吾吟我集

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石田未得
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場所: 大阪府
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石田未得
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日本語
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河内屋八兵衞
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ゴギンワガシュウ
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東北大学
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2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
吾吟我集上 □□□□□□□□ 有吟我集は慶安年中江都の石田未得 か著す所や近礼の狂哥諸題をそなへ よらよみかなへしかも白〳〵面白きは此集に 過かはなし昔時京師に板行ありけるか今 絶てなしいよ〳〵久しきを経て亡失せん ことを惜みて翻刻するものならし 宝暦七年丁丑冬日緑師園主人題 以テ購入セル内閣ナリ やま田哥は人のとるさなへをたねとして。あ またの稲のことの葉とぞなれりける。 一里〳〵にある人。ことわざしけきものな れば。心におもふことを。麦つきもみする うすにつけていひ出せるなり。花に琴ひ く暮。水にあやをるかはづの声をきけば。 いきとし池のはたのみゝすいづれか哥を かたはさりける。ちからをもいれすしてあひ 槌をうこかし。目の見えぬこせ座頭をも あはれとおもはせ。おとこなれぬをんなをも やはらげ。たけきものゝふの心をもうから かすは小歌なり。此うた雨ふりのさひし き時よりやいできにけん。しかありて世に はやる事は。久かたのあめがしたてる日 に。まりつく姫にはじまり。あらかねのつ ちをこねては。壁ぬるすさのをのこの口 すさひよりぞをこりける。ちはやふる神 おどりには。氏子の数さだまらずこゝろ 〳〵にして。ほどひやうしわきがたかり けらし。人の世をわたるとて。酢酒つ くるしごとよりぞ。味噌つく人もきねう たはうたひける。かくてぞ花見をして鳥 をれうり霞をくみ。露をかなしむ野が けなどに。まひかなつるこゝろことばお ほくさま〳〵になりにける。とをき所も かどでするあしもとのろびやうしよりうたひ そめて海汀をわたり。たかき山路もに もとのちりまじりなる家より。あま 雲たなびく峯までも。をひのほれる 馬かたうたも旅のなぐさみなるべし。な にはのうたひはみかどのおほんはじめなり。 あさか山のことばをうねめのくせまひに つくりて。このふたうたひはちゝはゝのいさ めにて。鼓の手ならふ子どものはじめにぞ しける。そも〳〵うたのさま〳〵むつかし。から 応の哥もかくぞあるべき。そのむさくさ のひとつにはざれ哥。大栄螺のかどらし き詞をそへたるうた なにはめのはらむ子だねの冬こもり いまは春べとつはるこのはら ふたつには初心のかぞへうた ます花におもひつく身のあぢきなさ 身のいたづらになるもえしらて このうたいかにいへるにか あらんその心えがたし みつにはなもないうた 君に今朝そひしねまきををきていなは 恋風に身のひみやわたらん このうたよくかなへりとも見えず○たゝちめのおやのかふ 子のまゆつきはいぶせくもあるかいもがほにしてかやうなるは わろ口とや いふへからん よつにはたうけうた わかこうはよむともつきじありそ海の はまのまさごはうちつくすとも ぬしはかはらぬ碁ずきなるへし○すまぬやいとしほやくけ ふり風をいたみおもはぬかたにいつる火ぶくれ かやうなるはやまひにやかなふべからん 春のうたかくれたる所なんなきはじめのあひてはかはれ共おなじ いつゝにはたはことうた いつはりのなきやうなれどいかゞはと 中人口はうれしがなしき このうたさらにおもしろからずとめあはぬ哥とやいふへからん おる人をあくまとわれは見つるかな花ちらすべき風はふかぬに むつにはいくさのいはひうた このとのはぶへんと見けりさきかけて みつ羽よつばのそやをはなせり 野にわかなつむ下女よろ川よをいはふ心はかみさまの汁これ らやすこしめでたからんおほよそむさくさな 心をたゞしくわけてはえよむましきことになん 今の世中色につき。人のこゝろ鼻のさき思 此うたいは是哥とは見えすいのちあやうき事になん○春日 案になりにけるより。あだなるはやりうた はかなきことのみ出くれば。たて小袖の色 このみの家に。くち木の伽羅の中しれぬこ とゝなりて。まめなるところには。鼻ずゝりを くびに出すべきことにもあらずなりにたり。 その恥かく事をおもへば。かゝるべくなん あらぬいにしへの世にある人春の花見のあ した。秋の月見の夜ごとに。さふらひたち をめして。酒宴につけつゝ哥をうたはしめ 給ふ。あるは花をそしとてたよりなき所 にまどひ。よし野はつせの花よりももみち よりも。こひしき人は見たい物じや。あるは。 月をおもふとて。しるべなきやみの夜ありき にたどり。しんのやみにもまよはぬわれを。 あたゞそさまのまよはしやるなとうたふ を聞て。さはがしをろかなりとしづめ給ひ けん。しかあるのみにあらず。さゞれ石のいはほ となりて。吉のむすめ子どもりうたつを 吟じ。つくば山の七ツ石にかけてひやう しをとり。よろこびは未得が十徳身に すぎ。たのしみは心のはたばりなきうた ふくろにあまり。むねの煙に富士はもの かはとよせて人をこひ。松むしのねのちん 地ろりともみえぬ人かげに。野あそびの 友をしのび。高砂すみの江の松の葉に さへふたり寝は。あひおもひのやうにおぼ 畳。おとこ山のむかしを思ひ出て。をみなへ しのひと時をくねるも花のりんきぶり かとぞうたがひける。又春の朝食の比に ちるを花鰹と見。秋の夕暮に落る木 のみを菓子ならんかときゝ。あるは年のく れどに。鏡の鏡の餅のかげに見ゆる。しろ粉 のごとくつもれるかしらの雪。ひたいの心 はすもこほらぬ浪をなけき。あへ物草の露 せんじ茶のあはを見て。おほぢむばの 身をおどろき。あるはきのふ酒屋へよば れし僧の歌をうしなひ。世にわびしたし かりし旦那もうとくなり。あるはすゑの松 山さゝなみはこすとも。御身とわれとは千 世ふるまでとうたひ。野中の水をくみて つるべは九つ身はひとつ。つるへをまくらに おけをこかげにとたはふれ。秋はぎのはな をながめて下戸は餅に心をよせ。上戸はあ かつきに数かく鴫の羽もりをおもひ。あるは くれぬ竹の子のうきふしを人にいひ。よし野 の河をひきて。さほのうたうたひし筏士。 ひのやまひをうしみきつるに。いまはふじ の灸のけふりもたゝずなり。ながらの橋 もつくるなりときく人は。もとのだいもち ひきし木やりの哥にぞ心をなぐさめける。 いにしへよりつたはるうちにも。ならの千部 のきやうありし時の哥ぞひろまりにける。 かのおほん斎の日。大さかづきにみつくらひ。 かきのもとのじゆくしくさくして人丸ねし たるなん。うたひし哥のひじりなるべし。 秋のゆふべ立田河にちりてなかるゝをば。皆 人のめにはもみぢ鮒と見たまひ。春のあし たよし野山の花の浪さはぐは。魚の名に あるさくら鯛木にのぼるかとなん。人まねの心 にもおぼみける。又やまのての若人になにか しといふありけり。小哥にあやしくだて なりけり。人もまろもわか人がさきにたゝん 事かたく。わかへは人の跡にならん事かたく。ひ ならの千部の経のうた ぢをはりてなん行過ける 御門できやしやなきやふ をおといたとうたふ○もみち鮒なますこほれてなかるめり錦手 のさら中やたみなん○梅づけはそれとも見らず久〳〵の雨げに かびのなへてはえれば◯ほの〳〵とあかねのうらのあさぎなる島の きぬめす人をしそおもふわか人○春の野にすみれつみにとこゝ 若衆なふなつかしやひと夜ねよかし○わかのうらにしほと もちくればかたもなへあしべをさしてたごなげすつる この人〳〵 ををきて又すきたる人も。尺八竹の世々 にきこえ。さみせんのいとのより〳〵にたえず ぞありける。これよりさきのうたをあつめ てなん。りうきうと名づけたりける。こゝに つくし琴をもうたをもしれる人。わづかに ひとりふたりなりき。師はあれども。これ かれ弟子のえたるところえぬ所たがひ になんある。かの琴ひきそめし時より。年 はいくとせあまり。世は遠くなんなりにけむ。 いにしへの琴をもしやうがをも。しれる人きく 人おほからす。今このことをひくに。つかさくら ゐたかき人をは。たやすきやうなればい はず。そのほかにちかきあたりに。その名き こえたるはすなはちそんじやうその人。 うたのまねはすれどもまことすくなし。 たとへば絵にかけるおうなの琴ひくを見 て。いたづらにこゝろをうごかすは。水の月を 青柳の糸よりかけてしら のぞめる猿のごとし青柳の糸よりかけてしら ふれはまことに似たる葛 のこゑ◯はすはものれんぼにしまぬ心もて何かは露の世ぞとあ だめく坂のほとりにて馬よりおちてよめる○あをりきれて をれかばかりぞもみなめし 〽ありはらのなりひらは。 馬べたなりと人にかたるな 大小の狂言のうたあまりおほくて。まぬる に詞たらず。しほれる花そめきねのいろな ふて。舞台ににほひのこれる。ことしきは きぬや あらぬ いろやむかしのいろならぬ身はゞもたけももとの身にして ○おほかたはかぶきもめてしこれぞこのつもれば人のこひと なるもの◯ねぬる夜の夢をはかなみ 文者のやす筆 またかへばいやばかものとなりまさるかな は哥のことばたくみにして。その墨つき紙に あはず。あき人のよききぬきてうき世く るひの小哥ずきをいはゞ。雪佛の水あそび ふくからに草木のごとくたをる したらんかことし れば遊女のこゝろあらしといふらん 深草のかはらけつくりを○ふか筆にほすかはしけを とりかくせてる日のくもるけふは雨げぞ 宇治 山の貴賤くんじゆすれば。茶つみのうたかす かにして。はじめをはりたしかならず。いはゞ 秋の月にありく哥念仏の。あかつき雨に あへるかことしは 世をうぢ〳〵とくらすいとなみ うたおほくきすねば。これかれをかよはし てよくもしらず。をのゝこまちおどりは。外面に 姫のあつまりなりあはれなるふりにてつ よからず。いはゞよきおうなよりも。腰なよ〳〵とし て声つよからぬは。若衆のおんどうなればな おもひつゝぬればや若衆見えつらん夢としり るへし せばさめざらましを〇いろ見みてうつろふものはおと り子のこのみ〳〵のひぞめの袖○あつき日は身をうきあせのなか れ川さそふ水あらばあびんとぞおもふそとものひめのうたはわかせ こがくべきよひなりさゝちまき 大原の黒木うりは あものふるまひかねてしをかん そのさまいやし。いはゞ。たきゞおへる山路の 花のかげにやすめる木こりのうたのことし おもひ出てほしき時にははつかりのなきてわたるを人の汁のみ かゝみもちいざたちわりて煮てくはんとしへぬる身のおひのいはひに このほかの人々。その名きこふるくま野びく に。西国順礼のありく野べのかづらのはひひ ろごり。林にしげき木の葉猿まはしのこ とわざおほかれど。うたとのみおもひてそ のわけしらぬなるべしかゝるにいま。ぬめり歌 あめのしたにはやる事。四つ時九つの真昼 になん有ける。あまたにかざりうつくしき船 哥。なみの音そひてやしまの外までながれ 遊山してしげれ松山。つくはやまのふもと よりもしげく。よろづまつりのはやし物。もろ 〳〵のことぶきする千寿万歳。かまはらへ するみこの神楽の鈴。ふりにしことをもお こし出て。われが吟じわれとあつむる詞 のねざしは。若竹のまだふしさだまらぬ 小哥にひとしく。小歌はもとよりやまと うたなればと。おほけなく心をかけまくも 果しこき古今の序をけがし。つたなき 詞にまねぬる事。そのをそれおもは ぬにしもあらねど。いにしへのほめ草を。身 のみやうがのあへ物にして。口すさひぬる 今のわらひ草のたね。わか後の世のかた みにも残れとて。慶安二年四月中旬に 題なきに菊をくはへて。此書のあてど ころは。むさし野の草のゆかりあるもの ひとりふたりのためばかりに。あづまのえ びす歌。みづからのをかきとゞめてなん。 それが中にも。やり梅をかづくよりはじめて 花軍をもよをし。卯の花をどしの袖垣 に郭公の名のるをきゝ。紅葉をおりて は。立田姫をべにやのむすめかとおもひ 巻につむ雪をば。山姥がわたぼうしかと うたがひ。鶴の庖丁かめのみきに。君をお もひ人をもいはひ。秋はぎ夏草のか けに。つまこふしゝ笛をなくし狩をく はたて。あふ坂山にいたりてしみづに手を あらひ。せきの明神をいのり。あるは春夏秋 冬にもいらぬ。むだこと草をも。とりあつ むるえせうたかず〳〵まき〳〵。名つけて 吾吟わがしふといふ。かく此たびかきなが して硯のうみの水たみず。浜のまさご にたつ鳥のあと残りぬれば。いまはあす か河の瀬にてひろへるさゞれいしの礫。千 人ひきとなるみろこびのみぞあるべき。 そわひぢをまげたる枕ことばは。春の 花にほひなくして。むなしき寝ごとの鼻 いびきのみ。秋の夜のながきにまどろま でしはぶきすわば。かつはとなりの人の耳 にをそり。かつはには鳥のうたふにはぢ おもへど。みどり子の立居。おきあがりこぼ うしのおきふしのごとく心なきわれは の世におなじくむまれてめでたき時に あひ。かゝるたはことつくをなんよろこび ぬる。りうたつなくなりにたれど哥 の事とゞまれるかな。たとひ斎非時 ことさり。聟よめどちの座敷かはり。たの しみかなしみゆきかふとも。小歌のふし あるをや。柳樽の酒たえず。松の葉のつ くりえだちりうせずして。まさ木の臺 の物ながくつたはり。とりさかなひさし くとゞまれみは。哥の吟をもしり。ざりこと の心をえたらん人は。おほそらをめぐるさか つきのひかりを見るがごとく。いにしへを あふぎていまやうをこのまざらめかも 吾吟我集巻第一 春 ふるとしに春たちける日人の子をまう けたるによみ侍る末得 年の内の春にむまるゝみとりこをひとつとやいはん物たつとやいひ ふるとしに春立ける日よめる 冬にたつ露のきぬはさほ姫のむまれぬさきのむ月さため 春のはしめのうた わか門を一間ひとくあしたより天下の春をしるかさり松 年ひとつこす計にや目よしのゝ山も霞て見ゆる老らく うしの年の春よめる 月と日を両輪にかけてめくり来ることしはうしの車よせ哉 大ふくのいはひに 大黒の袋たなをやかさるらん今朝大にくをいはふ茶の湯 水様 春に三る君民まての耳のびくあつさうすさのひのためし哉 弓はしめの心を 春といひもとすゑ十二つき弓をいる年の矢のはしめ也けり 毬打を見て をのこ共春たち出てきつちやうをうちまたにある玉もふ 子日 老ゆかん年にひかれて是も又ねのひのまつ気なかく成へし 霞 立そむる霞の衣一かさね山のした着や雪のしろむく 夜嵐に霞の衣もまれてやうららに今朝の日のかけけん 鶯 難波川の梅に住ぬる尊のはつ音のほとや歌の手ならひ 鶯も高間の寺の児なれは仏法僧や知音なるらん 哥の徳よたつとからねと尊も高位にまゝる竹の国す 若菜 春寒み雪の下なる尊菜ねはほそくして葉をもひろ 残雪 春の来る道筋ならし庭の雪に日あしふみこむ跡そ見えたる 余寒氷 いさかひにとけぬ心よさえ帰り又河つらを春の水は 梅 尊とひよくれ野の中そかしられは葉と羽をかくに飛梅 はつ春のひのえつちのえ木のえよりとつもひらくや梅の暦は 木体よき梅の木立はほそすくに匂ひもふかくさくを見る哉 一春一季宮つかへして紅梅はちるや北野のかみさまのまへ 柳 さみせんのさほの河辺の糸柳ねをあらはして浪そよせ 若草 〽かゝ衣すかり野の雪は地しろにてあいにもみきをちらす草 早蕨 春風あひせられてやさわらへのてうち〳〵をするはいく もえ出しわらひに雨のふる跡のしめるやけ野やあくのた 木目 春雨は父のおろせる種ならしこの目つはりになるはゝそ 春月 雲のうへに入日はひかる若かとも朧月夜に対してそ見る 春雨 草木にあたを時雨のふりかへて恩をそ見する春雨の空 空にはる霜のきぬはふるひかやこまかになりて落る春雨 醤糸 たつとても霞の衣ぬひえぬや尻もむすはて緋るいとゆふ 一金壱枚 いさみゆる将棊のことし春約はまんとするに手もさゝれさ 雉子 春日の町はけふはなやきて不便気に子をおもふきしの妻ももとも 春鳥 鳥の歌にあはせてさへつるはこやさみせんの約とりの声 帰雁 義備へ文のつかひにあらねともときはの里に帰る雁かね 去年よりの子はそひもせていかなれはもとをへらして帰へね 花 もらさしと花をさつぬる山〳〵のいたゝきもなきよくの道哉 嵐こそあひさうなけれ散毛の跡にきやかす峯の白雲 一もとの花打ちらす雨風は太勢にぶせい何か悔せかん かしかより山へ風してちる花をいはゝげほうのくゝり坂なり 桜 仏にも彼岸桜の花よりは団子とおもふたむけなるへし おく山の桜よしなや見る人の目と鼻にこそ色も香も 熊谷の花にならふも道心の袖の色なる墨そめ桜 家桜 よりにや花もさくしの家桜庭に一木の柱たてして ひらせてちる迄ふれる花の雨はかふばりつよき家楼 むはさくら 一事にかけり谷にくたりて足曳の山姥梅たつねかへれ 木のもとを立もえさえて姥さくら詠る人も腰ぬけと しらがともいふへき花の散跡はびくにゝなれる姥桜の 犬桜 あてられてよはりかほなる犬桜はなねぢりこそ風のかせ 風のかせ おしみ綱こゝろにあれといぬさくら散行花はつなぎとめえ 伊勢さくら いせさくら花さく迄は雨の宮風の神にはちるをいめらん 鷲尾さくら 一余の花の花の花の花の梅わしの花の桜にまさる色のな 塩宅さくら うつしうへてみきりにちよの塩かまの桜誰も見てと をるなり 普賢象様 名のみして御かりのほとのふじかきははなそゝとのふげん 春草 白妙の雪とけそむる比もきて野は色なをしするよめかは ふきのたう立をはりてのその跡に九輪草こそ絵たかくし あまくたる天鼓のあれは打かへて地からはやせりてみ草 春雨のうちぬるたびにうつふきておきあがりこぼんほゝ 咲かゝるけせんの花の色はへて仏の座こそにぎはゝしけれ つはな ぬひて見てみのすくなきは春雨の空さやかけし太刀の つばなよ 苗代 苗代の公こね長しくりかへしむかしを今に磯か小田まき 蛙 くちなはのをふてかゝめてとりまけはかはつ軍のげ道 桜鯛 鳫の汁筆の酒のむ秋はあれと春の海辺にす桜 海棠 給にかくと筆にはつきしおもしろの海棠くたり花のちる 小梅花 折をえて小梅の花のひもとけは住の物とはみをや 小米花 それはきね是は木のねにこほれけり小米の花の風にたけて 沈丁花 竹垣を霞のきぬのふせごにて匂ひをとむる沈丁花 すゝかけの花 今朝見れは露をむすへるすとかめの花房かゝる庭の袖 もくれんけ 葉はおつる地獄をうかふ心哉冬へて春にあふもくれ 杜若 沢辺ふく風をいとひてむらさきのふくめんすると見る 躑躅 さく毛のかほは上戸の色なから石は下戸のすく餅つゝし 山吹 むなしくもほうえ帰らはこかね色にさける実の山吹の 藤 うり物か花をかされる棚のうへの藤をなかめて人市を 一哥人のこと葉の花にたくへみむさく藤原の忠房の 松の若みとりを まづ いちに先今わかみとり立初て松のときはの木すゑひ 垂日 なかき日の昼寝の枕夢さめて今朝は昨日の心ちうすれ 暮春 すかりてもひきとゝめまし行春の霞の袖の手にしさはらは 名残ある暮春の雨やきぬ〳〵に霞と雲の袖ぬら すらん 一 吾吟我集巻第二 夏 首夏 春過て夏の日影にわたぬきの衣ほすけふあせのかきそ 新樹 毛をかゆる鷲の尾なりや桜花ちりし跡よりはゆる若葉 もとすゑの葉さきそろひてはゞひろにすんののびたる夏は 木立哉 卯花 つくと見しさし木の花のちりぬるは箱根うつ木の釘はなれ 時鳥 母かたは梅の木氏よ橘はてゝかた名のる山月とゝきす 尊のうむてふ腹はかり物よ父にそ声も似るほときに 郭公なれもや弥陀を念すらんほぞんかけたる一聲の内 早苗 うふるとて土をうこかすなへにもや小田やすかれといのる 世なをし 葵 程をおろし待つる花のひもとくは是そあふひのうへのよろ 過橘 ふく風に匂ひをとめてかぐ時ははなたちはなのさきそひと 菖蒲 頼政にあらぬもなはひきとりてあやめを軒の妻に見る 五月雨 ほそかりし瀧の糸筋よりあはせ大綱になす五月雨の比 水鶏 しほらしき水鶏のたゝく音すなりをのか身ほねやなし物 夜もすから月下の門をたゝきつゝ水鶏の鳥はしゆへすともなし 鵜川 くはせつゝ魚をはかする鵜つかひはわたにてくひをしむ 照射 あゆみよる鹿は四足の物とてやともしをさして人のとる 蚊遣火 是は又袖にとめしと蚊遣火の煙をたつる賤かたきも 岡 水にいるひえやつもりて蛍火はをのが虫気のやいとする 蝉 蝉ころもたゝ一重にてなく声や布抱ない経にけた落 明佳麦 雨はもり露はおちへさてやしなへは上葉下葉もはゆるなて 夏草 いと見事もえぎにほひのよろい草くさずりながに茂り 夏草のしけりて陰のたゝけれはまへきりさせて見る おどり花 夏草の色なぎ中にさく花は悪女のねたむ若人草哉 ゆり つほめるやほうしきせたるかのこゆりひらいた花はいふ刃をよよ けしのはな つほみぬる花のしろきはさなからに紙もてぬへるけし袋 紫陽草 名のみして口にくはねとあぢさいの花を見るめに活計そなる あをむめ みもちにてつはり比なる青梅はあにとはいはし是はなの 瓜 ねぢつけていさやちきらんをのれとはまた落さうもなき 小姫瓜 なすひ をのつからなすひの色をむらさきのふくさにつゝむ茶入 夕魚 夕かほの花に扇をあてぬるはたそかれ時の垣のぞきか れ 妙法の蓮花ちりうく池見れは心の水のなかれだいもく 白雨 風かほり夕たつ空の涼しきは雲に水をやあぐるりう 夏月 尻すゆる平砂の月に夏の夜の霜はらをこるほどそひくぬる 夏夜 お月なきをするかと誰もゆふつけの鳥にとがなき短夜の 月十九日 扇 この夏も又手にふれつ命あれはくゝけのほねにあふきけり 祇園会 精舎には諸行無常となる鐘のしやぎりしきりにかはる紙 花園 泉 夏の日のあつけをはらふ泉こそ手にむすふてふ水の ゐんなれ 氷室 けふにあふ少もちいのしろ粉をはひむろにうづむ雪とこそれ 納涼 天目に水一はいは夏の日のあつけをさます気のくすり哉 笠松の木の下風は涼して空にはふらぬむら雨の音 六月抜 夏中をふるかたびらの麻の葉に身のあかなでゝはらへ捨ぬる びんぼうの神もなごむや借銭はけふみな月のみそかはらに 吾吟我集巻第三 秋 秋六百よめる 立あへすはや吹そむる秋風はこらへ袋のをやとけぬらん なぬかの日よめる 彦星のなどうしひきてかよふらん道をねるまに夜は更ぬへ さもこそは契ふかけれ天河水とみつとのほしのあひしやう 七夕の雲のかみひち雨ふらはさしくわたさんかさゝきのはし 玉まつりに いろ〳〵に手向をかゆる天目は是やしな玉まつりなるらん うら盆の月夜にともすちやうちんは外聞のため又後世のため おとりを見て かけられてあふむへしにきたるこそ小町おとりの哥の哥のさま 相撲 けふにあふことりつかひはもゝしきの羽くしをこそ取はし むしめ 露 見事にて手にはとゝれす白露のきえやすきこそ玉に 疵なれ きる物のすそ野分れはをく露の玉むすひする下かひ 秋風 のつま よはき物を寿にとるならひ牡風の分て柳の一葉をそふ 萩 二ほんなからいつれも風のをり所あふざとおきの名はおはれて 萩 露をいとひもすそくりあげ野をゆけはすねをしがまし萩 皆人は団子まさるといふなれとふたつとりにははきのはなかな 女良花 もとのめに中人なしや男山又この秋もさくをみなへし 薄 をのか袖のやふれをしらて秋風の悪事をまねくはつ瓦花 薄かる人を見て 野人にたつ瓦花の袖のふりあはせこれも草かれ百姓の元人 蘭 秋の風山のこしより吹おろしすそ野をまくるふちはかま哉 あさかほ あたなりと人のそしれは朝かほの花やひるまの色はくつさめ 秋草 かれ木さへ毛さくちかひあるなれは観音草の秋は尤 秋風に葉たゝきをしてうなづくはとさかぐひする鶏頭も 哉 木槿 うつくしきむくけの花にくらへては下々とや見まし色も なたまめ 〽かしまるを見れは是こそきのくよ庭のなま木になた まめのつる 茸 何をかも汁のみにせん高砂の松たけかりの友さへなくて 一 けあけたる鞠のことくにふらめきて庭の横にありやありの 秋田 山田もる僧都は秋の露霜にぬれてぼさつの行やつとむ事 稲妻 よひ〳〵に出あひをそしと月のうちのかつら男をまねく病づ 野分 野分して屏風草をも吹まくり花むらさきのうへあらはなり 露 山里のあひのへきりのふりへたてとなりしらにの秋の夕暮 虫 ふる筆の化してなりたかぎり〳〵す硯させてふ箱のなけ くび玉よゑのころ草にしら露のふりてむすべは鈴むしの はたをりのあしにからまる糸薄まねきつくるやのへつかゝ 雁 御狩にもあはぬさきより一さほにつゝなりて来る天津 雁かね 秋風に先かりかねのそするは誰か借状をかけてきつらん 鶉 しめはやととる野のうつらむよくてなれさへ芸は身をたす 鴫 羽ねかきの数をしよさにやむばしきのかんきんをする暁の 秋鳥 おとされて料理にあふな軍かゝ身をやくまへの秋とつゝの 秋風のふくにわたれる火たき鳥をのかけやきの用心をせよ 山ふしの袈裟の名におふましこ鳥秋やかけ出の峰わたるし 秋かけて鳴わたりぬるまんじやくの羽かひの露やおも荷なる 月 行さきも雲のかまひに笠をさる月也天竺牢人のはて 曇なき月の鏡にむかひてはとぎほしきともおほみ 是そこのほうろく千につちひとつ月刃をさるゝほしのひかり まはらなる軒のあなとり影見れは月の鼠も桁はしるな 見る人にあひをせらす久かたの月のうさきは果貼耳哉 雲水をはらひのけぬる風の手は月の祭ねのあかやかやかん 出る月の船に心を打のせて秋は虚空にこかれうそかけ うつくしとほめあけられて山のはに木かくれするや月の 八月十五夜 □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 常よりもまろくてころく見ゆれはや今宵の月をもちと のみくひてなかめにあかぬとよひこそ大食上戸もち月の雲 照月のかつら男にむかわしとこよひや芋かきぬかつくらん 九月十三夜 伯母すての月は十五夜十三夜いとこほど顔の似たるめい月 廿日月 なかむれは廿日ねずみのをのつから今夜の月のなりそち いさき 鹿 かいらうとなきて妻とふ小男鹿のみりあふ山のそや同空 つまこひにかよへる山の下もみち鹿のたてたる錦木や 駒置 しなのより木曽おどりしてひく駒のまきぬる髪もちやせん 擣衣 うつつちやをもきかうへのさ夜衣着れうの外のつまなかさ 筆を根ひきにしてもて行を見て ほりて行こかねめぬきの哥の花いつくの家のたが根なるらん 菊に蝶のとまりたるを見て 庭にとぶ蝶花かたに口みせて筆のながえの酒やとふ 葛 姫松の腰にまとふはさけ帯のべに染と見るつたかつらかな 紅葉 六位より五位にやのほるくゝゐ山木ゝのみとりのあかくなる大 山口に先一木ある紅葉ゝやおく山ひめのべにそめの見せ 霜のたて露のぬきもておか〳〵にもみ色ふかし木々の はふたへ 杜紅葉 秋かけて錦のけさと見るまてにもみちしてけり衣手に の森 林紅葉 林間に酒あたゝめてのむからにもみちはかほの宮にいてけり 柿紅葉 いまみりの雨をやはぢく柿もみちしぶ紙いろにふてそめ 染紅葉 やよ時雨猶うはぬりをたのむそやまた色うすきうるし 紅葉に 暮秋 くれて行秋のかたみの心さしや木の葉につゝむ露のしら 九月画 長月もつまり〳〵て一寸の光陰おしきけふのつども 吾吟球集巻第四 冬 初冬 小春とてそ朝あらたまる山口にちりぬる跡や木々の葉かため 時雨 空くもりはやをもくなるかみな月なづきよりしる初時雨 一声覚す板屋の時雨もらね共寝耳に水の入心ちする 落葉 木すゑをやすりこぎにしてこからしのあへ物となる森の 吹風の手にやはゝきをつかふらん山を木の葉のちり地に をのつから木の葉吹たて塵にのみましはゝ風の神 一同弐 霜 ふりかゝる霜のつりきにあてられてしのぐ木立の葉は こほれけり 残け つほのうちに一もと残るけの露冬はみそまの酒になるか 寒草 山人は冬そひもしさまさりけんあへ物草もかれぬとおもへは 寒葱 一人ならは脚気といはん霜かれにおれすあしのふしうないす 氷 河つらのしはゝ氷にのびぬれと冬とによるわか老のな かけわたす氷の橋に谷あひのひろさのほとやつもる雪けた 千鳥 立浪のあやは小袖にぬはねとも浦つたひして行ちとり さすそごにかゝらぬもあり善悪は友によるてふ磯千鳥哉 水鳥 打かゝる浪うけなかし払ふにそ水もたまらぬをしのつる うつなみの鼓にのりて舞立はこやる鴨の神楽なるらん 網代 河の石のうぢあるくの風情にて網代にのなる水魚のゆゝしさ 冬月 さゆる夜の月の鏡のかたわれはふる霜おれと見えも 霰 うき雲の衣をかけて丸しぬるあられや人をひやす寒 雪 おほかたは雪をもめてし是も又つもれは人のひみとなる ふる雪に春のひかりくもれともかれたる木にも花は咲 名にしおはゝ夏の空にしふらせたやかたひら雪にあつき心 のかん 板間よりしぶくみそれのさかもりの後段やつぎてふれる 分やや 寒き夜にふるは小麦の粉雪かやふるひくもふすま もとむか ふらずんは空たのめとやうゝむへき雪こん〳〵と人にまたせ 鷹狩 一目見て思ひかけたるよめ鳥に木居する鷹をあはせ 石のみして膳にはすへぬ箸鷹のとりえぬるよりはやつか 炭竈 都人茶の湯を出せは小野山のすみやくかまも下火つゝいふ 火桶 抱て寝て寒さをふせく火おけこそかさねぬ夜着の妻と そふくめ 食 さむき夜ふまの下にめもあはて座禅の床の床の心ちころ 神楽 夜神楽にねやけはさゝし名におひてくふ山椒の朝舎の 仏名 来迎をおがむもおなしかす〳〵の仏を名のる雲のうへ人 冬梅 雪のうち先ぬけ出て咲花は梅の木立やさやはしるゝし 歳暮 年暮ていなはの山の峯におふる松かさりせば春帰り 大海を手でせくことしなかれ行年月なみをおしむ心は 老後歳暮 人災を置てなかれぬ年ならはおひぬるものゝ身をおしまは 老の身にすゑの月日をかそふるや春をとなりのたからなる らん 節分に 節分の夜半にまきぬるいりまめも花咲春の程とこそな 除夜 行としの矢たねつくれはけふよりもいる事あらぬ古こゆみし 吾吟我集巻第五 賀 寄日祝 人心ゆるりとをりて日のもとの君のひかりにあたらぬはなし 寄月祝 代を久にたもつは天下一ちやうの弓はり月よ君の御いせい 寄海祝 よつの海八嶋をめくむ君は船臣はみつから浪をしつむる 寄厳祝 くみてしる玉のみきりのさゝれ石いはほとなりておん手水 寄松祝 いまみりの代の数とりに千年の種を実うへの松の若はく 寄竹祝 ふし〳〵もおさまる代とて国〳〵の大名竹の枝をならさぬ 寄鶴祝 千年のよはひをたもつ身所を君にゆつるのれうりなら 寄亀祝 亀のこゑすほんとはやす小鼓五万歳楽といはふ君か代 寄民祝 一話計に腹のふくるゝ世にあへは天下たいへを図土万民 ●一月九日 5 一 同一四二 □□□□□□□ 吾吟我集下 吾吟我集巻第六 新倉 女新 文庫 恋 初恋 おもひそめていつかたつかん応衣夜日よりなき袖の時雨に 忍応 おもひあまり外の人めもつゝむこそ恋のおも荷にこつけ成 聞恋 音にのみきくはかりにてつてもなしえんのうすさやわか耳のひ 見応 小座頭のはれぬおもひやましならん見るに目の歌をこるぶん 契恋 ちきりをく詞質をやながすらんあふうけごひの日きりのば 侍恋 まつよひの更行からす声きけは鳥は物かはかは〳〵となく 逢恋 たきつきてこよひは我をしめころせあふにかはんといひし命そ 別応 今なるは七つの鐘そむつともまだつきせぬにわかれいそな 後朝応 わかれこし跡にひかるゝうしろ髪す銅くし〳〵とおもひみたる 列応 かはるへき後はしらねとすし桶のなるゝ心にあかぬわか中 恨恋 かた口に根いはじわか中へ水さす人のあるもしらねは 片貝 君かふくほうつきなりのちやうちんに身をつりかねのかた思ひ心 近恋 わか中ははなれもやらすあひもせていすかのはしのねをのみなく 遠慮 思ひやる中ははるけき道なからかよふ心そはや飛脚なる 寄月応 忍ふとてとはぬ夜すから照月のかつらおとこは君のみこ目か 寄星恋 場はれたるほしのよばひはとらやまし我はしのへとあはぬよひ〳〵 寄風応 えりうすき身には殊更急風のひきやすくしく胸そせかるゝ 寄雲恋 たのめしは雲につけたる内しるしのたみて跡なきうはのそらと 寄煙恋 我を人あくたくわしの煙にてふすへかほこそいふせかりけれ 寄雨兵 唐笠の元もりならねといとはるゝ身をしる雨に袖はぬれけり 寄氷恋 底こゝろとけすつめたき人はたゝあつかはつらの氷なりそり 歌山恋 いつまてかせんなき恋を信濃なるあさま夕さまもゆか思ひそ 寄野恋 しけきこととちかまさらんむさし野にわか恋草をかりてくらべは 歌井恋 車井戸のつるへの縄の一すちにかけておもへはめくりあは 寄瀧恋 うきことを聞ては耳をあらひけり枕になかすたきつ泪に 寄川応 いつかさてあひそめ川の渡りしく心つくしの念をはるけん 寄渕恋 うき恋の渕にはまりてたもやないきそれはとてあふせなき 寄厳応 こなたにはゑ〳〵と思へとも人やうこかぬいはほなるらん 寄橋恋 思ひ川へたてゝこねはしきなみに人はしかけて恋わたり 寄里恋 みちのくのあひづの程も過ぬるは人目しのふの里や出かたる 寄戸恋 あはらやと今宵たのみをかけかねもをるゝ妻戸のさしあ 寄障子恋 ねやの内にひきてなくしてたゝひとりますま障子そうき へたてな 寄床恋 よひ〳〵に人まつ床の寝むしろはあふみおもてにしく物そなき 寄垣応 かた〳〵といふかひもなきたのみ哉かきやふりなる人の心に 寄松恋 住吉のきしませまりにねばふしてやにこき人はまつに気 のとく 寄行応 あふとてもまたしつくりとせぬ中や木につきたりし竹の 歌花恋 かき人のみめかたちこそ花ならめなんそ心のあたにうつろふ 寄菓恋 人心じゆんじゆくとねはしふ柿のなるにつけても気味のに 寄鶯恋 かたえにもます花ありて鶯の蔵のくことしうつり気の 寄鷹恋 うき恋に身はとりもえぬつかれ鷹蔵たつはち思ひやるの 寄烏恋 そひはてぬわかれをなけく暁にやもめからすのなくもいまはし 寄鶏恋 一暁のわかれなつけそ庭鳥のをのれもつかひとやにねなから 寄鶴恋 老鶴の羽かいの下に年をかさぬ君しらすなるおもひくるしき 歌獣 一かたになびきもはてすあたなるはらつこの皮のなでつけに 寄馬恋 口こはくひくにひかれぬうき人の心の駒の手縄三郎はや 寄牛恋 いそ。けども人の心はすねうしのくるまもをそく待そわひぬる 寄鼠恋 忍ふ夜はねずなきをしてあなかちに人の心をひいてこそ見 歌鼬恋 なさけしらぬ人をたぐへはみぞいたちたゝみめよしといふ計なり 寄猿恋 うき事は見ざるぎるさるいはさるよかほあかめあふ恨せんなし 歌狐恋 君こむといひし夜ことに過ぬるはたのまぬ狐身をやはかせる 歌狸恋 うはなりはたぬきの鼓おもふさまうつて後にや腹のいるらん 寄蛙恋 つれなきはかいるのつらにかくるてふ水くき一度あひさつも 寄蛻恋 ひる寝する君かあたりのはいなたはひかゝりてや我もせ候らん 寄風応 そふとても肌ゆるされぬきぬしらみうつりやすけな人の心に 寄解応 待よひの吉凶あしきさゝかにのくもてにあがき物をこそおもへ 寄蟻恋 ゆがみゆく君の心をくゞり見てたえす恨はありとをし哉 寄蜂恋 口くせにうそつく人とみつ蜂のさしてたのめる我そはかな 寄蚯蚓応 目をもたぬ虫のとくに音をそなく見ゝすしらさる人をこふとて 寄亀恋 とう亀のよはひもかもななからへは君のうき気にあふ事も 寄貝応 あふ中も今ははなれてはまくりのむきみより猶うき身成 寄鯉恋 わか恋のさしみならねとかゝし酢の目はなとをりて涙こほ 寄玉恋 一度二度いふてならすとすてをかし升和か玉もあれはあふに 寄銭恋 よみをくる哥になひかてつれなくはおあしの文字の数をつらねよ 寄箱応 人の気やひづむなま木の名のふた身にはあはすも成にける事 寄葛籠恋 是にあひかれにあひぬる人はたゝ一荷つゝらのまた心かな 寄枕恋 おもふこと寝言にいへは敷妙の枕やかくす恋をしるらん 歌文恋 文ならてあふていはゝやおゆかしくおもひまいらせそろともを 寄玉章応 契りをく今の玉章とりをきてかはしは後の證文にせん 寄絵恋 うつし絵にむかふかことくつれなきは我に物をもいはす わしはす 歌硯恋 しゆびんせきの硯ならねと筆そめてかくや泪の露の玉つさ 寄筆恋 秋山に妻こひかぬる鹿のもの覚はいまはんくときやる又 寄刺刀恋 人こゝろあら砥にあつるかみけりのあふ事かたくぬるゝ袖哉 寄衣恋 から衣うらみて袖をひきさくやおもふか中のつゝりいさかひ 寄袴恋 君きての後のあひたも長袴まちとをなりと思ひしらすや すや 寄帯応 あふ時の袖のなみたはかはらぎてとく下帯にぬれそかは 歌袋恋 うき思ひ内にふくるゝ小袋のつゝみかねては口に出けり 寄布応 布ならぬわか名をしろくいひさらすあくたれものゝ口のさかな 歌紙恋 鳥の子を十重つゝとへはかさねともおもふことのは文につきや 寄麻風応 一余めをし忍ふ心のかくのまに勝手屏風をひくよしかな 寄扇恋 秋きてはそよとの風のつくもなし人にあふきのわかれせしより 寄笛恋 わかいきのかよへるほとはふく笛のなるをかきりに君をしたは 寄琴恋 しのび〳〵むねにしらふるうきことのしやうかをいつかともにうひ 寄鼓恋 いつまてかかく打すてゝをきつゝみなるとならすと音つれよ 寄太鼓恋 音にきく人を太鼓のうちつけにかはよくなるは何のばちそや 定の碁応 案しほれてしぬるはかりよをよりもつよきあひてを恋のみた 連碁 寄羽六応 よきめをとこひねかへとも双六のさいはひなくてあはぬひとり 寄相撲恋 下帯にまたとりつかぬわか中はちからをよはぬあらすまふ哉 寄鞠恋 下手のまりよあてどもしれす庭中におとし又する恋のはかなさ 寄矢応 つがふ矢のかりまたよりもはけしきはいふりに見ゆる人の心に 寄鉄炮応 てつはうのたま〳〵きてもはなさぬは結句おもひのたねか島哉 寄脇指応 君とわれあひ口ならはわきさしのつかのまもたゝはなれさらましか 寄刀恋 思ひしみて思ひきるにもきられぬは身より出せるさひ刀 寄長刀恋 ある時はやりとめにしつある時はつしきなきなたあひしらひ 寄甲応 うちかふといまはしのひの緒をときて降参しつゝ思ひはし 寄香恋 むねにたく思ひの焼きやらなしは香をしるへにもとはれん物を 寄薬恋 ともすれはいけつころしつ気の毒もきの薬もや君のはいざひ 寄膏薬応 物の気につくほとならはうちまたのかうやこのごとくをもはなれ 寄酒恋 思ひみたれ色に出にけりをゑは酒にもふかと人のとふまく 寄餅恋 あふて後猶おもひつくさたう飯ちきるにつけてあちのよ 寄饅頭恋 つゝめとも外にもるはまんちうのあんに相違のわゞが契り哉 寄米恋 うすなさけ契をこめのつきはてゝこねか〳〵と侍ほとそうき 寄味噌糸 一夜ねし納豆みそのなまなかになれてくやしき物思ひする 寄塩恋 こほれぬる目もとのしほはなめねともからくも人に思ひしみかみ 寄新兵 明暮のもゆる思ひにくべてたにたきもつくさぬわかなけ 寄釜恋 人をわれすき心にてかまの湯のわきかくりつゝ物をこそ思へ 寄鍋恋 あたい人のつゝま祭にかつくてふなへとの数に入われそうき 寄茶笠恋 うきふしに草せんの竹のほいなくもあはてふられて心きみ〳〵 歌柄杓恋 し水よりつめたき人の心中はひさくなけれとくみてしらるゝ 寄桶恋 中ことたかゆひさくるやふれ桶水もらさしとおもふそこいを 寄懸応 いはぬ間は口をとちをく葉茶つほの思ひつめたるほともしらな 寄置応 恋衣つまむかへにし画にえふてはかほも色なをしする 寄廻応 色ふかく人をは思ひそめつけのさらに忘れぬわかこゝろ哉 寄折敷応 いひ出す人にかいしゆの色見えてもれんわか名のおしき成る 寄火応 うき恋のやまひを治する灸ならてむねをやく火そくるしかりける 寄灯恋 いまこんとゆふへにともす油つきのありあけまてにかゝげそへつゝ 寄蝋燭応 こぬ人をまつ夜にともす蝋燭のおもひこかるゝしんのくるしさ 寄焼灯応 しやみにほねかはとなるちやうちんの内のおもひの外にほのめく 寄家笠恋 忍ひあまる涙の雨にかくれみのかくれ笠こそきまゝほしけれ 寄履恋 君かかたへかよふ心の道をふまはかねのあしたのはもたまるまし 寄槌恋 堂宮にのろひことしてうつ釘はかなつち論のりんきいさかひ 寄捧参 引くらへになはは棒もおれぬへしなひかぬ人と恋のおも荷と 寄車恋 きしまする人の心はやれ車わかまゝにしもひくにひかれす 哥船恋 おもひにしこかれてしつむわか兵小舟に過た荷物なりけり 寄綱応 だいもちのひく手あまたの人心誰によるともしれぬ。さきつな 寄綱恋 つゝめともそなたに心ひくあみのめもとに参のあらはれやせん ぐはん 寄神恋 願かげてむすふみしめをきふねつよるへさたむるともつなとせん 歌仏応 極楽もいまの心によもまさし如来はだなる君とぬるほと 歌珠数恋 道心もをこるおもひの玉をくりてこぬ夜の数を身のしよさ有する 寄聖応 所からひしりの中の契とて老をいとはぬ高野六十 寄山伏恋 待かねてひとりねにふしとらにおき我こそ恋の山伏の行 歌若衆恋 若衆にかいなをひくもあつさ弓はづちかへしのやくそくのため 寄遊女応 船遊ひうかれをんなのきほの哥きけはよましもなへておもしろ 歌医師恋 人しれぬ恋のやまひに我しなはいつれの医者になき名おほん 寄武士恋 敵を待もの心もわか恋もあふに命はおしましとこそ 寄占士応 見とわか中こそへたのうらやさんたのみをけともあふ事なも 寄番匠恋 かどらしき人のかたぎのうきふしをまろくけづらん番匠も哉 寄鍛冶恋 くろかねも人のきた一はやはらぐになとねれあはぬ君のつて 寄休格恋 一れもなき人はこんやのあすあさてあひそめん日をのび〳〵にふ 寄延虫恋 よくつゝめあまのかりほす見るめもやしほしむ中はしたゝるきも 寄樵夫恋 おもひものに気をつくしてもこりはてぬ身はおとろへてやせの山人 寄杣人恋 心なき杣のなけきの音にさへあの山彦のあどうつをきけ 寄商人恋 あき人のそらせいもんのたくひ哉まだねもせさる御なかねこと 寄唐人恋 君はなと聞分さらん唐人もなかたちあれは通す言葉を 寄盗人応 ぬす人の名にやたゝまし夜もすから忍ひありきし後のひるね 恋雑 誰なを須中とはなしにめをとするいさかひはてゝ夜るのちき りき 吾吟我集巻第七 世話 老のさいはひといふことをよめる なかいきは飛おほけれと総彦をかゝむせなかにおひの幸 氏よりそたちといふことをよめる ゆたんなくこやしかくれはよきえんの草もや宇治よりそた ちなるらん はしめのさゝやき後のとよみといふことを 忍ひつゝはしめさゝやくむつとははらみて後のとよみとそなる 一念れすころひてつきしむかふ疵いへぬる跡やけがの高名 緒よりもゑの子かへとはむはたまのよか〳〵とふ用心のため まへかたをそさうにゆひし垣ねもやはやくやふれて後くいとなる 支證なき手からをはなす音をみそから鉄炮と人のきくらめ げすの知恵跡につきぬるはかなさよ身こそは手の供をするとも 代かへてめいをつぎぬる腰刀けにと寝は身のさしあはせ 料理してふるまはるれはついせうに鹿をむまやと今もいひけり 軒にふく瓦をとめてさす釘や手つよく見ゆる鬼にかなばう ゐねふりも奉公かほにあつさ弓いひきの音のする夜番哉 かゆきかたへ手のとゝかさる事よりも物をえかゝぬ人の不自由さ よろひつれておなしさねなるかうのもの爪を二つにわるたぐひ哉 侍のゐのしゝ武者といはるゝも虎口につらき騎馬をもつゆへ 手がいれは足も入けりおさなひの親のゆがけをたひになをして にくまれ子世にいるてふたくひ哉藪よりそとにそたつは水竹 立よらは大木のかけとおち椎の数をひろへる猿のかしこさ 人の物をちゝと引とるかし金や子に子かさなる鼠算用 猫のはにかみのこされてとふ蛍も虎の尾をふむ心なるらし 世間こそはり物なれと月の夜にちようちんともす人もありけり 家なれぬほとはあひらし今まいり廿日鼠ものちはあれぬる はやしをもうかへかほにてするけがは木から落たる猿楽の芸 おふ子よりだく子に乳をはのますれと親の慈悲には前うしろ 手のきかぬ女子の親のせつかんは針を棒よや取なをすらん 観音や天神まいりする日こそ牛はうしつれむまは馬つれ すけなりのわかれをなけきあまになる日本の虎は毛をもおします 身をつみて人のいたきを尻のあたりさはる男や手くせなるらん けしやうにて人をまよはすたはれめは狐ならねと是もつら石ほ やき鳥にへをとはいへと我はたゝ猫につなてをつけんとそ思ふ かまはしな是もさはるにぼんなうの犬ははけしく人にかみつく つよきかたに助言いひぬる将棋こそかける馬にもむちとしられ 手こうより目こう成けりみたれ碁のあやまりは猶そばて見え 双六のならひはしめはさいの目のいちをもつてそしるばんのうへ かみをまなふ下とやいはんそめなすもおなし色なる袴かたきぬ 落武者やうしろにかへるほろみその夕立にあふ風情なるらん 鷲のとぶみ山烏の声するをにがわらひとや是をいはまし 暮とに鷺もからすもとまれるは一樹のかけのあひやとり哉 みゝつくでおほくとりぬる小鳥こそわらふ所へ福きたかなれ 春かれにみゆる熊野の牛王こそ烏のかしらしら紙としれ 中〳〵にやめようさきのなま兵法いねにかまるゝきすのもとひそ きく人もなしとてきりし琴のをやかくるもひくも折によりん 口のうちにとなふる阿弥随ぶつめかし手にもつ珠数も老のくりこと 酒にえひくたまく人は何事もいさしらいとのみたれこゝろよ わか影の一河の水にうつろひておなしなかれをくむ風情なる つき山の石灯籠の夜目遠目笠の内こそおくふかく見れ 見る事の目にはとまゝず聞ことも然耳にして皆わすれ水 口ふりをいかにととへど唐物をえしらぬ人や故桝まるのみ 出るより入事はやき光陰の矢さきや人のいのちせめけん 死する身のほねもひからしやれはつる金の扇を見るにつけても 酒やにも命をまたふもつかめは正月ことの蓬莱にあふ 山人の声にこたふる谷あひのこたまをきけは岩も物いふ 世中の男おんなのわざはひもしもからおとる物にこそあれ 吾吟我集巻第八 旅 大磯の宿にありける猫を見て なれも又ひく人あれはおほいその虎げをなてゝかほけはふらん おなしところにて うかれめの人をたらすは大磯のとらのいをかる狐なりけり まりこ川をわたるとて 馬のあし四本かゝりによる浪のくつ音たかくこすまりこ川 箱根ふたご山のあひより雲のたつを見て 明はなれ見るに箱根のふたこ山うちくもりにて中をは りけり 冨士山をなかめて ふもとをは雲のつゝみてちうぶゝり天からつつた富士の山哉 富士山の腰よりうへはしろたくに雲の衣をぬきさけと見る あふのけにころはぬほとは富士も見つそれよりうへはいさやしらと あしたか山に畑やく煙のたつをみて 煙たつふしのすそへもをしさげて三里をやくやあしたかの山 のびあがる足高山も富士のねの腰たけにさへをよばさりけり 吹上の六本松といふを遠めに見る折しも風 はけしくてほこりのたちけれは むかふ風に浜のまさこを吹あけの六ほんまつけめをふさき 田子のうらにて をよひなき煙くらへをするかなるふしのたかねと田子の塩屋と 清見かたより三保の松原を見やりて 興ありと見ほの松こそ人とむる清見か聞の木戸程なれ まりこのしやくをいてゝ まりこより野辺にかゝりて行人のけつまつきてやひさをする 宇津の山をこゆるとて のりかけのつた継おりしてつかれたる馬には沓をうつの山す さやの中山にて 梅人の命成けりたのもしくさせる刀のさやの中山 はしもとにて 入しほに浜名はかりくちもせて年ふるくいも見えぬ橋もと 三河よりおはり路にかゝりて 春の花ちりふを過て夏の日のあつ田のまへに梅はなるみか なるみかた喚績の浜なとを見て行に 声たてゝ鳴海を出るはや飛脚行さき〳〵によびつぎの浜 笠寺のくわんおんにまいりて 天井も法のちからにはりぬれはから笠寺とさしていはなん 伊勢の国に旧友の住つきてありけるをた つねあひて夜ひとよ酒のみ物かたりして 此国のいせ物かたりはしめけりむかしおとこの友をあひ見て 伊豆のあたみへ湯治するとて米かみといふ所 をとをりけるに 賤の女のもみすり歌のとたゆるはほうはるほとや来かみの むさしの国熊谷寺にて蓮生法師の木 像を見て 先陣の苔をまねかれて内陣のはたかしらこそゆかしたかへ 筑波の山水落ゆくすゑにみのわだといひて 鯉のおほくある渕をみて つくはねの水も落くるみの口たの鯉そつもりて渕と成 名所山 男山むかふは北のかたなれは是やはらむといはんおほはら 大江山いく野の道のこはけれは鬼が城とてまたふみも見て 蜂の巣をおほくかけぬるゆへにこそ熊野をみつの山といふらか 名所坂 すへりてはしりもちをこそつきにけれうすひの坂を雨にこへ 野 詠やるすゑの草葉に雲とちて天地和合やむさし野の原 むさし野より富士をなかめて 盆の名になかれたる武蔵野に富士をたくへは蓬莱の をみなへしさける野かみの草枕ありし花子とぬる心ちする 滝 山のこしに風一声のきこえきて鼓の瀧のおつにかんあり 清水の舞台のうへにひゝきけりなかす音羽の瀧の鼓は 山姫のをこけ成らし谷底にたくりためたる瀧のしら糸 関 やふれすと文字にかけとも板ひさしいたつらにすむ不破の開 とまれとて人をみちひくたはれめのゑみこそ開の地蔵がほなれ 開寺の門前見れは今もてもわら屋を立て小町ありけり 川 名所山 男山むかふは北のかたなれは是やはらむといはんおほはら 大江山いく野の道のこはけれは鬼が城とてまたふみも親 蜂の巣をおほくかけぬるゆへにこそ熊野をみつの山といふらか 名所坂 すへりてはしりもちをこそつきにけれうすひの坂を雨にこへ 野 詠やるすゑの草葉に雲とちて天地和合やむさし野の原 むさし野より富士をなかめて 盆の名になかれたる武蔵野に富士をたくへは蓬莱の をみなへしさける野かみの草枕ありし花子とぬる心ちする 滝 山のこしに風一声のきこえきて鼓の瀧のおつにかんあり 清水の舞台のうへにひゝきけりなかす音羽の瀧の鼓は 山姫のをこけ成らし谷底にたくりためたる瀧のしら糸 開 やふれすと文字にかけとも板ひさしいたつらにすむ不破の開 とまれとて人をみちひくたはれめのゑみこそ開の地蔵がほなれ 開寺の門前見れは今もてもわら屋を立て小町ありけり 川 けだ物の名になかれたる熊野川水にも影のうつる月の輪 江 朝霧のひまより見れはろくしやうのうすさいしきの巻の江 浦 名にたてる屏風の浦のむら千鳥とぶを絵やうに見る雀 船出して松浦の沖につる魚もひれふりにけり浪のわかれ 浜 あた浪もたかしの浜の千鳥わなかけしや袖のぬれもこそま 崎 から崎の松は一ほんたちなから名をは日本にいひそひろむる 嶋 景よしと見る人ことにゆひ立てまかきか島の名はくちも世 橋 心かけし佐野の舟橋とりはなしいた〳〵敷そ思ひやらるゝ 扇の芝を 頼政のほねははかなくくつれとも扇の芝に名は残りぬる 里 山城のこはたの里に馬はかせと駄ちんなき身はかちにてそ 河内女のをれるもめんのよしあしにねをやわりてる高安の里 市 たつねきて誰もしるしの杉の門三輪の市屋の酒はやしとは 吾吟我集巻第九 鶏 天 あきらけき月日ふたつは天のめのまもる下界の人見なりけり 雲 よこ雲は天の戸ほそのくはんの木よひくとみより月明にけり 風 めにみえぬ物ともいはし草木のうこくは風のかたちならすや たなひくをにじとはいかて。いふやらんたゝ一筆のへの字とそ見 廿四 木をんなと是や岩ねの姫小松すね〳〵しくも見ゆるそたちは 松 竹 不孝なる人に見せはや若竹のすぐな心のふしのあひたを 吉 びろうどのふどんとみみてもみきなる告を筵と誰かいひける 鳥 雲の音に峯のうそ鳥かよふらしをのか尾よりやしらへそめ 仕合のあしかはつきてなく鴨や沓てをなさぬむくひなるらん 有無のととへとこたへぬ都鳥口はつかしき田舎とや思ふ くび筋に珠数かけて行堂鳩の年よりこひとなやよふらん 村鳥のわらひよりつゝなく声をかしかましとやきけるみゝつく ふくろうの声よりほほんほんのりと月の桂の木すゑ明ゆく 木々の葉の落ては陰や寒からんびんぼうゆるきの森の白鷺 釈迦のたけ阿弥陀か峰を飛行して仏法僧と名をとりの声 おく山の苦むす木陰しつかにて身をおとろかずなくかんこ鳥 石かれい石もちなとをかさねつゝみさこのすしのをもしにやする ゑびしやうの羽ねたゝきして鶏の声より開の戸は明にけり たつ時にながくのぐぬるおほくびは身に応したる鶴の毛衣 獣 むさしあふみさすかにかけてのる馬はとばぬもつらし飛もうるし 名のみして口にねふらぬあめうしのいかてかたえぬよだれ成とん 青みとりかつきてはけし狐こそ池の玉藻のまへとなるゝめ はらつゝみうてる狸のをのつから身にたしなみてもいや朋皮 糸つけし手かひの猫はしやみせんのかはにかけても人にひかるゝ 獅子ふしん尾都入をやまねぬらんおなしたくひのうさぎ兵 猿猴の手まつさへきる山水になかるゝ空のさかつきのかけ 毛をいたむ虎のためには是そこの悪事千里を行野への 虫 ひと間〳〵糸をくはりてさゝかにの智の家にやこまいかくん 地かたふきてまはれぬ藤や是ならん岸ねにこけて行かたろふり しけれるはむつかしとてや草村をかりのけかほに分るかまきり くちなはのをのが針めのほころひを誰にぬへとてぬけるきぬ 浜見れは真砂に蟹のかうたてゝはさみきる手をあんしかなる 貝 津の国の難波のみつのはまくりをふむにもあしのうらにしらるゝ さししほの海のそこひになる時そめくすり具をひろひ取ぬる あまをとめともなひきつゝ海きはにとりあけ見れは子やす 魚 たち魚のこじりとがめにかいらきの鮫もやひれをいからかすらん 地ごく網にかゝるうきめを見る事となどさとりえぬたこの入 鬼 めに見えぬおにはくひつく事もなし無理いふ人の一口そうき 金 いかばかりこかねはをもき空にてちからわざにももたれさる 銭 つの国のなにはの事もかなへはやつかふ銭をもあしといふらん 秤 一人の科をもきかろきはめにかゝり我身のほとのはかりしら 鏡 人を見て人は人をもたしなめは人こそ人の人のかゝみよ 硯 筆の毛のうさきも水をはしりつゝ硯の海に入窓の月 紙 鳥の子に大鷹こたかひきあはせつかひあかぬは料紙なりけり 弓懸 鹿の皮はゆかけになるもやすからす又持人の手にそあひぬる 沓 名をつけて牡丹といへるくゝりこそけにもなりけりしゝの かはくつ 忍 艾をよく取ぬる徳をいふならは是もこはくの玉はゝきかな 酒 住わふる世のうきふしもわすれけりのみし寝さゝのよひのま 餅 うへもなき大仏餅の本来をさとれは米の裳薩なりけり 饅頭 あまからてあちのよきこそ武者心沙粧のいらぬたゝのまん 笛 くりあくる竹のあなかちそれならてふきぬる人ののとふえの 尺八 隣の名のふけといふより尺八の竹の世をつぐ今のこも僧 琴 きゝ分る四季の調子は声〳〵に伯身かしらへことも高上 鞠 書かゝり鞠のにはかに吹出る風をうらみのくすはかま哉 太刀 ぬくとてもわが目のさやをはつさすは何の用にか太刀のきつささ 鉄炮 気の薬思ひこめたる鉄炮は的にはつれぬわかこゝろ玉 職人 通鍛冶もあなづりにくし草なぎのつるきにおなしほせんと やすらかに軒をつたふて家作る大工をいはゝ智のいとなみ あつらへの数を畳のとことはにさすが上手はいとまなけなり 一桧物師のまぐるをも見よ人心しなへてこそは中まろへん 一まいを万枚になすはくやこそ金を打出のこつちなりけれ 世のわさを心にしめてうつ槌に身のあせをさへしほるあふらや 棚はたををれる糸屋の職女こそ天乙女にもをとるましけれ 山から籠をぬけていにけるに かしこくも籠をぬけつゝ足曳の山から山へもとりうちけり 人の鷹をそらしけるに せう〳〵のつみにはあらしひさうせし鷹の見えぬは大それた おかしき咄にて人の機嫌のなをりけれは そらさすに人のきけんをとりとるは是逸物のたかはなして おさなひのえにしむすふことふきに 一厨となりむはとなる迄しら雪もふり分髪のゆひなつけ 碁うつ人先手のあゝそひにざれことしけるを見て ちやうはんと名のりかけ碁の勝負にはぬすみをするも道理 ある人鮒のほねをたてたりしといふをきして 咽すちにほねのかけたるしからみはのみこみあへぬ紅葉鮒弐 くるみをわる人を見て おにくるみわりそこなひて手のかはをむくりこくりと身よ かはらやのあれたるをみて 成にけり 薩おひてあれたるやねのうるさきは風にもくたく鬼か はらき しらかへをあか土にてぬりかへたるを見て てんがくのみそにはあらてしらかへのうへをぬりたる色もしほらし 伊勢衆の鹿をいむといふ物かたりのつゐてに 社領とていせの山田を守る人は尤しかをいむへかりけり 子とり姥のつてにて乳もちをよひけるに 出乳こちのたつきもしらぬ山家よりおほつかなくもよふ子とり ある人いさゝか成事につきて子ある中をわかれけるに 数〳〵の子にはなるゝもやすおけのゆひぶんわろきわか心かゝ をゝうむを見て 女房のとりあけてまくへそのをもうみおろしくの後のことき ちゝみのかたひらをきて ちゝみつゝむねあひかたきかたひらやきのふにかけるかふのせば布 手むさく茶たつるを見て ふきもせてたつる草入の大海は塵をえらはぬことはりにそ 茶と酒との論をしけるに たてゝ猶宇治茶の色も青によしなら諸白にいかてをとらん 路地の飛石をつたふとて 水にてはすべらん事もえそしらぬ道の苦なれや坪の石にも 鯛に塩するをみて 桜鯛けふたにもかく匂へるをあなたのみかたあすの料理は 魚やくをみて 芦の屋のなくの堰魚火にくへて竹のをくしもさゝすやきけり をこる人のうへを思ひやりて をこりぬる人の栄花はあた花のおちふれて後身のならめやは いたつら者とかにをこなはれけるに きりはたりちやう〳〵とうつがんどうの音あらはれてはた物となり ぬすみより外の事をはしら浪のあはれあふなく渡る世中 薬事きかてわつらふ人をみるにかなしくて 病をもなをさぬ竹の藪醫者は人の命のじねん侍や侍 はうかするをみて しな玉か何そと人のとひし時露とこたへんきくてなけれは 子のむまれてみとせはかり腰のたゝさりけれは 足たゝて三とせのあひたしとはこをひる子は神のまもらさゝめや やいとするとて 藻にすまぬ腹の虫気も我からと音をこそなかめ灸はうらみへ 腰をいたむ人ふしに度々灸するを見て 時しらぬ病ふじのねいつゝむつ鹿子またらに灸をする行 世をのかれて鎌倉にすむ人のもとへよみてやりける 世のうさにあせかくわれをまねけかし扇かやつの風のたよりに 老人を せをかゝめ腰をもけなる人はたゝ高野ひしりのおひやしぬらん 年よれはおほちにつれてむはたまのくろきもかはるもろしらかも 年よりは見くるしなといひて笠きたる人と 道を行つれて 立きてもこびんのはしにをく箱のしろきは人の世そ更にける 老たる人のわつらひよくなりての又のとしに 春よりも行歩自由になりたりし老は将棊の番かへり 比丘尼を 示しわかきひくには髪をすり衣墨にそめても心みたれん 順礼を くばりつゝ札をうちきる順礼やかそへかるたのゆひ成らん 鐘 りうづ つくかねの龍頭のつのをうこかしてじやもまふとなる声のす 山家 山居せは奥より出くにかくれんぼう跡をも人のたつねこぬが 姿こそ山家ものとてあなづらめ心の楽はなに都人 人の野をくりして帰るあかつきに なかき世のわかれとなりてなきわめく人も八声の島へ野の 一苑礼の幕を見るにも布引の瀧ほと落るわかなゐた哉 あたし野は瘡のうき世のはきためのおさめ所よ灰になけ 楠の木のなにかしといふ人の墓所にて 名を残す跡の五輪はくすの木の石となりたるしるしなりけり 寺の庭に水出て卒都婆なかれけるに 爰も又それといわうか嶋なれや数のそとはを波になかせは 宇治にすみぬる僧のもとへ又つかはす人に。はりて 庵しめて世を宇治山に墨染の衣をやりてきせん法師に たうとき僧にあひて 次めこそあらくましけれ左僧のむねのあひたはきよき月の 述懐 ましらへは七重の膝をやへにおる袴のひだのむつかしの世や 物とにあらはありのみなしとてももとめはせしな世はなり次 懐旧 茶をのめはねられぬ老のはつむかし大むかしまて思ふ夜すから 無常 世中をおもへは夢そうつゝるか八万歳も名のみのこれり やまものえりくひなれやとしをそし誰か身ひとつ世に残るへ 亭主とて跡にとしまる人は作そこの世をかりの宿といへるに 神祇 お祓の箱をはりぬる神わさにそくいをおしのひまもなけなり 野の宮の森の烏の羽いろまておなし黒木の鳥井なりけり 帰るさもいさしら山や神主の馳走ふりよき客人の宮 世とをへて額にたゝむさゝ浪や志賀の浦半の白髭の神 人の世のからきをくみて紀の海の塩屋の神や慈悲をたれ あふきよる鹿嶋の神のかなめ石かたきはぬけぬしるしなり ちはやふる社頭を見るにゆふしての紙より外の神そなかりき 三熱ののどのかはきやとまらまし御湯まいらする神のまが 釈教 をしへおく釈迦のやりの手つかひなはつるきの山のせめやのか 御手の数おほき千手のちかひにも蛸やくしこそをとらさる事 たたのめ罪おもくとも石山に観音力のあらんかきりは 清水にまいりの人は観音の堂といふより馬とゝめかな 彼岸にいたらん時の帆柱や舟岡山にたて浅草木 後世しらてつみをもき身は三余川の石をいたきて渕にしつまん 人の追善に たむくるはしふ茶なりとも明暮のつもらは無上極楽のたね まふてぬる寺にかきらす人ことの朋に仏はそなはるそかし 極楽は涼しき道ときくからに経かたひらをきてや行らん 吾吟我集巻第十 廻文歌 春 身の留守にきてはおりとるこのはなはのこる鳥をは敵にする しら雪は今朝野ら草の葉にもつも庭のさくらのさけはきゆく 夏 田うへ哥てうしはやみつつそんてん手越やはしうて田うへうた 秋 草くきの葉にふる霜に見やるなる闇にもしるふ庭の童 冬 月のもときよしといへは冬の夜の夕はへいとしよき友のきつ 恋 つれなきを門にまつまひかけてこて使まつ間にとかをきなれし 君のためとひよりたあく門の戸のとかくあたりよへめたのみき へかたしと年月事を望むらむその男きつしとゝしたかへ 雑 ねふりつる蕪たきすて浪くしく皆出過たりかゝる釣舟 湊川とまのそきつゝまはりけり浜つゝきその窓は門なみ 廻又百句の俳諧をつかふまつりて貞徳と いふおきなに見ぜにやるとていつも噂申 せはそなたに鼻ひさせたまはん時にはこな たをもおもひ給へなとことはをかきて むせうつり高鼻ひかん貞徳と出むかひなはかたりつう 述懐 一しろ髪は毎日見るそうかるなるかうそる道に今は身かろし 哀傷 又飛ぬ女とおとあはれぬししらし死ぬれは跡をとめぬ人玉 神祇 冬らしき雫しきおもしろ岩の木の栗いろ霜をきしけき 賀 なかき代は君民の体たうとしとかたいてのみたみきはよき かな 鳥かなくあつま人の石田未得う家の 参の者吟我参と名つけたるをあしかちる なにはのふみめき人家木翁了家につく候へて あらわの百とせあまりになりたかを朝もよひ 木にえりてうつせみの世にひろうせんとて しかへにひとことをそすと聞ふるます〳〵 かたはしよりみもてゆけはいにしへ後鳥羽院の おほんとき無心座にさためられし狂歌と いふものを彼ちうたはたまきのおほけなき ふみになす上てみつからのよめるかきりをあつめ たるにな心有けるされはやつかれかもとより このめるすちにてその世にめてのゝしる つたなきすかたをはなれいひしらぬみやひを つくしてしかもくすしからす高きもいせしきも ありとある人のこゝろの種をうへし苗代の 水のひくかたにまかせてにこれる水茎の跡を とゝむるになん 棚元見行 寛政八年初夏 浪華書坊 河内屋八兵衛梓 崇高堂蔵板目録 大坂心斎橋筋南久宝寺町 河内屋八兵衛 一常山先生著 算法統宗大成 明程汝思輯 華術の根えを五四 無作の根元を五冊 しるせり 五冊 備前より江戸まで 東行筆記 の道中紀侍歌入 しるせり 道のり給ちん柱 八さん見一より算法 秘興の寺を尽す 和漢算法大成 名所旧仏神 東海道巡覧記載 仏閣無くしかす 宮城清行著七冊 東海道のこと 藤原為業作にて中曲 君臣の事跡をしるす和 世継物語 暮家に賞する古文なり みさいなしかす 一冊木曽路巡覧記 古今著聞集 東海道のこ 一橘季茂著 面白き事実を みさいにしらす 二十冊善光寺巡覧記 部を分ちあつむ 大坂より長崎迄 正親町公通公様に 御自活し給ふ相 一水田村の薬 雅筵酔狂集 四冊 哥相詩の集也 みちのり御ちんな 西国筋道中記 おくはかしくしるす 嶋々浦々之者 冊 一冊 一冊 北尾重政画 絵本義経記 一義つね一代の事を 五冊同海上船路記 のり等くはしく いり等くはしく一 一冊 しるず 一絵に委くあらはす 国々敷にてしほの 鈴木春信筆 子供のをしへにお 子供のをしへになる 汐時計 絵本いろは歌 はしくしるす みちひ月の出入をく 一枚摺 おもしろき絵本也 巻葉斎画画 風流もてあそひ 花鳥山水唐画 花鳥山水庵画 銅脈先生作 同海蔵 しばゐの事を ばゐの事わるに詠む 狂伝に詠ば 一冊 の手本なり 東渓画譜 地南嶺流から画 の手本なり当世 めへらしき図をあつむ 林春齋先生著 二冊類字仮名遣 文字のかなきひ を委くしるす 一冊 武将感状記 熊沢先生著 古より武功の 善を修すれは惣服 ある事を諸人に敷 太上感感応編 ものかたつを記す へる道家の経なり 一冊 北條五代のいくさ 北條五代記 実詠の物かたり也 十冊感感感応編俗解 ひらかなにてきこみ やすきやうに注す いんとくの書なり 心成公御子正行公へ 備前の国孝行の おくり給へる教訓書 一冊備前孝子伝 楠公桜井書 人々をあげて其 伝をしるす 国学志貝 牛札其外日用の 和学の要旨故実 三冊大宝用文章 重宝をあつむ 重宝をあつむ をさとす示林長見著 ・ 五冊 桂秋斎著 書札古状の後抄 南嶺子 四冊庭訓七宝往来 有職故実諸雑説すへて ちようぼらをあつむ 同扇子丙戌亥秋秋秋雑住まて四冊一庭訓七宝往来書九十七十七日 和学に益ある事をあつむ 同作 七宝の軒板字壱 南嶺子の後編なり 一三壱一一 重宝をましあつむ 南嶺遺稿 開嶺遺稿三名千代官 一冊 一冊 同作 けんやくしまつの 神明憑談 るをさとし立身 るをさとし立身 和学神道の旨を 一二冊立身始末鑑 する心得をしるす 発明す 一冊 神秘口伝等をひら かなにてみさいに 中臣抜諺解 ちうせり 奇怪のはたしに いましめの意を 二冊見外白うるり ふくむ 三才諸神本記 一寺島良安著 神代のけい図神々 当世の穴をさす 五冊当世くろうるり 一稗家第一の書也 のいはれをしるす 五冊 五冊 和漢太平広記 和漢の幸雲を 評論して紅誠 画唐詩朗詠集 瀧本坊惺々翁 の手本なり の恥となる書也 二冊 □ ▼