鯨肉調味方
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- 小山田與清
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00438
方
車
書館
所月
究2
研年
書名
刊
所蔵者
(備考)
資料番号
撮影
東狩引株平東
鯨肉調味方
19604
同同四日
以テ購入セル▽
黒皮
鯨の皮なり。表は黒漆のごとくにて。鱗なし
厚サ二三分。裏に白き皮附たり。その厚サ脊の方は
八寸ばかり。腹脇の方は一尺二三寸ばかりなり。右
一の黒皮に。白皮厚サ七八分附て。広くへぎたる
を黒皮といふ。脊美鯨の皮。最佳味也。
○薄く切て。生醤油又は煎酒にて食べし。
○煎焼によし。
○酒にてときたる味噌。又は生醤油を付て。鋤焼にすべし。
鋤燒とは。古き鋤のよく摩て鮮明なるを。熾
一火のうへに置わたし。それに切肉をのせて焼
をいふ。鋤にもかぎらず。鉄器のよくすれて鮮明
なるを用べし。
○湯煮にして薄く切。煮ものに。太煮ごばう。川茸。貝わり菜。
又は小形に切て。はんへん。牛房。きくらげ。など。葛かけ。わさびにてよし。
○脊美の皮を揚ものにし。薄く切て。生醤油。煎酒。など
かけたるがよし。又湯煮にしたるを。右の仕法にて食ふ
もよし
揚物とは湯煮をして。鯨油煎る時。同く其釜に入て揚たる
を云。油揚は味久く損せず。湯煮の侭なるはあ
ざれやすし。
○座頭鯨の生皮は。薄く切て。三盃酢にて食べし。又野の
一菜を取合せ。酢みそにあへても用ふれど。三盃酢より
も味劣れり。
一山の皮頭の皮をいふ。外黒く内白し。黒皮に同じ
けれど。脊の皮よりもこはく。歯ぎれよし。味淡
薄にして。下品なり。
○藻焼にしたるを。うすく切。生醤油にて用べし。
藻燒とは。藻に包て焼たるをいふ。
丸切の両脇の皮を云。こと所の皮よりも油少し。
専食料にする也。尤若き魚の。塩にしたるがよ
し。生はよろしからず。
○塩にしたるを。薄く切。水に入てよくさらし。塩気
を去り。熱湯をかけ。さて冷水もて数多度あらひ。酢
ぬた。生醤油。いり酒。等にて食べし。
右のごとくにして。野菜取合せ。すましにてよし。
勧の事を尾羽毛と云。表は黒き皮二三分
有て。程は白き皮附たり。是を食料にして
一テイラと云。最佳味也。若魚の塩にしたるが
よし。生はさまでよろしからず。
○塩にしたるを。いと薄く切。或は糸造にして。熱湯
をかけ。数多度水にて洗ひ。煮ものに。牛房せん。松だけ。
柚子。また吸ものに。若和布。芽うど。指身に。紅のり。
岩たけ。春ぎく。三杯酢。いり酒。酢ぬた。などにて用ふ。
○一寸方ばかり四角に切。水にて煮。数多度水をかへ。
半日余煮れば。いと和かになれるを。水にてよくあ
らひ。酒にてよく煮しめて。敷砂糖。或はくずあん
かけにしてよし。油臭などもなくして。えもいひ
がたき佳味なり。
三合
丸切の留り。物の両端に分るゝ所を三角に切
たるを。三合といふ。丸切と尾羽毛との間なり。
黒き皮に。白き皮七八分つけてへぎ。食料にす。
これもテイラに同じ。若魚の塩にしたるが
よし。生はよろしからず。
○塩にしたるを薄く切。水にさらして塩気を去り。
一熱湯をかけ。又水もてあまたゝびすゝぎ。酢ぬた。生
醤油。いり酒。等にて用べし。
○右のごとくして。野菜など取合せ。すましにても
よし。
一落し尾羽毛と三合との間の。切小口を切落したる
を云。若魚の塩にしたるがよし。
○右に出なじ
立羽鰭なり。黒き皮に白き皮附たり。食料にし
て。テイラにひとし。尾羽毛には品劣れり。
○右に同じ
ウ子
一座頭及長須にのみあり。下腮より貝の本一
一尺八寸ばかり上迄。腹皮のうねだちて皺み
たる所を云なり。座頭は皺大く黒して。白
筋あり。長須は皺小く白して。黒筋有。脊
一美児鯨には。ウ子だちたる所なし。此辺を
敷の皮と云也。脊美の敷の皮は白して黒
筋色々あり。児鯨は薄鼡色なり。
○右に同じ
觜の内皮下脣を棚と云。棚の内皮厚サ三分ばかりに
一剥たるを。觜の内皮と云。灰色なり。
○白身を薄くつけて糸造りにし。ぬるみ湯をかけ。
生醤油。煎酒。三杯酢。にて用ふ。
○野菜など取合せ。すましにてよし。
耳え
端の事をいへり。丸切の上皮の端。同下皮の
端。又下脣の上の端なり。若魚の塩にしたる
〽がよし。
○塩にしたるを薄く切。水にてよくさらし。塩気を去り。
一熱湯をかけ。水に数たびあらひて。酢ぬた。生醤油。いり
酒。にて食べし。
○右のごとくして。野菜取合せ。すましにても用ふ。
簀子
座頭長須の。下腮辺より。貝の本一尺八寸ば
かり上の方迄。腹皮のうねだちて皺みたる
所をウ子と云。ウ子皮厚サ三四分ばかり有て。
その内赤身に白身がちの肉有をば簀子
と云なり。厚キ所は一尺ばかり。薄キ所は三四寸
あり。生は味おもし。塩にしたる方味淡く
してよろし。脊美児鯨には。ウ子簀子と
もになし。
○生なるは。薄く切て煎焼に用ふ。
○塩にしたるは。薄く切。水にさらし。塩気を去り。
あつき湯をかけ。さてよく水にてあらひて。三杯酢。
又ぬたにて食べし。
○右のごとくして。野菜など取合せ。すましにてよ
}
皮身
黒皮白皮とも。都ての皮を取集めたるを
皮身と云。油つよき魚は食料にしがたき故。
油に煎油少きをば食ふなり。前に出せる
黒皮といへるは。脊皮脇皮などの油少き所
なれば。専ら食料にせり。片皮といふも丸
切の両脇の皮にて。油少く食料によし。
○料理方。黒皮に同じ。
切出し切屑の事也。皮身の内なる白き和かなる
皮付の所を切出し。或は赤身の内の油な
き所を切出し。又舌の油なき所を切出し。
凡ての小切をあつめて。これを切出しといふ
なり。田舎にて下人の食料とす。いと下
品なり。
○醤油かけ。あるひは煮などして用ふ。
赤身皮の内に有肉也。色赤黒し。生にては背美
赤身
の赤身最よし。
○薄く切。ぬるき湯をかけ。煮ものに。麩。松だけ。みつば。
すましに。生のり。又は若和布。ばうふう。
○二日ばかり味噌に漬たるを。燒て薄く切て用ふ。
○薄く切。酒ぬた。又は醤油付。鋤梅にしてよし。
○厚く切。塩焼にしたるを又薄く切て用ふ。
○うすく切て湯をとほし。生醤油。三杯酢にてよし。
○煎焼。また味噌煮によし。
○野菜加へ酢ぬたあへよし。
一塩赤身塩にしたるは。座頭の赤身を佳とす。
○薄く切。水にさらし。塩気を去て。煎焼にして
よし。
○右のごとくして。生醤油。三杯酢。にて用ふ。
○右のごとくして。鯛のすり身を引。大平に。推たけ。
長いも。くはゐ。芽うど。取合せてよし。
○厚く切て焼。ぬるみ湯をとほし。塩を抜。うすく切。
酒をかけてよし。又初めより薄く切。あつき湯をと
ほし。塩を出して。酒をかけ用ふ。
胸の身喉の下の辺腹より上の方を。胸の身と云。赤
身に同じけれど。少し堅し。色赤黒し。
○料理方。赤身におなじ。
小骨先阿腹骨の左右を抱まはして。骨先をつ
なぎたる肉の赤身を。小骨先といふ。
味佳なり。
○生にて煎焼によし。
○塩にしたるを薄く切。水に入塩を出して。熱湯を
とほし。水にさらして。三盃酢。又ぬたにて用ふ。
○右のごとくして。野菜類取合せ。すましにて
よし。
廻し
丸切の骨を包める肉也。白して堅し。テ
イラに似たれど。味はやゝ劣れり。歯ぎれ
よろしからず。若魚よし。
○薄く切。あつき湯をとほし。水にさりして。酢ぬた
にて用ふ。
○右のごとくして。野菜取合せ。すましにてよし。
大刹
鰭の外皮を取。内の骨付の内を斧にて
削り剥たるを大剥といふ。色白くして堅
し。若魚よし。
○右に同じ
耳ゴ
耳は眼より八寸ばかり尾の方によりて付
たり。耳穴の大さ碁石のわたりばかりあり。
その奥に耳石とて有。此耳石を包たる肉を
耳ゴと云也。白して油つよく。味おもし烏
賊腸に似たり。
○煎焼によし
○野菜など取合せ。すましにてよし。
○生醤油。三盃酢にてよし。
眼の玉両目の玉也。外がは和かにして。内の真の玉老
魚は堅し。若魚は少し和か也。外がは白し。
内の真の玉は心太の色のごとし。味淡
薄なり。
○揚物。又は湯煮をして。生醤油。いり酒にてよし。
潮吹
頭の皮剥たる内に。鼻の穴の辺を潮吹と云
なり。穴は黒く。身は白して。赤身交れ
り。生にては用ひず。歯ぎれよし。味淡薄
なり。
○塩にしたるを。うすく切。水に入塩を抜。熱湯をひ
き。水にてよくあらひ。酢ゐた。生醤油にてよし。
○右のごとくして。野菜取合せ。すましにてよし。
一座頭長須の。鼻穴より口先迄の皮。また
下腮左右の皮にふくれたる所をコウブ
といふ。脊美児鯨にはなし。黒皮におな
じけれど堅し。
○薄く切。ぬた又生醤油にてよし。
サヤ舌の事をサヤと云。灰色なり味おもし。
○
○煎焼によし
○野菜取合せ。すましにてよし。
○熱湯ひき。三盃酢にてよし。
○塩にしたるは。薄く切て水にさらし。塩を出し
て。右のごとく用ふる也。
一相身脊美児鯨の下腮の皮をかばちの敷と
いひ。その内に有肉を相身と云。舌の下に
あたりて有肉也。白き中に赤みつぶ〳〵
と有。味膩し。生或は塩にしたるは用ひ
ず。座頭長須は。此辺を簀子といふ。
○楊ものにして。生醤油。いり酒にてよし。
一名艱とも云。則齦の内の方なり。白き肉
小髭一名跟とも云。則齦の内の方なり。白き肉
に黒き髭の根交れり。味淡薄也。老魚は
よろしからず。脊美の子を最上とす。
その外若魚よし。長く貯置にたへず。さ
れど水に漬て。一日に三度ばかり水をかふ
れば。しばらくのほどはあざるゝことな
}。
}。
{
○薄く切。生醤油。いり酒にてよし。
二枚剥髭と髭の間に有齦の肉也。色白し。脊美
の子最佳也。貯様小髭に同じ。
○少し厚く切。生醤油にてよし。
○揚ものにして。生醤油。いり酒にてよし。
円羽
髭の根並に。少し肉かけて長く切たるを
云なり。白き肉に黒き歯の根交れり。少し
一堅し。脊美の子を佳とす。貯るにたへず。
○薄く切。生醤油。三杯酢にてよし。
○楊ものにして。生醤油。いり酒にてよし。
ウナギ
上腮の髭の。生付の歯ぐき際の外面を。
細長く切たるをウナギと云。色薄黒し。
一和かにして上品也。若魚の塩にしたるがよし。
○塩にしたるを薄く切。水にてよくさらし。塩気を
さり。熱湯をかけ。水にてよくあらひ。酢ぬた。生醤
油。煎酒等にてよし。
○右のごとくして。野菜取合せ。すましにてよし。
ウナ
右のウナギよりも髭の根付の方によりて。
細く長く僅ばかりの所をウナと云。薄鼠
色也。ウナギにおなじけれど。油つよくし
て。味膩し。若魚の塩にしたるがよし。
○右におなじ
デンヅル上腮と下腮の間を包たる肉也。色白して
いと堅し。若魚よし。廻しに似たり。下品也。
○右に同じ
座頭長須の。觜の両眼に有。ウ子皮の内
腮骨
の肉也。白して堅し。廻しに似たり。生にて
は用ひず。
○塩にしたるを。糸造りのごとく切て。水にさらし。
からしあへによし。
○右のごとくして。酢ぬたあへよし。
咽輪身咽管也。骨は白して。蕪骨よりも堅し。身
は赤して。是も堅し。田舎などにて下人
の食料とす。下品なり。
○切て醤油にて用ふ
ヒメ喉管にして。胃に通ずる食道なり。外は
赤く内は白くして。味おもし。生或は塩に
したる共によろしからず。
○揚物にして。生せ油。いり酒にてよし。
吹腸肺の臓也。その色赤黒し。座頭の若魚を
佳とす。
○煎焼によし
○うすく切。あつ湯かけ。三盃酢にてよし。
○あへものによし
○胡麻油にていため。野菜取合せ。煮染によし。
○もの取合せ。すましにてよし。
ウス心の職也。ウス又丸とも云。赤黒し。脊美よ
し。生或は塩にしたるは用ひず。
○楊ものにして。生醤油。いり酒。三杯酢。にてよし。
烏賊腸脾の臓にして。薄桃色なり。味淡薄也。老魚
を珍味とす。
○煎焼によし
○薄く切。生醤油。いり酒。にてよし。又野菜取合せ。す
ましにて。くずかけよし。
○揚物にして。生醤油。いり酒。三盃酢。にてよし。
一腕貫烏賊腸より続き。大骨に長くそひてあり。
色烏賊腸に同じく。桃花色也。中空にて。廻り
一尺二三寸。厚サ三分ばかり下品也。
○右に同じ
イキヅマリ脾の臓の。両方の間をつなぎたる肉を
いふ也。烏賊腸の内にして。色烏賊腸におなじ。
○薄く切。生醤油。煎酒にてよし。
丁子
胃の腑也。外白く。赤色を帯ぶ。内白し。魚に
よりて油多きは油に煎る也。味膩し。座
頭の方よし。生あるひは塩にしたるは
用ひず。
○楊もの又水煮にして。生醤油。いり酒にてよし。
血腸丁子赤腸に付て有。色赤黒にして。そのさま
殻膽
乳腸
魂をなせり。凡十斤ばかりも有べし。食料
にたへず。是は肥し等にもならざればにや。
ふようのものとし取捨るなり。
肝の臓にして。鼠色也。食料にたへず。魚切
の者の私得にして。田畑の肥に用る歟しらず。
乳の上皮の内に有。白く薄赤し。しまら
ずしてざく〳〵する也。下人食料とす。少
し酸味有。
○水煮にして。醤油等かけ用ふ。
臓肉
臓肉十二指腸より上の臓を抱き包める肉なり。
厚さ四五寸あり。色赤黒し。下人食料とす。
○味噌煮。或はすましにて用ふ。
赤腸十二指腸なり。外黄にして。内赤し。下人
食用とす。
○湯煮をして。醤油をかけ用ふ。
百尋小腸也。外は白く。薄赤し。内は少し黄也。
○煎焼によし
○野菜取合せ。すましにてよし。
一揚もの。又陽煮にして。生醤油。いり酒。三杯酢。にて
よし。
大腸則大腸の事也。白くして薄赤し。内は
大腸。
黄にして青色を帯たり。百尋におなじ
けれど。下品なり。
○煎焼によし
○野菜取合せ。すましにてよし。
○揚もの。又湯煮にして。生醤油。いり酒にてよし。
豆腸腎の臓也。色は赤黒して。白きかたまり
むら〳〵あり。味倭也。脊美最よし。生或は塩
にしたるは用ひず。
○揚ものにして。生醤油。いり酒。三盃酢。等にてよし。
ブタ
座頭長須の簀子の内に。ぶた〳〵する肉
を云なり。肥魚は油に煎じ。痩魚は油少
き故。食料にする也。色薄白し。下品なり。
下人食用とす。
○湯煮にして。醤油をかけ。あるひは味噌汁に入。
又はあへものなどに用ふ。
タケリ陰茎也。脊美長須は薄黒く。座頭児鯨
は白し。若魚よし。生或は塩にしたるは
用ひず。
○楊もの。又水煮にして。生醤油。煎酒にてよし。
寒中タケリを干て貯置。腹痛に削りて味噌
汁に煮て用れば奇効あり。その外腰の
寒る症などにも妙也。又ヒナを寒干にの
たるも功能おなじ。タケリは女子に用ひ。ヒ
ナは男子に用ひてよし。
キンツウ
陰嚢なり。左右に有。外白く。内赤黒し。
生或は塩にしたるは用ひず。
○揚ものにして。生醤油。煎酒にてよし
小便袋膀胱なり。色薄白し。生或は塩にしたる
は用ひず。淡薄なれど下品也。
○水煮にして。生醤油にて用ふ。
ヒナ
陰門の実也。色薄黒し。若魚よし。生に
ては用ひず。淡薄にして。歯ぎれよし。
○塩にしたるを。薄く切。水にてさらし。塩気を
去り。熱湯をひきて。水にてあらひ。野菜取合せ。
すましにてよし。
○楊もの。或は陽煮にして。生醤油。いり酒にてよし。
カイノフチ陰門の縁也。色薄黒し。生にては用ひず。
歯ぎれよし。味淡薄なり。
○塩付にしたるを。薄く切。水に入。塩気を去り。熱湯を
引。水にてあらひ。酢ぬたにてよし。
○右のごとくして。生醤油にてよし。又野菜取合
せ。すましにてよし。
コレワ陰門の縁の内面をいふ。鼡色也。歯ぎれよし。
若魚よし。生にては用ひず。
○塩にしたるを。薄く切。水にさらし。塩出し。熱湯
をかけ。水にてよくあらひ。酢ぬた。又生醤油に
てよし。
○右のごとくにして。野菜取合せ。すましにてよし。
○揚ものにして。生醤油。いり酒にてよし。
子袋子宮なり。色薄白して。わらしべばかりの
筋あり。若魚よし。塩にしたるは用ひず。
○煎焼によし
ソデ子袋の両脇に。神のごとく付て有をいふ。
色白く薄赤し。下品也。下人食料とす。
○水煮にして。醤油かけ。又あへものにして用ふ。
煎粕
皮その外。臓身の内。油に煎じたる粕
を云。脊美児鯨は。黒皮の方油少き故。黒
皮に白皮を六七分付てへぎて。黒皮と称
し。食料とし。夫より内の白皮を。油に煎
る也。座頭長須は。黒皮の方も油多くし
て。食料にならざる故。黒皮白皮ともにみな
油に煎るなり。
○水にさりし。湯引て。野菜など取合せ。あへもの
筋
によし。又野菜取合せ。すましにてよし。
丸切の内。三ツ合の内。貝の両脇。脊の皮等
の皮の内に有。生は白し。干上たるは少し。
一赤色を帯ぶ。味淡薄にて。上品なり。塩にし
たるは。水に漬塩気を去て用ふ。
○一寸ばかり小口切にし。二日ほど白水に漬置。朝より
夕迄。一日ほど白水にて烹れば。いと和かに成也。是を
水にてあらひ。すまし吸物下地に。砂糖塩梅にて
よし。又は敷ざたう。或はくずあんかけにしてよし。
一筋荒皮皮肉の間に有筋を取て。上皮をへぎ去
たる。その上皮を云也。内も少し宛交れり。
○水煮にして小く切。すましにてよし。又塩にしたる
は湯煮にして小く切。水にてさらして用ふ。
筋ニべ右の荒皮をへぎ去て後。又掻殺たるくず
を。筋にべといふなり。
○庖丁にて小くたゝき。すましにて煮。薄くずかけ
てよし。又塩にしたるは。右のごとく小くたゝきて。
水にさらし。塩を出して用ふ。
○右のごとく小くたゝき。熱陽を引。生醤油にても
よし。
咽ヒ〆会厭なり。上皮は色白し。内は骨なれど。
いと和か也。味膩して。蕪骨より堅し。
○薄く切。生醤油。三杯酢にてよし。
蕪骨
頭骨の内に有髄なり。色白し。若魚よし。
骨の中にて尤和かに。上品也。貯置には塩を水
に入。かきまぜて読置也。あるひは厚く切。寒
中乾て貯ふ。世人甚賞美せり。
○粕漬によし
○味噌漬によし
○薄く切。生醤油。いり酒。三盃酢にてよし。
○せん突といふものにて突は。白糸のごとく細かに
成ぬ。それを半紙の広さばかりに薄く干かた
めたるをホり〳〵と云。年経ても損する事なし。
是を水に浸しほどきて。しぼり上れば。雪の
ごとく白色也。尤がつを。青み。など取合せ。三杯
酢にて用てよし。
○右のごとく水に浸しほどきて。しぼりあげ。吸物
すまし下地に入。玉子とぢにしてよし。
あふぎぼね
扇骨
鰭の本に有骨也。此骨の本の方の。小口の
一和か成所を切放ちたるをいふ。蕪骨より堅
して。色はことに白し。
○右におなじ
要骨
扇骨の末の方にして。坊主骨に付たる小
口の。和か成所をへぎたるなり。蕪骨より
堅して色白し。
○生醤油。三杯酢にてよし。
坊主皮骨扇骨に付たる方の。少しばかり和か成所を
へぎたるなり。蕪骨より堅して。色白
○
し
○料理方。扇骨におなじ。
一筒路骨鰭の先に有。指骨のごとき骨也。其節々
の番ひの丸く和か成骨ばかりを食料と
す。蕪骨より堅して。色白し。
○右におなじ
咽輪骨咽の骨なり。蕪骨より堅して。色白し。
○生醤油。三盃酢にてよし。
珠数骨咽輪骨の先吹腸の方。左右に分れたる骨
を云也。珠数のごとくにして。色白し。蕪骨
よりは堅し。
○右におなじ
障子骨潮吹穴の鼻の障子骨なり、厚サ二三分
ばかり。幅八九寸方ばかりにして。色白く。
和かに。油つよく。味膩し。
○赤身に白身交り。其内に骨あり。骨ながら薄く
切て。ぬた。生醤油。煎酒。にてよし。
以上凡七十種ばかり。此外泄たるも有べし。素よりしなくだ
りて。貴人の御膳に具べきものにあらざれば。珎ら
しき調味の方とてもなし。されどくさ〴〵の中に。
テイラ。蕪骨。筋。などいへるは。製方によりては。そのもの
としもおもはれず。いと美味なり。此外にも佳味あまた
しな有て。そのすける人は。こよなく賞美せり。一体
他の魚の肉とは異にして。剛く油濃ければ。大方薄く
切てのみ用ることにて。他方にたづね問こともなく。只
生月嶋にて用ひ来れる調和の方の大概を記し
たれば。料理のやういと鄙びざまにきこゆるを。なほ
一広く調味の方をもとめなば。今一きは成べし。貴人
の御膳に具奉らんには。調理家此上にも考を加べく
なん。
頭骨則頭骨也数一ッあり
レンギ骨頭骨の次に数一ッ有
スリバチ骨レンギ骨の次に一節有
一挑燈骨スリバチ骨の次に五節あり
アテ骨挑燈骨の次に十四郎あり
大骨アテ骨の次に十一節あり
廿七
丸切骨大骨の次に十三郎あり
握筒路骨丸切骨の次に十三節あり
觜骨下腮の骨なり数二つ有
一胸骨咽輪の口の次に有。長サ三尺ばかり。廻り一
尺ばかり。横に付。数一ッ有。
亀骨胸の上の方に数一ッあり
耳骨耳の底に左右二ツ有。耳石とも云。
阿腹骨則阿腹骨也。左右に廿八本あり。
針骨阿腹の下両方にて二本あり
鞍骨丸切骨の上下に付て数十二有
カセ骨鰭の要骨の次に左右に二ッ有
輪骨陰門の両方に二本あり
輪骨
一蛤骨陰門の上の方。内身の内に。茶碗ほどなるが
二つあり。
以上十八種の骨は。甚堅くして。食用にすべからず。油
多き方は。刻みて油に煎じ。その粕は俵にして。田
一畑のこやしに。諸国におくりさばくなり。油少き方は。剤
みてそのまゝ俵にし。こやしの料に売ひさぐなり。
風
脊美児鯨座頭に生し。児鯨に最多し。鈴
虫ばかりにして。蜘の平み付たるがごとし。
七
其色薄白し。黒き所に付たるは色薄黒
し。人にも喰付ものなり。食料にあらず。
座頭に多く属たり。其色白し。セの内に身
あり。身は烹て食ふなり。
牡蠣
座頭に多く付たり。せの上より生出て。根の
方四寸ばかりして。先の方は磯に付七の
ごとし。色白く薄赤し。根も先も和かなり。
油釜に入。揚物にして食ふ也。
料理献立集六月の汁の条に。しほくぢら。茄子。牛房。ずゐき。
茗荷云々。田舎雑汁の条に。鯨。大根。茗荷。蕗云々。又鯨。針
牛房。芹云々。肴の条に。鯨牛房は。牛房を湯煮して。右
の牛房に。かまぼこにかきたる魚の皮をまき。醤油だし
にて。あぶり切也。煮物にもよし云々。魚鳥あへまぜの条に。く
ぢらのうち。笋。みつばぜり云々。十月指身の条に。鯨の
皮。あさつき。たひ。味噌酢云々。料理物語海魚の部に。水
あへ色々。鯨。汁。さしみ。吸物。あへ物。糟に漬てうちの物は。
同かぶらほね。水あへ。さかなに云々は
按酒煮の
誤にや
汁の部に。鯨
汁はすましにかげをおとし候。味噌汁にてもしたて候。つ
ま牛蒡。大根。莖立。などよし。笋。茗荷。つくり次第。鯨はつ
くり。ざつと熱湯をかけることも有。又鯨にさつと煮て
よきもあり。はじめこはく煮候て後よきもあり。可二心得一
也云々。指身の部に鯨うすく作り候て。熱湯をかけ。山
一椒味噌酢にてよし云々。万聞書の部に。鯨のおきやう。塩
一升。水一升。をふかせ。よくさまし。三日つけおき。其後あげ
候て。芭にしていつまでもおく也。そのまゝ桶に漬置伝
も有也。又粕に漬。塩をくはへ。壺に置候へば。いよ〳〵よし。
赤身は久しくゐ申さず候云々。此外古書調理の法たづ
ぬべし。四條流庖丁書美物上下之事の条に。鯨は鯉より
先に出して不レ苦よしあれど。調和のやうを記さず。古事
記。日本紀。などに載たる。神武天皇の大御歌に。勇妙し。
一鯨障り。とあるは。大饗のをりの御饌物に。鯨有しに就
て。詠出たまへるなめれど。其製法知べきやうなし。日本
一紀。万葉集。などの歌に。鯨魚取と詠るがおほかれば。上
古もはら食料にせしものとみゆ。
勇魚取絵詞
二巻
鯨肉調味方
一巻
右天保三年歳次壬辰仲春上梓
「古畠電話
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勇魚取絵詞
二巻
一巻
鯨肉調味方
右天保三年歳次壬辰仲春上梓
TTELEV
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