算學必究
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- 奧村増[チ]
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- 2026-08-17T19:23:22.980Z
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- 奧村増[チ]
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- サンガクヒッキュウ
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- 東北大学
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- 2026-08-28T18:53:25.651810+00:00
算学必究完
狩
20129
第859
一▽并泰旧師ノ奇明院を
以て購入セル而関博士
「狩野亭吉防藩蔵書
八十一日
算学必究序
狩野氏図書記
肥糖
家君之於ル二ル算術一鑚研推考。四二十年于此一ニ矣。遍ク択一ヒ良師一。
焉就テ究二ハ其説ヲ矣。學セシ点竄諸術ヲ於丸山良玄。弧度三角ヲ
於本多利明ヨリ測天量地ヲ於伊能忠敬ストモ暦算推歩ヲ於堀
田泉尹其他至泰西諸器製造之究理則與高森觀
好司馬江漢等一。相親炙。相推叩以テ須二ク其間一邃一邃一。嘗テ嘗テ著二ク歟
度算法一ヲ。使二量地之術ク瞭然リ無二ク差謬一ハ又新ニ製ス経経緯儀一并ニ
著一ル用法図説一ヲル一使舟師ヲ明二辨北極之高度ヒ羅針之方向一ヲ
以免レル懼風覆没之患二テ
官以上其有リ盆二于人一ニ也。使レテ使フ献一ル器之與一ヲ賞二賜ス金若干両一ヲ
凡著レ書ヲ若干巻。皆経世實用之選也。非世之所謂弄
レ算ヲ競レ巧モ好レ勝ヲ衒レフレ名ヲ之類上ニ也常ニ憂フ吏務煩劇。不レリトテシテ二テ
徒一ヲ以弘ト其傳上ヲ充ヒ亦不レ得下朝二タシ于家庭一ニ親ク受一ヲ受ケヲ
因テ入二観斎先生之門一ニ学フ焉。近日家君著二ス此書一ヲ充受テ読ル
レ之。具ニ論ニ論ス中算術之出二テ聖作一ニ經世之要。軍國之備。一日モ不ト不一ヲ
可レ缺焉。以テ示二ス觀斎先生一ニ先生讀一過。苦嗟ク咨嗟良久。使二テ充テ
直チニ謀二誠二剤闕氏一。刻成ル是ヲ為レスレ
男奧村充謹識
天保十二年丑九月
□□□□□□□□
算学必究
某の公子問て曰数の根原は伏犠氏に出て万邦に及びし
ものに口を
僕答て曰数は人作にこれなく天地自然の妙理世界一
貫にて支那は支那遠西は遠西の古聖人達各其理を
一発明ありて万都にひらけしものに御座候
問て曰六藝の内当時楽を学ふ人稀なれば楽の事は
しばらく置礼と書は人たるもの知らずんばあるべからず弓
術馬術は武家の持前特り数術は小人の学ぶものにして
君子の恥べき芸と存候は如何
答て曰礼は古聖人の作り給へるものにして人倫の大節
一人礼あるを以て自ら禽獣に別なることを知る然れ共
一人工にて御座候へば其所作万国同じからず我
天朝の如き万代不易の邦は稀にて支那などは匹夫より
一興りて帝位を践ゆゑ継世の度毎に其損益ある
一事に御座候扨又書は世用闕べからざる事に候へども是
亦其国かぎりの物にて支那の文章は其字義に通ぜ
ざれば解し難く西洋の蟹行は其言語を覚ざれば
譯しがたきが如く総て人作の物は万國に通ずること
一難く唯一に貫くものは数術のみに御座候数は経世第
一義にして庶政の出る所日月星辰を歷蒙し礼
一楽教令を制作し山野田疇を経界するも是を
捨て一も政事を紀綱すること能はず然れば王公一日
も虧べからざる一大要用の物に御座候然るを数学は
一手に算珠を鳴らし口に括数を哥て租税を計る俗
一吏物価を評する商賈の為す藝とのみ思召小人の
用と仰せられ候也君子は猶更尚び学ぶべき芸と存
申候
問て曰数は万都一貫と申は聞へぬ事に候度量衡国々一
なることなく彼我試むる時は度に長短有り量に多寡
あり衡に軽重ありて万国區々なるは如何に候を
答て曰度量衡は是亦人作の器物故国々等しからざるは
勿論の事に御座候万邦一貫と申訳は算書の比例
矩合彼我玄同にして周天三百六十度に割し八線表
等は和蘭の書も支那の書も文字こそ違へ其表に
載する所の数は其侭
皇邦に用ひて異差ある事なしこれ天地自然の数理
妙合に御座候
問て曰天地自然の数万都一理の訳今少し委く承度候
答て曰天地自然の数は人各己が身の左右の手と足とに
具足いたし居候十指に御座候五大洲中の人左右手足有
指ならざる国は有るべからず此五指あること手は物を握り
又は撮む為の用とも申せ足に五指ある事は何の為に
候哉将指無名指の内一本減じ四本歟或は一本増し六
本にてもさのみ害にもなるべからず然るに足までも左
右五本づゝ具へたるはこれ禽獣と別有る天地人三才の
一徳を表したるものに御座候
皇邦神代より一二三四五六七八九十と唱へ指を用ひて
物を算すること自然の理なればいまだ言こと能はざる
稚子に其享年を問ふときは其子指をひらきて答るが
如く指は九九の声の出る所に御座候其訳数は一に始り
九に究り十に終る十則ち又復一たり等しく上りて百と
なり千となり万となり億兆に至る皆これを名けて
一とす二三四五六七八九皆同じ故に右手の指一ツを一位
とし左手の指一ッを十位としてこれを算する時は初
数一一が一より極扨九九八十一までの声を生ずこを以て
万都一貫の理瞭然に御座候西人数理に通ぜずんは海舶を
放て大地を自在に周違すること能はず気船を造りて空
一中を飛行し没水鐘を製して海底に動作するも皆其
根元故より出る所にて欧羅巴の諸州は格物究理を専らと
する故数学を以て最第一とし支那にても天地人三
才の学に通ぜざれば天下の大儒とは申さぬ由既に我
天朝皇和令にも学令第十一に凡博士助教。皆取二。明経堪。
為一ルニ師ト者一者一ハ書算モ亦取二ル業術優長スル者一ヲヲとこれあり候へば
皇部のいふしへ算術を貴とみ給ひし訳は申までもなき
事ニ御座候
問て曰数は其身に具足して人たる者これを用ふることを
知らずんば有べからざるの理相分り申候然るに古昔より名あ
る大将達も数を思子びしといふ事を聞かずこれ如何なる
事に候哉
答て曰中古戦国の頃は戦争に労れ学問も出来兼候
一世の中故中々以算術等稽古すべき暇なく殊に数学は
一万国とも年を追て次第に精密に成行道理にて
皇都当時数学の盛なること上古に越申候往昔北條早雲
子息氏綱稽古はじめの時何れの芸を以て先きにい
たし申べくやと家臣へ相談ありしに大導守駿河守
一進み出て算術を先にいたし然るべくと申ければ並
居る諸士大に笑ひ武士たるもの算術など好むは恥べ
き事と口を揃申候を早雲倩思案ありて吾は駿河守が
申に随ひ算を以て先とせんと申され篳学を先に
いたされしとか或書に見へ申候威風関東を麾かせし
ほどの早雲さすがの了簡と存申候兵賊陣法粮狼
一管地城制等は悉く算より出るものにて孫子始計篇
にいへる夫レ未タ戦ハ而廟算ニ勝ツ者ハ得レル算ヲ多キ也。未レ也。未レヲ戦而廟算ヲ。
不レ勝者ハ得レ算ヲ少キ也。多算ハ勝キニ少算ハ不レ勝フニ而沈ニ況テ於二テ無算一ニ平。
吾レ於レヲ此ニ觀レ之。勝負見ニ見ユ。とこひあり孫子算経と申書も世に伝へ
御座候国家豫備の法戦陣勝敗の数算術にあらざれば
一勝を決する事能はず惣て算を知らざれば物に疑念
を生じ頼念有れば指揮遅滞すこれ兵家の嫌ふ
所なれば将たる者数は学ふべきものと存候
問て曰数学稽古いたし度候へども算術は覚へ難き芸と
一存られ候捷径なる稽古のいたしかた有るべくや
答曰数学はかぎりなき藝に御座候へども貴人は天元術
一位まで御学び被成候はゞそれにて経世日用の算は事足り
申べく僅半年か一年も御出精被成候はゞ其辺に至られ
候事にて貴人の御稽古には世上にありふれたる珠算
よりも符算と申ものゝ方然るべく珠盤は商人等も
一用つる物にて貴人の御座右に差置れ御用ひ被成只何
とやら御不似合其上帰帰除のわかちありて其割
一やうの哥括を学ばざれば剰ことかたくこれを覚ゆるとも
忽ち忘れ易き物に御座候
問て曰符算と申は如何いたしたるものに候哉
答て曰符算は九九の数をしるしたる等を用ふる法にて
一乗除一理哥括を唱ふることなく忽ち覚易く且懐にも
なるべき物故軍中などに用ひて便利に御座候暦算
全書に云ふ籌算有二リ数便一。奚嚢遠渉。便二于佩帯一ヲ一也。
所レノ用ル乗除。存二ス諸片楮一。久ヲ可二覆板一。板スス。三也。斗室匡坐。点
筆徐觀。諸數曆然。人不レ能レ測ル。三也。布算未レク終。無レ妨ケ
泛應一ス。前功可レシ續ク。四也。乗除一理不レ須二歌括一。五也。尤
便ナリ習学ニ朝ニ朝ニ能六也。と等を作るの度は右の書に
詳かにて
皇邦明和年間東都千野乾弘と申人其書に因りて作り
し符算指南と題せし板本書舗に御座候算術可也に
出来候人は符号を存ぜず候とも右等の書を熟覧
いたし候はゞ忽解し申べく御家臣の内算術いたし候
一人に仰付られ籌算を会得さ銭其人より御習これ
あり候て其法御熱場の上諸術に御すゝみ被成候かた捷
一経にて君子の用ひ恥かしからぬ物是算算に御座候依
て籌式并用法の一例を左に挙て貴覧に入申候
寿式
一行
四日
第三第三第四第三三第四第三三行
一一八二三二三二
一五二二一五
一九二四六四二四六四二四六四
一七二回三三四四四五六四五八四五九九五五九九六
一八六六三四二四八五六五六四七二一八八
一九二八三七三五五五五五三七三七二〇九
籌を作るには象牙或は紙或は竹片を用ひ長短意に任せ
方正を以て度となす等の背面皆平分九行にて行毎に曲
線をもつてこれを界し両半図の状を為す又算背面
相対して第一算の陰は第九とす二と八。三と七。四と六。五と
空位。共に五類にして簾は最数多きを好しとすこれ用ふるに
便なればなり等の半図下を本位とし上を進位とし
て本位一両は進位十両とす又両寿を列する時下の進位と
上の本位となる故半圓合する時は一位となる故半円中の
数二合すれば五となり又五合すれば十四となる即十をばよへ
一位近め此なると知るべし又等に明数あり暗数あり暗数あり
明数は善面有る所の数是なり暗数は行数なり仮令ば第一行
は即一の数とし第二行は即ち二の数とす暗殿にはし川川〆
千仁仁仁仁是等の数字を用ふ是明数と混ぜざ為なり
除には符の咽数を取て行の暗数を書し乗には行の暗数
を取て箒の明数をしるす詳なることは暦算全書及び
簾鼻指南等の書にゆづりてこゝに贅せず
仮令ば惣兵十二万三千四百五十人あり等しく分て二軍に作る時一年
の人数幾何と問
答田一軍六万千七百二十五人
同
第
二
の
式
二一行
二行
右
イ
三行
六三行実
四行
実
一二三四五
五行
二六行
七行
八行
左
商
六千七二五
九行
千百十一万千百十一
此術図の如く紙面に直線横線を
界して傍に数位を直列したる盤
を作り
盤を用ふることは初学会し易が為
なり熟得の上は盤を用ふるに及ばず
其
数位に対して右え一十二万三千四百
五十の数字を書し実とし二の割
なる故第二の籌を以法の目安と
なし符円の明数に合せ実の首位の
一より次第に実数を抹去して符行の暗数を左
しるし商とするなり故に実の首位一十二万を符に求るに
六行目に等数あり因て実の一二を採去して実の本位万
に対して左え六行目の六をしるす残り実数三千四百五十也
其首位三の数等になし故に其三に近き一行
の内一を残して二を抹去し其本位千に対して一行目の
一をしるす残り実数一千四百五十なり其首位一四の
数等の七行目に等数あり因て実の一四を抹去して其
一本位百に対して」七行目の七をしるす残り実数五十也
此五の数符になし故に其五に近き二行目の四を用ひ
の内一を残して四を抹去し其本位十に対して左[え二行
目の二をしるす残り実数十なり此数符の五行目
等数あり因て実の十を抹去し其本位一に対して
左え五行目の五をしるし終りて商数を見れば六万千
七百二十五人を得るなり
六万一千七百二十五人
六二七二五
図のごとく第六第一第七第二第五の
か
符を合せて直列し目安二の割な
二八三二六五
る故此二行目を読下す時は元数一十二
三四二八八
け
三五三五二
万三千四百五十を得る総て一位の法
三六四二一二
四二七四九五
を閲するには符はかりにて出来る故
二百五十四五を因するには箒はかりにて出来る故
算
四八五六一六四
此六万一千七百二十五人三を周する時
五四九六三一八四五
は此三行目を指して一十八万五千一
百七十五と知る五を因すれば五行目八を固すれば八
行目を見給ふべし
右答問の語を楮に述よと公子の切に需給へるに
応し天保庚子仲冬の空夜燈下に草を採りて其
大概を誌し末に籌算の図式および万資の大意を
書加へ算学必究と題してこれを呈す奥村増馳
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