
〇〇
地蔵尊病ひに車ひとまはりふたまはりにてしるせけり
松井源水
夢輔
はこ板にあやうき独楽をはこのこのむく〳〵平んと直す源水
殊めてたくゟ
竦めてたくゟ
奥山にひとさ○松打源水はゆるくはをすえる術もこそあれ
種屋腰高
一源水はわさわせわたり糸わたりこまに自慢○匂ひはかき
手になれていつちもなかくまはる也千年○松井源水かこま
千唐
奥山に人〳〵しけるはかた独楽よはす常盤○松井源水
一
めてたくる
きえさらすこよをも直す手こゝろに歯迄すえたる香ゐゑゐる香ゐる
繁樹
源水かこまは階子にとめ置ていひたてはかりよくまはる舌
〃〃〃〃
一歯みかき○御用とあらは此あとゝこヱより吉○まはる源水
此わさをみぬもをし鳥つるき羽○こまりをわたる源水かこま
海面
わさとするこま○あいたにはみかきのうりても廻す松井源水
源水かこま○はわたる太刀先によく売されるやうしはみかさ
貞俊
手にとりしこまをきせるに空蝉○もぬけた業をみする源水
不老園
かへる○はいやとかふりをふりとさん子等にみせたる源水かこま
通道
歯みかきをひさくしるしとこま廻す汝のはさへ白くひかれり
升成
はみかきをうる雲相に源水はこまのゆるくもとめてけるかな
早人
月○ことすみてはちともかたふかぬ松井か家の哥○手かけん
竹窓亭和則
さく花○ちるをいとふか源水も屏やら久し○曲○手枕
臥竜園
こまに紐くる〳〵くるともりまきて流水をみる人そおほかる
大慶候当座山文と今橋真名井
すなさなる御国こゝろをあらはしてうらおもてなき山はふし○根
八重成
秋津羽○すかた○国をさしていはゝ両眼ならん富士筑波山
巴流斎
詠には千鳥ありそと蜑人のさし出た顔もよきしほ○山
殊大慶候
類林堂撰千唐
朝夕○雲○衣の出し入も明はなしなる戸かくしの山
大慶候
文〃舎
たかむかし姥を捨けん歌人のひろふてはよむしなの路○山
通道
一杣かひく木をみあくれは大鋸屑○吹きをあひるし賀○山越
おなし心を
練習を文々舎
一味背をもはしへる鳥のおほくすむ男体女体ふゝあれの如
歌林堂
鐘のみか尾上の松も今の世にひゝきこたれる高砂のやま
弐貫目
馬士にとはむけもと細工の箱根山八里にかけにありやなしやと
九月廿三日臨時会
当座
風
寄橋惣
雨
大慶候
一郡番周撰
巴流斎
つら挟を杭とたのみてかけたきは妹じ遣ひ鹿の寝の夢のうき橋
殊めてこくゟ
仝
おこりたつ雲もさすかに男山ふりてあどなくはるゝむらさめ
同
花もみち吹ちらす風はこゝろなき雲ゐる山に住やしつらむ
常盤
一博者にははこへと雨のあしのうら豆とふくるゝ軒の玉水
殊めてたくゟ
仝
右の罪月にわむなはて津野枝雲迄も鳴はらへかし
春江亭
大慶候
一文をよむ審に可もなく不可もなくきをはなれたる竹の下御
殊めてたくゟ
楽〻荷挑英
此ころは角力の太鼓苦むして十日〳〵○面そしつけき
仝
そこ爰にかゝるやまらのこちいなさ釣する舟も所きためす
不老園
煎こたる甲斐あれかしとおもへともうきなは先へつたふ猿橋
松風臺大人
久堅尾大人
文々舎大人
判
催主
歌筵尊鮫の樹
東風亭舎
歌林堂大人
鶏の部
十九十八
西山楼
一統かへる家布かぬれ衣日にほせは是もけふれる塩竈の浦
七七八十二
文毛舎高根
大かねのあるとひゝきし桧楼はつねに鐘木の杖そつきぬる
八七七十
歌友亭伊丹
青空の海も間ちかく高き家の瓦のなみにすめる親
八七七十
一斉千唐
山姫もその日〳〵に着かへてやもやうのかはる空○衣手
八十七七
不尽専員俊
草鞋くひみるにつけても古郷の人はまめかとおもふ長旅
七三十三七
上もなきよき夢見しとぬけ出し横は其侭不二の人穴
八一八十三
檜平亭操丸
旅駕に見はてぬ夢をけゝらなく聞ふり起す小夜の中山
十八五七
狂語園江戸振
琉球のたゝみをさへもわか国のやらうにしたる御代そめて度
一十五六七
催春亭
苔ころもあまりに数を着かさめて御代の巌は動きえさりき
八五八七
風鈴堂銭成
そのむかしまきちらしたる銭金か貧の病ひの種となりけり
五三十三七
桃亭
玉の琴かき崩せしも欲ゆゑと後の絵河迄顔をよこせる
五三十十
花実真常盤
さま〳〵にけしきかはれと豊島の松はうこかぬ色にそ有ける
七三五十三
松上梅房丸
谷川○藤のつるもてまきもく○檜原さりたす筏いく組
十三三五七
秀松舎冬修
はりかへし窓の障子へはら〳〵と露のきり吹そのなよ竹
八三七九
八三七九庚寅子
幾年をへたとてへたとおもはれす仕立上手の鶴の毛ころも
一十三五八
鏡影舎尾呂歌
智恩院むかしにかへてさゝかにの糸もてかゝる軒○やれ傘
五十四一七
巴流布
あめをもて月代利す幼子はむら雲ねに毛をのこしけん
五十一五五
東風也
果報をも待んと宵にねてきけは盥に耳をすますあまゑ
一十三五七
芬〻直に香於盛
御荷物は何駄ときいて馬よりも先へつけたす問屋場の帳
一三七十五
一花咲庵米守
正直に参る法師かかうへにはかみをやとらす伊勢○つけ鬢
八十一七
玉光舎占正
わかまゝにくらす山家の門に又よこにねる堂よりかゝるまつ
五七七七
小万堂鈴成
白雲も琴○調子やあけてけん落くる瀧○雫のふとさに
花本喜蝶
七十七一
たのますも門守犬はぬす人のいらさるせわをやくにこそあも
二本松朝園景巻
七三十五
水きは○たちしは昔今は又ひたびに波○よるはかりなり
一三八十二
松の尾琴彦
かさりをく卓のもくめや川とはん短冊筥は木曽のかけはし
十一八五
カナヤ雪鷺台白実
つく杖をちからにかよふ弐寺の木魚のをとのたくほくの道
〃五五九
不老園
鯰をもしかとおさえし要石うこかぬ御代のしるしなるらん
七三七七
東風ら亭舎
むらひは草にのこりて牛の背をふりわけ髪の追立て行
花源楼菊成
一八七七
瀧つせに月はくたけて水玉のひかりをえたにすくふやままつ
行田月窓内安
五三八七
問人もなさの住も折〳〵は風のをらつれ雲○火這入
十一七五
仝
こよみたにわたらて深き山すみはたつもひらくも風の枝折戸
八一七七
同浜政子
さらぬたに淋しや聲の曇る日は雨をしらする夕くれ○鐘
一十五七
長閑舎松彦
ゆむ折て行年浪をかけふれははやこゆるきのいたち成らん
五五六七
梅雨亭晴行
豆いりをかみくたくへき歯もぬけて鳩○杖つく身とはなり少き
五三三十二
臥竜園
庭つくりすえるも秋の月は前手廻し○よき臼○飛石
七三十三
翠峰亭小松
貢積車〇年〇年〇年〇年〇年〇月の月の月の月の
五七三八
歌小庵弓晴
さかつき○もやうに鶴をうつしてもやはりまさゑにあさらざま醤
一三六十三
房丸
子に着せん木の葉つゝるかいか栗○はりをひろへるめ猿やさしや
宝市亭升成
一七五十
うくひすの瀧○なかれ〇行水は谷間つたひにしめやたつらん
七三五八
歌莚亭繁樹
虚む僧○ふえになるかはしらねともすつととほりてふしのよき竹
五七三七
歌松亭綾雄
忘れても汲やしつらん川水は玉に鍛なる名所なりけり
七三五七
月前亭秋住
挨拶○四角四面のひともこすまる木つくりの山のした庵
五九一七
行田無学庵不才
かた糸のくるす〇小野ゝひとり旅こゝろ細くもよるにかゝれて
七三七五
秀画舎
声淋し草刈笛もうしの背を横に吹行此路○夕野
一七七七
一甞露館菊芳
うつをまく鳴戸のまの水底はまらも薬理も多くあたらん
一七六八
常養軒糸正
哥の手もよく覚てはみちのくの姉はの雲は姉たけにして
六五五六
カ十ヤ馬亭鈴成
幾千代をふるひはあれとうら波に洗ひはえする鶴の毛衣
八五一八
烏羽玉黒主
大小も閉の木さし○ものゝふや胸のしまりもしつかりとして
五七五五
豊年高稲房
那郡のまくら隙なき茶花にはにしき○夜着も苦界十年
五六五六
亀遊亭友枝
かくしたる此みたされて峯越に逃てむくらしかせの皮雲
一同五三六八
アハチ和合亭方丸
仙人の衣にも似したはこの東のんてけふりの空をふさとす
十三一一七
五色庵八重成
むかしより今戸にたつるけふりこそかはらてつゝく里もしれぬる
十三一七一
仙文イ千柳亭
里芋の玉をいたいてなけくらん足をさられし煮売やの諸
五三五九
のゝ字丸住
山の腰めくり〳〵て旅人のゆく手にむすふふ木曽○谷川
五三五九
春風亭千船
天人のむかししのひて三保のうらまつにもかゝる雲のごろも手
一同五三六八
三糸楼音吉
春の花雄のきくをも写し絵の屏風に蝶のつかひはなれす
一一六十三
そはたちてならふ巌も遠めには筆架と見ゆる大文字の山
五一五十
五一五十文章舎読包
小謡のふしもきさみのたんはみやかさるは舞の袖はかと見て
一一八十
幽玄亭直道
栗の穂とたはむ真弓にものゝふの添る鞨は野のうつら芋
喜蝶
一十一七一
高みからよし落るとも人ほとにけかなき桜の登る深やま木
千喜堅芳
一十四一三
馬駕も自由自在〇たむなれはうしとはさらにおもはさりけり
水鏡亭梅景
七一一一
山まつにたなひく雲の波間よりおもりつりするさゝかにのいと
一一十七
今谷涼風亭岩守
琴の音とさゝなす耳を次戸のから君こす波にかよふまつかせ
一一七十
不恥耳
竹生島なみ○かよひろ遠めにはうきすとみゆる嶋の海つら
一一十三三
行曰英湖高筆持
老ぬれは人の眼鏡をいたつらにはなにかけたるむかし直しき
一一五十
哥○尾
麦菰○七ふとみれは十符○うら三夫婦はかりけそふつる
五一十
スンフ琴風楼音成
灸すえてあるよにみたる花の夢ありけいとふて覚るあかつき
十一五一
寿保亭皆人
盃に錠をおろして顔とては戸さゝぬ御代○手野すきたり
一一五十
行田栄松舎竹久
招かさけをこのめるみのゝ老まつはこゝろやしなふ養老のたき
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
二本堂月○尾丸顔
からた迄衣紙はをりのしわたらけ手足も渋を引たやうなる
十三魚
十二矣当座寄山祝豊年高撰巴流府
猶も代をしつかになしてねる鶴のめさめぬやうに枕かせ山
一同断普通舎
秋津洲の医の御代にかれてそまふ風風○はひしけ山
歌林堂
玉くしけふたみの山に日の出て月のおさまる御代そ締けき
おなし心を
稲房
一おさまりてせはらの手さへ出ぬ御代に角力計りのあしからの山
松風台
硯筥二見かうらにたつ岩はいせのいの字の姿なるへし
久堅尾
文々舎
あんしたるほとよりうむにやすかりき麻をかけて共祝ふ産婦は
歌林堂
千とせふる鶴の女夫とわたるらん名におふてのはし立の松
千鳥臥竜園撰尾湯龍迺屋
一打ら浪にさわく千鳥の羽風にはゆりあけさうな淡路辺やま
真名井
むら千鳥聲の高きは山ほとの浪をきてたつ時にや有らむ
梅景
ふる雪とみれはさはなく川風にとんてさんら散する千鳥かな
仝
一むらをわけて二見かうらな鳥風やたちかん浪やたちかむ
梅武
ともし火のあかしの浦は浪あれて影もみぬ女の友鷹なく
仝
千鳥なく聲はちり〳〵縮紙のちゝみて寒き袖のうらかせ
梅袖香
浦なみにやとれる月のかづらにもちまりてはたつむら千鳥た
不尽亭
障子なしともなし漸海士人のすみあらしたる家辺になく
机亭
一白紙の磯辺をたちて薄墨のゆた浪千鳥影のうへし絵
梅時
友鶯こゝろのあさき成かきをもためす難波の漢潔かな
梅久
つるき太刀とね川筋のむしな鳥風かきれともさやは思はぬ男
合
友もなし妻にもこゝよひ淡路しまなるをたよりに通ふ鳥そ
梅
此外へ出なと引はる縄のうらちれともちらぬ千鳥やさし也
三布寐
鶯におとらぬ紅の友よひて千鳥や霜の花になくらむ
米守
小春とて客む千鳥の一むれに山をもひいてゆくことそおもふ
梅咲
嘉たてゝ千鳥なから霞ふり鹿島のうらと思つけそめけん
仝
いせしまや千鳥に浪の白幣いたゝかせけり冬のかしら下
仝
君か代をいはふこゝろの竹嶋にちよ〳〵となく千鳥ほとむれ
南亭
南
けたてゝ寝かさぬ浪のぬれさぬを意にあふせて千鳥なく也
瓢箪百弐拾弐枚
小すとてかすむはかりの白浪に干鳥のわたる天のはした立
おなしこゝろを
春江亭
年忘虎浜をかりの狐挙まけてもかつてもわらふ三人
仝
王子詣花咲菴主人撰
花咲菴主人撰
南亭
一芋団子ならふ王子の道すからやかすにうるは土器はかつ
珍々亭糸也
肌ぬきてうかれこゝろや酒きけん王子みやけの絵人形まて
おなしこゝろを
花咲菴
くたしれて遠き王子の月まゐりかゝさぬ人もかゝす辻駕籠
風竜園
年玉の扇やあるは喰つみの御老やにきはふはつの午の日
欠S
海龍園
駕籠かきのあしかりの名をあらたらたらてかへさはかろきおのか足の湯
梅若参
十五十五十七
西来居
うくひすの経やかはつめうた念仏みな道つれのうめいか諸
一同七九八八
千漏楼水垣
塚の柳ほそくことゆるをせん音とたむけんものか梅わか詣
六五十五八七
内成
うめわかの塚の柳の糸にこそつなかれもすれすたのつふね
六五八五八六
道列
一今もなほ袖ぬらせとやけふまゐる梅わか塚にふる洞雨
五七七一八七
阿丸
なみたまふることとへは梅わかの塚の柳も目にしつくもつ
八
西岸亭一覧
一一一一一一一
梅わかめかへうはきたの方角へかとはかしゆく風もこそふけ
首夏藤
十五文十五八七升成
十五十五十二五八七
根に酒の過てや夏のかしらへもやはりもちうす藤の花房
南亭
五五八九十五
春の気をはなれてみれは時鳥まつに花ある軒の藤なみ
一七七九十八
夏なから梢は藤にはるめいろきのふのかすみ爰に残る歟
八八三一十二八
八八三一三八杜近
夏またき藤はま云にもおくれ髪かきなて日ほとさうる花房
神田居
三七六九七五
山さくらちらせる風にあらそはて夏へにけたる藤の花ふさ
同五五十六五
五五五五十六五瓦、虎丸
すね松のえたのすね事からまりてえへうちうす花のふちなみ
八七六九〇一
ヘ七六九〇一北斗庵
一夜寝て春はすみれとこし夏も色なつかしき藤のむらさき
初鰹
七十二十八一
七十三十十八一丁々亭梅時
我よりは子にあたへんと初かつを先一きれを雉子やきにせん
八セ七九七七
八ヒ七九七七豆小路味噌成
山吹のこかねにかへん初うつを一口ものゝみにならすとも
七八十四十一一
七八十四十一一峯山
進物にちともはやうとはつかづを手紙の筆もはしらせてやる
道判
一同五七七七七七七七七七七七七七七
生国はさかみ生れのはつかつを小田原町や定宿にする
朱楽館
○
初陣の鰹一騎の功名にせんなきさきを駈しとひ魚
夢会恋
同十八円
一七十五八十八円内
一七十五九十八
手枕にあふとしみたる夢も今さめてかひなのいたくくやしき
北斗庵
十三五七十〇十
逢ふとみし夢のたゝちをおこされてやはりねけにしほる袖かな
七十二七九九一杜近
一同七十三七九九一
あふてかへるたもとひくかとみし夢は枕の下にしけるけら袖
雀躍図
七七六九八七
うなしくもふたつならふとみし夢ははつれて居たる家枕なり
一同八七八七八七八七七六
米守
あぶと見し夢をははくにくはぜねとさめてはをかむひとりねの床
六七八七七六七八七七六
六ヒハ七七六仙フ柳絃亭唐琴
あふとみし夢はさけてもおもかけはまくら屏風にのこるすかた絵
〆七七九八一
〆七七九八一花作
かへしたる夜の衣にならふともさかさになせそ逢とみし夢
七五八九八一
双楼亭悦気
肌と肌あはせかゝみやみし夢のさめてもうせぬ妹かおもりけ
五五九九ハ一
一望月亭席方
あふと見し夢も手と手をとりの音にさめて小袖のうつり香もなし
五五十七九一
五五十七九一菊香
今あふとみしはまさしく夢にして夢より興のさむるひとりね
十七十一六一
一貯月庵秋調
妹とわれ夢にあふみやみのふとんよのあくるまてねてかたらはや
右正
五一五一十二五
まくらをはゆつりてねしとみし夢のさりてたつぬる妹が面かけ
○
亀玉堂
うき人を夢むすふの神ましてなつかしは手や打ていのらん
渡舟
一五八十五八一
登丸
梅わかの母字たつぬるすみた川たてにはゆかぬわたし場のふね
千社参
武士八十兒
一七十二九九八
石すりに来すり片名や合印はり行札も千社別別
同七五十三七十一
米
とることは及はぬさるの手長はけはるや千社の月まゐり札
鳩礼堂三枝
六七七五七八
子磐破神にまゐりのはけついてもりの庭にもはる千社札
欠S
八一十二七
鈴成
おもふそと書や事ふみにうれしさはおなしかへしの恩○山ひと
七七七七
一々谷三巴亭音成
せん香○立名くるしくおもふみはむこんてしの好恋の手ならひ
八七八五
松上楼房丸
妹のくたとたまして寝かさねはめさへも今宵あはすなりぬる
七七七七
松操台
おもはすもまくらのちりをつける也別れにも又きらすしひれに
七三八十
歌松亭綾雄
かはらしと起請に二世をかけよもりとりかはしたる拍のうち紐
五十六七
不孤亭
もとりしま忘れたまひし扇にてあきもくるかとけさの気かゝり
六九五八
第○尾広持
とり入ぬ門のにしきゝもてかへり猶胸の火をたき聖へよとや
五一八十三
一一煮露飯茶芳
さし合となれる人めそくるしけれあふか薬の恋のやまひに
不尽亭貞俊
五三七十二
幾度もはらはさくれと恋やみとまた気○つかぬ針醫かたてき
琴画舎
七七六七
恋わたる手たてなから○橋も哉あはてわか身のくちもはつへき
内安
七五八七
うらみわむ涙は雨とふる筆のさきからさるゝ言の葉もうさ
三糸楼音吉
五七七八
けふよりは痰といふ字の作り事身て身をせむる恋となりけり
霞仙亭桃人
十三七七
偽りの痰をおさせてとむる時さし込ものは朝日なりけり
花咲菴米守
七五八七
けふ幾日あはぬまくら○ちりよりそつもるうらみの山はなしける
今宵また人をまたせて釣夜着のはたへに打はぬ国からつれなき
七三七十
わかれにし宵のはなしか我耳へついてはなれぬ妹かくちへに
毎時公
兼
第三号
是
木文々舎撰
是
殊大なゝ
松迺屋琴彦
いつとなく世にひろこりて名とり川誰か埋木の名やおはせけん
紫の庭にゆかりの花咲て内裏の雛のはこになる桐
合
五車亭亀山
一塒とか鳥のさわきて暁は風もしらさる落架してけり
大奈に
鬼極て弦道
子は外にやりし銀杏の親木からあまりてちゝのたくおかしる
常養軒糸正
いく秋のつゆにさひてかはりかねもともにはとりとなる作り松
文章舎續包
世の中の人の人も深山路やすくなる杉に弥ちれたるまつ
不老園梅友
跡とめて今も畳の波の上薫りなかりあるの焚さし
雨かたく
文泉舎願湖
一枯葉にのりて流るゝ蜘を見て作りし舟やひらたならん
玉兎園扶友
墨縄をいとのやうにも引出してしるしをつける三輪の杉板
文亀亭催馬
をしむとも見ぬ人のため山守の利をひにまけて折れる紅葉
文景舎汐道●
吹ちらす秋もたつたの川上は筏にまちるやなき葉のはね
五車亭
林間の酒の冬に出大奴の豆腐の紅葉所めていろこき
松林舎縁
一薄気味のわかきにさめのふる様鷺のみの毛もよしつ鷲夜
一竹斎達竹
おやとかとの所きこへたる門口にすたれのやうにさかる青柳
松軒巴麻呂
よむ草をほりつける時桜木にまたもや雲をみするしらせ
小田庵住
邪魔にするもしめの雲もふしもなしこれらや月の桂板も
文鴫舎御老丸
手つさみに庭はく女の袖のみかなかめしたるかせの紅葉
竹繁盛
松杉に茂りてくらき山の端をきりずかしたる三ヶ月の隠
文献たれ美
をりとれる花のかさしによそほひは若き姿の楊貴妃されら
雄風は梅綱
志賀の浦の波には皺のまるの雨としふりて老ぬからさき松
金
吹すさむ風に銀杏のころはぬは実にみつかとのあれはなる覧
金
鴬に宿かす梅のなとて教たちえは人にとめてもとへる
○
一何本かならひか岡の木〳〵のうちに松はちらせの高くみえけり
うめかえの結ひし実よりみる度につの出ることのは猶也けり
仝
香羽滝近
たん寸にもなりてふ桐を配人のみや方路より所引出しける
梅袖香
梅かえを切て茶臼の挽木とは雪にかをそふる人なるへし
文彩舎筆丸
月もかさ召すやめさすやみ心なる花の雪空松の青所う
生花高真名井
霜雪を苦にせぬ胃松は地から生へぬるものにそ有ける
青柳春葉
おいつるを枕にねふる旅人の一樹のかりや松の宿はゝ木
文稚園幸丸
桜時よしのは花のくとりかち邪磨な日傘もいして嬉しき
不尽て貞俊
国や城はけせひなくも貴きさけらひのかしかふくををしと仕し
文政月文反冬明雄
地の下に無間の鐘はしつめともかねのなるきのしゆろの木やこれ
つるみち
太刀は木をもて作れはやけかもなくのもれる人もきれぬ大山
酒酔亭一国川
つゝめとも思ひは胸にみちの出しの門の錦木色にいてけり
丁々高梅丁〻丁〻丁〻丁〻丁〻丁
畳の引松にたれたる青柳の急にはら〳〵あたる風の手
片田舎片言
春秋のひのめもみせす秘蔵せり国の庭の色の色の春桐
臥龍園梅麻呂
さるなめり果は山家のたはこ盆蔵はいけ込炭のくれなゐ
石孤立候柴人
かた山に隠れて所たつねつけるの鼠荒らすひく人はなき
事之事禁候広
高の葉の花や敷らんと板りの板にも風をいとふ桜木
定
切杭にしてもほりても仇し名のえんのされさる榎一平
一度々高峯山
根元にはもゆる岸辺のわかくにに火のつきせうなは柳野
青莚亭繁樹
〆縄の帯させてこそまへりつれ抱てまはすほとの桶
十府浦雄
わらんしを枝につるして力こふ仁王たちなる色の赤松
開元高生也
碁はんにもせうきはんにもたるかやは四つあしの住山に生ひけり
防極丸
進物の魚にしかんと葉をとれは夫よりはみの赤き事天
玉光賀台正
孔明か作る一るより西白し米を自由につけるたちうす
花咲庵米守
そりを打枝にいきつえつき辺の詠を荷ふ庭の棒松
仝
万才か祝ふ柱の松かえはやはり雨もり風まけもせす
文塵園千国
花は白葉は青皮は紫や名にさへいろのあるかはされら
一不老園
紙の外うちよる波も摺ぬらん水に木目のみゆるうもれ木
おなしこゝらを
おなしこしらを文々舎蟹子丸
花のさし木に子等に口かしましやとらんとよれはしうる庭守
当座夏の草文塵園千国撰
糸正
水鶏さへたゝきあきたる紫の戸の朝寝を思ふ昼顔のはな
貞俊
一所はしく経伴の名にしくたし書に背中をぬらす藤草の落
弦道
風鈴はよし申なくとも軒の端へつるされてねを出す虎耳草
おなし心を
姫とよふ花合のかたへに愛らしきに蝶こそ女の童なるへし
兼
る
火文々舎撰
一段大荒候
袖香
空たきの香爐の火にてかけ物の石このけふまはたえす立けり
松美等丸
いゝに代もかけす崩れぬ神垣やかねの燈籠に石の燈籠
亀
かんてこの火の照る国を中にして廻り燈籠の手は足長
大慶候
大なほし五今彦
焚つけるけふこの雲に覆はれて見えすなりにきほうろくの身
一一一、、
梅
ふすも火にくのむせふは出しやと逃なからはやすやうな蚊の群
一便々察原成
器おろすさまこそみゆれ腕くの腰にくら方のさけ火打かま
梅テ呂
つい松にはゆるもかたと雨かり川所れさへ残の光なりけり
直
蚊柱はいつかくらけてなすへ火のけふりそ跡にふとく立ぬる
千
緋縮緬むさやひとんす緋虎の子と言髭子々の妹火とし
合
取めたし
都皃のうつふ作りか硝子のほかけも蔓のいろに立けり
貞俊
貞俊
腹よりもあたゝまる火の勢ひにこゝくやくらの骨もゆるめり
弦尾
かふりをはふりてゐとも日かと母と去らづかそのかけの燈火
梅友
門錺とんとく焚もくらからぬ御代の印や夜半のかゝり火
めるく
仝
無仏なるやみてらせ込や昔誰かまふ高野の孝のともし火
海老丸
吹風の雫さにおこす未炭の火火鉢の龍のつかむ玉か舟
ふら風を気にする女か晩よりも手のはたさのぬ蚊遣火の元
合
榧
烟こつ賤か蚊やりのもえしさりさきからしらす短夜の空
糸百
ともし火に座敷のするもこゆる也丸行燈の身のさやける
仝
吉原や軒の燈籠の虫のみかとんて火に入客もみえけり
杉綱
一植木屋か室の工風はこゝならん瓦燈にせける燈火の花
仝
いと方ある大宮人はされら座いけし火桶に手やかきて鏡
汐道
かやり火のけふもの雲に唐紙の黒土絵の龍もうこゝおもふ
縁
煙草にもあきのすゝきのほくはからひのなくなるを告る山寺
仝
秋の夜の淋しきうへに淋しさをくはへてみする遠水狐火
桃亭柿人
一中の花の遠見の客に山里はいまた土也去を出すと相
冬の夜の更りまゝに埋火にてかれてさふ芽灰の蓬霜
全
文学ふ窓にかゝりてこゝろをも参仕へちららる故ともしひの花
原金
常やゝか代々ふりぬれと曲国く堂燈明のいまにてらせり
杉
うらはを万なひの恵のあかりにはひやうそくの火所あらるほしけれ
淡包
一旁せるして彳む人を立退てたはこの火かといふたとり成
同そ
万とひ来る蚊をも風にや散すませ梅をりくへし房の髪は
巴テ品
小夜更て妻よふ鹿の啼ころはほそりて淋し目の燈火
七
亀山
心よし寝れは沈茶のわき出てもえゝつけふりしめすまわ
仝
もえあかる蚊遣はすて寝乱し貌うきからす袖も女気
幸丸
一篝火の火首吹風にちらしても四か手のあみの魚は逃さし
仝
夜をくさみ雲はしたいに続る頃きえんと所する因の燈火
狂文とそ芝
左
さくら朝やけは雨るらん吹いのし風に咲ぎる花のえたすじ
かせの手にふれぬ夕は紫舟の香のそふり世梓にたちけり
春繁
ひら〳〵と風になひきて短冊も赤うめにたつ軒めてうちん
菊
下ち住ひてくるしき国の胸の火か只ひとくゆにもゆる行燈
国
ともし火に花させんとおもふゆへいけて火程を囲ふひとりゐ
芳
をあそひの跡追ふ子等の外にまたこつけとなりぬ火打石鎌
米
をもりとはふたにつるして刻現を油にはかる時計行燈
打とめのの花火の音の地響にくれかゝりし見物の山
仝
水鏡高楼景
もえさりも花よほ〳〵と落にけり白魚すくふ舟の三冊火
片
かせかほる夏の国の風呂の火は春におくれし花のもた広
みよしのゝよしのゝ里はたはこさへ花に愛相のさくら炭の火
お事しみろを
童子九
蟹子九
墨となる油烟の手前はつかしやまなはぬ夜の燈火のかけ
当座秋の虫不老園壇
中座秋の虫不老園撰琴彦
十三日
虫の音をしたへはしたふほと遠し逃水をしもまねる武蔵野
同
ふるはさる羽をふるはせて夜毎なく声にもはりを持し松虫
前守
ふんはりしあし細かりは壁にはる鳥羽絵のさまに似たけり〳〵す
糸正
一石地蔵草に埋みし片辺り鮮も大きなえん雨こほろれ
持時八
おなしとらを
梅
梅友
画
次第二
公文々合撰
尼太兵え
る
米守
あらしちのよちこひ酒に酔ふしてあるしもとらのやうに也けり
道柴
書文子の井の字に点をうちひさすみやこゆき所としつの井
千国
蔵すりの空かとみれははき原つとなひたる子の袖のあかつら
梅沢
たましりひとつはらゐはいりへんあさた作し土のく形
同婦人
柿人
おもはさる故郷の人に行あふてはたと手をうつなつの山彦
沙道
一本の大黒はしらめあてにて土もてつくる乙鳥の御東
右
海老丸
めさく
つゆたもつきくのもやうの皿にまた薬をなかす瀬戸の焼物
新満
むら雲の袖かし出たりかくれたりさてもちいさな不くの紫心
あること
之国れふるおとにまかひてこし張のみのにさら〳〵かゝる砂壁
二絃道
あらか子のつきしのくもていちとりし筆にもさひあらゆる手立
梅村
上ぬりにさ石の姫をみかけは申馬にもさけぬ若の鉢走
千五
千国
多くにを植る門田のひた公は御代の貢の夜にさりけり
不孤亭紫人
久方の天か下なる江戸にてはあら今になるあし木田の土
琴彦
めてう
岡川のよりあつけれる海ぐちは瓦の皮の所々にしつかり
一逆鉾のしたとるいほふにむつましきよたはしらより地形かたまる
梅麻呂
うくちもち哥よみ鳥にさたすなとうこかしてけりあら今の土
米守
武者ふりの人形となりてつよさるは大橋の所たつ畑のあか六
糸正
文学かこふしにも似て瀧ちかく土をにきつして生ふる背狗
梅綱
餅になる種をまかはやうねかへすねはりけつよき苗代の土
読包
古し一のけふりをしるいま戸やきふしみ西行となる土も有
春照
つき山のかたへに立て落かゝる三ヶ月形のたをやめのくし
草丸
白壁とやかてなかへきあし代の黒しめてたき花のあら打
花源楼菊戌
飛鳥山ふもとになけし。かはらけは根をかへり行蔵の面かけ
幸丸
幸丸
くみ所むる酒ものきはの梅かゝもまたしくらぬと所の土器
合
その日をはくらしかねてもうさへにはほ所きけふりを見て丸印
亀山
かはしけにつはさのみえて咲つゝく花の木の間を飛鳥の山
仝
かたおかにわらひをりくゝ長居してつゐ弁身の飯にうへけり
立大阪
文斎万多枝
きはみたる色とし。いへとあらの立升も金の大江戸
杉の門矢樽
きし耳のありとしさけは壁土も上ぬりをせよ口なしの五
せん
くさも木もそひしけりける者はそもふかさつもれぬ母紀の土
葛豆を赤下手
はるもやゝきさしきからは脊をほしに日向へ出る水餅のかき
おかしみちを
同一一
ゆ
一段大井丁
一蔵魚龍蔵潰
蔵
愛う彦
下ないたれつゆしこれにも紅葉していろも布川の蛙の切上分
糸正
大右衛門
一夏大神おろしに鰹のつくりみは卯蔵のはるの桃の衆宿
おなしみちを
梅テ呂
漕出して浅魚つか中の舟にこそ大きな口の客もあるらめ
村大慶へ
甚
る
達文々令提
みちしは
西行も鼠ころもやめしにけんきらよせ給ふしろかねの結
一段
幸
大和し
おもひきやいはぬ水なることのみかねかんをなく世なりとは
千国
咽の方はかたにのゝりて社も猶とては寂しくなき小判か事
菊成
老となる万仁も仕様のたしならに月をかたとる図のすかた
立道
一大内の詮殿介もやつかふかんとも申の計は名かへゆかしき
右同断同同同
一暁に入れのかられしまとうさつきませるこひの山寺
琴彦
さくの花草さみて入したここ入なものにうるしちか子の落
同同同同
世田をはほもしきらがの雁亭の雁は名の名のみにやつるふ身から
霞
みち也は
ふうきはしと世におもしろきことはあらしをとに多となる心
河村
一暦ものとへるとかめ所なあみあるは。守へて世頃。関の孫以
まくなり
うなか香をかるくも風にのとて出す扇たけなれ客の大鏡
梅村
山なの花ぬすくをのる時かこゑの大きな入水水かね
立し舟巻糸道
つかふてもしもにたりき出。天くさるほとある絶資のかね
治しよひつ代の夜のものなこんちかしとのくちのつゆの袖
金
公
あせの出る手をかくしてもしゑやあとはせかに帰に縄
きかれて往来の人も立とする鐘師こそ世にひゝきけり
巴ケ谷
寒念仏くらなき煙のこゝろよりうちならすか事のおとさへてけり
幸丸
幸
いはにあて日彼もこかねのうなるかと聞なたかへそ儘渡のし間守
廊の染木
契情のなしみをむすふその夜にはかすのこかねの床花そさく
升成
かなものゝ是も手際やふかふたる毛ほりも白のむくのえのみろ
梅糸
はら〳〵とたまつたつゆのしくれかま叶ゐの空とやけはみ帰り
貞俊
あけぬとてにけ行やみを遠くにて追はつかやとなあかつきの手
鈴浦
与頭
病人もなくてめてうくさかふ家にこかねはかりはうなりこそすれ
案人
此
十寸かゝみかねは女の魂と事天にみるかすめたましゐ
一同勝屋綿高
かね輪はますみのかたうらにたつ銘にもしかき天下可な
琴通金黄賀
切りはんぐかかたきの世の中もへり打ある南鐐のくり
弦上亭馬薬
出馬の儘も手ゆへにくまれん飛みる人をちらすいり相
あん丸
へくせは下からあけて下からは疵へおろす蔵の鈴前
柚
しんほうふかね合もよく廻りつゝわたわたちのはかたこまかな
うつくしくみかき立たるわもも子か手まめに光るとらころん
て
余人
陰奥の山の地風こゝろあらは晴てもかの花ちらせかし
志賀寺のか事のひゝきや水に入てさゝなみ立るにほのうみつら
海山
とし老し夜のゝめにて味そをなる柚中こか事の炎に久てき
原成
一価にはへこみの見えてこゝたらぬはつふしまししやかんかん指
直道
一交り次第二子の位おもけれは賃うちてはかせにさへとふ
油高
わやしいふ子も手習の師の恩をおもくそおもふ金の文絵
糸正
つりあはぬ重き歌をかよ〳〵とてうちんに弁つるかはんてう
一
ほんのうのようれにつかふ叶のためかねを煮てゆにわかす海蘿
水のめくつかひ聞てねはさぎ出てたる物なるにかねしろね
廿五月十七浦
つめに火をともつなれとも金銀をのはす御伯中をらふ焼ても
一大浜の側にしてて朝夕のし同町たにもしらぬ徒か事
いはぬ色の小別のはしのをなれは所につはかて望むすへる
〽ふかそふ時はすへりてなか〳〵に小はんの位おくのられされ
風の手から手にとるやうにきこゆうん下へはおかぬつり手のおと
殊大工夫へ
こさめきし息吹かけな十寸鏡
月のさはりもえそしらぬ子は
不孤亭
二十五匁
吾妹子か周子まろめる手つきして
鏡の月に秋の夜化粧
有芳舎
大慶へ
一同文々舎
手弱女の鏡の月のかつら男に
美男かつらは一対の友
栖鳳園繁蔭
手福めか畳にこほす白粉は
むかふ鏡の月の雪解歟
文毛舎高根
をしめとも鏡の月の傾くは
妹か額の富士の山かけ
ほんのうのようれにくかふ時のためかねを煮てゆにわかて海物津
水のめくつかひ聞てねはさぎ出てたる物なるにとかねしちよ
つめに火をともすなれとも金銀をのはす御侍中をらふ城ても
一大浜の町にしてて朝夕出し同時たにもしらぬ続か事
いはぬ色の小洲のはしのをなれは所につはかて気むすへに
数かまふ時はすへりてなしに小はんの位おくのられされ
風の水から手にとるやうにきこゆうん下へはおかぬつりかねのおと
殊大慶へ
こさめきし息吹かけな十寸鏡
月のさはりもえそしらぬ子は
不孤亭
□□□□
五十五
吾妹子か周子まろめる手つきして
鏡の月に秋の夜化粧
有芳舎
大工郎へ
同同文々
手福女の鏡の月のかつら男に
美男かつらは一対の友
栖鳳園繁蔭
手約めか畳にこほす白粉は
むかふ鏡の月の雪解歟
文毛舎高根
をしめとも鏡の月の傾くは
妹か額の富士の山かけ
めてみゝ
不孤亭
雲と見るたはこの煙吹はれぬつかふ扇の富士下風して
鬼拉亭絃道
黒き日はゑかきし松の枝迄もさけて扇の風たゆむなり
千本花香
戯ふれにあふく扇の嵐には破笠なる軒の蜘の巣
、
玉煙舎呑吉
吹はらふ胸のけふりも薄衣の袖に母衣うつ扇涼しき
栖鳳園繁蔭
風につれて扇の雲も袴腰の不二のあたりをさして晴ゆく
一丈帯武
哥骨牌木の葉のやうにちらし書扇の風や嵐といふらむ
経田長興
岩をもはらふ扇の嵐にはたはこのけふり消てこそゆけ
須磨鈴舟
すゝしさをまねく扇の風なきてたひらになりぬ活花の舟
蝙蝠庵
蚊火あふく扇のあらしはれて後坐敷につもる灰の白雪
小松名種
たえかねてあふく扇はあつかりし雲吹払ふほとの嵐そ
柳花園
あつさをもはらふ扇の富士下風空にしられぬ爪紅粉の虹
市門仙裏波
田楽をあふく扇の風たえて空にしられぬ雪そつもなる
兼
糸糸
鏡臺秋月春江亭判
殊めてたく
題
名種
目にしてむかふ鏡をよくみれはいつしか妻も老となるもの
北窓袖雪
髪さしの竹や松葉の毛筋立鏡の月の雪の下折
長興
影うつすうしろ姿の黒髪はあはせ鏡に月の夜烏
順風舎真友
一曇なき鏡と妹か銀むねの櫛は三日月望の夜の月
陸奥真金
髪ゆふてうつす鏡は月〳〵に月みる月の月にかつ山
めてたく
鹿宗別
一曇なき鏡を秋の月にして松にみたての妹かさし様
仝
月と見てむかふ鏡に美しき髪のかさりは秋の草花
可宰寮
夕化粧むかふ鏡に黒髪の山の端てらす月のさし根
織長
くもりなき鏡の月にむかひては物おもひする妹かいも顔
琴彦
琴
石山の月ともめつる鏡台手水たらひは琵琶のみつ海
繁成
かたふかぬやうにたてよといひなから鏡の月にむかふ手弱女
鳥玉子
女郎花それかとまかふ毛筋立みゆる鏡は野辺の月かも
袖色房
月と見て入かたをしむ鏡には額に富士のなかれとそ思ふ
織長
手釣女か櫛の蒔絵の萩薄うつる鏡はむさしのゝ月
綾紋
影やとす鏡は月のうら表花かんさしも露の白銀
木綿糸丸
浪の上の月とや見らん天井の板のもとめのうつる鏡は
鈴舟
月と見てこゝろをやらん我宿の須磨もあかしとてらす鏡は
花香
おもなかな絲瓜よりかはます鏡うつせはうつる月の丸顔
後註文行丈
月ならは一夜あかさん吾妹子か鏡のふたを鳥うたふ迄
積善舎阿丸
源氏窓さしこむ月の鏡たて影も化粧のみつ海にうく
幽玄亭直道
邪魔になる松葉かんさし取捨てむかふ鏡の月のさやけさ
柳花園
一鏡臺の月の桂の鬢水にへちまの水をもちひたらなん
の
欠S
S
呉竹亭深藪
さしむかふ鏡の月に手弱女の眉の山こす雁金額
市中館早業
桂男に心ありけんうるはしき月とみはやす妹か鏡は
小舟亭計
ます鏡これは待宵十六夜の中秋に見る月にそ有ける
檜原亭萩尻
中秋の月とめてはや鏡たてへちまの水をとりも直さす
芳野春里
月よ月よくもりのとれしますかゝみみかくは秋の稲たはしにや
象戯業久
望の夜の月かも妹かますかゝみ髪のかさりにかけたるはなし
庭鳥勝時
はれぬ間は鏡を月とすまの浦けふも松風村雨の空
おなしこゝろを朱楽舘
雨なせる汗も扇の大風もともに吹やむ湯さめ涼しき
不孤亭
鬢水にうつれる月の姿見や鏡の裏は風もなきのは
可宰寮
座につくとしはし扇の嵐して後は畳の声もしつけし
松風台
前髪の山も鏡のうらみなれ隔つる秋の中利の月
○
○春江亭
風あらき扇を菓子にとりかへてすくふ池筋の手遊ひの舟
仝
月と見る鏡に木曽のお六櫛山の高きはうらみなりけり
富坐案山子松風堂判檜原亭萩尻
諸鳥はおとろかせとも秋風のふけは飛さうな案山子也けり
菊
「花
題花
花蝶遊園撰
第二
是
十二、
便波亭
下枝にけして手たしをしをるなといましめておし庭のさくら戸
薫風亭都南留
一枝もくれかぬる日を客人のをりかけてくるはなもりかやと
要々亭未広
哥一そよまんとすれと一口も花よとちたるをはつせの白
ナヽ
佳遊亭春人
きもひらき花もさかりとなりぬれはちらすな風よふるな春ゝり
赤松亭藤波
さほ姫の霞の袖に吹とめて匂ひさくらの花のはるかせ
春潮亭梅久
まくら咲すたの堤に酒汲はすかなにもなる花のしらうを
青松庵元住
さほ姫のはれきの衣の花染はさくらにうつる春のあけほの
おなしこゝろを朱楽舘
雨なせる汗も扇の大風もともに吹やむ湯さめ涼しき
不孤亭
鬢水にうつれる月の姿見や鏡の裏は風もなきのは
可宰寮
座につくとしはし扇の嵐して後は畳の声もしつけし
松風臺
前髪の山も鏡のうらみなれ隔つる秋の中剃の月
○
春江亭
風あらき扇を菓子にとりかへてすくふ池滞の手遊ひの舟
仝
月と見る鏡に木曽のお六櫛山の高きはうらみなりけり
當坐案山子松風堂判檜原亭萩尻
諸鳥はおとろかせとも秋風のふけは飛さうな案山子也けり
上
導題
花蝶遊園撰
題
十二、
便波亭
下枝にけして手たしをしをるなどいましめておし庭のさくら戸
薫風亭都南留
一枝もくれかぬる日を客人のをりかけてくるはなもりかやと
要々亭未広
哥一首よまんとすれと一口も本にとちたるをはつせの山
ナヽ
佳遊亭春人
きもひらき花もさかりとなりぬれはちらすな風よふるな春ゝま
赤松亭藤波
さほ姫の霞の袖に吹とめて匂ひさくらの花のはるかせ
春潮亭梅久
さくら咲すたの堤に酒汲はすかなよもなる花のしらうを
青松庵元住
さほ姫のはれきの衣の花染はさくらにうつる春のあけほの
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
此友画抄
十五、
朝霞楼駒成
盗泉の
水はのまねとしら波を
はなにおふせて
手折ひと枝
十四、
桂影舎雲行
からかさを
便貢舎
苅穂
十三、
咲埋む尤の
深雪はふまね
供にもたせし
とも
くもりをそへし
言訳やふみて興なる
むの一枚
から歌の韻
十ヽ
朝鳥通路
さくら見てくれなは山の下かけに花のむしろのかり寝もやせん
旭列成
すくれはあはせかゝみの山さくらさかりうつすなはなの俤
東海庵杣人
影うつる志賀の都の山さくらむうちよせしきしのさゝ波
一
夕涼亭藻と舟
山守のいとふものから汲さけもちらまてくれよ花の下かけ
水鏡亭藤影
花折しわひのなかはに後からつき出したる入相のかね
一秩父ノカミ水清地楼影
生酢のあしよりも猶咲花の木かけにたるの先ころけたり
上毛大胡蓬莱舎舟路
折とるも孝のはしなれ留守居する父へみやけの花の一枝
八日市雲通路
手折ときおほふさくらはたをやめかひ給ひめふしへ時もらぬ雪
上毛大胡尚雅固
口ともようしの角たるかたむきてかねにちらたる花見友達
朝鳥通路
はらのものこてふの夢かさく花に同し心を結ふたにさて
うめ久
海棠のねむる頃よりさ九郎花夢見艸とやなつけそめけん
仝
花のいろさなから雪てみのあふみ夏をとなりの庭の桜木
俵数亭杉成
もろ人はのこんの雪とみねの花ひらいぢめんに花のましろさ
文顔亭元成
ちらさしと思ふものから汲酒もひしてつけ花のじかけ
ノカミ氷清地梅影
九・
吸物のふたをもとれば影うきて料理に花をひたすこの元
更神庵月吉
きのふけふうつし植たるやまさのらはやさとなれし花の俤
古今亭三郎屑
九楽評十五
足元はたとへしとろになるとてももうろとはせぬ花の生酔
希花園
てぬるさや女子はまゝをまろけつゝ花の雪見の雪こしせり
千樹園株材
しら雲とゑひし花のうたかひははれても枝にかくす夕月
うめ影
吸筒もはていまくらの夢見草花に酔ふたらふせいなりけり
もとなり
そよと吹風はなはさらよみこたをかきちらすさへいとふ花守
カシマ自列亭南山巣
いつく春もふてんの下の桜なら花の王土にあらさらはなし
八、
酔花亭山文
色也ぬときはのもりも此頃は埋む計のはなの大巾き
陶々亭催高
三
一見渡せは柳のこしのさくら持都女中そにしきらさる
唐土庵金鍔
千金の春の風にひとつゝみ咲つゝきたる小かね井のはな
柿のや種人
さくら咲日はうな亦当たりて山はあらしの花のしら波
楽許十五
便春亭服成
初瀬寺蔵にいて夜かこもりうた里のみやけに一枚もらはん
雪中園花月
雨風をいとふ思ひにうた人のひをくたく花のこそと
智亭素袍
のみしまふ酒の名におふすみらい川あきたる程に花を詠めす
沓々園形芳
見る人もにきあふ花に雨風をさけよといふてひしく吸つゝ
玉川舎飛井
手折手にかゝれる花の露落てきもやはらける熊谷桜
表具亭粘末
浮世にはせはなくくらす此賤か花には人のしらぬくもあり
同便々軒
八ヽ
もたせたる三味せんはこのろいろかもまき絵をしたる花のは数
銚子亭喜陣
一分行は住仙人もあるやしんみねにきを吹花のしらとも
秩父ノ力ミ多留家内喜
谷深みかにはさ九らの花見れは春ら友とにはさまりて咲
同小坂道守
小坂道守
白〳〵とかしらは雪のうは桜こしかゝむ程花のまさかり
同日蔭建咲
盃の中をのそみし小さくらの花のかんはせうつしてそみる
一同山路真判
同山路真利
ひとつらに匂ふさくらのよしの山花の雲井をかりをてゆく
上毛大胡硫書莽麦川
千金の椀月夜の影そへてかねにけんこな此寺のはな
亀遊亭見際
よしの川うつれる蔵はさもなれとひとへを八重と見なすまひ
同
どもきふの宿さへ尤のさかりには思ひの外に客そとひてる
八日市雲通路
飛鳥山くれなは花の雪あかりより候もいたき石ふみの元
信松代蘭薫亭
待わひる人のくさめそうへりけんやうやく口もひらく初ぞ
木琴亭音成
朝な夕な烟もたえぬしつか家のせと口ひしく花の此頃
便雁亭文頼
弁当は相かはらすのにきりめしちらしにはすな花のまさかり
有功華内成
よしの山花見のむれは鎮守より老若うおふ蔵王権現
便三亭友好
あてもなしたつぬるふりに一枝の雲をつかはし花見友とち
飛鳥岡万里人
人目にはあまる千本のよしのやまつもりのしれぬ花の大雪
八ヽ
微笑亭花成一
気をきふ花のさかりに見物のちりてきようなき山もりかあ
〃〃〃〃
しるしせし梓はいつしか埋れて枝道しれぬ花の雪国
蘭島北友
我たまのてふともならん夢見草栄花に結ふ花のたにさく
不二亭鷹音
思はすも吹くる風にまうせんをかさしてしのく花の朝露
品川亭濱丹
やへひとへ咲みたれたるみよしのは枝につもれる花の大雪
哥のや真萩
其みたつ外へまわらぬいひわけの手あに折し花の家へて
便々窓
よし原へ行きのありやなしやとはすたの花見ようくれし人
東雲屋鶏六
北風はわけていとふか生酢の一しうりをよふはなの下かけ
春人
のとかさに思ひたつたや中の山皆さそひくる花のこの頃
藤波
咲みつる花の雪には山守り胸をひやせる風のはけしさ
陵園解保
下戸なからめつるあまりにちと酒とあひたきやうな花の泉路
川辺斧黒人
かへるさををしみてこゝにいつふくの火なはもしめる花の夕露
眺江亭満方
白妙にかすみの帯を引しめて花の姿のけによしの山
文面舎年雄
幼子のやうにこひつゝ諸人のちもとをめくらみよしの花
柳花笠
花に凡いとひなからもあいさうにちを吹付る茶やの土竈
常盤枝丸
時ならぬ枝につもれる国雪を見れは桜の花と拝たり
は、
杣人
名も高きよしのゝとはつる東路の花の上野の山さたら哉
雪遊舎万丸
雲もちる入相頃も過て又月の出て見る花は一しほ
此君亭素直
大雪と見るとも鰒はゑんりよせよむにはてふの多き此頃
真実亭有升
名にしおふ春は路のすみた川堤によする花のしら波
遊蝶服花雪
〽おしなへて谷間もわかぬさ上の花今そ峠をみよしの山
呉服亭ノ袖形
名所の多き中にもわけて又しらぬ人なかみよしの花
たか音
名にしおふ其名も高きよしの山くすは見えさる花のまさり見
一次鏡亭梅景
道つれにはくれたも又よしのやにいく度花のおくをたつねて
地口ま坊鈍
花咲てつかひおこせし山里の風の手かみはなしてもおけ
一同一位之窓
中〳〵に酒をやめすは山されらかへるきのなき花の下ふし
元住
尤さかりきようにしよらして酢ふせは風を得らひて起す友うち
もとふね
花の頃りも山家もへたてなく夕日をてらすみねのひ桜
藤影
此頃の日よりくせそとあふひけはちりけは見えぬ花の真盞
花酔亭三千歳
春風か雲をはふけとかゝ見山くもりかちなる花のこのこのもと
旭待安
咲句ふ花にみとれて入相のかねもつかせぬ春の夕くれ
同
みよしのゝ山はさくらにうつもれてたになき花とひとやみらん
広
ホ広
えり路をしめは袖になみた程花をつたふて落る夕露
同
みつきものゝ雪と見まかふ花の頃よしのあたりのたけの賑ひ
梅文
つき山のふしの向につゑつきて西行桜さきにけらしな
丁々亭柄同
咲初しさくらの花のわたはらしかふる次あをみかいもせ山
もともと舟
雲井より其名はたかき小町ともよひたきさまの峯の初花
同
あいさうもしらぬ山家の妙さへもことこをかさる尤の此頃
飛鳥のあすかの山に咲そろふさくらや花の王子こんけん
棟樹園材
をらるゝをいとひやすらん同程はとりとこほす花の刻露
雲行
花の外常淋しさに見物のかへり風をもいとふやにもり
蝶雌園羽袖
雪なりてよしのゝ山も土と目にはまはゆくみゆる花の真盛
同同猿楽戯気
木のもとに思はすうけし昼へうつる桜は酒中花のすに
余花楼白根
貧しとよしやみるとも中〳〵に尤にはおとる女ひとむれ
直安無苦労
よしのみり花のうへ共は名に急てゝ通用のよき土地にそ有て
○
唯心多美女頼
花の山かりくらしたるたはこの火きせるも見れは皆桜はり
蝶遊園
土を目にはたゝ訳もなくみよしのゝ山をつゝみし
花のしら雲
蝶遊園
花のしら雲
当
夜波亭判
至官女
全
十三、未廣
未広
十三ヽ
わらかなかたちには似すしき嶋の道に達者な小町小式部
ナヽ
坊純
まはゆくも見ゆる雲井の女房は月のますみかさすひあふき
同
秋風に雲のひんつらみたるゝは月の都の桐つほの女御
夜々軒
月花の外には友のなしつほや哥にみの有いせの内侍哉
便々の
久才の雲井やかすみこすの間に顔のふしの見ゆるによらむう
便波亭
○
よこされしみのぬれ衣も洗ふたる双紙にやよき名をして
残しけん
欠S
追加
追加蛍
蛍
松代蘭薫亭
八、
草くちてなりしほたるとしりなからうかとみて居るをのゝえの橋
納涼
十二ヽ
古麻呂
一秋風をはらむゆふへは竹婦人そひ寝の籠もさめてすゝしき
商人
よみかけしふみのしをりも吹せりて夏秋の期もわかぬ涼しさ
杉成
源氏窓ひらけは風に手習の草子も飛すなとのすゝしさ
黒人
風の手の袂に入りてかけ香の匂ひ吹ちるあたりすゝしき
藤薫亭
ひゐりたる団扇の首に雪折の竹のすかたもみへてすこゝき
十二、
通路改
八日市
芦の瓦押照
秋といふなき名おほせし夕瓜にぬきすてゝおく汁のぬれ衣
春人
十一日
一勺ずゝみ身にしむなり冷風にうすき衣の肌をひやしろ
梅
一銭くらの廟か谷はなつの夜のすゝみ所の骨にやあるらん
呉竹
吹おくる風は秋にも鳰とりの浮すにすゝむか茂の川茶屋
夕くれはひるのあつさのねをたへてうき草さそふ風のすゝらさ
ゆふすゝみ秋もいつしか隣にて咲くに風を松の下かげ
一藻の花を吹かたよせし池水に宿かる月のかけそすゝき
洞岸亭芳翠
ナヽ
すゝみ舟はるか向うをなかおれは虹とみへたる夜の両国
梅
ふと初にあふくま川や夕風のすゝしく咲て夏は起れ木
同都南留
すくしさはたもつ雲のはしかゝり秋に似顔の月のくまとり
古麻呂
はしゐする風に火入の灰立て袖うち払ふゆふへすゝしき
戯
青すたれ風にあふりて夕月をまぬくやうなるゆふへすゝしが
桂
くれはとりあやにく風の吹絵かた思はぬかたを染るすゝこれ
同同〃〃〃
また秋の風はたゝぬと持舞桐の一葉と舞ふてすゝしき
服成
夕月はむすふ泉に影うきて秋を手にとるやうなすゝしさ
同
不行儀な下部はましよめつき日に奴豆腐の酒はすゝしき
藤影
十ヽ
よりそひく木かけは夏と思はれすしくるゝ声の蝉そすゝしき
便之陣人
一牛ひきつかへるゆふへに滝しふきかゝりて耳をあらふすこき
三郎の
かはほりと思ふ扇のうこめきて柳の下にすゝみとる見ゆ
便々居
一夕立のはれ行あとの葛合羽うらをみせたるゆふへすこき
夕たちに茶内をさせて跡よりも庵へ入りくる風の涼しさ
胡蝶
雪水にさらすこゝ路のうす衣は身のちゝむほと風のすゝしさ
中に
ころり寝もするほと風のすゝらさは琴の音かよふ松の下かけ
山文
日は西へまはり仕掛の夕すゝみひるのあつさの引かへし幕
数益
みそき川月もくゝりてはや秋のかたゝろ残すゆふへすゝしき
□□
水に月うつるをむすふすゝしこにひるの星さも夢のうき橋
末広
夕立におひまくられて暑さまて逃口上とななかすゝしき
同
桐の葉のことくにつかふ扇迄吹取て行風のすゝしさ
元住
夕風の出しほに水を一になひ打てかはりし唐のすこゝさ
杣人
同仙人
鳳来る峯の薬師は夏の日も秋葉の風のかよふすくゝさ
元成
あしここゝほたるを花と水豊瀬川吹ちらしたる風のすゝしさ
九、
都南留
袖笠の袖しも給ふてふさゝかにのいともみたるゝゆふへすゝしき
九、
隠栖
雲のおくかこひもしめぬ山住はきまゝに風の往来すゝしさ
白根
花に仇とすはにくみし隅田川恩にてかへ有風そすゝしき
荷穂
竹ふ人なとも中〳〵及ふまし風をたき寐の舟のすたき
一文と札の付たる風鈴のぬもたかくなかゆへすゝしし
山のすそ吹まくり行すゝしさに萩のみへたる夏の夕風
筑波庵
烏よりさきへうかれて出たるはすゝしき夏の月読の森
羽袖
一蚊やり火のもへたつやうなとこ夏の花に露もつゆふへすゝしき
万里人
狩に出し猟師か妻は昼もそへ水鉄炮をはなす涼しさ
}
八八
角丸
風に葉のすれあふ七日のすゝしくてさく夕顔や雪の一ひら
跡成
楽評十五
蝦瓜となるまて風に吹れはやかまほこなりの土手に涼めは
同十三
梅久
此あたり風のすみかといはまもる水の音なひきくもすゝしや
藤
わか家をは蚊のうるさゝに立出て月にさゝるゝゆふへすゝしき
戯気
戯
すみ田川すりあふ舟による波をあひせられたる衆涼しき
一露の屋
秋風も今出たやうに扇もてこりいろつかふ夕すゝみ舟
和心亭武喜
みそきするその川面に月のわをくゝりて涼し橋の下風
梅時
涼しさにちとまとろめは棹迄もねかして舟をつなて橋杭
八、
千枝
松かへに出すひし笠も暑きをも忘れてかへる客すゝしき
列也
すゝらさに舟もよりくる両こくのはしの袂の夏の夕かせ
待安
秋風のはやかよひ来て夏虫を吹かへすほとゆふへすゝしき
花満
一あつき日の袖の汗をもはらひけり佐のゝわたりの夏の夕風
梅風
涼風に波をたゝせて水鉢にうかむ出しほや月のわ柄杓
夫
つすゝみ舟のもやひの縄きれてひやりとしたる夏の夕風
一夕すゝみひとへ衆のはらみしはこや秋瓜をうみ出しけん
胡蝶
つとひ居てうはさ咄しの人の口戸めたてられぬよはのすゝしさ
五
筑山楼雪守
露むす一草の鷹に陥田川あつて流るゝゆふへすゝしき
筑摩度黒王
さす汝のひに暑さに引かへて川瀬の波のよるはすくゝ
山見
くつわやかそのそささきのすゝしきは花芥ちらす夏の夕風
築地庵道好
わか鷹は林のかけのきまゝにやゆめをもむすふよはのすゝらさ
奥住
はしゐしてひるの里こゝを打水にわするゝ月のかけそ涼しき
好水
白波の玉ちか志渡のうらすかみひるのあつさもとりかへす風
山
三日月の舟もはしるか影うつる青田の波のそよくすゝしさ
坊堤
風鈴の銭にも波のみゆるよりみなとやあけて涼みとからし
八
藤新
一打水にぬよりく庵の夕瓜は秋もはたしと思ふすゝしさ
光
はれし夜の月の出しほに棹さして暑さ忘かしら涼み舟
サノ松林堂
此節ははりたる縄も切てよし鳶のぬいるしよはのすゝくさ
桂
打水に星さりすれてさし猿も鬢をすべりし風のすゝしく
柳花園
軽夜を夜食くふたるそのまゝにうしになるまてついすゝみけり
素袍
いつたんに風かおくりて川水の月をさわかにほとの涼しさ
杉成
ひとしきり星さも雨にさるの刻露もてすゑをつたふすからさ
喜丸
船つなく川のなかはのすゝしさは夏と秋との両こくの橋
六
音成
よき風にたちまち酒も三升と四条河原の夏の夜すゝみ
同在〻便─楼空音
花のころいみにくまれし都もせすゆふへとひくる風のすゝしさ
一伏科
筒の音にいつか星さを忘れけり川辺の風のふくにまかせて
同二升
るしすわらひゝ山のもとよりもまたふき出す風の涼しさ
夏の所の更るもさらにしら川や舟てき出すもふへすゝしき
藤三郎
桜にはにくみし風も縁頬のはなにふかるゝゆふへすゝしき
仙人
一吹風に波のつゝみやうちかけん月の児もをとか涼しさ
花成
やらなくてふるかとおはし気つかへは松よりはこふ音のすゝ風
八
都南留
は
浦の名の是も扇のはこかたに波もたゝめる風のすゝしこ
一重々行改二十一岩七十六尺
舟おらひ芸者の中へ鼻紙をまきちらしたる風のすゝゝさ
飛
蝋燭の火を碁盤もてけすよりも風の中にあふる涼しさ
さきしとき雪とみへしもことわりやさてもすゝしき紫桜のかけ
山文
農業に汗はならせと流してはたまらる稲もなひく涼風
三歩屑
川ふらて水も流れて通り丁門なみそうつゆふへすゝみ夫
駒ならて夕日のかけにのり出して風にむかへる舟のすゝしさ
末広
一掃除して水うり庵へ五風の案内もなしに通る涼しさ
七
三千歳
一挨拶も出来ぬはかりの星き日に通りぬけする風のすゝしさ
駒成
半台に波やたつらん商人の鯰呼声のゆふへすゝしき
清流亭瀧波
すうきは酒あかりのまゝ一重帯見へもかまはぬ宿の夕風
星ささへはらふ薬かひはとよふ木の下陰の風のすゝしさ
唯心斎美女頼
蝶遊園
万歳のかそへ残せし蚊柱はかさまけのするゆふへすゝしき
当
坐
未通女押花周判
跡成
十三ヽ
粟をくふむかしもかくやき姫も聟にこのみのくせはありけり
十三ヽ
真樽
氏なうて玉のこしよりをとめこはをさな遊ひの手車にのる
光
一猫の妻ならふをとめもたちまちに恋に引るゝ身とやなるらん
ナヽ
母親の手もとに学ふぬひものゝしつけやさしくみゆる小娘
思ひ内にたつふりあれは色外によくあらはれし抑袖の染
山文
十あまりまたきみとせのいとさまもたかつまことゝ人によはれん
便々露
はて〳〵は袖やしほらんたれかまた末つむ花とめつるをとめて
藤歌
をとめ子かさすかんさしの桜にも風をあてしと思ふ二親
柳花園
かんさしの好みは琴柱糸の数十あまり三つもこへしをとめ子
八
追加
十ヽ
得意亭数益
内になる空もなき頃遠迄にさそび出せし花の皇
波上亭老
角田堤石の鳥居のうつみしと見しは桜のはなにまりける
蓬山ま裾住
ふけわけしよしのゝ山は真盛の花に見ありぬ役のふ角
九、
双寄亭
絵にかけるよりも桜は美しはなの王照君とこそ見れ
水茎諸布
花を見て心もこゝにあらされはくらへとしらぬ田楽の味
八、
岩槻便面亭富久風
尤見つゝやく田楽にふとたちし灰とも雲か雪か雪かとそ思ふ
同便々台
まゝゐしてしはしはかりのやくくしにひしける竹や花の雪折
八、
便務台知春
つまと見し松も中〳〵青楽よしならふ桜の花の雲きれ
走
志賀の山こゝへこつして盃のさゝ波うたすはなみなま酔
裾住
さ九しよりひろ小守の九重をひらきて見たき花の山々
松梅亭商人
心なく花に仇して吹風の神をもしはれかつらきの山
双寄亭
すくらかりみな仰向るそか中にした見て居は吸つゝの酒
鰹
十二未評十四
葱好かそしるかつくともくははやな親より後はくちに孝行
陵園解保
初かつをさしみの波の引しほに藻屑とや見ん皿のから油
夜春亭服成
鳥かなくあつまをのこの下戸ならて左かへけるもよきしほし魚
一睡舎夢正
かまくらのはしうかつをは遠のりの初よりもいさ水やかはなん
八日市雲通路
十一、
ぬれいろは月もろともに今うみをなかりたてなるかしの夜鯉
春潮亭梅久
舌つゝみうつの山辺のうつゝにもゆめにも似たるかつをひとくち
波上亭走
御仏の生れぬ先の初かつほさけの肴の唯材松尊
千樹園棟材
かつもにはよき相生の水なれや金のうまるゝ鎌倉の海
便ニ台
魚の名のまつにけしきみとそへてけりさしみは友のゆり坊は
七分舎鬼丸
星かけもあらぬ青葉の木下やえひかりを見する夏の夜鰹
便波亭
毒なりといひし法師も
からし酢に口や明せん
かつを一さら
雀鳴舎未明
十五之
まつはれし蔵に
ゆりや松の名の
魚にからみし紫蘇の
むらさき
此友洲
十三、
便々窓
門松の魚万歳の烏帽子之を
またはつものゝ口に正月
十三、
波上亭走
すなとれる
ゑさゝへ生の角もしに
さほゆりませて鰹釣船
十三ヽ
未明
履くひし時を
思ひて
毒ありと聞し
かつをに
異見する妻
十一、
微笑て花成
弓矢神まします浜の魚そとて尾はかりまたに見ゆ初鰹
此君亭素直
きのじまてをしみし春のかたみにもにるとはいはたゝ。買初鰹
便貢舎苅穂
大鉢のけしきもそなれ松のゝを岸くつなみを見する作りみ
夕顔亭元成
ならめやる四方の梢も若葉して花の外には只まつの魚
丁ヽ
酔花亭山文
梅されらちり行跡の松のうを今一ふしのみてくろも間
一金拾枚余花楼白根
この花の雪の夕のはつろを味ふ舌の上にきえぬる
又兵亭
いし度か酒のてうしの替るのは琴ひし松の魚にさりける
常盤亭枝丸
價ほと位も高きゑほしうをけにや筋目の正しくそ有
三
服成
心にしへのかふとにかへて鎌倉にはうも同きゝをとらほし事
俵数亭杉成
きのふより馬ん高きまつの魚ねあかりといふ植木やか門
青松庵元住
角鉢へきとりて作る松の魚みとり色ます猪口のからし酢
夕涼亭藻登母
つめかけてひけといふなら朝河岸にことにねをよくらる初鰹
春潮亭梅久
仝
ゑほし魚あたひの高きひらきをはいとはぬ人や江戸の気位
仝
十九ら鯛すきての後の初鰹春のかたみの価千金
仝
時鳥きかぬ先から初かつを小判のみゝを揃へてそかふ
山吹の色のこかねにかへたれと是はみになる功鰹かな
十ヽ
朝霞楼駒成
さしみには天上天下候也もなし今朝産声の初かつを売
タ韻亭元成
此頃はよほと日あしも長縄手まつほときすまつまつけうを
蝶々園夢吉
尺八のたけほとあらかしらねともひとふしのねのよきはつ鰹
東海庵杣人
打寄し人の小田原評議にも直は安からぬ初かつをかな
九ヽ
五車亭
あへしほもいらぬ鰹のつくりみそ子りのぬなは何なふへき
柳花園
尊さは海さて鯛より小判もてつりとりえたる此はつかつを
古今亭三屑
鉢植のまつのゑあれは初かつをさき一小しを作りみかせん
柿のや柱人
かまくらを出の玉門はつかつをけふやま吹の色にかへなん
朽成
鎌倉のこみより出て動くをこねのねの札のへし日本橋
能楽寺
雀のすむ松の名おして朝日ともしほしに赤ふこげし夜鰹
赤松亭藤波
世中の詠はつきし春過かゝ花のゝろにも又まつのうを
鶴亭素袍
雉子焼に遣ふはならせそ初鰹さしみにしそのつまもうもつり
飛鳥園万里人
うの花の雪のふるせの初かつをさしみのあしの口にきゆるか
要々亭末広
初直段まけるかたちは見らさりき力こらあるまつの魚より
同
はつ直そこ友をまねけはいつ迄もちる事しらぬ松の魚市
信松代蘭薫亭
卯の花の雪の門口かけ出しつ皆ふみ込て買はつろを
九、
昌平庵
頓て又節となるへし初鰹くふ松をはなにかけるに戸子
便波亭
松とよふ名さへめる度もふけものたることをしかつを千金
もとふね
花の雪やう〳〵とけて此頃は大根おろしもよくさ初鰹
旭列也
おし送る夏の風をもまつのいをつくよひとしてさはく朝かし
便貢舎苅穂
大学の本芝よりの初かつを貰ふは徳に入の門なり
楽評十五
薫風亭都南留
ひさし直の位はよしや高くともゑほしの魚はめせよみやひと
同十三
同十三能楽寺
邪魔セしと月のいることふ海を出てにくまれぬ松の魚はかしこし
春園居砂賀
宮人もつけはや須磨のゑほしをやはり猟の花をかさして
五車亭
つれ〳〵の松魚の初にいつる日は弥生の大根生てはたらく
双紙亭
かつをとり文字はしらねと請合の魚は堅しと見せて商ふ
住粧亭春人
いくえり見てもよしのゝ花の後山ほとゝきすはた松のこと
猿楽戯気
松のこを一ふしあかく見したるは大根おろしの雪折かそも
昌平庵
初かつそはやたらへしとからし酢のみそけに咄す江戸ツ子のこそ
玉蘭舎
一し月のみとりをそへて魚の名の松の影つる鎌くらの沖
国生呉竹
大そらの夫かあらぬか半台の鰹のはらに見ゆるよこ雲
真実亭有升
千国のはるのとなりははや友の木へんに公を松めてとかな
八、
同断同断断同
初かつみまらのもやうの月よりもいつれさしみにしく物はなし
芙蓉亭峯雪
とつ鰹価はいくらかるくとも只さかるのをいとふあまひと
弓丸
さしみ皿さゝ波つくるまつの魚大根おろしにからさきの景
亀遊亭見際
はつものゝ鰹〳〵と商人も七十五日いききつして来る
一月二十九日秩父ノカミ氷清地梅花
うら波をそのまゝ皿に作りみの鰹そ舌につゝみこたせる
秩父ノ力之日蔭達咲
せんたくをなせし袷をさかへてもはしは落さら此はつ鰹
秩父ノカミ山路真州
十くりもくる商人に称をとへは又根はかりとなる松のうを
表具亭粘吉
郭公言はやうな一声に地をかけてゆくはつ鰹うり
百花園薫
客人のそのもてなしに折もよく月もさしみの夏の夜鰹
得意亭数益
はち申きは〆てひさけと鰹うりよはぬは彼か清合の魚
一亭鈍成
枝なしてちよつとおろせし一本の松てふ魚は作りみそよき
カシマ自然亭南山巣
二本とは求めかたなの初かつを只ひとふしをさしみにやせん
カシマ郭公亭寝覚
味は此上なしと汲さけについ下戸まてもゑふはつしかつを
鼻下京間
点より空ゝら鳥におとらしとは百は町々はる初声
船ボリ浅州庵言宿
精進をけふはしゆるせ初鰹先中落にかつんとおもへは
角丸
ふしよりも高根か江戸の初鰹おろし大根もなしらぬ雪
ハヽ
信州
便々宛
龍宮のさるの外にも初かつをきものつらいる直段也けり
便曙楼空音
網のめや釣するいとにまつはれし又も珍らんにかゝる夜鰹
蔦窓額月
吹風に波立由井か浜まつやさゝんさうたふ初鰹ふね
寄柿亭千枝
すゝしさや月もさしみのひと思たちまち明る夏の夜鰹
酔花亭山文
一鎌倉の海をはしりの松の魚皿にも波もしたせてそもる
玉川舎飛井
とつろもくふたといへはかたみさへむろしはなせる曲輪友とち
水茎跡成
一南京の鉢まへほめて初かつを妾をくにならぬまてもよし
沓之園形芳
松のうを是やみとりの初ものとねも真砂にかへるひとふし
桜尋亭枝折
ねよはりをもちて相場もひらき戸や違ふ見こしのすね松の魚
蓬山堂裾住
一植木やの手にも及んまつのうをつくり上たるさしみうつくし
軒端花満
一さんにかけて声まてわれる程呼亀打戸の初かつとうり
蛍火光
あめつちのへたかゝはあれともろともに啼時鳥呼はつ鰹
真安無苦労
かまくらの海をもとふか花魚う先触させてくる初鰹
同断同今頓知亭喜丸
鎌くらのゝみものりきる舟のこと人浪よする初かつと哉
松梅亭商人
ほとゝきすねをこさしかちにいちはやく先へはしりの初鰹うり
有升
法花経とうたふ鳥にはあらねともそのねも高き初鰹かな
花月改
ハヽ
庭遊軒胡蝶
八景の皿の増根のから崎にさゝ波つくるまつのこをかな
同
見え次第海てる月のさしみ皿水いろ見せてつくる夜かつを
不二亭鷹音
はつかつそよふ声きけは庭にちる花の雪さへおろし大根
同
友なから又初春のこゝちそや門にたちたるまつの魚うり
五月庵あやめ
から崎のまつけ魚ともいふならめさゝ波見するさらの作りみ
川辺庵黒人
日本橋むかふは見ゆる不二よりも高ねきにする初かつを売
銚子亭喜蝶
一価さへまたふみも見ぬかな川の海をのりまる初かつと舟
木琴亭音成
小田原の真近き海に釣更か評議してかふ此はつ鰹
丁々亭梅時
一ふしは先きしみらり初かつを子にくばせんと雉子焼にせり
水鏡亭梅景
くすりほとたしなく思ふ初かつをならて毒魚の名をおはせけん
梅久
魚の名に松の位をいたゝさしく出るもなつのかしらなりけり
同
時鳥はしりくらしく鰹売まけぬ初ねは高くこそあれ
同
時鳥より初ものゝ初かつをはつねも声もたかき安き人
地撰は好水
生延る松ともよへははつかつを一ふしつゝに千歳こるんけん
唐土庵金銭
牛の角に釣し鰹のことはりやしたゝか鼻を通すからしす
名庭亭此花
いにしへの事は知らねと魚にまてゑほしの名有鎌倉の沖
八、
花山口
烏帽子着て魚も卯月の中納言ねにはくらゆの高う聞ゆる
〃〃〃〃〃
から崎の松の名あれは朝市にひときはめたつ初かつをうり
地口亭坊鈍
いくらかもねはならぬそと起て居て口に果報をまつ初鰹
紀竹嗣
得手に帆をなけて呼たつ初鰹おまをこえたる直段こそすれ
旭待安
時鳥飛かことくに商人の声もはつならはつかつかつくとうり
那鄲人夢成
あたらしく色もみとりの松の奥千代をふらせにあして味よき
守信亭
こちしてもまけぬきほひの初鰹武士はあふを踏張てかふ
水鏡亭藤影
商人のたるき価もむへなりき夏のかしらに此ゑほしうを
花酔亭三千歳
其名をせんと河岸をはぬけ出て先かけしたる初かつをうり
便々窓
初鰹小判一枝なけあみやへりとる魚とけして思はす
遊蝶館花雪
ほとゝきすよりも珍らし一声を呼て飛行初うつを売
杣人
鎌倉の沖より先へとひの魚たらさたものみまつ初かつを
品川亭浜船改浅妻庵小船
かまくらの沖しらねとつくりにしさしみに波を見る初鰹
朝鳥通路
散しまふはるのあしたははん臺に本のかたしを見るまつのみを
駒成
初鰹牛の角ほともとえてはからしも鼻を通す一ふし
かよひろ
心さし松葉と送る鏡の内見れはかたみの初かつをなり
呉服亭袖形
価まて気性のことに江戸ツ子の五方も引さる初鰹うり
蝶々庵鍔佐
はしり来る夜ふねに目の影さして猶も光をますゝ初鰹
富貴亭花好
日本橋見ゆる者二よりあたひまてやはり高根の初かつそうり
柿迺屋種人
初ものゝ船に対しはなかれとも鰹いなみをのりまつて来る
蝶遊園
肌脱しかたに印はふくりほと荷こふの見ゆる松の奥うり
当
坐
一傾城能楽寺判
傾城
十五ヽ
鶴鳴舎未明
いか計ちからのありてむろの洋の船の帆はしら寝せしうかれ女
十三、
便波亭
なひゝふりなひかぬふりに迷ふなり松の位にすそ柳のこし
5189
安居徳兵衛
所持
侍り