三玉集
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- 湖涛園蘆元選
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- 湖涛園蘆元選
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- 日本語
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- サンギョクシュウ
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- 東北大学
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狂歌三玉集全
狂歌二至集の
序
荒井恭姫
以テ購入セルヿ
一両行
足並
猶野亭吉氏著書
集外三十六歌仙とふも結は
後水尾の上里おり居させ給ひしころの
御すきこすにして東福門院の御屏風に
おさせたまへりし宇世につたへてありしを
寛政のこかつ安田何某の梓にのほしたるは
そのひとのふく品位とたかへるもおはかれは
あたひとさの相覧宇しにかたらこひて
あらためたりある玉の春たつあしたより。
うくひすのこゑのたまうめく五月雨の
一軒の玉水晴まなきをかこち秋の夜早
たきそふ露の玉字あはれかけおとのみしけ
き玉あられの梢にとめて高ほとなきをし
尤なと四季をり〳〵のことの葉の玉をあつめて
了を三巻にわかひたれは三玉集とは名字
おふなぬ
文政とをまり
ふたとせといふ
としのきさらき
明儀円芳元誌
東下野守平常縁
峯炭宛
立のほる煙ならすは炭竈を
そここもいさや山峰の白雪
在甲府
十八点
湖友園阿津丸
しら雲の峰を
いつしか
ゆきこえて
まかふ
色なき
山さくら
はな
住吉社人津守図豊
残花
芳野山所せきまてみし人の
ちり〳〵になる花の小る卿
川越
十五点
数星庵
かきりなま。
梅法師
さ月の雨よ
むさし野
に
おふる
うけらやたき
そへてまし
足利将軍義時海海通尼
秋の夜の露の玉たれ源をあらみ
旨
入簾
もりくるものは山のはの月
十五点
青峨庵照韻
柴ひとの
かよひち
たえて
さろたれの
く毛の浪こす
峯のかに
はし
柴屋宗長
春元去日榊のおひくを人の古たへにて
言みちある御代の春筆のとけき
十三点
梅廼屋
花にはな枝を
つらねて
よし野の
一二七年山
一重も
山
よその
は重に
まされり
月村齊宗碩
寄したるみかれゆく舟流したる
恋よらむかたなき君そつなき
信示
十三点
花鳥屋乗康
うつしうゑし
深山さくらの
はなさき
しらくも
ふかき宿と
て
なりけり
天三
永閑
月聞そむる雪ゐの雁の声よりも
雁おとろかれ弩月のかけ哉
仙府在江戸
十三点
千柳亭
糸さくら
しろきよ
みてもなけく
ちらは
かな
みとりの
色に了むやと
東福寺書記正徹
曙雪
白鷺の雲井ばるかに飛消て
おのかねこほす雪のあけほの
十三魚
御草固
明かたは
人の夢
をも
やふらしと
霞につゝむ
遠里の鐘
沙門正広
初進
初簾門外にひとりや月のふけぬら
い夜ころの袖のなみた尋て
陽居亭
十三兵
不皿の
陽
めくれは
顔も紅葉
しかれ桜の
せり
はなの下か遣
耕閑齊兼載
一時
秋ふかくなるをの浦の蜑人は
昼
反しほたれ夜いまやうつらん
長忍亭
十三魚
基頼
さくらはな
ちりしのちせの
山のはす
八重かさなれる
さみたれの
雲
一日
太田道灌
冬野
かり衣すそ野の原の花すゝき
ほのみしかけ半雲相かれにけり
十三魚
花咲庵
貫之の日記には
あらぬ
汐ひかた
白なみ遠き
土佐の海原に
三好長慶
零なにはかたふ江小渡る風さえて
芦風あしの枯葉のおとそ寒けさ
春友亭
十三魚
松ならぬ
梅明
さくらに
何をちき
りてか
歌むすふらむ
いてしろの図
宗院
旅風ませにあられたはしるこゝ枕
処ゆめもむすはぬ旅寝わひしき
洋々亭
十三魚
五月雨の
水元
たるや障子の
かみ屋川
敷居の溝の
の
瀬も流すらん
伊達中納言政宗
異書
さゝすとも誰かは越むあふ坂の
せきのとうつむ夜はのし雪
川越
千池堂
十三魚
雀住
告すとも
とはゝや玉
の山さとに
風のたよりは
あらせすも
かな
無雖兼載門人
梅香たか袖に匂をふれて散のこる
冨袖色沓すくなき庭の梅かな
末広
十三魚
仮名女
みとりなる
そらも梢も
わかぬまて
かゝる霞の
はし哥松
2
□□□□□□□□
里見玄陳
遠里
埼玉
鶏
鶏い
鶏
遠かたに中一吉鳥入声寸なり
いさう比里に宿りとらまし
呼月楼
十三魚
雪とみらん
三宜
かへとも
見えて定め
なく
時雨さくらや
かせにちるらむ
□□□□
〇
佐川田昌俊
待花
茅野の花まつ比の額なく
かゝる峯のしら雲
十三魚
四谷庵
隅田川岸小
つなきし
たけを
はなの雪
五之毛
称しすかた
かな
右八葉
相覧画
當座
海
四谷菴判
オシ
阿波の海鳴つに水のきりまきて渦の車のとゝろきそする
阿波の海鳴つに水のきりまきて渦の車のこゝろきそする一円窓
田子のから磯うつ波の白たへは影さす不二の雪やさそひし
かしこさよ筆の海辺はなか〳〵に砂に手習ふ蜑か子もあり
淡路しまかよふ小舟も真帆かた帆な鳥にはしる次戸の浦風春風
磯くさのめをもかりたき爽けしき霞はかりの遠近の海為持
みわたせは尤も紅おふもありそ海夕日影さす沖のきく波
いく子とせまつの魚とる内はらは汲とわ汐の尽せさる御代緞螫亭
絵心のありそ海かな一はけにかすみくまさるはるの夕皿図字垣
美しき春と秋との二見かた朝日のもみち波のはつ花花芽
伊勢の海岩戸ひらけて二升の子とせをかけて結ふほれ縄下蔭
一二十一日
十五
梅の屋
波風も
たゝてしつけき
紀の海は
妹脊の川や
なかれあひけん
十三
風さそふ
波の花ちる
たそかれは
洋る亭
水元
空にしられぬ
雪のしら漬
みちのくの
川三
福巣園
崔守
米しろなしゝ
船にしも
黄金花さく
大江戸の海
も渓
竜の屋
わたつみの
帝やいかる波風に
鱗さかたつ
荒磯の松
饅頭菴
いせの海
神代の文字の
腰高
外にまた
魚の数をや
よみゐるふ延虫
三とせ迄
玉川楼
鮎丸
たゝぬあしまに
打よする
しほもひるこの
はるの梅はら
三百集
一おなし心を四谷菴
杉田より梅とかれひの
なかれあひて
星月夜なる
かまくらの海
わたの原新の都王子の日して千代のためしに海松やひて川舟
春なれや海にも波の花くはし桜鯛とるあまのへり舟六花国
わかの浦汐みちくれはあしへをそさしてもとれる海士かつる経賢艶
鳴門海こゝもさぬきにてなれはや渦も円野のかたちにそまく
松風のとほ〳〵なかれて琴の浦しらぬ杢目を波にみせけり春岑
暮初し室の海路は船人の目あての星や梅のはや咲西来居
美しき錦の浦をむれてたつ沖のかもめや浪のうき織
鳴門灘とへはをしふる磯の蜑か橋の先にも潟はみえけり
わかの浦汐みつ時は田鶴のたつあしもかた葉のかたよりぬらん
風あらきえその海路はなみ名そしろ前にや岩もきるゝん
岩による浪打ちりていけの海ひろはぬ玉を袖に元有り花咲菴
枝たれし松のこはくや吸ぬらんちりひとつなき頃戸の浦道仝
戯咲歌三玉集
霞
湖涛園撰
沖津波たちしかすみの袖まてもぬるゝをしまの春の明ほの
未広仮名女
仙人の酒にくみぬるはるかすみそれさへ匂ふ三輪の杉むら
梅農屋
これもまたもみちの橋かくれなゐの霞棚引ほし合の浜
千柳亭
足皮のむゝさきたちて見し鷹の夢山よりそ霞ゐける
梅樹園花芳
紫にかすみて杉もわかきるは春のしるしの三輪の山もと
湖舟亭元女
川越
青様にかゝるかすらはすかたよき都をみなのかつきにや似る
福廼戸若海
玉しまや川上とほくかすみては家ありとたにわかたさりけり
六経国
水にうく鯉の鱗にいろそひて紫ふかくかくかすむ江戸川長忍亭其
長忍亭基頼
花咲がて稍いろなき遠山のかすみや春の下絵なるらん
春友亭梅明
青梅
昨日まてみえぬ霞の立田山夜はにや春の越て来つらむ戯咲歌林
三日東
二十一日
鷺の居るゆるきの杜にたなひける霞や五位のくれ受衆
野の萩はまたうら若し紫のかすみの袖はなにゝ摺けん青雲亭光海
桑名
浄薫台蓮丸
野末まてかすみこめてはまた花のさかぬすみれも紫のいろ
西湖楼徳
敷島菴哥和
いましめの阿漕か溜もうらくかに春は霞のあみを引けり
忍
仙人のくむともつきし大空のひさこにみてる春のかすみは
一円窓安樹
八重霞つゝめる中ももれにけり梅の匂ひと鴬のこゑ
風月菴友俊
上毛新田
遠里にたふる柳のまゆよりそ霞の糸は引いたすらん
堀迺屋好寐
忍
紫のふり袖と日につくは根のをみなのかたにかゝる霞は
秩父
下もえの草や柳のけふりより野辺もみとりに霞そむらん
仙府
隔汐とみやはたかへん時の間にかすみにしつむ沖の島山
湖僊堂
青州楼角樽
錦衣亭唐綾
咲うちし花に外山は真国くて雪ある不二のかすむ紫柳絵亭唐琴
立むかふ不二と筑波はむさし野のかすみの海の沖のしま山
仝
あさかすみ柳さくらはうつもれて春のにしきの裏と社みめ
可然亭安臣
ほしなせる梅をめあてに鶯もかすみの海を越て来つらん
雪とけて山の腰きへやする日は霞の帯もしかくみえけり
はつ日かけ赤く緑とる敷産の琉球迄もかすむ海はら
川越
立のほる梅かかをりは山姫のかすみの衣にそふる空燈
陽居亭陽
仝
西来居
福巣因雀守
吹はらふあしたの風にふしの根をうめる霞も汐ならぬ海
きえかてに野風呂のけふりのこれるは霞の海の蜑がたきさし
立田山かすみの糸のむらさきは秋のにしきの織下地かも
空にみつやまとのくにゝ立そめし霞男や岡見なすらん
春凪に瀧越す千舟みえてけり霞の酒を上積にして
両袖に不二と筑波をいれてたつ霞の衣の広きむさしの
仝
福迺戸若海
福翠楼枝茂
酔眠亭樽広
福迺群家濱村
湖城軒有安
三区長
三三
三輪の四ゝ霞の糸を今もなほしるしの杉にみする酒店小餘綾磯女
中川や霞わたりて朝またき舟のつくへきかたたかへせり庭水楼川舟
春の日の鼠の皮におりつらんもゆる草木の中の霞は梅農屋
梅農屋
沖遠みかすみてみえぬ笠島は雨もつ春の月にかしけん
あたらしき霞の衆のきそはしめ夜るたにぬ名春の稚さ
仝
親雀のまゝ子に着する衆ならんあしのほわたをつゝむ霞は
福象亭玉雄
浅草の海苔とる舟も紫にかすみてとほき品川の沖
秩父
みやきのゝ萩のかれ枝に袖すりて薄此ふのかすみたちけり
伊勢
一夜寝しその間か野辺は紫のすみれの色に霞ゐけり
千代廼屋春雄
福輪亭津葉成
瑞籬日左世
尾崎
手をならすわらひやあらん秩父山たてる霞の石の初市浅笹菴
常丸
ふちの花さかぬうちから此ふのかすみは山のまつにからなり筑波山人
水海道
一夜さにひけるかすみの海よりもうまれ出たる不二のしは山販穀店升取
ふりかくる跡さへみえす鈴鹿山うまやのかたに引かすみ哉
同
かけてほすかすみの衆のひろけれは雁のさをたにみえぬなるらん
青梅
春雨の糸くりためて一筋のかすみおり出す賤はたの山
湖月堂清光
松風軒真琴
扇松垣千風
みなの川氷もとけて一筋の露なかるゝ春のつくはね
仝
ものさしの竹ともみえて立初る露横きる衣よりかね
福御堂玉守
心なき人にみせしとはるかすみ難波わたりを立かくすらん
囲寄
遠かたにみるふさ国はむさしのにあまる霞の糸にてきしか
下サ
春の来る通路ならん四方山に客のはしのかゝる明ほの
包嬉円広一方
三川亭
糸綾女
いかなれはあこきか浦の春かすみゆるしの色の網は引らん
湖月因
青メ
しら浪めたつ田の山のはつ花をつゝみかくせる霧あやしな扇雀園千代住
はゝ木ゝもけさは家に立こめてありとみえぬ春の周原洋々亭水元
いく筋かひける霞の八橋に花の比ふうつす三河路四谷菴
四谷庵
三三集
しのゝめにかすみの衣つらぬくは身にうるしせし烏なりけり六花園
青梅
山にきぬ川には橋をかけまくも霞は国の神こゝろかも
淡路廼屋山蔭
かへらきや峯のかすみのはしさへもなかはかゝりて明るしのゝめ
仝
手向山かゝるかすみはみやころへ旅たつあかのぬさ袋かも
春花亭清住
なにはつをまた習はすや一の字に引る霞のいろはにほへと
出羽
世は広くなかたる春の心かなかすみの中に籠り居れとも
少め子の蛤つまは春の野の霞の海の底にみえけり
川越
忍
風呂しきのみのゝお山の霞をも背負て立しけさの旅人
戯咲歌林
龍月亭小瓶
褐陶居
褐毛舎長尾
三弦のてうしのはまに三筋ほと霜の原もひたる春の日
原野若熊
一角堂仲丸
去年ふりし雪や氷のとけぬ間に霜を流すはるの山川
遠山に消残る雪は棚引し霞の海のしら帆とやみん
川侯
苦荷きたるいはほも春来れはかすみの帯をする山の裸
岩藤亭長房
浅畝菴芳李
去年ふりし雪のわたより引出して糸になれとや露そめけん鏡合舎居竹
長閑さして雪解の水の上誠してかすみなかるゝ遠の山のは
旋月亭季照
あけほのゝ匂ひを深く籠てみる富士や霞の袖のかけ青
橘菴
八重かすみたつたの山にかゝりては春も紅葉の色をみせけり
花盛因歌丸
仙多イ
美しきはるの霞のむらさきは月の都の花見幕かも
錦涼亭染樹
下もえの萩の若紫に紫のかすみも袖をすれるみやき野
三和軒三和
ふすまちの引手の山も立こめぬ霞や去年のへたてなるらん
万栄亭
久十
たゝこしとまた来るとしと行合の間よりそ最む住よしの浦清々園
諏訪の湖氷のいは分なてなくす霞や天の羽ころもの袖
一節固
子の日するけふは霞の袖さへものへの小松にかけて引けり
滝農屋音久
まつ風のかよへる琴の糸とこん十三峠ひけるかすみは
銀錦楼種好
講先も見果ぬはかり立こめて春の夢野にひてかすみ哉
紀長九
二三項
小川
頃戸の浦汐くまぬ日もたなひきし客のころも浪にぬれけり福煙亭業稗
うらつかき春のかすみはひきいれのおとゝのむすふ元結のいろ湖涛国
桜
十二
名古ヤ
やしの嶺の雪とまかへはみよしのも桜にかへる時しらぬ山西風舎浦志保
ミノカサ松
朝日さす浅黄さくらめそら色に消行ほしや花の下寄桃太楼
レバタ
山守かかり寝の夢の魂ならん際に是はるゝ花のしら浪六嶋国明日香
かねか渕かけの沈める朝さくら花よりしらむ隅田の川面
すみたつ賑はふ春の本見舟行かひしけき袖形の楫
儔鳴菴沢利
児さくら井筒にかけを写せるはその業平の花の面かけ
よしの山蔵行蝶を者けりにて奥ある花を尋ねてやらん
枝かはす松はさなくて咲花の雪にをりめの付し短冊
蒼樹園松久
雪とふる夜はもいとはて通行なん小町さくらの巻をしめは
よしの川釣の手もとへちる花は峯にもしらぬ糸さくらかも
ナコヤ
そみかくたほうふく峯のよしの山彼岸さくらや花の先達
甲市川
竜迺屋
江月桜早雄
すみたつ夜へ見し花やよしはその後のあしたの雲とみるらん
五車亭
咲花の巻しらする文さへもちらしかきとは封し社すれ
和月亭勘吉
香にむせてくさめするともさくら時風てふ物をうはさにもまな
秩父
手をやめかかさすさくらの一枝は額の冨士にかゝにしうくも
三度迄かへたるやとの児さくらやしなひたてしかそいろの雨
卅三一
すみたつ花見の船のつくたふしふけよ風とはなとうたふらん
和朝菴雅楽守
烟笠亭香蓑
西来居
同同同
養老の滝さくらはな汲とみん夜に孝あるからす羽の蝶
四谷庵
手折にし人はさくらの朝あらし根のなき雲を運ひてそ行
南盛子春岑
いせきくら春の頃は今もなほ車をおりて人のみるらん
いせさくら巻の頃は今もなほ車をおりて人のみるらん玉絲堂越道
くらまから都へつとの一えたに遠くて近くみる雲珠さくら
梅農屋
二二鳥
やかてまたかさす扇にすきいれん日のかけへたつ花のしらさ
明
イセ
湖にうつれる比元の山さくらたつの都も雲と見るらん
富農屋貞守
○
ものかたりのみかは枝のたにさくも作者わからぬいせ梅はな
緑毛園長喜
青
手折らんと思ふ心も失つるは花のしら波うはいたりけん
美井廼屋綾細
みノ笠松
かさね着をぬけは一重の桜かけ蝶も羽袖をたゝむ長閑さ
福寿窓真倉
図
日のあしも踏をいとひて曇らし花の雪つむみよしかく山
福玉亭住丸
越シ今
越シタ
唐土のよしのときけは夢見学雨とななりそ花のしる雲
鶯歌堂梅笠
十かへりも花にはあかし住よしの松にならはてちれる桜は
忍
山駕籠をおりて桜の類日記かきのせ行んみよしのゝ尤
菅迺屋沼成
湖峯亭
よしの山桜の中にみとりなる松はさなから花の雲きれ
京
児さくら咲重りて木のもとに埋みかくしく尤見弁当
和山亭櫛彦
魚廼屋
桜さく春の雨には引かへて波のむみるさみたれの庭
白菊亭数災
日
これもまた花のかゝみか盃にうかむ桜のかけもうつくし
瓢駒成
ちりのこる谷間かくれの花の雷風のかよくる足あともなし
香瓢園元成
何をねと咲や桜のしら雲の軒はより立みよしのゝ里
起さくは花の波間のみをつくしをしむ心の深さをそしる
氷の面にかけを写して咲花の波間にゆるゝ隅田の川舟
上とけのするにるならん雨はれて梢をたるゝ花の干下は
是もまた花のたをやいとふらんひてわりこの松たけの傘
都鳥足の赤きはすみたつきくらの雪にふみ込やせし
入相をきく我耳は山のはのしたれ桜の滝にあらはん
雲とみる花には上もなかりけり兄としめてし梅はものかは
きゝかにの糸を夕日の色とるは手まり桜の花のけりめ
糸きくらさかりの頃は賑はいて人のより来る春の深山路
一同三十三丁
清香菴梅成
三回集
十一月
二十一ノ者
舊府
素直なるしたれきくうに藪といふ癖をは風のつけゐてけり阿津
阿津丸
咲花のさかりは雨そいとはるゝ尤もろ共に人もちらなん大木菴下蔭
騒かにの折とる尤の枝に来てたはかるをも病はさためす基頼
ちる時は花とならなんみよしのゝ山は重なる雲と社みれ
磯山にしほ藤きくら咲しよりけふかたえとぬ出茶屋賑はし
をさな子に一枝くれようはさくら花の乳房にたるゝ夕露
咲つゝく峰は霧のたてこめて風を〆きる山のさくら戸
少ち子かとれる綾瀬の糸さくら雪とみるとも水にもとすに
雅楽守
せはしなく出行妹か引すそのつまにまつはる糸桜花
竜池山人
咲つて花より花に日くるゝの里の桜よねにもかへる草
酒滝
おそはるゝ夢見学とて尤守は夜るも中〳〵寝られさりけり
きくら時人の浪たつそか中へしつめよ湯田の夕くれの鐘
佐ク
打むめて酒やくむらん山人の老をやゝなふ瀧きくらむ商売亭栄
さくら時色やあせんとよしの山ふらさる雨も花のかそいろ
座
あし跡の雪に付より見にくきは咲みちし花の中の深山木
国字垣
蜑小舟はつ瀬の山はいさりすとみゆる高根のひさくらのひ
江東国梅春
常粗毛
もろこしのよしのゝ山の貴妃桜世にふたつなき姿とそみる
龍斎歌良丸
仙府
咲花の雪にはかりは馬の跡つけてめてけり枝の短冊
柳駅林千條
うらゝかに風さへ凪て家きくら病たるきも咲かくしけり
心なしとかこつなみたりをられたる花の枝より落る下露
柳下窟石門
仝
風流士の心の駒もはしまらし右近の馬場の花の春かは
柳芽園一枝
よしの山わけ入る友のしるへには枝にむすへる花の短冊
仝
空にまふのへの雲雀か飛鳥山老の雲間にてはすかはらけ仝
短冊の文字子おとしそ雨そし小町きくるの花の夕露
仝
十二隻
ふたつよぎことはあらしなあらはにて枝折かぬる月の夜梅柳谷亭千年
柳絃亭唐琴
蔵来すはありともしらし玉しまや此川上り家さくらむ
とるはをしかへる山路のさくらひ其の葉の意家つとにせん・
万葉亭言数
隅田川またあきたゝてことゝはん廓の毛はありやなしやと
梅の星消にし跡の山のはにしのゝめさくら咲ゐてけり
ナコヤ
舟人の風よりあらき詞にもいそ山様ほめぬ日そなき
陽
竜飛園秀盛
あやしくも塩かま桜咲ぬるか海なき国のよしの初瀬に
七歩亭唐歌
川コン
戒釈子面成
かそいろのへり乳ふさをふくみつゝ災顔をみする児さくらむ
一売家も土茶屋になりて賑はふはいせ桜さく花の此頃
六経図
磯山のきくらに心つきかれて風詩顔のみえぬ舟ひと
よしの山風の桜戸しまりよく七日は風を通さすもかな
白雲かまたは雪かとうたかひのはれぬは尤に曇る此ころ
駒鳥み道のしるへにわけむりてくらまの奥の雲珠桜みん
盃の蒔絵の蝶も居子からに枝うつりする花の下かけ
手折にし人はさくらの霜あらし根のなき雲を運ひてそ行
まてといふに聞もとめにてちる本は耳なし山の桜なりけり
伊勢
群とはゝ花にほ風のあたらんと旅に眠る蝶のすなほさ
梅明
菊咲子久元
少め子かかさしの花もさなからに影の金にかゝるしら雲
貞守
今来すはかくやあらんと花春しらせの文もちるし書しつ
日左世
東金
さくら狩あすの日和をみるにさへ心の猿のつかはるゝかな
秀作舎
信州
ひらかさる花のつほみの桜戸をまつ人ありとたて春雨
科迺屋真猿
舟人もいかりおろして磯山の花に心をつなきてそみる
牧涼居滝近
上サ
春家のおかとみれていせ桜枝にむすいし花のたにさく松栄子影住
松栄子勘住
ヽカリヤ
ふむ時の心地なりけり尤守のみぬまに盗む虎の尾さくら
竹迺屋直人
三三隻
十九串
日くれ両は此まく爰に寝てみなん家に家売れいせ桜花浅芭菴
川俣
みよしかゝさくらにむまふ短舟の詞の花の奥そゆかしき柳琴糸
下毛トナラ
かけうつる花のちりしは山川の岩にくたくる浪にさりける平寿園昌保
江州信楽
一枚もをしみてくれぬ山きくら詞の心や家士産にせむ花鳥屋乗集
下毛小山
手をらんとたわめし枝におく露は花を惜める人の泪か
竜王園掌
常州山田
ちる迄も花にかよくるはつ瀬守七日まうてと人やみるらん
春山亭音不
花巻わけいる道の松はたゝ帰る志をりとみよしのゝ山
櫻川庵真波
春日山男鹿か落す枝角は宮居に咲る花の書をれ
仝
枝をりし罪正されてひとけも言わけのなきをはつせの花
福御堂玉守
廣房
手酌めのをりてかさせるきくら花黒かみ山にたつ雲と見む
結城
吹おろす風の音羽の瀧さくら露しく花や浪のしら玉
清雅園守越前
香カケ
かゝみた桜の花の一めんに咲かゝるをやくもるといふらん
百草国道俊
高砂の尾上の桜咲頃をまつは千とせをふる石作せり
関頃を十一はよしはゝ花暦ひらきてみたるいせ拭はな
日くらしにあそふ六梅児さくら花によねんのなき布氏堂
清花園清香
浅草園清阿弥
玉光舎占正
峰も尾も本になり行よしの山まことの雲は居所になし
三浦
くりかへし詠るへの糸さくらちまちに咲る花のをた巻
松園
石成
山風の香やうはひけんみよしのゝ花のしら波立さわきしは
玉川楼鯰丸
身折つゝかさすきくらは手弱めの額の冬二をおほふ百貫
微笑亭花亭
風になる雲かとみねのさくら時あまりに本を思ひ過して
西来居
むかし誰間代薄絵のくらま山きくと定めん雲珠楼本
仝
尤ちりしけふの心は見にいてし留守ゆる日より淋しかりけり
春花亭清住
上毛
仙へとわれやみ中らん咲花の雲よりくもの峯にあそへは
竜錦舎作良
ミノ笠松
雁かねの見すてし花の雲間にも一むれめたつ文字入の衆
隅田迺屋郁鳥
仁任様
二丁一丁
思ひきや枝ふりしくて折かぬる尤に石のたわむへしとは凌雲亭重栄
真倉
思ふとち花のむしろにまとふ日はたゝまくをしき花の木のほと真倉
川越
福鱗舎松藻
なる〳〵に深山もよしやさくら花入相のかねにこゝろおかにて福鱗合松藻
裁シハタ
奈良さくら庭にそつして此頃は朝起もする花の真変
奈良さくら庭にそつして此頃は朝起もする花の真ぞ
髭面入道
にくら山しくれ桜の願露をしのきてみする傘の亭
ヨリ井
同しらぬ不この深雪にたくへなん不断獺の花の夕栄
山水舎清信
真巻の毛の雪にも日のあしのあゆみの遅き春の山道
湖峯亭
風雲と聞花守は嘉耳をしたれさくらの滝にあらはん
風のなき日にも桜の散しくは霞の袖やきはるなるらん
一農屋綿芳
雁字因文允
櫛彦
咲花の白波と名や立ぬらんかへさに手折るさくら一えた
鶯の旅たり跡の谷さくらるよむ人やたつね入らん
髭農屋敷
日光
駒成
神日発の矢立の水にせよしと心しておく花の夕つゆ
日米
写絵丁色とりはてぬ俤やかすみかくれのすみそめきくら
早梅楼一芳
をしと思ふ心は縄によられなん尤ぬす人をとらへつる時
光毎
クハナ
あかすみる花のかゝみとなる身の水も桜にくなるとやみん愛樹園梅鐘
山守にもらひてかさすさくらむ是も無心の雲とこそみれ
蓬莱の山さくらそとむすひけん言葉の玉の枝の短さく
たわめても折とりかねし一枝をはなさはあたらひや散らん
花待ては日々にくれゆく入相の鐘の響も嬉しかりけり
波にかく若木の花のおもかけをちらたはをしき須磨蒲風
汐干
沖はるか汐の干潟のかゝりふねたゝむ白帆に波はたせけり唐琴
雀貝いぬきも出てたつぬるん汐のにけたる海の干潟に
常みえぬ島のいくつもうまれ出る汐干や海の神代なるらん
三玉集
一一一一
むつましき磯辺の子等も汐干には背中合のかきやこるらん筑波山人
燕のすさきの海の汐干かた子安貝をやとり出すらん
鶯の祝くらの竹のさく湊に月日貝をもとる汐干狩
ヂヤ
桜貝ちらはちうなん汐干潟たつの宮へきてもみなくに竜廼屋
仙フ
神風のいせの海辺の汐干には散し尤かとみる旅貝
ゴヤ
二見潟汐干する日は女夫岩いのりて拾ふ子安貝を
柳連舎影住
紫英堂真藤
春風の吹飯の浦の青干潟沖まてちらす花桜貝
湖春亭英丸
汐干狩からけもたかき御殿山蛤つまもそろふひとなれ
福長亭柏樹
汐干潟花さくら貝とる人もともにもり行入相のかね
問光園久潟
水底も春のなかめは斯こそと汐干の浜にみする尤貝
至室
汐干かり春と松とを二見潟花ともみちの貝を拾ひて
雀貝拾ふ羽根田の汐干潟笹つまみゆるをみなひとむれ
基頼
住よしの汐干の沖にいかなれは苦衣きしいはほありけん
福禄亭
紫の袖に汐干のきくら貝かすみにこもる花にたくへん
春岑
沖遠くかすむ汐干の塔標龍の都の道しるへかも
一家蝉子老義
汐干潟かり行沖の星かれひ海月のつきのかけにかくれぬ
ふしうつる海辺に出てはまくりのかひかね拾ふ汐干狩せん
龍門亭鯉雄
占正
つはくらの町寄さかせと汐干にも子露の貝は求め兼けり
福象亭玉雄
ぬれ手にて安府の遠山かさしみる汐丁は貝のつかみとりなり
東金
秀作舎
信州
名にしおふなにはの梅の花貝をくゝも春へととる汐干潟
森盈亭木数
青メ
田子の浦汐干のけふのあたゝかくふしのたかねのかけも消けり
海まか事もうつくしよしと拾ふらん汐の干潟におほき蝉貝
常山田
調番
真波
波
むつましく蛤ひろふ汐干かた口の食たるけふの友達
同歌
三賀國雀雄
汐干伝ふしの形せし蛤は死なぬ薬をいるゝ貝かも
武門
花遊菴曲原
三五乗
三三集
汐干かた霞に六もる反二とみん濁りし水の底のはまくり
よむとても数はつきせし真砂ほと汐干に群る和哥の浦人広勇
汐干かり出し少めか簪のてふさへとほく遊ふ海つら
下サ
鍬葉種俊
汐干かた砂のうちなるこかねより得かたきものか此月日貝
のゝ字麿記
身をかふるあらましみせて燕もたるの霞の海にいりけり
チブ
汐干かた海苔そたの根に四郎答とみゆる花さくら貝
イヒヌマ
葉かくれに実のなる頃や湖岸の沖汐干にひろふ梅の花貝。
青メ
引汐のおかく濁りしことそよりこりて案けん波路島山
むさしめもいかておよはん沖遠く浪さへ逃てひろき海はら
川ヨリ
汐干けり棒の衣の目しるしは拾ふかれひの星の手向か
忍
紫に匂ふ霞の海はらの干かたに拾ふいろの花貝
清影舎東柳
清声固小松
綴整亭
美井迺屋綾綱
百扇亭広俊
福陶居
福常亭道守
汐道の女帯ほと干のこりてかたみかはりのびゝめをそふむ
福月恋内容
地震
汐干かり拾ふ貝よりうつくしき蛤つまのをみな一むれ
千歳阪道
汐干かた泥の中をも松の名のあこやたつぬる陸奥の海
梅笠
雁の行とこよのはまの汐干潟波の花なき里とそみれ千柳亭
汐干かた前にはの浦によしあるをふみわけてとる梅の花貝
青山亭常吉
高砂の松のはりまへ通ふまて汐干にけりな住よしの浜
高砂の松のはりまへ通ふまて汐干にけりな住よしの浜湖涛因
時鳥
秩父野上
五月雨のそう耳ならん時鳥にたかひはれぬ今の一声小松
在甲府
ほとゝきすなき行かたへとふはれは我類ひなる人の魂かも阿津丸
竹ノ
衣かへせし夜にきゝし時鳥また身にそはぬ今の一声
糸屑
川口一
ほとゝきす遠くてをき一声は月のみふねの道や行らん松
松藻
せり〳〵にそらみつ山のほとゝきすなのらさきとて朝はちや湖月園
はつ夢の鷹はものかはいとたかく名のれる不二の山時鳥松伝斎調意
正七十一日
三千貨
さる秋の跡をたつねてほとゝきす梅津竹田の里に鳴らん花芳
一声は雲にかくれて有明の月のいるさの山分ときす仝
すみたつ花ちる跡のほとゝきす身馬声の冬になかるゝ
ほときすまつよはいたくふけぬとも枕に耳をあてしとそ思ふ友俊
法華経をよみにし私や心めらんこのふの山になくほときす湖仙堂
ほとゝきすたらぬはつ音を山戸の一声にてきかせける哉団字垣
時鳥まつに心のあまりてもことはのたらぬ今の一声水元
酒かいに行も三里の山里は左りよりきくはつ時鳥
寝覚して表かみ聞るほときすとしの徳をも今社はしれ琴樹園二善
むら雲に煤をかくしてみえさるは後世はなれし山時鳥白菊亭数紙は
くらきの山分ときす月の夜もなとて次めめめそにたるらん升守
笑
五月雨のはれるにきゝしほとゝきすせはしきあ笠ぬかも杜芽介呑安
欠S
葉さくらのよしのゝ山のほとゝきす雲よりちくす声そ花なる星農屋輝卅一
チブ
尋はや青はり山のほときすほのかに名の子箱くらの関津葉成
水海道
ほとらきす月にかられる雲間よりもれてさやんき夜な聞ゆる
宗道
時鳥あれたる不破の関やにも一声あらせ夜半のしのひ音教
教訓亭為能
常山田
つくは給の峰より夕はなかれけりみなの川辺の初時鳥真波
あやめ引頃に啼なることゝきすいかてその緒のみしかからん広母
外花の雪の中ふる時かるまつ夜はとけて寝られきりけり扇竹女
仰向て笠の枕やはつする也聞も暮野のはつ時鳥
る人のうはさにかけもさす月の都よりなけ初ほとゝきす
木の下に一声にらせほとゝきすいかにわかはの茂りあふとも
無事菴逸翁
雲の世になく一声にてたをてふ桜にならふ橋の鳥鮎五
はつ声をきゝしはうね火耳なしと争ふみつの山時鳥
三百俵
三王身
青〆
一声はこたまなるるん右たりなくふたかみの山引ときす
巻柱因千本
待そちか花ともいはんほとゝきすみになる程は啼ぬはつ声
綾緬
はれてゆく雲さへ心有明の月のみせたるはつ時こ
仙蘿亭古道
時高いくう聞てもうましもの阿部橘の色音ある音は
ほとゝきす啼行穴にかけもなし月の桂の木にや宿れる
伊豆
和田の原は十島山のほとゝきに聞なはつけよ巻の釣舟
戯咲歌林
仝
天城迺炭守
五月雨の刻の雲下かつゝきす夜半に一声もしすしのひ音
川王
寝みし水の髪かきあくる此あさけくしのは山に啼時鳥
仝
ンバカメ
おとしたるその唐人の沓手鳥土はしあたりに拾ふ一声
五月雨のふるなにまして汝かちのよとみもあへすつし時鳥
鶯の風はゝかるかはとゝきす月の舟路の廻り道せり
亀雀亭長喜
目さめすは枕と共にほとゝきす聞はつすくき夜半の一声大平舎御代住
啼いてよ北野の杜のほとゝきす寝もせて一夜まつをしかなは千柳亭
尾・大ノ
一声はきけとねられぬ時鳥待し夜頭のくせ付てより
一声はきけとねられぬ時鳥待し夜頃のみせ付てより竜雨園直器
〽不
二のあしを踏てきく間に下残り緒の横にきれたる山時鳥百中菴麗人
京
そくひすにそたてられたる時鳥恩は海山かけてなくるん
橘菴
日光
時鳥なく一声をしたひてや雲間に耳をいたす三日目
六十
更しなの賤かどるなる早苗鳥田舟にくはる今朝の一声
藤なゝてまつにかゝりて時鳥柴たちし段かたのそら
鶯のやし給ひたてしほとゝきす梅てふ雨にふりいてゝなく
伊勢音堂歌雄
時鳥待つる声は聞もせく月のなくなる明かたのそう
秋震屋雪昭火
琴をひく鳥の子なれと時鳥まつになとてかへひ来きりし一節国
奥わノ
親の音をしたふなからん月星のはやしの中になくほときす東花亭角住
白川
夏本立しけりてくらき山住は朽童わかすきくほとゝきす鶯蛙国歌雄
三王集
二十一丁
かも川の水にたくへん大江戸もまかせぬものは山ほとゝきす春根
周原の山へしとゝきすはゝきゝのはきともきかぬ今の一声柳下国安売
親鳥の笠にぬふてふ梅の雨をしのく三辺の山ほときす
ほとゝきす啼一声もうはの空きゝはつしたる手枕のさと
ほとゝきす啼て来る夜は村雲の袖も泪の露けかりけり
玉たれのをすやかゝけん卯花の雪つむ峰になくほとゝきす
敗遣
助遣
湖伝因
扇もてあふく蚊遣そさなかうに不二の根つくむかすみとやみん
錦臺亭富種
二ツカケ
蚊遣火をあふく団扇の月かけもなひく烟の雲間にそ入る
道俊
川三
くるす野のかうしの枝や焚ぬらんたふりにへをかこふかやり火福姫群家濱村
福廼群家濱村
ともし火の花もかやりにかすむ頃暑さに水もぬるむ夕くれ同草園
焚てまつ夜は啼蚊より国の戸をさゝれはつらき妹枝雪火菊丸君
かやりたく軒のけふりは火打石根としておこる雲かあらぬか
影住
侍田なる杜の楠をやたきぬらん千えにつかるゝ軒の蚊の声
花咲菴
かやり火にたける松はのけふりさへ軒はの月のさはりとそなる
湖草園
すたく蚊もけふりの波にゆられてはよるへ定めぬ蜑か、かやり火
みしか夜の夢むすはんと岩代の松を折たく賎か蚊遣火
かやかたく火はちの灰のいつしかにつあるとみしは夏の月かけ
なか〳〵とけふりなちきて山鳥の尾長へたつる里のかやり火
蚊はしちもけつれる如くほそるなりかんな屑たく軒のけぶりに
かやり火にま摘花やたきぬらん袖を覆ひてたてる手弱め
湖僊堂
玉守
かはしらのくたけたりしはにすへ火をあふく雪府の斧にかも似る
石門
とりかへし斧の古柄も打くへてかはしらくたく杣かふすへ火
かやり火をあふく団扇は春の夜の膽にかすむ月のおもかけ。
錦衣亭唐綾
安臣
三月三日
十六
二三貫
一月
ナゴヤ
月かけもさすてふことはせさりけり蚊遣のけふり隈と也ては
東雲菴
杣か家にたてるかやりは切とりしもとの尾上にかへる白雲
磯女
おひ出す蚊はとく逃て折焚たる松はの針に手をさゝれけり
舟ホリ
かやり火のけふりの雲の打なひき折〳〵はるゝ不二のかけもの
三笑亭可楽
犬川橘麿記
すさましくけふりの雲をおこしたる故寒や夏のすちつなるらん
ヱアキ
そつし植し塩かまさくうちる跡も猶けふらする田のかやり火
かやり火ににしきゝ添てたきぬらんけふりも妹か門に立そふ
宇都宮
永楽堂繁衍
梅室春郷
黄白舎為持
三日月をおほふけふりも宵の間に消てかけなき軒のかやり火
舟なり
かやり火のわらやの軒にたちそひてまたふしやらぬほとそしえり
武門
浅洲菴歌宿
花香菴春信
作城の思ひにもゆるかやり火のけふりは風に廓はなれつ
武大訳
賤の男はけふりの中の中のやまとたけ扇の不二の裾のかやり火
一同所清海堂槌男
秋浪菴浮安
風あらき軒のかやうの村雲に光りかくれし夜きくのはな
起義
一三日目のさすかけをしもくもらせて共に消行有のかやりと
三浦
きゝ子より子をいとひたるかやり火の落て畳のやけ野とそなる
いふさり蚊はことく逃て夜支へする妻のさしたる行燈の針
橋のえたたけるかやりにむらかりしかは逃行てとまる袖かさ
桜木をかやりにたきし故なれや立しけふりの雲とみゆらん
忍
かたの浦しるしの櫂のそれなして軒はにたてる蜑か蚊遣火
はらへともならこりすまの蜑か家は塩やくやうにけふるかやり火
シ八図
ましろなる扇にあふくかやり火は不二をめくれる時にとやみん
ト千木
かやり火に二度のけふりをみする哉松の枯枝も夏の柳も
まねきたる雁の袖をおほひけり炭俵たく宿のふすへ火
小刀
軒のつまの化粧たるきもみえぬ迄かやりにくもるかゝみ天井
かやり火の灰のしら雪つもりなん夜毎に松を折れる山里
川王
永島春風
四谷菴
山蔭
豊穀垣真寿
福得舎保有利
福楼因編人
梅笠
通葵庭美幸
千柳亭
死人
彦
清香舎梅守
三玉長
にすまで
十七
京
ふすへ火のたふりは雲そ棚引てかくせる妹かくしの月かた
信農屋湖丈
ふすへ火のけふりにつれて空たかくあかりて末は陏書蚊の声
白菊亭数照
打水の時雨かゝりてにすへ火のけふりのめくる母衣蚊帳の山
支麗舎巻雄
かはほりの扇つかひてくゆらするけふりに蚊さへみえすなりにき
竹蘭房延高
かよひろは草にほそれとかやり火のそふりはふとく立る山住
六十
梅寸
蚊遣火をあふく団扇は骨竹のふしかねしまのすさひなりけり
湖涛因
十二
五月雨
日は暦日は小笠にみるはかりさみたれ雲の晴間あらねは
日の定る山はみ元ねと五月雨の軒はうらみうらみり
湖月園
白妙の衣ほす日もなかりけりつゝく五月の雨の音久山
燈籠の三日月消て地にさくあやめもわかぬ夜半の五月雨
鮎丸
江シカラキ
あまの原五月の雨に水こして月日のかよふ道やたかはけん
乗康
五月雨に柄もくちぬらんつとひ来し基打の友の門のめんき
二ツ
桃太楼
五月雨のつたはる壁の暦まてめれて月日の願わかぬなり
呼月楼三宜
五月雨にほさぬ草紙のぬかり道気の歩みも遅き寺子等
侘しさは秋のゆふへにますかゝみ曇りかちなるお月雨の空
侘しさは秋のゆふくにますかゝみ曇り色なるお月夜空空気
沖の心様とやなしけん五月雨の雲の袖さへかわく間もなし
施水楼川舟
山里の庭をもつといははしやとなかへ中のたま五日雨
松固
あやめひく頃よりふれる五月雨に岡をも与へて浪となしけり
喜
五月雨のはれ間を松の下庵は空のみとりを梢にそみる
清樹固影枝
住よしの松を植たるせき老も釣の小舟やさみたれの庭
桂林堂月丸
虹のはしはやくも朽てまたもとの浜名の海をみする五日雨
千柳亭
袖ひさしむへも折けりけふき日目の少めを恵る五月雨
仝
かけものゝ不二にはかゝるくもなくて壁よりつたふ五月のしみ
小フクロ
見
人
三玉朱
十一月十一日
十八
をやみなき梅の雨にて旅人の夢のやれ笠給ふ鳥もかな花盛園歌丸
よみさしの本をその侭うたゝ寝の顔に食ふく五月雨の宿八景国
むなき住野川の水のふとかしは夏痩しらぬ五月雨の頃
三宜
明日てらん日和もしれぬ五月雨の壁にはかひの雲の峯たつ
子にはつの梅の雨には手習の双帋をはさん日わたになし
頼
雅楽守
きみたれのふりつゝきてはからかさの破れしまゝにいつかはるへき
梅花笠
はし姫の申つ夜つもりし恨さへはれぬけしきや宇治の五月雨
竹夫亭雪持
此日頃約をもなさて涌くは業のみ干たるさみたれのそら
ツクバネ
船つなく株守りて海士人は月の亀をまてるさみたれ
チゴヤ
世のはしかけ直しても五月雨の雲の引来やふみつしけん
柳窓亭唐歌
原中菴面成
相津園真椙
うく比すのふれ来し梅は寒のれとも月星みえぬ五月雨の空
張交の破れて出し手紙より外に月日もみえぬきこれ
青峨菴照昌
松久
さみたれて重る雲の波たかく月の舟さへみえぬ此ころ
秋皎亭清住
色付し梅の外にも客人はさけに実のいる五月雨の頃
礒女
さみたれにのもとまりて舟底の枕に碇おろす見たこや
五月闇降来る雨のあしりとをほのかにみする次の夏
湖閨室
水鳥も射られぬはかり生田川矢より流のはやき五日雨
福禄亭
衣にも日その出らん昼子から日のかけみせぬ五月雨の品
春岑
甲身延
卯花の波も干潟となる迄に空は晴行五月雨の庭
楊柳園枝業
をやみなくふるの社の絵馬の文字月日もみえぬ五月雨の左に
褐著園浦方
てつくりを休むその日は五月雨の軒はをさらす玉川の里
呉有斎愛母
春者のふ梅の雨にも水こえて若草ほとにみゆる夜くさ
梅農屋
み人人
燈籠にしらぬ虫みせて五月雨のへもつくしの海の俤春母
春雄
五月雨に水かさ増りて堀葱の井の底も猶しれぬむさいの
同三三三疋
三千身
五月殿に老鶯の声をいれて空に月日のみえぬ此ころ津葉成
初老の眼には暦の月日たにみえにてくらき五日雨の窓
郭石の島もかくれて庭下駄の舟のたゝよふ五月雨の頃
庭の面は海ことなれとものむ酒に魚ひとつなき五月雨の雨
つれ〳〵の酒のまとゐも五月雨は月の少めのなくて淋しも
降つゝく梅の雨夜の雲はれて星の音たる空色のきぬ繁
かきくらしふれる五月の雨もりて壁にひろこるしけの村雲
薬ふる五日頃よりいとしけくいまにやむともみえぬ五月雨一松斎木楽
沖の石根として雲やたちぬらんがわく間のなき五月廟庭
五月雨のはれ間を松の下庵はみとりの空をみる心地せり仝
よしの川小町さくらの散てのちいのらぬ雨のつゝく五月雨四谷廿
天の川目のみふねも出ぬなり五月の雨に水やましけん
ときはなる松は紙なるふすまさへ色かはりゆく五月両の宿
草月菴麦風
イヒヌヽ
五月雨のつゝく琉帳に舟底の枕もその峰をはなれす綴整亭
青〆
都いてゝけふ三日の原きみたれにほす間たになし衆かせ山
真寿
をやみならふるきみたれに此頃はひ数まされる庭のいけ水
卯花の波はちりてもまた一度紙をなしけり五月五月雨の庭
梅星亭雪災
降つて上月の雨の長良川虹のはしさへ朽やはてけん
軒にきす菖蒲もいつかなかれ来て川の文字なす五日雨のへ
商人
長喜
卯花に関とてらしく日数ほと月夜にくらききみたれの座千柳亭
京
数段
淋しきは山里めきぬ宿に居て軒に瀧みる五月雨の空効叟
下七十五
五月雨に雨の原水くりいれて甲とおり出す布引の瀧富延屋有夫
人足のこすくふるがて五月雨の雲あしをき谷の下庵呑安
五月雨に道のあやめもつかたまて引そわつらふ淀の川舟亀文閣
三本長
三司文
一蒼朮のけふりも軒を伝ひてそ雲にてそふ五月雨のなに三弦亭衣成
衆ほす日かけまつらん長雨のくゝく五月の天のかく山連
武伏
爰をきれかしこを継と植本屋か碁にも助意五月句の品福商亭竹成
けふいく口水かさまさりて家根板の筏流るたみたれの庭延高
久ナ
声もいつしか音をは留つらん月日もわかぬ五月雨の空三和
百貫の下山越る旅人は定一かいてしのく五月酉正雁
くしてこる熊のゝ浦の海人か家ももりよとさわく五月雨の頃仝
雲の袖ほこはひてより軒のはに糸水たるゝ五月旬の空
ふきわたすあやめのかけは其まらのみぬまとやみん五月雨の庭八乙女
はれ間まつすさいにひらく唐うたへみつよつ落る梅の雨もり湖涛国
追加
一未つひに海をやなさんはつかすみ日の窓もうかむしのゝめ千條
春日山ける霞はいにしくの京むらさきの色とこそこれ竜杖因梅保
六十
紫のかすみは紫蘇の色に似て梅津の里をつゝむかと見る
輝農屋影雄
ミノ大田
いつしかとまたるゝ枝にはる雨のかゝる雫はつほみとや見む雛農屋寉雄
雑農屋寉雄
宗道
咲けは雲ちれは雪ともかはりけり小町桜の花のおもかけ猶喜代
岐阜
わけ行は尤はかきりもなかりけりしきは雲とみよしつゝ山夢迺屋可螺
二ーカ夕
さくらかりむれつく出る少めにかかさしの蝶もくるふ山みち
徒然菴文明
よしの山花にあかるき夕くれのかねにもちらぬさくら見の人可蝶
可蝶
水戸
風にちる山のさくらはさほ姫のかすみの衣の裾さはりけん
清沙國玉貞
イセツ
東雲の空にのこれる星の如露もまはらの有明さくら浦国音信
二丁カタ
父母の雨のめくみにやしなひてわらひ催す児さくらはれ千歳菴松成
ク八十
汐干かり駿河細工の籠の中に木二のすかたをみするはれり豊栗子稲吉
前にはめか汐干にひろふ手の筋の枝にもさくか梅のはな貝
仝
入あのゝねも心にかゝるなりひさくら貝ひろふぼ干は五葉亭松蔭
三七年
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
越し夕
あかなくになにはの津の汐干かり長き日あしおみしけりけり
イセウ
汐干鳴ひろふ少めも貝つまに仕有し難をつまみあけゝり音信
ミノ大四
水もてる月に曲りて大空に一声こほすはつほとゝさす雀雄
岐阜
一声を青かる声になきすてゝ遠くいなりの山ほときす橿模国茂守
水をもつ月山のはへかたふけて一声二ほす山分ときす万詞亭歌種
ヒカタ
その声も玉にさりける待わひて聞は宝の山ほとゝきす
岐阜
ひかさる星のなりたる石をしも根としてたつか少に雨の雲
ミノ大雨
日々〳〵に水かさ増りて飛鳥川漸瀬もつかぬ五に雨の頃
文明
春廼屋浮亀
鳥跡堂文字雄
けふよりと噂をきけはけるさへ水のたまれる林の事の日桃枝三千代
越も夕
こしのはを挽点ふれる五月雨に水かみ濁る木なるの山川
宝簾笠
本條橋改
一月と日はいつみしまゝそ出になに軒めつらしきさみたぬ星清波國月満
干あくぬ子等か草紙や上かきの月日もつかぬ丑にるの頃輝世
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