才和歌集(狂歌才藏集)
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- 四方赤良編
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- 場所: 愛知県
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- 四方赤良編
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- 日本語
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- 永樂屋東四郎等
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- サイワカシュウ
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- 東北大学
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狂歌寸蔵集オ
かやふまうす才和歌なんどはとくわかに後万載
万載集のふた哥をされ歌のてゝの椀として手
ならふ人の大ざらひに朝もよひきばちもてさらひ
まくさかるかますもてかきこみたる筆のまめいた
丁銀灰ぶきふき出すへきこがねのことばはうま人の
とのさまもごすきにて玉だれのおくさまも御すき
なる世にしあればみかまの前のやいつこまでみそ
ひともしの数の子をくひはさみあやしのしづか手
すさみにも手にをは湊の味になん心をさざみける
かくてぞ花をもぎり月にうかれ雪をころばすこゝろ
ことばさま〳〵によみ出せる名哥がまいるは〳〵
名哥にとつては春夏秋冬恋雑の部をわかてとも
かの才若かふくろの中にたつくりとよねのまじれるは
ごとくこまやかについでをもわかたず天あけまして
七のとし元日のあしたより狂歌の門がきり候〳〵
きりゝてうどひらけたる巻を名づけてさいわか
しふといふ風月の才はさらにもいはし味噌塩の
さえまでもかしこき四方のまめびとをまちやうこに
こちふく風たが門松の大夫どのも万ざいらくを
うだはさらめやも
四方赤々江
しるす
第一
才和歌集巻第一
春歌上
としのはしめによめるよみ人しらす
あら玉のとしのはしめに気とりてよろつの宝かきそあつむる
紀躬鹿
あら玉のとしたちかへるあしたよりまたれぬものはかけとりの声
山手白人
春じやとてさしたるあてはなけれとも先正月はうれしかりけり
つふり光
ちよろ〳〵とひきあけ方の白鼠ちいさな宿も春は来にけり
内匠はしら
棹姫の笑かほをみしま屠にはきそはしめよしはかためもよし
腹唐秋人
春たつとみしま雁も老の目にすこしかすみてけさは覚ゆる
大屋裏住
元日はまたも神代のすかたかなはらひ給はすきよめたまはす
土岐双馬
いつくにもかはらぬ色やかさり松御慶と腰をかゝむ伊勢海老
大友円君
たねのなき放下つかふてゆく年もひとよあくれは品玉のはる
宿屋飯盛
年のよる春をめてたい〳〵といはふおろかを山も笑ふ歟
朱楽菅江
土器の土性ならは屠蘇の酒ひとつは過せやまとたましゐ
四才赤良
生酔の礼者をみれば大道を横すぢかひに春はきにけり
早春山
甲斐か根に霞の注連を引はへてかさるや雪の不二の裏白
雑煮餅
きのふまてふりむきもせぬ餅なれとけさは上戸もいはふはかため
初霜起窓
雑煮もちいはふしるしの杉箸にちきるも三輪のかみしもの客
春風春水一時来
廿一日風春水一時来巻菜射矢
去年からいひあはせてやくめよふく若水桶の春のはつ風
春のはしめ茶をたつるをみて富士鷹茄子
ふし釜のわきたつ春のたてそめは茄子の茶入に鷹の羽帚
霞
二歩ノ只取
仙人を春の山路にかりつくせかゝる霞をくらふくせもの
手枕哥種
四方山の霞を幕にはるの日や花まつとてのしたくなるらん
柳原竹光
千金の春の光を横たへて霞のたちやはく山のこし
加陪仲塗
鶯
名に高き竹の林の鴬は七のかしこき人くとりかも
子子孫彦
鳥屋さへまたしら雪のふるすより春をしらする籠の鴬
楠実副
金にならぬ田舎生れの鴬は声のなまりのとれぬなる也
釈氏定規
どんなよい月日のしたでうまれたかもてよやさるゝ鶯の声
鯰盛方
をのか羽の茶染の色もあたらしく正月物をきなく鴬
子日
便々皮湖鯉鯉
子日する野へに小松の引わたしたしかに千代はうけ取まうす
酒月米人
女衡かと人やとかめん大夫にもなるへき粉を引てきぬれは
若菜
四才赤良
春日野の飛火のともり出てみよいゝいくかありてわゝわかなつまん
唐衣橘河
つみはやすわかなは雪の白拍子名にふる嶋のせんさいのもの
残雪
一粒万倍
また春の寒さにとけぬはなの先梅さへ雪の頬かふりして
余寒氷
切出たか久
さえかへる浪をやらしといふなりに音なし川の氷はる風
梅
酒月米人
鶯の羽風もいとふはかりなりあんじすぎ田の梅のさかりは
隣家梅
腹唐秋人
春風の使をもつて隣よりすこしにほひをすそわけの梅
市中梅
宿屋飯盛
一初咲の梅は秤か市ひとの二りん三りんあらそふてみる
小石川牛天神の宮ゐに梅のはなのさけるをみて
珍々釜鳴
のぞ〳〵と牛天神にきてみれははなを通して匂ふ梅かく
江梅
生侭成
うつくしく口をひらける紅梅は女なりけり花のあねさまに
一月の夜紅梅をみて岡部葛懸
くれかゝりてもくれなゐの梅花おほろ〳〵と春のうそつき
鹿都部真顔
柳
あらそはぬ風の柳の糸にこそ堪忍袋ぬふへかりけれ
壷石文
青柳のみとりのまゆはをきなからみたれし髪はなてつけもせす
世話内子
ゆふへまて風にほくれしかた糸のけさうち紐にむすふ青柳
四方赤良
抱ついてみれとたはいはなかりけり庭の柳のほそきこしもと
行路柳
馬場金埒
よりさはる袖に袂にうちなひく柳は道のものにそありける
花街柳
帯久計女
夕くれにくるわの客の長羽織つけよ柳の糸のをた巻
一階頭楊柳枝
日朝土龍
春風のふききよむるに青柳のまたりや塵を陌頭の枝
若草
大屋裏住
春もやくふけゆく二月二日あたりはらにもぐさのもゆる若草
下毛
野若草
古来稀世に
春日野にもゆる若草しかなくひそきみがきまさばあえものにせん
百首首歌中に早蕨山道高彦
もえ出るみとり子の手のにぎ〳〵やつふりてん〴〵はるの早蕨
飛塵馬蹄
江春曙
宵のみかこれも千両道具なりたちつくり江の春のあけほの
四方赤良
あけほのは大江千里春のよのおほろ有夜にしくものそなき
鹿都部真顔
春月
かすていらかすむ夕へは杉折の杉間の月もおほろ饅頭
なまくらのお大尽
いもゝなく団子もくはぬ春のよの朧月見はしき物もなし
條門橘丸
猫妻恋
くひついてのきゝむないか煩悩の犬はしりゆく猫のつま恋
春雨
朝早市人
なかき日を一日ふりし行列にくたひれもせぬ春雨のあし
四方赤く
春雨のほそきうみそにくらふれはふしたらけなる青柳の原
帰雁
大空豊旗
草の餅たつをみすてゝゆくかりは雛なき里にすみやならへる
春駒
荏土方澄
おしつめし年のしりかひはつれてや春の野かみにかけ出す駒
雲雀
有頭天長
野に匂ふ烟のくさの舞雲雀声をこまかにきさむ春風
難
智恵内子
山のへにすめとも哥の名なし雛草のねをのみほろ〳〵となく
一才和歌集巻第二
春歌下
浜辺黒人
花
さくらかりこきんの女中つれなれは人の心も花になりゆく
二歩只取
風の神のふくろもちとも身をなして花さく比ば鬢負てにけばや
紀定丸
よしの山去年の枝折を見ちかへてうろつて程の花まり哉
鶴沢蟻鳳
一重二重さく波しかの御所さくら双六盤にむかししりつゝ
三二一
一おしなつて春は十七よち柚のさくらの花とわかかつるらん
問屋酒船
鞍もせ話沓もいらぬと山さとの花の使にのるはたせ馬
婆あ
棹姫のきたりないたり深山木の衣桁にかけし花の金盛
小川町住
四方山に霞の屏風ひきたてゝ天も花をはをしむものかな
多田人成
むかしよりたれか目利か千金と折葉つきのめいざつら花
平秩東作
行春を思ひきれとや舞台からとんでみせたる清水の花
つふり光
花の山色昏短冊酒さかな入相のかねにしめて何程
鹿都部真顔
初花
立春より七十五日生のひてまた初物の花をうるかな
山花盛
四方赤良
風のいかすさまもみえぬ山さくら桜が山冬山がさくら歟
へつゝ東作
曙花
山のみに花じや雲しやとあらそひの中へ出る日や狩をあけあの
夜花
紀秀鹿
あめつちの大からくりの花の山夜分の体にかゝるしら雲
宿屋めし盛に
花満山河宿屋めし成候
花満山河
山河のわけへたてなくさけはとて智者も仁者も花をたのしむ
人々花の哥よむときゝてよみ遣しける一鳳斎
下戸なれはけふのことらの花角力こまたとつてもからんとそ思ふ
馬場金場
落花
入棚のかねにちりけはこらへてもあらしはよほと花にけんへき
天地玄黄
足引の山風にきてちる花を巻へけおとす獅子のこさくら
地形方丸
惜花
一二りんちり行もをしよしの引この千金の花のせなかで
呉竹よほけ
上野花
咲つて雲の上野の山さくら花の歌仙にならふ宿坊
花のもとに香恵をのみて朱楽かん卿
香煎によし花のかはまかふともさのみは風の素湯にちらすな
山道高彦
からせんをむなしくのまぬ桜木の花のむしろは備後三郎
吉原花朱楽楽菅江
手のとゝくほとに禿をたき上ておらばやはなとはなの吉原
婆阿
朝夕の花の衣によし原のよまのにしきをかさねてやさん
四方赤良
中の町うへたる花のかたはゝに深山木なとは一本もなし
紀定丸
花散白風雨
花さける春はかたわになれかし邪風のいゝんぼう雨のあしなく
四方赤良
世中は疝気に頭痛雨に風花見の幕をはるそすくなき
春野
井筒水呑甲
甲府
にしきする秋は物かは春の野は草のはつかにもえき天鵞絨
紀定丸
遊糸
いつも〳〵霞のひまにみゆるかなうはの空にて遊ふいとゆふ
廿一日
平秩東作
雨のみか春の日かけのちくたるもやしなひえては花のかそいろ
三月三日
四方未良
盃をさすか女の節句とてもゝのあたりに手まつさえきは
雛
山道高彦
面影のかはらて年をふる雛はきりのはこやの山にすむらん
蓑市
腹から殺人
雨のふることくに落る銭金は笠を売たるけふの蓑市
苗代
鳴瀧音人
巻気の真かきほとに苗代のほさきを染る水茎の小田
草菴に躑躅あまたうへさせてへつゝ東作
椀をきてあんをつゝめるもちつゝしあさな〳〵の茶うけともなれ
加陪仲塗
杜若
藍らうと生ゑんじにてかきつばたもとより水につけたての花
○○○○○○
四才赤良
山吹のはなかみはかり金いれにみのひとつたになきそかなしき
大阪食人
黄金の色にたくへし山吹を籬の風に吹かへすかな
桜草
四方未良
みてのみや人にかたらん桜草ねことにほりてわらつとにせん
ちれはこそとはいふものゝちらぬこそいとゝめてたき桜さうなれ
宿屋めし盛に
桜草の花壇の風鈴の哥に
草の名はさくらといふそ風鈴も心してなれ入相のころ
藤
小造千万里
大小の下緒とみえてむらさきのなかみしかなる藤のはなふさ
多田人成
松かえにはひあかりたる藤花春と夏とをまたきこそさく
牡丹
四方赤良
十日ツゝ春と夏とに咲わけし花やとちらかけ五ふかみ日草
暮春
鹿都部真顔
むかしたれならはしそめて庭訓の三月きりに春め行らん
二月豊
酒上不埒
三月はつくれと質のふるあはせうけぬかざりは春まそありける
才和歌集巻第三
夏歌
馬場金埒
首夏
花はみなおろし大根となりぬらし鰹に似たる今朝の横雲
更衣
寛時成
今朝ははや待えし鳥と魚うりと一声つゝにあはせきてきく
地形方丸
夏たちて布子の綿はぬきなからたもとにのこる春のはな紙
紀躬鹿
新橋
花の山にほひ袋のはる過て青葉はかりとなりにける哉
四方赤良
灌仏
みほとけに青湯かけたか郭公天上天下たつたひと声
卯花
紀定丸
面白し月と雪とをひとたばねたばねて申へる垣の卯花
瓦鬼面
袖垣をゆふへの空のほしかぶとけに卯花のおとし見てに
傘外無庵
一夜鮓
十三里のり合船のひとよ鮓まごと〳〵にしきりてそかふ
朝起成丈
折も折ふたり子枝のとまり客かやをつるべのひとよ鮓かな
郭公
大屋裏住
後の世はほとゝきすにやうまわきてわか思ふまゝに鳴てきかせん
扇折風
てつへんに雲の上人気とれはかけたかとなく山ほとゝきす
戸若夏一
蘭下照
上毛高橋
空にのし進上もなくほとゝきす左少なからとたつた一声
園湖蝶
夏物の見せをひらく歟ほとゝきすてつへんかけねなしの一声也
加陪仲塗
千金をむたにくらせし春過てまたねきられぬ郭公かな
万象亭
岩くらにたんとしこみし時鳥はつねを高くふり出てなく
葛飾菜つみ
ふる卜袖ときほとゝぎす洗濯のたらゐのたがもかけたかと鳴
尋郭公
軒端杉丸
ほとゝきすとつて置かと山姥か山ふところのおくもたつねん
呉竹世艶
たつねいれときかてむなしうかへれるはをしや宝の山ほどゝきす
御茶の水といへるところにて郭公をきゝて
大井千尋
薄雲に一声たつるほとゝきすいま口きりの御茶の水にて
初鰹
花馬池月
相州の住きれものゝはつかつをけふ手に入てさしみにする
風糸女
初かつを直もたか〳〵とよはふしわきりもふらす足をはかりに
此道くらき
鰹かふ金のひかりはほし月夜かまくらかしにはつねそきく
目白押合
空をゆく山ほとゝきすそれならて地にもはねある初鰹かな
呉竹よぼけ
卯花もしらはた色にさきたちてかまくら殿をまつの魚哉
夜鯉
千鳥友呼
千金のはるのあまりか銀箔の月にかゝやく夏の夜かつを
卯月またふとかりけれは手柄岡持
水こゝろなけれは賃もながされて袷のぬきできるもきられす
橘菊枕
夕霧籬
たちはなのはなとはなとをあはせつゝ枕にかほとかほるかれしさ
早苗
桂まゆすみ
しつのめもさなへとるには行義よくならふや菅の小笠原流
紀明輔
一寸も先へはゆかぬ早乙女のあとへ〳〵といそくたそかれ
舟かきあたえ貴けれは
井梁貫成
信濃更科
夢の間にくふてむなしくなすものを高くかるのはふじな鏡とり
友とち司の葛県のもとより茄子の苗をおくられ
けれは
門田伊奈波
上毛高崎
富士よりもたかよりも猶身にとりてかたじけなすの歯の進物
夏菊
今田部屋住
八重一重かさなる匣の夏菊はちつさにまけぬもの着星かも
人のおのこゝもたりける初幟に廿人木
門口も軒のあやめもけふよりは根さしそふかきはつ幟杭
鵜舟
一冨士二鷹
のませては舟くはかせてとる魚の罪はしりからぬけぬ稿つひ
才若夏三
一谷五月雨和歌茂少々浅歩
五月雨に古木の丸太なかれきてをのれとをよく谷のうはばみ
秋氏定規
むね多き板屋の谷のもるたにも直すひまなき五月雨の比
娼家五月雨
長文をかきくらしふる五月雨にはれてあはれぬ色客そかき
坂上竹薮
水鶏
ほとゝきすなくてつへんをひつしやりとたゝく水鶏の気さへしか
釈氏定規
夏月
てりわれて空やちいさくなりにけんめくるにあまる夏の夜の匂
赤松日出成
雨後夏月
夕立のあめのありたけふり過て今宵は空に水無月の影
蛍
世中のたれもほしける色なれやかねと蛍はつかみつくほと
蚊遣火
紀州鹿
夕くれは三輪の夜のはうちくへて針さゝれしとたくや坂遣火
山道高彦
蚊いふしの陳皮の烟たちのほる空はすゝしき夕風やひく
山伏蚊遣火
分貝楽亭
山伏か護魔ならなくに黒烟そこたちされとあふく蚊遣火
夏夜
宿屋飯盛
背も腹も蚤にくはれてかゆければよるの衣をかへしてそ忌る
蓮葉帯寄
後唐秋人
そくはんのわたかくみゆるはちすはに今朝はち〳〵とをく露の玉
美濃大垣
採蓮曲といへるからうたの心を菫菴退二年
たをやめの手かさはりなくとのやふな花の君子も心ひかれん
氷室
つふり光
とけさせはつかまつらしと水室守をのれもかたくゐてついてゐる
二歩只取
夕立
天に口ありとしきけはあつさにてのみたる水をはくか夕立
酒呑親文
松平左衛門
夏のよの風をみはしのたもとにてふいたる汗も風にひたゝれ
諸事行就
模下納涼
よりあへは人のうはさもゆふ涼み木かけも松のはしたなきせや
質屋虫干
四方赤良
しちくらにかけし地赤の虫干はなかれもあへぬ紅葉なりけり
夏の日湯島をすくるとて無銭芽志
にてかへる湯島の台子あつき日にひとひしやくさせ蓮の池水
井中に真茶瓜をさげてひやし侍るとて
室早咲
ほり井戸の水にひやせし真桑瓜六かは半ほと底にさけはや
真桑瓜
夜見せ諸油
ひとかしらよせ手の陳のまくはかりわれ一番にいでむかは半
御祓やんことなき御方名越祓のうたよませ給ひ
水無月の名こしのはとへする人はくれまて楽をするとこそ十
御前にさふらふ人民間には盆といへるかきりありて
年のくれまてはゆるしはへらすとまうしければさ
しらさりきとて興し給ひけるとなん
才和歌集巻第四
秋歌上
立秋
養由にあらねと秋のたつか弓柳の一葉ゐておくしけり
冨士川住甲府
あけそむる高堤籠をふみ雁の足しろにして秋やたつらん
初秋
鶴亀十千万亭
初秋の二番叟からそよ〳〵と身もしのきよくなるやすく風
泥道すへ流
秋来ぬて眼薬はかり草のはにをきてはむすふ露の厘ため
七夕
騎穴主
おりひめのかくし百をたつぬれは沙汰はない事天のかはらけ
紀述法師
織姫も羅綾の袂しきてねんけふ七せきの屏風の中
七夕引
山東鶏告
別路の天のかはらにひれふりて今朝こそ星の石となるらめ
七夕琴
ひまのないし
星合の夜半もふくれはつま琴のひきすてられて牛はひとりね
七夕瓜
扇折風
星合の空に手向る瓜ふたつ今宵ちきりの枕ともなれ
萩
土師掻安
ふりこほす露に清めて秋風のすゝしめまうすいせの浜萩
四才赤良
盆踊
子はしらぬ親の心の染ゆかた盆前むねのおとる思ひを
矢立綿試
踊老若興
うら若き中にましりておとる身は年をふる手のゑいやつとせい
吉原燈籠
四方赤々口
神棚のあしの上も燈籠の光源氏をまち合の辻
小川町住
燈籠にひかれくるわの盆々もけふあすはかり居つゝけやせん
多田人成
いにしへのなき玉菊か燈籠にうつてかはりしおもてうら盆
紀定丸
初嵐
笛ならてふきならひたる嵐さへつゐにこのはのいたみとそなる
萩
丹太郎
風の手にまくり上たる白萩は人の目にさへつきのよすがら
かつしかのほとり萩寺にて四方赤良
萩寺の秋の夕くれ来てみれは入江町のかねに寄とちりける
百首歌中に薄
山道高彦
秋の野のにくさの露のいろはよりほに出し尾花風にちりぬる
女郎花
三室雄鹿
をみなへしさきたつ野辺は下馬をせよかの通昭か口とめの場所
朝影
夢中楽輔
まかりつる心とみへて朝顔の花は日かけをこのみこそすれ
外山霞
うて置て世話をやくしにあらねともなりのつほみをもちしあさ石
垣朝顔
我家亀楽
いろ〳〵にさく朝鮮の種か島鉄砲垣にからむあさかほ
水引草湖舟人
咲花の色につれてやむすふらん水引草に紅白の露
露
紀定丸
大寒の月のかゝみやみかゝんとをきならへたる露の水かね
相撲
一城出たか久上毛
いさむらしよらはけはやのいきほひにかたづをのみのすくぬかたにも
閑居出
三輪杉門
我伽をしてくれかゝる秋の日にかならす後もまつむしの声
岡鹿
高羽子雄鳥
二三丁先にきこゆる鹿の音はおかへのかたの紅葉にやなく
初雁
蘭下照上
あなたよりかすかにきぬるかりかねのだん〳〵だん〳〵そたちこそは
日暮里雁加倍仲塗
加州仲塗
日くらしの里のなかめはあかぬなりなくる土器落るかりかね
足もとより雁のたちけるにおとろき田の中に
ころひ落けるを人みわらひけれは山道高彦
たちし羽音におとろきて我もかた田に落るかりかね
小鳥渡
其管理今成
追々に小鳥のわたりそめぬるはいすかのはしや空にかくらん
初鮭
杉原向
苦労してうむはらしこのそたちからしやくのたねともならん初鞋
土岐双馬
初さけをくはてやまんや代金はたとへ三とその衣となるとも
唐衣橘崎
ふる鰹今はつさけの一尺に七尺さつてふまんねもなし
之
夢中楽浦
洗濯のまたのりもひぬ草物に立かたちのほる秋の夕はれ
百首度中に初夕
武郡部真臺
菓子壺に花も紅葉もなかりけり口さひしされ秋の夕くれ
才和歌集巻第五
秋新し
川
腹から秋人
一りんもこよひは空にかけねなしこれそ正札つきのしろ物
序道頼
せんくりにむかしの人は入かはりひとつの月をのそきからくり
子子孫彦
秋くれは世界の人にほめらるゝかつら男や月の全然に
井出川貫
歌人のことのはつきのかけも桂男のうはさなりけり
星屋光次
母にあき橋にもあきの月みんと栄耀にもちのかはむかひゆく
花江戸住
世の人にうしろをみせぬ月なれは一分も跡へひかぬかつら男
露谷景
とりわけて秋のもなかの入相はつき見るかねの声もさへけり
歌舞伎たゝみ
空にある月をうちから詠ればわか家らくのかな盥かな
波女あ
にこりなくすみわたりたる月のよにせめてのみほすとびろくもかな
宿屋飯盛ニ
てる月にわれものまうす晦日にも出てかけこひをねめて給はれ
十五夜月
山東京伝
仲秋の月にめでゝは今川かいさめももとく酒宴遊興
良村安世
とぎあけし秋の中ごのめい月は上作物のあたえ千金
立里部友行
けふをはれと出たつや裸百貫の月のかつらの男一匹
十六夜月
山道高彦
きのふから居くひになしてみる月の夜半事六むさしのゝ原
紀躬鹿
臥待月
大空の天井いたは松の木のひでよりあかきふし弥の月
鶴羽重
二十三夜月
一十三夜月鶴羽重
掃形にきすか影こそみゆるなれ二十三夜のあけかたの月
庭月
芳野花守
つき山はふところさへもちいさくて両袖かきにもるゝ月かけ
武士見同
唐衣橘洲
雲のあしさはらはきつてきりひらけわか領分の月のした風
太神楽見司
透泉ぬ酒
むら雲もはなれきつたる水の曲みあけてほむる月の丸一
月前枝豆
巾着もはたく菴につきふけてなかははからをひねる枝豆
四方赤々江
枝ふりも桂おとことまめ男いつれ風月の才はじけたり
呉竹菴主
口まめにくひちらしたる枝豆のからりとはれし月をこそみれ
月前角力
天保川成
秋の夜の空も今宵ははれ勝負得手をさしたり角力場の月
月前紅葉
蜜柑皮種
てる月の鏡にむかふ立田姫もみち色こき山のくちへに
身延山の奥赤沢といふ所に月を見侍りて
柳すなほ
甲府
黍釈のもち月みれはふるさとのいもや団子そ恋しかりける
日
宿屋少し成み
蛤にはしをしつかとはさまれて鴫たちかぬる秋の夕くれ
つふり光
鶉
おのれから鷹にしられて鳴うつらいはゝふかくさ〳〵
擣衣
今田部屋住
よもすかく壁もひとえのから衣となりのきぬたつちもうちく
園伽蝶
近郷摂衣
水秋六上廿
我ものをきいてゑたにさひしさはかした砧の音ちかきさと
はまへりて車井長綱高羽子おとりなとゝもにひて
鼠山に茸狩にまかりしに雨にあひて
四才喜
初たけのやふれかさをもとりあへすふりくる面にぬれねすみ山
九月九日
卯弐合
けふはかり下戸に異見のきくの酒しら露はかりのめやうたへや
九月九日人の酒をおくりけれは天討未曽々江
おくみなし手察に無事をきくの酒珎重陽にそんしさふらふ
菊
友垣古文
重陽の酒は延命ふくろ菊外に宝の山もととめし
畑仲道甲府
南京のかさねやさかはして露のをきならへたる菊の花皿
膝えさくる
下屋鋪菊
秋ふけてさひしさまさる下やしさ菊にきつねの声はかりなり
紅葉
唐衣橘洲
見わたせはみな紅葉する山姫にあかの諸人は松よりなり
一本鎗主
山姫の衣のうらのひきときはかはらけ色の紅葉なりけり
芦辺田鶴丸
尾羽
紅葉する山みな酔りその中にひとりさめたる松はすねもの
不調法師
三室にてほめし紅葉をたつた川二度ひつくりの銘とそみる
浦辺紅葉
紀軽人
秋風のふけはちら〳〵ちり先の小袖きらのなほり紅葉く
馬場紅葉
鱸売口
乗人もこまもいさみて入相のかねにちりゆく馬場の江葉ゝ
花道つらね
真間紅葉
色かへぬ常着のまゝの紅葉かは錦にまさるほまれなりけり
十三夜月
遊女言越
はつよりも花のゑかほにあきたらぬ詠そふかき月のうら客
沢辺帆足
名月と今宵の月は天秤にかけてもひけぬ小判なりかな
軒端杉丸
すきとちる雲のひんつらさし櫛の名にもかくれぬ十三夜かな
連府千たね
もろこしにしらぬ団子のこなまてもしろきを後の月にたくへん
紀定丸
きぬかつくいもはあまたの子をつれてまたそろ縁につきの二度そひ
宿屋飯盛
月よよしよもよし原の十三夜かねは九つ柏子木は四つ
花道つら直
くもたゝこのやふにこそありたけれすこしたらいてまめの名月
秋風
朱楽かん江
里の子に追かけられていか栗の地をめけまはる風のはけしさ
九月朔日
高羽子雄鳥
いつよりもわけてさひしさまさりけり九月晦日の秋の夕くれ
才和歌集巻第六
冬歌
平秩東作
初冬
けさははやはりあたまのみなてられてかみなし月の寒さをそしる
土師掻安
物申の声しはかれてきた風のあん内寒き冬のいり口
平生三里季保
木々の葉はみなあらしこやかけぬらん山のみけつるかんな月とて
時雨
四方赤良
木末まて坊主にせんと月代をひともみもみて時雨ふるらし
豊年雪丸
尾張
まつ冬の一台せんじふり出すは時雨をさそふ風薬なり
落葉浮水立花裏なり
落葉浮水
行水に数よむはかり落薬してうかむや池のそこらこゝらと
落葉混雨
同落葉混雨今日茂遊人
つれてふる木葉衣のほころひてあらはにみゆる雨の足腰
菊酒壷
二老芦
霜やけにいたみもつよきあしのはのおきふしならてかれたちにけり
宮戸川面
枯野風
ない袖をふる野の霜のかれ屁花ふつと吹出す風もおかしき
霜
紀躬鹿
あかつきの鶏声か窪すきゆけみ朝霜をける板橋の上
水
呉竹よほけ
六中の喧嘩に似たる初氷すこしのうちに水となりけり
才善文郎一
高利刈主
虫入の琥珀とみゆる手水鉢氷の中にひと葉南天
池水半水
唐衣橘洲
われ〳〵に池の心の中われてはる氷ありうつ波もあり
冬月
かみそりのはわたる月のするとさや遠山松の霜にきたへて
神無月の比月をみ侍りて
神無月の比月をみ侍りて坂道凸凹
さつはりとかみなし月の月朝は法師ならねと木のはしに候ゆ
山茶花
夢中楽輔
四五りんはちりかほこりか十露盤々の玉のうははにのこるさゞんくは
下毛朽木
千鳥
田畑持麿
門たゝくしほ風寒き小夜中にもらひちとりのなく赤子かな
冬の日友とちとゝもに舟をうかへ侍りて
算木有正
こかれゆく妹かり船のとき巨健栄耀に餅のかは千鳥かな
神楽坂住
顔見せ
顔みせの一番太鼓おとすなり嘘かけて霜月のそら
雷
平生三里季保
不破の関もりてあたまへ玉あられいたや〳〵に音そくだくる
せり
田畑持麿
雪つもるかひのねかたを足引の山本かん助権はくみゆ
若松曳也
山々もみな白妙の丸綿はどちへよめりてゆきのつもり歟
花江戸住
塩といはしさなから灰をまきちらす雪は枯木に花さかせ斧
加倍仲塗
しら雪のふるは無尽の闌ならて花とみへたる袖もありけり
初雪
婆阿
まちつけてまつ間ほとなくかじけなはけふふるもせよいかゝつもらん
夢中楽輔
ふみ出して今さら跡へひと足もひくにひかれぬ下駄のはつ雪
庭雪
鹿都部真顔
かけありく火をもいとふ庭の雪にまたるゝものは河豚の横廓
昼寝興兼
庭の雪の一重につもる若竹もやかて二重にこしやまからん
我家亀楽
竹雪
聊ならあんじもせねと藪の物とうぞおれずにくれ竹の雪
原雪
奇々羅金鶏
今日また雪にうたるゝ近江路や粟津か原の松のきそ殿
名所雪
花馬池月
三国になしふものなき富士山のあたまを出すは雪はかりなり
河豚汁
朱楽菅江
わか命あふにはよしやかへすとも河豚にしかへはさもあらはあれ
唐来参和
ふぐくふて身はなきものとなるとても雪のふる日はあつくこそなれ
條門橘丸
仏にはとてもなられぬ身にしあれは飲酒もやふれ五体ふく汁
大根
倉部行澄
何反と畑の中道へてゆけば地ふとき糸のねりま火根
寒夜酒
田原高積甲府
たゝひとりふすまも寒き冬の夜はひつかけてねる茶碗酒かな
かしもと人わる
百首歌中に網代
夏の虫ならねと冬の納代守これもひをとるものゝ有ける
一粒万倍
鷹持
くさかれの山のこしよりたつ鳥の羽音に鷹のへをはなつらん
寿和利かた餅
海辺寒松
吹さらす磯辺の風のおとこ松若木とみえて寒さうもなし
四方赤らす
炭竈
朝夕の烟はかくと角火のしるしもしるき熊野炭がま
入谷松陰
節季候
門なみに口もとさゝぬ節季候へ来と銭とをくれそせはしさ
追儺
人並面成
ひいらきのひらりとかへし赤鰯そりやぬいたはと逃る鬼の子
煤掃
浅草市人
すゝはきの塵にましける神棚もけふよりわけて光ますらん
刈穂稲村
屋鋪煤掃
すゝはきに黒き尉とそめされける末広敷の御鈴口から
悪口にく丸
歳市
吉例をかゝさす市は万物のはしめて春の買物やせん
浅草市
柿下手丸
一浅草の市と月日はたつか了くれゆくとしの矢火臣門
紀定丸
観音の市のしるしと夢の間に千の手桶もうりはらふなり
浜辺黒人
大黒をぬすんて福を得手勝手人の心の浅草の市
酒上不埒
餅搗
すさましくなきは師走のよもすからさえわたりたる餅搗の音
刈穂稲村
卯十一月
もち米をひやせし桶の水すみてあすの鏡をうつす月影
懸乞
門限面堂
歳暮
かけ乞も挑灯の弓おし張てきたなしかへせ〳〵とそいふ
三方長のし
尾張兵士
買物はみなあたらしき小玉銀白羽二重のふんとしのくれ
小簾菅伎
くる春のはらみあれはや師走しま子をうむ金をねかしてそをく
よしのゝ葛子
又ひとつ老木となるはをしからてそたつあしたを黒のみとり子
物為久
年のよなゐふりけれは物為久
一とせをゆりおさめたる地震より万歳楽の春やむかへん
除夜
鵜柄仙口
けふはかりあすといはれぬ大晦日かした方にもかりた方にも
十月間ありける年の大晦日に紹定丸
十月のひとつあまれる年もはや大つこもりとなりにけるかな
才和歌集巻第七
離別歌
としころつかひし従者のやみてあるさとにかへり
けるによみてつかはしける元木綱
よくなれよなりてふたゝびいが栗のゑみをふくめる秋にめはばや
別
小造千万里
行人をいま半道とおくる身もわかれかねてはまた一里塚
俳優の作者齊鳥雪か難波にゆくをおくる
谷水音
のほりなは江戸の作肴の一こぶしさそひしくらん難波津のはな
三線をひけるものゝ旅たつをおくり侍りて
山道高彦
さみせんのいとまこひして両方へひきわかれぬるたり三重
呉竹よぼけ
ある人のむまのはなむけに呉竹よぼけ
もどり足千里の馬もあれかしなわかる〳〵人のはなむけ並ん
羇旅歌
旅宿夢庵都部真顔
額のすむ野辺ともしらす旅寝してうまき都の夢をくはれき
旅宿
押強
出るよりも内をわすれぬ草まくらいくたひとなくねかへりやせん
四才赤々に
朝もよひきちんとまりの出立は心のこんのともし火もなし
旅行
釈氏定規
西へゆく事のいやさにうしろをは見もせでいそく熊谷の土手
呉竹よぼけ
我なりを哥まくらともみなばみ上馬にものらぬ腰おれの旅
角力旅行
角力旅行すは子
指おれはもはやすまひの前かしらけふとつこいと思ひたつ旅
神無月の比あかつき箱根山をのほるとて
梅下武士
ほの〳〵と東しらげのかんな月かけて箱根にさしのぢるかな
栗成笑
足引の山も細工をするかぢや目をおとろかすのこぎりがたけ
みやこにのほりし比宇治はしを過けるにかり橋
なれは
問屋酒船
軍にはあらねと宇治のかりはしをたゝ一せんにうちわたりぬる
一条もとり橋にて
とかく名はあらそはれぬそ行過てはゝああれかと立もどり橋
奈良の町を過るとて
鹿を追ふ猟師なければ奈良の町西も東も東も山をみるかな
菊川の菜飯茶店にわきさしをわすれ侍りて
掛川よりとつてかへすとて馬場金将
一日に二度こゆへしとよひきや命から〳〵小声の中山
金沢にて船にのりて
一金沢にて船にのりて暦春明
朝なきにしらへの糸を帆かけ舟千鳥にうつや波のにつゝ
才和歌集巻第八
哀傷歌
無常
手柄岡持
玉の緒も馬の尾ににてきれぬれはあはれこきうの音もきこえす
紀定丸
東風雲さへ西におもむくは空のけしきもじやくは雨なり
紀みしか
風と出て風ときえやすき世の人は吹ししやぼんのあはれはかなき
たま人成
謹師屋無常
経師殿の次第にかゝむこしはりはいつかこの世をのりはなれせん
天明よつもとし五月雨の比市谷のまちのおさ
嶋田氏身まかりしときゝてよみてつかはしける
この嶋田氏安永二のとし宝舎となんいつるたはふれ
をなせしとき酒上熟寝とたはれ名をつき侍りき
新撰狂哥集なとにもたる昔はしらす今の狂名はその比
四才赤々江
よひ侍し
島田ならせめて三日もとまれかし涙の雨のふる大井川
宇花火無常
坂道凸凹
月と日の鼠花火の口薬めくるははやき手くるまの世や
宇皿無常
星岡住
かけし身は染色うすき南京のさらぬわかれとなれるはかなさ
膝えさぐる
母の思ひに侍りける時
一杖よりも親にはなれしかなしさはみえぬ此目をなきあるしけり
むつき七日父をいたみ侍りてつふり光
けふ父は死でれたひらこ仏の座五行をもとの土にかへして
山道高彦のめのきみ茅野葛子身まかり給ふときとて
虎風母
よしのてふ姿はあはれ葛のこのはかりもよほとたらね一しやう
鹿都部真顔
母の思ひにこもりける比
なき母の乳房をこふるおり〳〵は数珠をひねりて泣やみそする
うませける子のやかてうせけれはほゐなくて
これもまた臍より出しあか子とてなくせば力おとしなりけり
すまひ人虹か嶽身まかりける時よみてつかはしける
あこき引網
百両の花よりもわか手向にはたつた一ふの経佳羅尼かな
旦暮畔道
寄番無常
あはれなりつねなきものとしら露のころり〳〵をするにつけても
丙月未人
寄鶴無常
奇鶴無常酒月米人
かきりあれはうらやまれたるよはひさへ今さら何とせんねんの鶴
一才若君儀一上三十二
5177
共ニ二冊
有田須加兵衛
狂顕寸蔵集蔵
才和歌集巻第九
賀歌
寄亀祝
万年とまうすはおとけ御寿命は百をおこしの亀の尾あたり
寄日祝
小簾官伎
いにしへの豊芦原のぬかるみも日のあしにこそ道はつきけれ
門限面堂
寄雪祝
あしは足袋手は少しところにおさまりて雪をなかむる御代そめてたき
宇国祝
金銭芳志
もろこしはかゝみやすらん万代とふみのはしたるあし原の国
寄冨士山祝
四方赤良
春秋にとむさふらひの山なれはいつもはたちの心地こそすれ
寄掃溜祝
久寿根兼満
いく千代のよはひへちまのからみしはとりもなほさす掃溜のつる
寄松祝
友垣古文
一此松たしかなるものにつざきみか千年の御伽奉公
をたまきのしつ子
よろこひのこほれ松のみかくさしのかさしにさしていく千代もへん
ある人八十八の賀に松によする祝といふごとを
四才未良
いつまても中かうよみて若かつれ八十八の首道の粉のみ
ある人八十の賀に松契千年といふことをよみてよ
とこひ侍しにいなみけれとせちにせめけれは
百華庵
万歳酒といへるさけたらへて鶴羽重
ほん〳〵と樽のかゝみをうちぬいてしたつゝみうつ万歳の酒
寄竹子祝
堺文道
ふしことに千代をこめてやいくせたけ日に〳〵のふる竹の子とから
末広といへる能狂言を見侍りて四方光良
末広の御代にあふきとからかさは五風十雨の時をさゝうよ
ある人井の水をかへあらたむるときゝて
書出田丸
井戸ほりのさけたる綱のいくひろか長さためしをひいたり〳〵
手柄岡持
秋記
はき薄なひかさうめや秋の野ゝちくさかりける世にしあらねは
ことし四十になりけるにかしらをまろくし
侍りて浅倉森角
老の字にはしめて出合かしらよりまんまろく千代万代もへん
蔦から丸
髪それは格別目たつ耳のたふめてたくのする米の数かな
はしめて男子をまうけたる人のもとによみて
堪忍床丈
相生の夫婦の中にちよつこりと枕のふくりのつきしみとり子
友とちの家の髪童の親に目黒道成
けふよりはよろつよつみをかさねきてなをたけ長き年もふり袖
寄角力祝
あけらかん江
君か代にすまひのせきとせさの戸はいつれ左も右もさゝせす
八十のがらくたおやぢいきすきて松に千とせをまだちざりおり
紀定丸
宇玉祝
君か代は下手のつかへる品玉のたゝかはらさる事そめてたき
伊勢阿婆輔
寄脇指祝
脇指も鞘におさまる御代なれは千代のためしにさせる竹光
同宇障子祝春駒方
寄障子祝
老ぬれと今にかゝまぬ腰障子昔つくりをいはふ骨くみ
一寄中将棋祖一丈二ケ式
聖什になりゆく駒や中将棋いきほひもよき麒麟鳳凰風
粟成笑
寄数子祝
十露船天にかゝるめてたき数々はふゆるにしんが一しなるへし
高羽子雄鳥
寄鷹祝
軒羽うちこふしへのらぬあら鷹も君かよすえになつきける哉
曽栗釣方
寄生酔祝
さかつきもおさまる御代の樽まくら太平楽をいはぬめてたさ
珍々釜鳴
髪置祖
ちよつほりとをきたる髪のおいさきはをよそ三千丈夫なるお子
お子
山道高彦
袴着祝
千代かけし袴の紐の石たゝみいよほとならん苔の山すひめ
園村竹
三夫婦祝
三夫婦の礼も三枝の鳩の杖つけやてんてに千代の一節
ある人の影婚を祝して婆あ
羽をならへ枝をつらねて長まくらなかきなとせもふたりしてへよ
万載集なれりける比四才しらはのもとにて
才和歌集巻第十
恋歌上
紀定丸
初恋
みる事の自由にならぬ取恋はこは〳〵親の目をやなすまん
卯雲
初恋にきざうときざうよりあひてまたうつくしき色よりもなし
忍恋
出出たかか
忍ふれとたかひにかよふ目のしほをくみてしられん事そくるしま
見恋
人目にもつく〳〵とみる顔はせにゑくほの外の穴やあくらん
顕応
ひまゆ子
むすひでも人の口はにいはた帯やゝあらはるゝ恋のかたまり
加陪仲ぬり
不逢丞
人の気もくるふ時計のきざはりはどうしかけてもあふ事そなき
殿野保町
神よ神しんきしんくの初とりてあはちむすひとなとむすひけん
牧馬堂耳風
我恋は加減ちかひの油やらあふ事かたくねるもねられす
小牧牛歩
わりくときかけもとしても十露盤にあはぬ恨のつもりもの哉
遇不逢丞
臍穴主
今ははやすへかはるらし過し比うまきちきりは夢に牡丹餅
朱楽菅江
通書不逢惑
書そへてふうしなほせはふうしめのあはぬもつらし文はやれとも
千鳥友平
折言恋
火にくへてみたれはおなし烟なりちかひしかみのうそも有ても
待恋
森口花丸
かならすとたてのこしたるくゝり戸の心ほそめに待宵そうき
弦掛益人
恨わひまつよはつらき手枕にしひりも時もきれてこぬ君
唐衣橘洲
不待恋
我足一かくへき〳〵のいつはりをさらはたべまいくものふるまひ
七珍万宝
逢惑
今宵こそ思ひをとげめ庖丁のとにかく君のあふそうれしき
小造千万里
下紐はあひみることにほとくとも縁をはかたくむすひ給はれ
別恋
腹から秋人
酔さめにのむ水よりもあかつきのわかれのかねははらわたにしむ
思
山道高彦
ためすへきはかりさへなしわか思ひ何百貫と目にはみへねと
角満丸
片思
わか思ふ君にはなれて密餅のかた思ひなる身そこかれける
酒月米人
いふ事をみな水にしてへちまとも思はぬ人を思ふ身そうき
丹青島
君か思ひはかりみんとてつつかけにかけてもはぬるかた思ひ哉
柳枝也
偽恋
たまされし此身より猶かなしきはめいとて君か舌やぬかれん
桶二夜恋万象亭
隔二夜恋
末はあふ守宮にあれや竹筒のふたよへたつる恋をするとも
四方赤良
忘恋
ねるはくは君か小指の輪となりて朝な夕なに思ひ出させん
絶応
酒月米人
中絶し此身は何となるこ縄ひく手こたへもなきあかすかな
辺越方人
恨恋
はらへども猶たちさらぬ思ひかなさりとは君はうらめしの蛇
二歩只取
旅恋
箱根八里馬てこせともこしかたき人目のせきに恋の山坂
鹿都部真顔
立面影恋
ねることのさてもきらひな君なれやたゝ面影にたつてはつかり
思二人恋七面堂侭世
二人ある妹は両かけ挟箱かた〳〵ならぬ恋の重荷や
思三人恋
思ふ人をかそへてみつの鼎ならひとつかけてもしりはすはらし
恋の哥とて
つふり光
みすもあらすともせぬ人の恋しきは枕草子のとりにそ有ける
わかうき名閻魔の帳にかゝれんと思へはまさか恋もしなれす
田家恋
かり庭に伊達こく稲のほゝゑかほいもはしごとも上手なりけり
祢宜応
園坂蝶
ならはしと思と結ふの神はかりね宜のまゝにもならぬつらたこに
万家甚丁
巫女恋
折画く月のさはりにさすのみこせめては口をよするはかりそ
僧慈
人まね小まね
かた時もそははなさしとにきる手の珠数より君か顔をみた仏
竹門直也
下女丞
気のあやたすきかけてもまはらねはなかしめもとそはたらかれぬる
やとやめしもり
通神といふ事をよめるやとやめしもり
吉原にこれもふさんのかより神あしたには猪牙ゆふへには駕籠
大屋裏住
一傾城にふら斗一ける時よめる
うやむやの心の関のゆるさねはたかひにとりの空示しにけり
新吉原の燈籠見にまかりてのちたひ〳〵
かよふ人によみてつるはしける荷造印文
燈籠をみそめてかよふかみさいくはりのつよさにのりやきぬらん
さんやわたりのしのひありきの比雨ふりつゝきて
大路に水たかう出たりけれはよみ人しらす
ちきりきな合羽の袖をしほりつゝ末の松葉屋波こさんとは
浅草馬道のほとりに女をゝきてかよひけるに
雨ふりて水出けるに
よみ人しらす
大水にまはり道して弓とつる心ははしる矢大臣門
やめる女のかたはらにそきにし侍りてよみ人しす
やみぬれは緒のなき琴のねすかたをたゝかきなてゝみか
はかりぬる
遺精をみ侍りて
二歩只取
これもまたいろはの道にちかけれとさりとはちゑもあさき夢み
才和歌集巻第十一
恋歌に
寄風応
唐衣橘洲
よし今は風の神にやいのらましおなし枕に君とねるへく
古瀬勝雄
寄雲恋
ねかはくは雲の帯とも身をなして亡ふお山の腰につきたや
星岡住
寄地□
我恋は土龍にそにたりけるあらはれてより地にも入たし
良村安世
寄氷恋
わかこふる人は氷のかゝみかも剰たにみせすはりのつよさよ
霰柿持
とけさうてとけぬなさけの薄氷けに川竹のよりのつよさよ
網引方
寄火恋
石ならはわりてやみせん我二ゝろ火の出るほとに君をこそ思へ
白川与布弥
一寄鳥恋白川与布弥
寄鳥恋
つれなさよ今宵もひとりふすま地の引手の山になく郭公
岡辺唐成
口まねをしてなぐさむは猶つらしいつかあふむの返事きかせよ
至極楽也
ぬき足てしのふか岡のしら鷺やをよはぬ恋もふみつけても
寄時鳥恋
ほとゝきす二人か耳へ一声はひつはる夜着のからみこひなし
土岐双馬
恋しさの山ほとくきす一言をことつてるまにあとかたもなし
内若森下一丁
紀定丸
寄水鶏恋
まちわぶる人と思ひてたまされし水鶏をわれはたゝきき哉
小川町住
待わひし妻戸をたゝくぬしはたそまたたまされし二度のくなに
寄雁衣
辺越方人
からかひのほしき内こそ命なれ跡先みすの恋のよつ雁
雨夜賤丸甲府
いや鳥き人をこふれは雁かねの文もとゝかす竿もとくかす
寄鷹達恋
四方赤良
あひぬれは何かしらふのおもしろしこれやとつたかみたかなかならん
寄馬恋
唐来参和
ちりこたつうき名よいかにこふ人のはねては馬の耳にふく風
柳直成上毛
〽むま〳〵とたゝ口さきにかけのりの上手いはすと落て給はれ
寄犬恋
竹許直成
さよふけて犬かとたゝくねやの戸はきゝおほえたる君か足音
呉竹よぼけ
寄矮狗恋
うき恋の身はつなかれし押なれや涙こぼしてふるへてそゐる
奇魚恋
此道くらき
しほからになるまて縁のふかゝれとかつほのあたまくたく恋かな
寄龍恋
榎うち住
うらみてはおこる雲井のたつなれやいつかひたひに角目たちかり
笑陪友行
寄蝙蝠恋
なき名のみとりのまねする堀場のあふきなとくはとんた空言
寄忘草恋
大屋裏住
よごしてもひたしものても根から葉からくふてもきかぬ恋わすれ草
白根重雪四有
寄冬葱恋
君と我ねふかき中となりにけりあひそめし日は人もしらねと
よたん坊路町
寄朝瓜恋
垣間見の顔へふらりとなりさかるへちまのやふなわか思ひかな
面白圭朶
寿花恋
手ふる間はねからあらしのよし野山はまのしたまてつもらるゝ恋
勘定疎人
寄松恋
我はふ人は磯辺の松なれやすねたすかたの猶そ目につく
奇梅恋
天地玄黄
わか思ふひとえたたふるものならは指をもきつてやり梅の花
荒木田土技
寄梨恋荒木田土持
寄梨恋
くとけとも落ぬ心は石なし歟返事にかたきしんをあらはす
沢辺相足
寄竹子恋
たけの子ののひ上りてはまつ恋にこよひもほんとだしめかれたり
寄詩人恋
松藤浪
一今こんとかたうやくそくある門を推かたゝくか君か心に
高羽子雄鳥
寄角力恋
寄大工恋
こふれとも人目の関のつよけれはあはぬすまひのひとりぬそうき
酒月米人
つねは口をたゝき大工もはつ恋はいひ出んごとのころはづかしき
高利刈主
寄按摩恋
あんまり寺よりのつよきはしやくのたねりやうちにものもいはれたりま
才若藤下上下十
紀軽人
寄奴恋
雨かふり鎗かふりてもかよふ身は恋の奴の名にやしくらん
四才赤良
寄万歳恋
かはるなよみろく十年たつのとし諸計のたてしちかひなりせは
鹿野山住
寄達摩恋
かよひくる足もたるまの年ふれば腰をぬかすと君さとれかし
寄祭礼恋
高羽子雄高
神かけし約束なれとあはさるはあとのまつりかだしぬかれたか
寄鷹恋
紀有安
くとけともなとあふ事のあさき聖心のたけを四分一もきけ
寄玉衣
参上遅滞人
書おくるみは下和かたまつさか又もとさるゝ事のかなしき
檜香もよし
寄硯恋
君ゆへに硯の海にしつむとも気の命毛あふにかへなん
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
打出小粧
すき人のあつき心をかみかけてをくる思ひやいく重なるらん
寄り黒土衣い
矢田良綾丸
いくたひかかきくといてもうす墨のにしむ返事のうき思ひかな
寄浅意
尻焼壱人
ぬしさんにはゝきもとまて恋のふち人の目貫をかね家のつば
物延於古立
寄鼓恋
今はたゝわか身を恋のせめつゝみなるかならぬかしらへてやみん
橘実副
寄車恋
車にもつみあまりぬる思ひかな恋の重荷のはしけられねは
寄簾恋
吹渡
かくせとも外へみえすくいよすたれいよ〳〵恋にやせかゝるかは
呉竹節柯
寄扇衣
富士の山をさかさまにみる法もあれ君にあふさの折はたかへし
寄燈恋
一筆山水
かきたてゝ人に見せなんともし火のやけつくはかり物思ふとは
綾織主上毛
行燈のきゆる思ひにうは玉のよな〳〵君を待あかしけり
寄風呂鋪恋
綾織地紋
つゝめともつゝむにあまる小風呂敷思はぬはちをかきさらさ哉
馬鹿唐名
寄手拭恋
うれしさにしほる浜のしつほりとなれてはなさぬ君の手拭
小簾菅伎
寄枕恋
思へともせんかたまくらふたり前ひとつは君と抱しめてねる
寄巨燵恋
星岡住
手は出せと足をはすこし出しにくき君に心を置巨燵かな
たま人成
いつまてもさめしとそ思ふわか恋は巨燵蒲団につゝむ飯櫃
寄蝋燭慈
貸本古喜
しのふ夜の君と相図のらうそくはけしてそれそと人にしらなく
八橋蜘手
寄算盤恋
そろはんのたまにあふよのわりなきをにくし三三かくだかけの聲
竹杖為軽
寄銭恋
おひねりのつゝむにあまるわか思ひなとなけやりに人のなすらん
千鳥友呼
寄杓子恋
かねこともあとからはけるぬり杓子定規にならめ人そつらけれ
寄挽臼卒
苅穂稲村
しんほうをしてもとゝかぬ我恋はうすきゑにしとひきゝにそなる
井蛙亭如水
寄雑恋
穴のあくほと顔みつめきり〳〵と返事をしやともみたてゝゐる
寄俎板恋
藪中道
まないたのおもやせしたる恋の身をきりきさみてもあはんとそ思ふ
寄研恋
浅黄うら成
砥の肌と刀のはたとあはせ側の水ももらさぬ中にはあれ
柳直成
寄釘恋
打つけにいへとかしらをふる釘のきかぬつらさそ身にこたへぬる
加陪仲塗
寄網恋
うちならふ投網なれやふうし文やつてはみれど先でひらかす
寄酒恋
月輪秋国
あひみての心はいつも樽酒のこもかふるともなにかいとはん
寄団恋
酒上不埒
あまさけの三国一のおすかたをのみそめしより胸そこかるゝ
寄餅恋
小造千万里
あしこしのつよい我身もへつたりと君にみられてしり餅をつく
唐衣橘洲
寄水餅衣餅
とにかくにむすふ心の氷餅くづし出てやかきくとかまし
峯松風
寄幾代餅衣
つゝみぬる心のたけのかはらすは君といくよもちきりかさねん
を客表廿六下十
坂上竹薮
寄茶巾餅衣
茶巾餅よいこなさんのふり袖をひけはつれなくひつはたき物
寄蕎麦恋
目黒道成
君かそははなれしよりははしたなく涙の露に袖しほり汁
寄鮓恋
筏丸木
しめ来にもかゝる思ひとなりにけりあぢなゑにしの一夜鮓上る
寄団子恋
那戸川伎
色みえてうつろひやすき花よりは団子のまろきちきりたな
寄若菜恋
田原駝に広
一性わるの君は若菜のかれ葉かなちきりてはすて〳〵
寄河童恋
宿屋めし盛
かつはにも身はあらなくに涙川しつみて人をめかけこそすれ
才和歌集巻㐧十二
雑歌上
宿屋飯盛
ある人によみてつかはしける
哥よみは下手こそよけれあめつちの動き出してたまるものかは
鶴
土師掻安
万年の亀のよはひにくらふれはまた九千歳わかの浦鶴
亀
四才赤良
万代の池の玉藻の光をも汀の亀の甲にいたゝく
竹杖釣軽
私
みな人のみとりとよへる禿松大夫にならん色そみへける
関
荏漉土方澄
道中のかなめとみゆる関の戸やひらく扇の箱根なるらん
辺越方人
焼酎辺越方人
暁関
さしこむるきりの箱根の関の戸はまつふたこより明はなれ行
鎌倉
阿漕引網
ますめなら人のよろこふ所なり山はかりなるかまくらの里
曽札好兼
深川冨か聞にて
第一の富か閨へとつく船のへさきはきしにあたるこそみる
太神宮奉納百首哥の中に海眺望
鹿都部真顔
いての海やだい〳〵講に引鯛の目のしたちかくかすむ網舟
馬場金場
国府台の山寺にて
山寺に月まつほどの紅葉狩船若湯てもちと出よかし
粟成笑
雪の日品川東海寺にて
第一十一
○星霜のつもりし雪のしほらしく名も面白き沢庵が塚
品川東海寺沢庵和尚の塚をみ侍りて
足曳山丸
とつしり。とすはるお寺のかうの物けに沢庵のおもしろは塚
園村竹
都鳥
都鳥ところの人はかもめにてそれなりけりに先すみた川
江のしま富士見の楼にあそひて水際根〆にも
江のしまの波の中より富士ててあつさを夢になすや高殿
入谷松陰
入谷村といへる所の山荘にて入谷松陰
日も西に入谷の村のかねきけは雲の上野の山のちかさ上
山家
頭満麿
浮世をはさら〳〵すてしきれ珠数のくる人もなき山すまゐ哉
時
吹売咽人
よし原は闇のよつでに出ぬれとはや嘘をつぐるとり越
述懐
つふり光
母のちゝ父のすねこそ恋しけれひとりてくらふ事のならねば
加陪仲塗
老らくはねてもねられずひきてなき六日のあやめやぶれ三線
宿屋飯盛
世つたりの道にふたつの追分やたからの山に借銭のやま
彼女あ
もたぬゆへへらす口とは思へとも金かあるなら人にやりたき
常産ある
そのむかしつかへし足のたゝみすれ今にのこりてたこの入道
〆水無ニ下十六
紀迪法師
鬼のすむ嶋山まてもゆくものは宝ほしさの心なりけり
千秋万歳
花もはやふたゝひさかぬさくら炭なかはたちてはいけるかひなし
室早咲
物ことを柳にはかりしてゐれは風の自由にされる世中
馬屋まや輔
人参もはらにたるほとのむ時は河脇にまさりて跡そくるしき
四才赤良
世中はさてもせはしき酒のかんちろりのはかまきたりぬいたり
老述懐
伊勢阿波女輔
年よりて歯のかけたるは節分の豆の数くふむくひなるへし
石山月丸
目はかすみあしこしよはくなるみゝのあかほども世に思ひ出ぞなき
稀年成上ノ
立よりてみぬこそまさめかゝみ山年ふる顔の愛相づかしに
笄木有政
老か身は冬かれぬらしこのはさへ落てみもりのかみもこなれす
花江戸住
老の身は浮世に事をかく気のさきのみしかくなるそかなしき
老後述懐
おろかなる人はねもせておき巨燵浮世の楽をしらぬ湯たんほ
石川秀葩
歯かけて耳はき也す目ももす老てはちゑもさるか三匹
第二十七
寄巨燵述懐詩人久留壽
今ははや有たけ質も置巨燵かゝらう島のふらんたになし
三輪杉門
安否遂状
一盃のつかれる年はさすかまたしはのよりくる老のお手もと
松藤浪
鎗持述懐
わたつらにふり行年を口せしと今さういふもものかくたやり
箔屋述懐
すは子
金銀はうちのはしとも身代ののひぬはくやかぜはをやき味噌
奥手逃道
御城求一太
見物のくるわにおもかをひく女郎客の手まへもはつかしき哉
赤松日出成
瞽女述情
それ〳〵の色はわかねと瞽女の身のたゝうきめのみ見るそわひしき
二歩只九
後悔先にたゝすといふことを
あらためて孝をつてすも不孝なり大事の父母の肝やつふさん
天秤真地目
愈術者無気といふ事をて天秤真地目
剣術のこむ手なくてはならひしら十文字さへよめぬかなしさ
よたん坊酢町
是しらす
馬鹿ものゝ名にはたつともまゝのかかきゆへしつむ身をさらみし
ある人いたく酒の山をいさめて橘枝
けに酒は憂をはらふはゝきなれとはいてはちりにまさるきたなさ
古来稀世に
二日別
吐もとすくはれもやらぬあしたには臓豆腐にしくものそなさ
中和歌集巻第十三
雑歌下
紫笛法師能子
韓信股をくゝる画に
またくらをくゝりし人はいたゝきぬ金のかんむり玉のかんむり
加保茶元成
富士見西行の画に
世をすすてて身は墨染の西行もおふしさんにはすこしのりきよ
にゐよしはらの里丁子楼遊女唐琴とかやら
四才未三
かける松のゑに
からことの手にかさならす峯の松いつれのをよりかよふ神風
をさな子の手ならひはせて双紙に人のかたなとかき
飛鹿馬蹄
すさむを見て
打ものゝかつとつて手習子文字より首をかきいはえたり
ある人わかすかたをゑかきてたゝえことせよといふ
半掃菴也有
に
金岡か馬にならはし夜は出て萩の戸棚の餅やさかさん
遊女あつま
身はなには心はみやこ名はあつまのほりつめたる山本のさと
これは寛文の比難波津新町佐渡島とかやか
家の遊女あつまとく顔かたちはみしきのみか心さま
もゆうにやさしく糸竹の道にたてなりしををなし
き玉山本村に坂上与次右衛門といへるもの九軒町
井筒屋太郎右衛門かもとにてあひそめしより日
ことにかよひしをわらはべの口すさみに山本のよ次
右衛門を山崎与次兵衛といひかへて歌をつくり
第二十九
あづまうけ出せ山崎与次衛かけ出せ〳〵山崎与す
兵衛そつこでうけ出せ三百両とうたひしとやこの
与次右衛門かもとよりあつまかたちをゑかきて哥を
こひけるときかくはよみてつかはしけるとなん
年比思はれける人のかれ〳〵になりし時
傀儡子
うき草の葉もよも今は絶にけり池の氷のつみにかくして
あるもの世のいとなみのまつしきにたへかねて
孫なるむすめを新よし原のさとにゐてきて
うるとてふところ紫のはしつかたによんところ
なく孫にわかれさふらふにつきてとかきて
よみ人しらす
よきことにまたあふきやと聞かへはさきよし原とよろこひそする
あるしこのうたにめてゝ川竹ならぬよのつねの
しもをうなにめしつかひけるとなん
みちのくにの百姓何かし秋のおさめのみつきに
おこたりけれは冬になりてあかたの令の庭に
いましめられけるに雪ふりけれはまうしあぐへき
事ありとけいするに何そといへは声たからかに
よみ人しらす
田地弁納といひて
秋の田のかり田のあとをとかめられわるかしろ手に雪はふりつゝ
このうたにめてゝゆるされにけり
江戸にあそひける。大根はたけとかいつるところに
うかれめてふのものをみ侍りて吹上松風
才水雑六下二十
思ひきやわかふるさとのありまなる大根はたけにいもをほるとは
しはその末北風はけしき日浅草てらのうしろなる
田のかたはらにむしろきたるかたひのやめるとえて
うゝとうめくにあしとらすなとしてふところに
おさめし万金丹といへる塵とうてゝあたふるとて
四方赤々え
北風はけふはなふさそうえ人のむしもかふれりこもゝかふれり
すいふへき力なけれはいたつらに万金丹をくれてこそゆけ
六尺の袖こひするをみ侍りて梵道
六尺のさすか路銭につまりてはたゞ一寸もゆかれさまかな
雨のいのりとてたはふれに人々歌をよむつゐてに
飛塵馬蹄
夕立やふるきためしもありの穴つゝみをくづせ天の川水
股にねふとゝいふもの出来ていたくなやめるとき
水国
引もゑぬあしまのあやめねふとくて心のいたくうみわたるかな
涙落せし人の七夜ときゝて節蕈仲貫
流産のけふをこちやどきゝからに利あけとしたらなかれまいもの
はな血のたゝ出にいて来るをとくしあつかひ。九
なとしけれとやまさりけれはしかつへ真かほ
ゑりの毛を三本めいてやまさるはきのちりしたるはな血なるへし
ある医師武芸をたしなみける人と将棊の手合
しけるに
水行形
つはものゝ今こしらへの太刀先においしやも銀の七をなけけり
人の大文字かけるをみ侍りてたゝたる
一大文字をかましこの手はあへそけにも二王の気のいきほひ
橘大夫元承葺屋町の芝居やすみて堺町にて
五つ人形のわさをきしける時申つかはしける天明五の
四才赤色
としきさらきの比なりけり
大入をみつ人形やひな箱のふたゝひとなき一世一代
芝居のかほみせの日花道つらねに幕をおくりける人々
とをなしくよみてつかはしける
花道のつらねによもの夷うた東夷南蛮北狄西戎
をなし心を
つふり光
我等代々団十郎ひいきにて生国は飛の江戸のまん申
北里扇末広か柱かくしに東方か全馬門にかく
れんよりは北方の大門口に入にしかしと書て四方赤ら江
くれ竹のよき大門にさけさけん心やすくもおきふしみ町
むつきこる松葉楼の遊君瀬川のもとに亦らの
よめるえり蝕の哥上下のひざから河をかけはしひん
ます〳〵すゝむえるのしよくといへるを見侍りて
猿万里大夫
老日の朝から客をかけはじめます〳〵すゝむ松葉屋の職
似城
手柄岡持
梅干のかはをはるべののぼせにて色もてりそふもゝのこびたひ
四才赤良
小作城
菅こもの三ふにはおきやく七ふにはをのがねざうのわつき新遺
遊女夢
荏土方鈴
才水難八下廿二
新造のひとりねみゝに水あけの夢やむすひて目をさますらん
艶しらす一富士二郎
ひしらす
よし原ものほせるものか行ときにかく足もとのかろくあかるは
一節千材
かより神なけれとぬしをたのむ身は客をまろめてくれよとの文
深川なる土師極安のもとにて百物語のたはふれを
せんとて舟にのりて油堀といふ所にいるとてその
わたりに椀くらといへる所もあれは四方赤良
川舟もいりつく皿の油ほり鬼ひとくちに椀蔵のかた
清書此主
是しらす
世中の金と〽虱はわきものよわかふところのあたゝまるほと
狐嫁入
今こんとなくこんれいの長つゝみとほしそろへし馬の骨おり
美濃
菫庵退二
石垣町にて
口そゝく石垣町や川はたのなかれの君かひざをまくらに
門限面堂
ひしらす
朝かへり女房のきけんあしひきの山の神とておかまれぬかほ
七珍万宝
駕籠にのり侍りて
染物にあらねとわろきのりかけんかたもそろはぬ駕籠の棒組
木枕板木
新宅にゆきて
こぬかとてまねかるゝのを塩にしてしんたくあんへおしてこそゆけ
わか新宅に行燈と燭台をおくりける人によみて
つかはしける
酒上名真のり
ちうそくのなかれも水の縁なれはほんぼりうつる川の月かけ
女のともし火にむかひて人まち顔なる絵に
宿やめし盛
まつ宵はきゆるにちかきともし火も男になれとかきたてそする
草に蜻蛉の画に
算木有政
おもなかう秋の野つらののひ過た草のはなけにとさるとんぼり
文月いさよひ加陪仲なりのむこかねのもとにをの〳〵
前赤壁の賦のことはをわかちてうたよみけるとき
四方赤良
一滄海一粟の心を
むさしのゝ尾花のなみのまん中にをみなへしのみだつた一もと
何かしの別荘をたつねて
何かしの別荘をたつねて馬場金埒
かりそめの住居も夏をむねとしてみそおちほとの池もあるかな
桃光龍
蝸牛這笠
思ひたつ旅はいせちのかたつふり笠の上より津のみゆるかな
出しらす倉部行登
をよひなき事はかりにて蟷螂のをのかまゝにもほらぬ世中
人のもとに酒をおくるとて紀月兼
かきりなくのみほし給へ味酒のみな百薬の緋にきりまて
呉服屋夢といふことを片糸縫女
そろはんのたまにもよふす波まくら夢おとろかすはんとりの声
巣父許由のゑをみ侍りて井筒本住
もつれたるはなしをきくも物うしと耳たにあらふ瀧のしらす
雪の日富か関山本といへる茶店にて尻焼猿人
世をすてゝ山にゆく人山もとてまたうき時はどこへゆされ日
第三月丁月廿四日
才和歌集巻第十四
鶏体
短歌
ふるうたにくはへてたてまつれるなかうた
鹿都部真顔
ますかこみむかしはなしのなかりとはいかいたはけの
いゝてかはねほけのきみによりそひてねん〳〵ころく
ねもころに思ふ心をのはへましむかし〳〵に
ありきてふぢゝいは山に柴をかりばゝあは川に
せんたくしよみふるしたる跡なからなかるゝ棚の
はしからすすさにしあれは焼めしのめしにかへつゝ
かきのたり柿八年がそのあいだそくそう蟹や
かきのたね
狼のしりあからのうしのおやとへもしたきり峯
ちよつ〳〵とたつねゆきかひされ哥のある所には
ありのことない所にはなしのこと高き枝には
うくひすやひきゝ庭にはひきかへる心なきをも
よみ置しながしの下の骨折はしる人そしる
はゝあ汁腰折なから門番のくらける骨に
あふやとてたのむかたにはたれあらん日本一の
きみ団子きみかゑらみを花よりも団子〳〵と
詩くらしありける物を人つてにまたきまはれは
急とこなゑつとこなとてわすれけて後万歳にも
おともせすうちすてられし腹つゝみたぬきの舟の
すふ〳〵としつみはてしそかなしけれしかはあれとも
七ころひころひし犬も出あかけみぼう〳〵山の
ほうが灰まきちらしたることのはのわかとのさまの
お目にいり枯木に花やさかすらんはかりしられぬ
龍岡の千いろの底のみるふさのふさ〳〵しくも
も姫にやうしさしをやたのまれんこれを思へは
やまさるをのけたる亀のこうらくは枝に干たる
いきゝもの心をたかく世中の人にはくずの
松の木のうすらんなりといはるともゐろりの栗の
ゑみまけておそひくらさん何しかもかち〳〵山の
かちまけによしなき智をはりつゞらおもしかろしと
あらそはんとは思へともきしの歌けんどんぢゝの
心地して物うらやみの人まねに立ましりつゞ
豆いりのいりもむこゝろあはれともおもほしめさば
はなくそを玉とみなして玉手はこふたゝひゑらむ
うちにいれ中若集の哥屑のふくろ様とも
なすならは時をうさきの大てから鬼すむ島の
宝もの一度に得たる思ひにてかくれみのかさ
かくれしもうち出の槌のうちいてゝたはれたる名也
いちごさかへん
反三寸
哥ひとついれてくたされ桃太郎才蔵集のおとも申さん
日本橋を過るつ侍りて湯月米人
すくろくをふり出しみれはおしろにそ霞はかゝれ
日本はしまなく時なくゆきかへりみかへる田舎
みかへる田舎
ものまいりはる〳〵来なる一ツヽアはまことにめてたう
さふらひかもかたをならへて
ふく風もかしこき御代のいにしへを
あつき弓ふくろなからに星雲みたかさね〳〵も
おありかたさよ
反歌
何事と思ひのまゝに白妙のふしゆうのなき江戸の真中
雪の長うた
問屋酒船
空さふくちら〳〵落てくるみれは塩には似ても
かゝらくなし柳絮なとはからくさしちんふんかんき
つよけれとはなを枯木にさかするはふるきはなしの
爺か灰これは〳〵のよしの哥御命溝とも
みゆるかな芝居にあれは三角に切たるかみの
ふる反古狂言にくふ飯のことわたせる際の
わたせる橋の
白きには乞食のふしとあはれなりされとも犬は
主をふりてふりて積りて白かちの碁石とも又
みにやわたらん
反哥
囲碁なくて白地の雲の中手かやくろく鳥の飛わたるみゆ
旋頭歌
ことたらひたるとしのはしめに露都部真影
かけとりもわらへる春をむかへ得てくる時にこそ
あらぬ礼者にあふ心地すれ
渦本哥
ことたらぬとしのはいゝに
かけとりはいひわけまたぬ年のよそかし
○愛しらす野戸川法
ぼたもちは棚から落たその時の音の名そかし
四文
破衣をよめる一文字白根
むらさきもついやれつゝそをなの身の猶そつゝれやいつもささらん
はくうちの人をみ侍りて紀定丸
やと〳〵もたまにもとひぬはくちうちくはぬ日ともにまたもとや〳〵
才間長三十四下廿八
才和歌集巻第十五
釈教歌
人の障子をはるとて紙をつけと頼けれは甚久法師
一紙つげとたのむにへらもつかはれずごくつぶしなるつの身なれば
菫庵退二
寄舟釈教
水の出て難儀な時は舟後光たすけ給へとたのむみだ仏
齊馬雪
子育地蔵尊奉納の歌に
一錫杖もがら〳〵とこそみへにけれ子ぼんのう化のみてにふれば
達摩
四才赤良
九年酒のつまり肴の座禅豆外に本来一物もなし
三輪杉門
座禅せし達摩は九年山にゐて過去も未来もしりくまり出る
臍穴守禅師によみてつかはしける
四方赤良
咄臍の穴もり禅師物とはんそも三寸のしたは如何と
同断守同
返し
くすへき臍の穴もり見つけられ舌三寸のまうしわけなし
一日千首哥よみける中に如是体の心を
鹿都部真かほ
うけ得たる質の覚物にまかせつゝ身は夏冬のすかたとそなる
つふり光
不殺生戒
をのか身のあるとはしらてあさましや風くすりをはたにふるゝは
不偸盗戒
園坂蝶
垣こしになかむるとても香にめてぬしある梅の枝をたむるな
呉竹よちけ
不邪婬戒
人の妻をおかせる罪はまのあたりたゝらせ給ふわか山の神
紀宝丸
不妄語戒
おそろしや狩人よりもうそつきのから鉄砲をうてる罪との
不飲酒戒
四方赤良
はらわたをくたす薬そせんじやふつねのことくの生姜酒ても
天明六のとしふきや町桐座のかほみせ夜言に
白ます婆々と北条時改とのはやかはりの二役つとめ
し時芝居の三階にてよみ侍りける花道つらね
三がいをくるしといふもことはりや生死流転の早かはりして
才和歌集巻第十六
神祗歌
七福神
四方赤良
正直のかうへをあけてなかむれは七福神のいますがごとし
寄障子神祇一
寄障子神祇久寿根兼満
くらき身の内外のかみに願かけてあかり障子のたちしうれしさ
裏店神祇
小造千万里
から屋なる貧乏神は店ちんもみそか〳〵にはらひ給はす
ちはさくひきゝ家に神棚のありけるにともすれは
人のかしらうつに心つけんとこの哥をかきて
おし置ける
大屋裏住
ちよやふる神のまします棚なれはたゝ正直のかうへうつなよ
朱楽かん江
をなし心を
ちよやふる神にも店をかすなれは大やしろとそ人のいやなる
四方赤良
土一升金ふき町のたなちんも高まか原に神とゝまりします
千枝鼻元上
さい払によせて神祇の心を千枝鼻元上毛
はらひ給へはらはせ給へ神棚のすゝをきんじやうさいはらひにて
初午祭
丹青之丞
平生はほこらかしをくいなりてもけふ初午とかき出して行
暁さしくし
酒すこしすきやかざして初午の神もきがんに山わらふころ
神田祭みんとてよへより飯田町隅田中汲かもとに
四方赤らえ
あそひて
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
千早振神田まつりの宵なれはみなよをふかす強飯田まち
芝神明生姜市
すは子
あまてらす神の祭を生姜市人もあしあふ館の飯くら
かさをやみける時瘡守いなりの神にいのるとて
黒沢氏下男紋助
われは人の数ならねとも天か下にそのかさもりのちかひにもれんや
やかていえにけり
鹿都部真顔
社頭松
広前にふくりのみゆる松ありてとはねとしるき男やまかな
山道高彦
千年ふる小枝をきねとけへりなす松はうすめのみやしろのには
板両寄住
若松もいつしか年をふるやしろやれしのきよりの日おひとそなる
地図句武
落葉かくかけともつきぬめてたさはみとり金よしすみよしの松
一牛大神の社のもたはうに牛石といふ石をみて
真竹深藪
牛石も出てぬくとまれ天神の梅さく比の春の日なたに
伊勢に詣て侍りける時
つふり光
天てらす神の教の道すくに日本橋より百二十余里
名古屋玉屋町
尾張書肆東群堂製本目録
永樂屋東四郎
同上
従一至五
古事記傳初帙
本居大人著
都全五冊神寿後釈
示書名彩全二
全二冊
全五冊神寿後釈同上全二冊
従六
二帙
一帙
至十一
従六
全六冊
八冊古今遠鏡同上
古今遠鏡同上全六冊
全六冊古今遠鏡同上全六冊
三帙
従十二
至十七
同右
全七冊
源氏手枕
全七冊源氏手枕同右全一冊
従十八
四帙
至廿三
全六冊
天祖都城辨〻同右全一冊
従廿四至廿九
同五帙
全六冊
従三十五至四十
同七帙
全六冊
従三十二年三十四
同六帙
全五冊
玉くしけ同右全一冊
従四十一至一四十四
同八帙
全四冊
御僊行長歌同右全一冊
神代正語同右
全三冊
活語活用格
本居大人遺棄
田中道麻呂主輯
鈴木叔清先生補
全一冊
玉勝間初篇同右全三冊
同二篇同右全三冊
萬葉集略解于蔭六人著全三十冊
本居大人著
全一冊
地名字音転用例
初帙従一至五七冊
歴朝詔詞解同右全五冊
二帙従六至十一八冊
三帙従十二至十五八冊
四帙従十六至廿終七冊
同右
玉小櫛同右全九冊
同右
万我のひれ同右全一冊
石川五老六人著
全五冊
しみのすみか物語
全一冊
葛花
此書は当世のおもしろくおかしき俗談のうち
にて尤興あるをゑらみ其文龍は宇治拾遺物語
の雑文によりて絵入はなし初学作文の
和歌古今選
同右
近刻
助となる面白き書なり
俳諧歳時記
一著作堂先生著
全二冊
此書は俳諧のみに限らす詩歌連俳生用ゆすへて
遷宮物語
将門記
菊谷先生著
大須本
四時の諸祭神事仏会其古事等古書の
出所を持て当時のさままてこと〳〵く
記す此書一本を以て数百巻の用をなす也
和名抄
大須本
全一冊
全三冊
全一冊
全一冊
共三二
高須嘉兵衛