當家弓法集三議一統之大雙紙(題簽三議一統)
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- 伊勢貞丈校
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- 日本語
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狩仙台
三議一統上
3923
当家弓法集三議一統之大双紙
序
夫弓法と云者弘也法者度也是法を弘むるの心
なり是に当家之二学を置事は日幟に
於て執栖たるへき妹民者原平藤橘を始と
して公家武家四拾余家に流れたり就中
一人白王五十六代乃帝清和天皇惟江に第六の王子
貞純親王其御子六孫王経基より弓馬武の長は
として始る源氏の姓を給るより已来此家の
代々朝家に忠勤をいたし国家を治め黎民
を隣みしかのみならず悪魔を罪して朝恩
しきくに繁栄する然る所に申比左馬頭内大
臣義朝表世の時平の清盛入道世を取といへ共
終に廿余年に滅亡して直度深氏に天下を
古に返す故に源姓を指て当家と云所謂源
家かの弓法といとんか為也段は唐土に前漢書後
漢書といへるも其世を指也去は此道といふは神
遺王法を合て上下の差別同輩の終三綱五常
の娘をくたき鬣盲の耳目を明らかにし世間
おたやかなる時は東帯の法となし遅退応対
の躾を宗とし世間さはかしき時は軍旅の謀をな
して天運地利人和の行を以てす俗法条羅遊説
の二義のたゝすまひ三綱五常にはつるゝ事なし
三綱と云ハ君臣父子夫婦のみの綱也是可恐をおそれは
可新をしたしみ可恥をはつかしむる也是此道のはし
めならす也五常と云ハ仁義礼智信なり仁と云は
慈悲を専として心に情を先とす義といふは
善悪を正して賞罪を明にす礼と云は上中下の
品を分ち用捨を先とす智と云ハ礼記云中は忠也
是又中庸の徳をほむ君なす忠は不及申諸人に
正しきを忠とす孔子日智と云は朋友に正くつく
すを以智と云善に当るを以先とす信と云ハ真也人と
して信なき時は人に非す万能一位にはしかし
といふ事此信を以て先とす然るに文質相とゝの
おつても遊覧條羅のたゝすまひ骨つなくし
ては又叶ひかたし世上進退動静の旅の極る所を
荒苑院殿義満公昇殿御家御一族御家人の中に
其旨を悪記して進上水族ハ勧賞あるへきのよし
破仰いるといへとも厚学の輩なし或時此旨
一々に書記し追上可申趣今川左京大夫氏頼被仰
付る間公侯より伯子にくたるへき信并に小笠原丘
庫助長秀子男より公侯伯にいたるへき法を言上
有へきよしを御前におひて沙汰に合す證拠に
おいては代々のおきてにまかせ伊勢武蔵寺平湖忠
朝臣こゝろを一にして弓法の准機を書調へ
門を十二門に賦する事は天地は瑞王化神道の十二
形を表するなり是を繞して名て三議一統当
身弓法参と云し
当家弓法集三議一統之大刀紙目録
第一続為家門第七奏対門
第二法量門第八馬法門
第み騎射門第九蹴鞠門
第四歩射門第十余部門
第五供奉門第十一筆法門
第六宝仕門第十二実験門
第一続為御門
御当家の人々の立所之事義兼公の御下より別
れ出たる人々をは御一族と云也又御家人共云也御一族
といふは義家公の御下分りたる人々をもして可申
事小意也御家人ハ仁木細川の人々吉見明石の人々
山名里見等は新田方の御家へ也畠山岩松桃井吉良
今川御所志波の人々は又左馬頭殿義氏より分れたる
人之也渋川石橋一色上野石堂加子小俣等は平石殿
より分れたり人々也然る間各流ハ一也御料の御事は
宝暦にてわたらせ給ふ上御代をこされとく後ハ一天下
の人々之処御一族たれは源氏の士各家々を立る間
広く庶子其家の子かとも可申分事なし皆
御家にんなりされとも昌山桃井は一つ流れ吉良今
川越智の人々以下ハ一流れされは錦小路ハ吉良ハ
上野入道父子の契約として其例有之事其外
の面々は一流にて猶一家中にて立所銘々也その
かみ諸役を勤るもそれ〳〵に迫て可止得分也去建
武年中に先皇吉野御門御宇に御即位の始
つかた大将軍へ家人ハ誰〳〵候と従公官尋被下御
返答には吉良志波畠山等計なりとて御申有候
るその外はみな家の子と定らる是は平石殿
の御ゆつりの地をかたのとく家に相続の故に此
三家を指て一族とハ御申有ける御代被召て後
より天下に将軍家の御恩不給人なき間皆
孝の子也如斯可為心得に是を記す也又其時
御代を之召将軍家に於て流の高下不可有之
公家直存定れる儀也是を続為家と云公家
には執柄家の御子孫は神代に天児屋根尊天照大
神宮御在世の時より続来りぬと申那から星
極は太郎次郎三郎なとの流れ共に関白に成
給ひぬれは更に先弟の立所なし是則各家の
御世近衛殿は藤氏の惣領たる由家風の輩申
候なりされとも一条との二条殿九条殿なとは
用ひ給はぬなり公家には唯其時の宝位の次
弟を以上臈とも下臈共申也但家の公達とて
今少位の道有之閑院家華山院家中院家
等是三家也徳大寺殿洞院殿二条とのなとは
閑院家の流と云々三条殿坊門殿等御門殿以下
は源氏也又花山院孝共いふ也一条殿は中院孝は中院前
の人々也以上伯家の流と云々合て三家と号す
公達家とは執柄背の御子孫聞白には不成して果給へ
ひたると申也今は月の輪法性寺日野浦松勧
條寺四条この人々みな平家の輩也とそ二条の摂
政殿は被仰し左様の次に公卿殿上人諸大夫侍
なとの次第はいつれも時官仮に随る上臈共
下臈共云也士の家にハ宝位によらす何も侍也乍去
諸家の公家雲客亦は武家北面ともに次第に経上
る也士の家ハ生れ出るより六位成殿に花族をする
共に仰しなり是を以て諸家の災賤を知へき也
第二法量門
一弓を座席にて主人貴人惣前上たる方へ追る事
持参して出す時寒を越る迄は軽き様に鴨居
ニ不当程に持て出座に入候はゝ其儘上野に向ひ
右にて附下を取事外へ遠く八五寸近くは三寸取
下て持て渡す時取直したにて附の下を取本
蛸を右にて取請取人の右へ未踏をなして渡
是上の一方也中の方へハ直に向て外人遠くハ三寸
近くは二寸附の下を取候て弓の未硝を我左へなし
て木踏をそはより取かくして可渡也是中の方
也下輩へハ上野より立廻り下坐になして附の下
寸取下前のことく渡すべし是下の方也何も
左の膝をつき扨右をつき渡すなり
一同弓受取車上中六有て炎人上坐より被下には
一我左右の手を下手等なして請取也等輩の受取
よふは左を下手になし請取へし下輩の置
取残たを上手に取本紙ハ少立代すへし上手も不
廿五也
一弓を座席に置事二様有て張弓をは未甲酉戌
亥子の方に立也馳弓をは丑寅卯辰巳午の方に
立る也弓袋の弓をハ丑寅に立る事に定る也○天の
司に上る事東南と未謂に立る也西北ハ忌事なり
一馬上に五方の弓の事右より建る時ハ木踏の上
一尺を左にて取てくる打を右にて取馬の平頭
をほうらひより越て進る也二には左より近る
時鳥打をたにて取右にてせんたん巻を取て
平医に向てをる也三番に右の脇より近時
は附の上一尺計を左にて取右にて鳥打を持
右の御方を越えて近る也四にしたの脇より
進るハ弓の未踏を貰人の御たまとの方へ出し
こむやうにまいらなる也まいらせ給はうら絹の下
を右にて取本絹をたとくとりて市を五番
に四方津ま成たる所ならハ弓を御燈の唱こミ
に立てめさるゝ様に参る也
一軍陣にては外竹本硝を御前へ向へ向へよらす鑓
のはなに書文字可有之
一張弓に矢を添て可取渡事附より下を右にて
取木銷を左にて持矢尾を右にて弓に取添て
渡す時左へ取直し訴より四五寸下を持右にて
とに取添さて渡す時左へ取廻し跡より四五寸
下を持て右にて本語を持渡すへし矢をは右の
脇にかひ込て羽を後へなして持扨渡す時振返し
左の手にて袖摺の節を取矢尾を右にて
持て取渡すべし○同請取やう常のことく
に受取たに持矢を射付の節の本を片手
にとく上手に取なり〇同亦張弓に失を添て
渡す請取事座敷とはこと矢を取揃て
本所につき揃常のとくに渡すへし受取事ハ
其儘受取矢を中程へこき上手の内にて弓は
弓矢ハ矢と取分退申いらすへきなり
一弓に箙を副テ渡事弓を右に持捲より下を上へ
なして持左に箙をは左に持肩に羽のさはらぬ
ほとに持て弓を渡す時には箙を持たる手の中
指仕候名の指先に本詣を横へかへ置向て渡すへし上申
下常のとく也扨箙を渡す時ハ右の手を廻して
引廻し失刺の面に成るやうにわたすへし打手
目縄すれは渡手は手をつきて引れかしらになく
帰るへしうけ緒掛緒は留る事も有へし○
同又弓と箙を渡す事弓を右にかつき箙を左
にかつく也扨弓箙置様八弓を厄に箙を右に
おく也但座敷の体に依て振舞すへしゆゑ
も堅しきに依へし大形右たるへし○同市
請取事指寄て先弓を常のそく受取て取廻し
右にかつき箙をは左にて受取可目かたに抱へて
其儘たにかゝへて弓の本詣にて自己の礼して
立へし○弓箙置様弓を左に箙を右に置事も
有之又押揃て御座に置事も有○弓履御目に
懸る事常のとく持て出箙を貴人の左に乗て弓を
取直し常のことく見せ申木蛸を貴人の御方へなして
箙のそはへよせて置事も有之又御目に掛て後に
御左へ返り又渡す様に左の手を廻して腹を少し遠く
無く弓を近くて置立帰る時手をつき立へし
一馳弓請取渡の事前竹を上になし張弓の心に受取
渡すへし引出物の時ハ弦所助添る也口伝也○弓を人
に出し候に両様の躾有之白木ならハ古く共訴
をときて遣すへし拵弓ならは新敷共討を巻
て可出也戸伝
一弓剣の請取渡し様之事二品有之箙のことく
弓を左に持剱は右たるへし取渡ハ箙進て
可用也但御伝の常の釼をは右にからへ弓をは左
に持て行弓を左に置靭を先渡し左に立た
馬弓を常のことく渡すへし又こ輩へは釼と
弓をあひもすかさす渡て帰にへし
一勤斗取渡す事緒を常のことく右の指には
さみたりて腰草を抱へ失賤を見せて後也
口鳴○勤斗請取事以前のことく緒を左の指
にからみ腰草の窓を抱て目貫して立し
一御弓可能事筈を主人へ向て不可張又我身
を主へ向てはれは当る也若其件の柱に透
な〳〵は立てかけより張て持参すへし張てハ弦
打を寄へからすす引三度するこしして内へ弦を
廻して未詣より本詣迄見下して進上可申也追而
時は弦を上なして弓手へ進る也
一弦打け事我弓ならハする事も有之天魔地魔
人魔と三すへし二ツ近く重ねて三めをハ程をあへ
らせてすへし亦軍陣にては一して間を置て
二つつゝけてせよ亦用心には四二とする様も有之
神前にてハ七五三とする也祈祷の時も物の怪を除
く時も如斯すべし産屋の弦打の事数張陽の
督有口伝
一尻篭の名所事又可刺次第始メハ内向也扨何も
外向也さかりの方へ捻返し光矢を手懸に刺鏑
矢をは表に刺十六は四五と刺上帯は鷹をつなく
様もしくさり貝足の草摺の間に入て拵なり
一弓をみるやう先にかく斟酌すへしかたく見よと
あらは常のことく受取てそのまこふしを
内へまはして外のそはきをみるに失すり鳥打未
踏まて見きはめそのまゝ右へ取こつしてこれも弦
を内えして内の焼は木を失すり引目たゝきせん
たんまきまて見ほめてさしく其儘取下て渡すべし
口伝○矢を見る事請取ておつとりのふしを石にて
取すけふしを左にて取先やう羽のかたを見るに
手本より羽なかの筈のつくり様まてみてふしかけく
つまきうらはは惣して漆の付たる上手を付へりす
羽にもあたるへからす神頭にも手を付すはつど羽
との付やうをみるへき也内へ捻て返して弓すり風
きりの羽をは一度にみへしそれよりあさまき迄見
きはめて誉る也まつたくつまより事有へからす
惣して弓と失みるは大事也
一失津田よる事内へ捻るハ所望の心外へ捻るハそしる
こゝろ也何もつまよるへからす口伝の弓の順逆の
事使の時出座の時弓又主人の弓は右に持へし
御伝の弓と矢の批判の事かるきと誉むへからす内
弓一力といふにならひ有也若は御力よりはかろ〳〵
御座候なとゝはいふ事も有へし大形是に准す
一御出之時弓の未踏を外にして上六寸を右に時
弓を上る事天を写申故也若貴人跡御坐候時
平庭中の門のきわまては未硝をあとになし弓
をあふのせて持門の際にてとり直し前
か如く持出し惣門の外まて右のかたにかつき
もとはすのきはに大ゆひ人さし指を弦の間に挟みて
中指小指薬指をもつてもとはすを取かへ
し弦を外にしてかつくへし他人に向ては左の
手に移して上六寸を取て弦をお〳〵になし
て持参いし右ノ膝を右の手にておさへ貴
人馬を立られは馬より右の方に寄て前の如くつ
くはひて礼をすへし貴人を内へ入申弓を直し
大指を内へなして弓をうつふせて平庭中門の
内へ入べしかへる時弓を持事外を下へなし弦を
上へあくへし外ハ陰也内ハ陽也惣門の外迄前のこと
とくつくはふへし故に弓の外を上下共に外に
向事は定れる法なり
一弓と太刀とを一度に渡す事弓をは右に太刀を
は左に持て出先弓を右に置弓を渡し扨太刀を
取直して目縄あらハ一礼して帰るへし
一弓をて渡事右のふ輩へは附より三寸下又等輩へは
二寸下輩へは壱寸也左の手上輩へは手のひら等輩は
本龍下輩へはせんたんす也
一弓を出す時白木ならハ左とも訴ふて有こしらへ
弓ならは新とも附あるいし
一弓請取の只中下の品同前たるへし条々有御伝
一弓と書状之事先弓を我右に置て書状をさしけ
其後弓を奏者にも又人により直にも近上申な
に口伝
一小袖の渡請取事袖を持て出其場にて返して
可渡也〇小袖受取事雖有両様使の時ならハ引さはし
て可請取自身得たらは其侭可請取費人給ひ候はい
たゝきと置へし○小袖と奢を渡事如常打て太刀
をはかせたる様に可出也請け事は如前また解なとに
すへても出也扇ならはかなめを左に成る様に持也小袖
をは四に折て置也四とは二に折て有を又二ツに折事なり
袖を内へ折篭て折かけて置也又広生宜にすへすして
唯持て出小袖を先渡シ其後大刀を渡事もありしむ
〳〵おゝし○小袖を渡受取事袖を入たるをは返し
かへしたるを入るなり
一太刀折紙を出す事入旁と使者の大方同藤也入太刀
那しは右の中指に折紙の折目をはさみ太刀のみね
あひに人さし指をかけ一文字に持て出左にて折紙
を引分れは必字なは人の前になるへし扨太刀をはんに
はかする様に折紙をは目貫の下に置て左右下手に
成る様に可渡也相手請取ハ一礼して可帰口伝多し
一同詰取掠の事さし寄先折紙を右にて取其手
にて太刀の足間をなて下すやうにして取直し
一右を着て沸へし一孔出しハ目礼すへし
一太刀折紙を奏肴する事太刀折帋を受取て御前
に出太刀を右にたて折紙をそとひろけ掛御目太刀
の甲金をあけて目貫下に置へし風の用心也入
よとおらはとりよせかせ入へし品多し
一太刀打帋奏者に渡候事下に不置る其侭渡し
又受取へし○大きなる太刀ならは右に引下て出勝
にのせ先折帋をみせ申披露は大略同前なり
○書状と太刀の使者ならは太刀を右によき程に
置てさし寄口上を云て扨状をさらけて帰て太
刀を取自身なしハ上の渡様奏者ならハ常のこと
〳〵渡して先ゑんへ下ておの〳〵一礼有へし
其時かた〳〵御諚ならはさいを越て御返答を
まつけり茶酒以下の礼品なるへし口伝
一使者にて太刀をまいらする時は豆間へ右の手を入て
取渡し返して帰るへし〇主人より御奏給事尤
右の手にて取いたゝき右の手にて足間を取左へ帰るへし
仕合多有之〇入部の時太刀を進上の事常のことく
なれ共太刀のつかをめさるゝ様に其儘可参也軍陣に
てくの太刀も大かた入部の時の如ししな有
鷹師に太刀出事太刀をなひけて立て立て身を少ひらき太
刀をみせそのまゝ召仕たる者に渡すへし品によるへし品によるへし品によるへし
一屋渡往移の太刀は棟をきらぬやうにいたすやし棟を十
一文字に出すハ切心也棟のなりに出歩也又大工なとには
中にてわたすへし但太刀を立へからす酌も棟をきるへ
からす馬庭乗庖丁の時も此心得たるへし
一主人へ客来之時太刀を持出て遣はす事酌の後へより
そふて小太刀ならは左の手をおさへてさし出しつかはせ
申へて候気色によりて其儘我つかふ事も有へし
条之御伝多○大太刀ならは左に持て出主人の御後より
そひて仕せ可申候若所な〳〵は邨に打添て渡申もひ
か事にあらす主へつかひ給はゝ手をそへて仕せ申へく
弐両やら有
一主人に文を渡し申事右にて文のもとを取字
かしらを我方へ成やうに取向て左の手のひら
に至て遂候上上七申候名学を表になして進上
申尽く候上中下あり上書の上を取んかとき主
也夫を御覧有て次に入よと仰あらは御前に火有
時ハ不及是無之火候ハゝ則御前にて引さき持て立火に
入へし御前に火なき時の儀也〇主人への文を
我名を当所に得る事有内見して右に持て参
へし隠密ならハ懐中して折柔すへし御前
にてしか〳〵披露して後文をもとのことく
巻て退出すへし又披露状なとをハさやうに直
からす
〇一文箱なから進上申事左右の手からく持御前にて
ひさつきて申上まし持て出さまに文箱の緒を
とく事も有又封なと付候はゝ御前にて伺申御意
により共討を切蓋を取事も有何も様子により
へし文箱の上下ハ入す但蒔絵あらハ上下有之
○太刀に添たる文箱をは先太刀を下になき文箱を
さゝけ扨太刀を進る也太刀なくは申へき事を申
右をつき左とく渡し申へきなり
一主人へ物を申事努々御顔を見る事有へからす左右は
の手をつきいかにも謹而御膝を守らく市得御意也左の膝
をまほつて申うけたまはるへき也但賞翫の人ならは左
のひたゝれ袖をみへし本輩ならは顔をみへし◯隠密
の事を申うけたまはるには主人の右の御方へ寄我又右耳にて
御意を聞へし左右定しすへの遠き方にさし寄て近
驚きなり○主人に歌の題を進上申には其儘あそはす
やうに字かしらを我方へなして進上申なり
一母衣をかけて主へに物を申には我左の方のあとのしほ
ての通りに御馬の鼻を置やう申うけたまはるへき也
母花をすゝめたらは左の手をとくへし馬を返す時しも少過
にて左へ通るへし是をもかいかしら也
一馬上の言上は裸羅遊覧をきらはす同前たるへし条々
御伝○本輩ならは右の方へ打よけていひかはして右へ
馬を打へし条々御伝多有之
〇一硯料紙を進上申には硯を左に料紙を右に持人の
前にあゆみ向て左に料紙を右に持人の前に歩め
向て左に料紙を置右に硯を置て帰るへき也○軍
陣にては硯を石に紙を左に持て人の左へ硯をみと右
に料紙を置へし
一硯箱をかけより持て出るには御前に置時そと盛を開
き硯の上下をみておしむけて帰るへし同床ならは
廿昼を取みへからす崩給あらはその上下しれる也〇草
貴人へ参る事扇にすへて進る也軸の方をかなめの方
へなし持参申へく候左へかなめを取まはし右にて
殿をため左のつまさきをはぬれは軸あかりてめさるゝに
よし
一扇に物をすへて出すには自らに居へしかなめの方を
人の右の方へ成るやうにわたすへき也○板の物をものに
すへて出すにに人のかたへ切目をなしてわたすへきなり
○扇の事かねしめを下手にして少しなをやかに左の
手のひとにかなめの方のきりめにあてゝ心をる也同輩
はかたふけ渡すなり左の手をいたすへからす
一太刀と板物なしは先分を右の方に置板物を右にて
持切目を下手にかゝへ人の左をたか〳〵渡して人の取直す
間に太刀を取わたすへき也〇時により小袖を扇にすへ又
料紙にもすへ出すへし其時は四ツに打て居なり
一主人に直垂をめさするに大口をまいらせて後直垂
をまいらする也先御はかまを召され足をあゆみ込せ
申ひたゝれを後よりめさする也腰をおつるにはすく
に立せ申て大くひさきを後のぼんのくびにあつるやう
にあてゝ腰を引まはし両方のひだを二ツ宛折て
腰のはしを内へ折おもてうちならは大口の上へ帯
の出ぬやうに折のる也後腰をあつる時は少しそら
せ申心をする也後腰のとほかへそとなてくたす
やうにすへし○御恵ぼしの本結の事先水付候はぬ
柿を御ひたりよりつかひ初て五くしめに水をつけ
結おさめて後に柿のみねもとひにも鬢にもおつへ
からす調伏のくし也辛わ前はひんひねるへからす四十
以後はひねるへし条々御伝
一御腰物之役の事御装束の間は刃を下へしておびかね
を内にしてくりかたの間を持御扇をはしめてたゝうを
まて取そろへて奉り其のち刀の刃を上にしてさゝけ
御手かけらるゝといなやに捻返して其儘さゝけ申へ候
〇同人前ならす風呂湯なとの時は御帯を左の肩に
かけ右にさやを取左の肩にあひくちのあたるほとに
持是もかうかいさしを見せて棒也御さしある時又ひね
にかえして右を上たしてさゝせ申へく候
一主人の御前に太刀を持参する事御はきある時置定
て常とうを左にて太刀のつりを下手にかゝへ右にて
とき其手にて足間を持御腰に付様にさし上
はかせ申候
一軍陣にて座中の国は扇子に唯すへし馬上にて
は鮫に准すへき也
一たう紙は打帋のこと〳〵折目を御前へ向て進る也
切目をも其まゝ上申候也子細あり○小刀はつかを下にして
刃を人の左へあて物を右にてもちつかかしらを左にて
からへ進る也等輩は出ふきの如〳〵又はを内へ我方になし
て進るからも有り木輩は片手なり
一畳たる刀を時により人に出す事あらいさしなから
下緒をさやにかゐからみ右の手にて左の方へ太刀
を出すことく渡すなり小刀指を上になす也仕合にも
よるへし
一刀を御目にか〳〵の事刀を左にて孝左へ居向てそと
あゐさつの間に抜こほしてからがいの方を上になして
下緒を右にてさやに取そへて人の右へすちかへてつか
を出してとうする那利
一刀見物こゝ事取て先さし表をみるにおひかねゟ
柄かしら小尻まて見極て捻返してはむきを鞘
しりよりつかかしら色見物右にて立て下緒を見
物下しほらびすへし若ときたる物にてぬいて
見よとあらは一礼して刃のあたらぬやるにみねに
つけてぬきみへし鞘からぬく事三寸五寸間敷
へし若ことく〳〵見与とあらは其晴ぬきて先老
へ居置きさし面をみれはみねか人の方へ成るなり
又右の膝を立かへ居向てみれハ又人の方へみね成るへし刀
はいかにもやはらかにぬ〳〵へし○ぬき刀に向てものいふへ
からす少居直りて申一し〇ぬき太刀御目にかくる事
てとへは左にて甲金を抱物をつよく持右にて目貫より
はしを持て人の左の方へ刃のなりしかも切先のなひく
やうに渡すれり
一長刀懸る事右にて柄を取さやをさきになして太刀の
ことく持参可し若人の左へよりて立つし御目にかくる時
は其まゝ右へ参へし又かつきて出そのまゝ柄を右に近る事
もあり両条御伝
一一長具足はいつれも右へ柄のなるやうに懸る也芝居座
きちかふ也
一御ひたゝれめしぬかせ申又めしかゆる時の事御すはらの袖
を上になしほそを我方へはくひを手先にして袖は上へ成
之ころは内へ成やうにかけて持へし御はかまを添て持
せられは下に置し上には素袍を逐へきなり条々口
てん
一ものを申候ときは持たる役のほと有て不可申候とも
余所むひて申へきなり
一御旗竿出入之事出る時ハせ事口を外へ入る時ハ本を内
なすへし
一御旗竿を御はゝさしにすゝむる事弓の末蛸と御旗のせみ
口に准へし口伝惣して武具こと〳〵旗竿に准して
本絹を内へ向けてかけへし出入も同前也
一軍陣にて母衣をかけ矢を負たらは弓を持て出る也○
弓を持て御前に参御酒給る事すねめてを取かふとを
もたせて鉢巻にて罷出御坐にて弓を左のわきにはさ
之弦の間より右の手をぬき出し御盃取左右またあ
とへしりそかなして給て射向の袖を御目にかくるやうに
罷出へし母衣を着したらは左の手を解へし座を
立てもとのことく弓をも持へし口伝
一大将の御前にて御旗竿の向を通る事手を着へからす
勝つくつからす手をは膝に納て腰はかりかゝめてゐるへし
一大将に物具きせ申事第一にはいたてけしやらはかま
第二ニこてひたゝれ第三わきたて第四に鎧第五腹上
帯第六に腰当第七に梨子打なり〇惣して武具を
きせ申様何方にても大将を敵の方へ向申少も御足うし
ちへふませ申さぬやしに間をくとく置てかいしや
了申へく候以篭手よりはしめて左より参らする也
上帯の後にとめをは合する也〇御かふ哉の役人御甲をか
いとつて左の手のひらにすへひちにてもたせ問肩に打かくる
やうに持へし敵の方へ向やうに持事しつけ也〇御弓
の役人も可有之条々口伝
一御輿の内へ太刀まいらす事御こし積りの後めしなをりた
候ハ御太刀を右の手にて足間を取左にて甲金を取坐
庫にて人に進ることく御輿の左の方へ申いりて長柄の外
よりまいらする也御輿の前を通るへからす長柄の内へも入へ
からす御輿の後よりまいりて進る也
一御腰物をは御こしの左へさし寄て右の手にてさやの中ほとを
取左の手にてつかかしらをかゝへみねを上へして是も長
柄の外よりまいらすへき也
〇一鑑を進る事委向むことくに持参すへし御前にて取直
し押そろへ御左右に常に御ふみあるやらにおく也押土路
へ左へはとむねのむかふやうにもよし○御修を座席
に置事はとむねを合せならぬやうにおくへし口伝の鞍
鑑一度に出時は客人のかたに我時のことく出へしてをは前
輪に手を添るはしてもよし又獣添なるくらならは
鞍の中へ出しはさむやうに出へし品あり○鞍をうてに
かくるには左の方にか遣へし〇鞍橋は二俵あり白橋をは
藤崎のかたを我かたへ向たろ輪を外へなして我左の肩
にかけて出常に免すなりにおくへし又包て同前
ぬりたるくら出さの前輪を外へして持参へし後輪を
一わか方へして前翰に左の手を掛け後輪を右の手
をかけし両手にてかく持出御落にて取直しこれも
召すなりに左の方におく也品あるへし白くらなり御前
遠く置くなり鞍を引出物に出すもかくの如し
又しりかいをそへたるてならは露中へなしはさむ
やうにしても進る也
一出陣に馬しさり口葉へからす同引馬あとへしさら
す扨からす
一貴人ハ御盃を包めてめさるゝ也下輩ハ左をも添る
也○召出しの御酒を御酌にて給事主人の気色を見
てはや〳〵自己の神シをつとめて庵を立足はやに
あゆみ右のひさおなし程にふせ様にたに手にて
盃をとり已前の右の手遣かけさて左の手をかけ
さまにきひすを右の上へ重さそくたて
こたへ盃をさゝけて給也若かさねて下されは
のみくはふへし盃をはたの手の内かたふけて
したら膝を形をして匂ひ奉りてさし置いつ方を
寄場のよき方へくるへし座に輿るへし
一めし出之時主へ御声ならハ両のひさをつき両手にて酒
をうけそのゝち左の手を突右にて盃を持少うしろへ
三度しさるやうにして両の手にてのみて下を少残し
て口のあとをすゝく也おの〳〵のみて後つぎ砂申たる
一人御断の左の方へさし寄てていへし御酌の御前を罷
通やうに有へし〇常の人の酌とくのし出給事左の
ひさをつきて呑なり賞翫かふ王をはいたゝきて高く
かまへて呑へし本輩をはいたゝきてひきくのむへし
組口をつけてものむへし口時〇女のさつきに口をつけ
てのむへからすいたゝきとくはかりのむへき也○盃をまい
らする事故取心得て賞翫の人ならハ左におく也常
のべには中ほとにおくへし○鬼のみの事主人にむかひ
申てのむへきなり
一銚子を渡す事なかゑのほらの下を石つきに手を添
る也本輩下輩へはその人の心得たるへし○銚子鶏取
渡事上申下品有り条之口伝〇砂を取積も上中下
に取くみて三足しざりてをるは上也次は二足又はそのまゝ
も有へし酒をくみて加るも上中下の品あり
てうしさかつき持添事三ヶ条有り貴人きこしめ
すハ銚子より高く同輩ならハ同し通りに持也
又下輩の盃ならは銚子よりさせて持也
一祝言之時之酌之事常には座上向て帰也祝言の時は
塵上向て行下候へ向て帰り逢へし又かの間も
結ふ也むすひやう品有口伝
色米
一つき形の役人は主人水酌の時ハ御一族の役也たゝの時の
酌は若き人の役也長座敷又乱酒之時はあまり物
遠なるはしつけにあらす
一つつき声も又請取渡すへし賞翫の方へハ右の膝を
付左にて口め木のつるを取右にててうしろのつるの
もとを取へしいつれも〳〵下手に取てつるの中をとら
せ申へし又おなしほとの方へは口の元のつるを右かね
にてとりなをし左の手をおさへて渡す也
一提子受取事賞翫の人としてハ左を付右の手にて
下手にかまへしはら〳〵立代して下手につるを取て
取直し左の手をはうしろにかくる也酌もつき声もつき声も
軍陣にて別なり
一盃のおもひさしけ事我勢の時はのみあけて銚子に
かまはすして台をハ左に盃をハ右に持て立州す
る人より上へ本座へ持参かへつて銚子を請取今
てまいらすへきなりのむ人はその盃を下座へさかり
上坐に酌を置てのまんとすへし酌は下座より上野へ
盃を置くまんとすへし貴人等輩によりへし
一はうのもの呑つき事下輩にあらす下入を取には及は
すしつけにあらす候へといへともたゝ逢者の役也
左の膝をつき右にて取上酒十分はらは左の大指を
つき同方の膝をつきてこほれぬ程にのみてかへるへし
こほるゝほとなくは少のむへしはかりにて帰るへしもし御
意あしは両のひさをつきめし出しの如〳〵給るへき也
一座席出入之事亭主貴人なしハ綱の礼右にてなけ
しをおきへえんへあかり柱をよけてつくはふ一し
座敷主居の方を左になして持事定れる法
なり座に入る時は左右をおさへてえんの程有へし
是奏者に対して也怠り主求輩ならはえんなけし
に手をつくへからず又野に入る時はさいのきは
一尺のけてつま先を立へしさいを越すよな候持通
かをふむ事きらふ事有にりさゐをこす事左を
こすは又常也敷居を呼むさいの上塁のへく
を踏へからす
一幕打事串なり外に打へし軍陣用心の時ハ串ゟ
内に打へし何方打とも左の方より打はしむるなり
紋を外へなし寿へし条々口伝の幕串の事左右かる
長さ二丈八尺の内へ打へし口伝
一幕をはたに常のことく打て右をは前のむすひに引返し
それをもわなにして左のことく悪し軒際にては
角をおらせて打芝居にてはす〳〵にも打へし○幕
出入候事肴夏は左へよりて出入せす秋冬は右へより
出入せす又飯の下を出入せす又紋の下を出入せす急用
ならは左にてちゝみを取やうに三気み巻上右手
にて押へて用を弁すへし内へ入用所あらは右の
手をつき左にてまくを外へなけこし入用所を弁
帰る時は少はしめの場をかへて帰るへし但出る時
は少はしめの場をかへて帰るへし但出る時は両の
手にて三軒外へ折るへして後へこして出へし○
幕の事吉事には右を用へし凶事には左を用
へし○月見なとには陰の手先より可用是月をおし
むえ義也花見にハ陽の手先を用へし香をはす
儀也いつれも手先を出入すへし○知耳入には陰の
手先を用へし幕を内へ巻て出入すへき歟嫁
入には陽の手先を用ゆ幕を外へ巻上て出入へきか
〇中陰には柱きいを左にして出入すへしかりそめの
にも真中ほとを出入すへからす○幕の物見より内にても外
にても目をあわせ狂言にてもいふへからす也
一厩の事何間にてもあれ口の本を一の厩と言也○厩見物之事
侍所の下な遣しをおさへて右にては右の膝をおそへ口
よりも見始て中ほとまてみて扨ほむへしおくへ目を
つかふへからす次番衆畳より下請せは一礼しておく迄
とをらす中の間のわきに前のとくつくはふへし其
時おくをもみへし
一馬をみる事上よりすそへ迄からすすそより上へ走
し帰はに侍へ目をつかふへし是はほうひのしるしなり
一城の名の事味方の城をは要害と云敵のをハ破といふ也子細
有
一御長刀を刀者に渡す事せはき所ならハ地に立てつは
の下を片手にてもては御刀者つる〳〵とはひより石突
のもとに手をかけ請取也長刀を持て刀の肩にうち
懸かえるといふ説も有り
一路次の礼の事貴人をは我か右を通し申へし等輩
をは左を通すへき也○開口と申は卅られにて人よりさき
に物を申出す事也是緩怠也一礼をなして申へく
候けり閉口とは口をとちて物を申さぬを言也是日
にあらつ物によつて此心得尤也
一妻戸蔀の間の礼の事御坐へ参時唐戸の間のふさ
かる時はしとみを通るとも礼有へし手をつき見上て
伺公するにかたく参れとのた申はら其後扇を置参
与へし故は其身の代也子細有之
一かかしをとほして参る事右の手にらく持参主人の
御方へ一足を向て置へき也
一蝋燭ちやうちん持参之事右成るへし用心の時は
左に持たは仕付也○火さきをとる事左にて台をお
さへ右手とく蝋燭をぬきて左の手つしてさき
はさみ切てしはじく持てらくそくの火を
見定てよくともして水に入へし扨右へこつして
左にて其屋をかえてさすなく燭剪なくは竹
小刀にてもとかへし同朋之役也去なから時により
侍も取へき也〇燭臺二ツあるときハ上座なるをハ豆
を下へ向下座のを有上座へ一足を向てたてへし
是は能躾也
一香炉の灰之事偏前亡者なとの前の香炉をは
逆にをし内へ申はすへし常の時の香炉の灰をは
順に押て外へ申はすへし押やう故かたや蝶かたと
て押やう口伝有ふとき筋を間に立へきなり
一座に香炉を置事一足を座敷へ向也仏神の前にては
一一足を御むかふへなしてよし
一ちやうはうの香炉は下琴一豆をなすへし○かさり物
はしよ〳〵より客居通へし引物は是に准す奉り扨ハ
しよくより主居を返へし物申事もこれに准す両
一条は庭上へ通る時の仕付なり
一火鉢の事是も出家客来之時は未座へ一足向へし
一俗客人の時にて一足を上座へすへし○金輪の足は二疋
を賞翫の方一向へし貴人の方へ足を助事はみくるしけ
れはなり○火はしの事御座定かく宝仕のはしり
まいる時はいろりはこの小ふちよかけてお〳〵也はかまな
とのかゝらぬやうにおくへき也是は相伴の役也
一主人と碁をまいる事重るは白石を貴人へまいらすへし
夜は黒石をまからすき也双六同事也但主人の御意味方
なり〇土石盤の寸法の事大内の御物は竪目一寸横目八
分厚サ四寸五分足三寸五分也以上高さ八寸也武家方に
ては左て目八分よこめ七分厚さ四寸二分足二寸八分以上七
すなり
一御前にて飯治へき躾之事左の膝をつきて召出しのこと
く居直りて賞翫の座なりとも御膳参候はゝしかと居へし
飯くふて後はひさを立て尤なり食の喰様第一五水の
箸ト箸に五つ躾あるよし有之先飯を三はしくひ其
後汁又其のゝち飯其次あへませ成へしかへませなく八時の
賞翫の菜なと又酢の物をいふへし但初汁を汁とつゝを
菜を藁とつゝけくふへからす間に飯を一はしいゝませ給ふ
へし中の汁あらハ追膳の汁くふへからす又ひや汁は鰭取時計
一或て其後吸へからす食にかけてくふへき汁なり
一あけやうは先さきにしほを出けて飯を三箸くひ大け
一はし計をすはすして内の中にり右の頭の左の前より内の
中よて菜をくひとむへし飯をくひ向の中より左の頃右の中
さて二の膳の中もりにて喰留へし又食を三着くひ追漿が
中盛右頭より左の中扨本膳の手木にてくひふさめ冷け
あらは手をかけてくふへし一へんのくひやうかくのそし
半分の時三ツ膳上の左の頭にはしそへ飯に手をつれて右
の頭の菜を喰其後三の膳に手を津馬事なし扨引物
は三のせんの後にいふへき也精進の菜をそこつに手を付へ
からさる也○食に躾物のけをかけてくふ事は比興也冷け
を最前にかけてくひ其後はくはさる也○引物の魚は西を
らふへし打かへしてくくふへからす并に鮎の魚喰事可ひれ
のもとを打かへして可置也
一御わけを下さるゝ事あらは御台なから先いたしき少しざりて
御窓にてめし出けたる下を少左の手に出きて給り其後いか様に
にもあるへし菓子等もかくの如く御膳ならハあけて結へし
遁者は我食を折敷に打おけて御わけを入て扨御す
めりをこと〳〵く給へし侍のくふは監し
一御吸物いふ事先右にて箸のもとを取其手にて肴を持上
てそのまゝ汁をすひ其後左へ取うつし箸を直してくふへし
暑をおさむるにハに打敷のふちへ出し入へし又肴取かゆる時ハ左
にてわしを持てかま也器をはすみちかへにかけて本置へし
一餅くふ事手にて喰へし○餅ならは二ツにわりてくふへし
器にてくふへき餅ならはさして三口ツゝくふへし歯のおとの月
輪のなりにあれは見てしけれはなり
一前飯といふハ小豆の添たるを云也白きを強飯也右にはしを
持左手にて喰へし汁と菜とはかり箸にてはさみいふへき也
一粥にけかけてくふへからす若宿老なとはさやうにもおるへし
一学へからす〇げつり物をいふ事は打敷のすみをおさへはし持
なから取ていふへき也○献之のさかる取かゆる事は箸なからすへ
替へし
一怠止之事かん有へし生飯を取へしさはのかんある事も有
生飯已下口鳴
一饅頭をつゝみたるならバ左にて椀をかゝへ器持手にてつ
み切さはに一ツとり扨左にてまんちうのひらの方を表になし
て三口ツゝらふへしあんのこほれぬやうに喰返し若こほれば
器にてしたゝむるやうにしてくふへし口伝〇三まんちらに口
てんあり○まんちうのさんは入は通を止しからみに先
こせうあんにんさんしやう也口伝
一むし麺は小四を左にて左へよせて右の角に小打散をうけへ
し等そみ粉の入やう口伝あり
一湯漬の事熟柿間水なとありて言事有さかなの事也
故実歟シ一祝ニハ有とも申也先菜をくひ其後汁をくふへししる
かめさとう出るとも申左様に若あらは器おさむる時手をかけ
へし其上は直をやむし色々有といへとも御成の時のゆへを本也
一法飯傍殿とて二様あり法飯ハはうの食也点心之義也体然る
間精進の仕立世のりの類春之等を粉におく也くひ根は
そのまゝ汁をうけてくふへし再進二返の後は両方の手
先のこを残す事なかれのこす時は再進参すべき也
一傍飯はかりばなとの小飯也こはゐ也汁菜無調法の間こつけ
に仕立者なり削物其外干物を上にもる也汁にても酒にて
もかけて言ふへき也再進有へからす血以下有へからさるなり
一鷹の鳥切へき事ゑみに刀をあて先別足を切へしかくのこと
くの類庖丁の大事あれ共穢なれハしるすなり
一鷹野にて焼串の事一尺二寸也さしやうは先取かひたるの
ひつたれを本におろし手に持ておふる也其後は下にも
さしてやくへし
一鷹の鳥の喰やうの事箸にてくふへからす先手にて取くひ
すしめて其後はいかやうにも有へし唯今二の計なとに成
たる其心得有之候
一紺鳥の褒美鷹の鳥同前也乍去手に取てはくふへからさる也
一鴉の魚結候はゝ笠にうくへし焼なくハ袖にもうくへきと
貴人なとの時の事也鵜の魚かふへきやう賞翫鷹の鳥と
同し事なり
一おゆの魚以下の一物は左にて小出しきを持上箸と打返し
て喰也○雲雀はかけつめより喰はしむへし○鶏はめし
らより喰はしむへしくちゑところなりゆへ也〇厘つそく引
は鷹の鳥なくは持上て賞翫すへしたゝの鳥ならはた
もそひはかりや一物みなく是に准すへし○座魔美
は相伴の役也何にても遠来初ものを褒美すへし
一菓子の事飯の後の菓子に楊枝有へし先楊枝を被下に
一置扨菓子を喰へき也楊枝斗取てくはすとも申也是は児は
衆の事也応心の後の菓子ハ楊枝有へからす是は賞翫可有
み太ふり
一引おとしの物ならはのこりの多きやうに賞翫すへし我ゟ
目上の人婦と引おとして引かハ左の手を上に置右め手を下よ
重てうくへし
一村鳥御前へ出し根板にすゆる時失目を本客の人の方へ向て
べし褒美ハ鷹の馬と同前也但手にうけていふへからす
一嫁入の時輿又馬上の礼の事貴人の方へ廻りて帰へし上の上へは
一三十枝へたてゝ下へし馬上ならは十枝へたつへし何に橋は
貴人の右也付一し御輿の向ニてハ男ならハ馬上の時右へよる
事貴人を陰にして左に置我は陽につかふへし上の上下
之城衆ハ陰也けんそくは陽也又御輿は陰馬は陽也女房の
輿はこしの左えよくれは女房とへたてたる礼也よくれはこし
とけゐあひの心也故に介添の時もこしの左かをあかり
と云也左の人御添は主人への奏者御輿を渡す役計也こしの綱
つくる時はつけおさめは左の役者御守等迄承役者定る也
輿の湛のたけ八尺七寸をときて右へなけこしてまはり
綱のことしを取らく右のなかめにかけてのかくへし又こしの
つなどく事公家女房のこしの綱はたよりはつすへし
女はうの輿そひは左へならんて畏へし男のこしは向て畏
へし条々口伝有之
一女房迎之時輿之請取渡之事一番之介添後へ廻替取人もこし
の右より受取へしと式代すへし渡すへば左をつき請取人ハ右をつく
へし渡すへはこしの左へよりて前のなかへに手をかけさまに左
の手を突待へし競取へは一礼してなかえのはしに右の手をかたる
亦又渡す人謂取ての後を立廻りてなかえのはしに手か高時
下手に成請取人はさきのわたし手のそく向なをり右の手をなかへ
にかくるよしとく一礼すへし
一嫁入之時ハ御輿の前にて御酒有へき也御こし三度の礼有て
御酒ハ出しむして御迎の人事呑し互に祝言有へき也御酒
すくれは受取手立てこしの立つなを右のなかへにかけて
御こしの右より後へまいりて左のわきに二枝はかりへたてつくは
ふへし右の介添を待てつなをむすはせ同心に立へし又よめ
一入の所は陰より陽と宮仕へし下すたれ七尺五寸也条に口伝
一女房むかひの時輿入事葬書戸の間より入る也門もおかずの
つより入る也帝の時きらふ也御こしをよする事女房の御こしは
左より上る也白砂のうちは中間縁より上妻戸の前迄は侍の
役也御こし尤よせ申時ハ御中間の方へわたす時縁の上ゟ下へとも
におりへし
一御台様の御輿はよりて縁に畏へし扨一の臺のおこしをはこせ
て立へし
一常の御輿之事こしよする役人左右おなしほとによせ可少礼
有て左の膝をつくへし右は右の膝をつきえんの間迄よせて
妻もめうしろにかしこまり主人御輿にめし妻戸をひらさなかえ
に取つきゑんの上にて御こしにわたるへし
一夏の座は涼しきを本とすしかればゑんに出て回わ下ある
事有へし其時は座敷の高下これ出るへからす御礼あらは
還而なら礼也かの念用肝要也○人気多参会の時用なきに長
座無用たるへし様体をみはからひ甚心得有へし大酒の上に
て闘浄口論いかほとも有へきなり
一人前にて番をたきて人の方へ進るには一ツ足を向て進
へき也〇人の方より前に香炉を出さは鰭取て左にすへ右に
かゝへ香をき〳〵へし右を下にかはぬるは是礼なり手を出
してきくはくちおしき事也香炉を左に置て右を後にか
さぬへし口伝多
一中間に公方の御太刀渡す事縁につくはふ様に我むねの
通りに右を上手にして中に渡すへし
一御長刀を刀者に渡事せはき所ならは御えんにて刀者をめし
津はの下をたにて持つくはひさまにこきさけ左の手先を
そと柄のはうしの下まんこきさけ右の手先を少かけてやるへし
然ハ刀者ハ石つきの上を貯見し若刀者緩怠にふるまで立
立なからかたにうち掛らく帰へし
一遊者に物を出して扨其を受取事笄はすくに立れは百疋
也なけたつれは辛疋なりなくれは十疋と申水○扇は手渡
しは卅疋なくれは十疋なり○粕をなくれは十疋約束は辛疋
なり○太刀帯取をむすへは幸疋ときては百疋也○長太刀はさや
のまゝには本疋さやはつしては百疋也馬は百疋也〇座頭に
ひたられと云ては必文なり○御履なとをくたされては二十
一疋也○出豸に衣と云ては五疋也倍堂には百疋紙衣は十疋也
一御太刀折紙を猿楽に出す事常にかはるへし是はこし付の
役也折様太刀を右に折紙を左に持て出猿楽を召出し
に縁より出事も有之又舞台にて可被下事も有渡
様はわきのゐる方ゟ楽屋へ些筋違て向へハ御坐敷は
一左に成し渡事猿楽の目より高く折紙に太刀上に
横に渡す猿楽により又は被下人による也公方の御太刀を
は下さるゝといふ詞ある也
一御家人於となしき方より猿楽に出さるゝにはめし出自身御
渡有へし左様の時は右の片手にて太刀を持左は公方の御前
に手を突き片手にて少ひきゝ中にて出せ地に置事有へから
す又左の手を上手になして渡事も有渡様は常のことく也
一猿楽に御小袖を出事妻戸の際に畏見すの内より小袖を一
の寿か御出し候を御内ちかき若き若き衆の役也御小袖を二ツに打
て左の袖を上めしてたゝむ也ゑりを猿楽のかたへ向て扨持
出て大夫を召出してすその方を外にして又左の方
を上にたゝみて目よりたかく出也又猿楽をしたる所桟
敷にて下され候は替也芝居へ召出とらせよと仰あらは
禮候のわかき方御に袖を取て左のかいなとうちかけてすそ
を肩にかくるやうにすそをは右の手にからへ葬れずか又
は御さしきのはつれこめし出して下さるそと申猿楽の
左のかたに打かくる様に渡なり
一猿楽に上下を下さるゝ事御酒なとの時袖をぬいて下さ
れは近辺程候の方承りてたゝむへきやうは袖を揃て
上かひを上になして寿その方をさきへなして地に置て
袖を身に口のことくに二におりて左の袖を上へなしては
ゐ一本
らひをゆへうち返してはゝひのはし哉ほその方へなして
たゝむへし扨かやうにたゝみて袖をは袖身をは身とは
くびをははくひと三に両方のゆひにてへたて下へ持て
出て猿楽をめし出てほその方を上になして猿楽の
左の方に打かくれはさつとひろりてかたにかくるやうに出る
也口伝有子細しされ次大かた此分也是は公方ゟ下さる候
也又猿楽に出すから先せぬひを二ツに折上へ二ッの袖を打ち
に折右にわきを取櫛楽の前になるやうにして出也又小袖
をはたゝみて左の手にほにの方を取右にて脇を取渡す
へきなり
一猿楽への終の事馬上の時ハ沓の礼也かちの時は詞の礼
たるへし但人により猿楽によるへし
一白拍子かつらなとは何も猿楽と同前也白粉子は其座
にて張に袖をきる也其間つくばへゑりなとを引つく
一路ひ扨早々広蓋をとりはやく立へし但様によるへし
一すわく小袖を一度に出す事はたとへは上にに袖をみせは亀
の前こしを上に他人の方へなし上は小袖のなりに重て
置し刀は初の上につかを人の方へなしてたくへし聲
盛をは移し者手をかせはいそき取て立へし下さるゝと云
詞常のことく
一小袖小太刀の事太刀ハすわうの上につかを打手の方へなして
置なり猿楽いたしき扨太刀小袖を取て
帰る也下さかゝ言詞如常
一かつみには川道なししらひやうしにはおふきの神シとてさい
きは迄有へし傾城には少し座を立様にして礼あり
一鍛冶番匠に棟上の時は大刀もに袖も中にて出す也棟
をきる事有へからさるなり
一五種の引出物の事初献に御太刀二に弓履三匁御着背四に御
馬五に武具たるへき也○腹巻は一人役也但袖甲弥は鎧目前也
御目にかけるも左の御わきへまいるへし我右のわき後をみせ
へからす又ゆめ〳〵むきあわせ申へからす太刀いむ市をみせ申し
一杭楽ゆめ白拍子なとに大刀を出る大刀をつねのことし出
置て下さると申決せはかの遊者寄て太刀のつかを右の香
て取申時渡人大刀のさやにさなから手をそへて出す也○曲
一舞田楽に太刀をとら奉る事式の法をつかふへからす
の柄をさし出也
一御すはうひきの事めしかへさせ申事御袖の袖を上になして
ほそ哉我方へなしてはくゐを手先にしてすいうの
袖は上えなる身ころはゆへ成やうにかけへし御はかまを
添てもたせられは下にかけて持上に舶をなして持也
一人中にましいるには先ゐんきんにあるへし着座の時は
先戸口に有之みな〳〵礼をなし我か有へき座よりも
さかりて居へきと思ふか韻也語するとて身のほと
を知らすしてはあきましき事也上産を心かくるは田
舎人の輩也ひとり上臈とてかたはらいたき事座の次第ハ
主人公方の御前にて定る事なるに等輩なとの付会に
高下の論不可有て候恐すなほになほるへし座を立てか
たり又本座へなをらは教下になおる人に時共有し盃の
礼なともあまたへするはかへつて卅之様也就中縁定達額
なとの座にては左右計礼すへし召出しなとの時
終なとハ腹怠成るへし惣して貴人の御前にて座の高下
ふりの礼其外却而後怠也去比土岐大膳大夫都小座敷を
御くり御成を申その前に先諸大名以下を修移に請し
御出の時座敷の様たとへは客居には当以官領右京亮主
居には親公左京大夫其以下大小名奉公の面々迄左右に
父座す半に赤松上総入道入来すしかれともみな〳〵例
式の宗達にて赤松座を立代する事なし良久有て
入道事何し気に風情見へ候き亡父座を立立帰りはに
赤松下にやすらひ当時の物語しはらくありし時惣座の老
若悉座を立て後座次す其時本客の如く各座端
定れり其こそ時の恩慮当坐の名誉と褒美したり
そのゝち赤松入そこは一朗の心さしと度と申出たされたりと伝へ
聞し
一盃の礼の事人幾人もゆへその中よにしき仁には別而或代候而
扨五十人も候へ其内に五人十人へは面々に一礼候て其残はかた〳〵
と成共各と成とも云て一礼すへし各別而するは無歎也
一連歌の会に及申哥会なとの其内のはさんにまかせて可答
たゝ左右一両人へ一礼すへし高言はを出し各に礼するは無
躾也
一評定の坐めんは盃礼も各々に或代候て餘にかたく成礼事
以下無躾なり惣前いんきん尾篭と申事有
一召出奈との事是も其内の人々により一礼してはさんに
まかまて呑へし呑様は又其内の貴人なとの被召出に餘札
を成事は慮外なり御言葉下より可罷出也
第三騎村門
一尾籠の弓とたゝの弓との事故の名所有へし弓附より
上に巻たるは物見の薬也附より下に巻たるはひきめたゝき
の藤也鳥打へんに巻たるは長命の藤也本龍矢摺藤を
千檀巻の藤といふなり
一騎馬出立の事一束ゆかけの事両ゆかけさして次にうつ
ほを付て上さしを剃鞭をさすへしやりて弓を取馬に乗
へし御供の時沓をはくへからず脚袢は襦子たるへし○沓の
仕立やうの事熊の皮上品也元のかたを外へして拵へし内は
鞠のくつにおなし○神頭剃へき数は三五は中二四は半也三の
時は二は外向一は内向五三の時は三は外向六内なるへし条に
御伝○表剃の事羽ハときの羽本也若なく小うすひやう山鳥
の引尾もよし羽のようは四寸二分長はならひ有巻目の事
上の巻目五分下の巻目七分筈巻は口伝数は三もさすし
鞭竹の根もくるしからす
一巓の春ハ三尺七寸又三尺也取柄の事長には六寸二分短には
五寸八分也〇馬上の弓の事附より五寸か守上を持馬と弓の
矢摺を三ツ金輪に持へし弦を下へなるやうにして程の袖と
弓の弦の間四寸はかりに弦を出して附より一束上を持細く
たんれんすへし若打立時はらをかつきてかしこまるへし
主人下馬の時は弓を慎に持なり
一馬上にて三ものゝ事弓を持笠をさす事弓をは馬の右へ耳
をこへるか越すに持也弦と手継と笠とを左の手に取そへ
へし又弦を小指にかけて弓を持とも申なり傘の柄にそへ
てめさるゝ所迄さゝる也御訴の本に弓のつるをめさるゝ時は
かしこまるなり
一牽馬の鞍おほひかくる事夏毛秋毛若は春毛なとのた
を用へし熊の皮ハ斟酌有へし天子ハ熊の皮公家ハ虎の皮
武家は豹の皮毛氈は大名家に用し鹿の皮通法是を用
也御免にて候へ何皮も不苦無御免にハ鹿の皮也何の皮も毛先
を馬のたへかけて手おほひの緒を両方の力革に付て胸
掛掛にて引廻して運し
一騎馬うつへき次第嫡子壱人相伝と云騎馬装束の事者
ほしひたゝれ以下又上下は例式成へし脚袢に沓をはくへし
沓をは常にたよりはきて右よりぬ〳〵へし主人のかいしや
くはめす時はくつの手をひろけぬく時はくびすをおさへ一し
〇靱夏毛本たるへし上矢に弐鳥の引尾の神頭三鞭合て
四を靭の上にひらき立てさすへし弓は赤うるなるへし
○泥障はさすへからす但あふみすかは馬しからす候歟
あをりとは毛皮の事也はりまかわのまる作たるはくるしからす
○沓も物まふて社参の時ハ右よりはかせ申也たよりぬかせ
申へきなり○騎馬の時弓黒弓に藤つかひたるもよし藤の
つかひやう事により打にしたかふ也いか様にもこしらゆる事也
◯弦も怒るへし白弦無礼なかるへし○釼に指添る神州
御其外数御伝組二ツはさらぬ事也口伝有之
一馬上の鞭ゆり遣の緒とめやうもろ鞨の度やう先御馬の右
一寄て指掛の緒をといて緒を三さらにわけてたおほ
ひの中へすへて指先を露方へなして右にて進すへし次
に策を左とく輿の引手を取右にて鞭を持返し
くつわをちとなし馬の心を流聞か卒卒度渡可申也次に左
のゆかせの緒を是も三さうにたゝみて手覆の上に
置てゆひ先を孝方へなして左にて渡し申へき也も
ろ鞨緒の留屋うハ右をは常のことく左をは大指に掛
すしてかいなにからみて外にとむる也〇ひもは常
のことく也但先打引目の役は末を二ツに分て両方のはかま
一腰に留へしゑほしハゑほしかけ有へし
一劔の穂皮の事鹿の皮木也昔は桜の皮をもきらはす今に
折により時によりいむ也其外虎の皮又いかり毛なとは人に
より事に興り斟酌有し
一鞭は竹の根能柳四季によりかいり有こといへとも熊柳竹の
根の鞭常の事と心得へし長短はこれおなし去なから長貌
は春の物也と申也又別にもあり口伝
一指掛は上は紫中は指を紫皮にてつき下は高山皮の丸
一文等なるへし畢にあいかは人により上の辭も指は
つぐ也つぐも紫也
一聟嫁入之時ハ鞨をたより参らせて馬の右へかへるなり
一末の馬上の人は一束なから指掛を一度に進るも篤しからす
一鞭をは釼にそへてさすへし神ひはいくつも手よりにさ
すへし神頭の羽は雛のつはを付へし白篦を陰陽氏
一祝言に用へし三の酣は真の神殿の時ハ箟の節の様は十二
そくならば羽中へかゝりて五ふし射付のふしは神頭より
一束又三か遣也羽用は四寸二分又三寸七分但矢束によるへし
見よきを以骨法の本とすへし口伝離のつばを本のふ〳〵
げまらく寸の内へ羽取へし口伝
一馬上鞭ぬりかけ一度に近へき事まつ指掛両鞭を進候其後
にたのゆかけを進すへしかち立の時は一束なから一度にも
二度にも進へき也
一劔に矢さす様さす方有之ぬく方あり矢数は九ツ又十一也
次第ハ七八はすくなし八九は多とす是弓法の秘事也
根をは身よりにさす也内よりさし始て手さきよりぬき
そむへし条々口伝
馬上にて白木そそは白木らこきなど持へからす但むら
こきは人によりて笠懸なとには持事も有へき色なへ
ては斟酌有へきか春なとは白木も弦たにぬりたらは
馬上にも折へきかいかん〇弓に津かひたる故の上ぬるへからす
つかひはしめて留所にはそと見へぬやうにうるしをも
さすへしそれさへこによりてさやうにすましきも有
ぬりこめふじは格別なり
一馬上にて弓を請取事五方あり何も法ちかへす出すへし
五方とは向より馬の耳の本より進る事も有又向左右
おつさまより左右合五方也〇弓枝にて馬に乗事馬を引
立弓を持馬の左をおつさまへとをり馬の左の方の手綱のさ
いたんを取鞍の前輪にかけ右の手に弓をつき立馬の前
足五六寸のけて弓の弦を外へして乗へしさて手綱を
定めくらなをり弓を左へ取なをし馬の目付所を見へし
耳のなかみゝの上六寸をみれは我頭よき程なり是か
かみの大事也○弓を張事其日の貴人に我身を向て
はるへき也
一馬上の御供の事主へ御馬より一町計隔といへ共其人数により
一又用心の路治なとにては其心得有へし仰あらハ法も不定な
に主人の命に任る事是又法なり
一騎馬と云ハ心有也是ハ御馬の次に打人のほとうひ也可隔
寺間は百廿足也〇御先打是も一町斗なりしかれとも主人
の御馬のうちやうにてつゝけ給はんも計難し心得て又様に
よるへし大方ハ如斯し其内先打は内外ともに心得て
惣の穴にかわる所有て弓の持様なと時によみし○時
として主へ御先へ打返せと仰あらは主人の弓手を其方の
沓をぬきてわた残通る也貴人の御左にせきなくは右の
御方を弓の袴にて沓をぬきてもたせて打通てはくへし
一或は射へき物により或は用心のためし弓を持候はゝとかり矢中
一刺狩股なと持添るには末梢の方へ根をするなり
一騎馬靭といふ共騎馬弓といふへからす只馬上の弓まてなり
一靭の緒の事侍総かけ緒とて二なり○靱の付やう土以下に
かはるなり
一一騎馬の時きらひ物の事大き成釼ふるうつほ嘘袖ほと十
一徳旅出立の時は法の外地震は又時による也尾袋略義也尾
取事もなき事也腰当上下の上には似合すおもかひやすめ
又遊覧にもふて有勤上節手つな指事ふりのかみ巻事
一道のかみをたにも礼義には所ぬ〳〵事あれはなり
一公家女房の御供に立事行合人に礼の時は騎馬の人ありて
一礼すへき也○騎馬の時供につきへき人数之事番小者有之也
一宿入宿中宿はつれといふ事宿入といふは弓を右へ取なかし
一礼するは真の礼をかひこむは草の礼にて返し宿中と云ハ
一指掛の礼にて馬を石へうち真には廻草にハ打たる斗也
通へし宿はつれとは沓の礼有て前後左右の手綱と云
事て有て口伝上判の神の神及一指へしさゝす共不苦宿にか
きりての事也
一馬上からかさ臣下のわさ也鼓に柄立とて仕付也なきまは左の
しほ手にさすなり主人のくらに八柄立なし口伝有て
一我人弓を持馬上の礼の事我より賞翫の人ならハ弓持た
馬方を通す弓手の鉈を蹴はなつへし弓の弦常のことし
一馬上に五ツの礼の事第一弓の礼弦をり置込へし第二ゆる
けの礼手覆を返達し第三沓の礼鐙を蹴はなつへし第四
手綱の礼お手の輪を取直しての礼也第五母衣の礼左
の手をとくへし条々口伝
○貴へ同心に馬に乗かけ向ふ事左の方を向へし先
かけせよと仰ある時馬の跡へ打まはし馬を左へ返ス也扨主
人のあとを通して沓の枕歩へし○馬上弓射時ははた
ぬかさる也条之口伝○騎馬の御供之時うし宇ちと云事大口
直垂さやまきの刀をさすへし釼の上矢さすへからす洛中の事也
一洛外へ御出之時駅馬の御供の出立の事ゑほし上下も立
繻子の脚袢出し弓は重藤より外ハ治外にては何にても持
なり心得へし鞭をは上に外よりそすへし
一毀馬之役の事先打ハ御剱の役中打ハ沓の役後陣は奏者
の役傘の役とも申候也御先打あまたの時も此心得可有之
一御狩場の御供之騎馬六騎歳へし出立ハ水干行縢にて
沓をはき鹿屋なるらひの尻篭を負て上矢には四目をさ
すへし羽はこりはきや弓はおもひ〳〵に持なり
一鷹に合て弓を持礼の事弓を右へ取廻してくらの前
輪にかけて礼有し弓もたさる時ハ手綱の礼なへし
○馬鷹に礼道より下へ馬をおろして一礼て有て馬より
鷹賞翫なれはなり馬鷹といへとも鷹は上り也
一主人の弓を持て礼する事不可有て惣して河役の時も其物
を扱ほとにみつからの礼あるへからす○公家女房に向ひての
初の事弓を持たらは我右の方を通すへし弓手を通さは弓の
礼にて有へし弓の礼とは弓の弦をかいこむへし弓を持さる
時は手つなの礼有へき也手綱のれとは勝取直し沓を
ぬきて一礼すへし
一物指社参知耳嫁取の時騎馬之事出立同前なり釼楼皮
にくの皮熊の皮ハ付へからす馬も佐目葦毛鶏毛乗へからす
紫竹の鞭さすへからすはかりはくとも申候
一物指社参惣して先打の事学ても草履にてもはきたも
物ぬく置し京上の時は御免有之はく事有
一先打の事必御前よりは一駅には定らす二騎三きも有
へし其ときは一騎つゝもうちつゝく次第にあとさかるや
○蟇目の役とらく犬射のひきめを弓と取添て持へし
化生の物を射へきか有也
一輿と騎馬との式代の事下すたれかゝりたゝは輿より右へ
打よけて下にて手をつき草の礼をすへし下されかゝ
らすは輿より左へ打よけて通るへし○輿と騎馬との間
の事七騎へたつへし手綱又さすへからすふち馬にのる
へからす
一輿の禮之事車にはこしよけへし輿祭は馬よけへし
私之事は前ゟさまたちたらはさまをあけへし出きたらは
たてへし○輿に鷹の礼こしをよせへし輿に鷹うち
向ひては鞭にて出しなをすへしつれたる者こと葉ある也
○鷹も〓鷹は礼に於よはすたゝせこ壱人馬よりお
ろし鷹師笠をかたふけぶちをて取直也
一車に乗て輿にあひての神こしをはさまをあせへし
あきたるさまならはたてへし車は牛を立せてむちをあ
けべし
一車と馬と行向ひたらは私は細道ならハ馬を道より十一
おろして一れいすへし又下りへし○我も人も馬になり
たる時の礼ほそ道ならハ先我馬を道下へ打おろし
て礼すへし又人もかならす打おろすへし賞翫ならは
あひ手のみる方の履をぬき礼をすへし沓をはかすは飢
の礼有て少の間ひかへて通すへし目下の方のならハ道へ
打下したるまてに也私有へからす
一騎馬の人ならに路治のほと遠くは革袴袖ほそ又肩衣
にても不苦候近所にてハ例式のことく出立へし○騎馬
の人宿へ入事釼のまふさきを取上さしをぬきて釼におさ
め前のことくして釼をときてむち釼も同前に渡すへし
沓をもぬくへし条々口伝有之
一夜なと御供の時は小袖にても袷にてもはたぬき初はかり引
くつ路けやかてさつとはたぬくやうにすへし用意には
外に矢を取渡出事同前也〇馬上にて物射る事紐の納や
うつねの細をむすふ様に一結むすんて末を二ツに分
て両方のはかまのきはにはさむへし
一犬追物の時追出犬之事弓ひきめ取揃へて追付はゐども
主人の御方へ向て射事ゆめ〳〵有へからす猶条之口埒
一母衣掛武者に礼をなす事大原の法に我大指をかけ
はいか成る事そこ礼をすへし
一騎馬の供にかち弓七張なり外はつれへからす〇笠掛の
馬場の事廿七枚たるへし的をかくる事凡面にて人
にからへさせ先上を付て高さ法量を相計其後前のこし
にかけて扨後の事に付へしはつす時はうしろより
前をみつれし扨上をとき入る也〇弓杖を打時は本より
馬場走打へし十度打ては腰をすへてうつつし
一主人に御督をめさせる事左よりめさせて右よりぬかせ
申へしすゝむるやうは御袴のすそを中へおし入てゆる
くと引直して罷立へしぬかせ申時も左のくひすを決し
一筆を付て御供に出しはかちたちは弓を横にしてかしこまる
騎馬たるへき人は弓をかつくへし但王へ馬より御出り
あらは弓をかつくへからす
一馬上の御弓を進る事侍は馬のかしちより弓の本諸を
建る也けゝしき馬ならハ持ことくに渡すへきなり
一相生の弓の事縦は白木は金の色也又塗弓は水の色也
一金生水の故也黒弓に白弦はかけすと申も其故也
白木にしら弦をハ相生也○相剋の三つの事塗弓赤染ハ火
なり白弦ハ金也火剋金の故なり白木にぬりたる弦
も又相剋の故也
一軍陣にて大将に御目に懸る事は尻籠にても又軍
にらくは付て弓を持て常のことく御目にかけ末消を取
よせて弓と弦との間へ左の手を入て其間に礼を申へき也
一軍陣にて手をおひ疵をかうむり候時も尻籠う
つほを付て御目に懸へしいた手野は出ぬ事なり
狩猟
三議一統中
第四歩射門
一的山つく事何方に築ても其宅を抱く様にて
有へし也○軍陣にてき朗場は敵の方を矢さき
に成すへし弓場をうつには張弓にて弓立より
あつち新方へ打へし弦を下になして十度といふ時
は畏てはいくつと答へ打こすへしたとへはかけなり
ともいくつうつとこたへへし秘事也かゞより仲馬
を表するなり
一丸物かけへき事築地と串との間より持て述べし
心の内に見あてかひて下に置左の手にておさへ
右にてうしろの串に付扨前の串に付よきて
上をつるしはつす時は別の串より後をときて
上をとくべし
一庭の弓神領の時は矢つきの別二杖のきてつく
はふべし
一九半といふは小折数を九に切て其一を切目を前
にはさみて立心し串の事採物の串にて勘へき也
一常々敷皮の敷脇二ツに折て白毛をみせて持へし
白香の方を主入の御厄へなすやうに毛の方を面
にしく也○あら皮を人に送るにも白毛を上に
左へなる様に持出て白毛を左へ出へし○散皮を物に
かけ座敷なとにかけて置にも鬼を面にして
かくるなり○的場の藤皮三流に渡て様々の習
有き口伝敷皮は毛のかたを面に心得へし引敷は
うらうちたる方を光といふへし
一弓場へ指掛持事矢筒にうハ弦計付へしし
かれは矢筒の緒をとけはゆかけの緒もとくる也
是若党のやく也科条へ口伝ふり
一引発をしくへき事是も二ツに折て片手にて
持参すへし緒の付たる方を主人のうたしろへ
なして教也〇主人の引散を主人にしかせ申事
めしは緒の付たる方を御左へ毛先と右へなし
て教なり又座敷にかて時はうらの方坐
敷のおもてへなして緒の付所を上にしてかけ
やし或はさかし酒あるひはうらおもてへ
しく事をいむなり○教皮の事白毛を我右
客匠ニアリナキシ
によせは必父のひたりなる也是も左のわきへちと
筋かへて置へし物にかくるも白毛を別になし
未ニ弓鞠
てくしかみを後になすへし
ノ円座
ノ事
一弓鞠の鳴刀座を敷事あみめを面になすべし
但座配のやうによりて敷なり
一主人の御弓と矢を持事主人のこをは右に
矢筒をは左に持へし何レをもかつき右右の
ゆひ先にて本詣を矢筒のうらをかゝゑ
弓場へ参主人の御下に参へきなり平人の
弓をは左に持矢筒は右なり奏者の時の
己も右に同し
一主人と我間とに御弓を立矢筒を右のわきへ取
移して緒をとき御指掛をは左の手をつきて
右にてまゐらすへしまいらせやうは三そうに
緒をたゝみて手覆にすへて手のおもてを
上へして進る也扨主人御指掛めされ打返し
給へは御緒にくろう有へからす
伺候ノ人ノ居所ノ遠近ヲ云フ
一四半九半の時は一枚なるへし○草鹿丸物
の時は馬場頭のきはにあみし○三的の時
は庭の外に伺候て有之〇小的の時は弓立
の方へみ杖のき帆の方は手先より七枝まて
は伺候すへし
一座中の弓あそばそ貴人はかり見物し給ふ
へし其外は矢取壱人なり其余の人はよそ
目たるへし是にかきらすもろ〳〵の稽古の内
学を見申事不覚たるへし弓遊はすを
みて左へ帰へからす
一出て物に扇を立候事斟酌有へし君命
にて立事あらは串ならははさみてかなめ
を前に立へし但絵に出らひ有二またなる
串にかなめを上にかせへし絵おもてに
せす草木は其侭也矢所はかなのといふ○
扇の繪を立る事人と畜類ならは人のかた
を立へからすけだものと鳥とならは鳥の方
を立つへし又鳥と虫ならは虫の方を立へし
虫と魚ならはうをの方を立へし有情と氷晴
ならは氷清の方を立へし○木の葉立事
春は葉先を上にして立る也夏は葉先を打
にして立へし秋は葉先を下へしたつて
冬は葉のうらをおもてへなして立へしいつ
れもひしに懸る也
一畳紙を切目を前へ筋かへてはさむへし是
は小折敷の代也夜昼の習有○扶物とは小折
まゐの事也十杖縄内に立へき串は三寸三ツ
ふせ也三ツふせをわりてはさむへし是にて
余のくしをもつも事也
一四半といふ事は小折敷を四ツに切て切目を
別に立へし四ツ物一ツなり是も恒昼の習
有〇九半とは小折散を九ツに切て切目を前
へ呉候半立也今しは三寸三ツふせはさむなり
八幡大菩薩我朝にておそばし初るなり
一御矢を進へき給は筈は御右へ返し矢尻を
一御老へなしてさゝくへし右にて射付のふし
左にて袖摺の節を有し
一弓鞠の円坐の敷様鞠の時はあみめをおもて
になす也但座配の様によるへし遁者の役
也弓の時はあしこもにても弓立の内はつまし
迄も引へし
一棚の高さ七尺五寸弓にて取へし其上にけ
しやう足あるへし広さは一張半なるへし厚
さ一海のあつさ成へし小樽の高さ半張なる
し
一小坂の高さハ前の如く半張又ハ三尺にも月
の輪形にも又みのわ形にもする也同木ハ地の
三十六禽を表する也ゆかけをさして三寸六分
横のたけ大方十二枚也但船場によるへし
弓串ととら木との間前は三枝後は二
杖なり○小的の絵の事大朗と同一寸分の
小眼此すより勘定すへし春は山をなと
〳〵二の墨をほそく廻りを山より一分はかり
ほそく夏も是に准すへし秋冬は山を
ほそく二の黒をふとく廻りを山より半分
にする也かはのむがきは十二月を表する也口伝
有うらには雇鬼の字を書へし
一大的は棚をはつし弓一杖半也弓一張二半也〇小郎はさく
かきは弓中城へよせて立る也朝串一尺七寸也〇朗らの事白
木本也なくはぬり弓に白弦をかけてよし馬上にはせぬ也
一熊の皮の引散無官の人は斟酌すへし
一幕目をしねくると申はしねといふ鼠は芦の根を好みてくふ
もの也彼しねの声蟇目の如く鳴る故にしれるとは蟇目の異也
一産屋の墓内の事鳴陰の役者儀式の事予昭五月に入
て吉日をゑらひ祝言有へし引出物ハ弓蟇目御馬太刀
を被下候又役者も大刀を進上申也御酒は初献にちや
うにくわへて二献三献目にて半に達しや〳〵しや
帰て弓を持其はたらきをなすへしその夜
の子の時ひきのを取てや願へ参待し
其後帯の祝言の相伴いたすべき事定日
事なり御腰の声あらハ役者の装束源氏ハ
白はり橘氏は浅黄平氏は赤地藤氏は
薄こう梅かくのさく束帯して参伺公
して御誕生おらハ御産屋へ参艮に向て
決して沓をかためへし扨屋形の棟を
寅の方より末の方へ射て出すへし其裏
目に男女の吉凶て有之其矢棟よりこへは
男子也内にとまらは女子也善悪によつて
御懐胎の御祈祷有へし正月迄月ことに
との将墓司九月一日より弓ひきめを御座
屋に末消を東へ向て引目を加へ矢先
をして上へし御腰の気あらは御産屋へ参り
て不退艮の方に向て同供すへし御座
有とあらは射手男子女子をとふへし男
子ならは右へのくりて二つ射へし女子なら
は左へめぐり一つ射へし弓と矢前の如く
七日と廿一日と同祝言の御酒有へし〇
御産屋への根体は上様は辰巳に向ひ給殿は
戌亥に向給いゝ射手は丑寅方に向ひて
御祝言矢所には紙を立て射へし
一御産所の畳は白へり也それをつるして矢所と
す紙をたゝみて立て射也紙の数に陰陽の
替り可有之○御肴等ハ物しの法に有へし
しるぎにおよはす○蟇目射おさめて
男子ならは直に弓矢を可授女子ならは
産屋に置へし○蟇目の羽の事鶴の本
白なりひき目はひら木な〳〵は山椒の木
なり○蟇目は両親ある人御家人の役なり
一同産之時主人御子生給候時の役人公方
の御時は坊門殿大御座殿の御時は坊門殿大御堂殿大御堂殿大御堂殿大御堂殿大御堂殿大御堂殿大御堂殿大御堂殿大御堂殿大御堂殿大御時は坊門殿大御門敷大御門敷大御座敷大御座敷大御門敷大御門殿大御門殿大御門敷大御
の生給への生給候時は其心申かせなり
一去比始て若君御誕生ありき今一入引つ
くろひ候てけう〳〵しくして御祝有へ
しとてそれより諸親ある御一族の役成へし
とうけ給り候たりき亡父に尋申せし
に初てつとむる上は法有へからす但墓目
物の事祝言にはきりう中くろい下せぬ
事也と有しかは則にうすびやうを用た
りき是は一矢の羽を本と有し間皮羽
を用意せらるゝ也鷹の羽にて巻目から
はかぬ事也但はきませは一二はくるしからず
るとなり又新田といふ人鶏の羽に鵜羽を
少々ませしをは不可然と諸人難せられし
なり我々窪の羽をおほ〳〵用ひしかは
白くずる鷹の羽にてはきしをは亡父い
ましめられ候き又笠掛の蟇目なとに
はたゝ上を引はりてつかひたりき
一同御時御ほその緒をつき給候には大御所
入御有てつき給ひし也其竹刀の事も
承てとゝのへたりき南殿平竹にて
するとはかり御医師仲成申しが共夜の
事にて竹をわりてつくりしをきぬかつきの
女性の中よりいはく其竹刀をはたゞ一刀ツヽ
七つ作て近よと候き後にきけば西花門院
の女房の申けると也あか土かはらけをあまた
かさねてうつぶせにして進る其上にて御
ほその緒をつき給ふ事あるとなり
一蟇目的矢神頭御目に懸る事少しあつめ左
の手にてねより上を取向て可遅なり
一矢代打事賞翫の御矢代をはこしにさし
て一の兄矢立にまへやに立ならふへし矢代
ことはの事兄実をは前矢乙矢は後矢と
申也○逆羽の事兄矢の一笑には当り矢
を上に引かけべし兄矢弟矢合矢の時
は矢を返し根を筒木へなして遣し
〇別矢後矢ともに四合の時は矢長のけて
根を筒木へして置へし
一輿の御供の時上さしの数五にても十にても
御すべし是は小者の上剃也其身は釼つけ
たるまでにて供すべし上刹の羽は山鳥
の引尾也又うすひやうもよしのうちに
て御供の事遠くは太刀をはき近は刀計
たるこし
一人の起居動静に五字の閉配とてあるべく
候是則弓法の本意也かの濫觴といふは黄
帝蚩尤氏をほろぼし給といふともかの眼
ひとみをつらねいきて人をにしむる様成に
よつて人民子悩乱す鞠と号して蹴といへと
もやふれずしかるに天のあたへにかの閉配
を授給ふゆへ二人此足にて射ける時皮まな
こつぶれて天下安全なり五学といふは
天武転亡烈なり陰のかよひとは右より二の
おしをふみ陽のかよひとは左よりふむへし
是を天直平眼のあしとも名付されば
貴人の前にては伺公の者足を石より先ふみ
たを次にふみ扨左の膝右の膝同ほとよふ
せ左をつき右を立れは五学の儀立時は
敷たる足を立左の膝を立て左右の手先を
めよふへし膝の間に立候へは立て左の足右の
足を可踏惣してさゑをこすも左の足に
て越そむる也かよひにては三足しさりよ
せ帰る酌には上座の膝をひらき下座の
ひさをよせ帰る時はもちたる銚子を力
にて一たんじに立左よりあよみ初て通る
へしかざり物はてうしと可准之又御膳
の時下座のひざを引上坐の膝をよせ是
も一もんしに立て左のあしよりあゆみ
右の如しわ下五字閉配なりたり物は膳に
准す殊更已立の時肝要なり朗はうちの
弓の時も皮豆なくんばあるへからす
一忘解忘畳紙の事扇は絵を見両方の古
新をかんかへてさすべしたゝう紙は先懐を
見て請取両方の紙のはしをとつて
引おり直垂の間へ出し入へし児への
たゝう紙け折やうは先中ほとを二に折
て又中より竪に折てあらは四折になる也
両の妻を取て二ツにお見し是は懐紙
折にはすへからす又女のたゝう紙のことく
にもすへしそれを懐紙折にすへし是は
座まゐのたて紙なり
一主人にはまつゆかけを進せて扨腰当御
穀と次第如斯なり旅出立の事なり○
御供の時馬上もかちたちもこしあては
無益なり但人によるへし
一大明をつゞめて四季に用る事春は一尺六寸
夏は一尺七寸秋は一尺六寸冬は一尺八寸
なり○忘解忘畳紙弓の本階を前に立て
弓手に取馬手の懐へ入へし○忘母の事
是も弓を立弓手にて紐をとき今一統有
時かたをぬき弓手の紐を巻ひてひたゝれの
間へ入へし
一丸物棚九枝半に打て半よてて串を立れば
九枝なり串は土の上三尺五寸なり又三尺三尺
す共いふなり三方同事也横御成両方へ
一寸ツゝ出して串の内みすと心得へし
串の事とさは五寸五分なり式の丸物は八寸
と申也失たまり四方也丸物のかせ様は下図
なり
一挿物は棚七十七度半なり半よせて串を立れは七度
なりに折敷のふちをえ四寸の時は小折度を
四にしてなり九半の時は小折敷九にする也
はさみ物はははみきわむら也四半のはさみ
木は三分也九半のはさみきは二分也四半
九半は西方をきざむべし高さは土の上四寸
とこゝ路得へし串ハ八寸二分也土の上四寸二
みかなり
一草表の場は丸物同事也草鹿は右大将殿
富士野の狩にてすかひ弓手の物を射はつし
給ひて小笠倉次郎に御尋あり馬と鹿の者
くりを打てみれは何も土杖是は生たる鹿也
今の秋こは死たるなれはとうく九枝になさる
類や本は十一枝也丸物の串其外九枝半なれ
は其後之にかけらる也草鹿の法とて別に
なしくひか打へむけて一尺六寸なり西は
八すなり
一笠掛は馬出シ所より矢はなち所へはづし
弓廿七状也矢はなち所より九枝に打て弓中
よびて串を立れは八枝半となり又は七枝半
ともいふなり土の上四尺二寸也又五尺壱寸とも
云なり両方を同ことく捻串を両方へ一寸五分
ツヽ出して串の高さ土の上三尺九寸なり串
のふとさは六寸なり上を黒うるしにてぬるや
一時は三六寸よこ手と申候也矢所は二所としる
へきなり
第五供奉列
一大名出仕之次第先一騎打是を先打と名
右左
人人
付也一両に御先走十二人上下返しもたち
人人
人人
人人
人人
人人
にて太刀をはきらを揃勤を付て走る也十二人
なから出立は同し様の上下にて返しもゝ
たち也左六人右六人二申たに弓袋雑色右に
かつくへし式の時弓剣を持也三番にから笠
一本にかへし
もゝ立なり
袋に雑も左にかつくへし玉の時は鯰おほ
一九六人右六人右六
人ト有テ右
ひをかけてかつく也一方同前の者也四番妻
ノ図アリ
馬常の如〳〵引手は下輩追縄上輩たるべし
五番御長刀御力者の役なり
左小者打刀之役右小者指掛の役
足半袋ノ役
右小者
左小者笠抔へし
沓草履の役
尤小者手明刀計右小者手鳴力計
一主人左右に大刀帯て同前建立廿八人立なり
騎馬御丈は下也騎馬もへは上役也親類牢
人老者の出立同前騎馬の上そへと云なりの
騎馬も洛中の御供ならはよせ今りたるへし
返しもたち取事も有へし
尤御中間大正し付の御こし右中間太刀は
外御輿の跡を御中間衆あまた大太刀を持
通し
一次に靭付弓を持て走る也駿馬の供是なり〇
神頭を板に穴を明て四つ判へし付屋う口博有
返しもたちをとるよせくゝりと云事有先打
勝馬の外と云も有り後隣の騎馬はよせ
くゝり有へし
人
かち
人登人から
人同人同
人同
人同八日人同
一笠善の供は百枚に隔る也礼不同たるへし○
如何シ袋也衣服ヲ入ル袋也今時モ袋ニ入ル也
上さしのつゝみ持の事三ヶ条小袖入たるつゝみ
の事也其外扇畳紙上下小袖あわせは申に
不及候○侍程の者の持は緒の結ひきはのくり
源一本大妙儀ニモアリ
を右にさけて指也○小法事中間はつゝみ
のくひをひつさけて左に持へし○雑色力者
は緒を右にて取左にてうらをかねべし
或は遠きは打かつくなり
一打刀に三ヶ条之事大概遁者の役也時迄
て侍の持事出しは左に持へし亦時として小者
中間持事知らは右にひつさけて持へし又
遁者は右にか津〳〵なり
ニ張トハ遠サ
長枝四十二枚
ト云事ナルヘ
一主人乗馬式は輿の時侍歩行にて御供に太刀
かつく事四拾二張より外ハ法の外なりよせ
シ主人ノ輿
ヨリノ遠サ
ヲ云ナリ
くゝりなくは返しもゝたちなれし○殿原は
太刀の足間きはを右に柄をさけて持門ゟ
外へ出てかつくへし○主人下馬か輿を立ら
れははしめの如く右にて取直し貧人の
うしろのきいに半張屋たてゝ立へし立へし立へし是へし立へし是へ
の右をあゆむ事なかれ○中間は太刀の二の
足間きはを持て出大門より外にてかつきは
人の右の前をあゆむをし御下馬又御こしの
立時は右の御前に二張へたてゝつくはふべし
一中間貴人の御前に参法量一張半へたつ
へし御帰宿之時ハ御軒のきわ迄御先に
参るへし右へひらくへし
一主入同前に乗馬之時太刀をはく事錦
つゝみをは主人同輩以上へ参会之時わつそく
にかけへからす柄よりかけてはくへし○太刀
の柄よりかけてはくは主人の太刀也さやより
足間へ入てはくは我太刀也○剣と名得たる
太刀を持事大切也事事も大切也切先と
刃の方人にも我方へもむかふへからす
一物詣社参の時御供の事陰陽之義有数珠
は陰の具足也右にて持や香炉は湯の香炉は湯の暑炉は湯のすく
なり左に技へし
一貴人への書状をば左にて持参へし我披見
したる状ならは右に持て参なり○経論聖教
のたくひならは雨の手をかけて持参へき也
一主人の御供に風呂へ可入事御先に入レとあらハ
はだかになりぬるめを取内へ入さゝの葉又は
ゑにきせきせうなとの箒にて風呂の天井
よりはしめて四方の板休木畳外迄露をはらひ
御左右を可申候主人御入なき内に手綱をならす
へからす是桜也○賞翫の人風呂へ御入候とき
御ありをかく事拍子にかゝり吹てあか取事尾
御龍なり
一主人陰所へ御座の時御供ならは御太刀を包にきつ
は持に取て御先に入あたりを見廻し其後主入
を入申て我罷近くなく遠くなく伺公す
へし但遠近は御意次第たるへし
其人の常に御届有畳ふむへからす掃除の時も
はうきを御じめへてはきふむときも先手を
付て通るへし惣し而は御供の時築地の廻りめ
小路の雨はりめにてハ御先へ走り通るこし刀に
心かくる専用あり
一主人御供の時門出入事先委心有て御先参り
左右を直如くらして出入させ可申候又門戸出入
も柱のきはと中程を通るせ少そはへよりたる
かと戸の開国は主君の口也此心得尤かせを
うやまふ所なり
一主人御供にて社参之時神前にて御幣の役者之
事神に持たる所へあゆて向て御幣請取て左に
て幣の木を取右にて上をとる近る時は我
左の膝をつきて少御脇へよりてまゐらせ給候
時は御幣の本を右手にて持左にて上を持様
に給へし○女房の御供の時は御輿の右
のなかえの外より我膝をつきて左の手にて
御簾をあけて御幣のもとを右にて御輿の内
へ進る也女房知らは其心得あるへし
第六官門
一主人へ客来の時御寝所取事御枕をは北南に
定る也東床ハ南枕西床ハ北枕と了定也○嫁
入の床は北枕なり南短北長と云いはれなり
一御めしものたゝみ置事そのまゝつすやうに中
斗おりて老を巻にたゝむなり○女房児の
小袖をは右の妻を下へなしてたゝみ男法師の
をは左の妻を下になしてたゝむ陰陽の心を
光す也○嫁入の小袖をは三に折まへを東へ面
むかひ合て二重の上にをくなり
御うはぬの事殿の御座をは枕をは枕もてよりしきて
すそよりたゝむ也女房衆の御坐をはすそより
しきて枕よりたゝむへし口伝在
一鞠の庭の酌の事軒の向へ参すなのちらぬやう
におりて賞翫の木に向て伺公し人数は一番
二まゆと次第〳〵にすゝむへし但主人の把盞に
まかせてかよひをすへし○鞠の人衆一番二番
并賞翫の木の事
夏カ
春
楓未申
柳辰巳
柳辰己新風未申柳七桜
春夏
一春夏桜丑寅冬松戌亥松戌亥松代
一鞠の庭に水うち申事是も軒の向よりまむり
て其向よりうしろしさりに打て返れんに上る
時足のぬれぬやうにたしなむへし○庭はく事
小法州の役なり是も軒より参て向より五とへ
軒向ひまてはきて足を畳紙にてぬくひて
縁へあかる也亦誰にても主人の御意によりて
ゆくへし
一正月一日より三日の間御外水の事御年男の役也
わたしはんざらを置事御手水の時いたしの
津のを御前へむけて置く花則御小袖の
一つまをおまへさせんが為也すそを又捧申
間度かな也はんざらのそこにゆつり葉うらず
をしゐて其上に青き石のちいさきを置て
まいるなりかけ申時左の手にて提の口を三寸
斗隔て取右たては蓋をあかぬやうに
持へし湯をかけのこざゝるもの也御手拭は
物に居て主人の御厄の方にて遣へし又肩
にかくる事もなく平人には左の肩にも手拭
かけへし若シ手水の粉と仰あらはおひぜん
折きぬに入て申ぬるへし御手よりに置へした
御手客を若柄杓にて参る事あらは我
左にてひしやくの柄の本を取右にて酌の方
を取てさかてに掛へし
一配膳の事御膳をまへて参るに能程に持葉
べらし少指出し小肱にゑみやううつくし
く然も左右の指に力を入て持出て敷有
より外にて其入へき間の中に立て何方
へ誰にすへ申さんとよく〳〵見合上座より下
座迄見はからひて持て出上座の中程迄
あゆみ出其すへき人の通りへ引おりて藩
よはぬやうにさしよりて又の間二尺八寸斗
に見はからひて左の膝をふせさまに同色の
手の指にて畳をおさへて其後右の手と右の膝
を同し様にふせてしかと置定かさを取尤右
の手にて膳を御間近く能ほとに押よせて手
貞ば云丸の哥もんを取との建悪シ左の手はむざの上
を引さまにため手にては左のゑもんを取て
帰る也右の手をは引さまにさらぬ様に
つきて下座へ向て帰るへき也但左座のか
よひは左の手をおさへ右にてゑもんを取て
帰る也惣して手のおさめ所目の付所有之
へし左様になく候へはのさけにて見にて候
客居は陽へひらき主居たる陰へひらく
へし○御膳の次第ハ折こゐの数により
九枚七枝三持たるへし右左へすへし引
物一ツものいつれも此心得たるへし
一鉢を出す事中老の役也亦賞翫の人々の
役也夜は上昇を置置は下野に可置也
あかりを入へき心持也いかにも飯をこほさ
ぬやうに夕つゝすくひ可参也三すくひ
より多は無用也もり給は賞翫には
一人に一度宛立居有へし同輩已下には
一度に二人ツとも有へし躰のひやう心得有
○鉾の飯うくる事次の上へ一礼して次の下へ
護る間器をおさへて可待也〇さし身の
事可喰別に酢にひたすし
一冷汁又御湯を引事尤にてたもとをかひ取
て片手にて引は常也貴人には左右の
手にてもよし又汁はもるへき物ならば
こなたへ請取てもるへし又ひやけの
みあらは暑を持てはさみ入ふ汁を
入るはふり其心得まへし湯は入物の益
のあかぬやうにこゝろあべし
一菓子の事時の景物たるへし菓子の入たる
ふち高いつれにも御膳と同別せかるきものに
候ともいかにもおもきやうにて持参也あふな
〳〵持へからすいかにもあふなけになくて持
也折供便山の物其外筆之趣可准之也
一箸にて物を引事貴人又は賞翫の人には
御手にあされは御つまとんに置やうに取おと
さぬやうに懸へきなり御ゆひかけてめ
さるゝ事も有亦下劣の者上手にらら
とせは着をはよは〳〵もち取おとし矢念の
やうにして落たるをはさみ置べし
一菓子に三ツの包丁有り瓜梨粉也瓜に二の習
あり初瓜の熟せぬをは皮をむかすして其侭
中をわりてまいらすへし熟瓜をは皮をむく
へし六刀六角に皮をむくへし先一の切せば
たてさまに刀をめて又よこさまにわきにて幾日にてもおやみへるへきこし也まりの皮を見へしぬ丁の時
置て二の切をは喰せ扨三刀目より賞翫の
一本まつ一切ん切て扇に三出先
方へ可参也切やうは口伝あり又大きなる瓜
ならは先立にありて扨横切て参也又茶碗
にても錫のはちなとに入て出事もありその
時下に皮をしくるもあり包ての時手を
あらふへし又瓜さしとて串を寸を寸は五寸二
三分にまろ〳〵削一方にかと有へしめんを取
へし臥さしに指てきこしのす事も有り
一梨子二拾有り節分より内はありのみと申
なり皮をむ〳〵に枕の方よりむ〳〵也先そこを
一きれ切てかたはらに置其後いくつにも切て
扨可参枝の有方を上座へ進る也畳紙こ
敷て切也鶴分より後は梨子とも申候
皮をむかて其まゝ切也ありのみの時計かわ
をむく也むく時皮をきらぬやうにむく也
皮を切は無腹也
一棕の庖丁かしらよりむきかけてすじかへて
二刀に切ㇾは三になる也芝居の時也解なとに
すへて参る也又小人なとに指南申時は
如此にして取に居てて参也○昆布を主
人にまいらする事切目を向て二切進る也
一貴人へはながみ代参る事二重たゝみて切日
を御前へして参する也
一夜頭の事勾当より上をは大略出家程に
あつからへし衣をきる故也○座頭奏者する
には右の袖をひかへて座敷へつれて出其御
のおとなしき人躰の高下をあら〳〵申てき
かするなり座頭へ酌の事有口伝先酒は
七分にもるへし其上は無用也。座頭の茶
なとも大かた同前也右にては座頭の手を取
左にて渡すへし
一尺八出しやう歌口を其人の方へ向てまいらす
へし○笛を吹人に渡すには笛のかしらを
我右へしてよこさまに渡すへし○琵琶の
取わたしの事管弦のひはならは包て出す
なり女中方へはてんしゆのかしらより左に
まいらすへし男の琵琶をはちうの間斗
を右にまいらすへし座に立るも右に置へ
きなり
一琴の取渡しの事尤にかしはかたのいそを
りやうか〳〵の下をかゝへ右にてはりやうぜづ
のいそをおさへ弾人にむせて取直しひき
のまこそを左にて取ひきまのみそりやう
を相手の左のひさの通にそへりやうぜつを
右のひさの通りに向て置し両の手をつき
右にめくりて帰るへし座に立るも右に可立
なり口伝
一座頭其座に有て琵琶所望あらは弟子
は貴人の辺にてあらは弟子ひはを持参す
る事なし侍の役也えんへ立弟子にひは
をさゐそ〳〵して箱より琵琶を請取へし
我引給に持参へし右にてさゐをこし座
頭の前にて取直してんじゆを我右へなし
可渡也帰るには御前にて手をつき可帰也常
には替る也貴人の御別にて手をつく事
貴人の方の手をつく也両人御座あらは左右
の手をつき通るへきなり何にても役する時は
礼あるへからず○主人に茶薬へき事左にて
台をかゝへ右にてほうつきと茶碗の半腹と
かゝへ左のひざをつき右の膝をふてさまに貴入
へはもろ手にて可参也等輩下輩へは片手にて
まゐらすへきなり
一板を出す事鷹の馬をはかんなかけを置て
それにすへて出すへき也取かひたる方をみ
せておく也同射鳥も矢目をみせて置也○
常の板を出すにも板の法給いかにも順逆其外
着刀の墨様魚鳥の置様殊なとのためやう
ひれの立様に能々見てかたちを見つくろひ
て賞翫の人跡をかゝへ常の人先たるへし
持て出様にさいのきは迄置所を見つくら
ひ順に雨はしてかしらの下座へなるやうに
鳥をは置へし置時左のひざをつき右の足
を八文学にふみ力を入るやうに置さためて
右のひさめしのけてつき物紙に下座の
膝をひらき一文字に立目を見合て立べ
し扨板を直せとあらは又別の両人同様に
たち出てはしめの足にて持上順にな少し
て別の如く置て置てひさもさいせんのことく見
合て立様も同前なり扨庭下の間よそへ
こゝろをなさすして庖丁過は又板を順に
にては板をまわすへからす
まいして少よしをあらせて可入也○軍陣
一楊枝の寸法の事女房児のやうじは五寸
八分也男法師のは六寸八分斗也いたす時は
扇にすゆるか又は何にてもすえて可渡なり
又物にそなるか又は木にはさみて参る事もな
り正月一日のやうしは信釜の物にうら白
ゆつり茶を散て其上に至御年男可参也
男へはふとみを左へすへてふとき方を上手
にめさるゝ也又女房の方へはふとみ右へなして
参る也下手に御とりあつて打返してめさ
ならせ児も同前也いつれも大事の躾なり
○れんほの楊枝にならび有口伝すへし
一瓶子を座に置事二人してあつかふ也同し
程に持て出九間を隔て置也右厄とも
に下野へびらくへし蝶の口を向合てしか
と置さためて上座の方の手を瓶子の腰
よりなてくだす様にこま瓜をおさへさまに
ころはぬやうに可置也やうかましくなき
様にすへし○男客人ならは女蝶をその
方に置女客人ならは男珍を其方に置と
こゝろ得へし御肴は瓶子下の方に何
献も置へし座中のやうによるへし何も
くでん
一瓶子の口つゝむ事男蝶はひたをうへにとり口
ゆふたるよりのはしをそのまゝ也女てふはひた
を取口ゆふたるよりのはしをはつす也
一銚子を置有主居に客居へむけけて置也
提子御銚子に向て置へし瓶子の下かたにも
ろ〳〵也〇酒をつぎたる瓶子を立置べからす
女蝶男蝶陰陽の客人により置様有へし
雨は客居へ向てつくへし◯盃持出る事
おもき物は是非に及ばすかろき物にてかろ
〳〵枝へからす主人と客人との中程に置へ
し客人賞翫ならは若人の方へ少よせて
おくへし座のさまによるへし
一御銚子持て出る事右の脇にかひこみ持なり
是は若年の人事の事也おとなしき人
はす〳〵に持てよし左の膝をつき御酒はる
かならはおくとを将ところにあてへし早
多在口伝
一鬼よけの事問呑とも申込持参の酒なら
は上座へ向てなすへし吸物其外口伝〇御盃
すとくこの体によるへし口鳴
一盃を取貴人へ参御礼のなりに立居すべし
盃の台少きに角ならはすみをち〳〵とおす
か又畳をそとおすやうすれは指の入
ほとすく也礼の立居其外条々口伝有り
くむしく
一酒をもる事召上られやうによるへし二度
かれは木と三度也加る時は銚子も格子
も互にあゆみ向ふへし口伝に三ツ二ツ三ツ
一つなり
一酒呑様日伝同礼の仕様も御伝ならは知た
し○上の御盃御銚子より上て持なり中の
盃は銚子の口の通に持へし下は銚子の下
に持なり○御つき酌之事主人御立の時
ハ御家人か御一族のやく也たゝる時は似分
人可然候御つき酌は遠くて能候乍去御座候
座又は乱酒のときは物遠なるは然るへから
す候ついて帰る時結ぶ時もわかれがし
らにならぬやうにけるまふへし
一銚子の涙やうなかえのかなめの下を取へし
石突に手にかけてなり等輩又下挙
の差別肝要なり○清取事右へまはり
左の手をつき右を下手にて受取べし
若又右へせきなくて左より請取事あら
はふり向て右にして渡す也心得へし
一提子の請取渡之事請取手来らは銚子
をその方へ直しさまに左へふり向て相遣
右にして常のことく渡へし口の本のつるに
左の手を下手にかけ巾を請取らすへし
提子を取人も左手をつき右を下香し
て請取へきなり
一祝言の酌を結と云事あり銚子は上座へ
向て帰るへきに結ふ時は下坐へ向て可帰也
かへとの間をも結也惣別酒はいたしのうち
よりつく也条々在口伝也○嫁入之酌の
時は右の足より座に入畳のへりをふみ
両の膝を右よりあゆみ寄て御盃を取上
様の御前へ持参すへし三足を陰陽陰
とつかふへし膝は常のことく彼女房局
楽の御礼のあつかひ有へししぎおさま
りて後物酌立殿の御前へ至を持て参
御礼なるへし上様の御別を立帰る時は右
にまはりて殿の御別を立帰る時は左へ
まはるへし御礼は二度に定る法也酒つく
時初献に加へなし此条之口伝二献にも
なし三献より後は重々加へ有之半に
する事なしみな〳〵ちやう也くはへは殿
の御前も上様の御前も同し事なり
銚子の内より加へへし口壇
し口伝を能々可取也
一御盃のめされやう男女ともに左にて召れへ
一聟入の時酌は先聟の前に向て左のひさを
つき酒をつくへしむこの前にては銚子の
わたりの外よりつゝくへし舅の前にては銚
子のわたしの外よりつくへし座に入るも
左より入へし膝を引ひらく時も左より
すへし聟舅の別の礼も調たるへし加へ
の時むすふとてわろ〳〵すれはわかれかし
らになりしつゝしむへきなり
一軍陣にての酌例式には替る也順にまわ
にて跡へ帰るへからす貴人の左の脇へ
通てつくはひて通ひすへしかし手
すへからす左の膝つくへからす酒もたゝ
一度くむへし加へは二度加れは本盃と
以上三度也かりそめにも逆にすへからす其
酌壱人にて万人なりともすへし順をあ
らはすなり
一式三献の双之事たとへは兄弟三人あらは
初献に三男二献に二男三献には嫡子此
心にて他人も是に准すへし祭々吉伝
一鷹師に向ての酌の事鷹師の右につい
て酒をもくむべしこほれぬやうにつく
へし同又酒をもりて前に置て出す共云酒
は八分にくむへし
一引約も三拾有折は右に置てもるゆくきやう
の物をは左に置てもるやからけの物は中程
におひてもるなり条之御伝
一御引出物之役之事一番に御剣懸るに
へは右の手にて足間を持て御前にひざま
つき太刀のかふとかねを畳に付て左の
手を添へて取まはし主へはき給ふやう
に左の方に出すへし二番に御弓征矢なり
弓を張て弦を外へして持へし故流も
同前弓は右前筒は左に持二ツなから一所に立る
也若北面になる事あらは横さまにも置し
三番に御着背鎧なれは役人二人也唐櫃の
蓋に脇楯甲にて置前の役人は中へ向て
舁出して客人の御左へよせて少左胸板と
腕曳を向合申おとの役人はしはらく残て
草摺その外手なり斗かひつくろふやうに
押直して帰る也すへの役者ハ少居のきて
待跡先始の如く帰るへき也○きせなる請
取事上手は先あゆは出主人の御座の間へ
奇礼有てより下手は目と目を見合て取下手
の方へ上手よりて請取帰る時上手に成なり
四番に御戸側行膝添也是はきせなかより
以後も以前も同別也出しやうは行縢は
うつとを合おし折白毛を見せて雨方の手
かゝへへし一本
にかくへし切で付たるならはありのはしを
折て出すなり左右にて持参すへし若又
の前に左の膝をつき左の隙を上に白毛
を人の左に夕筋かへて置へし帯をはかさね
て引そろへてもつとを合出すへし折て
白毛をみせて両方同しほとにかゝへて出す
へし沓をは緒をむすひてむかはきの下
に持也くしかみの方を前になし引のへ
て置履をは立てもふせても白毛のはつれ
に置へき也五番に御馬に鞍置たる一疋辛
手はゑほしかけして結ひて其末をあけ
さまにからむ也よせてりなくはもたち
を取へし下手の引手は中間の役也手綱
につき出るせ次に引添はたゝ馬はかり引
手は一人の役也此外の引出物ともかくも
あるへき也唯馬は後也是も引流といふへし
一賞翫の白拍子妾傾城なとに料足出す事
むねとの中へ持参してめぬ〳〵に出さす
とも又唐櫃の蓋に入て出に刀にて切やう
に二刀三刀して出せは中にて分る也豊
出ば大夫一人しての引出物と心得てわろ
し小刀を広蓋に持添て座に出すもの
なり披露して刀にさして帰る事も有
品積なり
第七奏対門
一奏者之事第一に主人の気色を能見又
来る人と主人の物遠になきやうにすへし
又座配なとのひいきへんは有へからす左の
人楫する時は其手を左にし右の人揖
する時は其手を右にす
一花を御目にかくるには木花をは木なりに本
を下へ持て御目に懸る也左に持へし草花
をは先を下へなして引さけ右に持て首
にかけ申也当座に成て上を御目にかくる也
○花瓶の事神前ならは左の方に仏前なら
は右に立るなり
板金也余ヲ尽ク板ノヤウニシタルナリ
一黄金進る事うすやうにつゝむ事も
有春は桜夏は柳秋は紅葉冬は梅か
松の枝いつれ成共、指合の枝なきにまへて
て出なり
一魚鳥の詰取渡之事一鳥一魚をはかしら
を人の左に腹を外へむけて持参すへし
膝つく事常の如し一つがひの魚鳥な
らは腹を合かしらは同前なり○羽を進るに
は一尻の羽円羽をは鳥をたゝし羽さきを右
に進る也つくりたる羽をは矢をたゝし是も
羽さきを右へ進るなり
一鶯を渡事両様有常はまるやすめの方を入
の前へなしたかやすめの方を我方へ出すへし
又合する時は高やすめを人の方へ丸やすの
を我方へして出へしたゝの時は鳥の屋
とりを本に渡し合する時は合方を付
へめさるゝやうに出すなり
一鷹渡事鞭にて身よりたなさき尾さき迄
かひつくろひあふらを引させて侍也請取
人来たらは一礼して先居かたを渡さんと
すへし鞭をはおしむへし渡して後は手を
つきて帰るへき也条々口伝帰りやう有り
○鷹請取事先乗か身をかひつくろひ
鷹のおとろかさるやうにこしらへ常のことく
一礼して座へ参さしより先指掛をひそ
かにさしてよく〳〵緒をしかと留て鷹の
そはへ参ひさまつきて左の手をつき右
を下手にして先ぶちをこふへしふちを
こふて右の方に置て其後又右の手代下に
して色代有て大緒のさきを取てとばぬ
やうに受取さらりと居なおりて鷹の
五方をかひつくらひ目礼有へし条之御伝
有り○荒鷹ならは大緒を一筋はかまの
腰にはさみ残を先づしさて腰の緒を
取て渡達し
一鷹請取時もし大緒を取こほし一筋渡
さは先取こねしたるを飛ろひて其手にて
大緒のはしを取右のゆびにからみつよ
〳〵しつかに請取其儘順にまわりて人をこ
鷹のうしろになさぬやうにすへし其まゝ
すへなおしてよく拵てつなき渡す事
は又御意にまかすへきものなり条之口伝
一鷹津なく事大鷹は七くさり成へしせう
は五くさり小物は三くさりなるへし隼は九
くさり又七くさりにも間をちかくつなく
へし留り鷹は大緒のほしを留て結ふへ
きなり通り鷹は大緒のはしをとめへ
からす○神前の鷹は二ツのくさりに輪をな
ならへてわにくちのやうに磨へし○鷲の
代に懸る鷹をはくさりたる末を二に分て両
はつなのやうに魔なり
一並へ鷹は大鷹は本木兄鷹はうら木成へ
し惣別ちいさき鷹はうら木と心得へし
○架の木は柏を本とする也其外は品に依へし
一鷹とはせぬ薬の事大鷹のかへしせらの
かへしを等分に合て茶半服ほとかふへし
一ひいきの人諸取内儀にて可飼なり
一鷹鞭渡し請取事渡し手はおしみ
請取手は先ッこふが法也渡ス時右の手の
かうを地に付て取柄六寸出して渡し
うけては鞭を請取常のふちのことく
さらりと振なおし右の膝のもとに置き
扨鷹を凌とるなり
一餌袋の事大物には必そふへし○餌袋を春
夏はたかかしら秋冬はうさきかしらとも申
也此方を人の方へむけて出へし
一鷹詞之事○さし取とはおきとる事なり
○木居とは何の木に居たるも同ぜん也〇立は
しるとは木竹家なとより立て行事也
○うつさしまふとは少舞事也○おきしふ
るとは見へかたき鷹の事○そしゝとは峯
より少下をいふ也○ほなるとは山半分を云也○
たもとはふもとの事也○えりとは峯の事
〇せことは立あかるをもふみあかるをも云也
せこふみおろす共云也○小柴をならすとは
木草をたゝく事也○つかれをいたゝき
おくるとは鳥の下を鷹のとふを云也○是を
羽うらとも云也何も邊程の事なり○
つかれを見えほすとは鳥の上を鷹のとふを
云羽おもてを飛とも云也○つかれをかつし
くとはつかれ木草の根の有に上鷹有
を言也○そらとるとは中にて鳥を取也○
大空にきよせ合すとはたかくそらとる事
也○かけなかす又ひんなかすといふはそら
にて取てよこに行を云也ひつつて共云也
○草を取とは取てははなち〳〵する事也され
は一草二草とると云也○毛花をちらすとは
毛をとりちらす事也花を取ともいふなり○
○花をふるまふとはつむへき所をつめたる
を褒美の詞也○一番たちとは始てかけ
出す鳥の詞也○はらとりとは公家の詞也
はんとりは武家の詞也いつれもはみ出たる
鳥の事なり○つかれうつとはかけ出す
鳥を取はつし〳〵するを又立て合する
事也○あたりおとすとは大鷹の詞也○とひ
おとすとは小鳥の詞也○ぬすはむとは取た
る鳥をやかてくふ事也○おら鳥とはつかれ
ぬ鳥の事也一番たちの事也〇大谷渡り
とは西の峯の間を鳥に付てとふ事也○谷
にわたつてくるとは心よく見へやすき鷹
のことは也○つかれをみするとはおち草
を見おほゆる事也是は遠見のことは也
〇あてくさとはおちたる所の草也〇覚草
とはあの辺へ落たると思ふ所を云なり○
はひからむとは木草の根をつかれについ
て左かまいるを云也〇やり立るとは公家の
ことば也やき立るは武家の詞なりいつれも
こゐなる鷹の下にゐたる鳥をおひたつる
事也○沓を結とたとふる事は鳥を中にて取て
おつるを云也兄鷹の詞也皆をむすんて出くるに
似たる故也○く将なとふといふは打つゝ鳥のとひ
あかるをいふなり○くゐな立とは少つゝ鳥の立を
云なり○古羽にかく右羽にて〳〵とは鳥のかた
ふきて追たるを云也○本へ帰るとはかけたる
ふとへ鳥の啼るを言也○たちがらとは立た
る跡の事也○きりやとまりとはつかれを捨
る事也○木とりとはつかれの鳥の木竹よのほ
かたるを云也〇こしまつるとはつかれをすてゝ
よの鳥を付て行をもいふ又鳥ばより行
そも云也○又こしまつることはたもとより立鳥
前へは不行してあとへ帰るを云也○かさひとは
る所へ鷹の上る事なり見ふるす草とは
落草を見うし給ひたる哉云也○せこをかく
るとは勢子立山よりも一面におもてをつくり
南のはしと中と三所に三人勢子大将とて
置也出入のなきやうにかかくへき也是は鷹に
よく心得たる人を置へし此人の云なりに
勢子は有へきもの也せここ色はけい〳〵
ほう〳〵ともかけえぬ〳〵ともゑい〳〵ほう〳〵
ともかくる也
一鷹にいむことはの事さがるおつるくたる是
三ツなりむらなと云事ともいひ也犬の逃たる
をさへ山をたちたるなと云也
一松鷹のことは三月より内にたゝ取たる若鷹
を野晒といふ又春野に久しくありたる鷹を
山されとも申てなへて大鷹の事也是春の詞
なりしとふる春の藪の事也弥生より内に
あみて取たる若鷹はいつれもさほ姫といふ
是も春鷹の詞なり三月よりうちに取たる
小鷹をは小山復と申候也又つみゑつさゐのうち
にきをは木の葉かへりと云是は四月まても色
からす候
一夏の鷹の詞をき取めたかとは尾花のひとくの
物落たる後の毛の白きを云也〇夏の言葉
尾花すりの鷹とはおはなの如くのもの毛の庭
たる後の毛の国を申なり○火おとし給
鷹とはつゝしの花をつかねて隼のすに
おとせは火に似たるにおとろき立を云但七月
は不可調候○内総くだ鷹とはとやたかを云ねく
どの雪をはとやにしろき下毛の落たるを云
一但巣まわり七月に入て七日以別の事也
一秋の鷹の詞網懸とは七月より冬の月にい
たるまても取たる若鷹の事也但七月半
まては巣まはりといふ也七月末ならはいふ
へからす同巣周は山干かきらす里にも
かへるもの也是大鷹のせう小鷹ともに如此
本より隼は里にも有もの也○うつらむ
れたつとはおほく所によりて立事也
是をうつらの床ともいふ也○巣鷹巣まは
にあみかゝり此三ツを可置箭もの也
一冬の鷹詞ねつしの雪にはしろく雪の
ふりかゝりたる心を云又雪ずりの鷹とは
尾羽も雪にすりかたしたるをいふ也色物の
ことはなり
一御台むかひの時二度の松明一度の紙燭の事
口摺○馬場の続松は厩の舎人の役なり
松明の谷傳あり
一舎人の出立は上下又は袖細也御輿を門に
向て交れは左右より舎人まいりて祝催する時
御中間衆ゑほし上下にてつくばふて松明を
は右にて取たをは下手にかけさいとうを中間
一ツに二つゝ持て出御輿の前に伺公し金人
を召て左右の舎人に壱度に渡すへし
其時とほしめのはなれぬやうに取分左右
にて取わけへし三度取わたし地に
あて打けすへし舎人共彼松明を御輿
のひだりへ舎人は左を右へうつし右を
左へうつし三度して三度めに本のことく
取等すしかしらを合打しめして一所に置左
の舎人御こしのうししろをまはりて右の舎人
と一所になりて遠く伺公すへし渡し
たる御中間同しく伺公すへし雲の間三
丁ほとへたつへし
一庭の松時には御中間の役也御輿をおかずの門より
唐破風に向てたつる時御中間上下ゑぼし
返しもゝだちをとり左右に倶達し其時
侍さいとうともして御輿のむかひにたち彼
中間をめし一度に右にて両方へ渡すへし
左右の役者御輿申どをになかえののとおり
につゝくばひさいとうのかしらを合たに取
まはし輿とをらは庭にて打しめして一所
に置侍は輿の左へよりてつくはひ左右の
役人ハ左の御中間御輿の御うしろをまはり
御むしの左に一所になりてかしこまるへし
侍主よせくゝり也
一御紙場の事御輿をから破風のへんに寄る妻
戸の間の後陣の衆は御輿のなかめをさし
あけ御こしをたつる時主の家の子二人出立
はゑぼしひさゝれつまはさみにてよせくゝりを
して左右よりなかえをへたてゝつくはひ
待申品にみすの内より御女房紙燭を二ツ
ともして右に持御輿のなかめ二ツの間に
立出入給ひさし出してそのまゝ立給ふ所に
二人の家の子左は左右は右にて受取て
しそくのかしらをはなれぬやうに爰取
ちらへ扨さし出し候時にもろしらを合て
まゐらする也申いる時已前の御女房衆多し
多うかみをひたりに持右にて紙縄を
とり出し合はたとしめし給ひて本水如
〳〵かへり給ふなり
狩猟
三議一統下
3923
第八馬法門
一爪打刀の寸法九寸三分広さ三寸壱分也〇瓜
打槌の寸法頭の大さ九寸二分長二寸一分柄の
長さ九寸八分也刷三尺九寸二分也刷柳のは
の長さ二寸八分也数九ツ又は十三十五にも
すへし
一輿の名所の事はみほうみ引手たちはなひん
ろうしと云名所有也
一鞍の名所之事前輪後輪ゑほでのぐつぐつかゞ
み、ゆ木、切付、力草、有つな、はるひ、むなかひへお
もかぬさし縄、かまへなわふみはな革、馬鎧、
馬面高衣、尾袋、泥障獣頭、鞦馬介褥
一勤褥采、旋。逆新由木ノ鞍炮、鞋
一馬の尺さすには左の方よりさすへし貴人の嵩
をかみわけてさすへからす○一の厩とは何間もあ
れ口本を壱両とする也
一主人御馬にのす時引出しめすやうに御手綱を取
て片手にて打かけかしらに立向て弓手の御供
を右にて出さへてめさする也舎人なき時の
事なり
〇一礼馬の仕立やうの事路次の間計は衣をきせかし
らを巻へしつかふきはにて衣をも取かしらを
もときく引へし本追綱をもとくへき也
一主人の砌にて庭乗達き事引かへたる馬をそ
に伺公候時は馬の左を廻り馬の右に寄て扨手綱
をうけ取其時引手の向へ立向て両手にて
口をおさへ給するさて乗る人は右の手にて
手綱と馬押へのかみをとり添て扨又左の手
にて鐙の舌先をおさへ扨あしをかけ乗て身
なりを引つくろひて手綱を引そろへて可無別
也茶之四伝等有之扨乗へきやうは四面上方の
こゝろに口博有其後右へ三返うちまはして
そのゝち御まへに引立御意をて待参之品有口伝
一本に云主への仰にて馬庭乗の事ひかへたる
馬を左に伺公のときは馬のたを廻り馬の右に
寄てこしを前におしのくるを礼とす其時
引手立めくりて馬のもろ口をつきて後左にて
引手を取手つなの三だんを鞍の前輪にかけ
て引そろへ馬のかみ中を取らく鐙をふむ
いなやる傍乗さまに手綱を外へなし尻
輪のきどもゝを外へおすやうにして祭へし
豆しさらかしかくひたりへ三へん打まハし
て主人のかたへ引払て立後引立渡候也
とらするには赤石のこふしの上の手綱を
とらするを礼とこゝ路得へし
一傍輩の人指南して鐙をおさへは其手の上に乗
左の手を置て手をひらかせて後徒をふむべき
なり○人の馬鞍に乗るときは鐙の背きを引
へし○主人のくらならは左手にて鐙のく川おきの
本をいたたく心可有歟鐙の習おきに左の手を
置手綱を取可乗也はかまのす空をふみ馬み
たるにて証をか〳〵一へし
一鞠のかしりの有庭にてはかゝりの外を引おり
〳〵三度打まはして折事もあり又かゝり水木
をもかけの事也乗様御伝有
一鞭出事庭景の後鞭と師あらは右の手に
策の中を持左の手にてはつゝきをおさへて
参るもの也策を可出品案と御伝
一鞭請取事左へ手綱を取移して右に鞭を
取鞭さきに目をつけて右へ身をひらき右
の大ゆひをはまのこしにかけて一文字に
さすへし
一おさへの上りは人のひかへたる馬をは御むまの左へまいり
左にて下手に肉の鐙のかくを下へ奈ては舌先
を上手に指さきにてとり左へかゝり力を入て
こたへへし○おさへの下はのか手たつなに
手をかけ鈴の足をかけは乗候はんと同力に
一尤ニテ引手ヲトルヘシ
左にて同方のむなかひを引へし
一貴人の馬に鞍あてよこあらハむちの先を
此分脱文カ末ニミヘタリ
取返し取柄の方にてうつへし○馬を入
に出して又請取時返しもたちの事
名字なきものはもゝたちをたかく取て
ひかへへし
一馬を御目にかくへき事し先馬を庭へ引出口を高
々とつき上三足しさらかして其後左へ押廻
し乗かたへ御めにかけ候その時は左手を打下
右手を高く御のにかくる事足躾也扨其後又後
を御目にかけて物如常引へし別をは御めにか
ける御意を待なり其後入れよと仰あらは
又左へまはし空入也万々歟御折
一本会馬を御目にかくへき事先向に立ち
出ししさらかして目詰を御目にかけはまは
して右へちとくつろけへし押廻し
さまふ雀を目にかけつきまはして入れ
は五方也公家にはくつ路高時あしを
つかはせ武家には足つかはせへからす公
貞又云前ノ股ハ三方ヲ御目ニカクル事ヲ云フ
後ノ段ハ五方ヲ御目ニカクル事ヲ云崔司
武家のかはり是なり
治ハ両印ノ馬ナリ
一馬請取候はぬに名字を問分て請取へしとは
手は無益なり但能々下劣の人ならは上手も
くるしからす上手を問ひて其ふる申ひ肝要
なり
一礼馬を庭へ引立れはわれも〳〵と心かけ乗候へ
と仰あらハ或代して主人の通りにてはひたり
の手をつきて馬の前なりとも通りて乗へし
前挿此とき也内々馬のむきを心にかけ左に
て引手を取くせ有かと問分て祭へき也
一女房に馬をみせ申事馬を直にむかはせ申
へからす少すちかへ条之口伝
〇一馬に付ての詞高場にては馬場本馬場末と
云なり尤追物の馬場を縄さはと云也笠掛の
馬場をされりきはと云也口伝○あじ馬の詞少ひく
<割書:ヘシ
又さゝうなといふ也○馬の生死を知事春の内に
七日の間馬の鼻に油をつけてなてゝ見るに必此
此文字有也大川一王山天心正風死生用〇本
の手綱七尺五寸なり右本の手綱を七尺五寸にきる
事は七尺は七曜を表す五寸は五行を表する
なり弓弦を表する共心得へし○修羅の手
綱の事三尋一尺弥陀の三尊三身を表し一は
日天を養する也○常式の手綱九尺五寸迄に
九曜と又五智の如来を表する也○社参物
一消笠懸右進物の手綱は八尺二寸也八尺八尺八尺八尺八尺八尺八尺八尺八尺
を表し二寸八日月を表する也八天とは持国
多門増長廣目東天聖天皇天皇天皇天天
なり
一木腹帯は一丈二尋なり右壱丈に切る事二尋は陰
陽也○修羅の腹帯は三尋二尺五寸にきるへ
し三尋は三身二尺は陰陽五寸は五智を
表する也○常の腹帯ハ一丈壱尺一丈ハ二尋なり
月日を表す一尺陰陽也○社参物諸犬笠懸
の時は腹帯一丈三尺なり是又二尋天地
陰陽也三尺は法報応の三身なり
一手綱取やうの事りうそゐ本文字小十文字日
月大かけ結おきとりつくのひ手綱なとなり○
流水の手綱取やうハ三重に取也是は陽の口
の時有し○十文字の取やうは手つなを
中にて結ひ十文字になすなり駒返しの時取
なり又出のうちはなる馬をは一さんに出す時
するなり○日月の手綱日月は両方に輪を
取也是宿入の手つな也○大かけの手綱常の
時返し朝夕乗時の事也取やう大か
に手つなをかけて親し○にかけの手綱取
やうに指ににてとる也紫曲の馬人引馬に取
へし口伝
一よふこ鳥者此徳は馬場中に馬を置て酌にて
まねけは来る也薬有り十二月の末の卯の
日ためたるうさきの尿を取て粉にして甘草
の粉黄連此三を未分に合てかふへし荒馬曲
馬陣場出なとの馬にはかふへからす
馬の出しきをしつむる大事甘草をよき酒
にてすりて五筒かふへしあまりに過へからす
条々口伝にあり
一ツ橋用へき様は手綱を等分に取て鑓をうけ
てくびすをもつて馬をはせみ渡へし目つけ
耳の間なり○武那覚のうちつきはさみ右此
一徳は五あり用へきやうは馬を人にかし又
請取時の事也左右のつまはさみを取へきなり
是も名字有人の事也かつて油断有へからす
たを高くわさむへし
一馬を渡事兄庭の体を見つくろひ門外にひかへへし
扨馬をと司遣あらは其時庭の中に引立請取人
来るを一相触さて請取人来候ハゝ年度見合候其
御うけ取人手をつきわきへひらくへし扨さ
し寄り請取候上手をを云心もちして下手を
惜むへしうけ取人は下手をと成たひして
扨見つくろひて渡也扨貴人に向て手を着也
一本之云馬渡す事馬を引て出て向に立屋か
て三足押しさらがしていなやに馬の右に立
手綱の左をの立たんをは右の手にて持ゆひ
二にてかひからみ右のみつつつきをは静を二
つくりてひかへ請取手来らは先年をわた
さんとするにうけ取手礼あらは一礼してさん
だんをふりほとき人さし指にて躾よくふる
まふへし
一馬請取やうはたとへはわか主人へ到来の馬曳と
き庭にての儀は不及申或は途中なとにて
風と請取事もあり又余所へ被越候ける被得
時も有へし先教所へ到来の事ならハ渡す人
知る人なれは不及申無案内の人ならはそと内義
にて名字位を問て扨主人の右に有之候はゝ馬
を引入所をのに付て見候而扨うけとり候へと
仰掛らは馬の後を一通り其時主人の御座候通
にとく見合手を着通りて馬の石の方にて
手をつくへし扨わたちへひらき候はゝする
〳〵と立寄請取その時上手下手の式代あり
請取候而の躾は先書に申ことくなり品仕合は
条之口伝有請取は輪を取なおすまつ大か
た口難に候
一本之云馬請取事たとへは客居に伺出して
馬の左を廻り腰をすくに持尾先の通にて
一乱して右へ参こしをよきほとにこゞめて
一礼して先右を下手にしてわたし手
の右の手の三だんを受とらんとする時いたし
手たつなをおしみわたすとき右の手にて
ゆひ二にかひからみ物みつつきを下手に
取輪を取直すへし
一返しもたち右此徳は三ツ有用へき様は馬を
人に出す時請取時の事返しもたちをたかく
とつて行是は名学なきものゝ事也○引て
出る右此とくは六有用へき様は人前へ馬を
出し候時の事別えたの通立行へしおとろ
きくるはゝ左の肱にて馬のかたをおして右の手綱
をうくへし○右の引手曲断有へからす馬哉
とほの〳〵へからす口伝有り
一円左右の手綱右此儘には四有用へき様は常の手
つなの事左右をわなして引へし○押の馬右
此徳は三有用へき様は主人の前に引立へし座
敷はいつ方にても同人左右の引手を指上て
馬をすゝめて行へし
一片手綱右此徳は二有用へきやうは右手綱を丸く
して引へし是は犬笠懸の手つなの事也口伝
有へし○折の下右此徳は五ツ用へきやうは馬を庭
へ引て見んより下へおりてつくはふへしかゝりにて
我も〳〵とこゝろかけ梢を見わくへし
一暁とり右此徳は請取候はぬさきに名字を問分
て請取へしかつてうえてなとはは世益にて候也
但よく〳〵の下劣の馬のぬしならは取へし○渡
右比徳は渡ぬ先に名字を開わけて手綱を
おしみていかにも色代肝要なり○前はさみ
右此後は三有乗候わぬ先にはまの別
こしの中へ結目をしかとはさむへし○一礼
右此徳は五ツ有用へきやうは馬代庭に引
立て我も〳〵と心かけ宗候へと仰あらば
色代して主人の通りにて左の手をつき馬
の別をとおりて来へし○引手とり右此徳は
み有用へき娘は馬の前により候はゝ内にて
も馬くせなきを心かけて右の手にて引手を
取嵩曲の趣候はゝ片手をもつけ曲を問分
かくのるへしかつて柳原ものるへからす候也
一乗渡し右此値は三有用へきやうはのらん
時分手綱をごき下て右にて手の屋をかけ
左の手にてはことの引手をしかととり乗候はゝ
左右の輿を取へし乗つくうひ候はゝはなつへし
○坤の下手綱右此儘は二有用へき様は乗手
手綱に手をかけ鐙に足をかけ乗候はんと同力
に右の手にて力をまかせむなかひを引へし
右の手にて引手を取へし押様おほきにあたる
なり○前橋かゝり右此儘は五有用へきやう
は左の手にうた引手を取右の手にて手綱を
鯰の前橋に打かけてかしらを引そろへ
て鐙に足を引揃て鐙に足をかけ其後
右の手にて手綱を取そろへて鞍の別輪に取
そゑ左の手にて取そへて左の手にてはその
くらのきじもゝをおしはやく腰をまはして
のるへきなり
一傍乗右此徳は四有用へきやうは具足着候
時も太刀はき候時もつかをも鞍にあてす乗
る事馬のうしろの方へ身をひらきてはやく
乗へしいかにもかろく乗へきなり条た口時
一月日右此徳は六有用へきやうは馬の上にて矢の
なき事左の手つなをこし取かへは丸か二ツ
是は月日を表したる事也すミ手つななと
はせぬ事也○ゑもんなかし右此徳は三有用
へき様は左右の袖をたつなに取添へて
又手綱にかじまり候わぬやうにはかまのむか
はきのそくに証のそてへ出様に乗へし
ひたをたしなみて取へし
一瓜さね右此徳は五有用へき様はむねをそら
してはらを打出して鈴をひらきてあまり
にひらかでうりさねをしかといかにも乗すがた
肝要也○法の手つな此徳は四有用へき様は
人別にて手つなを天指に引からみて小指を
はつして取へし是は弓持候時も肝要なり
一蟻行右此とくは七有用へきやうは不断乗に
よし如此のれはかしらのおもきるも高く
なる前足後あしの心得にも渡りて乗姿
も尋常にみゆるなりしさくかして右へくつ
ろけて左へ折てしさり口を乗て扨馬をあ
ゆませ右へ折てしさり口を葉かく数定り候
はぬと申共先三度乗て乗納むへし
蟻行
一用力此徳は六は用へきやうは廻らす時の人
の姿も馬成ともむじにみゆる也廻す内の証を
ひらき廻るうちの尻えたを同尾にかけて廻す
へし馬なりは舟をまはすに変したる事也
一行さる右此儘は五有馬を廻して一足くつろけ
て御六さり口をのるへし
一三ヶ月此徳は六有可用様はしさり口をのらん
時の事前輪をつめて鐙をふみ出しひらゐ
て扨耳の上六寸を見て手綱を引へし
此姿肝要なり○前山押へ右比徳は六有
用へきやうは馬よりおるゝ時右の手にては手綱
をおさへのかみのはんほど取添て左の手にて
は鞍の前輪を大指を内へして押へておりへし
馬出候てのらんと思ふ心もちなり
一そはおり此徳は五有天力はいて柄鞍にあ
たらぬやうに庄へ身をひらきおるゝなり○返し
手綱此とくは五あり用へきやうは馬よりおりて
後大名なと其以下賞翫の手綱を返事有へ
からすたゝのものは返してひかへなる又人の
方へ渡へし
一かま縄の長さ三尋かたわき也○鞭の長さ三尺
一六寸又三尺三寸也取柄の長さ六寸みしかきハ
尋なり
第九蹴鞠門
一鞠の事人数に至て一流の書籍有とく習な
れは是は頬方斗也よつて大方はかり記候た
みへは主へ貴人曲足名足あそはしたらなり
くる翻なり共名の出る足をけへからす条々
口伝
一鞠見物の事若なかれて見物衆の中へくる
事有は見のかしたるは比興なり我前による
鞠ならは手のひらにてうちやるへし貴人主
人のおそはし候鞠なり共さやうにする也と有
上古も御比むかし坊門殿の御鞠の時弐人
まりころひ馬を取て両方の手にて構て
参りしを法をしらぬ人とわらひ申也亦
貴人の畳をこかせて御見物有之所へまり
なかれよりしを為にてうちやり給ひしと
かや是は御堂殿か法性寺殿かと申せし
也○掛りを植る事柳桜松楓と植へし
木と木の間は二丈二丈八寸なり
柳七
桜五
○
○人数八人也
北軒
円座
(
松六
風四〇
楓四
木八〇廿一日
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
一切立は二丈或は一丈八尺なり但家によるへし○
竹のかゝりを立る事其間弐丈或は一丈八尺八分
なり但庭によるへし○竹のかゝりを切事丈本
の節の下一寸うらも同し本の枝もく事ゑほ
しのあたり候わぬほとにもくへし又壱丈五尺
にももくへし又かゝりを植につま戸の中に
あてへからす○切たての事松たてはみな松みな
柳是ハ常に有へからす二本ツヽハくるしからす
〇にけ木は三方に有へし去なから南と計
心得へし柳猟を植へし又網の高さは一丈
五尺八分にかくるなり
一鞠をほす事松のうち。枝に応へし人にけさ
せぬ鞠をは一結に結てかけへし是を見は鞠
を所望せずして帰るへし条之口伝〇蔀の
かきにかけてほすまりは其日蹴へからさる也
一鞠を見物する事とも蹴足を立て居たる人は
是非に蹴へきものとこゝろへへし蹴足をふせ
見物すへきもの也又えんへおりてみへからす
一かゝりの枝をすかす事柳桜楓は侯より一寸
おきて切松をはまたのきはより物へし口伝
有り○土用の切立をは松二本柳二本成へし
但土公をまつるべしまつらすんは蹴へからさ
る也口伝を能々取へき也
一鞠の取皮は一寸に切へし又は八分にも切事有
○かき返しのはりめ七はり但麹によるへし○
鞠を庭に置事取皮を左に持て木の外を
廻り桜と柳の間を通りて腰皮を御前に
ひけて取皮を上になして庭の内に置て
しさるへし色代有へきなり祭之御伝有り
一松の本には酌する人東の脇に立へし下足は
柳の南に上足は東の脇に立へし桜の西の脇
には是を心得へきなり
一出皮無役紫草又黒皮是三色は貴人の習也
常にはくへからす紋は何にても有へし○
鞠の掛りの木にとまるをおとす事数取人
も同所に有へし此方は丑寅の方少西へより
て柳のきはに伺公すへし
一軒むき北ならハ西より鞠を出さは戌の方より
あひを通りてかつらめを松と柳に向て置へ
し其後ういつくろひて又本の道を隔る
きなり
一鞠の緒の事四季に替へし春ハ紫夏ハ藍秋ハ
黄皮冬は白草也かた打目縫争は七針目同同也
○鞠木に付る事四季にかはるへし春桜夏柳
秋紅葉冬松河も枝なり○付草は広さかつ
じめと同し三分也皮は前のことく○鞠の付所
秘事也木の枝何も五尺三寸に定るよりを枝
に付へからす三木に付へし○かゝりの木の遠近
の事木と木との間二丈二尺軒と木との間
一丈八尺也上屋の柱と木の間壱丈貫又丈八尺
に極るせ庭せはくハ一丈八尺上屋と木の間壱丈
弐尺にも有へし○常の木の事榎木丑寅むく
の木辰巳柿木末中桃木戌亥此四本は切立
にも用へきなり○木をすかす事挑切候共こす
へを切へからす絹の木はこす湯をもきるへし
一二の坐之事東向の家ならは申の方への座な
るへし是にてするを心得へし○鞠がきの事
躬の木六寸に切へしかきの枝はみ木に桐
応すへし是を壱丈の竹のうらにかみより
にて結付へし但竹のよの内への事有へから
す但人の別へ落る鞠をとむか枝をおらんため也
一まりはさみは暑儀なり御会の時は鞠桶
の中より取出し庭に置へし口伝多
一鞠を額場へ出す事妻口の間より出すへし
此部の間ゟ出へからす
一弓鞠のとき円座を敷事あみ目を表あなす
座配のやうによるへし円坐なくはうす
畳あつだゝみもくるしからす
一かゝりを通へき事木と木との間を通るへから
す人数鞠を蹴る時は礼におよばす隙を
うかゞひ礼するもしかるへからす候なり
一家のさまにより高円座を敷へし円座なく
はうすべりも無かしからす候なり条し口伝
なくては難知なり
○八人之田野
一簾中柳桜○
○
○
北軒松楓
座敷
役人四人の円座
第十膳部門
一板の寸法二尺八寸但大鳥の板は三尺六寸也厚
さ四寸八分也足三寸六分合八寸四分也又或説
には二尺八寸五分なりはゞ一尺八寸二分厚さ
四寸足の高さ二寸足の厚さ二寸足の広さ
四寸足の付所板の切口より三寸五分板の前
のかまちゟ足の間一寸九分也条し口伝○板を
出事鷹の鳥をはくち餌かひたる方を客人
の見分に入るなり○鷹の鳥えからをはとり
かひたる方を方にしてすへへし又口件
かひたる方を客人に向て出へき也○射鳥をは矢目
を客人へ向て置なり
一鷹の鳥もるへきやう下に引たれ上にべつそくを
するへし○汁には商足を贈事も有へし又
有へからさる事本也又出魚粉をはとつてにぬたを
つけす○鷹の愛屋もかけ爪を上に見せて
するへし鶉は頭を真になして盛へし
一出陣の時色々あれ共二種の肴組昼は右にう
ちあわび左にかちぐり七ツ也夜は右に勝栗左
にうち蛇七本すへへし条之御伝
一式三献の御肴まいらせらるゝ事右の手よりに盃を
煎し三献めを取て二番の上にかさねて
みなの上に初献を重ねてあけへし御手掛を
置て三献めの御肴皆取てかさねて置なり
一御銚子提子つゝむへき事詰目九也東へ指たる
一御銚子提子つゝむへき事結目九也東へ指たる
柳の枝を二また成るを取て銚子の菊かねより
二寸のせて柳の枝をわたしの本まて指出し
こふし又七ふしにはゝむ也五柳をつゝみ流る
事いはれ有柳には薬袋をかけることろ也
某の名をはほくさんと名つくふくろは生絹也
松なとの葉をつゝみ添るは略義なり
一瓶子の口を包む事次第は螺をまなひて
包也又女蝶男てふの心得有女蝶にはひけ先
をひねりつめ羽さきを下へたむへし男蝶を
はひけさきをはつして羽先を上へたむへし
雁一本
又ひけのためやうも同心得也同提子の口
結たるよりをひけになすへし男蝶をは常の
よりのせくよるへし女螺をは両の端を少残し
てよるへし其外口伝又桟敷に瓶子を立る事
習有女客ならは男蝶を其方に置へし是賞
翫なり男は左女は右なり陰と陽のこゝろ也
条し御伝肝要なり
貞丈云京都将軍家ニハ包ムコトナシ
一銚子提子つゝむへきやう結目は七九也橘を上
七に結なり曲の下を二節結也但石付の方を
一ふし云ふし結也柄に松の葉結ひ添て
出す也又東へ指たる柳を添る儀前にあり
一聟嫁取候時の食にも餅にも鶏鮎鮫添
へからす○御前むかひの時三品立の食出るへし
置鳥置鯉瓶子一具銚子提子二重手掛是
は常のことく置鳥置鯉は一番宛は然へからさる也
一車にてゝ輿にても主人のおり給ふ時妻戸の内にて
簾をあけて向る事也其座の祝に男有て
つかはぬもの也只女中計の義也三日の色直し
の後一座にて祝言有へし女房の胸の守
の緒は男寄てとく也御介階の女房は左の方
に有也指寄て女房のたに居て女房のうし
ろへ男の右の手を廻して片手にて守の右の
一緒をとくなりさな〳〵は介錯の女房もとく也
一式の食といふは三品立ヲ五本立なとして
ごはき食を大きになりて紙をたゝみて
事をして結目をぬしの前に向て引とく
やうにむすふ也御ぐそくは色えの魚鳥を盛
又は精をの物をももる也余し四伝八にも丸に
も十にても盛へし箸の台にはみゝかはらけ
なるへし箸の臺に添て焼塩梅そはじ
かみをすしきに入て前に添る也しきの肴
のことくみゝかはしけに流る也又御汁のさい
は別にする也是もさかなのことく鯉のわた
藍鳥のひしほいかなとに添くそく七五
添也其次にいつけのことく食を一膳する
也姫の食とは是也是も御汁のこは二ツも三ツも
一添也追膳と号して御食をかき分て何にて
もあれまゐりたるけをかけてきこしめ
す也何にても主人のきこしめしかけたるを
取てかけて喰事御わけを治る額なり
一公家内裏女房のとき供御仕立事膳部
といふるは此此事をよく知て仕立間是に
したかひて仕立させよ三条殿三飯はふき
こしめすといへともまします也何にてもあれ
しるのものは四番先汁を吸へし
一先錠あけて三日喰大汁を一はし喰てけを
すはずしてうちのなかもり右の頭左の前より
内の中まてさい哉喰とめ食を喰ひかひの
中より左のかしら右の頃左の前より内の中
申てさいを喰とめ食をは又喰むかひの中
より左のかしら右の内二腰の中盛にてくひと
むる食を三箸喰追捨の中堅右のかしら
より左のうち本膳の右手本にて喰おさむ
冷けあらは手をかけて喰なり
一通の喰包う食半分の時三の撰上の左のかし
ら箸をそへ御だゐに手をつけて右のかしら
のさいを喰けをあけすして一はし喰その
後三の膳に手をつくる事なし扨引物を
三の膳の後くふなり
伊勢守
③
中
ゆり
中央
3
盛
飯歟
頭図
姫ノめしトは常のやはら
かなるのし也
ちからとはこわぬ意也
⑪⑫
廿五
一
(一
一一一一
○
3
○
是は前也
八
御汁の膳有へし
四四
四四
是は姫の食也二番にこらする也
是はこつけのめし也
是はちからのこつけの合なりけは
鳥たいとうろ也又たゝみ汁なとも
有へし
一七番さいたる一まんちう一うこん一あゆうめん一きしめん
一むしむき一はうたう一打むきなり○羊巻青松
露巻之等羊巻之雲月巻鼈巻白魚巻
腸炎ニ水晶巻水繊巻其節巻此外竹
一ようかんろちやうかんしゆんよらかん
葉巻其外も可在之一本に
はくきよかんこんけんかんうんせんかん
水晶あとめに也
貞丈云
コレハ鶴の
形ナルヘシ
カキアヤマリ
ナルヘシ
右
三峯饌
図
一式の御台の事三峰撰は
怠心以上の巻なり中に遂
一菜右に方丈左に偏州
此言の峰を巻にて作り
一銭子にもるなり○喰やう
は三の嶌の間にけを請て
音をとらぬさきに鶴の
のほりたる美をさんばに
取おさめ前に置て扨きそ
〳〵の花
つくり物等をとり扇に置三の山の間にけをう
け先当季の山をうきていへし若おさむ
る事侍は上中下に渡て喰たるかた哉委別に
さしおさむへし児女房は喰たる方をおしき
の前にして手寄を半分ふちの上にもたせて
置へし巻点心のはしの納やうか〳〵のことく也
一今やうはかならす最前につゝは饅頭次にうん
どん扨むしむきなるへしかんをは台なから持
饒子ナルヘシ
上くふへしいはれはによしのまゝふかすもの
なれはかくのことしつゝはまんちうをは先
左の手にておさへ右のゆひ三にてそとちらぬ様
にときて中まんちうを取出し昼はふくしを
外へなして夜はひらを外へなしていふへし
口伝多むし麦は小皿を左へよせ右に請る也
扨索麺のこはほそくしてむし麦のことく
打麦のこはひらくほそしくまんちうのこは前に
記せり
〇一熊之喰やうは最初に注す但西楡麺とて
食後に長き侭細きりたる麺なるへし今の
きかむきなり或は桐の葉或はによし又せい
じなとにも盛へし口伝有り
一かまほこは唐にて鮮かまのほをくはへて上る舟
中にて御覧有て被作也しかる間かまほこと云
なりすしきかまほこの本説也又聳ほことも
書なり
一双口の事鯉ハ山椒鳫鴨は胡椒雉子はいさび
うしほにはゆすなりしやうか本也○うしほ
には神功皇后異国退治る時舟中にて御酒
遺水一体
のいすゐを海中へ御入ありし時鯛寄て是を
呑それより始なり口伝
第十一筆法門
一料紙事至てうやまふ書札にはいよしへは本
一紙二枚礼紙二紙立紙二枚なり然れ共当世は
立紙等右一枚なりしかりといへとも賞翫の方へ
は右を用へし但かやうの事は時世に随事
此本ニハ末ニ
なるへし口伝あり
一本文一
大臣家より
狐柄家へ奉
一公家方書札次第上所の事は公家には定る礼
趣字あねか術文也
有其時の位による也たとへは「大臣家ゟ札とも
る書札の程は
恐惶謹言と
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
かきて居所の
なをあて所に
かくへし
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
堂とへは一条殿
春之而参る人々によりて恐々謹言と書へも有
恐惶謹言と書へも有へし留はの儀も幾作も
二条殿近衛殿
とかく也又大
中納言等へ
多候間それ〳〵に可分別也伝奏書にて候とて
近には隣て
とはかり書て
其人の官位
堂候恐惶謹言と書間敷も是非を不存儀也
を書んたと
へは権中納言殿
よく〳〵口伝をて受也〇公卿になりたる人々の方へ
とも中納言殿
とも牛へき也
三善散位
は御家人且族より恐々障之と書て可違然は
二位三位楽
は上所をかゝ
すして
状如件と
かく也
一段大中納言
親王家へ
上る書札には
アリ
一は上所をかゝ
し末に
人々御中と書へし此内にても可治人々也〇
武家の人々我家人即等に遣す状とは恐々無之
と書へし中下それにしたかふへし只斎て
と書は其内にも下輩なるへし只々計天と
書事も有へし香をよりかしく勇も有へし
又親類なとへハ可相違候条へ御伝に出り
一芳母方の姪父舅名字の惣領なとへ遣す
書札の事恐惶謹言と書て名字にても
在所にても又其小路等の名をも書へきなり若
は恐々謹言と書て人々御中なとゝかたうやま
ひにかく也此条も我人の位によるへし先大方
は名氏又其家の出頭人ゑほしおやなとの方へ
の状もかたうやまひに書也又師の御坊なとへの
文には恐惶敬国と書て伝者禅師御中又
御坊中同宿中なとゝ家々によりて如斯
可成御伝也
一恐軽降みと書ともことの外うやまひ申には文
字を真にか〳〵なり大かたならは恐し謹言
と草にかくへき也○うやまふへき人を能々相心得
真は真行草それ〳〵に相応して書べき
事古今無相違候師匠へは居所の名書札り
○うるはしき居所の礼の時は近上人々御中
遠江守某のなとゝ上所は恐惶謹言と書
なり礼紙壱半将也
一五山の長屋への書札には伝奏事たるへ〳〵ト歓
而言上と書始喪の罪等は其内の僧達何にて
も書物御披露なとゝ可書之去なから可依
人留は可有披露と書て扨恐し謹言と書て
月日其下に名乗判わきに名察官なるへし
内封にして礼紙して立文にするなり仍進
上降てなとゝはかゝず○闕字の事うやまふへき
言葉の字を一歩引さけてかく也縦は宣旨
なとの趣書へき時儀也○礼紙に置字の事
至てうやまふ方へは追而言上と書て次の行に
一字さけて言葉を書事わつき也
一文のはしの事三寸計置へき也上方には
五寸はかり也総付の事至てうやまふた官の
下に氏を書へし入道は沙門とかき法師は僧共
出へき也○捨文外の人賞翫へは御用也私の事也
一御一族より五山へ行状は歓介之上と書初上
一一郎とがくなり恐惶教白と真に妻実名をなり。
所は可有御披寄と其寺の何伝者禅師
と書へきなり
一回半諸五山へは行に歓介言上と書始上所に恐々
敬白と書侍者足下と云へし次に草寮察首
へは謹而其上と草に書始上所に恐し数国
と書当所に草案首坐へは唯元禅師と書
へきなり
一蔵主へは知る紙禅師書記へは記宝禅師平僧侍者
へは僧禅師と云へし侍者御中とも書也条之
口伝〇叡山の座主高野横校へは禅家に
西堂に准すへし但有口埒○北京の三門跡
南部門跡へは大骨家へ上る書札と同事也○
法親王家へは室と書くいへ上所にしは恐し
降之と書も常のすく也たとへは仁和平を
何の御坊御中と云へき也仁和寺なとの門主連親
王の位の時之事也○桃栖大臣なとの御子の
門主の時は宝とは書候はで当所も執物当
法印御坊なとゝ書也○親王になり給ひ又宮連
弥主に進る書札は恐惶謹言と書人之事也
人々御中とも書也○僧中の書札俗位に対する
事ハ公家にハ西堂僧正公家の参議に准す
諸山の検校は納言に准す単寮首座法
本法務僧都は四位の殿上人に準す書記
義主法眼句当律師は五位の雲空に准す
平増大法師等は六位の侍に准すへし又諸
寺の三綱八幡の社官僧綱以下は四位の諸
南夫に准すへし但可依人え也
一法家には只等輩の書札を用る也又医場の
陰ナルへシ
両道は社官にじゆんすへし口伝
一武家の御一族御家人のめん〳〵公家の四品殿上
人の位に准すへしされは文字の書やうも
上中下に真行草と書分べし御守殿文字
上所当所進上いつれも真行草相心得へ
きもの也有口伝草とかなをこのひは家族の
立給より
一諸国の守護人の公方に注進の書状には恐惶
謹言書と書進上御奉行所と書なり
一六波羅又鎮西の欄額奥州の探題等公方へ注
進の文は常には替へき歟上品に恐し謹言と
書て官と実名を書へし宛所は其家の執事
を遣し進上相模守殿某なと書也
一御普之御請には右令仰下趣謹而奉拝見
候畢と書はてゝ後伺使金可有御披露候恐惶
認書之月日名字友名乗判家所は進上貴
調御奉行所と書也参共人々共返書也
一御教書御請は仰之旨畏而令拝見候畢以此旨
可有御披露候恐し得之月日名字官名乗
判宛所は其家人の名字官を書て是も
参共人々共不可書也降上細川殿御報宛所
八人によるへし
件宛所は人によるへし
▢一御教に音は抑と書初て書終には仍執達ぬ
▢一御書は何之旨可相心得也仍状如件月日と書
一本
大臣家より既ニ前ニ記ス
て物奉行衆の名字官也宛所は可伏人也
▢一本之云御書は右令仰下処之儀旨趣書終に
而仍何之状九件当所御奉行の官を書とも
一鞭文字はなし真行草人によるへし
一執柄家へ奉る書札の礼は恐惶謹言と書て
居所の名を宛所に書へしたとへは一条殿二条殿
近衛殿と書也又大納之中納言等へ被遣には謹言
とはかり出て其人の官位名を書なかたとへは
権中納言殿とも又中納言共書へきなり三善
散位二位之位等は上所をかゝすして状如
件と書なり
一梵大納言親王家に上る書状には真に恐惶謹言
言と書て官名に宮の輩をくいふる也扨今御
中と書へし又執柄家へ奉るも親王と同し様に
書なり大臣家へ奉るには恐惶謹言と行に
書也客の字をは書へからすとなり
一大将中少将へ遣すには諱上書也上所は恐々謹
之とかく也四位置候歟等には状如件と事名字
をも書へし五位太右へは状如件と迄書判計
するなり○中納言より親王家へ奉るには某
恐惶謹言と書なり当所には家司の名を書也
執柄家に近るも同前也惣別かやうの儀は
定而不定候間不同二候
一武家の様古有進上と書て恐惶謹言は真に
けく也外にうやまふ書札なし同輩ならは謹上
と書て恐々謹は某殿えなにかしと書へ
し是は礼紙したる状のつ様也只のはこし
文とて昔したる文は賞翫するとも内書と
申也むかしは礼紙本紙なとゝて二枚三枚つゝ
かさねて書もあり公家方にかきらすたゝうや
まふ方へは真に書せ草に見へわかぬやうに
書は後点なり
一常に書ゆれは瑕疵にても候へ又は折紙
腰文なとにて音候へ至て賞翫の方へは人々
御中又は近覧進献なとゝ書也又云伝奏書の
事は我主人と又は主人ほとの人へより外は
卅々之候よく〳〵分別肝要なり条し口鳴有り
一たて文の事謹上を上と書て人々御中とも
又官領なと書て人之御中とも又は気支のかた
を書て其下に我つかさ成書名字を書へし
無官の人は氏をかくへし
一公家より御一族への御書は不同也執柄家より
給る御書は某殿へと書て成如件と有へし
殿上人より御家人への書札は恐し謹こと有
此方より遣状も同事也公卿になりたる人えの
方へハ武家の人より恐惶謹言某殿と書送る也
一一条殿輪政殿式は九条殿なとより印に是を
穴賢一本
給文の笛はあなかしこと書せ給ふ也
一武家より関白執栖家へ上る文の事如何に
一敬て書たりとも不可為直配候伝奏書也然は
御改所又めしつるはるゝ諸大夫に当て書なり
貞丈云
応永元年
義満蒔軍
職ヲ義持公ニ
書上る所に以此旨御披露又以便宜御披露
一綸旨は書留に仍綸旨如此年号日付の下
に御判は摂政執柄の御官実名なりたとへは
此末脱文力
一なとゝかく
へき也本
藤原左大臣
此所ニ応永ト書タルヲ
見レハ此書ヲ書タルハ
応永年月日
元年ヨリモ猶後ナルヘシ然ラハ此書ハ義満ノ代ノ後ニ書キタルナルヘ
宗胤判
義満ノ仰ヲウケテ書タリトハ偽ナルヘシ
当所人の方へし条之口伝多
一院宜も仍院定如斯諸余綸旨同前也〇令
旨官府宣執柄家の状也
一仰書之事御前に参て常には替て左の
膝を立て御硯をよせ料紙を取善悪は御意
に有り其後御硯引よせて蓋をひらきて
さうなくおなし座に置へからす土方の硯な
らは此ふたを開ては扇の上に置へきなり
次に水かめを取とく水を入墨をする事
箒口を見て龍の尾よりする也すり様先順
に十へん計まはし次に逆に十へん計廻し
次に中をするなりたてさまにする様水は墨
のくちたゝう紙にてのこふへしする内に
墨を二三度見る事記儀也若又折敷なとに
のせたるをは墨を折敷のふちにいたゝかせとく
置なり惣別時宜によるへし口伝にあり
一若祝言の時宜なしハ案して書へし返札ハ其
文によつて書也高下は御意をうけて
書もの也若折敷なとにすゆる硯ならはふち
の上に墨をいたゝかする也次に筆もなかなか
くほなる所の水に少ひたして一二区もそめて
次第に引あけ墨のこき所にてそむる也其後
米をは硯のかたはらにさし置紙を取直し
て書也今に始さる事なれともよきをは礼
紙の本意なるゆへ邪路に書事不告也いかに
も正路に文字をはずさず書は真如実
相微妙のつにかなふへし異形はかけ宗等
に楽あるへけれそれさへ鬼形鳥居かんなは
らんさう杉木より外はあるましく候されは
異形の手本を用へからす
一女房へ進へき文の事本紙の上に礼紙二枚は
て上をふうして墨を引立紙の上下捻りて紙
よりを以て結ふへし結如の上をもすみを
引へし某との御つほねと伺公の人の名を書
へし至て数わ某殿の御門ほね申させ給へと左
へよせらくほそく書て遣す也
一女文の事女も文かく事なとハ口伝有へし
源氏にも手習の君とてあわし女にてかもさの
みなまめ〳〵も有すしく候又から〳〵しく
書侍らんも口おしかるへしよきほとか思ひ
おわせとくあそはし候へし源氏手物水巻に
みへたりあけまきうき舟手習同人なりおの〳〵
手なしひのきみと云
一懸想ナル如シ艶書ノ事也好色文也
貞丈云
一女文の夕条之口伝習へし又仮相文なとは
一かう別成へし長哥なとのやうに書つらね古哥
此三儀
一統は将軍
なと多出たるはことの外かたはらいたき事也
ノ砌ヲウケ
タマハリテ
何事なとゝ書事あしく候さふらひ侍るな
撰タルニハア
撰タルニハア
ラザル事
とゝ多く書もあしく哉何となくたゝ心の
けさう文の
事を記乙
タルニテ知ヘシ、
すちをよくかきあらはしてかやうのこと葉
将軍家ヨリ
何クけさうへ
をは少書ましへて能候心はつかしき女房の
更に法式を定めメタマハンヤ
被仰しはけさう文のこと葉におもひよるへ
きは源氏伊勢物語也摂政殿の御家の折魚
ひの露といふものをけさう文の本として
あそはしたるもいかゝとおほゆる事もまじは
りてみゆる也又けさう文あはせなとゝて昔
は心にくきいもせの間かきかよはせるもあり
けめともいかゝなりとは見へさる間それをほ
んとも申かたく候度の期なとの文にもたゝ
哥一首をほめたりされ共哥もいさゝか一すかた
有へきか能よせひかきりな〳〵しかに心入けら
んこそいつくしくおさはかならねつもこもり
ておもしろく有へて候又料代は引合うす
やうなとを用ゆ四季によりて其次第の色
はおるへし春はみとりのうすやう下陰梅
桜緑山吹柳夏はなてしこあやのあふち
かきつはた秋は藤をみなへし茶冬は
松の雪霜こほりなとの色もみちかさねを
用る也、弐のいろはみかき付なるへしくれ
ないはいつも用たる色なりそれさへ下陰は
時によるへしむすひやうは文の上書をやかて
上かいにみせてむすふ也墨を引事思ひの歌に
先たり行と云字を草に書かことしかの心
歌を取て書には三代集の内にむねと書へき事
ありさりぬへき歌行あまねて人のしりたるを
取らく書也集の歌なりともいつれの哥やらん
と人々の思ふをは出へからすむねとは源氏の心
さこくも伊勢物語肝岡なるへし
一けさう文かく事文字のくさりを四三一四へ
とちらしてとひるとむしは申候而今はあまり
にちらし過たるは中々わろし此始を及ては
今少文字多くつゝけて書へき也たとへは
四三とは何事四かと三是も大すかたにして
文字八七に二三をはしまし三又一五四一なと
もちらすくはしく四さふらふは思ひの露に
見えたれとも。心得わくへきために是をしるす
おもてる書とめたるかよき也さのみ多くかきて
うらまてちらし候へはわろしそれもこや
つねに書かはしてかくはいくらもかくにや但時
の風体たるへし
一古歌の事取給ととへはいかたみぬ人の手とへの文
ならは
たかせきもりてたに
さふら
はて
たれとしられぬて
かやうに書て猶
かくへきには袖へ
ほとのゆめのゝし
にて
かよひちは
かくなり
たとへは此趣に書へきなり此哥拾遺集の内に見
ぬ人は恋しきやなそおほつかな誰とるしらん
夢にみゆとも此歌の心を取てかくなり○返し
女かくの如く返事はすへきなりされは返事
は文の詞にしたかひてかくへき事なるはや
すき事なり
見ぬ人恋らん
うつゝ夢のたゝ
なく
こそはちはけ
こそは
にし
一後の朝に女のもとへつかはす文のやうたとへは
此本歌は拾遺集におひみても猶な〳〵さまぬ
心かないくちよねてか恋のさむへき此哥の
こゝろをと事なり
れ
道しばのれ
さふゝはて
一
露のし
一本
なをなくさ
ほれも御
まぬ
をしはかり
いかゝ
つまよひは
こうありつる
あらつる
計へくも
一つれなき人のかたへほかはすへき文の書様たとへは
ふし
なすらへ
たまを
さふしふを
たにもこれ
とおほし
さふしへ
夜ふか
見
我なからうかれ
きに
はてぬる心の
はや
すまはおほ
つかなく
七九一七六一
九七一七七。
五七五七七
七九一七六一九七一七七五七五七五七五七七七
有を書也此本歌は思ひわひうかるゝたまのあるなら
人夜ふかく見えはむすひとゝめよ是をとる
事ところ得へし
出返し
おもひとかめ
さふしふ
かふらふむすひとゝむ
へき
へき
地きりしらぬ身は
たかたにと
源氏
およそけそう文は言葉こゝろは三代集のうた
伊勢物語さ衣等の哥さしあらはれて人のおほへ
たるを書也条々口伝あり
ほとはかり
一むかし男のもとより女の方へつかはしける文に
月といふ文字一はかり置てけるを女の返しをは
かゝて此月といふ案下にほとはり出て返し
をナルヘシ
の字との
さら
おやしらの
いらへはを
申云之
けり此心は人をめすいらへはおとこはよといらへ
女はほといらへ申也されは此返しはいらへたる
こゝろ也月と計書たる心は暮なは出よといふ
心なりそれをさとりて月の下にほねを書
く事はいらへたる也此女は式部の共侍とて
語りつたへたる也けさう文はかやうにも書
事有又は源氏伊勢物語の詞を本として
むねと書なり此ころけさう文の詞にひたすゝ
長哥のことくくさりつゝけたる事はかたはら
いたき事也返々哥と詞かはる事なかるへし
物をしりたる女はわらひ草にする也いなかへ
そひとりむす女なとの窓の内にかしつかれ
て一よのさまつきたるまめ児達もいなかひ
たる人のもとへはさやうのかたはらいたき事書
たりても住吉の物語にもかやうなるなとゝてもち
おこす事有へからん。心あらん女房の方へかや
うのかたはらいたき事つゝけたらんははぢを
かきたるなるへし誰やらん御本様の女
房にけさう文をつかはしたる長哥のやに
に哥をいくらもつゝけてはてにはことの月
のたゝ詞のにつゝかなるを書ましへて女房
のあなかしことかきたりけるをわらひては
出けると聞つたへて候きか〳〵のことくに
あゐたるいもせの中にてはさたあむなる
けさう文はたゝ哥のはにてはかそ〳〵なし
てしかも故に誰のみゆるはよき也哥と詞
とかきましへたるみには書やう有へし
哥と詞のけぢめ見せてかくは比興の事也
たとへはかやうに哥と詞と書まきらかすやに
に書なり
けふとかやの一せに君こすはねや
てづらひさふらひつるを申へもいらし
かねの声のつけかほにこむらさき
きこんさふらふも我ゟとまひに
もしはくなかめ
雪松は
を〳〵とも
いたさの給へ
○けさう文の料紙の事男も女もかきなれたるうす
やうを用也下位は四季ににてかはるへし参し有御時
〇文ふうする様結ひめの上に黒色引也是もこと〳〵し
くたゝしく引まいすはむくく也筆の先まつていかに
もしとけなけにひかくの如くまはすかり
一文を梅桜の枝又は松方みちの下枝に付て津かいす
事も有大将軍公家出御門におはしさし候にしたゝめ
てをるには初雪の朝には松の枝に冬木に付給ひ
しなり
〇一哥の稽古之事題に向てよまね共何の風
情にてもこゝろのかよふにまかせて詠へし
もの中に□しさりぬへき歌出来候はゝもの
に書て置その躰なる額をよまん時取
出て用る也是故実なり定家も家隆
も多くよみ置れし事哥にそのさたあり
この稽古の稽この稽古用なり物をわす
れ候故也相構て二返も三反もよミ了渡
条之口伝五り
一品氈の哥十かいその五かいの哥にしけて心あて
一本
によみてかく也かく事家々の事願中に
あては竹団紗にみえたり五七、五七、立石搗也
立石やうは三句目の末の字を下句の上に
を〳〵是はていこ石と申書やうなり
キヤウコロシカルコト
きみか代のかへしかるへき五七丁
きみか代のひさしかるへき五七
ためしにはかねてうへし五七
ためし耳迄五
すみよしのまつ七
此カキヤウ下ヲソワ
ヘ上ラソロヘサルユヘ
石ノ角ノ出タルヤニ
右一本ノヲモムキアヤマリ
かねてうの
ウナル故テノ
コ石ト云ナルヘシ
ナルヘシ
すはよしのまつ七
三行に五七、五七七、七、菰花様也上をそろへて
下ふ同に書也又うう〳〵所の哥の書やうはわろし
一本に
君か代は千代にや千よを
君か代は千代にやよよを
さゝれ石のいはほと成て
一こけのむすまて
さゝれ石にいはほとなりて
右一本ノヲモムキアヤマリナルヘシ
こけのむすまて
上ヲソロヘ下ソロハサルユヘ
藤花様と云ナルヘシ
一扇に侍歌書事かゝぬ間三間有折目絵の
いきものゝおもて四緒有所なり○かん玉を
もつて哥かくやに立やうと申は五七五の
句を九七一と二行一字くたすは少上に不
同にかくなり次に七七の句をは七六一と二
行一字にかく也。此二やうは四行松のやうと
毛申也
ぬ
松亭風破
遠
竹前跡
前頭
一
七号
旅人夢
科方
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
かすり野にわかなつ九
□□□□□□□□□
□□□□□□□□□
みつゝよろ川代七
松を女
雨の
を一
東野南の
染かねて
いはふこゝろを七
まくつか原に
神はしるら六
風さはくなり
む一
一連歌稽古之事花鳥風付述懐恋等の句是
をあらつくりをして常に持候へはよき在所の
時申はかんなうの句ありてにをはに物を心と
まりて新作有へしくせ連歌は少のさし合成
共そのまゝ帰るへく候是第一の心得なり
一執筆の礼之事縁のほとに一礼して文台をこ
持なからむきかへり刀扇を置筆台を取ておろ
し扇の上にふたを置紙を取て中の紙を一重
持あけ目の通りにて横折に折紙の如く折て
紙の中ほとより先に賦くたりの有様に恩出てかひ
賦の一字を書持上て発句する人の方を知る事句出
来は三段に潜取二返披露して眠り長をあて
させさて匂をてにはよく大かたは八と一行九と
一行書終て作者まてかき調て又披露してわき
第三此心得也貴人童形奉行の句ならは紙の
うづりは七勺の物は六勺五勺の物は四勺三勺の物
は二句にて書へしな代事あらは三度より外返
すへからす下輩平人ならはなをすへからす書終
てとつる事にほひ以前にとぢへし賊を見せ
ぬやうにとつるやにほひあげの句のさはりとて
当世あせ句の後とつる事も有へく候句引て
後はとぢめをうはかへに眠を中にあて文臺
にすへ筆ふりすゝきて筆臺のふたをして
御神の方へ向て置て刀解をさして退出する
なり
一人別へ硯を出す事折水にすへて出へき事本也
ケ様の時は水入有へからすかねてすくに水を
入出すへし又かはじけに水を入て別にも出す
口皮○硯箱ながら出す事からは蓋をあけて
有へき様になし紙をふたの下になし紙をば
かくへき方に蓋を左に硯を右にむへし
筆臺の
水かめのつる
は外へなるへし
母水又は外向也
一硯の蓋蒔絵ならは羽にも畳紙にもその上一斗
蓋あものけて置なり
一毒をする時は左の中指三ツにて於さへ右の人指
中指にてすみのもとを以て序披急とすり
納て紙にすりくちをあててぬくひ置へきなり
○硯の墨のすり様上下吉凶なり
筋かふ一文字は主君親の是はくびに記付る時又死人
前にてする中の是は傍の別にてする時こみにて
北東の別にてかくの如し
輩の別にてかくの如しよりて筆を左へてんし候なり
の
①
是は病人流人の前
にて差別の時はいそ
にて左の文字をする
なり筆をたてに
一せんするなり
右一門ハ四条院御在位之時青蓮院僧正より
印可としてをせられ候流なれは御前の手法に
定られ候事
第十三実検門
貞丈云鎧の色て
おとにかたわる事
一実検之際出立は大将例の如く左右の脇に立た
る家の子出立同様也春は旧景の物の具夏は
なし時節により
色かはる事
黒草同如将色おとし秋は緋なとしあかかわ
後人のか筆
歟
冬は黄草おらひかわ土用にはあいかわもへき
おとしあさき色なるへし六具をさし七のかた
め物をかため弓杖をつき重代の釼を帯大将の
まじりにて御実験有へし家の子は六具を常
のことくしてこを直し中制をぬきとかり矢
の猪の目の穴より頭を一目見て立へし家の
子二人のかたを御覧しはしめ御実験有へく候
弓は太平弓にこしらゆるへし
一大将にしるしを御目にかくるやう上帯にて大小
入道俗ともに頭をからる也入道の首ならは
よく〳〵いましめて御目にかくへし大将の御左
の方に三枚はかりへたてゝ頭の右のそはつらを
御目にかくへし母衣にてもうちかけにても又
肩衣にても其死骸の着たる物にて包て
出す四重を三重く此にしかせ一重に臼に
引かけ花をかくし右のかたつら計実験にさせ
申へく候主人に向ひ合せ申へからす日又おまり
うしろさまもわろし頭の間に奏者御左に
伺公すへし
一頭の髪結ふ事はしめより水を付右より櫛を
つかひそめくしのみねにてたてゝ毛とゆひを櫛に
て四ツたゝきて結ひおさむる也されは堂の時櫛
のみねを髪にあつへからす
一葬送の引馬馬衣は生絹也其外鞍の装束
同然也手綱腹帯も白し左よりひかへて逆に
つきまはす也礼儀なれは一のかみほうちいのきわ
を一つぬきて残をはまきたる侭なるへし
一頭を桶の上に置て敵の方へ向てくひの後已枝は
五つめ斗のきて立ならんて時を上る也〇くび
かくる事御陣所を頭のうしろにして掛し
肆
かけれは鱗をゆひてかくる事おりゆひやうは
御伝有○只の時はに出しをつくりてかける也○
頭の事罪の軽重にしたかつて或は大路を渡
し或は獄門にかけ或は肆にさらすそれ〳〵
にこゝろ有へし
一頭斬時の敷皮の事牀机になかり主害すへき
人をは教皮をくひかみを前にして白毛をうし
ろへなして被為也毛を下へなす也又平地に居て
腹切時も白毛をは右かうしうへして教へし
敷皮な〳〵は引敷なり○敷皮の事常には毛
の方を上へ敷也口伝有
一人に腹をきらする時の肴の事盃より後にさり
なを出すなり組様はかうの物三きれふろなし
の折敷にすへおひしらゐの侍は不下有折敷
のよこに香の物一きれ也はらのきり手に酒を
呑テ盃ヲ下ニ置テサテ盃ヲトリ
はしめさせて相伴一ツのみておもひ返しに
切手へさすきり手のみおはらさるに相伴は立へ
し銚子をてう〳〵に二度ツゝ二度あはせて
四献のませてよしされはたつ折ものふちのかせ
盃ヲヒカヘテ居ルトキ
たる折も及思ひ返しの置人のひかへに立事
常にいむは是なり
一実験の時とへせいはゐの時はへきれ昆布
に組也されは只の時昆布をは中をたつさな
くは二切組也三切はいむ也罪人をいひつけ
て少させ又はは我沙汰する時もおはは
の如くなり
一生害する時の引散の事緒の付たる方を前に
して毛さきをうしろにそぬなり
浦ナルヘシトラハレトヨウ
浦こしらゆる事死罪の者をは白きなわ三所
四寸にしはる流罪の者をはほそひきにて
三所六寸にしはるへし凡下のものをは三所八
寸にしはるへし○哺しはる縄の事侍をは弓
の弦式は箙の上帯成へし顔をよく〳〵
かだせてかけすわうに打かけてせたてを四す
裏頭一
ほころわかしてそれより緋を引とおし裏衣
頭させて渡すへし凡下のものをはさし縁
にてしはるへし条之口伝
一哺取渡しの事いかにも油断なく刀さそくを
心にかけてうけ取渡へき也〇頭のすへ物かくきや
うかんなかけもしても又は碁盤のうへにても
すゆへしされは盤のからに血うまかとて有り
まてにすへからす
一囚人請取渡しの事次第有請取時は渡す
人の出立を聞てそのことく出立へしこしら
へやうは風をかけてすはうをきせ扨身中
岡はかりほころはかしそれより紙を引出
すなり子細を尋て斬つきものをは三所
四寸流罪のものをは三所六寸下人をは三所
八寸侍ほとのものをはあたし請取に次第
有るすへの上手を取やうにさそ〳〵を心
将刀にこゝろをかけ渡し請取へし囚
人をは鼻より上を紙をかけかくきせてかけ
すわうきせてすはそのせなかを四寸計
ほころはかししは見し
一頭日記を付る時は硯のうみにて義をこく
すりて出へし筆をも左へ点すへし○浦の
着至は○かくの如くいそにて墨を左の文
学かゝはにするなり筆をたつに点すへ
右小笠原長秀之記也
宝暦十年庚辰五月写之後数本校令は
伊勢平蔵貞丈
小笠原系図曰
清和天皇十九代
長基
豊松丸孫次郎兵庫助従四位上弾正少弼甲斐守
三河守信濃守
母木曽義純女
貞和三丁亥年正月廿七日於信濃国筑摩郡井川館生村村
応永十四丁亥年十月六日卒寿六十一歳号長基院殿大
随清順大居士
廿代
長秀
豊善丸亦次郎兵庫助従四位下修理大夫信濃守
母武田陸奥守信春女
貞治五丙午年五月十八日於信濃国十月名生
永和四戊午年十一月五日於祖社神前元頼于時十三歳
永徳三癸亥年二月十二日父長基之受譲
至徳三丙寅年八月十二日成道斜方的伝
時廿
一歳
師範長基
信濃国守護遠江飛騨越前之官領也
依仰撰述三儀一統元来小笠原為弓馬之家猶可糺諸
礼品節旨蒙厳命粤小笠原申云幸今川左京大夫氏頼
伊勢武蔵守憲忠当其器可被召加彼等旨令言上仍
彼両人指加故号三儀一統相国寺供養随兵後醍醐天
皇御宇遂天龍寺供養之例
応永十九壬辰年二月十五日の遁世于時四十歳大通寺殿俊仲
正拠大居士
真丈曰右ノ系図ニモ三儀一統ノ事見エタリ是亦後人ノ
偽作シテ加筆シタル者ナルヘシ将軍ノ命ヲ奉シテ天下ノ
一礼書ヲ撰ム事ハ甚シキ大事也其大事ヲ系図ニ書載
ルニ年月日ヲ記サル事疑ヘキ也伊勢武蔵守満忠ト三
一議一統ニアルヲ系図ニハ憲忠シタリ是又疑ヘシ満忠モ憲
一忠モ予力家譜ニハ魚之也右ニ見タル系図ノ三議一統ノ
事ヲ記タル文辞ハ小笠原ノ人自家ノ事ヲ記タル辞ト
ハ聞エス他家ノ人辞ト聞ユ是又怪ムヘシ世ニ名高キ学
者モ三議一統ト云フ名ニ惑ハサレテ信用スル人ニタタシ是亦
怪ムヘキ也力ノ序文ト続為家門ト三識一統ト云題
号と三ッは後人の偽作也信用スベカラズ法量門以
ハ小笠原長秀ノ記也古風ニテ信用スヘキ事多シ
貞文書